JP3514450B2 - 海綿体器官の鍛錬器具 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は，海綿体器官の鍛錬
器具に関し，特に，発達不良という身体的な欠陥や疾
病，老化による機能的な原因のため，血液の充血による
海綿体膨張に障害のある陰茎海綿体を鍛錬することを特
徴とする海綿体器官の鍛錬器具に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般的に正常な機能を有する陰茎海綿体
は，血液の充血により膨張する器官だが，発達不良とい
う身体的な欠陥や疾病，老化による機能的障害を有する
場合，海綿体器官への血行が悪く，正常な生活を営めな
い場合がある。このような場合にはその障害を治癒する
ために医学的な治療が要求される。

【０００３】前記障害性海綿体器官の医学的な治療方法
としては，血管拡張剤および促進剤を利用する方法や，
保形物の挿入手術といった外科的な方法がある。しか
し，このような医学的な治療方法は重度の障害には効果
的であるが，最終的に選択する方法といえる。軽度の障
害の場合，このような治療方法以外に吸入器を利用する
在宅治療器が利用されることもある。

【０００４】吸入器を利用する在宅治療方法は，吸入管
内に海綿体器官を挿入し，真空ポンプを作動させ吸入管
内の負圧により海綿体器官の血管に血液が流入し充血す
るよう繰り返し施術し，陰茎海綿体の全体または亀頭な
どの一部分だけを鍛錬する治療方法である。このような
在宅治療方法は，利用の初期段階で使用法に関する助言
さえ得られれば，その後は専門家の立会や助力なしに行
えるので便利である。

【０００５】上記の吸入器を利用する在宅治療方法の場
合，海綿体器官が充血膨張した状態が一定時間持続させ
るために，血行を抑制する補助器具として海綿体器官の
基部に装着する挟持環が，吸入器と共に使用できる。こ
の挟持環は，海綿体器官が充血膨張する前に海綿体器官
の基部に着用され，海綿体器官の充血膨張後，血行の逆
行を抑制することによって，海綿体器官が充血膨張した
状態を一定時間持続できるようにする。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところで，前記の吸入
器，またはその補助器具として挟持環を利用する在宅治
療方法は，海綿体器官の血行を促進するだけではなく，
海綿体器官の筋肉を鍛錬するのには効果的である。しか
し，海綿体器官の充血膨張後，血行の逆行を抑制するた
めに用いる挟持環により，海綿体器官が局所的に圧迫さ
れ，血行が強制的に遮断され，尿道が閉鎖される。圧迫
部位が狭いことにより，陰茎海綿体や尿道海綿体の一部
の組織が損傷する危険性が高いという問題点だけではな
く，挟持環と吸入管を分離すると，挟持環が収縮すると
きに血行が逆流して海綿体がすぐ収縮してしまうという
問題がある。

【０００７】また，海綿体器官の基部から海綿体器官の
長さが伸張したり，海綿体器官自体での筋肉弛緩する形
態が実現できず，海綿体器官自体の逆流防止力，生理的
作用を活用できないという短所がある。そこで，鍛錬に
おいても挟持環を吸入管と分離せずに吸入管の負圧を維
持して鍛錬しなければならないという欠点を有する。

【０００８】本発明は上記問題点を鑑みてなされたもの
であり，発達不良という身体的な欠陥や疾病，老化によ
る機能的な障害がある場合，海綿体器官のこのような障
害を治癒し，海綿体器官の機能を鍛錬するために，吸入
器を利用した在宅治療方法を遂行する際に用いられ，更
に，海綿体器官の逆流防止機能に加えて，重度の障害に
より保形物の挿入手術を要する患者でも，円滑な充血膨
張および持続力を保持できる補助器具としての海綿体の
鍛錬器具を提供することを目的とする。

【０００９】

【発明を解決するための手段】上記課題を解決するため
に，請求項１に記載のように，一側の閉鎖端部が真空ポ
ンプと連通し他側の開放端部が海綿体器官の基部に配置
される吸入管を有する吸入器に装着可能な海綿体器官の
鍛錬器具において；弾力性を有する素材から作られ，前
記海綿体器官の基部に装着可能な略円筒形の伸縮スリー
ブと；前記伸縮スリーブと一体形成されるネック部分
と；前記ネック部分の端部に一体形成され，前記吸入管
の前記開放端部に装着可能な環部分と；前記伸縮スリー
ブの長手方向に延長しており，前記伸縮スリーブの内部
に埋入されて環状に配列される複数の補強体と；を有
し，前記補強体は先端側で結束帯により結束されている
ことを特徴とする，海綿体器官の鍛錬器具を提供する。

【００１０】かかる構成により，吸入器に真空ポンプで
負圧を加えた場合に，伸縮スリーブを通過して吸入管内
に挿入された海綿体器官は，血液が流入して充血膨張す
る。伸縮スリーブ及びネック部は，弾力性があるため海
綿体器官の膨張に応じて伸張でき，さらに伸縮スリーブ
は補強体が埋入されているため海綿体器官を支持するこ
とができる。また，海綿体器官の膨張後に吸入器を取り
外した場合，環部分はは海綿体器官を部分的に圧迫せず
に，広範囲に渡り接触し作用し，血液が逆行して海綿体
器官がすぐに収縮することを防ぐ。伸縮スリ−ブ１０
は，海綿体器官自体の構造による血行の逆流防止機能を
作用させて，膨張を持続させる。また，海綿体器官の充
血膨張時に，結束帯により結束されている補強体は，伸
縮スリ−ブの直径が過度に伸張することを防止する。従
って，伸縮スリーブにより全体的に海綿体器官を圧迫で
き，膨張の持続を助ける。

【００１１】

【００１２】さらに，請求項２に記載のように，結束帯
は，結束帯の一部分が断切された断切部を有することが
好ましい。かかる構成により，伸縮スリーブは直径方向
にある程度の伸張が可能になり，海綿体器官の直径方向
への適度な膨張と伸縮スリーブとの密着を実現する。

【００１３】加えて，請求項３に記載のように，環部分
の外側にタグが形成されることが好ましい。かかる構成
により，吸入器を除去する際に，タグ部分を海綿体器官
の基部側に押し付けて，吸入管の開放端部と環部分を分
離できる。

【００１４】

【発明の実施の形態】以下に添付図面を参照しながら，
本発明に係る海綿体器官の鍛錬器具の好適な実施の形態
について詳しく説明する。なお，本明細書及び図面にお
いて，実質的に同一の機能構成を有する構成要素につい
ては，同一の符号を付することにより重複説明を省略す
る。

【００１５】図１，３及び４は，本発明に係る海綿体器
官の鍛錬器具を示す。この海綿体器官の鍛錬器具は，円
筒形の伸縮スリ−ブ１０と，この伸縮スリ−ブ１０から
延長して一体形成されたネック部分１２と，ネック部分
１２の端部に一体形成された環部分１４とで構成され
る。

【００１６】これら伸縮スリ−ブ１０，ネック部分１２
および環部分１４は人体に無害で弾力性を有する天然ラ
テックスゴムから作られる。円筒形の伸縮スリ−ブ１０
の内径は，患者や使用者の海綿体器官３０の身体条件に
適合するように，多様なサイズが提供される。

【００１７】例えば，伸縮スリ−ブ１０の径は陰茎海綿
体の充血膨張前の外径に略一致し，伸縮スリ−ブ１０の
長さは海綿体器官３０の３分の１程度の長さが好ましい
が，患者の障害度合によってこの長さはより長くもある
いはより短かくも調整できる。

【００１８】円筒形の伸縮スリ−ブ１０の内部には，こ
の伸縮スリ−ブ１０の長手方向に延長した補強体１６が
環状に配列されて埋入されている。

【００１９】図２に示すように，これら環状配列された
補強体１６は相互に分離されている。補強体１６が分離
された部分において，吸入器３４の開放端部２８と環部
分１４が結合された場合は，伸縮スリ−ブ１０の直径を
拡張させる弾性力が生じ，かつ真空ポンプ２６を作動さ
せ海綿体器官３０の円滑な筋肉弛緩時や血液が流入する
時に，伸縮スリ−ブ１０の直径が拡張される。一方，開
放端部２８と環部分１４が分離された場合は，伸縮性に
よって伸縮スリ−ブ１０は元の形に戻り，海綿体器官３
０と軽く密着する。

【００２０】また，伸縮スリ−ブ１０の先端側では，環
状配列された補強体１６は結束帯１８により互いに結束
されており，結束帯１８は一部分が断切された断切部２
０を有する。以下で詳細に説明する通り，これら補強体
１６が円筒形の伸縮スリ−ブ１０内に埋入された場合，
補強体１６は円筒形の伸縮スリ−ブ１０が過度に伸張す
ることを防止し，結束帯１８が断切部２０を有すること
により伸縮スリ−ブ１０の直径の拡張をある程度までは
許容する機能を有する。

【００２１】円筒形の伸縮スリ−ブ１０から延長したネ
ック部分１２には，補強体１６が延長して埋入されてい
ない。従って，このネック部分１２は伸縮スリ−ブ１０
に比べ，優れた弾力性を有する。同様に，環部分１４も
優れた弾力性を有する。この環部分１４には外側にタグ
２２が装着されている。

【００２２】上記のような本発明の実施形態における海
綿体器官の鍛錬器具は，一般的な吸入器３４と共に使用
される。図５に示すように，吸入器３４は吸入管３２を
有し，吸入管３２の一側の閉鎖端部２４には手動型の真
空ポンプ２６が連通され，他側の開放端部２８は海綿体
器官３０の基部に配置される。

【００２３】海綿体器官の鍛錬器具を使用する際には，
まず，吸入器３４の開放端部２８と環部分１４を図５に
示すように結合してから，海綿体器官３０と亀頭部分に
潤滑用ジェル（医薬用）をマッサ−ジするように塗り，
伸縮スリ−ブ１０の内部にもジェルを塗る。

【００２４】続いて，吸入器３４の吸入管３２の開放端
部２８と環部分１４に隣接したネック部分１２に，海綿
体器官３０の亀頭部分が密着するようにしながら，真空
ポンプ２６を作動させて，吸入管３２内に負圧を発生さ
せる。

【００２５】このような負圧の発生により海綿体器官３
０が徐々に筋肉弛緩をしながら，伸縮スリ−ブ１０内を
通過するようになり，血液が充血し始めることで亀頭部
分も含めた海綿体器官３０が膨張し始める。

【００２６】上記海綿体器官３０の充血膨張が始まって
も，上記伸縮スリ−ブ１０を通過した部位を除く他の海
綿体器官３０は，伸縮スリ−ブ１０が海綿体器官３０の
膨張を制限する機能を有するため過度に膨張しない。

【００２７】海綿体器官３０の充血膨張時に，伸縮スリ
−ブ１０内で補強体１６を結束している結束帯１８が有
する断切部２０によって，直径の拡張がある程度許容さ
れるが，これ以外は，伸縮スリ−ブ１０が海綿体器官３
０の過度の膨張を抑える機能が働くので，伸縮スリ−ブ
１０を通過した部位のみが集中的に拡張される（この
時，吸入管３２内の圧力は−５０ｃｍＨｇから−６０ｃ
ｍＨｇである。）。

【００２８】専門家あるいは専門医が制限した膨張の範
囲内で，海綿体器官３０自体の逆流防止機能が作用する
程度に海綿体器官３０が充血膨張を達成したら，タグ部
分２２を海綿体器官３０の基部側に押し付けて，吸入管
３２の開放端部２８と環部分１４を分離し，海綿体器官
３０から吸入器３４を除去する。分離された伸縮スリ−
ブ１０の環部分１４はネック部分１２に捲かれ，伸縮ス
リ−ブ１０は元の形に戻る。

【００２９】上記に付け加わえて説明すると，人類を始
めとして哺乳動物は海綿体器官３０を保有している。海
綿体器官３０は，海綿体の内部に大量の血液が流入する
と海綿体は各々膨張し，これらは互いに密集して血管を
圧迫して血液の流出を抑制する機能を有する。この機能
が作用すると海綿体は膨張する。こうした現象が生理的
な勃起現象である。

【００３０】本発明の特徴は，伸縮スリ−ブ１０により
海綿体器官３０を圧迫して血行を強制的に遮断するとい
うよりも，海綿体器官３０自体の構造で逆流防止機能を
作用させることであり，極大の膨張と３０分以上の膨張
持続力が保たれ，尿道の通路が開放されているため，尿
道への排出が妨害されないということである。

【００３１】海綿体器官３０に密着する伸縮スリ−ブ１
０は，海綿体器官３０の基部から海綿対器官３０の長さ
が伸びる方向にだけ伸張する。伸縮スリ−ブ１０により
拡大できなかった余分な筋肉は，血液の流入により膨張
した海綿体の方に弛緩されて，部分的に圧力を密集して
加えることにより，海綿体器官３０自体の血液逆流防止
機能が作用する。これにより，海綿体器官３０の生理的
な勃起現象を再現させることができる。

【００３２】また，伸縮スリ−ブ１０の環部分１４が，
海綿体器官３０の広範囲な部分にわたり作用するので，
海綿体器官３０組織が部分的に損傷することがない。海
綿体器官３０が充血膨張した状態で一定時間の鍛錬を終
えてから，海綿体器官３０の復元のために，ネック部分
１２に巻きこまれている環部分１４を解いて，膨張して
いる海綿体と亀頭部分をお絞りを絞るようにマッサージ
を複数回繰り返すと，少しずつ血行が促進されて，血液
が逆流して海綿体が収縮する。その後，海綿体と亀頭部
分にジェルを塗って伸縮スリ−ブ１０を取り外す。

【００３３】このような処置を繰り返して，鍛錬するこ
とによって，発達不良という身体的な欠陥や疾病，老化
による機能的な障害のある海綿体器官３０を治療して，
海綿体器官３０の機能を回復，増強することができる。

【００３４】上記の本発明の実施形態における海綿体器
官３０の鍛錬器具は，これ自体で性行為の補助器具とし
ても使えるのは勿論のことである。例えば，本発明の実
施形態における海綿体器官３０の鍛錬器具を利用した治
療または鍛錬過程で，海綿体の充血膨張後，伸縮スリ−
ブ１０を着用したままの状態で性行為をすることもでき
る。

【００３５】特に，心因性勃起不全症の患者や保形物の
挿入手術を要する患者の場合には，本発明の実施形態に
おける伸縮スリ−ブ１０を装着したままの状態で，性行
為などに利用することに適合しているだけではなく，効
果的に尿道が開放されて精液の排出時にもあまり支障が
ない。

【００３６】また，本発明の実施形態における伸縮スリ
−ブ１０が，Ｓ.Ｆ（Ｓａｎｉｔａｒｙ Ｆｉｎｓｈｅ
ｄ）マ−クを獲得した天然ゴムラテックス１種１号を材
質として製造されるので，人体に無害である。さらに，
医薬品として製造が許可された製品を併用する潤滑用ジ
ェルに使用することによって，人体に対する安全性を確
保することができる。

【００３７】

【発明の効果】以上説明したように，本発明は，海綿体
器官に発達不良という身体的な欠陥や疾病，老化による
機能的な障害がある場合，海綿体器官の障害を治癒し，
また，海綿体器官の機能を鍛錬するために，吸入器を利
用して在宅治療法を遂行する場合に用いられる補助器具
としての海綿体器官の鍛錬器具を提供する。

【００３８】本発明によれば，伸縮スリ−ブの環部分が
海綿体器官の広範囲な部分にわたり作用するので，海綿
体器官の充血膨張後，海綿体器官が局所的に圧迫され，
海綿体器官の組織が部分的に損傷することがない。さら
に，伸縮スリーブにより吸入器をはずしても血行がすぐ
には逆流しないため，海綿体器官がすぐ収縮してしまう
ことを防ぐことができる。従って，海綿体の充血膨張
後，本発明の海綿体器官の鍛錬器具を着用したままの状
態での性行為が可能であり，性行為の補助器具として使
えるという利点もある。その際，効果的に尿道が開放さ
れるため精液の排出時にもあまり支障がない。また，本
発明の伸縮スリ−ブは天然ゴムラテックスを材質として
製造されるので，人体に無害である。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の実施形態に係る海綿体器官の鍛錬器
具の斜視図である。

【図２】 海綿体器官の鍛錬器具を構成する円筒形の伸
縮スリ−ブ内に埋入される補強体の斜視図である。

【図３】 本発明の実施形態に係る海綿体器官の鍛錬器
具の縦断面図である。

【図４】 本発明の実施形態に係る海綿体器官の鍛錬器
具の横断面図である。

【図５】 本発明の実施形態に係る海綿体器官の鍛錬器
具の使用状態を例示する図である。

【符号の説明】

１０ 伸縮スリ−ブ １２ ネック部分 １４ 環部分 １６ 補強体 １８ 結束帯 ２２ タグ ３２ 吸入管 ３４ 吸入器

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) A61F 5/41 A61H 7/00 A61H 19/00

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 一側の閉鎖端部が真空ポンプと連通し他
   側の開放端部が海綿体器官の基部に配置される吸入管を
   有する吸入器に装着可能な海綿体器官の鍛錬器具におい
   て； 弾力性を有する素材から作られ，前記海綿体器官の基部
   に装着可能な略円筒形の伸縮スリーブと； 前記伸縮スリーブと一体形成されるネック部分と； 前記ネック部分の端部に一体形成され，前記吸入管の前
   記開放端部に装着可能な環部分と； 前記伸縮スリーブの長手方向に延長しており，前記伸縮
   スリーブの内部に埋入されて環状に配列される複数の補
   強体と； を有し， 前記補強体は先端側で結束帯により結束されている こと
   を特徴とする，海綿体器官の鍛錬器具。
2. 【請求項２】 前記結束帯は，前記結束帯の一部分が断
   切された断切部を有することを特徴とする，請求項１に
   記載の海綿体器官の鍛錬器具。
3. 【請求項３】 前記環部分の外側にタグが形成されるこ
   とを特徴とする，請求項１又は２のいずれかに記載の海
   綿体器官の鍛錬器具。