JP3596707B2 - Displacement mirror device - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、干渉計や光共振器などにおいて光路長を電気的に変化させる目的で用いられる変位鏡装置に関し、特に圧電アクチュエータの一端に鏡を付着し、その圧電アクチュエータに印加する電圧によって鏡の位置を変える変位鏡装置に関する。本発明は、比較的に高速に光路長を変える際に、有限の質量を有する鏡の運動に不可避的に伴う振動を抑制することで、安定な光路長変化を実現可能にしたものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、この種の変位鏡装置を用いて光路長が高精度に制御された干渉計や光共振器の応用が隆盛してきている。例えば、測定用干渉系では、外乱に抗して光路長差が長時間一定に保たれれば、実質的測定時間が増し、ひいては精度・感度が向上する。このために、干渉信号を変位鏡装置に帰還して、光路長差を動的に安定化する。また、変位鏡装置をレーザ共振器に装着することで、波長の安定化、またはパルス発振の場合にはパルスの繰り返し周期の安定化が行われる。これらの場合、前者(波長の安定化)では、基準となるファブリ・ペロ共振器あるいはガス吸収セルに対し、後者(パルス発振)では高安定度発振器に対して、レーザ発振光を適当に比較することで誤差信号を得、それを変位鏡装置に帰還する。
【0003】
さらに最近では、波長変換機能を装備した外部の共振器内にレーザ光を入射し、効率良く波長変換を行う方式が盛んであり、この場合、レーザ光を外部共振器に蓄積し、最大の効率を得るためには元のレーザ共振器または外部共振器のいずれか一方に変位鏡装置を装備し、共振器の固有モード周波数の整合を動的にとることが必要である。より簡易に波長変換光のみを外部共振器に蓄積する場合でも、パルス光を用いる場合には、変位鏡装置を用いて共振器周回時間の整合をとることが必要である。特に、産業上重要とみられている高調波発生の場合には、連続光を用いる場合であっても共振器周波数安定化が不可避となる。
【0004】
変位鏡装置として、従来、圧電アクチュエータの一端面に鏡を付着し、他端をケースに固定した装置が用いられている。図5は、この従来例の変位鏡装置の構成を示す図であり、鏡の方位を調整するためのマウントに変位鏡装置を装着した状態を示す。
【0005】
この例において、変位鏡装置は、圧電変換素子からなる圧電アクチュエータ401、圧電アクチュエータ401の一端に固着した反射鏡402、圧電アクチュエータ401の他端を固定して支持するシリンダ状の外筒405とにより構成される。この変位鏡装置全体が装着されるマウントは、例えば、機器本体の床に固定されるマウント固定部420、マウント可動部421、鏡402の方位を調整するためのマウント調整ノブ422,423とを有する。
【0006】
ここで、適当な偏倚(バイアス)電圧に制御電圧を重畳して圧電アクチュエータ401に印加することにより、反射鏡402が外筒405に対し、その制御電圧に概ね比例して平行に変位する。反射鏡402にほぼ垂直に入射する光線の光路長は、その反射鏡402の変位量に相応して変化し、その結果、制御電圧により光路長を変化させる機能が実現される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の変位鏡装置には、以下の問題がある。
【0008】
反射鏡402は、必ず有限の質量を有するので、反射鏡402の変位を生ぜしむるために圧電アクチュエータ401が力を発生する際、ニュートンの第3法則により、必然的に外筒405側にも力が加わることとなる。急速に変化する制御電圧に応答して反射鏡401が変位する場合には、この外筒側に加わる力の変化も急速となり、その結果、外筒405に振動を誘発することとなる。この外筒405の振動は、さらに外筒405が接しているマウント(420〜423)に伝搬して行く。
【0009】
ここで当該マウントの振動に対する応答が問題となる。マウントは、鏡の方位を調整する機能を持たせるために、常に、図5に示した様に、マウント固定部420と、マウント可動部421の2つの部分から構成されており、マウント可動部421はマウント固定部421にスプリング(図示しない)で圧着されている。これらマウント固定部420とマウント可動部421との間隙の傾斜を、マウント調整ノブ422,423によって変化することで、外筒405と圧電アクチュエータ401を介して、鏡402の方位角と仰角を調整できるようになっている。マウント固定部402は上記のように床に固定されており、一方、変位鏡装置はマウント可動部421に装着される。
【0010】
まず、マウント固定部420とマウント可動部421の相互運動を無視して考察すると、変位鏡装置が装着されたマウントを、マウント可動部421と変位鏡装置の合計の質量を荷った倒立振り子と見做すことができる。鏡402の方位を調整する機能を持たせない場合、換言すると、マウント固定部420に直接変位鏡装置を固着した場合でも、この倒立振り子に対応する振動モードは常に残存する。
【0011】
実用上は、変位鏡装置が装備される光学系の初期調整、また、経年変化に対応した再調整のために、鏡402の方位を調整する余地を残すことが必要である。この場合、外筒405の上記振動モードに加えて、マウント固定部420とマウント可動部421のスプリングを介した相互運動に伴う振動モードが併存することとなる。
【0012】
図6に、マウントの共鳴特性を測定することにより、こうした振動モードを調べた例を示す。ここでは、マウント固定部420が固着されている床に振動を与えた時の、マウント上の鏡402の振れ幅の相対値(dB)を、与えた振動の周波数(Hz)の関数として示してある。図6中、25Hzと50Hzの振動のピークは、電源周波数に由来し、周辺の床振動を拾ったもので、マウントの共鳴特性に係るものではない。周波数が最低の共鳴ピークは、図6中の220Hzに現れている。これが、上記の倒立振り子としての振動モードに対応する。より高い共鳴周波数としては、700Hz,2.5kHz,4kHz,5kHzなどが明瞭に現れており、これらはマウント固定部420とマウント可動部421の相互運動に由来する振動モードである。
【0013】
前述したように、図5の従来例の変位鏡装置では、制御電圧変化に追随して反射鏡402が変位する場合、外筒405に振動が誘発され、この振動がマウントに伝播するので、その結果、図6で観測したようなマウントの共鳴振動が励起されるに至る。この共鳴振動により、変位鏡装置において、反射鏡変位の制御電圧に対する応答特性上に、複雑な起伏、いわゆるアバレが生ずる。
【0014】
図7は、従来例の変位鏡装置の応答特性を示す図であり、制御電圧として、正弦波電圧を、圧電アクチュエータ端で一定振幅となるように給電した際の、反射鏡変位の振幅(相対値)と位相角(度)を、その正弦波周波数(Hz)について示した。図7中、右端付近、8kHz周りに見られる振幅カーブ上のピークは、弾性体としての圧電アクチュエータに質量有限の反射鏡が付着されることで構成されるばね振り子としての共鳴である。この共鳴周波数f0 は、付着された質量m、圧電アクチュエータ材料のヤング率E、圧電アクチュエータの断面積Sおよび同長さlを用いて、
【0015】
【数1】
【0016】
と表すことができる。
【0017】
この振幅ピークをよぎって位相は180度回転する。この性質により、この変位鏡装置によって光路長の制御を行い得る周波数帯域の上限は、上記共鳴周波数f0 により限られる。何となれば、周波数f<f0 で負帰還がかかるように設定された制御系は、周波数fがf0 を越えると正帰還に転じてしまい不安定となるからである。従って、f0 での帰還利得が1を越えないように、周波数とともに利得が減る回路、典型的には積分器、または低域濾過器(ローパス・フィルタ)を制御系に含めることが一般に行われる。
【0018】
ここで、図7中で、f0 の共鳴以外にも、f<f0 の範囲に小さな共鳴特性が現れていることに注目されたい。これらは、反射鏡の変位に伴なう振動により、マウントの共鳴が励振された結果に他ならない。図6の振動モードに対応する周波数に共鳴特性が見られることにより、この解釈が裏付けられるであろう。
【0019】
このような余分な共鳴特性の出現は、制御系の設計を複雑にする。例えば、図7の場合には、倒立振り子としての220Hzの共鳴に、10度程度の位相の回転が付随している。もし、圧電アクチュエータの静電容量に対して駆動増幅器の出力インピーダンスが高い結果、既にこの周波数近傍で180度に近い位相の周りが制御系に存した場合、上の共鳴に伴う位相回転が一転して系を不安定化することともなりかねない。図7の場合、同様の懸念は、さらに2.5kHz,4kHz,5kHzなどの共鳴に伴ってある。しかも周波数が高いほど、静電容量負荷に由来する制御系の元々の位相の周りが大きいので、共鳴に伴なう位相の回転による不安定化の起きる危険は増すのである。
【0020】
こうした不安定化を避けるためには、位相回転が180度を越える可能性のある周波数の全てにおいて帰還利得を1未満に抑える方策を採ることが必要である。最も簡易な方法は、帰還利得を全周波数に亙って一様に減らすことであるが、これは制御系の性能自体の低下に通ずる。より良い方策としては、低域濾過器等を用いて問題となる共鳴周波数での帰還利得を減らすことが考えられるが、制御系の応答を犠牲にすることは免れない。根本的対策としては、図7のような詳細な応答特性を測定し、その逆特性の等価器を設計して制御系内に挿入することが考えられる。これは原理的には可能であるが、実用的とは言い難い。まず、マウントの共鳴特性は一般にマウントの仕様と認められていないので、現状では、カタログデータとして入手できず、また個体毎の偏差についても何ら保証されていない。また、共鳴特性は元来、フレームやスプリングの弾性体としての性質に由来する特性なので、温度変化や経年変化を蒙る可能性が多分にある。従って上記のような等価器は、その設計が容易でない上に、構築した等価器が逆特性を維持し続ける保証も無いのである。
【0021】
以上では、変位鏡装置を装着したマウントに考察の対象を限って来たが、実は問題をこのように局限化することは必ずしも許されない。なぜならば、変位鏡装置を用いる干渉計や光共振器は、一般に変位鏡装置以外にも鏡等の光学部品を含み、それらを保持するマウントにも上述と同様の共鳴特性がある。一旦変位鏡装置からマウントに伝播した振動は、床を伝わってこれらの他のマウントにも達し、それらの共鳴振動を誘起する可能性がある。現に、上の図6で、床を通じた励起によって、マウントの共鳴特性を測定していたことを想起されたい。振動が床を伝わってマウントに達し、その共鳴振動を誘起するからこそ、このような測定が行えるのである。そもそも変位鏡装置を用いる目的は、干渉計や光共振器の光路長の制御のためであり、この光路長は変位鏡以外の鏡等の光学部品の変位によっても当然変化する。従って、もし、図7のようにして、干渉計や光共振器の総体としての光路長の応答特性を測定したならば、変位鏡装置の振動の影響の及ぶ限りのマウントの共鳴特性が全て混在して現れて来るのである。これらを全て勘案して逆特性を与える等価器を設計・維持することは、全く非現実的と言わざるを得ない。
【0022】
変位鏡装置の振動がマウント、また床に伝わりにくくすれば、こうした問題を緩和できる。この着眼に立って、変位鏡装置を、振動遮断材料、例えば防振ゴム等を介して、マウントに装着することが考えられる。ところが、こうした材料は数kHz以上の周波数には有効であるものの、それ以下の低周波における効果は小さい。また、突発的あるいは経年的変形によって変位鏡装置の方位が変化してしまう危惧を増し、かえって変位鏡装置を用いる干渉計や光共振器の長期的安定性の低下を招く結果となることが避けられなかった。
【0023】
他方、変位鏡装置を用いる干渉計や光共振器を、剛性の高い構造とする対策もとられてきた。例えば、図5のマウント固定部420は底面のみで床に固着されているが、これを上面でも不動面に固着される構造に替えることで剛性を向上できる。しかし、こうした方法は、装置の長大化・高価格化を来たし、それゆえ、近年の光学機器の軽量・小型・低価格化の要請に逆行する。また剛性を増せば共鳴周波数は高周波側にシフトするが、共鳴現象自体が無くなるわけではなく、畢竟、問題の根本的解決とは言い難かったのである。
【0024】
以上述べたように、従来例の変位鏡装置には、不可避的に振動を惹起し、
(1)自身の応答特性にアバレを生じる結果、高速制御を阻み、また
(2)床を通じて伝播する振動により、光学系の他部分にも振動を誘発する、
という解決すべき課題があった。
【0025】
本発明は、本願発明者が見出した上述の課題を解決して、振動を惹起することが無く、安定な光路長変化を実現し、高速制御が可能な変位鏡装置を提供することを目的とする。
【0026】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明では、振動を惹起することが無く、安定な光路長変化を実現し、高速制御が可能な変位鏡装置を実現するため、比較的高速に光路長を変える際に、有限の質量を有する鏡の運動に不可避的に伴う振動を抑制できるようにした。
【0027】
具体的には、請求項1の本発明は、圧電アクチュエータの一端に鏡を付着し、上記圧電アクチュエータに印加する電圧によって上記鏡の位置を変える変位鏡装置において、残り端に重りを付着した上記圧電アクチュエータを、長手方向の1点において固定し、上記圧電アクチュエータの上記1点から上記鏡までの第1の部分と上記1点から上記重りまでの第2の部分をそれぞれ同一の電圧で駆動したときに生じる第1の部分の変位をΔLとし第2の部分の変位をΔL′としたときに、上記鏡の質量とΔLとの第1の積と、上記重りの質量とΔL′との第2の積を等しくした。
【0028】
請求項2の本発明は、上記圧電アクチュエータに上記鏡を付着する第1の器具と、上記圧電アクチュエータに上記重りを付着する第2の器具とを備え、上記鏡の質量に代えて上記鏡と上記第1の器具の質量の合計を、上記重りの質量に代えて上記重りと上記第2の器具の質量の合計を、上記第1及び第2の積の計算に用いた。
【0029】
請求項3の本発明は、上記圧電アクチュエータが、上記1点で接合された別個の圧電アクチュエータからなり、各圧電アクチュエータが個別に駆動されるようにした。
【0030】
請求項4の本発明は、上記1点において上記圧電アクチュエータを固定する支持枠と、この支持枠を介して上記圧電アクチュエータを保持する外筒と、この外筒を介して変位鏡装置全体が装着されるマウントとを有し、このマウントと上記外筒との結合点と上記支持枠が整列するように形成して、上記マウントによる保持面上に変位鏡装置の重心がほぼ乗るようにした。
【0031】
本発明では、上記のように、一端に反射鏡を付着した圧電アクチュエータの他端に重り(平衡質量)を付着し、この圧電アクチュエータを長手方向の一点(以下、固定点)において固定し、反射鏡の質量Mと固定点から反射鏡までの距離Lの積MLと、重りの質量M′と固定点から重りまでの距離L′の積M′L′を等しくしたので(ML=M′L′)、反射鏡に掛る力の反作用と重りに掛る力の反作用が、その固定点上で互いに打ち消し合い、結果として固定点あるいはこれを保持するマウントには力が加わらない結果、振動の誘発が防がれる。また、固定点に対して反射鏡側の圧電アクチュエータの部分と、同じく重り側の圧電アクチュエータの部分を別々の圧電アクチュエータによって構成することもできるが、この場合は、2つの圧電アクチュエータを並列に接続し、同一の制御電圧が給電されるように構成する。以上により、振動を惹起することが無く高速制御可能な変位鏡装置の実現が可能となる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0033】
図1は本発明の一実施形態の変位鏡装置の基本構成を示し、変位鏡装置を鏡の方位を調整するためのマウントに装着した状態を示す。
【0034】
この構成において、変位鏡装置は圧電アクチュエータ101、反射鏡102、平衡質量(重り)103、支持枠104、および外筒105により構成される。支持枠104は外筒105の内周面に固定している。この変位鏡装置全体が装着されるマウントは、例えば、マウント固定部120、マウント可動部121、鏡の方位を調整するためのマウント調整ノブ122,123を持つ。
【0035】
一端に反射鏡102を付着した圧電アクチュエータ101の他端に重りである平衡質量103を付着し、この圧電アクチュエータ101を長手方向の一点(以下、固定点)において支持枠104により固定し支持している。したがって、この場合は、その固定点は厳密には細い環状の面であり、支持面と称することもできる。図1では、典型的な構成として、反射鏡102の質量(重さ)と平衡質量103の質量とを同一にし、支持枠104の固定点から反射鏡102までの距離と平衡質量103までの距離とを同一にした場合を例示しているが、以下に述べる(5)式の条件を満たせば、本発明はこれに限らない。
【0036】
本発明の変位鏡装置において、反射鏡102の質量およびその圧電アクチュエータ101への付着に要する器具の質量の合計をM、圧電アクチュエータ101を支持する支持面(固定点)と反射鏡102の付着される端面間の距離をLとする。反射鏡102の変位ΔLに対する加速度d2 ΔL/dt2 (tは時間)に伴う反作用として、支持面には力
【0037】
【数2】
【0038】
が加わる。従来例の変位鏡装置が不可避的に振動を惹起したのは、まさにこの力が存在するためであった。
【0039】
そこで、本発明の変位鏡装置では、支持面に対し反対側に、距離L′分の圧電アクチュエータ101を設置し、その端面に平衡質量103を付着した。この平衡質量103およびその付着に要する器具の質量の合計をM′とする。平衡質量103の変位ΔL′に伴って、上記支持面には力
【0040】
【数3】
【0041】
が加わる。
【0042】
このため、本発明の変位鏡装置では、支持面に、以上2つの力の和F+F′が加わることになる。これら2つの力F,F′が相殺し、支持面に加わる力がゼロとなる条件は、
【0043】
【数4】
MΔL−M′ΔL′=0 (4)
である。
【0044】
ここで、上記の変位ΔL,ΔL′はそれぞれ長さL,L′分の圧電アクチュエータの部分を同一の電圧で駆動したときに生じる変位である。従って、それらの間に比例関係、ΔL/L=ΔL′/L′が成り立つ。これを式(4)に用いると、支持面に加わる力をゼロとする条件を、
【0045】
【数5】
ML=M′L′ (5)
と表すことができる。
【0046】
図1の例においては、反射鏡102と平衡質量103は等質量であり、それぞれ圧電アクチュエータ101の合い対向する端面に直接接着されている。したがって、M=M′が成り立っている。また、圧電アクチュエータ101は支持枠104を貫通し、圧電アクチュエータの長手方向の中点で支持枠に接着されている。そのため、支持枠104と圧電アクチュエータ101の接着点の張る面である支持面(固定点)から、反射鏡102の接着された端面と平衡質量103の接着された端面までの距離は相等しく、L=L′が成立する。これらの結果、上式(5)が充たされている。
【0047】
支持枠104は外筒105に接合され、この外筒105の突起部がマウント可動部121の鏡保持部に嵌められる形でマウントに装着されている。図1に示す様に支持枠104と外筒105の突起部が整列するように形成すれば、マウントによる保持面上に変位鏡装置の重心がほぼ乗ることとなり、マウント可動部121に静的トルクを及ぼすことが避けられる。上式(5)は、このようにして静的トルクを相殺するための条件をも与えている。反射鏡102の方向は、マウント調整ノブ122,123によって外筒105の全体の方位角と仰角を変えることで調整できる。上記のように静的トルクが相殺されていると、この調整機構に余分な負荷を与えることが防がれる。
【0048】
ここで、適当な偏倚電圧(バイアス電圧)に制御電圧を重畳して圧電アクチュエータ101に印加することにより、反射鏡102が外筒105に対し、その制御電圧に概ね比例して平行に変位する。同時に平衡質量103が逆向きに等量だけ変位する。これら2つの変位を生ぜしむる力の反作用は常に支持枠104上で相殺される結果、制御電圧による運動に伴って支持枠104に加わる力は恒等的にゼロとなっている。従って支持枠104には何らの振動も誘発されず、振動が外筒105ないしマウントに伝播して行くことも当然無い。
【0049】
図2は、本発明を適用した図1の変位鏡装置の応答特性を示す図であり、制御電圧として、正弦波電圧を、圧電アクチュエータ端で一定振幅となるように給電した際の、反射鏡変位の振幅と位相を、その正弦波周波数について示したものである。既に図7に示した従来例の変位鏡装置の応答特性との、直接的な比較を行うために、この測定では、従来例と同一の反射鏡102を使用し、従来例の圧電アクチュエータと同材質、同一断面積で長さが丁度2倍の圧電アクチュエータ101を長手方向の中点で支持枠104に接着して変位鏡装置を構成し、それを装着するマウント(120〜123)も従来例と同一とした。
【0050】
本発明では、圧電アクチュエータ101の長さが2倍となった結果、駆動増幅器(図示しない)には2倍の静電容量負荷がかかることになるが、その影響は、圧電アクチュエータ端で一定振幅となる給電条件で測定した図2の特性上には現れない。図2中、右端付近、8kHz周りに見られる振幅カーブ上のピークは、従来例の個所で既述したように、圧電アクチュエータと反射鏡とで構成されるばね振り子としての共鳴f0 である。
【0051】
ここで、平衡質量103側の圧電アクチュエータと平衡質量103とで構成されるばね振り子の共鳴はどうなるのであろうか。実は、その共鳴周波数は反射鏡102側のばね振り子の共鳴周波数に一致する。これを見るには、上式(1)を求めればよい。上式(5)が成立しているとき、上式(1)は、支持枠104の両側の2つのばね振り子に対して等しい共鳴周波数を与える。この性質により、平衡質量103の設置が、制御系に余分の共鳴特性を加えるという副作用は生じないのである。
【0052】
以上を総合すると、上式(5)は、支持枠104に加わる力の相殺条件、マウント可動部121への静的トルクの相殺条件、さらに支持枠104の両側のばね振り子の共鳴周波数の一致条件の3つを、一挙に与えていることが分かる。
【0053】
図2中には、以上考察した共鳴周波数f0 の共鳴以外には、全く共鳴特性が現れていないことに注目されたい。これは図7に示した従来の変位鏡装置の特性と比較して著しい相違である。この結果は、反射鏡102の変位が振動を全然伴わずになされており、マウント、または床の共鳴が励振されないという本発明の効果の発現を示すものに他ならない。こうして本発明の変位鏡装置では、如何なるマウントに取り付けた状態でも、同一の応答特性を期待することができる。
【0054】
【実施例】
以下、図面を参照してより具体的な本発明の実施例を詳細に説明する。
【0055】
(第1の実施例)
図3は単一の圧電アクチュエータを用いた本発明の第1の実施例を示す断面図であり、既に、本発明の変位鏡装置は、その特性が取り付けられるマウントに依らないことを示していることを鑑みて、マウントを省いた変位鏡装置本体のみを示してある。
【0056】
本実施例装置において、圧電アクチュエータ301の両端には、互いに等しい形状・質量となるように製作した継ぎ手310,311が接着されている。反射鏡302は反射鏡枠309に固定され、この反射鏡枠309が継ぎ手310にネジ込まれる。一方、他端の継ぎ手311には、平衡質量(重り)303がネジ込まれる。このように反射鏡302および平衡質量303を継ぎ手310、311を介して着脱自由に圧電アクチュエータ301に付着することで、反射鏡302の交換が可能となる。
【0057】
平衡質量303は、反射鏡302と反射鏡枠309の質量の合計Mに等しい質量M′を持つように製作する。
【0058】
例えば、直径20mm、厚み5mmのBK7ガラス製基板を持つ反射鏡302の質量は、3.93gであり、アルミ合金製の反射鏡枠309の質量との合計は、4.93gとなった。ここで、平衡質量の材質を真ちゅうに選び、外径15mm、内径10mm部分の長さ4mm、内径8mm部分の長さ1.5mmの段付き中空円筒に切削加工して、上記質量の合計に等しい質量を持つ小型の平衡質量303を得た。
【0059】
また、直径25mm、厚み10mmのBK7ガラス製基板を持つ反射鏡302の場合、その質量は、12.27gであり、これをアルミ合金製の反射鏡枠309の質量と合わせて、13.79gとなった。このとき平衡質量の材質はやはり真ちゅうに選び、外径15mm、内径10mm部分の長さ5mm、内径8mm部分の長さ9mmの段付き中空円筒に切削加工して、質量の釣り合う小型の平衡質量303を得た。
【0060】
本実施例装置で、圧電アクチュエータ301は、支持枠304を貫通する形で、自身の長手方向の中点で接着固定されている。反射鏡302の交換に付随して、外筒305内に収納された平衡質量303の交換が必要となるが、そうした際に、圧電アクチュエータ301を支持枠304ごと外筒305から引き出すために、支持枠304は、外筒305にネジ止めされる。圧電アクチュエータ301から出るリード線は、給電端子312にはんだ付けされ、給電端子312は、外筒305にネジ止めされる給電端子枠313に取り付けられている。
【0061】
外筒305の外面には、支持枠304と整列したつば305−1が設けられている。このつば305−1の外径は、本変位鏡装置を装着する円形鏡用のマウントの、鏡保持部に嵌まる寸法に製作する。つば305−1と支持枠304とを整列することで、既に述べた様に、本変位鏡装置がマウントに及ぼす静的トルクを低減できる。
【0062】
本実施例装置で、圧電アクチュエータ301に、5mm角、長さ18mmの積層型の製品を用い、反射鏡302として第1例の反射鏡(直径20mm、厚み5mm)を取り付けた状態で、ばね振り子としての共鳴周波数f0 は、17kHzとなった。この変位鏡装置をレーザ共振器の光路長制御に用いたところ、マウント等の共鳴を顧慮することなく、共鳴周波数f0 に対処するためだけの簡単な低域濾過器を制御系に挿入することで、帯域が5kHzに及ぶ制御効果をあげることができた。
【0063】
(第2の実施例)
図4は本発明の第2の実施例として、2つの圧電アクチュエータを用いた実施例を示す断面図である。
【0064】
本実施例装置においては、中仕切りを持つ支持枠308を使用し、この中仕切りの表裏に、材質、断面積および長さの等しい2個の圧電アクチュエータ306,307が接着固定されている。2つの圧電アクチュエータ306、307から出るリード線は、並列に接続した上で、給電端子312にはんだ付けされる。支持枠308は、第1の実施例と同様に、外筒305にネジ止めされる。
【0065】
その他は、第1の実施例に準ずる。
【0066】
本実施例装置で、2つの圧電アクチュエータ306,307に、それぞれ5mm角、長さ10mmの積層型の製品を用い、反射鏡302として第1例の反射鏡(直径20mm、厚み5mm)を取り付けた状態での、ばね振り子としての共鳴周波数f0 は、17kHzとなった。この変位鏡装置をレーザ共振器の光路長制御に用いて、第1の実施例と同じ制御効果をあげることができた。
【0067】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、長手方向に伸縮する圧電アクチュエータを長手方向の一点(固定点)において固定し、反射鏡の質量Mと固定点から反射鏡までの部分の変位ΔLとの積MΔLと、重りの質量M′と固定点から重りまでの部分の変位ΔL′との積M′ΔL′を等しくしたので、反射鏡に掛かる力の反作用と重りに掛かる力の反作用が、その固定点上で互いに打ち消し合い、結果として固定点あるいはこれを保持するマウントには力が加わらない結果、振動の誘発が防がれる。従って、本発明によれば、振動を誘発することなく反射鏡の変位を行なえるので、取り付けるマウントによらない応答特性を実現することができ、光学系の他部分に振動を誘発するおそれも無い。このため、本発明は、干渉計および光共振器に広く用いることができ、高速の光路長制御を容易に達成できるので、工業的に大きな効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の変位鏡装置の基本構成を示す断面図である。
【図2】本発明装置により得られた応答特性を示すグラフである。
【図3】単一の圧電アクチュエータを用いた本発明の第1の実施例の構成を示す断面図である。
【図4】2つの圧電アクチュエータを用いた本発明の第2の実施例の構成を示す断面図である。
【図5】従来例の変位鏡装置の構成を示す断面図である。
【図6】変位鏡装置が装着されるマウントの共鳴特性の例を示すグラフである。
【図7】従来例装置の応答特性を示すグラフである。
【符号の説明】
101 圧電アクチュエータ
102 反射鏡
103 平衡質量
104 支持枠
105 外筒
120 マウント固定部
121 マウント可動部
122,123 マウント調整ノブ
301 圧電アクチュエータ
302 反射鏡
303 平衡質量
304 支持枠
305 外筒
305−1 つば
306,307 圧電アクチュエータ
308 支持枠
309 反射鏡枠
310,311 継ぎ手
312 給電端子
313 給電端子枠
401 圧電アクチュエータ
402 反射鏡
405 外筒
420 マウント固定部
421 マウント可動部
422,423 マウント調整ノブ[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a displacement mirror device used for the purpose of electrically changing the optical path length in an interferometer, an optical resonator, or the like.In particular, a mirror is attached to one end of a piezoelectric actuator, and the mirror is attached by a voltage applied to the piezoelectric actuator. The present invention relates to a displacement mirror device for changing a position. According to the present invention, when the optical path length is changed at a relatively high speed, a vibration that is inevitably accompanied by the movement of a mirror having a finite mass is suppressed, thereby realizing a stable change in the optical path length.
[0002]
[Prior art]
In recent years, applications of interferometers and optical resonators in which the optical path length is controlled with high precision using this type of displacement mirror device have been prosperous. For example, in the measurement interference system, if the optical path length difference is kept constant for a long time against the disturbance, the substantial measurement time is increased, and the accuracy and sensitivity are improved. For this purpose, the interference signal is fed back to the displacement mirror device to dynamically stabilize the optical path length difference. Further, by attaching the displacement mirror device to the laser resonator, the wavelength is stabilized, or in the case of pulse oscillation, the pulse repetition period is stabilized. In these cases, the former (wavelength stabilization) appropriately compares the laser oscillation light with the reference Fabry-Perot resonator or gas absorption cell, and the latter (pulse oscillation) compares the laser oscillation light with the high stability oscillator. Thus, an error signal is obtained, and the error signal is returned to the displacement mirror device.
[0003]
More recently, a method has been actively used in which laser light is incident into an external resonator equipped with a wavelength conversion function to efficiently perform wavelength conversion. In this case, the laser light is accumulated in the external resonator and the maximum efficiency is achieved. To achieve this, it is necessary to equip either the original laser resonator or the external resonator with a displacement mirror device and dynamically match the natural mode frequency of the resonator. Even when only the wavelength-converted light is more simply stored in the external resonator, it is necessary to match the resonator circulating time using a displacement mirror device when using pulsed light. In particular, in the case of harmonic generation which is considered to be industrially important, stabilization of the resonator frequency is inevitable even when continuous light is used.
[0004]
Conventionally, as a displacement mirror device, a device in which a mirror is attached to one end surface of a piezoelectric actuator and the other end is fixed to a case is used. FIG. 5 is a view showing the configuration of this conventional displacement mirror device, and shows a state where the displacement mirror device is mounted on a mount for adjusting the orientation of the mirror.
[0005]
In this example, the displacement mirror device includes a piezoelectric actuator 401 composed of a piezoelectric conversion element, a reflecting mirror 402 fixed to one end of the piezoelectric actuator 401, and a cylindrical outer cylinder 405 for fixing and supporting the other end of the piezoelectric actuator 401. Be composed. The mount on which the entire displacement mirror device is mounted has, for example, a mount fixing portion 420 fixed to the floor of the device main body, a mount movable portion 421, and mount adjustment knobs 422 and 423 for adjusting the orientation of the mirror 402. .
[0006]
Here, by superimposing a control voltage on an appropriate bias voltage and applying the control voltage to the piezoelectric actuator 401, the reflecting mirror 402 is displaced in parallel with the outer cylinder 405 in substantially proportion to the control voltage. The optical path length of a light beam that enters the reflecting mirror 402 almost perpendicularly changes according to the amount of displacement of the reflecting mirror 402. As a result, a function of changing the optical path length by a control voltage is realized.
[0007]
[Problems to be solved by the invention]
However, the above-described conventional displacement mirror device has the following problems.
[0008]
Since the reflecting mirror 402 always has a finite mass, when the piezoelectric actuator 401 generates a force to generate the displacement of the reflecting mirror 402, the reflecting mirror 402 is inevitably provided on the outer cylinder 405 side according to Newton's third law. Power will be added. When the reflecting mirror 401 is displaced in response to the rapidly changing control voltage, the force applied to the outer cylinder also changes rapidly, and as a result, the outer cylinder 405 is induced to vibrate. The vibration of the outer cylinder 405 further propagates to the mounts (420 to 423) in contact with the outer cylinder 405.
[0009]
Here, the response to the vibration of the mount becomes a problem. The mount is always composed of two parts, a mount fixing part 420 and a mount movable part 421, as shown in FIG. 5 so as to have a function of adjusting the orientation of the mirror. Is press-fitted to the mount fixing portion 421 by a spring (not shown). By changing the inclination of the gap between the mount fixing part 420 and the mount movable part 421 by the mount adjustment knobs 422 and 423, the azimuth and elevation of the mirror 402 can be adjusted via the outer cylinder 405 and the piezoelectric actuator 401. It has become. The mount fixing section 402 is fixed to the floor as described above, while the displacement mirror device is mounted on the mount movable section 421.
[0010]
First, considering the mutual movement of the mount fixed part 420 and the mount movable part 421 ignoring, the mount on which the displacement mirror device is mounted is referred to as an inverted pendulum loaded with the total mass of the mount movable part 421 and the displacement mirror device. Can be considered. When the function of adjusting the orientation of the mirror 402 is not provided, in other words, even when the displacement mirror device is directly fixed to the mount fixing part 420, the vibration mode corresponding to the inverted pendulum always remains.
[0011]
In practice, it is necessary to leave room for adjusting the azimuth of the mirror 402 for the initial adjustment of the optical system equipped with the displacement mirror device and the readjustment corresponding to aging. In this case, in addition to the above-described vibration mode of the outer cylinder 405, a vibration mode associated with mutual movement of the mount fixing part 420 and the mount movable part 421 via the spring coexists.
[0012]
FIG. 6 shows an example of examining such vibration modes by measuring the resonance characteristics of the mount. Here, the relative value (dB) of the swing width of the mirror 402 on the mount when a vibration is applied to the floor to which the mount fixing portion 420 is fixed is shown as a function of the frequency (Hz) of the applied vibration. is there. In FIG. 6, the peaks of the vibrations at 25 Hz and 50 Hz are derived from the power supply frequency, and pick up the surrounding floor vibrations, and do not relate to the resonance characteristics of the mount. The resonance peak with the lowest frequency appears at 220 Hz in FIG. This corresponds to the above-described vibration mode as an inverted pendulum. As higher resonance frequencies, 700 Hz, 2.5 kHz, 4 kHz, 5 kHz, and the like clearly appear, and these are vibration modes derived from the mutual movement of the mount fixed part 420 and the mount movable part 421.
[0013]
As described above, in the conventional displacement mirror device of FIG. 5, when the reflecting mirror 402 is displaced following the control voltage change, vibration is induced in the outer cylinder 405, and this vibration propagates to the mount. As a result, the resonance vibration of the mount as observed in FIG. 6 is excited. Due to this resonance vibration, a complicated undulation, that is, so-called abrasion, occurs in response characteristics of the displacement mirror device to the control voltage of the displacement of the reflection mirror.
[0014]
FIG. 7 is a diagram showing response characteristics of a conventional displacement mirror device. When a sinusoidal voltage is supplied as a control voltage so as to have a constant amplitude at the end of the piezoelectric actuator, the amplitude (relative displacement) of the reflection mirror is measured. Values) and phase angles (degrees) are shown for the sine wave frequency (Hz). In FIG. 7, the peak on the amplitude curve near the right end, around 8 kHz, is resonance as a spring pendulum formed by attaching a reflector having a finite mass to a piezoelectric actuator as an elastic body. This resonance frequency f 0 Is calculated using the attached mass m, the Young's modulus E of the piezoelectric actuator material, the cross-sectional area S of the piezoelectric actuator, and the same length l.
[0015]
(Equation 1)
[0016]
It can be expressed as.
[0017]
The phase rotates 180 degrees across this amplitude peak. Due to this property, the upper limit of the frequency band in which the optical path length can be controlled by this displacement mirror device is the resonance frequency f 0 Limited by What is the frequency f <f 0 In the control system set so that negative feedback is applied, the frequency f is f 0 If it exceeds, it will turn to positive feedback and become unstable. Therefore, f 0 It is common practice to include in the control system a circuit that reduces the gain with frequency, typically an integrator, or a low pass filter (low-pass filter) so that the feedback gain at does not exceed 1.
[0018]
Here, in FIG. 0 F <f 0 Note that small resonance characteristics appear in the range. These are nothing but the result of excitation of the resonance of the mount due to the vibration accompanying the displacement of the reflector. This interpretation will be supported by the appearance of resonance characteristics at the frequency corresponding to the vibration mode in FIG.
[0019]
The appearance of such extra resonance characteristics complicates the design of the control system. For example, in the case of FIG. 7, a 220 Hz resonance as an inverted pendulum is accompanied by a phase rotation of about 10 degrees. If the output impedance of the drive amplifier is higher than the capacitance of the piezoelectric actuator, and the control system already has a phase near 180 degrees near this frequency, the phase rotation associated with the above resonance is reversed. Can destabilize the system. In the case of FIG. 7, the same concern is accompanied by resonance at 2.5 kHz, 4 kHz, 5 kHz, and the like. In addition, the higher the frequency, the larger the phase around the original phase of the control system derived from the capacitance load, so that the risk of instability due to phase rotation accompanying resonance increases.
[0020]
To avoid such instability, it is necessary to take measures to keep the feedback gain below 1 at all frequencies where the phase rotation may exceed 180 degrees. The simplest method is to reduce the feedback gain uniformly over all frequencies, but this leads to a decrease in the performance of the control system itself. As a better measure, it is conceivable to use a low-pass filter or the like to reduce the feedback gain at the resonance frequency that is a problem, but it is unavoidable to sacrifice the response of the control system. As a fundamental measure, it is conceivable to measure a detailed response characteristic as shown in FIG. 7, design an equalizer having the opposite characteristic, and insert it into the control system. Although this is possible in principle, it is not practical. First, since the resonance characteristics of the mount are not generally recognized as the specifications of the mount, at present, it is not available as catalog data, and no deviation is guaranteed for each individual. In addition, since the resonance characteristics are originally derived from the properties of the frame or the spring as an elastic body, there is a great possibility that the characteristics will be affected by temperature changes and aging. Therefore, the design of the above-mentioned equalizer is not easy, and there is no guarantee that the constructed equalizer keeps the inverse characteristic.
[0021]
In the above, the object of consideration has been limited to the mount on which the displacement mirror device is mounted, but in reality, it is not always possible to localize the problem in this way. This is because an interferometer or an optical resonator using a displacement mirror device generally includes optical components such as a mirror in addition to the displacement mirror device, and a mount that holds them has the same resonance characteristics as described above. Vibrations once propagated from the displacement mirror device to the mounts can travel down the floor to these other mounts and induce their resonant vibrations. In fact, recall that in FIG. 6 above, the resonance properties of the mount were measured by excitation through the floor. Such measurements can be made because the vibrations travel down the floor to the mount and induce their resonant vibrations. The purpose of using the displacement mirror device is to control the optical path length of an interferometer or an optical resonator, and the optical path length naturally changes depending on the displacement of an optical component other than the displacement mirror, such as a mirror. Therefore, if the response characteristics of the optical path length as a whole of the interferometer and the optical resonator are measured as shown in FIG. 7, all the resonance characteristics of the mount as far as the influence of the vibration of the displacement mirror device is present are mixed. And appear. It is absolutely impractical to design and maintain an equalizer that gives an inverse characteristic in consideration of all of these.
[0022]
If the vibration of the displacement mirror device is hardly transmitted to the mount and the floor, such a problem can be reduced. From this viewpoint, it is conceivable to mount the displacement mirror device on a mount via a vibration isolation material, for example, a vibration-proof rubber. However, such a material is effective at frequencies of several kHz or more, but has little effect at low frequencies below that. In addition, the possibility that the azimuth of the displacement mirror device changes due to sudden or aging deformation is increased, and the result is that long-term stability of an interferometer or an optical resonator using the displacement mirror device is reduced. I couldn't.
[0023]
On the other hand, measures have been taken to make interferometers and optical resonators using a displacement mirror device with a highly rigid structure. For example, although the mount fixing portion 420 in FIG. 5 is fixed to the floor only at the bottom surface, the rigidity can be improved by replacing the mount fixing portion 420 with a structure fixed to the immobile surface even at the upper surface. However, such a method has resulted in an increase in the size and cost of the apparatus, and therefore goes against recent demands for lighter, smaller, and lower cost optical devices. Also, if the rigidity is increased, the resonance frequency shifts to the high frequency side, but the resonance phenomenon itself does not disappear, and it was hardly a fundamental solution to the problem.
[0024]
As described above, the conventional displacement mirror device inevitably causes vibration,
(1) As a result, the response characteristics of the device itself are disturbed, thereby preventing high-speed control.
(2) The vibration propagating through the floor induces vibration in other parts of the optical system,
There was a problem to be solved.
[0025]
An object of the present invention is to solve the above-mentioned problems found by the inventor of the present application, and to provide a displacement mirror device capable of realizing a stable optical path length change without causing vibration and performing high-speed control. I do.
[0026]
[Means for Solving the Problems]
Therefore, in the present invention, in order to realize a stable optical path length change without causing vibration and to realize a displacement mirror device capable of high-speed control, when changing the optical path length at a relatively high speed, a finite mass is required. Vibrations inevitably associated with the movement of the mirror having
[0027]
Specifically, the present invention of
[0028]
The present invention according to
[0029]
According to a third aspect of the present invention, the piezoelectric actuator comprises a separate piezoelectric actuator joined at the one point, and each piezoelectric actuator is individually driven.
[0030]
According to a fourth aspect of the present invention, a support frame for fixing the piezoelectric actuator at the one point, an outer cylinder for holding the piezoelectric actuator via the support frame, and the entire displacement mirror device mounted via the outer cylinder. The support frame is formed so that the connection point between the mount and the outer cylinder is aligned with the support frame, so that the center of gravity of the displacement mirror device substantially rests on the holding surface of the mount.
[0031]
According to the present invention, as described above, a weight (equilibrium mass) is attached to the other end of a piezoelectric actuator having a reflecting mirror attached to one end, and this piezoelectric actuator is fixed at one point in the longitudinal direction (hereinafter, a fixed point), and reflected. Since the product ML of the mass M of the mirror and the distance L from the fixed point to the reflector is equal to the product M'L 'of the mass M' of the weight and the distance L 'from the fixed point to the weight (ML = M'L '), The reaction of the force applied to the reflector and the reaction of the force applied to the weight cancel each other at the fixed point, and as a result, no force is applied to the fixed point or the mount holding the same, resulting in the induction of vibration. Can be prevented. Also, the piezoelectric actuator part on the reflecting mirror side with respect to the fixed point and the piezoelectric actuator part on the weight side can be composed of separate piezoelectric actuators. In this case, two piezoelectric actuators are connected in parallel. Then, it is configured such that the same control voltage is supplied. As described above, it is possible to realize a displacement mirror device capable of performing high-speed control without causing vibration.
[0032]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, embodiments of the present invention will be described in detail with reference to the drawings.
[0033]
FIG. 1 shows a basic configuration of a displacement mirror device according to an embodiment of the present invention, and shows a state where the displacement mirror device is mounted on a mount for adjusting the orientation of the mirror.
[0034]
In this configuration, the displacement mirror device includes a
[0035]
A
[0036]
In the displacement mirror device of the present invention, the sum of the mass of the reflecting mirror 102 and the mass of the equipment required for attaching the reflecting mirror 102 to the
[0037]
(Equation 2)
[0038]
Joins. The displacement mirror device of the conventional example inevitably caused the vibration just because of this force.
[0039]
Therefore, in the displacement mirror device of the present invention, the
[0040]
(Equation 3)
[0041]
Joins.
[0042]
Therefore, in the displacement mirror device of the present invention, the sum F + F 'of the above two forces is applied to the support surface. The condition that these two forces F and F 'cancel each other and the force applied to the support surface becomes zero is as follows.
[0043]
(Equation 4)
MΔL−M′ΔL ′ = 0 (4)
It is.
[0044]
Here, the above-mentioned displacements ΔL and ΔL ′ are displacements generated when the piezoelectric actuator portions corresponding to the lengths L and L ′ are driven by the same voltage. Therefore, a proportional relationship, ΔL / L = ΔL ′ / L ′, holds between them. Using this in equation (4), the condition that the force applied to the support surface is made zero is
[0045]
(Equation 5)
ML = M'L '(5)
It can be expressed as.
[0046]
In the example of FIG. 1, the reflecting mirror 102 and the
[0047]
The support frame 104 is joined to the outer cylinder 105, and the projection of the outer cylinder 105 is mounted on the mount such that the projection is fitted to the mirror holding section of the mount movable section 121. If the projections of the support frame 104 and the outer cylinder 105 are formed so as to be aligned as shown in FIG. 1, the center of gravity of the displacement mirror device will be almost on the holding surface of the mount, and the static torque will be applied to the mount movable part 121. Is avoided. Equation (5) above also provides conditions for canceling out static torque in this way. The direction of the reflecting mirror 102 can be adjusted by changing the azimuth and elevation of the entire outer cylinder 105 using the mount adjustment knobs 122 and 123. When the static torque is canceled out as described above, an extra load is prevented from being applied to the adjusting mechanism.
[0048]
Here, by superimposing a control voltage on an appropriate bias voltage (bias voltage) and applying the control voltage to the
[0049]
FIG. 2 is a diagram showing a response characteristic of the displacement mirror device of FIG. 1 to which the present invention is applied. When a sinusoidal voltage is supplied as a control voltage so as to have a constant amplitude at the end of the piezoelectric actuator, the reflection mirror is used. The amplitude and phase of the displacement are shown for the sine wave frequency. In order to make a direct comparison with the response characteristics of the conventional displacement mirror device already shown in FIG. 7, in this measurement, the same reflection mirror 102 as that of the conventional example was used, and the same as that of the conventional piezoelectric actuator was used. A displacement mirror device is constructed by bonding a
[0050]
According to the present invention, the doubling of the length of the
[0051]
Here, what happens to the resonance of the spring pendulum composed of the piezoelectric actuator on the
[0052]
Summing up the above, the above equation (5) gives the condition for canceling the force applied to the support frame 104, the condition for canceling the static torque to the mount movable part 121, and the condition for matching the resonance frequencies of the spring pendulums on both sides of the support frame 104. It can be seen that the three are given at once.
[0053]
FIG. 2 shows the resonance frequency f considered above. 0 It should be noted that no resonance characteristics appear at all other than the above resonance. This is a remarkable difference as compared with the characteristics of the conventional displacement mirror device shown in FIG. This result is the only one that shows the manifestation of the effect of the present invention in that the displacement of the reflector 102 is performed without any vibration, and the resonance of the mount or the floor is not excited. Thus, in the displacement mirror device of the present invention, the same response characteristics can be expected regardless of the mounted state of the mount.
[0054]
【Example】
Hereinafter, more specific embodiments of the present invention will be described in detail with reference to the drawings.
[0055]
(First embodiment)
FIG. 3 is a cross-sectional view showing a first embodiment of the present invention using a single piezoelectric actuator, and already shows that the characteristics of the displacement mirror device of the present invention do not depend on the mount to be mounted. In view of this, only the displacement mirror device main body without the mount is shown.
[0056]
In the apparatus of this embodiment, joints 310 and 311 manufactured so as to have the same shape and mass are bonded to both ends of the
[0057]
The
[0058]
For example, the weight of the reflecting
[0059]
In the case of a
[0060]
In the present embodiment, the
[0061]
A collar 305-1 aligned with the
[0062]
In the apparatus of the present embodiment, a laminated product of 5 mm square and 18 mm length is used as the
[0063]
(Second embodiment)
FIG. 4 is a sectional view showing an embodiment using two piezoelectric actuators as a second embodiment of the present invention.
[0064]
In the present embodiment, a support frame 308 having a partition is used, and two
[0065]
Others are the same as in the first embodiment.
[0066]
In the apparatus of this embodiment, a laminated product of 5 mm square and 10 mm length was used for each of the two
[0067]
【The invention's effect】
As described above, according to the present invention, The piezoelectric actuator that expands and contracts in the longitudinal direction is fixed at one point (fixed point) in the longitudinal direction, and the product MΔL of the mass M of the reflector and the displacement ΔL from the fixed point to the reflector is fixed, and the mass M ′ of the weight is fixed. Since the product M′ΔL ′ of the displacement ΔL ′ of the portion from the point to the weight is made equal, the reaction of the force applied to the reflector and the reaction of the force applied to the weight cancel each other at the fixed point, and as a result, the fixed No force is applied to the point or the mount holding it, so that the induction of vibration is prevented. Therefore, according to the present invention, since the displacement of the reflector can be performed without inducing vibration, A response characteristic independent of the mounting mount can be realized, and there is no possibility of inducing vibration in other parts of the optical system. Therefore, the present invention can be widely used for interferometers and optical resonators, and can easily achieve high-speed optical path length control, so that a great industrial effect can be obtained.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a sectional view showing a basic configuration of a displacement mirror device according to an embodiment of the present invention.
FIG. 2 is a graph showing response characteristics obtained by the device of the present invention.
FIG. 3 is a sectional view showing a configuration of a first embodiment of the present invention using a single piezoelectric actuator.
FIG. 4 is a sectional view showing a configuration of a second embodiment of the present invention using two piezoelectric actuators.
FIG. 5 is a cross-sectional view illustrating a configuration of a conventional displacement mirror device.
FIG. 6 is a graph showing an example of a resonance characteristic of a mount on which the displacement mirror device is mounted.
FIG. 7 is a graph showing response characteristics of the conventional device.
[Explanation of symbols]
101 Piezoelectric actuator
102 Reflector
103 equilibrium mass
104 support frame
105 outer cylinder
120 Mount fixing part
121 Mount movable part
122,123 Mount adjustment knob
301 Piezo actuator
302 Reflector
303 equilibrium mass
304 support frame
305 outer cylinder
305-1 spit
306,307 Piezoelectric actuator
308 support frame
309 Reflector frame
310,311 coupling
312 Power supply terminal
313 Power supply terminal frame
401 Piezoelectric actuator
402 Reflector
405 outer cylinder
420 Mount fixing part
421 Mount movable part
422,423 Mount adjustment knob
Claims (4)
残り端に重りを付着した前記圧電アクチュエータを、長手方向の1点において固定し、前記圧電アクチュエータの前記1点から前記鏡までの第1の部分と前記1点から前記重りまでの第2の部分をそれぞれ同一の電圧で駆動したときに生じる第1の部分の変位をΔLとし第2の部分の変位をΔL′としたときに、前記鏡の質量とΔLとの第1の積と、前記重りの質量とΔL′との第2の積を等しくしたことを特徴とする変位鏡装置。A displacement mirror device in which a mirror is attached to one end of a piezoelectric actuator and the position of the mirror is changed by a voltage applied to the piezoelectric actuator,
The piezoelectric actuator having a weight attached to the remaining end is fixed at one point in the longitudinal direction, and a first part of the piezoelectric actuator from the one point to the mirror and a second part of the piezoelectric actuator from the one point to the weight Are driven by the same voltage, and the displacement of the first portion is ΔL and the displacement of the second portion is ΔL ′, and the first product of the mass of the mirror and ΔL and the weight Characterized in that the second product of the mass of .DELTA.L ' and .DELTA.L' is made equal.
前記鏡の質量に代えて前記鏡と前記第1の器具の質量の合計を、前記重りの質量に代えて前記重りと前記第2の器具の質量の合計を、前記第1及び第2の積の計算に用いることを特徴とする請求項1に記載の変位鏡装置。A first instrument for attaching the mirror to the piezoelectric actuator; and a second instrument for attaching the weight to the piezoelectric actuator,
The sum of the mass of the mirror and the first instrument instead of the mass of the mirror, and the sum of the mass of the weight and the second instrument instead of the mass of the weight is the first and second products. The displacement mirror device according to claim 1, wherein the displacement mirror device is used for calculation of (1).
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