JP3580722B2 - 組立タイムアウト値設定装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ATM(Asyncronous Transfer Mode)通信のAAL2(ATM Adaptation Layer Type2)における組立てタイムアウト値の設定に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
参考文献:ITU−T I.363.2 「B−ISDN ATM adaptation Layer Type2 Specification」
AALは、参考文献にあるようにATM adaptation Layerの略である。AALは、B−ISDNプロトコルの第3層であり、ATMセルの交換などを扱うATMレイヤの上の層である。
AALの機能は、音声、画像、デ−タなどの通信特性の異なるサ−ビスをその特性に応じて上位レイヤに提供することである。AALにはAAL1からAAL5までのタイプがある。
【0003】
従来のAAL2の一般例について説明する。
AAL2は、音声圧縮デ−タのようなバ−スト区間の狭いバ−スト的トラヒックを有するサ−ビスに適用される。AAL2を使う処理では、例として音声圧縮データをCPS−Packetと呼ばれる不定長のパケットのペイロ−ド部分に充填する。CPS−Packetのヘッダ部分にはその音声コネクション等、CPS−Packetのコネクションの識別子やペイロ−ド長が格納される。
【0004】
AAL2の処理では、このCPS−PacketをATMセルのペイロードに充填する。CPS−PacketとATMセルのペイロ−ドの長さが一致しないとする。この時、1つのATMセルに1つの可変長であるCPS−Packetをマッピングするのでは固定長のATMセルのペイロ−ドの不要部分が必ずできる。以降本明細書では、情報が搭載されていない不要部分をPADと呼ぶ。この不要部分が必ず生じては、伝送効率上ロスが多すぎることになる。
【0005】
このため、ATMレイヤにおいては、同じ行き先つまり、同じVPI/VCIを持つことになるCPS−PacketをまとめてATMセルのペイロ−ドにマッピングできるようにしている。その手段としてATMレイヤでは、ATMセルのペイロ−ド部分の1オクテット目にスタ−トフィ−ルドという領域を設けている。このスタ−トフィ−ルドは、CPS−Packetの先頭位置を示すポインタ値を収容する。このポインタは、ATMセルペイロ−ドに充填されるCPS−Packetの先頭の位置を示している。
【0006】
このポインタの示す位置の後は、順にCPS−PacketはATMセルペイロ−ドに積むことができる。積むことができるCPS−Packet数には制限はない。1つのCPS−Packetが2つのATMセルにまたがるケ−スも許されている。この時、スタ−トフィ−ルドのポインタはまたがったCPS−Packetの次のCPS−Packetの先頭位置を示す。
【0007】
図2にCPS−Packet40のATMセル50へのマッピング例を示す。AAL2で扱う音声圧縮デ−タ等のユニットであるCPS−SDU30は、CPS−Packetペイロ−ド44部に搭載される。ATMレイヤのCPS−Packet40は、CPSヘッダ42とCPSペイロ−ド44から構成される。このCPS−Packet40が、ATMセル50のペイロ−ド部分に搭載される。ATMペイロ−ド54の1オクテット目には、上述したスタ−トフィ−ルド56が構成される。ATMセル50には、CPS−Packetが2つ搭載されることが示されている。また、CPS−Packet48は、ATMセル60とATMセル70にまたがって搭載されている。
【0008】
図2において、ATMセル50内のペイロ−ドにPAD58領域が存在する例がある。これは組立てタイムアウトという概念によるものである。この方法は、新たなATMセルにCPS−Packetを充填する際に組立タイマをスタートさせあらかじめ設定されたタイマ満了値に達した時点で組立てタイムアウトとし、そのATMセルをPAD領域を残したまま送出できるというものである。 組立てタイムアウトの概念は、音声のような遅延の影響をうけやすいサ−ビスを伝送する上でCPS−Packetのマッピングに生じる遅延を抑えるために必要である。
【0009】
従来、組立てタイムアウトは、ATMセルにCPS−Packetが充填される時からカウントが開始され、ATMセルが送出されることでリセットされる。したがって、組立てタイムアウトの値はATMセルの方路毎(VPI/VCI毎)に設定される。そして、その値は局デ−タのようなスタティックな、静的な値であった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、以上で述べたような従来のAALタイプ2の組立てタイムアウト送出手段では、以下の問題点があった。
組立タイムアウト値がスタティックな値なので、ATMセルペイロ−ドの伝送効率とマッピングの為の遅延量のトレ−ドオフでなかなか適切な値を選択できなかった。
組立タイムアウト値を選択するための基準がないため、設定値を選択しづらい。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ATM通信のAAL2の処理装置において、ATMセル組立用記憶手段と、
ATMセル組立タイマ手段と、ATMセル内の余りフィ−ルド量計測手段とを有し、計測手段は、余りフィ−ルドの量を一定時間内で加算及び保持し、前回の一定時間内の加算量と比較し、その比較結果からATMセルの新たな組立タイムアウト値を計算して、ATMセル組立タイマ手段の組立タイムアウト値を更新することを特徴とする組立タイムアウト値設定装置である。
【0012】
また、本発明は組立タイムアウト値の計算パラメ−タとして現在の組立タイムアウト値に増加係数または減少係数を乗じて変更量を決定することを特徴とする組立タイムアウト値設定装置である。
さらに、本発明はATMのコネクションに多重されるCPS−Packetコネクション毎に存在する許容遅延量の中で最大の値をATMコネクションの前記組立タイムアウト値の上限値としたことを特徴とする組立タイムアウト値設定装置である。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1に本発明の構成を示す。
コネクション識別部21は、入力されたCPS−Packetを後述するATMセル組立キュ−22/23/24のいずれかへ振り分ける。ATMセル組立キュ−22/23/24は、CPS−Packetを搭載してATMセルを組み立てるキュ−である。ATMセル組立キュ−22/23/24は、後述するPAD量計測部28/29/2Aにおのおの接続されている。
【0014】
PAD量計測部28/29/2Aは、ATMセルのPAD量の計測デ−タを基に後述する組立タイマの組立タイムアウト値を算出する。そして、PAD量計測部28/29/2Aは算出したタイムアウト値の更新情報を組立タイマ25/26/27へそれぞれ通知する。ATMセル組立キュ−22/23/24にてCPS−Packetを充填した ATMセルはPAD量計測部28/29/2Aを通過して後述するABT2Bに到達する。
ABT2Bは多重化装置であり、ATMセルを多重し、外部へ送出する。
【0015】
組立タイマ25/26/27はそれぞれATMセル組立キュ−22/23/24と接続されている。組立タイマ満了時にATMセル組立キュ−22/23/24で組立中のATMセルの送出指示をそれぞれ行う。また、組立タイマ25/26/27はPAD量計測部28/29/2Aからタイマ設定に関する更新情報をそれぞれ受け取る。
【0016】
次に本発明の動作を説明する。
まず、CPS−Packetは、コネクション識別部21に入力される。そして、CPS−Packetはパケットのヘッダのコネクション識別子を用いて図示しない参照テ−ブルを参照する。CPS−Packetは、参照結果としてコネクション識別子で一意に決定する接続されるべきATMセル組立キュ−を知る。
【0017】
CPS−Packetは、この情報に従い選択されたATMセル組立キュ−に接続され、送付される。ここでは例としてATMセル組立キュ−22にCPS−Packetが入力されるものとして説明する。
【0018】
CPS−Packetは到着順にATMセル組立キュ−22に格納される。 ATMセル組立キュ−22は、ATMセルのペイロ−ドの大きさ48バイト分以上にCPS−Packetの量が到達した場合つまり、ATMセルのペイロ−ドに空きがなくなる場合か、組立タイマ25がタイムアウトして満了した場合に、格納したCPS−Packetを図示しないATMセルに詰め込み送出する。
【0019】
ATMセルへのCPS−Packetのマッピングは従来技術で説明したとおりである。複数の不定長のCPS−Packetが一つのATMセルにマッピングされることになる。
【0020】
ATMセル組立キュ−22から送出されたATMセルは、PAD量計測部28に入力される。PAD量計測部28は、そのATMセル内のPADの量をバイト数で観測する。この観測デ−タは一定時間Tの間加算される。このTの間のPAD量の和をA(T(n))とする。
【0021】
T時間満了時に最新の値A(T(m))と前回T時間満了時のA(T(m−1))を比較してその結果によって組立タイムアウト値を計算する。
【0022】
この計算条件と組立タイムアウト値の変更を以下に示す。
Figure 0003580722
注 最大組立タイムアウト値:timer maxはATMコネクションに多重されるCPS−Packetのコ ネクションの中で最も大きい許容遅延値を設定する。
また、コネクション毎にあらかじめ登録されている初期値をコネクション設定時に組立タ イマの最初の値としてセットする必要がある。
【0023】
以上のように決まった時間内の複数のATMセルのPAD量の和の増減により、組立タイマの組立タイムアウト値を増減させる。図3に以上をフロ−チャ−トにしたものを示す。以下の説明で該当する部分の文末にフロ−チャ−トのステップ番号をカッコ書きで示す。
【0024】
(式1)では、PAD量の和A(T(m))が、前回測定時の値A(T(m−1))より多ければ、伝送効率が悪いので組立タイマの組立タイムアウト値timer(m)を大きくする(S1、S2、S6)。組立可能な時間を長くすることにより、ATMセルにより多くのCPS−Packetのデ−タが積まれるようにする。よって、ATMセルのPAD量が減る方向になる。
【0025】
具体的には、前回の組立タイムアウト値timer(m−1)に増加係数であるTIF:Timer Increase Factorをかけて、前回の組立タイムアウト値timer(m−1)との和を取る(S6)。これにより、組立タイムアウト値timer(m)が増加する。このとき、組立タイムアウト値timer(m)が最大組立タイムアウト値timer maxの場合は変更しない(S3、S5)。
【0026】
(式2)では、PAD量の和A(T(m))が前回測定時の値A(T(m−1))と同じときには、組立タイムアウト値timer(m)は変更しない(S1、S2、S5)。
【0027】
(式3)では、PAD量の和A(T(m))が前回測定時の値A(T(m−1))より少なければ、伝送効率は良いので遅延を少なくするために組立タイムアウト値timer(m)を小さくする(S1、S2、S4)。
前回の組立タイムアウト値timer(m−1)に減少係数であるTDF: Timer Decrease Factorをかけて、前回の組立タイムアウト値timer(m−1)から差し引く(S4)。これにより、組立タイムアウト値timer(m)が減少する。
【0028】
TIFとTDFの増加係数と減少係数は、任意に設定することができる。これにより、組立タイマの組立タイムアウト値timer(m)の変動の度合いを調整できる。
【0029】
計算された組立タイムアウト値timer(m) の値は、組立タイマ25に送付され、セットされる。
組立タイマ25は、次のタイマ満了時に新しい組立タイムアウト値に更新を行う。
更新後、新たな組立タイムアウト値によってATMセルの送出を行う。
以上、組立タイムアウト値をATMセルのPAD量により、ATMセル送出ごとに逐次変更する。これにより、組立タイムアウト値を動的にすることができる。
【0030】
本発明は、CPS−PacketのATMセルへの組立てに限らず、類似技術に適用できることは明らかである。
【0031】
【発明の効果】
本発明によって、以下のような効果が得られる。
組立タイムアウト値をPAD量をパラメ−タにして算出することで、ATMセルペイロ−ドの伝送効率とマッピングの為の遅延量の最適な値を選択することができる。
組立タイマの増加係数:TIF、減少係数:TDFを設けることで伝送効率や遅延量の細かいチュ−ニングが可能である。
本発明では、動的にその伝送効率と遅延量で組立タイムアウト値が変化する。よって、設定値に厳密な基準を設けなくとも組立タイムアウト値が自動的に補正される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の組立タイムアウト設定装置の構成図である。
【図2】CPS−PacketのATMセルへのマッピング例である。
【図3】組立タイムアウト値決定のフロ−チャ−ト図である。
【符号の説明】
21 コネクション識別部 22、23、24 ATMセル組立キュ−
25、26、27 組立タイマ 28、29、2A PAD量計測部
2B ABT(ATMセル多重装置)
30 CPS−SDU 40、48 CPS−Packet 42 CPSヘッダ 44 CPSペイロ−ド
50、60、70 ATMセル 52 ATMヘッダ 54 ATMペイロ−ド
56 スタ−トフィ−ルド 58 PAD

Claims (3)

  1. ATM通信のAAL2の処理装置において、
    ATMセル組立用記憶手段と、
    ATMセル組立タイマ手段と、
    ATMセル内の余りフィ−ルド量計測手段とを有し、
    前記計測手段は、前記余りフィ−ルドの量を一定時間内で加算及び保持し、前回の前記一定時間内の加算量と比較し、その比較結果からATMセルの新たな組立タイムアウト値を計算して、前記ATMセル組立タイマ手段の組立タイムアウト値を更新することを特徴とする組立タイムアウト値設定装置。
  2. 請求項1において、前記組立タイムアウト値の計算パラメ−タとして現在の組立タイムアウト値に増加係数または減少係数を乗じて変更量を決定することを特徴とする組立タイムアウト値設定装置。
  3. 請求項2において、ATMコネクションに多重されるCPS−Packetのコネクション毎に存在する許容遅延量の中で最大の値を前記ATMコネクションの前記組立タイムアウト値の上限値としたことを特徴とする組立タイムアウト値設定装置。
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