JP3540436B2 - 感光性組成物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、半導体素子等の製造工程における微細加工に用いられるレジスト組成物として好適な感光性組成物に係り、特に、感光性組成物中の金属イオンおよび塩基性物質の影響を抑制し、感度低下を防止するのに好適な感光性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子などをはじめとする電子部品、回路基板等の製造工程においては、フォトリソグラフィー技術を用いた微細パタンの形成が行なわれており、この際には、レジストが広く用いられている。かかる技術は、次のような工程に沿って行なわれる。すなわち、まず、レジスト組成物を基板等の上に塗布して、フォトレジスト膜となる薄膜を形成する。次いで、このフォトレジスト膜に対して露光を行なった後、現象、リンス等の処理を施してレジストパタンを形成する。続いて、レジストパタンを耐エッチングマスクとして用いて、露出している基板等の表面をエッチングすることにより、微細な幅の線や窓を開孔し、所望のパタンを形成する。最後にレジストを溶解除去して、薄膜パタンが得られる。
【0003】
従来、微細加工に用いられているレジストの代表的な例としては、ポリメチルメタクリレート、ポリトリフルオロエチルα−クロロアクリレート等のアクリル系レジストや、LSIの量産に用いられつつあるキノンジアジド−ノボラック樹脂系のレジストなどが挙げられる。さらに、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、クロロフェノールノボラック樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂水溶性デンプン、セルロースポリマ(例えば、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、およびプロポキシル化セルロース等)、ポリアクリルアミド、ポリ−2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリメチルビニルエーテル、ポリエチレンオキシド、および4−ヒドロキシフェニルマレイミドから選択された1種の化合物と、スチレン、スチルベン、ビニルエーテル類および4−ヒドロキシスチレンの中から選択されたものとのコポリマ;ポリ−4−ビニルフェノール、ポリ−4−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、ポリアクリル酸、およびポリメタクリル酸等のアルカリ可溶性樹脂;t−ブチル1−ナフチルアセテート、t−ブチル1−フェニルアセテート、t−ブチル1−4′−t−ブチロキシカルボニルフェニルアセテート、ビフェニルt−ブチルエーテル、t−ブチル1−3′−t−ブチロキシカルボニル−トリシクロ[3.3.11,5 .13,7 ]デカ−1′−イルアセテート、1′−フェニルエチル1−ナフチルアセテート、2′−シクロヘキセニル1−フェニルアセテート、t−ブチル−2−ナフチルエーテルt−ブチル2′−ナフチロキシアセテート等の溶解抑止剤;および、トリフェニルスルホニウムパークロレート、トリフェニルセレニウムヘキサフルオロホスフェート等の光酸発生剤を含有する化学増幅型レジストを挙げることができる。
【0004】
いわゆる化学増幅型感光性組成物は、光または電離放射線で露光することにより光酸発生剤から酸が発生し、その後、加熱することによって酸が拡散し、この酸が触媒となって架橋反応あるいは分解反応が生じる化学増幅機構を利用するものである。このような化学増幅型レジストに用いられる重合体には、製造過程において、重合溶媒としてピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、およびヘキサメチルホスホリックトリアミド等のアミン系の溶媒を用いた場合に、金属イオンおよび塩基性物質が混入することが多い。また、金属イオン等の物質は、溶媒精製工程でドライソーダ(Na/Pb合金)、カルシウムハイドライド、ナトリウム−ベンゾフェノンケチル、またはカリウム−ベンゾフェノンケチルを必要とするテトラヒドロフラン等の溶媒を用いた場合にも、重合体中に混入するおそれがある。このような不純物を含有する感光性組成物は、感度の低下が著しいために、場合によっては、パタンを形成するのが困難となったり、パタンを形成できたとしても、パタンプロファイルにひさしやすそひきが発生して矩形の断面を得られないという問題があった。
【0005】
また、感光性組成物の主成分である高分子が水溶性の場合には、変性樹脂が多く、変性樹脂の原料の製造過程において金属イオンが混入するおそれがある。したがって、生成物である変性樹脂にも金属イオンが含まれているために、感光性組成物の感度が著しく低下するという問題点があった。
【0006】
このように、従来の感光性組成物は、金属イオンや塩基性物質に起因して感度が低下するという問題があり、特に水溶性の感光性組成物の場合には、その感光性組成物が本来有する感度を引き出すことが極めて困難となり、実用に耐え得るものではなかった。
【0007】
感光性組成物の感度低下を防止するために、化学増幅型感光性組成物中の金属イオンの含有量を低くすることが提案されている(特願平6−43623)。通常、感光性化合物の感度は、金属イオンの含有量を少なくするにしたがって高めることができる。
【0008】
例えば、ポリビニルアルコール系高分子の金属イオン含有量は、以下のようにして減少させることができる。すなわち、ポリ酢酸ビニルを加水分解してポリビニルアルコールを製造する際に、揮発性の酸を用いて加水分解を行ない、アルカリで中和することなく、デカンテーションと濃縮とを繰り返して酸を除去する、あるいは、生成したポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコール系高分子自体を、シュウ酸等の溶液を用いて洗浄することによって、金属イオンの含有量を低減するというものである。しかしながら、これらの手法は、製造工程からの制御をさらに必要として大がかりなものとなるために、設備および工程等の面でも問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、不純物である金属イオンおよび塩基性物質の影響を消失させてレジストとして十分な感度を保つ感光性組成物であって、かつ容易に得られる感光性組成物を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、金属イオンおよび塩基性化合物の少なくとも一方を含有し、酸により架橋または分解して溶解性が変化する化合物と、光酸発生剤とを含む感光性組成物において、硫酸、塩酸、リン酸、ボロントリフルオリド・エーテラート、ジンククロリド、チタニウムクロリド、ジルコニウムクロリド、およびアルミニウムクロリドからなる群から選択される少なくとも一種の酸をさらに含有することを特徴とする感光性組成物を提供する。
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、酸架橋性を有する化合物としては、例えばビニルアルコールの単独もしくは共重合体、無水マレイン酸の共重合体、アセタール化されたポリビニルアルコール、カゼイン、セルロースのような酸反応性、脱水縮合性のヒドロキシル基、カルボキシル基、アセタール基などを有する樹脂、ポリアミック酸、ポリアミノ酸もしくはアクリル酸を含む重合体およびそれと側鎖に二重結合を有するビニル化合物との共重合体,ビニルアルコールと側鎖に二重結合を有するビニル化合物との共重合体,およびメラミン樹脂,アクリル酸やカルボン酸誘導体によってアルカリ可溶変成されたエポキシ樹脂,アセタール化合物,スチレン,α−メチルスチレン,ブタジエン,2−メチルブタジエン,メチルメタクリレート,メチルアクリレート,アクリロニトリル,α−メチルアクリロニトリル,メチルビニルケトン,メチルα−メチルビニルケトン,ニトロエテン,α−メトキシカルボニルメタクリレート,メチルα−シアノメタクリレート,α−シアノアクリロニトリル,メチルα−シアノソルベート,フェノール等の重合体等、これら樹脂は単独あるいは2種以上の混合、更には以下に示す樹脂との混合体として用いられる。かかる樹脂とはフェノールカルボン酸を構造に有するポリマであってノボラック樹脂,ポリビニルフェノール,ビニルフェノールとスチレンの共重合体等、アクリル酸共重合体,ポリビニルアルコール等が挙げられる。
【0012】
酸により架橋する化合物は、全固形分に対して、通常、5重量部以上70重量部以下の割合で混合される。
また、酸分解性を有する化合物としては、例えば、水酸基がt−ブトキシカルボニル基で保護されたビニルフェノールやノボラック樹脂,t−ブトキシカルボニルメチル基で保護されたビニルフェノールやノボラック樹脂などt−ブチルメタクリレートとメタクリル酸との共重合体,t−ブチル基で保護されたビニルフェノールやノボラック樹脂,アセタール化率の高いポリビニルアセタール樹脂,およびビニルエタノールで架橋された樹脂を挙げることができ、これらは単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0013】
酸により分解する化合物は、全固形分に対して、通常、5重量部以上60重量部以下の割合で混合される。
前述の化合物には、その製造工程等で不純物としての金属イオンおよび塩基性物質が含有される。具体的には、金属イオンおよび塩基性物質は、Na+ 、K+ 、およびアミン等であり、これらの含有量は、通常0.1ppm以上5000ppm以下である。
【0014】
混入される塩基性不純物として、クミル−K等のアルキルポタシウム、ベンジル−Na、ソディウムナフタレン等のアルキルソディウム;ブチルリチウム等のアルキルリチウム;ジメチルマグネシウム等のアルキルマグネシウム;Li−ケチル、Na−ケチル,K−ケチル等のケチル化合物;フェニルマグネシウムブロミド等のグリニヤル反応剤;アルキルアルミニウム等;アルキルジンク等;リチウムアルコキシド、ソディウムアルコキシド、ポタシウムアルコキシド等のアルコキシド;ピリジン等のアミン;α−メチルスチレンオリゴマ、ソディウムヒドロキシド触媒等のような重合開始剤、重合溶媒としてピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド等のようなアミン系の溶媒を用いる場合に、感光性組成物中に混入される。また、溶媒精製工程において、ドライソーダ(Na/Pb合金)、カルシウムハイドライド、ナトリウム−ベンゾフェノンケチル、およびカリウム−ベンゾフェノンケチル等を必要とするテトラヒドロフラン等の溶媒を用いる場合にも、樹脂中に金属イオンおよび塩基性物質が混入してしまうことが多い。
【0015】
本発明の感光性組成物に用いられる光酸発生剤は、光または電離放射線の照射により酸を発生する化合物であり、例えば、オニウム塩、キノンジアジド類、特にオルトキノンジアジド類、有機ハロゲン化物などを挙げることができる。より具体的には、スルフォニルジアゾメタンやオニウム塩としてのジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、アンモニウム塩、およびアンチモニウム塩などが挙げられる。
【0016】
また、オニウム塩のカウンターアニオンとしては、スルフォニレート、フルオロボレート、ヘキサフルオロアンチモネート、ヘキサフルオロアースネート、トリフルオロメタンスルホネート、トリクロロメタンスルホネート、トリブロモメタンスルホネート、トシロキシド、メシロキシド、タウリロキシド、パラトルエンスルホネート、およびパラニトロスルホネート等が挙げられる。具体的には、トリナフチルスルホニウムトリフレート、トリフェニルスルホニウムトリフレート、ジナフチルヨードニウムトリフレート、ジフェニルヨードニウムトリフレート、2,3,4,4−テトラヒドロキシベンゾフェノン−4−ナフトキノンジアジドスルフォネート、4−N−フェニルアミノ−2−メトキシフェニルジアゾニウムスルフェート、4−N−フェニルアミノ−2−メトキシフェニルジアゾニウム−p−エチルフェニルスルフェート、4−N−フェニルアミノ−2−メトキシフェニルジアゾニウム−2−ナフチルスルフェート、4−N−フェニルアミノ−2−メトキシフェニルジアゾニウムフェニルスルフェート、2,5−ジエトキシ−4−N−4−メトキシフェニルカルボニルフェニルジアゾニウム−3−カルボキシ−4−ヒドロキシフェニルスルフェート、2−メトキシ−4−N−フェニルフェニルジアゾニウム−3−カルボキシ−4−ヒドロキシフェニルスルフェート、ジフェニルスルフォニルメタン、ジフェニルスルフォニルジアゾメタン、およびピロガロールトリメシレートなどが挙げられる。
【0017】
キノンジアジド化合物としては、ナフトキノンジアジドスルホニルクロリドやナフトキノンジアジドスルホン酸の塩類を好適に用いることができる。また、有機ハロゲン化物は、ハロゲン化水素酸を形成する化合物を意味し、例えば、カーボンテトラヨージド、カーボンテトラブロミド、カーボンテトラクロリド、カーボンテトラフルオリド、テトラキスヨードメチルメタン、テトラキスブロモメチルメタン、テトラキスクロロメチルメタン、テトラキスフルオロメチルメタン、テトラヨードエチレン、テトラブロモエチレン、テトラクロロエチレン、テトラフルオロエチレン、1,2,3,4−テトラヨードブタン、1,2,3,4−テトラブロモブタン、1,2,3,4−テトラクロロブタン、1,2,3,4−テトラフルオロブタン、2−2′,2′,2′−トリヨードエトキシエタノール、2−2′,2′,2′−トリブロモエトキシエタノール、2−2′,2′,2′−トリクロロエトキシエタノール、2−2′,2′,2′−トリフルオロエトキシエタノール、4−ヨードフェノール、4−ブロモフェノール、4−クロロフェノール、4−フルオロフェノール、ビフェニル−4−ヨージド、ビフェニル−4−ブロミド、ビフェニル−4−クロリド、ビフェニル−4−フルオリド、2,6−ジヨードフェノール、2,6−ジブロムフェノール、2,6−ジクロロフェノール、2,6−ジフルオロフェノール、2−ヨード−6−メチルフェノール、2−ブロモ−6−メチルフェノール、2−クロロ−6−メチルフェノール、2−フルオロ−6−メチルフェノール、1−ヨード−2−ナフトール、1−ブロモ−2−ナフトール、1−クロロ−2−ナフトール、1−フルオロ−2−ナフトール、2−ヨード−1−ナフトール、2−ブロモ−1−ナフトール、2−クロロ−1−ナフトール、2−フルオロ−1−ナフトール、4−ヨードアニリン、4−ブロモアニリン、4−クロロアニリン、4−フルオロアニリン、α,α,α,α′,α′,α′−ヘキサヨード−o−キシレン、α,α,α,α′,α′,α′−ヘキサブロモ−o−キシレン、α,α,α,α′,α′,α′−ヘキサクロロ−o−キシレン、α,α,α,α′,α′,α′−ヘキサフルオロ−o−キシレン、α,α,α,α′,α′,α′−ヘキサヨード−m−キシレン、α,α,α,α′,α′,α′−ヘキサブロモ−m−キシレン、α,α,α,α′,α′,α′−ヘキサクロロ−m−キシレン、α,α,α,α′,α′,α′−ヘキサフルオロ−m−キシレン、α,α,α,α′,α′,α′−ヘキサヨード−p−キシレン、α,α,α,α′,α′,α′−ヘキサブロモ−p−キシレン、α,α,α,α′,α′,α′−ヘキサクロロ−p−キシレン、α,α,α,α′,α′,α′−ヘキサフルオロ−p−キシレン、トリブロモトリクロロエタン、トリブロモトリフルオロエタン、トリブロモトリヨードエタン、トリクロロトリフルオロエタン、トリクロロトリヨードエタン、トリフルオロトリヨードエタン、α,α,α−トリヨードアセトアニリド、α,α,α−トリブロモアセトアニリド、α,α,α−トリクロロアセトアニリド、α,α,α−トリフルオロアセトアニリド、4−ヨード−2,3−ジメチルアニリン、4−ブロモ−2,3−ジメチルアニリン、4−クロロ−2,3−ジメチルアニリン、4−フルオロ−2,3−ジメチルアニリン、4−ヨード−2,5−ジメチルアニリン、4−ブロモ−2,5−ジメチルアニリン、4−クロロ−2,5−ジメチルアニリン、4−フルオロ−2,5−ジメチルアニリン、4−ヨード−2,6−ジメチルアニリン、4−ブロモ−2,6−ジメチルアニリン、4−クロロ−2,6−ジメチルアニリン、4−フルオロ−2,6−ジメチルアニリン、4−ヨード−3,5−ジメチルアニリン、4−ブロモ−3,5−ジメチルアニリン、4−クロロ−3,5−ジメチルアニリン、4−フルオロ−3,5−ジメチルアニリン、4−ヨード−3,6−ジメチルアニリン、4−ブロモ−3,6−ジメチルアニリン、4−クロロ−3,6−ジメチルアニリン、4−フルオロ−3,6−ジメチルアニリン、1,2,3,4−テトラヨード−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン、1,2,3,4−テトラブロモ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン、1,2,3,4−テトラクロロ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン、1,2,3,4−テトラフルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン、α,α′−ジヨードキシレン、α,α′−ジブロモキシレン、α,α′−ジクロロキシレン、α,α′−ジフルオロキシレン、α,α,α′,α−テトラヨードキシレン、α,α,α′,α−テトラブロモキシレン、α,α,α′,α−テトラクロロキシレン、α,α,α′,α−テトラフルオロキシレン、α−ヨードトルエン、α−ブロモトルエン、α−クロロトルエン、α−フルオロトルエン、ヘキサヨードエタン、ヘキサブロモエタン、ヘキサクロロエタン、ヘキサフルオロエタン、1−ヨードアントラキノン、1−ブロモアントラキノン、1−クロロアントラキノン、1−フルオロアントラキノン、ω,ω,ω−トリヨードキナリジン、ω,ω,ω−トリブロモキナリジン、ω,ω,ω−トリクロロキナリジン、ω,ω,ω−トリフルオロキナリジン、ヘキサヨードシクロヘキサン、ヘキサブロモシクロヘキサン、ヘキサクロロシクロヘキサン、ヘキサフルオロシクロヘキサン、9−ヨードフルオレン、9−ブロモフルオレン、9−クロロフルオレン、9−フルオロフルオレン、ビスペンタヨードシクロペンタジフェニル、ビスペンタブロモシクロペンタジフェニル、ビスペンタクロロシクロペンタジフェニル、ビスペンタフルオロシクロペンタジフェニル、ポリビニリデンヨージド、ポリビニリデンブロミド、ポリビニリデンクロリド、ポリビニリデンフルオリド、および2,4,6−トリヨードフェノキシエチルビニルエーテル、2,4,6−トリブロモフェノキシエチルビニルエーテル、2,4,6−トリクロロフェノキシエチルビニルエーテル、2,4,6−トリフルオロフェノキシエチルビニルエーテル、α,α,α−トリヨードアセトフェノン、α,α,α−トリブロモアセトフェノン、α,α,α−トリクロロアセトフェノン、α,α,α−トリフルオロアセトフェノン、ヨードメチル−1,3,5−トリアジン、ブロモメチル−1,3,5−トリアジン、および、クロロメチル−1,3,5−トリアジンなどを挙げることができる。
【0018】
好ましい光酸発生剤としては、ハロメチル−1,3,5−トリアジン類、例えば2,4−ビストリクロロメチル−6−メチル−1,3,5−トリアジン、および2,4,6−トリストリクロロメチル−1,3,5−トリアジン等が挙げられ、ビニルハロメチル−1,3,5−トリアジンで置換された化合物がより好ましい。このビニルハロメチル−1,3,5−トリアジン化合物は、少なくとも1つのトリハロメチル基と少なくとも1つのエチレン性不飽和結合でトリアジン環と共役している基とを有する光分解性の1,3,5−トリアジン環であり、下記式3で表される。
【0019】
【化2】
【0020】
上記式(3)中、Xはヨウ素原子、臭素原子、または塩素原子であり、Pは−CX3 、−NH2 、−NHR、−NR2 または−ORであり、pは1ないし3の整数であって、Wは芳香環、複素環または下記式4で表わされる基である。
【0021】
【化3】
【0022】
上記式(4)中、R2 はフェニル基または炭素数6以下の低級アルキル基であり、Zは酸素原子または硫黄原子である。
また、上記式(3)中のWは、さらに置換されていても良く、その置換基としては、例えば、クロロ、ブロモ、フェニル、炭素数6以下の低級アルキル、ニトロ、フェノキシ、アルコキシ、アセトキシ、アセチル、アミノ、およびアルキルアミノ基等が挙げられる。
上記式(3)で表されるビニルハロメチル−1,3,5−トリアジン化合物の具体的な例としては、以下に示す化合物を挙げることができる。
【0023】
【化4】
【0024】
【化5】
【0025】
【化6】
【0026】
光酸発生剤は、全固形分に対して、0.1重量部以上40重量部以下の割合で使用することができる。
本発明の感光性組成物に含有される酸とは、水溶性または非水溶性の酸を表わし、これは、ブレンステッド酸に限定されず、ルイス酸も含む。すなわち、酸は、ベースポリマ溶液に可溶な任意の酸を適宜選択して使用することができる。
【0027】
ブレンステッド酸としては、硫酸、塩酸、リン酸等の無機酸が挙げられる。特に、不揮発性の酸である硫酸は、レジスト製造の際に局所排気装置が必要とされないために望ましい。また、ルイス酸としては、ボロントリフルオリド・エーテラート、ジンククロリド、チタニウムクロリド、ジルコニウムクロリド、およびアルミニウムクロリド等が挙げられる。
【0028】
本発明の感光性組成物中における酸と光酸発生剤との配合量は、塩基性化合物の量や金属イオンの量、添加する酸の価数および強さ等に関連するため、特定されるものではないが、ともにプロトンソースであるために、この両者の含有量には相関関係が生じる。
【0029】
例えば、酸により架橋するポリマを含有するレジスト中の金属イオン濃度を500ppmとすると、パタン形成が可能な領域は、光酸発生剤濃度と硫酸(酸性化合物)濃度との相関を表わす図1のグラフ中の斜線部領域Bで表わされる。この斜線部領域Bより下の領域Cではパタンを形成することができず、露光部および未露光部ともに現像液に溶けてしまい、一方、斜線部領域Bより上の領域Aでは、未露光部および露光部ともに架橋化してしまう。
【0030】
なお、レジスト中の金属イオンの濃度が500ppmよりも高いベースポリマを用いる場合には、パタン形成可能領域Bはy軸プラス方向へシフトし、一方、レジスト中の金属イオンの濃度が500ppmよりも低い場合には、パタン形成可能領域Bは、y軸マイナス方向にシフトすることが予測される。
【0031】
酸は、金属イオンと当量のカウンターアニオンまたは塩基性物質を捕捉して、光酸発生剤の作用の低下を防止し得る量で添加される。一般的には、酸の含有量は、金属イオンまたは塩基性物質1当量に対して、0.1〜10当量であることが好ましい。
【0032】
なお、前述の3成分のほかに必要に応じて塗膜改質剤としての界面活性剤、例えば、エポキシ樹脂ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、プロピレンオキシド−エチレンオキシド共重合体、ポリスチレンなどの他のポリマ、または反射防止剤としての染料を配合してもよい。
【0033】
本発明の感光性組成物を使用する場合には、まず、所定の溶媒にポリマを溶解した後、酸および光酸発生剤を加え、濾過することによってレジスト溶液を得る。
【0034】
通常、溶媒としては、シクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;メチルセルソルブ、メチルセルソルブアセテート、エチルセルソルブアセテート、およびブチルセルソルブアセテート等のセロソルブ系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、乳酸エチル、またはγ−ブチロラクトン等のエステル,ラクトン系溶媒;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコール系溶媒;ジメチルスルホキシド,ジメチルホルムアミド,N−メチルピロリドンなどが挙げられる。これらの溶媒は単独で使用しても、混合溶媒として使用しても良い。ただし、これらキシレン,トルエンなどの芳香族炭化水素またはエタノールイソプロピルアルコールなどの脂肪族アルコールを適量含んでいても良い。
【0035】
上述のようにして調製された本発明の感光性組成物を用いたレジストパターンの形成プロセスについて説明する。
まず、前記成分を有機溶媒に溶解して調製された感光性組成物の溶液を、回転塗布法やディッピング法により基板上に塗布した後、ホットプレートなどを用いて約150℃以下、好ましくは70〜120℃で加熱してレジストの溶媒を蒸発させ、上記組成物を主成分として含む感光性の樹脂層(レジスト層)を形成する。レジストを基板へ塗布する際には、通常この分野で行なわれている任意の方法を用いることができる。
【0036】
ここで用いる基板としては、たとえばシリコンウェハ、ブランクマスク、GaAs、AlGaAsなどの III−V族化合物半導体ウェハ等を挙げることができる。
【0037】
なお、溶媒の蒸発後、基板上に形成されるレジスト層の膜厚は、用途によって異なるが、通常0.05〜15μmの範囲内にあることが好ましい。この範囲を逸脱すると、感度が著しく低下したり、解像度が低下するおそれがある。
【0038】
次いで、基板上に形成されたレジスト層に対しパタン露光、すなわち、所望のパタンに従って、所定のマスクパタンを介して化学放射線の照射を行なう。このパタン露光に用いられる化学放射線としては、短波長の紫外線が通常用いられるが、そのほか、電子ビーム、X線、低圧水銀ランプ光、KrFやArFのエキシマレーザ光、シンクロトロンオービタルラディエーション光、γ線、イオンビーム等を用いてもよい。
【0039】
続いて、露光後のレジスト膜を熱板、オーブン等を用いて、または赤外線照射などによって、100℃〜150℃の温度で加熱処理することによりベーキングを行なう。これは、光反応を触媒的に増幅させるために行なう。すなわち、化学放射線の照射によって触媒量の光酸発生剤から酸を発生させ、露光後加熱によって、官能基変換または架橋変化を行ない、現像液に対するレジスト膜の溶解性を変化させる。
【0040】
最後に、ベーキング後のレジスト膜をアルカリ水溶液を用いて浸漬法、スプレー法等により現像処理することにより所望のパタンが形成される。ここで、現像液として用いるアルカリ水溶液としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液などの有機アルカリ水溶液、または水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどの無機アルカリ水溶液などを、15重量%以下の濃度で使用することができる。また、現像液として有機溶媒を使用してもよく、これらの現像液は、単独で、あるいは2種類以上の溶液を混合溶媒として使用することができる。
【0041】
現像処理後の基板およびレジスト膜に対しては、水等を用いてリンス処理を施してもよい。
前述のように、レジストを用いてパタンを形成する際には、主成分であるベースポリマを溶解しワニス化するために、一般には有機系の溶媒が加えられている。有機溶剤は引火性でかつ有害な物質であるために、レジスト処理を行なう作業場には局所排気装置が必要とされるが、水を溶媒として用いることができれば、安全性および装置等の問題も解消することができる。
【0042】
水溶液として塗布することができ、水で現像可能な水溶性レジストとして、従来では、ADC系レジスト、すなわち、感光剤として重クロム酸アンモンや大量のジアゾ化合物を用い、さらに水溶性樹脂であるカゼインやポリビニルアルコールを含有する感光性組成物が知られている。しかしながら、このような重クロム酸アンモンは、毒性を有する特定管理物質であり、また大量のジアゾ化合物も人体に対して非常に有害であるため、安全性や環境汚染の面の問題は依然として残されている。
【0043】
このような従来の水溶性レジストの問題点は、本発明の好ましい態様の感光性組成物によって解決することができる。
以下、本発明の好ましい態様の感光性組成物について、詳細に説明する。
【0044】
本発明の好ましい態様の感光性組成物は、水溶性で、酸により溶解度が変化する組成を有する高分子、好ましくは、ポリビニルアルコール誘導体を含有する高分子を使用することによって製造することができる。ポリビニルアルコール誘導体は水溶性であり、少量の光酸発生剤しか必要とされないので局所排気装置も不必要である。特に、下記式(1)および(2)で表される繰り返し単位を含む化合物がより望ましい。
【0045】
【化7】
【0046】
上記式(1)中、R1 は水素原子または一価の有機基であり、例えば、アルキル基、カルボキシル基を含むアルキル基、芳香環および置換基を有する芳香環等が挙げられる。また、mおよびnは整数である。
【0047】
前記一般式(1)または(2)で表される繰り返し単位を含む高分子の分子量は、重量平均分子量(Mw)で2000以上50000以下であることが好ましく、5000以上40000以下であることがより好ましい。Mwが2000未満では、均一に塗膜することが困難になるおそれがあり、また一方、Mwが50000を越えると溶媒に対する溶解性が悪化するおそれがある。
【0048】
上記式(1)または(2)で表される繰り返し単位を含む高分子において、一般式(1)で表される繰り返し単位の総量は、高分子全体に対して1重量%以上20重量%以下であることが好ましい。この範囲を逸脱すると、得られる感光性組成物の感度、露光後の残膜率、および現像液に対する溶解性が低下する傾向にある。また、一般式(2)で表される繰り返し単位の総量は、高分子全体に対して50重量%以上99重量%以下であることが好ましい。この範囲を逸脱すると得られる感光性組成物の現像時の溶解性が低下するおそれがある。
【0049】
上記式(1)または(2)で表される繰り返し単位を含む高分子は、例えば、ポリビニルアルコールと置換基R1 を有するアルデヒドとを、酸触媒などの存在下で反応させてアセタール化することにより得ることができる。
【0050】
ポリビニルアルコールとしては、分子量約2000以上約50000以下のものを使用することができ、また、酢酸ビニルの未反応部分が残留したポリビニルアルコールを使用してもよい。ただし、この場合には、この酢酸ビニルの未反応部分の残存量は、高分子に対して10重量%以下であることが好ましく、10重量%を越えると、得られる高分子の現像液に対する溶解性を低下させるおそれがある。
【0051】
置換基R1 を有するアルデヒドとしては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、ヘキサナール、ヘプタナール、オクタナール、ノナナール、デカナール、パラホルムアルデビド、アクリルアルデヒド、メタアクロレイン、クロトンアルデヒド、メタクリルアルデヒド、2−メチル−2−ブテナール、2−ブチナール、クロロアセトアルデヒド、ジクロロアセトアルデヒド、クロラール、ブロマール、ブチルクロラール、グリコールアルデヒド、ラクトアルデヒド、アクドール、グリセルアルデヒド、グリオキシル酸、ベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、およびクロトン酸アルデヒド等が挙げられる。
【0052】
アルデヒドは、ポリビニルアルコール約10gに対して、約0.01〜20molの量で使用することが好ましく、酸触媒は固形分に対して約0.01重量%〜80重量%程度の量で、ジアゾニウム塩、およびホスホニウム塩等を使用できる。
【0053】
さらに、ポリビニルアルコールを水溶液とし、酸、アルデヒドを加えて加熱、還流することによって、上記式(1)または(2)で表わされる繰り返し単位を有する高分子が得られる。
【0054】
このような高分子を水に溶解する際には、この高分子のゲル化を防止するために、メタノール、エタノール、プロパノール、およびブタノール等のアルコール系の溶媒を、安全性を損なわない範囲で、水溶液に添加してもよい。これらの溶媒は、単独で加えても、また、2種以上を加えても構わない。
【0055】
前述の高分子は1種類のみを単独で、または2種以上を混合して用いてもよく、さらに、通常の水溶性高分子であるポリビニルアルコールや、カゼイン、多糖類などの他の化合物と混合して用いることもできる。なお、この場合には、前述の式(1)または(2)で表わされる繰り返し単位を有する高分子の割合は、40〜100重量部程度とすることが好ましい。
【0056】
本発明の好ましい態様の感光性組成物においては、好ましい光酸発生剤として、下記式(5)〜(8)で表されるジアゾニウム塩が挙げられる。かかるジアゾニウム塩は、レジスト溶媒である水に対する溶解性が良好であり、かつ紫外線に対して高感度であるためである。
【0057】
【化8】
【0058】
これらの光酸発生剤の配合量は、この化合物の酸発生効率に依存するため一概には規定できないが、通常全固形分に対して、安全性の観点からは0.2重量%以上10重量%以下とすることが好ましい。
【0059】
上述の成分に加えて、本発明の好ましい態様の感光性組成物は、さらに、本発明の効果を損なわない程度の量で、その他の添加剤を含有してもよい。そのような添加剤としては、水溶性の酸架橋性化合物、および特定の波長、特に340nm以上の光に感応する上記光酸発生剤の増感剤を挙げることができる。具体的には、水溶性の酸架橋性化合物としては、メラミン樹脂、またはエポキシ樹脂にカルボン酸を有するビニル化合物を付加させた変性エポキシ樹脂が挙げられ、これらは、例えば、固形分に対して、約0.1重量部〜70重量部程度の割合で添加することができる。また光酸発生剤の増感剤としては、スクアリウム色素等が挙げられ、例えば、固形分に対して、約0.001重量%〜10重量%程度の割合で添加することができる。
【0060】
上述の成分を含有する本発明の好ましい態様の感光性組成物は、レジストとして用いた場合、光または電離放射線を照射した部分が硬化するネガ型のレジストとして機能する。その反応機構は断言できるものではないが、光または電離放射線の照射によって生じた酸が触媒として作用し、下記反応式(1)および(2)に示される反応が効率よく行なわれているものと考えられる。
【0061】
【化9】
【0062】
本発明の好ましい態様の感光性組成物を使用する場合には、溶媒および現像溶液を以下のように変更する以外は、前述と同様にしてレジスト溶液を調製することができる。
【0063】
まず、水または少量のアルコールにポリマを溶解した後、酸性化合物および光酸発生剤を加えて、濾過することによってレジスト溶液を得、この溶液を回転塗布法やディッピング法を用いて、任意の基板上に塗布する。その後、約150℃以下、好ましくは70〜120℃で加熱して、上記組成物を主成分として含む感光性の樹脂層(レジスト層)を形成する。
【0064】
次いで、基板上に形成されたレジスト層に対しパタン露光、すなわち、所望のパタンに従って、所定のマスクパタンを介して化学放射線の照射を行なう。このパタン露光に用いられる化学放射線としては、短波長の紫外線が通常用いられるが、そのほか電子ビーム、X線、低圧水銀ランプ、KrFやArFのエキシマレーザ光、シンクロトロンオービタルラディエーション光、γ線、イオンビームなどを用いてもよい。
【0065】
続いて、露光後のレジスト膜を100℃〜150℃の温度で加熱処理することによってベーキングを行なう。
最後に、ベーキング後のレジスト層を水を用いて浸漬法、スプレー法などにより現像処理することにより所望のパタンが形成される。この際、感光性組成物に含有される高分子成分によっては、現像の進行を促進するために、水に若干のアルカリを加えてもよい。
【0066】
【作用】
本発明の感光性組成物は、微量の酸を含有しているので、不純物としての金属イオンおよび塩基性物質が組成物中に含まれる場合でも、感度の低下を避けることができる。
【0067】
本発明は、以下のような知見のもとになされたものである。
本発明者らは、化学増幅型レジストに用いられる高分子中に含有される金属イオンおよび塩基性物質が、光酸発生剤に対して次のような影響を及ぼすことを見出だした。すなわち、金属イオンが存在する場合には、その金属イオンのカウンターアニオンであるヒドロキシイオンが当量存在するので、このヒドロキシイオンが光酸発生剤を失活させ、また、塩基性物質が存在する場合には、同様に塩基が光酸発生剤を失活させてしまう。したがって、いずれの場合も、感光性組成物中の光酸発生剤は、十分に酸を発生することができず、このために感度が低下する。
【0068】
本発明の感光性組成物は、微量のppmオーダーの酸を緩衝化反応剤として含有しているので、ヒドロキシイオンや塩基性物質を捕捉することができる。このため、前述のような光酸発生剤の損失を防止し、レジスト本来の感度を引き出すことが可能となる。
【0069】
特に、ポリビニルアルコールアセタール系高分子等の水溶性化合物を含有する感光性組成物は、安全性等の面で有利であるものの、製造工程において金属イオンが混入しやすいために感度の低下が著しく実用化が困難であった。しかしながら、本発明のように酸性化合物を含有させることによって、水溶性の感光性組成物の従来の利点を維持しつつ、感度の低下を防止することが可能となった。
【0070】
【実施例】
以下、実施例を示して、本発明をより詳細に説明する。なお、これら実施例は本発明を限定するものではない。
(合成例1)
(高分子成分の調製)
ポリビニルアルコール(重量平均分子量1k万)2gを水30mLに溶解し、この溶液に濃硫酸4.5mLおよびブタナール0.05molを加えて、撹拌しつつ60℃で8時間反応させた。反応終了後、硫酸を酢酸バリウムで中和して濾過し、得られた濾液を減圧濃縮することによって、アセタール化度9mol%のポリビニルブチラール樹脂(重量平均分子量1万2千)(以下、樹脂1と表記する)を得た。樹脂はエーテルで沈澱させ、濾別および減圧乾燥を行なって生成した。
(光酸発生剤の調製)
光酸発生剤として、まず、前述の式(5)で表わされるジアゾニウム塩(レスペケミカル社製)、およびトリフェニルスルフォニウムトリフレート(みどり化学社製)を用意した。これらの光酸発生剤を、それぞれ光酸発生剤EおよびIと記載する。
【0071】
さらに、以下のようにして、前述の式(6)〜(8)で表されるジアゾニウム塩を調製した。
式(6)で表されるジアゾニウム塩(以下、光酸発生剤Fと記載する)は、上記光酸発生剤Eを水に溶解し、過剰量のスルホサリチル酸を添加した後、濃縮して冷却し、析出した結晶を濾別することにより得た。
【0072】
式(7)で表されるジアゾニウム塩(以下光酸発生剤Gと記載する)は、スルホサリチル酸の代わりにp−エチルベンゼンスルホン酸を用いる以外は、上述の光酸発生剤Fと同様にして調製した。
【0073】
また、式(8)で表されるジアゾニウム塩(以下光酸発生剤Hと記載する)は、スルホサリチル酸の代わりにベンゼンスルホン酸を用いる以外は、上述の光酸発生剤Fと同様にして調製した。
用いた光酸発生剤を下記表1にまとめた。
【0074】
【表1】
(実施例1)
(レジスト溶液の調製)
合成剤1で得られた2gのポリビニルブチラール樹脂1を、8gの水に溶解した。この溶液のNa+ イオンの濃度は2500ppmであり、1.2当量に相当する1500ppmの硫酸を加えて溶解させた。その後、この溶液に光酸発生剤Eを0.04g加え、実施例1のレジスト溶液を調製した。さらに、下記表2に示すように、硫酸を加えない以外は同様にして、比較例1のレジスト溶液を調製した。
【0075】
【表2】
(実施例2)
(パタン形成)
上で調製した実施例1および比較例1のレジスト溶液を、それぞれ回転塗布(1500回転)により膜厚が1μmとなるようにウェハ上に塗布し、このウェハを100℃で1分間ベークした後、パタン露光を行なった。露光後のウェハを140℃で1分間ベークし、最後に温水(40℃)で2分間洗浄してパタンを形成した。
各々のレジストの感度と得られたパタンの解像度とを、下記表3に示す。
【0076】
【表3】
【0077】
なお、表の値は全て高圧水銀ランプを用いて露光したものである。
表3に示すように、酸としての硫酸を含有する本発明のレジストは、感度が10mJcm-2であり、得られたパタンの解像性も12μmと良好であった。一方、硫酸を含有しない比較例のレジストの感度が200mJcm-2であり、著しく劣っていることがわかる。なお、比較例のレジストを用いて得られたパタンの解像性は、20.0μmと劣っていた。
【0078】
すなわち、硫酸を含有することにより、レジストの感度を顕著に向上させ、得られるパタンの解像性も向上させることができることがわかる。
(実施例3〜34)
実施例3〜34においては、ポリマの組成を変えてレジスト溶液を調製し、それぞれを用いてパタンを形成した。
【0079】
まず、ホルムアルデヒド0.05molとポリビニルアルコール2gとからポリマを合成し、得られたポリマを水30mLに溶解した。なお、Na+の濃度は2900ppmであった。この溶液に、酸としての硫酸を1400ppm添加し、実施例1と同様に光酸発生剤Eを0.04g加えて実施例3のレジスト溶液を調製した。
【0080】
このレジスト溶液を、回転塗布法(1500回転)により膜厚が1μmとなるようにウェハ上に塗布し、このウェハを100℃で1分間ベークした後、パタン露光を行なった。露光後のウェハを140℃で1分間ベークし、最後に温水(40℃)で2分間洗浄してパタンを形成した。
【0081】
レジストの感度および得られたパタンの解像度を、レジストの組成とともに下記表4に示す。
さらに、ポリマを合成する際のアルデヒドの種類を下記表4および5のように変更する以外は、前述と同様にして実施例4〜34のレジスト溶液を調製した。なお、各溶液に添加する硫酸の量は、含有されるNa+ 濃度に応じて適宜変更した。
【0082】
得られたレジスト溶液を用い、それぞれ、前述と同様にしてパタンを形成した。各レジストの感度および得られたパタンの解像度を、レジストの組成とともに下記表4〜5に示す。
【0083】
【表4】
【0084】
【表5】
【0085】
なお、表の値は全て高圧水銀ランプを用いて露光したものである。
表4および5から、いずれのアルデヒドを用いて調製されたポリマを含有する場合でも、本発明のレジストは、10mJcm-2という感度を有し、また得られたパタンの解像度は12μmと良好であった。
(実施例35〜37)
実施例35〜37においては、酸性化合物の種類および添加量を変えてレジスト溶液を調製し、それぞれを用いてパタンを形成した。
【0086】
まず、グリセルアルデヒド0.05molとポリビニルアルコール2gとからポリマを合成し、このポリマを30mLの水に溶解した。なお、Na+ の濃度は2900ppmであった。この溶液に、実施例2と同様に光酸発生剤Eを0.04g添加し、酸としての硝酸を3400ppm加えて実施例35のレジスト溶液を調製した。
【0087】
さらに、酸の種類および添加量を、それぞれ下記表6に示すように変更する以外は前述と同様にして、実施例36および37のレジスト溶液を調製した。
調製したレジスト溶液をそれぞれ回転塗布(1500回転)により膜厚が1μmとなるようにウェハ上に塗布した。
【0088】
次いで、このウェハを100℃で1分間ベークした後、パタン露光を行なった。露光後のウェハを140℃で1分間ベークし、最後に温水(40℃)で2分間洗浄してパタンを形成した。
各レジストの感度および得られたパタンの解像度を、レジストの組成とともに下記表6に示す。
【0089】
【表6】
【0090】
なお、表の値は全て高圧水銀ランプを用いて露光したものである。
各レジストにおいて、金属イオンに対する酸の量は、いずれも1.2当量である。
【0091】
表6に示すように、酸性化合物の種類および量にかかわらず、酸を含有することによって、約30mJcm-2の感度を有するレジストが得られ、これを用いて形成されたパタンの解像度は12μmとなることがわかる。
(実施例38〜40)
実施例38〜40においては、光酸発生剤の種類を変えてレジスト溶液を調製し、それぞれを用いてパタンを形成した。
【0092】
まず、クロトンアルデヒド0.05molとポリビニルアルコール2gとからポリマを合成し、このポリマを30mLの水に溶解した。なお、Na+ の濃度は2900ppmであった。この溶液に、酸としての硫酸1700ppmを添加し、光酸発生剤Fを0.04g加えて実施例38のレジスト溶液を調製した。
【0093】
さらに、光酸発生剤を下記表7に示すように変更する以外は同様にして、実施例39および40のレジスト溶液を調製した。
得られたレジスト溶液を、それぞれ回転塗布(1500回転)により膜厚が1μmとなるようにウェハ上に塗布し、このウェハを100℃で1分間ベークした後、パタン露光を行なった。露光後のウェハを140℃で1分間ベークし、最後に温水(40℃)で2分間洗浄してパタンを形成した。
各レジストの感度と得られたパタンの解像度とを、レジストの組成とともに下記表7に示す。
【0094】
【表7】
【0095】
なお、表の値は全て高圧水銀ランプを用いて露光したものである。
表7に示すように、いずれの酸発生剤を用いても、酸を含有する本発明の感光性組成物は、レジストの感度は約30mJcm-2となり、得られるパタンの解像度は12μmという良好な結果が得られたことがわかる。
(実施例41)
テトラヒドロフラン−トルエン(1:5)20mLに、メンチルメタクリレート4g(特願平6−158512)とt−ブチルメタクリレート1.5gとを加え、これにナトリウム−ナフタレンを用い、−60℃で8時間重合を行なうことによってポリマを得た。このポリマを、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート30mLに溶解した。なおNa+ の濃度は、200ppmであった。この溶液に、酸としてのボロントリフルオリド・エーテラートを300ppm添加し、光酸発生剤としてのNAT−105(みどり化学社製)を0.1g加えてレジスト溶液を調製した。
【0096】
調製したレジスト溶液を、回転塗布(1500回転)により膜厚が1μmとなるようにウェハ上に塗布し、このウェハを100℃で1分間ベークした後、ArFエキシマレーザパタン露光を行なった。露光後のウェハを120℃で3分間ベークし、最後にテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で2分間洗浄してパタンを形成した。
【0097】
レジストの感度は50mJcm-2であり、得られたパタンの解像度は0.15μmであった。
さらに、ボロントリフルオリド・エーテラートを添加しない以外は上述と同様にして比較例2のレジストを調製し、このレジスト溶液を用いて同様にパタンを形成した。その結果、比較例2のレジストの感度は500mJcm-2であり、パタンの解像度は、0.2μmであった。
実施例41および比較例2のレジストの感度および得られたパタンの解像度を、各レジストの組成とともに、下記表8にまとめる。
【0098】
【表8】
なお、使用した樹脂は、下記化10に示す式(9)で表わされる。
【0099】
【化10】
すなわち、非水溶性のレジスト場合も、酸性化合物を添加することによって、レジストの感度およびパタンの解像度を向上させることできる。
【0100】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、不純物の影響を消失させることにより感度の低下を防止して、レジスト本来の感度を有する感光性組成物が提供される。したがって、本発明の感光性組成物を用いることによって、電子部品および回路基板用のパタンを高感度で形成することができる。
【0101】
なお、本発明の感光性組成物は、露光光としてi線光を利用したパタン形成の際に、特にその効果を発揮するが、deep UV光、電子線、X線などを利用したパタン形成においても充分使用が可能である。かかる水溶性感光性組成物は、半導体デバイスの製造プロセスのフォトリソグラフィー技術において顕著な効果を有するものであり、その工業的価値は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】レジスト中の光酸発生剤の濃度と硫酸濃度との相関を示すグラフ図。
【符号の説明】
A…架橋領域,B…パタン形成可能領域,C…パタン形成不可能領域。
Claims (4)
- 金属イオンおよび塩基性化合物の少なくとも一方を含有し、酸により架橋または分解して溶解性が変化する化合物と、光酸発生剤とを含む感光性組成物において、硫酸、塩酸、リン酸、ボロントリフルオリド・エーテラート、ジンククロリド、チタニウムクロリド、ジルコニウムクロリド、およびアルミニウムクロリドからなる群から選択される少なくとも一種の酸をさらに含有することを特徴とする感光性組成物。
- 前記酸により溶解性が変化する化合物が水溶性である請求項1記載の感光性組成物。
- 前記酸が、金属イオンまたは塩基性化合物1当量に対して、0.1〜10当量で含有される請求項3記載の感光性組成物。
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