JP3593907B2 - 加熱式膜濾過設備 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱式膜濾過設備に係り、特に、水道水の浄水場、バイオ産業、医・薬関連設備から排出される感染性原虫類や有害微生物を含有する汚水を処理して水を放流可能とし、かつ除去した固形物をそのまま廃棄処分することのできる加熱式膜濾過設備に関する。
【0002】
【従来の技術】
凝集沈殿処理、砂濾過処理、塩素消毒処理等から構成された通常の浄水製造設備は、沈殿汚泥を含有する汚水や、砂濾過槽を洗浄した洗浄汚水等の汚水が発生する。そして、浄水能力が10000m3 /日以上の浄水製造設備から排出される汚水については、環境への配慮から水質汚濁防止法による排水規制の対象となっている。この為、汚水は、天日乾燥や機械脱水で脱水された後の固形物を埋め立てや盛土などで処分している。
【0003】
また、簡易水道向けの膜を用いた新しい浄水製造設備が、厚生省大型プロジェクト「MCA21計画」の中で開発され、実設備も稼働している。
ところで、近年、塩素による消毒処理に対して耐性を有する感染性原虫類であるクリプトスポリジウムによる水道原水の汚染問題が多くの国々で注目されてきている。
【0004】
クリプトスポリジウムとは、原生動物の原虫類に属する水系病原性生物で、そのオーシスト(嚢包体)は球形で3〜4μmといわれている。このオーシストは、経口摂取により体内に入り、腸粘膜の微絨毛の中に寄生して増殖し、下痢などの症状を引き起こす。
クリプトスポリジウムは、塩素に対する耐性が高く、80mg/Lの遊離塩素に90分接触させなければ90%不活性化することができないといわれている。この耐性レベルは、大腸菌の24万倍の塩素抵抗性に相当するので、一般の浄水場で実施されている遊離塩素による消毒方法では効果が期待できない。また、オゾンにより不活性化する場合には、1mg/Lのオゾンに5分間接触させればよいといわれている。しかし、様々な物質が混在する水道原水を処理する実際の浄水製造設備では、原水中に注入したオゾンはクリプトスポリジウムの殺菌以外に有機物等の酸化により消費されるので、クリプトスポリジウムを確実に殺菌することが難しい。ちなみに、感染性原虫類としては、クリプトスポリジウムの他にジアルディア、エキノコッカス等がある。
【0005】
このような背景から、厚生省は、「水道水中のクリプトスポリジウムに関する対策の実施について」(衛水第248号、平成8年10月4日)において、暫定対策指針を定め、水道事業者、水道用水供給事業者及び専用水道の設置者に対策が周知徹底できるように通知を出している。このなかで、浄水製造の際の徹底事項として「砂濾過出口の水の濁度を常時把握し、砂濾過出口の濁度を0.1度以下に維持する」ために、目詰まりの発生がなくても砂濾過池を定期的に洗浄する等の対策をあげている。即ち、凝集沈殿処理や砂濾過処理を行う浄水製造設備の場合、砂濾過池の濾過管理を安定して行うことにより、濾過水中にクリプトスポリジウムが検出される恐れを少なくさせることができる。一方、膜を用いた浄水製造設備の場合、使用される膜の孔径がクリプトスポリジウムのオーシストより1オーダ以上小さいため、オーシストは膜により除去される。
【0006】
このように、砂濾過処理の管理の徹底や膜濾過を用いることにより、砂濾過水中や膜濾過水中にクリプトスポリジウムのオーシストが残存するのを防止することは可能である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、原水が感染性原虫類等で汚染されている場合には、凝集沈殿処理により発生する汚泥を含有する汚水中、砂濾過材を洗浄した洗浄汚水中、或いは膜濾過により濃縮された濃縮液中に不活性化していない感染性原虫類が濃縮された状態で残存する。従って、このような汚水は、天日乾燥や薬品の処理により不活性化してからでないと処分できないという問題がある。天日乾燥は、安価な方法ではあるが、広い敷地面積を必要とし、高温多湿な地域や時期によっては十分な処理が行えないため根本的な解決にはならない。同様に、簡易水道向けの膜を用いた新しい浄水製造設備の膜濾過装置を洗浄した洗浄汚水についても感染性原虫類を含む可能性があり、不活性化する手段を備えることが望まれている。
【0008】
また、このような汚水を濃縮した濃縮液の最終処分に当たっては、減容化しないと処分費用が嵩むという問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、感染性原虫類等の微生物を含有する汚水を安全且つ確実に処理することができると共に、最終処分される汚水の減容化をも図ることのできる加熱式膜濾過設備を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために本発明の請求項1では、感染性原虫類を含有する汚水を濾過する設備において、前記汚水を前記感染性原虫類が死滅する温度で加熱しながら膜濾過して濾過液と濃縮液とに分離する膜濾過装置と、前記膜濾過装置から回収した廃熱を前記濃縮液を加熱乾燥する熱源の少なくとも1部に利用する乾燥装置と、から成ることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項1によれば、膜濾過装置で濾過する汚水を加熱して汚水中の感染性原虫類を殺菌するようにしたので、感染性原虫類を含有する汚水を安全且つ確実に処理することができると共に、汚水を加熱して濾過効率を上げることができる。しかも、膜濾過装置の廃熱を利用した乾燥装置を、膜濾過装置に組み込んで濃縮液を乾燥するようにしたので、省エネを図ることができると共に、濃縮された固体の処理が極めて容易になる。
【0011】
本発明の請求項2によれば、請求項1の膜濾過装置として回転平膜濾過装置を使用するので、濃縮液の濃縮倍率を高めることができる。この場合、中空回転軸に膜濾過部材を複数並設したもの同士を、膜濾過部材が交差するようにして回転させると、膜面の濃度勾配を強制的に低下させることができる。従って、濾過性能を向上させることができるので、濃縮液の濃縮倍率を一層高めることができる。中空糸膜濾過装置や平膜濾過装置の場合、濃縮液の含水率を98%以下にすることは難しいが、回転平膜濾過装置ならば90%以下にすることは可能である。そして、90%以下の濃縮液は汚泥状で粘調性があるので、乾燥装置のベルトコンベアでも容易に移送されて乾燥される。濃縮液を乾燥した乾燥汚泥の含水率を65%以下にすれば、そのまま廃棄処分することができる。
【0012】
前記目的を達成するために本発明の請求項3では、感染性原虫類を含有する汚水を膜濾過して1段目の濾過液と濃縮液とに分離する第1の膜濾過装置と、前記第1の膜濾過装置からの濃縮液を60°C以上の温度に加熱しながら膜濾過して2段目の濾過液と濃縮液とに分離する第2の膜濾過装置と、前記2段目の膜濾過装置から回収した廃熱を、前記2段目の濃縮液を加熱乾燥する熱源の少なくとも1部に利用する乾燥装置と、から成ることを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項3によれば、感染性原虫類含有汚水を第1の膜濾過装置で濃縮した後の1段目の濃縮液について、2段目の膜濾過装置で60°C以上の温度に加熱して膜濾過するようにした。これにより、加熱しなければならない対象水の量を減らせるので、省エネになる。また、1段目の濾過水には感染性原虫類は移行せず、COD成分や色度成分もカットされるので濾過水を使用する上で問題ない。更に、第2の膜濾過装置の廃熱を利用した乾燥装置を、膜濾過装置に組み込んで、2段目の濃縮液について加熱乾燥するようにしたので、乾燥装置での乾燥エネルギーも削減できる。
本発明の請求項4では、特に、感染性原虫類含有の可能性の高い凝集沈殿槽から発生する汚泥含有汚水及び/又は砂濾過槽の洗浄汚水にも適用するようにした。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って本発明の加熱式膜濾過設備の好ましい実施の形態について詳説する。
図1は、本発明に係る加熱式膜濾過設備の第1の実施の形態を説明する断面図で、膜濾過装置として回転平膜濾過装置を使用した場合である。
【0015】
図1に示すように、加熱式膜濾過設備10は、回転平膜濾過装置12と、回転平膜濾過装置12で膜濾過される汚水を加熱する加熱手段14と、回転平膜濾過装置12で濃縮された濃縮液を乾燥する乾燥装置16とで構成される。
回転平膜濾過装置12は、濾過容器18内に複数の中空回転軸20、20、20が回転自在に支持されると共に、各中空回転軸20の一端側が図示しない回転駆動源にそれぞれ接続される。各中空回転軸20の他端側は集水管22に連結され、集水管22が吸引ポンプ23に接続される。中空回転軸20にはその軸方向に所定間隔を置いて耐熱性の濾過膜24Aを備えた円板状の膜濾過部材24、24…が支持される。耐熱性の濾過膜24Aとしては、ステンレス製の金属膜、セラミックス膜の他に耐熱性の有機膜を使用することができる。金属膜やセラミックス膜の場合には膜の孔径は0.1〜0.5μm、有機膜の場合には0.5μm以下であることが好ましい。この回転平膜濾過装置12の構成において、回転駆動源と吸引ポンプ23を作動させると回転する膜濾過部材24内が負圧になるので、濾過容器18内に供給された汚水は、濾過膜24Aで吸引濾過される。濾過膜24Aで濾過された透過水は、膜濾過部材24内に導かれた後、中空回転軸20に穿設された通水孔を通って中空回転軸20内に流れ、集水管22に集水される。この場合、図1に示すように、異なる中空回転軸20の膜濾過部材24同士を交互にオーバーラップさせ、回転駆動源の作動によって中空回転軸20を回転させると、オーバラップ部分で汚水の乱流が発生するので、膜面の濃度勾配を強制的に低下させることができる。従って、濾過性能を向上させることができるので、濃縮液の濃縮倍率を一層高めることができる。
【0016】
濾過容器18の底板には、膜濾過により濃縮された汚泥状の濃縮液を排出する排泥管26の一端が接続され、排泥管26の他端が乾燥装置16に延設される。排泥管26には開閉バルブ27が設けられ、乾燥装置16に送られる濃縮液の排出量の調整を行う。濾過容器18の上板にはジョイント30を介して排気管32の一端が接続され、排気管32の他端が乾燥装置16の後記する温風吹出管34に接続される。そして、排気管32には送風機36が設けられると共に、加熱ヒータ33が設けられる。
【0017】
加熱手段14は、主として、濾過容器18内の底板近傍に配設された加熱管38、加熱管38に加熱空気、燃焼排ガス或いは過熱蒸気等の加熱媒体を送る配管40とで構成される。そして、濾過容器18内に供給された汚水中に加熱管38から例えば加熱空気が曝気され、汚水を60°C以上に加熱する。加熱源として、ボイラーの温かい排ガスを使用すると廃熱利用になる。また、蒸気を汚水に直接吹き込むこともできる。
【0018】
乾燥装置16は、主として、ケーシング42内に設けられたベルトコンベア44と、ベルトコンベア44上で移送される汚泥状の濃縮液に温風を吹きつけて濃縮液を加熱乾燥する温風吹出管34及び熱交換器35とで構成される。
ベルトコンベア44は、離間された一対の駆動プーリ46と従動プーリ48との間に、多数の小孔が形成された無端状のベルト50が懸け渡される。ベルトコンベア44の上流端に、回転平膜濾過装置12の排泥管26の出口が配置され、下流端には乾燥した乾燥汚泥を回収する回収容器52が配設される。温風吹出管34は、ベルト50の上面と下面の間にベルト50の移動方向に沿って複数本配設され、これらの温風吹出管34に回転平膜濾過装置12からの排気管32が接続される。これにより、排気管32の送風機36及びヒータ33を作動させると、汚水を加熱して濾過容器18内のヘッドスペース54に溜まった温かい空気は、ヒータ33で高い温度に加熱された状態で排気管32を介して乾燥装置16の温風吹出管34に送られ、ベルト50の上面側に向かって吹き出される。更に、乾燥装置16に設けられた熱交換器35は、回転平膜濾過装置12の集水管22と連結管37を介して連結される。これにより、熱交換器35内には、温かい濾過水が流れ、乾燥装置16内を温める。従って、ベルトコンベア44により移送される濃縮液は、温風吹出管34と熱交換器35により効率的に加熱乾燥されると共に、回転平膜濾過装置12から回収した廃熱を利用しているので省エネになる。
【0019】
また、ケーシング42の底板にはケーシング42内に溜まった水を排水するバルブ付きの排水管56が設けられる。
次に、上記の如く構成された加熱式膜濾過設備10の作用について、クリプトスポリジウム等の感染性原虫類で汚染された汚水を膜濾過する例で説明する。
濾過容器18内に供給された汚水は、加熱管38から吹き出される加熱空気で60°C以上に加熱されてから回転する膜濾過部材24の濾過膜24Aにより膜濾過される。濾過膜24Aを透過した濾過水は中空回転軸20、集水管22を介して装置外に排出される一方、濾過容器18内の汚水は濃縮されて汚泥状の濃縮液が形成される。この場合、排泥管26の開閉バルブ27を閉じた状態にして、濾過容器18内の汚水を60°C以上で30分間以上加熱するようにする。これにより、汚水中の感染性原虫類を確実に不活性化させることができる。従って、膜濾過された濾過水、及び濾過容器18内で濃縮された濃縮液にも活性状態の感染性原虫類が残存しないようにできる。また、加熱した汚水を膜濾過するので、濾過性能を高めることができ、汚泥を含有する汚水のように濾過性能が短時間で低下し易い場合にも、良好な濾過性能を長期間維持することができる。
【0020】
次に、開閉バルブ27を開き、排泥管26を介して濃縮液を乾燥装置16の移動するベルト50上に落下させる。ベルト50上の濃縮液は、ベルト50により移送される途中でベルト50の多数の小孔から水が分離され、排水管56から排出される。更に、ベルト50上の濃縮液には、温風吹出管34から吹きつけられる温風と熱交換器35からの熱により加熱乾燥される。これにより、濃縮液が乾燥して減容化された状態を乾燥汚泥を得ることができる。乾燥汚泥はベルトコンベア44の下流端から回収容器52に落下回収される。
【0021】
図2は、本発明に係る加熱式膜濾過設備の第2の実施の形態を説明する断面図で、膜濾過装置として浸漬型平膜濾過装置を使用した場合である。
図2に示すように、加熱式膜濾過設備10は、浸漬型平膜濾過装置60と、浸漬型平膜濾過装置60で膜濾過される汚水を加熱する加熱手段14と、浸漬型平膜濾過装置60で濃縮された濃縮液を乾燥する乾燥装置16とで構成される。尚、加熱手段及び乾燥装置等における図1と同様の機器については同符号を付すと共に説明を省略する。
【0022】
浸漬型平膜濾過装置60は、濾過容器18内に濾過膜60Aを一定間隔で複数枚ユニット化した平膜エレメントで構成される。濾過膜60Aの材質は、回転平膜濾過装置12と同様に、ステンレス製の金属膜、セラミックス膜、耐熱性の有機膜を使用することができ、膜の孔径は金属膜、セラミックス膜の場合は0.1〜0.5μm、有機膜の場合は0.5μm以下が好ましい。浸漬型平膜濾過装置60は、図1の回転平膜濾過装置12に比べて濾過倍率を高くすることができない。そこで、原水配管11の原水と集水管22の濾過水とを熱交換する熱交換器19を設け、原水を連続的に濾過容器18内に供給して、濾過水の廃熱を熱交換器19で回収し、原水の温度を積極的に高めることにより濾過倍率を高めるとよい。更に、排泥管26に設けた開閉バルブ27を調整し、濾過容器18内の汚泥濃度がほぼ一定になるように排出するとよい。
【0023】
このように構成した本発明の第2の実施の形態の場合にも、第1の実施の形態の加熱式膜濾過設備10と同様の効果を得ることができる。
図3は、凝集沈殿槽72、砂濾過槽74及び塩素殺菌処理から成る浄水製造設備に、2段階膜濾過方式の加熱式膜濾過設備10を組み込んだ構成図であり、その構成を説明するにあたり、原水、浄水、発生する汚泥、乾燥汚泥等の一般的なマテリアルバランスについても説明する。
【0024】
図3に示すように、廃水の原水は、凝集沈殿槽72において凝集剤が添加されてSS(固形物質)が沈殿除去された後、砂濾過槽74において砂濾過される。これにより、浄水を得ることができる。この場合、水量10000m3/日(d)、固形物質濃度(以下、「SS濃度」という)5mg/Lの原水から、浄水9990〜9995m3/日が得られる。また、凝集沈殿槽72からはSS濃度として1200mg/Lの汚泥を含有する汚水が500m3/日排出され、この汚水を2段階膜濾過方式の加熱式膜濾過設備10で処理する。尚、砂濾過槽74を洗浄した場合には洗浄排水としての洗浄汚水が発生するが、ここではマテリアルバランスには含めないで考えることとする。
【0025】
これらの汚水は、2段階膜濾過方式の加熱式膜濾過設備10における1段目の膜濾過装置76に供給されて膜濾過される。この場合、汚水の汚泥濃度がまだ余り高くないので、経済性を考慮して中空糸膜又は浸漬型平膜濾過装置を使用するとよい。しかし、汚泥濃度が高い場合には回転平膜濾過装置12の方が回転遠心力で濾過膜面に付着物が付着しにくく、濃度分極を小さくできるので、濾過性能を長く維持できる。
【0026】
汚水は、この1段目の膜濾過により、濾過水450m3/日と、SS濃度として12000mg/Lの汚泥を含有する濃縮液50m3/日が得られる。1段目の膜濾過の場合には、汚水中に感染性原虫類が含有されていても、濾過水は膜濾過により感染性原虫類が除去されるので、得られた濾過水は配管等により浄水に合流されて処理水として回収される。一方、濃縮液は2段目の膜濾過装置78に送られる。2段目の膜濾過装置78の場合には、回転平膜濾過装置12を使用するのが良い。
【0027】
2段目の回転平膜濾過装置78に送られた濃縮液は、60°C以上で30分間以上加熱されてから膜濾過される。この加熱により、濃縮液に感染性原虫類が濃縮されている場合でも、確実に不活性化させることができる。この2段目の膜濾過により、濾過水40〜45m3/日と、SS濃度として60000〜120000mg/Lの汚泥を含有する濃縮液5〜10m3/日が得られる。得られた濾過水は配管等により原水に戻して浄化処理のラインに流す。また、2段目の高濃度に濃縮された濃縮液は、図1に示した乾燥装置16に送られて脱水され、乾燥汚泥として回収容器52に回収される。これにより、感染性原虫類を不活性化し、減容化された乾燥汚泥を得ることができる。乾燥装置16での乾燥において、高温度の高濃度汚泥は取り扱いが危険なので、排気手段(図示せず)を備えたケーシング42内を通過させながら乾燥し、含水率が65%以下の乾燥した乾燥汚泥は自動的に容器に収集されるようにすることが好ましい。
【0028】
このように、本発明の加熱式膜濾過設備10を組み込んだ浄水製造設備70では、感染性原虫類を含む可能性のある原水から安全な水を回収し、しかも、加熱殺菌により感染性原虫類を含有しない無臭の乾燥汚泥を得ることができる。また、膜濾過される汚水(濃縮液)を60°C以上に加熱して汚水の粘度を下げた状態で膜濾過するので、極めて高い濃度、例えば120000mg/L程度の濃縮液を得ることができる。従って、後段の乾燥装置16での乾燥を容易に行うことができる。
【0029】
更には、濃縮液を連続的に乾燥装置16で乾燥脱水するので、従来の天日乾燥のように広大な面積の乾燥場も必要ない。
図4は、凝集沈殿槽72、砂濾過槽74及び塩素酸菌処理からから成る中水製造設備に、本発明の加熱式膜濾過設備10を組み込んだ構成図である。そして、凝集沈殿槽72から排出される汚泥を含有する汚水、及び砂濾過槽を洗浄した洗浄汚水を、回転平膜濾過装置12により1段処理し、膜濾過による濃縮液を図1で説明した乾燥装置16で乾燥する場合である。このように、汚水を1段のみの加熱式膜濾過設備10で処理する場合には、汚水を60°C以上で30分間以上、好ましくは75°C以上で30分以上に加熱しながら膜濾過することが好ましい。
【0030】
図5は、浄水製造用膜濾過装置80の簡易水道向けの浄水製造設備に、本発明の加熱式膜濾過設備10を組み込んだ構成図である。そして、浄水製造用膜濾過装置80を洗浄する物理洗浄排水の処理に浸漬型平膜濾過装置60タイプの加熱式膜濾過設備10を組み込み、膜濾過による濃縮液を図1で説明した乾燥装置16で乾燥する。この場合、物理洗浄排水には、感染性原虫類を含む可能性があるので、加熱式膜濾過設備10での膜処理は、物理洗浄排水を60°C以上で30分間以上、好ましくは75°C以上に加熱しながら膜濾過することが必要である。
【0031】
尚、本発明の加熱式膜濾過設備は、浄水の製造設備にのみ使用されるものではなく、バイオ産業、医・薬関連設備のように、汚水の固液分離と汚水中の菌類の殺菌を同時に行う全ての装置に適用できる。また、本発明の加熱式膜濾過装置は、微生物、例えば活性汚泥を使用した生物学的廃水処理設備から発生する余剰汚泥の減容化処理にも適用することができる。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の加熱式膜濾過設備によれば、感染性原虫類を含む可能性のある汚水を安全且つ確実に処理することができる。
また、浄水製造設備や中水製造設備に本発明の加熱式膜濾過設備を組み込めば、感染性原虫類を含む可能性のある原水から安全な水を回収し、しかも、加熱殺菌により感染性原虫類を含有しない無臭の乾燥汚泥を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の加熱式膜濾過設備の第1の実施の形態を説明する断面図であり、膜濾過装置として回転型平膜濾過装置を用いた図である。
【図2】本発明の加熱式膜濾過設備の第1の実施の形態を説明する断面図であり、膜濾過装置として浸漬型平膜濾過装置を用いた図である。
【図3】凝集沈殿槽、砂濾過槽及び塩素殺菌処理から成る浄水製造設備に本発明の2段階膜濾過方式の加熱式膜濾過設備を組み込んだ構成図
【図4】凝集沈殿槽、砂濾過槽及び塩素殺菌処理から成る中水製造設備に本発明の1段階膜濾過方式の加熱式膜濾過設備を組み込んだ構成図
【図5】浄水製造用膜濾過装置の浄水製造設備に、本発明の加熱式膜濾過設備を組み込んだ構成図
【符号の説明】
10…加熱式膜濾過設備
12…回転平膜濾過装置
14…加熱手段
16…乾燥装置
18…濾過容器
20…中空回転軸
22…集水管
24…膜濾過部材
24A…濾過膜
26…排泥管
32…排気管
34…温風吹出管
36…送風機
42…ケーシング
44…ベルトコンベア
52…回収容器
60…浸漬型平膜濾過装置
60A…濾過膜
70…浄水製造設備
72…凝集沈殿槽
74…砂濾過槽
76…1段目の膜濾過装置
78…2段目の膜濾過装置
80…浄水製造用膜濾過装置
Claims (4)
- 感染性原虫類を含有する汚水を濾過する設備において、
前記汚水を前記感染性原虫類が死滅する温度で加熱しながら膜濾過して濾過液と濃縮液とに分離する膜濾過装置と、
前記膜濾過装置から回収した廃熱を前記濃縮液を加熱乾燥する熱源の少なくとも1部に利用する乾燥装置と、
から成ることを特徴とする加熱式膜濾過設備。 - 前記膜濾過装置は、回転平膜濾過装置であることを特徴とする請求項1の加熱式膜濾過設備。
- 感染性原虫類を含有する汚水を膜濾過して1段目の濾過液と濃縮液とに分離する第1の膜濾過装置と、
前記第1の膜濾過装置からの濃縮液を60°C以上の温度に加熱しながら膜濾過して2段目の濾過液と濃縮液とに分離する第2の膜濾過装置と、
前記2段目の膜濾過装置から回収した廃熱を、前記2段目の濃縮液を加熱乾燥する熱源の少なくとも1部に利用する乾燥装置と、
から成ることを特徴とする加熱式膜濾過設備。 - 前記感染性原虫類含有原水は、凝集沈殿槽から発生する汚泥含有汚水及び/又は砂濾過槽の洗浄汚水であることを特徴とする請求項3の加熱式膜濾過設備。
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