JP3506773B2 - 光学デバイス及びその製造方法および光学デバイス製造方法に用いる転写用の型 - Google Patents
光学デバイス及びその製造方法および光学デバイス製造方法に用いる転写用の型Info
- Publication number
- JP3506773B2 JP3506773B2 JP15382294A JP15382294A JP3506773B2 JP 3506773 B2 JP3506773 B2 JP 3506773B2 JP 15382294 A JP15382294 A JP 15382294A JP 15382294 A JP15382294 A JP 15382294A JP 3506773 B2 JP3506773 B2 JP 3506773B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- transfer
- surface shape
- shape
- bell
- optical device
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は光学デバイス及びその
製造方法および光学デバイス製造方法に用いる転写用の
型に関する。
製造方法および光学デバイス製造方法に用いる転写用の
型に関する。
【0002】
【従来の技術】レンズやミラーに、非球面に代表される
特殊な面形状が使用されるようになってきている。非球
面のような特殊な面形状は、機械的な研磨で創成するこ
とが容易ではなく、通常は型を用いた成形加工により作
製が行われる場合が多い。
特殊な面形状が使用されるようになってきている。非球
面のような特殊な面形状は、機械的な研磨で創成するこ
とが容易ではなく、通常は型を用いた成形加工により作
製が行われる場合が多い。
【0003】このため、例えば、非球面の屈折面を持つ
レンズなどは、その殆どがプラスチック材料を用いたプ
ラスチック成形品として作製されており、材料選択の余
地が少ない点が問題となっている。
レンズなどは、その殆どがプラスチック材料を用いたプ
ラスチック成形品として作製されており、材料選択の余
地が少ない点が問題となっている。
【0004】所望の面形状を、型を用いてガラス表面に
創成する技術としては「ガラスプレス法」が知られてい
るが、使用される型は、ガラスに成形する際の高温(6
50度以上)・高圧に耐えねばならず、高温下での酸化
に対する耐性も必要である。このため、型の材料は特殊
な金属やセラミックスに限定される。
創成する技術としては「ガラスプレス法」が知られてい
るが、使用される型は、ガラスに成形する際の高温(6
50度以上)・高圧に耐えねばならず、高温下での酸化
に対する耐性も必要である。このため、型の材料は特殊
な金属やセラミックスに限定される。
【0005】しかしこのような特殊な材料は型の加工が
非常に難しく、その上、耐酸化性を付加するためには、
型の表面にSi3N4,SiC,Au,Pt等の薄膜を形
成する必要がある。
非常に難しく、その上、耐酸化性を付加するためには、
型の表面にSi3N4,SiC,Au,Pt等の薄膜を形
成する必要がある。
【0006】このため、ガラスプレス法に用いられる
「型」は、コストが高く、しかも高温・高圧下で使用さ
れるため、材料を選択するにも拘らず、「型としての寿
命」はさほど長くない。
「型」は、コストが高く、しかも高温・高圧下で使用さ
れるため、材料を選択するにも拘らず、「型としての寿
命」はさほど長くない。
【0007】一方、屈折面や反射面を型成形や研磨によ
らずに創成する方法として、光学材料の表面にフォトレ
ジストの層を形成し、この層を例えば、円形や楕円形に
パターニングし、その後、上記層を加熱して、フォトレ
ジストの熱流動によりフォトレジストの表面を曲面形状
化し、しかるのちにフォトレジストと光学材料とに対し
てエッチングを行い、フォトレジスト表面の曲面形状を
光学材料に彫り写すという方法が提案されている(例え
ば、特開平5−173003号公報:請求項16)。
らずに創成する方法として、光学材料の表面にフォトレ
ジストの層を形成し、この層を例えば、円形や楕円形に
パターニングし、その後、上記層を加熱して、フォトレ
ジストの熱流動によりフォトレジストの表面を曲面形状
化し、しかるのちにフォトレジストと光学材料とに対し
てエッチングを行い、フォトレジスト表面の曲面形状を
光学材料に彫り写すという方法が提案されている(例え
ば、特開平5−173003号公報:請求項16)。
【0008】この方法は、マイクロレンズの屈折面形成
方法として適しているが、加熱に依りフォトレジスト表
面に生成する表面形状の制御が必ずしも容易でなく、意
図した通りの曲面を正確に形成することが難しい。
方法として適しているが、加熱に依りフォトレジスト表
面に生成する表面形状の制御が必ずしも容易でなく、意
図した通りの曲面を正確に形成することが難しい。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】この発明は上述した事
情に鑑みてなされたものであって、所望の表面形状を正
確に有する新規な光学デバイスの提供を目的とする(請
求項7)。
情に鑑みてなされたものであって、所望の表面形状を正
確に有する新規な光学デバイスの提供を目的とする(請
求項7)。
【0010】この発明の別の目的は、上記光学デバイス
を容易且つ確実に製造でき、光学デバイスの材料に対す
る制限が少ない、新規な光学デバイス製造方法の提供に
ある(請求項1〜5)。
を容易且つ確実に製造でき、光学デバイスの材料に対す
る制限が少ない、新規な光学デバイス製造方法の提供に
ある(請求項1〜5)。
【0011】この発明の他の目的は、上記光学デバイス
製造方法に用いる転写型の提供にある(請求項6)。
製造方法に用いる転写型の提供にある(請求項6)。
【0012】
【課題を解決するための手段】この発明の「光学デバイ
ス製造方法」は、「所定の凸曲面形状を有する回転対称
形状のデバイス材料の上記凸曲面形状の上に、所定の表
面形状を参照面形状として持つ転写材料層を、転写型に
よる面形状転写により形成し、転写材料層表面の参照面
形状を出発形状とし、転写材料層とデバイス材料とに対
して物理的エッチングを行い、所望の面形状をデバイス
材料に形成する光学デバイス製造方法」であって、以下
の点を特徴とする。
ス製造方法」は、「所定の凸曲面形状を有する回転対称
形状のデバイス材料の上記凸曲面形状の上に、所定の表
面形状を参照面形状として持つ転写材料層を、転写型に
よる面形状転写により形成し、転写材料層表面の参照面
形状を出発形状とし、転写材料層とデバイス材料とに対
して物理的エッチングを行い、所望の面形状をデバイス
材料に形成する光学デバイス製造方法」であって、以下
の点を特徴とする。
【0013】即ち、「鉛直方向の軸の回りに回転可能な
第1のベルホルダー」のベルの中央部に、転写型を、そ
の転写面形状の対称軸が上記鉛直方向の軸と合致するよ
う設け、転写面部分に転写材料を保持させ、転写材料を
介して転写型と逆の側にデバイス材料をセットする。
第1のベルホルダー」のベルの中央部に、転写型を、そ
の転写面形状の対称軸が上記鉛直方向の軸と合致するよ
う設け、転写面部分に転写材料を保持させ、転写材料を
介して転写型と逆の側にデバイス材料をセットする。
【0014】「第1のベルホルダーの回転軸と共通の軸
の回りに回転可能な第2のベルホルダー」のベル部によ
り、デバイス材料を半クランプ状態で緩く規制し、第1
および第2のベルホルダーを上記共通の軸の回りに回転
させつつ、第1および第2のベルホルダーの間隔を狭め
ることにより、転写型の対称軸とデバイス材料の回転対
称軸とを合致させる。
の回りに回転可能な第2のベルホルダー」のベル部によ
り、デバイス材料を半クランプ状態で緩く規制し、第1
および第2のベルホルダーを上記共通の軸の回りに回転
させつつ、第1および第2のベルホルダーの間隔を狭め
ることにより、転写型の対称軸とデバイス材料の回転対
称軸とを合致させる。
【0015】しかるのちに転写型とデバイス材料とを完
全にクランプさせ、その状態において転写材料を固化さ
せて面形状転写を行うのである。
全にクランプさせ、その状態において転写材料を固化さ
せて面形状転写を行うのである。
【0016】「デバイス材料」は、形状的には回転対称
形状であり、回転対称形状としては「球形状」や「レン
ズ形状」等、種々の形状が可能である。また、デバイス
材料は、材質的には、物理的エッチングが可能な物であ
れば特に制限無く用いることができる。
形状であり、回転対称形状としては「球形状」や「レン
ズ形状」等、種々の形状が可能である。また、デバイス
材料は、材質的には、物理的エッチングが可能な物であ
れば特に制限無く用いることができる。
【0017】また、上記「転写材料」は、転写型を用い
た面形状転写が可能で、且つ物理的エッチングを行うこ
とができるものであればよい。例えば「光硬化性材料も
しくは熱硬化性材料」は特に好適である。
た面形状転写が可能で、且つ物理的エッチングを行うこ
とができるものであればよい。例えば「光硬化性材料も
しくは熱硬化性材料」は特に好適である。
【0018】「光硬化性材料」としては、エポキシ系樹
脂やアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、変形シリコーン
系樹脂、あるいは、これらをベースとした配合により構
成されるものを利用できる。特に、エポキシ系樹脂とア
クリル系樹脂を組み合わせて配合したものは、転写材と
して好適である。勿論、市販の紫外線硬化樹脂等は転写
材として好適に使用できる。
脂やアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、変形シリコーン
系樹脂、あるいは、これらをベースとした配合により構
成されるものを利用できる。特に、エポキシ系樹脂とア
クリル系樹脂を組み合わせて配合したものは、転写材と
して好適である。勿論、市販の紫外線硬化樹脂等は転写
材として好適に使用できる。
【0019】「熱硬化性材料」としては、エポキシ樹脂
やフェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂等、ある
いは、市販の各種レジスト材料を利用することができ
る。これらは200度以下という低温で硬化するので、
転写型として、特殊な耐熱性のものを用いる必要が無
い。
やフェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂等、ある
いは、市販の各種レジスト材料を利用することができ
る。これらは200度以下という低温で硬化するので、
転写型として、特殊な耐熱性のものを用いる必要が無
い。
【0020】「物理的エッチング」としては、RIB
E、RIEまたはECRプラズマエッチング等のドライ
エッチングが好ましい。
E、RIEまたはECRプラズマエッチング等のドライ
エッチングが好ましい。
【0021】面形状転写により転写材の表面形状として
形成される「参照面」の形状は、デバイス材料の表面形
状と曲率の異なる球面形状としてもよいし、参照面形状
自体を非球面としてもよい。
形成される「参照面」の形状は、デバイス材料の表面形
状と曲率の異なる球面形状としてもよいし、参照面形状
自体を非球面としてもよい。
【0022】参照面として非球面形状を形成し、転写材
料層とデバイス材料とに対して、選択比を一定として物
理的エッチングを行うことができる(請求項2)。
料層とデバイス材料とに対して、選択比を一定として物
理的エッチングを行うことができる(請求項2)。
【0023】この場合、選択比を1とすると、参照面の
非球面形状を合同的にデバイス材料表面に彫り写すこと
ができるし、選択比を1から異ならせることにより、参
照面の非球面形状をさらに変形してデバイス材料表面に
彫り写すことが可能である。
非球面形状を合同的にデバイス材料表面に彫り写すこと
ができるし、選択比を1から異ならせることにより、参
照面の非球面形状をさらに変形してデバイス材料表面に
彫り写すことが可能である。
【0024】あるいはまた、参照面として「球面」を形
成し、転写材料層とデバイス材料とに対して行われる物
理的エッチングにおける選択比を、1から異ならせる
か、もしくは段階的および/または連続的に変化させる
ことができる(請求項3)。
成し、転写材料層とデバイス材料とに対して行われる物
理的エッチングにおける選択比を、1から異ならせる
か、もしくは段階的および/または連続的に変化させる
ことができる(請求項3)。
【0025】この場合、選択比を段階的および/または
連続的に変化させることにより、デバイス材料の表面形
状として「非球面形状」を形成できる。
連続的に変化させることにより、デバイス材料の表面形
状として「非球面形状」を形成できる。
【0026】デバイス材料の表面形状と、参照面形状で
ある球面との関係に応じて、選択比の変化を制御するこ
とにより、デバイス材料に所望の表面形状を形成でき
る。
ある球面との関係に応じて、選択比の変化を制御するこ
とにより、デバイス材料に所望の表面形状を形成でき
る。
【0027】前述の如く、デバイス材料の回転対称形状
としては、「球形状」や「レンズ形状」等、種々の形状
が可能である。これら球形状やレンズ形状のデバイス材
料は、作製するべき光学デバイスに応じて透明もしくは
不透明でありうるが、デバイス材料を、透明な材料によ
る「透明球体」とすることができ(請求項4)、あるい
は「レンズ形状の透明体」とすることができる(請求項
5)。
としては、「球形状」や「レンズ形状」等、種々の形状
が可能である。これら球形状やレンズ形状のデバイス材
料は、作製するべき光学デバイスに応じて透明もしくは
不透明でありうるが、デバイス材料を、透明な材料によ
る「透明球体」とすることができ(請求項4)、あるい
は「レンズ形状の透明体」とすることができる(請求項
5)。
【0028】この発明の「光学デバイス」は、上記請求
項1〜5記載の方法の任意の1により製造される光学デ
バイスである(請求項7)。デバイス材料として、請求
項4,5記載の発明のように「透明な材料」を用いれ
ば、光学デバイスを、球面および/または非球面を屈折
面として有する「レンズ」として実現できる。
項1〜5記載の方法の任意の1により製造される光学デ
バイスである(請求項7)。デバイス材料として、請求
項4,5記載の発明のように「透明な材料」を用いれ
ば、光学デバイスを、球面および/または非球面を屈折
面として有する「レンズ」として実現できる。
【0029】また、金属やセラミックスのような「不透
明なデバイス材料」を用いる場合には、球面や非球面を
反射面(必要に応じて、反射膜として成膜形成される)
として持つ反射光学素子として実現することもできる。
明なデバイス材料」を用いる場合には、球面や非球面を
反射面(必要に応じて、反射膜として成膜形成される)
として持つ反射光学素子として実現することもできる。
【0030】この発明の「転写型」は、上記請求項1〜
5記載の光学デバイス製造方法の任意の1において用い
られる転写用の型であって、「凸球面もしくは凸の非球
面を有する原型に電鋳を行って作成された、凹の球面も
しくは非球面を転写面形状として有する転写型」である
(請求項6)。
5記載の光学デバイス製造方法の任意の1において用い
られる転写用の型であって、「凸球面もしくは凸の非球
面を有する原型に電鋳を行って作成された、凹の球面も
しくは非球面を転写面形状として有する転写型」である
(請求項6)。
【0031】
【作用】図1は、この発明の光学デバイス製造方法にお
ける特徴部分、即ち、「転写材料を保持した転写型とデ
バイス材料とを、第1および第2のベルホルダーで緩く
クランプした状態において、これらを、転写型の対称軸
と第1および第2のベルホルダーの共通の回転軸とを一
致させて回転させ、クランプの度合いを強めることによ
り、転写型の対称軸とデバイス材料の回転対称軸とを合
致させ、しかるのちに転写型とデバイス材料とを完全に
クランプさせ、その状態において転写材料を固化させて
面形状転写を行う」プロセスを、説明図的に示してい
る。
ける特徴部分、即ち、「転写材料を保持した転写型とデ
バイス材料とを、第1および第2のベルホルダーで緩く
クランプした状態において、これらを、転写型の対称軸
と第1および第2のベルホルダーの共通の回転軸とを一
致させて回転させ、クランプの度合いを強めることによ
り、転写型の対称軸とデバイス材料の回転対称軸とを合
致させ、しかるのちに転写型とデバイス材料とを完全に
クランプさせ、その状態において転写材料を固化させて
面形状転写を行う」プロセスを、説明図的に示してい
る。
【0032】図1(a)において、符号1はデバイス材
料を示している。説明の具体性のため、デバイス材料1
は例えばガラス材料等の透明な材料で形成されているも
のとする。
料を示している。説明の具体性のため、デバイス材料1
は例えばガラス材料等の透明な材料で形成されているも
のとする。
【0033】デバイス材料1は、軸SAに関して回転対
称である。軸SAは、デバイス材料1が光学デバイスに
形成された状態における「光軸」と合致している。
称である。軸SAは、デバイス材料1が光学デバイスに
形成された状態における「光軸」と合致している。
【0034】図1(a)において、符号2で示す転写型
は、鉛直方向の軸LAの回りに回転可能な第1のベルホ
ルダーのベル11の中央部に埋設されている。ベル11
に保持された転写型2は回転対称な転写面形状2Aを持
ち、その回転対称軸は上記鉛直方向の軸LAと合致して
いる。
は、鉛直方向の軸LAの回りに回転可能な第1のベルホ
ルダーのベル11の中央部に埋設されている。ベル11
に保持された転写型2は回転対称な転写面形状2Aを持
ち、その回転対称軸は上記鉛直方向の軸LAと合致して
いる。
【0035】図1(a)は、転写型2の転写面部分に転
写材料3を保持させ、転写材料3を介して転写型2と逆
の側に、デバイス材料1をセットしようとしている状態
を示している。
写材料3を保持させ、転写材料3を介して転写型2と逆
の側に、デバイス材料1をセットしようとしている状態
を示している。
【0036】図1(b)は、デバイス材料1を転写材料
3の上にセットし、第1のベルホルダーの回転軸LAと
共通の軸の回りに回転可能な第2のベルホルダー13の
ベル部により、デバイス材料1を半クランプ状態で緩く
規制した状態を示している。この状態では、転写型2に
おける転写面形状2Aの対称軸(回転軸LA合致してい
る)と、デバイス材料1の回転対称軸SAとは合致して
いない。
3の上にセットし、第1のベルホルダーの回転軸LAと
共通の軸の回りに回転可能な第2のベルホルダー13の
ベル部により、デバイス材料1を半クランプ状態で緩く
規制した状態を示している。この状態では、転写型2に
おける転写面形状2Aの対称軸(回転軸LA合致してい
る)と、デバイス材料1の回転対称軸SAとは合致して
いない。
【0037】この状態において、第1および第2のベル
ホルダーを、共通の軸LAの回りに毎分数100回転程
度で低速回転させつつ、第2のベルホルダー13を次第
に降下させ、第1および第2のベルホルダーの間隔を狭
めていく。
ホルダーを、共通の軸LAの回りに毎分数100回転程
度で低速回転させつつ、第2のベルホルダー13を次第
に降下させ、第1および第2のベルホルダーの間隔を狭
めていく。
【0038】第1および第2のベルホルダーが上記の如
く回転すると、セットされたデバイス材料1も一緒に回
転し、回転に伴う遠心力の作用により変位しようとす
る。
く回転すると、セットされたデバイス材料1も一緒に回
転し、回転に伴う遠心力の作用により変位しようとす
る。
【0039】しかし、デバイス材料1は第1のベルホル
ダーのベル11内の転写型2の転写面形状2A上に転写
材料3を介してセットされ、反対側の面は第2のベルホ
ルダー13に緩く規制されているので、上記遠心力によ
る変位も規制される。
ダーのベル11内の転写型2の転写面形状2A上に転写
材料3を介してセットされ、反対側の面は第2のベルホ
ルダー13に緩く規制されているので、上記遠心力によ
る変位も規制される。
【0040】第1および第2のベルホルダーが次第に間
隔を狭めるに従い、デバイス材料1の態位は、その回転
対称軸SAが次第に軸LAに近づくように変化し、終に
はデバイス材料1の回転対称軸SAと転写型2の転写面
形状の回転対称軸LAとが合致するに到る(図1
(c))。
隔を狭めるに従い、デバイス材料1の態位は、その回転
対称軸SAが次第に軸LAに近づくように変化し、終に
はデバイス材料1の回転対称軸SAと転写型2の転写面
形状の回転対称軸LAとが合致するに到る(図1
(c))。
【0041】また、軸LAが鉛直方向であるため重力は
回転軸方向に作用し、転写材料3は、重力および遠心力
と、転写面2Aとデバイス材料1の表面エネルギーとに
より、回転軸LAの回りに回転対称的に分布する。
回転軸方向に作用し、転写材料3は、重力および遠心力
と、転写面2Aとデバイス材料1の表面エネルギーとに
より、回転軸LAの回りに回転対称的に分布する。
【0042】この状態において、第2のベルホルダー1
3をさらに降下させ、転写型2とデバイス材料1とを完
全にクランプさせる(図1(d))。なお、ベル11に
切欠き部を設け、余剰の転写材量がベル11の外側へオ
ーバーフローするようにしてもよいし、予め計量した一
定料の転写材料を保持させて、上記オーバーフローが生
じないようにしてもよい。
3をさらに降下させ、転写型2とデバイス材料1とを完
全にクランプさせる(図1(d))。なお、ベル11に
切欠き部を設け、余剰の転写材量がベル11の外側へオ
ーバーフローするようにしてもよいし、予め計量した一
定料の転写材料を保持させて、上記オーバーフローが生
じないようにしてもよい。
【0043】この状態で転写材料3を固化させ、「面形
状転写」を行う。図に示されているのは転写材料3が
「紫外線硬化樹脂」の場合であり、第2のベルホルダー
13を取り除けて、デバイス材料1(透明である)を介
して紫外光U.Vを照射して転写材料3の固化を行って
いる。
状転写」を行う。図に示されているのは転写材料3が
「紫外線硬化樹脂」の場合であり、第2のベルホルダー
13を取り除けて、デバイス材料1(透明である)を介
して紫外光U.Vを照射して転写材料3の固化を行って
いる。
【0044】転写材料3が「熱硬化性材料」の場合に
は、高周波誘導加熱や赤外線ランプまたはオ−ブンで加
熱して硬化させればよい。
は、高周波誘導加熱や赤外線ランプまたはオ−ブンで加
熱して硬化させればよい。
【0045】次に、転写材料3と転写型2との間を分離
する。
する。
【0046】なお、第1,第2のベルホルダーの上下関
係は、図1の例では第1のベルホルダーが下方である
が、転写材料3の粘度が高い場合には、第1のベルホル
ダーを上にしても良い。
係は、図1の例では第1のベルホルダーが下方である
が、転写材料3の粘度が高い場合には、第1のベルホル
ダーを上にしても良い。
【0047】転写型2に形成する転写面形状2Aは「球
面」でも良いし、「非球面形状」でも良い。第1のベル
ホルダーのベル11と転写型2の転写面形状2Aとは、
予め計算で求めた位置関係を有している。従って、転写
型2と第1のベルホルダーとは始めから一体で加工する
のが望ましい。
面」でも良いし、「非球面形状」でも良い。第1のベル
ホルダーのベル11と転写型2の転写面形状2Aとは、
予め計算で求めた位置関係を有している。従って、転写
型2と第1のベルホルダーとは始めから一体で加工する
のが望ましい。
【0048】また、転写型2の転写面形状2Aの表面に
は、固化後の転写材料3との離型を容易ならしむるた
め、撥水処理等の離型処理を施すのが良い。
は、固化後の転写材料3との離型を容易ならしむるた
め、撥水処理等の離型処理を施すのが良い。
【0049】図2は、デバイス材料の所定の凸曲面上
に、所定の表面形状を参照面形状として持つ転写材料3
の層を、図1に即して説明した「転写型による面形状転
写」により形成した代表的な例を、2例示している。
に、所定の表面形状を参照面形状として持つ転写材料3
の層を、図1に即して説明した「転写型による面形状転
写」により形成した代表的な例を、2例示している。
【0050】図2(a)は、「両凸レンズ形状」の透明
なデバイス材料1A(請求項5)に「非球面形状」の参
照面を持つ転写材料3の層を形成した例を示し、(b)
は、透明球体1B(請求項4)に、球体自体の曲率半径
よりも大きい曲率半径を持つ「凸球面形状」を参照面と
して持つ転写材料3の層を形成した例を示している。
なデバイス材料1A(請求項5)に「非球面形状」の参
照面を持つ転写材料3の層を形成した例を示し、(b)
は、透明球体1B(請求項4)に、球体自体の曲率半径
よりも大きい曲率半径を持つ「凸球面形状」を参照面と
して持つ転写材料3の層を形成した例を示している。
【0051】重要なことは、転写材料3の層を形成する
際に、転写型に於ける転写面形状の軸と、デバイス材料
の回転対称軸とが合わせられているため、参照面形状に
おける回転対称軸とデバイス材料の回転対称軸とが一致
していることである。
際に、転写型に於ける転写面形状の軸と、デバイス材料
の回転対称軸とが合わせられているため、参照面形状に
おける回転対称軸とデバイス材料の回転対称軸とが一致
していることである。
【0052】図2(a),(b)の状態を出発状態とし
て、転写材料3とデバイス材料1A,1Bとに対し、物
理的エッチングを行うと、それぞれ図3(a),(b)
に示すように、デバイス材料1A,1Bの表面に、参照
面形状に対応した表面形状を形成することができる。
て、転写材料3とデバイス材料1A,1Bとに対し、物
理的エッチングを行うと、それぞれ図3(a),(b)
に示すように、デバイス材料1A,1Bの表面に、参照
面形状に対応した表面形状を形成することができる。
【0053】図3(a),(b)に示す例は、図2
(a),(b)を出発状態とし、「選択比:1」で異方
性の物理的エッチングを行った場合を示しており、デバ
イス材料1A,1Bには、転写材料3の層の有していた
参照面形状が、そのまま合同的に彫り写されている。
(a),(b)を出発状態とし、「選択比:1」で異方
性の物理的エッチングを行った場合を示しており、デバ
イス材料1A,1Bには、転写材料3の層の有していた
参照面形状が、そのまま合同的に彫り写されている。
【0054】しかし、図2(a),(b)の参照面形状
を出発状態としても、選択比を1から異ならせれば、デ
バイス材料1A,1Bの表面に形状される形状は、上記
参照面形状とは異なった形状となることは言うまでもな
い。
を出発状態としても、選択比を1から異ならせれば、デ
バイス材料1A,1Bの表面に形状される形状は、上記
参照面形状とは異なった形状となることは言うまでもな
い。
【0055】さらに、図2(b)のように、参照面形状
が凸球面である場合にも、物理的エッチングの過程にお
いて選択比を「段階的および/または連続的に変化させ
る」ことによって、デバイス材料の表面に「所望の非球
面形状」を形成することが可能である。
が凸球面である場合にも、物理的エッチングの過程にお
いて選択比を「段階的および/または連続的に変化させ
る」ことによって、デバイス材料の表面に「所望の非球
面形状」を形成することが可能である。
【0056】なお、選択比を変化させることは、ドライ
エッチングにおいては、反応室内圧力、導入ガス種、被
エッチング材の温度等の変更により容易に可能である。
エッチングにおいては、反応室内圧力、導入ガス種、被
エッチング材の温度等の変更により容易に可能である。
【0057】ここで、「1と異なる選択比」で物理的エ
ッチングを行う場合のエッチングの作用を、図2(b)
の参照面形状(凸球面形状)を出発状態とする例に就い
て、簡単に説明する。
ッチングを行う場合のエッチングの作用を、図2(b)
の参照面形状(凸球面形状)を出発状態とする例に就い
て、簡単に説明する。
【0058】図2(b)の場合の参照面形状を出発形状
として物理的エッチングを行うと、透明球体1Bの表面
には転写材料3が積設されているので、当初は選択比に
関係無く転写材料3のみに侵刻が進行し、しばらくする
と転写材料3の侵刻により、透明球体1Bの表面が露呈
された状態になる。図4(a)は、上記のように、透明
球体1の頂部が露呈した状態を模式的に示している。
として物理的エッチングを行うと、透明球体1Bの表面
には転写材料3が積設されているので、当初は選択比に
関係無く転写材料3のみに侵刻が進行し、しばらくする
と転写材料3の侵刻により、透明球体1Bの表面が露呈
された状態になる。図4(a)は、上記のように、透明
球体1の頂部が露呈した状態を模式的に示している。
【0059】説明を分かり易くするために、透明球体1
Bの表面および転写材料3の表面の球面形状を「階段
状」に示している。この「表面形状を表す階段」の段差
の大小が表面形状の曲率の大小に対応する。
Bの表面および転写材料3の表面の球面形状を「階段
状」に示している。この「表面形状を表す階段」の段差
の大小が表面形状の曲率の大小に対応する。
【0060】図4(a)において、転写材料3の表面形
状の連続した傾きを表す「階段」の段差が、透明球体1
の表面の連続した傾きを表す「階段」の段差よりも小さ
いことは、転写材料3の表面の曲率が、透明球体1の表
面の曲率よりも小さいことを示している。
状の連続した傾きを表す「階段」の段差が、透明球体1
の表面の連続した傾きを表す「階段」の段差よりも小さ
いことは、転写材料3の表面の曲率が、透明球体1の表
面の曲率よりも小さいことを示している。
【0061】図4は、選択比を0.5として、異方性の
物理的エッチングを行ったときの侵刻の進行状況を経時
的に示したものであり、時間の進行と共に、エッチング
による侵刻状況は、図4の(a)から(d)へと順次進
行する。
物理的エッチングを行ったときの侵刻の進行状況を経時
的に示したものであり、時間の進行と共に、エッチング
による侵刻状況は、図4の(a)から(d)へと順次進
行する。
【0062】なお、図4における符号20は、物理的エ
ッチングが行われる際、デバイス材料を支持する治具を
示す。
ッチングが行われる際、デバイス材料を支持する治具を
示す。
【0063】選択比が0.5であるため、転写材料3は
透明球体1Bの2倍の速さで侵刻され、透明球体1の頂
部と、図の右端における転写材料3の表面との「高さの
差」は、当初:ΔH(図4(a))であったものが、時
間と共に次第に拡大し、図4(d)の状態においては当
初の1.3倍に拡大している。
透明球体1Bの2倍の速さで侵刻され、透明球体1の頂
部と、図の右端における転写材料3の表面との「高さの
差」は、当初:ΔH(図4(a))であったものが、時
間と共に次第に拡大し、図4(d)の状態においては当
初の1.3倍に拡大している。
【0064】このことは、物理的エッチングにより透明
球体1Bに形成された曲面形状の曲率が、当初、透明球
体1Bの表面を覆っていた転写材料3の表面の曲率より
も大きくなることを意味する。
球体1Bに形成された曲面形状の曲率が、当初、透明球
体1Bの表面を覆っていた転写材料3の表面の曲率より
も大きくなることを意味する。
【0065】即ち、「1より小さい選択比」は、透明球
体1Bに形成される曲面の曲率を、「参照面形状の曲
率」よりも大きくするように作用する。
体1Bに形成される曲面の曲率を、「参照面形状の曲
率」よりも大きくするように作用する。
【0066】図5は、選択比を1.5として、異方性エ
ッチングを行ったときの侵刻の進行状況を図4に倣って
経時的に示したものであり、エッチングによる侵刻状況
は、時間の進行と共に図5の(a)から(d)へと順次
進行する。
ッチングを行ったときの侵刻の進行状況を図4に倣って
経時的に示したものであり、エッチングによる侵刻状況
は、時間の進行と共に図5の(a)から(d)へと順次
進行する。
【0067】透明球体1Bは転写材料3の1.5倍の速
さで侵刻されるから、透明球体1Bの頂部と、図の右端
における転写材料3の表面との「高さの差」は、当初:
ΔHであったものが、時間と共に次第に縮小し、図5
(d)の状態においては、当初の0.7倍に縮小してい
る。
さで侵刻されるから、透明球体1Bの頂部と、図の右端
における転写材料3の表面との「高さの差」は、当初:
ΔHであったものが、時間と共に次第に縮小し、図5
(d)の状態においては、当初の0.7倍に縮小してい
る。
【0068】このことは、物理的エッチングにより透明
球体1Bに形成された曲面形状の曲率が、当初、透明球
体1Bの表面を覆っていた固化した転写材料3の表面の
曲率よりも小さくなることを意味する。
球体1Bに形成された曲面形状の曲率が、当初、透明球
体1Bの表面を覆っていた固化した転写材料3の表面の
曲率よりも小さくなることを意味する。
【0069】即ち、「1より大きい選択比」は、透明球
体1Bに形成される曲面の曲率を、「参照面形状の曲
率」よりも小さくするように作用する。
体1Bに形成される曲面の曲率を、「参照面形状の曲
率」よりも小さくするように作用する。
【0070】上には、デバイス材料の凸球面の曲率半径
よりも、参照面形状の曲率半径が大きい場合を説明した
が、曲率半径の大小が逆の場合も同様である。
よりも、参照面形状の曲率半径が大きい場合を説明した
が、曲率半径の大小が逆の場合も同様である。
【0071】従って、選択比を経時的に段階的および/
または連続的に変化させると、出発形状である参照面形
状が凸球面形状であっても、デバイス材料に非球面を形
成でき、選択比の制御により、形成される表面形状を所
望の非球面形状とすることができるのである。
または連続的に変化させると、出発形状である参照面形
状が凸球面形状であっても、デバイス材料に非球面を形
成でき、選択比の制御により、形成される表面形状を所
望の非球面形状とすることができるのである。
【0072】参照面形状を出発形状として、所望の曲面
形状を得るように「選択比を制御する」ことは「コンピ
ュータ制御」で実現することができる。
形状を得るように「選択比を制御する」ことは「コンピ
ュータ制御」で実現することができる。
【0073】例えば、図2(b)おける転写材料3の表
面形状を「出発形状」として、所望の非球面形状を「目
的形状」として実現したい場合であれば、1例として以
下のような手順で進むのである。
面形状を「出発形状」として、所望の非球面形状を「目
的形状」として実現したい場合であれば、1例として以
下のような手順で進むのである。
【0074】先ず、選択比を制御するためのパラメータ
を定め、上記出発形状から目的形状を得るために、上記
パラメータをどのように制御すべきかを「コンピュータ
シミュレーション」する。
を定め、上記出発形状から目的形状を得るために、上記
パラメータをどのように制御すべきかを「コンピュータ
シミュレーション」する。
【0075】即ち、上記パラメータの種々の時間的変化
に応じて、デバイス材料の面形状がどのように変化する
かを調べ、出発形状から目的形状に到る面形状変化を、
シミュレーションにより追跡しつつ、どのような選択比
制御が最も適しているかを調べる。
に応じて、デバイス材料の面形状がどのように変化する
かを調べ、出発形状から目的形状に到る面形状変化を、
シミュレーションにより追跡しつつ、どのような選択比
制御が最も適しているかを調べる。
【0076】次に、このようにして得られた選択比の時
間的な変化を、実際にパラメータの変化で実現しつつ実
験を行い、制御の様子を補正して、実際に出発形状から
目的形状を得られるような制御条件を決定する。
間的な変化を、実際にパラメータの変化で実現しつつ実
験を行い、制御の様子を補正して、実際に出発形状から
目的形状を得られるような制御条件を決定する。
【0077】このようにして決定された制御条件をプロ
グラム化し、実際のエッチング装置における「選択比制
御」をプログラム制御すれば良いのである。
グラム化し、実際のエッチング装置における「選択比制
御」をプログラム制御すれば良いのである。
【0078】物理的エッチングは、化学エッチングに比
して制御が容易であり、しかも同一の出発形状に対し、
選択比の制御を同一にすれば、常に同一の目的形状が得
られる。即ち、物理的エッチングは再現性に優れてい
る。
して制御が容易であり、しかも同一の出発形状に対し、
選択比の制御を同一にすれば、常に同一の目的形状が得
られる。即ち、物理的エッチングは再現性に優れてい
る。
【0079】なお、デバイス材料に目的の曲面形状が得
られた状態において、デバイス材料表面の、光学デバイ
スとしての有効径の外側の表面部分に、転写材料が残っ
ている場合もある。
られた状態において、デバイス材料表面の、光学デバイ
スとしての有効径の外側の表面部分に、転写材料が残っ
ている場合もある。
【0080】この場合の残留転写材料は、洗浄等の手段
で除去しても良いし、あるいは、予め遮光性の材料を転
写材料として選択して用いれば、残留転写材料自体を、
光学デバイスに対するアパーチュア手段として利用する
こともできる。
で除去しても良いし、あるいは、予め遮光性の材料を転
写材料として選択して用いれば、残留転写材料自体を、
光学デバイスに対するアパーチュア手段として利用する
こともできる。
【0081】場合によっては、転写材に転写された凹曲
面の形状が、成形型の凹球面と正確に対応しない場合も
考えられる。例えば、正確に転写されるべき凸球面の曲
率半径がrであるべきものが、実際に転写された凸球面
の曲率半径がr’であるような場合である。
面の形状が、成形型の凹球面と正確に対応しない場合も
考えられる。例えば、正確に転写されるべき凸球面の曲
率半径がrであるべきものが、実際に転写された凸球面
の曲率半径がr’であるような場合である。
【0082】このような場合であっても、もし転写材に
転写された凸球面の曲率半径が常にr’となるのであれ
ば、加工「出発形状」として参照面形状の曲率半径を
r’とすることにより、物理的エッチングにおける選択
比制御を行い、やはり所望の曲面形状をデバイス材料の
表面に形成することが可能である。
転写された凸球面の曲率半径が常にr’となるのであれ
ば、加工「出発形状」として参照面形状の曲率半径を
r’とすることにより、物理的エッチングにおける選択
比制御を行い、やはり所望の曲面形状をデバイス材料の
表面に形成することが可能である。
【0083】
【実施例】以下、具体的な実施例を説明する。
【0084】実施例1
光学デバイスとして、光通信用カプラ−レンズ(LDと
光ファイバ−の高効率結合モジュ−ル用のレンズ)を設
計した。
光ファイバ−の高効率結合モジュ−ル用のレンズ)を設
計した。
【0085】第1面(光源側):球面、第2面:非球
面、結合効率:58%、使用波長:0.83μm、最大
光線有効径(第2面側):φ1.6ミリ。
面、結合効率:58%、使用波長:0.83μm、最大
光線有効径(第2面側):φ1.6ミリ。
【0086】上記第2面の非球面形状は、周知の非球面
式: Z=(1/R)h2/{1+√[1−(K+1)(1/
R)2h2]}+Ah4+Bh6+Ch8 R:光軸上の曲率半径 h:光軸からの距離 K:円錐定数 A:4次の非球面係数 B:6次の非球面係数 C:8次の非球面係数 Z:レンズ頂点からの距離 において、 R=−1.50025 K=−0.9995306 A=−0.8403612×10~2 B= 0.2488880×10~1 C= 0.0 とした形状である。
式: Z=(1/R)h2/{1+√[1−(K+1)(1/
R)2h2]}+Ah4+Bh6+Ch8 R:光軸上の曲率半径 h:光軸からの距離 K:円錐定数 A:4次の非球面係数 B:6次の非球面係数 C:8次の非球面係数 Z:レンズ頂点からの距離 において、 R=−1.50025 K=−0.9995306 A=−0.8403612×10~2 B= 0.2488880×10~1 C= 0.0 とした形状である。
【0087】デバイス材料として、材質:SF60(波
長:0.83μmの光に対する屈折率:1.7827
8),直径:3.0mm(曲率半径:1.5mm)のボ
ールレンズ(透明球体)10を用意した(図6
(a))。
長:0.83μmの光に対する屈折率:1.7827
8),直径:3.0mm(曲率半径:1.5mm)のボ
ールレンズ(透明球体)10を用意した(図6
(a))。
【0088】このボールレンズ10を、図6(b)に示
すように、材質:SUS316による中空シリンダー状
のセル(内径:3.0ミリ)30に圧入した。
すように、材質:SUS316による中空シリンダー状
のセル(内径:3.0ミリ)30に圧入した。
【0089】一方、セル30に保持されたボールレンズ
10を、転写型に、転写材料を介してセットするとき
に、第1のベルホルダーのベルの先端部が、セル30の
底端面に接するように、ベル先端形状と先端高さとを予
め計算で決定し、第2面側の目的形状とする非球面形状
を凹凸反転した転写面形状を予め製作した転写型を、第
1のベルホルダーのベルと一体加工で超精密加工機によ
って製作した。
10を、転写型に、転写材料を介してセットするとき
に、第1のベルホルダーのベルの先端部が、セル30の
底端面に接するように、ベル先端形状と先端高さとを予
め計算で決定し、第2面側の目的形状とする非球面形状
を凹凸反転した転写面形状を予め製作した転写型を、第
1のベルホルダーのベルと一体加工で超精密加工機によ
って製作した。
【0090】セル30の底端面はセル30の軸に対して
直交しており、セル30の軸は、ボールレンズ10の中
心を通る。
直交しており、セル30の軸は、ボールレンズ10の中
心を通る。
【0091】図6(c)において、符号11Aは第1の
ベルホルダーのベルを示し、符号20はベル11Aと一
体加工された転写型、符号20Aは、上記転写面形状を
持つ転写面部分を示す。第1のベルホルダーは、その回
転軸が鉛直方向であり、転写面形状の回転対称軸は上記
回転軸に合致している。
ベルホルダーのベルを示し、符号20はベル11Aと一
体加工された転写型、符号20Aは、上記転写面形状を
持つ転写面部分を示す。第1のベルホルダーは、その回
転軸が鉛直方向であり、転写面形状の回転対称軸は上記
回転軸に合致している。
【0092】転写型20の転写面部分20Aには、固化
した転写材料層との離型性を高めるため、プラズマフッ
素処理(Ar,CF4を導入して用いたプラズマ処理)
を施し、ボ−ルレンズ10の第2面側となる部分の表面
(転写材料層を形成される部分)にはプライマ−処理を
施した。
した転写材料層との離型性を高めるため、プラズマフッ
素処理(Ar,CF4を導入して用いたプラズマ処理)
を施し、ボ−ルレンズ10の第2面側となる部分の表面
(転写材料層を形成される部分)にはプライマ−処理を
施した。
【0093】図6(c)に示す転写材料3として、エポ
キシ材料:1に対してアクリル材料:9の割合で配合し
た嫌気性の紫外線硬化材料(接着剤)を使用し、第1の
ベルホルダーのベル11Aと一体化した転写型20の転
写面部分20Aに、精密容積計量ポンプを用いて定量的
に滴下した。
キシ材料:1に対してアクリル材料:9の割合で配合し
た嫌気性の紫外線硬化材料(接着剤)を使用し、第1の
ベルホルダーのベル11Aと一体化した転写型20の転
写面部分20Aに、精密容積計量ポンプを用いて定量的
に滴下した。
【0094】図6(d)に示すように、ボールレンズ1
0を転写材料3の上に、セル30ごとセットした。ま
た、ボールレンズ10に、第2のベルホルダー13Aの
ベル部を上方から臨ましめ、ベル部によりボールレンズ
10を上方から緩く規制した。この状態で、ボールレン
ズ10は第1および第2のベルホルダーにより半クラン
プ状態となっているが、勿論、転写面形状の回転対称軸
と、ボールレンズ10の光軸(セル30の中心軸)とは
合致せず、互いに略平行にずれている。
0を転写材料3の上に、セル30ごとセットした。ま
た、ボールレンズ10に、第2のベルホルダー13Aの
ベル部を上方から臨ましめ、ベル部によりボールレンズ
10を上方から緩く規制した。この状態で、ボールレン
ズ10は第1および第2のベルホルダーにより半クラン
プ状態となっているが、勿論、転写面形状の回転対称軸
と、ボールレンズ10の光軸(セル30の中心軸)とは
合致せず、互いに略平行にずれている。
【0095】次に、第1および第2のベルホルダーを同
じ速度で同方向へ、ゆっくり回転させながら、第2のベ
ルホルダー13Aを下降させる。
じ速度で同方向へ、ゆっくり回転させながら、第2のベ
ルホルダー13Aを下降させる。
【0096】転写型20とボールレンズ10とが半クラ
ンプの状態で、第1,第2のベルホルダーを回転させる
と、ボ−ルレンズ10は重力と遠心力によって移動する
が、この変位が、第1,第2のベルホルダーにより規制
される。
ンプの状態で、第1,第2のベルホルダーを回転させる
と、ボ−ルレンズ10は重力と遠心力によって移動する
が、この変位が、第1,第2のベルホルダーにより規制
される。
【0097】即ち、第1のベルホルダーのベル11Aの
先端部が、セル30の底端面に接しているので、セル3
0の軸(ボールレンズ10の光軸)は、鉛直軸に対して
傾くことができず、ボールレンズ10の水平面内での変
位は、第2のベルホルダー13Aのベル部により規制さ
れる。
先端部が、セル30の底端面に接しているので、セル3
0の軸(ボールレンズ10の光軸)は、鉛直軸に対して
傾くことができず、ボールレンズ10の水平面内での変
位は、第2のベルホルダー13Aのベル部により規制さ
れる。
【0098】このようにして規制された変位により、ボ
ールレンズ10は、その光軸が、第1,第2のベルホル
ダーの共通の回転軸、即ち、転写面形状の回転対称軸に
合致するように変位する。
ールレンズ10は、その光軸が、第1,第2のベルホル
ダーの共通の回転軸、即ち、転写面形状の回転対称軸に
合致するように変位する。
【0099】ボ−ルレンズ10の光軸と第1,第2のベ
ルホルダーの回転軸が一致した段階で、第2のベルホル
ダー13Aを更に下降させて、ボールレンズ10を完全
にクランプする。
ルホルダーの回転軸が一致した段階で、第2のベルホル
ダー13Aを更に下降させて、ボールレンズ10を完全
にクランプする。
【0100】この状態で回転速度を低下させ、回転が停
止したら、第2のベルホルダー13Aを上方へ外し、上
方から、転写材料3の硬化に必要な2500mJ/cm
2の紫外光を照射して転写材料3を硬化させる。
止したら、第2のベルホルダー13Aを上方へ外し、上
方から、転写材料3の硬化に必要な2500mJ/cm
2の紫外光を照射して転写材料3を硬化させる。
【0101】転写材料3の硬化に際しては、上記紫外光
の照射後、必要に応じ、上記状態で120℃の温度で3
0分間ポストベ−クしても良い。
の照射後、必要に応じ、上記状態で120℃の温度で3
0分間ポストベ−クしても良い。
【0102】その後、転写型20と接着材料3の層の間
を分離する。このとき、ボ−ルレンズ10と固化した転
写材料3とは、カップリング処理の効果で十分な密着性
をもって接着している。前記表面処理の効果により、転
写型20と固化した転写材料3は容易に分離できる。
を分離する。このとき、ボ−ルレンズ10と固化した転
写材料3とは、カップリング処理の効果で十分な密着性
をもって接着している。前記表面処理の効果により、転
写型20と固化した転写材料3は容易に分離できる。
【0103】このようにして、ボールレンズ10の第2
面側の球面上に、前記の非球面形状を「参照面形状」と
して有する転写材料3の層が形成された(図6
(e))。
面側の球面上に、前記の非球面形状を「参照面形状」と
して有する転写材料3の層が形成された(図6
(e))。
【0104】なお、ボ−ルレンズ10と転写面部分20
Aとは直接には接触していなかったため、転写材料層が
ボ−ルレンズ10の頂部に厚さ:1μmの薄膜層として
存在していた。
Aとは直接には接触していなかったため、転写材料層が
ボ−ルレンズ10の頂部に厚さ:1μmの薄膜層として
存在していた。
【0105】続いて、図6(e)の状態、即ちセル30
と一体のままのボールレンズ10を専用治具に保持さ
せ、さらに、この治具をECRプラズマエッチング装置
にセットし、Ar,CHF3,O2ガスを導入して、2〜
3×10~4Toorの条件下で、選択比:1で450分
間異方性エッチングを行い、転写材料表面の形状をその
ままボ−ルレンズに合同的に彫り写し、参照面形状と同
一形状の非球面をボールレンズ10に形成して光通信用
カプラーレンズ10Aとした(図6(f))。
と一体のままのボールレンズ10を専用治具に保持さ
せ、さらに、この治具をECRプラズマエッチング装置
にセットし、Ar,CHF3,O2ガスを導入して、2〜
3×10~4Toorの条件下で、選択比:1で450分
間異方性エッチングを行い、転写材料表面の形状をその
ままボ−ルレンズに合同的に彫り写し、参照面形状と同
一形状の非球面をボールレンズ10に形成して光通信用
カプラーレンズ10Aとした(図6(f))。
【0106】図7に示すように、光通信用カプラーレン
ズ10Aの第1面を、半値全角32度の発散レーザー光
を放射するLD50の側に第1面の球面を向け、レーザ
ー光束を光ファイバー60のコア部へ集光させた。光通
信用カプラーレンズ10Aは、セル30によりカプラー
の鏡胴に固定した。
ズ10Aの第1面を、半値全角32度の発散レーザー光
を放射するLD50の側に第1面の球面を向け、レーザ
ー光束を光ファイバー60のコア部へ集光させた。光通
信用カプラーレンズ10Aは、セル30によりカプラー
の鏡胴に固定した。
【0107】LD50とレンズ第1面(球面)との間
隔:0.55mm,レンズ第1面とレンズ第2面(非球
面)との間隔:2.979mm,レンズ第2面と光ファ
イバ−60の入射端面との間隔:8.749mmであ
る。
隔:0.55mm,レンズ第1面とレンズ第2面(非球
面)との間隔:2.979mm,レンズ第2面と光ファ
イバ−60の入射端面との間隔:8.749mmであ
る。
【0108】光軸調整しながら、光結合測定装置で結合
効率を測定したところ、略設計通りの結合効率:57%
を実現できた。
効率を測定したところ、略設計通りの結合効率:57%
を実現できた。
【0109】実施例2
光学デバイスとして、別の光通信用カプラ−レンズ(L
Dと光ファイバ−の高効率結合モジュ−ル用のレンズ)
を設計した。
Dと光ファイバ−の高効率結合モジュ−ル用のレンズ)
を設計した。
【0110】第1面(光源側):球面、第2面:非球
面、結合効率:58%、使用波長:1.3μm、最小光
線有効径(第1面側):φ0.48ミリ、最大光線有効
径(第2面側):φ1.10ミリ。
面、結合効率:58%、使用波長:1.3μm、最小光
線有効径(第1面側):φ0.48ミリ、最大光線有効
径(第2面側):φ1.10ミリ。
【0111】上記第2面の非球面形状は、前記「非球面
式」において、 R=−1.00 K=−1.071166 A= 0.481868×10~2 B=−0.3087594×10 ̄1 C= 0.3821575 とした形状である。
式」において、 R=−1.00 K=−1.071166 A= 0.481868×10~2 B=−0.3087594×10 ̄1 C= 0.3821575 とした形状である。
【0112】デバイス材料として、材質:SF60(波
長:1.3μmの光に対する屈折率:1.7681
7)、直径:2.0mm(曲率半径:1mm)のボール
レンズを用意した。
長:1.3μmの光に対する屈折率:1.7681
7)、直径:2.0mm(曲率半径:1mm)のボール
レンズを用意した。
【0113】実施例1と同様、材質:SUS316によ
る内径:2.0ミリの中空シリンダー状のセルに、上記
ボールレンズを圧入し、第2面側となる面にはプライマ
−処理を施した。また、外形と底端面とを正確に直角出
ししたセルを使用した。
る内径:2.0ミリの中空シリンダー状のセルに、上記
ボールレンズを圧入し、第2面側となる面にはプライマ
−処理を施した。また、外形と底端面とを正確に直角出
ししたセルを使用した。
【0114】一方、転写型は、曲率半径:1.11mm
の凹球面を転写面形状として有するものである。
の凹球面を転写面形状として有するものである。
【0115】この凹球面形状の曲率半径が小さいため、
超精密加工機でも実施例1のようにベル部と転写型を一
体加工することは難しい。
超精密加工機でも実施例1のようにベル部と転写型を一
体加工することは難しい。
【0116】そこで、先ず、上記曲率半径:1.11m
mを有する凸球面を超精密加工機で製作し、この凸球面
を電鋳によって型取りすることにより、曲率半径:1.
11mmの凹球面形状を得、これを転写型とした(請求
項6)。
mを有する凸球面を超精密加工機で製作し、この凸球面
を電鋳によって型取りすることにより、曲率半径:1.
11mmの凹球面形状を得、これを転写型とした(請求
項6)。
【0117】曲率半径:1.11mmは、光学設計で得
られた第2面の光線有効径範囲内での最大曲率半径値で
ある。
られた第2面の光線有効径範囲内での最大曲率半径値で
ある。
【0118】次に、セルの底端面にベル先端部が接する
ように、ベル先端部の形状、先端高さを予め算出した第
1のベルホルダーを製作し、そのベル内側に上記転写型
を装填し、光軸だし(転写型の転写面形状の回転対称軸
と第1のベルホルダーの回転軸の軸合わせ)を行い固定
する。
ように、ベル先端部の形状、先端高さを予め算出した第
1のベルホルダーを製作し、そのベル内側に上記転写型
を装填し、光軸だし(転写型の転写面形状の回転対称軸
と第1のベルホルダーの回転軸の軸合わせ)を行い固定
する。
【0119】転写面部分には、有機物質によるフッ素撥
水処理(トリアジンチオ−ルのフッ素誘導体物質)を表
面処理として施した。
水処理(トリアジンチオ−ルのフッ素誘導体物質)を表
面処理として施した。
【0120】転写材料として、実施例1で用いたのと同
様の嫌気性の紫外線エポキシ硬化材料(接着剤)を、転
写型の転写面部分に定量的に塗布し、その上に上記ボー
ルレンズをセルごとセットした。
様の嫌気性の紫外線エポキシ硬化材料(接着剤)を、転
写型の転写面部分に定量的に塗布し、その上に上記ボー
ルレンズをセルごとセットした。
【0121】この状態で、実施例1と同様、第2のベル
ホルダーで第1面側を緩く規制し、前記実施例1と同様
にして、ボールレンズの光軸を転写面形状の回転対称軸
と合致させたのち、実施例1と同様に紫外線を照射して
転写材料を硬化させた。
ホルダーで第1面側を緩く規制し、前記実施例1と同様
にして、ボールレンズの光軸を転写面形状の回転対称軸
と合致させたのち、実施例1と同様に紫外線を照射して
転写材料を硬化させた。
【0122】転写型と転写材料層との間を分離すると、
ボ−ルレンズ表面に、曲率半径:1.11mmの凸球面
形状を参照面形状として有する転写材料層が形成され
た。
ボ−ルレンズ表面に、曲率半径:1.11mmの凸球面
形状を参照面形状として有する転写材料層が形成され
た。
【0123】ボールレンズをセルごと専用治具に保持さ
せてECRプラズマエッチング装置にセットし、Ar,
CHF3,O2ガスを導入して、2〜4×10~4Too
rの条件下で異方性の物理的エッチングを行い、目的形
状である前述の非球面形状を実現するように、選択比を
コンピュータ制御により経時的に変化させながらボ−ル
レンズ表面に非球面形状を形成した。
せてECRプラズマエッチング装置にセットし、Ar,
CHF3,O2ガスを導入して、2〜4×10~4Too
rの条件下で異方性の物理的エッチングを行い、目的形
状である前述の非球面形状を実現するように、選択比を
コンピュータ制御により経時的に変化させながらボ−ル
レンズ表面に非球面形状を形成した。
【0124】即ち、エッチングス開始時から終了時ま
で、上記導入ガスの中のO2ガスの導入量を僅かに減少
させつつ、選択比を2.0〜1.0の範囲で変化させて
490分間エッチングを行った。
で、上記導入ガスの中のO2ガスの導入量を僅かに減少
させつつ、選択比を2.0〜1.0の範囲で変化させて
490分間エッチングを行った。
【0125】このようにして光通信用カプラーレンズが
得られた、半値全角32°の発散光束を放射するLDに
第1面の球面を向け、LDと第1面の間隔を0.385
mmとし、非球面である第2面を光ファイバ−の側に向
け、第2面と光ファイバー入射端面との間隔を5.92
7mmとし、セル外周部とセルの底端面を基準として光
ファイバー用カップリングユニットに組み付けたとこ
ろ、57%の結合効率が得られた。レンズ第1面と第2
面の間隔は1.983mmである。
得られた、半値全角32°の発散光束を放射するLDに
第1面の球面を向け、LDと第1面の間隔を0.385
mmとし、非球面である第2面を光ファイバ−の側に向
け、第2面と光ファイバー入射端面との間隔を5.92
7mmとし、セル外周部とセルの底端面を基準として光
ファイバー用カップリングユニットに組み付けたとこ
ろ、57%の結合効率が得られた。レンズ第1面と第2
面の間隔は1.983mmである。
【0126】なお、実施例1,2において、デバイス材
料として用いたボ−ルレンズは、そのままでもカプラー
レンズとして用いうるが、最適条件で使用しても結合効
率は15%である。
料として用いたボ−ルレンズは、そのままでもカプラー
レンズとして用いうるが、最適条件で使用しても結合効
率は15%である。
【0127】実施例2において用いるような、極めて曲
率半径の小さい凹曲面を持った転写型は、超精密加工機
を用いてもバイト先端が材料に入り込めないので、加工
できない。曲率半径の小さなものは球面加工すらも難し
い。
率半径の小さい凹曲面を持った転写型は、超精密加工機
を用いてもバイト先端が材料に入り込めないので、加工
できない。曲率半径の小さなものは球面加工すらも難し
い。
【0128】このような場合には、凸の球面加工で原型
を製作し、必要に応じて非球面加工し、それを実施例2
のように電鋳によって凹面取りすることにより、転写型
を製作することができるのである(請求項6)。
を製作し、必要に応じて非球面加工し、それを実施例2
のように電鋳によって凹面取りすることにより、転写型
を製作することができるのである(請求項6)。
【0129】
【発明の効果】以上に説明したように、この発明によれ
ば新規な光学デバイスとその製造方法および転写型を提
供できる。
ば新規な光学デバイスとその製造方法および転写型を提
供できる。
【0130】請求項1〜5記載の発明の光学デバイス製
造方法は、上記の如く構成されているので、デバイス材
料の回転対称軸と、デバイス材料上に形成される転写材
量層表面の参照面形状の回転対称軸を高精度に合致させ
ることができ、デバイス材料に精度の良い表面形状を形
成できる。
造方法は、上記の如く構成されているので、デバイス材
料の回転対称軸と、デバイス材料上に形成される転写材
量層表面の参照面形状の回転対称軸を高精度に合致させ
ることができ、デバイス材料に精度の良い表面形状を形
成できる。
【0131】また、物理的エッチングは再現性が良いの
で、同一の条件でエッチングを行うことにより同一の表
面形状を容易且つ確実に形成できる。
で、同一の条件でエッチングを行うことにより同一の表
面形状を容易且つ確実に形成できる。
【0132】請求項2記載の光学デバイス材料では、目
的形状とする非球面形状を転写型により転写材料層に適
正に形成するので、精度の良い非球面をデバイス材料表
面に形成できる。
的形状とする非球面形状を転写型により転写材料層に適
正に形成するので、精度の良い非球面をデバイス材料表
面に形成できる。
【0133】請求項3記載の光学デバイス製造方法で
は、凸球面形状を参照面形状として形成し、選択比の制
御により所望の非球面形状をデバイス材料の表面に形成
するので、転写面形状として作製しにくいような複雑な
非球面形状をも容易に形成できる。
は、凸球面形状を参照面形状として形成し、選択比の制
御により所望の非球面形状をデバイス材料の表面に形成
するので、転写面形状として作製しにくいような複雑な
非球面形状をも容易に形成できる。
【0134】請求項4または5記載の光学デバイス製造
方法では、デバイス材料の表面形状として、目的形状に
応じた曲率半径を予め設定した球体あるいは両凸レンズ
形状を用いるため、目的形状に到るエッチング時間を有
効に短縮できる。
方法では、デバイス材料の表面形状として、目的形状に
応じた曲率半径を予め設定した球体あるいは両凸レンズ
形状を用いるため、目的形状に到るエッチング時間を有
効に短縮できる。
【0135】請求項6記載の転写型は、凸球面もしくは
凸の非球面を有する原型に電鋳を行って、凹の球面もし
くは非球面を転写面形状として形成するので、超精密加
工でバイトの歯先が入り込めないような、曲率半径の小
さい凹の転写面形状をも容易に実現できる。
凸の非球面を有する原型に電鋳を行って、凹の球面もし
くは非球面を転写面形状として形成するので、超精密加
工でバイトの歯先が入り込めないような、曲率半径の小
さい凹の転写面形状をも容易に実現できる。
【0136】請求項7記載の光学デバイスは、上記請求
項1〜5記載の方法の何れかにより製造され、設計に忠
実な高精度を有する。
項1〜5記載の方法の何れかにより製造され、設計に忠
実な高精度を有する。
【図1】この発明の光学デバイス製造方法の特徴部分を
説明するための図である。
説明するための図である。
【図2】光学デバイスの表面に転写材料層を形成した状
態を2例示す図である。
態を2例示す図である。
【図3】図2の状態から、参照面形状を出発形状として
物理的エッチングを行い、デバイス材料に所望の表面形
状を形成した状態を説明するための図である。
物理的エッチングを行い、デバイス材料に所望の表面形
状を形成した状態を説明するための図である。
【図4】1より小さい選択比による物理的エッチングの
作用を説明する図である。
作用を説明する図である。
【図5】1より大きい選択比による物理的エッチングの
作用を説明する図である。
作用を説明する図である。
【図6】実施例1を例示する図である。
【図7】実施例1の光通信用カップラーレンズの使用状
態を説明するための図である。
態を説明するための図である。
【符号の説明】
1 デバイス材料
2 転写型
2A 転写面形状
11 第1のベルホルダーのベル部
13 第2のベルホルダー
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(56)参考文献 特開 平7−234303(JP,A)
特開 平5−173003(JP,A)
特開 昭62−62716(JP,A)
特開 昭63−8237(JP,A)
特開 平4−235025(JP,A)
特開 平5−423(JP,A)
特開 平5−254862(JP,A)
特開 平6−27404(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
G02B 3/00
Claims (7)
- 【請求項1】所定の凸曲面形状を有する回転対称形状の
デバイス材料の上記凸曲面形状の上に、所定の表面形状
を参照面形状として持つ転写材料層を、転写型による面
形状転写により形成し、上記転写材料層表面の参照面形
状を出発形状とし、上記転写材料層とデバイス材料とに
対して物理的エッチングを行い、所望の面形状をデバイ
ス材料に形成する光学デバイス製造方法において、 鉛直方向の軸の回りに回転可能な第1のベルホルダーの
ベルの中央部に、転写型を、その転写面形状の対称軸が
上記鉛直方向の軸と合致するよう設け、転写面部分に転
写材料を保持させ、 上記転写材料を介して転写型と逆の側にデバイス材料を
セットし、 上記第1のベルホルダーの回転軸と共通の軸の回りに回
転可能な第2のベルホルダーのベル部により、上記デバ
イス材料を半クランプ状態で緩く規制し、 上記第1および第2のベルホルダーを上記共通の軸の回
りに回転させつつ、上記第1および第2のベルホルダー
の間隔を狭めることにより、上記転写型の対称軸とデバ
イス材料の回転対称軸とを合致させ、 しかるのちに転写型とデバイス材料とを完全にクランプ
させ、その状態において転写材料を固化させて面形状転
写を行うことを特徴とする光学デバイス製造方法。 - 【請求項2】請求項1記載の光学デバイス製造方法にお
いて、 転写型による面形状転写により、非球面の参照面形状を
転写材料層の表面に形成し、 転写材料層とデバイス材料とに対して、選択比を一定と
して物理的エッチングを行うことを特徴とする光学デバ
イス製造方法。 - 【請求項3】請求項1記載の光学デバイス製造方法にお
いて、 転写型による面形状転写により、球面の参照面形状を転
写材料層の表面に形成し、 転写材料層とデバイス材料とに対して行われる物理的エ
ッチングにおける選択比を、所望の面形状を得るため
に、1から異ならせるか、もしくは段階的および/また
は連続的に変化させることを特徴とする光学デバイス製
造方法。 - 【請求項4】請求項1または2または3記載の光学デバ
イス製造方法において、 デバイス材料が透明球体であることを特徴とする光学デ
バイス製造方法。 - 【請求項5】請求項1または2または3記載の光学デバ
イス製造方法において、 デバイス材料が両凸レンズ形状の透明体であることを特
徴とする光学デバイス製造方法。 - 【請求項6】請求項1または2または3または4または
5記載の光学デバイス製造方法において用いられる転写
用の型であって、 凸球面もしくは凸の非球面を有する原型に電鋳を行って
作成された、凹球面もしくは凹非球面を転写面形状とし
て有する転写型。 - 【請求項7】請求項1または2または3または4または
5記載の光学デバイス製造方法により製造される光学デ
バイス。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15382294A JP3506773B2 (ja) | 1994-07-05 | 1994-07-05 | 光学デバイス及びその製造方法および光学デバイス製造方法に用いる転写用の型 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15382294A JP3506773B2 (ja) | 1994-07-05 | 1994-07-05 | 光学デバイス及びその製造方法および光学デバイス製造方法に用いる転写用の型 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0821903A JPH0821903A (ja) | 1996-01-23 |
JP3506773B2 true JP3506773B2 (ja) | 2004-03-15 |
Family
ID=15570856
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP15382294A Expired - Fee Related JP3506773B2 (ja) | 1994-07-05 | 1994-07-05 | 光学デバイス及びその製造方法および光学デバイス製造方法に用いる転写用の型 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3506773B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006133312A (ja) * | 2004-11-02 | 2006-05-25 | Ricoh Co Ltd | マンジン鏡及び該マンジン鏡を有するプロジェクタ |
-
1994
- 1994-07-05 JP JP15382294A patent/JP3506773B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0821903A (ja) | 1996-01-23 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
TW440719B (en) | Optical fiber component with shaped optical element and method of making same | |
US4623496A (en) | Method of manufacturing an optical element having an aspheric surface | |
US6989932B2 (en) | Method of manufacturing micro-lens | |
US20050036222A1 (en) | Solid immersion lens structures and methods for producing solid immersion lens structures | |
US20070297063A1 (en) | Injection molded microlenses for optical interconnects | |
KR20050033987A (ko) | 마이크로 렌즈 어레이 및 그 제조 방법 | |
US5317452A (en) | Aligning and attaching a lens to a source of emitted light using light pressure force | |
EP0260742A1 (en) | Optical transmission fibre having a tapered end portion provided with a lens | |
JP3666905B2 (ja) | 光学デバイスおよびその製造方法 | |
JP3506773B2 (ja) | 光学デバイス及びその製造方法および光学デバイス製造方法に用いる転写用の型 | |
JP2003291159A (ja) | 樹脂硬化方法及び樹脂成型品等の製造方法、並びにそれらに用いる器具及び得られる製品 | |
JP2003057407A (ja) | 成形された二次元の参照面を有する成形されたレンズ素子 | |
US7062135B2 (en) | Method for fabricating curved elements | |
JP3506771B2 (ja) | 光学デバイスおよび光学デバイス製造方法 | |
JPH06254868A (ja) | 複合型精密成形品の製造方法 | |
JP2002357737A (ja) | 光通信用部品及びその製造方法 | |
JPH02277006A (ja) | レンズ付光ファイバの製造方法 | |
JPH0843678A (ja) | 光ファイバレンズおよびその製造方法 | |
US6476973B1 (en) | Compound surface to aid in the fabrication of a lens with a plano surface | |
JPH07234303A (ja) | 光学デバイス・光学デバイス用材料および光学デバイス製造方法 | |
JP3236450B2 (ja) | 光ファイバの端面処理方法 | |
JPH0850201A (ja) | セル付きレンズ・レンズ保持体・セル付きレンズ材料およびセル付きレンズ製造方法 | |
JP3699739B2 (ja) | セル付きレンズの製造方法 | |
US20240075699A1 (en) | Process for manufacturing by moulding an optical component, optical fibre comprising said optical component and system for manufacturing by moulding said optical component | |
JPH08244128A (ja) | 樹脂接合型非球面レンズの製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20031216 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20031217 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |