JP3567970B2 - Ink jet recording head, method of manufacturing the same, and ink jet recording apparatus - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インク滴を吐出するノズル開口と連通する圧力発生室の一部に振動板を介して圧電素子を形成して、圧電素子の変位によりインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッド及びその製造方法並びにインクジェット式記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
インク滴を吐出するノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧電素子により変形させて圧力発生室のインクを加圧してノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッドには、圧電素子が軸方向に伸長、収縮する縦振動モードの圧電アクチュエータを使用したものと、たわみ振動モードの圧電アクチュエータを使用したものの2種類が実用化されている。
【0003】
前者は圧電素子の端面を振動板に当接させることにより圧力発生室の容積を変化させることができて、高密度印刷に適したヘッドの製作が可能である反面、圧電素子をノズル開口の配列ピッチに一致させて櫛歯状に切り分けるという困難な工程や、切り分けられた圧電素子を圧力発生室に位置決めして固定する作業が必要となり、製造工程が複雑であるという問題がある。
【0004】
これに対して後者は、圧電材料のグリーンシートを圧力発生室の形状に合わせて貼付し、これを焼成するという比較的簡単な工程で振動板に圧電素子を作り付けることができるものの、たわみ振動を利用する関係上、ある程度の面積が必要となり、高密度配列が困難であるという問題がある。
【0005】
一方、後者の記録ヘッドの不都合を解消すべく、特開平5−286131号公報に見られるように、振動板の表面全体に亙って成膜技術により均一な圧電材料層を形成し、この圧電材料層をリソグラフィ法により圧力発生室に対応する形状に切り分けて各圧力発生室毎に独立するように圧電素子を形成したものが提案されている。
【0006】
これによれば圧電素子を振動板に貼付ける作業が不要となって、リソグラフィ法という精密で、かつ簡便な手法で圧電素子を作り付けることができるばかりでなく、圧電素子の厚みを薄くできて高速駆動が可能になるという利点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した薄膜技術およびリソグラフィ法による製造方法では、薄膜のパターニング後に圧力発生室を形成するが、その際、上電極及び圧電体層の内部応力緩和の影響により、振動板が圧力発生室側に撓んでしまい、この撓みが弾性膜の初期変形として残留してしまうという問題がある。
【0008】
一般には、下電極が圧力発生室に対向する領域からその周壁上まで延設され弾性膜と共に振動板を構成しているため、変位効率が悪いという問題がある。また、圧力発生室の幅方向両側の、いわゆる腕部の下電極をオーバーエッチングして一部又は全部を除去して変位効率を高めた構造も知られているが、オーバーエッチングしたことにより初期撓みが増大し、排除体積の向上は望めない。これは、弾性膜の弾性領域を越えて塑性変形領域に達しているためであると考えられる。さらに下電極が薄いことにより、下電極の抵抗が大きくなり電力の供給に問題が生じたり、パターニングの際に下電極の一部が除去されてしまうなどの問題がある。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑み、変位効率を保持しつつ、圧電素子の特性低下を防止したインクジェット式記録ヘッド及びその製造方法並びにインクジェット式記録装置を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、ノズル開口に連通する圧力発生室と、この圧力発生室の一部を構成する弾性膜と、該弾性膜上に設けられた下電極と、該下電極上に形成された圧電体層と、該圧電体層上に形成された上電極とを備えたインクジェット式記録ヘッドにおいて、前記下電極は、少なくとも前記圧力発生室に対向する領域の膜厚が、その他の領域の膜厚より薄く形成されていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0011】
かかる第1の態様では、圧力発生室に対向する領域で下電極の膜厚を薄くしているので、その応力変化が圧電体層に影響を与えることがなく、特性低下が回避される。
【0012】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記圧力発生室に対向する領域には前記圧電体層及び前記上電極からなる圧電体能動部が形成され、該圧電体能動部の下側の下電極とその幅方向両側の下電極の膜厚とが同一であることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0013】
かかる第2の態様では、下電極の応力変化による圧電素子の特性低下が回避される。
【0014】
本発明の第3の態様は、第1又は2の態様において、圧力発生室同士を隔離する周壁に対向する領域の下電極は、前記圧力発生室に対向する領域より厚いことを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0015】
かかる第3の態様では、周壁に対向する領域で下電極を厚くして全体の抵抗を小さくすることができる。
【0016】
本発明の第4の態様は、第1〜3の何れかの態様において、前記下電極は、複数の材料からなる複数層の積層構造で、前記圧力発生室に対向する領域では前記複数層の一部がないことを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0017】
かかる第4の態様では、特定領域に応じて最適な下電極材質を選択してアクチュエータ特性を向上させることができる。
【0018】
本発明の第5の態様は、第4の態様において、前記下電極の前記複数層の積層構造のうち少なくとも前記圧力発生室に対向する領域に存在する層を形成する材料は、酸化物導電体層を含むことを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0019】
かかる第5の態様では、振動板が塑性変形しにくくなり、圧力発生室形成後の圧電素子の特性変化が防止される。
【0020】
本発明の第6の態様は、第2〜5の何れかの態様において、前記下電極は、前記圧電体層の下側の領域の一部に他の部分より厚く形成された厚膜部を有し、該厚膜部が前記圧電体層が除去されている領域へ延設されていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0021】
かかる第6の態様では、圧電体能動部の下電極と圧力発生室に対向する領域以外の下電極との電気的接続が確実になり、下電極全体の抵抗値が小さくなる。
【0022】
本発明の第7の態様は、第6の態様において、前記下電極の厚膜部は、前記圧電体層パターンの長手方向の少なくとも一端部からその外側へ延設されていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0023】
かかる第7の態様では、圧電体能動部の駆動に影響を与えることなく下電極の電気的接続を確実に行うことができる。
【0024】
本発明の第8の態様は、第6又は7の態様において、前記圧電体能動部の幅方向両側の下電極の少なくとも一部が実質的に除去されていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0025】
かかる第8の態様では、圧電体能動部の幅方向両側で下電極が連続的に設けられていなくても厚膜部を介して電気的接続を行うことができる。
【0026】
本発明の第9の態様は、第1〜8の何れかの態様において、前記圧力発生室がシリコン単結晶基板に異方性エッチングにより形成され、前記下電極、圧電体層、上電極の各層が成膜及びリソグラフィ法により形成されたものであることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0027】
かかる第9の態様では、高密度のノズル開口を有するインクジェット式記録ヘッドを大量に且つ比較的容易に製造することができる。
【0028】
本発明の第10の態様は、第1〜9の何れかのインクジェット式記録ヘッドを具備することを特徴とするインクジェット式記録装置にある。
【0029】
かかる第10の態様では、圧電素子の変位効率を向上したインクジェット式記録装置を実現することができる。
【0030】
本発明の第11の態様は、圧力発生室を形成するシリコン単結晶基板の一方面に設けられた弾性膜上の前記圧力発生室に対応する領域に下電極、圧電体層及び上電極からなる圧電素子を形成するインクジェット式記録ヘッドの製造方法において、前記弾性膜上に前記下電極層を成膜し、これをハーフエッチングでパターニングすることによって前記圧力発生室に対向する領域に下電極薄膜部を形成する工程と、該下電極層の上に圧電体層及び上電極層を形成する工程と、該圧電体層及び該上電極層をパターニングして当該圧力発生室に対向する領域内に前記圧電素子を形成する工程とを有することを特徴とするインクジェット式記録ヘッドの製造方法にある。
【0031】
かかる第11の態様では、下電極のハーフエッチングの後に圧電体層を形成するので、下電極の応力変化が圧電体層の特性に影響を与えることがない。
【0032】
本発明の第12の態様は、圧力発生室を形成するシリコン単結晶基板の一方面に設けられた弾性膜上の前記圧力発生室に対応する領域に下電極、圧電体層及び上電極からなる圧電素子を形成するインクジェット式記録ヘッドの製造方法において、前記弾性膜上に第1の導電体層と圧電体膜と前記上電極層とを積層する工程と、前記圧電体層と前記上電極層とをパターニングして前記圧力発生室に対向する領域内に前記圧電素子を形成する工程と、前記第1の導電体層及び前記上電極層の上に直接あるいは他の層を挟んで第2の導電体層を積層する工程と、この第2の導電体層の少なくとも前記圧力発生室に対向する領域部分を除去する工程とを有することを特徴とするインクジェット式記録ヘッドの製造方法にある。
【0033】
かかる第12の態様では、特定の領域に応じて最適な下電極材料を選択することができ、高特性のアクチュエータを構成できる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0035】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドを示す分解斜視図であり、図2は、平面図及びその1つの圧力発生室の長手方向における断面構造を示す図である。
【0036】
図示するように、流路形成基板10は、本実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板からなる。流路形成基板10としては、通常、150〜300μm程度の厚さのものが用いられ、望ましくは180〜280μm程度、より望ましくは220μm程度の厚さのものが好適である。これは、隣接する圧力発生室間の隔壁の剛性を保ちつつ、配列密度を高くできるからである。
【0037】
流路形成基板10の一方の面は開口面となり、他方の面には予め熱酸化により形成した二酸化シリコンからなる、厚さ0.1〜2μmの弾性膜50が形成されている。
【0038】
一方、流路形成基板10の開口面には、シリコン単結晶基板を異方性エッチングすることにより、ノズル開口11、圧力発生室12が形成されている。
【0039】
ここで、異方性エッチングは、シリコン単結晶基板を水酸化カリウム等のアルカリ溶液に浸漬すると、徐々に侵食されて(110)面に垂直な第1の(111)面と、この第1の(111)面と約70度の角度をなし且つ上記(110)面と約35度の角度をなす第2の(111)面とが出現し、(110)面のエッチングレートと比較して(111)面のエッチングレートが約1/180であるという性質を利用して行われるものである。かかる異方性エッチングにより、二つの第1の(111)面と斜めの二つの第2の(111)面とで形成される平行四辺形状の深さ加工を基本として精密加工を行うことができ、圧力発生室12を高密度に配列することができる。
【0040】
本実施形態では、各圧力発生室12の長辺を第1の(111)面で、短辺を第2の(111)面で形成している。この圧力発生室12は、流路形成基板10をほぼ貫通して弾性膜50に達するまでエッチングすることにより形成されている。なお、弾性膜50は、シリコン単結晶基板をエッチングするアルカリ溶液に侵される量がきわめて小さい。
【0041】
一方、各圧力発生室12の一端に連通する各ノズル開口11は、圧力発生室12より幅狭で且つ浅く形成されている。すなわち、ノズル開口11は、シリコン単結晶基板を厚さ方向に途中までエッチング(ハーフエッチング)することにより形成されている。なお、ハーフエッチングは、エッチング時間の調整により行われる。
【0042】
ここで、インク滴吐出圧力をインクに与える圧力発生室12の大きさと、インク滴を吐出するノズル開口11の大きさとは、吐出するインク滴の量、吐出スピード、吐出周波数に応じて最適化される。例えば、1インチ当たり360個のインク滴を記録する場合、ノズル開口11は数十μmの溝幅で精度よく形成する必要がある。
【0043】
また、各圧力発生室12と後述する共通インク室31とは、後述する封止板20の各圧力発生室12の一端部に対応する位置にそれぞれ形成されたインク供給連通口21を介して連通されており、インクはこのインク供給連通口21を介して共通インク室31から供給され、各圧力発生室12に分配される。
【0044】
封止板20は、前述の各圧力発生室12に対応したインク供給連通口21が穿設された、厚さが例えば、0.1〜1mmで、線膨張係数が300℃以下で、例えば2.5〜4.5[×10−6/℃]であるガラスセラミックスからなる。なお、インク供給連通口21は、図3(a),(b)に示すように、各圧力発生室12のインク供給側端部の近傍を横断する一つのスリット孔21Aでも、あるいは複数のスリット孔21Bであってもよい。封止板20は、一方の面で流路形成基板10の一面を全面的に覆い、シリコン単結晶基板を衝撃や外力から保護する補強板の役目も果たす。また、封止板20は、他面で共通インク室31の一壁面を構成する。
【0045】
共通インク室形成基板30は、共通インク室31の周壁を形成するものであり、ノズル開口数、インク滴吐出周波数に応じた適正な厚みのステンレス板を打ち抜いて作製されたものである。本実施形態では、共通インク室形成基板30の厚さは、0.2mmとしている。
【0046】
インク室側板40は、ステンレス基板からなり、一方の面で共通インク室31の一壁面を構成するものである。また、インク室側板40には、他方の面の一部にハーフエッチングにより凹部40aを形成することにより薄肉壁41が形成され、さらに、外部からのインク供給を受けるインク導入口42が打抜き形成されている。なお、薄肉壁41は、インク滴吐出の際に発生するノズル開口11と反対側へ向かう圧力を吸収するためのもので、他の圧力発生室12に、共通インク室31を経由して不要な正又は負の圧力が加わるのを防止する。本実施形態では、インク導入口42と外部のインク供給手段との接続時等に必要な剛性を考慮して、インク室側板40を0.2mmとし、その一部を厚さ0.02mmの薄肉壁41としているが、ハーフエッチングによる薄肉壁41の形成を省略するために、インク室側板40の厚さを初めから0.02mmとしてもよい。
【0047】
一方、流路形成基板10の開口面とは反対側の弾性膜50の上には、厚さが例えば、約0.2〜0.5μmの下電極層60と、厚さが例えば、約1μmの圧電体層70と、厚さが例えば、約0.1μmの上電極層80とが、後述するプロセスで積層形成されて、圧電素子300を構成している。ここで、圧電素子300は、下電極層60、圧電体層70、及び上電極層80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。そして、ここではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部320という。本実施形態では、下電極層60は圧電素子300の共通電極とし、上電極層80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。何れの場合においても、各圧力発生室毎に圧電体能動部が形成されていることになる。また、ここでは、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板と合わせて圧電アクチュエータと称する。なお、本実施形態では、後述する下電極薄膜部60a及び弾性膜50が振動板として作用するが、下電極薄膜部60aが弾性膜を兼ねてもよい。
【0048】
ここで、シリコン単結晶基板からなる流路形成基板10上に、圧電体層70等を形成するプロセスを図4を参照しながら説明する。
【0049】
図4(a)に示すように、まず、流路形成基板10となるシリコン単結晶基板のウェハを約1100℃の拡散炉で熱酸化して二酸化シリコンからなる弾性膜50を形成し、次に、弾性膜50上にスパッタリングで下電極層60を形成する。この下電極層60の材料としては、白金等が好適である。これは、スパッタリングやゾル−ゲル法で成膜する後述の圧電体層70は、成膜後に大気雰囲気下又は酸素雰囲気下で600〜1000℃程度の温度で焼成して結晶化させる必要があるからである。すなわち、下電極層60の材料は、このような高温、酸化雰囲気下で導電性を保持できなければならず、殊に、圧電体層70としてチタン酸ジルコン酸鉛を用いた場合には、酸化鉛の拡散による導電性の変化が少ないことが望ましく、これらの理由から白金が好適である。
【0050】
次に、図4(b)に示すように、下電極層60をパターニングする。ここでは圧力発生室12に対向する領域及びその周囲の圧力発生室周壁上の領域をハーフエッジングして、下電極を薄く形成する。
【0051】
次に、図4(c)に示すように、下電極層60上に圧電体層70及び上電極層80を成膜する。本実施形態では、金属有機物を触媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾燥してゲル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化物からなる圧電体層70を得る、いわゆるゾル−ゲル法を用いて形成した。圧電体層70の材料としては、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系の材料がインクジェット式記録ヘッドに使用する場合には好適である。なお、この圧電体層70の成膜方法は、特に限定されず、例えば、スパッタリング法で形成してもよい。
【0052】
さらに、ゾル−ゲル法又はスパッタリング法等によりチタン酸ジルコン酸鉛の前駆体膜を形成後、アルカリ水溶液中での高圧処理法にて低温で結晶成長させる方法を用いてもよい。
【0053】
上電極層80は、導電性の高い材料であればよく、アルミニウム、金、ニッケル、白金等の多くの金属や、導電性酸化物等を使用できる。本実施形態では、白金をスパッタリングにより成膜している。
【0054】
次に、図4(d)に示すように、圧電体層70及び上電極層80をエッチングして全体のパターニングを行い圧電体能動部320、下電極薄膜部60a及び下電極厚膜部60bを形成する。
【0055】
以上が膜形成プロセスである。このようにして膜形成を行った後、図4(e)に示すように、前述したアルカリ溶液によるシリコン単結晶基板の異方性エッチングを行い、圧力発生室12等を形成する。
【0056】
このように形成した本実施形態のインクジェット式記録ヘッドの要部断面図を図5(a)に示す。
【0057】
本実施形態のインクジェット式記録ヘッドは、圧力発生室12に対応する領域の下電極薄膜部60aの上に、圧電体層70及び上電極層80からなる圧電体能動部320が設けられているため、圧電体層70が下電極の応力変化の影響を受けることがない。
【0058】
また、圧電体能動部320の一方の電極となる下電極薄膜部60aは、圧力発生室12の周壁上で下電極厚膜部60bに連結されて各圧電素子300の共通電極となっており、図示しないが端部近傍で外部配線と接続されている。従って、下電極全体の抵抗が大きくならず、圧電体能動部320に十分な電力を供給することが可能である。
【0059】
ここで、図5(b)に示すように、周壁上の下電極厚膜部61上に形成した圧電体層71と上電極層81をエッチングで除去せずにそのまま残す形態としてもよい。この構成では、周壁上の下電極厚膜部61がオーバーエッチングされて薄くなることを回避できるため、下電極厚膜部61の抵抗が高くなることを防止することができ、圧電体能動部320に十分な電力を供給することができる。
【0060】
以上説明した一連の膜形成及び異方性エッチングは、一枚のウェハ上に多数のチップを同時に形成し、プロセス終了後、図1に示すような一つのチップサイズの流路形成基板10毎に分割する。また、分割した流路形成基板10を、封止板20、共通インク室形成基板30、及びインク室側板40と順次接着して一体化し、インクジェット式記録ヘッドとする。
【0061】
このように構成したインクジェットヘッドは、図示しない外部インク供給手段と接続したインク導入口42からインクを取り込み、共通インク室31からノズル開口11に至るまで内部をインクで満たした後、図示しない外部の駆動回路からの記録信号に従い、下電極薄膜部60aと上電極層80との間に電圧を印加し、圧電体能動部320を撓み変形させることにより、圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口11からインク滴が吐出する。
【0062】
(実施形態2)
図6は、実施形態2に係るインクジェット式記録ヘッドの薄膜製造工程を示す図である。
【0063】
図6(a)に示すように、まず、流路形成基板10となるシリコン単結晶基板上に弾性膜50、第1の導電体層62、圧電体層70及び上電極層80を順次成膜する。ここで、第1の導電体層62は導電性酸化物からなる層であり、本実施形態では酸化イリジウムを成膜している。
【0064】
次に、図6(b)に示すように、圧電体層70及び上電極層80をエッチングしてパターニングを行い圧電体能動部320を形成し、さらに、図6(c)に示すように、圧電体能動部320及び第1の導電体層62上に第2の導電体層63を成膜する。本実施形態では、第2の導電体層63として白金を成膜している。
【0065】
次に、図6(d)に示すように、第2の導電体層63をパターニングして、圧力発生室12の周壁上に、第1の導電体層62と第2の導電体層63とからなる積層構造の下電極を形成する。
【0066】
また、第2の導電体層63を形成する前に、圧力発生室12に対応する領域にレジストをパターニングしてリフトオフで第2の導電体層63をパターニングしてもよい。
【0067】
以上が膜形成プロセスである。このようにして膜形成を行った後、図6(e)に示すように、前述したアルカリ溶液によるシリコン単結晶基板の異方性エッチングを行い、圧力発生室12等を形成する。
【0068】
このように形成した本実施形態のインクジェット式記録ヘッドの要部断面図を図7に示す。
【0069】
本実施形態のインクジェット式記録ヘッドは、下電極が第1の導電体層62と第2の導電体層63からなる積層構造であり、下電極は圧力発生室12に対向する領域及びその周辺の領域で第2の導電体層63がなく、その他の部分よりも薄い構造となっている。このため、実施形態1と同様、圧電体層が下電極の応力変化の影響を受けることがない。
【0070】
また、本実施形態では、圧力発生室に対向する領域の第1の導電体層62を比較的剛性が大きく塑性変形し難い材料で形成したので、圧力発生室12を形成した後の振動板の塑性変形を抑えることができる。さらに、周壁上の下電極は導電性の良好な第2の導電体層63と第1の導電体層62との積層構造とすることにより、全体の抵抗増大を防止し、圧電体能動部320に十分な電力を供給することが可能である。
【0071】
また、弾性膜50をジルコニア等のセラミックス材料や、セラミックス材料層と二酸化シリコン層の積層構造とすることで、さらに振動板の変化を抑えることができ、安定したアクチュエータを作ることができる。
【0072】
(実施形態3)
図8(a),(b)は、実施形態3に係るインクジェット式記録ヘッドの要部正面図及び要部断面図である。
【0073】
本実施形態は、圧電体層70及び上電極層80からなる圧電体能動部320の長手方向端部の下側の領域の一部に下電極厚膜部64を形成した以外は、実施形態1と同様である。この下電極厚膜部64は上述した周壁部の下電極厚膜部60bの形成の際に一緒にパターニングし、圧電体能動部320の長手方向外側で連結されている。
【0074】
このように、本実施形態では圧電体能動部320の端部の下電極厚膜部64を介して圧電体能動部320の下側の領域の下電極薄膜部60aに電気的接続を確実に行うことができ、圧電体能動部320に十分な電力を供給することができる。また、かかる構造にすると、圧電体能動部320をパターニングする際に、圧電体能動部320の幅方向両側の領域の下電極薄膜部60aをオーバーエッチングして一部完全に除去されてしまっても、電気的接続を確保できる。
【0075】
このような下電極厚膜部64は圧電体能動部320の長手方向両端部に設けるのが好ましいが、一方の端部のみに設けてもよい。
【0076】
なお、本実施形態では、下電極厚膜部64の上まで圧電体層70及び上電極層80を設けるようにしたが、これに限定されず、図9(a)に示すように、下電極薄膜部60a上のみに圧電体能動部320をパターニングしてもよい。
【0077】
また、図9(b)に示すように、圧電体層70及び上電極層80を下電極厚膜部64上に残るようにパターニングした後、圧電体層70をハーフエッチングして圧電体層除去部71を形成するようにしてもよい。
【0078】
さらに、本実施形態では、下電極厚膜部64は圧電体能動部320の長手方向から延設されているが、横方向から延設するようにしてもよく、また、複数の箇所に設けるようにしてもよいことは言うまでもない。
【0079】
(他の実施形態)
以上、本発明の各実施形態を説明したが、インクジェット式記録ヘッドの基本的構成は上述したものに限定されるものではない。
【0080】
例えば、上述した封止板20の他、共通インク室形成板30をガラスセラミックス製としてもよく、さらには、薄肉膜41を別部材としてガラスセラミックス製としてもよく、材料、構造等の変更は自由である。
【0081】
また、上述した実施形態では、ノズル開口を流路形成基板10の端面に形成しているが、面に垂直な方向に接続するノズル開口を形成してもよい。
【0082】
このように構成した実施形態の分解斜視図を図10、その流路の断面を図11にぞれぞれ示す。この実施形態では、ノズル開口11が圧電素子とは反対のノズル基板120に穿設され、これらノズル開口11と圧力発生室12とを連通するノズル連通口22が、封止板20、共通インク室形成板30及び薄肉板41A及びインク室側板40Aを貫通するように配されている。
【0083】
なお、本実施形態は、その他、薄肉板41Aとインク室側板40Aとを別部材とし、インク室側板40Aに開口40bを形成した以外は、基本的に上述した実施形態と同様であり、同一部材には同一符号を付して重複する説明は省略する。
【0084】
また、勿論、共通インク室を流路形成基板内に形成したタイプのインクジェット式記録ヘッドにも同様に応用できる。
【0085】
このように、本発明は、その趣旨に反しない限り、種々の構造のインクジェット式記録ヘッドに応用することができる。
【0086】
また、これら各実施形態のインクジェット式記録ヘッドは、インクカートリッジ等と連通するインク流路を具備する記録ヘッドユニットの一部を構成して、インクジェット式記録装置に搭載される。図12は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図である。
【0087】
図12に示すように、インクジェット式記録ヘッドを有する記録ヘッドユニット1A及び1Bは、インク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが着脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。この記録ヘッドユニット1A及び1Bは、例えば、それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物を吐出するものとしている。
【0088】
そして、駆動モータ6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ軸5に沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙ローラなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シートSがプラテン8に巻き掛けられて搬送されるようになっている。
【0089】
【発明の効果】
このように、本実施形態では、圧力発生室に対向する領域に下電極薄膜部が形成されているので、下電極の抵抗を小さく抑えて十分な電力を供給し、且つ圧電素子の特性を向上することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るインクジェット式記録ヘッドの分解斜視図である。
【図2】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドを示す図であり、図1の平面図及び断面図である。
【図3】図1の封止板の変形例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態1の薄膜製造工程を示す図である。
【図5】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドの要部断面図及び変形例を示す要部断面図である。
【図6】本発明の実施形態2の薄膜製造工程を示す図である。
【図7】本発明の実施形態2に係るインクジェット式記録ヘッドの要部断面図である。
【図8】本発明の実施形態3に係るインクジェット式記録ヘッドの要部平面図及び要部断面図である。
【図9】本発明の実施形態3に係るインクジェット式記録ヘッドの変形例を示す要部断面図である。
【図10】本発明の他の実施形態に係るインクジェット式記録ヘッドを示す分解斜視図である。
【図11】本発明の他の実施形態に係るインクジェット式記録ヘッドを示す断面図である。
【図12】本発明の一実施形態に係るインクジェット式記録装置の概略図である。
【符号の説明】
10 流路形成基板
12 圧力発生室
50 弾性膜
60 下電極層
60a 下電極薄膜部
60b 下電極厚膜部
70 圧電体層
80 上電極層
300 圧電素子
320 圧電体能動部[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to an ink jet recording head in which a piezoelectric element is formed via a vibration plate in a part of a pressure generating chamber communicating with a nozzle opening for discharging an ink droplet, and the ink droplet is discharged by displacement of the piezoelectric element, and manufacturing thereof. The present invention relates to a method and an ink jet recording apparatus.
[0002]
[Prior art]
A part of the pressure generating chamber communicating with the nozzle opening for discharging the ink droplet is constituted by a vibrating plate, and the vibrating plate is deformed by a piezoelectric element to pressurize the ink in the pressure generating chamber to discharge the ink droplet from the nozzle opening. Two types of ink jet recording heads have been put into practical use, one using a vertical vibration mode piezoelectric actuator in which a piezoelectric element expands and contracts in the axial direction, and the other using a flexural vibration mode piezoelectric actuator.
[0003]
In the former, the volume of the pressure generating chamber can be changed by bringing the end face of the piezoelectric element into contact with the vibration plate, and a head suitable for high-density printing can be manufactured. There is a problem in that a difficult process of cutting the piezoelectric element into a comb shape in accordance with the pitch and an operation of positioning and fixing the cut piezoelectric element in the pressure generating chamber are required, and the manufacturing process is complicated.
[0004]
On the other hand, in the latter, a piezoelectric element can be formed on a diaphragm by a relatively simple process of sticking a green sheet of a piezoelectric material in accordance with the shape of the pressure generating chamber and firing the green sheet. However, there is a problem that a certain amount of area is required due to the use of, and that high-density arrangement is difficult.
[0005]
On the other hand, in order to solve the latter disadvantage of the recording head, a uniform piezoelectric material layer is formed by a film forming technique over the entire surface of the diaphragm as disclosed in Japanese Patent Application Laid-Open No. 5-286131. A proposal has been made in which a material layer is cut into a shape corresponding to a pressure generating chamber by a lithography method and a piezoelectric element is formed so as to be independent for each pressure generating chamber.
[0006]
According to this, the work of attaching the piezoelectric element to the diaphragm becomes unnecessary, and not only can the piezoelectric element be manufactured by the precise and simple method of lithography, but also the thickness of the piezoelectric element can be reduced. There is an advantage that high-speed driving becomes possible.
[0007]
[Problems to be solved by the invention]
However, in the above-described manufacturing method using the thin film technology and the lithography method, the pressure generating chamber is formed after patterning the thin film. At this time, the vibration plate is placed on the side of the pressure generating chamber due to the internal stress relaxation of the upper electrode and the piezoelectric layer. There is a problem that this bending remains as initial deformation of the elastic film.
[0008]
Generally, since the lower electrode extends from the region facing the pressure generating chamber to the peripheral wall and constitutes the diaphragm together with the elastic film, there is a problem that the displacement efficiency is low. Also known is a structure in which the lower electrode on the both sides in the width direction of the pressure generating chamber, that is, the so-called lower electrode of the arm portion is over-etched to remove part or all of the lower electrode to increase the displacement efficiency. And the increase in excluded volume cannot be expected. This is considered to be because the elastic film reached the plastic deformation region beyond the elastic region. Furthermore, since the lower electrode is thin, the resistance of the lower electrode increases, causing a problem in power supply, and a problem that a part of the lower electrode is removed during patterning.
[0009]
In view of such circumstances, it is an object of the present invention to provide an ink jet recording head, a method of manufacturing the same, and an ink jet recording apparatus in which deterioration in characteristics of a piezoelectric element is prevented while maintaining displacement efficiency.
[0010]
[Means for Solving the Problems]
According to a first aspect of the present invention for solving the above-mentioned problems, a pressure generating chamber communicating with a nozzle opening, an elastic film constituting a part of the pressure generating chamber, a lower electrode provided on the elastic film, In an ink jet recording head including a piezoelectric layer formed on the lower electrode and an upper electrode formed on the piezoelectric layer, the lower electrode is a film at least in a region opposed to the pressure generating chamber. An ink jet recording head is characterized in that the thickness is formed smaller than the film thickness of other regions.
[0011]
In the first aspect, since the thickness of the lower electrode is reduced in the region facing the pressure generating chamber, the change in stress does not affect the piezoelectric layer, and deterioration in characteristics is avoided.
[0012]
According to a second aspect of the present invention, in the first aspect, a piezoelectric active portion including the piezoelectric layer and the upper electrode is formed in a region facing the pressure generating chamber, and a piezoelectric active portion is formed below the piezoelectric active portion. The thickness of the lower electrode on the side and the thickness of the lower electrode on both sides in the width direction are the same.
[0013]
In the second aspect, deterioration of the characteristics of the piezoelectric element due to a change in stress of the lower electrode is avoided.
[0014]
According to a third aspect of the present invention, in the first or second aspect, the lower electrode in a region facing the peripheral wall separating the pressure generating chambers is thicker than a region facing the pressure generating chamber. In the recording head.
[0015]
In the third aspect, the lower electrode can be made thicker in the region facing the peripheral wall to reduce the overall resistance.
[0016]
According to a fourth aspect of the present invention, in any one of the first to third aspects, the lower electrode has a multilayer structure of a plurality of layers made of a plurality of materials, and in a region opposed to the pressure generating chamber, the lower electrode has a plurality of layers. An ink jet recording head is characterized in that there is no part.
[0017]
According to the fourth aspect, the optimum lower electrode material can be selected according to the specific region to improve the actuator characteristics.
[0018]
According to a fifth aspect of the present invention, in the fourth aspect, a material forming at least a layer existing in a region facing the pressure generating chamber in the multilayer structure of the plurality of layers of the lower electrode is an oxide conductor. An ink jet recording head comprising a layer.
[0019]
In the fifth aspect, the vibration plate is less likely to be plastically deformed, and the characteristic change of the piezoelectric element after the formation of the pressure generating chamber is prevented.
[0020]
According to a sixth aspect of the present invention, in any one of the second to fifth aspects, the lower electrode includes a thick film portion formed thicker than another portion in a part of a region below the piezoelectric layer. And wherein the thick film portion extends to a region where the piezoelectric layer has been removed.
[0021]
In the sixth aspect, electrical connection between the lower electrode of the piezoelectric body active portion and the lower electrode other than the region facing the pressure generating chamber is ensured, and the resistance value of the entire lower electrode is reduced.
[0022]
According to a seventh aspect of the present invention, in the sixth aspect, the thick film portion of the lower electrode extends outward from at least one end in the longitudinal direction of the piezoelectric layer pattern. In the ink jet recording head.
[0023]
In the seventh aspect, the electrical connection of the lower electrode can be reliably performed without affecting the driving of the piezoelectric active portion.
[0024]
An eighth aspect of the present invention is the ink jet recording head according to the sixth or seventh aspect, wherein at least a part of the lower electrodes on both sides in the width direction of the piezoelectric active portion is substantially removed. It is in.
[0025]
In the eighth aspect, even if the lower electrodes are not continuously provided on both sides in the width direction of the piezoelectric active portion, electrical connection can be made via the thick film portion.
[0026]
According to a ninth aspect of the present invention, in any one of the first to eighth aspects, the pressure generation chamber is formed in a silicon single crystal substrate by anisotropic etching, and each of the lower electrode, the piezoelectric layer, and the upper electrode Is formed by film formation and a lithography method.
[0027]
In the ninth aspect, an ink jet recording head having high-density nozzle openings can be manufactured in a large amount and relatively easily.
[0028]
According to a tenth aspect of the present invention, there is provided an ink jet recording apparatus including any one of the first to ninth ink jet recording heads.
[0029]
According to the tenth aspect, it is possible to realize an ink jet recording apparatus in which the displacement efficiency of the piezoelectric element is improved.
[0030]
An eleventh aspect of the present invention comprises a lower electrode, a piezoelectric layer, and an upper electrode in a region corresponding to the pressure generating chamber on an elastic film provided on one surface of a silicon single crystal substrate forming a pressure generating chamber. In a method of manufacturing an ink jet recording head for forming a piezoelectric element, the lower electrode layer is formed on the elastic film, and the lower electrode layer is patterned by half-etching to form a lower electrode thin film portion in a region facing the pressure generating chamber. Forming a piezoelectric layer and an upper electrode layer on the lower electrode layer, and patterning the piezoelectric layer and the upper electrode layer in a region facing the pressure generating chamber. And a step of forming a piezoelectric element.
[0031]
In the eleventh aspect, since the piezoelectric layer is formed after the lower electrode is half-etched, the change in stress of the lower electrode does not affect the characteristics of the piezoelectric layer.
[0032]
A twelfth aspect of the present invention comprises a lower electrode, a piezoelectric layer, and an upper electrode in a region corresponding to the pressure generating chamber on an elastic film provided on one surface of a silicon single crystal substrate forming a pressure generating chamber. In a method of manufacturing an ink jet recording head for forming a piezoelectric element, a step of laminating a first conductor layer, a piezoelectric film, and the upper electrode layer on the elastic film; and a step of laminating the piezoelectric layer and the upper electrode layer. Patterning the piezoelectric element in a region opposed to the pressure generating chamber, and forming a second layer directly on the first conductor layer and the upper electrode layer or with another layer interposed therebetween. A method of manufacturing an ink jet recording head, comprising: a step of laminating a conductor layer; and a step of removing at least a region of the second conductor layer facing the pressure generating chamber.
[0033]
In the twelfth aspect, an optimum lower electrode material can be selected according to a specific region, and a high-characteristic actuator can be configured.
[0034]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, the present invention will be described in detail based on embodiments.
[0035]
(Embodiment 1)
FIG. 1 is an exploded perspective view showing an ink jet recording head according to Embodiment 1 of the present invention, and FIG. 2 is a plan view and a diagram showing a cross-sectional structure of one of the pressure generating chambers in a longitudinal direction.
[0036]
As shown in the drawing, the flow
[0037]
One surface of the flow
[0038]
On the other hand,
[0039]
Here, in the anisotropic etching, when the silicon single crystal substrate is immersed in an alkaline solution such as potassium hydroxide, the substrate is gradually eroded and a first (111) plane perpendicular to the (110) plane is formed. A second (111) plane that forms an angle of about 70 degrees with the (111) plane and forms an angle of about 35 degrees with the (110) plane appears, and is compared with the etching rate of the (110) plane by ( This is performed by utilizing the property that the etching rate of the (111) plane is about 1/180. By such anisotropic etching, precision processing can be performed based on depth processing of a parallelogram formed by two first (111) surfaces and two oblique second (111) surfaces. , The
[0040]
In this embodiment, the long side of each
[0041]
On the other hand, each nozzle opening 11 communicating with one end of each
[0042]
Here, the size of the
[0043]
Each
[0044]
The sealing
[0045]
The common ink
[0046]
The ink
[0047]
On the other hand, the
[0048]
Here, a process of forming the
[0049]
As shown in FIG. 4A, first, a silicon single crystal substrate wafer serving as a flow
[0050]
Next, as shown in FIG. 4B, the
[0051]
Next, as shown in FIG. 4C, a
[0052]
Further, a method of forming a precursor film of lead zirconate titanate by a sol-gel method, a sputtering method, or the like, and then performing crystal growth at a low temperature by a high-pressure treatment method in an alkaline aqueous solution may be used.
[0053]
The
[0054]
Next, as shown in FIG. 4 (d), the
[0055]
The above is the film forming process. After forming the film in this manner, as shown in FIG. 4E, the silicon single crystal substrate is anisotropically etched with the above-described alkali solution to form the
[0056]
FIG. 5A is a cross-sectional view of a main part of the ink jet recording head of the present embodiment thus formed.
[0057]
In the ink jet type recording head of the present embodiment, the piezoelectric
[0058]
The lower electrode
[0059]
Here, as shown in FIG. 5B, the
[0060]
In the series of film formation and anisotropic etching described above, a number of chips are simultaneously formed on one wafer, and after the process is completed, each chip-shaped flow
[0061]
The ink-jet head thus configured takes in ink from an
[0062]
(Embodiment 2)
FIG. 6 is a diagram illustrating a thin film manufacturing process of the ink jet recording head according to the second embodiment.
[0063]
As shown in FIG. 6A, first, an
[0064]
Next, as shown in FIG. 6B, the
[0065]
Next, as shown in FIG. 6D, the
[0066]
Further, before forming the second
[0067]
The above is the film forming process. After forming the film in this manner, as shown in FIG. 6E, the silicon single crystal substrate is anisotropically etched with the above-described alkali solution to form the
[0068]
FIG. 7 is a sectional view of a main part of the ink jet recording head of the present embodiment thus formed.
[0069]
The ink jet recording head according to the present embodiment has a laminated structure in which the lower electrode is composed of the
[0070]
Further, in the present embodiment, the
[0071]
Further, by forming the
[0072]
(Embodiment 3)
FIGS. 8A and 8B are a front view and a cross-sectional view of a main part of an inkjet recording head according to a third embodiment.
[0073]
The present embodiment is similar to the first embodiment except that a lower electrode
[0074]
As described above, in the present embodiment, the electrical connection is reliably made to the lower electrode
[0075]
The lower electrode
[0076]
In the present embodiment, the
[0077]
Further, as shown in FIG. 9B, after the
[0078]
Further, in the present embodiment, the lower electrode
[0079]
(Other embodiments)
As described above, each embodiment of the present invention has been described, but the basic configuration of the ink jet recording head is not limited to the above.
[0080]
For example, in addition to the sealing
[0081]
Further, in the above-described embodiment, the nozzle opening is formed on the end surface of the flow
[0082]
FIG. 10 is an exploded perspective view of the embodiment configured as described above, and FIG. 11 is a cross-sectional view of the channel. In this embodiment, the
[0083]
The present embodiment is basically the same as the above-described embodiment except that the
[0084]
Further, needless to say, the present invention can be similarly applied to an ink jet recording head of a type in which a common ink chamber is formed in a passage forming substrate.
[0085]
As described above, the present invention can be applied to ink jet recording heads having various structures, as long as the gist of the present invention is not contradicted.
[0086]
Further, the ink jet recording head of each of the embodiments constitutes a part of a recording head unit having an ink flow path communicating with an ink cartridge or the like, and is mounted on the ink jet recording apparatus. FIG. 12 is a schematic view showing an example of the ink jet recording apparatus.
[0087]
As shown in FIG. 12, the
[0088]
Then, the driving force of the driving
[0089]
【The invention's effect】
As described above, in the present embodiment, since the lower electrode thin film portion is formed in the region facing the pressure generating chamber, sufficient electric power is supplied by suppressing the resistance of the lower electrode, and the characteristics of the piezoelectric element are improved. It has the effect that it can be done.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is an exploded perspective view of an ink jet recording head according to an embodiment of the present invention.
FIG. 2 is a plan view and a cross-sectional view of the inkjet recording head according to the first embodiment of the present invention, illustrating the same.
FIG. 3 is a view showing a modification of the sealing plate of FIG. 1;
FIG. 4 is a diagram illustrating a thin film manufacturing process according to the first embodiment of the present invention.
FIGS. 5A and 5B are a main part cross-sectional view and a main part cross-sectional view illustrating a modified example of the inkjet recording head according to the first embodiment of the invention.
FIG. 6 is a diagram illustrating a thin film manufacturing process according to a second embodiment of the present invention.
FIG. 7 is a sectional view of a main part of an ink jet recording head according to a second embodiment of the invention.
FIG. 8 is a plan view and a cross-sectional view of a main part of an inkjet recording head according to a third embodiment of the invention.
FIG. 9 is a cross-sectional view of a principal part showing a modification of the ink jet recording head according to
FIG. 10 is an exploded perspective view showing an ink jet recording head according to another embodiment of the present invention.
FIG. 11 is a cross-sectional view illustrating an ink jet recording head according to another embodiment of the present invention.
FIG. 12 is a schematic diagram of an ink jet recording apparatus according to an embodiment of the present invention.
[Explanation of symbols]
Claims (12)
前記下電極は、少なくとも前記圧力発生室に対向する領域の膜厚が、その他の領域の膜厚より薄く形成されていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。A pressure generating chamber communicating with the nozzle opening, an elastic film forming a part of the pressure generating chamber, a lower electrode provided on the elastic film, a piezoelectric layer formed on the lower electrode, In an ink jet recording head having an upper electrode formed on the piezoelectric layer,
The ink jet recording head according to claim 1, wherein the lower electrode is formed so that at least a region facing the pressure generating chamber has a smaller thickness than other regions.
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