JP3571856B2 - Liquid ejection head and liquid ejection device - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱エネルギー等による気泡の発生によって、所望の液体を吐出する液体吐出へッドに関する。
【0002】
また、本発明は、紙、糸、繊維、布、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなどの被記録媒体に対し記録を行う、プリンター、複写機、通信システムを有するファクシミリ、プリンタ部を有するワードプロセッサ等の装置、さらには各種処理装置と複合的に組み合わせた産業用記録装置に適用できる発明である。
【0003】
なお、本発明における、「記録」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を被記録媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を付与することをも意味するものである。
【0004】
【従来の技術】
熱等のエネルギーをインクに与えることで、インクに急峻な体積変化(気泡の発生)を伴う状態変化を生じさせ、この状態変化に基づく作用力によって吐出口からインクを吐出し、これを被記録媒体上に付着させて画像形成を行うインクジェット記録方法、いわゆるバブルジェット記録方法が従来知られている。このバブルジェット記録方法を用いる記録装置には、特公昭61ー59911号ないし特公昭61ー59914号等の公報に開示されているように、インクを吐出するための吐出口と、この吐出口に連通するインク流路と、インク流路内に配されインクを吐出するためのエネルギー発生手段としての発熱体(電気熱変換体)とが一般的に配されている。
【0005】
この様な記録方法によれば、品位の高い画像を高速、低騒音で記録することができると共に、この記録方法を行うヘッドではインクを吐出するための吐出口を高密度に配置することができるため、小型の装置で高解像度の記録画像、さらにカラー画像をも容易に得ることができるという多くの優れた点を有している。このため、このバブルジェット記録方法は、近年、プリンター、複写機、ファクシミリなどの多くのオフィス機器に利用されており、さらに、捺染装置等の産業用システムにまで利用されるようになってきている。
【0006】
この様にバブルジェット技術が多方面に利用されるに従って、さらに、高品位な画質の達成や、高粘度液体等の種々の液体の良好な吐出が望まれ、従来に比べ、さらに液体の吐出効率が高く吐出力が強い液体の吐出方法や液体吐出へッドが望まれている。
【0007】
このようなバブルジェット記録方法では、液体中に溶け込んでいた空気が、発泡ないし消泡の過程で、発熱体の近傍においてキャビテーション等の影響で急激に起こる状態変化により析出し、消泡後も発熱体近傍、あるいは液流路内の任意の箇所に残留気泡として残ることが、現象観察で確認されている。
【0008】
この残留気泡の大きさは、吐出ヘッドの使用環境や、発熱体の形状、ノズルの形状等の吐出ヘッドの構造や、使用するインクの種類等により、まちまちであり、液流路の下流側および上流側からの液体のリフィルにより押し潰されて消滅するものもあるが、内圧が大気圧に近いものは消滅までに時間がかかり、液流路内を浮遊したり、トラップされやすい形状部位に溜まることになる。
【0009】
このようにしてトラップされた残留気泡は、連続吐出による高周波数での発泡、消泡の繰り返しにより、吐出口から液体の吐出と共に排出されるものもあるが、上流側に移動し、共通液室に流れ込んでしまうものもある。
【0010】
このような残留気泡の挙動に起因して、バブルジェット記録方法には次のような不具合が生じていた。すなわち、
1)発熱体表面に残留気泡が残ると、この残留気泡が次の発泡時の吐出用気泡の成長を阻害し、吐出量が減ることがあった。
【0011】
2)液流路内の気泡の溜まりやすい場所や、流路壁等に残留気泡が存在する状態で次の発泡が起こると、やはり気泡の成長を阻害していた。これによって、連続吐出時に吐出毎の気泡の大きさが変化し、吐出量、吐出速度が不安定となって画像ムラの生ずる一因となっていた。
【0012】
3)液流路内の残留気泡が連続吐出時の液体の流れが速い状況で共通液室に流れ込み、この気泡が溜まって大きな泡に成長し過ぎると、液体の液流路へのリフィル時に液流路内に押し戻され、この大きな泡に起因して不吐出となることがあった。
【0013】
この不吐出となるメカニズムの詳細は次のように考えられる。
【0014】
図11に示すように、液流路Lの後端側には、大きな泡をトラップしその後共通液室Cへ逃がすことで、不吐出を防止することを目的の一つとして、空間(段部)Sが設けられている(特開平2− 187353号参照)。しかしながら、長時間の駆動によりこの空間Sに残留気泡が溜まり過ぎると、共通液室側へ逃げてくれるのもあるが、液流路への液体のリフィルと共に矢印αのように液流路L内に引き込まれてしまうものもあり、液流路Lが泡で遮断されることにより不吐出になるのである。
【0015】
そうかと言って、この空間Sが無いものでも、残留気泡がこの空間Sにトラップされず共通液室Cに流れ込んで成長し、共通液室C内の何処にトラップされるか定まらない大きな泡βが、上述の空間Sが存するときよりも数段早く液流路L内の残留気泡と連結し不吐出を生ずる場合があり、これも効果があるとは言えない。
【0016】
この現象は、特に、連続吐出時間の長い吐出ヘッド、つまり、同じパターンを連続印字する、特定ノズルの使用比率が高いバーコード、ラベルプリンタ用や、大判のプロッタ用等のノズル数の多い長尺ヘッドに生じ易い。
【0017】
というのも、ノズル数の少ないシリアルスキャンヘッドでは、せいぜいA3サイズの用紙の短手幅程度の長さを連続印字するので、上述の空間等の共通液室内の残留気泡トラップ領域に気泡はあまり溜まらず、キャリッジリターンの間に消滅したり、ラスター(ライン)毎の予備吐出等のシーケンス処理で吐出口から排出されたりするので、長尺ヘッドに比べて泡による不吐出は起こりにくい。これに対し、連続印字時間の長いヘッドでは、連続吐出により残留気泡は液体中に再溶解しないで残り易く、また、その量も多いので不吐出が起き易いものと考えられる。
【0018】
一方、吐出時に共通液室を介して、他のノズルのメニスカス振動に影響を及ぼす後方クロストークを吸収する効果的な方法として、特開平6−344558号公報には、長尺ヘッドにおいて、共通液室内に圧力振動を吸収するバッファ室を設けたインクジェットヘッドが提案されている。しかしながら、この特開平6−44558号公報に提案のものは、ノズルの後端からバッファ室までの距離が遠い上、バッファ室内に常時必要量の気泡を保持する制御機構がなく、確実性に乏しい。
【0019】
これを改善すべく、特開平8−39800号公報にには、共通液室に気泡を発生させるヒーターを有するバブルセルと称するバッファ室を設けたインクジェットヘッドが提案されている。これも効果的な発明ではあるが、バッファ室内に気泡を蓄えるために余分なエネルギーを必要とするので、効率的ではない。
【0020】
また、近年、バブルジェット技術を用いた多方面への展開が成されつつあるが、こうした中、粘度や熱的性質を含む吐出液体の特性の選択の自由度を広げ、良好な吐出を行うことができる液体吐出へッドとして、本出願人は、図12に示されるような、吐出口18に連通した第1の液流路14と、液体に熱を加えることで該液体に気泡を発生させる発熱体3が設けられた第2の液流路16と、前記第1の液流路14と前記第2の液流路16との間に配され、吐出口18方向に自由端を有し、前記第2液流路16内での気泡の発生による圧力に基づいて該自由端を前記第1の液流路14側に変位させて、前記圧力を前記第1の液流路14に伝える可動部材31とを有する液体吐出へッドを提案した。
【0021】
この二液流路式の吐出ヘッドは従来の一液流路式に比べ、吐出性能に優れている。
【0022】
ところが、この二液流路式の吐出ヘッドでも、消泡時には、従来の一液流路式と同様に残留気泡が発生し、第1の液流路14および第2の液流路16に滞留する。しかし、第1の液流路14内に滞留して気泡の成長を妨げる可能性のある残留気泡は、可動部材31の上部を含みその上流側の残留気泡は可動部材31の変位により上流側に押し流されるので、第1液流路14内の可動部材31より下流側にある残留気泡であり、これは、気泡の成長に先んじて初期の膜沸騰の圧力により、液体と共に吐出口18から排出される。従って、従来の一液流路式に比べると、気泡成長の阻害度は小さい。
【0023】
また、二液流路式吐出ヘッドの一構成においては、消泡時において第1の液流路14と第2の液流路16とは可動部材31により遮断され、スリット35を介して連通するのみであるから、第1の液流路14内には残留気泡が残りにくく、この第1の液流路14から共通液室に残留気泡が流れ込み、泡による不吐出を生じさせるまでに成長する確率は極めて低い。
【0024】
なお、この場合、第2の液流路16においては、気泡発生領域の構造が発熱体3と可動部材31とが対向して配置された構造であり、可動部材31の振動により発熱体表面上に残留気泡が滞留し難いので、発泡を阻害することはない。
【0025】
しかしながら、二液流路式吐出ヘッドであっても、第2の液流路が連通する共通液室へ流れ込む残留気泡はやはり存在し、一液流路式吐出ヘッドについて述べたのと同様の理由で不吐出が発生する可能性は否定できない。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】
上述した技術的背景を考慮して、本発明の第1の目的は、残留気泡の成長の結果もたらされる不吐出、特に、連続吐出時、とりわけ長尺ヘッドでの高周波駆動の繰り返し印字を行う場合に発生し易い不吐出を効果的に防止することができる液体吐出へッドを提供することにある。
【0027】
本発明の第2の目的は、吐出時に生じる共通液室を介しての後方クロストークによるメニスカス振動を効果的に抑制できる液体吐出へッドを提供することにある。
【0028】
本発明の第3の目的は、上記第1および第2の目的を同時に達成することのできる液体吐出ヘッドを提供することにある。
【0029】
【課題を解決するための手段】
上述の少なくともいずれかの目的を達成するための本発明は、次のようなものである。
【0030】
請求項1に記載の発明は、液体を吐出するための発熱体が配され、並列に配置された複数の液流路と、該複数の液流路の長手方向後端側に配され、該複数の液流路に連通する共通液室とを有し、前記発熱体を駆動し前記液体に熱を加えて気泡を発生させることにより、前記液流路前端の吐出口から液体を吐出する液体吐出ヘッドにおいて、前記液流路後端と前記共通液室との境界部に、前記長手方向にほぼ直交する方向に延在し前記液流路から前記共通液室に流れ込む残留気泡をトラップし保持する複数の溝を有する空気溜まりを備えており、前記複数の溝のそれぞれはトラップした各気泡を該各気泡が液流路内の液体を遮断しないほど小さい体積で保持する寸法を有することを特徴とする。
【0031】
請求項2に記載の発明は、前記空気溜まりは、さらに、前記液流路から前記共通液室に流れ込む残留気泡以外に前記共通液室内に浮遊する気泡をもトラップし保持するよう構成されていることを特徴とする。
【0032】
請求項3に記載の発明は、前記空気溜まりは、該空気溜まりにトラップされた気泡により前記共通液室内を伝わる圧力変動を吸収するように構成されていることを特徴とする。
【0033】
請求項4に記載の発明は、前記空気溜まりは、前記液流路への液体のリフィル時に前記空気溜まりにトラップし保持された気泡が前記液流路に戻されるのを阻止する障壁を有することを特徴とする。
【0034】
請求項5に記載の発明は、前記空気溜まりは、前記液流路後端と前記共通液室との境界部の上壁に形成されていることを特徴とする。
【0035】
請求項6に記載の発明は、前記複数の溝がほぼ平行に形成されていることを特徴とする。
【0036】
請求項7に記載の発明は、前記溝は、前記長手方向にほぼ直交する方向において、少なくとも一方の端部が最小の幅であるテーパ形状を有し、該端部が気泡を収容する泡溜まり室に連通することを特徴とする。
【0037】
請求項8に記載の発明は、吐出口に連通し並列に配された複数の第1の液流路と、液体に熱を加えることで該液体に気泡を発生させる発熱体が設けられ並列に配された複数の第2の液流路と、前記第1の液流路と前記第2の液流路との間に配され、吐出口方向に自由端を有し、前記第2の液流路内での気泡の発生による圧力に基づいて該自由端を前記第1の液流路側に変位させて、前記圧力を前記第1の液流路に伝える可動部材と、前記複数の第1の液流路の後端側に配され、該複数の第1の液流路に連通する第1の共通液室と、前記複数の第2の液流路との後端側に配され、該複数の第2の液流路に連通する第2の共通液室とを有する液体吐出へッドにおいて、少なくとも前記複数の第2の液流路後端と前記第2の共通液室との境界部に、前記第2の液流路の長手方向にほぼ直交する方向に複数延在し前記複数の第2の液流路から前記第2の共通液室に流れ込む残留気泡をトラップし保持する第1の空気溜まりを有することを特徴とする。
【0038】
請求項9に記載の発明は、前記可動部材は前記第1の液流路と前記第2の液流路との間に配された分離壁の一部として構成され、前記第1の共通液室と前記第2の共通液室とは該分離壁に形成された連通孔で連通され一つの共通液室を構成していることを特徴とする。
【0039】
請求項10に記載の発明は、前記第1の空気溜まりは、前記第2の液流路後端と前記第2の共通液室との境界部の前記分離壁に形成され、前記長手方向にほぼ直交する方向に延在する溝であることを特徴とする。
【0040】
請求項11に記載の発明は、前記溝が複数個形成されていることを特徴とする。
【0041】
請求項12に記載の発明は、前記複数の溝がほぼ平行に形成されていることを特徴とする。
【0042】
請求項13に記載の発明は、前記溝は、前記長手方向にほぼ直交する方向においてその幅が異なることを特徴とする。
【0043】
請求項14に記載の発明は、さらに、前記複数の第1の液流路後端と前記第1の共通液室との境界部で前記第1の空気溜まりに対応する位置に、前記長手方向にほぼ直交する方向に延在し残留気泡をトラップし保持する複数の第2の空気溜まりを有することを特徴とする。
【0044】
請求項15に記載の発明は、前記第1の空気溜まりには前記第2の空気溜まりに対向した連通部が形成されていることを特徴とする。
【0045】
請求項16に記載の発明は、前記分離壁は、少なくとも前記第1の空気溜まりが形成される部位が他の部位に比べ厚くされていることを特徴とする。
【0046】
請求項17に記載の発明は、吐出口に連通し並列に配された複数の第1の液流路と、液体に熱を加えることで該液体に気泡を発生させる発熱体が設けられ並列に配された複数の第2の液流路と、前記第1の液流路と前記第2の液流路との間に配され、吐出口方向に自由端を有し、前記第2の液流路内での気泡の発生による圧力に基づいて該自由端を前記第1の液流路側に変位させて、前記圧力を前記第1の液流路に伝える可動部材と、前記複数の第1の液流路および前記複数の第2の液流路の後端側に配され、該複数の第1の液流路および前記第2の液流路に連通する共通液室とを有する液体吐出へッドにおいて、
前記複数の第2の液流路後端と前記共通液室との境界部に、前記複数の第2の液流路の長手方向にほぼ直交する方向に延在し前記複数の第2の液流路から前記共通液室に流れ込む残留気泡をトラップし保持する複数の空気溜まりを有することを特徴とする。
【0047】
請求項18に記載の発明は、前記可動部材は前記第1の液流路と前記第2の液流路との間に配された分離壁の一部として構成されていることを特徴とする。
【0048】
請求項19に記載の発明は、前記空気溜まりは、前記第2の液流路後端と前記共通液室との境界部の前記分離壁に形成され、前記長手方向にほぼ直交する方向に延在する溝であることを特徴とする。
【0049】
請求項20に記載の発明は、前記溝が複数個形成されていることを特徴とする。
【0050】
請求項21に記載の発明は、前記複数の溝がほぼ平行に形成されていることを特徴とする。
【0051】
請求項22に記載の発明は、前記溝は、前記長手方向にほぼ直交する方向においてその幅が異なることを特徴とする。
【0052】
請求項23に記載の発明は、前記分離壁は、少なくとも前記空気溜まりが形成される部位が他の部位に比べ厚くされていることを特徴とする。
【0053】
請求項24に記載の発明は、請求項1ないし23のいずれかに記載の液体吐出ヘッドと、該液体吐出へッドから液体を吐出させるための駆動信号を供給する駆動信号供給手段とを有することを特徴とする。
【0055】
上述の構成の本発明によると、空気溜まりには残留気泡がトラップされ保持されるので、大きな径の泡が成長されつつ溜められる。そして、この大きな径の泡がさらに成長すると、長手方向にほぼ直交する方向、すなわち、液流路の液体の流れ方向に直交する方向に延在する空気溜まりに沿って成長し、空気溜まり内の大きな泡は液体を液流路へリフィルする方向へは動きにくい。
【0056】
この現象は、空気溜まり内、例えば、溝内に溜められた気泡の集団はその容積に対し表面積を小さくしようとする力(表面張力)により合体し、溝の形状に倣って成長して溝に沿って延び、障壁によりリフィル圧の外力を防御できるので、一旦溝に沿って延びた泡は動きにくいものと考えられる。その結果、液流路内に引き込まれる大きな径の泡は大幅に減少される。
【0057】
また、空気溜まりの下端から液流路の天井高さまでの領域を浮遊する気泡は小さな泡のみであり、液流路内に引き込まれても吐出に影響しない。
【0058】
さらに、空気溜まり内に溜められた(または結果的に溜まった)ほぼ定量の気泡は、吐出時の共通液室を介した後方クロストークによるメニスカス振動の乱れを吸収し、メニスカス振動の振幅、集束時間を効果的に小さくすることができる。
【0059】
本発明によれば、バーコードや、同じパターンのラベルを連続プリントするようなラインプリンター用や、大判プリントを行うプロッター用等の長尺ヘッド(例えば、1ヘッド当たり500ノズル以上)において発生し易かった残留気泡による不吐出を効果的に防止することができる。
【0060】
また、かかる残留気泡を取り除くためのプリンター本体の回復シーケンスの使用回数を減少することができ、本体プロセス設計の負荷も軽減できる。
【0061】
さらに、バッファ効果により、ノズルのメニスカス振動の集束を促進でき、吐出設計に忠実な濃度ムラのない良好な画像を得ることができる。
【0062】
なお、本発明の説明で用いる「上流」「下流」とは、液体の供給源から気泡発生領域(又は可動部材)を経て、吐出口へ向かう液体の流れ方向に関して、又はこの構成上の方向に関しての表現として表されている。
【0063】
また、気泡自体に関する「下流側」とは、主として液滴の吐出に直接作用するとされる気泡の吐出口側部分を代表する。より具体的には気泡の中心に対して、上記流れ方向や上記構成上の方向に関する下流側、又は、発熱体の面積中心より下流側の領域で発生する気泡を意味する。
【0064】
また、本発明の説明で用いる「実質的に密閉」とは、気泡が成長するとき、可動部材が変位する前に可動部材の周囲の隙間(スリット)から気泡がすり抜けない程度の状態を意味する。
【0065】
さらに、本発明でいう「分離壁」とは、広義では気泡発生領域と吐出口に直接連通する領域とを区分するように介在する壁(可動部材を含んでもよい)を意味し、狭義では気泡発生領域を含む液流路と吐出口に直接連通する液流路とを区分し、それぞれの領域にある液体の混合を防止するものを意味する。
【0066】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0067】
(第1の実施の形態)
まず、図1は本発明の第1の実施の形態に係る液体吐出ヘッドの一部を示す部分破断斜視図である。
【0068】
本実施の形態の液体吐出ヘッドは、大まかに、液体を吐出するための吐出エネルギー発生素子として、液体に熱エネルギーを作用させる発熱体3が素子基板1に複数個配設されており、この素子基板1上に発熱体3に対応して液流路10が配されている。液流路10は吐出口18に連通していると共に、複数の液流路10に液体を供給するための共通液室13に連通しており、吐出口から吐出された液体に見合う量の液体をこの共通液室13から受け取る。そして、この液流路10は素子基板1上に形成された流路壁12によりその側部が画成されている。さらに、この流路壁12が形成された素子基板1上に、例えば、ガラス製の天板20がドライフィルム層22を介在して接着剤層24により接着され液体吐出ヘッドの要部が形成されている。なお、素子基板1には発熱体3に電気信号を供給する配線電極4が成膜技術により一体的に作り込まれている。
【0069】
そして、このように天板20と接着された素子基板100はアルミベースプレート120にダイボンディングされ、アルミベースプレート120に貼着されているプリント回路基板(不図示)と配線電極を介してワイヤボンディングされ電気的に接続されている。
【0070】
26は天板20に設けられ共通液室13に連通するインク供給部であり、インク供給管28に接続される。インク供給部26を天板20に取り付けることにより液体吐出ヘッドが完成する。
【0071】
そして、本実施の形態における液体吐出ヘッドでは、図2に示すように、天板20において液流路10後端と共通液室13との境界部に、液流路10の長手方向にほぼ直交する方向に延在し、液流路10から共通液室13に流れ込む残留気泡をトラップし保持する複数個の平行な溝T(T1、T2、T3)からなる空気溜まりが形成されている。この複数個の溝T(T1、T2、T3)はそれぞれ隣接する障壁B(B1、B2、B3)により図示のように画成されている。
【0072】
上述の構成の本発明によると、図2(A)に示すように、発熱体3の駆動が終了した消泡時に発生した残留気泡(図中小丸で示されている)のうち、共通液室13側へ流れたものは、矢印Aで示すように、液流路10後端と共通液室13との境界部に液流路10の長手方向にほぼ直交する方向に延在して形成された複数個の平行な溝T(T1、T2、T3)からなる空気溜まりのいずれかにトラップされ保持される。
【0073】
連続プリント時間が短い場合、あるいは、吐出周波数が低い場合には、溝T(T1、T2、T3)内にはその容積に比べて比較的小さな小泡しか溜まらない。
【0074】
しかし、連続プリント時間が長い場合、あるいは、吐出周波数が高い場合には、溝T(T1、T2、T3)内にトラップされ保持された残留気泡は互いに接触し、かつ、結合して、大きな径の泡に成長しつつ溜められる。そして、この大きな径の泡がさらに成長すると、溝壁に接しつつその溝壁に沿って成長し、図2(B)に示すような状態となる。
【0075】
さらに連続プリントが続いても、溝T(T1、T2、T3)内にトラップされ保持された残留気泡の集団は、図2(C)に段階的に示すように、その容積に対し表面積を小さくしようとする力(表面張力)により合体し、溝の形状に倣って成長して溝壁に沿って延びる。従って、共通液室13から液流路10に向かう液体の流れであるリフィル程度の圧力では、溝T(T1、T2、T3)内の大きな泡は障壁B(B1、B2、B3)に邪魔されてそのリフィル方向へは動きにくい。その結果、液流路10内に大きな径の泡が引き込まれることはない。
【0076】
また、空気溜まりの下端、すなわち、障壁B(B1、B2、B3)の先端から液流路10の天井高さまでの領域を浮遊する気泡は小さな泡のみであり、液流路10内に引き込まれても吐出に悪影響を及ぼさない。
【0077】
このように、複数個の溝T(T1、T2、T3)を形成したことにより、従来の液流路後方に気泡トラップ用の空間Sを形成したものに比べ、同じ体積の気泡がトラップされたと仮定しても、本発明の場合には複数の平行な溝T(T1、T2、T3)に分割されているので、一つ一つの体積が小さく、最悪、気泡が液流路10に引き込まれたとしても、液流路10内の液体を遮断する程ではないので、不吐出が生じ難いのである。
【0078】
溝T(T1、T2、T3)の幅、および、溝壁、すなわち、障壁B(B1、B2、B3)の高さ(溝の深さ)は、上述の作用が行われる寸法であればよく、本実施例では、液流路10の容積が約850×10−9cm3 の液体吐出ヘッドで高さが0.1mm、幅が0.03mmとした。
【0079】
形成方法は、天板20の材料に合わせて適宜選択でき、成形、機械加工等、溝が形成できればその手段は問わない。本実施例では、コストを考慮してレーザ加工により形成している。
【0080】
また、溝T(T1、T2、T3)およびそれを画成する障壁B(B1、B2、B3)の形状は、図2に示すような矩形の形状に限られず、図3に示すように、断面が鋸歯形状のような異形でもよく、この際、液流路10に近い側の溝T1から順に隣の溝には気泡が移り易く(図中、矢印Xで示す)、トラップされた気泡が液流路10内に戻り難い(図中Yで示す)ように、障壁B(B1、B2、B3)にテーパを付けてもよい。
【0081】
なお、溝の数は本実施の形態では3個の例を示したが、ヘッドの構造や、駆動条件に応じて適宜設定すればよい。また、空気溜まりに溜まった気泡が定量を超える場合には、回復手段によって不要な分の気泡を除去することにより安定した状態を維持することができる。このとき、気泡は空気溜まりに集められ除去しやすくなっており、従来よりも回復動作によるインクの消費が少なくてすむ。また回復動作による気泡の除去は必要な量の気泡を残すように行われる。
【0082】
このような構成の吐出ヘッドを用いて、吐出を行ったところ、残留気泡に起因する不吐出は発生せず、空気溜まり内に溜められた(または結果的に溜まった)ほぼ定量の気泡は、さらに、吐出時の共通液室を介した後方クロストークによるメニスカス振動の乱れを吸収し、メニスカス振動の振幅、集束時間を効果的に小さくすることが確認できた。
【0083】
さらに、空気溜まりとしての溝T(T1、T2、T3)の他の形態として、図8に示す形態(溝T′と称す)としてもよい。
【0084】
すなわち、この形態は溝T′(T1′、T2′、T3′)の幅を液流路10の長手方向に直交する方向において異ならせ、溝T内にトラップされ保持されている泡を毛管力を利用して所定方向に案内するようにしたものである。具体的には、図8に示すように、溝T′(T1′、T2′、T3′)のそれぞれの溝幅を、液体吐出ヘッドの中心線付近において最大となるようにし、両端に向かうに従い狭くなる両テーパ状にしている。そして、溝T′(T1′、T2′、T3′)の両端部において、該溝T′は天板20に形成した泡溜まり室Sに孔Rを介して連通されている。
【0085】
このようにすることにより、溝T′(T1′、T2′、T3′)内にトラップされ保持された残留気泡は互いに接触し、かつ、結合して、大きな径の泡に成長しつつ溜められる。そして、この大きな径の泡がさらに成長すると、溝内の毛管力により泡と液体との界面は溝幅の狭い方向へ引かれ、泡も溝T′(T1′、T2′、T3′)の両端に引かれる。従って、溝T′(T1′、T2′、T3′)に溜まり過ぎて、保持され得なくなった泡は孔Rを介して両端の泡溜まり室Sに収容され、共通液室13内に溢れることが防止される。
【0086】
なお、上述の溝T′(T1′、T2′、T3′)の溝幅は、液体吐出ヘッドの中心線付近において最大となるようにしたが、一端において最大で他端において最小となる形態の片テーパ状の溝を、交互に補完的に配列してもよい。
【0087】
(第2の実施例の形態)
まず、本発明の第2の実施形態を説明する前に、本発明が適用される液体吐出ヘッドの基本的な構成について、図13ないし図17を参照して説明する。
【0088】
すなわち、本液体吐出ヘッドにおいて、液体を吐出するための、気泡に基づく圧力の伝搬方向や気泡の成長方向を制御することで吐出力や吐出効率の向上を図り得る構成を説明する。
【0089】
図13はこのような本液体吐出ヘッドを液流路方向で切断した断面模式図を示しており、図14はこの液体吐出ヘッドの部分破断斜視図を示している。
【0090】
本液体吐出ヘッドは、液体を吐出するための吐出エネルギー発生素子として、液体に熱エネルギーを作用させる発熱体3(好ましい形態例においては40μm×105μmの形状の発熱抵抗体)が素子基板1に設けられており、この素子基板上に発熱体3に対応して液流路10が配されている。液流路10は吐出口18に連通していると共に、複数の液流路10に液体を供給するための共通液室13に連通しており、吐出口から吐出された液体に見合う量の液体をこの共通液室13から受け取る。
【0091】
この液流路10の素子基板上には、前述の発熱体3に対向するように面して、金属などの弾性を有する材料で構成され、平面部を有する板状の可動部材31が片持梁状に設けられている。この可動部材の一端は液流路10の壁や素子基板上に感光性樹脂などをパターニングして形成した土台(支持部材)34などに固定されている。これによって、可動部材は保持されると共に支点(支点部分)33を構成している。
【0092】
この可動部材31は、液体の吐出動作によって共通液室13から可動部材31を経て吐出口18側へ流れる大きな流れの上流側に支点(支点部分;固定端)33を持ち、この支点33に対して下流側に自由端(自由端部分)32を持つように、発熱体3に面した位置に発熱体3を覆うような状態で発熱体から15μm程度の距離を隔てて配されている。この発熱体と可動部材との間が気泡発生領域となる。なお発熱体、可動部材の種類や形状および配置はこれに限られることなく、後述するように気泡の成長や圧力の伝搬を制御しうる形状および配置であればよい。なお、上述した液流路10は、後に取り上げる液体の流れの説明のため、図13(a),(d)に示される状態の可動部材31を境にして直接吐出口18に連通している部分を第1の液流路14とし、気泡発生領域11や液体供給路12を有する第2の液流路16の2つの領域に分けて説明する。
【0093】
発熱体3を発熱させることで可動部材31と発熱体3との間の気泡発生領域11の液体に熱を作用し、液体に米国特許第4, 723, 129号明細書に記載されているような膜沸騰現象に基づく気泡を発生させる。気泡の発生に基づく圧力と気泡は液体を介して可動部材に優先的に作用し、可動部材31は図13(b)、(c)もしくは図10で示されるように支点33を中心に吐出口側に大きく開くように変位する。可動部材31の変位若しくは変位した状態によって気泡の発生に基づく圧力の伝搬や気泡自身の成長が吐出口側に導かれる。
【0094】
ここで、本発明の基本的な吐出原理の一つを説明する。本発明において最も重要な原理の1つは、気泡に対面するように配された可動部材が気泡の成長に伴い、気泡が可動部材31に接触する前に、気泡の圧力に基づいて、定常状態の第1の位置から最大変位後の位置である第2の位置へ変位し、可動部材31が最大位の第2位置から弾性により戻る期間の一部で成長途上にある気泡に接触し、この変位する可動部材31によって気泡の発生に伴う圧力や気泡自身を吐出口18が配された下流側へ導くことである。
【0095】
この原理を可動部材を用いない従来の液流路構造を模式的に示した図15と本発明の図16とを比較してさらに詳しく説明する。なおここでは吐出口方向への圧力の伝搬方向をVA、上流側への圧力の伝搬方向をVBとして示した。
【0096】
図15で示されるような従来のヘッドにおいては、発生した気泡40による圧力の伝搬方向を規制する構成はない。このため気泡40の圧力伝搬方向はV1〜V8のように気泡表面の法線方向となり様々な方向を向いていた。このうち、特に液吐出に最も影響を及ぼすVA方向に圧力伝搬方向の成分を持つものは、V1〜V4即ち気泡のほぼ半分の位置より吐出口に近い部分の圧力伝搬の方向成分であり、液吐出効率、液吐出力、吐出速度などに直接寄与する重要な部分である。さらにV1は吐出方向VAの方向に最も近いため効率よく働き、逆にV4はVAに向かう方向成分は比較的少ない。
【0097】
これに対して、図16で示される本発明の場合には、可動部材31が図15の場合のように様々な方向を向いていた気泡の圧力伝搬方向V1〜V4を戻り変位しつつ下流側(吐出口側)へ導き、VAの圧力伝搬方向に変換するものであり、これにより気泡40の圧力が直接的に効率よく吐出に寄与することになる。そして、気泡の成長方向自体も圧力伝搬方向V1〜V4と同様に下流方向に導かれ、上流より下流で大きく成長する。このように、気泡の成長方向自体を可動部材によって制御し、気泡の圧力伝搬方向を制御することで、吐出効率や吐出力また吐出速度などの根本的な向上を達成することができる。
【0098】
次に図13に戻って、本液体吐出ヘッドの吐出動作について詳しく説明する。
【0099】
図13(a)は、発熱体3に電気エネルギーなどのエネルギーが印加される前の状態であり、発熱体が熱を発生する前の状態である。ここで重要なことは、可動部材31が、発熱体の発熱によって発生した気泡に対し、この気泡の少なくとも下流側部分に対面する位置に設けられていることである。つまり、気泡の下流側が可動部材に作用するように、液流路構造上では少なくとも発熱体の面積中心3aより下流(発熱体の面積中心3aを通って流路の長さ方向に直交する線より下流)の位置まで可動部材31が配されている。
【0100】
図13(b)は、発熱体3に電気エネルギーなどが印加されて発熱体3が発熱し、発生した熱によって気泡発生領域11内を満たす液体の一部を加熱し、膜沸騰に伴う気泡を発生させた状態である。
【0101】
このとき可動部材31は気泡40の発生に基づく圧力により、第1位置から変位を開始する。ここで重要なことは前述したように、可動部材31の自由端32を下流側(吐出口側)に配置し、支点33を上流側(共通液室側)に位置するように配置して、可動部材の少なくとも一部を発熱体の下流部分すなわち気泡の下流部分に対面させることである。
【0102】
図13(c)は気泡40がさらに成長を続け、気泡40と可動部材31との間に液体が介在されたまま可動部材31が変位している状態を示す。気泡40の発生に伴う圧力に応じて可動部材31はさらに変位し、最大変位位置の第2の位置まで変位する。図13(c)はまた、気泡40が成長し続けると共に、可動部材31がその最大変位した第2位置から戻る過程で気泡40に接触している状態を示している。発生した気泡40は上流より下流に大きく成長すると共に可動部材の第1の位置(点線位置)を越えて大きく成長し続け、この気泡40の成長と共に可動部材31が戻り変位して行くことで気泡40の圧力伝搬方向や体積移動のしやすい方向、すなわち自由端側への気泡の成長方向を吐出口に均一的に向かわせることができることも吐出効率を高めると考えられる。可動部材は、気泡や発泡圧を吐出口方向へ導くのに積極的に寄与し、効率よく圧力の伝搬方向や気泡の成長方向を制御することができる。
【0103】
図13(d)は気泡40が、前述した膜沸騰の後、気泡内部圧力の減少によって収縮し、消滅する状態を示している。
【0104】
可動部材31は、気泡の収縮による負圧と可動部材自身のばね性による復元力とによって図13(a)の初期位置(第1の位置)に復帰する。また、消泡時には、気泡発生領域11での気泡の収縮体積を補うため、また、吐出された液体の体積分を補うために上流側(B)、すなわち共通液室側からの流れVD1、VD2のように、また、吐出口側からの流れVcのように液体が流れ込んでくる。
【0105】
以上、気泡の発生に伴う可動部材の動作と液体の吐出動作について説明したが、以下に本発明の液体吐出ヘッドにおける液体のリフィルについて詳しく説明する。
【0106】
図13を用いて本発明における液供給メカニズムをさらに詳しく説明する。
【0107】
図13(c)の後、気泡40が最大体積の状態を経て消泡過程に入ったときには、消泡した体積を補う体積の液体が気泡発生領域に、第1液流路14の吐出口18側と第2液流路16の共通液室側13から流れ込む。可動部材31を持たない従来の液流路構造においては、消泡位置に吐出口側から流れ込む液体の量と共通液室から流れ込む液体の量は、気泡発生領域より吐出口に近い部分と共通液室に近い部分との流抵抗の大きさに対応する(流路抵抗と液体の慣性に基づくものである。)。
【0108】
このため、吐出口に近い側の流抵抗が小さい場合には、多くの液体が吐出口側から消泡位置に流れ込みメニスカスの後退量が大きくなることになる。特に、吐出効率を高めるために吐出口に近い側の流抵抗を小さくして吐出効率を高めようとするほど、消泡時のメニスカスMの後退量が大きくなり、リフィル時間が長くなって高速印字を妨げることとなっていた。
【0109】
これに対して本液体吐出ヘッドは可動部材31を設けたため、気泡の体積Wを可動部材31の第1位置を境に上側をW1、気泡発生領域11側をW2とした場合、消泡時に可動部材が元の位置に戻った時点でメニスカスの後退は止まり、その後残ったW2の体積分の液体供給は主に第2流路16の流れVD2からの液供給によって成される。これにより、従来、気泡Wの体積の半分程度に対応した量がメニスカスの後退量になっていたのに対して、それより少ないW1の半分程度のメニスカス後退量に抑えることが可能になった。
【0110】
さらに、W2の体積分の液体供給は消泡時の圧力を利用して可動部材31の発熱体側の面に沿って、主に第2液流路の上流側(VD2)から強制的に行うことができるためより速いリフィルを実現できた。
【0111】
ここで特徴的なことは、従来のヘッドで消泡時の圧力を利用したリフィルを行った場合、メニスカスの振動が大きくなってしまい画像品位の劣化につながっていたが、本液体吐出ヘッドの高速リフィルにおいては可動部材によって吐出口側の第1液流路14の領域と、気泡発生領域11との吐出口側での液体の流通が抑制されるためメニスカスの振動を極めて少なくすることができることである。
【0112】
このように本発明は、第2液流路16の液体供給路を介しての発泡領域への強制リフィルと、上述したメニスカス後退や振動の抑制によって高速リフィルを達成することで、吐出の安定や高速繰り返し吐出、またプリントの分野に用いた場合、画質の向上や高速プリントを実現することができる。
【0113】
本発明の構成においてはさらに次のような有効な機能を兼ね備えている。それは、気泡の発生による圧力の上流側への伝搬(バック波)を抑制することである。発熱体3上で発生した気泡の内、共通液室13側(上流側)の気泡による圧力は、その多くが、上流側に向かって液体を押し戻す力(バック波)になっていた。このバック波は、上流側の圧力と、それによる液移動量、そして液移動に伴う慣性力を引き起こし、これらは液体の液流路内へのリフィルを低下させ高速駆動の妨げにもなっていた。本発明においては、まず可動部材31によって上流側へのこれらの作用を抑えることでもリフィル供給性の向上をさらに図っている。
【0114】
次に、本液体吐出ヘッドの更なる特徴的な構造と効果について、以下に説明する。
【0115】
本液体吐出ヘッドの第2液流路16は、発熱体3の上流に発熱体3と実質的に平坦につながる(発熱体表面が大きく落ち込んでいない)内壁を持つ液体供給路を有している。このような場合、気泡発生領域11および発熱体3の表面への液体の供給は、可動部材31の気泡発生領域11に近い側の面に沿って、VD2のように行われる。このため、発熱体3の表面上に液体が淀むことが抑制され、液体中に溶存していた気体の析出や、消泡できずに残ったいわゆる残留気泡が除去され易く、また、液体への蓄熱が高くなりすぎることもない。従って、より安定した気泡の発生を高速に繰り返し行うことができる。なお、本液体吐出ヘッドでは実質的に平坦な内壁を持つ液体供給路を持つもので説明したが、これに限らず、発熱体表面となだらかに繋がり、なだらかな内壁を有する液体供給路であればよく、発熱体上に液体の淀みや、液体の供給に大きな乱流を生じない形状であればよい。
【0116】
また、気泡発生領域への液体の供給は、可動部材の側部(スリット35)を介してVD1から行われるものもある。しかし、気泡発生時の圧力をさらに有効に吐出口に導くために図9で示すように気泡発生領域の全体を覆う(発熱体面を覆う)ように大きな可動部材を用い、可動部材31が第1の位置へ復帰することで、気泡発生領域11と第1液流路14の吐出口に近い領域との液体の流抵抗が大きくなるような形態の場合、前述のVD1から気泡発生領域11に向かっての液体の流れが妨げられる。しかし、本発明の液体吐出ヘッド構造においては、気泡発生領域に液体を供給するための流れVD1があるため、液体の供給性能が非常に高くなり、可動部材31で気泡発生領域11を覆うような吐出効率向上を求めた構造を取っても、液体の供給性能を落とすことがない。
【0117】
ところで、可動部材31の自由端32と支点33の位置は、例えば図13で示されるように、自由端が相対的に支点より下流側にある。このような構成のため、前述した発泡の際に気泡の圧力伝搬方向や成長方向を吐出口側に導くなどの機能や効果を効率よく実現できるのである。さらに、この位置関係は吐出に対する機能や効果のみならず、液体の供給の際にも液流路10を流れる液体に対する流抵抗を小さくでき高速にリフィルできるという効果を達成している。これは図13に示すように、吐出によって後退したメニスカスMが毛管力により吐出口18へ復帰する際や、消泡に対しての液供給が行われる場合に、液流路10(第1液流路14、第2液流路16を含む)内を流れる流れS1、S2、S3に対し、逆らわないように自由端と支点33とを配置しているためである。
【0118】
補足すれば、本液体吐出ヘッドの図9においては、前述のように可動部材31の自由端32が、発熱体3を上流側領域と下流側領域とに2分する面積中心3a発熱体の面積中心(中央)を通り液流路の長さ方向に直交する線)より下流側の位置に対向するように発熱体3に対して延在している。これによって発熱体の面積中心位置3aより下流側で発生する液体の吐出に大きく寄与する圧力、又は気泡を可動部材31が受け、この圧力及び気泡を吐出口側に導くことができ、吐出効率や吐出力を根本的に向上させることができる。
【0119】
さらに、加えて上記気泡の上流側をも利用して多くの効果を得ている。
【0120】
また、本液体吐出ヘッドの構成においては可動部材31の自由端が瞬間的な機械的変位を行っていることも、液体の吐出に対して有効に寄与していると考えられる。
【0121】
次に、図4ないし図6を参照して本発明の液体吐出ヘッドの第2の実施の形態について説明する。
【0122】
本実施の形態においては液流路を二液流路構成にすることで、さらに熱を加えることで発泡させる液体(発泡液)と、主として吐出される液体(吐出液)とを分けることができるようにしたものである。
【0123】
図4は、本実施の形態の液体吐出ヘッドの分解斜視図を示しており、図5(A)は同形式の液体吐出ヘッドの流路方向の断面模式図、図5(B)は要部の部分断面図、図5(C)は同図5(A)の要部拡大図である。
【0124】
本実施の形態の液体吐出ヘッドは、液体に気泡を発生させるための熱エネルギーを与える発熱体3が設けられた素子基板1上に、発泡液用の第2液流路16があり、その上に吐出口18に直接連通した吐出液用の第1液流路14が配されている。
【0125】
第1液流路14の上流側は、複数の第1液流路14に吐出液を供給するための第1共通液室15に連通しており、第2液流路16の上流側は、複数の第2液流路に発泡液を供給するための第2共通液室17に連通している。
【0126】
但し、発泡液と吐出液を同じ液体とする場合には、後述するように共通液室を一つにして共通化させてもよい。
【0127】
第1と第2の液流路の間には、金属等の弾性を有する材料で構成された分離壁30が配されており、第1液流路14と第2の液流路16とを区分している。なお、発泡液と吐出液とができる限り混ざり合わない方がよい液体の場合には、この分離壁30によってできる限り完全に第1液流路14と第2液流路16の液体の流通を分離した方がよいが、発泡液と吐出液とがある程度混ざり合っても、問題がない場合には、分離壁に完全分離の機能を持たせなくてもよい。
【0128】
発熱体3の面方向上方への投影空間(以下吐出圧発生領域という。;図5中のAの領域とBの気泡発生領域11)に位置する部分の分離壁は、スリット35によって吐出口側(液体の流れの下流側)が自由端で、共通液室(15、17)側に支点33が位置する片持梁形状の可動部材31となっている。この可動部材31は、気泡発生領域11(B)に面して配されているため、発泡液の発泡によって第1液流路14側の吐出口側に向けて開口するように動作する。
【0129】
そして、本実施の形態では、複数の第2の液流路16の後端と第2の共通液室17との境界部に、複数の第2の液流路16の長手方向にほぼ直交する方向に延在し、前記複数の第2の液流路16から前記第2の共通液室17に流れ込む残留気泡をトラップし保持する複数の空気溜まりとしての複数の溝T(T1、T2、T3、T4、T5、T6)が分離壁30の下面側に形成されている。なお、この分離壁30は、少なくとも複数の溝T(T1、T2、T3、T4、T5、T6)が形成される部位は他の部位に比べ厚く形成され、溝深さを充分に確保できるようにしてある。
【0130】
溝T(T1、T2、T3、T4、T5、T6)の深さおよび幅は、後述するトラップ作用が充分に行われる寸法であればよく、本実施例では、各溝の深さが、0.06mm、幅が0.03mmとした。また、本実施例で用いた分離壁30の材質はニッケルであり、溝T(T1、T2、T3、T4、T5、T6)が形成された部位の厚さは0.1mmとした。この材質および寸法については、2液分離液室構造に必要なそれぞれの共通液室の構成や、分離壁の材質を選び、設計製作上許容可能な範囲に設定すればよい。溝の形成は、成形、レーザ加工等でも行い得るが、本実施例では電鋳で行った。
【0131】
また、第2の共通液室17の容積は、共通液室が分離されていない場合に比べて小さいので、残留気泡のトラップおよび保持を行い易いように、溝Tの数は本例のように多めにするのが好ましい。
【0132】
図6においても、発熱体3としての発熱抵抗部(電気熱変換体)と、この発熱抵抗部に電気信号を印加するための配線電極4とが配された素子基板1上に、第2の液流路16を構成する空間を介して分離壁30が配置されているのが理解されよう。
【0133】
次に図5を用いて本実施の形態の液体吐出ヘッドの動作を説明する。
【0134】
ヘッドを駆動させるにあたっては、第1液流路14に供給される吐出液と第2の液流路16に供給される発泡液として同じ水系のインクを用いて動作させた。
【0135】
発熱体3が発生した熱が、第2液流路16の気泡発生領域11内の発泡液に作用することで、発泡液にUSP4,723,129に記載されているような膜沸騰現象に基づく気泡を発生させる。
【0136】
本実施の形態においては、気泡発生領域11の上流側を除く、3方からの発泡圧の逃げがないため、この気泡発生にともなう圧力が吐出圧発生部に配された可動部材31側に集中して伝搬し、気泡の成長をともなって可動部材31が変位する(破線で示す)。そして、この可動部材31の一連の動作によって第1液流路14と第2液流路16とが大きく連通し、気泡の発生に基づく圧力が可動部材31に制御されて第1液流路の吐出口18側の方向に主に伝わる。この圧力の伝搬と前述のような可動部材31の機械的変位によって液体が吐出口から吐出される。
【0137】
次に、気泡が収縮するに伴って可動部材31が元の位置まで戻ると共に、第1液流路14では吐出された吐出液体の量に見合う量の吐出液体が上流側から供給される。本実施の形態において、この吐出液体の供給方向は可動部材が閉じる方向であるため、吐出液体のリフィルを可動部材で妨げることがない。
【0138】
本実施の形態は、二液流路構成をとることによって、吐出液と発泡液とを別液体とし、発泡液の発泡で生じた圧力によって吐出液を吐出することができる。このため、従来、熱を加えても発泡が十分に行われにくく吐出力が不十分であったポリエチレングリコール等の高粘度の液体であっても、この液体を第1の液流路に供給し、発泡液に発泡が良好に行われる液体(エタノール:水=4:6の混合液1〜2cP程度等)や低沸点の液体を第2の液流路に供給することで良好に吐出させることができる。
【0139】
また、発泡液として、熱を受けても発熱体の表面にコゲ等の堆積物を生じない液体を選択することで、発泡を安定化し、良好な吐出を行うことができる。
【0140】
また、加熱に弱い液体の場合においてもこの液体を第1の液流路14に吐出液として供給し、第2の液流路16で熱的に変質しにくく良好に発泡を生じる液体を供給すれば、加熱に弱い液体に熱的な害を与えることなく、しかも上述のように高吐出効率、高吐出力で吐出することができる。
【0141】
上述の構成の本発明によると、図5(A)に示すように、発熱体3の駆動が終了した消泡時に発生した残留気泡(図中小丸で示されている)のうち、第2の共通液室17側へ流れたものは、矢印Cで示すように、第2の液流路16の後端と第2の共通液室17との境界部に第2の液流路16の長手方向にほぼ直交する方向に延在して形成された複数個の溝T(T1、T2、T3、T4、T5、T6)からなる空気溜まりにトラップされ保持される。
【0142】
連続プリント時間が短い場合、あるいは、吐出周波数が低い場合には、溝T(T1、T2、T3、T4、T5、T6)内にはその容積に比べて比較的小さな小泡しか溜まらない。
【0143】
しかし、連続プリント時間が長い場合、あるいは、吐出周波数が高い場合には、溝T(T1、T2、T3、T4、T5、T6)内にトラップされ保持された残留気泡は互いに接触し、かつ、結合して、大きな径の泡に成長しつつ溜められる。そして、この大きな径の泡がさらに成長すると、溝壁に接しつつその溝壁に沿って成長し、図5(B)に示すような状態となる。
【0144】
さらに連続プリントが続いても、溝T(T1、T2、T3、T4、T5、T6)内にトラップされ保持された残留気泡の集団は、その容積に対し表面積を小さくしようとする力(表面張力)により合体し、溝の形状に倣って成長して溝壁に沿って延びる。従って、第2の共通液室17から第2の液流路16に向かう液体の流れであるリフィル程度の圧力では、溝T(T1、T2、T3、T4、T5、T6)内の大きな泡はそのリフィル方向へは動きにくい。その結果、第2の液流路16内に大きな径の泡が引き込まれることはない。
【0145】
このような構成の吐出ヘッドを用いて、吐出を行ったところ、残留気泡に起因する不吐出は発生せず、空気溜まりとしての溝T内に溜められた(または結果的に溜まった)ほぼ定量の気泡は、さらに、吐出時の第2の共通液室を介した後方クロストークによるメニスカス振動の乱れを吸収し、メニスカス振動の振幅、集束時間を効果的に小さくすることが確認できた。
【0146】
本実施の形態では、第1液流路14を構成するための溝が設けられた溝付き部材50が分離壁30上に設けられている。可動部材31の自由端32の動作範囲は、液流路の構造、可動部材の弾力性や発泡力等を考慮して決定すればよいが、吐出口の軸方向の角度を含む角度まで動作することが望ましいと考えられる。
【0147】
また、図5(A)で示されるように、吐出口18の直径より可動部材31の自由端の変位高さを高くすることで、より十分な吐出力の伝達が成される。
【0148】
本実施の形態においては、溝付き部材50は、吐出口18を有するオリフィスプレート51と、複数の第1液流路14を構成する複数の溝と、複数の第1の液流路14に共通して連通し、各第1の液流路14に液体(吐出液)を供給するための第1の共通液室15を構成する凹部とから概略構成されている。
【0149】
この溝付部材50の下側部分に分離壁30を接合することにより複数の第1液流路14を形成することができる。このような溝付部材50は、その上部から第1共通液室15内に到達する第1液体供給路21を有している。また、溝付部材50は、その上部から分離壁30を突き抜けて第2共通液室17内に到達する第2の液体供給路23を有している。
【0150】
第1の液体(吐出液)は、第1液体供給路21を経て、第1の共通液室15、次いで第1の液流路14に供給され、第2の液体(発泡液)は、第2液体供給路23を経て、第2共通液室17、次いで第2液流路16に供給されるようになっている。
【0151】
本実施の形態では、第2液体供給路23は、第1液体供給路21と平行して配されているが、これに限ることはなく、第1共通液室15の外側に配された分離壁30を貫通して、第2共通液室17に連通するように形成されればどのように配されてもよい。
【0152】
また、第2液体供給路23の太さ(直径)に関しては、第2液体の供給量を考慮して決められる。第2液体供給路23の形状は丸形状である必要はなく、矩形状等でもよい。
【0153】
また、上述の工程の分離壁30を固定した溝付部材50と分離壁30との結合体と素子基板1とを貼り合わせるのに換え、第2共通液室17や第2液流路16が形成された素子基板1に分離壁30を接合し、その分離壁30と溝付部材50とを接合するようにしてもよい。
【0154】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態として、発泡液と吐出液とに同じ液体を用いる二液流路形態の液体吐出ヘッドにつき、図7を参照しつつ説明する。なお、本実施の形態においては、その異なる構成部位につき重点的に説明し、前実施の形態と同一機能部位には同一符号を付し重複説明を避ける。
【0155】
本実施の形態では、発泡液と吐出液とに同じ液体を用いるため、第1の共通液室15と第2の共通液室17とが、分離壁30に形成された連通孔30Aにより連通されている。また、当然のことながら、発泡液と吐出液とが異なる場合に必要であった第2液体供給路が省略されている。
【0156】
そして、分離壁30の少なくとも複数の第2の液流路16の後端と第2の共通液室17との境界部に、複数の第2の液流路16の長手方向にほぼ直交する方向に延在し、複数の第2の液流路16から第2の共通液室17および第1の共通液室15に流れ込む残留気泡をトラップし保持する複数の第1の空気溜まりとしての第1の溝T−1(T−11、T−12、T−13、T−14、T−15、T−6)が前実施の形態と同様に形成されている。
【0157】
さらに、溝付部材50において、複数の第1の液流路14の後端と第1の共通液室15との境界部で、第1の空気溜まりとしての第1の溝T−1(T−11、T−12、T−13、T−14、T−15、T−16)に対応する位置、すなわち、上方に、複数の第1の液流路14の長手方向にほぼ直交する方向に延在し、第1の空気溜まりで保持しきれなくなった残留気泡をトラップし保持する複数の第2の空気溜まりとしての第2の溝T−2(T−21、T−22、T−23)が形成されている。そのために、前記第1の空気溜まりとしての第1の溝T−1(T−11、T−12、T−13、T−14、T−15、T−16)の底部には前記第2の空気溜まりとしての第2の溝T−2(T−21、T−22、T−23)にほぼ対向して連通部P(P1、P2、P3、P4、P5、P6)が形成されている。
【0158】
なお、分離壁30は、少なくとも第1の空気溜まりとしての第1の溝T−1(T−11、T−12、T−13、T−14、T−15、T−16)が形成される部位が他の部位に比べ厚くされている。
【0159】
上述の構成の本実施の形態によると、図7(A)に示すように、発熱体3の駆動が終了した消泡時に発生した残留気泡(図中小丸で示されている)のうち、第2の共通液室17側へ流れたものは、矢印Cで示すように、第2の液流路16の後端と第2の共通液室17との境界部に第2の液流路16の長手方向にほぼ直交する方向に延在して形成された複数個の第1の溝T−1(T−11、T−12、T−13、T−14、T−15、T−16)からなる空気溜まりにトラップされ保持される。
【0160】
連続プリント時間が短い場合、あるいは、吐出周波数が低い場合には、第1の溝T−1内にはその容積に比べて比較的小さな小泡しか溜まらない。
【0161】
しかし、連続プリント時間が長い場合、あるいは、吐出周波数が高い場合には、第1の溝T−1内にトラップされ保持された残留気泡は互いに接触し、かつ、結合して、大きな径の泡に成長しつつ溜められる。そして、この大きな径の泡がさらに成長すると、溝壁に接しつつその溝壁に沿って成長し、図7(B)に示すような状態となる。
【0162】
さらに連続プリントが続いても、第1の溝T−1内にトラップされ保持された残留気泡の集団は、その容積に対し表面積を小さくしようとする力(表面張力)により合体し、溝の形状に倣って成長して溝壁に沿って延びる。従って、第2の共通液室17から第2の液流路16に向かう液体の流れであるリフィル程度の圧力では、第1の溝T−1内の大きな泡はそのリフィル方向へは動きにくい。その結果、第2の液流路16内に大きな径の泡が引き込まれることはない。
【0163】
最悪の場合、第1の溝T−1(T−11、T−12、T−13、T−14、T−15、T−16)からなる空気溜まりに気泡を保持しきれなくなったときには、その溢れた気泡は、連通部P(P1、P2、P3、P4、P5、P6)を通って第1の共通液室15に抜け、第2の溝T−2にトラップされて保持される。なお、この第1の溝T−1から第1の共通液室15を通り第2の溝T−2に移動する泡は、吐出への影響を少なくするために、極力、小径であることが好ましく、従って、連通部Pの径もそのように決定するのがよい。
【0164】
また、第1の溝T−1および第2の溝T−2の深さおよび幅は、上述したトラップおよび保持作用が充分に行われる寸法であればよく、本実施例では、第1の溝T−1の各々の深さが、0.06mm、幅が0.03mmとし、第2の溝T−の各々の深さが、0.1mm、幅が0.03mmとした。また、本実施例で用いた分離壁30の材質はニッケルであり、第1の溝T−1が形成された部位の厚さは0.1mmとした。この材質および寸法については、1液供給液室構造に必要なそれぞれの共通液室の構成や、分離壁の材質を選び、設計製作上許容可能な範囲に設定すればよい。第1および第2の溝の形成は、成形、レーザ加工等でも行い得るが、本実施例では第1の溝T−1は電鋳で、第2の溝T−2はレーザ加工で行った。
【0165】
このような構成の吐出ヘッドを用いて、吐出を行ったところ、残留気泡に起因する不吐出は発生せず、第1の空気溜まりとしての第1の溝T−1内に溜められた(または結果的に溜まった)ほぼ定量の気泡は、さらに、吐出時の第2および第1の共通液室を介した後方クロストークによるメニスカス振動の乱れを吸収し、メニスカス振動の振幅、集束時間を効果的に小さくすることが確認できた。
【0166】
ところで、上述した実施の形態では、アルミニュウム等の金属で形成されたベースプレート120上に、前述のように、発泡液に対して膜沸騰による気泡を発生させるための熱を発生する発熱体としての電気熱変換素子が複数設けられた素子基板1が配されている。
【0167】
先の実施の形態で説明したように本発明においては、前述のような可動部材を有する構成によって、従来の液体吐出ヘッドよりも高い吐出力や吐出効率でしかも高速に液体を吐出することができる。本実施の形態の内、発泡液と吐出液とに同じ液体を用いる場合には、発熱体から加えられる熱によって劣化せずに、また加熱によって発熱体上に堆積物を生じにくく、熱によって気化、凝縮の可逆的状態変化を行うことが可能であり、さらに液流路や可動部材や分離壁等を劣化させない液体であれば種々の液体を用いることができる。
【0168】
このような液体の内、記録を行う上で用いる液体(記録液体)としては従来のバブルジェット装置で用いられていた組成のインクを用いることができる。
【0169】
一方、本発明の二液流路構成のヘッドを用い、吐出液と発泡液を別液体とした場合には、発泡液として前述のような性質の液体を用いればよく、具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、トルエン、キシレン、二塩化メチレン、トリクレン、フレオンTF、フレオンBF、エチルエーテル、ジオキサン、シクロヘキサン、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、水等およびこれらの混合物が挙げられる。
【0170】
吐出液としては、発泡性の有無、熱的性質に関係なく様々な液体を用いることができる。また、従来吐出が困難であった発泡性が低い液体、熱によって変質、劣化しやすい液体や高粘度液体等であっても利用できる。
【0171】
ただし、吐出液の性質として吐出液自身、又は発泡液との反応によって、吐出や発泡また可動部材の動作等を妨げるような液体でないことが望まれる。
【0172】
記録用の吐出液体としては、高粘度インク等をも利用することができる。その他の吐出液体としては、熱に弱い医薬品や香水等の液体を利用することもできる。
【0173】
本発明においては、吐出液と発泡液の両方に用いることができる記録液体として以下のような組成のインクを用いて記録を行ったが、吐出力の向上によってインクの吐出速度が高くなったため、液滴の着弾精度が向上し非常に良好な記録画像を得ることができた。
【0174】
また、発泡液と吐出液に以下で示すような組成の液体を組み合わせて吐出させて記録を行った。その結果、従来のヘッドでは吐出が困難であった十数cps粘度の液体はもちろん150cPという非常に高い粘度の液体でさえも良好に吐出でき、高画質な記録物を得ることができた。
【0175】
ところで、前述したような従来吐出されにくいとされていた液体の場合には、吐出速度が低いために、吐出方向性のバラツキが助長され記録紙上のドットの着弾精度が悪く、また吐出不安定による吐出量のバラツキが生じこれらのことで、高品位画像が得にくかった。しかし、上述の実施の形態の構成においては、気泡の発生を発泡液を用いることで充分に、しかも安定して行うことができる。このことで、液滴の着弾精度向上とインク吐出量の安定化を図ることができ記録画像品位を著しく向上することができた。
【0176】
次に、前述の本発明に係る液体吐出ヘッドを搭載した液体吐出装置の一例を、吐出液体としてインクを用いたインクジエットプリント装置を用いて説明する。
【0177】
図9はインクジエットプリント装置本体の主要部断面図、図10はインクジエットプリント装置本体の斜視図である。
【0178】
図9および図10に示すインクジェットプリント装置は、被プリント媒体Aに画像等をプリントするプリンタ部100、被プリント媒体Aを所定量(プリント長L)だけ間欠的に搬送する搬送部200、ロール状の連続する被プリン媒体Aを繰り出すための繰り出し部300、プリント後の被プリント媒体Aを巻き取りができる状態まで乾燥する乾燥部400、乾燥後の被プリント媒体Aを巻き取るための巻き取り部500の各部から主に構成される。
【0179】
被プリント媒体Aは、繰り出しローラ310の回転に伴なって巻き出され、中間ローラ320および330を介してプリンタ部100に対向する位置に設けられた搬送部200により水平方向に搬送される。
【0180】
搬送部200は、被プリント媒体Aの搬送経路上にあって、プリンタ部100よりも上流側に設けた搬送ローラ210と、プリンタ部100よりも下流側に設けたベルト駆動ローラ220とを有し、これらローラ間にエンドレス状の搬送ベルト230を巻き回すとともに、一対のプラテンローラ240により、被プリント媒体Aの被プリント面となる範囲において搬送ベルト230を平坦に規制し、適正な張力で展張するよう構成されている。搬送ベルト230外周面には、粘着層が設けられており、被プリント媒体Aを貼り付けて搬送し、プリンタ部100に対向する位置まで導き、プリンタ部100によってプリントが行われる。その後、送りローラ520により、被プリント媒体Aは、搬送ベルト230より剥がされ、ヒータなどにより構成された乾燥部400で、乾燥され、中間ローラ530、540を介して巻き取りローラ510によって巻き取られる。
【0181】
図10においてプリンタ部100には、上述した被プリント媒体Aの搬送方向に直交する主走査方向に、一対の平行な走査レール101、102がフレーム103に対して設けられており、走査レール101、102上にはボールベアリング1110を介して、複数個の上述の液体吐出ヘッドとしてのプリントヘッド1000を搭載したヘッドキャリッジ1100が摺動可能に支持されている。
【0182】
なお、ヘッドキャリッジ1100は、不図示の駆動ベルトを介してプリンタ部100のフレーム103に固定された不図示の駆動モータにより駆動される。ヘッドキャリッジ1100は、走査レール101、102上を、図中矢印P1およびP2方向に往復動し、プリントヘッド1000により、連続する被プリント媒体Aに対し、(一走査のプリント)=(所定のプリント長L)×(被プリント媒体Aの幅W)の範囲で繰り返してプリント動作を行う。
【0183】
プリントヘッド1000は、主走査方向に直交する方向、すなわち、被プリント媒体の搬送方向に2列、各カラーに対応して1列当たり複数個配列されており、画像データに対し、搬送部上流側のプリントヘッド1000と下流側のプリントヘッド1000に50%ずつデータを振り分けてプリントし、全体の画像データをプリントする。すなわち、上流側のプリントヘッド1000で50%の画像データをプリントし、被プリント媒体Aが間欠送りされることによって、下流側のプリントヘッド1000により残りの50%の画像データをプリントし、上流側および下流側のプリントヘッド1000それぞれのプリント画像を重ね合わせている。
【0184】
プリントヘッド1000には、インク供給装置2000(図10参照)から色や濃度の異なるインクをプリントヘッド1000内部の共通液室に送り込むためのそれぞれのインク供給経路と、良好なインク吐出状態を得るためにプリントヘッド1000を適正な温度に制御するために冷却用液体を流通させる水管1040が取り付けられている。
【0185】
図10に示すように、インク供給装置2000は、本実施の形態では使用するインク色に対応して、合計8個のインクタンク2100a〜2100hを有し、各インクタンクごとの供給ポンプにより、プリンタ部100内に這い回されたインク給送チュープを介して、それぞれ対応するプリントヘッド1000に各インクを供給する。このインク供給において、プリント時には毛細管現象により、プリントヘッド1000からの吐出に応じて、インク供給が行われる。
【0186】
なお、各インクは、例えば、同じ色でも、濃いインクと淡いインクのように実質的に色の異なるものは、別のインクとしてそれぞれのインクタンクに貯留されている。
【0187】
本実施の形態では、上述したように、1色のインクに対し2個のプリントヘッドを対応させている。従って、ヘッドキャリッジ1100には、プリントヘッドが、8色(濃度の異なるインクは別の色として)×2個/色=16個搭載されている。すなわち、上流側のプリントヘッド1000と、それに対応する下流側位置のプリントヘッド1000には、同じ色のインクを供給することになる。
【0188】
回復動作部3000は、プリントヘッド1000が確実な吐出安定性を得るための回復動作等を行うものであり、インクの粘度増加を防止するためにプリントヘッド1000の吐出口面を覆うキャッピング部3100、プリントヘッド1000の吐出口表面に付着するインク滴等を払拭するための不図示のワイピング部、プリントヘッド1000の内に発生する増粘インクを除去するためのインク吐出を受けるための不図示の予備吐出部、洗浄液を供給する不図示の洗浄液タンク部、その廃液を吸引および吐出する不図示のポンプ部、該ポンプ部より吐出された廃液を受容し排出する不図示の排出部を具える。
【0189】
図1に示す冷却液循環装置4000は、冷却液貯留タンク4100内の水等の冷却液Wを所望の温度に制御して、冷却液給送ポンプ4200によりプリントヘッド1000に取付けられた水管1040に給送し、再び冷却液貯留タンク4100に環流する装置である。
【0190】
不図示の駆動信号供給手段からキャリッジ1100上のプリントヘッド1000に駆動信号が供給されると、この信号に応じてプリントヘッドから被プリント媒体に対してプリント液体が吐出される。
【0191】
また、このプリント装置及びこのプリント装置で行う液体吐出方法によって、各種の被プリント媒体に対して液体を吐出することで良好な画像のプリント物を得ることができた。
【0192】
上述のようなプリント装置に適用でき、インク等の液体の付与が行われる被プリント媒体としては、各種の紙やOHPシート、コンパクトディスクや装飾板等に用いられるプラスチック材、布帛、アルミニュウムや銅等の金属材、牛皮、豚皮、人工皮革等の皮革材、木、合板等の木材、竹材、タイル等のセラミックス材、スポンジ等の三次元構造体等を対象とすることができる。
【0193】
また、上述のプリント装置として、各種の紙やOHPシート等に対して記録を行うプリンタ装置、コンパクトディスク等のプラスチック材に記録を行うプラスチック用記録装置、金属板に記録を行う金属用記録装置、皮革に記録を行う皮革用記録装置、木材に記録を行う木材用記録装置、セラミックス材に記録を行うセラミックス用記録装置、スポンジ等の三次元網状構造体に対して記録を行う記録装置、又布帛に記録を行う捺染装置等をも含むものである。
【0194】
またこれらの液体吐出装置に用いる吐出液としては、夫々の被記録媒体や記録条件に合わせた液体を用いればよい。
【0195】
本発明は、上述したような発熱体(ヒータ)の面に沿う方向に設けられた液流路の一端に吐出口を有する、いわゆるエッジシュータタイプのヘッドに限定されることなく、図示はしないが、ヒータ面に対向する位置に吐出口を有する、いわゆるサイドシュータタイプのヘッドにも適用可能である。
【0196】
サイドシュータタイプの液体吐出ヘッドは、各吐出口ごとに、液体に気泡を発生させるための熱エネルギを与える発熱体が設けられた基板上に、発泡液用の第2の液流路が形成され、その上に溝付き天板に設けられた吐出口に直接連通した吐出液用の第1の液流路が形成され、第1の液流路と第2の液流路とは、金属等の弾性を有する材料で構成された分離壁により区分されている点で、上述のエッジシュータタイプの液体吐出ヘッドと同様である。
【0197】
サイドシュータタイプの液体吐出ヘッドは、上記第1の液流路上に配された溝付き天板(オリフィスプレート)のうち、発熱体の直上の部分に吐出口が設けられている点に特徴がある。この吐出口と発熱体との間の分離壁には、観音開きに開口する一対の可動部材が設けられている。すなわち、両可動部材は支点部で支持される片持梁形状のもので、両方の自由端同士は、非吐出時においては、吐出口の中央部分の直下に位置するスリットにより僅かに離間して対向している。吐出時においては、両可動部は気泡発生領域における発泡液の発泡によって第1の液流路側に開口し、発泡液の収縮によって閉口する。この領域には、吐出液タンクから吐出液がリフィルされて吐出可能状態となり、次の発泡液の発泡に備えることができる。
【0198】
第1の液流路は、他の吐出口の第1の液流路と共に、第1の共通液室を介して吐出液を貯留するタンク(図示略)に連絡しており、第2の液流路16も、他の吐出口の第2の液流路と共に、第2の共通液室を介して発泡液を貯留するタンク(図示略)に連絡している。
【0199】
このような構成を有するサイドシュータタイプの液体吐出ヘッドにおいても、上述した所定位置に空気溜まりを形成したエッジシュータタイプのヘッドとほぼ同様に、残留気泡による不吐出を防止し、かつ、クロストークを防止しつつ、高吐出効率、高吐出圧で液体を吐出することができるという優れた効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における液体吐出へッドの一実施の形態を示す部分破断斜視図である。
【図2】本発明における液体吐出へッドの一実施の形態を示す断面図であり、(A)は液通路の長手方向に沿う断面図、(B)は(A)のB−B線に沿う断面図、(C)は(B)のC−C線に沿う断面図である。
【図3】図2に示す液体吐出へッドの溝の他の形態を示す断面図である。
【図4】本発明における液体吐出へッドの他の実施の形態を示す分解斜視図である。
【図5】本発明における液体吐出へッドの他の実施の形態を示す断面図であり、(A)は液通路の長手方向に沿う断面図、(B)は(C)のB−B線に沿う断面図、(C)は(A)の部分拡大図である。
【図6】本発明における液体吐出へッドの他の実施の形態を示す部分破断斜視図である。
【図7】本発明における液体吐出へッドのさらに他の実施の形態を示す可動部の動作を説明するための断面図であり、(A)は液通路の長手方向に沿う断面図、(B)は(C)のB−B線に沿う断面図、(C)は(A)の部分拡大図である。
【図8】図2に示す液体吐出へッドの溝のさらに他の形態を示す(B)に対応する断面図である。
【図9】本発明の液体吐出ヘッドを用いた液体吐出装置の一例を示す模式的断面図である。
【図10】本発明の液体吐出ヘッドを用いた液体吐出装置の一例を示す斜視図である。
【図11】従来技術のへッドの残留気泡の動きを説明するための模式図である。
【図12】二液流路式液体吐出ヘッドの概要を示す断面図である。
【図13】本発明の液体吐出ヘッドの一例を示す模式断面図である。
【図14】本発明の液体吐出ヘッドの部分破断斜視図である。
【図15】従来のヘッドにおける気泡からの圧力伝搬を示す模式図である。
【図16】本発明のヘッドにおける気泡からの圧力伝搬を示す模式図である。
【図17】本発明の液体の流れを説明するための模式図である。
【符号の説明】
1 基板
3 発熱体
4 配線電極
10 液流路
11 気泡発生領域
12 流路壁
13 共通液室
14 第1の液流路(吐出流路)
15 第1の共通液室
16 第2の液流路(発泡流路)
17 第2の共通液室
18 吐出口
30 分離壁
30A 連通孔
31 可動部材
35 スリット
50 溝付天板
T 溝(空気溜まり)
T−1 第1の溝(第1の空気溜まり)
T−2 第2の溝(第2の空気溜まり)
B 障壁
P 連通部
Q 泡溜まり
R 孔[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a liquid discharge head that discharges a desired liquid by generating bubbles due to thermal energy or the like.
[0002]
Further, the present invention provides a facsimile having a printer, a copying machine, a communication system, and a printer unit for performing recording on a recording medium such as paper, thread, fiber, cloth, leather, metal, plastic, glass, wood, and ceramics. The present invention can be applied to an apparatus such as a word processor and an industrial recording apparatus combined with various processing apparatuses.
[0003]
In the present invention, “recording” means not only giving an image having a meaning such as a character or a figure to a recording medium, but also giving an image having no meaning such as a pattern. To do.
[0004]
[Prior art]
By giving energy such as heat to the ink, a state change accompanied by a steep volume change (generation of air bubbles) is caused in the ink, and the ink is discharged from the discharge port by an action force based on this state change, and this is recorded. 2. Description of the Related Art An ink jet recording method in which an image is formed by attaching an image on a medium, that is, a so-called bubble jet recording method, is conventionally known. As disclosed in Japanese Patent Publication No. 61-59911 or Japanese Patent Publication No. 61-59914, a recording apparatus using this bubble jet recording method includes a discharge port for discharging ink and a discharge port for discharging ink. In general, an ink flow path that communicates with a heating element (electric heat conversion element) that is disposed in the ink flow path and that serves as energy generating means for discharging ink is disposed.
[0005]
According to such a recording method, a high-quality image can be recorded at high speed and with low noise, and in a head that performs this recording method, ejection ports for ejecting ink can be arranged at a high density. Therefore, it has many excellent points that a high-resolution recorded image and a color image can be easily obtained with a small device. For this reason, this bubble jet recording method has recently been used in many office devices such as printers, copiers, and facsimile machines, and has been used in industrial systems such as textile printing devices. .
[0006]
As the bubble jet technology is used in various fields, it is desired to achieve higher quality image quality and better discharge of various liquids such as high-viscosity liquids. There is a demand for a liquid discharge method and a liquid discharge head which have a high discharge force and a high discharge force.
[0007]
In such a bubble jet recording method, air dissolved in the liquid precipitates during the foaming or defoaming process due to a sudden change in the state near the heating element due to cavitation or the like, and heat is generated even after defoaming. It has been confirmed by phenomenon observation that residual air bubbles remain in the vicinity of the body or at an arbitrary position in the liquid flow path.
[0008]
The size of the residual bubbles varies depending on the use environment of the ejection head, the structure of the ejection head such as the shape of the heating element, the shape of the nozzle, and the type of ink to be used. Some are crushed and disappear by refilling liquid from the upstream side, but those with an internal pressure close to atmospheric pressure take time to disappear and float in the liquid flow path or accumulate in the easily trapped parts Will be.
[0009]
The residual air bubbles trapped in this way are discharged at the same time as the liquid is discharged from the discharge port due to repeated bubbling and defoaming at a high frequency due to continuous discharge. There are also things that flow into.
[0010]
Due to the behavior of such residual bubbles, the following problems have occurred in the bubble jet recording method. That is,
1) If residual air bubbles remain on the surface of the heating element, the residual air bubbles may hinder the growth of the discharge bubbles at the time of the next foaming, and the discharge amount may decrease.
[0011]
2) If the next foaming occurs in a place where bubbles easily accumulate in the liquid flow path or in a state where residual bubbles are present on the flow path wall or the like, the growth of the bubbles is also inhibited. As a result, the size of the bubble changes for each discharge at the time of continuous discharge, the discharge amount and the discharge speed become unstable, and this is one of the causes of image unevenness.
[0012]
3) When the residual bubbles in the liquid flow path flow into the common liquid chamber in a situation where the flow of the liquid at the time of continuous discharge is fast, and these bubbles accumulate and grow into excessively large bubbles, the liquid is refilled into the liquid flow path when the liquid is refilled into the liquid flow path. In some cases, the ink was pushed back into the flow path and was not ejected due to the large bubbles.
[0013]
The details of this non-ejection mechanism are considered as follows.
[0014]
As shown in FIG. 11, the rear end side of the liquid flow path L traps large bubbles and then escapes them to the common liquid chamber C to prevent non-ejection. ) S (see JP-A-2-187353). However, if residual air bubbles are excessively accumulated in the space S due to long-time driving, the air bubbles may escape to the common liquid chamber side. The liquid flow path L is interrupted by the bubbles, and the liquid is not ejected.
[0015]
However, even if the space S is not present, the residual bubbles flow into the common liquid chamber C without being trapped in the space S and grow, and the large bubbles β which cannot be determined where in the common liquid chamber C are trapped are determined. However, there is a case where the ink is connected to the residual bubbles in the liquid flow path L several times earlier than when the above-mentioned space S exists and non-discharge occurs, and this cannot be said to be effective.
[0016]
This phenomenon is especially true for ejection heads that have a long continuous ejection time, that is, barcodes that print the same pattern continuously, have a high use ratio of specific nozzles, and are long for a large number of nozzles, such as those for label printers and large format plotters. Easy to occur on the head.
[0017]
This is because a serial scan head with a small number of nozzles continuously prints at most the width of an A3-size sheet on the short side, so that the air bubbles are not sufficiently collected in the residual air bubble trap area in the common liquid chamber such as the space described above. However, since the ink is discharged during the carriage return or discharged from the discharge port in a sequence process such as preliminary discharge for each raster (line), non-discharge due to bubbles is less likely to occur than in a long head. On the other hand, in a head having a long continuous printing time, it is considered that residual bubbles are likely to remain without being dissolved again in the liquid due to continuous discharge, and non-discharge is likely to occur due to a large amount thereof.
[0018]
On the other hand, Japanese Patent Application Laid-Open No. 6-344558 discloses an effective method for absorbing rear crosstalk affecting meniscus vibration of other nozzles through a common liquid chamber during ejection. 2. Description of the Related Art There has been proposed an ink jet head provided with a buffer chamber for absorbing pressure vibration in the chamber. However, the one proposed in Japanese Patent Application Laid-Open No. Hei 6-44558 has a long distance from the rear end of the nozzle to the buffer chamber, has no control mechanism for constantly holding a required amount of bubbles in the buffer chamber, and has poor reliability. .
[0019]
To improve this, Japanese Patent Application Laid-Open No. 8-39800 proposes an ink jet head provided with a buffer chamber called a bubble cell having a heater for generating air bubbles in a common liquid chamber. This is also an effective invention, but it is not efficient because it requires extra energy to store bubbles in the buffer chamber.
[0020]
In recent years, developments in various fields using bubble jet technology have been made. Under such circumstances, it is necessary to expand the degree of freedom in selecting the characteristics of the discharge liquid including viscosity and thermal properties, and to perform good discharge. As a liquid discharge head capable of generating liquid, the present applicant generates a bubble in the liquid by applying heat to the first
[0021]
This two-liquid flow path type discharge head is superior in discharge performance as compared with the conventional one-liquid flow path type.
[0022]
However, even in the two-liquid-flow-type discharge head, when defoaming, residual bubbles are generated as in the conventional one-liquid-flow-type discharge head, and stay in the first
[0023]
Further, in one configuration of the two liquid flow path type discharge head, the first
[0024]
In this case, in the second
[0025]
However, even with a two-liquid flow path discharge head, residual bubbles flowing into the common liquid chamber to which the second liquid flow path communicates still exist, for the same reason as described for the one-liquid flow path discharge head. It cannot be denied that non-discharge may occur.
[0026]
[Problems to be solved by the invention]
In view of the technical background described above, a first object of the present invention is to provide non-discharge resulting from the growth of residual bubbles, particularly when performing continuous printing, particularly when performing high-frequency driving repetitive printing with a long head. It is an object of the present invention to provide a liquid discharge head that can effectively prevent non-discharge that easily occurs.
[0027]
A second object of the present invention is to provide a liquid discharge head capable of effectively suppressing meniscus vibration caused by rear crosstalk through a common liquid chamber generated during discharge.
[0028]
A third object of the present invention is to provide a liquid ejection head capable of simultaneously achieving the first and second objects.
[0029]
[Means for Solving the Problems]
The present invention for achieving at least one of the above-mentioned objects is as follows.
[0030]
The invention according to
[0031]
The invention according to
[0032]
The invention described in
[0033]
According to a fourth aspect of the present invention, the air reservoir has a barrier that prevents the bubbles trapped and retained in the air reservoir from being returned to the liquid flow path when the liquid is refilled into the liquid flow path. It is characterized by.
[0034]
In the invention described in claim 5, the air reservoir is formed on an upper wall of a boundary between the rear end of the liquid flow path and the common liquid chamber. And It is characterized by that.
[0035]
The invention according to claim 6 is characterized in that the plurality of grooves are formed substantially in parallel.
[0036]
In the invention described in claim 7, the groove is formed in a direction substantially perpendicular to the longitudinal direction. , At least one end having a tapered shape with a minimum width, said end communicating with a bubble reservoir chamber for containing bubbles It is characterized by the following.
[0037]
The invention according to claim 8 is provided in parallel with a plurality of first liquid flow paths which are communicated with the discharge port and arranged in parallel, and a heating element which generates air bubbles in the liquid by applying heat to the liquid. A plurality of second liquid flow paths disposed between the first liquid flow path and the second liquid flow path, the second liquid flow paths having a free end in a discharge port direction; of A movable member that transfers the pressure to the first liquid flow path by displacing the free end to the first liquid flow path based on a pressure generated by bubbles in the liquid flow path; and A first common liquid chamber disposed on a rear end side of one liquid flow path and communicating with the plurality of first liquid flow paths, and a rear end side of the plurality of second liquid flow paths; A liquid discharge head having a second common liquid chamber communicating with the plurality of second liquid flow paths, wherein at least rear ends of the plurality of second liquid flow paths and the second common liquid chamber; And traps and retains residual air bubbles extending in a direction substantially perpendicular to the longitudinal direction of the second liquid flow path and flowing from the plurality of second liquid flow paths into the second common liquid chamber at the boundary of the second liquid flow path. It has a first air reservoir that operates.
[0038]
According to a ninth aspect of the present invention, the movable member is configured as a part of a separation wall disposed between the first liquid flow path and the second liquid flow path, and the first common liquid is provided. The chamber and the second common liquid chamber are communicated by a communication hole formed in the separation wall to form one common liquid chamber.
[0039]
In the invention according to
[0040]
An eleventh aspect of the present invention is characterized in that a plurality of the grooves are formed.
[0041]
According to a twelfth aspect of the present invention, the plurality of grooves are formed substantially in parallel.
[0042]
The invention according to
[0043]
The invention according to claim 14 further includes a step of setting the longitudinal direction at a position corresponding to the first air reservoir at a boundary between the rear ends of the plurality of first liquid flow paths and the first common liquid chamber. And a plurality of second air reservoirs extending in a direction substantially perpendicular to and trapping and holding residual air bubbles.
[0044]
According to a fifteenth aspect of the present invention, the first air reservoir has a communication portion facing the second air reservoir.
[0045]
The invention according to
[0046]
The invention according to
At the boundary between the rear ends of the plurality of second liquid flow paths and the common liquid chamber, Of a plurality of second liquid flow paths It is characterized in that it has a plurality of air reservoirs extending in a direction substantially perpendicular to the longitudinal direction and trapping and holding residual air bubbles flowing into the common liquid chamber from the plurality of second liquid flow paths.
[0047]
According to an eighteenth aspect of the present invention, the movable member is provided between the first liquid flow path and the second liquid flow path. Between It is characterized by being constituted as a part of the arranged separation wall.
[0048]
In the invention according to
[0049]
The invention according to
[0050]
The invention according to
[0051]
The invention according to
[0052]
According to a twenty-third aspect of the present invention, in the separation wall, at least a portion where the air reservoir is formed is thicker than other portions.
[0053]
The invention according to
[0055]
According to the present invention having the above-described structure, since the residual air bubbles are trapped and held in the air reservoir, bubbles having a large diameter are accumulated while growing. When the bubble having a large diameter further grows, the bubble grows in a direction substantially perpendicular to the longitudinal direction, that is, along an air reservoir extending in a direction perpendicular to the flow direction of the liquid in the liquid flow path, and the air in the air reservoir is expanded. Large bubbles are unlikely to move in the direction of refilling the liquid into the liquid flow path.
[0056]
This phenomenon occurs because a group of bubbles stored in an air reservoir, for example, in a groove, are united by a force (surface tension) that attempts to reduce the surface area with respect to the volume, and grows in the groove according to the shape of the groove. It is considered that the bubbles once extending along the groove are difficult to move because they extend along the groove and the external force of the refill pressure can be prevented by the barrier. As a result, large-diameter bubbles drawn into the liquid flow path are greatly reduced.
[0057]
In addition, only small bubbles are floating in the region from the lower end of the air reservoir to the ceiling height of the liquid flow path, and do not affect ejection even when drawn into the liquid flow path.
[0058]
Furthermore, the substantially constant amount of air bubbles stored (or consequently stored) in the air reservoir absorbs the disturbance of the meniscus vibration due to the backward crosstalk through the common liquid chamber at the time of ejection, and the amplitude and the focusing of the meniscus vibration The time can be effectively reduced.
[0059]
According to the present invention, it is easy to occur in a long head (for example, 500 nozzles or more per head) for a line printer that continuously prints a bar code or a label of the same pattern, or for a plotter that performs large-format printing. Non-discharge due to the remaining air bubbles can be effectively prevented.
[0060]
In addition, the number of times the printer body recovery sequence is used to remove such residual air bubbles can be reduced, and the load on the body process design can be reduced.
[0061]
Further, focusing of meniscus vibration of the nozzle can be promoted by the buffer effect, and a good image without density unevenness faithful to the ejection design can be obtained.
[0062]
The terms “upstream” and “downstream” used in the description of the present invention refer to the flow direction of a liquid from a liquid supply source to a discharge port through a bubble generation region (or a movable member), or a direction in this configuration. Is expressed as an expression.
[0063]
In addition, the term “downstream side” regarding the bubble itself mainly represents a portion on the side of the discharge port of the bubble which is assumed to directly act on the discharge of the droplet. More specifically, it means a bubble that is generated on the downstream side with respect to the flow direction or the structural direction with respect to the center of the bubble, or on the downstream side of the area center of the heating element.
[0064]
Further, “substantially sealed” used in the description of the present invention means a state where bubbles do not slip through gaps (slits) around the movable member before the movable member is displaced when the bubbles grow. .
[0065]
Further, the "separation wall" in the present invention means a wall (may include a movable member) interposed so as to separate a bubble generation region and a region directly communicating with the discharge port in a broad sense, and a bubble in a narrow sense. A liquid flow path including a generation area and a liquid flow path directly communicating with a discharge port are separated to prevent mixing of liquids in the respective areas.
[0066]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, embodiments of the present invention will be described in detail with reference to the drawings.
[0067]
(First Embodiment)
First, FIG. 1 is a partially broken perspective view showing a part of a liquid ejection head according to a first embodiment of the present invention.
[0068]
In the liquid discharge head of the present embodiment, a plurality of
[0069]
The
[0070]
[0071]
In the liquid discharge head according to the present embodiment, as shown in FIG. 2, a boundary between the rear end of the
[0072]
According to the present invention having the above-described configuration, as shown in FIG. 2A, the common liquid chamber among the residual bubbles (indicated by small circles) generated at the time of defoaming after the driving of the
[0073]
When the continuous printing time is short, or when the ejection frequency is low, only small bubbles that are relatively small in comparison with the volume are accumulated in the groove T (T1, T2, T3).
[0074]
However, when the continuous printing time is long or when the ejection frequency is high, the residual bubbles trapped and held in the groove T (T1, T2, T3) come into contact with each other and combine to form a large diameter. It is accumulated while growing into bubbles. Then, when the bubble having a large diameter further grows, it grows along the groove wall while being in contact with the groove wall, resulting in a state as shown in FIG. 2 (B).
[0075]
Even if continuous printing is continued, the group of residual bubbles trapped and held in the groove T (T1, T2, T3) has a smaller surface area with respect to its volume, as shown in FIG. It is united by the force (surface tension) to be grown, grows following the shape of the groove, and extends along the groove wall. Therefore, at a pressure of about the refill, which is the flow of the liquid from the
[0076]
Further, only small bubbles are floating in the region from the lower end of the air reservoir, that is, the region from the tip of the barrier B (B1, B2, B3) to the ceiling height of the
[0077]
By forming a plurality of grooves T (T1, T2, T3) in this manner, bubbles having the same volume are trapped compared to the conventional case in which a space S for bubble trap is formed behind the liquid flow path. Even if it is assumed, in the case of the present invention, since the grooves are divided into a plurality of parallel grooves T (T1, T2, T3), the volume of each is small, and in the worst case, bubbles are drawn into the
[0078]
The width of the groove T (T1, T2, T3) and the height of the groove wall, that is, the height of the barrier B (B1, B2, B3) (the depth of the groove) may be a dimension in which the above-described operation is performed. In this embodiment, the volume of the
[0079]
The forming method can be appropriately selected according to the material of the
[0080]
Further, the shapes of the trenches T (T1, T2, T3) and the barriers B (B1, B2, B3) that define them are not limited to the rectangular shapes as shown in FIG. 2, but as shown in FIG. The cross section may be an irregular shape such as a sawtooth shape. At this time, bubbles are easily transferred to the adjacent groove in order from the groove T1 on the side closer to the liquid flow path 10 (indicated by an arrow X in the figure), and the trapped bubbles The barrier B (B1, B2, B3) may be tapered so that it is difficult to return to the inside of the liquid flow path 10 (indicated by Y in the figure).
[0081]
Although the number of grooves is three in this embodiment, the number of grooves may be set as appropriate according to the structure of the head and driving conditions. Further, when the amount of air bubbles accumulated in the air reservoir exceeds a certain amount, a stable state can be maintained by removing unnecessary air bubbles by the recovery means. At this time, the bubbles are collected in the air pocket and are easily removed, and the consumption of the ink by the recovery operation is smaller than in the related art. The removal of bubbles by the recovery operation is performed so as to leave a necessary amount of bubbles.
[0082]
When the ejection was performed using the ejection head having such a configuration, non-ejection caused by the residual air bubbles did not occur, and a substantially constant amount of the air bubbles accumulated (or consequently accumulated) in the air reservoir were: Furthermore, it was confirmed that the disturbance of the meniscus vibration due to the backward crosstalk through the common liquid chamber at the time of ejection was absorbed, and the amplitude and the focusing time of the meniscus vibration were effectively reduced.
[0083]
Further, as another form of the groove T (T1, T2, T3) as an air reservoir, a form (referred to as a groove T ') shown in FIG. 8 may be used.
[0084]
That is, in this embodiment, the width of the groove T '(T1', T2 ', T3') is made different in the direction orthogonal to the longitudinal direction of the
[0085]
By doing so, the residual air bubbles trapped and held in the grooves T '(T1', T2 ', T3') are in contact with each other and combined with each other, and are accumulated while growing into large-diameter bubbles. . When the bubble having a large diameter further grows, the interface between the bubble and the liquid is drawn in the direction of the narrow groove width by the capillary force in the groove, and the bubble is also formed in the groove T '(T1', T2 ', T3'). Pulled on both ends. Therefore, the bubbles that have accumulated too much in the grooves T ′ (T1 ′, T2 ′, T3 ′) and cannot be retained are accommodated in the bubble accumulation chambers S at both ends via the holes R and overflow into the
[0086]
The groove width of the above-mentioned groove T '(T1', T2 ', T3') is set to be maximum near the center line of the liquid ejection head, but is set to be maximum at one end and minimum at the other end. The single-tapered grooves may be alternately and complementarily arranged.
[0087]
(Form of the second embodiment)
First, before describing a second embodiment of the present invention, a basic configuration of a liquid ejection head to which the present invention is applied will be described with reference to FIGS.
[0088]
That is, a description will be given of a configuration in which the present liquid ejection head can improve the ejection force and ejection efficiency by controlling the direction of pressure propagation based on bubbles and the direction of growth of bubbles for ejecting liquid.
[0089]
FIG. 13 is a schematic cross-sectional view of such a liquid discharge head cut in the liquid flow direction, and FIG. 14 is a partially broken perspective view of the liquid discharge head.
[0090]
In the present liquid ejection head, a heating element 3 (heating resistor having a shape of 40 μm × 105 μm in a preferred embodiment) for applying thermal energy to a liquid is provided on an
[0091]
A plate-shaped
[0092]
The
[0093]
By causing the
[0094]
Here, one of the basic ejection principles of the present invention will be described. One of the most important principles of the present invention is that a movable member arranged to face a bubble grows as the bubble grows, and before the bubble comes into contact with the
[0095]
This principle will be described in more detail by comparing FIG. 15 schematically showing a conventional liquid flow path structure without using a movable member with FIG. 16 of the present invention. Here, the propagation direction of the pressure toward the discharge port is indicated by VA, and the propagation direction of the pressure toward the upstream side is indicated by VB.
[0096]
In the conventional head as shown in FIG. 15, there is no configuration that regulates the direction of pressure propagation by the generated air bubbles 40. For this reason, the pressure propagation direction of the
[0097]
On the other hand, in the case of the present invention shown in FIG. 16, the
[0098]
Next, returning to FIG. 13, the ejection operation of the present liquid ejection head will be described in detail.
[0099]
FIG. 13A illustrates a state before energy such as electric energy is applied to the
[0100]
FIG. 13B shows that the
[0101]
At this time, the
[0102]
FIG. 13C shows a state in which the
[0103]
FIG. 13D shows a state in which the
[0104]
The
[0105]
The operation of the movable member and the operation of discharging the liquid accompanying the generation of bubbles have been described above. The refilling of the liquid in the liquid discharge head of the present invention will be described in detail below.
[0106]
The liquid supply mechanism in the present invention will be described in more detail with reference to FIG.
[0107]
When the
[0108]
Therefore, when the flow resistance on the side close to the discharge port is small, a large amount of liquid flows from the discharge port side to the defoaming position, and the retreat amount of the meniscus increases. In particular, as the flow resistance on the side close to the discharge port is reduced to increase the discharge efficiency in order to increase the discharge efficiency, the retreat amount of the meniscus M at the time of defoaming increases, and the refill time becomes longer, resulting in higher speed printing. Was to be hindered.
[0109]
On the other hand, since the present liquid ejection head is provided with the
[0110]
Further, the supply of the liquid for the volume of W2 is forcibly performed mainly from the upstream side (VD2) of the second liquid flow path along the surface of the
[0111]
What is characteristic here is that when refilling is performed using the pressure at the time of defoaming with the conventional head, the vibration of the meniscus increases, leading to deterioration of image quality. In the refill, the flow of the liquid on the discharge port side between the region of the first
[0112]
As described above, the present invention achieves a stable re-filling by forcibly refilling the foaming region via the liquid supply path of the second
[0113]
The configuration of the present invention further has the following effective functions. That is, the propagation of the pressure to the upstream side (back wave) due to the generation of bubbles is suppressed. Of the bubbles generated on the
[0114]
Next, further characteristic structures and effects of the present liquid discharge head will be described below.
[0115]
The second
[0116]
In some cases, the supply of the liquid to the bubble generation region is performed from the VD1 via the side portion (slit 35) of the movable member. However, in order to more effectively guide the pressure at the time of bubble generation to the discharge port, a large movable member is used so as to cover the entire bubble generation region (cover the heating element surface) as shown in FIG. Is returned to the position, the flow resistance of the liquid between the
[0117]
Incidentally, the positions of the
[0118]
Supplementally, in FIG. 9 of the present liquid ejection head, as described above, the
[0119]
In addition, many effects are obtained by utilizing the upstream side of the bubble.
[0120]
In addition, in the configuration of the present liquid discharge head, the fact that the free end of the
[0121]
Next, a liquid discharge head according to a second embodiment of the present invention will be described with reference to FIGS.
[0122]
In the present embodiment, by forming the liquid flow path into a two-liquid flow path configuration, it is possible to separate a liquid (foaming liquid) that is foamed by further applying heat and a liquid that is mainly discharged (discharged liquid). It is like that.
[0123]
FIG. 4 is an exploded perspective view of the liquid discharge head according to the present embodiment. FIG. 5A is a schematic cross-sectional view of a liquid discharge head of the same type in the flow direction, and FIG. 5 (C) is an enlarged view of a main part of FIG. 5 (A).
[0124]
In the liquid discharge head of the present embodiment, a second
[0125]
The upstream side of the first
[0126]
However, when the same liquid is used for the foaming liquid and the discharge liquid, the common liquid chamber may be made common and shared as described later.
[0127]
A
[0128]
The separation wall of the portion located in the projection space above the
[0129]
In the present embodiment, the boundary between the rear ends of the plurality of second
[0130]
The depths and widths of the grooves T (T1, T2, T3, T4, T5, T6) may be such dimensions that a trapping operation described later is sufficiently performed. In this embodiment, the depth of each groove is 0. 0.06 mm and a width of 0.03 mm. The material of the
[0131]
Further, since the volume of the second
[0132]
In FIG. 6 as well, a second heating element 3 (an electrothermal converter) as a
[0133]
Next, the operation of the liquid ejection head of the present embodiment will be described with reference to FIG.
[0134]
In driving the head, the head was operated using the same water-based ink as the discharge liquid supplied to the first
[0135]
The heat generated by the
[0136]
In the present embodiment, there is no escape of the foaming pressure from the three sides except for the upstream side of the
[0137]
Next, as the bubble contracts, the
[0138]
In the present embodiment, by employing a two-liquid flow path configuration, the discharge liquid and the foaming liquid can be separated from each other, and the discharge liquid can be discharged by the pressure generated by the foaming of the foaming liquid. For this reason, even in the case of a high-viscosity liquid such as polyethylene glycol, which has conventionally been difficult to foam sufficiently even when heat is applied and has insufficient discharge force, this liquid is supplied to the first liquid flow path. By supplying a liquid (e.g., about 1 to 2 cP of ethanol: water = 4: 6 mixed liquid of ethanol: water) or a low-boiling liquid to the second liquid flow path, the liquid is favorably ejected. Can be.
[0139]
In addition, by selecting a liquid that does not generate deposits such as kogation on the surface of the heating element even if it receives heat as the foaming liquid, foaming can be stabilized and good ejection can be performed.
[0140]
Further, even in the case of a liquid that is weak to heating, this liquid is supplied to the first
[0141]
According to the present invention having the above-described configuration, as shown in FIG. 5A, of the remaining bubbles (indicated by small circles) generated during the defoaming after the driving of the
[0142]
When the continuous printing time is short, or when the ejection frequency is low, only relatively small bubbles are accumulated in the groove T (T1, T2, T3, T4, T5, T6) compared to the volume thereof.
[0143]
However, when the continuous printing time is long or when the ejection frequency is high, the residual bubbles trapped and held in the groove T (T1, T2, T3, T4, T5, T6) come into contact with each other, and Combine and accumulate while growing into large diameter bubbles. Then, when the bubble having a large diameter further grows, it grows along the groove wall while being in contact with the groove wall, and becomes a state as shown in FIG. 5B.
[0144]
Even if continuous printing is continued, a group of residual air bubbles trapped and held in the groove T (T1, T2, T3, T4, T5, T6) causes a force (surface tension) to reduce the surface area with respect to the volume. ), Grow along the shape of the groove, and extend along the groove wall. Therefore, at a pressure of about refill, which is the flow of the liquid from the second
[0145]
When the discharge is performed using the discharge head having such a configuration, no non-discharge due to the residual bubbles does not occur, and almost the fixed amount stored (or consequently stored) in the groove T as an air reservoir. Further, it was confirmed that the bubble absorbs the disturbance of the meniscus vibration due to the backward crosstalk through the second common liquid chamber at the time of ejection, and effectively reduces the amplitude and the focusing time of the meniscus vibration.
[0146]
In the present embodiment, a
[0147]
In addition, as shown in FIG. 5A, by setting the displacement height of the free end of the
[0148]
In the present embodiment, the
[0149]
By joining the
[0150]
The first liquid (ejection liquid) is supplied to the first
[0151]
In the present embodiment, the second
[0152]
Further, the thickness (diameter) of the second
[0153]
Further, instead of bonding the combined body of the grooved
[0154]
(Third embodiment)
Next, as a third embodiment of the present invention, a liquid discharge head of a two-liquid flow path type using the same liquid as the foaming liquid and the discharge liquid will be described with reference to FIG. In the present embodiment, the different components will be mainly described, and the same reference numerals will be given to the same functional portions as in the previous embodiment, to avoid redundant description.
[0155]
In the present embodiment, since the same liquid is used for the bubbling liquid and the discharge liquid, the first
[0156]
A direction substantially orthogonal to the longitudinal direction of the plurality of second
[0157]
Further, in the
[0158]
The
[0159]
According to the present embodiment having the above-described configuration, as shown in FIG. 7A, among the remaining bubbles (indicated by small circles in the drawing) generated during the defoaming after the driving of the
[0160]
When the continuous printing time is short, or when the ejection frequency is low, only small bubbles that are relatively small in comparison with the volume are accumulated in the first groove T-1.
[0161]
However, when the continuous printing time is long or when the ejection frequency is high, the residual bubbles trapped and held in the first groove T-1 come into contact with each other and combine to form a large-diameter bubble. It is accumulated while growing. Then, when the bubble having a large diameter further grows, it grows along the groove wall while being in contact with the groove wall, and becomes a state as shown in FIG. 7B.
[0162]
Even if continuous printing continues, the group of residual air bubbles trapped and held in the first groove T-1 is united by a force (surface tension) for reducing the surface area with respect to the volume, and the shape of the groove is reduced. And extends along the groove wall. Therefore, at a pressure of about the refill, which is the flow of the liquid from the second
[0163]
In the worst case, when air bubbles cannot be completely retained in the air pool formed by the first grooves T-1 (T-11, T-12, T-13, T-14, T-15, T-16), The overflowing air bubbles pass through the communicating portion P (P1, P2, P3, P4, P5, P6), pass through the first
[0164]
In addition, the depth and width of the first groove T-1 and the second groove T-2 may be any dimensions as long as the above-described trapping and holding action can be sufficiently performed. The depth of each T-1 was 0.06 mm and the width was 0.03 mm, and the depth of each of the second grooves T- was 0.1 mm and the width was 0.03 mm. The material of the
[0165]
When discharge was performed using the discharge head having such a configuration, non-discharge caused by residual air bubbles did not occur, and the discharge was stored in the first groove T-1 as a first air reservoir (or). The substantially constant amount of bubbles that have accumulated as a result further absorbs the disturbance of meniscus vibration due to backward crosstalk through the second and first common liquid chambers at the time of ejection, and has an effect on the meniscus vibration amplitude and focusing time. It was confirmed that the size was reduced significantly.
[0166]
By the way, in the above-described embodiment, as described above, the electric power as the heating element that generates heat for generating bubbles due to film boiling with respect to the foaming liquid on the
[0167]
As described in the above embodiment, in the present invention, the liquid can be ejected at a higher ejection force and ejection efficiency and at a higher speed than the conventional liquid ejection head by the structure having the movable member as described above. . In the present embodiment, when the same liquid is used for the foaming liquid and the discharge liquid, the liquid does not deteriorate due to the heat applied from the heating element and hardly causes deposits on the heating element due to heating, and is vaporized by heat. In addition, various liquids can be used as long as they can change the reversible state of condensation and do not deteriorate the liquid flow path, the movable member, the separation wall, and the like.
[0168]
Among such liquids, as a liquid (recording liquid) used for recording, an ink having a composition used in a conventional bubble jet apparatus can be used.
[0169]
On the other hand, when the head having the two-liquid flow path configuration of the present invention is used and the ejection liquid and the foaming liquid are different liquids, a liquid having the above-described properties may be used as the foaming liquid. , Ethanol, n-propanol, isopropanol, n-hexane, n-heptane, n-octane, toluene, xylene, methylene dichloride, trichlene, Freon TF, Freon BF, ethyl ether, dioxane, cyclohexane, methyl acetate, ethyl acetate, Examples include acetone, methyl ethyl ketone, water, and the like, and mixtures thereof.
[0170]
Various liquids can be used as the discharge liquid irrespective of the presence or absence of foaming properties and thermal properties. In addition, a liquid having a low foaming property, which has been difficult to discharge in the past, a liquid which is easily deteriorated or deteriorated by heat, a high-viscosity liquid, or the like can be used.
[0171]
However, it is desirable that the properties of the liquid to be discharged are not such that the liquid reacts with the liquid itself or the foaming liquid to prevent discharge, foaming, operation of the movable member and the like.
[0172]
As the ejection liquid for recording, high-viscosity ink or the like can also be used. As other discharge liquids, liquids such as medicines and perfumes that are weak to heat can be used.
[0173]
In the present invention, recording was performed using an ink having the following composition as a recording liquid that can be used for both the ejection liquid and the bubbling liquid. The landing accuracy of the droplet was improved, and a very good recorded image could be obtained.
[0174]
In addition, recording was performed by ejecting a mixture of the foaming liquid and the ejection liquid in combination with a liquid having the following composition. As a result, a liquid having a viscosity of more than tens of cps, which was difficult to discharge with a conventional head, as well as a liquid having a very high viscosity of 150 cP could be discharged satisfactorily, and a recorded matter of high quality could be obtained.
[0175]
By the way, in the case of the liquid which has been conventionally difficult to be ejected as described above, since the ejection speed is low, variation in the ejection direction is promoted, the landing accuracy of dots on the recording paper is poor, and the ejection is unstable. Variations in the amount of ejection occurred, and these made it difficult to obtain a high-quality image. However, in the configuration of the above-described embodiment, the generation of bubbles can be performed sufficiently and stably by using the foaming liquid. As a result, it was possible to improve the landing accuracy of the droplets and stabilize the ink discharge amount, and it was possible to significantly improve the quality of the recorded image.
[0176]
Next, an example of a liquid discharge apparatus equipped with the above-described liquid discharge head according to the present invention will be described using an ink jet printing apparatus using ink as a discharge liquid.
[0177]
9 is a sectional view of a main part of the ink jet printing apparatus main body, and FIG. 10 is a perspective view of the ink jet printing apparatus main body.
[0178]
The ink jet printing apparatus shown in FIGS. 9 and 10 includes a
[0179]
The print medium A is unwound with the rotation of the feeding
[0180]
The
[0181]
In FIG. 10, the
[0182]
The
[0183]
The print heads 1000 are arranged in a direction orthogonal to the main scanning direction, that is, two rows in the transport direction of the print medium, and a plurality of print heads are arranged in one row corresponding to each color. The data is distributed to the
[0184]
The
[0185]
As shown in FIG. 10, the
[0186]
Note that, for example, inks having substantially the same color, such as dark ink and light ink, are stored in respective ink tanks as different inks, even if they have the same color.
[0187]
In the present embodiment, as described above, two print heads correspond to one color ink. Therefore, the
[0188]
The
[0189]
The
[0190]
When a drive signal is supplied from a drive signal supply unit (not shown) to the
[0191]
Further, by using the printing apparatus and the liquid discharging method performed by the printing apparatus, it was possible to obtain a printed matter having a good image by discharging the liquid to various printing mediums.
[0192]
Printable media that can be applied to the above-described printing apparatus and to which liquid such as ink is applied include various papers, OHP sheets, plastic materials used for compact discs and decorative plates, fabrics, aluminum, copper, and the like. Metal materials, leather materials such as cowhide, pig skin and artificial leather, wood materials such as wood and plywood, ceramic materials such as bamboo materials and tiles, and three-dimensional structures such as sponges.
[0193]
Further, as the above-described printing device, a printer device that performs recording on various types of paper and OHP sheets, a plastic recording device that performs recording on a plastic material such as a compact disk, a metal recording device that performs recording on a metal plate, A recording device for leather for recording on leather, a recording device for wood for recording on wood, a recording device for ceramic for recording on ceramic materials, a recording device for recording on a three-dimensional network structure such as a sponge, and a cloth Also includes a textile printing device for performing recording.
[0194]
Further, as a discharge liquid used in these liquid discharge devices, a liquid suitable for each recording medium and recording conditions may be used.
[0195]
The present invention is not limited to a so-called edge shooter type head having a discharge port at one end of a liquid flow path provided in a direction along the surface of the heating element (heater) as described above, although not shown. It is also applicable to a so-called side shooter type head having a discharge port at a position facing the heater surface.
[0196]
In the side shooter type liquid discharge head, a second liquid flow path for a foaming liquid is formed on a substrate provided with a heating element for applying thermal energy for generating bubbles in the liquid for each discharge port. A first liquid flow path for the discharge liquid which is directly communicated with a discharge port provided on the grooved top plate is formed thereon, and the first liquid flow path and the second liquid flow path are made of metal or the like. This is the same as the above-described edge shooter type liquid discharge head in that it is divided by a separation wall made of a material having elasticity.
[0197]
The side shooter type liquid discharge head is characterized in that a discharge port is provided in a portion immediately above a heating element in a grooved top plate (orifice plate) disposed on the first liquid flow path. . A pair of movable members that open to a double door are provided on the separation wall between the discharge port and the heating element. That is, both movable members are of a cantilever shape supported at the fulcrum, and both free ends are slightly separated by a slit located immediately below the central portion of the discharge port when not discharging. They are facing each other. At the time of discharge, both movable parts are opened to the first liquid flow path side by foaming of the foaming liquid in the bubble generation region, and are closed by contraction of the foaming liquid. In this area, the discharge liquid is refilled from the discharge liquid tank to be in a dischargeable state, and can be prepared for the next bubbling of the foaming liquid.
[0198]
The first liquid flow path, together with the first liquid flow paths of the other discharge ports, communicates with a tank (not shown) for storing the discharged liquid via a first common liquid chamber, and the second liquid flow path The
[0199]
Also in the side shooter type liquid ejection head having such a configuration, almost in the same manner as the edge shooter type head in which the air pocket is formed at the predetermined position described above, non-ejection due to residual bubbles is prevented, and crosstalk is prevented. It is possible to obtain an excellent effect that the liquid can be discharged at a high discharge efficiency and a high discharge pressure while preventing the liquid.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a partially cutaway perspective view showing an embodiment of a liquid discharge head according to the present invention.
2A and 2B are cross-sectional views illustrating an embodiment of a liquid discharge head according to the present invention, wherein FIG. 2A is a cross-sectional view along a longitudinal direction of a liquid passage, and FIG. 2B is a BB line of FIG. (C) is a cross-sectional view along line CC of (B).
FIG. 3 is a cross-sectional view showing another form of the groove of the liquid discharge head shown in FIG.
FIG. 4 is an exploded perspective view showing another embodiment of the liquid ejection head according to the present invention.
5A and 5B are cross-sectional views illustrating another embodiment of the liquid discharge head according to the present invention, in which FIG. 5A is a cross-sectional view along the longitudinal direction of the liquid passage, and FIG. FIG. 2C is a cross-sectional view taken along a line, and FIG.
FIG. 6 is a partially cutaway perspective view showing another embodiment of the liquid ejection head according to the present invention.
FIGS. 7A and 7B are cross-sectional views illustrating the operation of a movable portion showing still another embodiment of the liquid discharge head according to the present invention, wherein FIG. 7A is a cross-sectional view along the longitudinal direction of the liquid passage; (B) is a sectional view taken along line BB of (C), and (C) is a partially enlarged view of (A).
FIG. 8 is a cross-sectional view corresponding to (B) showing still another form of the groove of the liquid discharge head shown in FIG. 2;
FIG. 9 is a schematic cross-sectional view illustrating an example of a liquid ejection apparatus using the liquid ejection head of the present invention.
FIG. 10 is a perspective view showing an example of a liquid ejection device using the liquid ejection head of the present invention.
FIG. 11 is a schematic diagram for explaining the movement of residual air bubbles in a conventional head.
FIG. 12 is a cross-sectional view illustrating an outline of a two-liquid flow path type liquid ejection head.
FIG. 13 is a schematic sectional view showing an example of the liquid ejection head of the present invention.
FIG. 14 is a partially cutaway perspective view of the liquid ejection head of the present invention.
FIG. 15 is a schematic diagram showing pressure propagation from bubbles in a conventional head.
FIG. 16 is a schematic diagram showing pressure propagation from bubbles in the head of the present invention.
FIG. 17 is a schematic diagram for explaining the flow of a liquid according to the present invention.
[Explanation of symbols]
1 substrate
3 Heating element
4 Wiring electrode
10 Liquid flow path
11 Bubble generation area
12 Channel wall
13 Common liquid chamber
14 First liquid flow path (discharge flow path)
15 First common liquid chamber
16 Second liquid flow path (foaming flow path)
17 Second common liquid chamber
18 Discharge port
30 Separation wall
30A communication hole
31 Movable members
35 slit
50 Top plate with groove
T groove (air pocket)
T-1 First groove (first air pocket)
T-2 Second groove (second air pool)
B Barrier
P communication section
Q bubble pool
R hole
Claims (24)
前記液流路後端と前記共通液室との境界部に、前記長手方向にほぼ直交する方向に延在し前記液流路から前記共通液室に流れ込む残留気泡をトラップし保持する複数の溝を有する空気溜まりを備えており、前記複数の溝のそれぞれはトラップした各気泡を該各気泡が液流路内の液体を遮断しないほど小さい体積で保持する寸法を有することを特徴とする液体吐出ヘッド。A heating element for discharging liquid is disposed, a plurality of liquid flow paths arranged in parallel, and a common element which is disposed on a longitudinal rear end side of the plurality of liquid flow paths and communicates with the plurality of liquid flow paths A liquid chamber having a liquid chamber, and driving the heating element to generate heat by applying heat to the liquid to generate bubbles, thereby discharging the liquid from a discharge port at the front end of the liquid flow path;
A plurality of grooves extending in a direction substantially perpendicular to the longitudinal direction and trapping and holding residual bubbles flowing from the liquid flow path into the common liquid chamber at a boundary between the rear end of the liquid flow path and the common liquid chamber. the includes a reservoir air with, respective bubbles each air bubble trap each of the plurality of grooves and said Rukoto to have a size to hold a small volume so as not to block the liquid in the liquid flow path Liquid ejection head.
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