JP3553941B2 - 異種移植片の胸腺 - Google Patents

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Description

[発明の背景]
本願は、Sykesの1993年5月17日付米国特許願第08/062,946号の一部継続出願であるSykesの1993年12月7日付米国特許願第08/163,912号の一部継続出願である。本願は、1994年3月29日付米国特許願第08/220,371号;1994年3月14日付米国特許願第08/212,228号;1993年11月10日付米国特許願第08/150,739号;1993年9月23日付米国特許願第08/126,122号;1993年8月30日付米国特許願第08/114,072号;1992年2月19日付米国特許願第07/838,595号;および1994年2月14日付PCT第US94/01616号の一部継続出願でもある。上記の列挙した米国特許願および国際出願はすべて、参照によってここに組み込まれる。
本発明は、胸腺機能の置換、および免疫学的寛容の誘導または回復に関する。
胸腺は、自己の主要組織適合性(MHC)抗原に関係してペプチド抗原を認識する成熟した自己寛容T細胞の発生のための中枢器官である。自己MHC分子が抗原を提示する必要性は、MHC制限と呼ばれる。無胸腺の個体は、正常数のMHC制限T細胞を形成すべき器官を保有せず、そのため免疫不適格である。
[発明の要約]
胸腺移植片、例えば異種胸腺移植片を受容した無胸腺のT細胞枯渇宿主の宿主T細胞は、供与者胸腺組織、例えば異種胸腺組織で成熟できることが発見されている。移植された異種胸腺組織で成熟する宿主T細胞は、免疫適格である。
上記により、本発明は、一面では、T細胞の始原細胞を形成できるが、胸腺機能を欠き、そのため正常な免疫応答に充分な数の成熟した機能性T細胞を形成できない宿主または受容者、例えば霊長類である宿主または受容者、例えばヒトに、免疫適格性を回復または誘導する(あるいはT細胞の始原細胞が機能性成熟T細胞へと成熟もしくは発生できる胸腺依存性の能力を回復または促進する)方法を特徴とする。本発明は、霊長類である宿主に供与者胸腺組織、例えば異種胸腺組織、好ましくは胎児もしくは新生児の胸腺組織を導入する結果、移植された胸腺組織で宿主T細胞が成熟できる段階を含む。
好適実施態様では、胸腺組織の供与者は異種生物種であり、そして:胸腺異種移植片は不一致異種移植片であり;胸腺異種移植片は一致異種移植片であり;宿主は霊長類、例えばヒト、胸腺組織はブタ、例えば矮小種のブタの胸腺組織、または霊長類の胸腺組織である。
本方法は、供与者の組織の受容を促進するか、さもなければ本方法を最適化する、他の段階を包含できる。好適実施態様では、胸腺組織は、異種のものであり、そして:肝臓または脾臓組織、好ましくは胎児もしくは新生児の肝臓または脾臓組織を胸腺組織とともに移植し;供与者の造血細胞、例えば脊髄血液幹細胞、または胎児もしくは新生児の肝臓または脾臓細胞を受容者に投与する、例えば胎児肝細胞の懸濁液を腹腔内または静脈内に投与し;好ましくは異種移植片の胸腺組織を導入する前か、またはその時点で、受容者を胸腺切除する。
他の好適実施態様では、本方法は、(好ましくは受容者に胸腺組織を導入する前か、またはその時点で)例えば受容者NK細胞と結合できる抗体を受容者に導入することによって、受容者ナチュラルキラー(NK)細胞を枯渇させるか、不活性化するか、または阻害して、胸腺組織のNK介在拒絶を防止し;(好ましくは受容者に胸腺組織を導入する前か、またはその時点で)例えば受容者T細胞と結合できる抗体を受容者に導入することによって、宿主T細胞機能を枯渇させるか、不活性化するか、または阻害し;(好ましくは受容者に胸腺組織を導入する前か、またはその時点で)例えば受容者のCD4またはCD4+細胞と結合できる抗体を受容者に導入することによって、宿主CD4+細胞機能を枯渇させるか、不活性化するか、または阻害することを包含する。
他の好適実施態様は、(好ましくは胸腺組織または造血幹細胞の移植の前に)例えば、低線量、例えば100〜400ラドの全身照射を受容哺乳類に照射すること、骨髄抑制性薬物の投与、または造血幹細胞を不活性化もしくは枯渇させる抗体の投与のうち一つまたはそれ以上によって、造血空間を創出して、(好ましくは胸腺組織の移植の前に)受容者骨髄を枯渇させるか、または部分的に枯渇させる段階を包含する。
他の好適実施態様は、(好ましくは胸腺組織または造血幹細胞の移植の前に)例えば約700ラドの胸腺照射を宿主に照射すること、1回もしくはそれ以上の投与分の抗T細胞抗体、例えば抗CD4および/または抗CD8モノクローナル抗体を受容者に投与すること、あるいは米国特許願第08/220,371号明細書に記載されたとおり、短期クールの免疫抑制剤を受容者に投与することのうち一つまたはそれ以上によって、胸腺T細胞を不活性化することを包含する。
他の好適実施態様は、例えば、自然抗体を枯渇させるか、または不活性化する薬物、例えばデオキシスペルグアリンの投与;抗IgM抗体の投与;または供与種からの供与者器官、例えば腎臓もしくは肝臓の血液灌流によって、例えば宿主の血液を供与者の抗原に接触させることによる宿主の血液からの自然抗体の吸収のうち一つまたはそれ以上によって、自然抗体を枯渇させるか、さもなければ不活性化することを包含する。
好適実施態様では、宿主または受容者は、出生後の個体、例えば成人もしくは小児である。
好適実施態様では、本方法は、T細胞の始原細胞を形成できるが、胸腺機能を欠き、そのため正常な免疫応答に充分な数の成熟した機能性T細胞を形成できない宿主または受容者を同定する段階を更に包含する。
他の好適実施態様では、胸腺組織とは異なる器官から得られた移植片を受容者に移植し;そして受容者は供与者または供与種から造血幹細胞、例えば骨髄細胞を受容しない。
受容者による移植片の受容を促進するために、他の方法をここに開示された方法と併用することができる。例えば、供与者抗原を発現する核酸、例えば供与者MHC遺伝子を受容者細胞、例えば造血幹細胞に挿入し、遺伝子工学的に操作された細胞を受容者に導入することによって、供与者組織に対する寛容も誘導できる。例えば、ヒトの受容者幹細胞を、ブタのMHC遺伝子、例えばブタのクラス1もしくはクラス2のMHC遺伝子、またはクラス1およびクラス2遺伝子の双方を発現するよう操作して、該細胞をヒトである受容者に移植できるが、この受容者は、ブタの胸腺組織を受容することになる。受容者の霊長類、例えばヒトに挿入される結果、供与者MHC遺伝子の発現は、その後の供与者抗原への曝露に対する寛容を招き、こうして、供与者からの胸腺組織に対する寛容を誘導できる。これらの方法、およびここに開示された方法と併用できる他の方法は、参照によってここに組み込まれるSachsの1993年9月23日付米国特許願第08/126,122号明細書、および参照によってここに組み込まれるSachsの1993年9月29日付米国特許願第08/129,608号明細書で考察されている。
例えば、参照によってここに組み込まれるSachs、CosimiおよびSykesの1992年2月19日付米国特許願第07/838,595号明細書に開示の造血幹細胞の移植によって、寛容を誘導する方法も、ここに開示の方法と併用することができる。
寛容を誘導する他の方法を、供与者組織の受容を促進するのに用いてもよい。例えば、T細胞支援の抑制は、例えば短期クールの高投与量の免疫抑制剤、例えばサイクロスポリンの投与によって誘導でき、これは寛容を誘導することが見出されている。これらの方法では、T細胞支援は、移植片の移植直後の比較的短期間だけ抑制され、慢性的免疫抑制を必要としないか、または包含しない。これらの方法は、ここに開示の方法と併用できる他の方法と同様に、参照によってここに組み込まれるSachsの1994年3月29日付米国特許願第08/220,371号明細書に記載されている。
例えばサイトカイン活性のレベルを変えることによって寛容を促進するか、または移植片の受容を促進する他の方法は、参照によってここに組み込まれるSachs、Le Guern、SykesおよびBlanchoの1993年8月30日付米国特許願第08/114,072号明細書に開示されている。
異種胸腺組織は、受容者に異種移植片に対する寛容を誘導できることも発見されている。
上記により、もう一つの面では、本発明は、第一の生物種の受容哺乳類、例えば霊長類、例えばヒトに、第二の生物種、例えば不一致種の哺乳類から得た移植片に対する寛容を誘導する方法を特徴とする。本方法は、移植片の移植の前、またはそれと同時に、受容哺乳類に第二の生物種の胸腺組織、例えば胸腺上皮、好ましくは胎児または新生児の胸腺組織を導入し;(任意に)受容者に移植片を移植することを含む。胸腺組織は、T細胞レベルでの免疫学的寛容を誘導することによって、受容者をその後の移植片に備えさせる。
好適実施態様では、胸腺の異種移植片は不一致異種移植片であり;胸腺の異種移植片は一致異種移植片であり;受容者はヒトであり、胸腺組織はブタ、例えば矮小種のブタの胸腺組織、または霊長類の胸腺組織である。
好適実施態様は、移植片胸腺の受容、および免疫学的寛容の誘導を促進するか、さもなければ操作を最適化するための他の段階を含む。好適実施態様では、肝臓または脾臓組織、好ましくは胎児もしくは新生児の肝臓または脾臓組織を胸腺組織とともに移植し;供与者の造血細胞、例えば脊髄血液幹細胞、または胎児もしくは新生児の肝臓または脾臓細胞を受容者に投与する、例えば胎児肝細胞の懸濁液を腹腔内もしくは静脈内に投与し;好ましくは異種移植片の胸腺組織を導入する前か、またはその時点で、受容者を胸腺切除する。
他の好適実施態様では、本方法は、(胸腺組織もしくは幹細胞を受容者に導入する前か、またはその時点で)例えば、受容者のナチュラルキラー(NK)細胞と結合できる抗体を受容者に導入することによって、受容者NK細胞を枯渇させるか、不活性化するか、または阻害して、胸腺組織のNK介在拒絶を防止し;(好ましくは受容者に胸腺組織を導入する前か、またはその時点で)例えば、受容者のT細胞と結合できる抗体を受容者に導入することによって、受容者T細胞を枯渇させるか、不活性化するか、または阻害し;(好ましくは受容者に胸腺組織を導入する前か、またはその時点で)例えば、受容者CD4またはCD4+細胞と結合できる抗体を受容者に導入することによって、宿主CD4+細胞の機能を枯渇させるか、不活性化するか、または阻害することを含む。T細胞はもとよりNK細胞も溶解する、抗成熟T細胞抗体を投与することができる。T細胞を溶解することは、胸腺組織と異種移植片との双方の生存に好都合である。抗T細胞抗体は、抗NK抗体とともに、抗胸腺細胞抗血清中に存在する。反復投与量の抗NKまたは抗T細胞抗体が好ましい可能性がある。本発明の方法では、モノクローナル調製品を用いることができる。
他の好適実施態様は、受容者は供与者または供与種から造血細胞を受容せず;第二の生物種の同じ哺乳類が移植片と胸腺組織との双方の供与者であり;供与哺乳類はブタ、例えば矮小種のブタであり;例えばウマまたはブタから得られた、抗ヒト胸腺細胞ポリクローナル抗血清を受容者に投与するものを包含する。
他の好適実施態様は、(好ましくは胸腺組織または造血幹細胞の移植の前に)例えば、低線量、例えば100〜400ラドの全身照射を受容哺乳類に照射すること、骨髄抑制性薬物の投与、または造血幹細胞を不活性化もしくは枯渇させる抗体の投与のうち一つまたはそれ以上によって、造血空間を創出して、受容者の骨髄を枯渇させるか、または部分的に枯渇させる段階を含む。
他の好適実施態様は、(好ましくは胸腺組織または造血幹細胞の移植の前に)例えば約700ラドの胸腺照射を受容者に照射すること、1回またはそれ以上の投与分の抗T細胞抗体、例えば抗CD4および/または抗CD8モノクローナル抗体を受容者に投与すること、または、米国特許願第08/220,371号明細書に記載のとおり、短期クールの免疫抑制剤を受容者に投与することのうち一つまたはそれ以上によって、胸腺T細胞を不活性化することを含む。
好適実施態様では、宿主または受容者は、出生後の個体、例えば成人または小児である。
好適実施態様では、本方法は、移植片を必要とする宿主または受容者を同定する段階を更に含む。
他の好適実施態様は、例えば、自然抗体を枯渇させるか、または不活性化する薬物、例えばデオキシスペルグアリンの投与;抗IgM抗体の投与;または、例えば、供与種からの供与者器官、例えば腎臓もしくは肝臓の血液灌流を用いた、例えば宿主の血液を供与者抗原に接触させることによる受容者の血液からの自然抗体の吸収のうち一つまたはそれ以上によって、自然抗体を枯渇させるか、さもなければ不活性化することを含む。
受容者による移植片の受容を促進するために、他の方法をここに開示された方法と併用することができる。例えば、供与者抗原を発現する核酸、例えば供与者MHC遺伝子を受容者の細胞、例えば造血幹細胞に挿入し、遺伝子工学的に操作された細胞を受容者に導入することによって、異種胸腺組織に対する寛容を誘導することもできる。例えば、ヒトの受容者幹細胞を、ブタMHC遺伝子、例えばブタのクラス1もしくはクラス2のMHC遺伝子、またはクラス1とクラス2遺伝子の双方を発現するよう操作して、該細胞をヒトである受容者に移植することができるが、この受容者は、ブタ胸腺組織を受容することになる。受容霊長類、例えばヒトに挿入されると、供与者MHC遺伝子の発現は、その後の供与者抗原への曝露に対する寛容を招き、こうして、供与者からの胸腺組織に対する寛容を誘導できる。これらの方法、およびここに開示された方法と併用できる他の方法は、Sachsの1993年9月23日付米国特許願第08/126,122号明細書、およびSachsの1993年9月29日付米国特許願第08/129,608号明細書で考察されている。
例えば、Sachs、CosimiおよびSykesの1992年2月19日付米国特許願第07/838,595号明細書に開示された造血幹細胞の移植によって、寛容を誘導する方法も、ここに開示の方法と併用できる。
寛容を誘導する他の方法を、供与者組織の受容を促進するのに用いてもよい。例えば、T細胞支援の抑制は、例えば短期クールの高投与量の免疫抑制剤、例えばサイクロスポリンの投与によって誘導でき、これは寛容を誘導することが見出されている。これらの方法では、T細胞支援は、移植片の移植直後の比較的短期間だけ抑制され、慢性的免疫抑制を必要としないか、または包含しない。これらの方法は、ここに開示の方法と併用できる他の方法と同様に、Sachsの1994年3月29日付米国特許願第08/220,371号明細書に記載されている。
例えばサイトカイン活性のレベルを変えることによって、寛容を促進するか、または移植片の受容を促進する他の方法は、Sachs、LeGuern、SykesおよびBlanchoの1993年8月30日付米国特許願第08/114,072号明細書に開示されている。
もう一面では、本発明は、T細胞の始原細胞は形成できるが、胸腺機能を欠き、そのため正常な免疫応答を与えるのに充分な数の成熟T細胞を形成できない後天性免疫疾患の恐れがある受容者、例えば霊長類である受容者、例えばヒト(例えばエイズの恐れがあるヒト)に免疫適格性を回復させるか、または誘導する方法を特徴とする。本発明は、霊長類である受容者に供与者胸腺組織、例えば異種胸腺組織を導入する結果、移植された供与者胸腺組織中で受容者T細胞が成熟できる段階を含む。胸腺組織は、好ましくは胎児または新生児の胸腺組織である。
好適実施態様では、胸腺組織は異種のそれであり;胸腺異種移植片は不一致異種移植片であり;胸腺異種移植片は一致異種移植片であり;受容者はヒトであって、胸腺組織は脊椎動物、例えばブタ、例えば矮小種のブタの胸腺組織、または霊長類胸腺組織である。
移植片、特に異種移植片の受容は、免疫疾患の段階に左右されるであろう。一般に、疾患が進行していればそれだけ、受容者の免疫系は傷ついており、供与者胸腺組織の受容を誘導するのが容易である。場合によっては、移植片それ自体の寛容化効果が、異種胸腺の受容を与えるのに充分であろう。他の場合には、追加的方策が必要とされるであろう。したがって、本方法は、供与者組織の受容を容易にするか、さもなければ本方法を最適化する、他の段階を含むことができる。
好適実施態様では、肝臓または脾臓組織、好ましくは胎児もしくは新生児の肝臓または脾臓組織を胸腺組織とともに移植し;供与者の造血細胞、例えば脊髄血液幹細胞、または胎児もしくは新生児の肝臓または脾臓細胞を受容者に投与する、例えば胎児肝細胞の懸濁液を腹腔内または静脈内に投与し;好ましくは異種移植片の胸腺組織を導入する前か、またはその時点で、受容者を胸腺切除する。
好適実施態様では、本方法は、(好ましくは受容者に胸腺組織を導入する前か、またはその時点で)例えば、受容者のナチュラルキラー(NK)細胞と結合できる抗体を受容者に導入することによって、受容者NK細胞を枯渇させるか、不活性化するか、または阻害して、胸腺組織のNK介在拒絶を防止することを含み;本方法は、(好ましくは受容者に胸腺組織を導入する前か、またはその時点で)例えば、受容者のT細胞と結合できる抗体を受容者に導入することによって、受容者T細胞を枯渇させるか、不活性化するか、または阻害し;(好ましくは受容者に胸腺組織を導入する前か、またはその時点で)例えば、受容者のCD4またはCD4+細胞と結合できる抗体を受容者に導入することによって、宿主CD4+細胞機能を枯渇させるか、不活性化するか、または阻害することを含む。
他の好適実施態様は、(好ましくは胸腺組織または造血幹細胞の移植の前に)例えば、低線量、例えば100〜400ラドの全身照射を受容哺乳類に照射すること、骨髄抑制性薬物の投与、または造血幹細胞を不活性化もしくは枯渇させる抗体の投与のうち一つまたはそれ以上によって、造血空間を創出して、受容者の骨髄を枯渇させるか、または部分的に枯渇させる段階を含む。
他の好適実施態様は、(好ましくは胸腺組織または造血幹細胞の移植の前に)例えば約700ラドの胸腺照射を受容者の哺乳類に照射すること、1回またはそれ以上の投与分の抗T細胞抗体、例えば抗CD4および/または抗CD8モノクローナル抗体を受容者に投与すること、または、米国特許願第08/220,371号明細書に記載のとおり、短期クールの免疫抑制剤を受容者に投与することのうち一つまたはそれ以上によって、胸腺T細胞を不活性化することを含む。
他の好適実施態様は、例えば、自然抗体を枯渇させるか、または不活性化する薬物、例えばデオキシスペルグアリンの投与;抗IgM抗体の投与;または供与種からの供与者器官、例えば腎臓もしくは肝臓の血液灌流によって、例えば宿主血液を供与者抗原に接触させることによる受容者の血液からの自然抗体の吸収のうち一つまたはそれ以上によって、自然抗体を枯渇させるか、さもなければ不活性化することを含む。
好適実施態様では、宿主または受容者は、出生後の個体、例えば成人もしくは小児である。
好適実施態様では、本方法は、T細胞の始原細胞を形成できるが、胸腺機能を欠き、そのため正常な免疫応答を与えるのに充分な数の成熟した機能性T細胞を形成できない、後天性免疫疾患の恐れがある宿主または受容者(例えばエイズの恐れがあるヒト)を同定する段階を更に含む。
受容者による胸腺移植片の受容を促進するために、他の方法をここに開示の方法と併用することができる。例えば、供与者抗原を発現する核酸、例えば供与者MHC遺伝子を受容者の細胞、例えば造血幹細胞に挿入し、遺伝子工学的に操作された細胞を受容者に導入することによって、供与者組織に対する寛容を誘導することもできる。例えば、ヒトの受容者幹細胞を、ブタMHC遺伝子、例えばブタのクラス1もしくはクラス2のMHC遺伝子、またはクラス1とクラス2の遺伝子の双方を発現するよう操作して、該細胞をヒトである受容者に移植することができるが、この受容者は、ブタ胸腺組織を受容することになる。受容霊長類、例えばヒトに挿入されると、供与者MHC遺伝子の発現は、その後の供与者抗原への曝露に対する寛容を招き、こうして、供与者からの胸腺組織に対する寛容を誘導できる。これらの方法、およびここに開示された方法と併用できる他の方法は、参照によってここに組み込まれるSachsの1993年9月23日付米国特許願第08/126,122号明細書、およびSachsの1994年3月29日付米国特許願第08/220,371号明細書で考察されている。
例えば、Sachs、CosimiおよびSykesの1992年2月19日付米国特許願第07/838,595号明細書に開示された造血幹細胞の移植によって、寛容性を誘導する方法も、ここに開示の方法と併用できる。
供与者胸腺組織の受容を促進するために、寛容性を誘導する他の方法を用いてもよい。例えば、T細胞支援の抑制は、例えば短期クールの高投与量の免疫抑制剤、例えばサイクロスポリンの投与によって誘導でき、これは寛容を誘導することが見出されている。これらの方法では、T細胞支援は、移植片の移植直後の比較的短期間だけ抑制され、慢性的免疫抑制を必要としないか、または含まない。これらの方法は、ここに開示の方法と併用できる他の方法とともに、Sachsの1994年3月29日付米国特許願第08/220,371号明細書に記載されている。
例えばサイトカイン活性のレベルを変えることによって、寛容を促進するか、または移植片の受容を促進する他の方法は、Sachs、LeGuern、SykesおよびBlanchoの1993年8月30日付米国特許願第08/114,072号明細書に開示されている。
もう一面では、本発明は、正常の数、または正常な免疫機能を与えるのに充分な数の成熟した機能性T細胞を形成できない後天性免疫疾患の恐れがある受容者、例えば霊長類である受容者、例えばヒト(例えばエイズの恐れがあるヒト)に免疫適格性を回復させるか、または誘導する方法を特徴とする。本発明は、霊長類である受容者に供与者造血幹細胞を導入する結果、供与者T細胞が受容者胸腺で成熟できる段階を含む。
好適実施態様では、供与者幹細胞は異種供与者からのものであり、そして:異種移植片である造血幹細胞は不一致種からのものであり;該造血幹細胞は一致種からのものであり;受容者はヒトであり、そして該造血幹細胞は脊椎動物、例えばブタ、例えば矮小種のブタの造血幹細胞、または霊長類の造血幹細胞である。
供与者の細胞の受容は、免疫疾患の段階に左右されるであろう。一般に、疾患が進行していればそれだけ、受容者の免疫系は傷ついており、供与者、特に異種供与者の組織の受容を誘導するのが容易である。場合によっては、幹細胞それ自体の寛容化効果が、受容の必要を賄うのに充分であろう。別の場合には、追加的方策が必要とされるであろう。したがって、本方法は、供与者の細胞の受容を容易にするか、さもなければ本方法を最適化する、他の段階を含むことができる。好適実施態様では:肝臓または脾臓組織、好ましくは胎児もしくは新生児の肝臓または脾臓組織を供与者の造血細胞、例えば脊髄血液幹細胞とともに移植するか、または胎児もしくは新生児の肝臓または脾臓細胞を受容者に投与する、例えば胎児肝細胞の懸濁液を腹腔内または静脈内に投与する。
好適実施態様では:本方法は、(好ましくは受容者に供与者の細胞を導入する前か、またはその時点で)例えば、受容者のナチュラルキラー(NK)細胞と結合できる抗体を受容者に導入することによって、受容者NK細胞を枯渇させるか、不活性化するか、または阻害して、胸腺組織のNK介在拒絶を防止することを含み;本方法は、(好ましくは受容者に胸腺組織を導入する前か、またはその時点で)例えば、受容者のT細胞と結合できる抗体を受容者に導入することによって、受容者T細胞を枯渇させるか、不活性化するか、または阻害し;(好ましくは受容者に胸腺組織を導入する前か、またはその時点で)例えば、受容者のCD4またはCD4+細胞と結合できる抗体を受容者に導入することによって、宿主CD4+細胞機能を枯渇させるか、不活性化するか、または阻害することを含む。
他の好適実施態様は、(好ましくは胸腺組織または造血幹細胞の移植の前に)例えば、低線量、例えば100〜400ラドの全身照射を受容哺乳類に照射すること、骨髄抑制性薬物の投与、造血幹細胞を不活性化もしくは枯渇させる抗体の投与のうち一つまたはそれ以上によって、造血空間を創出して、受容者の骨髄を枯渇させるか、または部分的に枯渇させる段階を含む。
他の好適実施態様は、(好ましくは胸腺組織または造血幹細胞の移植の前に)例えば約700ラドの胸腺照射で受容哺乳類を照射すること、1回またはそれ以上の投与分の抗T細胞抗体、例えば抗CD4および/または抗CD8モノクローナル抗体を受容者に投与すること、または、米国特許願第08/220,371号明細書に記載のとおり、短期クールの免疫抑制剤を受容者に投与することのうち一つまたはそれ以上によって、胸腺T細胞を不活性化することを含む。
他の好適実施態様は、例えば、自然抗体を枯渇させるか、または不活性化する薬物、例えばデオキシスペルグアリンの投与;抗IgM抗体の投与;または供与種からの供与者器官、例えば腎臓もしくは肝臓の血液灌流によって、例えば宿主血液を供与者抗原に接触させることによる受容者の血液からの自然抗体の吸収のうち一つまたはそれ以上によって、自然抗体を枯渇させるか、さもなければ不活性化することを含む。
好適実施態様では、宿主または受容者は、出生後の個体、例えば成人もしくは小児である。
好適実施態様では、本方法は、後天性免疫疾患の恐れがある宿主または受容者(例えばエイズの恐れがあるヒト)であって、正常数の、または免疫応答を与えるのに充分な数の成熟した機能性T細胞を形成できない宿主または受容者を同定する段階を更に含む。
受容者による移植された幹細胞の受容を促進するために、他の方法をここに開示の方法と併用することができる。例えば、供与者抗原を発現する核酸、例えば供与者MHC遺伝子を受容者の細胞、例えば造血幹細胞に挿入し、遺伝子工学的に操作された細胞を受容者に導入することによって、供与者組織に対する寛容を誘導することもできる。例えば、ヒトの受容者幹細胞を、ブタMHC遺伝子、例えばブタのクラス1もしくはクラス2のMHC遺伝子、またはクラス1とクラス2遺伝子の双方を発現するよう操作して、該細胞をヒトである受容者に移植でき、該受容者はブタの胸腺組織を受容することになる。受容霊長類、例えばヒトに挿入すると、供与者MHC遺伝子の発現は、その後の供与者抗原への曝露に対する寛容を招き、こうして、供与者からの組織に対する寛容を誘導できる。これらの方法、およびここに開示の方法と併用できる他の方法は、Sachsの1993年9月23日付米国特許願第08/126,122号明細書、およびSachsの1994年3月29日付米国特許願第08/220,371号明細書で考察されている。
例えば、Sachs、CosimiおよびSykesの1992年2月19日付米国特許願第07/838,595号明細書に開示された造血幹細胞の移植によって、寛容を誘導する方法も、ここに開示の方法と併用できる。
供与者の組織の受容を促進するために、寛容を誘導する他の方法をここに開示の方法と併用することができる。例えば、T細胞支援の抑制は、例えば短期クールの高投与量の免疫抑制剤、例えばサイクロスポリンの投与によって誘導でき、これは寛容を誘導することが見出されている。これらの方法では、T細胞支援は、移植片の移植直後の比較的短期間だけ抑制され、慢性的免疫抑制を必要としないか、または含まない。これらの方法は、ここに開示の方法と併用できる他の方法と同様に、Sachsの1994年3月29日付米国特許願第08/220,371号明細書に記載されている。
例えばサイトカイン活性のレベルを変えることによって、寛容を促進するか、または移植片の受容を促進する他の方法は、Sachs、LeGuern、SykesおよびBlanchoの1993年8月30日付米国特許願第08/114,072号明細書に開示されている。
もう一面では、本発明は、胸腺機能を欠き、そのため正常数の成熟した機能性T細胞、または正常な免疫機能を与えるのに充分な数の成熟した機能性T細胞を形成できない、後天性免疫疾患の恐れがある受容者、例えば霊長類である受容者、例えばヒト(例えばエイズの恐れがあるヒト)に免疫適格性を回復させるか、または誘導する方法を特徴とする。本発明は、霊長類である受容者に、供与者胸腺組織、好ましくは異種胸腺組織と、供与者造血幹細胞、好ましくは異種造血幹細胞とを導入する結果、供与者T細胞が移植された供与者胸腺組織で成熟できる段階を含む。胸腺組織は、好ましくは胎児または新生児の胸腺組織である。
好適実施態様では、胸腺移植片は異種移植片であり;胸腺異種移植片は不一致異種移植片であり;該胸腺異種移植片は一致異種移植片であり;受容者はヒトであり、そして胸腺組織は脊椎動物、例えばブタ、例えば矮小種のブタの胸腺組織、または霊長類の胸腺組織である。
好適実施態様では:異種移植片である造血幹細胞は不一致種からのものであり;該造血幹細胞は一致種からのものであり;受容者はヒトであって、該造血幹細胞は脊椎動物、例えばブタ、例えば矮小種のブタの造血幹細胞、または霊長類の造血幹細胞である。
好適実施態様では、胸腺移植片の供与者、および幹細胞の供与者は:同じ生物であり;同じ種からのものであり;同系であり;少なくとも一つのクラス1MHC遺伝子座が適合し;少なくとも一つのクラス2MHC遺伝子座が適合し;それに適合する充分なMHCが他者からの移植片を拒絶せず;完全または部分的に同系である獣群からの矮小種のブタである。
供与者の移植片、特に異種移植片の受容は、免疫疾患の段階に左右されるであろう。一般に、疾患が進行していればそれだけ、受容者免疫系は傷ついており、供与者組織の受容を誘導するのが容易である。場合によっては、供与者組織自体の寛容化効果が、受容の必要を賄うのに充分であろう。他の場合には、追加的方策が必要とされるであろう。したがって、本方法は、供与者組織の受容を容易にするか、さもなければ本方法を最適化する、他の段階を含むことができる。好適実施態様では:肝臓または脾臓組織、好ましくは胎児もしくは新生児の肝臓または脾臓組織を胸腺組織とともに移植し;供与者造血細胞、例えば脊髄血液細胞、または胎児もしくは新生児の肝臓または脾臓細胞を受容者に投与する、例えば胎児肝細胞の懸濁液を腹腔内または静脈内に投与し;好ましくは異種移植片である胸腺組織を導入する前か、またはその時点で、受容者を胸腺切除する。
好適実施態様では:本方法は、(好ましくは受容者に胸腺組織または幹細胞を導入する前か、またはその時点で)例えば、受容者のナチュラルキラー(NK)細胞と結合できる抗体を受容者に導入することによって、受容者NK細胞を枯渇させるか、不活性化するか、または阻害して、胸腺組織のNK介在拒絶を防止することを含み;本方法は、(好ましくは受容者に胸腺組織または幹細胞を導入する前か、またはその時点で)例えば、受容哺乳類のT細胞と結合できる抗体を受容者に導入することによって、受容者T細胞を枯渇させるか、不活性化するか、または阻害し;(好ましくは受容者に胸腺組織または幹細胞を導入する前か、またはその時点で)例えば、受容者のCD4またはCD4+細胞と結合できる抗体を受容者に導入することによって、宿主CD4+細胞機能を枯渇させるか、不活性化するか、または阻害することを含む。
他の好適実施態様は、(好ましくは胸腺組織または造血幹細胞の移植の前に)例えば、低線量、例えば100〜400ラドの全身照射を受容哺乳類に照射すること、骨髄抑制性薬物の投与、造血幹細胞を不活性化もしくは枯渇させる抗体の投与のうち一つまたはそれ以上によって、造血空間を創出して、受容者の骨髄を枯渇させるか、または部分的に枯渇させる段階を含む。
他の好適実施態様は、(好ましくは胸腺組織または造血幹細胞の移植の前に)例えば約700ラドの胸腺照射を受容哺乳類を照射すること、1回またはそれ以上の投与分の抗T細胞抗体、例えば抗CD4および/または抗CD8モノクローナル抗体を受容者に投与すること、または、米国特許願第08/220,371号明細書に記載のとおり、短期クールの免疫抑制剤を受容者に投与することのうち一つまたはそれ以上によって、胸腺T細胞を不活性化することを含む。
他の好適実施態様は、例えば、自然抗体を枯渇させるか、または不活性化する薬物、例えばデオキシスペルグアリンの投与;抗IgM抗体の投与;または、例えば供与種からの供与者器官、例えば腎臓もしくは肝臓の血液灌流によって、例えば宿主血液を供与者抗原に接触させることによる受容者の血液からの自然抗体の吸収のうち一つまたはそれ以上によって、自然抗体を枯渇させるか、さもなければ不活性化することを含む。
好適実施態様では、宿主または受容者は、出生後の個体、例えば成人もしくは小児である。
好適実施態様では、本方法は、後天性免疫疾患の恐れがある宿主または受容者(例えばエイズの恐れがあるヒト)であって、胸腺機能を欠き、そのため正常数の成熟した機能性T細胞、または正常な免疫応答を与えるのに充分な数の成熟した機能性T細胞を形成できない、宿主または受容者を同定する段階を更に含む。
受容者による供与者の組織の受容を促進するために、他の方法をここに開示の方法と併用することができる。例えば、供与者抗原を発現する核酸、例えば供与者MHC遺伝子を受容者の細胞、例えば造血幹細胞に挿入し、遺伝子工学的に操作された細胞を受容者に導入することによって、供与者組織に対する寛容を誘導できる。例えば、ヒトの受容者幹細胞を、ブタMHC遺伝子、例えばブタのクラス1もしくはクラス2のMHC遺伝子、またはクラス1とクラス2遺伝子の双方を発現するよう操作して、該細胞をヒトである受容者に移植でき、該受容者は、ブタの胸腺組織を受容することになる。受容霊長類、例えばヒトに挿入すると、供与者MHC遺伝子の発現は、その後の供与者抗原への曝露に対する寛容を招き、こうして、供与者からの組織に対する寛容を誘導できる。これらの方法、およびここに開示の方法と併用できる他の方法は、Sachsの1993年9月23日付米国特許願第08/126,122号明細書、およびSachsの1994年9月29日付米国特許願第08/220,371号明細書で考察されている。
例えば、Sachs、CosimiおよびSykesの1992年2月19日付米国特許願第07/838,595号明細書に開示された造血幹細胞の移植によって、寛容を誘導する方法も、ここに開示の方法と併用できる。
寛容を誘導する他の方法をここに開示の方法と併用して、供与者組織の受容を促進することができる。例えば、T細胞支援の抑制は、例えば短期クールの高投与量の免疫抑制剤、例えばサイクロスポリンの投与によって誘導でき、これは寛容を誘導することが見出されている。これらの方法では、T細胞支援は、移植片の移植直後の比較的短期間だけ抑制され、慢性的免疫抑制を必要としないか、または含まない。これらの方法は、ここに開示の方法と併用できる他の方法とともに、Sachsの1994年3月29日付米国特許願第08/220,371号明細書に記載されている。
例えばサイトカイン活性のレベルを変えるか、または移植片対受容者疾患を抑止することによって、寛容を促進するか、または移植片の受容を促進する他の方法は、Sachs、LeGuern、SykesおよびBlanchoの1993年8月30日付米国特許願第08/114,072号明細書に開示されている。
造血細胞を用いて、移植片に対する寛容を誘導できることも発見されている。
上記により、もう一面では、本発明は、第一の生物種の受容哺乳類、例えば霊長類、例えばヒトに、第二の生物種、例えば不一致種、例えば不一致霊長類種の供与哺乳類から得られた移植片に対する免疫学的寛容を誘導する方法を特徴とする。本方法は:移植片の移植の前、またはそれと同時に、受容哺乳類に第二の生物種の造血幹細胞、例えば骨髄細胞、または胎児の肝臓もしくは脾臓細胞を導入し;(好ましくは、該造血幹細胞は受容哺乳類中の部位に回帰し);任意には、(好ましくは、該造血幹細胞を受容哺乳類に導入する前に)例えば、受容哺乳類のナチュナルキラー(NK)細胞と結合できる抗体を受容哺乳類に導入することによって、受容者NK細胞を枯渇させるか、不活性化するか、または阻害して、造血幹細胞のNK介在拒絶を防止し;そして(任意には)移植片を受容者に移植することを含む。下記に更に詳細に説明するとおり、造血幹細胞は、B細胞とT細胞の双方のレベルで寛容を誘導することによって、受容者をそれに続く移植片に備えさせる。好ましくは、造血幹細胞は、胎児の肝臓もしくは脾臓、または、未成熟細胞(すなわち未分化の造血幹細胞であって;これら所望の細胞は、投与の前に骨髄から分取できる)を含む骨髄細胞であるか、あるいはそのような細胞を含む複合骨髄試料を用いることができる。
抗NK抗体の一つの入手源は、抗ヒト胸腺細胞ポリクローナル抗血清である。第二の、抗成熟T細胞抗体も投与できるが、これはT細胞ばかりかNK細胞も溶解する。T細胞を溶解することは、骨髄と異種移植片の双方の生存に好都合である。抗T細胞抗体は、抗胸腺細胞抗血清中に抗NK抗体とともに存在する。反復的投与量の抗NKまたは抗T細胞抗体が好ましいと思われる。本発明の方法には、モノクローナル調製品を用いることができる。
好適実施態様は:供与者の種特異的間質組織、好ましくは造血間質組織、例えば胎児の肝臓または胸腺を受容哺乳類に導入する段階;および、造血幹細胞移植の前に、受容哺乳類の成熟T細胞と結合できる抗体を受容哺乳類に導入する段階を含む。
好適実施態様は:造血幹細胞と同時に、またはその前に間質組織を導入し;抗体と同時に、またはその前に造血幹細胞を導入し;造血幹細胞と同時に、またはその前に間質組織を導入し、そして抗体と同時に、またはその前に造血幹細胞を導入するそれらを含む。
好適実施態様は:第二の生物種の同じ哺乳類が、移植片と造血幹細胞の双方の供与者であり;供与哺乳類がブタ、例えば矮小種のブタであり;導入が静脈内注射により;そして、例えばウマまたはブタから得た抗ヒト胸腺細胞ポリクローナル抗血清を投与するそれらを含む。
他の好適実施態様は、(好ましくは胸腺組織または造血幹細胞の移植の前に)例えば、100〜400ラドの全身照射で受容哺乳類に照射すること、骨髄抑制性薬物の投与、造血幹細胞を不活性化もしくは枯渇させる抗体の投与のうち一つまたはそれ以上によって、造血空間を創出して、受容者の骨髄を枯渇させるか、または部分的に枯渇させる段階を含む。
他の好適実施態様は、(好ましくは胸腺組織または造血幹細胞の移植の前に)例えば約700ラドの胸腺照射で受容哺乳類を照射すること、1回またはそれ以上の投与分の抗T細胞抗体、例えば抗CD4および/または抗CD8モノクローナル抗体を受容者に投与すること、または、米国特許願第08/220,371号明細書に記載のとおり、短期クールの免疫抑制剤を受容者に投与することのうち一つまたはそれ以上によって、胸腺T細胞を不活性化することを含む。
他の好適実施態様は、例えば:自然抗体を枯渇させるか、または不活性化する薬物、例えばデオキシスペルグアリンの投与;抗IgM抗体の投与;または供与種からの供与者器官、例えば腎臓もしくは肝臓の血液灌流によって、例えば宿主血液を供与者抗原に接触させることによる受容者の血液からの自然抗体の吸収のうち一つまたはそれ以上によって、自然抗体を枯渇させるか、さもなければ不活性化することを含む。
好適実施態様は:(好ましくは造血幹細胞移植の前に)例えば、受容者の成熟T細胞と結合できる抗体を受容者に導入することによって、受容者T細胞を枯渇させるか、不活性化するか、または阻害することを含む。
好ましくは、移植片は、造血幹細胞とは異なる器官から得る。
好適実施態様は:霊長類がカニクイザルである;霊長類がヒトであり;間質組織が胎児または新生児の肝臓であり;間質組織が胎児または新生児の胸腺であり;哺乳類がブタ、例えば矮小種のブタである;移植片が肝臓であり;移植片が腎臓であるそれらを含む。
受容者による移植片の受容を促進するために、他の方法をここに開示の方法と併用することができる。例えば、供与者抗原を発現する核酸、例えば供与者MHC遺伝子を受容者の細胞、例えば造血幹細胞に挿入し、遺伝子工学的に操作された細胞を受容者に導入することによって、異種胸腺組織に対する寛容を誘導することもできる。例えば、ヒトの受容者幹細胞を、ブタMHC遺伝子、例えばブタのクラス1もしくはクラス2のMHC遺伝子、またはクラス1とクラス2遺伝子の双方を発現するよう操作して、該細胞をヒトである受容者に移植することができ、該受容者はブタ胸腺組織を受容することになる。受容霊長類、例えばヒトに挿入すると、供与者MHC遺伝子の発現は、その後の供与者抗原への曝露に対する寛容を招き、こうして、供与者からの胸腺組織に対する寛容が誘導できる。これらの方法、およびここに開示の方法と併用できる他の方法は、Sachsの1993年9月23日付米国特許願第08/126,122号明細書、およびSachsの1994年3月29日付米国特許願第08/220,371号明細書で考察されている。
例えば、Sachs、CosimiおよびSykesの1992年2月19日付米国特許願第07/838,595号明細書に開示された造血幹細胞の移植によって、寛容性を誘導する方法も、ここに開示の方法と併用できる。
異種胸腺組織の受容を促進するために、寛容性を誘導する他の方法を用いてもよい。例えば、T細胞支援の抑制は、例えば短期クールの高投与量の免疫抑制剤、例えばサイクロスポリンの投与によって誘導でき、これは寛容性を誘導することが見出されている。これらの方法では、T細胞支援は、移植片の移植直後の比較的短期間だけ抑制され、慢性的免疫抑制を必要としないか、または含まない。これらの方法は、ここに開示の方法と併用できる他の方法とともに、参照によってここに組み込まれるSachsの1994年3月29日付米国特許願第08/220,371号明細書に記載されている。
例えばサイトカイン活性のレベルを変えることによって、寛容性を促進するか、または移植片の受容を促進する他の方法は、Sachs、LeGuern、SykesおよびBlanchoの1993年8月30日付米国特許願第08/114,072号明細書に開示されている。
もう一面では、本発明は、受容哺乳類、例えば霊長類、例えばヒトに、同じ動物種の供与哺乳類から得られた移植片に対する免疫学的寛容を誘導する方法を特徴とする。本方法は下記の:(好ましくは移植片の移植の前、またはそれと同時に)受容哺乳類に、哺乳類から得た造血幹細胞、例えば骨髄細胞、または胎児の肝臓もしくは脾臓細胞を導入し(好ましくは、該造血幹細胞は受容哺乳類中の部位に回帰する);そして、好ましくは、移植片を受容者に導入することを含む。
好適実施態様は:供与者の種特異的間質組織、好ましくは造血間質組織、例えば胎児の肝臓または胸腺を受容哺乳類に導入する段階;および、造血幹細胞移植の前に、例えば、受容哺乳類の成熟T細胞と結合できる抗体を受容哺乳類に導入することによって、受容者T細胞を枯渇させるか、不活性化するか、または阻害する段階を含む。
他の好適実施態様は、(好ましくは胸腺組織または造血幹細胞の移植の前に)例えば:低線量、例えば100〜400ラドの全身照射で受容哺乳類に照射すること、骨髄抑制性薬物の投与、造血幹細胞を不活性化もしくは枯渇させる抗体の投与のうち一つまたはそれ以上によって、造血空間を創出して、受容者の骨髄を枯渇させるか、または部分的に枯渇させる段階を含む。
他の好適実施態様は、(好ましくは胸腺組織または造血幹細胞の移植の前に)例えば約700ラドの胸腺照射で受容哺乳類を照射すること、1回またはそれ以上の投与分の抗T細胞抗体、例えば抗CD4および/または抗CD8モノクローナル抗体を受容者に投与すること、または、米国特許願第08/220,371号明細書に記載のとおり、短期クールの免疫抑制剤を受容者に投与することのうち一つまたはそれ以上によって、胸腺T細胞を不活性化することを含む。
他の好適実施態様は、例えば:自然抗体を枯渇させるか、または不活性化する薬物、例えばデオキシスペルグアリンの投与;抗IgM抗体の投与;または供与動物種からの供与者器官、例えば腎臓もしくは肝臓の血液灌流によって、例えば宿主血液を供与者抗原に接触させることによる受容者の血液からの自然抗体の吸収のうち一つまたはそれ以上によって、自然抗体を枯渇させるか、さもなければ不活性化することを含む。
他の好適実施態様では:本方法は、(好ましくは受容者に胸腺組織を導入する前か、またはその時点で)例えば、受容者のNK細胞と結合できる抗体を受容者に導入することによって、受容者のナチュラルキラー(NK)細胞を枯渇させるか、不活性化するか、または阻害して、胸腺組織のNK介在拒絶を防止し;(好ましくは受容者に胸腺組織を導入する前か、またはその時点で)例えば、受容者のT細胞と結合できる抗体を受容者に導入することによって、宿主T細胞機能を枯渇させるか、不活性化するか、または阻害することを含む。
移植片に対する寛容を促進するために、他の方法をここに開示の方法と併用することができる。例えば、Sachs、CosimiおよびSykesの1992年2月19日付米国特許願第07/838,595号明細書に開示された造血幹細胞の移植によって、寛容を誘導する方法も、ここに開示の方法と併用できる。
供与者の組織の受容を促進するために、寛容を誘導する他の方法を用いてもよい。例えば、T細胞支援の抑制は、例えば短期クールの高投与量の免疫抑制剤、例えばサイクロスポリンの投与によって誘導でき、寛容を誘導することが見出されている。これらの方法では、T細胞支援は、移植片の移植直後の比較的短期間だけ抑制され、慢性的免疫抑制を必要としないか、または含まない。これらの方法は、ここに開示の方法と併用できる他の方法と同様に、Sachsの1994年3月29日付米国特許願第08/220,371号明細書に記載されている。
例えばサイトカイン活性のレベルを変えることによって、寛容を促進するか、または移植片の受容を促進する他の方法は、Sachs、LeGuern、SykesおよびBlanchoの1993年8月30日付米国特許願第08/114,072号明細書に開示されている。
ここに用いた限りで、エイズの恐れがあるとは、HIV陽性であるか、またはエイズであることを指す。
ここに用いた限りで、免疫適格性を回復、誘導または促進することとは、(1)受容者での成熟した機能性T細胞の数を増加させること、または、受容者で成熟した、成熟した機能性T細胞を与えることのいずれかもしくは双方によって、成熟した機能性T細胞の数を(本発明の方法による処置の不在下で認められたはずの数を超えて)受容者で増加させること;あるいは、(2)例えば、リコール抗原に対する皮膚の応答を上昇させる能力によって測定されるような、受容者の免疫応答性を向上させること、または、例えば生体外の試験によって、例えば抗原に対する増殖性応答、例えば破傷風抗原もしくは同種抗原に対する応答の向上によって測定されるような、受容者のT細胞の応答性を向上させることのいずれかもしくは双方を意味する。
ここに用いた限りで、成熟した機能性T細胞とは、微生物抗原に応答し、受容者および供与者の組織に寛容である(受容者または供与者起源の)T細胞である。
ここに用いた限りで、T細胞の始原細胞が成熟したT細胞へと熟成する胸腺依存性の能力を回復または誘導することとは、T細胞が成熟できる供与者胸腺組織を与えることによって、受容者での受容者起源の機能性成熟T細胞の数を増加させること、または、成熟した機能性T細胞を受容者に与えることのいずれかもしくは双方を意味する。増加は、部分的であって、例えば、成熟した機能性T細胞のレベルを、基本的に正常な免疫応答を招くレベルにまで到達させない増加であるか、または部分的であって、例えば、成熟した機能性T細胞の受容者のレベルを、基本的に正常な免疫応答を招くレベルにまで到達させるに至らない増加であることができる。
ここに用いた限りで、「胸腺機能を欠く」とは、個体の胸腺がT細胞の成熟を支援する能力が、正常な個体に比して損なわれている状態を指す。胸腺を欠く状態は、胸腺または胸腺機能が基本的に不在である状態を包含する。
ここに用いた限りで、「寛容」とは、例えば供与者の抗原に対する。例えば受容者への非自己MHC抗原の導入に応答して、さもなければ生じたはずの免疫応答を上昇させる移植片受容者の能力の抑止を指す。寛容は、体液性、細胞性、または体液性と細胞性の双方の応答を包含する。寛容の概念は、完全寛容と部分寛容の双方を包含する。換言すれば、ここに用いた限りで、寛容は、例えば供与者の抗原に対する、免疫応答を上昇させる移植片受容者の能力のいかなる程度の抑止も包含する。
ここに用いた限りで、「不一致種の組合せ」とは、脈管性器官を移植したときに超急性拒絶反応が生じる2生物種を指す。一般に、不一致種は異なる目から得られるが、非不一致種は同じ目から得られる。例えば、ラットとマウスとは非不一致種である、すなわち、それらのMHC抗原は実質的に類似しており、それらは同じ目、すなわち齧歯類の成員である。
ここに用いた限りで、「造血幹細胞」とは、成熟した骨髄細胞および/またはリンパ系細胞へと発達できる細胞を指す。好ましくは、造血幹細胞は、骨髄系統および/またはリンパ系統の長期再増殖が可能である。
ここに用いた限りで、「矮小種のブタ」とは、完全または部分的に同系の矮小種のブタを指す。
ここに用いた限りで、「移植片」とは、身体部分、器官、組織、細胞またはそれらの部分を指す。
ここに用いた限りで、「間質組織」とは、その機能的要素または実質から区別されるような、器官の支持組織または礎質を指す。
後天性免疫不全とは、専ら遺伝的欠陥以外に起因するそれである。
本発明の方法は、免疫不全、例えばT細胞不全、例えば胸腺に基づく免疫不全、例えば、胸腺の形成不全もしくは機能不全による先天性免疫不全、後天性免疫疾患、例えばエイズ、新生物疾患の結果として生じた免疫不適格、または医学的操作、例えば化学療法もしくは放射線治療の結果として生じた免疫不適格に罹患している患者での免疫適格性の誘導を可能にするであろう。
本発明のその他の特徴および利点は、下記の詳細な説明および請求項から明らかになるであろう。
[詳細な説明]
図面
最初に図面を簡単に説明する。
図1Aは、成熟マウスT細胞の末梢での存在下での移植後の時間に対する胎児性ブタTHY/LIV移植片の増殖を示すグラフである。
図1Bは、代表的な動物と移植後16週移植片の生存末梢白血球の点プロット分析である。左上の象限は0.5%;右下の象限は12.1%である。
図2は、ブタ胸腺移植片で成熟したマウスT細胞がブタ抗原に寛容であるか否かを決定するために実施した、マウス抗ブタ混合リンパ球反応(MLR)のグラフである。
異種胸腺での宿主T細胞の成熟、および異種胸腺組織による異種移植片に対する寛容の誘導
宿主によって異種移植片である胸腺の受容を促進し、こうして、1.移植器官(異種移植片)が拒絶の前に異種宿主中で生存する時間を延長すること;2.宿主T細胞が成熟できる異種胸腺組織を与えることのいずれかまたは双方のために、下記の操作を考案した。
器官移植片の場合、器官は、いかなる器官、例えば肝臓、例えば腎臓、例えば心臓であることもできる、主要な二つの基本方針は、寛容を誘導するための自然抗体の排除および胸腺組織の移植である。
器官移植または胸腺置換のいずれかのための受容者の準備は、下記の段階のいずれかまたはすべてを含む。好ましくは、下記の順序でそれらを実施する。
初めに、ウマの抗ヒト胸腺細胞グロブリン(ATG)の調製品を受容者に静脈内注射する。この抗体調製品は、成熟したT細胞およびナチュラルキラー細胞を排除する。排除されない場合、成熟T細胞は、胸腺移植片の、また感作後には異種移植器官の拒絶反応をともに促進する可能性がある。ATG調製品もナチュラルキラー(NK)細胞を排除する。おそらく、NK細胞は、移植された器官に対する効果が皆無であるが、新たに導入された胸腺組織を拒絶するよう直ちに作用する可能性がある。いかなる哺乳類宿主から得られた抗ヒトATG、例えばブタで形成されたATGも用い得るが、ブタATGのこれまでの調製品は、ウマ由来のATGより力価が低かった。ATGは抗NKモノクローナル抗体よりも優れているが、それは、一般に、後者はすべての宿主NK細胞に対して溶解性であるとは限らないが、ATGのポリクローナル混合物は、すべての宿主NK細胞を溶解できるからである。しかし、抗NKモノクローナル抗体は用い得る。免疫が比較的重く傷ついている個体では、この段階を必要としなくともよい。宿主(または供与者)T細胞が異種胸腺で成熟する際は、それらは異種胸腺組織に寛容になることになる。これに代えて、宿主の免疫系が次第に回復する際は、異種胸腺組織に対する寛容を誘導するよう宿主を処理するのが望ましいこともある。
最適には、受容者を胸腺切除できる。胸腺切除された受容者では、受容者T細胞は、受容者の胸腺で分化する機会はないが、供与者の胸腺では分化するはずである。場合によっては、貧血を避けるため、受容者を脾臓切除することが必要なこともある。
次に、受容者に低線量の照射を与えることができる。この段階は、(新たに注入された骨髄細胞のために造血空間を創出することによって)骨髄移植に有益であると考えられるが、骨髄移植を伴わない胸腺移植片では、より重要でない。しかし、致死量以下の、例えば約100ラドに等しいか、または100ラド以上400ラド未満の線量の全身照射プラス700ラドの局所胸腺照射を用いることができる。
第三に、受容者の血液から自然抗体を吸収できる(これは、器官移植片にはより重要であるが、胸腺置換の操作にも用い得る)。抗体除去は、例えば、受容者の自然抗体を吸収するための供与種の肝臓の血液灌流によって、受容者の血液を供与者または供与種の抗原に曝露することによって達成できる。形成済み自然抗体(nAb)は、移植片拒絶の主たる作用因である。自然抗体は、異種内皮細胞に結合し、専やIgMクラスに属する。これらの抗体は、異種供与者の抗原に対する既知のいかなる従前の曝露にも無関係である。これらの自然抗体を生産するB細胞は、T細胞に無関係である傾向があり、通常、発生の際のこれらの抗原に対する曝露によって自己抗原に寛容である。新たに発生するB細胞が寛容化される機序は不明である。肝臓は、腎臓より効果的な自然抗体の吸収体である。やはり、この段階も、免疫が比較的重く傷ついている患者では、少なくとも当初は、不要であることがある。
供与者の胸腺組織、好ましくは胎児または新生児の胸腺組織を受容者に移植する。胎児もしくは新生児の肝臓または脾臓組織を含めることができる。
これらの操作はいずれも、移植された胸腺組織、またはもう一つの異種器官の生存を支援する可能性があるが、すべての段階を併用したときに、最良の結果が達成される。
本発明の方法は、例えば移植片の供与者と受容者がともにヒトである、同種移植片に対して、また、例えば移植片供与者がヒトでない動物、例えばブタ、例えば矮小種のブタであり、移植片受容者が霊長類、例えばヒトである、異種移植片に対して寛容を与えるのに用いることができる。
移植組織の供与者、および寛容を誘導する胸腺移植片を供給する個体は、同一個体でなければならないか、または可能な限り近い関係でなければならない。例えば、高度に、または完全に同系である供与者の集団から移植組織を由来させることが好ましい。灌流に用いる器官の供与者は、移植組織または胸腺組織の供与者に近い関係である必要はない。
異種胸腺組織の移植:詳細な実施手順
免疫適格なC57BL/10(B10)系マウスを用いて、ブタ胸腺が不一致ブタ抗原に対する特異的寛容を誘導する能力を試験した。B10系マウスを、例えばSharabiら:J.Exp.Med.、第172巻195〜202ページ(1990年)参照の、マウスにおけるラット異種抗原に対する寛容の誘導を可能にすることが既に示されている、非骨髄切除性条件整備定式で処理した。胸腺機能正常であるか、または胸腺切除した(ATX)マウスに枯渇量の抗T細胞および抗NK細胞mAb、7グレイの縦隔洞照射、または3グレイの全身照射(WBI)を与え、次いで、胎児性ブタ胸腺/肝(THY/LIV)移植組織を腎被膜の下に与え、その後、108個の胎児肝細胞(FLC)を腹腔内投与した。マウスは、移植後0〜6週間はそれ以上抗T細胞および抗NK細胞mAbを投与しないか、または実験の継続期間中、慢性的mAb投与で保つかのいずれかとした。
ブタTHY/LIV移植片は、当初は、処理された胸腺機能正常マウスで増殖したが、T細胞およびナチュラルキラー(NK)細胞を枯渇させるモノクローナル抗体(mAb)を中止した後は増殖を停止し、これらのマウスは抗ブタIgG応答を発生した。胸腺機能正常マウスを慢性的mAb投与に維持したときは、移植片は顕著に肥大し、抗ブタIgG応答は全く観察されなかった。ブタの胸腺新生は、慢性的mAb投与中は少なくとも32週間支援されたが、ブタT細胞は、フローサイトメトリー(FMC)では末梢に全く検出されなかった。移植片内のCD4+/CD8-、CD4-/CD8+、CD4+/CD8+およびCD4-/CD8-というブタ胸腺細胞のサブセットは、正常なブタ胸腺でのそれと同様であった。
対照的に、ブタTHY/LIV移植片は、移植後の短期(6週未満)クールのmAb投与のみ与えたにすぎなかった胸腺切除した成マウス(ATX−THY/LIV)では、顕著に増殖した。mAb投与中止の6週後のこれらのマウスでの末梢WBCのFCM分析は、成熟した(αβ−TCRhi)マウスT細胞の存在を示した。胸腺機能正常な移植マウスのT細胞とは異なり、これらの細胞は、ブタTHY/LIV移植片の増殖(図1)、および抗ブタIgG抗体の応答の不在によって証拠付けられるとおり、ブタの抗原に寛容であった。大多数(90%超)のαβ−TCRhiT細胞はCD4+/CD8-であった。移植後13〜26週のFMC分析は、ブタ胸腺中の正常なブタ胸腺細胞のサブセットを立証した。例えば、移植後17週のFCMによって、ブタTHY/LIV移植片には7.9%のCD4+/CDR-、2.9%のCD4-/CD8+、85.5%のCD4+/CD8+、3.7%のCD4-/CD8-、および11.6%のαβ−TCRhiの胸腺細胞が見出されたが、これは正常B10胸腺での3.5%のCD4+/CD8-、3.2%のCD4-/CD8+、87.8%のCD4+/CD8+、5.5%のCD4-/CD8-、および10.0%のαβ−TCRhiの胸腺細胞と比較される。胸腺断片なしに移植された胎児性ブタ肝臓は、対照のmAb投与ATX−B10マウス中では増殖せず、αβ−TCRhiT細胞は、末梢には出現しなかった。したがって、ブタ胸腺は、成熟したマウスT細胞の発生に必要であった。
ブタの胸腺移植片で成熟したマウスT細胞がブタ抗原に寛容であるか否かを決定するために、マウス抗ブタ混合リンパ球反応(MLR)を実施した。ATX−THY/LIVのB10マウス(H−2b)は、抗B−10応答も抗ブタ応答も示さなかったが、充分にMHCが不適合である同種刺激体であるB10.BR(H−2k)に対する正常な同種応答を示した(図2)。
宿主骨髄に由来する細胞が、マウス胸腺細胞の発生の負の選択に参加しているか否かを決定するために、胎児性ブタTHY/LIV移植片をI−E+(BALB/cヌードマウス)とI−E-(ATXB10)の双方という受容者に移植した。I−e+マウスは、I−Eに付随する内在性超抗原の胸腺での提示のために、Vβ11T細胞を削除するのに対し、I−E-マウスは、このT細胞の一族を削除しない。したがって、Vβ11T細胞の百分率を、マウスT細胞がブタ胸腺で発生する胎児性ブタ胸腺移植片のI−E+である受容者とI−E-である受容者との間で比較した。ATXB10である受容者を上記のとおり処理した。BALB/cというヌードマウスからNK細胞を枯渇させ、3グレイのWBIで照射してから移植した。これらのマウスも、末梢に移動する大量の成熟CD4+T細胞を発生した。胎児性ブタ胸腺移植片のBALB/cヌード受容者の末梢に、Vβ11T細胞の完全な削除が認められ(表1)、ブタ胸腺で発生するマウスT細胞の負の選択には、マウスI−Eも参加したことを示す。負の選択は、免疫ペルオキシダーゼ染色を用いてブタ胸腺移植片の皮質−髄質接合部に支配的に検出された。マウスI a+樹枝状細胞によって実行される可能性が最も高い。ブタTHY/LIV移植片のATXB10受容者では、正常B10マウスと比較してのVβ11T細胞の百分率の減少が認められ(T細胞の平均2.8%±標準偏差0.8、正常B10の5.2%、p<0.005)、マウスI−Eのクラス2と充分な相同性を共有するブタSLA DRのクラス2が、ブタ胸腺移植片で発生するマウスT細胞の負の選択に参加している可能性があることを示唆する(表1)。
Figure 0003553941
表1は、ブタTHY/LIV移植片を移植したマウスのクローンの削除を示す。B10である受容者を下記のとおりに処理した。Vβ8.1/8.2に染まるT細胞の正常な百分率は、I−E+またはI−E-マウスでは削除されないVβTという細胞の一族の移植マウスでの正常な正の選択を立証する。BALB/cというヌードマウスを、ウサギ抗AsialoGm1血清を用いてNK細胞を枯渇させ、3グレイのWBI、および胎児性ブタTHY/LIV移植片の移植を腎臓被膜下に与え、次いで、0日目に108個のFLCを腹腔内に注射した。移植後13〜19週で、ACKで溶解した脾臓細胞または末梢白血球(赤血球は低張ショックによって除去した)を回収し、Vβ11T細胞の削除についてFCMによって分析した。マウスFcRは、ラットの抗マウスFcRmAb、2.4G2を用いて遮断し、次いで、フルオレセイン化ハムスター抗マウスVβ8.1/8.2TCR(Pharmingen社)、またはラット抗マウスVβ11TCR(Pharmingen社)(緑色蛍光)のいずれか、次いでフィコエリトリン結合ラット抗マウスDC4およびCDmAb(Pharmingen社)(橙色蛍光)で細胞を染色し、下記のとおり、二色FCMによって分析した。マウス細胞に対して既知の反応性を保有しないフルオレセイン化マウスmAbのHOPCI、またはラット抗マウスIgG1(Zymed Laboratories社)を、緑色蛍光での負の対照mAbに用いた。フィコエリトリン結合mAbのLeu−4(Becton−Dickinson社)を、橙色蛍光での負の対照mAbに用いた。Vβ族の分析のために、通常、約5,000のゲート制御したCD4+およびCD8+細胞を捕集した。非生存細胞は、生体核酸染色であるヨウ化プロピジウムを用いて排除した。陽性細胞の百分率を、下記のとおり決定した。結果を、個々のマウスについて得られた結果の平均値±標準偏差として示した。THY/LIV移植B10マウスと比較しての正常B10マウスでのVβ11の%について、p値は0.005未満であった。THY/LIV移植BALB/cヌードマウスと比較しての正常BALB/cマウスでのVβ11の%については、p値は0.20より大であった。
これらの研究は、不一致異種胸腺間質はマウスの胸腺新生を支援できること、ならびに末梢へと放出されるCD4+/CD8-/αβ−TCRhiT細胞は、表現型上は正常、機能性、かつ供与者の異種抗原および宿主の抗原に寛容であることを立証する。末梢でのCD4-/CD8+/αβ−TCRhiの再増殖の欠如は、マウス抗ヒト応答について立証されているとおり、マウスCD8がブタMHCクラス1分子と作用し合えないためであり、そのため、ブタの胸腺上皮によるCD8+胸腺細胞の正の選択を妨げる可能性がある。ヒトのCD8+T細胞はブタMHCクラス1と直接作用し合えることから、ヒトCD8+T細胞は、ブタ胎児胸腺移植片で効果的に成熟するはずである。
おそらく、ブタ抗原に対する寛容は、ブタTHY/LIV移植片を受容する胸腺機能正常マウスでは誘導されないが、それは、マウスT細胞の始原細胞は、発生するマウス胸腺細胞を寛容化するのに必要なブタの細胞を欠く宿主胸腺で成熟するからである。この研究に用いた非骨髄除去性の条件整備定式は、マウスである受容者におけるラット骨髄の植付けおよび供与者特異的な寛容の誘導を可能にする。このモデルでは、寛容は、キメラ性動物の胸腺の皮質−髄質接合部で検出されたラットの樹枝状細胞によって誘導されると考えられる。本研究では、0日目に投与されたFLC懸濁液中に存在するブタ造血幹細胞がマウスの胸腺に移動できないことは、回帰および分化の失敗によるものであって、おそらくはサイトカイン類および接着分子の種特異性を反映している可能性がある。一方、ATX受容者では、マウスT細胞の始原細胞は、ブタ胸腺に回帰し、寛容化されたブタ抗原である。ATX宿主にマウスTEは全く存在しないが、マウス樹枝状細胞は、THY/LIV移植片で検出可能であり、あそらく、宿主の抗原に対して反応性である細胞の観察されたクローン的削除を仲介する。ブタTHY/LIV移植片のATXB10受容者中のVβ11T細胞の百分率の減少は、ブタの細胞によるクローン的削除を示唆するが、ブタ胸腺間質に対するこのVβの一族の正の選択における欠陥が存在し得る。しかし、正常なB10およびBALB/cマウスでのそれと比較しての、ブタTHY/LIV移植片のATXB10およびBALB/cヌードである受容者の双方でのVβ8.1/8.2T細胞の正常な百分率は、正の選択における欠陥が全く存在しないことを示唆する。観察された寛容は、ブタ胸腺間質が、供与者の異種抗原に対して反応性である発生中のマウス胸腺細胞をクローン的に削除するか、または無力化するならば、説明できるであろう。
T細胞およびNK細胞が枯渇した胸腺機能正常のB10マウスと胸腺切除されたB10マウスとにおけるブタTHY/LIV移植片の生存率を、下記のとおり決定した。6〜12週齢の胸腺機能正常またはATXのC57BL/10(B10)系マウスに、Sharabiらに記載のとおり、移植前の−6日および−1日目に、mAbであるGK1.5(抗マウスCD4)、2.43(抗マウスCD8)、30−H12(抗マウスThy1.2)およびPK136(抗マウスNK1.1)を枯渇量で腹腔内注射で投与した。−1日目または0日目に、0.7グレイの局所的胸腺照射および3グレイの全身照射を受容者に施し、ほぼ1mm3の大きさの、大二四半期(妊娠36〜72日)の胎児性胸腺および肝臓の断片を、正中開腹切開によって腎被膜下に移植した(その後の実験で、胸腺照射は、マウスT細胞がブタ胸腺で成熟するのに必要であるとは判明せず、そのため、条件整備定式から排除した)。二層に腹部を閉じた後、懸濁液として108個の胎児性肝細胞(FLC)を腹腔内に注入した。移植後の毎週ベースで、枯渇量の同じ4種類のmAbを0〜6週間受容者に投与した。移植後にmAbを投与しなかったマウスでは、移植後6週間のmAb投与を与えたものと比較して、マウスCD4+T細胞の再構成、およびブタ抗原に対する寛容に差異が全く観察されなかった。対照マウスのいくつかの群は、屠殺の時点まで慢性的mAb投与で維持した。
上記のとおり、移植後5および19週に実施した予診的開腹では、末梢血中の成熟CD4+/αβ−TCRhiT細胞の存在(mAbを中止した後16週間で示された)にもかかわらず、胎児性ブタTHY/LIV移植片の大きさの増加が観察された。末梢での成熟マウスT細胞の存在下での胎児性ブタTHY/LIV移植片の増殖を、下記のとおりに調べた。末梢WBCは、12.1%のCD4+/αβ−TCRhiT細胞、および0.5%のCD8+/αβ−TCR+T細胞を含有した。胸腺断片なしに胎児性ブタ肝移植片を与えた対照ATXマウスは、それらの移植片を維持せず、末梢に5%未満のαβ−TCR+T細胞を発生した。ATXマウスは、上記のとおり条件整備した。移植後5〜6週および15〜19週に予診的開腹を実施して、移植片の大きさを測定した。マウスは、移植後定期的間隔で尾から採血して、末梢WBCを入手し、これを低張ショックで調製して、赤血球を除去した。細胞を、フルオレセイン化ラット抗マウスCD4mAb(Pharmigen社)(緑色蛍光)と、ビオチニル化ハムスター抗マウスαβTCRmAb(Pharmigen社)+フィコエリトリン・ストレプトアジビン(橙色蛍光)とを対比させて染色し、FACScanまたはFACSort流動細胞計(Becton−Dickinson社)のいずれかを用いた二色フローサイトメトリー(FCM)によって分析した。ブタまたはマウスの細胞に対する既知の反応性が皆無である、マウスmAbのHOPC1を負の対照mAbとして、緑色と橙色の蛍光の双方に用いた。対照mAbのHOPC1に染まる細胞の百分率を抗マウスmAbに染まる細胞の百分率から差し引くことによって、陽性細胞の百分率を決定した。移植後16週の(mAbを中止した後16週の)代表的動物の、生存末梢白血球の点プロット分析を図2に示す。全体として、この実施操作で処理したATXマウスの57%(27/47)が、ブタの移植片を維持し、それらのCD4+T細胞区画を再構成した。最近の実験では、この結果は、この定式で処理したマウスの90%(9/10)で達成された。
上記のとおり、ATX−THY/LIVB10(H−2b)マウスは、ブタ抗原に対する特異的不応性を示したが、MHCに充分に不適合のB10.BR(H−2k)刺激体に対する正常な同種応答性は維持していた。混合リンパ球反応(MLR)の際の、胎児性ブタTHY/LIV移植片を移植したB10マウスのブタ抗原に対する特異的な不応性は、下記のとおり決定した。胸腺断片なしのブタ肝移植片を与えた対照ATX−B10マウス(ATX−LIV)は、いかなる刺激体にも応答を全く示さず、機能性マウスT細胞の発生の際のブタ胸腺移植片の重要性を立証した。マウスは一次抗ブタ応答を示さないことから、正の対照抗ブタMLRは、ブタの皮膚移植片で感作したマウスから得た。正常なB10(右端の斜線の棒)、12週早くGG(SLA−Ic/SLA−IId)のブタの皮膚を移植した正常なB10(GG'−B−10、塗り潰した棒)、正常なB10BR(交差斜線の棒)、および上記の非骨髄除去性定式で条件整備した胸腺切除B10マウスであって、胎児性ブタ(SLA−Id/SLA−IId)THY/LIV移植片を移植したか(ATX−THY/LIV、網掛けした棒)、または胎児性ブタ肝移植片のみを移植したもの(ATX−LIV、左端の斜線の棒)から得た無菌脾細胞懸濁液をACKで溶解し、洗浄し、15%のCPSR−2(制御された処理済み血清代替物、Sigma社)、4%の栄養混合物(L−グルタミン、非必須アミノ酸、ピルビン酸ナトリウムおよびペニシリンまたはストレプトマイシン)、1%のHEPES緩衝液、および10-5モルの2−meで補強したRPMI培養液中で再構成させた。Ficoll−Hypaque層上での遠心分離によって、ブタPBLを調製した。4x105個の応答体を4x105個のマウス刺激体(3グレイ)または1x105個のブタ刺激体(3グレイ)とともに、全体積を培養液0.2mlとして5%CO2中で37℃で4日間温置した。3日目に培養物を1μCiの3Hでパルス標識し、4日目にTomtec自動化捕集器を用いて捕集し、Pharmacia社のLKB液体シンチレーションカウンターで計数した。試験したすべてのマウス(N=3)についてのMLRを二重に設定し、3日目および4日目にパルス標識し、4日目および5日目に捕集して、同様の結果を得た。
したがって、マウスT細胞は、マウス胸腺で発生することが許されるならば、ブタの抗原に対して寛容化されず、ブタの胸腺/肝移植片を拒絶する(したがって、受容者が顕著な胸腺機能を有するならば、胸腺切除が指示される)。マウスT細胞が、mAbによって継続的に枯渇させられるならば、ブタの造血がブタの胸腺/肝移植片で生じる。マウスを胸腺切除するが、抗T細胞mAbを慢性的に投与しないならば、マウスの造血がブタの胸腺で生起し、これらの細胞はブタ抗原に対して寛容化される。
異種胸腺で成熟する宿主T細胞は機能性である
B10.BR(MHCがB10に充分に不適合)およびC3H.SW(副次抗原の不適合のみ)の皮膚移植片(マウス1匹)が、ブタの胸腺移植片で成熟したマウスT細胞によって拒絶され、こうして、それらの免疫適格性、および副次抗原を宿主MHCに制限された形式で認識する能力を立証した。移植片は、上部胸部への充分な厚さの尾皮膚移植片であって、皮膚の架橋がそれらを分離していた。これらの結果は、ブタ胎児胸腺組織は、胸腺切除された受容者での免疫適格性を確保しつつ、特異的異種移植片寛容の状態を誘導するために、臨床的に用い得ることを示す。
代替的調製定式
上述のとおり、NK細胞の枯渇、全身照射および胸腺照射は、場合によっては免除できる。下記に要約した実験が示すとおり、例えば抗CD4抗体の投与による、CD4+細胞の不活性化または枯渇は、異種胸腺組織の増殖、および異種胸腺組織での宿主T細胞の成熟を可能にするのに充分である(必要とされる抗体は、種の組合せに応じて異なってよい。例えば、ヒトの受容者とブタの供与者の場合、ヒトCD8はブタのクラス1分子と作用し合うと思われるため、抗CD8抗体を投与することが必要であり得る)。
下記の表2のデータが示すとおり、抗CD4抗体および全身照射で処理したATXマウスで、移植片の増殖および宿主T細胞の発生(THY/LIV移植後9および10週での末梢T細胞の存在によって測定される限りでの)が認められた。B10マウスは、抗CD4、抗THY1.2および抗NK細胞抗体が投与されない以外は、前節で記載されたのと基本的に同様な実験で、3グレイの全身照射ならびに胎児性ブタTHY/LIV移植片および108個の胎児性肝細胞を受けた。
Figure 0003553941
ATX=胸腺切除;++=血管新生を伴う大型で、かさばる移植片;+=程々の大きさの移植片;−=貧弱な移植片(薄く、貧弱な組織);αCD4/8/THY1.2/NK1.1は、記載の抗体の投与を示す。
下記の表2のデータが示すとおり、モノクローナル抗体を投与されたが、照射は受けなかったATXマウスで、移植片の増殖が認められた。これらの実験では、B10マウスは、抗−CD4、CD8、THY1.2およびNK1.1モノクローナル抗体を与えられた。
Figure 0003553941
下記の表4のデータが示すとおり、照射は与えられず、抗CD4抗体のみ投与されたにすぎないATXマウスで、(THY/LIV移植後7週の末梢T細胞の存在によって測定されるかぎりでの)宿主T細胞の発生が認められた。
Figure 0003553941
異種胸腺組織および幹細胞の移植
下記の手順は、供与者の胸腺組織および供与者の幹細胞を受容者に導入し、こうして、免疫機能を回復もしくは誘導するか、または移植された器官(異種移植片)が異種宿主で拒絶の前に生存する時間を延長するのに用いることができる。
器官移植片の場合、該器官は、いかなる器官、例えば肝臓、例えば腎臓、例えば心臓であることもできる。二通りの主な実施方針は、器官灌流による自然抗体の排除、および寛容を誘導する骨髄の移植である。
受容者の調製は、下記の段階のいずれまたはすべてを含む。好ましくは、下記の順序で実施する。
NKおよびT細胞の排除。最初に、ウマの抗ヒト胸腺細胞グロブリン(ATG)の調製品を受容者に静脈内注射する。抗体調製品は、成熟したT細胞およびナチュラルキラー細胞を排除する。排除されないならば、成熟T細胞は、骨髄移植組織と、感作後の異種移植片自体との双方の拒絶を促進するはずである。等しく重要であるのは、ATG調製品はナチュラルキラー(NK)細胞も排除することである。NK細胞は、おそらく、移植された器官に対する効果は皆無であるが、新たに導入された骨髄を拒絶するよう直ちに作用するであろう。いかなる哺乳類の宿主から得られた抗ヒトATG、例えばブタで形成されたATGも用い得るが、ブタATGの調製品は、これまで、ウマ由来ATGより力価が低かった。ATGは、抗NKモノクローナル抗体よりも、一般に、後者はすべての宿主NK細胞に対して必ずしも溶解性ではないので、優れているが、ATGでのポリクローナル混合物は、すべての宿主NK細胞を溶解できる。しかし、抗NKモノクローナル抗体を用いることができる。
胸腺組織の移植。操作が免疫適格性を回復または誘導するはずの場合、供与者の胸腺組織(好ましくは、胎児または新生児の胸腺組織)を受容者に移植する結果、供与者T細胞(およびそれが存在し、機能性であるならば受容者T細胞も)が成熟できる。胎児もしくは新生児の肝または脾臓組織を胸腺組織とともに移植できる。
宿主T細胞が移植後に再生している期間中の胸腺での供与者の抗体の存在は、宿主T細胞を寛容化するのに決定的に重要である。宿主T細胞が再生する前に、供与者造血幹細胞が宿主胸腺で確立され、寛容を誘導することができないならば、非骨髄除去性定式の全体にわたって、反復投与量の抗受容者T細胞抗体が必要となる可能性がある。宿主T細胞の継続的な枯渇は、数週間必要とされる可能性がある。これに代えて、例えば、この方針が奏功しないならば、そしてこれらの動物に寛容(供与者の皮膚移植片の受容、生体外の特異的細胞性低応答性、および体液性寛容によって測定される限りでの)が誘導されないならば、宿主の胸腺切除を含むように方針を変更できる。胸腺切除された受容者では、宿主T細胞は、宿主の胸腺で分化する機会がないが、供与者の胸腺で分化するはずである。免疫適格性は、非供与者タイプの同種供与者の皮膚移植片を拒絶し、病原体を含有する環境で生存できる能力によって測定できる。
貧血を避けるために、受容者を脾臓切除することも必要であるか、または望ましいことがある。
造血空間の創出。新たに注入された骨髄細胞のための余地を形成するために、受容者に低線量の照射を施す。致死量未満の線量、例えば100ラドにほぼ等しいか、または100ラドを上回り、約400ラドに満たない線量の全身照射に加え、700ラドの局所的胸線照射が、この目的に効果的であると判明している。
自然抗体の排除。自然抗体は、供与種の肝臓の血液灌流によって受容者の血液から吸収される。形成済み自然抗体(nAb)は、移植片拒絶の第一義的作用因である。自然抗体は、異種内皮細胞に結合し、専らIgMクラスのものである。これらの抗体は、異種供与者の抗原との以前のいかなる既知の接触とも無関係である。これらの自然抗体を生産するB細胞は、T細胞と無関係である傾向にあり、通常、発生の際のこれらの抗原との接触によって、自己抗原に対して寛容化される。新たに発生するB細胞が寛容化される機序は不明である。肝臓は、自然抗体の腎臓より効果的な吸収体である。
供与者間質組織の移植。非骨髄除去性操作の次の段階は、好ましくは胎児の肝臓、胸腺および/または胎児の脾臓から得られた、供与者間質組織を受容者に、好ましくは腎被膜内に移植することである。異なる種の障壁を越える幹細胞の植付けおよび造血は、供与種からの造血間質の環境を与えることによって促進される。間質性礎質は、造血細胞とそれらの間質の環境との相互作用に必要な種特異的因子、例えば造血増殖因子、接着分子およびそれらのリガンドを与える。
各器官は、宿主に移植されたそれぞれの未分化幹細胞の分化を支援できる器官特異的間質性礎質を含有する。成体の胸腺を用いてよいが、妊娠の充分初期に得られた胎児性組織は、GVHDを生起し得る成熟Tリンパ球を含まないことから、好ましい。また、胎児性組織は、移植したときに、成体組織より量に生存する傾向にある。GVHDに対する追加の予防措置として、胸腺の間質組織を移植の前に照射すること、例えば1,000ラドで照射することができる。移植の代替策または付加措置として、胎児性肝細胞を流動性懸濁液として投与することができる。
最後に、供与者の骨髄細胞(BMC)、または造血幹細胞の別の供給源、例えば胎児肝懸濁液もしくは脊髄血液幹細胞を受容者に注入する。供与者幹細胞は、受容者の適切な部位へと回帰し、残余の宿主細胞に隣接して増殖し、増大して、キメラ性リンパ造血集団を形成する。この過程によって、新たに形成されたB細胞(およびそれらが生産する抗体)が供与者抗原に曝露される結果、移植組織は自己として認識されることになる。造血幹細胞、例えばBMCの植付けが達成された動物では、供与者に対する寛容もT細胞レベルで観察される。そのような受容者で、骨髄のキメラ性が導入された後数カ月間器官移植片が定置されたとき、供与者に対する自然抗体は消滅しており、移植片は、免疫系の体液性および細胞性の分枝の双方によって受容されるはずである。この方式は、造血幹細胞、例えばBMT、例えば胎児肝懸濁液の移植後に、充分長く器官移植が実施されるのを可能にして、器官移植の時点では、正常な健康および免疫適格性が回復されているであろうという追加の利点を有する。異種供与者の利用は、同じ動物、または遺伝的に適合する動物からの骨髄細胞および器官を用いる可能性を許す。肝臓は、胎児の造血の主要部位であるため、胎児肝は、造血幹細胞の供給源としての骨髄の代替物としても役立つことができる。
これらの操作はいずれも、移植された器官の製造を支援する可能性があるが、最良の結果は、すべての段階を併用したときに達成される。本発明の方法は、同種移植片、例えば移植片の供与者と受容者の双方がヒトである移植片、および異種移植片、例えば移植片供与者がヒトでない動物、例えばブタ、例えば矮小種のブタであり、移植片受容者が霊長類、例えばヒトである移植片に寛容を与えるのに用いることができる。
異種移植片の場合、移植組織の供与者、および寛容を誘導する造血細胞、または灌流しようとする肝臓のいずれかを供給する個体は、同じ個体であるか、または可能な限り近い関係になければならない。例えば、移植組織は、高度にまたは完全に同系である供与者の集団に由来するのが好ましい。
詳細な実施手順
カニクイザルを、矮小種のブタである供与者からの腎臓の受容に備えさせるための下記の実施手順では、灌流しようとする肝臓に受容者の動脈および静脈カニューレを接続した瞬間を0時間と定義する。
−1日目に、ウマの抗ヒト抗胸腺細胞グロブリン(ATG)の商業的製剤(Upjohn社)を受容者に注入する。ATGは、さもなければ寛容を誘導するのに用いられる骨髄細胞の拒絶を生起するはずの成熟したT細胞およびナチュラルキラー細胞を排除する。受容者を麻酔し、4型カテーテルを受容者に挿入し、注入の前にヘパリン添加全血6mlを除去する。次いで、ATG製剤(50mg/kg)を静脈内に注入する。30分、24時間および48時間の時点で、試験のためにヘパリン添加全血6mlの試料を抜き取る。ナチュラルキラー細胞の活性(K562標的での試験)に対する抗体投与の効果について、ならびにCD4、CD8、CD3、DC11およびCD16などのリンパ球下位集団のついてのFACS分析によって、血液試料を分析する。両検定からの予備的データは、両群の細胞はATGの投与によって排除されることを示す。成熟したT細胞およびNK細胞が排除されない場合は、操作の更に後の時期の、器官移植の前後にATGを再投与することができる。
1〜−8日目に、致死量未満の照射を受容者に与える。照射は、新たに導入された外来BMCの造血を刺激するのに充分な、受容者の内在性BMCを排除するのに必要である。致死量未満の全身照射は、最小の毒性効果を有する植付けを受容者に許すのに充分である。全身照射(150ラド)は、両側(TRBC)コバルト遠隔放射線療法ユニットから10ラド/分でカニクイザルである受容者に与えた。植付けを容易にするために、胸腺の局所照射(700ラド)も用いた。
自然抗体は、器官拒絶の第一義的原因である。移植前に受容者の循環から自然抗体を除去するために、0日目に、下記のとおり、矮小種のブタを用いて、手術による自然抗体(nAB)の吸収を実施する。−90分に、ブタである供与者を麻酔し、肝臓を標準的な手術操作による除去のために準備する。−60分に、受容者であるサルを麻酔する。末梢4型カテーテルを挿入し、全血試料6mlを抜き取る。正中切開により、腹部の大動脈と大静脈を単離する。血液試料採取用の側面ポートを有するシラスティックカニュールを血管に挿入する。
−30分目に、肝臓を、血色を失うまでその場で灌流し、次いで、ブタである供与者から除去し、冷乳酸加リンゲル中に置く。肝臓は、サルでの再灌流の直前まで冷やしておく。肝生検を実施する。−10分目に、肝臓を、暖まるまで(37℃)温アルブミン液で灌流する。
0時点で、受容者の動脈と静脈のカニューレを供与者の肝臓の門脈および大静脈に接続し、灌流を開始する。肝生検を、それぞれ30分および60分目に実施する。それぞれ30分および60分目の血清のために、受容者の血液試料も抜き取る。60分目に、肝臓をカニューレから外し、受容者の大血管を修繕する。肝臓は、受容者のサルから有害な自然抗体を吸収するというその機能に役立ったので、棄却する。2、24および48時間目に、血清のための追加の血液試料を受容者から抜き取る。ブタの肝臓の2回の連続的な灌流に対してこの操作を実施したとき、第二の肝臓は、灌流中に軽い虚血性の変化の証拠を全く示さなかった。30分の灌流の終了時点で、第二の肝臓は、大体において正常な外見であり、隣接する2本のカニューレでの動脈の流入血と比較した静脈の流出血の黒ずみによって証拠付けられるとおり、機能していると思われた。肝臓からの組織切片は正常であったが、免疫蛍光染色は、内皮細胞にIgMを示した。血清試料は、自然抗体の減少を示した。
T細胞およびB細胞を介しての寛容による移植された器官の長期生存を促進するため、供与者骨髄細胞を受容者に投与して、キメラ性骨髄を形成する。骨髄中の供与者抗原の存在は、新たに発生したB細胞、および新たに感作されたT細胞が供与者抗原を自己として認識し、それによって供与者から移植された器官に対する寛容を誘導するのを可能にする。供与者BMCを安定させるため、供与者間質性組織を、胎児の肝臓、胸腺、および/または胎児の脾臓の組織切片の形態で、受容者の腎被膜下に移植する。間質性組織は、好ましくは、造血幹細胞、例えばBMC、または胎児肝細胞懸濁液の投与と同時もしくはその前に移植する。
キメラ性を追跡するために、二色フローサイトメトリーを用いることができる。この検定法は、モノクローナル抗体を用いて、供与者のクラス1主要組織適合性抗原や白血球共有抗原と受容者のクラス1主要組織適合性抗原とを区別する。
BMCもまた、器官移植と同時か、またはその前かに注入できる。前述したとおり[Penningtonら、Transplantation、第45巻21〜26ページ(1988年)]、骨髄を採集し、静脈内に注入する。寛容が誘導される前に自然抗体が再発するならば、そしてこれらの抗体が移植片に損傷を生起するならば、実施手順を変更して、体液性寛容が器官移植の前に確立されるのに充分な時間をBMTの後に許すことができる。
上記の方式は、移植組織の拒絶という問題を相乗的に防止するために考案されている。自然抗体の肝臓による吸収の後に、骨髄移植を用いて寛容を誘導することなく腎臓をカニクイザルに移植するときに、腎機能は、腎臓の拒絶前に1〜2日間継続した。4段階の操作(肝灌流による自然抗体の吸収、ATGの投与、致死量未満の照射と骨髄注入、その後の霊長類の受容者へのブタの腎臓の移植)を実施したときは、腎臓は、拒絶前に7日間生存した。移植された器官の拒絶にもかかわらず、受容者は健康なままであった。
ブタの胎児性の肝臓および胸腺間質組織を、致死量未満で照射した2匹のSCIDマウスの腎被膜下に移植したときは、移植後2週間に、末梢血白血球の25〜50%が供与者の系統であった。胸腺なしに胎児肝を受容した第三の動物では、有意な程度のキメラ性は検出されなかった。これらの手順は、いかなる化学的免疫抑制剤も用いなかった。
その他の実施態様
その他の実施態様が下記の請求項の範囲内にある。
例えば、移植される移植片は、肝臓、腎臓、心臓のような器官;骨もしくは骨格の礎質のような身体部分;皮膚、腸、内分泌線のような組織;または各種のタイプの始原幹細胞からなってよい。
本発明の方法は、他の哺乳類の受容者(例えばアカゲザル、ヒト)で用いてよく、他の哺乳類の供与者(例えば霊長類、ブタ、ヒツジ、イヌ)を用いてもよい。
本発明の方法は、記載のとおり、併用するか、または部分的に用いてよい。
骨髄細胞を導入する方法は、特に(1)造血幹細胞の注入と移植片の移植との間の時間的間隔を増大させ;(2)注入する造血幹細胞の量を増加または減少させ;(3)造血幹細胞の注入数を変え;(4)造血幹細胞の送達方法を変え;(5)造血幹細胞の組織源を変え、例えば、胎児肝細胞懸濁液を用いてよく;あるいは(6)造血幹細胞の供与者源を変えることによって、変更してよい。移植片の供与者に由来する造血幹細胞が好ましいが、他の個体もしくは種から、または遺伝子工学的に操作された完全もしくは部分的に同系の供与者系統から、または生体外の培養物から得てもよい。
受容者を造血幹細胞の移植組織に備えさせる方法を変えてもよい。例えば、受容者に脾臓切除または胸腺切除を施してもよい。好ましくは、後者は、非骨髄除去性定式の前、例えば14日目に与えられるであろう。
自然抗体の血液灌流は、(1)他の脈管性器官、例えば肝臓、腎臓、腸を利用し;(2)多数の順次的器官を利用し;(3)各器官を灌流する時間長の変化を利用し;(4)灌流される器官の供与者の変化を利用してもよい。受容者の照射は、(1)吸収される全身放射線の線量を致死量未満の範囲を下回って変化させ;(2)異なる身体部分(例えば胸腺、脾臓)を標的にし;(3)照射の率を変化させ(例えば10ラド/分、15ラド/分);または(4)照射と造血幹細胞の移植との間の時間的間隔を変えることを利用してもよく;1〜14日のいかなる時間的間隔も用いることができ、4〜7日の時間的間隔の利用からは、ある種の利点が生じる可能性がある。造血幹細胞の移植前に導入される抗体は、(1)T細胞サブセットもしくはNK細胞に対するモノクローナル抗体(例えば、参照によってここに組み込まれるHercendらへの米国特許第4,772,552号明細書に記載のNKH1A)を用い;(2)抗ヒトATGを他の哺乳類である宿主(例えばサル、ブタ、ウサギ、イヌ)で調製し;または(3)上記の宿主のいずれかで調製された抗サルATGを用いることによって変えてもよい。
血液灌流に対する代替策または追加手段として、過剰な造血細胞の投与によって、宿主の抗体を枯渇させることができる。
造血細胞(例えばBMT)の移植前に導入される間質性組織は、(1)流動性細胞懸濁液としての胎児性肝臓および胸腺組織の投与;(2)胎児性肝臓または胸腺間質組織の、しかし双方ともではない投与;(3)他の被膜された、充分に血管が通う部位への間質性移植組織の定置;または(4)間質性組織の供給源としての成体胸腺または胎児脾臓の利用によって変えてもよい。
ここに考察したとおり、混合キメラ性の発生を促進するために、移植片受容者を照射に曝露することがしばしば望ましい。本発明者らは、放射線の線量を断片化すること、すなわち2回もしくはそれ以上の曝露または期間で放射線を送達することによって、より少ない放射線毒性で混合キメラ性を誘導できることを発見した。したがって、異種移植片または同種移植片の受容者、例えば霊長類、例えばヒトである受容者の照射を必要とする本発明のいかなる方法においても、放射線は、1回の曝露で送達するか、または、より好ましくは、2回もしくはそれ以上の曝露または期間に断片化するかのいずれでもできる。断片化された線量の合計は、好ましくは、例えば、ラドまたはグレイで、1回の曝露で与えられる、混合キメラ性を招き得る放射線線量に等しい。例えば、700ラドの1回線量を、例えば350ラドの2断片、または100ラドの7断片で置き換えることができる。本発明の方法には、放射線線量の過剰断片化も用いることができる。断片は、同じ日に送達できる。または1、2、3、4またはそれ以上の日数の間隔によって分離できる。全身照射、胸腺照射、またはその双方を断片化できる。
本発明の方法は、受容者の脾臓切除を包含できる。
ここに考察のとおり、血液灌流、例えば供与者器官での血液灌流を、自然抗体の宿主を枯渇させるのに用いることができる。自然抗体を枯渇させるか、さもなければ不活性化する他の方法は、ここに記載の方法のいずれとも用いることができる。例えば、自然抗体を枯渇させるか、または不活性化する薬物、例えばデオキシスペルグアリン(DSG)(Bristol社)、または抗IgM抗体を、同種移植片または異種移植片の受容者に投与できる。本発明の方法に、DSG(または類似の薬物)、抗IgM抗体および血液灌流のうち一つまたはそれ以上を用いて、受容者の自然抗体を枯渇させるか、または不活性化することができる。静注6mg/kg日の濃度のDSGは、カニクイザルの腎移植組織に対するブタの自然抗体機能を抑制するのに役立つことが判明している。
ここに記載の方法のいくつかは、照射を用いて造血空間を創出し、それによって同種の、異種の、同系の、または遺伝子工学的に操作した自己の幹細胞の投与に受容者を準備させる。ここに記載の方法、特に霊長類の方法または臨床的方法のいずれにおいても、非致死的手段によって、例えば致死量未満の線量の照射、骨髄枯渇性薬物、または抗体の投与によって、そのような細胞の投与のための造血空間を創出するのが好ましい。致死量未満のレベルの骨髄枯渇を用いることは、混合キメラ性を受容者に形成することを可能にする。混合キメラ性は、一般に、投与された幹細胞による受容者の完全な再構成へと続く、受容者の骨髄の全体的または致死的な除去に好ましい。
異種胸腺組織は、入手するのが容易であり、一般的には、ヒトの病原体を宿している可能性がより少ない。したがって、免疫適格性を回復または誘導する方法には、異種胸腺組織が好ましい。しかし、同種胸腺組織をこれらの方法に用いることもできる。
ここに記載の方法のいくつかは、例えば、宿主の胸腺T細胞を不活性化するため、さもなければ宿主の胸腺T細胞を介しての供与者の抗原に対する応答を弱めるために、胸腺照射の投与を包含する。本発明の同種または異種による方法で必要とされる胸腺照射は、宿主の胸腺機能、例えば宿主の胸腺T細胞介在応答を[例えば、胸腺T細胞を枯渇させるか、および/またはT細胞受容体(TCR)、CD4共受容体またはCD8共受容体のうち一つもしくはそれ以上を下方調整することによって]弱める他の処理で補強するか、または置き換えることができることが発見されている。例えば、胸腺照射は、宿主の胸腺T細胞介在応答を弱めるのに充分な回数、充分な投与量で充分な時間の間投与される抗T細胞抗体(例えば、抗CD4および/または抗CD8モノクローナル抗体)で補強するか、または置き換えることができる。
最良の結果のためには、抗T細胞抗体を反復的に投与しなければならない。例えば、供与者の胸腺または骨髄の移植前に、抗T細胞抗体を1、2、3回またはそれ以上の回数投与できる。代表的には、胸腺または骨髄の移植約5日前に、胸腺もしくは骨髄移植前投与量の抗体を患者に与えることになるであろう。追加の、胸腺もしくは骨髄の移植前6、7または8日の、より早期の投与量を与えることもできる。第一の投与を与え、次いで、患者が血清中に過剰な抗体、および末梢T細胞の約99%の枯渇を示すまで、1〜5日ごとに胸腺もしくは骨髄移植前投与を反復し、そうして骨髄移植を実施するのが望ましいと思われる。抗T細胞抗体は、胸腺または供与者の骨髄の移植後も1、2、3またはそれ以上の回数投与することができる。代表的には、胸腺もしくは骨髄移植後投与を、骨髄投与後約2〜14日に与えることになる。胸腺または骨髄移植後投与は、必要とされる限り多くの回数だけ反復できる。1回より多くの投与を与えるならば、投与を約1週間離して隔てることができる。患者が早期の、または望ましくないT細胞の回復を生じるようであれば、追加の投与分を与えることができる。好ましくは、供与者の胸腺または骨髄移植の前に少なくとも1回(および、好ましくは、2、3またはそれ以上の回数)、ならびに供与者の胸腺または骨髄の移植後に少なくとも1回(および、好ましくは、2、3またはそれ以上の回数)抗T細胞抗体を投与する。
必要とされるならば、寛容化する幹細胞および/または移植片の移植の数日以内、好ましくは72、48または24時間以内に、調製的定式の多くまたはすべてを受容者、例えば同種移植片もしくは異種移植片の受容者に送達または施行できることも発見されている。これは、ヒトが死体から移植片を受ける場合に役立つ。したがって、幹細胞および/または移植片の移植前の処理、例えば、宿主の抗体を不活性化もしくは枯渇させる処理、宿主のT細胞もしくはNK細胞を不活性化する処理、または照射の投与を必要とする本発明の方法のいずれにおいても、幹細胞および/または移植片の移植の数日以内、好ましくは72、48または24時間以内に、該処理を施し得る。特に、霊長類、例えばヒトである同種移植片の受容者には、宿主の抗体を不活性化もしくは枯渇させる処理、宿主のT細胞もしくはNK細胞を不活性化する処理、または照射のいずれかまたはすべてを、幹細胞および/または移植片の移植の数日以内、好ましくは72、48または24時間以内に施すことができる。例えば、受容者のT細胞および/またはNK細胞を枯渇させる処理、例えばATGの施行は−2、−1および0日に与えることができ、WBI、胸腺照射および幹細胞、例えば骨髄幹細胞は0日に投与できる(移植片、例えば腎同種移植片は、0日に移植する)。
参照によってここに組み込まれるPCT第US94/01616号明細書に記載のとおり、受容者での供与者造血幹細胞のための空間の(例えば全身照射による)創出後の造血幹細胞の植付けのために、許され得る期間(「窓」)が存在することが発見されている。更に、造血幹細胞の植付けのために創出された空間は、受容者での末梢白血球レベルを監視することによって、経時的に監視できることが発見されている。造血空間を創出するのに充分な骨髄抑制処理は、一般に、白血球(WBC)レベルの(例えばWBCカウントで示されるような)低下を招き、このWBCの減少は、造血空間の存在の標識として役立つ。この標識は、空間が動物中に依然として存在するときに、WBCカウントが一時に回復することもあることから、控え目なものである。
上記により、造血幹細胞の移植を必要とし、そのため受容者での造血空間の創出を必要とするいかなる方法においても、移植は、造血幹細胞のための空間の創出後の植付けのための許され得る窓の間に実施できる。同様に、外因的に投与された造血幹細胞のために空間を創出する、いかなる方法においても、白血球レベルを追跡して、造血幹細胞のための空間を監視する(すなわち、植付けのための許され得る窓を評価する)ことができる。造血幹細胞の移植を必要とする操作の例は、(1)造血幹細胞の移植がもう一つの同種もしくは異種移植片の移植と連動して実施される。同種もしくは異種移植片のための受容者の条件整備;(2)白血病、リンパ腫、およびその他の、造血幹細胞の移植が治療的に実施される造血悪性腫瘍や遺伝的造血疾患(例えば、アデノシンデアミナーゼ欠乏症、裸リンパ球症候群およびその他の先天性免疫不全疾患)などの各種の造血疾患の治療;ならびに(3)(例えば遺伝子療法として)遺伝子生成物を受容者に送達するために遺伝的に変化させた造血幹細胞(例えば、遺伝的に変化させた自己造血幹細胞)の移植を包含する。
上記により、本発明の方法は、骨髄抑制性の、または造血空間誘導性の処理が、造血空間を創出するのに充分であるか否かを決定する方法を包含する。本方法は、骨髄抑制処理を受容者に投与すること、および、白血球のレベルの低下が造血空間の存在または誘導を示すことから、例えば受容者のWBCカウントを決定することによって、受容者の白血球のレベルを決定することを包含する。
参照によってここに組み込まれるPCT第US94/01616号明細書に、かつ他の個所でここに記載のとおり、外因的に供給された造血幹細胞の植付けは、細胞の受容者を、該受容者に造血空間を誘導するように処理することによって促進できる。造血空間は、放射線によって一般的に誘導されるが、別の操作がWBIの必要性に置き換わるか、またはそれを軽減することができる。例えば、受容者によって発現されるMHCクラス1抗原に対するモノクローナル抗体を受容者に投与することによって、空間が創出できるか[例えば、M.Voraliaら、Transplantation、第44巻487ページ(1987年)を参照のこと]、または骨髄抑制性薬物を受容者に投与することによって、空間が創出できる[例えば、T.Lapidotら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、第87巻4,595ページ(1990年)を参照のこと]。
受容者の胸腺への供与者の抗原、例えば供与者の造血幹細胞の直接的導入は、受容者の免疫応答を変更できることも見出されている。したがって、本発明の実施態様は、受容者に供与者の抗原を導入することによって、受容者による移植片の(例えば該移植片の許容を延長することによる)許容を促進する方法を包含する。移植片は、同種移植片、例えば霊長類、例えばヒトからの、同種の霊長類に導入される移植片であることができる。移植片は、一致または不一致異種移植片であることができる。例えば、移植片は、第二の腫、例えば霊長類、例えばヒトに導入された矮小腫のブタの移植片であることができる。

Claims (13)

  1. T細胞の始原細胞は、形成できるが、胸腺機能を欠く霊長類である受容者において、T細胞の始原細胞が成熟した機能性T細胞へと発生できる胸腺依存性の能力を回復または促進するために、該受容者が機能性胸腺を有するならば、該受容者を胸腺切除し、該受容者のCD4+細胞を不活性化し、そして該霊長類である受容者に導入することよりなる方法に使用される、異種の非ヒト胎児または新生児の胸腺組織よりなる、胸腺依存性の能力を回復または促進する治療剤。
  2. 胎児の胸腺組織である請求項1記載の治療剤。
  3. 該霊長類がヒトであり、前記胸腺組織がブタの胸腺組織である請求項1記載の治療剤。
  4. 第一の生物種の受容霊長類に、第二の不一致生物種の非ヒト哺乳類から得た移植片に対する寛容を誘導するための治療剤であって、該治療剤は、該移植片の移植の前か、またはそれと同時に、該第二の生物種の胸腺組織を該受容者に導入し、該受容者のCD4+細胞を不活性化し、そして該移植片を該受容者に移植することよりなる方法に使用される、該第二の生物種の胸腺組織よりなり、該第二の生物種の該胸腺組織が受容者のT細胞の成熟を支持する、上記の治療剤。
  5. 第二の生物種の同じ哺乳類が、移植片と胸腺組織片との双方の供与者である請求項4記載の治療剤。
  6. 該霊長類が、ヒトである、請求項4記載の治療剤。
  7. 該供与動物が、矮小種のブタである、請求項4記載の治療剤。
  8. 前記方法が、胸腺組織の移植の前に、低線量の全身照射で受容者を照射する段階を更に含む、請求項4記載の治療剤。
  9. 該低線量照射が、少なくとも100ラドであり、400ラド未満である、請求項8記載の治療剤。
  10. 前記方法が、胸腺組織の移植の前に、胸腺照射で受容哺乳類を照射する段階を更に含む、請求項4記載の治療剤。
  11. 前記方法が、胸腺組織の移植の前に、胸腺照射で受容者を照射する段階を更に含む、請求項10記載の治療剤。
  12. 該胸腺照射が、700ラドである、請求項11記載の治療剤。
  13. 前記方法が、胸腺組織の移植の前に、該受容者の血液から自然抗体を吸収する段階を更に含む、請求項4記載の治療剤。
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