JP3571036B2 - 簡易電気泳動装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、DNAあるいはタンパク質の分析を行なう際に試料の固定および検索、または精製などに用いられる簡易型電気泳動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の簡易型電気泳動装置としては、実公昭63−39639号公報に示される泳動装置が公知である。この泳動装置はヒューズと整流手段および動作のオンオフや出力波形の切り替え用スイッチのみで構成され、泳動担体のインピーダンスに応じた電流が供給可能である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記発明装置は、直接AC100Vの家庭用電源等の汎用交流電源に直接接続するため、操作泳動担体のインピーダンスの急激な低下や、各部の短絡により大量の電流が流れる可能性が大である。この大量の電流は、人体にとって非常に危険であるにもかかわらず、電気的絶縁性への配慮は、内蔵するヒューズの断線および電子回路を収容するケースの保護機能的形態のみである。
【0004】
したがって、使用頻度の増加、長期間にわたる使用によるスイッチング手段の機械的構造の劣化や泳動用ゲルの飛散により生じる操作スイッチへの泳動ゲルの付着に対し、使用者は常に注意していなければならず、他方、ヒューズの許容電流についても、実験用として必要な電流を、許容しなければならないことから、回路電流を制限することには限界がある等、その取扱いに慎重を期する必要が大であり、実用上極めて重大な問題を有するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明は、使用者に取扱い上の余計な負担を与えず、安定した操作を行なうことができ、しかも小型軽量化が可能で、かつ従来と同様の優れた泳動を保持できる簡易電気泳動装置を提供するものである。
【0006】
そのために本発明は、汎用交流電源の交流を整流して出力する整流手段および泳動槽を具備し、前記整流回路の電気出力を前記泳動槽に配置された担体に印加するための電気制御装置を有する簡易電気泳動装置において、その電気制御装置が、前記整流回路の電気出力を操作する駆動部を外部入力に基づき間接的に行なうための制御手段をさらに設けたことにより、目的とする泳動を十分に可能としながら、直接泳動出力の操作をする駆動部の劣化が少なく安全なインターフェイス部となっている安定した使用を可能とするものである。
【0007】
また、構造において、カバーをしないと電気制御装置が装着できず、したがって導通しないものとしてあり、また観察を容易とするために泳動槽のカバーをカマボコあるいは半球状の曲面として水滴の上面への付着を防止するとともに、曇りを取り除くための換気孔を設けたベンチレーション設計をしたものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の電気制御装置を図1に示すブロック図により説明する。
【0009】
整流回路として、半波整流波生成部1と全波整流生成部2を、ダイオード、およびダイオードブリッジで構成してある。
【0010】
この両整流生成部を切り替えスイッチ3に接続し、外部入力により切り替えできるようにしてある。切り替えスイッチ3は、例えば、リレー器、FET、トランジスタ等、あるいはこれらの組合わせにより構成する。このうちオン抵抗が小さく、かつ絶縁性が高いスイッチング素子として、リレー器が好適である。
【0011】
このスイッチ3の出力は、極性切り替えスイッチ4に接続してあり、切り替えスイッチ3と同様に外部入力により切り替え動作する。
【0012】
前記切り替えスイッチ3および極性切り替えスイッチ4の駆動用信号は、低電力IC等の低電力型駆動素子を駆動させるための汎用交流電圧を、直流電圧に変換出力する制御手段5により動作する手動操作、電波、赤外線等の伝達媒体を介して伝達された信号等の外部入力INに対応したスイッチ駆動用の信号を出力する入力手段6により、駆動される。
【0013】
7は、ヒューズであり、過電流等が発生した場合、断線して、回路および使用者を保護するものである。尚、ヒューズの様な再使用不可能な素子の他、小型ブレーカー等の様な再使用可能な素子を代用してもよい。
【0014】図中、AP部は、交流100V〜300Vの汎用交流接続部であり、MP1およびMP2は、泳動電気出力部であって、白金電極等と接続される。Gは、泳動用担体であり、アガロースゲル、ポリアクリルアミドゲル等通常使用される担体である。
【0015】
切り替えスイッチ部3は、半波整流生成部1と極性切り替えスイッチ部4とを接続する状態とし、極性切り替えスイッチ4は、MP1をプラス方向、MP2をマイナス方向となる接続状態を示すものとする。
【0016】
AP部を家庭用コンセント等の汎用交流電気出力部に接続する。汎用交流は、ヒューズ7を介して半波整流生成部1、全波整流生成部2および制御手段5に供給される。
【0017】
入力された汎用交流は、半波整流生成部1で半波整流(図3a)に変換され、切り替えスイッチ3および極性切り替えスイッチ4を介して泳動出力部MP1、およびMP2に供給される。
【0018】
切り替えスイッチ3および極性切り替えスイッチ4のオン抵抗は非常に小さいので、半波整流生成部1で生成された半波整流は、効率よく泳動出力部MP1、MP2に供給される。
【0019】
ボタンスイッチ等を押圧することにより、外部入力INに入力が発生し、この入力に基づき入力手段6は、直流パルス等の制御信号を発生させ、目的とするスイッチ部へ出力する。この時、例えば切り替えスイッチ3に制御信号を出力する場合、切り替えスイッチ3は、その接続を切り替え、全波整流生成部2と極性切り替えスイッチ4との接続を行ない、泳動電気出力部MP1、MP2へ全波整流(図3b)の出力を行なう。
【0020】
外部入力1が、極性切り替えスイッチ4の極性を切り替える旨の入力を発生させた場合、入力手段6は、上述と同様の信号を極性切り替えスイッチ4へ出力し、泳動出力部MP2がプラス方向、MP1はマイナス方向となる整流出力を行なう。
【0021】
以上に説明した本発明によれば、常に従来と同様の効果的な泳動出力が得られるにもかかわらず、その操作は制御手段5等により、汎用交流電圧が低電圧調整された部分で行われるので、非常に安全であり、しかもその他、タイマー機能等の接続も容易にできるものである。さらに直接泳動電気出力を形成するスイッチング部は、電気的な間接制御がされていることから、使用者の取扱が乱暴であっても直接操作する部分の劣化が防げ、安心かつ安定した操作が行なえるものである。
【0022】
【実施例1】
次に、より具体的な実施例を図2に示し説明する。
【0023】
21は、ダイオードブリッジで形成された整流器であり、半波整流あるいは全波整流出力が得られるものである。リレー22は、入力部22aからの信号で切り替え動作を行なう。極性切り替え用リレー23は、入力部23aからの電気信号により、切り替え動作を行なう。出力開閉用リレー27は、二連装を有し、入力部27aの入力により、泳動用出力および入力手段への出力のオンオフを行なう。
【0024】
制御回路24は、直流低電圧を形成すると共に、過電流電圧が入力された場合に、電気的な遮断状態を形成するための回路も併せて備えている。
【0025】
241は整流器であり、上述した整流器21と同様の構成を有する。
【0026】
PUT242は負性抵抗素子であり、サイダック243も同じく負性抵抗素子である。244はサイリスタである。SAはサージアブソーバーであり、インダクタLの逆起電力を吸収するためのものである。
【0027】
入力手段25は、手動操作用スイッチを備え、このスイッチの押圧操作により発生する信号を各種リレー22、23、27に出力するためのものである。
【0028】
251、252、251a、251b、252a、252bは、押圧スイッチであり、メンブレン状で、押圧により電気的接続が行なわれ、離すと電気的接続が解除される。253、253a、253bは、NAND回路の組合わせによって形成されるフリップフロップ回路である。
【0029】
254、255a、254b、254c、254dは、スイッチングトランジスタであり、全段のフリップフロップ回路の出力でオンオフする。
【0030】
255、254a、255b、255c、255dは、LEDであり、回路動作を表示するためのものである。
【0031】
次にこの実施例の動作を説明する。
【0032】
入力端APは、AC100Vの汎用交流電源と接続され、汎用交流電源は制御回路24およびリレー27に供給される。
【0033】
制御回路24において、整流器241に入力された汎用交流は、全波整流される。PUT242は発振回路的構成の一部として動作するものであって、全波整流を入力し、その立ち上りに基づいてサイリスタ244のゲートにトリガーパルスを出力する。サイリスタ244は、このトリガーパルス等に基づいてオンオフすることで、全波整流の位相制御を行ない、入力手段25へ供給する電圧を降圧する。降圧量は、入力手段25を構成する部品の定格等により決定されるものであって任意であるが、例えば1/3〜1/4、即ち入力電圧が120Vの場合は、40V前後への降圧が例示される。
【0034】
入力手段25において、フリップフロップ253の出力がローレベルの場合、スイッチ251を押すとフリップフロップ253の出力は、ハイとなり、スイッチングトランジスタ254は、オン状態となる。LED255が発光し、リレー27の制御入力部27aに電流が流れ、リレー27がオンする。
【0035】
フリップフロップ253は、スイッチ252が押されるまでこの状態を保ち、スイッチ252が押された時、フリップフロップ253の出力はローレベルとなり、LED255は消光し、リレー27はオフする。
【0036】
リレー27がオンした時、整流器21へ汎用交流が加わり、整流器21は、全波整流出力と半波整流出力の2つの出力を行ない、リレー22はこの2つの出力と極性切り替え用のリレー23との電気的接続を、リレー制御入力22aの入力により切り替える。
【0037】
また、リレー23は、リレー22を介して接続されている整流器の出力の極性を、リレー制御入力23aにより切り替えて泳動出力端MP1、MP2に出力するものであり、最初、リレー23は、MP1をプラス方向、MP2をマイナス方向とした整流出力を行なうための接続をする。この接続状態により、泳動出力端MP1にはプラス方向で、MP2にはマイナス方向の半波整流出力がされていることになる。この時、フリップフロップ253aのスイッチングトランジスタ254a側は、ローレベルの出力を行なうため、スイッチングトランジスタ254aがオフし、反対側の出力がハイとなっているため、スイッチングトランジスタ254bはオンする。LED255bは発光することで半波整流出力を行なっていることを示す。
【0038】
スイッチ251aを押すと、フリップフロップ253aの出力が反転してトランジスタ254aはオンし、LED255aが発光する。他方で、LED255bは消光し、リレー制御入力部22aに電流が流れ、リレー22の選択状態が切り替わり、全波整流が、泳動出力端MP1をプラス方向、MP2をマイナス方向となるように出力する。スイッチ252aを押すと、フリップフロップ253aの出力が再度反転し、リレー制御入力部22aの電流が遮断され、リレー22が切り替わるものである。
【0039】
フリップフロップ253bのスイッチングトランジスタ254c側は、ローレベルの出力を行なうためにスイッチングトランジスタ254cはオフし、反対側の出力は、ハイとなっているため、スイッチングトランジスタ254bはオンし、LED255dが発光することでMP1がプラス方向の出力を行なっていることを示す。
【0040】
スイッチ251bが押されると、フリップフロップ253bの出力は反転し、トランジスタ254cはオンし、LED255cが発光し、他方で、LED255dは消光し、リレー制御入力部23aに電流が流れ、リレー23の極性選択状態が切り替わり、全波整流が、泳動出力端MP1をマイナス方向、MP2をプラス方向となるように出力する。
【0041】
スイッチ252aを押すと、フリップフロップ253aの出力が再度反転し、リレー制御入力部22aの電流が遮断され、リレー22が切り替わるものである。
【0042】
次に何等かの異常により、過電流または異常電圧が流れた場合について説明する。まず過電流が整流器21を中心とした主回路に流れた場合、ヒューズ26が加熱溶解し、主回路はオープンな状態となり泳動出力は停止する。
【0043】
また、制御回路に抵抗Rが損傷する等して過電流または異常電圧が発生した場合、サイダック243がオンし、ヒューズ26に過電流を流し、回路をオープンにさせるものである。
【0044】
本実施例で示す具体的実施態様としての電気制御装置(泳動槽を除く)は、それらを構成する部品の大部分が小電力であって、かつ汎用チップ化されていることから、例えば縦40mm、横80mm、高さ26mm程度に納まる様に組み立てることができ、小型化かつ軽量化が図られているものである。
【0045】
【実施例2】
本発明の簡易電気泳動装置は、電気制御装置をセットする部位と、凸のターミナル形状を有しない入力端子52を設けてなる泳動槽本体Bと、着脱自在に、泳動槽を覆い且つその縁部の一部が前記電気制御装置Aをセットする部位まで延び、この延びた部分に凸のターミナル47が設けられているカバー部Cと、汎用電源を電気的に非絶縁状態で整流して出力し、その出力部位がソケット状に形成された電気制御装置Aとよりなっている。
本発明は、使用上の安全を考慮し、カバー部Cが、前記泳動装置本体Bに装着されないと、泳動槽本体Bと電気制御装置Aとの電気接続が行われず、したがって泳動槽の担体に印加されないようになっている。
【0046】
電気制御装置Aは、入力部40、極性の切り替えスイッチ41、整流波の切り替えスイッチ42および電源入力スイッチ43とを有し、この出力部はソケットとなっており、電気制御装置Aのハウジングの内部に位置しており、泳動装置本体に設けられた凸のターミナル57が挿入されて電気制御装置Aと泳動装置本体Bとが電気接続されるようになっており、この凸のターミナル57の挿入部45は、電気制御装置Aのハウジング内で常時下方にバネ49で付勢されているシャッター44により閉じられており、このシャッター44は、電気制御装置Aが泳動装置本体Bにセットされた時、下部よりシャッター44が押し上げられ、このシャッター44に形成した長孔46がターミナル挿入部45と一致し開孔するようになっている。
【0047】
シャッター44の押上げ機構は、電気制御装置Aのセット位置の泳動槽本体に、電気制御装置Aの挿入方向に凸リブ51を形成し、他方電気制御装置Aにもこの凸リブによりシャッター44が押し上げられるようにしてある。
【0048】
泳動槽本体Bと電気制御装置Aとの電気接続機構は、泳動槽Bの端子を前記したような凸のターミナル57とせず、ソケットを有する電気制御装置Aが、泳動槽本体Bにセットされても電気的接続が行われないようにしてある。
泳動槽カバーCの凸のターミナル47を、泳動槽本体Bと電気制御装置Aとの両電極間の導電コネクターとして間挿させるようにし、この凸のターミナル47の一方が電気制御装置Aのソケットの挿入孔45に突入し、凸のターミナル47の他端が泳動槽本体Bの端子52と接触して導通するようにした。したがってカバーCがフタされない限り泳動槽に電流が印加されない。
【0049】
また、カバーCをカマボコあるいは半球状に形成した(図6)。これにより、通常、40℃に温められている泳動液により生じる結露を斜面に沿って排除できるようにし、さらに側面に換気孔48を形成し、さらにはカバーCと泳動槽本体Aとの係合を適宜間隔に設けた凸部で行ない、その間に空気孔が形成できるようにして、ベンチレーション設計とすることにより、観察が水滴に邪魔されず行なえるようにした。
【0050】
【発明の効果】
以上詳述したごとく本発明は優れた泳動電気出力を得ることが可能であり、しかも各構成部品に何等特殊な部品を要せず、大きさが数mmの素子で構成することが可能であることから、小型軽量化が可能であるにもかかわらず、少なくとも使用者とのインターフェイスと泳動を操作する操作部とを電気的および機械的に間接的駆動制御することにより、安全なインターフェイス部を提供し、安定した使用を可能とする等の効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すブロック図
【図2】本発明の他の実施例を示す回路図
【図3】整流波形図
【図4】電気制御装置の斜視図
【図5】シャッターの斜視図
【図6】カバーの斜視図
【図7】電気泳動槽の平面図
【図8】本発明装置の分解斜視図
【符号の説明】
1 半波整流生成部
2 全波整流生成部
3 切り替えスイッチ
4 極性切り替えスイッチ
5 調整回路
6 入力手段
21 整流器
22 リレー
23 極性切り替用リレー
24 制御回路
25 入力手段
26 ヒューズ
27 出力開閉用リレー
44 シャッター
45 ターミナル挿入部
46 挿入孔
47 凸のターミナル
48 換気孔
49 バネ
Claims (4)
- 電気制御装置をセットする部位と、凸のターミナル形状を有しない入力端子を設けてなる泳動槽本体と、
着脱自在に、泳動槽を覆い且つその縁部の一部が前記電気制御装置をセットする部位および前記入力端子まで延びており、この延びた部分に凸のターミナルが設けられているカバー部と、
汎用電源を電気的に非絶縁状態で整流して出力し、その出力部位がソケット状に形成された電気制御装置とよりなり
前記泳動装置本体に、前記カバー部を装着することで、カバー部の凸のターミナルの一方が入力端子と接触し、他方が電気制御装置のソケット状の出力部位と接触して電気的接続を可能としたことを特徴とする、カバーをしないと泳動槽の担体に印加されないようにした簡易電気泳動装置。 - 電気制御装置のソケットが、バネで付勢されたシャッターがされており、電気制御装置を泳動槽本体に装着することにより、シャッターが開放されるようになっている請求項1に記載の簡易電気泳動装置。
- シャッターが、電気制御装置を泳動槽に装着することにより、泳動槽本体に設けた凸リブにて押し上げられて開放するようになっている請求項2に記載の簡易電気泳動装置。
- 泳動槽のカバーが、カマボコあるいは半球状に曲面となっており、そしてこのカバーに水平方向に開口する換気孔が形成されてなる前記請求項の1に記載の簡易電気泳動装置。
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