JP3541898B2 - レーザーダイオード - Google Patents
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【0001】
【産業上の利用分野】
引用によりその内容が本文中に組み込まれる、米国特許出願第07/948,524号及び07/948,522号は、個々にアドレス指定可能でありTEモードもしくはTMモードで発振するようにできる量子井戸(QW)レーザーの構造及び共通基板上での製造方法と、TE偏光モードにおける発振からTM偏光モードにおける発振へと、あるいはその逆に切り換え可能な量子井戸(QW)レーザー構造とを説明している。これは基板との格子不整合により、エピタキシャル成長された活性領域において誘発されるひずみのタイプを制御することにより、特定の物質系において達成されている。このように、重いホールと軽いホールの遷移を許すほとんどの物質系において、n=1の重いホールが最低のエネルギー状態であり、従ってその分布がほとんど容易に反転される状態の時、TE偏光利得が支配的となり、そのような状態は、無ひずみ、および圧縮ひずみが与えられたIII−V族合金系に通常あてはまる。しかしながら、活性領域に伸張ひずみを誘発することにより特定の物質系において達成される、軽いホールと重いホールのバンドエッジの逆転により、TM偏光利得が支配的となる。軽いホール帯及び重いホール帯のエネルギーが実質的に一致する縮退状態において、放射の偏光はしきい値キャリア密度、及び温度、鏡面反射率、キャビティ長及びキャビティ内光学損失等の他の要素により決定され得る。
【0002】
【従来の技術】
一般に、所望の偏光モード放射デバイスは、注意深く調整された単一QW、もしくはモードの利得特性及びしきい値利得に依存するレーザー発振の偏光モードで、各々TEモード利得及びTMモード利得用の別個のQWのいずれかで達成することができる。必要な利得特性は、最低の透過電流を持つ1つの偏光、及びより大きなピーク利得を持つ直交する偏光を持つ。活性領域パラメーターの特定な範囲(厚さ、構成、閉じ込め領域内の配置等)に対してこれらの特性を得ることができ、従って、偏光はしきい値利得によって決定される。従って、各々のデバイスの偏光を、例えばデバイスの1つに付加的な損失を導入することによって選択することができ、それにより高い方の利得の偏光で発振するように強制する。他方、この付加的な損失がないデバイスは単に最低の透過電流を持つ偏光で発振する。付加的な損失は、キャビティ内損失変調器を使用して、キャビティに沿ったポンピングされない部分、低い鏡面反射率、短いキャビティ等により提供できる。同様に、各デバイスの偏光はキャビティ内損失変調器を使用して切り換えることができる。
【0003】
この偏光選択性機構は、図1に示す偏光依存利得−電流特性により表され、TM及びTEモード用のモード利得gが縦座標に沿って、また両モード用の電流Iが横座標に沿ってプロットされている。TEのラベルが付けられた曲線10はTEモード用の利得特性を示し、TMのラベルが付けられた曲線11はTMモード用の利得特性を示す。垂直線13により交点14の左側の動作状態が表される場合、TE利得の方が高く、TE偏光が放射される。垂直線15により交差14の右側の動作状態がされる場合、TM利得の方が高く、TM偏光が放射される。
【0004】
上述の原則を前述の引用出願に開示された物質系に応用すると、約600から650nmのスペクトル範囲で放射可能なレーザーデバイスになる。しかしながら、650nmをかなり越えた放射するレーザーデバイスに対して重要な応用が可能である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
発明の目的は、より幅の広い波長範囲にわたり動作可能な、並んで配置される直交偏光QWレーザーを備えた固体モノリシックレーザーである。
【0006】
発明の更なる目的は、より幅の広い波長範囲にわたり、TE及びTM偏光モード間で切り替え可能な固体QWレーザーである。
【0007】
発明の別の目的は波長範囲600−850nm用のTMモードの半導体レーザーである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
我々は、前述の引用出願において説明されている制御可能なTE/TMQWレーザーの波長範囲が制限される理由が制限された合金範囲にあり、伸張ひずみ誘発により、その範囲にわたりTMモード動作を決定するしきい値がTEモード動作を決定するしきい値に充分近接することができ、動作の偏光モードの制御が可能になることを見い出した。
【0009】
我々は更に、この制限を示さない特定の物質系が存在することを発見し、その結果実質的に650nmを越えてTEもしくはTMモードで動作できるQWレーザーを作成することが可能となった。
【0010】
特に、我々は特定のひずみのある三成分系、好ましくは特定のひずみのある四成分系を活性層として用いることで、制御可能もしくは切り替え可能な偏光で長波長動作を約850nmまで拡大できることを発見した。これは、特にGaAs基板上に作られた、直交偏光レーザーもしくは600−850nmの波長範囲で偏光切り替え可能なレーザーの個々にアドレス可能なアレイを持つことが望ましい、偏光制御された多重ビームラスター出力走査(ROS)カラー印刷等の特定の応用にとって重要な利点を提供する。
【0011】
本発明の特徴によれば、四成分系は好ましくはIn1−x Gax Asy P1−y もしくはAl1−x Gax Asy P1−y から成る。
【0012】
本発明の上記及び更なる目的、詳細、及び利点は、添付図面に関連して、好ましい実施例に関する以下の詳細な説明により明らかとなる。
【0013】
【作用】
図2は従来のIII−V族合金の選択的に埋め込まれたリッジ導波路ダイオードレーザー19を示し、それは基板20と、その上に従来の方法でエピタキシャル成長されたクラッディング層21、25、26、活性QW層24と接するキャリア閉じ込め領域22、23、リッジもしくはメサキャップ層26、及び接触層27から成っている。上下にある電極28、29が活性層24のための注入電流を提供する。リッジ26に接する層30は通常は再成長される。光学キャビティを形成する構造の対向端の通常の反射面は図示していない。
【0014】
好ましい実施例では、基板20はGaAsから成り、クラッディング及び封層21、22、23、25はAlGaAsから成り、再成長層30はGaAsから成る。
【0015】
本発明によれば、In1−x Gax Asy P1−y もしくはAl1−x Gax Asy P1−y 四元合金の活性領域24は、GaAs基板20に格子整合された閉じ込め構造22、23、及び、21、25、26としてのAlGaAsもしくは(AlGa)0.5 In0.5 Pと共に、半導体レーザーにおいて使用される。
【0016】
まず、格子整合されたInGaAsP活性領域用のIn1−x Gax Asy P1−y 合金について考えてみると、650nm(Ga0.516 In0.484 P)から870nm(GaAs)の波長範囲が可能である。これはR.L. Moon et. al. 、Journal of Electronic Materials 、3, 635(1974)から抜粋した図3に示されており、それはヒ素含有量(y)とガリウム含有量(x)の軸上で、一定のバンドギャップエネルギー(実線曲線)及び格子定数(点線)に対する等高線を示している。バンドギャップが組成により弓形になるので、バンドギャップの等高線は湾曲し、対照的に、組成依存格子パラメーターに対してはベガードの法則が仮定されるので、格子定数に対する等高線はまっすぐとなる。GaAsに対する格子整合の条件は、y=0、x=0.516から上部右手角(x、y=1)まで伸びる、符号30で示される点線a0=5.65Åに沿っている。従って、実質的に点線30に沿った範囲の組成を持つInGaAsP四元合金の活性領域はGaAsに対して格子整合するし、650−870nmでのレーザー放射に等しいおよそ1.4−1.9eVのバンドギャップ領域に及ぶことができる。曲線30の左端の点においてy=0の時、三元合金In0.484 Ga0.516 Pは格子整合された合金の中に含まれる。
【0017】
同様に、四元合金Al1−x Gax Asy P1−y も同様のバンドギャップ範囲に及ぶ活性領域において使用できる。これは図4に示されており、AlGaAsP四元物質系用のバンドギャップエネルギーと格子パラメーターの等高線を、H.C.Casey, Jr. et al.による”Heterostructure Lasers, Part B: Materials and Operating Characteristics” (ヘテロ構造レーザー、パートB:物質及び動作特性)、Academic Press, Orlando, FL, 1978から抜粋している。図3と比べると、III族インジウム成分が単にアルミニウムと置き換えられており、AlAs/GaAs及びAlP/GaPの二元合金が非常に近接して格子整合されており、格子パラメーターの等高線線(点線)はほぼ垂直である。GaAsに対する格子整合を表す等高線線は、y=0.97、x=0(AlAs0.97P0.03)からy=1、x=1(GaAs)まで伸びており、符号32で示されている。
【0018】
この等高線線32の左側にある組成はより小さな格子パラメーターを持っており、従ってAlGaAsもしくは(AlGa)0.5 In0.5 Pの上に成長した場合、張力ひずみが与えられる。格子整合したAl1−x Gax Asy P1−y 合金は、620nmから870nmの波長範囲に対応する直接的バンドギャップ1.424<Er <2.0eVを持つ。
【0019】
前述の引用出願において説明されているように、格子整合した量子井戸活性領域を持つレーザーデバイスは、基本的な電子の遷移が重いホールエネルギー準位で終了するので、TEモードで発振する。しかしながら、(二軸)伸張ひずみを導入することにより、レーザーはTMモードで発振できるようになる。これは張力方向へ活性領域を意図的に格子不整合することにより達成される。その結果、重いホール及び軽いホールエネルギー準位は位置を変えることができ、軽いホールレベルは価電子帯における基底状態となる。この場合、低い方の注入キャリア密度で反転されるのは軽いホール分布である。従って、軽いホール遷移がTMモードのために利得を提供するので、TMモード偏光が該かる構造において発振するようにできる。
【0020】
上記の説明を単に示すものとして、x=1であるIn1−x Gax Asy P1−y もしくはAl1−x Gax Asy P1−y 四元合金を考る。結果は図3及び図4の上部軸上にあるGaAsP三元合金である。AlGaAsもしくは(AlGa)0.5 In0.5 P閉じ込め領域を持つデバイスに対しては、格子整合された活性領域はGaAsである。GaAs活性領域をリンで合金化することにより、格子パラメーターは小さくなり、活性領域量子井戸に二軸張力が与えられる。組成(ひずみ)に依存する臨界厚みがあり、その下で量子井戸は仮像であり、界面ミスフィット転置がない。このように弾性的に変形された物質の価電子帯構造はひどくゆがめられており、軽いホール帯が基底状態となり、それによってTMモードレーザー発振を可能にする。
【0021】
100Åにおいて、格子整合されたQW、軽いホール帯及び重いホール帯は約10meVによってのみ分離されている。価電子帯は二軸張力で急速にシフトするので、TMモード発振を達成するために必要であるように、ほんの数パーセントのリンだけが価電子帯を反転させるのに必要である。実際、このような小さなひずみ({△a/a}⊥<10−3)で充分であるので、この技術はより厚い活性領域、例えばこれらの物質に基づくTMモードのダブルヘテロ構造(DH)レーザーにも適用することができる。これはわずかにひずみを持ったGaInP/(AlGa)0.5 In0.5 Pレーザー用に既に論証されている。Electronics Letters 、26,1438 (1990)を参照。
【0022】
このように、少量のリンを用いて、TMモードのGaAsPレーザーをバルクGaAsの波長に近似した約850nmの波長で作ることが可能である。リンの含有量が増加するにつれて、バンドギャップエネルギー及び二軸張力も増加し、軽いホール帯が価電子帯の基底状態であり続け、TMモード発振がより短い波長で可能となる。量子井戸の厚さは(それより上では望ましくない転位が導入される)臨界以下でなければならないことに留意しつつ、単に三元合金を用いて、GaAsP活性領域は650nmから870nmの範囲に広がる。
【0023】
このように、上記方法においてx=1の時に生じる三元合金GaAsPは、非常に広い波長範囲に近付くが、他の点を考慮することも大事であり、一般に、四元合金はx<1の時、全ての基準を満たす多くの自由度を提供する。例えば、直接的/間接的バンドギャップ交差への近接に関連する有害な影響を避けるために、あるいは所定の波長における二軸張力を最小にするために、図3及び図4は四元InGaAsPもしくはAlGaAsP合金がどのように選択されるかを示している。例えば、図3において、点(x、y)=(0.516、0);(0.7、0);(1、0.55);(1、1)によって制限される範囲は、600−860nmの波長範囲にわたってTMモードでレイジングするために、該かる活性層のためにInGaAsPの適切に薄い(10−1000Å)層を得るための好ましい組成を表している。AlGaAsP用の好ましい組成(同じ厚さと波長範囲)は図4における点(x、y)=(0.55、0.98);(1、1);(1、0.55)により制限される。両合金系はGaAs格子整合に非常に近接したままでも、650nmから850nmまでのTMモードレーザーを作るために使用することができる。InGaAsP物質系では、しかしながら、600nmの波長まで下がる三元のGaInPを使用することにより、間接的交差を避けることが容易である。
【0024】
直接的なバンドギャップ遷移がより効果的にレーザー放射を発生させ、こうして「間接的」とラベル付けされる範囲に入る組成を避けることができることが当業者には理解される。
【0025】
上述したように、TMモードの偏光を達成するために活性領域を張力でひずませることができる。同様に、伸張ひずみ効果によって、軽いホール帯エッジ及び重いホール帯エッジが事実上整列するように、量子移動を正確に平衡させる活性領域構造を設計することが可能である。これは図5に概略的に示されており、当技術において一般的であるように、図示されたバンド線図に対してエネルギーを垂直に取っており、Ecが伝導帯エッジを表し、Evが価電子帯エッジを、そしてLHとHHが各々軽いホール帯エッジと重いホール帯エッジを表す。3つの状態が示されている:左側はひずみのない活性層に対するものであり;中央は活性層において二軸張力を提供した効果;そして右側は(量子移動後の)縮退状態に対するものである。二軸張力の下での厚い層のために、軽いホール帯エッジは重いホール帯エッジの上になっている。しかしながら、量子移動はホールの実効質量に逆比例するので、軽いホール帯エッジは重いホールより大きな量子移動を経験する。(QW組成に依存する)ある厚さに対して、前述の引用出願において説明されているように、2つの価電子帯エッジが(k=0において)縮退となる。もちろん、最大のQWの厚さは界面転位の形成を避けるために臨界厚みにより支配される。このように、臨界厚みはひずみに依存する。実際的な問題として、充分な利得を得るためには、活性層は少なくとも1nmでなければならない;しかしながら、多重QW活性領域はより大きな利得を提供することができる。前述の引用出願において既に記述されているように、LH1 及びHH1 がk=0でほぼ縮退である該かる層構造において、発振モードの偏光はデバイス幾何学(キャビティの長さ、変調器等)、温度及び面反射率の感度関数である。正確に調節された単一量子井戸において偏光切り替えを行うには、利得−電流関係が特定の特性を持っていなければならない。図1に示したように、透過電流は1つの偏光、即ち曲線10において最低でなければならず、一方ピーク利得は直交する偏光、即ち曲線11において最大である。
従って、1つの偏光、TEは低いしきい値電流を持ち、一方他の(高い方の利得)偏光、TMはしきい値利得が増加する場合にのみ発振する。例えば、これは図6aに概略的に示され、また前述の引用出願においてより詳細に説明されているように、デバイス内にキャビティ内損失変調器部分を含むことによって達成できる。図6は変調器部分41に結合される細長い活性部分40を備えたレーザークリスタルの上面図を概略的に示す。レイジング光線は上端にある反射面42と下端にある別の反射面43間で垂直に発振する。変調器部分の偏光手段は図示していない。該かる変調器部分41はポンピングされないか、もしくは透過電流以下にバイアスされる場合には損失性であり、高利得の偏光が発振するのに充分なようにしきい値利得を増加させる。対照的に、変調器が透過電流以上にバイアスされると、低しきい値の偏光が発振する。従って、適当なバイアス電位を変調器部分に印加することにより、レイジング動作はTMモードからTEモードに、あるいはその逆に切り換えられる。このように、図6aの実施例は切り替え可能な偏光モードを持つレーザーを概略的に示している。
【0026】
同様に、図6bに概略的に示すように、並んで配置されたレーザー45、46は異なるキャビティ長、面反射率を持つことにより、もしくは図6bに示すようにポンピングされない吸収部分47を含むことにより、固定された直交する偏光で発振することができる。
【0027】
あるいはその代わりに、より多くの自由度を持つ必要な利得−電流関係を達成するために、各々の偏光における利得に対する別個のQWを持つ多重量子井戸を使用することができる。例えば、600nmと850nmの間の所定の波長で、TEモード利得用にひずみのない(もしくは圧縮的にひずませた)QWを使用し、TMモード用に張力でひずませたQWを使用することができる。この代替案及び他の代替案は前述の引用出願において詳細に記載されている。
【0028】
量子コンファインメント及び二軸張力は全体的なバンドギャップに対して反対の影響を及ぼす:二軸張力はバンドギャップを減少させるのに対して、量子コンファインメントは遷移エネルギーを増加させる。一般に、張力でひずませた活性領域(GaAsより小さな格子パラメーター)のバンドギャップは格子整合された合金のバンドギャップよりも高い。本発明のInGaAsP活性領域から利用できる波長の概算として、我々は図3からGaAs格子パラメーターラインを横切るバンドギャップ等高線線の範囲は:2.0ev(Ga0.52In0.48P、λ=620nm)から1.42ev(GaAs、λ=870nm)であることに注目した。厚い活性領域(厚いQWもしくは薄いダブルヘテロ構造のいずれか)にとって、わずかな二軸張力だけがTMモード発振を達成するのに必要である。Casey, Jr. et al. の文献及び上記で参照したElectronics letters 26, 1438 (1990) を参照。従って、ほんのわずかなひずみ({△a/a}⊥<10−3)だけが必要であることに加え、バンドギャップエネルギー上の二軸張力及び量子コンファインメントの相殺しあう影響により、本発明の(室温での)三元及び四元合金の活性層のための可能性のあるTMモードの波長範囲は850nmまで延びると概算した。短波長限度はAlGaAsもしくはAlGaInP閉じ込め層で適当な電子コンファインメントを得る能力によって決定されるか、あるいは直接的−間接的な交差点近くである。この短波長限界は単に(図3の左側の軸に沿った)GaInP三元合金系のものか、もしくはほぼ600nmである。AlGaAsP系の長波長限界は約850nmであるが、その短波長限界は間接的交差のため650nmである。
【0029】
前述のことから、張力でひずませたGaAsP、InGaAsP、もしくはAlGaAsP活性領域を使用することにより、TMモードダイオードレーザーの範囲を三元の張力でひずませたGaz In1−z P[z>0.5]/[AlGa]0.5 In0.5 P量子井戸の600−650nm限界から、約850nmまで伸ばすことができることが明白。更に、これらの同じ合金で作られるTEモードレーザーもこの波長範囲を得られることを論証してきた。従って、前述の引用出願において説明されている偏光切り替え技術を用いて、TE及びTMモードのレーザー、もしくは偏光切り替え可能レーザーのモノリシックアレイを600nmから850nmの波長範囲で構築することができる。
【0030】
引用によりその内容が本文中に組み込まれる、米国特許出願第08/146,758号は、850−1100nmの波長範囲でTM偏光レーザー放射用のInGaAsN活性層を持つダイオードレーザーの構成を説明しており、更にこの構造が同じ範囲にわたってTM偏光レーザー放射を提供する他の構造とどのようにして組み合わされ、その範囲のために切り替え可能もしくは制御可能なTE/TMレーザーが製造されるかを説明している。これらの構造は本出願及び前述の引用出願において説明されている構造と容易に組み合わされて、共に650−1100nmの広いスペクトル範囲に広がるTE及びTMモードのレーザーダイオードを作るための説明を提供している。
【0031】
上記の説明から発明は与えられた例に制限されないことが明白。例えば、GaAs基板が好ましい一方、InP及びGaSb等の他のIII−V族基板組成で置き換えることもできる。同様に、匹敵する格子定数と屈折率を持つ他の光学的物質及びキャリア閉じ込め物質で置き換えることもできる。更に、本明細書で説明した結晶性構造を製造するために、MO−VPE、MBE、LPE等の従来のエピタキシャル成長技術の全てを使用することもできることが自明。同様に、発明は説明したリッジ導波路の他に、例えば利得誘導ストライプもしくはインデックス誘導導波路の他の形状の他の幾何学にも使用でき、これらの全ては当業界において公知のものである。
【0032】
発明の好ましい実施例であると現在考えられるものについて説明してきたが、発明はその本質的な特徴から逸脱することなく他の特別な形状においても具体化できることが理解されよう。従って、本実施例は説明的なものであり、制限的なものではないと考慮されるべきである。発明の範囲は前述の説明によってよりも請求の範囲によって表示される。
【0033】
【発明の効果】
発明によれば、より幅の広い波長範囲にわたり動作可能な、並んで配置される直交偏光QWレーザを備える固体モノリシックレーザーが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるレーザーダイオードの1実施例の利得−電流特性線図である。
【図2】本発明によるレーザーダイオードの1実施例の概略図である。
【図3】ひずみのないバンドギャップエネルギーの組成依存度及びIn1−x Gax Asy P1−y 用の格子パラメーターを示すグラフである。
【図4】Al1−x Gax Asy P1−y 用の格子パラメーターを示すグラフである。
【図5】軽いホール及び重いホールのバンドエッジが一列に並ぶように、正確に調節された量子井戸の厚さ及び組成と共に、二軸張力及び量子コンファインメントの重ね合わせを示す概略バンド線図である。
【図6】(a)偏光切り替え用の変調器部分を持つレーザー、(b)固定偏光の、並んで配置されるレーザーを概略的に示す。
【産業上の利用分野】
引用によりその内容が本文中に組み込まれる、米国特許出願第07/948,524号及び07/948,522号は、個々にアドレス指定可能でありTEモードもしくはTMモードで発振するようにできる量子井戸(QW)レーザーの構造及び共通基板上での製造方法と、TE偏光モードにおける発振からTM偏光モードにおける発振へと、あるいはその逆に切り換え可能な量子井戸(QW)レーザー構造とを説明している。これは基板との格子不整合により、エピタキシャル成長された活性領域において誘発されるひずみのタイプを制御することにより、特定の物質系において達成されている。このように、重いホールと軽いホールの遷移を許すほとんどの物質系において、n=1の重いホールが最低のエネルギー状態であり、従ってその分布がほとんど容易に反転される状態の時、TE偏光利得が支配的となり、そのような状態は、無ひずみ、および圧縮ひずみが与えられたIII−V族合金系に通常あてはまる。しかしながら、活性領域に伸張ひずみを誘発することにより特定の物質系において達成される、軽いホールと重いホールのバンドエッジの逆転により、TM偏光利得が支配的となる。軽いホール帯及び重いホール帯のエネルギーが実質的に一致する縮退状態において、放射の偏光はしきい値キャリア密度、及び温度、鏡面反射率、キャビティ長及びキャビティ内光学損失等の他の要素により決定され得る。
【0002】
【従来の技術】
一般に、所望の偏光モード放射デバイスは、注意深く調整された単一QW、もしくはモードの利得特性及びしきい値利得に依存するレーザー発振の偏光モードで、各々TEモード利得及びTMモード利得用の別個のQWのいずれかで達成することができる。必要な利得特性は、最低の透過電流を持つ1つの偏光、及びより大きなピーク利得を持つ直交する偏光を持つ。活性領域パラメーターの特定な範囲(厚さ、構成、閉じ込め領域内の配置等)に対してこれらの特性を得ることができ、従って、偏光はしきい値利得によって決定される。従って、各々のデバイスの偏光を、例えばデバイスの1つに付加的な損失を導入することによって選択することができ、それにより高い方の利得の偏光で発振するように強制する。他方、この付加的な損失がないデバイスは単に最低の透過電流を持つ偏光で発振する。付加的な損失は、キャビティ内損失変調器を使用して、キャビティに沿ったポンピングされない部分、低い鏡面反射率、短いキャビティ等により提供できる。同様に、各デバイスの偏光はキャビティ内損失変調器を使用して切り換えることができる。
【0003】
この偏光選択性機構は、図1に示す偏光依存利得−電流特性により表され、TM及びTEモード用のモード利得gが縦座標に沿って、また両モード用の電流Iが横座標に沿ってプロットされている。TEのラベルが付けられた曲線10はTEモード用の利得特性を示し、TMのラベルが付けられた曲線11はTMモード用の利得特性を示す。垂直線13により交点14の左側の動作状態が表される場合、TE利得の方が高く、TE偏光が放射される。垂直線15により交差14の右側の動作状態がされる場合、TM利得の方が高く、TM偏光が放射される。
【0004】
上述の原則を前述の引用出願に開示された物質系に応用すると、約600から650nmのスペクトル範囲で放射可能なレーザーデバイスになる。しかしながら、650nmをかなり越えた放射するレーザーデバイスに対して重要な応用が可能である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
発明の目的は、より幅の広い波長範囲にわたり動作可能な、並んで配置される直交偏光QWレーザーを備えた固体モノリシックレーザーである。
【0006】
発明の更なる目的は、より幅の広い波長範囲にわたり、TE及びTM偏光モード間で切り替え可能な固体QWレーザーである。
【0007】
発明の別の目的は波長範囲600−850nm用のTMモードの半導体レーザーである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
我々は、前述の引用出願において説明されている制御可能なTE/TMQWレーザーの波長範囲が制限される理由が制限された合金範囲にあり、伸張ひずみ誘発により、その範囲にわたりTMモード動作を決定するしきい値がTEモード動作を決定するしきい値に充分近接することができ、動作の偏光モードの制御が可能になることを見い出した。
【0009】
我々は更に、この制限を示さない特定の物質系が存在することを発見し、その結果実質的に650nmを越えてTEもしくはTMモードで動作できるQWレーザーを作成することが可能となった。
【0010】
特に、我々は特定のひずみのある三成分系、好ましくは特定のひずみのある四成分系を活性層として用いることで、制御可能もしくは切り替え可能な偏光で長波長動作を約850nmまで拡大できることを発見した。これは、特にGaAs基板上に作られた、直交偏光レーザーもしくは600−850nmの波長範囲で偏光切り替え可能なレーザーの個々にアドレス可能なアレイを持つことが望ましい、偏光制御された多重ビームラスター出力走査(ROS)カラー印刷等の特定の応用にとって重要な利点を提供する。
【0011】
本発明の特徴によれば、四成分系は好ましくはIn1−x Gax Asy P1−y もしくはAl1−x Gax Asy P1−y から成る。
【0012】
本発明の上記及び更なる目的、詳細、及び利点は、添付図面に関連して、好ましい実施例に関する以下の詳細な説明により明らかとなる。
【0013】
【作用】
図2は従来のIII−V族合金の選択的に埋め込まれたリッジ導波路ダイオードレーザー19を示し、それは基板20と、その上に従来の方法でエピタキシャル成長されたクラッディング層21、25、26、活性QW層24と接するキャリア閉じ込め領域22、23、リッジもしくはメサキャップ層26、及び接触層27から成っている。上下にある電極28、29が活性層24のための注入電流を提供する。リッジ26に接する層30は通常は再成長される。光学キャビティを形成する構造の対向端の通常の反射面は図示していない。
【0014】
好ましい実施例では、基板20はGaAsから成り、クラッディング及び封層21、22、23、25はAlGaAsから成り、再成長層30はGaAsから成る。
【0015】
本発明によれば、In1−x Gax Asy P1−y もしくはAl1−x Gax Asy P1−y 四元合金の活性領域24は、GaAs基板20に格子整合された閉じ込め構造22、23、及び、21、25、26としてのAlGaAsもしくは(AlGa)0.5 In0.5 Pと共に、半導体レーザーにおいて使用される。
【0016】
まず、格子整合されたInGaAsP活性領域用のIn1−x Gax Asy P1−y 合金について考えてみると、650nm(Ga0.516 In0.484 P)から870nm(GaAs)の波長範囲が可能である。これはR.L. Moon et. al. 、Journal of Electronic Materials 、3, 635(1974)から抜粋した図3に示されており、それはヒ素含有量(y)とガリウム含有量(x)の軸上で、一定のバンドギャップエネルギー(実線曲線)及び格子定数(点線)に対する等高線を示している。バンドギャップが組成により弓形になるので、バンドギャップの等高線は湾曲し、対照的に、組成依存格子パラメーターに対してはベガードの法則が仮定されるので、格子定数に対する等高線はまっすぐとなる。GaAsに対する格子整合の条件は、y=0、x=0.516から上部右手角(x、y=1)まで伸びる、符号30で示される点線a0=5.65Åに沿っている。従って、実質的に点線30に沿った範囲の組成を持つInGaAsP四元合金の活性領域はGaAsに対して格子整合するし、650−870nmでのレーザー放射に等しいおよそ1.4−1.9eVのバンドギャップ領域に及ぶことができる。曲線30の左端の点においてy=0の時、三元合金In0.484 Ga0.516 Pは格子整合された合金の中に含まれる。
【0017】
同様に、四元合金Al1−x Gax Asy P1−y も同様のバンドギャップ範囲に及ぶ活性領域において使用できる。これは図4に示されており、AlGaAsP四元物質系用のバンドギャップエネルギーと格子パラメーターの等高線を、H.C.Casey, Jr. et al.による”Heterostructure Lasers, Part B: Materials and Operating Characteristics” (ヘテロ構造レーザー、パートB:物質及び動作特性)、Academic Press, Orlando, FL, 1978から抜粋している。図3と比べると、III族インジウム成分が単にアルミニウムと置き換えられており、AlAs/GaAs及びAlP/GaPの二元合金が非常に近接して格子整合されており、格子パラメーターの等高線線(点線)はほぼ垂直である。GaAsに対する格子整合を表す等高線線は、y=0.97、x=0(AlAs0.97P0.03)からy=1、x=1(GaAs)まで伸びており、符号32で示されている。
【0018】
この等高線線32の左側にある組成はより小さな格子パラメーターを持っており、従ってAlGaAsもしくは(AlGa)0.5 In0.5 Pの上に成長した場合、張力ひずみが与えられる。格子整合したAl1−x Gax Asy P1−y 合金は、620nmから870nmの波長範囲に対応する直接的バンドギャップ1.424<Er <2.0eVを持つ。
【0019】
前述の引用出願において説明されているように、格子整合した量子井戸活性領域を持つレーザーデバイスは、基本的な電子の遷移が重いホールエネルギー準位で終了するので、TEモードで発振する。しかしながら、(二軸)伸張ひずみを導入することにより、レーザーはTMモードで発振できるようになる。これは張力方向へ活性領域を意図的に格子不整合することにより達成される。その結果、重いホール及び軽いホールエネルギー準位は位置を変えることができ、軽いホールレベルは価電子帯における基底状態となる。この場合、低い方の注入キャリア密度で反転されるのは軽いホール分布である。従って、軽いホール遷移がTMモードのために利得を提供するので、TMモード偏光が該かる構造において発振するようにできる。
【0020】
上記の説明を単に示すものとして、x=1であるIn1−x Gax Asy P1−y もしくはAl1−x Gax Asy P1−y 四元合金を考る。結果は図3及び図4の上部軸上にあるGaAsP三元合金である。AlGaAsもしくは(AlGa)0.5 In0.5 P閉じ込め領域を持つデバイスに対しては、格子整合された活性領域はGaAsである。GaAs活性領域をリンで合金化することにより、格子パラメーターは小さくなり、活性領域量子井戸に二軸張力が与えられる。組成(ひずみ)に依存する臨界厚みがあり、その下で量子井戸は仮像であり、界面ミスフィット転置がない。このように弾性的に変形された物質の価電子帯構造はひどくゆがめられており、軽いホール帯が基底状態となり、それによってTMモードレーザー発振を可能にする。
【0021】
100Åにおいて、格子整合されたQW、軽いホール帯及び重いホール帯は約10meVによってのみ分離されている。価電子帯は二軸張力で急速にシフトするので、TMモード発振を達成するために必要であるように、ほんの数パーセントのリンだけが価電子帯を反転させるのに必要である。実際、このような小さなひずみ({△a/a}⊥<10−3)で充分であるので、この技術はより厚い活性領域、例えばこれらの物質に基づくTMモードのダブルヘテロ構造(DH)レーザーにも適用することができる。これはわずかにひずみを持ったGaInP/(AlGa)0.5 In0.5 Pレーザー用に既に論証されている。Electronics Letters 、26,1438 (1990)を参照。
【0022】
このように、少量のリンを用いて、TMモードのGaAsPレーザーをバルクGaAsの波長に近似した約850nmの波長で作ることが可能である。リンの含有量が増加するにつれて、バンドギャップエネルギー及び二軸張力も増加し、軽いホール帯が価電子帯の基底状態であり続け、TMモード発振がより短い波長で可能となる。量子井戸の厚さは(それより上では望ましくない転位が導入される)臨界以下でなければならないことに留意しつつ、単に三元合金を用いて、GaAsP活性領域は650nmから870nmの範囲に広がる。
【0023】
このように、上記方法においてx=1の時に生じる三元合金GaAsPは、非常に広い波長範囲に近付くが、他の点を考慮することも大事であり、一般に、四元合金はx<1の時、全ての基準を満たす多くの自由度を提供する。例えば、直接的/間接的バンドギャップ交差への近接に関連する有害な影響を避けるために、あるいは所定の波長における二軸張力を最小にするために、図3及び図4は四元InGaAsPもしくはAlGaAsP合金がどのように選択されるかを示している。例えば、図3において、点(x、y)=(0.516、0);(0.7、0);(1、0.55);(1、1)によって制限される範囲は、600−860nmの波長範囲にわたってTMモードでレイジングするために、該かる活性層のためにInGaAsPの適切に薄い(10−1000Å)層を得るための好ましい組成を表している。AlGaAsP用の好ましい組成(同じ厚さと波長範囲)は図4における点(x、y)=(0.55、0.98);(1、1);(1、0.55)により制限される。両合金系はGaAs格子整合に非常に近接したままでも、650nmから850nmまでのTMモードレーザーを作るために使用することができる。InGaAsP物質系では、しかしながら、600nmの波長まで下がる三元のGaInPを使用することにより、間接的交差を避けることが容易である。
【0024】
直接的なバンドギャップ遷移がより効果的にレーザー放射を発生させ、こうして「間接的」とラベル付けされる範囲に入る組成を避けることができることが当業者には理解される。
【0025】
上述したように、TMモードの偏光を達成するために活性領域を張力でひずませることができる。同様に、伸張ひずみ効果によって、軽いホール帯エッジ及び重いホール帯エッジが事実上整列するように、量子移動を正確に平衡させる活性領域構造を設計することが可能である。これは図5に概略的に示されており、当技術において一般的であるように、図示されたバンド線図に対してエネルギーを垂直に取っており、Ecが伝導帯エッジを表し、Evが価電子帯エッジを、そしてLHとHHが各々軽いホール帯エッジと重いホール帯エッジを表す。3つの状態が示されている:左側はひずみのない活性層に対するものであり;中央は活性層において二軸張力を提供した効果;そして右側は(量子移動後の)縮退状態に対するものである。二軸張力の下での厚い層のために、軽いホール帯エッジは重いホール帯エッジの上になっている。しかしながら、量子移動はホールの実効質量に逆比例するので、軽いホール帯エッジは重いホールより大きな量子移動を経験する。(QW組成に依存する)ある厚さに対して、前述の引用出願において説明されているように、2つの価電子帯エッジが(k=0において)縮退となる。もちろん、最大のQWの厚さは界面転位の形成を避けるために臨界厚みにより支配される。このように、臨界厚みはひずみに依存する。実際的な問題として、充分な利得を得るためには、活性層は少なくとも1nmでなければならない;しかしながら、多重QW活性領域はより大きな利得を提供することができる。前述の引用出願において既に記述されているように、LH1 及びHH1 がk=0でほぼ縮退である該かる層構造において、発振モードの偏光はデバイス幾何学(キャビティの長さ、変調器等)、温度及び面反射率の感度関数である。正確に調節された単一量子井戸において偏光切り替えを行うには、利得−電流関係が特定の特性を持っていなければならない。図1に示したように、透過電流は1つの偏光、即ち曲線10において最低でなければならず、一方ピーク利得は直交する偏光、即ち曲線11において最大である。
従って、1つの偏光、TEは低いしきい値電流を持ち、一方他の(高い方の利得)偏光、TMはしきい値利得が増加する場合にのみ発振する。例えば、これは図6aに概略的に示され、また前述の引用出願においてより詳細に説明されているように、デバイス内にキャビティ内損失変調器部分を含むことによって達成できる。図6は変調器部分41に結合される細長い活性部分40を備えたレーザークリスタルの上面図を概略的に示す。レイジング光線は上端にある反射面42と下端にある別の反射面43間で垂直に発振する。変調器部分の偏光手段は図示していない。該かる変調器部分41はポンピングされないか、もしくは透過電流以下にバイアスされる場合には損失性であり、高利得の偏光が発振するのに充分なようにしきい値利得を増加させる。対照的に、変調器が透過電流以上にバイアスされると、低しきい値の偏光が発振する。従って、適当なバイアス電位を変調器部分に印加することにより、レイジング動作はTMモードからTEモードに、あるいはその逆に切り換えられる。このように、図6aの実施例は切り替え可能な偏光モードを持つレーザーを概略的に示している。
【0026】
同様に、図6bに概略的に示すように、並んで配置されたレーザー45、46は異なるキャビティ長、面反射率を持つことにより、もしくは図6bに示すようにポンピングされない吸収部分47を含むことにより、固定された直交する偏光で発振することができる。
【0027】
あるいはその代わりに、より多くの自由度を持つ必要な利得−電流関係を達成するために、各々の偏光における利得に対する別個のQWを持つ多重量子井戸を使用することができる。例えば、600nmと850nmの間の所定の波長で、TEモード利得用にひずみのない(もしくは圧縮的にひずませた)QWを使用し、TMモード用に張力でひずませたQWを使用することができる。この代替案及び他の代替案は前述の引用出願において詳細に記載されている。
【0028】
量子コンファインメント及び二軸張力は全体的なバンドギャップに対して反対の影響を及ぼす:二軸張力はバンドギャップを減少させるのに対して、量子コンファインメントは遷移エネルギーを増加させる。一般に、張力でひずませた活性領域(GaAsより小さな格子パラメーター)のバンドギャップは格子整合された合金のバンドギャップよりも高い。本発明のInGaAsP活性領域から利用できる波長の概算として、我々は図3からGaAs格子パラメーターラインを横切るバンドギャップ等高線線の範囲は:2.0ev(Ga0.52In0.48P、λ=620nm)から1.42ev(GaAs、λ=870nm)であることに注目した。厚い活性領域(厚いQWもしくは薄いダブルヘテロ構造のいずれか)にとって、わずかな二軸張力だけがTMモード発振を達成するのに必要である。Casey, Jr. et al. の文献及び上記で参照したElectronics letters 26, 1438 (1990) を参照。従って、ほんのわずかなひずみ({△a/a}⊥<10−3)だけが必要であることに加え、バンドギャップエネルギー上の二軸張力及び量子コンファインメントの相殺しあう影響により、本発明の(室温での)三元及び四元合金の活性層のための可能性のあるTMモードの波長範囲は850nmまで延びると概算した。短波長限度はAlGaAsもしくはAlGaInP閉じ込め層で適当な電子コンファインメントを得る能力によって決定されるか、あるいは直接的−間接的な交差点近くである。この短波長限界は単に(図3の左側の軸に沿った)GaInP三元合金系のものか、もしくはほぼ600nmである。AlGaAsP系の長波長限界は約850nmであるが、その短波長限界は間接的交差のため650nmである。
【0029】
前述のことから、張力でひずませたGaAsP、InGaAsP、もしくはAlGaAsP活性領域を使用することにより、TMモードダイオードレーザーの範囲を三元の張力でひずませたGaz In1−z P[z>0.5]/[AlGa]0.5 In0.5 P量子井戸の600−650nm限界から、約850nmまで伸ばすことができることが明白。更に、これらの同じ合金で作られるTEモードレーザーもこの波長範囲を得られることを論証してきた。従って、前述の引用出願において説明されている偏光切り替え技術を用いて、TE及びTMモードのレーザー、もしくは偏光切り替え可能レーザーのモノリシックアレイを600nmから850nmの波長範囲で構築することができる。
【0030】
引用によりその内容が本文中に組み込まれる、米国特許出願第08/146,758号は、850−1100nmの波長範囲でTM偏光レーザー放射用のInGaAsN活性層を持つダイオードレーザーの構成を説明しており、更にこの構造が同じ範囲にわたってTM偏光レーザー放射を提供する他の構造とどのようにして組み合わされ、その範囲のために切り替え可能もしくは制御可能なTE/TMレーザーが製造されるかを説明している。これらの構造は本出願及び前述の引用出願において説明されている構造と容易に組み合わされて、共に650−1100nmの広いスペクトル範囲に広がるTE及びTMモードのレーザーダイオードを作るための説明を提供している。
【0031】
上記の説明から発明は与えられた例に制限されないことが明白。例えば、GaAs基板が好ましい一方、InP及びGaSb等の他のIII−V族基板組成で置き換えることもできる。同様に、匹敵する格子定数と屈折率を持つ他の光学的物質及びキャリア閉じ込め物質で置き換えることもできる。更に、本明細書で説明した結晶性構造を製造するために、MO−VPE、MBE、LPE等の従来のエピタキシャル成長技術の全てを使用することもできることが自明。同様に、発明は説明したリッジ導波路の他に、例えば利得誘導ストライプもしくはインデックス誘導導波路の他の形状の他の幾何学にも使用でき、これらの全ては当業界において公知のものである。
【0032】
発明の好ましい実施例であると現在考えられるものについて説明してきたが、発明はその本質的な特徴から逸脱することなく他の特別な形状においても具体化できることが理解されよう。従って、本実施例は説明的なものであり、制限的なものではないと考慮されるべきである。発明の範囲は前述の説明によってよりも請求の範囲によって表示される。
【0033】
【発明の効果】
発明によれば、より幅の広い波長範囲にわたり動作可能な、並んで配置される直交偏光QWレーザを備える固体モノリシックレーザーが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるレーザーダイオードの1実施例の利得−電流特性線図である。
【図2】本発明によるレーザーダイオードの1実施例の概略図である。
【図3】ひずみのないバンドギャップエネルギーの組成依存度及びIn1−x Gax Asy P1−y 用の格子パラメーターを示すグラフである。
【図4】Al1−x Gax Asy P1−y 用の格子パラメーターを示すグラフである。
【図5】軽いホール及び重いホールのバンドエッジが一列に並ぶように、正確に調節された量子井戸の厚さ及び組成と共に、二軸張力及び量子コンファインメントの重ね合わせを示す概略バンド線図である。
【図6】(a)偏光切り替え用の変調器部分を持つレーザー、(b)固定偏光の、並んで配置されるレーザーを概略的に示す。
Claims (1)
- レーザーダイオードであって、
(a)第1の格子定数及び第1のバンドギャップを有するGaAsの結晶性基板と、
(b)前記基板上にエピタキシャル成長されたAlGaAsから成るクラッディング層と、
(c)前記クラッディング層上のAlGaAsから成るキャリア閉じ込め領域と、
(d)前記キャリア閉じ込め領域の上に被覆される結晶性活性層であって、前記活性層は、該活性層が前記第1の格子定数より小さな第2の格子定数と、ひずみのない時に第2のバンドギャップとを有するように、In1-xGaxAsyP1-y(0.516<x<1且つ0<y<1)あるいはAl1-xGaxAsyP1-y(0.55<x<1且つ0.55<y<1)のいずれかであるリン原子を含有するIII−V族四元合金から成り、前記活性層は、前記キャリア閉じ込め領域の上に被覆される時に、ひずみが与えらた場合に第2のバンドギャップより小さな第3のバンドギャップを有するように伸張ひずみが与えられる、結晶性活性層と、
(e)活性層に電流を流し、それによって前記活性層に前記III−V族四元合金におけるリン原子の組成比yに依存して650nm乃至850nmの範囲の波長でTM偏光レーザー放射を引き起こすための電極と、
を含むレーザーダイオード。
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