JP3553950B2 - 好気性アクアリウム濾過チャンバ - Google Patents

Description

発明の技術分野
本発明は、一般的にはアクアリウム濾過に関し、詳しくは、物理的及び好気性バクテリアの組合せ型フィルタに関する。
発明の背景
有毒な廃棄物の蓄積を除くために、３つのタイプの濾過的アプローチによる方式が一般的に利用されている。１つの方式は、懸濁した廃棄物質を機械的なフィルタで物理的にトラップする物理的濾過である。フィルタは、合成樹脂繊維のけばだった塊状の瀘材を利用する。砂や砂利の床も地下砂利形式のフィルタで利用されている。
第２の周知のタイプの濾過は、主として有機物の除去又は非活性化に関する化学的濾過である。活性化された炭素及びイオン交換樹脂が化学的濾過に一般的に使用される。上記タイプの濾過は、周知であってしばしば利用されるものの、水を浄化し、水棲動物自身の一般的に知られている有害排泄物のある種のものを除去するには、一般に不十分である。
多分、最も重要でしかも最も利用されていない第３のタイプの濾過は、生物学的濾過である。そのような生物学的濾過は、生きている有機物、主としてバクテリアにより達成される。アクアリウム（水棲生物飼育）では、有害なアンモニアタンクを除くのに役立つので、好気性濾過が重要である。
好気性の硝化バクテリアは、その機能を果たすためには２つの基本的な要件がある。第１は、適当な酸素の必要性である。第２は、それらが自身を付着させる場所を必要とすることである。
好気性濾過の高い性能を与える従来のフィルタは、複雑で、大型且つ高価である。湿式／乾式フィルタと呼ばれるこれらフィルタは、湿式部を成す機械的濾過を行なうチャンバと、有酸素チャンバ内の大量の酸素の故に乾式部を成す有酸素チャンバとを有する。そのようなフィルタの１つは、1973年、11月27日の米国特許第3,774,766号であり、該特許は、水槽から水を除くためにサイホン管を、濾過された水を水槽内に戻すためにポンプを夫々使用するフィルタを開示する。この装置は、アクアリウム水槽の外側に配置するのに適している。このフィルタは、一次フィルタにアクアリウム水を引き込むためにサイホンを、好気的に濾過された水をアクアリウムに戻すためにポンプを必要とする。その結果、このフィルタは、フィルタの入力とフィルタの出力との間に、有酸素チャンバのオーバーフローの事態、及び、効率的に運転するためにアクアリウムに水を戻すポンプにとって十分な水を有しない事態の何れをも避けるために、均衡を必要とする。更に、アクアリウムに水を汲み上げて戻すことを保証するために、有酸素チャンバを通過して滴る水の適量を集めることをも必要とする。フィルタは、重力戻り機構を利用するのに適していなく、水を戻すためにポンプを使用する。装置は、更に、ポンプが故障し水がチャンバを溢れる場合の安全装置を有しない。
本発明の譲り受け人に付与された、1993年、１月５日の米国特許第5,176,824号は、チャンバ底部のスリットを通過する重力戻り、及び、水をフィルタに汲み上げる単一のインペラ型ポンプを使用する改良された湿式／乾式フィルタを開示する。好気性バクテリアフィルタは、アクアリウム水槽の内部又は上に配置しなければならない。そのフィルタは、水のレベルより上の高さに配置しなければならず、しかも、適当な濾過のためには、水が好気性媒体を滴り落ちるに充分な高さを持たなければならない。
先のフィルタは主要な好気性濾過を与えるものの、更なる改良及び改善は有益である。そのようなフィルタをアクアリウム水槽の完全な外側に配置して容易に清掃でき、且つ、水槽内の水のレベルよりも上に配置することを要しないならば望ましい。好気性濾過のために大きなエリアと、管に水を流し入れるための単一のポンプ手段と、アクアリウム水槽内への重力戻りとを有することも出来る。上記及び他の利点は、以下の記述で更に述べられる本発明によって達成される。
発明の開示
従って、本発明の目的は、改良された組み合わせ型湿式／乾式フィルタを提供することである。
本発明の別の目的は、完全にアクアリウム水槽の外側に位置する組み合わせ型湿式／乾式フィルタを提供することである。
本発明の更に別の目的は、水がフィルタを多数回循環するようにして濾過を繰り返す組み合わせ型湿式／乾式フィルタを提供することである。
本発明の更に別の目的は、濾過水を重力によりアクアリウム水槽に戻すようにすることである。
本発明の更に別の目的は、濾過水が物理的チャンバからアクアリウム水槽及び好気性バクテリア・フィルタの双方に流れるように二つの水路を設けることである。
本発明の更に別の目的は、水がフィルタからこぼれたり、溢流したりしないようにすることである。
簡単に言えば、本発明に係る湿式／乾式フィルタは、アクアリウム水の濾過に供される。湿式チャンバは、粗い空隙のスポンジとフィルタカートリッジの形態の物理的フィルタを収容している。好気性バクテリア・フィルタは、好気性バクテリアが付着している媒体を収容している。組み合わせフィルタは、完全にアクアリウム水槽の外側に、更に詳細にはアクアリウム水槽の外側に配置され、アクアリウム水槽に濾過水を重力により戻し、これにより水がフィルタから溢流したり、アクアリウム水槽の外側にこぼれたりしないようにしている。
運転では、水は、アクアリウム水槽からポンピングにより抜き出され、フィルタに送られる。水は、フィルタハウジングに収容されている物理的フィルタチャンバに流路チューブを経由して送水される。水が物理的フィルタチャンバを充たすにつれて、水は、物理的フィルタを通って流れる。水が物理的フィルタチャンバの頂部に達したとき、水は２本の溢流路に到達する。一方の溢流路は、アクアリウム水槽に水を返し、他方の溢流路はフィルタハウジング内の好気性バクテリア・フィルタチャンバに水を送水する。好気性バクテリア・フィルタに送水された水は、好気性バクテリア・フィルタ媒体を通って滴下する。水面が好気性バクテリア・フィルタチャンバ内で上昇するにつれて、流路チューブ周りに設けられた浮きカラが上昇し、その結果、流路チューブの孔が露出する。好気性バクテリアチャンバ内の水は流路チューブに入りアクアリウム水槽からの水に合流する。合流した水は連続して物理的フィルタに流れ込み、そこで、プロセスが繰り返される。
本発明の実施例では、好気性バクテリアチャンバは、内側チャンバハウジングと、好気性バクテリア・フィルタ媒体と、流路チューブがその中に配置された外側チャンバとから構成され、内側チャンバからの水は、外側チャンバに流れ込む。
【図面の簡単な説明】
図１は本発明に係る組み合わせ型湿式／乾式フィルタの斜視図である。
図２は本発明に係る組み合わせ型湿式／乾式フィルタを流過するアクアリウム水の流路を図示する。
図３は外側ハウジングを外した状態での図１のフィルタの斜視図である。
図４は図３のフィルタの詳細図であって、フィルタを通る水の流路を図示する。
図５は外側ハウジングを外した状態での図１のフィルタをその底部から見た斜視図である。
発明の詳細な説明
図１には、総括的に数字10で示すアクアリウム・フィルタの全体が示されている。フィルタ全体は、外側ハウジング12で囲まれている。外側ハウジング12は、前後に対向した前壁12及び後壁16、左右に対向した左壁18、右壁20、及び、底壁22を有する。上側24は無く、開放されている。前壁14はその幅方向を横切って水平に突出する突出部26を有する。前壁14は、上部の対向する端部に２個の切り込み部28及び30を有する。取り入れチューブ32がハウジング12の内側から切り込み部28を通って外側に伸びている。溢流路34が切り込み部30を通って外側に伸びている。
図３及び図５に示すように、ハウジング12は、取り入れチューブ32に連結し、底面に貫通孔38を有する流路チューブ36を包囲している。浮きカラ40は、流路チューブ36をぴったりした状態で貫通して摺動自在に取り付けられている。流路チューブ36の底部には、数字42で総括的に示すインペラーハウジングが設けてある。インペラーハウジング42の浮きカラ40とは反対の面には駆動装置44が連結されている。駆動装置及びインペラーは、既知の構造であって、本発明と同じ譲受人が譲り受けた1988年４月５日付けの米国特許、第4,735,715号で十分に説明されている。また、流路46が流路チューブ36に連結されている。流路チューブ36は、インペラー42の出口で貫通孔38の下の位置で流路46に連結されている。流路46は流路チューブ36を湿式チャンバ48に接続している。ストレーナ50、粗い空隙のスポンジ52及びバイオ・バク・フィルタ54のいずれか又は全部で構成されるフィルタが、湿式チャンバ48内に格納されている。バイオ・バク・フィルタ54は、使用可のフィルタカートリッジの一つの例である。乾式チャンバ56として示されている好気性バクテリア・フィルタは、湿式チャンバ48と流路チューブ36との間に配置されている。第２の溢流路70は湿式チャンバ48と乾式チャンバとの間に存在し、かつ乾式チャンバ56の上面上に配置されている。乾式チャンバ56の頂部には、滴下トレイ58が設けてある。滴下トレイ58は、多数個の孔60を有する。乾式チャンバ56の側壁には開口又はスリット62が設けてある。好気性バクテリア繁殖を維持する媒体72、例えば熱可塑性樹脂製小管が乾式チャンバ56内に収められている。貫通孔64が乾式チャンバ56の底壁に沿って設けてある。取り入れチューブ32と流路チューブ36との間には弁66が設けてある。また、取り入れチューブ32と流路チューブとの間には、安定化装置68が設けてある。
図２及び図４を参照して、この組み合わせ型湿式／乾式フィルタの運転を説明する。組み合わせ型湿式／乾式フィルタはアクアリウム水槽の外側に配置され、フィルタハウジング12の外側に沿って水平に伸びる突出部26によりアクアリウム水槽に保持される。取り入れチューブ32は、アクアリウム水槽を充たす水中に位置し、溢流路34はアクアリウム水槽の壁を越えて伸び、その先端はアクアリウム水槽の上に位置する。取り入れチューブ32は安定化装置68により適所に保持される。
駆動装置44が起動された時、ハウジング42内のインペラー装置は、回転してアクアリウム水槽から水を取り入れチューブ32に抜き出す。駆動装置44及びインペラー装置の運転は、前掲の1988年４月５日付けの米国特許、第4,735,715号で説明されている。取り入れチューブ32に抜き出される水量は、取り入れチューブ32の頂部の弁66により調整される。取り入れチューブ32に抜き出された水は、流路チューブ36、インペラー装置及び流路46を流れて湿式チャンバ48に流入する。
更に多くの水が湿式チャンバ48に流れ込むにつれて、湿式チャンバ48は水で充満し始める。湿式チャンバ48の水面は、従って、水をストレーナ50、粗い空隙のスポンジ52、フィルタカートリッジ54に流す。このようにして、水は物理的に濾過される。水面が湿式チャンバ48の頂部に達すると直ちに、水は溢流路34及び70の双方を通ってチャンバから流れ出る。第１の溢流路34はアクアリウム水槽に水を戻す。第２の溢流路70は乾式チャンバ58の頂部に水を配水する。滴下トレイ60が乾式チャンバ58を覆っている。滴下トレイ60は乾式チャンバ58に水を分散し、乾式チャンバ58の横断面の全面で水を一様に滴下させる。乾式チャンバ58に流入する水は熱可塑性樹脂製小管のような好気性バクテリア支持媒体72の上を流れる。これにより、バクテリアはこの媒体72上で繁殖する。これらバクテリアを存在させることにより、刺激性アンモニアのタンクを省略することができる。このような濾過手段は、既知であって、1993年１月５日付けの米国特許、第5,176,824号及び前掲特許で説明されている。また、相互に連結された多重の内壁で好気性バクテリア・フィルタチャンバを形成し、回り道式の流路及び溝を構成しても良い。これにより、バクテリアが付着できる拡大表面を設けることができる。
水が媒体上を流れるに連れて、水は乾式チャンバ58の底壁の孔64を通り、乾式チャンバ58から外側ハウジング12内に流出する。外側ハウジング12は水を保持するようになっている。水面が外側ハウジング12内で上昇するに連れて、流路チューブ36の周りの浮きカラ40は水面に浮き、上昇する。浮きカラ40が上昇するに連れて、浮きカラ40は流路チューブ36の貫通孔38を露出する。浮きカラ40が下降すると、浮きカラ40はそれだけ孔38を覆い、水の流量を減少させる。フィルタの運転中、浮きカラ40は、通常、孔38に関し平衡位置にある。浮き40は、閉塞或いは他の支障が生じない限り、通常、この平衡位置にある。
外側ハウジング12内の水は、この孔38を通って流路チューブ36に入り、アクアリウム水槽から流路46を通って湿式チャンバ48に汲み上げられた水と混合する。水は湿式チャンバ48でこのようにして濾過され、第１の溢流路34を流れてアクアリウム水槽に戻り、第２の溢流路70を流れて乾式チャンバ58に流入する。フィルタが運転中である間はずっと、このプロセスが、連続して繰り返される。スリット62は、好気性バクテリア媒体を空気に露出させることができる。
このフィルタ全体がアクアリウム水槽の外側に配置されるようになっているので、従来のフィルタにあった制約の多くを排除することができる。好気性バクテリア・フィルタの高さは、水を重力によりアクアリウム水槽に戻す限り、従来のフィルタの制約の一つであった。重力による戻しを維持するために、これらのフィルタは、アクアリウム水槽の内部でアクアリウム水槽内の水面の上に配置せざるを得なかった。好気性バクテリア濾過を行う従来のフィルタは、若しアクアリウム水槽の外側に配置されたならば、重力による水の戻しを採用することは出来ず、またアクアリウム水槽に水を戻すために第２のポンプを必要とした。本発明に係るフィルタは、重力による水の戻しを利用し、かつこのフィルタに水を送水するためのポンピング装置を使用している。更に、このフィルタは好気性バクテリア・フィルタの寸法に対する従来技術の制約を除去している。これは、好気性バクテリア・フィルタがバクテリア繁殖を維持する媒体をより多量に収容して、水をより好気性バクテリア的に濾過できるようにしている。
アクアリウム水槽の外側にフィルム全体を配置することにより、フィルタの交換を容易にしている。駆動装置がオフにされると直ちに、チャンバ内の過剰な水はアクアリウム水槽に溢流するようになっている。アクアリウム水槽内に水を安定して確保することができ、また、フィルタを単に持ち上げることによりアクアリウム水槽からフィルタを取り出すことができる。フィルタ全体がアクアリウム水槽の外側に配置されているので、アクアリウム水槽の内部を乱すようなことは生じない。フィルタを交換したら即座に、フィルタ全体をアクアリウム水槽に戻すことができる。
以上に、本発明の好適な実施例を説明したが、本発明の要旨及び範囲から逸脱することなく、当然に、種々な変更及び改変を行うことができる。

Claims (10)

1. アクアリウム水槽内の汚染されたアクアリウム水を生物学的に濾過するための好気性濾過手段とアクアリウム水の物理的濾過のための濾過手段との組合わせであって、該組合せが、
   アクアリウム水槽の外側壁に接するように、好気性濾過手段と物理的濾過のための濾過手段の双方を配置する手段と、
   物理的濾過のための濾過手段から出る水を、アクアリウム水槽及び好気性濾過手段の双方に導入する手段であって、該物理的濾過手段の上部に配置される手段と、
   アクアリウム水槽から水を引き出して、該引き出された水を物理的濾過のための濾過手段に供給する引出し手段とを備え、前記引き出し手段が、更に、好気性濾過手段により濾過された水を集め、該濾過された水を直接的に物理的濾過のための濾過手段に供給して、付加的な時間の物理的濾過を行なうことを特徴とする組合せ濾過装置。
2. 前記導入する手段が第１及び第２の溢流路を有し、該第１の溢流路は、重力流によってアクアリウム水槽に水を戻すためにアクアリウム水槽の上に張り出すように配置され、前記第２の溢流路は、重力流によって好気性濾過手段に水を導入するように好気性フィルタの上に張り出すように配置される、請求項１に記載の組合せ濾過装置。
3. 前記導入する手段が、取り入れチューブと、該取り入れチューブの底部に接続される水路と、取り入れチューブの底部に同様に接続されるポンプ手段とを備え、アクアリウム水がポンプ手段によって取り入れチューブに注ぎ込まれて前記水路を通ってポンプ手段に供給される、請求項２に記載の組合せ濾過装置。
4. 前記取り入れチューブが、その底部に形成された穴と、前記取り入れチューブの周りに褶動可能に配置されて、好気性濾過手段から前記穴を経由して前記取り入れチューブに流入して物理的濾過のための濾過手段に供用される水を制御する、請求項３に記載の組合せ濾過装置。
5. 好気性濾過手段に導入される水を供給するために好気性濾過手段の上部に位置して好気性濾過手段に均一な滴りを供給する散水手段を更に備える、請求項４に記載の組合せ濾過装置。
6. アクアリウム水槽の水を濾過する方法であって、
   アクアリウム水槽から物理的濾過チャンバに水を注ぎ込むステップと、
   濾過チャンバ内で水を濾過するステップと、
   第１及び第２の溢流路を夫々経由して、前記濾過された水をアクアリウム水槽及び好気性濾過チャンバに供給するステップと、
   好気性濾過チャンバに供給された水を好気性濾過するステップと、
   前記好気性濾過された水を、濾過するために物理的濾過チャンバに戻すステップとを含み、
   上記ステップを水が汲み上げられる限り繰り返すことを特徴とする濾過方法。
7. アクアリウム水槽から物理的濾過チャンバに汲み上げられる水が流路を経由して流れる、請求項６に記載の方法。
8. 好気性濾過された水が、前記流路に該流路の穴を経由して戻り、更に、前記流路を経由して物理的濾過チャンバに流入する、請求項７に記載の方法。
9. 前記流路に供給されたハウジング内の水が浮きカラによって制御される、請求項８に記載の方法。
10. 好気性濾過チャンバに供給された水が散水手段によって好気性濾過チャンバの全体に平均に分散される、請求項６に記載の方法。

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