JP3558769B2 - 血沈管用の高吸水性樹脂多孔体 - Google Patents
血沈管用の高吸水性樹脂多孔体 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は血沈管に関するが、詳しくは血沈管に使用される高吸水性樹脂多孔体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から一般的に知られている血沈管は、長手方向に沿って目盛りの付けられた中空で両端の開放した管から成り、その使用においては予定のレベル(通常ゼロ目盛り位置)まで所要量のクエン酸ナトリウムを混和した血液を充填し、血液が漏れない状態にしてから垂直に立てて血沈の測定が行われている。その際、血沈管に検査すべき血液を所定量充填する方法としては、採血して所要量のクエン酸ナトリウムと混和した血液を入れた真空採血管に血沈管の一端部を差込み他端部を口で吸ってゼロ目盛り位置まで血液を吸い上げる方法などがある。また、口で吸い上げる代りに血沈管内に細長いピストン状の棒状体を挿入し、この棒状体を引き上げることにより所要量の血液を吸い上げる方法や側面から注射針を挿入できる容器を血沈管の下端に密封的に装着し、この容器内に注射器を用いて所要量の検査すべき血液を注入して血沈管内に充填する方法などがある。
【0003】
そこで、最近は特公平7−9424号で開示されているような血沈管が開発された。この血沈管は、両端の開放した中空血沈管本体の長手方向の予定の位置で中空血沈管本体内に、空気に対しては透過性であるが液体に対しては不透過性の揆水性合成樹脂から成る血液止め塊体を一体的に挿置すると共に、中空血沈管本体内の長手方向の予定の位置に一体的に挿置される血液止め塊体が、中空血沈管本体内に嵌合するようにされたプラスチック製の型内に揆水製合成樹脂を詰め込んだものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように最近開発された血沈管(特公平7−9424号、実開昭62−81056号)に改良を加えて、従来よりも優れた血沈管にしようとしたところにある。
【0005】
すなわち、本発明が解決しようとする課題は、従来の血沈管に使用されている揆水性合成樹脂体の素成分を改良すると共に構造形態を改良しようとしたところにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の如き課題を解決するために開発したものであって、熱可塑性樹脂の粉粒体を半融成形して多孔体を設け、該多孔体を所定形状に形成してシリコン油に浸漬して温度60℃に10〜20分間乾燥して成る高吸水性樹脂多孔体を成形加工し、該多孔体の上下片面若しくは両面にHDPEの多孔体を接合して多孔体高分子層に成形したことを特徴とする血沈管用の高吸水性樹脂多孔体の提供にあり、また前記高吸水性樹脂多孔体が揆水性多孔体にて構成すると共に該揆水性多孔体内にこれの総重量に対してキセロゲル状の高吸水性高分子を0.5 〜10.0重量%含有させて成り、また前記高吸水性樹脂多孔体を均一な内径を有しかつ両端が開口している合成樹脂管のいずれか一方の開口から所定位置に多孔性合成樹脂体を挿着し、液体流入口側から合成樹脂管に目盛を付けて多孔性合成樹脂体の一端面が目盛の基点となるように構成され、更に前記高吸水性高分子がポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン、酢酸ビニール共重合体、ポリスチレン、アクリロニトル系共重合体等の熱可塑性樹脂の粉粒体を半融成形をして得られた多孔質体内に高吸水性高分子((キセロゲル)を密着させて成り、また前記高吸水性樹脂多孔体が、ゼラチン、寒天、アラビアガム等の吸水能及び封止能力を有する高分子化合物から成る血沈管用の高吸水性樹脂多孔体の提供にある。
【0007】
【発明の実施の形態】
まず、本発明は熱可塑性樹脂の粉粒体を半融成形して多孔体を設け、該多孔体を所定形状に形成してシリコン油に浸漬して温度60℃に10〜20分間乾燥して成る高吸水性樹脂多孔体を成形加工し、該多孔体の上下片面若しくは両面にHDPEの多孔体を接合して多孔体高分子層に成形した血沈管用に使用される高吸水性樹脂多孔体にある。
【0008】
また、前記高吸水性樹脂多孔体が揆水性多孔体にて構成すると共に該揆水性多孔体内にこれの総重量に対してキセロゲル状の高吸水性高分子を0.5 〜10.0重量%含有させて成る血沈管に使用される高吸水性樹脂多孔体にある。
【0009】
また、前記高吸水性樹脂多孔体を均一な内径を有しかつ両端が開口している合成樹脂管のいずれか一方の開口から所定位置に多孔性合成樹脂体を挿着し、液体流入口側から合成樹脂管に目盛を付けて多孔性合成樹脂体の一端面が目盛の基点となるように構成される血沈管に使用される高吸水性樹脂多孔体にある。
【0010】
また、前記高吸水性高分子がポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン、酢酸ビニール共重合体、ポリスチレン、アクリロニトル系共重合体等の熱可塑性樹脂の粉粒体を半融成形して得られた多孔質体内に高吸水性高分子((キセロゲル)を密着させて成る血沈管に使用される高吸水性樹脂多孔体にある。
【0011】
更に、前記高吸水性樹脂多孔体がゼラチン、寒天、アラビアガム等の吸水能及び封止能力を有する高分子化合物から成る血沈管に使用される高吸水性樹脂多孔体にある。
【0012】
すなわち、本発明の高吸水性樹脂多孔体から成る多孔体高分子層を血沈管に使用することによって、3層体の中央に接合されている多孔体高分子層のみに血液を止めることができるので、中央の多孔体高分子層にて水に接触される血液等の液体(ぬるぬるした液状のもの)が上下に接合されているHDPEの多孔体で封止されて外部への溶出を防ぐことができる。
【0013】
【実施例】
以下、図面によって本発明の実施例について説明する。
図1は本発明の血沈管の斜視図であり、1はその血沈管である。血沈管1は、例えばポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレンなどの合成樹脂管2から作られている。この合成樹脂管2は、内径が均一に形成されかつ両端が開口している。合成樹脂管2の一端は、血液等の液体を流入させる液体流入口3となっている。この合成樹脂管2の他端は、テーパ状に形成されておりテーパ状開口4は合成樹脂管2内の所定位置に多孔体高分子層5を挿着しやすいように設けられている。なお、多孔体高分子層5は気孔は通過するが液体は通過させない特性を有している。
【0014】
図2は、本発明の高吸水性樹脂多孔体から成る多孔体高分子層を示したものである。本図からも明らかのように、多孔体高分子層Aは高吸水性樹脂多孔体Bの上下両面にHDPE(多孔体)が接合されている。このHDPEの多孔体は、高吸水性樹脂多孔体Bに付着される血液等の液体が外部に溶出しないように封止するために設けたものである。本図では、高吸水性樹脂多孔体Bの上下両面にHDPEの多孔体を接合されているが、片面のみに接合して使用することも可能である。
【0015】
本発明の多孔性高分子層5に使用される高吸水性樹脂多孔体Aは、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン、酢酸ビニール共重合体、ポリスチレン、アクリロニトル系共重合体等の熱可塑性樹脂の粉粒体を半融成形して得られた多孔質体内に高吸水性高分子(キセロゲル)を密着させることにより得るものである。ここで言う半融成形とは、上述のような熱可塑性樹脂の粉粒体を一定形状の金型に充填しかつ気孔率を調整する目的で充填層を加圧し、更に粉粒体充填層を均一に加熱して粒子の接触表面が半融状態で融着した時点で冷却して、各粒子間空隙が完全に連続した3次元的空間(気孔)を形成させる成形方法のことを言い、また高吸水性高分子とはゼラチン、寒天、アラビアガム等の吸水能及び封止能力のある高分子化合物のことを言い、更にキセロゲルとは高吸水性高分子が乾いた状態のことを言う。
【0016】
従って、高吸水性樹脂多孔体Aは熱可塑性樹脂の粉粒体を半融成形して得られた多孔質体内にキセロゲル状態の高吸水性高分子を密着させたものであるから、空気等の気体は通すが血液等の液体が高吸水性樹脂多孔体Aに接触すると、キセロゲル状態の高吸水性高分子が液体を瞬時に吸水してキセロゲル状の高吸水性高分子を膨潤して液体を通さなくなる。なお、この多孔体高分子層5は一端面5aが液体流入口3側から1mmきざみで目盛を付け、20cmのところが0点(基点)に位置するように合成樹脂管2内に挿着されている。
【0017】
次に、上記構成から成る血沈管の使用方法を説明する。
まず、本発明の血沈管1を用意してクエン酸ナトリウムにより凝固防止された血液の入った試験管等の中に血沈管1の液体流入口3を入れる。ついで、ポンプ等でテーパ状開口4側から合成樹脂管2内を減圧すると血液流入口3から合成樹脂管2内に血液が入り、この血液が目盛の0点すなわち多孔性合成樹脂体5の一端面5aに達すると多孔性合成樹脂体5内に密着したキセロゲル状態の高吸水性高分子が、瞬時に血液中の水分を吸収し膨潤して封止状態になり血液は0点にて止まるように構成されている。従って、血沈管1内に血液を0点まで入れる操作は簡単容易かつ瞬時に行なうことができる。このあと、血沈管1を垂直にして赤血球の沈降状態を所定時間ごとに測定すれば良く、また測定後には使用した血沈管1を廃棄する。
【0018】
【発明の効果】
本発明は、熱可塑性樹脂の粉粒体を半融成形して多孔体を設け、該多孔体を所定形状に形成してシリコン油に浸漬して温度60℃に10〜20分間乾燥して成る高吸水性樹脂多孔体を成形加工し、該多孔体の上下片面若しくは両面にHDPEの多孔体を接合して多孔体高分子層に成形し、また前記高吸水性樹脂多孔体が揆水性多孔体にて構成すると共に該揆水性多孔体内にこれの総重量に対してキセロゲル状の高吸水性高分子を0.5 〜10.0重量%含有させて成り、また前記高吸水性樹脂多孔体を均一な内径を有しかつ両端が開口している合成樹脂管のいずれか一方の開口から所定位置に多孔性合成樹脂体を挿着し、液体流入口側から合成樹脂管に目盛を付けて多孔性合成樹脂体の一端面が目盛の基点となるように構成され、更に前記高吸水性高分子がポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン、酢酸ビニール共重合体、ポリスチレン、アクリロニトル系共重合体等の熱可塑性樹脂の粉粒体を半融成形して得られた多孔質体内に高吸水性高分子(キセロゲル)を密着させて成り、また前記高吸水性樹脂多孔体がゼラチン、寒天、アラビアガム等の吸水能及び封止能力を有する高分子化合物から成る構成になっているので、本発明の高吸水性樹脂多孔体から成る多孔体高分子層を血沈管に使用することによって、3層の中央に接合されている多孔体高分子層のみに血液を止めることができる。その結果、中央の多孔体高分子層にて水に接触される血液等の液体(ぬるぬるした液状のもの)が上下に接合されているHDPEの多孔体で封止されて外部への溶出を防ぐ効果が得られる。更に、この高吸水性樹脂多孔体には気体は通過するが液体は透過させない特性を有しているので、従来から有する効果を損なうこともない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用される従来の血沈管を示した斜視図。
【図2】本発明の高吸水性樹脂多孔体から成る多孔体高分子層を示した拡大断面図。
【符号の説明】
1 血沈管 2 合成樹脂管
3 液体流入口 4 テーパ状開口
5 多孔性高分子層 5a 一端面
B 高吸水性樹脂多孔体
Claims (5)
- 熱可塑性樹脂の粉粒体を半融成形して多孔体を設け、該多孔体を所定形状に形成してシリコン油に浸漬して温度60℃に10〜20分間乾燥して成る高吸水性樹脂多孔体を成形加工し、該多孔体の上下片面若しくは両面にHDPEの多孔体を接合して多孔体高分子層に成形したことを特徴とする血沈管用の高吸水性樹脂多孔体。
- 前記高吸水性樹脂多孔体が、揆水性多孔体にて構成すると共に該揆水性多孔体内にこれの総重量に対してキセロゲル状の高吸水性高分子を0.5 〜10.0重量%含有させて成る請求項1記載の血沈管用の高吸水性樹脂多孔体。
- 前記高吸水性樹脂多孔体を均一な内径を有しかつ両端が開口している合成樹脂管のいずれか一方の開口から所定位置に多孔性合成樹脂体を挿着し、液体流入口側から合成樹脂管に目盛を付けて多孔性合成樹脂体の一端面が目盛の基点となるように構成される請求項1又は2記載の血沈管用の高吸水性樹脂多孔体。
- 前記高吸水性高分子が、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン、酢酸ビニール共重合体、ポリスチレン、アクリロニトル系共重合体の熱可塑性樹脂の粉粒体を半融成形して得られた多孔質体内に高吸水性高分子(キセロゲル)を密着させて成る請求項1又は2記載の血沈管用の高吸水性樹脂多孔体。
- 前記高吸水性樹脂多孔体が、ゼラチン、寒天、アラビアガムの吸水能及び封止能力を有する高分子化合物から成る請求項4記載の血沈管用の高吸水性樹脂多孔体。
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