JP3591943B2 - ホログラム記録装置および方法 - Google Patents

ホログラム記録装置および方法 Download PDF

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Description

【0001】
【技術分野】
この発明は,物体の微小振動や形状変化,形,文字などの即時認識のために,その他の目的のために,ホログラムを作製するためのホログラム記録装置および方法に関する。
【0002】
【従来技術とその問題点】
従来のホログラフィー用感光乾板としては,いわゆる写真乾板,および光導電体/サーモプラスチックホログラム乾板がある。前者は透明支持体(ガラス基板など)上にハロゲン化銀写真感光材料を塗布したものである。後者は,透明な支持体上に透明導電層,ポリ−N−ビニルカルバゾールを含む光導電層および熱可塑性樹脂層を順に積層したものである。
【0003】
写真乾板を用いたホログラム作製方法は,レーザ光照射された対象物からの反射光または透過光と参照光とを写真乾板上のハロゲン化銀写真感光材料に照射し(露光),その後現像するものである。
【0004】
しかし,この方法においては,感度は大きいが,最大回折効率(この値が大きいほど優れた再生像が得られる)が小さい。また露光後,写真乾板を取り外して暗室で現像作業をすることが必要である。現像処理では煩雑なプロセスを要するという不便さがある。現像のために写真乾板を一旦取り外してしまうとホログラムを正確に元の位置に戻すことが困難であり,実時間ホログラム干渉を行うことができない。
【0005】
光導電体/サーモプラスチックホログラム乾板を用いるホログラム記録方法(サーモプラスチック法)は熱可塑性樹脂のフロスト変形を利用するもので,熱可塑性樹脂上に帯電を施し,次にレーザ光照射された対象物からの反射光または透過光と参照光とを照射しながら熱可塑性樹脂を高周波加熱により軟化させて干渉縞を記録するものである。この方法は,高回折効率,即時性,可逆性などの様々な優れた点を有している。
【0006】
しかしながら,熱可塑性樹脂の最適加熱温度および最適加熱時間を制御することが困難で,しかも基板の伸縮や繰り返し使用による樹脂層の劣化などの問題がある。またこの方法では熱可塑性樹脂を熱溶融させるために大きな高周波加熱装置が必要であり,装置を小型化することが困難である。ホログラムの性能に影響を及ぼす熱歪の問題を避けることができないという欠点もある。
【0007】
【発明の開示】
この発明は小型化および自動化が可能なホログラム記録装置を提供するものである。
【0008】
この発明はまた,この装置を利用したホログラム記録方法を提供するものである。
【0009】
この発明はさらに,ホログラム乾板をセットした状態でホログラムの記録と再生を行うことができる装置および方法を提供するものである。
【0010】
さらにこの発明は,回折効率の高いホログラムを作製できる方法および装置を提供するものである。
【0011】
この発明によるホログラム記録装置は,現像ボックス,高電圧印加装置,溶剤発生装置,吸引装置,光シャッタ装置および制御装置を備えている。
【0012】
現像ボックスは,溶剤蒸気を作用させることによりフロスト変形するプラスチック層を備えたホログラム記録板を着脱自在に保持するものである。
【0013】
高電圧印加装置は,現像ボックスに支持されたホログラム記録板に高電圧を印加するものである。
【0014】
溶剤蒸気発生装置は,現像ボックスに支持されたホログラム記録板に作用させる溶剤蒸気を発生し,発生した溶剤蒸気を上記現像ボックス内に供給するものである。
【0015】
吸引装置は,現像ボックス内に供給された溶剤蒸気を排出するものである。
【0016】
光シャッタ装置は,レーザ光源から発生するレーザ光の上記ホログラム記録板への照射を制御するものである。
【0017】
制御装置は,ホログラム記録板に溶剤蒸気を作用させる溶剤作用期間,溶剤蒸気を現像ボックスから排出する排気期間,レーザ光をホログラム記録板に照射する露光期間,および高電圧をホログラム記録板に印加する帯電期間が所定のシーケンスで実現するように,溶剤蒸気発生装置,吸引装置,光シャッタ装置および高電圧印加装置を制御するものである。
【0018】
この発明によるホログラム記録装置は,熱を加えることなく,ある種の溶剤蒸気を作用させることによってホログラム記録板のプラスチック層にフロスト変形が生じることを利用している。
【0019】
上述したホログラム記録装置によると,現像ボックスを中心に各種装置を配置または接続することができ,装置全体の小型化が達成できる。また,制御装置があらかじめ定められたシーケンスにしたがって各装置の動作を制御するので,ホログラムの作成の自動化が達成できる。
【0020】
上記制御装置の全部の機能または一部の機能を省いて,省いた機能に関して対応する装置を手動で操作するようにしてもよい。
【0021】
現像ボックスに支持されたホログラム記録板をそのままの状態でホログラム再生に利用することもできる。
【0022】
好ましい実施態様では制御装置は,排気期間が溶剤作用期間の終了前から開始しかつ溶剤作用期間の終了後も所定時間の間続き,排気期間が終了したのちに露光期間および帯電期間が開始するように制御するものである。
【0023】
現像ボックスからの溶剤の排気を溶剤作用期間の終了後も続けているので,現像ボックス内の溶剤を殆ど完全に排気することができ,ホログラム記録板のプラスチック層上にホログラムを定着させる効果が速くなり,かつ完全になる。
【0024】
ホログラム記録板のプラスチック層と溶剤との好ましい組合せとしては,プラスチック層がロジンの誘導体,溶剤がシクロヘキサン(またはn−ヘキサン)である。この組合せによると,回折効率の高いホログラムを作成することができる。
【0025】
【実施の形態】
図1はホログラム記録板の構造を示している。ホログラム記録板10は,透明な支持体11上に,透明な導電層12,その上に透明な光導電体層13,さらにその上に透明なプラスチック層14を順次積層状に形成した3層構造のものである。導電層12の一部(端部)には電極端子15が設けられている。透明支持体11としてはガラス板が用いられる。
【0026】
透明導電層12としては,酸化インジウム−酸化スズ(ITO),酸化スズ−酸化アンチモン(ATO),またはフッ素ドープ酸化スズ(FTO)が一般に用いられる。
【0027】
光導電体層13は,ポリ−N−ビニルカルバゾール,ポリ−N−ビニルカルバゾール誘導体,ポリ−9−ビニルアントラセン,またはポリ−9−(P−ビニルフェニルアントラセン)を膜厚1〜3μmに塗布することにより形成される。好ましくは,増感剤として 2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノンを重量比約10:1の割合で混入したポリ−N−ビニルカルバゾールが用いられる。
【0028】
プラスチック層14は,ロジンのエステル,ロジンの水素添加エステル,重合ロジンのエステル,重合ロジンの水素添加エステル,またはポリスチレンを厚さ 0.1〜1μmに塗布することにより形成される。好ましくは,プラスチック層材料として部分水素添加ロジンのグリセリンエステル,部分水素添加ロジンのペンタエリトリトールエステル,完全水素添加ロジンのグリセリンエステル,または完全水素添加ロジンのペンタエリトリトールエステルが用いられる。これらの中で最も高い回折効率が得られるのは,完全水素添加ロジンのグリセリンエステルまたは部分水素添加ロジンのグリセリンエステルである。
【0029】
図2および図3は上述したホログラム記録板を用いてホログラムを作成するシステムを示している。
【0030】
ホログラム作成システムは現像ボックス20を含んでいる。現像ボックス20の一側面が開口している。この開口を符号21で示す。現像ボックス20の一側面には開口21の上下の位置にスライド・レール22が設けられている。スライド・レール22に側方からホログラム記録板10がプラスチック層14がボックス20の内側を向くように挿入される。ホログラム記録板10は開口21を塞ぐ位置に位置決めされる。好ましくは,位置決めされたホログラム記録板10をしっかりと固定する固定具を現像ボックス20に設けておく。固定具には,たとえば錆びないステンレスの板バネが用いられる。「く」字形の板バネがスライド・レール22内に少し突出して設けられる。ホログラム記録板10がスライド・レール22に差し込まれると,ホログラム記録板10は現像ボックスの内側向きに圧接固定される。またはつや消しをしたステンレス製の強い板バネがスライド・レール22の外側の上,下(および必要なら左,右)に取付けられ,この板バネによってホログラム記録板10が強固に固定される。
【0031】
現像ボックス20の開口21がある一側面と対向する側面も開口され,この開口が透明電極板23によって塞がれている。透明電極板23はガラス板に透明電極層(上述したITO,ATO,FTOなど)が形成されたものであり,透明電極層がボックス20の内側にくるように配置される。
【0032】
現像ボックス20の上面には溶剤蒸気導入孔24bがあけられ,下面には吸引孔25があけられている。導入孔24bの上部には溶剤蒸気導入空間24が,ボックスによって形成されている。このボックスの一側壁24aはホログラム記録板10の方向に向って傾斜している。
【0033】
ホログラム作成システムにはまた溶剤蒸気雰囲気発生装置が設けられている。この溶剤蒸気雰囲気発生装置は溶剤蒸気溜32とエアポンプ33とを含む。
【0034】
溶剤として,沸点20〜 150℃の有機溶剤が用いられる。大きな回折効率が得られるものは,シクロヘキサン,n−ヘキサンなどの炭化水素,または四塩化炭素,クロロホルムなどのハロゲン化アルキルである。これらの中で,回折効率の大きさ,最適な溶剤蒸気作用時間,環境への影響などの観点から炭化水素系溶剤が適しており,その中でもシクロヘキサンが最も優れている。
【0035】
エアポンプ33からエア導入管35を通して溶剤蒸気溜32に空気を送り込むと,溶剤蒸気が発生し,この溶剤蒸気は溶剤蒸気導入管36を通して溶剤蒸気導入孔24から現像ボックス20内に供給される。溶剤蒸気は傾斜壁24aに沿って流れ,ホログラム記録板10のプラスチック層14の表面に流れながら均一に当ることになる。
【0036】
好ましくは吸引器34が設けられ,吸引管37を通して現像ボックス20の吸引孔25に接続される。上記流路に沿って現像ボックス20内に供給された溶剤蒸気はホログラム記録板10のプラスチック層14の表面に均一に当たりながら,吸引器34によって吸引される。最終的には現像ボックス20内の溶剤蒸気は吸引器34によって一掃される。
【0037】
高電圧電源31は数kV程度の高電圧を発生するものである。現像ボックス20内にはホログラム記録板10と透明電極板23のほぼ中間の位置に,かつそれらのほぼ中央の高さ位置に,ホログラム記録板10および透明電極板23に平行に水平にタングステン・ワイヤ26が張られている。高電圧電源の正側がタングステン・ワイヤ26に接続され,負側(アース)がホログラム記録板10の透明導電層12の電極端子15と透明電極板23にそれぞれ接続されている。
【0038】
制御装置30は,エアポンプ33の起動,停止の制御,吸引器34の起動,停止の制御,高電圧電源31の高電圧発生タイミングの制御,光シャッタ41の制御を行うための制御信号を発生するものである。制御装置30はタイマ回路を含むハードウェア回路,またはマイクロコンピュータおよびそのインターフェイス回路により実現される。エアポンプ33の動作時間,吸引器34の動作時間,高電圧発生時間,光シャッタの開放時間はもちろん,任意に調整することができる。
【0039】
図4はこのようなホログラム作成システムを用いてホログラムを作成するための光学系の一例を示すものである。
【0040】
レーザ光源40から出射するレーザ光は光シャッタ41が開いているときにこの光シャッタ41を通り,ビーム拡大器42に入射する。ビーム拡大器42は入射するレーザ光のビーム径を拡大しかつ平行化(コリメート)するものである。ビーム径が拡大されたレーザ光はビーム・スプリッタ43によって2つの平行なレーザ光に分割される。
【0041】
分割されたレーザ光の一方は反射鏡44と46で反射して,参照光として現像ボックス20のホログラム記録板10に照射される。他方のレーザ光は反射鏡45で反射し,対象物47で反射してホログラム記録板10に照射される。上記の他方のレーザ光の光路中に透明な対象物が置かれた場合には,その透過光がホログラム記録板10に入射する(これらの反射光および透過光をまとめて,以下「物体光」という)。参照光と物体光がホログラム記録板10の位置で干渉し干渉縞をつくる。この干渉縞は次に説明するようにホログラム記録板10に記録される。これがホログラムの作成である。
【0042】
ホログラム作成後,ホログラム記録板10を現像ボックス20のホログラムを作成したときの位置に置いたまま,物体光を遮光し,参照光のみをホログラム記録板10に照射すると,ホログラムが再生される。すなわち,ホログラム記録板10を現像ボックスの反対側(透明電極板23の側)から覗けば対象物のあった位置にその立体像が見える。また,ホログラム記録板10を透過した参照光を結像光学系48によりスクリーン49上に投影すれば,スクリーン49上に再生像が現われる。
【0043】
図5は上述したホログラム作成システムおよび光学系を用いてホログラムを作成する,すなわち撮影する動作を示している。この動作は制御装置30によって制御される。光シャッタ41は閉じられている。
【0044】
溶剤蒸気雰囲気を溶剤蒸気溜32からエアポンプ33で送り出し,現像ボックス20内に供給する。現像ボックス20内において溶剤蒸気雰囲気はホログラム記録板10のプラスチック層14に均一に作用し,プラスチック層14を軟化させる(溶剤作用期間:約60秒程度)。
【0045】
溶剤作用期間が終了する少し前の時点から吸引器34を作動させて現像ボックス20内の溶剤蒸気を排気する(排気期間:15秒程度)。溶剤蒸気の排気は,溶剤蒸気の供給を停止したのちも少しの間(約5秒程度),続ける。溶剤蒸気供給停止後も少しの間溶剤蒸気の排気を続ける理由は,プラスチック層14上にホログラムを定着させる効果を速くかつ完全にするためである。溶剤蒸気が現像ボックス20内に残留していると,プラスチック層14の表面がいつまでも軟化した状態に保たれ,硬化しないので,プラスチック層14表面の軟化を終えた溶剤蒸気をできるだけ早く排出する。
【0046】
現像ボックス20内の溶剤蒸気を排気したのち,タングステン・ワイヤ26とホログラム記録板10の透明導電層12および透明電極板23との間に高電圧電源31により数kVの電圧をかけ,プラスチック層14表面上にコロナ帯電を起こさせる(帯電期間:30〜50秒程度)。タングステン・ワイヤ26は透明導電層12と透明電極板23のほぼ中間に設けられているので,プラスチック層14表面への帯電はほぼ均一になる。
【0047】
高電圧の印加と同時に光シャッタを開放して,物体光と参照光とをホログラム記録板10のプラスチック層14上に照射し干渉させる(露光期間:10〜30秒程度)。光導電体層13において,光の当たった場所は導通するため,電荷の移動が起こり,電荷の吸引作用によってプラスチック層14表面にフロスト変形が生じ,光の強度に対応した干渉縞が凹凸として記録される。干渉光の露光終了後も,しばらくの間,高電圧印加を継続する。
【0048】
このようにして,ホログラムが撮影され,かつ記録板10に記録される。
【0049】
作成されたホログラムは,再度,溶剤蒸気を作用させることにより完全に消去(表面の凹凸の消滅)することができる。ホログラムを消去した記録板に再び新たに異なった像を記録することもできる。すなわち,ホログラム記録板は繰り返し使用が可能である。
【0050】
ホログラムが記録された記録板10を現像ボックス20に装着した状態で上述したように参照光を照射してホログラムを再生することができる。
【0051】
このように,ホログラフィ光学系の中でホログラム記録板をホログラム撮影のために設置したその位置で現像が行え,かつホログラム再生が行なえる。従来の写真乾板を用いた方法のように現像のために乾板を取り外すことなく,その場でホログラムの迅速自動作成が可能である。またプラスチック層の熱溶融のための高周波加熱装置のような複雑かつ大型の機構を必要としないために装置の小型化が可能である。4μm/cm程度の弱い光(He−Neレーザ)でもホログラムがつくれるほどプラスチック層は感度が良い。
【0052】
【実施例】
ホログラムの作成と評価のために用いた光学系を図6に示す。現像ボックス20およびホログラム記録板10は模式的に示されている。
【0053】
光源40はHe−Neレーザである(波長 632.8nm)。He−Neレーザ40からのレーザ光はミラーM1,ハーフミラーHM1,空間フィルタSF,ミラーM2,コリメータ・レンズCLおよびミラーM3を通して,参照光L1としてホログラム記録板10に照射される。
【0054】
この光学系では2つの異なる交差角(干渉縞数)で実験を行うことができる。ホログラムの回折効率はホログラムの干渉縞数によって異なると考えられるからである。一方は物体光L2を用いるものであり,他方は物体光L3を用いるものある。いずれか一方の物体光が用いられ,他方は遮光板(図示略)によって遮光される。
【0055】
He−Neレーザ光はミラーM1,ハーフミラーHM1,ハーフミラーHM2,ミラーM4,ミラーM5,ビーム拡大器BEおよびアパチャー板(アパチャー径7mm)AP2を経て物体光L2となる(物体光と参照光との角度は29.3°,空間周波数=干渉縞数=800 ライン/mm)。
【0056】
もう一つの物体光L3は,ハーフミラーHM2から分岐し,ミラーM6,ビーム拡大器BE2およびアパチャー板(アパチャー径7mm)AP3により作成される(物体光と参照光の角度は36.8°,干渉縞数=1000ライン/mm)。
【0057】
これらの物体光L2,L3の延長上にフォトディテクタPD2,PD3がそれぞれ配置される。
【0058】
ホログラムの作成時には参照光L1と物体光L2またはL3が用いられる。これによりホログラム記録板10に回折格子状のホログラムが撮影される。
【0059】
作成したホログラムの再生時には参照光L1のみがホログラム記録板10に照射される。
【0060】
ホログラム再生時において,フォトディテクタPD2またはPD3によって,回折光強度が測定され,これに基づいて回折効率が算出される。
【0061】
回折効率は,参照光の光強度(I)と参照光照射により生じる再生光の強度(I)との比(I/I)X 100として定義した。
【0062】
ホログラム用感光材料の構成要素であるプラスチック層の種類を変えてホログラム記録板を作成し,これらのホログラム記録板のそれぞれについて,ホログラム作成に用いる溶剤蒸気の種類を変えて,その回折効率を測定した結果が表1に示されている。光源としてHe−Neレーザー(波長 633nm,出力時垂直偏光)を用い,物体光と参照光の角度は,36.8°(空間周波数1000ライン/mm)に設定した。
【0063】
光導電体層の材料はPVK−TNF(10:1)混合物である。また,溶剤作用期間を40秒とした。
【0064】
【表1】
Figure 0003591943
【0065】
実施例1〜6のプラスチック層はいずれもロジンの誘導体である。これらのプラスチック層に対して溶剤蒸気としてシクロヘキサンが最も相性が良く実用可能である。溶剤蒸気としてはn−ヘキサンも実用することができることが分る。
【0066】
実施例1のホログラム記録板(光導電体層およびプラスチック感光材料層)は,以下のようにして作製した。
【0067】
ITOガラス(10Ω/□)上にポリ−N−ビニルカルバゾール(PVK)と2,4,7 −トリニトロ−9−フルオレノン(TNF)を重量比10:1の割合で混合したもの(光導電体)を約2μmの膜厚に塗布して光導電体層を形成し,その上にフォーラル85(プラスチック感光材料)を膜厚約 0.3μmに塗布してプラスチック層を形成した。光導電体をトルエンとニトロトルエンの混合溶媒に,プラスチック感光材料を石油ベンジンにそれぞれ溶解した後,スピンナー塗布することによりこれらの各層を形成した。
【0068】
次に,このホログラム記録板を図2に示すホログラム作成システムの現像ボックスにセットし,干渉縞を記録したのち,回折効率の測定を行った。溶剤蒸気雰囲気発生装置から供給するシクロヘキサンの蒸気雰囲気にプラスチック層を40秒間以上暴露してプラスチック層の軟化を行った。その後,溶剤蒸気雰囲気を吸引器で吸い取った。溶剤蒸気の供給を停止した後,5秒間あけ,プラスチック層とタングステン・ワイヤとの間に5kVの電圧をかけてコロナ帯電を起こさせ(50秒間),それと同時に露光を10秒間行った。
【0069】
このようにして,回折格子をホログラム記録板に記録した後,回折効率を測定したところ27%であった(表1の通り)。溶剤蒸気の作用時間を40秒の他に30秒,60秒に変えて実験を行ったがほぼ同じ値が得られた。
【0070】
実験の結果,He−Neレーザを用いて物体光,参照光をそれぞれ2μWとして合計4μWで完全なホログラムができることが確かめられ,感度は従来のサーモプラスチック法に比べ格段に高いことが明らかになった。
【0071】
溶剤蒸気を,n−ヘキサン,メタノール,アセトン,ジエチルエーテルとして同様の測定を行った結果,回折効率は,それぞれ7,0,0,0%であった(表1の通り)。
【0072】
実施例2〜6
実施例2〜6についても,プラスチック層の感光材料を変え,実施例1と同じやり方でホログラム記録板を作製し,実施例1と同じ光学系を用いて溶剤蒸気の種類を変えながら回折効率の測定を行った。その結果は表1に示す通りである。
【0073】
Arレーザ 488nm波長のように波長の短い光源を使用した方がエネルギ効率が高く,感度の面でも効率がよく,回折効率も格段に高い。Arレーザを用いて実際に回折効率を測定した結果,はるかに回折効率がよくホログラムの感度が高いという結果が得られた。
【0074】
上述したホログラム記録方法は,従来より知られているハロゲン化銀写真感光材料を用いる方法に比べ,高回折効率,高感度,即時性,可逆性などの点で優れている。したがって,物体の微小振動や形状変化,または形,文字などの即時認識システム,例えば実装基板の外観検査などへの応用が可能である。
【0075】
また,上述したホログラム作成システムはホログラム記録板をセットしたままの状態で現像可能なので,ホログラムの実時間干渉法の利用に極めて有効であり,振動モード計測,流れの可視化等,実時間ホログラフィ法が一般的に利用される道を拓くものとなる。
【0076】
さらに,サーモプラスチック法のように熱溶融用の比較的大型で複雑な電子装置を必要としないので現像装置の小型高精度化ができる。即時性と相まってこの簡易高精度自動ホログラム作成装置を中学生,高校生の教育用機器としても利用できる。また,大学生,一般技術者の高度技術の開発研究用機器としてホログラムを手軽に利用できる道を拓く。
【0077】
さらに,低価格で一般に普及している5mW程度の低出力のHe−Neレーザで高性能のホログラムが簡便に作成できるから,ホログラフィ技術の拡大に大きく寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】ホログラム記録板を示す断面図である。
【図2】ホログラム作成システムの構成を示す。
【図3】現像ボックスを示す断面図である。
【図4】ホログラム作成システムの光学系を示す。
【図5】ホログラム記録動作のタイミング・チャートである。
【図6】回折効率測定実験に用いた光学系を示す。
【符号の説明】
10 ホログラム記録板
11 透明支持体
12 透明導電層
13 透明光導電体層
14 透明プラスチック層
15 電極端子
20 現像ボックス
21 開口
23 透明電極板
24 溶剤蒸気導入孔
25 吸引孔
30 制御装置
31 高電圧電源
32 溶剤蒸気溜
33 エアポンプ
34 吸引器
40 レーザ光源
41 光シャッタ

Claims (6)

  1. 溶剤蒸気を作用させることによりフロスト変形するプラスチック層を備えたホログラム記録板を着脱自在に保持する現像ボックス,
    上記現像ボックスに支持されたホログラム記録板に高電圧を印加する高電圧印加装置,
    上記現像ボックスに支持されたホログラム記録板に作用させる溶剤蒸気を発生し,発生した溶剤蒸気を上記現像ボックス内に供給する溶剤蒸気発生装置,
    上記現像ボックス内に供給された溶剤蒸気を排出する吸引装置,
    レーザ光源から発生するレーザ光の上記ホログラム記録板への照射を制御する光シャッタ装置,ならびに
    上記ホログラム記録板に溶剤蒸気を作用させる溶剤作用期間,溶剤蒸気を上記現像ボックスから排出する排気期間,レーザ光を上記ホログラム記録板に照射する露光期間,および高電圧を上記ホログラム記録板に印加する帯電期間が所定のシーケンスで実現するように,上記溶剤蒸気発生装置,上記吸引装置,上記光シャッタ装置および上記高電圧印加装置を制御する制御装置,
    を備えたホログラム記録装置。
  2. 上記制御装置は,上記排気期間が上記溶剤作用期間の終了前から開始しかつ上記溶剤作用期間の終了後も所定時間の間続き,上記排気期間が終了したのちに上記露光期間および上記帯電期間が開始するように制御するものである,請求項1に記載のホログラム記録装置。
  3. 上記ホログラム記録板のプラスチック層がロジンの誘導体を含み,上記溶剤蒸気がシクロヘキサンまたはn−ヘキサンである,請求項1に記載のホログラム記録装置。
  4. 溶剤蒸気を作用させることによりフロスト変形するプラスチック層を有するホログラム記録板を現像ボックスにセットし,
    上記現像ボックスに溶剤蒸気を供給し,
    上記現像ボックスの溶剤蒸気を排気し,溶剤蒸気の排気を上記現像ボックスへの溶剤蒸気の供給を停止した後も所定時間の間,継続し,
    上記現像ボックスからの溶剤蒸気の排気を終了した後に,上記ホログラム記録板に高電圧を印加するとともに形成すべきホログラムを表わすレーザ光を照射する,
    ホログラム記録方法。
  5. 上記ホログラム記録板のプラスチック層をロジンの誘導体を用いて形成し,上記溶剤蒸気としてシクロヘキサンまたはn−ヘキサンを用いる,請求項4に記載のホログラム記録方法。
  6. 溶剤蒸気を作用させることによりフロスト変形するプラスチック層を備えたホログラム記録板を着脱自在に保持する現像ボックス,
    上記現像ボックスに支持されたホログラム記録板に高電圧を印加する高電圧印加装置,
    上記現像ボックスに支持されたホログラム記録板に作用させるシクロヘキサンまたはn−ヘキサンの蒸気を発生し,発生した蒸気を上記現像ボックス内に供給する溶剤蒸気発生装置,および
    上記現像ボックス内に供給された溶剤蒸気を排出する吸引装置,
    を備えたホログラム記録装置。
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