JP3545678B2 - Oxygen gas absorbent, method for producing the same, and method for absorbing oxygen gas - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機−無機複合錯体からなる酸素ガス吸収剤、さらに詳しくは、酸素ガスを選択的に吸収するが、窒素ガスはほとんど吸収しない錯体からなる酸素ガス吸収剤に関するものである。また、そのような酸素ガス吸収剤を製造する工業的な方法およびそのような酸素ガス吸収剤を用いた酸素ガスの吸収方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
窒素ガスや酸素ガスを吸着する吸着剤としては、ゼオライトや分子ふるい活性炭が知られている。ゼオライトは窒素ガスを酸素ガスよりも多く吸着し、分子ふるい活性炭は窒素ガスよりも酸素ガスの方を速く吸着することができる。そして、これらの吸着剤は、その性質を利用して、PSA等のガス分離装置に使用されている。
【0003】
本発明に関連のあるトリメシン酸を含むベンゼントリカルボン酸の金属錯体について、いくつかの研究がなされている。以下、本発明に近い2,3の文献を関連文献としてあげる。
【0004】
〈文献1〉
ポーランド化学雑誌である「POLISH JOURNAL OF CHEMISTRY (FORMERLY ROCZNIKI CHEMII), 60, 697 (1986)」(文献1)には、「銅(II)のベンゼントリカルボン酸との錯体の製造と特性」と題する論文が掲載されている。この論文によれば、銅(II)のヘミメリト酸塩、トリメシン酸塩およびトリメリト酸塩を、金属対配位子の比率で3:2である水和塩として得ている。
【0005】
実験では、銅(II)と、ヘミメリト酸、トリメシン酸またはトリメリト酸との錯体を、トリカルボン酸のアンモニウム塩の熱溶液(pH5〜 5.5)に当量の硝酸第二銅の 0.1Mの溶液を加えることにより得、形成された沈殿を母液中で333〜343K(60〜70℃)に 0.5時間加熱し、ろ過し、蒸留水で洗ってNH4 +イオンを除き、303K(30℃)で恒量になるまで乾燥することにより得ている。
【0006】
得られた錯体についての赤外線吸収スペクトル、粉末X線回折パターンも示されている。この錯体は、加熱により脱水し、加熱速度に応じて、直接CuOにまたはCu2Oの中間体形成と共に分解される。
【0007】
〈文献2,2’〉
「J. Am. Chem. Soc., 1996, 118, 9096-9101 」(文献2)には、「1,3,5−ベンゼントリカルボン酸の水素結合金属錯体からの多孔質固体の構築」と題する論文が掲載されている。ここでは、M(II)(M=Co、Ni、Zn)アセテートハイドレートと酸型の1,3,5−ベンゼントリカルボン酸(BTC)との水性混合物を炉に入れ、140℃に昇温してこの温度で24時間反応させることにより、M3(BTC)2・12H2O としてフォーミュレートされる物質を得ており、その詳しい解析がなされている。得られた金属錯体は、水やアンモニアを吸脱着する。
【0008】
この文献2(およびその関連文献)については、「科学と工業, 71(10), 434-448 (1997)」(文献2’)の「分子性ゼオライト−有機・無機複合ゼオライトの合成−」と題する解説記事においても言及があり、その444頁には、この錯体は、酸素、窒素、一酸化炭素などとは交換を行わないが、水やアンモニアなどを可逆的に吸脱着することができるとある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ベンゼントリカルボン酸には、ヘミメリト酸、トリメシン酸、トリメリト酸の3種がある。今、ベンゼントリカルボン酸をBTC、2価の金属をMで表わすと、上記文献1および文献2,2’の錯体は「M3(BTC)2・mH2O」で示されるものと考えられる。mは1,2,3,4,5,6,12などである。
【0010】
〈文献1に関して〉
上述の文献1には、そこで得られる錯体の基礎特性があげられているだけであり、その用途については言及がない。また、その錯体が多孔性物質であるとの記載もなく、その錯体がガス吸着に適用できるとの記載もない。
【0011】
〈文献2,2’に関して〉
上述の文献2および2’には、そこで得られる金属錯体の基礎特性と共に、ガスの吸脱着につき言及がある。しかしながら、その金属錯体のガスの吸脱着については、酸素、窒素、一酸化炭素などとは交換を行わないが、水やアンモニアなどを可逆的に吸脱着することができるとの記載があるのみである。なお、文献2,2’の錯体は、金属成分がCo、NiまたはZnであり、本発明の意図しているCu系錯体とは物質が相違している。
【0012】
〈本発明の目的〉
本発明は、このような背景下において、有機−無機複合錯体からなり、かつ酸素ガスを選択的に吸収するが、窒素ガスはほとんど吸収しない錯体からなる酸素ガス吸収剤を提供すること、その酸素ガス吸収剤の工業的な製造法を提供すること、およびその酸素ガス吸収剤を用いた酸素ガスの吸収方法を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の酸素ガス吸収剤は、
銅イオンとトリメシン酸アルカリ金属塩とから合成される錯体であって、
・トリメシン酸残基:C 6 H 3 (COO) 3 をLとするとき、
[Cu 3 (L)] n
を基本単位とする構造式を有すると共に、
・ガス吸収挙動の点においては、酸素ガスを選択的に吸収する性質を有する錯体からなることを特徴とするものである。
【0014】
本発明の酸素ガス吸収剤の製造法は、銅イオンとトリメシン酸アルカリ金属塩とを、両者を溶解する溶媒中で反応させることにより錯体を得、ついでその錯体を加熱処理することにより、
・トリメシン酸残基:C 6 H 3 (COO) 3 をLとするとき、
[Cu 3 (L)] n
を基本単位とする構造式を有すると共に、
・ガス吸収挙動の点においては、酸素ガスを選択的に吸収する性質を有する錯体からなる酸素ガス吸収剤を得ることを特徴とするものである。
【0015】
本発明の酸素ガスの吸収方法は、
銅イオンとトリメシン酸アルカリ金属塩とから合成される錯体であって、
・トリメシン酸残基:C 6 H 3 (COO) 3 をLとするとき、
[Cu 3 (L)] n
を基本単位とする構造式を有すると共に、
・ガス吸収挙動の点においては、酸素ガスを選択的に吸収する性質を有する錯体を用いて、酸素ガスを吸収させることを特徴とするものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
【0017】
本発明の酸素ガス吸収剤は、銅イオンとトリメシン酸アルカリ金属塩とから合成される錯体からなる。
【0018】
銅イオン源としては、酢酸第二銅、硝酸第二銅、塩化第二銅、硫酸第二銅などの第二銅塩が好適に用いられ、これらの中では酢酸第二銅が特に重要かつ実際的である。場合によっては、第一銅塩も用いることができる。
【0019】
トリメシン酸アルカリ金属塩としては、トリメシン酸(つまり1,3,5−ベンゼントリカルボン酸)のリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、ルビジウム塩、セシウム塩、すなわち、アルカリ金属をM、トリメシン酸残基:C6H3(COO)3をLとするとき、M3(L) で示される塩が好適に用いられる。また場合によっては、トリメシン酸のベンゼン環の2,4,6位のHの少なくとも一つがアルキル基、アルコキシ基、ハロゲンなどに置換された誘導体も用いることができる(すなわち、本発明においては、「トリメシン酸」の用語はこのような誘導体を含む意味で用いている)。
【0020】
ちなみに、トリメシン酸のアンモニウム塩を用いた場合には、後述の比較例2のように、得られる錯体は酸素ガスと窒素ガスの双方を吸収し、本発明の酸素ガス吸収剤の目的に適しなくなる。
【0021】
反応は、銅塩とトリメシン酸アルカリ金属塩との両者を溶解する溶媒中で行われる。溶媒としては、原料となる両金属塩と安定な錯体を形成しない限りにおいて、有機溶媒、水、有機溶媒−水混合溶媒などが用いられる。このうち有機溶媒としては、アルコール類(メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec-ブタノール、イソブタノール、ネオペンチルアルコール等)、ケトン類(ジエチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、メチルブチルエーテル、フラン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、セロソルブ類、多価アルコール類(エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等)などがあげられ、2種以上を併用してもよい。有機溶媒の中ではアルコール類が特に重要である。
【0022】
上記溶媒の中では、溶解性、沸点などを考慮すると、アルコール類(殊にエタノール)と水との重量比で1/9〜9/1の混合溶媒が特に適している。
【0023】
溶媒の使用量については、特に限定はないものの、原料である銅塩とトリメシン酸アルカリ金属塩の合計量に対し大過剰用いること、たとえば、重量基準で、銅塩とトリメシン酸アルカリ金属塩との合計量の10〜2000倍程度、殊に30〜1000倍程度用いることが、反応の制御の容易さの点で好ましい。
【0024】
銅イオン(銅塩)とトリメシン酸アルカリ金属塩とのモル比については、銅イオン1モルに対しトリメシン酸アルカリ金属塩を 0.1〜10モル用いることが多い。
【0025】
反応温度は、常圧反応の場合で、30〜300℃、殊に40〜200℃、なかんずく50〜180℃とすることが好ましい。反応温度が余りに低すぎるときは反応速度が遅くなり、反応温度が余りに高いときには生成物が分解するおそれがあるからである。溶媒がたとえばエタノール/水の混合溶媒であるときは、還流条件下に反応を行うことが多い。
【0026】
反応圧力は常圧で充分であるが、加圧条件を採用しても差し支えない。加圧条件下に反応を行えば、装置的には不利になるものの、高目の反応温度を採用したり、反応時間を短縮したりすることができる。
【0027】
反応時間は、反応温度や反応圧力などによっても大きく異なるので一概には決められないが、1時間〜10日間程度の範囲から選ぶことが多い。
【0028】
反応終了後、系を冷却すると、生成物である錯体が沈殿として得られるので、必要に応じ、溶媒を蒸発乾固し、また水や有機溶媒による洗浄や再結晶を行ったりする。これにより目的物である錯体(多孔質錯体)が得られる。
【0029】
得られた錯体は、これを加熱処理する。これにより、錯体は活性化されて酸素ガスの吸収に特異性を発現する。このときの加熱処理温度は、100〜350℃の範囲内に設定することが好ましい。加熱処理温度が余りに低いときは活性化が不足し、一方余りに高いときは錯体が分解するおそれがある。特に好ましい範囲は200〜300℃である。
【0030】
このようにして得られた錯体は、トリメシン酸残基:C6H3(COO)3をLとするとき、元素分析からは[Cu3(L)]n を基本単位とする構造式を有し、粉末X線回折における錯体のメインの面間隔dは、トリメシン酸アルカリ金属塩としてリチウム塩を用いた場合には実質的に5.61Åである。水にはごくわずかしか溶けない。
【0031】
この錯体は多孔質であり、酸素ガスを良く吸収するが窒素ガスはほとんど吸収しないので、酸素ガス吸収剤として有用である。
【0032】
付言するに、吸着剤の代表例であるゼオライト(モレキュラーシーブス)のガス吸着量は、吸着剤−ガス間の親和力の差に基因して、N2 ガス(四重極子モーメントを有する)の吸着量が大で、O2 ガス(四重極子モーメントを有しない)の吸着量が小である。一方、同じく吸着剤の代表例であるモレキュラーシービングカーボン(カーボンモレキュラーシーブス、つまり分子ふるい活性炭)の場合には、長時間経過後の吸着量はN2 ガスもO2 ガスも同等であるが、吸着ガスの分子径差に基因して拡散速度(つまり吸着速度)が相違するので、O2 ガス(ファンデルワールス分子直径2.94Å)の方がN2 ガス(ファンデルワールス分子直径3.11Å)よりも吸着速度が速く、短時間内ではO2 ガスの方がN2 ガスよりも先に吸着される。
【0033】
これらのことから、本発明の錯体は、ゼオライトとはガス吸着挙動が異なり、モレキュラーシービングカーボン(分子ふるい活性炭)ともガス吸着挙動が異なることがわかる。
【0034】
【実施例】
次に実施例をあげて本発明をさらに説明する。
【0035】
〈測定方法〉
比表面積および細孔分布は、Micromeritics 社製のAccuSorb 2100Eを用いて液体窒素温度で測定し、比表面積はBET法で計算した。また、酸素ガスと窒素ガスの吸着量は、AccuSorb 2100Eを用いて温度30.0℃で測定した。
【0036】
実施例1
100mlの三角フラスコにトリメシン酸 213.2mg(1.015mmol) を入れ、エタノール/水の容量比が50/50の混合溶媒40mlに溶かし、さらに炭酸リチウム 111.0mg(1.502mmol) を加えて溶かした。このフラスコを加熱して溶媒を蒸発させ、乾固させたところ、白色のトリメシン酸リチウム 228.0mg(1.000mmol) が得られた。
【0037】
300mlの三つ口フラスコに酢酸第二銅一水和物 100.6mg(0.504mmol) を入れ、エタノール/水の容量比が50/50の混合溶媒60mlを加えて溶かした。これに上記で得たトリメシン酸リチウム75.5mg(0.331mmol) を加え、一晩加熱還流した。翌日冷却して沈殿をろ過し、窒素ガスを吹き付けて乾燥したところ、水色の錯体93.6mgが得られた。
【0038】
この沈殿を真空下に250℃で3時間加熱処理し、比表面積計で測定したところ、比表面積(BET法、窒素ガス使用)は98m2/gであった。さらに、温度30.0℃における吸着等温線を図1に示す。図1のように、大気圧(760mmHg)下でのガス吸収量は、酸素ガスは 7.4ml/gであったが、窒素ガスは 1.0ml/gしか吸収しなかった。
【0039】
実施例2
100mlの三角フラスコにトリメシン酸 212.5mg(1.011mmol) を入れ、エタノール/水の容量比が50/50の混合溶媒30mlに溶かし、さらに炭酸ナトリウム 168.8mg(1.593mmol) を加えて溶かした。このフラスコを加熱して溶媒を蒸発させ、乾固させたところ、白色のトリメシン酸ナトリウム 275.8mg(0.999mmol) が得られた。
【0040】
300mlの三つ口フラスコに酢酸第二銅一水和物 102.9mg(0.515mmol) を入れ、エタノール/水の容量比が50/50の混合溶媒40mlを加えて溶かした。これに、上記で得たトリメシン酸ナトリウム93.1mg(0.337mmol) をエタノール/水の容量比が50/50の混合溶媒20mlに溶解した溶液を加え、一晩加熱還流した。翌日冷却して沈殿をろ過し、窒素ガスを吹き付けて乾燥したところ、水色の錯体89.5mgが得られた。
【0041】
この沈殿を真空下に250℃で3時間加熱処理し、比表面積計で測定したところ、比表面積(BET法、窒素ガス使用)は39m2/gであった。さらに、温度30.0℃における吸着等温線を図2に示す。図2のように、大気圧(760mmHg)下でのガス吸収量は、酸素ガスは 4.8ml/gであったが、窒素ガスは 0.2ml/gしか吸収しなかった。
【0042】
実施例3
100mlの三角フラスコにトリメシン酸 421.4mg(2.005mmol) を入れ、エタノール/水の容量比が50/50の混合溶媒40mlに溶かし、さらに炭酸カリウム 419.1mg(3.032mmol) を加えて溶かした。このフラスコを加熱して溶媒を蒸発させ、乾固させたところ、白色のトリメシン酸カリウム 650.1mg(2.004mmol) が得られた。
【0043】
300mlの三つ口フラスコに酢酸第二銅一水和物 105.3mg(0.527mmol) を入れ、エタノール/水の容量比が50/50の混合溶媒40mlを加えて溶かした。これに上記で得たトリメシン酸カリウム 112.6mg(0.347mmol) をエタノール/水の容量比が50/50の混合溶媒20mlに溶解した溶液を加え、一晩加熱還流した。翌日冷却して沈殿をろ過し、窒素ガスを吹き付けて乾燥したところ、水色の錯体93.0mgが得られた。
【0044】
この沈殿を真空下に240℃で4時間加熱処理し、比表面積計で測定したところ、比表面積(BET法、窒素ガス使用)は40m2/gであった。さらに、温度30.0℃における吸着等温線を図3に示す。図3のように、大気圧(760mmHg)下でのガス吸収量は、酸素ガスは 3.7ml/gであったが、窒素ガスは 0.2ml/gしか吸収しなかった。
【0045】
比較例1
300mlの三つ口フラスコに酢酸第二銅一水和物 202.2mg(1.013mmol) を入れ、エタノール100mlを加えて溶かした。これにトリメシン酸 420.8mg(2.002mmol) をエタノール50mlに溶解した溶液を加え、その後1週間加熱還流した。1週間後加熱を止めて冷却して、沈殿をろ過し、窒素ガスを吹き付けて乾燥したところ、青色の沈殿 [Cu3(L)2・2H2O]n 156.3mg(0.244mmol) が得られた。収率は、出発物質として用いた酢酸第二銅基準で約72%であった。
【0046】
この沈殿を真空下に120℃で1時間加熱処理し、比表面積計で測定したところ、比表面積(BET法、窒素ガス使用)は398m2/gであり、細孔分布のピークは半径11Å以下であった。さらに、温度30.0℃における吸着等温線を図4に示す。図4のように、大気圧(760mmHg)下でのガス吸収量は、酸素ガスが 4.6ml/g、窒素ガスも 4.6ml/gであった。
【0047】
比較例2
100mlのナス型フラスコにトリメシン酸 215.0mg(1.023mmol) を入れ、エタノール/水の容量比が50/50の混合溶媒20mlに溶かし、さらに炭酸アンモニウムを溶媒がアルカリ性になるまで加えた。このフラスコをロータリーエバポレーターにかけ、50℃の水浴で溶媒を蒸発させ、乾固させたところ、白色のトリメシン酸アンモニウム 264.3mg(1.012mmol) が得られた。
【0048】
300mlの三つ口フラスコに酢酸第二銅一水和物 101.2mg(0.507mmol) を入れ、エタノール/水の容量比が50/50の混合溶媒60mlを加えて溶かした。これに上記で得たトリメシン酸アンモニウム87.5mg(0.335mmol) をエタノール/水の容量比が50/50の混合溶媒20mlに溶解した溶液を加え、一晩加熱還流した。翌日冷却して沈殿をろ過し、窒素ガスを吹き付けて乾燥したところ、水色の錯体91.7mgが得られた。
【0049】
この沈殿を真空下に240℃で3時間加熱処理し、比表面積計で測定したところ、比表面積(BET法、窒素ガス使用)は13m2/gであった。さらに、温度30.0℃における吸着等温線を図5に示す。図5のように、大気圧(760mmHg)におけるガス吸収量は、酸素ガスは 3.1ml/g、窒素ガスは 2.6ml/gであった。
【0050】
参考例1
モレキュラーシーブス5A(ガスクロ工業株式会社製、30/60メッシュ)の室温(25℃)下における吸着等温線を図6に示す。図6のように、室温(25℃)、大気圧(760mmHg)下でのガス吸着量は、酸素ガスが 2.5ml/g、窒素ガスが 7.2ml/gであった。
【0051】
参考例2
分子ふるい活性炭であるモレキュラーシービングカーボン(MSC、武田薬品株式会社製の「モルシーボン3A」)の室温(25℃)下における吸着等温線を図7に示す。図7のように、室温(25℃)、大気圧(760mmHg)下でのガス吸着量は、酸素ガスが 7.3ml/g、窒素ガスも 7.3ml/gであった。
【0052】
〈粉末X線回折〉
上記実施例1および比較例1で得られた錯体については、さらに粉末X線回折を行った。結果を表1に示すと共に、図8(実施例1)および図9(比較例1、実施例1も併記)に示す。
【0053】
表1には、従来の技術の項であげた文献1の錯体の粉末X線回折値も示してある。表1中、文献1の1、文献1の2とあるのは、X-RAY POWDER DATA FILE(THE AMERICAN SOCIETY FOR TESTING MATERIALS発行)に収録のデータから、文献1に関するデータのうちピークの大きなものを取り出して転記したものである。
【0054】
・文献1の1
X-RAY POWDER DATA FILE 登録番号 39-1962
Cu3(C9H3O6)2・3H2O
Copper benzene-1,3,5-tricarboxylate trihydrate
REF: Pol. J. Chem., 60 697 (1986) Brzyska, W., Wolodkiewicz, W.
・文献1の2
X-RAY POWDER DATA FILE 登録番号 39-1963
Cu3(C9H3O6)2
Copper benzene-1,3,5-tricarboxylate
REF: Pol. J. Chem., 60 697 (1986) Brzyska, W., Wolodkiewicz, W.
【0055】
【表1】
【0056】
さらに図10として、表1の粉末X線回折値の結果をグラフ化した比較図を示す。
【0057】
〈熱分析(TG)〉
上記実施例1で得られた錯体を、サンプル量 2.0mg、昇温速度1℃/min、最高温度500℃、アルゴンガス通気下の条件下に測定したときの熱天秤(TG)グラフを図11に示す。図11から、温度250℃以上で急激な重量減少が見られることがわかる。
【0058】
〈実施例1の錯体のLi 含有量〉
実施例1で得た錯体につき、外部機関(株式会社島津総合分析試験センター)に依頼してLi 含有量を測定した。この錯体中のLi 量は 0.063%であり、錯体中のLi 量は不純物程度であると考えられる。分析方法は次の通りである。
【0059】
(分析方法)試料10mgを採取し、硝酸1mlおよび塩酸 0.5mlを加えて加熱溶解し、純水にて全量25mlとした。これを2倍に希釈し、Li のイオン化を抑制するためにKを1000ppm 添加し、濃度 0.2、 0.4、 0.8ppm により検量線を作成して、検量線法によりLi の定量を行った。得られた測定溶液中の値(ppm) を試料中濃度(%)に換算した(使用機器は島津原子吸光分光光度計)。
【0060】
〈実施例1の錯体の元素分析結果〉
実施例1で得た錯体につき、外部機関(石川島検査計測株式会社)に依頼して元素分析を行ったところ、次の表2の結果が得られた。ただし、測定は、炭素、水素、灰分について行っており、( ) 内は灰分値から算出したものである。
【0061】
【表2】
【0062】
先のLiの分析結果で、錯体中には 0.063%のLiしか含まれていなかったので、灰分は事実上酸化銅(CuO)であると考えられ、その灰分44.8%中のCu成分は44.8×63.546/(63.546+15.999) = 35.8 %であると計算できる。よって、実施例1の錯体は、表1に付記したように、 Cu3(C9H3O6)・7.4H2Oであることがわかる。検算すると、 Cu3(C9H3O6)・7.4H2O = 531.066、このうちのCu成分 = 63.546 ×3/531.066 = 35.9 %、C 成分 = 9×12.011/531.066 = 20.4 % 、H 成分 = (3+ 7.4×2)×1.008/531.066 = 3.4 % となる。
【0063】
〈実施例1の錯体の繰り返し酸素ガス吸収性〉
実施例1で得た錯体につき、第1回目の酸素ガス吸収量の測定後、真空下で250℃で2〜3時間加熱処理して再生することにより、再度酸素ガス吸収量を測定する操作を繰り返したところ、第4回目にあっても、酸素ガス吸収量は低下しなかった。
【0064】
【発明の効果】
本発明によれば、有機−無機複合錯体からなり、かつ酸素ガスを選択的に吸収するが、窒素ガスはほとんど吸収しない錯体からなる酸素ガス吸収剤を提供することができる。また、その酸素ガス吸収剤の工業的な製造法、その酸素ガス吸収剤を用いた酸素ガスの吸収方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の錯体のガス吸着量の測定結果を示したグラフである。
【図2】実施例2の錯体のガス吸着量の測定結果を示したグラフである。
【図3】実施例3の錯体のガス吸着量の測定結果を示したグラフである。
【図4】比較例1の錯体のガス吸着量の測定結果を示したグラフである。
【図5】比較例2の錯体のガス吸着量の測定結果を示したグラフである。
【図6】参考例1のモレキュラーシーブスのガス吸着量の測定結果を示したグラフである。
【図7】参考例2のモレキュラーシービングカーボンの吸着等温線図である。
【図8】実施例1で得た錯体の粉末X線回折図である。
【図9】比較例1で得た錯体の粉末X線回折図であり、図8の実施例1の結果も併記してある。
【図10】表1の粉末X線回折値の結果をグラフ化した比較図である。
【図11】実施例1で得られた錯体の熱分析(TG)グラフである。[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to an oxygen gas absorbent comprising an organic-inorganic composite complex, and more particularly to an oxygen gas absorbent comprising a complex which selectively absorbs oxygen gas but hardly absorbs nitrogen gas. The present invention also relates to an industrial method for producing such an oxygen gas absorbent and a method for absorbing oxygen gas using such an oxygen gas absorbent .
[0002]
[Prior art]
As an adsorbent for adsorbing nitrogen gas and oxygen gas, zeolite and activated carbon having molecular sieve are known. Zeolites adsorb more nitrogen gas than oxygen gas, and molecular sieve activated carbon can adsorb oxygen gas faster than nitrogen gas. These adsorbents are used in gas separation devices such as PSA by utilizing their properties.
[0003]
Several studies have been made on metal complexes of benzenetricarboxylic acid, including trimesic acid, relevant to the present invention. Hereinafter, a few documents related to the present invention are listed as related documents.
[0004]
<
A Polish chemical journal "POLISH JOURNAL OF CHEMISTRY (FORMERLY ROCZNIKI CHEMII), 60, 697 (1986)" (Reference 1) contains a paper entitled "Production and properties of copper (II) complex with benzenetricarboxylic acid". Is published. According to this article, hemimellitate, trimesate and trimellitate of copper (II) are obtained as hydrated salts with a metal to ligand ratio of 3: 2.
[0005]
In the experiment, a complex of copper (II) and hemimellitic acid, trimesic acid or trimellitic acid was prepared by adding an equivalent 0.1 M solution of cupric nitrate to a hot solution of ammonium tricarboxylate (pH 5 to 5.5). The precipitate formed is heated in the mother liquor to 333-343 K (60-70 ° C.) for 0.5 h, filtered, washed with distilled water to remove NH 4 + ions and brought to constant weight at 303 K (30 ° C.) It is obtained by drying until.
[0006]
The infrared absorption spectrum and the powder X-ray diffraction pattern of the obtained complex are also shown. The complex is dehydrated by heating and decomposed directly to CuO or with the formation of a Cu 2 O intermediate, depending on the heating rate.
[0007]
<
"J. Am. Chem. Soc., 1996, 118, 9096-9101" (Reference 2) entitled "Construction of porous solid from hydrogen-bonded metal complex of 1,3,5-benzenetricarboxylic acid". A paper has been published. Here, an aqueous mixture of M (II) (M = Co, Ni, Zn) acetate hydrate and
[0008]
This document 2 (and related documents) is described in "Science and Industry, 71 (10), 434-448 (1997)" (Reference 2 '), "Molecular zeolite-synthesis of organic-inorganic hybrid zeolite-". There is also a mention in a commentary on the subject, which states on page 444 that this complex does not exchange with oxygen, nitrogen, carbon monoxide, etc., but can reversibly adsorb and desorb water, ammonia, etc. is there.
[0009]
[Problems to be solved by the invention]
There are three types of benzenetricarboxylic acids: hemimelitic acid, trimesic acid, and trimellitic acid. Now, when benzenetricarboxylic acid is represented by BTC and a divalent metal is represented by M, the complex of the above-mentioned
[0010]
<Regarding
The above-mentioned
[0011]
<Regarding
[0012]
<Object of the present invention>
The present invention, in this background under organic - an inorganic composite complex, and that selectively absorb oxygen gas, to provide an oxygen gas absorbent consisting of the nitrogen gas absorbs little complex, its oxygen to provide an industrial method for producing gas absorbent, and it is an object to provide a method of absorbing oxygen gas using the oxygen gas absorbent.
[0013]
[Means for Solving the Problems]
The oxygen gas absorbent of the present invention,
A complex synthesized from a copper ion and an alkali metal trimesate ,
-Trimesic acid residue: When C 6 H 3 (COO) 3 is L,
[Cu 3 (L)] n
Having a structural formula with a basic unit of,
-In terms of gas absorption behavior, it is characterized by comprising a complex having a property of selectively absorbing oxygen gas .
[0014]
The production method of the oxygen gas absorbent of the present invention is to obtain a complex by reacting a copper ion and an alkali metal trimesinate in a solvent that dissolves both, and then heat-treating the complex ,
-Trimesic acid residue: When C 6 H 3 (COO) 3 is L,
[Cu 3 (L)] n
Having a structural formula with a basic unit of,
In terms of gas absorption behavior, an oxygen gas absorbent comprising a complex having a property of selectively absorbing oxygen gas is obtained .
[0015]
The method for absorbing oxygen gas of the present invention,
A complex synthesized from a copper ion and an alkali metal trimesate,
-Trimesic acid residue: When C 6 H 3 (COO) 3 is L,
[Cu 3 (L)] n
Having a structural formula with a basic unit of,
In terms of gas absorption behavior, the present invention is characterized in that a complex having a property of selectively absorbing oxygen gas is used to absorb oxygen gas.
[0016]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, the present invention will be described in detail.
[0017]
The oxygen gas absorbent of the present invention comprises a complex synthesized from copper ions and an alkali metal trimesate.
[0018]
As the copper ion source, cupric salts such as cupric acetate, cupric nitrate, cupric chloride and cupric sulfate are preferably used, and among these, cupric acetate is particularly important and practical. It is a target. In some cases, cuprous salts can also be used.
[0019]
Examples of the alkali metal trimesic acid include lithium, sodium, potassium, rubidium, and cesium salts of trimesic acid (that is, 1,3,5-benzenetricarboxylic acid), that is, an alkali metal is M, a trimesic acid residue: When C 6 H 3 (COO) 3 is L, a salt represented by M 3 (L) is preferably used. In some cases, a derivative in which at least one of H at
[0020]
By the way, when the ammonium salt of trimesic acid is used, the obtained complex absorbs both oxygen gas and nitrogen gas as in Comparative Example 2 described later, and is not suitable for the purpose of the oxygen gas absorbent of the present invention. .
[0021]
The reaction is carried out in a solvent that dissolves both the copper salt and the alkali metal trimesate. As the solvent, an organic solvent, water, an organic solvent-water mixed solvent, or the like is used as long as it does not form a stable complex with both metal salts as raw materials. Among them, organic solvents include alcohols (methanol, ethanol, n-propanol, isopropanol, n-butanol, sec-butanol, isobutanol, neopentyl alcohol, etc.), ketones (diethyl ketone, methyl ethyl ketone, cyclohexanone, etc.), ethers (Diethyl ether, dibutyl ether, methyl butyl ether, furan, etc.), esters (ethyl acetate, butyl acetate, etc.), cellosolves, polyhydric alcohols (ethylene glycol, diethylene glycol, propylene glycol, dipropylene glycol, glycerin, trimethylol) And the like, and two or more kinds may be used in combination. Among organic solvents, alcohols are particularly important.
[0022]
Among the above solvents, a mixed solvent of 1/9 to 9/1 by weight of an alcohol (particularly ethanol) and water is particularly suitable in consideration of solubility, boiling point, and the like.
[0023]
The amount of the solvent used is not particularly limited, but is used in a large excess with respect to the total amount of the raw material copper salt and trimesic acid alkali metal salt, for example, on a weight basis, between the copper salt and the trimesic acid alkali metal salt. It is preferable to use about 10 to 2000 times, especially about 30 to 1000 times of the total amount in view of easy control of the reaction.
[0024]
Regarding the molar ratio of copper ion (copper salt) to trimesic acid alkali metal salt, 0.1 to 10 mol of trimesic acid alkali metal salt is often used per 1 mol of copper ion.
[0025]
The reaction temperature is 30 to 300 ° C, preferably 40 to 200 ° C, particularly preferably 50 to 180 ° C in the case of normal pressure reaction. If the reaction temperature is too low, the reaction rate will be low, and if the reaction temperature is too high, the product may be decomposed. When the solvent is, for example, a mixed solvent of ethanol / water, the reaction is often performed under reflux conditions.
[0026]
Normal reaction pressure is sufficient, but pressurized conditions may be used. If the reaction is carried out under a pressurized condition, although it is disadvantageous in terms of equipment, a higher reaction temperature can be adopted or the reaction time can be shortened.
[0027]
The reaction time varies greatly depending on the reaction temperature, reaction pressure, and the like, and cannot be unconditionally determined, but is often selected from a range of about 1 hour to 10 days.
[0028]
After completion of the reaction, when the system is cooled, a complex as a product is obtained as a precipitate. Therefore, if necessary, the solvent is evaporated to dryness, and washing or recrystallization with water or an organic solvent is performed. Thereby, the target complex (porous complex) is obtained.
[0029]
The obtained complex is heat-treated. Thereby, the complex is activated and expresses specificity in absorption of oxygen gas. The heat treatment temperature at this time is preferably set in the range of 100 to 350 ° C. When the heat treatment temperature is too low, activation is insufficient, while when too high, the complex may be decomposed. A particularly preferred range is 200 to 300 ° C.
[0030]
The complex thus obtained has a structural formula having [Cu 3 (L)] n as a basic unit from elemental analysis, where L is trimesic acid residue: C 6 H 3 (COO) 3. The main plane spacing d of the complex in powder X-ray diffraction is substantially 5.61 ° when a lithium salt is used as the alkali metal trimesinate. Very slightly soluble in water.
[0031]
Since this complex is porous and absorbs oxygen gas well but hardly absorbs nitrogen gas, it is useful as an oxygen gas absorbent.
[0032]
In addition, the gas adsorption amount of zeolite (molecular sieves), which is a typical example of the adsorbent, is based on the difference in the affinity between the adsorbent and the gas, and the amount of adsorption of N 2 gas (having a quadrupole moment). And the adsorption amount of O 2 gas (having no quadrupole moment) is small. On the other hand, in the case of molecular sieving carbon (carbon molecular sieves, that is, activated carbon with molecular sieve), which is also a representative example of the adsorbent, the amount of adsorption after a long time is the same for both N 2 gas and O 2 gas. O 2 gas (Van der Waals molecular diameter 2.94Å) is better than N 2 gas (Van der Waals molecular diameter 3.11Å) because the diffusion rate (ie, adsorption rate) is different due to the difference in molecular diameter of the adsorbed gas. Also, the adsorption speed is high, and within a short time, the O 2 gas is adsorbed earlier than the N 2 gas.
[0033]
From these facts, it can be seen that the complex of the present invention has a different gas adsorption behavior from zeolite and a different gas adsorption behavior from molecular sieving carbon (molecular sieve activated carbon).
[0034]
【Example】
Next, the present invention will be further described with reference to examples.
[0035]
<Measuring method>
The specific surface area and pore distribution were measured at a liquid nitrogen temperature using AccuSorb 2100E manufactured by Micromeritics, and the specific surface area was calculated by the BET method. The adsorption amounts of oxygen gas and nitrogen gas were measured at a temperature of 30.0 ° C. using AccuSorb 2100E.
[0036]
Example 1
213.2 mg (1.015 mmol) of trimesic acid was placed in a 100 ml Erlenmeyer flask, dissolved in 40 ml of a mixed solvent of ethanol / water at a volume ratio of 50/50, and further added with 111.0 mg (1.502 mmol) of lithium carbonate and dissolved. The flask was heated to evaporate the solvent and evaporated to dryness, yielding 228.0 mg (1.000 mmol) of white lithium trimesate.
[0037]
100.6 mg (0.504 mmol) of cupric acetate monohydrate was placed in a 300 ml three-necked flask, and 60 ml of a mixed solvent of ethanol / water at a volume ratio of 50/50 was added and dissolved. To this was added 75.5 mg (0.331 mmol) of lithium trimesate obtained above, and the mixture was heated under reflux overnight. After cooling the next day, the precipitate was filtered and dried by blowing nitrogen gas to obtain 93.6 mg of a light blue complex.
[0038]
This precipitate was heat-treated under vacuum at 250 ° C. for 3 hours, and the specific surface area (BET method, using nitrogen gas) was 98 m 2 / g as measured by a specific surface area meter. FIG. 1 shows an adsorption isotherm at a temperature of 30.0 ° C. As shown in FIG. 1, the amount of gas absorbed under atmospheric pressure (760 mmHg) was 7.4 ml / g for oxygen gas, but only 1.0 ml / g for nitrogen gas.
[0039]
Example 2
212.5 mg (1.011 mmol) of trimesic acid was placed in a 100 ml Erlenmeyer flask, dissolved in 30 ml of a mixed solvent of ethanol / water at a volume ratio of 50/50, and further dissolved by adding 168.8 mg (1.593 mmol) of sodium carbonate. The flask was heated to evaporate the solvent and evaporated to dryness, yielding 275.8 mg (0.999 mmol) of white sodium trimesinate.
[0040]
102.9 mg (0.515 mmol) of cupric acetate monohydrate was placed in a 300 ml three-necked flask, and dissolved by adding 40 ml of a 50/50 mixed solvent of ethanol / water by volume. To this was added a solution obtained by dissolving 93.1 mg (0.337 mmol) of sodium trimesinate obtained above in 20 ml of a mixed solvent of ethanol / water at a volume ratio of 50/50, and the mixture was heated under reflux overnight. The next day, the mixture was cooled, and the precipitate was filtered and dried by blowing nitrogen gas to obtain 89.5 mg of a light blue complex.
[0041]
The precipitate was heat-treated under vacuum at 250 ° C. for 3 hours and measured with a specific surface area meter. The specific surface area (BET method, using nitrogen gas) was 39 m 2 / g. FIG. 2 shows an adsorption isotherm at a temperature of 30.0 ° C. As shown in FIG. 2, the amount of gas absorbed under atmospheric pressure (760 mmHg) was 4.8 ml / g for oxygen gas, but only 0.2 ml / g for nitrogen gas.
[0042]
Example 3
421.4 mg (2.005 mmol) of trimesic acid was placed in a 100 ml Erlenmeyer flask, dissolved in 40 ml of a 50/50 mixed solvent of ethanol / water, and 419.1 mg (3.032 mmol) of potassium carbonate was further added and dissolved. The flask was heated to evaporate the solvent to dryness, yielding 650.1 mg (2.004 mmol) of white potassium trimesate.
[0043]
105.3 mg (0.527 mmol) of cupric acetate monohydrate was placed in a 300 ml three-necked flask, and dissolved by adding 40 ml of a 50/50 mixed solvent of ethanol / water in volume ratio. A solution prepared by dissolving 112.6 mg (0.347 mmol) of the potassium trimesinate obtained above in 20 ml of a mixed solvent of ethanol / water at a volume ratio of 50/50 was added thereto, and the mixture was heated under reflux overnight. The next day, the mixture was cooled, and the precipitate was filtered and dried by blowing nitrogen gas to obtain 93.0 mg of a light blue complex.
[0044]
This precipitate was heat-treated under vacuum at 240 ° C. for 4 hours, and the specific surface area (BET method, using nitrogen gas) was 40 m 2 / g as measured by a specific surface area meter. FIG. 3 shows an adsorption isotherm at a temperature of 30.0 ° C. As shown in FIG. 3, the amount of gas absorbed under atmospheric pressure (760 mmHg) was 3.7 ml / g for oxygen gas, but only 0.2 ml / g for nitrogen gas.
[0045]
Comparative Example 1
202.2 mg (1.013 mmol) of cupric acetate monohydrate was placed in a 300 ml three-necked flask, and dissolved by adding 100 ml of ethanol. A solution of 420.8 mg (2.002 mmol) of trimesic acid dissolved in 50 ml of ethanol was added thereto, and the mixture was heated under reflux for one week. After one week, the heating was stopped and the mixture was cooled, and the precipitate was filtered and dried by blowing nitrogen gas to obtain 156.3 mg (0.244 mmol) of a blue precipitate [Cu 3 (L) 2 .2H 2 O] n. Was. The yield was about 72% based on cupric acetate used as starting material.
[0046]
This precipitate was heat-treated at 120 ° C. for 1 hour under vacuum and measured with a specific surface area meter. The specific surface area (BET method, using nitrogen gas) was 398 m 2 / g, and the peak of the pore distribution had a radius of 11 ° or less. Met. FIG. 4 shows an adsorption isotherm at a temperature of 30.0 ° C. As shown in FIG. 4, the amount of gas absorption under atmospheric pressure (760 mmHg) was 4.6 ml / g for oxygen gas and 4.6 ml / g for nitrogen gas.
[0047]
Comparative Example 2
215.0 mg (1.023 mmol) of trimesic acid was placed in a 100 ml eggplant-shaped flask, dissolved in 20 ml of a mixed solvent of ethanol / water at a volume ratio of 50/50, and ammonium carbonate was further added until the solvent became alkaline. The flask was placed on a rotary evaporator, the solvent was evaporated in a water bath at 50 ° C., and the solid was evaporated to dryness, whereby 264.3 mg (1.012 mmol) of white ammonium trimesinate was obtained.
[0048]
101.2 mg (0.507 mmol) of cupric acetate monohydrate was placed in a 300 ml three-necked flask, and 60 ml of a mixed solvent of ethanol / water at a volume ratio of 50/50 was added and dissolved. A solution prepared by dissolving 87.5 mg (0.335 mmol) of ammonium trimesinate obtained above in 20 ml of a mixed solvent of ethanol / water at a volume ratio of 50/50 was added thereto, and the mixture was heated under reflux overnight. After cooling the next day, the precipitate was filtered and dried by blowing nitrogen gas to obtain 91.7 mg of a light blue complex.
[0049]
This precipitate was heat-treated under vacuum at 240 ° C. for 3 hours, and the specific surface area (BET method, using nitrogen gas) was 13 m 2 / g as measured by a specific surface area meter. Further, FIG. 5 shows an adsorption isotherm at a temperature of 30.0 ° C. As shown in FIG. 5, the gas absorption at atmospheric pressure (760 mmHg) was 3.1 ml / g for oxygen gas and 2.6 ml / g for nitrogen gas.
[0050]
Reference Example 1
FIG. 6 shows an adsorption isotherm of Molecular Sieves 5A (30/60 mesh, manufactured by Gascro Industry Co., Ltd.) at room temperature (25 ° C.). As shown in FIG. 6, the gas adsorption amounts at room temperature (25 ° C.) and atmospheric pressure (760 mmHg) were 2.5 ml / g for oxygen gas and 7.2 ml / g for nitrogen gas.
[0051]
Reference Example 2
FIG. 7 shows the adsorption isotherm of molecular sieving carbon (MSC, “Morchibon 3A” manufactured by Takeda Pharmaceutical Co., Ltd.) at room temperature (25 ° C.), which is a molecular sieve activated carbon. As shown in FIG. 7, the amount of adsorbed gas at room temperature (25 ° C.) and atmospheric pressure (760 mmHg) was 7.3 ml / g for oxygen gas and 7.3 ml / g for nitrogen gas.
[0052]
<Powder X-ray diffraction>
The complexes obtained in Example 1 and Comparative Example 1 were further subjected to powder X-ray diffraction. The results are shown in Table 1 and also in FIG. 8 (Example 1) and FIG. 9 (Comparative Example 1 and Example 1 are also shown).
[0053]
Table 1 also shows the powder X-ray diffraction values of the complex of
[0054]
・
X-RAY POWDER DATA FILE Registration No. 39-1962
Cu 3 (C 9 H 3 O 6 ) 2・ 3H 2 O
Copper benzene-1,3,5-tricarboxylate trihydrate
REF: Pol. J. Chem., 60 697 (1986) Brzyska, W., Wolodkiewicz, W.
・ Reference 1-2
X-RAY POWDER DATA FILE Registration No. 39-1963
Cu 3 (C 9 H 3 O 6 ) 2
Copper benzene-1,3,5-tricarboxylate
REF: Pol. J. Chem., 60 697 (1986) Brzyska, W., Wolodkiewicz, W.
[0055]
[Table 1]
[0056]
Further, FIG. 10 shows a comparative diagram in which the results of the powder X-ray diffraction values in Table 1 are graphed.
[0057]
<Thermal analysis (TG)>
FIG. 11 shows a thermobalance (TG) graph when the complex obtained in Example 1 was measured under the conditions of a sample amount of 2.0 mg, a heating rate of 1 ° C./min, a maximum temperature of 500 ° C., and argon gas ventilation. Shown in From FIG. 11, it can be seen that a sharp weight loss is observed at a temperature of 250 ° C. or higher.
[0058]
<Li content of the complex of Example 1>
The Li content of the complex obtained in Example 1 was measured by requesting an external organization (Shimadzu Comprehensive Analytical Testing Center). The amount of Li in this complex is 0.063%, and the amount of Li in the complex is considered to be of the order of impurities. The analysis method is as follows.
[0059]
(Analysis method) A 10 mg sample was collected, dissolved by heating with 1 ml of nitric acid and 0.5 ml of hydrochloric acid, and adjusted to a total volume of 25 ml with pure water. This was diluted twice, and 1000 ppm of K was added to suppress the ionization of Li. A calibration curve was prepared based on the concentrations of 0.2, 0.4, and 0.8 ppm, and Li was quantified by the calibration curve method. The value (ppm) in the obtained measurement solution was converted to the concentration (%) in the sample (the equipment used was a Shimadzu atomic absorption spectrophotometer).
[0060]
<Elemental analysis results of complex of Example 1>
The complex obtained in Example 1 was subjected to elemental analysis by an external organization (Ishikawajima Inspection and Measurement Co., Ltd.), and the results in Table 2 below were obtained. However, the measurement was performed for carbon, hydrogen, and ash, and the values in parentheses are calculated from the ash value.
[0061]
[Table 2]
[0062]
As a result of the above analysis of Li, since only 0.063% of Li was contained in the complex, the ash was considered to be actually copper oxide (CuO), and the Cu component in the ash of 44.8% was 44.8 × It can be calculated that 63.546 / (63.546 + 15.999) = 35.8%. Therefore, as shown in Table 1, the complex of Example 1 is Cu 3 (C 9 H 3 O 6 ) · 7.4H 2 O. When calculated, Cu 3 (C 9 H 3 O 6 ) ・ 7.4H 2 O = 531.066, of which Cu component = 63.546 × 3 / 531.066 = 35.9%, C component = 9 × 12.011 / 531.066 = 20.4%, H component = (3 + 7.4 × 2) × 1.008 / 531.066 = 3.4%.
[0063]
<Repeated oxygen gas absorption of the complex of Example 1>
For the complex obtained in Example 1, after the first measurement of the amount of oxygen gas absorbed, a heat treatment was performed at 250 ° C. for 2 to 3 hours under vacuum to regenerate the complex. When it was repeated, the amount of oxygen gas absorbed did not decrease even at the fourth time.
[0064]
【The invention's effect】
ADVANTAGE OF THE INVENTION According to this invention, the oxygen gas absorbent which consists of a complex which consists of an organic-inorganic composite complex and absorbs oxygen gas selectively, but hardly absorbs nitrogen gas can be provided. Further , it is possible to provide an industrial production method of the oxygen gas absorbent and a method of absorbing oxygen gas using the oxygen gas absorbent .
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a graph showing the measurement results of the gas adsorption amount of the complex of Example 1.
FIG. 2 is a graph showing a measurement result of a gas adsorption amount of the complex of Example 2.
FIG. 3 is a graph showing a measurement result of a gas adsorption amount of the complex of Example 3.
FIG. 4 is a graph showing a measurement result of a gas adsorption amount of the complex of Comparative Example 1.
FIG. 5 is a graph showing a measurement result of a gas adsorption amount of the complex of Comparative Example 2.
FIG. 6 is a graph showing the measurement results of the gas adsorption amount of the molecular sieve of Reference Example 1.
FIG. 7 is an adsorption isotherm of the molecular sieving carbon of Reference Example 2.
FIG. 8 is a powder X-ray diffraction chart of the complex obtained in Example 1.
FIG. 9 is a powder X-ray diffraction diagram of the complex obtained in Comparative Example 1, and also shows the result of Example 1 in FIG.
FIG. 10 is a comparative diagram in which the results of powder X-ray diffraction values in Table 1 are graphed.
FIG. 11 is a thermal analysis (TG) graph of the complex obtained in Example 1.
Claims (4)
・トリメシン酸残基:C 6 H 3 (COO) 3 をLとするとき、
[Cu 3 (L)] n
を基本単位とする構造式を有すると共に、
・ガス吸収挙動の点においては、酸素ガスを選択的に吸収する性質を有する錯体からなることを特徴とする酸素ガス吸収剤。A complex synthesized from a copper ion and an alkali metal trimesate ,
-Trimesic acid residue: When C 6 H 3 (COO) 3 is L,
[Cu 3 (L)] n
Having a structural formula with a basic unit of,
In terms of gas absorption behavior, an oxygen gas absorbent comprising a complex having a property of selectively absorbing oxygen gas.
・トリメシン酸残基:C 6 H 3 (COO) 3 をLとするとき、
[Cu 3 (L)] n
を基本単位とする構造式を有すると共に、
・ガス吸収挙動の点においては、酸素ガスを選択的に吸収する性質を有する錯体からなる酸素ガス吸収剤を得ることを特徴とする酸素ガス吸収剤の製造法。A complex is obtained by reacting a copper ion and an alkali metal trimesate in a solvent in which both are dissolved, and then the complex is subjected to heat treatment ,
-Trimesic acid residue: When C 6 H 3 (COO) 3 is L,
[Cu 3 (L)] n
Having a structural formula with a basic unit of,
In terms of gas absorption behavior, a method for producing an oxygen gas absorbent comprising obtaining an oxygen gas absorbent comprising a complex having a property of selectively absorbing oxygen gas.
・トリメシン酸残基:C・ Trimesic acid residue: C 66 HH 3Three (COO)(COO) 3Three をLとするとき、Is L
[Cu [Cu 3Three (L)](L)] nn
を基本単位とする構造式を有すると共に、Having a structural formula with a basic unit of,
・ガス吸収挙動の点においては、酸素ガスを選択的に吸収する性質を有する錯体を用いて、酸素ガスを吸収させることを特徴とする酸素ガスの吸収方法。In terms of gas absorption behavior, an oxygen gas absorption method characterized by absorbing oxygen gas using a complex having a property of selectively absorbing oxygen gas.
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