【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、筒内噴射式火花点火内燃機関に関する。
【0002】
【従来の技術】
気筒内へ直接的に燃料を噴射することにより、点火時点において点火プラグ近傍だけに混合気を形成し、気筒内全体としては希薄な混合気の燃焼を可能にする成層燃焼が公知である。成層燃焼を実施する際には、一般的に、燃料噴射弁は、圧縮行程後半に設定された燃料噴射開始クランク角度から必要燃料量を噴射するのに要求される時間だけ開弁されるようになっている。こうして噴射された燃料は、ピストン頂面に形成された凹状の燃焼室内へ進入し、燃焼室壁面から熱を奪って気化しながら燃焼室形状によって点火プラグ方向へ偏向され、点火プラグ近傍に着火性の良好な混合気を形成することが意図されている。
【0003】
一般的な燃料噴射弁は、燃料を円錐状に集中して噴射するものである。それにより、燃料噴射末期に噴射された燃料が燃焼室壁面からの熱によって可燃混合気となるのに必要な時間が比較的長くなり、この時間を確保するために、燃料噴射終了時期を早めなければならない。それにより、圧縮行程後半において噴射可能な燃料量は必然的に少なくなり、必要燃料量が比較的多くなる高負荷時には成層燃焼を断念せざるを得なかった。燃料消費率の低減に有効である成層燃焼を、より広い機関運転状態で実施することが望まれている。
【0004】
特開平9−158736号公報には、スリット形状の噴孔を有する燃料噴射弁を使用して、燃料を比較的厚さの薄い平らな扇状に噴射することが提案されている。こうして噴射された燃料は広範囲の燃焼室壁面から熱を奪えるために、短時間で可燃混合気とすることができ、燃料噴射終了時期を遅らせることが可能となるために、圧縮行程後半において噴射可能な燃料量を増加することができ、成層燃焼領域を高負荷側に拡大することができるとされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前述の従来技術によって、燃料噴射終了時期を遅らせても、噴射された燃料を点火時点において確実に可燃混合気とすることができる。こうして形成された可燃混合気は、幅に比較して短い長さを有する平らな形状を有し、略長さ方向に上昇する。この可燃混合気が上昇中において点火プラグに接触している間に、点火時期を迎えなければならないが、この可燃混合気は長さが比較的短いために、上昇中において点火プラグに接触している時間は比較的短く、可燃混合気の形成時期の僅かなずれによって、点火時点において可燃混合気が点火プラグを既に通過している可能性があり、確実な着火性が確保できない。
【0006】
従って、本発明の目的は、燃料を比較的厚さの薄い平らな扇状に噴射する筒内噴射式火花点火内燃機関において、確実な着火性を確保して確実に成層燃焼領域を高負荷側に拡大可能とすることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明による請求項1に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関は、点火プラグと、ピストン頂面に形成されたキャビティと、燃料を比較的厚さの薄い略扇状に噴射して前記キャビティの底壁へ鋭角に衝突させる燃料噴射弁とを具備し、前記キャビティの底壁は、前記燃料噴射弁から略扇状に噴射された燃料を放射状に複数の燃料部分に分割して考えた場合において、衝突する前記複数の燃料部分を前記キャビティの側壁へ導くための互いに隣接する複数の燃料導き経路を有し、前記キャビティの側壁は、前記複数の燃料導き経路により導かれた前記複数の燃料部分の少なくとも二つを前記点火プラグ近傍を通過させるように偏向する第一燃料偏向経路及び第二燃料偏向経路を有し、前記第一燃料偏向経路へ前記燃料部分を導く前記複数の燃料導き経路のうちの第一燃料導き経路における前記燃料の衝突角度は、前記第二燃料偏向経路へ前記燃料部分を導く前記複数の燃料導き経路のうちの第二燃料導き経路における前記燃料の衝突角度より小さくされ、前記第一燃料導き経路は、前記第二燃料導き経路に比較して前記点火プラグに近いことを特徴とする。
【0008】
また、本発明による請求項2に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関は、請求項1に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関において、前記キャビティの側壁は、前記二つの燃料部分以外の全ての燃料部分を前記点火プラグ近傍を通過させるように偏向する複数の燃料偏向経路を有し、前記第一燃料導き経路における前記燃料の衝突角度は最も小さく、互いに隣接する前記燃料導き経路における前記燃料の衝突角度は徐々に変化させられ、前記第一燃料導き経路は、他の前記燃料導き経路に比較して前記点火プラグに近いことを特徴とする請求項1に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関。
いることを特徴とする。
【0010】
また、本発明による請求項3に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関は、点火プラグと、ピストン頂面に形成されたキャビティと、燃料を比較的厚さの薄い略扇状に噴射して前記キャビティの底壁へ鋭角に衝突させる燃料噴射弁とを具備し、前記キャビティの底壁は、前記燃料噴射弁から略扇状に噴射された燃料を放射状に複数の燃料部分に分割して考えた場合において、衝突する前記複数の燃料部分を前記キャビティの側壁へ導くための互いに隣接する複数の燃料導き経路を有し、前記キャビティの側壁は、前記複数の燃料導き経路により導かれた前記複数の燃料部分の少なくとも二つを前記点火プラグ近傍を通過させるように偏向する第一燃料偏向経路及び第二燃料偏向経路を有し、前記第一燃料偏向経路へ前記燃料部分を導く前記複数の燃料導き経路のうちの第一燃料導き経路における前記キャビティの側壁近傍の深さは、前記第二燃料偏向経路へ前記燃料部分を導く前記複数の燃料導き経路のうちの第二燃料導き経路における前記キャビティの側壁近傍の深さより浅くされ、前記第一燃料導き経路は、前記第二燃料導き経路に比較して前記点火プラグに近いことを特徴とする。
【0011】
また、本発明による請求項4に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関は、請求項3に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関において、前記キャビティの側壁は、前記二つの燃料部分以外の全ての燃料部分を前記点火プラグ近傍を通過させるように偏向する複数の燃料偏向経路を有し、前記第一燃料導き経路における前記キャビティの側壁近傍の深さは最も浅く、互いに隣接する前記燃料導き経路における前記キャビティの側壁近傍の深さは徐々に変化させられ、前記第一燃料導き経路は、他の前記燃料導き経路に比較して前記点火プラグに近いことを特徴とする。
【0013】
また、本発明による請求項5に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関は、点火プラグと、ピストン頂面に形成されたキャビティと、燃料を比較的厚さの薄い略扇状に噴射して前記キャビティの底壁へ鋭角に衝突させる燃料噴射弁とを具備し、前記キャビティの底壁は、前記燃料噴射弁から略扇状に噴射された燃料を放射状に複数の燃料部分に分割して考えた場合において、衝突する前記複数の燃料部分を前記キャビティの側壁へ導くための互いに隣接する複数の燃料導き経路を有し、前記キャビティの側壁は、前記複数の燃料導き経路により導かれた前記複数の燃料部分の全てを前記点火プラグ近傍を通過させるように偏向する複数の燃料偏向経路を有し、前記複数の燃料導き経路における前記燃料の衝突位置から前記キャビティの所定深さに達するまでの経路長は徐々に変化させられていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明による請求項6に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関は、点火プラグと、ピストン頂面に形成されたキャビティと、燃料を比較的厚さの薄い略扇状に噴射して前記キャビティの底壁へ鋭角に衝突させる燃料噴射弁とを具備し、前記キャビティの底壁は、前記燃料噴射弁から略扇状に噴射された燃料を放射状に複数の燃料部分に分割して考えた場合において、衝突する前記複数の燃料部分を前記キャビティの側壁へ導くための互いに隣接する複数の燃料導き経路を有し、前記キャビティの側壁は、前記複数の燃料導き経路により導かれた前記複数の燃料部分の少なくとも二つを前記点火プラグ近傍を通過させるように偏向する第一燃料偏向経路及び第二燃料偏向経路を有し、前記第二燃料偏向経路上及び前記第二燃料偏向経路へ前記燃料部分を導く前記複数の燃料導き経路のうちの第二燃料導き経路上の少なくとも一方には所定数の凹状又は凸状の抵抗部が設けられ、前記第一燃料偏向経路上及び前記第一燃料偏向経路へ前記燃料部分を導く前記複数の燃料導き経路のうちの第一燃料導き経路の少なくとも一方には前記所定数より少ない前記抵抗部が設けられているか又は前記第一燃料偏向経路上及び前記第一燃料導き経路上には前記抵抗部は設けられておらず、前記第一燃料導き経路は、前記第二燃料導き経路に比較して前記点火プラグに近いことを特徴とする。
【0015】
また、本発明による請求項7に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関は、点火プラグと、ピストン頂面に形成されたキャビティと、燃料を比較的厚さの薄い略扇状に噴射して前記キャビティの底壁へ鋭角に衝突させる燃料噴射弁とを具備し、前記キャビティの底壁は、前記燃料噴射弁から略扇状に噴射された燃料を放射状に複数の燃料部分に分割して考えた場合において、衝突する前記複数の燃料部分を前記キャビティの側壁へ導くための互いに隣接する複数の燃料導き経路を有し、前記キャビティの側壁は、前記複数の燃料導き経路により導かれた前記複数の燃料部分の少なくとも二つを前記点火プラグ近傍を通過させるように偏向する第一燃料偏向経路及び第二燃料偏向経路を有し、前記第二燃料偏向経路上及び前記第二燃料偏向経路へ前記燃料部分を導く前記複数の燃料導き経路のうちの第二燃料導き経路上の少なくとも一方には所定深さの凹状又は所定高さの凸状の第一抵抗部が設けられ、前記第一燃料偏向経路上及び前記第一燃料偏向経路へ前記燃料部分を導く前記複数の燃料導き経路のうちの第一燃料導き経路の少なくとも一方には前記所定深さより浅い凹状又は前記所定高さより低い凸状の第二抵抗部が設けられているか又は前記第一燃料偏向経路上及び前記第一燃料導き経路上には前記第一抵抗部は設けられておらず、前記第一燃料導き経路は、前記第二燃料導き経路に比較して前記点火プラグに近いことを特徴とする。
【0016】
また、本発明による請求項8に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関は、点火プラグと、ピストン頂面に形成されたキャビティと、燃料を比較的厚さの薄い略扇状に噴射して前記キャビティの底壁へ鋭角に衝突させる燃料噴射弁とを具備し、前記キャビティの底壁は、前記燃料噴射弁から略扇状に噴射された燃料を放射状に複数の燃料部分に分割して考えた場合において、衝突する前記複数の燃料部分を前記キャビティの側壁へ導くための互いに隣接する複数の燃料導き経路を有し、前記キャビティの側壁は、前記複数の燃料導き経路により導かれた前記複数の燃料部分の少なくとも二つを前記点火プラグ近傍を通過させるように偏向する第一燃料偏向経路及び第二燃料偏向経路を有し、前記キャビティの底壁には、前記第一燃料偏向経路へ前記燃料部分を導く前記複数の燃料導き経路のうちの第一燃料導き経路と、前記第二燃料偏向経路へ前記燃料部分を導く前記複数の燃料導き経路のうちの第二燃料導き経路とを区画するための複数のガイド突部が設けられ、前記複数のガイド突部は、略直線状であり、前記第一燃料導き経路における前記燃料部分の偏向角度は、前記第二燃料導き経路における前記燃料部分の偏向角度より小さく、前記第一燃料導き経路は、前記第二燃料導き経路に比較して前記点火プラグに近いことを特徴とする。
【0017】
また、本発明による請求項9に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関は、点火プラグと、ピストン頂面に形成されたキャビティと、燃料を比較的厚さの薄い略扇状に噴射して前記キャビティの底壁へ鋭角に衝突させる燃料噴射弁とを具備し、前記キャビティの底壁は、前記燃料噴射弁から略扇状に噴射された燃料を放射状に複数の燃料部分に分割して考えた場合において、衝突する前記複数の燃料部分を前記キャビティの側壁へ導くための互いに隣接する複数の燃料導き経路を有し、前記キャビティの側壁は、前記複数の燃料導き経路により導かれた前記複数の燃料部分の全てを前記点火プラグ近傍を通過させるように偏向する複数の燃料偏向経路を有し、前記キャビティの底壁には、前記複数の燃料導き経路を区画するための複数のガイド突部が設けられ、前記複数のガイド突部は、略直線状で、前記燃料噴射弁の噴孔中心と前記キャビティの中心とを通る平面に対して略平行であることを特徴とする。
【0018】
また、本発明による請求項10に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関は、点火プラグと、ピストン頂面に形成されたキャビティと、燃料を比較的厚さの薄い略扇状に噴射して前記キャビティの底壁へ鋭角に衝突させる燃料噴射弁とを具備し、前記キャビティの底壁は、前記燃料噴射弁から略扇状に噴射された燃料を放射状に複数の燃料部分に分割して考えた場合において、衝突する前記複数の燃料部分を前記キャビティの側壁へ導くための互いに隣接する複数の燃料導き経路を有し、前記キャビティの側壁は、前記複数の燃料導き経路により導かれた前記複数の燃料部分の少なくとも二つを前記点火プラグ近傍を通過させるように偏向する第一燃料偏向経路及び第二燃料偏向経路を有し、前記キャビティの底壁には、前記第一燃料偏向経路へ前記燃料部分を導く前記複数の燃料導き経路のうちの第一燃料導き経路と、前記第二燃料偏向経路へ前記燃料部分を導く前記複数の燃料導き経路のうちの第二燃料導き経路とを区画するための複数のガイド突部が設けられ、前記複数のガイド突部は湾曲形状であり、前記複数のガイド突部により区画された前記第一燃料導き経路及び前記第二燃料導き経路における中心線形状は前記第一燃料導き経路の方が曲率半径が大きいか又は前記第一燃料導き経路の中心線形状は直線であり、前記第一燃料導き経路は、前記第二燃料導き経路に比較して前記点火プラグに近いことを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1は本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第一実施形態を示す概略縦断面図であり、図2は図1におけるピストンの平面図である。これらの図において、1は吸気ポート、2は排気ポートである。吸気ポート1は吸気弁3を介して、排気ポート2は排気弁4を介して、それぞれ気筒内へ通じている。5はピストンであり、6は気筒略中心上部に配置された点火プラグである。燃料噴射弁7は、燃料幅中心と気筒中心とを略一致させるように、燃料を比較的厚さの薄い平らな扇状に噴射するものである。
【0020】
燃料噴射弁7は、例えば、高い機関出力が必要な均一燃焼領域において、吸気行程で必要燃料量を噴射し、点火時点で気筒内に均一混合気を形成するようになっている。一方、成層燃焼領域においては、圧縮行程後半の機関運転状態毎に設定されたクランク角度から燃料噴射を開始して必要燃料量を噴射するようになっている。圧縮行程後半で噴射された燃料は、図1に示すように、ピストン5の頂面に形成された凹状のキャビティ8内へ進入し、キャビティ8の底壁81に衝突した後に、底壁81に沿って側壁82の方向に進行し、その後、側壁82に沿って手前上方向に偏向されて点火プラグ6へ向けられる。以下の説明を含めて手前とは、燃料噴射弁側である。
【0021】
キャビティ8の底壁81に衝突した後の燃料9は、燃料噴射弁7により噴射される燃料が比較的厚さの薄い平らな扇状であるために、図2にドットで示すように、キャビティ8の底壁81及び側壁82上をさらに燃料幅方向に拡がりながら進行し、燃料各部分は、キャビティ8から熱を良好に吸収するために短時間で着火性の良好な混合気(以下、可燃混合気と称する)となる。成層燃焼を実現するためには、少なくとも燃料噴射末期に噴射された燃料が点火時点において可燃混合気となっていなければならないが、このように比較的厚さの薄い平らな扇状に燃料を噴射することで、燃料噴射終了から点火までの時間を短くすることができ、すなわち、燃料噴射終了を遅らせることができ、比較的多量の燃料を点火時点において可燃混合気とすることが可能となる。
【0022】
こうして形成された可燃混合気は、従来において、図4(A)に実線で示すように、幅に比較して短い長さを有する平らな形状を有して、略長さ方向に上昇する。それにより、可燃混合気が距離L1を移動する間の比較的短い時間しか可燃混合気Mが点火プラグの点火位置Pと接触しておらず、この比較的短い時間で点火時期を迎えなければならない。こうして、燃料噴射時期の僅かなずれ等によって可燃混合気の形成時期に僅かなずれが発生すると、点火時期において、可燃混合気が点火プラグを既に通過している可能性があり、確実な着火性を確保することができない。
【0023】
本発明は、この問題を解決することを意図している。本実施形態におけるピストン5の頂面に形成されたキャビティ8の側壁82は、少なくとも燃料が到達する範囲において、上端部にはキャビティ8内方向に突出する返し部83を有し、曲率半径r1の水平方向の円弧形状を呈しており、この範囲における各側壁部分の縦断面形状は図3に示すようになっている。また、側壁82の燃料が到達する範囲における中心垂直平面N1と、燃料噴射弁7から噴射される燃料の中心垂直平面N2とは180°で交差し、すなわち、一直線上となっている。図3(A)は、図2のA−A断面図であり、気筒略中心上部に位置する点火プラグに最も近い中央側壁部分82aを示している。中央側壁部分82aは、返し部83を含めて曲率半径R1の円弧断面形状を有している。中央側壁部分82aにおける返し部83の突出長はL1である。また、図3(B)は、図2のB−B断面図であり、中央側壁部分82aの右側に位置する右側側壁部分82bを示している。右側側壁部分82bは、返し部83を含めて曲率半径R2の円弧断面形状を有している。右側側壁部分82bにおける返し部83の突出長はL2である。また、図3(C)は、図2のC−C断面図であり、中央側壁部分82aの左側に位置する左側側壁部分82cを示している。左側側壁部分82cは、返し部83を含めて曲率半径R3の円弧断面形状を有している。左側側壁部分82cにおける返し部83の突出長はL3である。各側壁部分における垂直方向の曲率半径及び返し部83の突出長の関係は、R1>R2>R3及びL1<L2<L3となっている。
【0024】
このように構成されたキャビティ8内に燃料が噴射されると、底壁81上を燃料幅方向に拡がりながら進行して側壁82に到達した燃料は、側壁82の水平方向の円弧形状によって燃料幅中心方向に偏向されると共に、各側壁部分の円弧断面形状によって手前上方向に偏向される。簡単のために、噴射された燃料を放射状に三つの燃料部分、すなわち、中央燃料部分9aと、右側燃料部分9bと、左側燃料部分9cとに分割して考えると、中央燃料部分9aは中央側壁部分82aによって、また、右側燃料部分9bは右側側壁部分82bによって、また、左側燃料部分9cは左側側壁部分82cによって、それぞれに、気筒略中心上部に位置する点火プラグ6の方向へ向けられる。こうして、キャビティ8の底壁81は、中央、右側、及び左側燃料部分9a,9b,9cを側壁81へ導くための中央、右側、及び左側燃料導き経路を構成し、中央、右側、及び左側側壁部分82a,82b,82cは、それぞれ、中央、右側、及び左側燃料部分9a,9b,9cを点火プラグ6近傍を通過させるように偏向する中央、右側、及び左側燃料偏向経路を構成している。
【0025】
各燃料偏向経路において、返し部83の突出長が短いほど、燃料通過に際して、経路長が短くて通過抵抗が低くなる。また、本実施形態のように、各側壁部分の垂直方向断面が、全体的な円弧形状を有している場合であっても、部分的な円弧形状を有している場合であっても、各燃料偏向経路において、円弧断面形状の曲率半径が大きいほど、燃料通過に際して、経路長が短くて通過抵抗が低くなる。それにより、本実施形態においては、各燃料偏向経路において、返し部83の突出長及び円弧断面形状における曲率半径に前述のような違いを持たせてあるために、中央燃料偏向経路上を通過する中央燃料部分9aは、最も早い時期にキャビティ8を離れると共に点火プラグ6へ向かう速度も最も速くなる。右側燃料偏向経路上を通過する右側燃料部分9bは、次に早い時期にキャビティ8を離れると共に点火プラグ6へ向かう速度も次に速くなる。また、左側燃料偏向経路上を通過する左側燃料部分9cは、最も遅い時期にキャビティ8を離れると共に点火プラグ6へ向かう速度も最も遅くなる。
【0026】
それにより、図4(B)に示すように、中央燃料部分9aにより形成される可燃混合気9a’は最も早く点火プラグ6近傍に達し、次いで、右側燃料部分9bにより形成される可燃混合気9b’が点火プラグ6に達し、最後に左側燃料部分9cにより形成される可燃混合気9c’が点火プラグ6に達するようになる。しかしながら、これらの可燃混合気は、連続的に拡がる燃料から形成されるために、互いに完全に独立して存在するようなことはなく、図4(B)に示すように互いに周囲部分において重なって繋がっている。
【0027】
このように、本実施形態によれば、燃料噴射弁から比較的厚さの薄い略扇状に噴射された燃料を放射状に複数の燃料部分に分割して考えた場合において、複数の燃料部分により形成される各可燃混合気を繋がった状態で連続的に点火プラグ6近傍を通過させるようにしている。すなわち、本実施形態においては、中央燃料部分9aによる可燃混合気9a’が点火位置Pに接触し始める時(図4(B)の実線で示す時)から左側燃料部分9cによる可燃混合気9c’が点火位置Pに依然として接触している時(図4(B)の点線で示す時)までの間で点火時期を迎えれば良い。言わば、点火プラグ6へ最も遅く到達する左側燃料部分9cによる可燃混合気9c’が距離L2を移動する間において点火が実施されれば良い。
【0028】
この可燃混合気9c’の移動速度は、前述したように遅くなり、図4(A)に示す従来の可燃混合気の移動速度よりも遅く、また、距離L2は、前述の距離L1に比較して十分に長いために、本実施形態によれば、可燃混合気が点火位置Pと比較的長い時間において接触し続け、燃料噴射時期の僅かなずれ等によって可燃混合気の形成時期に僅かなずれが発生しても、点火時期において、可燃混合気が点火プラグを既に通過している可能性はなく、確実な着火性を確保することができる。
【0029】
本実施形態及び以下に説明するいくつかの実施形態において、略扇状に噴射された燃料を三つの燃料部分に分割するものとして説明したが、少なくとも二つの燃料部分に分割し、各燃料部分により形成される可燃混合気を順次点火プラグ近傍を通過させるようにすれば、明かに着火性を向上させることができる。また、複数に分割された燃料部分により形成される可燃混合気の全てを点火プラグ近傍を通過させるようにする必要はなく、分割された燃料部分の少なくとも二つにより形成される可燃混合気を順次点火プラグ近傍を通過させるようにしても良い。
【0030】
さらに、第一側壁部分82a、第二側壁部分82b、及び第三側壁部分82cにおいて、円弧断面形状の曲率半径及び返し部83の突出長の少なくとも一つを、図2に示すように連続的に変化させるようにしても良い。これは、言わば、略扇状に噴射された燃料を非常に多数の燃料部分に分割し、各燃料部分により形成される可燃混合気を順次点火プラグ6近傍を通過させることになり、各燃料部分により形成される可燃混合気の繋がりが良好になり、火炎伝播を非常に良好とすることができる。また、以下に説明するいくつかの実施形態を含めて、本実施形態のように、点火プラグ6へ最初に到達する可燃混合気を形成する燃料部分の経路を点火プラグ6に最も近くすることで、この可燃混合気を早期に点火プラグ6へ到達させることができる。これにより、可燃混合気と点火プラグとの接触時間をさらに長くすることができ、さらに確実な着火性を確保することができる。
【0031】
図5は本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第二実施形態を示す図2に相当するピストンの平面図である。本実施形態におけるピストン5’の頂面に形成されたキャビティ8’は、以下に説明する以外については、第一実施形態のピストン5の頂面に形成されたキャビティ8と同じ形状を有している。このキャビティ8’の側壁82’は、少なくとも燃料が到達する範囲において、上端部に返し部83’を有し、この返し部83’の突出長は、いずれの位置においても同じとされている。図6(A)は図5のD−D断面図であり、図6(B)は図5のE−E断面図であり、図6(C)は図5のF−F断面図である。これらの図に示すように、キャビティ8’の側壁82’は、少なくとも燃料が到達する範囲において同じ曲率半径R4の円弧断面形状を部分的に有している。それにより、各燃料部分を点火プラグ6方向へ偏向する中央、右側、及び左側燃料偏向経路は、経路長及び通過抵抗が略同一となっている。しかしながら、図6に示すように、燃料衝突位置における中央燃料導き経路81a、右側燃料導き経路81b、及び左側燃料導き経路81cの傾斜角度は、互いに異なっており、中央燃料導き経路81aにおける燃料の衝突角度TH1が最も小さく、右側燃料導き経路81bにおける燃料の衝突角度TH2が次いで小さく、左側燃料導き経路81cにおける燃料の衝突角度TH3が最も大きくなっている。
【0032】
それにより、各燃料導き経路への衝突に際して、中央燃料部分9aのエネルギ損失が最も少なく、次いで右側燃料部分9bのエネルギ損失が少なく、左側燃料部分9cのエネルギ損失が最も大きい。こうして、第一実施形態と同様に、中央燃料部分9aにより形成される可燃混合気は最も早く点火プラグ6に達し、次いで、右側燃料部分9bにより形成される可燃混合気が点火プラグ6に達し、最後に、左側燃料部分9cにより形成される可燃混合気が点火プラグ6に達するようになり、前述同様な効果を得ることができる。本実施形態では、キャビティ8’において、各燃料導き経路における側壁近傍の深さH1は略同一であり、燃料衝突位置における傾斜の始点深さH4も略同一とされている。このようなキャビティ8’の底壁形状において、各燃料導き経路における傾斜角度を徐々に変化させることも可能である。それにより、前述同様に、良好に繋がる可燃混合気が形成されて良好な成層燃焼を実現できる。
【0033】
また、図7は本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第三実施形態を示す図6に相当する図である。第二実施形態との違いについてのみ以下に説明する。図7(A)は図5のD−D断面図であり、図7(B)は図5のE−E断面図であり、図7(C)は図5のF−F断面図である。これらの図に示すように、燃料衝突位置における中央燃料導き経路81a’、右側燃料導き経路81b’、及び左側燃料導き経路81c’の傾斜角度は、互いに異なっており、中央燃料導き経路81a’における燃料の衝突角度TH1が最も小さく、右側燃料導き経路81b’における燃料の衝突角度TH4が次いで小さく、左側燃料導き経路81c’における燃料の衝突角度TH5が最も大きくなっている。
【0034】
それにより、各燃料導き経路への衝突に際して、中央燃料部分9aのエネルギ損失が最も少なく、次いで右側燃料部分9bのエネルギ損失が少なく、左側燃料部分9cのエネルギ損失が最も大きく、第二実施形態と同様な効果を得ることができる。本実施形態では、キャビティにおいて、各燃料導き経路における側壁近傍の深さH1は略同一であるが、中央燃料導き経路81a’における燃料衝突位置における傾斜の始点深さH4が最も浅く、次いで、右側燃料導き経路81b’における燃料衝突位置における傾斜の始点深さH5が浅く、左側燃料導き経路81c’における燃料衝突位置における傾斜の始点深さH6が最も深くなっている。このようなキャビティの底壁形状において、各燃料導き経路における傾斜角度を徐々に変化させることも可能である。それにより、前述同様に、良好に繋がる可燃混合気が形成されて良好な成層燃焼を実現できる。
【0035】
また、図8は本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第四実施形態を示す図6に相当する図である。第二実施形態との違いについてのみ以下に説明する。図8(A)は図5のD−D断面図であり、図8(B)は図5のE−E断面図であり、図8(C)は図5のF−F断面図である。これらの図に示すように、本実施形態においては燃料衝突位置における各燃料導き経路の傾斜角度は略同一であるが、中央燃料導き経路81a”における側壁近傍の深さH1が最も浅く、次いで、右側燃料導き経路81b”における側壁近傍の深さH2が浅く、左側燃料導き経路81c”における側壁近傍の深さH3が最も深くなっている。
【0036】
それにより、中央燃料導き経路81a”の経路長が最も短くなり、次いで右側燃料導き経路81b”の経路長が短くなり、左側燃料導き経路81c”の経路長が最も長くなる。こうして、第一実施形態と同様に、中央燃料部分9aにより形成される可燃混合気は最も早く点火プラグ6に達し、次いで、右側燃料部分9bにより形成される可燃混合気が点火プラグ6に達し、最後に、左側燃料部分9cにより形成される可燃混合気が点火プラグ6に達するようになり、前述同様な効果を得ることができる。本実施形態においても各燃料導き経路における側壁近傍の深さを徐々に変化させ、良好に繋がる可燃混合気を形成することが可能である。
【0037】
図9は本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第五実施形態を示す図5に相当するピストンの平面図である。本実施形態におけるピストン5”の頂面に形成されたキャビティ8”は、以下に説明する以外については、第二実施形態のピストン5’の頂面に形成されたキャビティ8’と同じ形状を有している。本実施形態において、各燃料導き経路の燃料衝突位置における傾斜角度は略同一であるが、中央燃料導き経路上には、中央燃料部分の幅方向に延在する一つの凸状抵抗部10が設けられ、右側燃料導き経路上には、右側燃料部分の幅方向に延在する二つの凸状抵抗部10が設けられ、左側燃料導き経路上には、左側燃料部分の幅方向に延在する三つの凸状抵抗部10が設けられている。
【0038】
それにより、各燃料導き経路上の凸状抵抗部の数の違いによって、中央燃料導き経路の通過抵抗が最も小さく、次いで右側燃料導き経路の通過抵抗が小さく、左側燃料導き経路の通過抵抗が最も大きい。こうして、第一実施形態と同様に、中央燃料部分9aにより形成される可燃混合気は最も早く点火プラグ6に達し、次いで、右側燃料部分9bにより形成される可燃混合気が点火プラグ6に達し、最後に、左側燃料部分9cにより形成される可燃混合気が点火プラグ6に達するようになり、前述同様な効果を得ることができる。
【0039】
本実施形態において、凸状抵抗部は、各燃料導き経路上に設けられているが、もちろん、同様な考え方に基づき各燃料偏向経路上に設けることも可能である。また、抵抗部を凸状ではなく凹状にしても同様に通過抵抗を増加させることができる。また、凸状又は凹状の抵抗部の数を違えることに代えて又は加えて、凸状又は凹状の抵抗部の高さ又は深さを異ならせることによって各燃料導き経路の通過抵抗を変化させるようにしても良い。さらに、通過抵抗を最も小さくする燃料導き経路上及び燃料偏向経路上には、抵抗部を設けなくても良い。
【0040】
図10は本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第六実施形態を示す図5に相当するピストンの平面図である。本実施形態におけるピストン500の頂面に形成されたキャビティ800は、以下に説明する以外については、第二実施形態のピストン5’の頂面に形成されたキャビティ8’と同じ形状を有している。本実施形態において、キャビティ800の底壁には、中央、右側、及び左側燃料導き経路をそれぞれ区画するための四つのガイド突部20が設けられている。各ガイド突部20は、燃料の中心垂直平面N2に対して、略平行で略対称である。こうして区画された中央燃料導き経路は、中央燃料部分をほとんど偏向することなく中央燃料偏向経路に導くが、右側及び左側燃料導き経路は、右側及び左側燃料部分を水平方向に偏向して右側及び左側燃料偏向経路へ導くことになり、その分の通過抵抗を右側及び左側燃料部分へ与える。
【0041】
キャビティ800の側壁において、燃料が到達する範囲における水平方向の円弧形状の曲率半径r2は、第二実施形態のキャビティ8’の曲率半径r1に比較して小さくされており、それにより、右側及び左側燃料偏向経路は、右側及び左側燃料導き経路上で水平方向に偏向されて到達する燃料を良好に点火プラグ6近傍へ偏向するようになっている。こうして、中央燃料部分により形成される可燃混合気は最も早く点火プラグ6に達し、次いで、右側及び左側燃料部分により形成される可燃混合気が点火プラグ6に達し、可燃混合気と点火プラグとの接触時間が長くなり前述同様な効果を得ることができる。
【0042】
本実施形態において、右側及び左側燃料導き経路における通過抵抗は略同一で、右側及び左側燃料部分により形成される可燃混合気はほぼ同時に点火プラグ6に到達するようになっている。しかしながら、例えば、左側燃料導き経路を区画するガイド突部20を燃料の中心垂直平面方向に傾斜させることで、左側燃料部分の水平方向の偏向度合いが大きくなり、右側燃料導き経路に比較して左側燃料導き経路における通過抵抗を大きくすることができ、これまでの実施形態のように、各燃料部分により形成される可燃混合気が順次点火プラグ近傍を通過するようにすることができる。
【0043】
図11は本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第七実施形態を示す図10に相当するピストンの平面図である。本実施形態におけるピストン501の頂面に形成されたキャビティ801は、以下に説明する以外については、第六実施形態のピストン500の頂面に形成されたキャビティ800と同じ形状を有している。本実施形態において、キャビティ801の底壁には、中央、右側、及び左側燃料導き経路をそれぞれ区画するための四つのガイド突部21が設けられている。各ガイド突部21は、燃料の中心垂直平面N2に対して内側に湾曲し、燃料の中心垂直平面N2に対して略対称である。また、燃料の中心垂直平面N2から離れるガイド突部ほど小さな曲率半径を有している。こうして区画された中央燃料導き経路は、中央燃料部分をほとんど偏向することなく中央燃料偏向経路に導くが、右側及び左側燃料導き経路は、右側及び左側燃料部分を水平方向に偏向して右側及び左側燃料偏向経路へ導くことになり、その分の通過抵抗を右側及び左側燃料部分へ与え、第六実施形態と同様に、可燃混合気と点火プラグとの接触時間が長くなり前述同様な効果を得ることができる。本実施形態においても、第六実施形態と同様な考え方に基づき右側燃料導き経路と左側燃料導き経路の通過抵抗に違いを持たせ、各燃料部分により形成される可燃混合気が順次点火プラグ近傍を通過するようにすることができる。
【0044】
図12は本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第八実施形態を示す図5に相当するピストンの平面図である。本実施形態におけるピストン502の頂面に形成されたキャビティ802は、以下に説明する以外については、第二実施形態のピストン5’の頂面に形成されたキャビティ8’と同じ形状を有している。本実施形態において、キャビティ802の底壁の燃料衝突位置における傾斜角度は略同一であるが、底壁には略扇状に噴射される燃料を全体的に燃料幅左方向に偏向する複数の偏向ガイド突部22が設けられている。偏向側、すなわち、左側に位置する偏向ガイド突部22は、右側に位置する偏向ガイド突部22に比較して傾きが小さくされている。点火プラグ6’は、左側に少し偏心されている。
【0045】
こうして、偏向ガイド突部22によって偏向された燃料がキャビティ802の側壁によって手前上方向に偏向されると、この燃料により形成される可燃混合気Mは、図4(A)に相当する図14に示すように、左側に偏心された点火プラグ6に対して平面的には右下から斜め左上方向に移動する。可燃混合気Mの移動速度は、噴射された燃料が有する運動エネルギによるものであり、図4(A)に示す従来の場合と図14に示す本実施形態の場合においてほぼ等しいと考えられる。こうして、本実施形態によれば、可燃混合気Mが距離L3を移動する間において可燃混合気Mは点火位置Pに接触しており、距離L3は前述の距離L1に比較して十分に長いために、燃料噴射時期の僅かなずれ等によって可燃混合気の形成時期に僅かなずれが発生しても、点火時期において確実な着火性を確保することができる。
【0046】
本実施形態において、左側に位置する偏向ガイド突部22は、右側に位置する偏向ガイド突部22に比較して傾きが小さくされているために、キャビティ802の底壁において、燃料の左側は、あまり左方向に偏向されない。それにより、可燃混合気となって移動する際に、可燃混合気の左側は、左側方向へゆっくり移動するために、可燃混合気がシリンダボアに接触し難くなる。こうして、シリンダボアに燃料が付着してエンジンオイルの希釈させる等の問題を防止することができる。
【0047】
本実施形態において、偏向ガイド22は、キャビティの底壁、すなわち、燃料導き経路に設けられているが、キャビティの側壁、すなわち、燃料偏向経路上に設けるようにしても良い。この場合において、燃料偏向経路は、燃料を手前上方向に偏向するだけでなく、燃料幅左方向にも偏向することになる。以下の実施形態を含めて、本実施形態において、点火プラグは気筒略中心に配置することも可能である。この場合においては、前述した可燃混合気の斜め上方向への移動が垂直方向に近づくこととなるが、従来に比較して長い距離を移動する間において、可燃混合気は点火位置に接触するために、可燃混合気と点火プラグとの接触時間が長くなり、点火時期における確実な着火性を確保することができる。
【0048】
図13は本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第九実施形態を示す図5のG−G断面図に相当する図である。本実施形態におけるキャビティ803の底壁は、燃料の右側端部から左側端部の方向に傾斜している。それにより、底壁上を進行する燃料には左方向への偏向力が作用し、第八実施形態と同様に、可燃混合気は図14に示すように移動させ、可燃混合気と点火プラグとの接触時間が長くなり、点火時期における確実な着火性を確保することができる。
【0049】
本実施形態において、キャビティ803の底壁における傾斜角度は、燃料の右端部における傾斜角度より左端部における方が小さくされており、キャビティ803の底壁において、燃料の左側は、あまり左方向に偏向されないようになっている。それにより、可燃混合気となって移動する際に、可燃混合気の左側は、左側方向へゆっくり移動するために、可燃混合気がシリンダボアに接触し難くなる。こうして、シリンダボアに燃料が付着してエンジンオイルの希釈させる等の問題を防止することができる。
【0050】
図15は本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第十実施形態を示す図2に相当するピストンの平面図である。本実施形態におけるピストン504の頂面に形成されたキャビティ804は、以下に説明する以外については、第二実施形態のピストン5の頂面に形成されたキャビティ8と同じ形状を有しており、垂直方向軸線を中心に時計方向に所定角度回転させた構造となっている。本実施形態において、側壁の燃料が到達する範囲における中心垂直平面N1’と、燃料噴射弁7から噴射される燃料の中心垂直平面N2とは所定鈍角THで交差しており、点火プラグ6’は左方向に少し偏倚されている。
【0051】
このように構成された側壁は、燃料を中心垂直平面N1’に沿って上方向に偏向する。それにより、点火プラグ6’から見れば、燃料により形成される可燃混合気は、上昇するほど左方向に移動することになる。それにより、第八実施形態と同様に、可燃混合気は図14に示すように移動させ、可燃混合気と点火プラグとの接触時間が長くなり、点火時期における確実な着火性を確保することができる。
【0052】
また、本実施形態において、側壁の燃料が到達する範囲における垂直方向の断面形状は、左側のJ−J断面が図3(C)に相当し、中央のI−I断面が図3(B)に相当し、右側のH−H断面が図3(A)に相当している。それにより、燃料の左側部分ほど上昇速度が遅くなり、点火時点において、この部分の点火プラグ6’に対する左方向の移動量が少なくなる。こうして、可燃混合気がシリンダボアに接触し難くなる。本実施形態において、側壁の燃料が到達する範囲は水平方向の一つの曲率半径を有する円弧状となっている。しかしながら、この範囲の側壁における左側部分を部分的に小さな曲率半径とすることで、燃料の左側部分の左方向への移動速度を低下させ、さらに確実に可燃混合気がシリンダボアに接触することを防止することができる。
【0053】
図16は本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第十一実施形態を示すピストンの平面図である。本実施形態におけるピストン505の頂面に形成されたキャビティ805は、比較的厚さの薄い平らな扇状に噴射された燃料を手前上方向に偏向するものである。点火プラグ6’は左側に偏倚されている。本実施形態において、吸気ポートは気筒内に反時計水平方向のスワールを形成するように構成されている。また、ピストン505の頂面には、キャビティ805の側壁の燃料が到達する範囲に対応して隆起部50が形成されている。
【0054】
それにより、スワールの一部は、隆起部に沿って旋回し、手前上方向に偏向された燃料により形成される可燃混合気を左方向へ移動させる。それにより、第八実施形態と同様に、可燃混合気は図14に示すように移動させ、可燃混合気と点火プラグとの接触時間が長くなり、点火時期における確実な着火性を確保することができる。
【0055】
図17は本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第十二実施形態を示すピストンの平面図である。本実施形態におけるピストン506の頂面に形成されたキャビティ806は、比較的厚さの薄い平らな扇状に噴射された燃料を手前上方向に偏向するものである。点火プラグ6’は左側に少し偏倚されている。本実施形態において、ピストン506の頂面には、主に、キャビティ806の側壁の燃料が到達する範囲に沿って左方向に移動するスキッシュを発生するスキッシュエリア60が形成されている。
【0056】
それにより、スキッシュは、手前上方向に偏向された燃料により形成される可燃混合気を左方向へ移動させる。それにより、第八実施形態と同様に、可燃混合気は図14に示すように移動させ、可燃混合気と点火プラグとの接触時間が長くなり、点火時期における確実な着火性を確保することができる。
【0057】
図18は本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第十三実施形態を示す概略縦断面図である。図1の第一実施形態との違いについてのみ以下に説明する。本実施形態におけるキャビティ807の底壁には、燃料噴射弁7から噴射される燃料がピストン507の上昇に伴って順次衝突する第一、第二、及び第三段部807a,807b,807cが形成されている。また、ピストン507の頂面には、主に、燃料噴射弁7の対向側から燃料噴射弁方向に進行するスキッシュを発生させるスキッシュエリア70が設けられている。
【0058】
低負荷側で燃料噴射量が少ない時でも、燃料噴射弁から噴射される燃料は、必ず第一及び第二段部807a,807bに衝突するようになっている。第一及び第二段部807a,807bは、それぞれ、燃料を互いに略平行に上方向へ偏向し、少なくとも、こうして偏向される燃料は、点火プラグ6よりスキッシュ上流側へ向かうようになっている。第一及び第二段部807a,807bにより偏向された燃料は、それぞれ、良好に可燃混合気となるために、全体的には、前述した実施形態に比較して確実に厚さの厚い可燃混合気となって、スキッシュによって点火プラグ6方向へ移動される。それにより、本実施形態では、可燃混合気は点火プラグと厚さ方向に比較的長い時間接触し続け、従来に比較して可燃混合気と点火プラグとの接触時間が長くなり、点火時期における確実な着火性を確保することができる。
【0059】
本実施形態において、高負荷側となって燃料噴射量が増加すると、第三段部807cにも燃料が衝突して上方向に偏向される。この燃料により形成される可燃混合気は、第二段部807bにより上方向へ偏向された燃料により形成される可燃混合気に隣接して位置するために、さらに可燃混合気の厚さを厚くし、厚さ方向に移動する可燃混合気と点火プラグとの接触時間がさらに長くなり、点火時期におけるさらに確実な着火性を確保することができる。
【0060】
図19は本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第十四実施形態を説明するための燃料噴射パターンである。同図において、点線は従来の燃料噴射パターンであり、本実施形態の燃料噴射パターンは、実線で示すように、燃料噴射初期の噴射率を高めると共に、燃料噴射末期の噴射率を低くしている。それにより、同じ噴射期間で同量の燃料を噴射することができる。こうして、燃料噴射末期の噴射率を低くすると、この時に噴射される燃料の運動エネルギが減少し、噴射されてから可燃混合気が点火プラグに到達するまでの時間を延長することができる。これは、言わば、可燃混合気の全体的な長さを長くすることになり、可燃混合気と点火プラグとの接触時間が長くなるために、点火時期における確実な着火性を確保することができる。
【0061】
本実施形態において、燃料噴射初期の噴射率を高めないことも可能である。それにより、燃料噴射期間は延長することになるが、噴射率を低くして噴射した燃料は、容易に気化して可燃混合気となり易く、すなわち、早期に可燃混合気となるために、燃料噴射終了時期が遅れても点火時点において噴射された燃料は全て可燃混合気となっており、特に問題とはならない。これは、燃料噴射初期の噴射率を高めれば、さらに多量の燃料が噴射可能であることを意味している。
【0062】
燃料噴射初期の噴射率を高めても、この時に噴射された燃料は、点火までの十分な時間によって良好な可燃混合気となることができる。燃料噴射弁は、一般的に、ニードルリフト量によって噴射率が変化する構造である。それにより、燃料噴射末期に噴射率を低くするためには、燃料噴射末期のニードルリフト量を小さく制御すれば良い。また、燃料噴射弁は、一般的に、小容量の燃料溜まりを介して高圧燃料を噴射するものであり、燃料噴射弁の開弁中には燃料供給通路により燃料溜まりへ燃料が供給されるようになっている。それにより、燃料供給通路に絞りを設ければ、燃料噴射初期には、燃料溜まり内の高圧の燃料が噴射されるが、燃料噴射末期には、燃料溜まり内の燃料圧力は低下するために、この時の噴射率を低くすることができる。
【0063】
図20は本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第十五実施形態を説明するためのクランク機構を示す概略図である。同図において、本実施形態のクランク機構900は、時計方向に回転し、回転中心900aがピストン508の中心軸線に対して左側に偏倚している。それにより、ピストン508が下降する時のクランク角速度は速くなるが、ピストン508が上昇する時のクランク角速度は遅くなる。本実施形態において、可燃混合気が点火プラグに接触している時間は延長されないが、圧縮行程における燃料噴射時期が多少ずれても、ピストンの上昇速度が遅いために、ほぼ所望のピストン位置で燃料を噴射することができ、確実な着火性を確保することができる。
【0064】
前述した第十四実施形態において、内燃機関は、燃料をピストン頂面のキャビティにより点火プラグ方向へ偏向するものに限定されず、燃料を飛行中に気化させて直接的に点火プラグ方向に向かわせるものでも、従来に比較して可燃混合気と点火プラグとの接触時間が延長し、確実な着火性を確保することができる。また、第十四及び第十五実施形態においては、燃料を略扇状に噴射するものにも限定されず、燃料を円錐状に噴射するものでも良い。これらの内燃機関においても、従来に比較して確実な着火性を確保することができる。
【0065】
【発明の効果】
このように、本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関によれば、点火プラグと、ピストン頂面に形成されたキャビティと、キャビティ内へ燃料を比較的厚さの薄い略扇状に噴射する燃料噴射弁とを具備し、キャビティの底壁は、燃料噴射弁から略扇状に噴射された燃料を放射状に複数の燃料部分に分割して考えた場合において、衝突する複数の燃料部分をキャビティの側壁へ導くための互いに隣接する複数の燃料導き経路を有し、キャビティの側壁は、複数の燃料導き経路により導かれた複数の燃料部分の少なくとも二つを点火プラグ近傍を通過させるように偏向する第一燃料偏向経路及び第二燃料偏向経路を有し、第一燃料導き経路は、第二燃料導き経路に比較して点火プラグの近くにあり、第一燃料偏向経路へ燃料部分を導く複数の燃料導き経路のうちの第一燃料導き経路における燃料の衝突角度は、第二燃料偏向経路へ燃料部分を導く複数の燃料導き経路のうちの第二燃料導き経路における燃料の衝突角度より小さくされるために、衝突の際のエネルギ損失に違いが発生し、第一燃料偏向経路上を通過する燃料部分により形成される可燃混合気が点火プラグ近傍を通過した後に第二燃料偏向経路上を通過する燃料部分により形成される可燃混合気が点火プラグ近傍に到達し、可燃混合気と点火プラグとの接触時間を全体として延長することができ、点火時期の制御範囲の拡大と確実な着火性を確保することができる。
【0066】
また、第一燃料偏向経路へ燃料部分を導く第一燃料導き経路におけるキャビティの側壁近傍の深さを、第二燃料偏向経路へ燃料部分を導く第二燃料導き経路におけるキャビティの側壁近傍の深さより浅くすることにより、第二燃料導き経路に比較して第一燃料導き経路の経路長及び通過抵抗を短く及び小さくすることができ、前述同様な効果を得ることができる。
【0067】
また、第二燃料偏向経路上及び第二燃料導き経路上(以下、第二燃料経路と称する)の少なくとも一方には所定数の凹状又は凸状の抵抗部を設け、第一燃料偏向経路上及び第一燃料導き経路上(以下、第一燃料経路と称する)の少なくとも一方には所定数より少ない抵抗部を設けるか又は第一燃料偏向経路上及び第一燃料導き経路上には抵抗部を設けないことにより、第二燃料経路に比較して第一燃料経路の通過抵抗を小さくすることができ、前述同様な効果を得ることができる。
【0068】
また、第二燃料経路上には所定深さの凹状又は所定高さの凸状の第一抵抗部を設け、第一燃料経路上には所定深さより浅い凹状又は所定高さより低い凸状の第二抵抗部を設けるか又は第一燃料経路上には第一抵抗部は設けないことにより、第二燃料経路に比較して第一燃料経路の通過抵抗を小さくすることができ、前述同様な効果を得ることができる。
【0069】
また、第一燃料導き経路と第二燃料導き経路とを区画するための複数のガイド突部を設け、複数のガイド突部は、略直線状であり、第一燃料導き経路における燃料部分の偏向角度は、第二燃料導き経路における燃料部分の偏向角度より小さくすることにより、第二燃料導き経路に比較して第一燃料導き経路の通過抵抗を小さくすることができ、前述同様な効果を得ることができる。
【0070】
また、第一燃料導き経路と第二燃料導き経路とを区画するための複数のガイド突部を設け、複数のガイド突部は湾曲形状であり、複数のガイド突部により区画された第一燃料導き経路及び第二燃料導き経路における中心線形状は第一燃料導き経路の方の曲率半径を大きくするか又は第一燃料導き経路の中心線形状は直線とすることにより、第二燃料導き経路に比較して第一燃料導き経路の通過抵抗を小さくすることができ、前述同様な効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第一実施形態を示す概略縦断面図である。
【図2】図1のピストンの平面図である。
【図3】図2のキャビティ側壁部分の断面図であり、(A)はA−A断面図、(B)はB−B断面図、(C)はC−C断面図である。
【図4】可燃混合気の挙動を説明する図である。
【図5】図2に相当するピストンの平面図である。
【図6】本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第二実施形態を示す図5のキャビティ側壁部分の断面図であり、(A)はD−D断面図、(B)はE−E断面図、(C)はF−F断面図である。
【図7】本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第三実施形態を示す図5のキャビティ側壁部分の断面図であり、(A)はD−D断面図、(B)はE−E断面図、(C)はF−F断面図である。
【図8】本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第四実施形態を示す図5のキャビティ側壁部分の断面図であり、(A)はD−D断面図、(B)はE−E断面図、(C)はF−F断面図である。
【図9】本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第五実施形態を示すピストンの平面図である。
【図10】本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第六実施形態を示すピストンの平面図である。
【図11】本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第七実施形態を示すピストンの平面図である。
【図12】本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第八実施形態を示すピストンの平面図である。
【図13】本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第九実施形態を示す図5のG−G断面図である。
【図14】可燃混合気のもう一つの挙動を説明する図である。
【図15】本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第十実施形態を示すピストンの平面図である。
【図16】本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第十一実施形態を示すピストンの平面図である。
【図17】本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第十二実施形態を示すピストンの平面図である。
【図18】本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第十三実施形態を示す概略縦断面図である。
【図19】本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第十四実施形態を説明する燃料噴射パターンを示す図である。
【図20】本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第十五実施形態を説明するクランク機構を示す図である。
【符号の説明】
5…ピストン
6…点火プラグ
7…燃料噴射弁
8…キャビティ[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a direct injection spark ignition internal combustion engine.
[0002]
[Prior art]
2. Description of the Related Art Stratified combustion is known in which a fuel-air mixture is formed only near an ignition plug at the time of ignition by injecting fuel directly into a cylinder, and a lean air-fuel mixture can be burned as a whole in the cylinder. When performing stratified combustion, generally, the fuel injection valve is opened for the time required to inject the required fuel amount from the fuel injection start crank angle set in the latter half of the compression stroke. Has become. The fuel injected in this way enters the concave combustion chamber formed on the piston top surface, takes heat from the combustion chamber wall surface and evaporates, is deflected in the direction of the spark plug by the shape of the combustion chamber, and becomes ignitable near the ignition plug. Is intended to form a good air-fuel mixture.
[0003]
A general fuel injection valve injects fuel in a concentrated manner in a conical shape. As a result, the time required for the fuel injected at the end of fuel injection to become a combustible mixture due to heat from the combustion chamber wall surface becomes relatively long, and in order to secure this time, the fuel injection end timing must be advanced. Must. As a result, the amount of fuel that can be injected in the latter half of the compression stroke is inevitably reduced, and stratified combustion must be abandoned at high loads when the required fuel amount is relatively large. It is desired that stratified combustion, which is effective for reducing the fuel consumption rate, be performed in a wider engine operating state.
[0004]
Japanese Patent Application Laid-Open No. 9-158736 proposes using a fuel injection valve having a slit-shaped injection hole to inject fuel into a flat fan shape having a relatively small thickness. The fuel injected in this way can remove heat from the combustion chamber wall over a wide area, and can be turned into a combustible mixture in a short time, and the fuel injection end time can be delayed, so it can be injected in the second half of the compression stroke It is described that the amount of fuel required can be increased, and the stratified combustion region can be expanded to a high load side.
[0005]
[Problems to be solved by the invention]
According to the above-described prior art, even if the fuel injection end timing is delayed, the injected fuel can be reliably turned into a combustible mixture at the time of ignition. The combustible mixture thus formed has a flat shape having a length shorter than the width, and rises substantially in the length direction. The ignition timing must be reached while the combustible mixture is in contact with the spark plug during the rise, but since the combustible mixture is relatively short in length, the combustible mixture contacts the spark plug during the rise. The ignited time is relatively short, and there is a possibility that the flammable mixture has already passed through the ignition plug at the time of ignition due to a slight shift in the formation timing of the flammable mixture, so that reliable ignitability cannot be ensured.
[0006]
Therefore, an object of the present invention is to provide a direct injection type spark ignition internal combustion engine that injects fuel in a relatively thin and flat fan shape, thereby ensuring a reliable ignition performance and ensuring a stratified combustion region on the high load side. Is to be able to expand.
[0007]
[Means for Solving the Problems]
According to a first aspect of the present invention, there is provided an in-cylinder injection spark ignition internal combustion engine, comprising: a spark plug, a cavity formed on a top surface of a piston, and fuel injected into a substantially fan shape having a relatively small thickness. And a fuel injection valve that makes an acute angle collision with the bottom wall, wherein the bottom wall of the cavity is divided into a plurality of fuel parts in a radial manner by dividing the fuel substantially fan-shaped from the fuel injection valve, A plurality of fuel guide paths adjacent to each other for guiding the plurality of colliding fuel portions to the side wall of the cavity, wherein a side wall of the cavity has a plurality of fuel passages guided by the plurality of fuel guide paths. A first fuel deflecting path and a second fuel deflecting path for deflecting at least two to pass near the spark plug, wherein the plurality of fuel guides guide the fuel portion to the first fuel deflecting path; The collision angle of the fuel in the first fuel guide path of the path is greater than the collision angle of the fuel in the second fuel guide path of the plurality of fuel guide paths that guides the fuel portion to the second fuel deflection path. Made smaller The first fuel guidance path is closer to the spark plug than the second fuel guidance path It is characterized by the following.
[0008]
According to a second aspect of the present invention, there is provided the in-cylinder injection spark ignition internal combustion engine according to the first aspect, wherein the side wall of the cavity is formed of a portion other than the two fuel portions. A plurality of fuel deflection paths for deflecting all fuel portions so as to pass near the spark plug; a collision angle of the fuel in the first fuel guide path is the smallest; The fuel collision angle is gradually changed The first fuel guide path is closer to the spark plug than the other fuel guide paths The in-cylinder injection spark ignition internal combustion engine according to claim 1, wherein:
It is characterized by having.
[0010]
Claims according to the present invention 3 The in-cylinder-injection spark ignition internal combustion engine described in (1), wherein the spark plug, the cavity formed on the top surface of the piston, and the fuel are injected into a substantially fan shape having a relatively small thickness and collide with the bottom wall of the cavity at an acute angle. And a bottom wall of the cavity, wherein the fuel injected substantially in a fan shape from the fuel injection valve is radially divided into a plurality of fuel portions, and the plurality of fuels colliding with each other are considered. A plurality of fuel guide paths adjacent to each other for directing a portion to a sidewall of the cavity, wherein the sidewall of the cavity ignites at least two of the plurality of fuel portions guided by the plurality of fuel guide paths. A first fuel deflecting path and a second fuel deflecting path for deflecting the fuel to pass near the plug; and a first fuel deflecting path of the plurality of fuel guiding paths for guiding the fuel portion to the first fuel deflecting path. The depth near the side wall of the cavity in the guide path is smaller than the depth near the side wall of the cavity in the second fuel guide path of the plurality of fuel guide paths that guides the fuel portion to the second fuel deflection path. , The first fuel guiding path is closer to the spark plug than the second fuel guiding path. It is characterized by the following.
[0011]
Claims according to the present invention 4 In-cylinder injection spark ignition internal combustion engine according to claim 3 The in-cylinder injection spark ignition internal combustion engine according to claim 1, wherein the side wall of the cavity has a plurality of fuel deflection paths that deflect all fuel parts except the two fuel parts to pass near the ignition plug. The depth near the side wall of the cavity in the first fuel guiding path is the shallowest, and the depth near the side wall of the cavity in the fuel guiding path adjacent to each other is gradually changed; The first fuel guiding path is closer to the spark plug than the other fuel guiding paths. It is characterized by the following.
[0013]
Claims according to the present invention 5 The in-cylinder-injection spark ignition internal combustion engine described in (1), wherein the spark plug, the cavity formed on the top surface of the piston, and the fuel are injected into a substantially fan shape having a relatively small thickness and collide with the bottom wall of the cavity at an acute angle. And a bottom wall of the cavity, wherein the fuel injected substantially in a fan shape from the fuel injection valve is radially divided into a plurality of fuel portions, and the plurality of fuels colliding with each other are considered. A plurality of fuel guide paths adjacent to each other for guiding a portion to a side wall of the cavity, wherein the side walls of the cavity transfer all of the plurality of fuel portions guided by the plurality of fuel guide paths to a vicinity of the ignition plug. Has a plurality of fuel deflection paths that deflect so as to pass through, and the path length from the collision position of the fuel in the plurality of fuel guide paths to a predetermined depth of the cavity gradually increases. And characterized by being allowed to reduction.
[0014]
Claims according to the present invention 6 The in-cylinder-injection spark ignition internal combustion engine described in (1), wherein the spark plug, the cavity formed on the top surface of the piston, and the fuel are injected into a substantially fan shape having a relatively small thickness and collide with the bottom wall of the cavity at an acute angle. And a bottom wall of the cavity, wherein the fuel injected substantially in a fan shape from the fuel injection valve is radially divided into a plurality of fuel portions, and the plurality of fuels colliding with each other are considered. A plurality of fuel guide paths adjacent to each other for directing a portion to a sidewall of the cavity, wherein the sidewall of the cavity ignites at least two of the plurality of fuel portions guided by the plurality of fuel guide paths. A first fuel deflecting path and a second fuel deflecting path that deflect so as to pass near the plug, and the plurality of fuel paths that guide the fuel portion on the second fuel deflecting path and to the second fuel deflecting path. At least one of the fuel guide paths on the second fuel guide path is provided with a predetermined number of concave or convex resistance portions, and the fuel portion is provided on the first fuel deflection path and the first fuel deflection path. At least one of the first fuel guiding paths of the plurality of guiding fuel paths is provided with the resistance portion less than the predetermined number or on the first fuel deflection path and on the first fuel guiding path. Is provided with the resistance portion The first fuel guiding path is closer to the spark plug than the second fuel guiding path. It is characterized by the following.
[0015]
Claims according to the present invention 7 The in-cylinder-injection spark ignition internal combustion engine described in (1), wherein the spark plug, the cavity formed on the top surface of the piston, and the fuel are injected into a substantially fan shape having a relatively small thickness and collide with the bottom wall of the cavity at an acute angle. And a bottom wall of the cavity, wherein the fuel injected substantially in a fan shape from the fuel injection valve is radially divided into a plurality of fuel portions, and the plurality of fuels colliding with each other are considered. A plurality of fuel guide paths adjacent to each other for directing a portion to a sidewall of the cavity, wherein the sidewall of the cavity ignites at least two of the plurality of fuel portions guided by the plurality of fuel guide paths. A first fuel deflecting path and a second fuel deflecting path that deflect so as to pass near the plug, and the plurality of fuel paths that guide the fuel portion on the second fuel deflecting path and to the second fuel deflecting path. At least one of the fuel guiding paths on the second fuel guiding path is provided with a concave first resistance part having a predetermined depth or a convex resistance having a predetermined height, and is provided on the first fuel deflection path and the first fuel. At least one of the first fuel guide paths of the plurality of fuel guide paths that guide the fuel portion to the deflection path is provided with a concave second resistive portion that is shallower than the predetermined depth or a convex shape that is lower than the predetermined height. Or the first resistance portion is provided on the first fuel deflection path and the first fuel guiding path. The first fuel guiding path is closer to the spark plug than the second fuel guiding path. It is characterized by the following.
[0016]
Claims according to the present invention 8 The in-cylinder-injection spark ignition internal combustion engine described in (1), wherein the spark plug, the cavity formed on the top surface of the piston, and the fuel are injected into a substantially fan shape having a relatively small thickness and collide with the bottom wall of the cavity at an acute angle. And a bottom wall of the cavity, wherein the fuel injected substantially in a fan shape from the fuel injection valve is radially divided into a plurality of fuel portions, and the plurality of fuels colliding with each other are considered. A plurality of fuel guide paths adjacent to each other for directing a portion to a sidewall of the cavity, wherein the sidewall of the cavity ignites at least two of the plurality of fuel portions guided by the plurality of fuel guide paths. A first fuel deflecting path and a second fuel deflecting path that deflect so as to pass near the plug; and the bottom wall of the cavity includes a plurality of the plurality of fuel paths that guide the fuel portion to the first fuel deflecting path. A plurality of guide projections for partitioning a first fuel guide path of the fuel guide path and a second fuel guide path of the plurality of fuel guide paths for guiding the fuel portion to the second fuel deflection path. Is provided, the plurality of guide protrusions are substantially linear, and the deflection angle of the fuel portion in the first fuel guiding path is smaller than the deflection angle of the fuel portion in the second fuel guiding path. The first fuel guiding path is closer to the spark plug than the second fuel guiding path. It is characterized by the following.
[0017]
Claims according to the present invention 9 The in-cylinder-injection spark ignition internal combustion engine described in (1), wherein the spark plug, the cavity formed on the top surface of the piston, and the fuel are injected into a substantially fan shape having a relatively small thickness and collide with the bottom wall of the cavity at an acute angle. And a bottom wall of the cavity, wherein the fuel injected substantially in a fan shape from the fuel injection valve is radially divided into a plurality of fuel portions, and the plurality of fuels colliding with each other are considered. A plurality of fuel guide paths adjacent to each other for guiding a portion to a side wall of the cavity, wherein the side walls of the cavity transfer all of the plurality of fuel portions guided by the plurality of fuel guide paths to a vicinity of the ignition plug. A plurality of fuel deflecting paths for deflecting the plurality of fuel passages, and a plurality of guide projections for partitioning the plurality of fuel guiding paths are provided on a bottom wall of the cavity; De projection is a substantially straight, characterized in that it is substantially parallel to a plane passing through the center of the injection hole center of the fuel injection valve cavity.
[0018]
Claims according to the present invention 10 The in-cylinder-injection spark ignition internal combustion engine described in (1), wherein the spark plug, the cavity formed on the top surface of the piston, and the fuel are injected into a substantially fan shape having a relatively small thickness and collide with the bottom wall of the cavity at an acute angle. And a bottom wall of the cavity, wherein the fuel injected substantially in a fan shape from the fuel injection valve is radially divided into a plurality of fuel portions, and the plurality of fuels colliding with each other are considered. A plurality of fuel guide paths adjacent to each other for directing a portion to a sidewall of the cavity, wherein the sidewall of the cavity ignites at least two of the plurality of fuel portions guided by the plurality of fuel guide paths. A first fuel deflecting path and a second fuel deflecting path that deflect so as to pass near the plug; and the bottom wall of the cavity includes a plurality of the plurality of fuel paths that guide the fuel portion to the first fuel deflecting path. A plurality of guide projections for partitioning a first fuel guide path of the fuel guide path and a second fuel guide path of the plurality of fuel guide paths for guiding the fuel portion to the second fuel deflection path. Wherein the plurality of guide protrusions have a curved shape, and the center line shapes of the first fuel guide path and the second fuel guide path defined by the plurality of guide protrusions are the first fuel guide path. Has a larger radius of curvature or the center line shape of the first fuel guiding path is a straight line. The first fuel guiding path is closer to the spark plug than the second fuel guiding path. It is characterized by the following.
[0019]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
FIG. 1 is a schematic longitudinal sectional view showing a first embodiment of a direct injection type spark ignition internal combustion engine according to the present invention, and FIG. 2 is a plan view of a piston in FIG. In these figures, 1 is an intake port, and 2 is an exhaust port. The intake port 1 communicates with the cylinder via an intake valve 3, and the exhaust port 2 communicates with the cylinder via an exhaust valve 4. Reference numeral 5 denotes a piston, and reference numeral 6 denotes a spark plug disposed substantially above the center of the cylinder. The fuel injection valve 7 is for injecting the fuel in a flat fan shape having a relatively small thickness so that the center of the fuel width and the center of the cylinder substantially coincide with each other.
[0020]
The fuel injection valve 7, for example, injects a required amount of fuel in an intake stroke in a uniform combustion region where a high engine output is required, and forms a uniform mixture in a cylinder at the time of ignition. On the other hand, in the stratified combustion region, fuel injection is started from a crank angle set for each engine operating state in the latter half of the compression stroke to inject a required fuel amount. The fuel injected in the latter half of the compression stroke enters the concave cavity 8 formed on the top surface of the piston 5 and collides with the bottom wall 81 of the cavity 8 as shown in FIG. Along the side wall 82, and is then deflected upward and forward along the side wall 82 and directed toward the spark plug 6. The term “before” including the following description refers to the fuel injection valve side.
[0021]
After the fuel 9 collides with the bottom wall 81 of the cavity 8, since the fuel injected by the fuel injection valve 7 has a flat fan shape with a relatively small thickness, as shown by dots in FIG. The fuel further advances on the bottom wall 81 and the side wall 82 of the fuel in the width direction of the fuel, and each portion of the fuel is ignited in a short time in order to absorb heat from the cavity 8 satisfactorily. ). In order to realize stratified combustion, at least the fuel injected at the end of fuel injection must be in a combustible air-fuel mixture at the time of ignition. In this manner, the fuel is injected in a relatively thin flat fan shape. As a result, the time from the end of fuel injection to ignition can be shortened, that is, the end of fuel injection can be delayed, and a relatively large amount of fuel can be used as a combustible mixture at the time of ignition.
[0022]
Conventionally, the combustible air-fuel mixture thus formed has a flat shape having a length shorter than the width as shown by a solid line in FIG. Accordingly, the combustible mixture M is in contact with the ignition position P of the spark plug only for a relatively short time while the combustible mixture travels the distance L1, and the ignition timing must be reached in this relatively short time. . In this way, if a slight deviation occurs in the formation time of the combustible mixture due to a slight deviation of the fuel injection timing, etc., there is a possibility that the combustible mixture has already passed through the ignition plug at the ignition timing, and a reliable ignition performance Can not be secured.
[0023]
The present invention aims to solve this problem. The side wall 82 of the cavity 8 formed on the top surface of the piston 5 in the present embodiment has a return portion 83 projecting inwardly of the cavity 8 at the upper end at least in a range where the fuel reaches, and has a radius of curvature r1. It has a horizontal arc shape, and the vertical cross-sectional shape of each side wall portion in this range is as shown in FIG. Further, the center vertical plane N1 of the side wall 82 in the range where the fuel reaches and the center vertical plane N2 of the fuel injected from the fuel injection valve 7 intersect at 180 °, that is, are on a straight line. FIG. 3A is a cross-sectional view taken along the line AA of FIG. 2, and shows a central side wall portion 82a closest to the spark plug located substantially above the center of the cylinder. The central side wall portion 82a has an arc cross-sectional shape having a radius of curvature R1 including the return portion 83. The protrusion length of the return portion 83 in the central side wall portion 82a is L1. FIG. 3B is a cross-sectional view taken along the line BB of FIG. 2 and shows a right side wall portion 82b located on the right side of the center side wall portion 82a. The right side wall portion 82b has an arc cross-sectional shape including the return portion 83 and a radius of curvature R2. The protrusion length of the return portion 83 in the right side wall portion 82b is L2. FIG. 3C is a cross-sectional view taken along the line CC of FIG. 2, and shows a left side wall portion 82c located on the left side of the center side wall portion 82a. The left side wall portion 82c has an arc cross-sectional shape including the return portion 83 and a radius of curvature R3. The protrusion length of the return portion 83 in the left side wall portion 82c is L3. The relationship between the radius of curvature in the vertical direction in each side wall portion and the protrusion length of the return portion 83 is R1>R2> R3 and L1 <L2 <L3.
[0024]
When the fuel is injected into the cavity 8 configured as described above, the fuel that travels while spreading on the bottom wall 81 in the fuel width direction and reaches the side wall 82 is displaced by the horizontal circular arc shape of the side wall 82. While being deflected in the center direction, it is deflected in the upward direction by the arc-shaped cross section of each side wall portion. For simplicity, if the injected fuel is divided radially into three fuel parts, namely a central fuel part 9a, a right fuel part 9b and a left fuel part 9c, the central fuel part 9a has a central side wall. The right fuel portion 9b is directed by the right side wall portion 82b, the left fuel portion 9c is directed by the right side wall portion 82c, and the left fuel portion 9c is directed toward the spark plug 6 located substantially above the center of the cylinder. Thus, the bottom wall 81 of the cavity 8 constitutes a center, right, and left fuel guiding path for guiding the center, right, and left fuel portions 9a, 9b, 9c to the side wall 81, and includes a center, right, and left side wall. The portions 82a, 82b, and 82c form central, right, and left fuel deflection paths that deflect the center, right, and left fuel portions 9a, 9b, and 9c, respectively, so as to pass near the ignition plug 6.
[0025]
In each fuel deflection path, the shorter the protruding length of the return portion 83, the shorter the path length and the lower the passage resistance when fuel passes. Also, as in the present embodiment, even if the vertical cross-section of each side wall portion has an overall arc shape, even if it has a partial arc shape, In each fuel deflection path, the larger the radius of curvature of the arc-shaped cross section, the shorter the path length and the lower the passage resistance during fuel passage. Thus, in the present embodiment, in each fuel deflection path, since the protrusion length of the return portion 83 and the radius of curvature in the arc cross-sectional shape have the above-described differences, the fuel deflection path passes on the central fuel deflection path. The center fuel portion 9a leaves the cavity 8 at the earliest time and has the highest speed toward the spark plug 6. The right fuel portion 9b passing on the right fuel deflection path leaves the cavity 8 at the next earliest time, and the speed toward the spark plug 6 becomes next high. Further, the left fuel portion 9c passing on the left fuel deflection path leaves the cavity 8 at the latest time and the speed toward the ignition plug 6 becomes the slowest.
[0026]
Thereby, as shown in FIG. 4B, the combustible mixture 9a 'formed by the central fuel portion 9a reaches the vicinity of the spark plug 6 first, and then the combustible mixture 9b formed by the right fuel portion 9b. Reaches the spark plug 6, and finally the combustible mixture 9 c ′ formed by the left fuel portion 9 c reaches the spark plug 6. However, since these combustible air-fuel mixtures are formed from a continuously expanding fuel, they do not exist completely independently of each other, and overlap with each other at peripheral portions as shown in FIG. 4B. It is connected.
[0027]
As described above, according to the present embodiment, when the fuel injected from the fuel injection valve in the shape of a substantially thin fan having a relatively small thickness is radially divided into a plurality of fuel portions, the fuel is formed by the plurality of fuel portions. In this state, the combustible mixtures are continuously passed near the ignition plug 6 in a connected state. That is, in the present embodiment, the flammable mixture 9c 'of the left fuel portion 9c starts when the flammable mixture 9a' of the central fuel portion 9a starts to contact the ignition position P (indicated by the solid line in FIG. 4B). The ignition timing may be reached until the is still in contact with the ignition position P (indicated by the dotted line in FIG. 4B). In other words, the ignition may be performed while the combustible air-fuel mixture 9c 'by the left fuel portion 9c that arrives at the spark plug 6 latest moves the distance L2.
[0028]
The moving speed of the combustible mixture 9c 'is slower as described above, and is lower than the moving speed of the conventional combustible mixture shown in FIG. 4A, and the distance L2 is smaller than the distance L1. Therefore, according to the present embodiment, the combustible air-fuel mixture keeps in contact with the ignition position P for a relatively long time, and a slight shift in the formation timing of the combustible air-fuel mixture due to a slight shift in the fuel injection timing or the like. Does occur, there is no possibility that the combustible air-fuel mixture has already passed through the ignition plug at the ignition timing, and it is possible to ensure reliable ignitability.
[0029]
In this embodiment and some embodiments described below, the fuel injected in a substantially fan shape is described as being divided into three fuel portions.However, the fuel is divided into at least two fuel portions and formed by each fuel portion. If the combustible air-fuel mixture is sequentially passed near the ignition plug, the ignitability can be clearly improved. Further, it is not necessary to allow all of the combustible mixture formed by the plurality of divided fuel portions to pass near the ignition plug, and the combustible mixture formed by at least two of the divided fuel portions is sequentially changed. You may make it pass near a spark plug.
[0030]
Further, in the first side wall portion 82a, the second side wall portion 82b, and the third side wall portion 82c, at least one of the radius of curvature of the arc-shaped cross section and the protruding length of the return portion 83 is continuously changed as shown in FIG. You may make it change. This means that the fuel injected in a substantially fan shape is divided into a very large number of fuel portions, and a combustible mixture formed by each fuel portion is sequentially passed through the vicinity of the ignition plug 6, and each fuel portion The connection of the formed combustible mixture becomes good, and the flame propagation can be made very good. Further, including some embodiments described below, as in the present embodiment, the path of the fuel portion forming the combustible mixture that reaches the ignition plug 6 first is set closest to the ignition plug 6. This combustible air-fuel mixture can reach the ignition plug 6 early. Thereby, the contact time between the combustible air-fuel mixture and the ignition plug can be further lengthened, and more reliable ignitability can be ensured.
[0031]
FIG. 5 is a plan view of a piston corresponding to FIG. 2 showing a second embodiment of the direct injection spark ignition internal combustion engine according to the present invention. The cavity 8 'formed on the top surface of the piston 5' in the present embodiment has the same shape as the cavity 8 formed on the top surface of the piston 5 of the first embodiment, except as described below. I have. The side wall 82 'of the cavity 8' has a return portion 83 'at the upper end at least in a range where the fuel reaches, and the protrusion length of the return portion 83' is the same at any position. 6A is a sectional view taken along line DD of FIG. 5, FIG. 6B is a sectional view taken along line EE of FIG. 5, and FIG. 6C is a sectional view taken along line FF of FIG. . As shown in these figures, the side wall 82 'of the cavity 8' partially has an arcuate cross-sectional shape having the same radius of curvature R4 at least in a range where the fuel reaches. Thus, the center, right, and left fuel deflection paths that deflect each fuel portion in the direction of the spark plug 6 have substantially the same path length and passage resistance. However, as shown in FIG. 6, the inclination angles of the central fuel guiding path 81a, the right fuel guiding path 81b, and the left fuel guiding path 81c at the fuel collision position are different from each other, and the collision of the fuel in the central fuel guiding path 81a is different. The angle TH1 is the smallest, the collision angle TH2 of the fuel in the right fuel guiding path 81b is the next smallest, and the collision angle TH3 of the fuel in the left fuel guiding path 81c is the largest.
[0032]
Thereby, upon collision with each fuel guide path, the energy loss of the central fuel portion 9a is the smallest, then the energy loss of the right fuel portion 9b is the smallest, and the energy loss of the left fuel portion 9c is the largest. Thus, as in the first embodiment, the combustible mixture formed by the central fuel portion 9a reaches the spark plug 6 earliest, and then the combustible mixture formed by the right fuel portion 9b reaches the spark plug 6, Finally, the combustible mixture formed by the left fuel portion 9c reaches the ignition plug 6, and the same effect as described above can be obtained. In the present embodiment, in the cavity 8 ', the depth H1 near the side wall in each fuel guiding path is substantially the same, and the starting point depth H4 of the inclination at the fuel collision position is also substantially the same. With such a bottom wall shape of the cavity 8 ', it is also possible to gradually change the inclination angle in each fuel guiding path. As a result, as described above, a flammable air-fuel mixture that is well connected is formed, and good stratified combustion can be realized.
[0033]
FIG. 7 is a view corresponding to FIG. 6 showing a third embodiment of the direct injection spark ignition internal combustion engine according to the present invention. Only the differences from the second embodiment will be described below. 7A is a sectional view taken along line DD of FIG. 5, FIG. 7B is a sectional view taken along line EE of FIG. 5, and FIG. 7C is a sectional view taken along line FF of FIG. . As shown in these figures, the inclination angles of the central fuel guiding path 81a ′, the right fuel guiding path 81b ′, and the left fuel guiding path 81c ′ at the fuel collision position are different from each other, and The collision angle TH1 of the fuel is the smallest, the collision angle TH4 of the fuel in the right fuel guiding path 81b 'is the next smallest, and the collision angle TH5 of the fuel in the left fuel guiding path 81c' is the largest.
[0034]
Thereby, upon collision with each fuel guiding path, the energy loss of the central fuel portion 9a is the smallest, the energy loss of the right fuel portion 9b is the smallest, and the energy loss of the left fuel portion 9c is the largest. Similar effects can be obtained. In the present embodiment, in the cavity, the depth H1 near the side wall in each fuel guiding path is substantially the same, but the starting point depth H4 of the inclination at the fuel collision position in the central fuel guiding path 81a 'is the shallowest, and then the right side. The starting point depth H5 of the inclination at the fuel collision position in the fuel guiding path 81b 'is shallow, and the starting point depth H6 of the inclination at the fuel collision position in the left fuel guiding path 81c' is the deepest. In such a bottom wall shape of the cavity, it is also possible to gradually change the inclination angle in each fuel guiding path. As a result, as described above, a flammable air-fuel mixture that is well connected is formed, and good stratified combustion can be realized.
[0035]
FIG. 8 is a view corresponding to FIG. 6 showing a fourth embodiment of the direct injection spark ignition internal combustion engine according to the present invention. Only the differences from the second embodiment will be described below. 8A is a sectional view taken along line DD of FIG. 5, FIG. 8B is a sectional view taken along line EE of FIG. 5, and FIG. 8C is a sectional view taken along line FF of FIG. . As shown in these figures, in the present embodiment, the inclination angle of each fuel guiding path at the fuel collision position is substantially the same, but the depth H1 near the side wall in the central fuel guiding path 81a ″ is the shallowest, and then The depth H2 near the side wall of the right fuel guiding path 81b ″ is shallow, and the depth H3 near the side wall of the left fuel guiding path 81c ″ is deepest.
[0036]
Thereby, the path length of the central fuel guiding path 81a "becomes the shortest, then the path length of the right fuel guiding path 81b" becomes short, and the path length of the left fuel guiding path 81c "becomes the longest. Thus, the first embodiment Similar to the configuration, the combustible mixture formed by the central fuel portion 9a reaches the spark plug 6 earliest, then the combustible mixture formed by the right fuel portion 9b reaches the spark plug 6, and finally, the left fuel The combustible air-fuel mixture formed by the portion 9c reaches the ignition plug 6, and the same effect as described above can be obtained.In this embodiment, the depth near the side wall in each fuel guiding path is gradually changed. A well-connected combustible mixture can be formed.
[0037]
FIG. 9 is a plan view of a piston corresponding to FIG. 5 showing a fifth embodiment of a direct injection spark ignition internal combustion engine according to the present invention. The cavity 8 "formed on the top surface of the piston 5" in the present embodiment has the same shape as the cavity 8 'formed on the top surface of the piston 5' in the second embodiment, except as described below. are doing. In the present embodiment, the inclination angle of each fuel guiding path at the fuel collision position is substantially the same, but one convex resistance portion 10 extending in the width direction of the central fuel portion is provided on the central fuel guiding path. On the right fuel guiding path, there are provided two convex resistance portions 10 extending in the width direction of the right fuel part, and on the left fuel guiding path, three protrusions extending in the width direction of the left fuel part. Two convex resistance portions 10 are provided.
[0038]
Thus, the passage resistance of the central fuel passage is the smallest, then the passage resistance of the right fuel passage is the smallest, and the passage resistance of the left fuel passage is the smallest due to the difference in the number of convex resistance parts on each fuel passage. large. Thus, as in the first embodiment, the combustible mixture formed by the central fuel portion 9a reaches the spark plug 6 earliest, and then the combustible mixture formed by the right fuel portion 9b reaches the spark plug 6, Finally, the combustible mixture formed by the left fuel portion 9c reaches the ignition plug 6, and the same effect as described above can be obtained.
[0039]
In the present embodiment, the convex resistance portion is provided on each fuel guiding path, but may be provided on each fuel deflection path based on a similar concept. Further, the passage resistance can be similarly increased even when the resistance portion is not a convex shape but a concave shape. Further, instead of or in addition to changing the number of the convex or concave resistance portions, the passage resistance of each fuel guiding path may be changed by changing the height or the depth of the convex or concave resistance portions. You may do it. Furthermore, it is not necessary to provide a resistance portion on the fuel guiding path and the fuel deflection path that minimize the passage resistance.
[0040]
FIG. 10 is a plan view of a piston corresponding to FIG. 5 showing a sixth embodiment of a direct injection spark ignition internal combustion engine according to the present invention. The cavity 800 formed on the top surface of the piston 500 in the present embodiment has the same shape as the cavity 8 'formed on the top surface of the piston 5' of the second embodiment, except as described below. I have. In the present embodiment, the bottom wall of the cavity 800 is provided with four guide projections 20 for partitioning the center, right, and left fuel guide paths, respectively. Each guide projection 20 is substantially parallel and substantially symmetric with respect to the center vertical plane N2 of the fuel. The central fuel guide path defined in this way guides the central fuel part to the central fuel deflection path with almost no deflection, but the right and left fuel guide paths deflect the right and left fuel parts horizontally to the right and left sides. It leads to the fuel deflection path, and gives the passage resistance to the right and left fuel portions.
[0041]
In the side wall of the cavity 800, the radius of curvature r2 of the horizontal arc shape in the range where the fuel reaches is smaller than the radius of curvature r1 of the cavity 8 ′ of the second embodiment, so that the right and left sides are formed. The fuel deflecting path deflects the fuel that is deflected in the horizontal direction on the right and left fuel guiding paths and satisfactorily deflects the vicinity of the spark plug 6. Thus, the combustible mixture formed by the central fuel portion reaches the spark plug 6 earliest, and then the combustible mixture formed by the right and left fuel portions reaches the spark plug 6, where the combustible mixture and the spark plug The contact time becomes longer, and the same effect as described above can be obtained.
[0042]
In the present embodiment, the passage resistance in the right and left fuel guiding paths is substantially the same, and the combustible mixture formed by the right and left fuel portions reaches the ignition plug 6 almost simultaneously. However, for example, by inclining the guide projections 20 that define the left fuel guiding path in the direction of the center vertical plane of the fuel, the degree of deflection of the left fuel portion in the horizontal direction is increased, and the left fuel part is more leftward than the right fuel guiding path. The passage resistance in the fuel guide path can be increased, and the combustible mixture formed by each fuel portion can sequentially pass near the spark plug as in the previous embodiments.
[0043]
FIG. 11 is a plan view of a piston corresponding to FIG. 10 showing a seventh embodiment of the direct injection spark ignition internal combustion engine according to the present invention. The cavity 801 formed on the top surface of the piston 501 in the present embodiment has the same shape as the cavity 800 formed on the top surface of the piston 500 of the sixth embodiment except as described below. In the present embodiment, the bottom wall of the cavity 801 is provided with four guide projections 21 for partitioning the center, right, and left fuel guide paths, respectively. Each guide projection 21 is curved inward with respect to the center vertical plane N2 of the fuel, and is substantially symmetric with respect to the center vertical plane N2 of the fuel. In addition, a guide projection that is farther from the center vertical plane N2 of the fuel has a smaller radius of curvature. The central fuel guide path thus partitioned guides the central fuel section to the central fuel deflection path with almost no deflection, but the right and left fuel guide paths deflect the right and left fuel sections in the horizontal direction to the right and left sides. As a result, the contact resistance between the combustible air-fuel mixture and the spark plug is extended, and the same effect as described above is obtained, as in the sixth embodiment. be able to. Also in the present embodiment, the passage resistance of the right fuel guide path and the left fuel guide path is made different based on the same concept as the sixth embodiment, so that the combustible air-fuel mixture formed by each fuel portion sequentially passes through the vicinity of the ignition plug. Can be passed.
[0044]
FIG. 12 is a plan view of a piston corresponding to FIG. 5 showing an eighth embodiment of a direct injection spark ignition internal combustion engine according to the present invention. The cavity 802 formed on the top surface of the piston 502 in the present embodiment has the same shape as the cavity 8 'formed on the top surface of the piston 5' of the second embodiment, except as described below. I have. In the present embodiment, the inclination angle of the bottom wall of the cavity 802 at the fuel collision position is substantially the same, but the bottom wall has a plurality of deflection guides for deflecting the fuel injected substantially in a fan shape as a whole in the fuel width left direction. A protrusion 22 is provided. The inclination of the deflection guide projection 22 located on the deflection side, that is, the left side, is smaller than that of the deflection guide projection 22 located on the right side. The spark plug 6 'is slightly eccentric to the left.
[0045]
When the fuel deflected by the deflection guide projection 22 is thus deflected upward by the side wall of the cavity 802, a combustible mixture M formed by the fuel is formed as shown in FIG. 14 corresponding to FIG. As shown in the figure, the spark plug 6 moves obliquely from the lower right to the upper left with respect to the ignition plug 6 eccentric to the left. The moving speed of the combustible air-fuel mixture M depends on the kinetic energy of the injected fuel, and is considered to be substantially equal between the conventional case shown in FIG. 4A and the embodiment shown in FIG. Thus, according to the present embodiment, while the combustible mixture M moves the distance L3, the combustible mixture M is in contact with the ignition position P, and the distance L3 is sufficiently longer than the above-described distance L1. In addition, even if a slight shift occurs in the formation timing of the combustible air-fuel mixture due to a slight shift in the fuel injection timing or the like, a reliable ignitability can be ensured at the ignition timing.
[0046]
In the present embodiment, since the deflection guide projection 22 located on the left side has a smaller inclination than the deflection guide projection 22 located on the right side, the left side of the fuel on the bottom wall of the cavity 802 has: Not much deflected to the left. Thereby, when moving as a combustible air-fuel mixture, the left side of the combustible air-fuel mixture moves slowly leftward, so that the combustible air-fuel mixture hardly comes into contact with the cylinder bore. In this way, it is possible to prevent a problem that fuel adheres to the cylinder bore to dilute engine oil.
[0047]
In the present embodiment, the deflection guide 22 is provided on the bottom wall of the cavity, that is, on the fuel guide path, but may be provided on the side wall of the cavity, that is, on the fuel deflection path. In this case, the fuel deflection path deflects not only the fuel upward but also the fuel width leftward. In the present embodiment, including the following embodiments, the spark plug can be arranged substantially at the center of the cylinder. In this case, although the above-described upward movement of the combustible mixture approaches the vertical direction, the combustible mixture comes into contact with the ignition position while traveling a longer distance than in the past. In addition, the contact time between the combustible air-fuel mixture and the ignition plug is prolonged, and reliable ignition at the ignition timing can be ensured.
[0048]
FIG. 13 is a view corresponding to a GG sectional view of FIG. 5 showing a ninth embodiment of the direct injection spark ignition internal combustion engine according to the present invention. The bottom wall of the cavity 803 in the present embodiment is inclined from the right end to the left end of the fuel. This causes a leftward deflecting force to act on the fuel traveling on the bottom wall, and, as in the eighth embodiment, moves the combustible air-fuel mixture as shown in FIG. Contact time becomes longer, and reliable ignitability at the ignition timing can be ensured.
[0049]
In the present embodiment, the inclination angle at the bottom end of the cavity 803 is smaller at the left end than at the right end of the fuel, and at the bottom wall of the cavity 803, the left side of the fuel is deflected too much to the left. Not to be. Thereby, when moving as a combustible air-fuel mixture, the left side of the combustible air-fuel mixture moves slowly leftward, so that the combustible air-fuel mixture hardly comes into contact with the cylinder bore. In this way, it is possible to prevent a problem that fuel adheres to the cylinder bore to dilute engine oil.
[0050]
FIG. 15 is a plan view of a piston corresponding to FIG. 2 showing a tenth embodiment of a direct injection spark ignition internal combustion engine according to the present invention. The cavity 804 formed on the top surface of the piston 504 in the present embodiment has the same shape as the cavity 8 formed on the top surface of the piston 5 of the second embodiment, except as described below. The structure is such that it is rotated clockwise by a predetermined angle about the vertical axis. In the present embodiment, the center vertical plane N1 'in the range where the fuel on the side wall reaches and the center vertical plane N2 of the fuel injected from the fuel injection valve 7 intersect at a predetermined obtuse angle TH, and the ignition plug 6' It is slightly offset to the left.
[0051]
The sidewall configured in this way deflects fuel upward along the central vertical plane N1 '. Thus, as viewed from the ignition plug 6 ', the combustible mixture formed by the fuel moves to the left as it rises. As a result, as in the eighth embodiment, the combustible mixture is moved as shown in FIG. 14, so that the contact time between the combustible mixture and the ignition plug becomes longer, and it is possible to ensure reliable ignition at the ignition timing. it can.
[0052]
In the present embodiment, as for the cross-sectional shape in the vertical direction in the range where the fuel reaches the side wall, the JJ cross section on the left side corresponds to FIG. 3C, and the II cross section at the center corresponds to FIG. , And the HH cross section on the right side corresponds to FIG. As a result, the rising speed of the left side portion of the fuel becomes slower, and at the time of ignition, the leftward movement amount of this portion with respect to the spark plug 6 'becomes smaller. Thus, the combustible air-fuel mixture hardly comes into contact with the cylinder bore. In the present embodiment, the area where the fuel on the side wall reaches has an arc shape having one radius of curvature in the horizontal direction. However, by making the left side portion of the side wall in this range a small radius of curvature, the moving speed of the left side portion of the fuel to the left is reduced, and the combustible mixture is more reliably prevented from coming into contact with the cylinder bore. can do.
[0053]
FIG. 16 is a plan view of a piston showing an eleventh embodiment of the direct injection type spark ignition internal combustion engine according to the present invention. The cavity 805 formed on the top surface of the piston 505 in the present embodiment deflects the fuel injected into a flat fan shape having a relatively small thickness in the upward direction. The spark plug 6 'is offset to the left. In the present embodiment, the intake port is configured to form a swirl in the cylinder in a counterclockwise horizontal direction. On the top surface of the piston 505, a raised portion 50 is formed corresponding to a range where fuel on the side wall of the cavity 805 reaches.
[0054]
As a result, a part of the swirl swirls along the ridge, and moves the combustible mixture formed by the fuel deflected upward and forward to the left. As a result, as in the eighth embodiment, the combustible mixture is moved as shown in FIG. 14, so that the contact time between the combustible mixture and the ignition plug becomes longer, and it is possible to ensure reliable ignition at the ignition timing. it can.
[0055]
FIG. 17 is a plan view of a piston showing a twelfth embodiment of a direct injection type spark ignition internal combustion engine according to the present invention. The cavity 806 formed on the top surface of the piston 506 in the present embodiment deflects the fuel injected in a flat fan shape having a relatively small thickness in the upward direction. The spark plug 6 'is slightly offset to the left. In the present embodiment, a squish area 60 that generates squish that moves leftward mainly along a range in which fuel on the side wall of the cavity 806 reaches the top surface of the piston 506 is formed.
[0056]
Thereby, the squish moves the combustible air-fuel mixture formed by the fuel deflected upward toward the front to the left. As a result, as in the eighth embodiment, the combustible mixture is moved as shown in FIG. 14, so that the contact time between the combustible mixture and the ignition plug becomes longer, and it is possible to ensure reliable ignition at the ignition timing. it can.
[0057]
FIG. 18 is a schematic vertical sectional view showing a thirteenth embodiment of the direct injection type spark ignition internal combustion engine according to the present invention. Only the differences from the first embodiment of FIG. 1 will be described below. In the bottom wall of the cavity 807 in the present embodiment, first, second, and third step portions 807a, 807b, 807c are formed so that the fuel injected from the fuel injection valve 7 sequentially collides with the rise of the piston 507. Have been. In addition, a squish area 70 is provided on the top surface of the piston 507 for generating squish that travels in the direction of the fuel injection valve mainly from the side opposite to the fuel injection valve 7.
[0058]
Even when the fuel injection amount is small on the low load side, the fuel injected from the fuel injection valve always collides with the first and second stage portions 807a and 807b. The first and second steps 807a and 807b deflect the fuel upward in a direction substantially parallel to each other, and at least the fuel thus deflected flows toward the squish upstream from the spark plug 6. Since the fuel deflected by the first and second stage portions 807a and 807b becomes a good combustible mixture, respectively, the overall combustible mixture is surely thicker compared to the above-described embodiment. Anxiously, it is moved toward the spark plug 6 by squish. As a result, in the present embodiment, the combustible air-fuel mixture keeps in contact with the spark plug in the thickness direction for a relatively long time, and the contact time between the combustible air-fuel mixture and the ignition plug is longer than in the prior art, so that the ignition Ignitability can be ensured.
[0059]
In the present embodiment, when the fuel injection amount increases due to the high load side, the fuel also collides with the third stage portion 807c and is deflected upward. Since the combustible mixture formed by the fuel is located adjacent to the combustible mixture formed by the fuel deflected upward by the second step portion 807b, the thickness of the combustible mixture is further increased. In addition, the contact time between the combustible mixture moving in the thickness direction and the spark plug is further increased, and more reliable ignitability at the ignition timing can be secured.
[0060]
FIG. 19 is a fuel injection pattern for explaining a fourteenth embodiment of the direct injection type spark ignition internal combustion engine according to the present invention. In the figure, the dotted line is a conventional fuel injection pattern, and the fuel injection pattern of the present embodiment increases the injection rate at the beginning of fuel injection and lowers the injection rate at the end of fuel injection as shown by the solid line. . Thereby, the same amount of fuel can be injected in the same injection period. When the injection rate at the end of the fuel injection is reduced in this way, the kinetic energy of the fuel injected at this time decreases, and the time from the injection to the time when the combustible mixture reaches the spark plug can be extended. This means that the overall length of the combustible air-fuel mixture is lengthened, and the contact time between the combustible air-fuel mixture and the ignition plug becomes longer, so that reliable ignitability at the ignition timing can be ensured. .
[0061]
In the present embodiment, it is possible not to increase the injection rate at the beginning of fuel injection. As a result, the fuel injection period is prolonged, but the fuel injected at a low injection rate is easily vaporized and easily becomes a combustible mixture. Even if the end time is delayed, all the fuel injected at the time of ignition is a combustible air-fuel mixture, and there is no particular problem. This means that a higher amount of fuel can be injected by increasing the injection rate at the beginning of fuel injection.
[0062]
Even if the injection rate at the initial stage of fuel injection is increased, the fuel injected at this time can be a good combustible mixture by a sufficient time until ignition. In general, a fuel injection valve has a structure in which an injection rate changes according to a needle lift amount. Thus, in order to lower the injection rate at the end of fuel injection, the needle lift at the end of fuel injection may be controlled to be small. In addition, the fuel injection valve generally injects high-pressure fuel through a small-capacity fuel reservoir. During the opening of the fuel injection valve, fuel is supplied to the fuel reservoir by the fuel supply passage. It has become. Accordingly, if a throttle is provided in the fuel supply passage, high-pressure fuel in the fuel pool is injected at the beginning of fuel injection, but at the end of fuel injection, the fuel pressure in the fuel pool is reduced. The injection rate at this time can be reduced.
[0063]
FIG. 20 is a schematic view showing a crank mechanism for describing a fifteenth embodiment of the direct injection spark ignition internal combustion engine according to the present invention. In the figure, the crank mechanism 900 of the present embodiment rotates clockwise, and the center of rotation 900 a is deviated to the left with respect to the center axis of the piston 508. Thereby, the crank angular velocity when the piston 508 moves down increases, but the crank angular velocity when the piston 508 moves up decreases. In the present embodiment, the time during which the combustible air-fuel mixture is in contact with the ignition plug is not extended, but even if the fuel injection timing in the compression stroke is slightly shifted, since the piston rises slowly, the Can be injected, and reliable ignitability can be ensured.
[0064]
In the fourteenth embodiment described above, the internal combustion engine is not limited to the one in which the fuel is deflected in the direction of the spark plug by the cavity on the top surface of the piston, and the fuel is vaporized during flight and directly directed in the direction of the spark plug. In this case, the contact time between the combustible air-fuel mixture and the ignition plug can be extended as compared with the related art, and reliable ignition performance can be ensured. Further, in the fourteenth and fifteenth embodiments, the fuel is not limited to the one in which the fuel is injected in a substantially fan shape, and the fuel may be injected in a conical shape. Even in these internal combustion engines, it is possible to ensure more reliable ignition performance than in the past.
[0065]
【The invention's effect】
As described above, according to the direct injection type spark ignition internal combustion engine of the present invention, the spark plug, the cavity formed on the top surface of the piston, and the fuel for injecting the fuel into the cavity in a generally thin fan shape having a relatively small thickness. Injection valves are provided, and the bottom wall of the cavity divides a plurality of colliding fuel portions into side walls of the cavity when fuel injected substantially in a fan shape from the fuel injection valve is radially divided into a plurality of fuel portions. And a side wall of the cavity deflecting at least two of the plurality of fuel portions guided by the plurality of fuel passages to pass near the spark plug. Having one fuel deflection path and a second fuel deflection path, The first fuel guidance path is closer to the spark plug compared to the second fuel guidance path, The collision angle of the fuel in the first fuel guide path among the plurality of fuel guide paths that guide the fuel portion to the first fuel deflection path is the second collision angle of the fuel guide path that guides the fuel portion to the second fuel deflection path. Since the angle is smaller than the collision angle of the fuel in the fuel guide path, a difference occurs in the energy loss at the time of the collision, and the combustible mixture formed by the fuel portion passing on the first fuel deflection path passes through the vicinity of the ignition plug. After passing, the combustible mixture formed by the fuel portion passing on the second fuel deflection path reaches the vicinity of the ignition plug, and the contact time between the combustible mixture and the ignition plug can be extended as a whole, and the ignition timing Control range can be expanded and reliable ignitability can be ensured.
[0066]
Further, the depth near the side wall of the cavity in the first fuel guide path that guides the fuel portion to the first fuel deflection path is set to be greater than the depth near the side wall of the cavity in the second fuel guide path that guides the fuel portion to the second fuel deflection path. By making it shallow, the path length and passage resistance of the first fuel guide path can be made shorter and smaller than those of the second fuel guide path, and the same effect as described above can be obtained.
[0067]
Also, at least one of the second fuel deflection path and the second fuel guide path (hereinafter, referred to as a second fuel path) is provided with a predetermined number of concave or convex resistance portions, and is provided on the first fuel deflection path and At least one of the first fuel guide path (hereinafter, referred to as a first fuel path) is provided with a resistance portion less than a predetermined number, or the first fuel deflection path and the first fuel guide path are provided with resistance portions. By not having such a configuration, the passage resistance of the first fuel path can be reduced as compared with the second fuel path, and the same effect as described above can be obtained.
[0068]
Also, a concave first convex portion having a predetermined depth or a predetermined height is provided on the second fuel path, and a concave first portion having a shallower depth than the predetermined depth or a convex lower portion having a lower height than the predetermined height is provided on the first fuel path. By providing the two-resistance part or not providing the first resistance part on the first fuel path, the passage resistance of the first fuel path can be made smaller than that of the second fuel path. Can be obtained.
[0069]
In addition, a plurality of guide protrusions are provided for partitioning the first fuel guide path and the second fuel guide path, and the plurality of guide protrusions are substantially linear, and deflect the fuel portion in the first fuel guide path. By making the angle smaller than the deflection angle of the fuel portion in the second fuel guiding path, the passage resistance of the first fuel guiding path can be reduced as compared with the second fuel guiding path, and the same effect as described above is obtained. be able to.
[0070]
In addition, a plurality of guide protrusions are provided for partitioning the first fuel guide path and the second fuel guide path, and the plurality of guide protrusions are curved, and the first fuel partitioned by the plurality of guide protrusions is provided. The center line shape of the guide path and the second fuel guide path may be increased by the radius of curvature of the first fuel guide path or the center line shape of the first fuel guide path may be straight, so that In comparison, the passage resistance of the first fuel guide path can be reduced, and the same effect as described above can be obtained.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a schematic longitudinal sectional view showing a first embodiment of a direct injection type spark ignition internal combustion engine according to the present invention.
FIG. 2 is a plan view of the piston of FIG. 1;
3A and 3B are cross-sectional views of a cavity side wall portion in FIG. 2, wherein FIG. 3A is a cross-sectional view taken along line AA, FIG. 3B is a cross-sectional view taken along line BB, and FIG.
FIG. 4 is a diagram illustrating the behavior of a combustible air-fuel mixture.
FIG. 5 is a plan view of the piston corresponding to FIG. 2;
FIGS. 6A and 6B are cross-sectional views of a side wall portion of a cavity in FIG. 5 showing a second embodiment of the direct injection spark ignition internal combustion engine according to the present invention, wherein FIG. E sectional view, (C) is FF sectional view.
FIGS. 7A and 7B are cross-sectional views of a side wall portion of a cavity in FIG. 5 showing a third embodiment of the in-cylinder injection spark ignition internal combustion engine according to the present invention, wherein FIG. E sectional view, (C) is FF sectional view.
8 is a sectional view of a side wall portion of a cavity in FIG. 5 showing a fourth embodiment of the direct injection type spark ignition internal combustion engine according to the present invention, wherein FIG. 8 (A) is a sectional view taken along line DD, and FIG. E sectional view, (C) is FF sectional view.
FIG. 9 is a plan view of a piston showing a fifth embodiment of the direct injection type spark ignition internal combustion engine according to the present invention.
FIG. 10 is a plan view of a piston showing a sixth embodiment of the direct injection type spark ignition internal combustion engine according to the present invention.
FIG. 11 is a plan view of a piston showing a seventh embodiment of the direct injection spark ignition internal combustion engine according to the present invention.
FIG. 12 is a plan view of a piston showing an eighth embodiment of a direct injection type spark ignition internal combustion engine according to the present invention.
FIG. 13 is a sectional view taken along line GG of FIG. 5, showing a ninth embodiment of a direct injection spark ignition internal combustion engine according to the present invention.
FIG. 14 is a diagram illustrating another behavior of the combustible air-fuel mixture.
FIG. 15 is a plan view of a piston showing a tenth embodiment of a direct injection spark ignition internal combustion engine according to the present invention.
FIG. 16 is a plan view of a piston showing an eleventh embodiment of a direct injection spark ignition internal combustion engine according to the present invention.
FIG. 17 is a plan view of a piston showing a twelfth embodiment of the direct injection spark ignition internal combustion engine according to the present invention.
FIG. 18 is a schematic longitudinal sectional view showing a thirteenth embodiment of a direct injection spark ignition internal combustion engine according to the present invention.
FIG. 19 is a diagram showing a fuel injection pattern for explaining a fourteenth embodiment of the direct injection spark ignition internal combustion engine according to the present invention.
FIG. 20 is a diagram showing a crank mechanism for explaining a fifteenth embodiment of the direct injection spark ignition internal combustion engine according to the present invention.
[Explanation of symbols]
5 ... Piston
6. Spark plug
7 Fuel injection valve
8 ... cavity