JP3566888B6 - 肉製品の処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は概して食肉の包装又は製造中に肉製品を洗浄又は清浄化するための組成物と方法に関する。より具体的には、本発明は肉製品と処理剤との直接的接触によって肉製品を洗浄又は清浄化するための抗菌組成物と方法に関する。この肉製品と抗菌組成物との接触の性質は抗菌性を向上させる。本組成物と方法は微生物群を減少させ、肉製品の概観、におい又は味に影響を及ぼさない。
【0002】
【発明の背景】
どの食品でもその製造における肉製品の洗浄は、不衛生で時間のかかる作業である。そのうえ、肉製品を完全に清浄化するために順序付けられたステップをたどる定型的洗浄作業を行わなければ、多数の問題が生じうる。肉製品は病原体又は感染性微生物(大腸菌)を保持している可能性があり、内臓を破裂させたり、内臓が適切に除去されない場合は、汚染がますます著しくなる。さらにまた、肉製品の不完全な洗浄も、その食肉を消費には不適切なものにする感染性微生物の存在をもたらしうる。
【0003】
PURACは砂糖からの発酵によって生産される天然乳酸である。これは軽い酸味を持ち、酸味料として食品産業で広く使用されている。PURACは鳥肉、牛肉及び豚肉屠体と屠殺副産物用の有効な除染剤である。PURACは1〜2%の濃度で使用すると最も効果的であり、屠殺ライン中の異なる数ポイントで使用できる。皮を剥いだ直後の適用は、以降の加工ステップに入る微生物の量を減少させ、一方、内臓除去後と冷蔵前の処理は最大の残留効果を持つ。Mountneyらも、「Acids As Poultry Meat Preservatives(訳:鳥肉保存剤としての酸)」(Poultry Science,44:582,1965)で、細菌数を低下させるため及びその他鳥肉を保存するための乳酸の使用を論じている。Blankenshipらは、「Efficacy of Acid Treatment Plus Freezing To Destroy Salmonella Contaminates Of Spice Coated Chicken Fajita Meat(香辛料で覆われた鶏ファヒータ肉のサルモネラ汚染物質を破壊するための酸処理及び凍結の効力)」(Poultry Science,Vol.69,Supp.,1990,20頁)で、ファヒータ鶏肉のサルモネラ汚染物質の破壊を論じた。Adamsらは、加工済ブロイラーのサルモネラ汚染を低減するための冷水中のポリプロピレングリコール、乳酸ナトリウム及び乳酸の使用を論じている(Effects of Various Chill Water Treatments on Incidents and Levels of Salmonella on Processed Carcasses(訳:加工済屠体上のサルモネラの付随とレベルに対する様々な冷水処理の効果)(アーカンソー大学動物家禽科学科(フェイエットヴィル))参照)。Izatらは、Poultry Science,Vol.69,Supp.1990,152頁、Journal of Quality,Vol.13,1990,295−306頁及びJournal of Food Protection,Vol.52,No.9,670−673頁(1989年9月)で、市販ブロイラー屠体での乳酸のサルモネラ数減少効果を論じている。Avensらは、Poultry Science,Vol.51,1972,1781頁で、七面鳥屠体の低温殺菌と乳酸を用いたサルモネラの低減を論じている。Mulderらは、1987 Poultry Science 66:1555−1557に、乳酸、l−システイン及び過酸化水素でブロイラー屠体を処理する研究を報告している。乳酸と過酸化水素による処理はSalmonella typhimurium(ネズミチフス菌)のコロニー形成単位に4対数サイクル(log cycle)の低下をもたらした。しかしながら乳酸の使用は屠体のわずかな変色をもたらし、過酸化水素による処理はいずれも屠体の退色と膨張をもたらした。
【0004】
ペルオキシカルボン酸が装置と他の表面の洗浄及び清浄化に使用されることは知られているが、それらは肉製品の洗浄と清浄化については報告されていない。Holzhauerらの米国特許第5,435,808号には、酢酸、ペルオキシ酢酸、過酸化水素及びリン酸の組合せによる動物皮革の保存処理が記述されている。食肉及び鳥肉産業の厳しい経済状況にくわえて、肉製品の官能的清浄性及び安全性に対する消費者の懸念の高まりと、現在利用できる多くの抗菌剤の環境的及び官能的影響への懸念が、官能的及び環境的清浄性と共に強化された清浄化を提供する肉製品清浄化組成物と肉製品清浄化法の目下の必要性をもたらしている。
【0005】
【発明の要約】
したがって本発明は、第一の側面として、表面微生物群の少なくとも1log10の減少を達成するために肉製品を処理する法であって、少なくとも100万分の2部(ppm;各100万部あたりの重量部)を構成する有効抗菌量の1種類又はそれ以上の炭素原子数12までのペルオキシカルボン酸と、少なくとも20ppmを構成する有効抗菌量の1種類又はそれ以上の炭素原子数18までのカルボン酸とを含む抗菌組成物で該肉製品を処理するステップを含む方法を提供する。
【0006】
本発明の第二の側面は、1種類又はそれ以上の炭素原子数2〜4のペルオキシカルボン酸と1種類又はそれ以上の炭素原子数8〜12のペルオキシカルボン酸の混合物約0.5重量%(wt−%)〜20wt−%、炭素原子数3〜6のα−ヒドロキシモノ又はジカルボン酸約0.5wt−%〜約60wt−%、有効量の金属イオン封鎖剤及び有効量のヒドロトロープを含有する肉製品の洗浄及び清浄化に適合した抗菌組成物である。
【0007】
本発明の第三の好ましい側面は、約10:1〜約1:1の比のペルオキシ酢酸とペルオキシオクタン酸の混合物、約0.1〜約10wt−%の乳酸、約4wt−%〜約10wt−%の過酸化水素及び約0.5wt−%〜約1.5wt−%の金属イオン封鎖剤からなる肉製品の処理に適合した抗菌組成物である。
【0008】
本発明の第四の側面は、肉製品中の微生物群を減少させるためにその肉製品を処理する方法であって、少なくとも50psiの圧力と約60℃までの温度で該肉製品に水性抗菌処理組成物(この抗菌組成物は少なくとも2ppmを構成する有効抗菌量の1種類又はそれ以上のカルボン酸、ペルオキシカルボン酸若しくはそれらの混合物を含む)を接触時間が少なくとも30秒になるように噴霧し、その微生物群の少なくとも1log10の減少を達成するという各ステップを含む方法に関する。
【0009】
本発明の第五の側面は、肉製品中の微生物群を減少させるためにその肉製品を処理する方法であって、大気圧のチャンバー内に肉製品を置き、そのチャンバーを、抗菌組成物を含む凝縮蒸気で短時間満たし、肉製品の褐変を防ぐためにそのチャンバーをすばやく排気させて冷却するという各ステップを含み、その蒸気熱プロセスの持続時間が約5秒〜約30秒であってよく、チャンバー温度が約50℃〜約93℃に達しうる方法に関する。
【0010】
本抗菌組成物は、微生物汚染が考えられる各部分と密接に接触させるために、様々な方法で適用できる。例えばそれは肉製品に噴霧してもよいし、肉製品をその組成物に浸漬してもよい。その他の方法としては発泡させた組成物や増粘又はゲル化した組成物の適用がある。所望であれば、減圧及び/又は光処理も、抗菌組成物の適用に含めることができる。熱処理も抗菌組成物の適用前、その適用と同時に又はその適用後に適用できる。我々は、肉製品を本発明組成物で処理するための好ましい噴霧法であって、約60℃未満の温度と約50〜500ゲージpsiの圧力で水性噴霧液(この噴霧液は有効抗菌量のカルボン酸、有効抗菌量のペルオキシカルボン酸又はそれらの混合物を含む)をその肉製品に噴霧することを伴う方法を見出した。またこれらの噴霧液は、有効な割合のペルオキシ化合物(過酸化水素など)及び他の成分(例えば金属イオン封鎖剤など)も含みうる。我々は、この水溶液処理の高圧噴霧作用が、噴霧液の機械的作用が抗菌物質の化学的作用とあいまって微生物群を除去することにより、肉製品表面のそれら微生物群の減少に驚くべき改善をもたらすことを見出した。すべての圧力はpsig(又はゲージpsi)である。抗菌性「殺〜」又は「静〜」活性の差異、効力の度合いを記述する定義及びその効力を測定するための公定の実験プロトコルは、組成物中の抗菌剤の妥当性を理解するうえで重要な考察である。抗菌組成物は2種類の微生物細胞損傷をもたらしうる。第一の細胞損傷は、微生物細胞の完全な破壊又は無能化をもたらす真に致死的で不可逆的な作用である。第二のタイプの細胞損傷は可逆的であって、その生物からその薬剤を取り除くと、それは再び増殖できる。前者は殺菌剤と呼ばれ、後者は静菌剤と呼ばれる。清浄化剤及び消毒剤とは、定義として、抗菌又は殺菌活性を与え、30秒の接触時間後に微生物群の少なくとも5重の減少(すなわち5log10の減少)を達成する薬剤をいう(AOAC法960.09参照)。
【0011】
これに対し、保存剤は一般に、単に成長を可逆的に遅延させるだけの抑制剤又は静菌組成物であるとされている。本願については、その微生物群が1log10減少した場合に、微生物減少の成功が達成されたとする。この産業分野では1log10の微生物群減少がその加工処理について許容されうる最小値である。微生物群の減少量の向上はいずれも加工肉製品の保護レベルをより高くする付加的利益である。
【0012】
本発明は抗菌組成物を含有する水性蒸気での処理による肉製品の清浄化法である。肉製品洗浄と肉製品の清浄化に使用される本浸漬又は噴霧法は一般に有効抗菌濃度の1種類又はそれ以上のカルボン酸と1種類又はそれ以上のペルオキシカルボン酸を含む。
【0013】
「肉製品」という用語はあらゆる形態の動物の肉を包含する。動物の肉には筋肉、器官、皮膚、骨及び体液などの動物を形成する成分が含まれる。動物の肉には、哺乳動物、鳥、魚、爬虫類動物、両生類動物、カタツムリ、二枚貝、甲殻類動物又は他の食用種(ロブスター、カニなど)の肉が含まれる。動物肉の形態には、例えば、単独の又は他の成分と組み合わされた動物肉の全部又は一部が含まれる。典型的な形態には、例えば、保存処理された牛肉、切断及び成形製品、ミンチ製品、細かく細断された製品及びホール製品がある。
【0014】
A. 清浄化組成物
本発明方法で使用される清浄化組成物は一般に1種類又はそれ以上のカルボン酸と1種類又はそれ以上のペルオキシカルボン酸をHなど過酸素化合物と共に含有する。しかし通例、本組成物は、平衡に依存して1種類又はそれ以上のカルボン酸、酸化剤及び1種類又はそれ以上のペルオキシカルボン酸を含有する。一般にこのペルオキシカルボン酸物質は、カルボン酸を直接そのペルオキシカルボン酸物質に酸化した後、それを本発明の水性すすぎ剤組成物に可溶化することによって製造できる。またこれらの物質は、その過酸化カルボン酸を他の成分と混和する前に、非酸化型の酸を過酸化水素などの過酸素化合物と混合してその過酸をその場で(インサイチュー)生成させることによっても製造できる。本発明組成物は、カルボン酸と過カルボン酸の混合物を過酸化水素などのペルオキシ源を含む他の成分と共に含んでなる。ひとたび混合し適用すると、それら組成物は混合された物質間の相互作用と使用位置での相互作用によって変化しうる。例えば、塩成分は遊離の酸と交換してそれとの結合型になることができ、またペルオキシ源は酸化可能な物質を酸化しうる。抗菌性は酸物質と過酸物質の混合物から生じる。混合及び適用後の変更は本発明を変化させない。
【0015】
カルボン酸は1つの脂肪族基と1種類又はそれ以上のカルボキシル基を含有する有機酸(R−COOH)である。カルボキシル基は−COOHによって表され、通常は酸の末端に位置する。脂肪族基は置換された基又は置換されていない基でありうる。一般的な脂肪族置換基には−OH、−OR、−NO、ハロゲンと、それらの基によくある他の置換基が含まれる。単純なカルボン酸の一例はCHCOOHという式を持つ酢酸である。ペルオキシカルボン酸は末端―COOOH基を含有するように酸化されたカルボン酸である。ペルオキシカルボン酸を表すためにペルオキシ酸という用語がしばしば使用される。単純なペルオキシ酸の一例はCHCOOOHという式を持つペルオキシ酢酸である。
【0016】
一般に、本発明に従ってペルオキシカルボキシ酸が処方される場合は、酢酸などのモノカルボン酸が過酸化水素などの酸化剤と混合される。この混合の結果は、ペルオキシ酢酸などのペルオキシカルボン酸と水を生成する反応である。この反応は次式の平衡に従い、そのpKeqは1.7である。
【化1】
Figure 0003566888
【0017】
この平衡の重要性は、過酸化水素、カルボン酸及びペルオキシカルボン酸が同じ組成物中に同時に存在することに起因する。この平衡ゆえに、カルボン酸とペルオキシカルボン酸の混合物を過酸化水素を添加することなく水に混合できる。平衡に近づかせると、その混合物は過酸化水素を発生するだろう。この混合物は、他の清浄化剤、添加物又は組成物が持つ有害な環境的又は官能的効果のいずれをも伴わない強化された清浄化を提供する。
【0018】
カルボン酸
本発明方法で使用される組成物の第一の成分は1種類又はそれ以上のカルボン酸を含む。一般にカルボン酸はR−COOH(ここにRは脂肪族基、脂環式基、芳香族基、複素環式基を含む多数の異なる基(いずれも飽和型又は不飽和型でありうる)を表しうる)という式を持つ。1個、2個、3個又はそれ以上のカルボキシル基を持つカルボン酸も存在しうる。脂肪族基は更に3種類の炭化水素に区別できる。アルカン(又はパラフィン)は飽和炭化水素である。アルケン(又はオレフィン)は1個又は複数個の二重結合を含有する不飽和炭化水素であり、アルキン(又はアセチレン類)は1個又は複数個の高反応性三重結合を含有する不飽和炭化水素である。脂環式基は更に3種類の環式炭化水素に区別できる。シクロパラフィンは飽和環式炭化水素である。シクロオレフィンは1個又は複数個の二重結合を含有する不飽和環式炭化水素であり、一方、シクロアセチレン類は1個又は複数個の高反応性三重結合を持つ不飽和環式炭化水素である。芳香族基はベンゼンを表す不飽和炭化水素環構造を有するものと定義される。複素環式基は5又は6員環構造であって、その環原子の1個又は複数個が炭素でないものと定義される。その一例はピリジンであり、これは本質的に1つの炭素原子が1つの窒素原子で置き換わっているベンゼン環である。
【0019】
カルボン酸は、そのカルボキシル基の水素原子が活性であって陽イオンとして現れうるので、それらが存在する水性組成物を酸性化する傾向を持つ。本組成物内のカルボン酸成分は、過酸化水素水溶液と混合されると、活性水素原子が存在する結果として、一般に抗菌剤として機能する。また、本発明内のカルボン酸成分はその組成物を酸性pHに保つ。本発明組成物には、18個もの炭素原子を含有するカルボン酸を使用しうる。好適なカルボン酸の例には、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、乳酸、マレイン酸、アスコルビン酸、クエン酸、ヒドロキシ酢酸、ネオペンタン酸、ネオヘプタン酸、ネオドデカン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸及びスベリン酸がある。
【0020】
一般的に有用なカルボン酸は、R基がC〜Cの長さを持つ1級アルキル鎖であって水に自由に溶解する1個又は2個のカルボキシル基を持つものである。この1級アルキル鎖は、カルボキシル官能基が直接結合している最長の炭素原子を有する、その分子の炭素鎖である。α−ヒドロキシ置換カルボン酸を含むモノ及びジヒドロキシ置換カルボン酸はとりわけ有用である。好ましいカルボン酸は、ペルオキシ酢酸を生成してそれら物質の清浄化有効性を増加させる酢酸である。酢酸は次式の構造を持つ。
【化2】
Figure 0003566888
【0021】
とりわけ好ましいα−ヒドロキシ−モノカルボン酸は、2−ヒドロキシプロピオン酸としても知られている天然有機酸の乳酸である。乳酸は90.08の分子量を持ち、水、アルコール、アセトン、エーテル及びグリセロールに溶ける。乳酸は天然に存在し、発酵によって製造しうる。また乳酸は合成してもよい。乳酸は次式の構造を持つ。
【化3】
Figure 0003566888
本発明で有用なα−ヒドロキシ−モノ又はジカルボン酸の濃度は一般的には約0.5wt−%〜約60wt−%、好ましくは約1wt−%〜約20wt−%、最も好ましくは約2wt−%〜約10wt−%の範囲にある。この濃度範囲の乳酸は、本組成物内の至適酸性度及びそれがその抗菌系にもたらす最適な抗菌効力という理由で好ましい。
【0022】
任意の過酸化水素濃度との比較で乳酸濃度を低下させると、その組成物の抗菌活性は本質的に低下するだろう。また乳酸濃度の低下させると、その組成物のpHが上昇し、したがって抗菌活性が減少するという可能性が生じる。これとは際立って対照的に、本組成物内の乳酸濃度の上昇は、その組成物の抗菌活性を増加させる傾向をもちうる。さらにまた、本発明組成物内の乳酸濃度の上昇は、その組成物のpHを低下させる傾向をもつだろう。本発明組成物のpHは、好ましくは4以下になり、本組成物中の一般に好ましいpHは1.5と3.75の間にあって、約2と3.5の間にあるpHが最も好ましい。
【0023】
一般に、本発明方法で使用される組成物内のカルボン酸の濃度は、約0.5wt−%〜約60wt−%、好ましくは約10wt−%〜約60wt−%、最も好ましくは約20wt−%〜約50wt−%の範囲にある。
【0024】
ペルオキシカルボン酸
本発明抗菌組成物のもう一つの主要成分は酸化型カルボン酸である。この酸化型又はペルオキシカルボン酸は、平衡反応混合物中で過酸化水素及びモノカルボン酸と組み合わされると、抗菌効力を向上させる。ペルオキシカルボン酸は一般にR(COH)(ここにRはアルキル、アリールアルキル、シクロアルキル、芳香族又は複素環式基であり、nは1又は2である)という式を持ち、親酸の前にペルオキシを付すことによって命名される。アルキル基は、化学式から1つの水素を除去することによってアルカンから誘導されるパラフィン炭化水素基である。炭化水素基は線状でも分枝状でもよく、12個までの炭素原子を有しうる。簡単な例にはメチル(CH)とエチル(CHCH)がある。アリールアルキル基は脂肪族構造と芳香族構造の両方を含有する。シクロアルキル基は環式アルキル基と定義される。
【0025】
ペルオキシカルボン酸はあまり安定ではないが、それらの安定性は一般に分子量が増加すると共に増大する。これらの酸の熱分解は一般にフリーラジカル経路及び非ラジカル経路によって、光分解又はラジカル誘導分解によって、若しくは金属イオン又は金属錯体の作用によって進行しうる。ペルオキシカルボン酸は、30〜98wt−%過酸化水素のカルボン酸との直接酸触媒平衡作用によって、アルデヒドの自動酸化によって、又は酸塩化物、酸無水物若しくはカルボン酸無水物から過酸化水素又は過酸化ナトリウムを使って製造されうる。
【0026】
本発明で有用なペルオキシカルボン酸にはペルオキシギ酸、ペルオキシ酢酸、ペルオキシプロピオン酸、ペルオキシブタン酸、ペルオキシペンタン酸、ペルオキシヘキサン酸、ペルオキシヘプタン酸、ペルオキシオクタン酸、ペルオキシノナン酸、ペルオキシデカン酸、ペルオキシウンデカン酸、ペルオキシドデカン酸、ペルオキシ乳酸、ペルオキシマレイン酸、ペルオキシアスコルビン酸、ペルオキシヒドロキシ酢酸、ペルオキシシュウ酸、ペルオキシマロン酸、ペルオキシコハク酸、ペルオキシグルタル酸、ペルオキシアジピン酸、ペルオキシピメリン酸及びペルオキシスベリン酸及びそれらの混合物がある。これらのペルオキシカルボン酸は水流中で良好な安定性を持つ良好な抗菌作用を与えることが見出された。好ましい態様として、本発明組成物には、数種類のペルオキシカルボン酸の組合せを使用する。本組成物は1種類又はそれ以上の小さいC−Cペルオキシカルボン酸と1種類又はそれ以上の大きいC−C12ペルオキシカルボン酸を含むことが好ましい。その小さいペルオキシカルボン酸がペルオキシ酢酸であり、大きい酸がペルオキシオクタン酸又はペルオキシデカン酸である態様はとりわけ好ましい。
【0027】
ペルオキシ酢酸は次式の構造を持つペルオキシカルボン酸であり、
【化4】
Figure 0003566888
ここにペルオキシ基−O−O−は高エネルギー結合であると考えられる。一般にペルオキシ酢酸は刺激臭を持つ液体であり、水、アルコール、エーテル及び硫酸に自由に溶解する。ペルオキシ酢酸は、酢酸コバルトの存在下で行うアルデヒドと酸素からの製造を含めて、当業者に知られている多数の手段で製造しうる。ペルオキシ酢酸の50%溶液は酢酸無水物、過酸化水素及び硫酸を混合することによって得ることができる。ペルオキシ酢酸の他の製造法には米国特許第2,833,813号(参照により本明細書の一部を構成する)に開示されているものがある。
ペルオキシオクタン酸は次式の構造を持つ。
【化5】
Figure 0003566888
ペルオキシデカン酸は次式の構造を持つ。
【化6】
Figure 0003566888
【0028】
本発明の好ましいペルオキシカルボン酸物質は本物質の清浄化有効性を増加させるために使用できる。混合酸を使用する場合、ペルオキシカルボン酸は、C−C12ペルオキシカルボン酸1部につきC−Cペルオキシカルボン酸約10:1〜約1:1部の範囲の割合で混合される。好ましくは、ペルオキシオクタン酸1部につき約8部の比でペルオキシ酢酸を使用する。
【0029】
上記清浄化剤物質は、本発明のすすぎ補助清浄化剤に、グラム陽性微生物(例えばStaphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌))、グラム陰性微生物(例えばEsherichia coli(大腸菌))、酵母、カビ、細菌胞子、ウイルスなどの広範な微生物に対する抗菌活性を与えることができる。混合すると、上記ペルオキシ酸は低分子量ペルオキシ酸単独と比較して増大した活性を持ちうる。
【0030】
一般に、本発明方法で使用される組成物内のペルオキシカルボン酸の濃度は約0.5wt−%〜約20wt−%、好ましくは約2wt−%〜約15wt−%、最も好ましくは約4wt−%〜約12wt−%の範囲にある。
【0031】
酸化剤
本発明方法で使用される組成物は酸化剤も含む。数多くの酸化剤をペルオキシカルボン酸の形成への前駆体として、また本発明組成物に物理的起泡又は撹拌作用を提供するために使用しうる。本発明抗菌組成物は、好ましくは過酸化水素を含有する。過酸化水素(H)は34.014の分子量を持ち、弱酸性で無色透明の液体である。これら4つの原子は共有結合して非極性構造をとっている。
【化7】
Figure 0003566888
一般に過酸化水素は−0.41℃の融点、150.2℃の沸点、25℃で1.4425g/cmの密度及び20℃で1.245センチポアズの粘度を持つ。
【0032】
カルボン酸及びペルオキシカルボン酸と混合された過酸化水素は、高負荷量の有機沈降物の存在下でさえ、微生物に対して驚くべきレベルの抗菌作用を与える。また過酸化水素は、それを適用するあらゆる表面を潤しうる起泡作用も与える。過酸化水素はいったん適用されると機械的フラッシング作用を伴って働き、それが適用表面をさらに平坦にする。過酸化水素のもう一つの利点は、使用及び分解時のこの組成物の食品適合性である。例えば、ペルオキシ酢酸と過酸化水素の組合せは分解時に酢酸、水及び酸素をもたらす。これらの成分はすべて食品適合性である。一般に、本発明方法で使用される組成物内の過酸化水素の濃度は約1wt−%〜約35wt−%、好ましくは約2wt−%〜約25wt−%、最も好ましくは約5wt−%〜約10wt−%の範囲にある。この濃度の過酸化水素は最適な抗菌効果を与えるので最も好ましい。
【0033】
これらの過酸化水素濃度は本発明の範囲内に保ったまま増減させうる。例えば過酸化水素の濃度を上昇させると、本願発明の抗菌効力が増加しうる。また、過酸化水素濃度を上昇させることにより、その組成物内の過酸化水素を安定化する必要を減少させうる。具体的には、組成物中の過酸化水素濃度を上昇させると、貯蔵寿命が長くなった組成物を提供できる。
【0034】
対照的に、過酸化水素の濃度を低下させると、その組成物の抗菌効力が減少して、より高濃度のカルボン酸を使用する必要が生じうる。また、過酸化水素の濃度を低下させると、本発明組成物が意図した期間にわたって安定かつ有効でありつづけることを保証するために何らかの安定化剤を使用する必要が生じうる。
【0035】
全体として、酸化剤の濃度を変更することで、本発明で使用される過酸化カルボン酸の平衡混合物がもたらされるだろう。
【0036】
担体
本発明組成物は担体も含む。担体は、酸化剤、ペルオキシカルボン酸及びカルボン酸の平衡混合物発生用の媒質になると共に、各成分の可溶化とペルオキシカルボン酸生成用の反応媒質を与えるように機能する。また担体は、意図した基質に本発明抗菌組成物を送達し濡らすようにも機能する。そのために担体はそれらの機能を促進するだろう1又は複数の任意の成分を含有しうる。一般に担体は、優れた溶解剤であり反応と平衡の媒質である水からなる。また担体は上述の機能を促進する様々な有機化合物などといった多数の成分を含みうる。有用であることが見出された有機溶媒には、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノールなどの単純なアルキルアルコールがある。本発明によれば、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール、ソルビトールなどといったポリオールも有用な担体である。これらの化合物はいずれも単独で若しくは他の有機又は無機成分と組合せて、又は水と組合せて若しくはそれらの混合物として使用しうる。担体は約1wt−%〜約60wt−%の有機溶媒からなることが好ましい。
【0037】
一般に、担体は本発明組成物の大部分を占め、本質的に活性抗菌組成物佐剤などを除いたその組成物の残りでありうる。ここでもやはり担体の濃度とタイプは組成物全体の性質、環境保護的な貯蔵及び数ある因子のなかでも抗菌剤の濃度などといった適用方法に依存するだろう。とりわけ担体は本発明組成物における動作の抗菌効力を抑制しない濃度で選択され使用されるべきである。
【0038】
.佐剤
本発明組成物は、酸化環境中で安定であって安定性、金属イオン封鎖、シーティング及びすすぎなどの有益な特性を付加する多数の佐剤を含んでもよい。これらの佐剤は本発明清浄化剤と共に前もって製剤化してもよいし、本発明洗浄剤の添加と同時に、さらにはその添加後に、その系に添加してもよい。
【0039】
キレート剤
本発明清浄化剤は、硬度成分と用水の有害効果を軽減し、製品安定性を向上させる多価金属錯化剤又はキレート剤も含有しうる。用水中に存在するカルシウム、マグネシウム、鉄、マンガンなどのイオンの概して有害な効果は、洗浄組成物又はすすぎ組成物の作用を妨害する可能性があり、活性過酸素清浄化物質を分解する傾向を持ちうる。キレート剤又は金属イオン封鎖剤は、活性成分との不適切な相互作用からそのようなイオンを効果的に錯化、除去して、清浄化剤性能を増大させうる。
【0040】
有機キレート剤と無機キレート剤の両方を使用できる。無機キレート剤にはトリポリリン酸ナトリウムと他の高級線状及び環状ポリリン酸塩種が含まれる。有機キレート剤にはポリマーキレート剤と小分子キレート剤の両方が含まれる。ポリマーキレート剤は通例、ポリアクリル酸化合物などのポリアニオン性組成物からなる。アミノホスフェート及びホスホネートも本発明組成物中のキレート剤としての使用に適しており、例えばエチレンジアミン(テトラメチレンホスホネート)、ニトリロトリスメチレンホスフェート、ジエチレントリアミン(ペンタメチレンホスホネート)がある。これらアミノホスホネートは通例、炭素原子数8未満のアルキル基又はアルカリ基を含有する。
【0041】
本発明での使用に好ましいキレート剤には、エチレンジアミン四酢酸の二ナトリウム塩などの改良食品添加キレート剤や、DEQUEST材の形態で販売されている周知のホスホネート類、例えば1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸などがある。ホスホン酸は低分子量ホスホノポリカルボン酸(2〜4個のカルボン酸部分と約1〜3個のホスホン酸基を持つものなど)からなってもよい。そのような酸には、1−ホスホノ−1−メチルコハク酸、ホスホノコハク酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸がある。もう一つの有機ホスホン酸はMonsanto Industrial Chemicals Co.(ミズーリ州セントルイス)からDEQUEST2010(これは58〜62%水溶液である)として入手できる(CHC(POOH);Monsanto社からDEQUEST2000として50%水溶液として入手できるアミノ[トリ(メチレンホスホン酸)](N[CHPO);Monsanto社からDEQUEST2041として90%固体酸製品として入手できるエチレンジアミン[テトラ(メチレンホスホン酸)];及びMobay Chemical Corporationの無機化学品部門(ペンシルヴェニア州ピッツバーグ)からBayhibit AMとして45〜50%水溶液として入手できる2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸である。
【0042】
上記ホスホン酸類は水溶性酸塩、具体的にはナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属塩類、アンモニウム塩類、モノ−、ジ−又はトリエタノールアミン塩などのアルキルオールアミン塩類(ここにアルキルオールは2〜3個の炭素原子を有する)の形でも使用できる。所望であれば、個々のホスホン酸又はそれらの酸塩の混合物も使用できる。
【0043】
本発明で有用なキレート剤の濃度は一般的には約0.01〜約10wt−%、好ましくは約0.1〜約5wt−%、最も好ましくは約0.5〜約2wt−%の範囲にある。
【0044】
ヒドロトロープ
本発明清浄化剤はヒドロトロープカプラー又は溶解剤も含みうる。そのような物質は、その組成物が安定な相のまま単一の高度に活性な水性形態を取りつづけることを保証するために使用できる。そのようなヒドロトロープ溶解剤又はカプラーは、相安定性を維持するが望ましくない組成上の相互作用をもたらさない組成で使用できる。
【0045】
代表的な種類のヒドロトロープ溶解剤又はカップリング剤には、アルキルサルフェート、アルキル又はアルカンスルホネート、線状アルキルベンゼン又はナフタレンスルホネート、二級アルカンスルホネート、アルキルエーテルサルフェート又はスルホネート、アルキルホスフェート又はホスホネート、ジアルキルスルホコハク酸エステル、糖エステル(例えばソルビタンエステル類)及びC8−10アルキルグルコシドなどの陰イオン界面活性剤がある。
【0046】
本発明すすぎ剤での使用に好ましいカップリング剤には、n−オクタンスルホネートとアルキルベンゼンスルホネート(例えばキシレンスルホン酸ナトリウム又はナフタレンスルホン酸ナトリウム)などの芳香族スルホネートがある。数多くのヒドロトロープ溶解剤は独自に低pHで、ある程度の抗菌活性を示す。そのような作用は本発明の効力に加わるが、適当な溶解剤を選択する際に使用される主要な基準ではない。タンパク質化した(proteinated)中性状態のペルオキシカルボン酸物質の存在が有益な生物致死活性又は清浄化活性を与えるので、カップリング剤は、それ独自の抗菌活性ではなく、実質上不溶性のペルオキシカルボン酸物質の存在下で効果的な単相組成物安定性を与え、より溶解度の高い本発明組成物を与えるというその能力に基づいて選択されるべきである。一般にこの成分の目的に合わせて多数の界面活性剤を使用しうる。
【0047】
本発明で有用な陰イオン界面活性剤には、アルキルカルボキシレート、線状アルキルベンゼンスルホネート,パラフィンスルホネート及び二級n−アルカンスルホネート、スルホスクシネートエステル及び硫酸化線状アルコールがある。
【0048】
本発明で有用な両性イオン界面活性剤又は両性界面活性剤には、β−N−アルキルアミノプロピオン酸、n−アルキル−β−イミノジプロピオン酸、イミダゾリンカルボキシレート、n−アルキルベタイン(n−alky−Iletaines)、アミンオキシド、スルホベタイン及びスルタイン(sultaines)がある。
【0049】
本発明に関して有用な非イオン界面活性剤は一般にポリエーテル(ポリアルキレンオキシド、ポリオキシアルキレン又はポリアルキレングリコールとしても知られる)化合物である。より具合的には、これらポリエーテル化合物は一般にポリオキシプロピレン又はポリオキシエチレングリコール化合物である。通例、本発明に関して有用な界面活性剤は合成有機ポリオキシプロピレン(PO)−ポリオキシエチレン(EO)ブロックコポリマーである。これら界面活性剤は、EOブロックとPOブロック、ポリオキシプロピレン単位にグラフトした(grated)ポリオキシエチレンのブロックを持つポリオキシプロピレン単位(PO)の中心ブロック又はPOブロックが結合しているEOの中心ブロックからなる二ブロックポリマーを有する。さらにこの界面活性剤はその分子中にポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンのさらなるブロックを有しうる。有用な界面活性剤の平均分子量は約1000〜約40,000の範囲で、エチレンオキシドの重量含有率は約10〜80重量%の範囲にある。
【0050】
EO、PO及びBOブロックを有するアルコールアルコキシレートを含む界面活性剤も本発明に関して有用である。直鎖1級脂肪族アルコールアルコキシレートはシーティング剤としてとりわけ役立ちうる。そのようなアルコキシレートはBASF Wyandotte(この場合、それらは”Plurafac”界面活性剤として知られている) などのいくつかの供給元から入手することもできる。有用であることがわかった一つのアルコールアルコキシレート群は、一般式R−(EO)−−(PO)(ここにmは約2〜10の整数であり、nは約2〜20の整数である)を有するものである。Rは炭素原子数約6〜20の直鎖アルキル基など任意の好適な基であありうる。
【0051】
本発明の他の有用な非イオン界面活性剤には、キャップド脂肪族アルコールアルコキシレートがある。それらの末端キャップにはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ベンジル及び塩素などがあるが、これらに限るわけではない。このような界面活性剤は約400〜10,000の分子量を持つことが好ましい。キャッピングは、単一の組成物に製剤化した時に、その非イオン剤と酸化剤過酸化水素及びペルオキシカルボン酸との混和性を向上させる。他の有用な非イオン界面活性剤はアルキルポリグリコシドである。
【0052】
本発明のもう一つの有用な非イオン界面活性剤は、EOのブロック、POのブロック又は混成ブロック若しくはヘテリック(heteric)基からなるエステル基を持つ脂肪酸部分を含んでなる脂肪酸アルコキシレートである。このような界面活性剤の分子量は約400〜約10,000の範囲にあり、好ましい界面活性剤は約30〜50wt−%のEO含有率を持ち、その脂肪酸部分は約8〜約18個の炭素原子を含有する。
【0053】
同様に、アルキルフェノールアルコキシレートも本発明で有用であることが見出された。このような界面活性剤は、炭素原子数4〜約18のアルキル基を有するアルキルフェノール部分から製造でき、エチレンオキシドブロック、プロピレンオキシドブロック又は混成エチレンオキシド、プロピレンオキシドブロック若しくはヘテリックポリマー部分を含有しうる。このような界面活性剤は約400〜約10,000の分子量を持ち、約5〜約20単位のエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド又はそれらの混合物を有することが好ましい。
【0054】
本発明で有用なヒドロトロープの濃度は一般的には約0.1〜約20wt−%、好ましくは約0.5〜約10wt−%、最も好ましくは約1〜約4wt−%の範囲にある。
【0055】
増粘 ゲル化剤
本発明で有用な増粘剤は適用表面に汚染性残渣を残さないもの、すなわち接触領域に食品に適合しない成分又は他の感受性生成物を残さないものである。
【0056】
一般に本発明で使用しうる増粘剤には、キサンタンガムなどの天然ガムがある。また、カルボキシメチルセルロースなどのセルロースポリマーも有用である。一般に本発明で使用される増粘剤の濃度は最終組成物内の望ましい粘度によって決まるだろう。しかし一般的な指針として、本組成物内の増粘剤の粘度は約0.1wt−%〜約1.5wt−%、好ましくは約0.1wt−%〜約1.0wt−%、最も好ましくは約0.1wt−%〜約0.5wt−%の範囲にある。
【0057】
.製剤
本発明組成物は、他の佐剤成分を含む清浄化剤物質を、その清浄化組成物を形成する物質、カルボン酸又は酸混合物、過酸化水素及び随意にヒドロトロープ溶解剤と混合することによって製剤化できる。
【0058】
本組成物は前もって形成させたペルオキシカルボン酸を使って製剤化することもできる。好ましい本発明組成物は、カルボン酸又はその混合物を随意のヒドロトロープ溶解剤またはカプラーと混合し、その混合物を過酸化水素と反応させた後、残りの必要成分を添加してすすぎ及び清浄化作用を与えることによって製造できる。
【0059】
カルボン酸又は混合物を過酸化水素と共に含有し、15℃以上で1〜7日間放置しておける安定な平衡混合物を調製する。この調製法により、ある量の過酸化水素、非酸化型酸、酸化型酸又はペルオキシカルボン酸及び通例は修飾されていないカプラー、溶解剤又は安定化剤を含有する平衡混合物が生成するだろう。
【0060】
D. 使用組成物
本発明は、清浄化剤として使用する前に使用溶液に希釈される濃縮組成物を包含する。主に経済的理由から、通常はこの濃縮物が市販され、最終消費者がその濃縮物を水又は水性希釈液で使用溶液に好ましく希釈することになるだろう。
【0061】
本発明に従って処方される清浄化濃縮物の一般成分濃度は表1に見出しうる。
【0062】
【表1】
Figure 0003566888
【0063】
本濃縮組成物中の活性成分のレベルは、意図する希釈率とペルオキシカルボン酸化合物及びカルボン酸の所望の活性とに依存する。
【0064】
一般的に、水性抗菌清浄化溶液には、約0.5〜10.0ガロンの水に対して約1液量オンスの希釈度を使用する。上記表1の「好ましい」欄に示す組成物は、望ましいペルオキシカルボン酸レベルと製品濃縮物中のペルオキシカルボン酸の濃度とに応じて、水1ガロンあたり約12.8液量オンス〜水780ガロンあたり約1液量オンスの範囲で使用されるだろう。
【0065】
より高い使用温度(25℃を超える温度)か、より長いばく露時間(30秒を超える時間)を使用できる場合は、より高い使用希釈液を使用できる。典型的な使用部位では、各物質を通常利用できる水道水又は用水を使って水1ガロンにつき約0.1〜約0.2オンスの希釈比で混合することにより、濃縮物を大部の水で希釈し、清浄化に使用する。
【0066】
抗菌清浄化使用水溶液は、少なくとも約2ppm、好ましくは約10〜約500ppm、より好ましくは100万分の約100〜約250部のペルオキシカルボン酸物質;約20ppm〜約10,000ppm、好ましくは約50ppm〜約1,000ppmのカルボン酸;及び約10〜約1,000ppmの過酸化水素を含みうる。この使用水溶液は更に少なくとも約50ppm、好ましくは約500ppmのヒドロトロープ溶解剤を含んでもよく、また約1〜約11、好ましくは約2〜約10の範囲の使用溶液pHを持ちうる。
【0067】
.使用法
肉製品の加工中は、定住微生物標本に少なくとも1log10の減少、好ましくは少なくとも2log10の減少、より好ましくは3log10の減少をもたらすために、肉製品と本発明組成物との良好な接触と少なくとも何らかの最小限の機械的作用とを保証する任意の方法で、肉製品を本発明組成物と接触させることができる。30秒間で5log10の減少は清浄化処理である。
【0068】
本発明は広範な肉製品に適用できる。例えば本発明の抗菌組成物は任意の動物の筋肉又はその任意の部分に使用できる。最も一般的に消費される筋肉肉には、例えば牛肉、豚肉、子牛肉、バッファロー(buffalo)又は子羊肉、ホタテガイ(scallops)、小エビ、カニ、タコ、イガイ(mussels)、イカ又はロブスターを含む海産食物、鶏肉、七面鳥、ダチョウ、ゲームヘン(game hen)、ひな鳥又はキジを含む鳥肉が含まれた。肉製品はホール、切断、加工、調理済又は生肉、例えばホットドッグ、コールドカット(cold cut)、ソーセージ、ミートカット(meat cut)、ハンバーグ、スシなどの形態をとりうる。
【0069】
好ましい方法は本発明清浄化溶液の圧力噴霧である。噴霧溶液の肉製品への適用中は、肉製品の表面を機械的作用で動かす(好ましくは振とうする、こする、ブラシをかけるなど)ことができる。振とうは肉製品の物理的な洗浄、加圧された噴霧溶液の作用、又は他の手段によるものでありうる。振とうは、恐らくは微生物を含有する裂け目又は小コロニーへの噴霧溶液のより良いばく露ゆえに、微生物を殺すという噴霧溶液の効力を増大させる。効力を増大させるために、噴霧溶液を適用前に約15〜20℃、好ましくは約20〜50℃の温度に加熱してもよい。肉製品上の微生物を殺すのに十分な時間の後、噴霧溶液を肉製品からすすぎ落とす。
【0070】
噴霧手段による本剤の適用は、手動式スプレーワンド適用、完全な接触を保証するために複数の噴霧ヘッドを使った生産ラインに沿って移動する肉製品の自動噴霧、又は他の噴霧手段を用いて達成できる。好ましい自動噴霧法の一つは噴霧ブースを使用するものである。噴霧ブースは噴霧される組成物をそのブースの範囲内に封じこめる。生産ラインは肉製品を通路を通して噴霧ブース内に移動させ、そこで肉製品はその全ての外表面をブース内の噴霧器で噴霧される。ブース内で本剤の完全な被覆と本剤の肉製品から排出を行った後、肉製品は完全に処理された形でブースから出ることができる。噴霧ブースは、本発明抗菌組成物の適用に使用できる蒸気噴出口を含みうる。これらの蒸気噴出口は、肉製品表面に達する処理剤が65℃未満、好ましくは60℃未満であることを保証するために、冷却水と組み合わせて使用できる。肉製品上での噴霧液の温度は、その肉製品が噴霧液の温度によって実質上改質(調理)されないことを保証することが重要である。噴霧パターンは事実上任意の有用な噴霧パターンでありうる。
【0071】
噴霧は、連続雰囲気中の霧粒子の分散体として煙霧装置を離れる霧状の物質からなりうる。そのような噴霧は明確なパターンを持たない。噴霧は、噴霧範囲の外辺間の角度が180°未満から約5°までの範囲にある円錐形噴霧などのパターンを持ちうる。他の噴霧パターンも有用である。我々は好ましい噴霧パターンの一つが、噴霧液が実質上平面形で噴霧ヘッドを出て、その平面的噴霧の広がりの端から端までの角度が約20°以下、好ましくは約15°以下である「扇形」噴霧パターンを伴うことを見出した。我々はそのような噴霧が肉製品への抗菌組成物添加の機械的作用と効率の向上ゆえに好ましいことを見出した。そのような狭角扇形噴霧を噴霧キャビネット筐体内で肉製品の処理に使用する場合、噴霧ヘッドと肉製品の間の至適距離は約100センチメートル未満、好ましくは約20〜80センチメートル、最も好ましくは約30〜50センチメートルであることを、我々は見出した。このような配置は抗菌物質を肉製品に効率よく運んで微生物群を効率よく減少させる。
【0072】
噴霧が好ましい適用法である場合は、考察する必要のあるパラメーターがいくつかある。決定すべき第一のパラメーターは組成物が肉製品に噴霧されるときの圧力である。約25psi(ゲージpsi)の低い噴霧圧を使用してもいくつかの貴重な結果を得ることができるが、より高い(約25、50、100、150psiを超える、より好ましくは約200psiを超える)噴霧圧が、肉製品表面と肉製品の表面に残留している微生物群への噴霧の機械的作用ゆえに、微生物群を減少させるのに有効である。噴霧作用は65℃未満の温度で最もよい。乳酸を含む組成物は低圧で最も有効であることが見出されたが、乳酸を除去して単に噴霧適用圧を上昇させるだけでも(より高くはないまでも)同等の抗菌効力が得られることが見出された。更に、高い噴霧圧を使用すると抗菌組成物をより低い温度で適用でき、かなりの省エネルギーになる可能性がある。もちろん、適用噴霧時間と抗菌効力の間には関係があるようにみえる。わずか約10秒の噴霧時間も使用できるが、好ましい噴霧時間は約10〜約30秒であることがわかった。理論に縛られることを望むわけではないが、高い噴霧圧の使用によってもたらされる抗菌効力の増大は、肉製品の表面への浸透性の向上、具体的には肉製品の表面にあるひだと裂け目中に到達する能力の増大によるものと考えられる。
【0073】
肉製品の加工中に、肉製品をある量の清浄化溶液を含有するタンクに浸漬してもよい。清浄化溶液は、その溶液の効力を増し、その溶液が肉製品に付着した微生物を殺す速度を増すために撹拌されることが好ましい。撹拌は超音波手段やその溶液を通して空気をあわ立たせることによる通気によるもの、又はストレーナー、パドル、ブラシ又はポンプ駆動型液体噴出口などの機械的手段によるものを含む従来の手段で達成できる。清浄化溶液は微生物を殺すというその溶液の効力を増大させるために加熱してもよい。肉製品は、その肉製品が内臓除去された後、冷蔵タンクや冷水噴霧などの冷却工程前に、清浄化溶液に浸漬されることが好ましい。
【0074】
本発明のもう一つの代替態様として、肉製品は、発泡型の本組成物で処理しうる。泡は使用時に発泡性界面剤を清浄化溶液と混合することによって調製しうる。発泡性界面活性剤は非イオン性、陰イオン性又は陽イオン性でありうる。有用な活性界面剤タイプの例には次に挙げるものがあるが、これらに限るわけではない:アルコールエトキシレート、アルコールエトキシレートカルボキシレート、アミンオキシド、アルキルサルフェート、アルキルエーテルサルフェート、スルホネート、4級アンモニウム化合物、アルキルサルコシン、ベタイン及びアルキルアミド。発泡性界面活性剤は使用時に清浄化溶液と混合される。発泡剤の使用溶液レベルは約50ppm〜約2.0wt−%である。使用時は、圧縮空気を混合物内に注入した後、タンク起泡器又は吸引壁掛型起泡器などの泡沫適用装置によって肉製品表面に適用する。
【0075】
本発明のもう一つの代替態様として、肉製品は、増粘又はゲル化型の本組成物で処理しうる。増粘又はゲル化された状態では、清浄化溶液は肉製品表面とより長い時間接触しつづけるので、抗菌効力が増大する。増粘又はゲル化された溶液は垂直な表面にも付着するだろう。組成物又は清浄化溶液は、キサンタンガム、ポリマー増粘剤、セルロース増粘剤などの既存の技術を使って増粘又はゲル化できる。アミンオキシド及び陰イオン性対イオンなどの棒状ミセル形成系も使用できるだろう。増粘剤又はゲル形成剤は濃縮製品に使用してもよいし、使用時に清浄化溶液と混合してもよい。増粘剤又はゲル化剤の典型的使用レベルは約100ppm〜約10wt−%の範囲である。
【0076】
本発明のもう一つの代替態様として、肉製品は、清浄化溶液の帯電噴霧で処理しうる。清浄化溶液は誘導的帯電法を含む従来の静電噴霧技術を使って帯電液滴として噴霧適用できる。清浄化溶液は帯電液滴として肉製品の表面などといった反対に又は区別的に帯電した表面に引き付けられるだろう。その結果、より多くの清浄化溶液が肉製品表面に適用され、意図した標的を外す溶液(一般にスプレーしぶきと呼ばれる)が少なくなる。また帯電液滴は肉製品表面に均等に分布した溶液層を与えるだろう。帯電液滴サイズは約10ミクロン〜約500ミクロンの範囲になるだろう。
【0077】
本発明のもう一つの代替態様として、清浄化溶液の適用前、清浄化溶液の適用中又は清浄化溶液の適用後に、肉製品に減圧処理を施すことができる。肉製品に清浄化溶液の適用と共に減圧処理を施すと、清浄化溶液の肉製品下部構造への浸透が増進される。その結果、抗菌効力が改善される。使用する減圧の量は約2インチ水銀(”Hg)〜約29インチ水銀(”Hg)である。
【0078】
本発明のもう一つの代替態様として、清浄化溶液の適用につづいて肉製品を活性化光源にさらすことができる。活性化光は清浄化溶液の抗菌効力を向上させうる。光源は紫外、赤外又は可視スペクトルから得られるものでありうる。
【0079】
本抗菌又は清浄化ステップは、抗菌組成物の適用前、適用中又は適用後に行われる熱介入プロセスと組み合わせてもよい。熱介入プロセスには熱水又は乾熱を使用しうる。熱水熱プロセスの場合は肉製品を大気圧のチャンバーに封入する。そのチャンバーを凝縮蒸気(細かく分割された液状の水)で短時間満たし、すばやく排出した後、肉製品の褐変を防ぐために冷却する。蒸気熱プロセスの持続時間は約5秒から約30秒としうる。チャンバー温度は約50℃ないし約93℃に達しうる。同様に乾熱の場合は肉製品をチャンバーに入れ、そこに加熱空気を送り込む。この空気は約65℃〜約260℃に加熱される。肉製品を約5〜約30秒間加熱空気と接触させ、そのチャンバーを排気させて肉製品を冷却する。
【0080】
【実施例】
下記の実施例を参照して本発明を更に詳しく説明する。これら実施例の唯一適切な解釈は、本発明の様々な製剤、安定性及び応用の非限定的で例証的な例としての解釈である。
【0081】
【表2】
Figure 0003566888
【0082】
実施例
実施例1の目的は0.5%及び1.0%乳酸が単独で及び試験製剤1及び/又は蒸気との併用で硬直前牛肉試料上に存在する細菌叢の減少を達成するかどうかを決定することだった。すべての適用で10分間のばく露時間を使用し、試験は33℃で行った。
【0083】
操作法:
16個の硬直前牛肉試料を入手して、試験時まで冷蔵庫に保存した。試料を無菌的に半分に分割した。3つの反復試験片しか使用しなかった蒸気+0.5%乳酸処理を除いて、8種類の試験処理を1処理あたり4つの反復試験片で使用した。各反復試験片から処理前と処理後に2つの芯(直径4.3cm)を採取し、99mLのリン酸緩衝希釈水に混ぜ、1分間ストマッカー処理した後、連続希釈して、混釈法で平板培養した。
【0084】
試験製品:
1.総過酸濃度200ppmの試験製剤1
2.総過酸濃度200ppmの試験製剤1+0.5%乳酸
3.総過酸濃度200ppmの試験製剤1+1.0%乳酸
4.0.5%乳酸
5.蒸気のみ、次いで滅菌水すすぎ
6.蒸気+総過酸濃度200ppmの試験製剤1、次いで滅菌水すすぎ
7.蒸気+総過酸濃度200ppmの試験製剤1+0.5%乳酸、次いで滅菌水すすぎ
8.蒸気+0.5%乳酸、次いで滅菌水すすぎ
【0085】
【表3】
Figure 0003566888
【0086】
製品の適用:
すべての製品使用溶液を10秒間の噴霧適用によって適用した。これにより約150mLの製品が送達された。10分間のばく露時間を使用した後、妥当な場合は、10秒間の滅菌水すすぎを行った。
【0087】
中和剤:99mLのリン酸緩衝希釈水
【0088】
平板培養した希釈液:
総平板計数「前」については10、10−1、10−2
総平板計数「後」については10、10−1
【0089】
平板培養培地:トリプトン・グルコース・エキストラクト・アガー
【0090】
培養:26℃で72時間
【0091】
【表4】
Figure 0003566888
【0092】
【表5】
Figure 0003566888
【0093】
結論
0.5%乳酸と組み合わせた200ppmの試験製剤1を伴う蒸気の適用は硬直前肉の表面上で平均で2.55log10の減少を達成することにより、他のすべての処理をしのいだ。蒸気のみは80〜92℃の範囲の温度で平均1.10log10の減少をもたらした。0.5%乳酸と組み合わせた200ppmの試験製剤1のみは、1.0%乳酸と組み合わた場合の平均1.31log10の減少と比べて、平均1.10log10の減少をもたらした。
【0094】
残りの実施例の目的は、より高い噴霧圧(とりわけ100psiを超えるもの)が本発明組成物の抗菌効力を増加させるかどうかを決定することだった。
【0095】
実施例
この試験の目的は、硬直前牛肉の細菌叢に対する延長された噴霧及びばく露時間による様々な抗菌処理の効力を決定することだった。
【0096】
試験方法 パラメーター:
硬直前牛肉試料を入手し、試験時まで周囲温度で冷蔵庫に保存した。10種類の試験処理を各処理につき4つの反復試験片で使用した。処理前試料と処理後試料の両方について1つの試験片から各反復試験片として2つの芯(直径4.3cm)を採取し、99mLのLetheenブロスに混ぜた。その芯/中和剤混合物を1分間ストマッカー処理した後、連続希釈し、混釈法で平板培養した。
【0097】
試験製品:
過酸濃度200ppm=0.42%の試験製剤1(水道水995.8mLに4.2mLを加えた)。
過酸濃度500ppmの試験製剤1(水道水989.5mLに10.5mLを加えた)
0.5%乳酸
試験製剤1(バッチ番号Si120972)は4.76%総過酸と滴定された
【0098】
適用:
8つの芯(1反復試験片あたり2つの芯)をきれいで衛生的なスクリーン上においた。それらの芯に10又は30秒の噴霧適用時間を用いて適当な試験製品を噴霧した。各反復試験片について、2つの芯を10分間のばく露時間後に取り出し、99mLの中和剤を含むストマッカー袋に入れた。
【0099】
中和剤:99mL Letheenブロス
【0100】
希釈度:
総平板計数「前」については10、10−1、10−2
総平板計数「後」については10、10−1
【0101】
平板培養培地:トリプトン・グルコース・エキストラクト・アガー
【0102】
培養:26℃で72時間
【0103】
計算:
平均CFU/平板=(4反復試験片からの8計数全て/4)
平均CFU/平板×100=平均CFU/100mL=Y
平均(CUF/cm)=Y/2πr
希釈度=10、100又は1000
r=2.15cm
2=芯の数
【0104】
【表6】
Figure 0003566888
【0105】
結論
全体的にみて、硬直前牛肉表面の細菌叢の最も大きい減少は次の処理で認められた:
・圧力50psi、噴霧時間10秒、120°Fにおける総過酸濃度200ppmの試験製剤1は平均0.97log10の減少を達成した。
・圧力25psi、噴霧時間30秒、98°Fにおける総過酸濃度500ppmの試験製剤1は平均0.93log10の減少を達成した。
【0106】
温度に関して、120°Fは、圧力50psi噴霧時間10秒での総過酸濃度200ppmの試験製剤1で、98°Fにおける0.41log10の減少に対して0.97log10の減少という、より高い効力をもたらした。
【0107】
実施例
この試験の目的は、硬直前牛肉の細菌叢に対して100°Fでの高圧適用噴霧による総過酸濃度200ppmの試験製剤1の効力を決定することだった。
【0108】
試験法 パラメーター:
硬直前牛肉試料を入手し、試験時まで周囲温度で冷蔵庫に保存した。4種類の試験処理を1処理につき4つの反復試験片で使用した。処理前試料と処理後試料の両方について1つの試験片から各反復試験片として2つの芯(直径4.3cm)を採取し、99mLのLetheenブロスに混ぜた。その芯/中和剤混合物を1分間ストマッカー処理した後、連続希釈し、混釈法で平板培養した。
【0109】
試験製品:
総過酸濃度200ppmの試験製剤1(バッチ番号Si120972は4.76%総過酸と滴定された。)
【0110】
適用:
8つの芯(1反復試験片あたり2つの芯)を処理前に各試料から無菌的に取り出した。それらを処理前試料として使用した。残りの試料をきれいで衛生的なスクリーン上においた。次いで試料に5、10又は30秒の噴霧適用時間を使用して、約200ppmの総過酸をボルテックスで噴霧した。各反復試験片につき2つの芯を10分間のばく露時間後に取り出し、99mLの中和剤を含むストマッカー袋に入れた。
【0111】
中和剤:99mL Letheenブロス
【0112】
希釈度:
総平板計数「前」については10、10−1、10−2
総平板計数「後」については10、10−1
【0113】
平板培養培地:トリプトン・グルコース・エキストラクト・アガー
【0114】
培養:26℃で72時間
【0115】
計算:
平均CFU/平板=(4反復試験片からの8計数全て/4)
平均CFU/平板×100=平均CFU/100mL=Y
平均(CUF/cm)=Y/2πr
希釈度=10、100又は1000
r=2.15cm
2=芯の数
【0116】
【表7】
Figure 0003566888
【0117】
結論
約75cmの距離のノズル位置で230psiの高圧噴霧を使用したばく露時間30秒での過酸濃度200ppmの試験製剤1は最高の減少を達成し、約110°Fで10分間のばく露後に<3.4CFU/cmが生残した。この処置を使用することにより、>2.90logの減少が達成された。
【0118】
実施例
この試験の目的は、硬直前牛肉の細菌叢に対する高温での高圧適用噴霧による総過酸濃度約50、100及び200ppmの試験製剤1の効力を乳酸と比較して決定することだった。
【0119】
試験方法パラメーター:
硬直前牛肉試料を入手し、試験時まで周囲温度で冷蔵庫に保存した。4種類の試験処理を1処理につき4つの反復試験片で使用した。処理前試料と処理後試料の両方について1つの試験片から各反復試験片として2つの芯(直径4.3cm)を採取し、99mLのLetheenブロスに混ぜた。その芯/中和剤混合物を1分間ストマッカー処理した後、連続希釈し、混釈法で平板培養した。
【0120】
試験製品:
総過酸濃度50、100及び200ppmの試験製剤1
乳酸(88%濃縮物)
(バッチ番号Si120972は4.76%総過酸と滴定された。)
【0121】
適用:
8つの芯(1反復試験片あたり2つの芯)を処理前に各試料から無菌的に取り出した。それらを処理前試料として使用した。残りの試料をきれいで衛生的なスクリーン上においた。次いで試料に20又は30秒の噴霧適用時間を使用して、総過酸濃度約50、100又は200ppmの試験製剤1を噴霧した。0.5%乳酸には30秒の噴霧適用時間のみを使用した。各反復試験片につき2つの芯を10分間のばく露時間後に取り出し、99mLの中和剤を含むストマッカー袋に入れた。
【0122】
中和剤:99mL Letheenブロス
【0123】
希釈度:
総平板計数「前」については10、10−1、10−2
総平板計数「後」については10、10−1
平板培養培地:トリプトン・グルコース・エキストラクト・アガー
【0124】
培養:16℃で72時間
【0125】
計算:
平均CFU/平板=(4反復試験片からの8計数全て/4)
平均CFU/平板×100=平均CFU/100mL=Y
平均(CUF/cm)=Y/2πr
希釈度=10、100又は10000
r=2.15cm
2=芯の数
【0126】
【表8】
Figure 0003566888
【0127】
結論
圧力約230psiで30秒間噴霧された総過酸濃度200ppmの試験製剤1は、>2.58log10の減少という最も高い硬直前牛肉表面の細菌叢の減少を達成した。圧力約65psiで30秒間噴霧された200ppmの試験製剤1は平均0.38log10の減少しか達成しなかった。
【0128】
実施例
この試験の目的は、高温での高圧適用噴霧によるリステリア・イノキュア(Listeria innocua)に対する試験製剤1と乳酸の効力を決定することだった。
【0129】
試験法 パラメーター:
硬直前牛肉試料を入手し、試験時まで周囲温度で冷蔵庫に保存した。試料を13cm片に切断し、2.0mLの接種物(下記「試験系の調製」の項参照)を試料の全表面に均等に噴霧した。次に接種済試料を室温(約23℃)で≧15分間放置した。処理前に4つの反復試験片を採取した(1反復試験片あたり2つの芯)。各噴霧処理後に、10分間のばく露時間を使用し、次いで4つの反復試料片を採取し(1反復試料片あたり2つの芯)、1分間ストマッカー処理し、連続希釈し、混釈法で平板培養した。
【0130】
処理:
1.総過酸濃度200pmの試験製剤1、圧力約 psiでの噴霧、噴霧時間30秒
2.総過酸濃度200pmの試験製剤1、圧力約150psiでの噴霧、噴霧時間30秒
3.総過酸濃度200pmの試験製剤1、圧力約100psiでの噴霧、噴霧時間30秒
4.水対照、圧力約220psiでの噴霧、噴霧時間30秒
5.約0.5%〜0.75%乳酸、圧力約220psiでの噴霧、噴霧時間30秒
6.総過酸濃度100pmの試験製剤1、圧力約220psiでの噴霧、噴霧時間30秒
7.総過酸濃度200pmの試験製剤1、圧力約220psiでの噴霧、噴霧時間15秒
上記乳酸溶液の滴定には、指示薬の変色に12滴の1N水酸化ナトリウムを使用した。0.5%乳酸溶液の予備滴定では、7滴の1N水酸化ナトリウムが必要だった。したがって本試料は0175%乳酸と1.0%乳酸の間の濃度であると見積もられた。
【0131】
試験温度:約120°F
【0132】
試験系:Listeria innocua ATCC 33090
【0133】
試験系の調製:
滅菌したウシ糞25gを50gの滅菌リン酸緩衝希釈水に加え、1分間ストマッカー処理した。この糞スラリーのうち60.0gを滅菌ストマッカー袋に移し、6.0mLの約10CFU/mL Listeria innocua 24時間液体培養物(BHIブロス中37℃で生育)を加えて混合した。したがってこの接種物は10CFU/mLと見積もられ、これは約10CFU/cmになる。
【0134】
ばく露時間:10分間
【0135】
中和剤:99mL Letheenブロス
【0136】
希釈度:
10−4、10−5、1016(処理前接種数試料)。
10、10−1、10−2(処理後試料)
【0137】
平板培養培地:Listeria選択アガー
【0138】
培養:26℃で72時間
【0139】
計算:
平均CFU/平板=(4反復試験片からの8計数全て/4)
平均CFU/平板×100=平均CFU/100mL=Y
平均(CUF/cm)=Y/2πr
r=2.15cm 2=芯の数
【0140】
【表9】
Figure 0003566888
【0141】
結論
圧力約150psiで30秒間の噴霧による過酸濃度200ppmでの処理はListeria innocua ATCC 33090の平均2.45log10の減少を達成した。乳酸は同じ生物の1.63log10の減少を達成し、これは平均1.48log10の減少を達成した水対照よりわずかに高いだけだった。
【0142】
上述の考察、実施例及びデータは、我々の現時点における本発明の理解を例証するものである。しかし、本発明の多くの変形は本発明の思想と範囲から逸脱することなく成しうるので、本発明は上記特許請求の範囲にある。

Claims (9)

  1. 肉製品中の微生物群を減少させるための肉製品の処理方法であって、
    肉製品を
    (i)少なくとも2ppmを構成する有効抗菌量の1種類又はそれ以上の炭素原子数2〜4のペルオキシカルボン酸と1種類又はそれ以上の炭素原子数8〜12のペルオキシカルボン酸の混合物と、
    (ii)少なくとも20ppmを構成する有効抗菌量の1種類又はそれ以上の炭素原子数18までのカルボン酸と、
    iii )有効量の金属イオン封鎖剤と、
    iv )有効量のヒドロトロープと、を含む抗菌組成物で処理することにより、前記微生物群を減少させる、肉製品の処理方法。
  2. 微生物群が大腸菌からなる請求項1記載の肉製品の処理方法。
  3. 肉製品が牛肉、豚肉、子牛肉、バッファロー又は子羊肉を含む筋肉肉から選択される請求項1記載の肉製品の処理方法。
  4. 肉食品がホタテガイ、小エビ、カニ、タコ、イガイ、イカ又はロブスターを含む海産食物である請求項1記載の肉製品の処理方法。
  5. 炭素原子数2〜4のペルオキシカルボン酸がペルオキシ酢酸であり、炭素原子数8〜12のペルオキシカルボン酸がペルオキシオクタン酸又はペルオキシデカン酸若しくはそれらの混合物である、請求項1記載の肉製品の処理方法。
  6. a )1種類又はそれ以上の炭素原子数2〜4のペルオキシカルボン酸と1種類又はそれ以上の炭素原子数8〜12のペルオキシカルボン酸の混合物 0.5wt-% 20wt-%
    b )炭素原子数3〜6のα - ヒドロキシモノ又はジカルボン酸 0.5wt-% 〜約 60wt-%
    c )有効量の金属イオン封鎖剤、及び
    d )有効量のヒドロトロープ
    を含有する肉製品の洗浄及び清浄化に適合した抗菌組成物
  7. 炭素原子数2〜4のペルオキシカルボン酸がペルオキシ酢酸であり、炭素原子数8〜12のペルオキシカルボン酸がペルオキシオクタン酸又はペルオキシデカン酸である、請求項6記載の抗菌組成物。
  8. 炭素原子数2〜4のペルオキシカルボン酸がペルオキシ酢酸であり、炭素原子数8〜12のペルオキシカルボン酸がペルオキシオクタン酸であって、それらがカルボン酸各1部につきペルオキシ酢酸10〜1重量部の比になる、請求項6記載の抗菌組成物。
  9. 本質的に
    a 10 1 1 1 の比のペルオキシ酢酸とペルオキシオクタン酸の混合物、
    b 0.1wt-% 10wt-% の乳酸、
    c 4wt-% 10wt-% の過酸化水素、及び
    d 0.5wt-% 1.5wt-% の金属イオン封鎖剤
    からなる肉製品の処理に適合した抗菌組成物。
JP1999231086A 1998-08-20 1999-08-18 肉製品の処理方法 Expired - Lifetime JP3566888B6 (ja)

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US09/368452 1999-08-03
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