JP3597634B2 - Drive unit for four-wheel drive vehicles - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、縦置きエンジンに用いられる4輪駆動車用駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、エンジンを縦置き配置した無段変速機付4輪駆動車の駆動装置に関しては特開平2−150539号公報の先行技術がある。この先行技術には、エンジン、トルクコンバータ、1組のダブルピニオン式プラネタリギヤを具備する前後進切換装置及びベルト式無段変速機を車体前後方向に同軸上に設け、無段変速機のセカンダリ軸の後部にもう1組のダブルピニオン式プラネタリギヤを具備する減速装置を同軸上に設け、この減速装置からリヤディファレンシャル装置に、また無段変速機のセカンダリ軸の前方を減速手段を介してフロントディファレンシャル装置に各々伝動構成することが示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記先行技術のものにあっては、縦置きに配置されるエンジンに、このエンジンのクランクシャフトと同軸上にトルクコンバータ、前後進切換装置、ベルト式無段変速機が設けられ、更にベルト式無段変速機の後部に減速機が設けられ、これらが一体構成されたトランスミッションケースが接合されることから、駆動装置、特にトランスミッションケース全長やセカンダリプーリ後端部が突出して前後方向に長大となり、この大きなトランスミッションケースの後部が車室下部に形成されるトンネル内に大きく張り出した状態でエンジンルーム内に収容設置される。トランスミッションケースの張り出しに伴ってトンネルが車室内に大きく張り出し、かつエンジンルームと車室とを区画するトーボードが車室側に押しやられて車室内の居住空間が制限されて居住性に影響を及ぼすとともに、トランスミッションケースとトーボードとが接近配置され、前面衝突時のクラッシュストロークを充分に確保しようとすると更に居住性に影響を与え、またエンジンルーム内の作業空間が得難く、トランスミッション脱着時や整備等の円滑な作業が妨げられるおそれがある。
【0004】
一方前後進切換装置及び減速装置に各々別個にダブルピニオン式プラネタリギヤを設けることから構造及びそれらを制御する制御装置が複雑になり、コストの高騰を招く等の不具合がある。
【0005】
また、同一形状のエンジンルーム構造内にベルト式無段変速機、手動変速機械(マニュアルトランスミッション、MT)及び自動変速機(オートマッチクトランスミッション、AT)等との車載互換性を有することが望ましく、比較的コンパクトに設計可能な手動変速機と全長寸法やトランスミッションケース外周寸法、所謂胴廻り寸法を略同一にすれば車載搭載の支持部材や排気系の共用化が可能になる。
【0006】
従って、本発明の目的は、駆動装置、特にトランスミッションケースの車体前後方向の短縮を図り、充分な居住空間及びクラッシュストローク、トランスミッション脱着時等の作業空間を確保しつつ従来のエンジンルームに搭載可能でしかも、構造及びその制御装置の簡素化が得られる4輪駆動車用駆動装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明による4輪駆動車用駆動装置は、縦置きエンジンと、このエンジンからの出力が入力される変速機と、前記エンジンのクランク軸に対して各々平行配置されて一方のディファレンシャル装置及び他方のディファレンシャル装置に各々動力伝達する第1及び第2のドライブ軸と、ダブルピニオン式プラネタリギヤと、このプラネタリギヤのリングギヤ及びキャリヤに変速機からの出力を選択的に動力伝達する入力切換手段と、前記プラネタリギヤのサンギヤからの出力を第1のドライブ軸に動力伝達する手段と、前記プラネタリギヤのキャリヤからの出力を第2のドライブ軸に選択的に動力伝達する第3の摩擦係合要素と、第1のドライブ軸と第2のドライブ軸との間を選択的に動力伝達する第4の摩擦係合要素と、プラネタリギヤのリングギヤ回転を選択的に係止する第5の摩擦係合要素とを有し、上記入力切換手段及び各摩擦係合要素を選択的に作動せしめて前記変速機からの入力を前記プラネタリギヤを介して所定の比率で動力配分及び前後進切換して第1及び第2のドライブ軸に動力伝達することを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
図1において、本発明が適用される4輪駆動車用駆動装置としてベルト式無段変速機付4輪駆動車用駆動装置の駆動系について説明する。縦置きエンジンに接合される第1のケース1、この第1のケース1の後方に位置して後述するベルト式無段変速機20を収容する第2のケース2、この第2のケース2の後方に位置してトランスファユニット50を収容する第3のケース3及びこの第3のケース3の後方に位置してトランスファユニット50からの出力を後輪へ伝達する動力伝達機構を収容する第4のケース4が順次接合し、第2のケース2の下方に区画形成されてフロントディファレンシャル装置30を収容する第5のケース5が接合されてトランスミッションケース6が形成され、トランスミッションケース6の下部にはオイルパンが取付けられる。
【0011】
符号10は縦置きエンジンであり、このエンジン10のクランク軸11が第1のケース1内部のロックアップクラッチ12を備えたトルクコンバータ13に連結し、トルクコンバータ13からの入力軸14が第2のケース2内部に配置されるベルト式無段変速機20のプライマリ軸21に入力する。トルクコンバータ13からの入力軸14及びプライマリ軸21は、エンジン10のクランク軸11に対して同軸上に配置され、トランスミッションケース6にベアリングを介して回転可能に支持される。
【0012】
無段変速機20は、プライマリ軸21に対してセカンダリ軸22がその側方に平行に配置され、プライマリ軸21、セカンダリ軸22に各々プライマリプーリ23、セカンダリプーリ24がプライマリシリンダ26、セカンダリシリンダ27によりプーリ間隙を可変にして設けられ、プライマリプーリ23、セカンダリプーリ24間に駆動ベルト25が巻装される。そして油圧制御系によりプライマリプーリ23、セカンダリプーリ24のプーリ間隙を変えることにより駆動ベルト25のプライマリプーリ23、セカンダリプーリ24に対する巻付け径の比率を変えて無段変速した動力をセカンダリ軸22に出力するように構成される。
【0013】
セカンダリ軸22にはプライマリリダクションギヤ28が設けられ、プライマリリダクションギヤ28に噛合うプライマリドリブンギヤ29を介して第3のケース3及び第4のケース4内部に配置されるトランスファユニット50に入力され、トランスファユニット50によって第5のケース5内の一方のディファレンシャル装置、例えばフロントディファレンシャル装置30を介して前輪に伝動構成する一方、プロペラ軸37及び他方のディファレンシャル装置、例えばリヤディファレンシャル装置38等を介して後輪に伝動構成される。
【0014】
フロントディファレンシャル装置30は、図2に要部断面図を示し、図3にトランスミッションケース6を省略した要部斜視図を示すように、第5のケース5内でデフケース本体31aと、このデフケース本体31aと一体形成された略円筒状のクラウンギヤ取付部材31bとからなるデフケース31が複数のベアリング32を介して車体左右方向に向けて第5のケース5に回転自在に設置され、クラウンギヤ取付部材31bのフランジ部31cに取付けたクラウンギヤ33に後述するフロントドライブ軸51が交差して噛合っている。
【0015】
一方デフケース本体31a内にはピニオン軸34aにより一対のピニオン34bが設けられ、両ピニオン34bに噛合う左右のサイドギヤ34c、34dによってディファレンシャルギヤ34を構成している。一方のサイドギヤ34cに連結する駆動軸35は、デフケース本体31aからクラウンギヤ取付部材31b内を貫通して等速継手、アクスル軸等を介して一方の前車輪に動力伝達し、他方のサイドギヤ34dに連結する駆動軸36はデフケース本体31aから突出して等速継手、アクスル軸等を介して他方の前車輪に動力伝達する。
【0016】
そして、無段変速機20の下方において平面視プライマリ軸21とセカンダリ軸22との間にクラウンギヤ33が位置し、プライマリ軸21を隔ててクラウンギヤ33とデフケース本体31aが各々左右に分離配置されるよう第5のケース5内に設置される。従ってこのクラウンギヤ33はディファレンシャルギヤを収容するデフケース外周に取付形成される従来のクラウンギヤに比べて小径に形成でき、フロントディファレンシャル装置30全体が小径に構成され、かつクラウンギヤ33とデフケース本体31aとの間の小径となるデフケース31の中央部をプライマリ軸21と対向配置することにより無段変速機20とフロントディファレンシャル装置30とを近接配置することが可能に構成される。
なお、第2のケース2内にはトルクコンバータ13のステータ軸15と連結して常に駆動されるオイルポンプ16が設けられ、オイルポンプ16により常時油圧を発生してトルクコンバータ13等に給油し、無段変速機20の油圧制御を可能にし、かつ車速センサ41、スロットルセンサ42、シフトスイッチ43、前輪回転数センサ44、後輪回転数センサ45、舵角センサ46等からの各信号に基づいて油圧制御回路47によって制御してトランスファユニット50の油圧制御を可能にしている。
【0017】
次に図4及び図4の要部拡大を示す図5によってトランスファユニット50の部分について述べる。
【0018】
トランスファユニット50は、エンジン10のクランク軸11、入力軸14、プライマリ軸21及びセカンダリ軸22等に対して平行配置される第1のドライブ軸となるフロントドライブ軸51及び第2のドライブ軸となるリヤドライブ軸52を有している。
【0019】
互に平行配置されるクランク軸11、プライマリ軸21、セカンダリ軸22、フロントドライブ軸51及びリヤドライブ軸52等は、図4における矢視A方向からの配置を示す図6に示すよう、略車体幅中心軸上にクランク軸11の回転軸芯11a、及びプライマリ軸21が車体前後方向に同軸上に位置し、セカンダリ軸22とプライマリ軸21が略同一高さで側方に平行配置されてプライマリプーリ23とセカンダリプーリ24とが略同一高さで配置される。そして前記のようにフロントドライブ軸51が平面視プライマリ軸21とセカンダリ軸22との間で、かつ下方に配置されて前記クラウンギヤ33に噛合することにより無段変速機20との接合性を良好にして全体の上下方向寸法を抑えてコンパクト化を図っている。
【0020】
またリヤドライブ軸52をプライマリ軸21と平面視同軸上でプライマリ軸21に対して下方位置に配置することによりトンネル49内への収納性を良好にし、手動変速機、自動変速機搭載車体との互換性の向上を図っている。
【0021】
フロントドライブ軸51の先端にフロントディファレンシャル装置30のクラウンギヤ33と常時噛み合うピニオン部51aが形成され、先端部はテーパベアリング51eを介在して、後端部はニードルベアリング51fを介在して各々トランスミッションケース6の第3のケース3及び第4のケース4に回転自在に軸支されている。
【0022】
またフロントドライブ軸51の軸方向中央部外周にはダブルピニオン式プラネタリギヤ55のサンギヤ56が噛合するスプライン51bが、軸方向後端部外周には第4の摩擦係合要素となる多板クラッチ93のドラム94が嵌合するスプライン51cが各々形成され、かつ一端が後端に開孔する中空状で他端が後述するオイル室65A、ラジアルベアリング61b及びニードルベアリング82bに対応して各々開孔する油路51dが形成されている。
【0023】
更にピニオン部51aとフロントドライブ軸51に螺合するロックナット51gとによりテーパベアリング51eのインナレースを挾持してフロントドライブ軸51の軸方向の移動を防止している。
【0024】
一方プロペラ軸37に自在継手を介して一端が連結するリヤドライブ軸52の他端にはトランスファドリブンギヤ52aが形成され、複数のボールベアリング52bによってトランスミッションケース6の第3のケース3及び第4のケース4に回転自在に軸支されている。
【0025】
フロントドライブ軸51の軸方向中央部外周に形成されるスプライン51bに嵌合して結合されるダブルピニオン式プラネタリギヤ55は、スプライン51bにスプライン結合されるサンギヤ56と、リングギヤ57と、サンギヤ56及びリングギヤ57に各々が噛み合いかつ互に噛み合う第1及び第2のピニオン58、59と、第1及び第2のピニオン58、59をニードルベアリング60aを介して回転自在に支持するキャリヤ60によって構成され、リングギヤ57に入力する動力をサンギヤ56とリングギヤ57との歯車諸元によるトルク配分でサンギヤ56とキャリヤ60に伝達し、リングギヤ57をトランスミッションケース6に係止することによりキャリヤ60に入力する動力によってサンギヤ56をキャリヤ60に対して逆方向に回転せしめる機能を有する。
【0026】
このダブルピニオン式プラネタリギヤ55は、トランスミッションケース6に固定される固定軸62、スラストベアリング62a及びドラム69を介してトランスミッションケース6の第3のケース3に支持されるスラストベアリング61aと、第4の摩擦係合要素となる第4の多板クラッチ93、スラストベアリング82a及びトランスファドライブギヤ82を介してトランスミッションケース6の第4のケース4に支持されるスラストベアリング61bとによってサンギヤ56を挾持することによって軸方向への移動が防止される。
【0027】
固定軸62は、フロントドライブ軸51を囲む略円筒状であって、基端に設けられるフランジ部をボルト62aによってトランスミッションケース6の第3のケース3に固定することで取付けられ、固定軸62の内周面とフロントドライブ軸51との間をオイルシール65により閉じてオイル室65Aが形成され、固定軸62にはオイル室65Aに連通する油圧路62bが形成されるとともに固定軸62の外周にも油圧路62cが形成される。
【0028】
固定軸62にはプライマリリダクションギヤ28に噛合するプライマリドリブンギヤ29がニードルベアリング29aを介して回転自在に設けられ、プライマリドリブンギヤ29と前記ダブルピニオン式プラネタリギヤ55との間に選択的にプライマリドリブンギヤ29からの出力をリングギヤ57或いはキャリヤ60に入力する第1の摩擦係合要素となる第1の多板クラッチ68、第2の摩擦係合要素となる第2の多板クラッチ78とを有する入力切換手段67が設けられている。
【0029】
第1の多板クラッチ68について述べると、固定軸62にブッシュ69aを介して回転自在に軸支されたドラム69がプライマリドリブンギヤ29に結合し、ハブ70がダブルピニオン式プラネタリギヤ55のリングギヤ57に結合する。このようにして第1の多板クラッチ68は、プライマリドリブンギヤ29とリングギヤ57との間にバイパスして動力伝達可能に介設される。そして油圧室71の油圧でピストン72を介してドラム69内に固定したスナップリング73dに当接するリテーニングプレート73c及びドリブンプレート73bとハブ70との間のドライブプレート73aを押圧して動力伝達するよう構成される。符号72aはピストン72とドラム69との間を摺動可能でかつ液密的に保持するシールである。またピストン72の油圧室71と反対側にはピストン74を介してリテーナ75aが設けられ、ピストン72にはピストン74を介してリターンスプリング76の押圧力が付勢される。
【0030】
第2の多板クラッチ78について述べると、ドラム69を第1の多板クラッチ68と共用し、ハブ79がダブルピニオン式プラネタリギヤ55のキャリヤ60に結合する。こうして第2の多板クラッチ78はプライマリドリブンギヤ29とキャリヤ60との間にバイパスして動力伝達可能に介設される。そして油圧室80の油圧でピストン74を介してピストン72に固定したスナップリング81dに当接するリテーニングプレート81c及びドリブンプレート81bとハブ79との間のドライブプレート81aを押圧して動力伝達するように構成される。符号74aはピストン72とピストン74との間及びピストン74とドラム69との間を摺動可能でかつ液密的に保持するシールである。前記同様油圧室80に発生する遠心油圧は、バランス油圧室75の油圧によって相殺され、ピストン74にはリターンスプリング76の押圧力が付勢される。
【0031】
ダブルピニオン式プラネタリギヤ55に対して入力切換手段67と反対側には、ボールベアリング82aを介して回転自在にトランスミッションケース6の第3のケース3に軸支され、かつニードルベアリング82bを介してフロントドライブ軸51に回転自在にトランスファドライブギヤ82が軸支され、リヤドライブ軸52のトランスファドリブンギヤ52aが動力伝達可能に噛合している。
【0032】
ダブルピニオン式プラネタリギヤ55とトランスファドライブギヤ82との間にはダブルピニオン式プラネタリギヤ55のキャリヤ60からの出力をトランスファドライブギヤ82に選択的に動力伝達する第3の摩擦係合要素となる第3の多板クラッチ84が設けられる。
【0033】
第3の多板クラッチ84は、ドラム85がトランスファドライブギヤ82にスプライン結合し、ハブ86がダブルピニオン式プラネタリギヤ55のキャリヤ60に結合する。こうして第3の多板クラッチ84はキャリヤ60とトランスファドライブギヤ82との間にバイパスして動力伝達可能に介設される。そして油圧室87の油圧でピストン88を介してドラム85内に固定したスナップリング89dに当接するリテーニングプレート89c及びドリブンプレート89bとハブ86との間のドライブプレート89aを押圧して動力伝達するよう構成される。ピストン88の油圧室87と反対側にはリテーナ90により油圧室87に発生する遠心力油圧を相殺するバランス油圧室91が設けられ、ピストン88によりリターンスプリング92の圧力が付勢される。
【0034】
フロントドライブ軸51の後端部とトランスファドライブギヤ82との間にはフロントドライブ軸51とトランスファドライブギヤ82とを選択的に動力伝達する第4の摩擦係合要素となる第4の多板クラッチ93が配設される。
【0035】
第4の多板クラッチ93はドラム94がフロントドライブ軸51のスプライン51cにスプライン結合し、ハブ95がトランスファドライブギヤ82に結合してフロントドライブ軸51とトランスファドライブギヤ82との間に動力伝達可能に介設される。そして油圧室96の油圧でピストン97を介してドラム94内に固定したスナップリング98dに当接するリテーニングプレート98c及びドリブンプレート98bとハブ95との間のドライブプレート98aを押圧して動力伝達するよう構成され、かつリテーナ99により油圧室96による遠心力油圧を相殺するバランス油圧室100が設けられ、ピストン97にはリターンスプリング101の圧力が付勢される。
【0036】
トランスミッションケース6の第3のケース3とダブルピニオン式プラネタリギヤ55のリングギヤ57との間には選択的にトランスミッションケース6に係止してリングギヤ57を固定するための第5の摩擦係合要素となる第5の多板クラッチ102が配設される。
【0037】
第5の多板クラッチ102は、油圧室103の油圧でピストン104を介してトランスミッションケース6内に固定したスナップリング105dに当接するリテーニングプレート105c及びドリブンレート105bとリングギヤ57に設けられたハブ70との間のドライブプレート105aを押圧してリングギヤ57をトランスミッションケース6に係止固定するよう構成され、かつピストン104にはリターンスプリング106の押圧力が付勢される。
【0038】
トランスミッションケース6の下部に設けられるオイルパン109内には、オイルポンプ16からの油圧を車速センサ41、スロットルセンサ42、シフトスイッチ43、前輪回転数センサ44、後輪回転数センサ45、舵角センサ46等からの信号に基づく油圧制御回路47によって制御され、上記入力切換手段67、第3、第4、第5の多板クラッチ84、93、102の各油圧室71、80、87、96、103及び無段変速機20に選択的に切換供給するためのコントロールバルブ110が設けられている。
【0039】
次にこのように構成された4輪駆動車用駆動装置の作用を図7乃至図11に示す概略説明図及び図12に示す各走行レンジにおける第1、第2、第3、第4、第5の各多板クラッチ68、78、84、93、102の連結状態を示す摩擦係合要素作動説明図に従って説明する。この一覧表において◯印は、対応する多板クラッチが係合或いは作動していることを示し、(◯)は後述する必要に応じて係合或いは作動していることを示している。
【0040】
先ずエンジン10の動力は、クランク軸11からトルクコンバータ13を介して無段変速機20のプライマリ軸21に入力する。そしてプライマリ軸21、プライマリプーリ23、駆動ベルト25及びセカンダリプーリ24により変速してセカンダリ軸22に出力する。セカンダリ軸22からの変速出力は、プライマリリダクションギヤ28、プライマリドリブンギヤ29によって減速されてドラム69を介して第1の多板クラッチ68及び第2の多板クラッチ78へ入力される。ここでニュートラル(N)、パーキング(P)レンジでは第1及び第2の多板クラッチ68、78は解放されて動力伝達遮断状態となり、これ以降の動力伝達はしなくなる。
【0041】
前進段となるドライブ(D)レンジでは、第1の多板クラッチ68及び第3の多板クラッチ84が係合し、図7に動力伝達状態を太線で示すようになる。すなわち油圧室71へコントロールバルブ110から油圧が供給され、ピストン72を介してドラム69内に固定したスナップリング73dに当接するリテーニングプレート73c、ドリブンプレート73b及びドライブプレート73aを押圧し、係合した第1の多板クラッチ68によりプライマリドリブンギヤ29からダブルピニオン式プラネタリギヤ55のリングギヤ57に動力伝達するとともに、油圧室87へ供給される油圧によりピストン88を介して第3の多板クラッチ84のリテーニングプレート89c、ドリブンプレート89b及びドライブプレート89aを押圧して係合する第3の多板クラッチ84によりダブルピニオン式プラネタリギヤ55のキャリヤ60とトランスファドライブギヤ82とを動力伝達可能に連結する。
【0042】
従って、ダブルピニオン式プラネタリギヤ55は図8に示すように入力側のリングギヤ57が第1のピニオン58に噛合い、第1のピニオン58に噛合う第2のピニオン59がサンギヤ56に噛合いサンギヤ56及びキャリヤ60をリングギヤ57と同一方向に回転させてサンギヤ56とキャリヤ60とに所定の配分比でトルクが伝達しながら差動回転するように構成され、サンギヤ56とスプライン結合するフロントドライブ軸51及びキャリヤ60に動力伝達可能に結合するトランスファドライブギヤ82とをリングギヤ57と同一方向に回転せしめ、トランスファドライブギヤ82に噛合うトランスファドリブンギヤ52aに出力してリヤドライブ軸52をリングギヤ57と逆方向に回転駆動する。そしてトルク伝達時に第1及び第2のピニオン58、59の自転と公転とによりサンギヤ56とキャリア60との回転差を吸収する所謂センタディファレンシャル装置として機能する。
【0043】
ここで図8の略図を用いてダブルピニオン式プラネタリギヤ55のトルク配分について説明する。
【0044】
リングギヤ57の入力トルクをTi、サンギヤ56によるフロント側トルクをTF、キャリヤ60によるリヤ側トルクをTR、サンギヤ56の歯数をZS、リングギヤ57の歯数をZRとすると、
Ti=TF+TR
TF:TR=ZS:(ZR−ZS)
が成立する。このことからサンギヤ56の歯数ZSとリングギヤ57の歯数ZRとを適切に設定することでフロント側トルクTF及びリヤ側トルクTRの基準トルク配分を自由に設定し得ることがわかる。
【0045】
ここでZS=37、ZR=82にすると、
TF:TR=37:(82−37)
になる。従って前後輪トルク配分率は
TF:TR≒45:55
になり、前輪に略45%、後輪に略55%各々配分され充分に後輪偏重の基準トルク配分に設定し得る。
【0046】
一方第4の多板クラッチ93は油圧室96の油圧でピストン97を介してスナップリング98d、リテーニングプレート98c、ドリブンプレート98b及びドライブプレート98aを押圧してクラッチトルクTcを生じるように構成され、制御回路48によって制御されるコントロールバルブ110からの油圧によってクラッチトルクTcを可変制御する。
【0047】
ここで、前輪回転数センサ44及び後輪回転数センサ45により検出された前輪回転数NF、後輪回転数NRは、制御回路47に入力されるが滑り易い路面走行時にはTF<TRの後輪偏重の基準トルク配分で常に後輪が先にスリップすることから、スリップ率S=NF/NR(S>O)に算出される。このスリップ率Sと舵角センサ46から制御回路に入力される舵角ψとは制御回路48の図9に示すマップからクラッチ圧Pcを検索する。ここでS≧1のノンスリップではクラッチ圧Pcは低い値に設定されてあり、S<1のスリップ状態でスリップ率の減少に応じてクラッチ圧Pcを増大し、スリップ率Sが設定値S1 以下になるとPmax に定める。このクラッチ圧Pcにライン圧が調圧され第4の多板ラッチ93のクラッチトルクTcを可変制御する。
【0048】
従って第4の多板クラッチ93によってサンギヤ56からフロントドライブ軸51、トランスファドライブギヤ82を介してサンギヤ56に至るバイパス系111が各別に構成される。このバイパス系111では、後輪がスリップすると、トランスファユニット50内で後輪回転数NR>リングギヤ57の回転数>前輪回転数NFの差動機能が成立し、クラッチトルクTcに応じてフロントドライブ軸51は、トランスファドライブギヤ82から第4の多板クラッチ93を介しフロントドライブ軸51にトルクがTcだけ増加して伝達し、更にトランスファドライブギヤ82に噛合うトランスファドリブンギヤ52aには前輪に流れたクラッチトルクTc分を減じたトルクが入力してリヤドライブ軸52にもトルクが伝達するものであり、この結果、前後輪トルクTF、TRは以下のようになる。
TF=0.45Ti+Tc
TR=0.55Ti−Tc
【0049】
従ってノンスリップ状態では、クラッチトルクTcが零のためTF:TR=45:55の後輪偏重にトルク配分され、後輪スリップ発生時にクラッチトルクTcが生じると、このクラッチトルクTcに応じてクラッチトルクTcが大きい程バイパス系111を経由して入力トルクTiが前輪側に流れ、図9に示すようTF:TR=TF1 :TR1 に変化して前輪トルクが積極的に増大制御され、後輪トルクは減じてスリップを生じなくなり走破性も良好になる。そして上述のスリップSが設定値以下になると、第4の多板クラッチ93の油圧と共に差動制限トルクが最大になってサンギヤ56とキャリヤ60とを直結する。このためトランスファユニット50はディファレンシャルロックされ、前後輪の軸重配分に相当したトルク配分の直結式4輪駆動走行になり走破性が最大に発揮される。
【0050】
一方前輪がスリップすると、トランスファユニット50内で後輪回転数NR<リングギヤ57の回転数<前輪回転数NFの差動機能が成立し、クラッチトルクTcに応じてフロントドライブ軸51からトランスファドライブギヤ82にトルクが伝達し、かつフロントドライブ軸51から前輪には後輪に流れたクラッチトルクTc分を減じたトルクが伝達するものであり、この結果前後輪トルクTF、TRは以下のようになる。
TF=0.45Ti−Tc
TR=0.55Ti+Tc
【0051】
従ってノンスリップ状態では、クラッチトルクTcが零のためTF:TR=45:55の後輪偏重にトルク配分され、前輪スリップ発生時にクラッチトルクTcが生じると、このクラッチトルクTcに応じて入力トルクTiが後輪側に流れて後輪トルクが積極的に増大制御され、前輪トルクは減じてスリップを生じなくなり走破性も良好になる。またスリップ率が設定値以下になると、第4の多板クラッチ53の油圧と共に差動制限トルクが最大になってサンギヤ56とキャリヤ70が直結するため、前後輪の軸重配分に相当したトルク配分の直結式4輪駆動走行になり走破性が充分に発揮される。こうしてスリップ状態に応じ、それを回避すべく幅広く前後輪へのトルクが制御される。
【0052】
また、上述のスリップの発生に伴うトルク配分制御において旋回する場合にはその舵角ψにより第4の多板クラッチ53の差動制限トルクが減少補正される。このためトランスファユニット50の差動制限は減じて回転数差を充分に吸収することが可能になり、タイトコーナーブレーキング現象が回避され、操縦性が良好に確保される。
【0053】
後退段となるリバース(R)レンジでは、第1の多板クラッチ68及び第3の多板クラッチ84が解放され、第2の多板クラッチ78、第4の多板クラッチ93及び第5の多板クラッチ102が係合して図10に示す動力伝達状態を太線で示すようになる。すなわち油圧室へコントロールバルブ110から油圧を供給してピストン74を介してスナップリング81d、リテーニングプレート81c、ドリブンプレート81b及びドライブプレート81aを押圧して第2の多板クラッチ78を係合してプライマリドリブンギヤ29からダブルピニオン式プラネタリギヤ55のキャリヤ60に動力伝達するとともに、油圧室103へ供給する油圧によりピストン104を介してスナップリング105d、リテーニングプレート105c、ドライブプレート105a、ドリブンプレート105bを押圧して係合する第5の多板クラッチ102によりリングギヤ57をトランスミッションケース6に係止固定する。そしてピストン97を介してスナップリング98d、リテーニングプレート98c、ドリブンプレート98b及びドライブプレート98aを押圧して第4の多板クラッチ93によりフロントドライブ軸51からトランスファドライブギヤ82に動力伝達可能にする。
【0054】
従って、ダブルピニオン式プラネタリギヤ55は図11に示すように入力側のキャリヤ60の回転により互に噛合した第1及び第2のピニオン58、59は互に逆回転しつつリングギヤ57に沿って回転してサンギヤ56をキャリヤ60と逆方向に回転してフロントドライブ軸51を入力側に対して逆方向に回転せしめ、かつフロントドライブ軸51は第4の多板クラッチ93を介してトランスファドライブギヤ82に動力伝達し、リヤドライブ軸52をフロントドライブ軸51と逆方向に回転駆動する。
【0055】
従って、プライマリドリブンギヤ29からの入力は、ダブルピニオン式プラネタリギヤ55のリングギヤ57を第5の多板クラッチ102によってトランスミッションケース6に係止することによりドライブ(D)レンジ状態と逆方向にフロントドライブ軸51及びリヤドライブ軸52に出力され、このダブルピニオン式プラネタリギヤ55は前後進切換機能を有する。
【0056】
この場合、キャリヤ60の入力に対するフロントドライブ軸51及びリヤドライブ52に出力される変速比は次式で設定される。
【0057】
変速比=[ZS+(−ZR)]/ZS
ここで前記同様ZS=37、ZR=82にすると、
変速比=[37+(−82)]/37=−1.216
となり、リバース(R)レンジでの減速比が適切に確保される。
【0058】
一方、キャリヤ60に入力するトルクTiはクラッチTcに応じてトランスファドライブギヤ82に伝達し、前輪には後輪に伝達したクラッチトルクTc分を減じたトルクが入力され、この結果前後輪トルクTF、TRは以下のようになる。
Ti=TF+TR
TF=Ti−Tc
TR=Tc
【0059】
従って後輪スリップ発生時にクラッチトルクTcを減じることにより入力トルクTiを前輪側に流し、前輪トルクを積極的に増大制御し、後輪トルクを減じてスリップを生じなくして走破性を良好にし、かつ前輪スリップ時にはクラッチトルクTcを増大させることにより入力トルクTiを後輪側に流し、後輪トルクを積極的に増大制御して前輪トルクを減じてスリップを生じなくして走破性を良好にする。またスリップ率が設定値以下になると、第4の多板クラッチ93の油圧と共に差動制限トルクTcを最大にしてフロントドライブ軸51とトランスファドライブギヤ82を直結にして前後輪の軸重配分に相当したトルク配分の直結式4輪駆動走行にして走破性が最大に発揮される。更に旋回する場合には、その舵角ψにより第4の多板クラッチ93の差動制限トルクが減少され、回転数差を充分に吸収することが可能になり、タイトコーナーブレーキング現象が回避され、操縦性が良好になる。
【0060】
従って、以上説明した本実施の形態では、ベルト式無段変速機20の出力側に伝動構成したフロントディファレンシャル装置30或いはリヤディファレンシャル装置58に各々動力伝達するフロントドライブ軸51及びリヤドライブ軸52を縦置きエンジン10のクランク軸11に対して平行配置し、フロントドライブ軸51にサンギヤ56が結合するダブルピニオン式プラネタリギヤ55を設け、無段変速機20からの出力をリングギヤ57に伝達する第1の多板クラッチ68、キャリヤ60に伝達する第2の多板クラッチ78、キャリヤ60とトランスファドライブギヤ82とを動力伝達可能に連結する第3の多板クラッチ84、フロントドライブ軸51とリヤドライブ軸52とを動力伝達可能に連結する第4の多板クラッチ93及びリングギヤ57を係止する第5の多板クラッチ102を設け、これら第1、第2、第3、第4及び第5の各多板クラッチ68、78、84、93、102を選択的に制御することにより前進段であるドライブ(D)レンジ及び後退段であるリバース(R)レンジではフロントドライブ軸51及びリヤドライブ軸52へ適切なトルク配分及び差動制限を可能にするセンターディファレンシャル装置として機能して良好な走行性が得られ、かつドライブ(D)レンジ、リバース(R)レンジへの切換時の前後進切換装置として機能する。
【0061】
よって従来センターディファレンシャル装置用及び前後進切換装置用として各単独機能する各々専用のダブルピニオン式プラネタリギヤを要したが、単一のダブルピニオン式プラネタリギヤによって両機能が達成され、高性能を維持しつつ駆動装置の構成及び制御の簡素化及び軽量化が可能になり、コスト低減及びコンパクト化、特に全長が短縮され、このコンパクト化に伴い、車載状態において車室下方のトンネル内への突出量が極めて小或いはなくすることが可能になり車室内へ突出するトンネル断面積が大幅に削減され、かつトーボードと駆動装置との間が充分に離間し、車室内の居住空間が充分に確保されて居住性の向上がもたらされる。
【0062】
またトーボードと駆動装置との間、すなわちトーボードの前面空間の増大に伴って衝突時のクラッシュストロークが確保され、かつトランスミッション脱着時の作業空間として充分に有効活用できる。更にエンジンフードを下げるいわゆるスラントノーズ化が可能になる等車両設計の自由度が増大する。
【0063】
更にトルクコンバータ13に代えて発進クラッチとして電磁クラッチや湿式クラッチを用いることも可能であり、この場合ニュートラル(N)、パーキング(P)レンジにおいてベルト式無段変速機20のプライマリ軸21への入力を遮断して無段変速機20以降の動力伝達はなくなる。
【0064】
更に本実施の形態における4輪駆動装置にあっては、図13に示すように第1、第2、第4の各多板クラッチ68、78、93及びトランスファドライブギヤ82、リヤドライブギヤ52等の後輪駆動部を廃止し、変更した連結部材120によりダブルピニオン式プラネタリギヤ55のキャリヤ60に直接入力し、かつ第3の多板クラッチ84のドラム85とフロントドライブ軸51のスプライン51cとをフロントドライブ軸51に回転自在に嵌合する中空軸121により連結するとともに第4のケース4を2輪駆動用の第6のケース122に変更することにより2輪駆動車用駆動装置に容易に変更し得る。なお123はパーキングギヤである。
【0065】
この2輪駆動車用駆動装置への変更にあたり、図4と対応する部分に同一符号を付けることで詳細な説明は省略するが、上記した連結部材120、中空軸121、第6のケース122以外の多くの部品は4輪駆動車用駆動装置との共用化が得られる。
【0066】
このように形成された2輪駆動車用駆動装置は、前進段となるドライブ(D)レンジにおいて第3の多板クラッチ84が係合し、図14に動力伝達状態を太線で示すようになる。すなわち油圧室87へ油圧を供給し、ピストン85を介してスナップリング89d、リテーニングクラッチ89c、ドリブンプレート89b及びドライブプレート89aを押圧して第3の多板クラッチ84を係合することにより、プライマリドリブンギヤ29からの入力はダブルピニオン式プラネタリギヤ55のキャリヤ60、第3の多板クラッチ84を介して動力伝達され、プライマリドリブンギヤ29と同方向に回転駆動する。
【0067】
一方後退段となるリバース(R)レンジでは第3の多板クラッチ84の係合を解除し、油圧室103に油圧を供給して第5の多板クラッチ102によりダブルピニオン式プラネタリギヤ55のリングギヤ57をトランスミッションケース6に係止することにより図15に動力伝達状態を太線で示すようにする。これによりプライマリドリブンギヤ29からダブルピニオン式プラネタリギヤ55のキャリヤ60ヘ入力によるキャリヤ60の回転により互に噛合した第1及び第2のピニオン58、59は互に逆回転しつつリングギヤ57に沿って回転してサンギヤをキャリヤと逆方向に回転してフロントドライブ軸51を入力側に対して逆方向に回転駆動する。
【0068】
この場合キャリヤ60の入力に対するフロントドライブ軸51に出力される変速比は前記同様次式で設定される。
【0069】
変速比=[ZS+(−ZR)]/ZS
ここでZS=37、ZR=82であることから、
変速比=[37+(−82)]/37=−1.216
となり、リバース(R)レンジでの減速比が適切に確保される。
【0070】
従ってダブルピニオン式プラネタリギヤ55及び第3及び第5の多板クラッチ102を主要部とする前後進切換装置が構成される。
【0071】
【発明の効果】
以上説明した本発明の4輪駆動車用駆動装置によれば、縦置きエンジンのクランク軸に対して一方及び他方のディファレンシャル装置に各々動力伝達する第1及び第2のドライブ軸を平行配置し、エンジン側からの入力を単一のダブルピニオン式プラネタリギヤにより選択的に動力配分及び前後進切換して第1及び第2のドライブ軸に動力伝達することから単一のダブルピニオン式プラネタリギヤによってセンターディファレンシャル装置及び前後進切換装置としての両機能が達成され、高性能を維持しつつ駆動装置の構成及び制御の簡素化、軽量化、コンパクト化が得られ、コンパクト化に伴い車載状態において車室下方のトンネル内への突出量の削減によるトンネル断面積の削減が可能で車室内の居住空間が確保され居住性の向上がもたらされる。また衝突時のクラッシュストローク及び組立て、整備等の作業空間を確保しつつ、従来のエンジンルームにも搭載可能である等本発明特有の効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による4輪駆動車用駆動装置の一実施の形態の概要を説明する駆動系を示す図である。
【図2】本実施の形態に用いるフロントディファレンシャル装置を説明する要部断面図である。
【図3】同じく、フロントディファレンシャル装置とベルト式無段変速機の配置状態を説明する要部斜視図である。
【図4】同じく、4輪駆動車用駆動装置を説明する断面図である。
【図5】同じく、図4に示す断面図の要部拡大図である。
【図6】同じく、図4における矢視A方向から見た要部配置説明図である。
【図7】同じく、作用を示す概略説明図である。
【図8】同じく、作用を示す概略説明図である。
【図9】同じく、作用を示す概略説明図である。
【図10】同じく、作用を示す概略説明図である。
【図11】同じく、作用を示す概略説明図である。
【図12】同じく、作用を示す摩擦係合要素作動説明図である。
【図13】同じく、本発明の4輪駆動車用駆動装置を2輪駆動車用駆動装置への転用を説明する図である。
【図14】図13に示す2輪駆動車用駆動装置の作用を示す概略説明図である。
【図15】同じく、2輪駆動車用駆動装置の作用を示す概略説明図である。
【符号の説明】
10 エンジン
11 クランク軸
20 ベルト式無段変速機
21 プライマリ軸
22 セカンダリ軸
23 プライマリプーリ
24 セカンダリプーリ
25 駆動ベルト
30 フロントディファレンシャル装置
38 リヤディファレンシャル装置
51 フロントドライブ軸
52 リヤドライブ軸
55 ダブルピニオン式プラネタリギヤ
56 サンギヤ
57 リングギヤ
58 第1のピニオン
59 第2のピニオン
60 キャリヤ
67 入力切換手段
68 第1の多板クラッチ
78 第2の多板クラッチ
84 第3の多板クラッチ
93 第4の多板クラッチ
102 第5の多板クラッチ[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a drive device for a four-wheel drive vehicle used for a vertical engine.
[0002]
[Prior art]
2. Description of the Related Art Conventionally, as a driving device for a four-wheel drive vehicle with a continuously variable transmission in which an engine is arranged vertically, there is a prior art in Japanese Patent Laid-Open No. 2-150539. In this prior art, an engine, a torque converter, a forward / reverse switching device including a set of double pinion type planetary gears and a belt type continuously variable transmission are provided coaxially in the vehicle longitudinal direction, and a secondary shaft of the continuously variable transmission is provided. A reduction gear provided with another double pinion type planetary gear at the rear is provided coaxially, and from this reduction gear to the rear differential, and forward of the secondary shaft of the continuously variable transmission to the front differential through the reduction means to the front differential. The respective transmission arrangements are shown.
[0003]
[Problems to be solved by the invention]
However, in the above-mentioned prior art, an engine arranged vertically is provided with a torque converter, a forward / reverse switching device, and a belt-type continuously variable transmission coaxially with a crankshaft of the engine. Since the reduction gear is provided at the rear of the continuously variable transmission and the transmission case is integrally formed, the drive unit, especially the full length of the transmission case and the rear end of the secondary pulley, protrude and become longer in the front-rear direction. The rear portion of the large transmission case is accommodated and installed in the engine room in a state where the rear portion of the large transmission case projects greatly into a tunnel formed in the lower part of the vehicle compartment. With the transmission case overhanging, the tunnel greatly extends into the vehicle interior, and the toeboard that separates the engine room and the vehicle interior is pushed to the vehicle interior side, limiting the living space in the vehicle interior and affecting the livability. The transmission case and the toe board are arranged close to each other, and trying to secure a sufficient crash stroke at the time of a frontal collision further affects the livability, and it is difficult to obtain the working space in the engine room, Smooth work may be hindered.
[0004]
On the other hand, since the double-pinion type planetary gears are separately provided for the forward / reverse switching device and the speed reducer, the structure and the control device for controlling them are complicated, resulting in an increase in cost.
[0005]
In addition, it is desirable to have in-vehicle compatibility with belt-type continuously variable transmissions, manual transmissions (manual transmissions, MTs), automatic transmissions (automatic transmissions, ATs) and the like in the same shape of engine room structure. If the overall length and the outer circumference of the transmission case, that is, the so-called waistline, are made substantially the same as those of the manual transmission that can be designed to be relatively compact, the support member mounted on the vehicle and the exhaust system can be shared.
[0006]
Therefore, an object of the present invention is to shorten the drive unit, particularly the transmission case in the front-rear direction of the vehicle body, and to mount the drive unit in a conventional engine room while securing a sufficient living space and a work space for a crash stroke, when attaching and detaching the transmission. In addition, it is an object of the present invention to provide a drive device for a four-wheel drive vehicle in which the structure and the control device can be simplified.
[0007]
[Means for Solving the Problems]
A drive device for a four-wheel drive vehicle according to the present invention that achieves the above objects, A vertical engine, a transmission to which an output from the engine is input, and first and second power transmission units that are arranged in parallel with the crankshaft of the engine and transmit power to one differential device and the other differential device, respectively. A drive shaft, a double pinion type planetary gear, input switching means for selectively transmitting power from a transmission to a ring gear and a carrier of the planetary gear, and an output from a sun gear of the planetary gear to a first drive shaft. Means for transmitting power, a third frictional engagement element for selectively transmitting power from the carrier of the planetary gear to a second drive shaft, and selecting between a first drive shaft and a second drive shaft. Fourth frictional engagement element for selectively transmitting power, and a fifth frictional engagement element for selectively locking the rotation of the ring gear of the planetary gear. A frictional engagement element, and selectively operating the input switching means and the frictional engagement elements to switch the input from the transmission to the power distribution and forward / reverse at a predetermined ratio via the planetary gear. Power is transmitted to the first and second drive shafts. Things.
[0009]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, embodiments of the present invention will be described with reference to the drawings.
[0010]
In FIG. 1, a drive system of a drive device for a four-wheel drive vehicle with a belt-type continuously variable transmission will be described as a drive device for a four-wheel drive vehicle to which the present invention is applied. A
[0011]
[0012]
In the continuously
[0013]
The
[0014]
As shown in a sectional view of a main part of FIG. 2 and a perspective view of a main part in which the transmission case 6 is omitted in FIG. 2, the front
[0015]
On the other hand, a pair of
[0016]
A
An
[0017]
Next, the
[0018]
The
[0019]
The
[0020]
Further, by arranging the
[0021]
A
[0022]
A spline 51b meshing with the
[0023]
Further, the inner race of the tapered
[0024]
On the other hand, a transfer driven
[0025]
The double pinion type
[0026]
The double pinion type
[0027]
The fixed
[0028]
A primary driven
[0029]
Describing the first multi-plate clutch 68, a
[0030]
Referring to the second multi-plate clutch 78, the
[0031]
On the side opposite to the input switching means 67 with respect to the double pinion type
[0032]
A third friction engagement element between the double pinion type
[0033]
In the third multi-plate clutch 84, the
[0034]
A fourth multi-plate clutch serving as a fourth friction engagement element for selectively transmitting power between the
[0035]
In the fourth multi-plate clutch 93, the
[0036]
Between the
[0037]
The fifth
[0038]
Oil pressure from the
[0039]
Next, the operation of the thus configured four-wheel drive vehicle driving device will be described with reference to the schematic explanatory diagrams shown in FIGS. 7 to 11 and the first, second, third, fourth, and fourth driving ranges shown in FIG. A description will be given with reference to FIG. In this list, the symbol ◯ indicates that the corresponding multiple disc clutch is engaged or operating, and (◯) indicates that it is engaged or operating as necessary, which will be described later.
[0040]
First, the power of the
[0041]
In the drive (D) range, which is the forward gear, the first multi-plate clutch 68 and the third multi-plate clutch 84 are engaged, and the power transmission state is shown by a thick line in FIG. That is, hydraulic pressure is supplied from the
[0042]
Therefore, as shown in FIG. 8, the double pinion type
[0043]
Here, the torque distribution of the double pinion type
[0044]
Assuming that the input torque of the
Ti = TF + TR
TF: TR = ZS: (ZR-ZS)
Holds. This indicates that the reference torque distribution of the front torque TF and the rear torque TR can be freely set by appropriately setting the number of teeth ZS of the
[0045]
Here, if ZS = 37 and ZR = 82,
TF: TR = 37: (82-37)
become. Therefore, the front and rear wheel torque distribution rate is
TF: TR $ 45: 55
Approximately 45% is distributed to the front wheels and approximately 55% to the rear wheels, so that it is possible to sufficiently set the reference torque distribution for rear wheel bias.
[0046]
On the other hand, the fourth multi-plate clutch 93 is configured to generate a clutch torque Tc by pressing the
[0047]
Here, the front wheel rotation speed NF and the rear wheel rotation speed NR detected by the front wheel rotation speed sensor 44 and the rear wheel
[0048]
Accordingly, the
TF = 0.45Ti + Tc
TR = 0.55Ti-Tc
[0049]
Accordingly, in the non-slip state, since the clutch torque Tc is zero, the torque is distributed to TF: TR = 45: 55 rear wheel bias, and when the clutch torque Tc is generated when the rear wheel slips, the clutch torque Tc is determined according to the clutch torque Tc. Is larger, the input torque Ti flows toward the front wheels via the
[0050]
On the other hand, when the front wheels slip, a differential function of rear wheel rotation speed NR <rotation speed of
TF = 0.45Ti-Tc
TR = 0.55Ti + Tc
[0051]
Therefore, in the non-slip state, since the clutch torque Tc is zero, the torque is distributed to TF: TR = 45: 55 rear wheel bias, and when the clutch torque Tc occurs when the front wheel slips, the input torque Ti is changed according to the clutch torque Tc. By flowing to the rear wheel side, the rear wheel torque is positively controlled to increase, the front wheel torque is reduced, no slip occurs, and the running performance is improved. When the slip ratio is equal to or less than the set value, the differential limiting torque is maximized together with the hydraulic pressure of the fourth multi-plate clutch 53, and the
[0052]
When the vehicle turns in the torque distribution control associated with the occurrence of the slip, the differential limiting torque of the fourth multiple disc clutch 53 is corrected to be reduced by the steering angle ψ. For this reason, the differential limitation of the
[0053]
In the reverse (R) range for the reverse gear, the first multi-plate clutch 68 and the third multi-plate clutch 84 are released, and the second multi-plate clutch 78, the fourth multi-plate clutch 93 and the fifth multi-plate clutch 93 are disengaged. When the
[0054]
Accordingly, as shown in FIG. 11, the double pinion type
[0055]
Therefore, the input from the primary driven
[0056]
In this case, the gear ratio output to the
[0057]
Gear ratio = [ZS + (− ZR)] / ZS
Here, if ZS = 37 and ZR = 82 as described above,
Gear ratio = [37 + (− 82)] / 37 = −1.216
Thus, the reduction ratio in the reverse (R) range is appropriately secured.
[0058]
On the other hand, the torque Ti input to the
Ti = TF + TR
TF = Ti-Tc
TR = Tc
[0059]
Therefore, when the rear wheel slips, the clutch torque Tc is reduced to flow the input torque Ti to the front wheel side, the front wheel torque is positively controlled to increase, the rear wheel torque is reduced to prevent the occurrence of slip, and the running performance is improved, and At the time of front wheel slip, the input torque Ti is caused to flow to the rear wheel by increasing the clutch torque Tc, and the rear wheel torque is actively controlled to reduce the front wheel torque so that no slip occurs and the running performance is improved. When the slip ratio becomes equal to or less than the set value, the differential limiting torque Tc is maximized together with the hydraulic pressure of the fourth multi-plate clutch 93 to directly connect the
[0060]
Therefore, in the present embodiment described above, the
[0061]
Therefore, conventional dedicated double pinion type planetary gears, each functioning independently for the center differential device and the forward / reverse switching device, were required.But, both functions were achieved by a single double pinion type planetary gear, and the drive was performed while maintaining high performance. The structure and control of the device can be simplified and lightened, and the cost and size can be reduced, especially the overall length. With this reduction in size, the amount of protrusion into the tunnel below the passenger compartment in the vehicle-mounted state is extremely small. The tunnel cross-section that protrudes into the cabin is greatly reduced, and the toeboard and the driving device are sufficiently separated from each other, so that the interior space of the cabin is sufficiently secured and the Improvements are brought.
[0062]
In addition, a crash stroke at the time of a collision is secured between the toe board and the drive device, that is, as the front space of the toe board increases, and the work space can be sufficiently used effectively when the transmission is detached. Further, the degree of freedom in vehicle design is increased, for example, so-called slant nose can be achieved by lowering the engine hood.
[0063]
Further, an electromagnetic clutch or a wet clutch can be used as the starting clutch instead of the
[0064]
Further, in the four-wheel drive device according to the present embodiment, as shown in FIG. 13, first, second, and fourth
[0065]
In changing to this two-wheel drive vehicle drive device, the detailed description is omitted by attaching the same reference numerals to the portions corresponding to those in FIG. 4, except for the above-described connecting
[0066]
In the drive device for a two-wheel drive vehicle thus formed, the third multi-plate clutch 84 is engaged in the drive (D) range, which is the forward gear, and the power transmission state is shown by a thick line in FIG. . That is, by supplying hydraulic pressure to the
[0067]
On the other hand, in the reverse (R) range where the reverse gear is set, the engagement of the third multi-plate clutch 84 is released, the hydraulic pressure is supplied to the hydraulic chamber 103, and the
[0068]
In this case, the gear ratio output to the
[0069]
Gear ratio = [ZS + (− ZR)] / ZS
Here, since ZS = 37 and ZR = 82,
Gear ratio = [37 + (− 82)] / 37 = −1.216
Thus, the reduction ratio in the reverse (R) range is appropriately secured.
[0070]
Therefore, a forward / reverse switching device including the double pinion type
[0071]
【The invention's effect】
According to the drive device for a four-wheel drive vehicle of the present invention described above, the first and second drive shafts for transmitting power to one and the other differential devices with respect to the crankshaft of the vertically mounted engine are arranged in parallel. Power from the engine side is selectively switched by a single double pinion type planetary gear, and switching between forward and reverse hand Since power is transmitted to the first and second drive shafts, both functions as a center differential device and a forward / reverse switching device are achieved by a single double pinion type planetary gear, and the configuration and control of the drive device while maintaining high performance Simplification, weight reduction, and compactness of the vehicle, and with the downsizing, it is possible to reduce the cross-sectional area of the tunnel by reducing the amount of protrusion into the tunnel below the cabin in the on-vehicle state, and secure the living space in the cabin. This leads to improved performance. Further, the present invention has an effect unique to the present invention, such as being able to be mounted in a conventional engine room while securing a work space for a crash stroke at the time of a collision and assembling and maintenance, and the like.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a diagram showing a drive system for explaining an outline of an embodiment of a drive device for a four-wheel drive vehicle according to the present invention.
FIG. 2 is a cross-sectional view of a main part explaining a front differential device used in the present embodiment.
FIG. 3 is a perspective view of an essential part for explaining an arrangement state of a front differential device and a belt-type continuously variable transmission.
FIG. 4 is a cross-sectional view illustrating a driving device for a four-wheel drive vehicle.
5 is an enlarged view of a main part of the cross-sectional view shown in FIG. 4;
FIG. 6 is an explanatory view of a main part arrangement similarly viewed from the arrow A direction in FIG. 4;
FIG. 7 is a schematic explanatory view showing the operation.
FIG. 8 is a schematic explanatory view showing the operation.
FIG. 9 is a schematic explanatory view showing the operation.
FIG. 10 is a schematic explanatory view showing the operation.
FIG. 11 is a schematic explanatory view showing the operation.
FIG. 12 is an explanatory view of the operation of the frictional engagement element showing the operation.
FIG. 13 is also a view for explaining the conversion of the four-wheel drive vehicle drive device of the present invention to a two-wheel drive vehicle drive device.
FIG. 14 is a schematic explanatory view showing the operation of the drive device for a two-wheel drive vehicle shown in FIG.
FIG. 15 is a schematic explanatory view showing the operation of the two-wheel drive vehicle driving device.
[Explanation of symbols]
10 Engine
11 Crankshaft
20 Belt-type continuously variable transmission
21 Primary axis
22 Secondary axis
23 Primary pulley
24 Secondary pulley
25 Drive belt
30 Front differential device
38 Rear differential device
51 Front drive shaft
52 Rear drive shaft
55 double pinion type planetary gear
56 Sun Gear
57 Ring gear
58 First Pinion
59 2nd pinion
60 carrier
67 Input switching means
68 First multiple disc clutch
78 Second multiple disc clutch
84 Third multi-plate clutch
93 Fourth multi-plate clutch
102 5th multi-plate clutch
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