JP3596144B2 - 蒸気滅菌器の運転方法 - Google Patents
蒸気滅菌器の運転方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3596144B2 JP3596144B2 JP4039896A JP4039896A JP3596144B2 JP 3596144 B2 JP3596144 B2 JP 3596144B2 JP 4039896 A JP4039896 A JP 4039896A JP 4039896 A JP4039896 A JP 4039896A JP 3596144 B2 JP3596144 B2 JP 3596144B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- steam
- superheated steam
- sterilization tank
- sterilized
- sterilization
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Apparatus For Disinfection Or Sterilisation (AREA)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば医療用の機材,布類等を滅菌する蒸気滅菌器における運転方法に関し、更に詳しくは、滅菌処理後の被滅菌物の乾燥状態を改善した蒸気滅菌器における運転方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、蒸気滅菌器は、被滅菌物を滅菌槽内に密閉収納し、この滅菌槽に蒸気を送り込むことによって加熱殺菌するもので、この滅菌行程に先立つ前処理行程として、滅菌槽とこれに収容した被滅菌物の予熱と、滅菌槽の空気を排除している。前記被滅菌物の予熱は、滅菌行程時に送り込まれる蒸気の凝縮を抑制するためであり、空気の排除は、滅菌行程において供給される蒸気を被滅菌物の内部まで作用させるためである。
【0003】
前記滅菌行程は、上述のように滅菌槽内に蒸気を送り込む行程であり、前処理行程において予熱か十分行なわれたとしても、被滅菌物に若干量の水分が付着する。即ち、蒸気滅菌法では、蒸気が被滅菌物と接触して凝縮する際に放出される熱を利用することにより、被滅菌物を加熱し、滅菌するものであるため、前行程の予熱行程で充分に予熱が行なわれたとしても若干量の水滴が生じてしまう。尤も、予熱行程における予熱が不十分な場合には、より大量の水滴が発生するのはいうまでもない。
【0004】
そのため、滅菌行程の後に、滅菌行程において凝縮して被滅菌物に付着した液滴を乾燥させる後処理行程を遂行している。この後処理行程においては、滅菌槽を減圧した状態で加熱することにより液滴分を蒸発をさせる、所謂真空乾燥の原理を利用して乾燥を行っており、この際の加熱源として、滅菌槽周囲に設けた蒸気ジャケットや滅菌槽内に設置したヒータが利用される。
しかし、蒸気ジャケットを設けたものにおいては、滅菌槽内壁面からの輻射熱と滅菌槽内の自然対流によって減圧下の被滅菌物を加熱し、水分の蒸発を促進させるものであり、患者用衣服や手術衣等の被滅菌物をカストと呼ばれる滅菌用金属缶内に収容して滅菌されるが、被滅菌物の内部やカストの底部は空気の流通が妨げられるため充分に乾燥できず、被滅菌物が濡れたままの状態であったり、カスト内に凝縮水が溜まる場合がある。また、滅菌槽内にヒータを設けたものにおいては、滅菌槽内の被滅菌物を均一に加熱することが難しく、ヒータの正面に対向する位置の被滅菌物のみがヒータからの熱によって加熱されるため、乾燥ムラが生じてしまう。
【0005】
又、これらの方法によってカスト内まで充分に乾燥するだけの時間をとろうとすれば、乾燥に要する時間が非常に長いものになり、実際の使用にそぐわない。しかも、この乾燥は、一般に上述のような真空乾燥方式であり、水封式の真空ポンプ等によって滅菌槽内の空気を排出し滅菌槽内を減圧しているため、真空ラインの洩れ等もあって、長時間を要していた。
即ち、蒸気滅菌器においては、滅菌後、主に被滅菌物を乾燥させるために行なわれる後処理行程には長時間を要し、この行程の所要時間の短縮が蒸気滅菌器の効率的な運用上、重要な問題となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は解決しようとする課題は、滅菌行程実行時に滅菌槽内の被滅菌物に付着した水分を短時間で除去し、被滅菌物を乾燥することのできる蒸気滅菌器の運転方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明は、滅菌槽内に収容した被滅菌物を滅菌する滅菌行程の後、被滅菌物を乾燥さ
せるための後処理行程を実行する蒸気滅菌器において、前記後処理行程の実行時に過熱蒸気を滅菌槽内に導入し、滅菌槽を過熱蒸気で満たした後、滅菌槽から排出することによって上述課題を解決するものである。
更に、この後処理行程の実行時において、滅菌槽内に過熱蒸気を導入すると同時に、滅菌槽内からこの過熱蒸気を排出することによって、滅菌槽内を過熱蒸気でパージすることにより、被滅菌物からの液滴を分離しながら排出するものである。
更に、前記後処理行程の実行時において、滅菌槽内に導入する過熱蒸気は、滅菌槽内に所定の圧力まで加圧状態で導入し、この圧力を一定時間保持した後、滅菌槽から排出することにより、前記被滅菌物からの液滴分の分離を促進するものである。
更に、後処理行程の開始時には、過熱蒸気の導入前に、滅菌槽を減圧することにより、滅菌槽内の蒸気を一旦排出し、液滴分を減じておくことにより、上述の液滴の分離を促進するものである。
更に、前記後処理行程の実行時において、過熱蒸気の導入後、滅菌槽内を減圧することによって、過熱蒸気を排出することにより、被滅菌物に付着する液滴の気化を促進させるようにしたものである。
更に、後処理行程時において、過熱蒸気の導入、及び排出を複数回繰返し行なうことにより、順次、被滅菌物の乾燥の度合を高めるようにしたものである。
更に、後処理行程の実行時において、過熱蒸気の導入、或は排出の前後に、滅菌槽内に過熱蒸気を導入すると同時に、滅菌槽内からこの過熱蒸気を排出することによって、滅菌槽内を過熱蒸気でパージすることにより、被滅菌物からの液滴の除去効率を高めるものである。
以上に加えて、後処理行程の実行時において、前記滅菌槽からの過熱蒸気の排出の際には、この蒸気を凝縮させながら排出することにより、排出される流体の体積を減じることによって排出を迅速に行わせるものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
この発明は、蒸気滅菌器の滅菌行程後の後処理行程に適用されるもので、この後処理行程とは、前述のように滅菌行程の後に、被滅菌物に付着する等して滅菌槽内に残留する水滴分を除去する行程を指す。
そして、この後処理行程において、過熱蒸気を滅菌槽内に導入し、滅菌槽内を過熱蒸気で満たすことにより、滅菌行程時に被滅菌物の表面に付着した水滴を完全に除去するもので、これにより滅菌物を滅菌槽から取出後、別の乾燥装置によって乾燥させる等の無駄な作業を無くし、乾燥に要する時間を短縮する。
即ち、後処理行程において、滅菌槽内を過熱蒸気で満たすことは、滅菌槽内の空間を気相の水で満たすことであり、被滅菌物に付着する水滴と同じ物質とすることである。従って、被滅菌物に付着している水滴は、過熱蒸気の保有する熱によって直接液相から気相に変化し、被滅菌物から迅速に除去される。
【0009】
しかも、この液滴分の除去は、前述の蒸気ジャケットやヒータ等による輻射熱による蒸発や、滅菌槽内の減圧による蒸発の促進に頼るものではなく、過熱蒸気により直接的に加熱し相変化させるものであるため、滅菌行程後に被滅菌物に付着している水分を効率良く除去することができる。
従って、蒸気滅菌器における後処理行程の短縮が図れ、更に、被滅菌物の内部まで乾燥行程時の過熱蒸気の熱を作用させることができるため、被滅菌物に付着した液滴分を効果的に除去することができる。
【0010】
また、滅菌槽内に導入する過熱蒸気の圧力,温度条件は、高圧であるほど、高温であるほどより大きな効果を発揮するが、被滅菌物の形態や材質の他、この発明を適用する蒸気滅菌器の構造や用途によって決定する。即ち、被滅菌物が温度により変形や劣化を生じるものである場合には、温度を比較的低く設定する。また、既存の蒸気滅菌器に適用する場合には、この蒸気滅菌器の耐圧限界を考慮してその圧力を決定する。
【0011】
更に、後処理行程時において過熱蒸気を導入するに際して、前記滅菌槽内に所定の圧力まで導入した状態で、滅菌槽への蒸気の供給を停止することによって、この圧力を一定時間保持することにより、この過熱蒸気を被滅菌物(特に布帛等の場合)の内部までに均一に浸透させることができる。
更に、この後処理行程時に、過熱蒸気を滅菌槽内を通過させる操作、即ち、滅菌槽に過熱蒸気を供給する際に排気管等を開放することによるパージ操作を行うことにより、この後処理行程において、この過熱蒸気を被滅菌物(特に布帛等の場合)の内部まで均一に浸透させ、滅菌行程時に付着した液滴分を気化させながら排出することができる。また、この時、ディフューザ等の拡散手段を用いることにより、滅菌槽全体にまんべんなく過熱蒸気を供給することにより、被滅菌物に均一に作用させ、所要時間の短縮を図る。
【0012】
また、後処理行程時において、過熱蒸気の導入、及び排出を1回だけでなく複数回繰返し行うことにより、過熱蒸気の排出ごとに、過熱蒸気内に取り込んだ液滴分を滅菌槽の外に排出することができるため、前記被滅菌物からの分離の度合を高めることができる。尚、このように過熱蒸気の導入、及び排出を複数回繰返し行う場合、その何れかの回の導入時に際して、前記滅菌槽内における過熱蒸気の圧力を一定時間保持するように制御してもよい。このように過熱蒸気の導入を複数回行う場合、その何れかの回の導入時に際して、前記滅菌槽内における過熱蒸気の圧力を一定時間保持するように制御する場合は、蒸気の使用量を削減することができる。
更に、過熱蒸気を導入する前に滅菌槽内を真空吸引し、液滴分の残留量を減じておくことにより、過熱蒸気による効果を促進することも可能である。
【0013】
また、この発明において、過熱蒸気を得るための手段としては、飽和蒸気を更に加熱したり、急激に減圧する等の公知の手段を利用する。例えば、飽和蒸気を加熱する場合、蒸気滅菌器が蒸気を使用するものにおいては、この蒸気滅菌器に元来付設されている蒸気発生器からの蒸気と熱交換することによって加温する。具体的には、過熱蒸気の供給配管の途中に熱交換器を設け、この熱交換器に前記の蒸気を供給することにより加熱する方法である。これらの方法は、特に蒸気滅菌器において、既存の装置を利用できる上で有効である。
また、飽和蒸気を減圧することにより過熱蒸気を得るための手段としてには、一般的な減圧弁を使用する他、飽和蒸気を滅菌槽内に導入する際に、前記滅菌槽の圧力を飽和蒸気の圧力より低く設定しておけば、この飽和蒸気が滅菌槽内に流入した時点で急激に減圧されて過熱蒸気を得ることができる。
また、一部の蒸気滅菌器のように、滅菌槽内の加熱(或は予熱)や、蒸気の発生に電熱手段を使用するものにおいては、この電熱手段の一部、或は新たに別置した電熱手段によって飽和蒸気を加熱して過熱蒸気を得る。この電熱手段としては、電気ヒータが一般的であるが、その他に誘導加熱、誘電加熱の原理を利用した加熱手段を利用することができる。
【0014】
更に、前記過熱蒸気の供給状態を監視するには、蒸気滅菌器に備わっている温度検出手段や圧力検出手段を用いることにより、滅菌槽内における運転状態の検出を行うことができるが、これらとは別個に過熱蒸気の供給配管に取付けて監視することができる。また、前述のように滅菌槽内に過熱蒸気を導入したあと、この状態を保持する場合には、適宜のタイマー手段によってこの状態を保持する時間を設定する。
【0015】
更に、この発明においては、滅菌槽から過熱蒸気を排出する際にこれを凝縮させながら排出することにより、効率よく迅速に排出することができる。即ち、蒸気よりも比容積の小さい凝縮水の形で排出することにより排出時間の短縮化と効率改善を行うことができる。
この冷却手段としては、周知のものが種々適用できるが、急速に冷却する必要性から、水等を冷却媒体とした熱交換器を利用する。また、滅菌槽内を排気や排水のために吸引する手段としては、周知の真空ポンプを利用できるが、このような蒸気滅菌器からは、過熱蒸気だけでなく飽和蒸気や液滴分を含まれるため、水封式の真空ポンプや、流体圧を利用したエゼクタ形式の真空ポンプ(例えば、ジェットポンプ)を用いる。この際、使用水量の点からは、水封式真空ポンプが有利であるが、ジェットポンプを利用し、その作動のための流体に水を選択した場合には、冷却装置を兼用させることもできる。
【0016】
【実施例】
以下、この発明の具体的実施例について図面を参照しながら説明する。尚、図1は、この発明に係る蒸気滅菌器の運転方法を適用した蒸気滅菌器の一例を示す説明図、図2は、この発明に係る蒸気滅菌器の運転方法における運転要領の第1実施例を説明するための図面である。
【0017】
図面において、被滅菌物を収容するための滅菌槽(1) は、その周囲を取り囲む蒸気ジャケット(2) を備えている。前記滅菌槽(1) には、耐圧扉(図示省略)を設けた被滅菌物の出入口があり、この耐圧扉を閉じることで滅菌槽(1) 内を完全に密閉することができる。
前記蒸気ジャケット(2) には、各行程に使用する飽和蒸気が通る第1給蒸ライン(3) を接続してあり、この第1給蒸ライン(3) には、蒸気流れ方向上流側から順に気水分離器(4) ,第1給蒸弁(5) ,圧力調整のための給蒸圧調整弁(6) を接続してある。この気水分離器(4) は、蒸気発生器からの蒸気の乾き度を向上させるもので、これにより、第1給蒸ライン(2) 以降の蒸気の流通路内に必要以上のドレンが生じるのを防止し、滅菌行程での水滴の付着を抑制するものである。
この給蒸圧調整弁(6) の下流側には、過熱蒸気供給弁(7) ,並びに飽和蒸気供給弁(8) を並列に接続し、その下流には第1給蒸ライン(2) 内の蒸気加熱用の熱交換器(9) を接続してある。ここで、前記過熱蒸気供給弁(7) を通過する蒸気流量は、飽和蒸気供給弁(8) を通過する蒸気流量よりも少なくなるように設定してある。前記第1給蒸ライン(3) における給蒸圧調整弁(6) の下流には、第1給蒸ライン(3) から蒸気ジャケット(2) に蒸気を供給するための第2給蒸ライン(10)を接続してあり、この第2給蒸ライン(10)の途中には、第2給蒸弁(11)を接続してある。
更に、滅菌槽(1) には、一端に空気フィルタ(12)を備えた給気ライン(13)を接続してあり、この給気ライン(13)の途中には給気弁(14)を接続してある。
【0018】
前記熱交換器(9) には、前記第1給蒸ライン(3) から分岐する第3給蒸ライン(15)を接続してあり、この第3給蒸ライン(15)の途中に接続した第3給蒸弁(16)の開閉制御によって、給蒸を制御する。前記第3給蒸ライン(15)からの蒸気は、熱交換器(9) 内において、第1給蒸ライン(3) 内の蒸気を加熱した後、第1ドレンライン(17)を介して後述の排出ライン(18)に合流する。この第1ドレンライン(17)の途中には、第1スチームトラップ(19)を接続し、排出ライン(18)にはドレンのみを排出する構成となっている。
【0019】
前記排出ライン(18)はその上流端を滅菌槽(1) に接続してあり、途中に冷却装置(20)を備えている。
前記冷却装置(20)は、この実施例では冷却液を一方の熱媒体とする熱交換器として例示するもので、途中に冷却弁(24)を備えた冷却液供給ライン(25)と排水ライン(26)とを接続してある。この冷却装置(20)の動作は、冷却制御弁(24)の開閉操作により冷却液等の供給の継断によって行う。尚、排水ライン(26)は前記排出ライン(18)と合流させてもよい。
【0020】
この排出ライン(18)は、前記冷却装置(20)の下流側で、真空ライン(21)、排気ライン(22),及び第2ドレンライン(23)の3系統に分岐する。
前記真空ライン(21)には真空制御弁(27),及び真空ポンプ(28)を接続し、前記排気ライン(22)には排気弁(29)を接続し、第2ドレンライン(23)には第2スチームトラップ(30)を挿入している。
更に、前記排出ライン(18)には、前記気水分離器(4) から延びる第3ドレンライン(31)、並びに、蒸気ジャケット(2) から延びる第4ドレンライン(32)を接続してある。前記第3ドレンライン(31)の途中には、第3スチームトラップ(33)を挿入してあり、また、第4ドレンライン(32)の途中には、第4スチームトラップ(34)を挿入してある。これらの第3,第4ドレンライン(31)(32)の排出ライン(18)への接続個所は、前記真空ライン(21)、排気ライン(22),及び第2ドレンライン(23)が再び合流した排出ライン(18)の下流側としてある。
【0021】
更に、蒸気滅菌器には、滅菌器の運転を制御するための制御装置(40)を設けてあり、この制御装置(40)は、蒸気滅菌器の運転状態を監視する検出手段からの信号により、予め設
定された手順に基づいて真空ポンプ(28)や各弁を適切に制御する。尚、図示する実施例においては、前記検出手段として、前記滅菌槽(1) 内の圧力を監視する圧力検出手段(41)と、前記滅菌槽(1) 内の温度を排出ライン(18)内のドレン温度に基づいて監視する温度検出手段(42)を例示している。
【0022】
以上のような構成において、滅菌槽(1) に被滅菌物を搬入後、次の手順に従って滅菌作業を行う。尚、以下の説明において、各弁はその動作を明記してなければ基本的に閉じているものとする。また、滅菌槽(1) 内の圧力変化を図2を参照しながら説明する。尚、滅菌槽(1) 内に導入する過熱蒸気の圧力や温度は、後述のように、高いほど好適であるが、被滅菌物の形態や材質の他、この発明を適用する蒸気滅菌器の構造や用途によって決定する。例えば、一般的な市販の医療用蒸気滅菌器では、その耐圧が2.5kg/cm2 G程度であることから、過熱蒸気の圧力は2.2Kg/cm2 G程度に設定する。一方、新規に製造する蒸気滅菌器に適用する場合には、このような制限にはとらわれない。また、滅菌行程において供給する飽和蒸気の圧力も同様である。
さて、以下の実施例では、過熱蒸気、及び飽和蒸気は滅菌槽(1) 内に同じ設定圧力まで供給されるものとして説明する。
【0023】
先ず、前処理行程を行うが、具体的操作としては、第1給蒸弁(5) 、並びに第2給蒸弁(11)を開いて、第2給蒸ライン(10)から蒸気ジャケット(2) 内に蒸気を送給する。そして、第3給蒸弁(11)を開放して第3給蒸ライン(15)から熱交換器(9) への給蒸を開始する。
この状態では、第1給蒸ライン(3) を流れる飽和蒸気は、気水分離器(4) によって液滴分(飽和蒸気)が除去されて乾き度が向上しており、この際に分離された液滴分は、第3ドレンライン(31)から排出ライン(18)を介して排出される。
従って、蒸気ジャケット(2) ,並びに熱交換器(9) には乾き度の高い飽和蒸気が供給されることになり、蒸気ジャケット(2) 内に供給される蒸気は滅菌槽(1) を加熱し、また、熱交換器(9) 内に供給される蒸気は、第1給蒸ライン(3) 内の飽和蒸気を加熱する。
【0024】
そして、過熱蒸気供給弁(7) ,並びに排気弁(29)を開放すると、第1給蒸ライン(3) 内の飽和蒸気は、滅菌槽(1) に向けて流れ、その途中の熱交換器(9) において加熱されて過熱蒸気となる。そして、滅菌槽(1) 内に流入すると減圧されて膨張し、更に過熱度が高まる。この過熱蒸気の導入により、滅菌槽(1) 内の空気は、排出ライン(18)に向けて押し出され、排出ライン(18)から排気ライン(22)を経て排出される。
このように、過熱蒸気を滅菌槽(1) 内に導入し、そのまま排出する(所謂パージ)ことにより、比重の大きい空気は、比重の小さい過熱蒸気によって上方から下方に向けて押し出されるようにして排気ライン(18)から空気の排出が行なわれるほか、滅菌槽(1) 及び耐圧扉が内側から加熱され、被滅菌物も加熱される。
ここで、前記のように過熱蒸気供給弁(7) を通過する蒸気流量を、飽和蒸気供給弁(8) を通過する蒸気流量よりも少なく設定してあるため、滅菌槽(1) 内に流入する過熱蒸気は、滅菌槽(1) 内に残留する空気を攪拌すること無く、この空気を排出ライン(18)に押し出すことになる。
【0025】
以上のパージ操作を一定時間行なった後、排気弁(29)を閉じると、滅菌槽(1) 内の圧力は、過熱蒸気の導入とともに図2に示すように上昇する。過熱蒸気の供給は、滅菌槽(1) 内が前記の設定圧力となるまで継続し、この圧力に到達した時点で、排気弁(29)を開放して過熱蒸気の排出を行う。この排出の際には、滅菌槽(1) に残留する空気が再び過熱蒸気によって押し出されるようにして、排除される。そして、滅菌槽(1) 内が略大気圧まで低下し、内部の過熱蒸気が略排出されると、前記排気弁(29)を閉じ、前記と同様の手順で過熱蒸気の導入、及び排出を行う。この過熱蒸気の導入と排出の繰返しにより、滅菌槽(1) 内、特に被滅菌物内に取込まれている空気の排除を行う。この排気、及び蒸気導入を交互に数回繰り返し行うことで、被滅菌物中に含まれる空気を十分に排出し、後の滅菌行程における蒸気の加熱むら等を軽減する。
【0026】
この際の被滅菌物の加熱は、従来のような蒸気ジャケットによる滅菌槽(1) 内壁からの輻射熱によるものではなく、過熱蒸気により直接的に加熱されるため、滅菌行程に入る前に被滅菌物を確実に昇温することができ、この際に滅菌物に付着していた水分を除去することができる。従って、前処理行程の短縮が図れるとともに、次の滅菌行程では、被滅菌物の内部まで蒸気を作用させることができ、更に滅菌行程終了後の後処理行程の短縮が図れることになる。
また、前処理行程において、過熱蒸気の導入、及び排出を複数回繰返し行うことにより、過熱蒸気の排出ごとに過熱蒸気内に取り込んだ水分を滅菌槽(1) の外に排出することができるため、前記被滅菌物の乾燥の度合を高めることができ、これにより、被滅菌物の内部まで予熱することができる。特に、このように過熱蒸気の導入、及び排出は、過熱蒸気供給弁(7) 並びに排気弁(29)の開閉操作のみによって行なうことができるため、従来のように真空吸引によって空気を排出するもののように水封式真空ポンプのような真空吸引手段を不要とする。
【0027】
この際、過熱蒸気の排出に際して、冷却弁(24)を開放し、冷却装置(20)に冷却水を供給することにより、排出ライン(18)内に流入した過熱蒸気を冷却し急速に凝縮させることによって排出時間を短縮し、効率を向上させることができる。また、このときの過熱蒸気の供給状態は、蒸気滅菌器に備わっている圧力検出手段(41)や温度検出手段(42)により検出し、制御装置(40)によって前記各制御弁を開閉制御することにより行う。
【0028】
前記までの操作により、被滅菌物、及び滅菌槽(1) 内は、十分暖められ、しかも、内部の空気の排出する排気処理が完了する。この際には、過熱蒸気による予熱操作と空気の排出操作が同時に行われており、次行程の滅菌行程においては過熱蒸気に替えて飽和蒸気を導入する。
この切替えは、前処理行程で、滅菌槽(1) 内の空気を充分に排除した後、排気弁(29)を閉鎖し、過熱蒸気供給弁(7) を閉じて飽和蒸気供給弁(8) を開放する。この時、熱交換器(9) への蒸気の供給は第3給蒸弁(16)を閉鎖することにより停止しておく。以上の操作により飽和蒸気を滅菌槽(1) 内に充満させ、滅菌槽(1) 内が前記設定温度に対応する飽和蒸気温度になれば、滅菌時間のカウントを開始し、この状態を滅菌処理に必要な時間保持する。
この滅菌行程において、被滅菌物は、前処理行程において十分に加熱されているために、第1給蒸ライン(3) から供給される飽和蒸気が被滅菌物の表面に接して凝縮することはなく、水滴の発生が防止される。そのため、被滅菌物の内部まで蒸気の熱を作用させることができ、滅菌効果が確実なものとなる。
【0029】
この滅菌行程から後処理行程に移行する際には、飽和蒸気供給弁(8) を閉じる一方、排気弁(29)を開放することにより、滅菌槽(1) 内の蒸気圧力を利用して飽和蒸気の排出を行う。そして、前記滅菌槽(1) 内の圧力が前記圧力検出手段(41)によって大気圧に近づいたことが検出されると、第3給蒸弁(16)を開いて熱交換器(9) に飽和蒸気を供給するとともに過熱蒸気供給制御弁(7) を開いて、滅菌槽(1) 内に過熱蒸気を供給し、この操作により前述の過熱蒸気によるパージ操作を行う。
【0030】
この後処理行程におけるパージ操作によると、これまでに滅菌槽(1) 内の空気が排除されているために、滅菌槽(1) は過熱蒸気のみで満たされる。
このように、滅菌槽(1) 内に過熱蒸気を導入することは、滅菌槽内の空間を気相の水で満たすことであり、被滅菌物に付着している水滴(液滴分)と同質のものとすることである。従って、被滅菌物に付着する水滴は、過熱蒸気からの熱により、液相から気相に相変化して過熱蒸気の一部として取り込まれ、この状態で過熱蒸気とともに排出される。即ち、従来の蒸気滅菌器のように、被滅菌物に付着する水滴が、減圧下において、滅菌槽(1) 内壁や滅菌槽(1) 内のヒータからの輻射熱や、空気を介して伝達される熱によって蒸発した後、空気中に拡散し、この空気とともに排出されるというプロセスに比べて、極めて簡単なプロセスによって水滴の排出が行なわれるため、被滅菌物の乾燥が効率良く、短時間で行なわれる。更に、この過熱蒸気は、それ自体が多くの熱量を保有するため、上述の滅菌行程後に被滅菌物に付着している液滴分の除去を更に促進する。従って、被滅菌物の乾燥が短時間で確実に行なわれる。
【0031】
このパージ操作を一定時間行った後、冷却弁(24)を開放して冷却装置(20)を作動させるとともに、真空ポンプ(28)を作動させた状態で、過熱蒸気供給弁(7) ,並びに第3給蒸弁(16)を閉じ、更に、真空制御弁(27)を開放することにより、滅菌槽(1) 内に残留する蒸気(過熱蒸気を含む。)を排出する。この際、前記の冷却装置(28)の作動により、排出ライン(18)内に流入した過熱蒸気を含む蒸気は、この冷却装置(20)により急速に凝縮し、蒸気よりも比容積の小さい凝縮水の形で排出することにより排出時間の短縮化と効率改善を行うことができる。また、この凝縮にのみよっても、滅菌槽(1) 内を真空吸引することができる。このことにより水封式真空ポンプ(28)の小型化、更には省略が可能となる。
【0032】
そして、滅菌槽(1) 内を所定の圧力まで真空吸引して蒸気を排出した後、冷却弁(24),真空制御弁(27)を閉じ、給気弁(14)を開いて滅菌槽(1) を空気フィルタ(12)を介して外部と通じさせ、大気圧と同圧にする。更に、第1給蒸弁(5) を閉じ、蒸気ジャケット(2) への給蒸を停止する。この後、滅菌槽(1) の耐圧扉を開いて被滅菌物を取り出し、全行程が終了する。
以上の過熱蒸気の供給状態や、排気状態は、前述したように蒸気滅菌器に備わっている温度検出手段(41)や、圧力検出手段(42)からの信号に基づき、制御装置(40)によって各弁や真空ポンプ(28)を制御することによって行う。また、滅菌槽(1) 内に過熱蒸気を導入した後、この状態を保持する時間は、この制御装置(40)に適宜のタイマー手段(図示省略)を組込むことによって設定する。
【0033】
以上のように、被滅菌物の乾燥が短時間で確実に行なわれることにより、後処理行程の短縮化が図れることになり、滅菌作業自体の短縮を大幅に図れることになる。
更に、前記の過熱蒸気の導入、及び排出は、過熱蒸気供給弁(7) や排気弁(29)等の開閉操作のみによっても行なうことができるため、従来のように真空吸引によって空気を排出するもののように水封式真空ポンプのような真空吸引手段を不要とする。また、以上の構成によれば、蒸気滅菌器における滅菌行程後の後処理行程の短縮が図れ、しかも、従来の真空乾燥の原理による後処理行程のように、空気の導入と排出の繰返しが不要であるため、従来に比べて無菌フィルタの寿命が高まる。
【0034】
更に、図3,図4を参照しながら、この発明に係る蒸気滅菌器の運転方法の他の第2,第3実施例を説明する。尚、図3は、この発明に係る蒸気滅菌器の運転方法における運転要領の第2実施例を説明するための図面、図4は、運転要領の第3実施例を説明するための図面である。
【0035】
先ず、図3に示す第2実施例は、後処理行程において、過熱蒸気の導入と排出を複数回(図示する例では2回)繰り返して行うものである。
即ち、図2に示す第1実施例と同様に滅菌槽(1) 内を過熱蒸気によってパージした後、冷却装置(20)、及び真空ポンプ(28)を作動させた状態で、過熱蒸気供給弁(7) ,並びに第3給蒸弁(16)を閉じ、更に、真空制御弁(27)を開放することにより、滅菌槽(1) 内に残留する蒸気(過熱蒸気を含む。)を排出する。そして、滅菌槽(1) 内を所定の圧力まで真空吸引して蒸気を排出した後、冷却弁(24),真空制御弁(27)を閉じ、再度過熱蒸気を供給した後、この蒸気の排出を行い、最後に空気を導入して滅菌作業を完了する。
この実施例の場合には、滅菌槽(1) 内に導入されて水分を取り込んだ過熱蒸気を、この過熱蒸気の排出ごとに滅菌槽(1) の外に排出することができるため、被滅菌物の乾燥の度合を高めることができる。
【0036】
図4に示す第3実施例は、後処理行程において、過熱蒸気を導入するに先立って、滅菌槽(1) 内を真空吸引するものである。
具体的には、図2に示す第1実施例と同様に、滅菌行程終了後、飽和蒸気供給弁(8) を閉じ、排気弁(29)を開放することにより、滅菌槽(1) 内の蒸気圧力を利用して飽和蒸気の排出を行うが、滅菌槽(1) 内の圧力が大気圧に近づけば、排気弁(29)を閉じ、真空制御弁(27)を開くことにより、滅菌槽(1) 内に充満する過熱蒸気を、真空吸引によって排出する。
この操作によって、滅菌行程時に滅菌槽(1) 内部に発生したドレンも同時に吸引除去され、次の過熱蒸気の導入前に、滅菌槽(1) 内の液滴分の残留量を減じておくことにより、過熱蒸気による効果を促進するものである。この後、過熱蒸気を導入するが、この導入の形態は、前記のパージの形態であっても、また、大気圧まで、或はそれ以上の圧力に導入するものであってもよい。
尚、この第3実施例の場合も、滅菌槽(1) からの過熱蒸気の排出の際には、冷却装置(20)を作動させ、滅菌槽(1) からの蒸気を凝縮水として排出するのが好ましい。
【0037】
【発明の効果】
この発明によれば、後処理行程において滅菌槽内に過熱蒸気を導入し、満たすようにしたから、過熱蒸気の保有する熱量により被滅菌物を効果的に加熱することができるとともに、この過熱蒸気内に取り込める液滴分を増加するため、滅菌行程後に被滅菌物に付着、或は残留している水分を効果的に除去できる。
従って、乾燥に要する時間を短縮することができ、後処理行程が大幅に短縮されるため、滅菌作業自体の短縮を大幅に図れ、更に、従来のように、滅菌作業終了後の被滅菌物を、別の乾燥装置を使用して乾燥させる等の不要な行程を無くすることができる。
更に、後処理行程時において過熱蒸気を導入するに際して、前記滅菌槽内に所定の圧力まで導入し、この圧力を一定時間保持することにより、この過熱蒸気を被滅菌物(特に布帛等の場合)の内部までに均一に浸透させることができ、乾燥が効果的に行なわれる。
加えて、後処理行程時において、過熱蒸気の導入、及び排出を複数回繰返し行うことにより、この過熱蒸気の排出ごとに、過熱蒸気内に取り込んだ液滴分を滅菌槽の外に排出することができるため、前記被滅菌物からの分離の度合を高めることができる。
また、この発明においては、過熱蒸気を滅菌槽内に導入するものであるため、被滅菌物を直接的に、均一に作用させることができることから、前述の水分の相変化による水分の除去を均一に、ムラ無く行える。
この発明に係る蒸気滅菌器によれば、過熱蒸気の排出の際にこの過熱蒸気を凝縮させながら排出するようにしたため、この排出操作は、短時間で効率よく行えるため、後処理行程の時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る蒸気滅菌器の運転方法を適用する蒸気滅菌器の一例を示す説明図である。
【図2】この発明に係る蒸気滅菌器の運転方法における運転要領の第1実施例を説明するための図面である。
【図3】この発明に係る蒸気滅菌器の運転方法における運転要領の第2実施例を説明するための図面である。
【図4】この発明に係る蒸気滅菌器の運転方法における運転要領の第3実施例を説明するための図面である。
【符号の説明】
(1) 滅菌槽
(4) 気水分離器
(7) 過熱蒸気供給弁
(8) 飽和蒸気供給弁
(9) 熱交換器
(18) 排出ライン
(20) 冷却装置
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば医療用の機材,布類等を滅菌する蒸気滅菌器における運転方法に関し、更に詳しくは、滅菌処理後の被滅菌物の乾燥状態を改善した蒸気滅菌器における運転方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、蒸気滅菌器は、被滅菌物を滅菌槽内に密閉収納し、この滅菌槽に蒸気を送り込むことによって加熱殺菌するもので、この滅菌行程に先立つ前処理行程として、滅菌槽とこれに収容した被滅菌物の予熱と、滅菌槽の空気を排除している。前記被滅菌物の予熱は、滅菌行程時に送り込まれる蒸気の凝縮を抑制するためであり、空気の排除は、滅菌行程において供給される蒸気を被滅菌物の内部まで作用させるためである。
【0003】
前記滅菌行程は、上述のように滅菌槽内に蒸気を送り込む行程であり、前処理行程において予熱か十分行なわれたとしても、被滅菌物に若干量の水分が付着する。即ち、蒸気滅菌法では、蒸気が被滅菌物と接触して凝縮する際に放出される熱を利用することにより、被滅菌物を加熱し、滅菌するものであるため、前行程の予熱行程で充分に予熱が行なわれたとしても若干量の水滴が生じてしまう。尤も、予熱行程における予熱が不十分な場合には、より大量の水滴が発生するのはいうまでもない。
【0004】
そのため、滅菌行程の後に、滅菌行程において凝縮して被滅菌物に付着した液滴を乾燥させる後処理行程を遂行している。この後処理行程においては、滅菌槽を減圧した状態で加熱することにより液滴分を蒸発をさせる、所謂真空乾燥の原理を利用して乾燥を行っており、この際の加熱源として、滅菌槽周囲に設けた蒸気ジャケットや滅菌槽内に設置したヒータが利用される。
しかし、蒸気ジャケットを設けたものにおいては、滅菌槽内壁面からの輻射熱と滅菌槽内の自然対流によって減圧下の被滅菌物を加熱し、水分の蒸発を促進させるものであり、患者用衣服や手術衣等の被滅菌物をカストと呼ばれる滅菌用金属缶内に収容して滅菌されるが、被滅菌物の内部やカストの底部は空気の流通が妨げられるため充分に乾燥できず、被滅菌物が濡れたままの状態であったり、カスト内に凝縮水が溜まる場合がある。また、滅菌槽内にヒータを設けたものにおいては、滅菌槽内の被滅菌物を均一に加熱することが難しく、ヒータの正面に対向する位置の被滅菌物のみがヒータからの熱によって加熱されるため、乾燥ムラが生じてしまう。
【0005】
又、これらの方法によってカスト内まで充分に乾燥するだけの時間をとろうとすれば、乾燥に要する時間が非常に長いものになり、実際の使用にそぐわない。しかも、この乾燥は、一般に上述のような真空乾燥方式であり、水封式の真空ポンプ等によって滅菌槽内の空気を排出し滅菌槽内を減圧しているため、真空ラインの洩れ等もあって、長時間を要していた。
即ち、蒸気滅菌器においては、滅菌後、主に被滅菌物を乾燥させるために行なわれる後処理行程には長時間を要し、この行程の所要時間の短縮が蒸気滅菌器の効率的な運用上、重要な問題となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は解決しようとする課題は、滅菌行程実行時に滅菌槽内の被滅菌物に付着した水分を短時間で除去し、被滅菌物を乾燥することのできる蒸気滅菌器の運転方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明は、滅菌槽内に収容した被滅菌物を滅菌する滅菌行程の後、被滅菌物を乾燥さ
せるための後処理行程を実行する蒸気滅菌器において、前記後処理行程の実行時に過熱蒸気を滅菌槽内に導入し、滅菌槽を過熱蒸気で満たした後、滅菌槽から排出することによって上述課題を解決するものである。
更に、この後処理行程の実行時において、滅菌槽内に過熱蒸気を導入すると同時に、滅菌槽内からこの過熱蒸気を排出することによって、滅菌槽内を過熱蒸気でパージすることにより、被滅菌物からの液滴を分離しながら排出するものである。
更に、前記後処理行程の実行時において、滅菌槽内に導入する過熱蒸気は、滅菌槽内に所定の圧力まで加圧状態で導入し、この圧力を一定時間保持した後、滅菌槽から排出することにより、前記被滅菌物からの液滴分の分離を促進するものである。
更に、後処理行程の開始時には、過熱蒸気の導入前に、滅菌槽を減圧することにより、滅菌槽内の蒸気を一旦排出し、液滴分を減じておくことにより、上述の液滴の分離を促進するものである。
更に、前記後処理行程の実行時において、過熱蒸気の導入後、滅菌槽内を減圧することによって、過熱蒸気を排出することにより、被滅菌物に付着する液滴の気化を促進させるようにしたものである。
更に、後処理行程時において、過熱蒸気の導入、及び排出を複数回繰返し行なうことにより、順次、被滅菌物の乾燥の度合を高めるようにしたものである。
更に、後処理行程の実行時において、過熱蒸気の導入、或は排出の前後に、滅菌槽内に過熱蒸気を導入すると同時に、滅菌槽内からこの過熱蒸気を排出することによって、滅菌槽内を過熱蒸気でパージすることにより、被滅菌物からの液滴の除去効率を高めるものである。
以上に加えて、後処理行程の実行時において、前記滅菌槽からの過熱蒸気の排出の際には、この蒸気を凝縮させながら排出することにより、排出される流体の体積を減じることによって排出を迅速に行わせるものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
この発明は、蒸気滅菌器の滅菌行程後の後処理行程に適用されるもので、この後処理行程とは、前述のように滅菌行程の後に、被滅菌物に付着する等して滅菌槽内に残留する水滴分を除去する行程を指す。
そして、この後処理行程において、過熱蒸気を滅菌槽内に導入し、滅菌槽内を過熱蒸気で満たすことにより、滅菌行程時に被滅菌物の表面に付着した水滴を完全に除去するもので、これにより滅菌物を滅菌槽から取出後、別の乾燥装置によって乾燥させる等の無駄な作業を無くし、乾燥に要する時間を短縮する。
即ち、後処理行程において、滅菌槽内を過熱蒸気で満たすことは、滅菌槽内の空間を気相の水で満たすことであり、被滅菌物に付着する水滴と同じ物質とすることである。従って、被滅菌物に付着している水滴は、過熱蒸気の保有する熱によって直接液相から気相に変化し、被滅菌物から迅速に除去される。
【0009】
しかも、この液滴分の除去は、前述の蒸気ジャケットやヒータ等による輻射熱による蒸発や、滅菌槽内の減圧による蒸発の促進に頼るものではなく、過熱蒸気により直接的に加熱し相変化させるものであるため、滅菌行程後に被滅菌物に付着している水分を効率良く除去することができる。
従って、蒸気滅菌器における後処理行程の短縮が図れ、更に、被滅菌物の内部まで乾燥行程時の過熱蒸気の熱を作用させることができるため、被滅菌物に付着した液滴分を効果的に除去することができる。
【0010】
また、滅菌槽内に導入する過熱蒸気の圧力,温度条件は、高圧であるほど、高温であるほどより大きな効果を発揮するが、被滅菌物の形態や材質の他、この発明を適用する蒸気滅菌器の構造や用途によって決定する。即ち、被滅菌物が温度により変形や劣化を生じるものである場合には、温度を比較的低く設定する。また、既存の蒸気滅菌器に適用する場合には、この蒸気滅菌器の耐圧限界を考慮してその圧力を決定する。
【0011】
更に、後処理行程時において過熱蒸気を導入するに際して、前記滅菌槽内に所定の圧力まで導入した状態で、滅菌槽への蒸気の供給を停止することによって、この圧力を一定時間保持することにより、この過熱蒸気を被滅菌物(特に布帛等の場合)の内部までに均一に浸透させることができる。
更に、この後処理行程時に、過熱蒸気を滅菌槽内を通過させる操作、即ち、滅菌槽に過熱蒸気を供給する際に排気管等を開放することによるパージ操作を行うことにより、この後処理行程において、この過熱蒸気を被滅菌物(特に布帛等の場合)の内部まで均一に浸透させ、滅菌行程時に付着した液滴分を気化させながら排出することができる。また、この時、ディフューザ等の拡散手段を用いることにより、滅菌槽全体にまんべんなく過熱蒸気を供給することにより、被滅菌物に均一に作用させ、所要時間の短縮を図る。
【0012】
また、後処理行程時において、過熱蒸気の導入、及び排出を1回だけでなく複数回繰返し行うことにより、過熱蒸気の排出ごとに、過熱蒸気内に取り込んだ液滴分を滅菌槽の外に排出することができるため、前記被滅菌物からの分離の度合を高めることができる。尚、このように過熱蒸気の導入、及び排出を複数回繰返し行う場合、その何れかの回の導入時に際して、前記滅菌槽内における過熱蒸気の圧力を一定時間保持するように制御してもよい。このように過熱蒸気の導入を複数回行う場合、その何れかの回の導入時に際して、前記滅菌槽内における過熱蒸気の圧力を一定時間保持するように制御する場合は、蒸気の使用量を削減することができる。
更に、過熱蒸気を導入する前に滅菌槽内を真空吸引し、液滴分の残留量を減じておくことにより、過熱蒸気による効果を促進することも可能である。
【0013】
また、この発明において、過熱蒸気を得るための手段としては、飽和蒸気を更に加熱したり、急激に減圧する等の公知の手段を利用する。例えば、飽和蒸気を加熱する場合、蒸気滅菌器が蒸気を使用するものにおいては、この蒸気滅菌器に元来付設されている蒸気発生器からの蒸気と熱交換することによって加温する。具体的には、過熱蒸気の供給配管の途中に熱交換器を設け、この熱交換器に前記の蒸気を供給することにより加熱する方法である。これらの方法は、特に蒸気滅菌器において、既存の装置を利用できる上で有効である。
また、飽和蒸気を減圧することにより過熱蒸気を得るための手段としてには、一般的な減圧弁を使用する他、飽和蒸気を滅菌槽内に導入する際に、前記滅菌槽の圧力を飽和蒸気の圧力より低く設定しておけば、この飽和蒸気が滅菌槽内に流入した時点で急激に減圧されて過熱蒸気を得ることができる。
また、一部の蒸気滅菌器のように、滅菌槽内の加熱(或は予熱)や、蒸気の発生に電熱手段を使用するものにおいては、この電熱手段の一部、或は新たに別置した電熱手段によって飽和蒸気を加熱して過熱蒸気を得る。この電熱手段としては、電気ヒータが一般的であるが、その他に誘導加熱、誘電加熱の原理を利用した加熱手段を利用することができる。
【0014】
更に、前記過熱蒸気の供給状態を監視するには、蒸気滅菌器に備わっている温度検出手段や圧力検出手段を用いることにより、滅菌槽内における運転状態の検出を行うことができるが、これらとは別個に過熱蒸気の供給配管に取付けて監視することができる。また、前述のように滅菌槽内に過熱蒸気を導入したあと、この状態を保持する場合には、適宜のタイマー手段によってこの状態を保持する時間を設定する。
【0015】
更に、この発明においては、滅菌槽から過熱蒸気を排出する際にこれを凝縮させながら排出することにより、効率よく迅速に排出することができる。即ち、蒸気よりも比容積の小さい凝縮水の形で排出することにより排出時間の短縮化と効率改善を行うことができる。
この冷却手段としては、周知のものが種々適用できるが、急速に冷却する必要性から、水等を冷却媒体とした熱交換器を利用する。また、滅菌槽内を排気や排水のために吸引する手段としては、周知の真空ポンプを利用できるが、このような蒸気滅菌器からは、過熱蒸気だけでなく飽和蒸気や液滴分を含まれるため、水封式の真空ポンプや、流体圧を利用したエゼクタ形式の真空ポンプ(例えば、ジェットポンプ)を用いる。この際、使用水量の点からは、水封式真空ポンプが有利であるが、ジェットポンプを利用し、その作動のための流体に水を選択した場合には、冷却装置を兼用させることもできる。
【0016】
【実施例】
以下、この発明の具体的実施例について図面を参照しながら説明する。尚、図1は、この発明に係る蒸気滅菌器の運転方法を適用した蒸気滅菌器の一例を示す説明図、図2は、この発明に係る蒸気滅菌器の運転方法における運転要領の第1実施例を説明するための図面である。
【0017】
図面において、被滅菌物を収容するための滅菌槽(1) は、その周囲を取り囲む蒸気ジャケット(2) を備えている。前記滅菌槽(1) には、耐圧扉(図示省略)を設けた被滅菌物の出入口があり、この耐圧扉を閉じることで滅菌槽(1) 内を完全に密閉することができる。
前記蒸気ジャケット(2) には、各行程に使用する飽和蒸気が通る第1給蒸ライン(3) を接続してあり、この第1給蒸ライン(3) には、蒸気流れ方向上流側から順に気水分離器(4) ,第1給蒸弁(5) ,圧力調整のための給蒸圧調整弁(6) を接続してある。この気水分離器(4) は、蒸気発生器からの蒸気の乾き度を向上させるもので、これにより、第1給蒸ライン(2) 以降の蒸気の流通路内に必要以上のドレンが生じるのを防止し、滅菌行程での水滴の付着を抑制するものである。
この給蒸圧調整弁(6) の下流側には、過熱蒸気供給弁(7) ,並びに飽和蒸気供給弁(8) を並列に接続し、その下流には第1給蒸ライン(2) 内の蒸気加熱用の熱交換器(9) を接続してある。ここで、前記過熱蒸気供給弁(7) を通過する蒸気流量は、飽和蒸気供給弁(8) を通過する蒸気流量よりも少なくなるように設定してある。前記第1給蒸ライン(3) における給蒸圧調整弁(6) の下流には、第1給蒸ライン(3) から蒸気ジャケット(2) に蒸気を供給するための第2給蒸ライン(10)を接続してあり、この第2給蒸ライン(10)の途中には、第2給蒸弁(11)を接続してある。
更に、滅菌槽(1) には、一端に空気フィルタ(12)を備えた給気ライン(13)を接続してあり、この給気ライン(13)の途中には給気弁(14)を接続してある。
【0018】
前記熱交換器(9) には、前記第1給蒸ライン(3) から分岐する第3給蒸ライン(15)を接続してあり、この第3給蒸ライン(15)の途中に接続した第3給蒸弁(16)の開閉制御によって、給蒸を制御する。前記第3給蒸ライン(15)からの蒸気は、熱交換器(9) 内において、第1給蒸ライン(3) 内の蒸気を加熱した後、第1ドレンライン(17)を介して後述の排出ライン(18)に合流する。この第1ドレンライン(17)の途中には、第1スチームトラップ(19)を接続し、排出ライン(18)にはドレンのみを排出する構成となっている。
【0019】
前記排出ライン(18)はその上流端を滅菌槽(1) に接続してあり、途中に冷却装置(20)を備えている。
前記冷却装置(20)は、この実施例では冷却液を一方の熱媒体とする熱交換器として例示するもので、途中に冷却弁(24)を備えた冷却液供給ライン(25)と排水ライン(26)とを接続してある。この冷却装置(20)の動作は、冷却制御弁(24)の開閉操作により冷却液等の供給の継断によって行う。尚、排水ライン(26)は前記排出ライン(18)と合流させてもよい。
【0020】
この排出ライン(18)は、前記冷却装置(20)の下流側で、真空ライン(21)、排気ライン(22),及び第2ドレンライン(23)の3系統に分岐する。
前記真空ライン(21)には真空制御弁(27),及び真空ポンプ(28)を接続し、前記排気ライン(22)には排気弁(29)を接続し、第2ドレンライン(23)には第2スチームトラップ(30)を挿入している。
更に、前記排出ライン(18)には、前記気水分離器(4) から延びる第3ドレンライン(31)、並びに、蒸気ジャケット(2) から延びる第4ドレンライン(32)を接続してある。前記第3ドレンライン(31)の途中には、第3スチームトラップ(33)を挿入してあり、また、第4ドレンライン(32)の途中には、第4スチームトラップ(34)を挿入してある。これらの第3,第4ドレンライン(31)(32)の排出ライン(18)への接続個所は、前記真空ライン(21)、排気ライン(22),及び第2ドレンライン(23)が再び合流した排出ライン(18)の下流側としてある。
【0021】
更に、蒸気滅菌器には、滅菌器の運転を制御するための制御装置(40)を設けてあり、この制御装置(40)は、蒸気滅菌器の運転状態を監視する検出手段からの信号により、予め設
定された手順に基づいて真空ポンプ(28)や各弁を適切に制御する。尚、図示する実施例においては、前記検出手段として、前記滅菌槽(1) 内の圧力を監視する圧力検出手段(41)と、前記滅菌槽(1) 内の温度を排出ライン(18)内のドレン温度に基づいて監視する温度検出手段(42)を例示している。
【0022】
以上のような構成において、滅菌槽(1) に被滅菌物を搬入後、次の手順に従って滅菌作業を行う。尚、以下の説明において、各弁はその動作を明記してなければ基本的に閉じているものとする。また、滅菌槽(1) 内の圧力変化を図2を参照しながら説明する。尚、滅菌槽(1) 内に導入する過熱蒸気の圧力や温度は、後述のように、高いほど好適であるが、被滅菌物の形態や材質の他、この発明を適用する蒸気滅菌器の構造や用途によって決定する。例えば、一般的な市販の医療用蒸気滅菌器では、その耐圧が2.5kg/cm2 G程度であることから、過熱蒸気の圧力は2.2Kg/cm2 G程度に設定する。一方、新規に製造する蒸気滅菌器に適用する場合には、このような制限にはとらわれない。また、滅菌行程において供給する飽和蒸気の圧力も同様である。
さて、以下の実施例では、過熱蒸気、及び飽和蒸気は滅菌槽(1) 内に同じ設定圧力まで供給されるものとして説明する。
【0023】
先ず、前処理行程を行うが、具体的操作としては、第1給蒸弁(5) 、並びに第2給蒸弁(11)を開いて、第2給蒸ライン(10)から蒸気ジャケット(2) 内に蒸気を送給する。そして、第3給蒸弁(11)を開放して第3給蒸ライン(15)から熱交換器(9) への給蒸を開始する。
この状態では、第1給蒸ライン(3) を流れる飽和蒸気は、気水分離器(4) によって液滴分(飽和蒸気)が除去されて乾き度が向上しており、この際に分離された液滴分は、第3ドレンライン(31)から排出ライン(18)を介して排出される。
従って、蒸気ジャケット(2) ,並びに熱交換器(9) には乾き度の高い飽和蒸気が供給されることになり、蒸気ジャケット(2) 内に供給される蒸気は滅菌槽(1) を加熱し、また、熱交換器(9) 内に供給される蒸気は、第1給蒸ライン(3) 内の飽和蒸気を加熱する。
【0024】
そして、過熱蒸気供給弁(7) ,並びに排気弁(29)を開放すると、第1給蒸ライン(3) 内の飽和蒸気は、滅菌槽(1) に向けて流れ、その途中の熱交換器(9) において加熱されて過熱蒸気となる。そして、滅菌槽(1) 内に流入すると減圧されて膨張し、更に過熱度が高まる。この過熱蒸気の導入により、滅菌槽(1) 内の空気は、排出ライン(18)に向けて押し出され、排出ライン(18)から排気ライン(22)を経て排出される。
このように、過熱蒸気を滅菌槽(1) 内に導入し、そのまま排出する(所謂パージ)ことにより、比重の大きい空気は、比重の小さい過熱蒸気によって上方から下方に向けて押し出されるようにして排気ライン(18)から空気の排出が行なわれるほか、滅菌槽(1) 及び耐圧扉が内側から加熱され、被滅菌物も加熱される。
ここで、前記のように過熱蒸気供給弁(7) を通過する蒸気流量を、飽和蒸気供給弁(8) を通過する蒸気流量よりも少なく設定してあるため、滅菌槽(1) 内に流入する過熱蒸気は、滅菌槽(1) 内に残留する空気を攪拌すること無く、この空気を排出ライン(18)に押し出すことになる。
【0025】
以上のパージ操作を一定時間行なった後、排気弁(29)を閉じると、滅菌槽(1) 内の圧力は、過熱蒸気の導入とともに図2に示すように上昇する。過熱蒸気の供給は、滅菌槽(1) 内が前記の設定圧力となるまで継続し、この圧力に到達した時点で、排気弁(29)を開放して過熱蒸気の排出を行う。この排出の際には、滅菌槽(1) に残留する空気が再び過熱蒸気によって押し出されるようにして、排除される。そして、滅菌槽(1) 内が略大気圧まで低下し、内部の過熱蒸気が略排出されると、前記排気弁(29)を閉じ、前記と同様の手順で過熱蒸気の導入、及び排出を行う。この過熱蒸気の導入と排出の繰返しにより、滅菌槽(1) 内、特に被滅菌物内に取込まれている空気の排除を行う。この排気、及び蒸気導入を交互に数回繰り返し行うことで、被滅菌物中に含まれる空気を十分に排出し、後の滅菌行程における蒸気の加熱むら等を軽減する。
【0026】
この際の被滅菌物の加熱は、従来のような蒸気ジャケットによる滅菌槽(1) 内壁からの輻射熱によるものではなく、過熱蒸気により直接的に加熱されるため、滅菌行程に入る前に被滅菌物を確実に昇温することができ、この際に滅菌物に付着していた水分を除去することができる。従って、前処理行程の短縮が図れるとともに、次の滅菌行程では、被滅菌物の内部まで蒸気を作用させることができ、更に滅菌行程終了後の後処理行程の短縮が図れることになる。
また、前処理行程において、過熱蒸気の導入、及び排出を複数回繰返し行うことにより、過熱蒸気の排出ごとに過熱蒸気内に取り込んだ水分を滅菌槽(1) の外に排出することができるため、前記被滅菌物の乾燥の度合を高めることができ、これにより、被滅菌物の内部まで予熱することができる。特に、このように過熱蒸気の導入、及び排出は、過熱蒸気供給弁(7) 並びに排気弁(29)の開閉操作のみによって行なうことができるため、従来のように真空吸引によって空気を排出するもののように水封式真空ポンプのような真空吸引手段を不要とする。
【0027】
この際、過熱蒸気の排出に際して、冷却弁(24)を開放し、冷却装置(20)に冷却水を供給することにより、排出ライン(18)内に流入した過熱蒸気を冷却し急速に凝縮させることによって排出時間を短縮し、効率を向上させることができる。また、このときの過熱蒸気の供給状態は、蒸気滅菌器に備わっている圧力検出手段(41)や温度検出手段(42)により検出し、制御装置(40)によって前記各制御弁を開閉制御することにより行う。
【0028】
前記までの操作により、被滅菌物、及び滅菌槽(1) 内は、十分暖められ、しかも、内部の空気の排出する排気処理が完了する。この際には、過熱蒸気による予熱操作と空気の排出操作が同時に行われており、次行程の滅菌行程においては過熱蒸気に替えて飽和蒸気を導入する。
この切替えは、前処理行程で、滅菌槽(1) 内の空気を充分に排除した後、排気弁(29)を閉鎖し、過熱蒸気供給弁(7) を閉じて飽和蒸気供給弁(8) を開放する。この時、熱交換器(9) への蒸気の供給は第3給蒸弁(16)を閉鎖することにより停止しておく。以上の操作により飽和蒸気を滅菌槽(1) 内に充満させ、滅菌槽(1) 内が前記設定温度に対応する飽和蒸気温度になれば、滅菌時間のカウントを開始し、この状態を滅菌処理に必要な時間保持する。
この滅菌行程において、被滅菌物は、前処理行程において十分に加熱されているために、第1給蒸ライン(3) から供給される飽和蒸気が被滅菌物の表面に接して凝縮することはなく、水滴の発生が防止される。そのため、被滅菌物の内部まで蒸気の熱を作用させることができ、滅菌効果が確実なものとなる。
【0029】
この滅菌行程から後処理行程に移行する際には、飽和蒸気供給弁(8) を閉じる一方、排気弁(29)を開放することにより、滅菌槽(1) 内の蒸気圧力を利用して飽和蒸気の排出を行う。そして、前記滅菌槽(1) 内の圧力が前記圧力検出手段(41)によって大気圧に近づいたことが検出されると、第3給蒸弁(16)を開いて熱交換器(9) に飽和蒸気を供給するとともに過熱蒸気供給制御弁(7) を開いて、滅菌槽(1) 内に過熱蒸気を供給し、この操作により前述の過熱蒸気によるパージ操作を行う。
【0030】
この後処理行程におけるパージ操作によると、これまでに滅菌槽(1) 内の空気が排除されているために、滅菌槽(1) は過熱蒸気のみで満たされる。
このように、滅菌槽(1) 内に過熱蒸気を導入することは、滅菌槽内の空間を気相の水で満たすことであり、被滅菌物に付着している水滴(液滴分)と同質のものとすることである。従って、被滅菌物に付着する水滴は、過熱蒸気からの熱により、液相から気相に相変化して過熱蒸気の一部として取り込まれ、この状態で過熱蒸気とともに排出される。即ち、従来の蒸気滅菌器のように、被滅菌物に付着する水滴が、減圧下において、滅菌槽(1) 内壁や滅菌槽(1) 内のヒータからの輻射熱や、空気を介して伝達される熱によって蒸発した後、空気中に拡散し、この空気とともに排出されるというプロセスに比べて、極めて簡単なプロセスによって水滴の排出が行なわれるため、被滅菌物の乾燥が効率良く、短時間で行なわれる。更に、この過熱蒸気は、それ自体が多くの熱量を保有するため、上述の滅菌行程後に被滅菌物に付着している液滴分の除去を更に促進する。従って、被滅菌物の乾燥が短時間で確実に行なわれる。
【0031】
このパージ操作を一定時間行った後、冷却弁(24)を開放して冷却装置(20)を作動させるとともに、真空ポンプ(28)を作動させた状態で、過熱蒸気供給弁(7) ,並びに第3給蒸弁(16)を閉じ、更に、真空制御弁(27)を開放することにより、滅菌槽(1) 内に残留する蒸気(過熱蒸気を含む。)を排出する。この際、前記の冷却装置(28)の作動により、排出ライン(18)内に流入した過熱蒸気を含む蒸気は、この冷却装置(20)により急速に凝縮し、蒸気よりも比容積の小さい凝縮水の形で排出することにより排出時間の短縮化と効率改善を行うことができる。また、この凝縮にのみよっても、滅菌槽(1) 内を真空吸引することができる。このことにより水封式真空ポンプ(28)の小型化、更には省略が可能となる。
【0032】
そして、滅菌槽(1) 内を所定の圧力まで真空吸引して蒸気を排出した後、冷却弁(24),真空制御弁(27)を閉じ、給気弁(14)を開いて滅菌槽(1) を空気フィルタ(12)を介して外部と通じさせ、大気圧と同圧にする。更に、第1給蒸弁(5) を閉じ、蒸気ジャケット(2) への給蒸を停止する。この後、滅菌槽(1) の耐圧扉を開いて被滅菌物を取り出し、全行程が終了する。
以上の過熱蒸気の供給状態や、排気状態は、前述したように蒸気滅菌器に備わっている温度検出手段(41)や、圧力検出手段(42)からの信号に基づき、制御装置(40)によって各弁や真空ポンプ(28)を制御することによって行う。また、滅菌槽(1) 内に過熱蒸気を導入した後、この状態を保持する時間は、この制御装置(40)に適宜のタイマー手段(図示省略)を組込むことによって設定する。
【0033】
以上のように、被滅菌物の乾燥が短時間で確実に行なわれることにより、後処理行程の短縮化が図れることになり、滅菌作業自体の短縮を大幅に図れることになる。
更に、前記の過熱蒸気の導入、及び排出は、過熱蒸気供給弁(7) や排気弁(29)等の開閉操作のみによっても行なうことができるため、従来のように真空吸引によって空気を排出するもののように水封式真空ポンプのような真空吸引手段を不要とする。また、以上の構成によれば、蒸気滅菌器における滅菌行程後の後処理行程の短縮が図れ、しかも、従来の真空乾燥の原理による後処理行程のように、空気の導入と排出の繰返しが不要であるため、従来に比べて無菌フィルタの寿命が高まる。
【0034】
更に、図3,図4を参照しながら、この発明に係る蒸気滅菌器の運転方法の他の第2,第3実施例を説明する。尚、図3は、この発明に係る蒸気滅菌器の運転方法における運転要領の第2実施例を説明するための図面、図4は、運転要領の第3実施例を説明するための図面である。
【0035】
先ず、図3に示す第2実施例は、後処理行程において、過熱蒸気の導入と排出を複数回(図示する例では2回)繰り返して行うものである。
即ち、図2に示す第1実施例と同様に滅菌槽(1) 内を過熱蒸気によってパージした後、冷却装置(20)、及び真空ポンプ(28)を作動させた状態で、過熱蒸気供給弁(7) ,並びに第3給蒸弁(16)を閉じ、更に、真空制御弁(27)を開放することにより、滅菌槽(1) 内に残留する蒸気(過熱蒸気を含む。)を排出する。そして、滅菌槽(1) 内を所定の圧力まで真空吸引して蒸気を排出した後、冷却弁(24),真空制御弁(27)を閉じ、再度過熱蒸気を供給した後、この蒸気の排出を行い、最後に空気を導入して滅菌作業を完了する。
この実施例の場合には、滅菌槽(1) 内に導入されて水分を取り込んだ過熱蒸気を、この過熱蒸気の排出ごとに滅菌槽(1) の外に排出することができるため、被滅菌物の乾燥の度合を高めることができる。
【0036】
図4に示す第3実施例は、後処理行程において、過熱蒸気を導入するに先立って、滅菌槽(1) 内を真空吸引するものである。
具体的には、図2に示す第1実施例と同様に、滅菌行程終了後、飽和蒸気供給弁(8) を閉じ、排気弁(29)を開放することにより、滅菌槽(1) 内の蒸気圧力を利用して飽和蒸気の排出を行うが、滅菌槽(1) 内の圧力が大気圧に近づけば、排気弁(29)を閉じ、真空制御弁(27)を開くことにより、滅菌槽(1) 内に充満する過熱蒸気を、真空吸引によって排出する。
この操作によって、滅菌行程時に滅菌槽(1) 内部に発生したドレンも同時に吸引除去され、次の過熱蒸気の導入前に、滅菌槽(1) 内の液滴分の残留量を減じておくことにより、過熱蒸気による効果を促進するものである。この後、過熱蒸気を導入するが、この導入の形態は、前記のパージの形態であっても、また、大気圧まで、或はそれ以上の圧力に導入するものであってもよい。
尚、この第3実施例の場合も、滅菌槽(1) からの過熱蒸気の排出の際には、冷却装置(20)を作動させ、滅菌槽(1) からの蒸気を凝縮水として排出するのが好ましい。
【0037】
【発明の効果】
この発明によれば、後処理行程において滅菌槽内に過熱蒸気を導入し、満たすようにしたから、過熱蒸気の保有する熱量により被滅菌物を効果的に加熱することができるとともに、この過熱蒸気内に取り込める液滴分を増加するため、滅菌行程後に被滅菌物に付着、或は残留している水分を効果的に除去できる。
従って、乾燥に要する時間を短縮することができ、後処理行程が大幅に短縮されるため、滅菌作業自体の短縮を大幅に図れ、更に、従来のように、滅菌作業終了後の被滅菌物を、別の乾燥装置を使用して乾燥させる等の不要な行程を無くすることができる。
更に、後処理行程時において過熱蒸気を導入するに際して、前記滅菌槽内に所定の圧力まで導入し、この圧力を一定時間保持することにより、この過熱蒸気を被滅菌物(特に布帛等の場合)の内部までに均一に浸透させることができ、乾燥が効果的に行なわれる。
加えて、後処理行程時において、過熱蒸気の導入、及び排出を複数回繰返し行うことにより、この過熱蒸気の排出ごとに、過熱蒸気内に取り込んだ液滴分を滅菌槽の外に排出することができるため、前記被滅菌物からの分離の度合を高めることができる。
また、この発明においては、過熱蒸気を滅菌槽内に導入するものであるため、被滅菌物を直接的に、均一に作用させることができることから、前述の水分の相変化による水分の除去を均一に、ムラ無く行える。
この発明に係る蒸気滅菌器によれば、過熱蒸気の排出の際にこの過熱蒸気を凝縮させながら排出するようにしたため、この排出操作は、短時間で効率よく行えるため、後処理行程の時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る蒸気滅菌器の運転方法を適用する蒸気滅菌器の一例を示す説明図である。
【図2】この発明に係る蒸気滅菌器の運転方法における運転要領の第1実施例を説明するための図面である。
【図3】この発明に係る蒸気滅菌器の運転方法における運転要領の第2実施例を説明するための図面である。
【図4】この発明に係る蒸気滅菌器の運転方法における運転要領の第3実施例を説明するための図面である。
【符号の説明】
(1) 滅菌槽
(4) 気水分離器
(7) 過熱蒸気供給弁
(8) 飽和蒸気供給弁
(9) 熱交換器
(18) 排出ライン
(20) 冷却装置
Claims (8)
- 滅菌槽(1) 内に収容した被滅菌物を滅菌する滅菌行程の後、被滅菌物を乾燥させるための後処理行程を実行する蒸気滅菌器において、前記後処理行程の実行時に過熱蒸気を滅菌槽(1) 内に導入し、滅菌槽(1)を過熱蒸気で満たした後、滅菌槽 (1) から排出することを特徴とする蒸気滅菌器の運転方法。
- 前記後処理行程の実行時において、滅菌槽(1) 内に過熱蒸気を導入すると同時に、滅菌槽(1) 内からこの過熱蒸気を排出することによって、滅菌槽(1) 内を過熱蒸気でパージすることを特徴とする請求項1記載の蒸気滅菌器の運転方法。
- 前記後処理行程の実行時において、滅菌槽(1) 内に導入する過熱蒸気は、滅菌槽(1) 内に所定の圧力まで加圧状態で導入し、この圧力を一定時間保持した後、滅菌槽 (1) から排出することを特徴とする請求項1記載の蒸気滅菌器の運転方法。
- 前記後処理行程の開始時には、過熱蒸気の導入前に、滅菌槽(1) を減圧することを特徴とする請求項1,請求項2,又は請求項3記載の蒸気滅菌器の運転方法。
- 前記後処理行程の実行時において、過熱蒸気の導入後、滅菌槽(1) 内を減圧することによって、過熱蒸気を排出することを特徴とする請求項1,請求項2,又は請求項3記載の蒸気滅菌器の運転方法。
- 前記後処理行程時において、過熱蒸気の滅菌槽 (1) 内への導入、及び滅菌槽 (1) から排出を複数回繰返し行うことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の蒸気滅菌器の運転方法。
- 前記後処理行程の実行時において、過熱蒸気の導入、或は排出の前後に、請求項2記載のパージ操作を行うことを特徴とする請求項6記載の蒸気滅菌器の運転方法。
- 前記後処理行程の実行時において、前記滅菌槽(1) からの過熱蒸気の排出の際には、この蒸気を凝縮させながら排出することを特徴とする請求項1乃請求項7の何れかに記載の蒸気滅菌器の運転方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4039896A JP3596144B2 (ja) | 1996-02-01 | 1996-02-01 | 蒸気滅菌器の運転方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4039896A JP3596144B2 (ja) | 1996-02-01 | 1996-02-01 | 蒸気滅菌器の運転方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09206359A JPH09206359A (ja) | 1997-08-12 |
JP3596144B2 true JP3596144B2 (ja) | 2004-12-02 |
Family
ID=12579565
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4039896A Expired - Fee Related JP3596144B2 (ja) | 1996-02-01 | 1996-02-01 | 蒸気滅菌器の運転方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3596144B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8168132B2 (en) | 2006-07-07 | 2012-05-01 | Scican Ltd. | Apparatus and method for drying instruments using superheated steam |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20030014430A (ko) * | 2000-07-11 | 2003-02-17 | 가부시키가이샤 지요다 세이사쿠쇼 | 포화 수증기 발생장치, 증기멸균장치 및 증기멸균방법 |
JP2002035090A (ja) * | 2000-07-28 | 2002-02-05 | Chiyoda Manufacturing Co Ltd | 蒸気滅菌方法及び蒸気滅菌装置 |
JP5317015B2 (ja) * | 2009-03-30 | 2013-10-16 | 三浦工業株式会社 | 蒸気滅菌器 |
CN112028151A (zh) * | 2020-09-25 | 2020-12-04 | 成都英德生物医药设备有限公司 | 一种零排放批次生物废水灭活装置 |
CN117860924A (zh) * | 2024-01-10 | 2024-04-12 | 黄冈职业技术学院 | 一种实验室消毒装置 |
-
1996
- 1996-02-01 JP JP4039896A patent/JP3596144B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8168132B2 (en) | 2006-07-07 | 2012-05-01 | Scican Ltd. | Apparatus and method for drying instruments using superheated steam |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH09206359A (ja) | 1997-08-12 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP2038597B1 (en) | Apparatus and method for drying instruments using superheated steam | |
CN104081063B (zh) | 蒸气灭菌装置 | |
EP0992247B1 (en) | Autoclave | |
WO2002004860A1 (fr) | Generateur de vapeur saturee, sterilisateur de vapeur et procede de sterilisation de vapeur | |
JP3596144B2 (ja) | 蒸気滅菌器の運転方法 | |
JP5932967B2 (ja) | 蒸気滅菌装置 | |
JP2011131175A (ja) | 洗浄装置 | |
JP2001190642A (ja) | 蒸気滅菌装置 | |
JPH09266943A (ja) | 滅菌器の運転方法 | |
CN105073145B (zh) | 灭菌器 | |
JPH09266942A (ja) | 蒸気滅菌器の制御方法 | |
KR100386012B1 (ko) | 의료기구용 멸균장치 | |
KR102222736B1 (ko) | 스팀저장탱크를 구비한 고압살균기 및 고압살균방법 | |
JPH1015039A (ja) | 滅菌器 | |
JPH09173424A (ja) | 滅菌器の運転方法 | |
JP4452390B2 (ja) | 清浄蒸気発生装置及び蒸気滅菌装置 | |
JP3414252B2 (ja) | 蒸気滅菌装置の運転制御方法 | |
JP7035541B2 (ja) | 真空解凍装置 | |
JPH09173425A (ja) | 滅菌器の運転方法 | |
JP3512234B2 (ja) | 小型蒸気滅菌器 | |
JP2010184028A (ja) | 蒸気滅菌器 | |
JP2002126049A (ja) | 蒸気滅菌器の運転制御方法 | |
JP2001000511A (ja) | 蒸気滅菌器における給蒸方法およびその装置 | |
KR200223102Y1 (ko) | 의료기구용 멸균장치 | |
JP2002233565A (ja) | 蒸気滅菌器 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20040817 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20040830 |
|
R150 | Certificate of patent (=grant) or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080917 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090917 Year of fee payment: 5 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |