JP3550133B2 - 光学的記憶装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、MOカートリッジ等の書替え可能な媒体を用いた光学的記憶装置に関し、特に、媒体ローディング時にレーザダイオードの発光パワーを効率的に最適パワーに調整する光学的記憶装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ディスクは、近年急速に発展するマルチメディアの中核となる記憶媒体として注目されており、例えば3.5インチのMOカートリッジを見ると、旧来の128MBや230MBに加え、近年にあっては、540MBや640MBといった高密度記録の媒体も提供されつつある。このため、光ディスククドライブとしては、現在入手できる180MB、230MB、540MB及び640MBといった全ての媒体を使用できることが望まれる。
【0003】
また近年、急速に普及しているパーソナルコンピュータにあっては、再生専用として知られたコンパクトディスク(CD)の再生機能が不可欠であり、CD用の光ディスクドライブに加え、書替え可能な光ディスク装置であるMOカートリッジの光ディスクドライブを実装することは、スペース的及びコスト的に無理がある。
【0004】
このため近年にあっては、MOカートリッジとCDの両方を使用できる光ディスクドライブも開発されている。このCD/MO共用型の光ディスクドライブは、光学系、機構構造及びコントローラ回路部につき、可能な限りCD用とMOカートリッジ用の共用化を図っている。
【0005】
ところで、光ディスクドライブに使用するMOカートリッジにあっては、媒体トラックをゾーン分割し、ゾーン毎のセクタ数を同一としたZCAV記録(ゾーン定角速度記録)を採用している。MO媒体のゾーン数は、従来の128MB媒体では1ゾーン、230MB媒体では10ゾーンとなっているが、近年実用化された540MBや640MBといった高密度のPWM記録媒体にあっては、記録密度の向上に伴って媒体のトラックピッチが狭くなり、ゾーン数も増加している。
【0006】
即ち、640MB媒体は11ゾーン、540MB媒体では18ゾーンとなっている。通常、MOカートリッジを使用する光ディスク媒体の場合、媒体毎に最適な記録パワーに相違があることから、媒体をローディングした際に、ゾーン毎に試し書きを行って最適な記録パワーに調整する発光調整を行っている。
【0007】
また従来の128MBや230MB媒体は、ピットポジション変調(PPM)による記録であり、発光パワーはイレーズパワーと記録パワーの2段階の変化でよい。これに対し540MBや640MBのPWM媒体では、記録密度を高めるためにパルストレインによる記録を採用している。パルストレイン記録では、発光パワーを、イレーズパワー、第1ライトパワー、及び第2ライトパワーの3段階に変化させる必要がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このためゾーン数が増加した540MBや640MBの媒体について、ゾーン毎に発光調整を行うと、パルストレイン記録により発光パワーの種類が増加したことと併せ、調整に非常に時間がかる問題がある。また、発光調整時には、実際のPPM記録やPWM記録における瞬時的なライト発光に比べると、調整を必要とする比較的長い時間に亘ってファームウェアの指定するデフォルト値によってレーザダイオードが発光駆動される。これは実質的にレーザダイオードをDC発光させることとなり、高い発光パワーで発光調整を行なうとレーザダイオードにダメージを与え、劣化を早めてしまう恐れもあった。
【0009】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、ゾーン数が多くともレーザタイオードに負担を掛けることなく効率良く発光調整ができるようにした光学的記憶装置を提供することを目的とする。
【0010】
また従来の光ディスクドライブにあっては、媒体のデータ書込みに使用するライトパワーは、媒体の種類及び媒体温度により最適パワーが異なっている。このため光ディスクドライブに媒体をローディングした際、媒体にテストパターンの試し書き、即ちテストライトを行うことで最適パワーを決定するパワー調整処理を行っている。
【0011】
従来のパワー調整処理は、図57のように、デフォルトパワーとして与えられたライトパワーをスタート401のパワーとして、例えばライトパワーを段階的に減少させながらテストパターンの書込みと読出しを繰り返してデータ不一致数(エラー数)を計数する。ライトパワーを低下させて限界パワーに近づくと、データ不一致数が増加し、例えば1000個を超える限界点404の限界パワーWPaを求める。
【0012】
次に、スタート点401からライトパワーを段階的に増加させながらテストパターンの書込みと読出しを繰り返してデータ不一致数(エラー数)を計数する。ライトパワーを増加させて限界パワーに近づくと、データ不一致数が増加し、例えば1000個を超える限界点406の限界パワーWPbを求める。
【0013】
このように上下限の限界パワーWPa,WPbが検出できたならば、その中間のライトパワー(WPb−WPa)/2を最適ライトパワーWP−best と決定する。
【0014】
しかしながら、このような従来の光ディスクドライブにおけるテストライトを伴うライトパワーの調整処理にあっては、スタートパワーを起点にライトパワーを減少及び増加させながら2つの限界パワーを検出しなければならないため、限界パワーの検出に時間がかかり、例えば媒体をローディングしてからレディ状態になるまでに時間がかかる問題がある。
【0015】
またライトパワー調整のためにレーザダイオードを高パワーで駆動してテストライトする必要があるため、レーザダイオードに大きな負担を加えることとなり、更に、ライトパワー調整は装置の運用中にも頻繁に行われることから、レーザダイオードの劣化を早め、装置の耐久性を損う問題がある。
【0016】
従って、本発明の他の目的は、短時間でレーザダイオードに負担を加えることなくテストライトによる最適ライトパワーを決定する処理が適切にできる光学的記憶装置を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
図1は本発明の原理説明図である。
【0018】
(発光調整)
本発明に従えば、ゾーン数が多くともレーザタイオードに負担を掛けることなく効率良く発光調整ができるようにした光学的記憶装置が提供される。
【0019】
本発明の光学的記憶装置は、媒体の記録再生に使用するレーザ光を発光するレーザダイオード100を有する。媒体の記録時には、発光電流源により複数の異なる規定パワーの組合せに応じた駆動電流をレーザダイオード100に流す。発光電流源は、レジスタ、DAコンバータ及び電流源回路で構成され、発光電流源で流す電流値は、レジスタとDAコンバータを用いた発光電流指示部が指示する。またレーザダイオード100の発光パワーを規定の目標パワーに制御する自動パワー制御部(APC;Automatic Power Control) 138が設けられる。自動パワー制御部138は、例えば規定の目標リードパワーに制御する。
【0020】
レーザダイオード100には、レーザ光の一部を受光して受光電流を出力するモニタ受光素子102が設けられる。媒体の記録時には、受光電流から規定の発光パワーと目標リードパワーの差に相当する規定の差引電流を差し引いてモニタ電流とし、このモニタ電流を自動パワー制御部に帰還させる。
【0021】
このため目標リードパワーを越えるイレーズパワー及びライトパワーの発光時にも、リードパワー相当のモニタ電流が自動パワー制御部138に帰還される。差引電流源はレジスタ、DAコンバータ及び電流源回路で構成され、差引電流はレジスタ指示値によりDAコンバータを備えた差引電流指示部が電流源回路を制御して流す。差引電流源から得られたモニタ電流は、パワー測定部となるモニタ用ADコンバータ152が読み込む。
【0022】
発光調整処理部は、調整モードの設定時に、発光電流源のDAコンバータに予め定めた2点のテストパワーでの発光を順次指示してレーザダイオードを発光駆動すると共に、差引電流源の差引用DAコンバータに2点のテストパワーに対応する規定の差引電流を指示してモニタ用測定部のモニタADコンバータから各テストパワーを測定し、この測定結果に基づき、発光電流源及び差引電流源における任意のパワーに対する電流指示値との関係を直線近似により求めてパワーテーブル180に登録する。
【0023】
発光調整処理部は、具体的には、発光粗調整処理部162と発光微調整処理部164で構成される。発光粗調整処理部162は、オントラック制御を解除した状態で、発光電流源のDAコンバータに、予め定めた2点のテストパワーでの発光を順次指示してレーザダイオードを発光駆動すると共に、差引電流源のDAコンバータに2点のテストパワーに対応する規定の差引電流を指示してモニタ測定部のADコンバータから各テストパワーを測定する。
【0024】
そして、この2点の測定結果に基づき、
▲1▼任意の発光パワーに対するモニタ用のパワー測定値との関係、
▲2▼任意の発光パワーに対する発光用の電流指示値との関係、及び
▲3▼任意の発光パワーに対する差引用の電流指示値との関係
を各々直線近似により求めてパワーテーブル180に登録する。
【0025】
発光微調整処理部164は、オントラック制御し且つ自動パワー制御をオンした状態で、発光電流源のDAコンバータに、予め定めた2点のテストパワーでの発光を順次指示してレーザダイオード100を発光駆動すると共に、差引電流源のDAコンバータに2点のテストパワーに対応する規定の差引電流を指示し、モニタ測定部のADコンバータによる測定パワーが目標リードパワーとなるように発光電流源のDAコンバータの指示値を調整する。そして、この2点の調整結果に基づき、任意の発光パワーに対する発光用の電流指示値との関係を、直線近似により求めてパワーテーブル180を補正する。
【0026】
このように本発明の発光調整は、2点のテストパワーの指定による測定パワーから、例えば発光電流源の電流指示値yと発光パワーxの関係を直線近似した関係式y=ax+bの係数である傾きaとy軸交点bを求め、これによって任意の発光パワーxでの発光電流源への電流指示値を算出できる。このため調整時のテストパワーは2点の発光で済み、特に2点のテストパワーを低パワー側に設定することで、レーザダイオードの負担を軽減できる。
【0027】
発光用電流源は、リードパワー電流源104、イレーズパワー電流源106、第1ライトパワー電流源108、及び第2ライトパワー電流源110を備える。リードパワー電流源104は、レーザダイオードによるリードパワー、イレーズパワーP、第1ライトパワー及び第2ライトパワーの発光時に、レーザダイオードに第1パワーレベル、例えばリードパワーレベルで発光させるためのリードパワー電流I0 を流す。
【0028】
イレーズパワー電流源106 は、レーザダイオードによるイレーズパワー、第1ライトパワー及び第2ライトパワーの発光時に、レーザダイオードをイレーズパワーで発光させるためのイレーズパワー電流I1を、リードパワー電流I0 に加算して流す。
【0029】
第1ライトパワー電流源108は、レーザダイオードによる第1ライトパワーの発光時に、レーザダイオードを第2パワーレベル、例えば第1ライトパワーレベルで発光させるための第1ライトパワー電流I2 を、リードパワー電流I0 及びイレーズ電流I1 に加算して流す。
【0030】
更に、第2ライトパワー電流源110は、レーザダイオードによる第2ライトパワーの発光時に、レーザダイオードに第3パワーレベル、例えば第2ライトパワーレベルで発光させるための第2ライトパワー電流I3 を、リードパワー電流I0 及びイレーズパワー電流I1 に加算して流す。
【0031】
発光電流指示部は、リードパワー電流源、第1ライトパワー電流源及び第2ライトパワー電流源の各々の電流値を指示するDAコンバータ136〜144を個別に備える。
【0032】
差引用電流源は、イレーズパワー差引電流源112、第1ライトパワー差引電流源114、及び第2ライトパワー差引電流源116を備える。イレーズパワー差引電流源112は、イレーズパワー、第1ライトパワー及び第2ライトパワーの発光時に、受光素子の受光電流i0 からイレーズパワー分の受光電流i1 を差し引く。
【0033】
第1ライトパワー差引電流源114は、第1ライトパワーの発光時に、受光素子の受光電流i0 から第1ライトパワー分の受光電流i2 を差し引く。更に、第2ライトパワー差引電流源116は、第2ライトパワーの発光時に、受光素子の受光電流i0 から第2ライトパワー分の受光電流i3 を差し引く。
【0034】
差引電流指示部は、リードパワー差引電流源、第1ライトパワー差引電流源及び第2ライトパワー差引電流源の各々の電流値を指示するDAコンバータ146〜150を個別に備える。
【0035】
装置にローディングされた媒体がピットポジション変調(PPM)の記録媒体の場合、発光粗調整処理部162及び発光微調整処理部164は、イレーズパワー及び第1ライトパワーの各々を調整する。また装置にローディングされた媒体がパルス幅変調(PWM)の記録媒体の場合、発光粗調整処理部162及び発光微調整処理部164は、イレーズパワー、第1ライトパワー、及び第2ライトパワーの各々を調整する。
【0036】
発光粗調整処理部162及び発光微調整処理部164は、半径方向にトラックを複数単位に分割した媒体のゾーンを複数領域、例えば内周領域、中間領域、外周領域の3領域に分割する。そして、各領域の最内周ゾーンと最外周ゾーンの各々につき、テストパワーを指示して発光パワーを測定しながら2点で調整する。最内周ゾーンと最外周ゾーン外周端の間のゾーンの調整値は、2点のテストパワーと測定パワーの直線近似の関係式から算出して設定する。
【0037】
このため、ゾーン数が増加しても、調整のためのライトパワーでの発光は、内周と外周の2つのゾーンのみで済み、ライト発光を伴う調整に必要な時間を大幅に短縮できる。
【0038】
発光粗調整処理部162及び発光微調整処理部164は、テストパワーとしてイレーズパワーとライトパワーを個別に指定して調整する。また発光微調整処理部164は、発光粗調整処理部162により調整されたパワーテーブルの調整値(調整済みデフォルト値)に基づいて、テストパワーに対応する発光電流指示部のDAコンバータ及び差引電流指示部のDAコンバータに対する指示値を算出して設定する。
【0039】
発光微調整処理部164は、媒体の試し書きにより決定された最適ライトパワーが、パワーテーブルに登録されたライトパワーを調整値(デフォルト値)を基準とする比率で表わした補正係数(オフセット比)として与えられた際に、テストパワーに補正係数を乗じて最適テストパワーに修正する。
【0040】
発光微調整処理部164は、最適パワーの補正係数が与えられた際に、予め定められた補正係数の上限値と下限値をもつ係数限界範囲と比較し、係数限界範囲を外れた場合は、パワー補正係数を前記上限値又は下限値にリミットする。
【0041】
発光微調整処理部164は、パワー補正係数の上限値と下限値についても、半径方向にトラックを複数単位に分割した媒体のゾーンを複数領域に分割し、各分割領域の最内周ゾーンのライトパワーを最小パワーとして下限値に対する下限比率を求めると共に、最外周ゾーンのライトパワーを最大パワーとして上限値に対する上限比率を求め、最内周ゾーンと最外周ゾーン外周端の間の任意のゾーンは下限比率と上限比率の直線近似の関係式から算出して上限比率及び下限比率を設定する。このためゾーン毎の上限値及び下限値の設定が不要となり、上下限の設定が簡単にできる。
【0042】
発光粗調整処理部162は、装置にローディングされた媒体がピットポジション変調(PPM)の記録媒体及びパルス幅変調(PWM)の記録媒体の場合、いずれについてもイレーズパワーと第1ライトパワーを調整してパワーテーブルに登録する。これに対し、発光微調整処理部164は、パルス幅変調(PWM)の記録媒体の場合、イレーズパワー、第1ライトパワーに加え、第1ライトパワーを基準とした第2ライトパワーのパワー比率を登録し、第2ライトパワーの設定は、指定した第1ライトパワーにパワー比率を乗じて算出する。
【0043】
この場合、発光微調整処理部164は、各パワー及びパワー比率をゾーン番号毎にパワーテーブルに登録し、第2ライトパワーの設定は、指定ゾーンの第1ライトパワーに同じ指定ゾーンのパワー比率を乗じて算出する。パワー比率は温度により変化する値である。
【0044】
温度に応じたパワー比率を得るため、発光微調整処理部164は、内周側ゾーンの異なる2点の温度T1,T2の各々におけるパワー比率y1,y2と、外周側ゾーンの異なる2点の温度T1,T2の各々におけるパワー比率y3,y4との4点から、2つの温度T1,T2に対するパワー比率の直線近似による2つの関係式y=a1・T+b1、y=a2・T+b2を求める。
【0045】
次に、2つの直線関係式の2つの傾きa1,a2とパワー比率のy軸交点b1,b2の各々につき、内周側と外周側の2つのゾーン番号N1,N2に対する直線近似による2つの関係式a=α・N+β、b=γ・N+δを求め、各々の傾きα,γ及びy軸交点β,δを前記パワーテーブルに登録する。
【0046】
発光微調整処理部164は、ゾーン番号Nが指定されると、指定ゾーン番号Nに対するパワー比率の関係式の傾きα,γ及びy軸交点β,δを読み出して温度Tに対する関係式の傾きa1,a2とy軸交点b1,b2を算出し、最終的に、そのときの測定温度Tから指定ゾーンのパワー比率を算出する。
【0047】
発光微調整処理部164は、イレーズパワー、第1ライトパワー及びパルス幅に応じた数の第2ライトパワーのパルス列で発光し、発光パルス列の最後で自動パワー制御部138の目標リードパワーよりも低い値に低下させて次発光パルス列に移行するPWMにより記録する場合、目標リードパワーに対する不足パワーの時間積と目標パワーを越える第1ライトパワーの時間積とを等しくして相殺するように、第1ライト電流差引用のDAコンバータ148に対する差引電流i1 の指示値を減少させる。
【0048】
これによってPWM記録のパルス列の最後で、ライトパワーを零又はリードパワー以下に低下させることで、パワー自動制御にパワー過剰分を補うための大きなフィードバックがかかっても、その前に不足分を補って相殺するパワー減少の制御が行われているため、パワー不足によるライトパワーのドリフトを起こすことなく、安定したライトパワーの自動パワー制御ができる。
(最適ライトパワー調整)
本発明に従えば、短時間でレーザダイオードに負担を加えることなくテストライトによる最適ライトパワーを決定する処理が適切にできる光学的記憶装置が提供される。
【0049】
この目的を達成するため本発明の光学的記憶装置は、媒体に対するライトパワーを最適化するライトパワー調整処理の必要性を判断する調整タイミング判定部と、調整タイミング判定部の判断結果に応じて起動され、ライトパワーを段階的に徐々に低下させながら所定のテストパターンを媒体に書き込んだ後に読み出して元のテストパターンと比較してデータの不一致個数を計数し、この不一致個数が所定の閾値を超えるライトパワーを限界ライトパワーとして検出し、限界ライトパワーに所定のオフセットを加算した値を最適ライトパワーと決定するライトパワー調整部とを備えた最適ライトパワー調整部300を設けたことを特徴とする。
【0050】
このため最適ライトパワーを決定するための調整処理は、スタートパワーから徐々にライトパワーを減少させて下限側の限界パワーを検出するだけでよく、従来、上下限の2点の限界パワーを検出していた場合に比べ、半分の時間で済む。またテストライトに高パワーを必要としないため、レーザダイオードにダメージを与えることがなく、装置の耐久性を向上できる。
【0051】
ライトパワー調整部は、ライトパワーとして、媒体の記録ピットを消去する第1パワーと記録ピットを形成する第2パワーの少なくとも2つを有し、ライトパワーを段階的に徐々に低下させる際に、第1パワーと第2パワーを所定の比例関係をもって変化させる。またライトパワーを段階的に徐々に低下させる際に、第1パワーの変動比よりも第2パワーの変動比を小さくするように変化させてもよい。これをDOW(Direct Over−Write)という。
【0052】
具体的には、DOWのPPM媒体では、第1パワーはイレーズパワーであり、また第2パワーは第1ライトパワーである。またPWM媒体では、第1パワーはイレーズパワーであり、また第2パワーは第1ライトパワーと第2ライトパワーの2つである。
【0053】
ライトパワー調整部は、ディスク媒体のユーザ未使用領域の一部の領域をテスト領域に指定してテストパターンの書込みと読出しを行う。このためテストライトを行ってもユーザ領域の媒体性能に影響を及すことはない。
【0054】
ライトパワー調整部は、テスト領域を構成する複数トラックの内の特定トラックの連続する一部分セクタを使用してテストパターンの書込みと読出しを行う。この場合、テスト領域を構成する複数トラックの内の適宜のセクタを乱数発生によりランダムに指定してテストパターンの書込みと読出しを行ってもよい。尚、既に使用したテスト領域のセクタは続けて使用せず、1回毎にセクタをずらすことが望ましい。
【0055】
ライトパワー調整部は、テストパターンの読出し時に、データ同期パターン、即ち、トラックフォーマットにおけるユーザ領域直前のシンクバイトを検出できない場合は、最大不一致数を計数する。即ち、シンクバイトはデータ領域の始まりを検出する非常に重要な情報であり、これが検出できない場合はデータ不一致数を計数することなく直ちに不一致数最大として処理を早める。
【0056】
またライトパワー調整部は、テストパターンの読出し時に、先頭セクタから所定セクタ数までの不一致数が所定の閾値以下の場合は、全セクタを良質セクタと見做してデータ比較を中断し、不一致数として予め定めた最小値、例えば零を計数する。例えば先頭セクタで不一致数が1以下であったら、それ以降を比較することなく、不一致数を零として次にセクタの処理に進み、高速化を図る。
【0057】
ライトパワー調整部は、最初に設定したライトパワーによるテストパターンの書込みと読出しにより、不一致個数がパワー限界を示す所定の閾値を超えた場合、テストパワーを一定値に増加させて再度試行する。これは装置温度により限界パワーがスタートパワーを超えて高くなっている場合の処理である。
【0058】
ライトパワー調整部は、最初に設定するライトパワーを装置温度から決定する。即ち、限界パワーは装置温度が高いと低下し、装置温度が低いと高くなる相関があるので、この温度との相関を考慮してスタートパワーを設定する。
【0059】
ライトパワー調整部は、記録限界パワーに加算するオフセットを、装置温度が低温時には大きくし、装置温度が高温時には小さくし、装置温度に応じた最適ライトパワーを決定する。またライトパワー調整部は、記録限界パワーに加算するオフセットを、装置温度が低温時には内周側を小さくすると共に外周側を大きくする。更に装置温度が高温時には内周側を大きくし外周側を小さくする。即ち、装置温度と媒体の半径方向の位置に応じた最適ライトパワーを決定する。外周側と内周側は、媒体フォーマットとしてゾーンCAVを採用していることから、ゾーン番号で決まる内周側と外周側を意味する。
【0060】
調整タイミング判定部は、上位装置から発行されるライトコマンドに同期してライトパワー調整を起動する。即ち、調整タイミング判定部は、媒体ローディングによる装置の起動後に、前記上位装置から最初のライトコマンドが発行された際に、ライトパワー調整を起動する。
【0061】
これは媒体をローディングした直後の媒体温度は装置内温度と異なっており、媒体温度が装置内温度に平衡してからパワー調整を行わないと、最適ライトパワーが変ってしまう。そこで、起動時にはライトパワー調整は行わず、媒体温度が装置内温度に平衡することが予測される最初のライトコマンド発行に同期して最初のライトパワー調整を行うようにしている。
【0062】
調整タイミング判定部は、ディスク起動から上位装置から発行したライトコマンドに同期して最初のライトパワー調整を行うまでの経過時間から、ライトパワー調整結果の有効性を保証する有効時間を決定する。経過時間が所定の閾値時間(2〜3分程度)より短いときには経過時間に応じて有効時間を短くし、経過時間が閾値時間を超えた場合は有効時間を前記閾値時間とする。即ち、ライトパワー調整結果を保証する有効時間は、起動後は短く設定され、媒体温度が装置内温度に平衡した後は、有効時間を長い時間に設定する。
【0063】
そして調整タイミング判定部は、前回のライトパワー調整時からの経過時間が前記有効時間を超えた場合に、次のライトパワー調整を起動することになる。
【0064】
また調整タイミング判定部は、前回のライトパワー調整時からの経過時間が有効時間に達しなくとも、前回のライトパワー調整時の装置内温度に対し現在の装置内温度が所定の温度範囲を超えて変動した場合、即ち装置内温度が大きく変化した場合には、ライトパワー調整を起動する。
【0065】
実際の光ディスクドライブのライトパワー調整部あっては、テストパワーの設定時に、所定デフォルト・ライトパワーを基準とした設定ライトパワーのデフォルト比を使用してライトパワーを変化させ、最適ライトパワーを決定する際には、限界パワーのデフォルト比に所定のオフセット比を加算して最適ライトパワーのデフォルト比を決定する。
【0066】
調整タイミング判定部は、デフォルト・ライトパワーの調整が行われた場合に、ライトパワー調整を起動する。通常、ライトパワーは、複数種類のパワー増加分の駆動電流をレーザダイオードに流すことで得られる。例えばPPM記録媒体では(リードパワー電流)+(イレーズパワー電流)+(ライトパワー電流)を流すことで、デフォルト・ライトパワーが得られる。
【0067】
このため、レーザダイオード駆動電流の調整が行われると、デフォルト・パワーそのものが変わり、それまでの最適ライトパワーを決定するデフォルト比は使用できない。そこで、レーザダイオード駆動電流の調整、即ちデフォルト・ライトパワーの調整が行われた場合には、最低ライトパワーのデフォルト比を決定するライトパワー調整を必ず行う。
【0068】
【発明の実施の形態】
<目 次>
1.装置構成
2.発光調整
3.最適ライトパワー調整
【0069】
1.装置構成
図2は本発明の光学的記憶装置である光ディスクドライブの回路ブロック図である。本発明の光ディスクドライブは、コントローラ10とエンクロージャ12で構成される。コントローラ10には光ディスクドライブの全体的な制御を行うMPU14、上位装置との間でコマンド及びデータのやり取りを行なうインタフェースコントローラ16、光ディスク媒体に対するデータのリード、ライトに必要な処理を行うフォーマッタ18、MPU14,インタフェースコントローラ16及びフォーマッタ18で共用されるバッファメモリ20を備える。
【0070】
フォーマッタ18に対してはライト系統としてエンコーダ22とレーザダイオード制御回路24が設けられ、レーザダイオード制御回路24の制御出力はエンクロージャ12側の光学ユニットに設けたレーザダイオードユニット30に与えられている。レーザダイオードユニット30はレーザダイオードとモニタ用の受光素子を一体に備える。
【0071】
レーザダイオードユニット30を使用して記録再生を行う光ディスク、即ち書替え可能なMOカートリッジ媒体として、この実施形態にあっては128MB、230MB、540MB及び640MBのいずれかを使用することができる。このうち128MB及び230MBのMOカートリッジ媒体については、媒体上のマークの有無に対応してデータを記録するピットポジション記録(PPM記録)を採用している。また媒体の記録フォーマットは、ZCAVであり、128MBは1ゾーン、230MBは10ゾーンである。
【0072】
一方、高密度記録となる540MB及び640MBのMOカートリッジ媒体については、マークのエッジ即ち前縁と後縁をデータに対応させるパルス幅記録(PWM記録)を採用している。ここで、640MBと540MBの記憶容量の差はセクタ容量の違いによるもので、セクタ容量が2KBのとき640MBとなり、一方、512Bのときは540MBとなる。また媒体の記録フォーマットはZCAVであり、640MBは11ゾーン、540MBは18ゾーンである。
【0073】
このように本発明の光ディスクドライブは、128MB、230MB540MBまたは640MBの各記憶容量のMOカートリッジに対応可能である。したがって光ディスクドライブにMOカートリッジをローディングした際には、まず媒体のID部をリードし、そのピット間隔からMPU14において媒体の種別を認識し、種別結果をフォーマッタ18に通知することで、128MBまたは230MB媒体であればPPM記録に対応したフォーマッタ処理を行い、540MBまたは640MB媒体であればPWM記録に従ったフォーマッタ処理を行うことになる。
【0074】
フォーマッタ18に対するリード系統としては、デコーダ26、リードLSI回路28が設けられる。リードLSI回路28に対しては、エンクロージャ12に設けたディテクタ32によるレーザダイオード30からのビームの戻り光の受光信号が、ヘッドアンプ34を介してID信号及びMO信号として入力されている。
【0075】
リードLSI回路28にはAGC回路、フィルタ、セクタマーク検出回路、シンセサイザ及びPLL等の回路機能が設けられ、入力したID信号及びMO信号よりリードクロックとリードデータを作成し、デコーダ26に出力している。またスピンドルモータ40による媒体の記録方式としてゾーンCAVを採用していることから、リードLSI回路28に対してはMPU14より、内蔵したシンセサイザに対しゾーン対応のクロック周波数の切替制御が行われている。
【0076】
ここでエンコーダ22の変調方式及びデコーダ26の復調方式は、フォーマッタ18による媒体種別に応じ、128MB及び230MBについてはPPM記録の変調及び復調方式に切り替えられる。一方、540及び640MBの媒体については、PWM記録の変調及び復調方式に切り替えられる。
【0077】
MPU14に対しては、エンクロージャ12側に設けた温度センサ36の検出信号が与えられている。MPU14は、温度センサ36で検出した装置内部の環境温度に基づき、レーザダイオード制御回路24におけるリード、ライト、イレーズの各発光パワーを最適値に制御する。MPUは、ドライバ38によりエンクロージャ12側に設けたスピンドルモータ40を制御する。
【0078】
MOカートリッジの記録フォーマットはZCAVであることから、スピンドルモータ40を例えば3600rpmの一定速度で回転させる。またMPU14は、ドライバ42を介してエンクロージャ12側に設けた電磁石44を制御する。電磁石44は装置内にローディングされたMOカートリッジのビーム照射側と反対側に配置されており、記録時及び消去時に媒体に外部磁界を供給する。
【0079】
DSP15は、媒体に対しレーザダイオード30からのビームの位置決めを行うためのサーボ機能を実現する。このため、エンクロージャ12側の光学ユニットに媒体からのビーム戻り光を受光する2分割ディテクタ46を設け、FES検出回路(フォーカスエラー信号検出回路)48が、2分割ディテクタ46の受光出力からフォーカスエラー信号E1を作成してDSP15に入力している。 またTES検出回路(トラッキングエラー信号検出回路)50が2分割ディテクタ46の受光出力からトラッキングエラー信号E2を作成し、DSP15に入力している。トラッキングエラー信号E2はTZC回路(トラックゼロクロス検出回路)45に入力され、トラックゼロクロスパルスE3を作成してDSP15に入力している。
【0080】
更にエンクロージャ12側には、媒体に対しレーザビームを照射する対物レンズのレンズ位置を検出するレンズ位置センサ52が設けられ、そのレンズ位置検出信号(LPOS)E4をDSP15に入力している。DSP15は、ビーム位置決めのため、ドライバ54,58,62を介してフォーカスアクチュエータ56、レンズアクチュエータ60及びVCM64を制御駆動している。
【0081】
ここで光ディスクドライブにおけるエンクロージャの概略は図3のようになる。図3において、ハウジング66内にはスピンドルモータ40が設けられ、スピンドルモータ40の回転軸のハブに対しインレットドア68側よりMOカートリッジ70を挿入することで、内部のMO媒体72がスピンドルモータ40の回転軸のハブに装着されるローディングが行われる。
【0082】
ローディングされたMOカートリッジ70のMO媒体72の下側には、VCM64により媒体トラックを横切る方向に移動自在なキャリッジ76が設けられている。キャリッジ76上には対物レンズ80が搭載され、固定光学系78に設けている半導体レーザからのビームをプリズム82を介して入射し、MO媒体72の媒体面にビームスポットを結像している。
【0083】
対物レンズ80は図2のエンクロージャ12に示したフォーカスアクチュエータ56により光軸方向に移動制御され、またレンズアクチュエータ60により媒体トラックを横切る半径方向に例えば数十トラックの範囲内で移動することができる。このキャリッジ76に搭載している対物レンズ80の位置が、図2のレンズ位置センサ52により検出される。レンズ位置センサ52は対物レンズ80の光軸が直上に向かう中立位置でレンズ位置検出信号を0とし、アウタ側への移動とインナ側への移動に対しそれぞれ異なった極性の移動量に応じたレンズ位置検出信号E4を出力する。
【0084】
2.LD発光調整
図4は図2のコントローラ10に設けたレーザダイオード制御回路24の回路ブロック図である。図4において、レーザダイオードユニット30にはレーザダイオード100とモニタフォトダイオード102が一体に設けられている。レーザダイオード100は電源電圧Vccにより駆動電流Iを受けて発光し、光学ユニットによりレーザビームを生成して媒体面に照射して記録再生を行う。
【0085】
モニタフォトダイオード102はレーザダイオード100からの光の一部を入射し、レーザダイオード100の発光パワーに比例した受光電流I0 を出力する。レーザダイオード100に対しては、リードパワー電流源104、イレーズパワー電流源106、第1ライトパワー電流源108、第2ライトパワー電流源110が並列接続されており、それぞれリードパワー電流I0 、イレーズパワー電流I1、第1ライトパワー電流I2、及び第3ライトパワー電流I3を流すようにしている。
【0086】
即ち、リードパワー発光時にはリードパワー電流I0 が流れ、イレーズパワー発光時にはリードパワー電流I0 にイレーズパワー電流I1を加えた電流(I0 +I1)が流れ、第1ライトパワー発光時には更に第1ライトパワー電流I2を加えた電流(I0 +I1+I2)が流れる。また第2ライトパワー発光時には第2ライトパワー電流I3をリードパワー電流I0 及びイレーズパワー電流I1に加えた電流(I0 +I1+I3)が流れる。
【0087】
リードパワー電流源104に対しては、自動パワー制御部(以下「APC」という)138が設けられている。APC138に対しては目標DACレジスタ120及びDAコンバータ(以下「DAC」という)136を介して、目標パワーとして規定の目標リードパワーが設定されている。
【0088】
イレーズパワー電流源106に対しては、EP電流指示部としてEP電流DACレジスタ122及びDAC140が設けられる。WP1電流源108に対してはWP1電流指示部としてWP1電流DACレジスタ124及びDAC142が設けられ、更に第2ライトパワー電流源110に対してもWP2電流指示部としてWP2電流DACレジスタ126及びDAC144が設けられる。
【0089】
このため各電流源104,106,108,110の電流は、対応するレジスタ120,122,124,126に対するDAC指示値をセットすることで適宜に変更することができる。ここでレジスタ、DAC及び定電流源によって、発光電流源回路が構成されている。
【0090】
APC138による制御は、フォトダイオード102の受光電流i0 から得られたモニタ電流im が目標リードパワーに対応したDAC136の目標電圧に一致するようにフィードバック制御を行う。このためモニタフォトダイオード102に対し、リードパワーを超えるイレーズパワー、第1ライトパワー及び第2ライトパワーで発光した際の受光電流を差し引いて、リードパワー相当のモニタ電流im をAPCに帰還するため、差引電流源112,114,116を設けている。
【0091】
イレーズパワー用差引電流源112に対しては、EP差引電流指示部としてのEP差引DACレジスタ128及びDAC146により任意の差引電流i1を設定することができる。第1ライトパワー用差引電流源114に対しては、WP1差引電流指示部としてのWP1差引DACレジスタ130及びDAC148により任意の差引電流i2を設定することができる。更に第2ライトパワー差引電流源116に対しても、WP2差引電流指示部としてのWP2差引DACレジスタ132及びDAC150によって任意の差引電流i3を設定することができる。
【0092】
この3つの差引電流源i1,i2,i3の発光モードにおけるモニタ電流im は次のようになる。
▲1▼リード発光時 ;im =i0
▲2▼イレーズ発光時 ;im =i0 −i1
▲3▼第1ライトパワー発光時;im =i0 −(i1+i2)
▲4▼第2ライトパワー発光時;im =i0 −(i1+i3)
【0093】
したがって、目標リードパワーを超えるイレーズパワー、第1または第2ライトパワーのいずれの発光時にあっても、対応する差引電流を受光電流i0 から引くことで、モニタ電流im はリードパワー相当の電流としてモニタ電圧検出用抵抗118に流れ、APC138に帰還される。
【0094】
このためAPC138は発光パワーの如何に関わらず、常時目標リードパワーを維持するようにリードパワー電流源104を制御し、これによって規定のイレーズパワー、第1ライトパワー及び第2ライトパワーの自動パワー制御が実現される。この差引電流についても、レジスタ、DACおよび定電流源によって、差引電流源回路が構成されている。
【0095】
モニタ電流im に対応したモニタ電圧検出抵抗118によるモニタ電圧は、ADコンバータ(以下「ADC」という)152によりディジタルデータに変換され、モニタADCレジスタ134に入力された後、MPU14側に読み出される。このため、ADC152及びモニタADCレジスタ134はモニタ電流im の測定部を構成する。
【0096】
図5は図4のレーザダイオード制御回路24におけるPWM記録の信号、発光電流、差引電流及びタイムチャートである。いま図5(A)のライトゲートに同期して図5(B)のライトデータが与えられたとすると、図5(C)のライトクロックに同期してライトデータは図5(D)のパルス幅データに変換される。このパルス幅データに基づき、図5(E)のように消去パルスが生成され、更に図5(F)のように第1ライトパルスが生成される。更に図5(G)の第2ライトパルスが生成される。
【0097】
この第2ライトパルスは図5(D)のパルス幅データのパルス幅に応じたパルス数をもつ。例えば先頭のパルス幅データについては4クロックのパルス幅であり、次のパルス幅データは2クロックであり、次のパルス幅データは3クロックである。これに対応して図5(G)の第2ライトパルスは、図5(F)の第1ライトパルスに続いて先頭データの4クロック幅については2パルス発生し、次の2クロック幅については0パルスであり、3番目の3クロック幅については1パルスを発生し、パルス幅を表わす情報を記録するようにしている。
【0098】
図5(H)は図5(E)(F)及び(G)の消去パルス、第1ライトパルス及び第2ライトパルスに基づいた発光電流とパワーであり、540MB及び640MBのオーバライト媒体でのPWM記録を例にとっている。まずリード電流は常時流してリードパワーRPでDC発光させている。このため、消去パルスに同期して発光電流(I0 +I1)が流れ、これによってイレーズパワーEP分アップとなり、第1ライトパルスのタイミングで発光電流I2が加算されて第1ライトパワーWP1分アップとなり、更に第2ライトパルスのタイミングで発光電流I3が加算されて(I0 +I1+I3)となって第2ライトパワーWP2分アップする。
【0099】
この図5(H)の発光電流に同期して、図5(I)に示す差引電流が図4の差引電流源112,114,116に流れる。即ち、イレーズパワーEP分のアップに対応する差引電流i1が流れ、次の第1ライトパワーWP1分のアップ分に対応する差引電流i2を加算して差引電流(i1+i2)が流れ、更に第2ライトパワーWP2分のアップに対応する差引電流i3を加算して差引電流(i1+i3)が流れる。
【0100】
このため図5(J)のモニタ電流im は、図5(H)の発光電流及び発光パワーに対応した受光電流i0 から図5(H)の差引電流を差し引いた値となり、発光中であっても常にリードパワー相当の一定電流に変換され、APC138に帰還される。
【0101】
尚、128BM及び230MBのオーバライト媒体のPWM記録にあっては、図5(H)における(RP+EP+WP1)がイレーズパワーとなり、また(RP+EP+WP2)がライトパワーとなる。更に、(RP+EP)はアシストパワーとして図5(E)の消去パルスに同期して発光され、イレーズパワー及びライトパワーへの立ち上げを高速にできるようにしている。
【0102】
図6はPPM媒体の記録時の信号発光電流、差引電流及びモニタ電流のタイミングチャートである。図6(A)のライトゲートに同期して図6(B)のライトデータが与えられたとすると、図6(C)のライトクロックに同期して図6 (D)のピットエッジパルスが生成される。このピットエッジパルスに対応して、図6(E)の消去パルスと図6(F)の第1ライトパルスが作られる。PPM記録にあっては、図6(G)の第2ライトパルスは使用されない。
【0103】
このような消去パルス及び第1ライトパルスによる図6(H)の発光電流をレーザダイオードに流すことで、発光パワーPが得られる。PPM記録にあっては、消去パワーはリードパワーRPと同じであることから、消去パルスのタイミングであってもリードパワー電流I0 によるリードパワーRPによる発光が維持される。第1ライトパルスのタイミングでは発光電流が(I1+I2)に増加して第1ライトパワーWP1分にイレーズパワーEP分を加算したパワーとなる。図6(I)の差引電流は第1ライトパルスの発光タイミングで差引電流(i1+i2)を流す。これによって図6(J)のモニタ電流im は常にリードパワーの受光電流相当に維持される。
【0104】
図7は図2のMPU14により実現される本発明の発光調整の機能ブロック図である。図7において、LD発光処理部160には発光粗調整処理部162、発光微調整処理部164及びパワー設定処理部166が設けられる。発光粗調整処理部162と発光微調整処理部164が本発明の発光処理部を構成することになる。
【0105】
LD発光処理部160に対しては、外部よりレジスタ168、170、172及び174によってローディングされた媒体種別、上位装置からのアクセスに対するライトまたはイレーズのモード、アクセストラックから求められたゾーン番号、更に図2のエンクロージャ12側に設けている温度センサ36による装置内温度がセットされ、発光調整及び通常の動作時におけるパワー設定処理に使用される。
【0106】
LD発光処理部160に対してはパワーテーブル格納部180が設けられる。パワーテーブル格納部180は図2のMPU14がもっているDRAM等のメモリを使用する。パワーテーブル格納部180には、まず右側に示すようにモニタADC係数テーブル182、EP電流DAC係数テーブル184、EP差引DAC係数テーブル186、WP1電流DAC係数テーブル188、WP1差引DAC係数テーブル190、WP2電流DAC係数テーブル192及びWP2差引DAC係数テーブル194が設けられている。
【0107】
モニタADC係数テーブル182は、図4のモニタ用のADC152における入力モニタ電圧を与える任意のパワーに対するパワー測定値としてのADC出力の直線近似による関係式を発光調整処理で求め、この関係式の傾きa0 とy軸交点b0 を登録している。
【0108】
またテーブル184,186,188,190,192,194のそれぞれは、図4のDAC140,142,144,146,148,150のそれぞれにおける任意のパワーに対するレジスタ指示値の関係を、発光調整による測定結果の直線近似により求めた関係式につき、その傾きとy軸交点を格納している。
【0109】
ここで発光電流の係数テーブル184,188,192については、直線近似の関係式をy=ax +bで設定していることから、係数a1,a2,a3及びy軸交点b1,b2,b3を登録している。これに対し差引電流用の係数テーブル186,190,194については、直線近似の関係式y=cx+dを定義していることから、傾きc1,c2,c3とy軸交点b1,b2,b3を登録している。
【0110】
一方、パワーテーブル格納部180にはイレーズパワーテーブル196、第1ライトパワーテーブル198、第2ライトパワーテーブル200、パワー比テーブル202、温度補正係数テーブル204及び限界パワーテーブル206が設けられている。これらのテーブルは本来、媒体の全ゾーンに対応して固有のパワー値を格納しているものであるが、本発明にあっては、媒体をローディングした初期状態にあっては全てのゾーンのパワーはもっておらず、発光調整に必要な少なくとも2つのゾーンのパワー値のみが格納されている。
【0111】
このため発光粗調整処理部162は、各テーブルに初期設定された2つのゾーンのパワー値を使用した発光調整によりゾーン番号に対する各パワーを直線近似する関係式を求め、この関係式から全ゾーンの対応するパワーを算出してテーブル登録するようになる。具体的には、発光粗調整処理部162によるADCやDACの調整結果を使用して、発光微調整処理部164が初期設定された2ゾーンの発光パワーを使用した発光調整による測定処理と測定結果に基づく直線近似の関係式に従った各パワーのゾーンごとの設定を実行する。
【0112】
更にパワーテーブル格納部180には、最適パワーテーブル208が設けられている。最適パワーテーブル208には、発光調整終了後の状態で調整された各パワーを使用したテストライトによって、そのときの装置内温度に対応した各ゾーンの最適パワーが求められ、これが最適パワーテーブル208に登録されることになる。
【0113】
この場合の最適パワーテーブル208に対する登録は最適パワーそのものではなく、発光調整により得られた各パワーテーブルの調整値を基準として、求めた最適パワーを割ったデフォルト倍率K(デフォルト比)が登録される。したがって最適パワーテーブル208のデフォルト倍率を使用したパワー設定は、デフォルト倍率Kを対応するパワーテーブルのパワー調整値に掛け合わせることで、実際に設定するパワーを求めることができる。この最適パワーテーブル208を使用した最適パワーの設定は、パワー設定処理部166により行われることになる。
【0114】
パワーテーブル格納部180に設けたパワー比テーブル202は、第2ライトパワーWP2と第1ライトパワーWP1の比(WP2/WP1)が格納されている。このパワー比テーブル202を作成した場合には第2ライトパワーテーブル200は不要となり、パワー比テーブル202に対応してパワー比をそのときの装置内温度により補正するための温度補正係数テーブル204が設けられる。
【0115】
更に限界パワーテーブル206は、パワー設定処理部166で最適パワーテーブル208から対応するデフォルト倍率Kを読み出して調整済みデフォルト値に掛け合わせた際の上下限を設定している。パワーテーブル206の上下限は最適パワーテーブル208の場合と同様、デフォルト倍率として登録されており、最適パワーテーブルのデフォルト倍率が限界パワーテーブルの限界倍率Kmax ,Kmin を外れた場合には、限界比率によるリミットを掛けている。
【0116】
図8は図7のLD発光処理部160によるレーザダイオード発光調整処理のジェネリックフローチャートである。まずステップS1で媒体をローディングして回転し、続いてステップS2で、図3のキャリッジ76の駆動によりビームを例えば媒体の最アウタ側の非ユーザ領域に移動する。この状態でステップS3に進み、レーザダイオードの発光粗調整を実行する。レーザダイオードの発光粗調整の際にはフォーカスサーボをオフし、またAPC138もオフとしている。
【0117】
次にステップS4で、フォーカスサーボとトラックサーボをオンし、更にAPC138もオンした状態とし、ステップS5で媒体の種類を認識する。媒体の種類の認識は、トラックID部のリードデータからピット間隔を認識することで媒体の処理即ち、128MB媒体か、230MB媒体か、540MB媒体か、640MB媒体か認識できる。
【0118】
ステップS5で媒体の種類を認識したならば、ステップS6で、リード、イレーズ、ライトの複数パワーでのレーザダイオードの発光による微調整を行う。この場合、媒体が128MB又は230MB媒体であればPPM記録に従った発光微調整を行い、また540MBまたは640MB媒体であればPWM記録に従った発光微調整を行う。
【0119】
図9は図8のステップS3におけるLD発光粗調整のジェネリックフローチャートである。このLD発光粗調整にあっては、まずステップS1で、図4のモニタ用ADC152の正規化を行う。続いてステップS2で、図4の発光電流用のDAC136,140,142,144と差引電流用のDAC146,148,150の調整を行う。
【0120】
図10は図9のステップS1のモニタADCの正規化処理のフローチャートである。モニタADCの正規化処理にあっては、ステップS1で、図4の目標DACレジスタ120に指示値y0 として規定のリードパワーをセットし、レーザダイオード100をリードパワーで発光する。この状態でステップS2において、モニタADCレジスタ134の値x0 をリードする。
【0121】
次にステップS3で目標DACレジスタ120に指示値y1=2mWをセットし、ステップS4でモニタADCレジスタ134の値x1をリードする。同様にステップS5で目標DACレジスタ120に指示値y2=4mWをセットし、ステップS6でモニタADCレジスタ134の値x2をリードする。
【0122】
このステップS1〜S6の処理により、リードパワー2mW及び4mWの3点のパワーに対するADC152の測定値が得られる。そこでステップS7で、3つの関係式から係数として傾きa0 とy軸交点b0 を算出して図7のモニタADC係数テーブル182に登録する。したがって、この正規化が済むと、それ以降はモニタADCレジスタ134から得られた測定値xを関係式y=a0 ×x+b0 に代入して測定パワーyを算出することになる。
【0123】
図11は図10のモニタ用ADC正規化における直線近似の関係式を示している。即ち、縦軸yの測定パワーはリードパワー、2mW,4mWであることから、それぞれについて得られた横軸のレジスタ値x0 ,x1,x2からQ0 ,Q1,Q2の3点が決まり、この3点を結んだ直線y=a0 ×x+b0 の関係式から係数a0 ,b0 を求めればよい。なお、この場合には、3点Q0 ,Q1,Q2を求めて関係式の精度を高めているが、2点の測定であってもよい。
【0124】
図12は図4のイレーズ用の発光電流を指示するDAC140とイレーズ用の差引電流を指示するDAC146の発光粗調整のフローチャートである。まずステップS1で、モニタADC134をリードしながら測定パワーx1=2mWとなるようにEP電流DACレジスタ122に対するレジスタ値yを増加し、(x1,y1)を取得する。
【0125】
次にステップS2で、モニタADCレジスタ134をリードしながら測定パワーがリードパワーとなるようにEP差引DACレジスタ128のレジスタ値zを増加し、(x1,z1)を取得する。次にステップ3で、モニタADCレジスタ134をリードしながら測定パワーx2=4mWとなるようにEP電流DACレジスタ122のレジスタ値yを増加し、(x2,y2)を取得する。
【0126】
更にステップS4で、モニタdADCレジスタ134をリードしながら測定パワーがリードパワーとなるようにEP差引DACレジスタ128のレジスタ値zを増加し、(x2,z2)を取得する。以上の発光によるパワー測定が済んだならば、ステップS5で、ステップS1とステップS3で求めた2点(x1,y1),(x2,y2)について、パワーxに対するEP電流DACレジスタ値yを直線近似の関係式y=a1・x+b1に代入し、この2つの代入式から傾きa1とy軸交点b1を算出する。
【0127】
具体的には、図13のように、Q1(x1,y1)とQ2(x2,y2)を結ぶ直線の関係式y=a1・x+b1を近似し、その係数として傾きa1とy軸交点b1を求める。
【0128】
次にステップS6で、ステップS2及びステップS4で求めた2点(x1,z1),(x2,z2)につき、図14のようにQ3,Q4を設定して2点を結ぶ直線を近似して関係式z=c1・x+d1を求め、これにQ3,Q4の値を代入して傾きc1とy軸交点d1を算出する。
【0129】
このようにステップS5で算出された図4のイレーズパワー発光電流を指示するDAC140の任意のパワーに対するレジスタ指示値の直線近似の関係式の傾きaとy軸交点bは、図7のEP電流DAC係数テーブル184に登録される。またステップS6で算出した任意のパワーに対する差引電流用のDAC146に対するレジスタ値yを求める直線近似の関係式の傾きcとy軸交点bは、図7のEP差引DAC係数テーブル186に登録される。
【0130】
図15は図4の第1ライトパワー発光用のDAC142とその差引電流指示用のDAC148の発光粗調整のフローチャートである。この第1ライトパワー発光粗調整にあっては、基本的には図12のイレーズ用の発光粗調整と同じであり、WP1電流DACレジスタ124に対する指示パワーが4mWと8mWの2点としている点が相違する。
【0131】
このステップS1〜S4における4mW及び8mWの発光に対するリードパワーとなるような差引電流の設定で、ライトパワー発光電流については(x1,y1),(x2,y2)の2点が得られ、また差引電流については(x1,z1),(x2,z2)の2点が得られる。
【0132】
ステップS5で任意の第1ライトパワーxに対するレジスタ値yの直線近似の関係式の傾きa2とy軸交点b2を算出し、ステップS6で任意の第1ライトパワーxに対する差引電流のレジスタ値zの直線近似の関係式の傾きc2とy軸交点d2を算出し、それぞれ図7のWP1電流DAC係数テーブル188とWP1差引DAC係数テーブル190に登録する。
【0133】
図16は、図4の第2ライトパワー発光の電流指示を行うDAC144と、その差引電流を指示するDAC150についての第2ライトパワー粗調整処理のフローチャートである。第2ライトパワー粗調整処理にあっては、まずステップS1で、ローディングした媒体がPPM記録媒体か否かチェックする。PPM記録媒体であった場合には第2ライトパワーの調整処理はスキップする。
【0134】
続いてステップS2に進み、PWM媒体のイレーズか否かチェックする。もしPWM媒体のイレーズであれば第2ライトパワーは使用しないことから、この場合にもライトパワー粗調整の処理をスキップする。もちろん、PPM媒体またはPWM媒体のイレーズを判別せずに、常に第2ライトパワー粗調整を行うようにしてもよい。ステップS3からステップS6の発光調整は、図12のイレーズ発光粗調整と同じであり、この場合にも4mWと8mWの2点で発光調整し、続いてリードパワーとなるように差引電流を調整している。
【0135】
そしてステップS7,ステップS8で、第2ライトパワー発光の電流指示を行うDAC144についての直線近似の関係式の傾きa3とy軸交点b3を算出する。またステップS8で、第2ライトパワー発光時の差引電流を指示するDAC150についての直線近似の関係式の傾きc3とy軸交点d3を算出し、それぞれ図7のWP2電流DAC係数テーブル192及びWP2差引係数テーブル194に登録する。
【0136】
図17は、以上の発光粗調整により登録された図7のパワーテーブル格納部180における各係数テーブル182〜194の登録内容であり、これらの傾き及びy軸交点の値を使用して直線近似の関係式を作ることで、任意のモニタ電圧測定値から測定パワーへの変換、及び任意のパワーからADCに対する電流指示値への変換が実現できる。
【0137】
図18は図7の発光微調整処理部164によるレーザダイオード発光微調整のジェネリックフローチャートである。この発光微調整処理にあっては、ステップS1で、既に終了した発光粗調整による係数テーブルから傾き及びy軸交点を読み出して、発光調整に必要とするモニタ電流測定用のADC152及び各パワーを得るための電流を制御する電流指示用のDAC140〜144、及び差引電流指示用のDAC146〜150について、関係式を求める。
【0138】
次にステップS2で媒体のゾーンに対するパワーテーブルを作成する。更にステップS3でゾーンと温度に対するパワー比テーブルを作成する。最終的にステップS4でパワー限界の算出を行う。
【0139】
図19は図18のステップS2のゾーンに対するパワーテーブルの作成処理で行われるイレーズパワー微調整のフローチャートである。イレーズパワー微調整にあっては、まずステップS1で、イレーズパワーの発光粗調整で求めた電流指示用DAC140に関する関係式y=a1・x+c1と、対応する差引電流指示用のDAC146の関係式z=c1・x+d1をセットする。
【0140】
次にステップS2で、x1=3mWを関係式に代入して、対応する電流DACレジスタ値y1を算出してレーザダイオード100を発光駆動し、この状態で同じくx1=3mWの差引DACレジスタ値z1を算出して差引電流を流すことで、モニタ電流から差し引いた状態を作り出す。
【0141】
このような3mWのパワーによる発光及び差引電流の状態で、ステップS3に進み、モニタ用ADC152のレジスタ値を測定値yとしてリードしながら、リードパワーとなるようにEP電流DACレジスタ122に対するレジスタ値y1を変えてDAC140により発光パワーを調整する。これによって調整値(x1,y1)が取得できる。
【0142】
次にステップS4で発光パワーを5mWに増加させ、同じく対応する差引電流をセットしてモニタ電流から差し引き、ステップS5でモニタADC値yがリードパワーとなるようにEP電流DAC140のレジスタ122に対するレジスタ値y2を変えて発光電流を調整する。これによって2点目の(x2,y2)が得られる。
【0143】
最終的にステップS6で、調整で得た2点をEP電流用のDAC140の関係式に代入して、この関係式の係数a1とy軸交点b1を算出し、これをイレーズパワー微調整結果として図7のEP電流DAC係数テーブル184に登録して修正する。
【0144】
図20は第1ライトパワーの微調整処理のフローチャートである。第1ライトパワー微調整処理にあっては、イレーズパワーの発光電流と第1ライトパワーの発光電流の2つを使用することから、ステップS1でイレーズパワーについて粗調整で求めた電流DAC値の関係式と差引DACの関係式をセットし、また同じく粗調整で求めた第2ライトパワーについての電流DAC値の関係式と対応する差引DAC値の関係式をセットする。
【0145】
次にステップS2で、5mWの第1ライトパワーの発光のため、第1ライトパワーWP1=3mW、イレーズパワーEP=2mWとし、それぞれの電流DC値と差引DAC値をステップS1でセットした関係式から算出して発光制御する。この状態でステップS3でモニタADC値を測定値yとしてリードし、リードパワーとなるように第1ライトパワーPW1の電流ADCレジスタ値y1を変えてDAC142により発光パワーを調整する。この時点で(x1,y1)が取得される。
【0146】
次にステップS4で第1ライトパワーを9mWとする。この第1ライトパワー9mWは、第1ライトパワーWP=7mW、イレーズパワーEP=2mWにより実現する。したがって7mWと2mWのそれぞれについて、第1ライトパワー及びイレーズパワーについての電流DAC値と差引DAC値をステップS1の関係式から算出して発光制御する。この発光制御の状態で、ステップS5のようにモニタADC値yをリードしながら、リードパワーとなるようにWP1電流DAC値y2を変えて発光パワーを調整する。
【0147】
この時点で(x2,y2)が取得される。最終的にステップS6で、調整データ2点の関係式の代入式から第2ライトパワーの発光時の第1ライトパワーWP1電流指示用のDAC142の関係式における係数a2とy軸交点b2を算出し、図7のWP1電流DAC係数テーブル188に登録して修正する。
【0148】
図21は第2ライトパワーの微調整処理であり、ステップS1で第2ライトパワーについて粗調整で求めた関係式をセットし、この関係式に基づいて5mWと9mWの2点で発光して、測定結果から関係式の係数a3とy軸交点b3を算出して、図7のWP2電流DAC係数テーブル192を修正することになる。それ以外の点は図20の第1ライトパワー発光調整処理と基本的に同じである。
【0149】
図22は、図7のパワーテーブル格納部180に設けたイレーズパワーテーブル196、第1ライトパワーテーブル198及び第2ライトパワーテーブル200をゾーン番号に対する直線近似の関係式から求めるためのゾーン分割パワーテーブル作成処理のフローチャートである。
【0150】
まずステップS1で、図23のように、例えば540MB媒体のゾーン番号0〜17からなる18ゾーンについて、内周領域、中間領域、外周領域の3領域に分割する。続いてステップS2で、各領域の両端ゾーンのイレーズモードにおけるイレーズパワーの値、即ち図23のパワーP11〜P16をセットする。またイレーズモードにおける第1ライトパワーWP1の値P21〜P26をセットする。
【0151】
次にステップS3で、内周、中間、外周の各領域のゾーン番号に対し、ステップS2でセットしたイレーズパワー及び第1ライトパワーWP1を直線近似し、その関係式から傾きとy軸交点を導出する。具体的には、例えばイレーズパワーについては内周、中間、外周の各領域について直線210,212,214で近似し、各直線210,212,214の関係式からそれぞれの傾きとy軸交点を導出する。
【0152】
この場合、y軸交点は各領域の内周端のゾーン番号0,7,12におけるパワー値P11,P13,P15を使用する。同様に第1ライトパワーについても直線216,218,220で直線近似し、その関係式から傾きとy軸交点を導出する。
【0153】
続いてステップS3で、ライトモードについて、図23の内周、中間及び外周の各領域における両端ゾーンのイレーズパワー、第1ライトパワーWP1及び第2ライトパワーWP2をセットする。この場合には、イレーズモードにおけるイレーズパワー及び第1ライトパワーに加え、新たに第2ライトパワーWP2がセットされることで、図23の内周、中間、外周の各領域の両端ゾーンに第2ライトパワーP31〜P36がセットされる。
【0154】
続いてステップS4について、イレーズパワーEP、第1ライトパワーWP1及び第2ライトパワーWP2のそれぞれについて、図23の直線210〜226のように直線近似し、その関係式から傾きとy軸交点を導出する。
【0155】
以上の処理が終了したならば、ステップS5で内周、中間、外周の3領域につき、イレーズモードとライトモードのそれぞれにつきイレーズパワーEP、第1ライトパワーWP1及び第2ライトパワーWP2(イレーズモードは除く)の関係式の傾きとy軸交点のテーブル登録を、図7のイレーズパワーテーブル196、第1ライトパワーテーブル198及び第2ライトパワーテーブル200に対し行う。
【0156】
ここで18ゾーン全てについて各パワーを求めたとすると、(18ゾーン×3パワー=54パワー)をイレーズモードとライトモードで必要とするため、108個のパワーをテーブルに記憶する必要がある。これに対し本発明のゾーンの領域分割による直線近似の関係式の係数の登録にあっては、1領域当たり6つの係数の登録で済むことから、
(3領域)×(6係数)×(2モード)=36
で済み、テーブル登録のデータ量を大幅に低減することができる。
【0157】
図24は、このようにして得られた図7のイレーズパワーテーブル196、第1ライトパワーテーブル198及び第2ライトパワーテーブル200に対する直線近似による関係式の係数の登録内容を示している。
【0158】
図25は、発光微調整処理におけるライトパワー比温度補正処理のフローチャートである。このライトパワー比温度補正処理は、図7において第2ライトパワーテーブル200の代わりに第1ライトパワーとのパワー比を登録するパワー比テーブル202を用いた場合に適用される。このパワー比テーブル202に対応して、温度補正係数テーブル204が準備される。
【0159】
まずステップS1で、例えば540MB媒体を例にとると、最内周ゾーンの異なった2つの温度T1,T2、例えば10℃と55℃における各パワー比(WP2/WP1)と、最外周ゾーンの同じ異なった温度T1,T2、即ち10℃と55℃における各パワー比(WP2/WP1)の4点をセットする。図26は図25のステップS1における最内周ゾーンの2点Q1,Q2と最外周ゾーンの2点Q3,Q4の横軸温度T、縦軸yをパワー比(WP2/WP1)としてプロットしている。
【0160】
続いてステップS2で、最内周ゾーンの温度T1,T2の各パワー比、即ち図26の2点Q1,Q2を結ぶ直線の直線近似による関係式y=a1・T+b1にQ1,Q2の値を代入して、その傾きa1とy軸交点b1を算出する。同様にステップS3で、最外周ゾーンのQ3,Q4の値を、両者を直線近似した直線の関係式y=a17・T+b17に代入し、傾きa17とy軸交点b17を算出する。
【0161】
続いてステップS4で、図26の2つの関係式における最内周ゾーンの傾きa1と最外周ゾーンの傾きa17をゾーン番号Nに対する直線近似の関係式a=α・N+βに代入して、その傾きαとy軸交点βを算出する。同様にステップS5で、最内周ゾーンのy軸交点b1と最外周ゾーンの交点b17をゾーン番号Nに対する直線近似の関係式b=γ・N+δに代入して、傾きγとy軸交点δを算出する。
【0162】
最終的にステップS6で、ゾーン番号Nをインデックスとした係数(α,β)と係数(γ,δ)の係数を図27のようにテーブルに登録する。この図27のテーブル内容が、図7に示したパワー比テーブル202及び温度補正係数テーブル204を構成することになる。
【0163】
図27のパワーテーブルからは、ゾーン番号Nとそのときの装置内温度Tが与えられると、指定されたゾーンNのパワー比を求めることができる。例えばゾーン番号N=2が指定されたとすると、テーブルから係数α02,β02を求めて、傾き算出式a=α・N+βに代入してパワー比算出式の傾きaを求める。
【0164】
同時にゾーン番号N=2から係数γ02,δ02を読み出して、交点算出式b=γ・N+δに代入して、パワー比算出式のy軸交点b2を算出する。そしてパワー比算出式に計算した傾きaとy軸交点bをセットし、更にそのときの装置内温度Tを代入することで、パワー比(WP2/WP1)を算出することができる。装置内温度とゾーン番号Nに基づいたパワー比の算出は、その都度行ってもよいし、予めパワー比テーブル202にゾーン番号Nに対応してそのときの装置内温度Tに基づいた算出値を登録しておいてもよい。
【0165】
更に図23のゾーンを内周、中間及び外周領域に分割して直線近似による傾きをテーブル登録する場合と同様、そのときの装置温度における内周、中間、外周の両端ゾーンのパワー比を図27のテーブル内容から求め、これについて図23の場合と同様、パワー比について内周、中間及び外周の3領域の直線近似における各直線の傾きとy軸交点を求めて、これをパワー比テーブル202に登録してもよい。
【0166】
図28は発光調整処理で行われるパワー限界の算出処理のフローチャートである。パワー限界の算出処理は、まずステップS1で、図29のようにゾーンを内周、中間、外周の3領域に分割し、且つ温度を8℃ごとの温度範囲に分割する。例えば0〜7℃、8〜15℃、・・・64−71℃の8つの温度範囲に分割する。
【0167】
続いてステップS2で、各温度範囲ごとにパワー上限Pmax とパワー下限Pmin を設定する。図29の温度範囲については、パワー上限Pmax が設定され、またパワー下限Pmin が設定されている。次にステップS3で、各温度範囲につき内周、中間、外周の3領域の最大パワーPmax と最小パワーPmin を設定する。
【0168】
図29はPWM記録のパワー限界の算出を例にとっており、この場合にはリードパワーRP、イレーズパワーEP、第2ライトパワーWP2を加算したパワー(RP+EP+WP2)が各領域の最大パワー及び最小パワーの設定に使用される。即ち、(RP+EP+WP2)について、内周、中間、外周の各領域の外周端ゾーン6,11,17のパワーP32,P34,P36を最大パワーとし、内周端ゾーン0,7,12のパワーP31,P33,P35を最小パワーPmin とする。
【0169】
なお、PPM記録媒体の場合には、各領域の最大パワー及び最小パワーは、リードパワーRP、イレーズパワーEP、第1ライトパワーWP1を加算したパワー(RP+EP+WP1)により設定する。次にステップS4で、各温度範囲につき内周、中間、外周の3領域の最大パワーPmax をデフォルト値としたパワー上限に対する倍率Kmax を算出する。
【0170】
同様にして最小パワーPmin をデフォルト値としたパワー下限に対する倍率Kmin を算出する。最終的にステップS5で、8℃ごとの温度範囲とゾーン領域をインデックスとしてパワー上下限のデフォルト倍率を登録した図7の限界パワーテーブル206を作成する。このような限界パワーテーブルによれば、装置内温度T℃、ゾーン番号から限界パワーテーブル206の参照により対応するパワー上限のデフォルト倍率Kmax とパワー下限のデフォルト倍率Kmin が求められ、これらの倍率Kmax ,Kmin に、その領域の最大パワーを与える例えばPWM媒体であれば(EP+WP2)のパワーを乗算することで、パワー上限及びパワー下限を求めることができる。
【0171】
これは、図29における各領域ごとにパワー上限234,236,238の直線近似による設定、及びパワー下限228,230,232の直線近似による設定が行われたことと実質的に同じである。このようなパワー上下限の設定は、発光調整終了後のライト動作の際に与えられる最適ライトパワーを得るためのデフォルト倍率と比較される。
【0172】
最適ライトパワーを得るデフォルト倍率が図29のようにして設定されたパワー上限またはパワー下限を外れている場合には、最適パワーを与えるデフォルト倍率をパワー上限またはパワー下限にリミットして使用する。図30は図28のパワー限界の算出処理により作成された限界パワーテーブルの登録内容である。
【0173】
図31のフローチャートは、本発明の第1ライトパワー発光粗調整処理の他の実施形態である。この実施形態にあっては図4のAPC138によるPWM記録のライトパワーの自動発光制御において生ずるドリフトを、発光粗調整の際に調整して補償できるようにしたことを特徴とする。
【0174】
図32はPWM記録のライトパワーの発光で生ずるパワードリフトを示している。PWM記録のライトパワーの発光については、図32(A)のように、イレーズパワーEP、第1ライトパワーWP1、第2ライトパワーWP2の3段階の発光の組合せを行っており、1回の発光パルス列が終了すると発光パワーを零とし、次のパルスの発光に移行する。
【0175】
この図32(A)の発光パワーに対応して図32(B)に示す差引電流が作り出され、モニタフォトダイオード102の受光電流i0 から差し引くことでリードパワーP1相当分のモニタ電流im を作り出して、図4のAPC138に帰還して目標リードパワーを維持する自動パワー制御が行われている。
【0176】
しかしながら図32(A)のPWMの発光パルストレインの最後の発光パワーを零パワー240に落としているため、APC138における目標リードパワーより発光パワーが下がり、零パワー240の部分でAPC138の目標リードパワーに対し実際の発光パワーが不足する。
【0177】
そのためAPC138は不足したパワー分を補うように、点線で示すようにパワーを大きくするフィードバックによる補正を掛け、この結果、後続する発光パルストレインが破線のようにずれてしまう。即ち、図32(C)のモニタ電流imは常にパワーが不足する方向に変動するため、全体としてのライトパワーが増加する方にシフトするドリフトを起こす。
【0178】
そこで本発明にあっては、図33(B)のように、PWM記録における1パルス当たりに必ず1個発生する第1ライトパワーWP1に対応する差引電流i2を図33(C)のモニタ電流が目標リードパワー以下となるパワー不足分を補うように減少させる。
【0179】
図33(D)は、図33(C)のモニタ電流における目標リードパワーRPを基準とした第1ライトパワーWP1分のモニタ電流ia の時間分の領域246と、パルストレインの最後で発光パワーを0としたことで生ずる不足パワー分のモニタ電流ib の時間幅の領域248を取り出している。
【0180】
ここで第1ライトパワーWP1のパルス区間Ta とパワー不足を起こす区間Tb は、図5(C)のライトクロックのタイミングを図5(H)の発光パワーについて見ると、Ta =1.5クロック、Tb =1クロックであり、
Ta :Tb =3:2
の固定的な関係を保っている。
【0181】
また第1ライトパワーWP1は図5(F)の第1ライトパルスのように、図5(D)のパルス幅データ1つごとに必ず1個発生する関係にある。そこで図33(D)のリードパワーRPを基準として見たパワー増加領域246とパワー不足領域248の時間積を等しくすれば、図32のようなパワー不足によるライトパワーのドリフトは防止できる。
【0182】
即ち、(Ta ×ia )=(Tb ×ib )とすればよい。ここでTa は3、Tb は2と固定的に定まることから、不足領域248と等しい時間積をもつパワー増加領域246のモニタ電流ia は
ia =ib ×2/3
となる。このモニタ電流ia を得るためには、図33(B)の差引電流における第1ライトパワー差引電流i2をia 分だけ少ない(i1−ia)とすればよい。即ち、
(i2−ia )=(i2−{ib ×(2/3)}
となるように、第1ライトパワーWP1のタイミングで図4のWP1差引DACレジスタ130にこれに対応する値をセットし、第1ライトパワー用の差引電流源114の差引電流i2をia 分だけ減少させた(i2−ia )とすればよい。
【0183】
図31の第1ライトパワー発光粗調整にあっては、図33(D)のような関係を維持するため、ステップS1で4mWで発光した後のステップS2におけるWP1差引DACレジスタ値zの増加でモニタ電流が相殺用パワーの値(ia )となるように調整し、(x1,z1)を取得する。同様にステップS3で、8mWで発光した状態でのステップS4におけるWP1差引DACレジスタ値Zの調整についても、同じ相殺パワーをもたらすモニタ電流ia となるように調整して、(x2,z2)を取得する。
【0184】
そしてステップS5で、差引電流が相殺用パワーに対応したia となるように調整された(x1,z1),(x2,z2)に基づいて、ステップS6でWP1差引電流DACレジスタ、Zの直線近似の関係式から傾きc2とy軸交点d2を算出してテーブル登録する。
【0185】
このような傾きc2及びy軸交点d2を用いたWP1電流DACレジスタ値yの設定により、図33(B)の差引電流における第1ライトパワーPW1のタイミングでの差引電流の減少による不足パワーの補償が行われる。その結果、図33(C)のように、第1ライトパワーPW1のタイミングでモニタ電流ia は目標リードパワーRPを超えて増加し、破線のようにAPC138はこの増加パワーを抑え込むようにフィードバックする。
【0186】
このため発光パルストレインが終了してパワーが零となったとき、APC138はパワーを抑え込む方向にフィードバック制御しており、パワー零で目標リードパワーRPを大きく下回るモニタ電流がフィードバックされてパワーアップされても、その前段階でパワーを抑え込んでいることから、不足によるパワー増加が行われても、これによって前段の不足分が相殺され、次の発光パルストレインでのライトパワーの変動を吸収することができる。
【0187】
このため、PWM記録のパルストレインの終了時点でパワーを零としていても、APC138によるパワーを増加させる方向のドリフトは発生せず、安定したライト動作が実現できる。
【0188】
なお図33にあっては、PWMのパワーパルストレインの最後でパワーを0とする場合を例にとっているが、パワーを0にしなくても目標リードパワーRP以下にパワーを下げるものについて全く同様に適用することができる。
【0189】
図34は、図7の発光粗調整処理部162及び発光微調整処理部164による全て発光調整が終了した後にパワー設定処理部166で行われるライトパワーの設定処理のフローチャートである。パワー設定処理は、まずステップS1で上位装置からのコマンド解読によりライトモードかイレーズモードかを認識し、更にトラックアドレスからゾーン番号を導出する。
【0190】
続いてステップS2で、このとき与えられている最適パワーのデフォルト倍率を、レジスタ174のリードで得られたそのときの装置内温度とステップS1で求めたゾーン番号をインデックスとして限界パワーテーブル206から読み出す。もし最適パワーのデフォルト倍率がパワー限界を外れていた場合には、パワー限界をリミットとした値に修正する。
次にステップS3で、ローディングされた媒体がPWM記録媒体か否かチェックする。PPM記録媒体であれば、ステップS4でイレーズまたはライトの指定モードとゾーン番号からイレーズパワーテーブル196及び第1ライトパワーテーブル198を参照して、対応するイレーズパワーEP及び第1ライトパワーWP1の各パワーを算出する。
【0191】
一方、PWM媒体であった場合にはステップS5に進み、同じくイレーズまたはライトの指定モードとゾーン番号からPPM媒体の場合と同様、イレーズパワーEPと第1ライトパワーWP1の各パワーを算出する。更に第2ライトパワーWP2については、そのときの装置内温度Tとゾーン番号からパワー比テーブル202の参照によりパワー比(WP2/WP1)を求め、これに既に算出した第1ライトパワーWP1を掛けて求める。
【0192】
以上の各パワーが算出できたならば、ステップS4で、算出されたイレーズパワーEP、第1ライトパワーWP1、第2ライトパワーWP2の各々に、そのとき与えられている最適ライトパワーのデフォルト倍率を掛け合わせて、設定するパワーを算出する。続いてステップS7で、算出されたパワーから発光電流及び最適電流を指示するためのDACの指示値を算出する。
【0193】
このDAC指示値の算出は、図7の係数テーブル184〜194から直線近似の関係式の傾きとy軸交点を読み出して関係式を作り出し、これにステップS6で、算出されたパワーを代入して電流DACレジスタ値及び差引DACレジスタ値を算出する。そしてステップS8で最終的に、図4に示したレーザダイオード制御回路の対応するレジスタに計算されたレジスタ値を設定して、一連のパワー設定処理を終了する。
【0194】
3.最適ライトパワー調整
図35は、図2の光ディスクドライブのMPU14で実現されるレーザダイオードによるライトパワーを最適値に設定するためのライトパワー調整機能の機能ブロック図である。
【0195】
図35において、MPU14によってライトパワー調整部300が構成され、ライトパワー調整部300には調整タイミング判定部302、テストライト実行部304及びパワーテーブル作成部306が設けられている。ライトパワー調整部300に対しては、レジスタ308によって装置内温度が入力される。またライトパワー調整部300に対してはパワーテーブル格納部310が設けられる。
【0196】
パワーテーブル格納部310にはデフォルトイレーズパワーテーブル312、デフォルトライトパワーテーブル314及び温度補正係数テーブル316が設けられる。例えばデフォルトイレーズパワーテーブル312としては、図36のように、ゾーン番号i=1〜11に対応してデフォルトイレーズパワーが3.0〜4.5mWとして格納されている。
【0197】
またデフォルトライトパワーテーブル314は、図37のように、ゾーン番号i=1〜11に対応してデフォルトライトパワー=6.0〜11.0mWが格納されている。更に温度補正係数テーブル316は図38のように、ゾーン番号i=1〜11に対応して温度補正係数Kt=−0.1.〜0.10が格納されている。なお図38の温度補正係数テーブル316の温度補正係数Ktは、装置内温度T=25℃の場合の値である。
【0198】
パワーテーブル格納部310には、更にイレーズパワーテーブル318、第1ライトパワーテーブル320及び第2ライトパワーテーブル322が設けられている。このためライトパワー調整部300で決定された最適ライトパワーを与えるデフォルト倍率をゾーン番号に対応するデフォルトイレーズパワーテーブル312、デフォルトライトパワーテーブル314に掛け合わせることで、イレーズパワーテーブル318及び第1ライトパワーテーブル320の各パワーを算出して登録することができる。
【0199】
また第2ライトパワーテーブル322については、予め第1ライトパワーを基準とした第2ライトパワーのパワー比率が定まっていることから、デフォルトライトパワーテーブル314からゾーン番号に対応して求めた第1ライトパワーにパワー比率を乗ずることで、第2ライトパワーを得ることができる。更にイレーズパワー、第1ライトパワー及び第2ライトパワーのそれぞれについては、そのときの装置内温度Tに基づいた温度補正係数テーブル316の温度補正係数を用いた温度補正された値を使用する。
【0200】
このようなライトパワー調整部300で決定された最適ライトパワーのデフォルト値を用いたイレーズパワーテーブル318、第1ライトテーブル320及び第2ライトパワーテーブル322の作成は、パワーテーブル作成部306により行われる。
【0201】
パワーテーブル格納部310に対してはパワー設定処理部324が設けられる。パワー設定処理部324は最適ライトパワーの調整が終了した後の上位装置からのアクセスを受け、レジスタ群326に示される装置内温度、媒体種別、ライトまたはイレーズのアクセスモード、更にアクセストラックを示すゾーン番号に基づいて、レーザダイオードの発光制御によるパワー設定を行う。
【0202】
このパワー設定の際にパワー設定処理部324は、装置内温度、媒体種別、ライトまたはイレーズのアクセスモード、更にゾーン番号によって、パワーテーブル格納部310のイレーズパワーテーブル318、第1ライトパワーテーブル320、第2ライトパワーテーブル322及び温度補正係数テーブル316を参照し、テーブルから検索されたデータに基づいて、図4に示したレーザダイオード制御回路24の各レジスタに対する電流指示値を算出して出力する。
【0203】
ライトパワー調整部300に設けた調整タイミング判定部302は、テストライト実行部304によるライトパワー調整タイミングを判定して起動する。調整タイミング判定部302は、光ディスクドライブに媒体がローディングされた直後は最適ライトパワーの調整処理は起動せず、光ディスクドライブの初期化処理が終了して上位装置から最初のライトコマンドが発行された際に、これを判断してテストライト実行部304による最適ライトパワーの実行のためのテストライトを実行させる。
【0204】
一度、テストライト実行部304によるライトパワー調整処理が終了すると、その後はライトパワー調整結果の有効時間を算出し、調整終了からの経過時間が算出した有効時間に達したとき、次のライトパワー調整のためテストライト実行部304の処理を起動する。また経過時間が有効時間に達するまでの間、レジスタ308から入力する装置内温度Tが例えば±3℃を超えたときには、強制的にテストライト実行部304の起動によるライトパワー調整を行わせる。
【0205】
テストライト実行部304はローディングされた媒体の非ユーザ領域の任意のテスト領域を指定し、予め定めたテストパターンを媒体にライトパワーを段階的に徐々に低下させながら書き込んだ後に読み出して、元のテストパターンと比較してデータの不一致個数を計数する処理を繰り返す。このテストライト処理において、計数された不一致個数が予め定めた最大数例えば1000個を超えるときのライトパワーを限界ライトパワーとして検出する。
【0206】
このようにライトパワーを段階的に低下させながら限界ライトパワーを検出したならば、この限界ライトパワーに所定のオフセットを加算した値を最適ライトパワーと決定する。テストライト実行部304におけるライトパワーの設定は、そのときのライトパワーデフォルト値を基準としたデフォルト比率を使用して行われる。したがって限界ライトパワーも、限界ライトパワーを示すデフォルト比率として検出され、これに所定のオフセット比を加算した値を最適ライトパワーのデフォルト比として決定することになる。
【0207】
次に、図35のライトパワー調整部300による最適ライトパワーを決定するための調整処理の詳細をフローチャートを参照して説明する。
【0208】
図39は本発明の光ディスクドライブに媒体をローディングした際のディスク起動処理である。本発明の光ディスクドライブとして使用する媒体には、PPM記録媒体である128MB媒体と230MB媒体、及びPWM記録媒体である540MB媒体と640MB媒体の4種類がある。図39において、ステップS1で媒体のロードを行って、図3に示したようにスピンドルモータ40にセットして一定速度で回転する。
【0209】
続いてステップS2で、テストライト要求フラグFLをセットする。更にステップS3で現在時刻を初期化し、ステップS4で現在の装置内温度Tを検出して、起動時のライトパワーの調整に必要な処理を終了する。またディスク起動処理にあっては、この最適ライトパワー決定のための準備処理以外に、図7に示したLD発光処理部160の機能によるレーザダイオード制御回路に設けている電流指示用のDACの各係数テーブルの作成、及び発光パワーのデフォルト値を格納するパワーテーブルの作成が行われ、結果として図36,図37及び図38に示したデフォルトイレーズパワーテーブル312、デフォルトライトパワーテーブル314及び温度補正係数テーブル316が準備されることになる。
【0210】
図40は光ディスクドライブ起動後のライト処理のジェネリックフローチャートである。このライト処理にあっては、ステップS1で上位装置からのテストライト要求の有無をチェックしており、もしテストライト要求があればステップS4に進んでテストライトを実行する。通常時にあっては上位装置からのテストライト要求はないことから、ステップS2に進み、テストライトの必要性を判断する。
【0211】
このテストライト必要性の判断は、図35の調整タイミング判定部302が行っている。ステップS3でテストライトの必要性が判断されると、ステップS4に進み、テストライト実行部304がテストライトを実行し、最適ライトパワーを決定する。最適ライトパワーが決定されたならば、ステップS5でテストライト要求フラグFLをリセットする。
【0212】
続いてステップS6で現在時刻を更新し、テストライト実行により最適ライトパワーが決定された時刻を保持する。次にステップS7で現在温度を更新し、同じくテストライト実行で最適ライトパワーが決定されたときの装置内温度を保持する。そしてステップS8で、このとき上位装置からライトアクセスが要求されていれば上位装置からのライトを実行する。
【0213】
図41は図40のステップS3におけるテストライトの必要性判断処理のフローチャートである。テストライト必要性判断処理にあっては、まずステップS1で現在時刻を読み込み、ステップS2で光ディスクドライブの起動から前回のテストライトまでの時間Aを算出する。ステップS3では、起動からの時間Aを予め定めた一定時間例えば20秒で割ることで、単位時間数Bに変換する。
【0214】
ステップS4にあっては、単位時間数Bが8未満、即ち起動から最初のテストライトまでの時間Aが160秒未満か否かチェックする。160秒未満であればステップS5に進み、単位時間数Bは4未満か、即ち時間Aは80秒未満か否かチェックする。
【0215】
時間Aが80秒から160秒の間であった場合には、ステップS6で単位時間数Bを3、即ち時間Aを30秒にクリップして、ステップS7に進む。ステップS5で時間Aが80秒未満であった場合には、そのままステップS7に進む。ステップS7では、前回のテストライトにより決定された最適ライトパワーの使用を保証する有効時間Cを算出する。
【0216】
この場合、有効時間Cは20秒×2B (単位時間数)とする。但し、有効時間の最大値は160秒にリミットされる。この結果、テストライトで決定された最適ライトパワーを保証する有効時間Cは、起動からテストライトまでの時間Aが160秒未満であれば2B に対応した時間に設定される。160秒を超えた場合には、一定の有効時間C=160秒に固定される。
【0217】
このような有効時間Cの算出は、光ディスクドライブにローディングした媒体の媒体温度が装置内温度に安定するまでに掛かる時間に応じて可変させている。即ち、媒体をローディングした直後の初期化時にあっては、媒体と装置内の温度の間には差があることから、この段階では装置内温度に基づいた最適ライトパワーの調整は有効にできないことから、起動時にはライトパワーの調整は行わない。
【0218】
ローディングした媒体の温度は1〜2分程度経過すると装置内の温度に平衡してくる。そこで光ディスクドライブ起動後の最初に上位装置からライトコマンドが発行されたタイミングに同期して最初のライトパワー調整を行う。起動後、上位装置からライトコマンドが発行されるタイミングは様々であることから、図41のステップS1〜S7において、起動から最初のテストライトまでの時間Aを求め、この時間Aから次回以降のテストライトタイミング判別のための有効時間Cを決めるようにしている。
【0219】
ステップS7で有効時間Cが算出できたならば、ステップS8で、有効判定時刻Dを前回のテストライト時刻に算出した有効時間Cを加えた時刻として算出する。そしてステップS9で、現在時刻が有効判定時刻Dを超えたか否か判定する。現在時刻が有効判定時刻Dを超えていれば、ステップS14に進んでテストライトフラグをオンし、次のテストライトの実行に進む。
【0220】
ステップS9で現在時刻が有効判定時刻Dに達していない場合には、ステップS17でテストライトフラグをオフとする。またステップS4で単位時間Bが8以上即ち160秒以上の場合には、ステップS10に進み、現在時刻から前回のテストライト時刻を引いた時間が1時間未満か否かチェックする。1時間未満であればステップS11で現在温度を読み込み、ステップS12で前回温度に対し現在温度が±3℃の範囲内か否かチェックする。3℃以内であれば、ステップS13でテストライトフラグをオフし、テストライトは行わない。
【0221】
前回温度に対し±3℃の範囲を超える温度変動があった場合には、ステップS14でテストライトフラグをオンし、テストライトを実行する。またステップS10で現在時刻と前回のテストライト時刻との差が1時間以上の場合には、ステップS14で強制的にテストライトフラグをオンしてテストライトを実行する。なお、このテストライト必要性判断処理で整定されている各閾値時間は必要に応じて適宜に定めることができる。
【0222】
図42は図40のステップS4で行うテストライト実行処理であり、図35のテストライト実行部304により行われる。まずステップS1で装置内温度Tを測定する。続いてステップS2で、図2のコントローラ10に設けているバッファメモリ20上にライトパターン『596595』と『FEDC,・・・3210』の各16進のテストパターンを生成する。テストパターン『596595』はエラー発生が最も大きいことが予想される最悪パターンであり、『FEDC,・・・3210』は16進の各ワードの全パターンである。
【0223】
続いてステップS3に進み、テストライト実行セクタを生成する。テストライト実行セクタは、後の説明で明らかにするように、媒体の非ユーザ領域に定めたテスト領域を指定してセクタアドレスを発生する。次にステップS4で、装置内温度からスタートライトパワーWPのデフォルト比WPOを計算する。次にステップS5で、デフォルトライトパワー比WPOにそのときのデフォルトライトパワーDWPを掛け合わせることでライトパワーWPを計算する。
【0224】
次にステップS6で、デフォルト比WPOを用いてイレーズパワーEPを計算する。デフォルトイレーズパワーEPの計算は、ライトパワーのデフォルト比WPOから1.0を引いた値に係数0.7を掛けた値を1に足したイレーズパワーのデフォルト比を用いて、これをデフォルトイレーズパワーDEPに掛け合わせることで、イレーズパワーEPを計算する。即ち、ライトパワーに対しイレーズパワーの変動比を抑えるようにしている。
【0225】
次にステップS7で、算出されたライトパワーWPとイレーズパワーEPを使用して、ステップS2でバッファメモリに生成された2種のライトパターンの媒体のテスト領域に対するライトを行う。このとき媒体が128MB媒体または230MB媒体であればPPM記録を行い、540MB媒体または640MB媒体であればPWM記録を行う。
【0226】
データライトが済んだならば、ステップS8でテストパターンのデータリードを行い、ステップS9でリードパターンをバッファメモリの元のライトパターンと比較し、データ不一致をワード単位に計数する。ステップS10でデータ不一致数が1000未満であれば、ライト低パワー限界点に達していないことからステップS11に進み、ライトパワーのデフォルト比WPOを所定値0.05減少させ、再びステップS5に戻り、0.05だけ減らしたデフォルト比WPOを用いたテストライトを行う。
【0227】
このようなライトパワーのデフォルト比WPOを低下させながらデータライトを繰り返し、ステップS10でデータ不一致数が1000以上になるとライト低パワー限界点に達したものと判定し、ステップS12で25℃の限界パワーのデフォルト比WPO−EDGに校正する。
【0228】
即ち、現在温度から25℃を差し引いた値に温度補正係数を乗じた値をステップS10で判定したライト低パワー限界点WPO−EDGに加えて校正する。次にステップS13で、この温度校正値に所定のオフセット比ΔWPOを加算して最適パワーのデフォルト比率WPOを算出し、ステップS14で、決定された最適ライトパワーのデフォルト比WPOに基づいた各ゾーンのライトパワーの設定を行う。
【0229】
図43は図42におけるテストライト実行におけるテストパワーを段階的に低下させるテストライトを示している。まずスタート点328のデフォルトライトパワーDWPの設定によりテストライトを開始し、スタートデフォルト比1.0から0.05ずつ減らしながらテストライトを行って不一致数を求める。
【0230】
ライトパワーWPが下限ライトパワーWPに近付くと不一致数は増加し、予め定めた閾値例えば1000回に達したときに限界点330として検出する。そして、このときの限界点330における下限ライトパワーWPに対応したデフォルト比WPO−limitに対し所定のオフセット比ΔWPOを加えることで、最適ライトパワーWPを与えるデフォルト比WP−best を決定する。
【0231】
図44は、図42のステップS13で限界パワーのデフォルト比に加算するオフセット比ΔWPOの温度Tに対する温度補正係数Ktを示している。図44の温度Tに対するオフセット比ΔWPOを補正するための温度補正係数Ktは、温度T=25℃の補正係数Kt=1.0とした直線近似の関係式Kt=A・T+Bの係数である傾きAとy軸交点Bにより定められている。
【0232】
そこで、そのときの装置内温度Tを関係式に代入することで、対応する温度係数Ktの値を求め、これに温度T=25℃で求めているデフォルトオフセット比ΔWPOを掛け合わせることで、最適ライトパワーの算出に使用するオフセット比ΔWPOを求めることができる。
【0233】
図45は、図42のステップS13で使用するオフセット比ΔWPOのゾーン番号に対するゾーン補正係数Kiの直線近似の関係式である。この関係式はKi=C・i+Dで決まり、その係数として傾きCとy軸交点Dが準備されている。またゾーン補正係数Kiは中央のゾーン番号i=6で1.0としていることから、ゾーン番号6におけるデフォルトオフセット比ΔWPOが準備されている。
【0234】
このため、任意のゾーン番号iに対し関係式Ki=C・i+Dからゾーン補正係数Kiを求め、ゾーン番号iのデフォルトオフセット比ΔWPOに掛け合わせることで、ステップS13の最適ライトパワーの算出に使用するオフセット比ΔWPOを求めることができる。
【0235】
図46は図42のテストライトにおける装置内温度に対応したライトパワーWPOに対する不一致数の特性である。図46(A)は装置内温度25℃の場合であり、図46(B)はT=10℃と低下した場合であり、図46(C)はT=55℃と増加した場合である。図46(A)のT=25℃に対し、装置内温度が低下すると、図46(B)のT=10℃のように、ライトパワーに対する不一致数の特性曲線360は温度低下によりライトパワーを増加する方向の特性364にシフトする。
【0236】
逆に図46(C)のように温度がT=55℃と増加すると、ライトパワーが低下する方向の特性368にシフトする。このため、温度に応じ最適ライトパワー点は362,366,370のように変化する。このように装置内温度に依存したライトパワーと不一致数の特性に対し、例えばテストライトのスタートパワーをT=25℃の低パワー側のスタートパワーWPsに固定していたとすると、図46(B)のようにT=10℃に低下した場合には、不一致数1000を超える限界点330のライトパワーより低いライトパワーをスタートパワーとしてしまう。
【0237】
このため図42のテストライト実行において、もし最初のテストライトでデータ不一致数が低パワー側の限界点の閾値1000を超えていた場合には、ステップS11におけるライトパワーのデフォルト比ΔWPOを所定比だけ増加させる処理を行ない、これによって、温度が低下していてもスタートパワーを限界点330より高いパワー側に移動させて正常なテストライトを行うことができる。
【0238】
もちろん、所定のデフォルト値をスタートライトパワーと設定した際に装置内温度Tに基づいた温度補正を行なうことで、図46(A)〜(C)のような温度に応じた特性のシフトに応じ最適なテストライトのスタートパワーを設定することもできる。そして、それでもテストパワーのスタートパワーが低パワー側の限界点を下回るような場合には、同様な処理によりスタートパワーを増加させるようにオフセット比を加えればよい。
【0239】
図47は、図42のテストライト実行のステップS3で行われるテストライト実行セクタのアドレス生成のフローチャートである。図47のテストライト実行アドレスの生成は、ランダムなセクタアドレスの発生を例にとっている。まずステップS1で、媒体の領域先頭アドレスをセットする。本発明のテストライトにあっては、図48の媒体72のユーザ領域334に対するインナ側の非ユーザ領域336またはアウタ側の非ユーザ領域338をパワー調整領域に割り当てる。
【0240】
図49は図48のアウタ側の非ユーザ領域338であり、非ユーザ領域338の中の所定トラック範囲についてパワー調整領域340を設定している。したがってステップS1にあっては、このパワー調整領域340の任意のテストライトの領域先頭アドレス即ちトラックアドレスとセクタ番号をセットする。
【0241】
次にステップS2に進み、1トラック分の領域長から既にテストライトが終了したセクタ数を差し引いて、残り領域長を求める。これは、一度テストライトを行ったセクタについては連続してテストライトを行わないためである。続いてステップS3で、オフセットセクタ数を残り領域長に乱数を乗ずることで求める。乱数は、0〜1の範囲の任意の値が所定の乱数ルーチンに従って発生される。このようにしてオフセットセクタ数が求められたならば、ステップS4で、実行アドレスを領域先頭アドレスにオフセットセクタ数を加算することで求める。
【0242】
図50は図47のランダムなテストライトアドレスの生成によるテストライトであり、3回のテストライト342−1,342−2,342−3が4セクタを1単位としてランダムに行われている。
【0243】
図51は図42のテストライト実行のステップS3で行われるテストライト実行セクタのアドレス生成の他の実施形態であり、順次的なテストライト実行アドレスの生成としたことを特徴とする。まずステップS1で、パワー調整領域の最終開始アドレスを領域最終アドレスからテスト済みのテストライトセクタ数を差し引くことで求める。
【0244】
続いてステップS2で、実行アドレスに前回の実行アドレスをセットする。続いてステップS3で、前回の実行アドレスと最終開始アドレスを比較し、前回実行アドレスが最終開始アドレスに達するまではステップS5に進み、実行アドレスを前回実行アドレス+テストライトセクタ数としてテストライトを行う。前回実行アドレスが最終開始アドレスを超えた場合には、ステップS4で実行アドレスに領域先頭アドレスをセットしてテストライトを実行する。
【0245】
図52は図51の順次的なテストライトアドレスの生成によるパワー調整領域のテストライトの様子であり、4セクタ単位にテストライト344−1,344−2,344−3が行われている。
【0246】
図53は図42のステップS8のデータリードのフローチャートである。テストライト終了後のデータリードにあっては、ステップS1でまずセクタをリードする。このセクタリードについて、ステップS2で異常終了の有無をチェックする。もし異常終了であれば、ステップS3でエラー要因がシンクバイトの同期ミスか否かチェックする。
【0247】
ここで図54のトラックフォーマットに示すように、シンクバイト354はデータ356の開始位置を示す重要な情報であり、もしシンクバイト354による同期ミスであった場合には後続するデータ356のリードはできないことから、ステップS5に進み、強制的に不一致数を最大とするため、リードバッファにテストパターンとは全く異なるパターンを入れる。この結果、リードバッファの異なるパターンとテストパターンとの比較によりデータ不一致数が最大となる。
【0248】
ステップS3でシンクバイトの同期ミス以外のエラーについては、ステップS4で他のエラー処理を必要に応じて行う。ステップS6にあっては、パワー調整領域の最終セクタか否かチェックしており、最終セクタに達するまでステップS1からの処理を繰り返し、最終セクタであれば次の不一致数の判定処理に移行する。
【0249】
図55は図42のステップS9のデータ不一致数のワード単位の計数処理のフローチャートである。まずステップS1で、良質セクタの判定に使用するカウンタDにD=0をセットして初期化する。次にステップS2で1セクタ分の不一致数をテストパターンとリードパターンとの比較により求め、ステップS3で1セクタ分の不一致数が所定の閾値数例えば10未満か否かチェックする。
【0250】
もし10未満であればこれを良質セクタと判定し、ステップS4で、良質セクタを示すカウンタDを1つインクリメントする。不一致数が10以上であれば不一致数をカウントアップし、ステップS7で最終セクタを判別しなければ再びステップS2に戻り、次の1セクタの不一致数を比較処理により求める。
【0251】
ステップS4で良質セクタのカウンタDを1つインクリメントした場合には、ステップS5に進み、カウンタDが1未満か否か判定する。即ち、リードデータにおける先頭セクタが良質か否かチェックする。Dが1未満即ち0であればステップS6に進み、全セクタを良質セクタと見做し、不一致数=0にセットする。
【0252】
この結果、テストライトでリードした先頭セクタが良質と見做されると、それ以降のセクタについては不一致数の比較を行うことなく次のテストライトに移行する。これによってテストライトの処理を高速化して調整時間を短縮できる。
【0253】
図56は、図42のステップS14で最終的に行われる各ゾーンのライトパワー設定処理即ちパワーテーブル作成処理のフローチャートである。パワーテーブル作成処理にあっては、ステップS1でゾーンごとのイレーズパワーEP、第1ライトパワーWP1のデフォルトパワーテーブルを装置内温度から計算する。続いてステップS2でゾーン番号iのライトパワー(WP)iを設定し、ライトパワー調整に求めた最適デフォルト比WPOをデフォルトライトパワーDWPiに掛け合わせ、更に温度補正を行ってライトパワーを算出する。
【0254】
次にステップS3で、PWM媒体か否かチェックする。もしPWM媒体であった場合にはステップS4に進み、ゾーン番号iのパワー比(WP2/WP1)にステップS2で求めた第1ライトパワーに相当するライトパワー(WP1)iを乗じ、第2ライトパワー(WP2)iを算出する。最終的にステップS5で、ゾーン番号iのイレーズパワー(EP)iを設定する。
【0255】
このイレーズパワーの算出にあっては、ライトパワー調整で得られた最適ライトパワーのデフォルト比WPOから1.0を引いた値に変動分を抑えるための係数0.7を乗じ、これを1.0に加えてデフォルトイレーズパワーDPiに掛け合わせる。もちろん、そのときの測定温度による温度補正を施す。このような図56のパワーテーブル作成処理により、図35のパワーテーブル格納部310に示したイレーズパワーテーブル318、第1ライトパワーテーブル320及び第2ライトパワーテーブル322が作成されることになる。
【0256】
そして、それ以降の上位装置からのライトアクセスに対しゾーン番号に対応したパワーを読み出し、そのときの装置内温度に従った温度補正を施した後、図4のレーザダイオード制御回路のレジスタに対するDAC指示値を算出してセットし、レーザダイオード100の発光制御を行うことになる。
【0257】
【発明の効果】
(発光調整)
以上説明したように本発明によれば、レーザダイオードの発光調整を、レーザダイオードにダメージを与えない程度に低い2点のパワーで行うことにより、装置を劣化させることなく短時間で発光調整を実行できる。
【0258】
またゾーン数が増加しても、例えば3領域に分割して各々2点のパワーを指定して発光調整し、この調整結果による直線近似で全てのゾーンにおける任意のパワーでの調整値が設定でき、ゾーン数が増加しても短時間で発光調整ができる。更に、媒体のフォーマット変更に伴なってゾーン数が変わっても、簡単に対応できる。
【0259】
(最適ライトパワー調整)
また本発明よれば、短時間でレーザダイオードに負担を加えることなくテストライトによる最適ライトパワーを決定する処理が適切にできる。即ち、最適ライトパワーを決定するための調整処理は、スタートパワーから徐々にライトパワーを減少させて下限側の限界パワーを検出するだけでよく、従来、上下限の2点の限界パワーを検出していた場合に比べ、半分の時間で済む。またテストライトに高パワーを必要としないため、レーザダイオードにダメージを与えることがなく、装置の耐久性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理説明図
【図2】本発明による光ディスクドライブのブロック図
【図3】MOカートリッジをローディングした装置内部構造の説明図
【図4】図2のレーザダイオード制御回路のブロック図
【図5】本発明のPWM記録における信号、発光電流、差引電流及びモニタ電流のタイムチャート
【図6】本発明のPPMのパルストレインにおける信号、発光電流、差引電流及びモニタ電流のタイムチャート
【図7】図2のMPUにより実現されるLD発光処理部の機能ブロック図
【図8】図7によるLD発光調整処理のジェネリックフローチャート
【図9】図8のLD発光粗調整処理のジェネリックフローチャート
【図10】図9のモニタADC正規化処理のフローチャート
【図11】図10の処理による直線近似の関係式の説明図
【図12】図9におけるイレーズ用発光粗調整処理のフローチャート
【図13】図12のイレーズ発光電流における直線近似の関係式の説明図
【図14】図12のイレーズ差引電流における直線近似の関係式の説明図
【図15】図9における第1ライトパワー用発光粗調整のフローチャート
【図16】図9における第2ライトパワー用発光粗調整のフローチャート
【図17】図9のLD発光粗調整によるパワーテーブル登録内容の説明図
【図18】図8のLD発光微調整処理のジェネリックフローチャート
【図19】図18のイレーズパワー微調整のフローチャート
【図20】図18の第1ライトパワー微調整のフローチャート
【図21】図18の第2ライトパワー微調整のフローチャート
【図22】微調整結果に基づくゾーン領域分割によるパワーテーブル設定処理のフローチャート
【図23】図22のゾーン領域分割と直線近似の説明図
【図24】図22の設定処理で得られたパワーテーブル登録内容の説明図
【図25】第2ライトパワーをパワー比率として扱う場合の温度補正のフローチャート
【図26】図25の温度に対するパワー比率の直線近似の説明図
【図27】図25の処理で得られたパワーテーブルの登録内容の説明図
【図28】図8のパワー限界算出処理のフローチャート
【図29】図28のパワー限界の算出における直線近似の説明図
【図30】図28の処理によるパワーテーブル登録内容の説明図
【図31】PWM記録の自動パワー制御で起きるライトパワーのドリフトを説明するフローチャート
【図32】図31のライトパワーのドリフトを補償するための差引電流調整を説明するタイムチャート
【図33】図32のドリフト補償を実現する第1ライトパワー発光粗調整のタイムチャート
【図34】発光調整済みのパワーテーブルを用いたパワー設定処理のフローチャート
【図35】図2のMPUで実現される最適ライトパワー調整部の機能ブロック図
【図36】図35のデフォルトイレーズパワーテーブルの説明図
【図37】図35のデフォルトライトパワーテーブルの説明図
【図38】図35の温度補正係数テーブルの説明図
【図39】図35の最適ライトパワー調整に先立つディスク起動処理のフローチャート
【図40】図35の最適ライトパワー調整を含むライト処理のフローチャート
【図41】図40のテストライト必要性判断のフローチャート
【図42】図40のテストライト処理のフローチャート
【図43】図42のテストライトにおける限界パワーの検出と最適パワーの設定の説明図
【図44】図42の限界パワーに加算して最適パワーを求めるオフセット比の温度を補正する温度補正係数の説明図
【図45】図42の限界パワーに加算して最適パワーを求めるオフセット比のゾーン位置に対する補正係数の説明図
【図46】温度による最適ライトパワーのシフトを示した説明図
【図47】図42のテストライトの書込アドレスをランダムに生成するフローチャート
【図48】媒体の領域説明図
【図49】図48の非ユーザ領域に割り当てられたパワー調整領域の説明図
【図50】図47のランダムアドレスによるテストライトの説明図
【図51】図42のテストライトの書込アドレスを順次的に生成するフローチャート
【図52】図51の順次的アドレスによるテストライトの説明図
【図53】図42のテストライトによるテストデータのリード処理のフローチャート
【図54】図53のデータリードの対象となるトラックフォーマットの説明図
【図55】図42のテストライトにおけるデータ不一致計数処理のフローチャート
【図56】最適ライトパワーの調整結果を用いたパワーテーブル設定処理のフローチャート
【図57】従来の最適ライトパワー調整処理の説明図
【符号の説明】
10:コントローラ
12:エンクロージャ
14:MPU
15:DSP
16:インタフェースコントローラ
18:フォーマッタ
20:バッファメモリ
22:エンコーダ
24:レーザダイオード制御回路
26:デコーダ
28:リードLSI回路
30:レーザダイオードユニット
32::ディテクタ
34:ヘッドアンプ
36:温度センサ
38,42,54,58,62:ドライバ
40:スピンドルモータ
44:電磁石
46:2分割ディテクタ
48:FES検出回路
50:TES検出回路
52:レンズ位置センサ
56:フォーカスアクチュエータ
60:レンズアクチェータ
64:VCM(キャリッジアクチュエータ)
66:ハウジング
68:インレットドア
70:MOカートリッジ
72:MO媒体
76:キャリッジ
78:固定光学系
80:対物レンズ
100:レーザダイオード(LD)
102:モニタフォトダイオード(PD)
104:リードパワー電流源
106:イレーズパワー電流源
108:第1ライトパワー電流源
110:第2ライトパワー電流源
112:イレーズパワー差引電流源
114:第1ライトパワー差引電流源
116:第2ライトパワー差引電流源
118:モニタ電圧検出抵抗
120:目標DAレジスタ(目標DACレジスタ)
122:イレーズパワー電流レジスタ(EP電流DACレジスタ)
124:第1ライトパワー電流レジスタ(WP1電流DACレジスタ)
126:第2ライトパワー電流レジスタ(WP2電流DACレジスタ)
128:イレーズパワー差引DAレジスタ(EP差引DACレジスタ)
130:第1ライトパワー差引DAレジスタ(WP1差引DACレジスタ)
132:第2ライトパワー差引DAレジスタ(WP2差引DACレジスタ)
134:モニタADCレジスタ
136,140,142,144,146,148,150 :DAコンバータ(DAC)
138:自動パワー制御部(APC)
152:ADコンバータ(ADC)
160:LD発光処理部
162:発光粗調整状態部
164:発光微調整処理部
166:パワー設定処理部
168,170,172,174:レジスタ
180:パワーテーブル格納部
182:モニタADC係数テーブル
184:EP電流DAC係数テーブル
186:EP差引DAC係数テーブル
188:WP1電流DAC係数テーブル
190:WP1差引DAC係数テーブル
192:WP2電流DAC係数テーブル
194:WP2差引DAC係数テーブル
196:イレーズパワーテーブル
198:第1ライトパワーテーブル
200:第2ライトパワーテーブル
202:パワー比テーブル
204:温度補正係数テーブル
206:限界パワーテーブル
208:最適パワーテーブル
300:最適ライトパワー調整部
302:テストライト判定部
304:テストライト実行部
306:パワーテーブル作成部
310:パワーテーブル格納部
312:デフォルトイレーズパワーテーブル
314:デフォルトライトパワーテーブル
316:温度補正係数テーブル
318:イレーズパワーテーブル
320:第1ライトパワーテーブル
322:第2ライトパワーテーブル
324:パワー設定処理部
326:レジスタ群
328:開始点
330:限界点
332:最適点
334:ユーザ領域
336,338:非ユーザ領域
340:パワー調整領域
342−1〜342−3,344−1〜344−3:テストライトセクタ領域

Claims (21)

  1. ビーム光を発光するレーザダイオードと、
    前記レーザダイオードのライトパワーを段階的に徐々に低下させながらディスク媒体のユーザ未使用領域の一部をテスト領域に指定して所定のテストパターンを媒体に書き込んだ後に読み出して元のテストパターンと比較してデータの不一致個数を計数し、該不一致個数が所定の閾値を超えるライトパワーを限界ライトパワーとして検出し、該限界ライトパワーに所定のオフセットを加算した値を最適ライトパワーと決定するライトパワー調整部とを設け、
    該記ライトパワー調整部は、テストパターンの読出し時に、先頭セクタから所定セクタ数までの不一致数が所定の閾値以下の場合は、全セクタを良質セクタと見做してデータ比較を中断し、不一致数として予め定めた最小値を計数することを特徴とする光学的記憶装置。
  2. 請求項記載の光学的記憶装置に於いて、更に、媒体に対するライトパワーを最適化するライトパワー調整処理の必要性を判断し、該判断結果に応じて前記調整タイミング判定部を起動する調整タイミング判定部を設けたことを特徴とする光学的記憶装置。
  3. 請求項1記載の光学的記憶装置に於いて、前記ライトパワー調整部は、ライトパワーとして、媒体の記録ピットを消去する第1パワーと記録ピットを形成する第2パワーの少なくとも2つを有し、前記ライトパワーを段階的に徐々に低下させる際に、前記第1パワーと第2パワーを所定の比例関係をもって変化させることを特徴とする光学的記憶装置。
  4. 請求項記載の光学的記憶装置に於いて、前記ライトパワー調整部は、前記テスト領域を構成する複数トラックの内の特定トラックの連続する一部分セクタを使用してテストパターンの書込みと読出しを行うことを特徴とする光学的記憶装置。
  5. 請求項記載の光学的記憶装置に於いて、前記ライトパワー調整部は、前記テスト領域を構成する複数トラックの内の適宜のセクタを乱数発生によりランダムに指定してテストパターンの書込みと読出しを行うことを特徴とする光学的記憶装置。
  6. 請求項記載の光学的記憶装置に於いて、前記ライトパワー調整部は、テストパターンの読出し時に、データ同期パターンを検出できない場合は、最大不一致数を計数することを特徴とする光学的記憶装置。
  7. 請求項記載の光学的記憶装置に於いて、前記ライトパワー調整部は、最初に設定したライトパワーによるテストパターンの書込みと読出しにより、不一致個数がパワー限界を示す所定の閾値を超えた場合、テストパワーを一定値増加させて再度試行することを特徴とする光学的記憶装置。
  8. 請求項記載の光学的記憶装置に於いて、前記ライトパワー調整部は、最初に設定するライトパワーを装置温度から決定することを特徴とする光学的記憶装置。
  9. 請求項記載の光学的記憶装置に於いて、前記ライトパワー調整部は、前記記録限界パワーに加算するオフセットを、装置温度が低温時には大きくし、装置温度が高温時には小さくし、装置温度に応じた最適ライトパワーを決定することを特徴とする光学的記憶装置。
  10. 請求項1記載の光学的記憶装置に於いて、前記ライトパワー調整部は、前記記録限界パワーに加算するオフセットを、装置温度が低温時には内周側を小さくすると共に外周側を大きくし、装置温度が高温時には内周側を大きくし外周側を小さくし、装置温度と媒体の半径方向の位置に応じた最適ライトパワーを決定することを特徴とする光学的記憶装置。
  11. 請求項2記載の光学的記憶装置に於いて、前記調整タイミング判定部は、上位装置から発行されるライトコマンドに同期してライトパワー調整を起動することを特徴とする光学的記憶装置。
  12. 請求項2記載の光学的記憶装置に於いて、前記調整タイミング判定部は、媒体ローディングによる装置の起動後に、前記上位装置から最初のライトコマンドが発行された際に、ライトパワー調整を起動することを特徴とする光学的記録装置。
  13. 請求項12記載の光学的記憶装置に於いて、前記調整タイミング判定部は、ディスク起動から上位装置から発行したライトコマンドに同期して最初のライトパワー調整を行うまでの経過時間から、ライトパワー調整結果の有効性を保証する有効時間を決定することを特徴とする光学的記憶装置。
  14. 請求項13記載の光学的記憶装置に於いて、前記調整タイミング判定部は、前記経過時間が所定の閾値時間より短いときには前記経過時間に応じて前記有効時間を短くし、経過時間が前記閾値時間を超えた場合は前記有効時間を前記閾値時間とすることを特徴とする光学的記憶装置。
  15. 請求項14記載の光学的記憶装置に於いて、前記調整タイミング判定部は、前回のライトパワー調整時からの経過時間が前記有効時間を超えた場合に、次のライトパワー調整を起動することを特徴とする光学的記憶装置。
  16. 請求項14記載の光学的記憶装置に於いて、前記調整タイミング判定部は、前回のライトパワー調整時からの経過時間が前記有効時間を超えるまでは、前回のライトパワー調整時の装置温度に対し現在の装置温度が所定の温度範囲を超えて変動した場合にライトパワー調整を起動することを特徴とする光学的記憶装置。
  17. 請求項16記載の光学的記憶装置に於いて、前記ライトパワー調整部は、前記テストパワーの設定時に、所定デフォルト・ライトパワーを基準とした設定ライトパワーのデフォルト比を使用してライトパワーを変化させ、前記最適ライトパワーを決定する際には、前記限界パワーのデフォルト比率に所定のオフセット比を加算して最適ライトパワーのデフォルト比を決定することを特徴とする光学的記憶装置。
  18. 請求項17記載の光学的記憶装置に於いて、前記調整タイミング判定部は、前記デフォルト・ライトパワーの調整が行われた場合に、前ライトパワー調整を起動することを特徴とする光学的記憶装置。
  19. ライトパワーを段階的に徐々に低下させながら所定のテストパターンを媒体に書き込んだ後に読み出して元のテストパターンと比較してデータの不一致個数を計数し、該不一致個数が所定の閾値を超えるライトパワーを限界ライトパワーとして検出し、該限界ライトパワーに所定のオフセットを加算した値を最適ライトパワーと決定するライトパワー調整部と、
    前記ライトパワー調整部の調整時に、ディスク媒体のユーザ未使用領域の一部の領域をテスト領域に指定してテストパターンの書込みと読出しを行うテスト実行部とを設け、
    前記ライトパワー調整部は、テストパターンの読出し時に、先頭セクタから所定セクタ数までの不一致数が所定の閾値以下の場合は、全セクタを良質セクタと見做してデータ比較を中断し、不一致数として予め定めた最小値を計数することを特徴とする光学的記憶装置。
  20. 請求項19記載の光学的記憶装置に於いて、前記ライトパワー調整部は、前記テスト領域を構成する複数トラックの内の特定トラックの連続する一部分セクタを使用してテストパターンの書込みと読出しを行うことを特徴とする光学的記憶装置。
  21. 請求項19記載の光学的記憶装置に於いて、前記ライトパワー調整部は、前記テスト領域を構成する複数トラックの内の適宜のセクタを乱数発生によりランダムに指定してテストパターンの書込みと読出しを行うことを特徴とする光学的記憶装置。
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