JP3482607B2 - キチン・キトサンを表面に固着した合成高分子製品及びその製造方法 - Google Patents

キチン・キトサンを表面に固着した合成高分子製品及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、合成高分子製品の
表面に紫外線を照射した後、キチン・キトサンをその表
面に固着させる方法及びキチン・キトサンを表面に固着
した合成高分子製品に関する。
【0002】
【従来の技術】合成高分子素材の表面にキチン・キトサ
ンを塗布する技術として次のものが公知である。
【0003】特開昭63−301234は、プラスチッ
ク表面に多糖類を塗布し、多糖類が有する官能基(−N
H2、−COOH、−OH基等)と反応する2個以上の
官能基を有する架橋剤を用いて架橋反応で架橋してプラ
スチック表面を親水化させる方法を開示している。そし
て多糖類として、寒天、アガロース、キトサン、キチ
ン、・・・、ローカストビーンガム、・・等を、架橋剤
としてホルムアルデヒド(実施例1はその40%水溶液
であるホルマリン)、グルタルアルデヒド、・・・、エ
ピクロルヒドリン(実施例8)、・・・等開示している
(2頁右下欄3行〜3頁右上欄8行)。しかし、親水性
は多糖類の官能基の数に関係するため、多糖類を架橋さ
せ官能基数を減少させるこの方法では十分な親水性が得
られない。多糖類溶液とプラスチック表面の親和性を高
めるためプラスチック表面のコロナ放電、酸素プラズマ
処理、紫外線放射処理の併用も開示(2頁左下欄17行
〜2頁右下欄2行)しているが、架橋させるため十分な
親水性は得られない。また、同公報は実施例7でキトサ
ンをポリカーボネート板上に塗布する開示するが、架橋
剤を必須とする発明であるのに架橋剤の記載がされてお
らず開示が不完全で理解できない内容である。
【0004】第7回キチン・キトサン・シンポジウム
(1993年)で松川、佐藤、五十嵐、及び水田は講演
番号B27で、キチンを濃アルカリで処理した脱アセチ
ル化度約80%以上のキトサンを用いて、架橋剤として
ジカルボン酸のリンゴ酸、潜在アルカリ性触媒として酢
酸ナトリウムを使用してポリエステル織物にキトサンを
付着している。この方法も架橋により官能基数が減少す
るから十分な親水性は得られない。
【0005】更にこれらの技術は薬品を架橋剤として使
用し、場合によっては触媒を必要とするため、食品を扱
う用具及び機器の場合、薬品の人体への影響が懸念され
るし、未反応物質の熱水可溶の懸念もある。このため例
えば、濡れ性が要求され、かつ熱水を濾過しなければな
らず高度な安全性が要求される食品用フィルターには、
これらの方法で得られるものは適さない。
【0006】また、高分子材料に紫外線等を照射するこ
とにより表面を改質しているが高分子材料の性質を毀損
している例も見られる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このような現状に鑑み
て、母材である合成高分子素材の性質が損なわれず、か
つ、濡れ性等が良好で耐久性がある表面処理した合成高
分子製品及びその製造方法の開発が望まれていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】発明者は、上記の課題を
解決するため鋭意研究し、下記の発明により掛かる課題
が軽減又は解決できることを見いだした。
【0009】(1) 合成高分子製品の表面に、酸素を
含む雰囲気ガス中で紫外線を照射したのち、キチン・キ
トサン溶液を付着させかつ乾燥することからなる合成高
分子製品の表面にキチン・キトサンを固着する方法 (2) キチン・キトサンが表面に少なくともイオン結
合で固着してなる(1)に記載の合成高分子製品の表面
にキチン・キトサンを固着する方法 (3) 紫外線を照射したのち付着させるキチン・キト
サンの脱アセチル化度が少なくとも20%以上である
(1)又は(2)に記載の合成高分子製品の表面にキチ
ン・キトサンを固着する方法 (4) 照射する紫外線の波長は180nm以上330
nm以下で、紫外線照射雰囲気は酸素ガスを少なくとも
1%以上含む気体であって、且つ合成高分子製品の表面
に対する紫外線の照射量は1J/cm2 以上である
(1)、(2)又は(3)に記載の合成高分子製品の表
面にキチン・キトサンを固着する方法 (5) 合成高分子がポリオレフィン系、ポリエステル
系、全芳香族系ポリマー、ポリ塩化ビニリデン、ポリア
クリロニトリル系、ポリフッ素系、ポリエポキシ系、脂
肪族系ポリアミド、ポリビニル系の合成高分子又はポリ
アクリル、ポリカーボネート、ポリスチレン、スチレン
とブタジエンの共重合物、ポリアセタール若しくはポリ
メチレンペンテンである(1)、(2)、(3)又は
(4)に記載の合成高分子製品の表面にキチン・キトサ
ンを固着する方法 (6) キチン・キトサンが表面に少なくともイオン結
合で固着してなる合成高分子製品 (7) 酢酸でpH3に調製した沸騰した熱水で30分
間洗浄したとき、合成高分子製品の表面に固着している
キチン・キトサン量をオレンジ−IIなる染料で染色し測
定した染料濃度[K/S]が0.02以上であるキチン
・キトサンが表面に固着してなる合成高分子製品 (8) 染料濃度[K/S]が0.2以上である(7)
に記載のキチン・キトサンが表面に固着してなる合成高
分子製品 (9) 染料濃度[K/S]が0.4以上である(7)
に記載のキチン・キトサンが表面に固着してなる合成高
分子製品 (10) 酢酸でpH3に調製した沸騰した熱水で30
分間洗浄したとき、25℃の水の接触角が50度以下で
あるキチン・キトサンが表面に固着してなる合成高分子
製品 (11) 表面の窒素原子に由来するX線光電子分光分
析(ESCA)のスペクトルN1sの強度が下式を満足す
る、キチン・キトサンが表面に固着された合成高分子製
品 [N1s]n1/[N1s]n0 ≧ 1.05 但し、n0は基準試料で、基準試料は表面未処理の合成高
分子製品を0.7%の酢酸でpH3に調製した濃度が
0.5Vol.%で25℃の脱アセチル化度85%のキチン
・キトサン水溶液に10分間浸漬したのち50℃の熱風
で乾燥させ、更に乾燥したものを酢酸でpH3に調製し
た沸騰した熱水で30分間洗浄したのち50℃の熱風で
乾燥したものである。
【0010】n1は発明試料で、発明試料は合成高分子製
品の表面に紫外線を照射したのちキチン・キトサン水溶
液を付着させ乾燥させたのち、更に酢酸でpH3に調製
した沸騰した熱水で少なくとも30分間洗浄したのち5
0℃の熱風で乾燥したものである。[N1s]n1は発明試
料の、[N1s]n0は基準試料の、それぞれの表面の窒素
原子に由来するX線光電子分光分析(ESCA)のスペ
クトルN1sの強度を意味する。
【0011】(12) 合成高分子がポリオレフィン
系、ポリエステル系、全芳香族系ポリマー、ポリ塩化ビ
ニリデン、ポリアクリロニトリル系、ポリフッ素系、ポ
リエポキシ系、脂肪族系ポリアミド、ポリビニル系の合
成高分子又はポリアクリル、ポリカーボネート、ポリス
チレン、スチレンとブタジエンの共重合物、ポリアセタ
ール若しくはポリメチレンペンテンであって、キチン・
キトサンが合成高分子製品表面に化学結合で固着してな
る(6)、(7)、(8)、(9)、(10)又は(1
1)に記載のキチン・キトサンが表面に固着してなる合
成高分子製品 本明細書において、合成高分子製品とは合成高分子素材
からなる成形品又は繊維製品を意味する。具体的には合
成高分子素材製の成形品、糸、紐、ロープ、シート、フ
ィルム、織物、不織布等が例示される。
【0012】合成高分子としては各種の合成高分子が適
用できる。カルボニル基、カルボキシル基、水酸基等を
有する合成高分子にも適用できるが、濡れ性を高める観
点から言えば、これらの合成高分子は一般に親水性がよ
いから本発明の処理により親水性が向上する程度は少な
い。濡れ性を高める観点から言えば、水との親和性の乏
しい合成高分子、例えばポリオレフィン系、ポリエステ
ル系、全芳香族系ポリマー、ポリ塩化ビニリデン、ポリ
アクリロニトリル系、ポリフッ素系、ポリエポキシ系等
の合成高分子に本発明を適用するとその効果は著しい。
具体的には、(1)ポリオレフィン系合成高分子とし
て、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンとプロピ
レンの共重合物又は混合物が、(2)ポリエステル系合
成高分子として、ポリエチレンテレフタレート(PE
T)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエ
チレン2・6ナフタレート、ポリアリレート、PETと
PBTとの共重合物又は混合物が、(3)全芳香族系ポ
リマーとして、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミ
ド、ポリ−p−フェニレン・テレフタルアミド、ポリ−
m−フェニレンイソフタルアミド、ポリアリレン・サフ
ファイトが例示される。
【0013】また(4)脂肪族系ポリアミド(ナイロン
6、ナイロン66、ナイロン12等)、(5)ポリビニ
ル系並びに(6)ポリアクリル、ポリカーボネート、ポ
リスチレン、スチレンとブタジエンの共重合物、ポリア
セタール及びポリメチレンペンテンは水との親和性がか
なりよいが親水性をより高めるため、或いは本発明の他
の効果が故に適用され得る合成高分子である。
【0014】照射する紫外線は波長が180nm〜33
0nm以下の紫外線が適切であるが、好ましくは180
nm〜300nm、より好ましくは180nm〜280
nm、更に好ましくは180nm〜260nmである。
【0015】このような紫外線は、例えば公知の低圧水
銀灯、重水素ランプ、キセノンランプ、レーザ方式の紫
外線発生装置等で発生できる。波長が330nm〜38
0nmの紫外線も使用できないことはないが、この範囲
の紫外線は合成高分子の分子の破断や分解にはほとんど
関与せず、むしろ合成高分子に熱による損傷を与えるた
めできるだけ少ないようがよい。波長が180nm未満
は真空紫外線であり実務的とはいいがたい。
【0016】紫外線の過度な照射は、高分子材料の表面
の化学構造を大きく変化させたり、局部的界面破壊をも
たらし、結果としてその高分子が有する特性を損傷す
る。紫外線照射の従来技術では紫外線照射量が比較的多
くこのような損傷が起こっていた。しかし、本発明にお
ける紫外線の照射量は合成高分子製品の表面に過度の改
質を施す必要はなく、紫外線照射後に当該表面にキチン
・キトサンが十分に固着する程度でよい。
【0017】本発明では極表層部の分子を活性化できれ
ばよいため、合成高分子表面への紫外線の照射量は1J
/cm2 以上でよい。上限値は合成高分子の表面に著し
い損傷が生じない値であり、使用する合成高分子が決ま
ると設計的、実験的に定めることになる。しかし、一般
的には適正な照射量は、1〜2500J/cm2 、好ま
しくは1〜500J/cm2 、より好ましくは1〜50
J/cm2 、更に好ましくは1〜25J/cm2 であ
る。実施例に示すように10J/cm2 以下でも十分な
効果が得られる。
【0018】波長と照射量は高分子材料により適宜決定
すべきであるが、一例をあげれば波長180〜330n
mで1〜2500J/cm2 、好ましくは180〜30
0nmで1〜500J/cm2 、より好ましくは180
〜280nmで1〜50J/cm2 、更に好ましくは1
80〜260nmで1〜25J/cm2 である。
【0019】紫外線照射は、空気、オゾン、酸素、炭酸
ガス、窒素等の各種の気体雰囲気で行うことができる。
しかし、いずれの場合も、紫外線を照射する雰囲気ガス
中に酸素が存在することが必要である。気体雰囲気に含
まれるべき酸素ガスの量は、少なくとも1%以上、好ま
しくは10%以上、より好ましくは20%以上である。
酸素を1%未満では紫外線を照射しても合成高分子の表
面を活性化できないからである。経済性及び安全性から
常温の空気中で照射するのがよい。酸素濃度は高くても
差し支えない。しかし、酸素100%に近づくにつれ作
業の安全性に問題が発生するので、上限値はむしろ安全
性から決められる。
【0020】酸素ガスがあれば、酸素分子(O=O) の結
合エネルギー(490.4KJ/mol)よりも大きい
照射エネルギーを有する紫外線を照射すると、酸素分子
は一部は活性酸素(酸素原子)となり、その活性酸素の
一部は雰囲気中の未分解の酸素分子と結合してオゾンに
なって合成高分子の表面を酸化し、残りの活性酸素も紫
外線によって結合が切られた合成高分子の表面の分子と
結合(酸化)し、こうして合成高分子の表面は全体とし
て活性化するものと考えられる。活性酸素だけでもそれ
なりの効果は期待できるが、オゾンが生成された方が効
果的であるから、本発明では酸素からオゾンガスを生成
できる波長243nm以下の紫外線を使用することが好
ましい。
【0021】キチンは蟹や海老の甲羅や甲殻から或いは
椎茸等からとれる物質で、常温で白色の粉末状であり常
温水には難溶性である。キチンのアセチル基を脱アセチ
ル化するとキトサンになり、キトサンは水に溶け易い。
キチンの一部を脱アセチル化した脱アセチル化度20%
以上のキチン・キトサンはpH3で50℃程度の水溶液
に可溶である。キトサンが増えると脱アセチル化度が高
くなる。
【0022】本発明によるキチン・キトサンの合成高分
子表面への固着状態は化学結合であると考えられ、その
固着力は固着させるキチン・キトサンのなかのキトサン
分子の1級アミノ基−NH2 (キチン分子のアセチル基
の脱アセチル化により得られる)の存在量に比例すると
考えられる。従って、本発明に使用するキチン・キトサ
ンは脱アセチル化度の高いものが良い。脱アセチル化度
が20〜100%、好ましくは40〜90%、より好ま
しくは60〜85%のキチン・キトサンが使用できる。
脱アセチル化度が100%に近いものも使用できるが、
100%に近いものは高価なこと及び分子量が低下して
いるため、合成高分子の種類によってはその表面に固着
しにくい。
【0023】紫外線を照射した合成高分子製品へのキチ
ン・キトサンの付着は、キチン・キトサン溶液中に浸
漬、キチン・キトサン溶液中を塗布(スプレーを含
む)、ローラーによる付着等の各種の方法が適用できる
が、合成高分子製品をキチン・キトサン溶液中に浸漬す
るのが簡単でありかつ均一付与が出来る。付与後、乾燥
して溶媒(例、水)を除去する。
【0024】合成高分子表面に紫外線を照射したのちキ
チン・キトサンを付与するが、この工程を逆、つまり合
成高分子表面にキチン・キトサンを付与したのち紫外線
を照射してもキチン・キトサンは合成高分子表面に強固
に固着できない。
【0025】合成高分子製品の表面にキチン・キトサン
がどの程度固着されているか、また、洗浄すると表面に
固着されたキチン・キトサンがどのように変化するか
は、キチン・キトサンの窒素原子に由来するX線光電子
分光分析(ESCA)のスペクトルN1sの強度測定でを
確認することができる。
【0026】キチン・キトサンが表面に固着された本発
明で得られる合成高分子製品の好ましいものは、表面の
窒素原子に由来するX線光電子分光分析(ESCA)の
スペクトルN1sの強度が前述の式を満足する。
【0027】本発明による合成高分子製品の表面に固着
されたキチン・キトサンの付着量はオレンジ−IIなる染
料を用いて染色した当該材料の染色濃度(K/S値)の
測定を行うことで測定できる。本発明では、キチン・キ
トサンの固着された物質表面のキチン・キトサンの付着
量は染色性の観点からすれば、多ければ多い程よいが、
少なくとも前述値を満足することが好適である。
【0028】本発明で得られる合成高分子表面に固着し
たキチン・キトサンはほとんど架橋がされていないもの
と考えられる。
【0029】
【作用】紫外線照射による合成高分子材料の表面改質
は、一般に分子結合エネルギーよりも高い光エネルギー
を与えて目的とする分子結合を切ることにより行う。こ
のため、合成高分子材料の特性が毀損することがある。
本願発明でも紫外線により分子結合が幾分切られるが、
その程度は従来技術の場合に比して軽度であり、合成高
分子材料の特性を毀損することはない。
【0030】現在の分析技術では本発明のメカニズムの
完全な解明は困難であるが、およそ次の通りと考えられ
る。
【0031】酸素を1%以上含む雰囲気で合成高分子の
特性を毀損しない程度の軽度な紫外線照射により、合成
高分子製品の表面に、(1)種々の官能基又はラジカル
分子ができると共に、(2)該表面に軽度な凹凸が作ら
れる。
【0032】紫外線照射した合成高分子製品の表面に脱
アセチル化度が少なくとも20%以上であるキチン・キ
トサン溶液を付与し乾燥すると、紫外線照射で合成高分
子製品に表面にできた官能基又はラジカル分子と、キト
サン分子に存在するアミノ基(−NH2 )がイオン的な
結合及び酸化結合するものと考えられる。結果として、
本願発明によると母体となる合成高分子製品はその特性
を毀損することなく、またその表面はキチン・キトサン
の特性を示し、かつキチン・キトサンは合成高分子製品
表面に強力に固着しておりその表面の性質(耐熱水、耐
薬品性等)には耐久性がある。
【0033】換言すれば、本発明は、紫外線照射で合成
高分子製品の表面に作った極性の高い種々の官能基や種
々のラジカル分子と、キトサンの1級アミノ基(−NH
2 )の有している電解カチオン性の電子吸引性がため、
キチン・キトサン分子が合成高分子製品の表面に化学結
合及び電気イオン性の結合で強固に固着し、合成高分子
製品の表面のキチン・キトサンの離脱をしにくくしたも
のであるといえよう。
【0034】紫外線照射時で生成する種々の官能基又は
ラジカル分子は不安定であるが、キキン・キトサン分子
の結合で安定させる。更にキチン・キトサンは紫外線照
射でできた合成高分子製品表面の界面破壊した部位の保
護膜的な効果、凹凸部はキチン・キトサンの固着力を物
理的強化に寄与する。
【0035】なお、本願発明では主としてキチン・キト
サンは合成高分子製品表面に化学結合していると考えら
れるが、キチン・キトサンが物理的に合成高分子製品表
面に固着している部分の存在を否定するものではない。
【0036】
【実施例】以下実施例により本発明を更に詳細に説明す
るが、本発明の請求範囲はこれらの実施例により何等限
定されるものではない。
【0037】
【実施例1】ポリエチレンテレフタレート繊維からなる
平織物(タフタ)を常法で精練して表面の付着物を除去
した。表5の相対スペクトル強度を有する低圧水銀灯
(セン特殊光源株式会社製のSUB−40)を用い、常
温の空気中で照射距離45mmで、照射時間5分(照射
量1.67J/cm2 )、10分(照射量3.34J/
cm2 )、20分(照射量6.68J/cm2 )及び3
0分(照射量10.02J/cm2 )で紫外線を前記織
物に上部から照射した。
【0038】照射後、織物を0.7%の酢酸でpH3に
調製した濃度0.5vol.%の脱アセチル化度85%
のキチン・キトサン水溶液(25℃)に10分間浸漬
し、さらにマングルでピックアップ率40%に絞った
後、50℃の熱風で乾燥させた。こうして表面にキチン
・キトサンが化学結合したポリエチレンテレフタレート
繊維製の平織物(以下、キチン・キトサン処理織物とい
う)を得た。得られたキチン・キトサン処理織物の性質
を調べるため各種の実験をした。
【0039】実験結果の説明をする前に、以下の実験例
で織物表面のキチン・キトサン量を測定した測定法を説
明する。上記の実施例1で用いたのと同じポリエチレン
テレフタレート繊維からなる平織物をキチン・キトサン
水溶液に10分間浸漬したのち50℃の熱風で乾燥し
た。織物の増加重量を織物の元の重量で除して織物の表
面に付着したキチン・キトサン量を計算した(これを
%、対繊維重量比という)。キチン・キトサンが付着し
たこの織物を50℃で酢酸でpH3に調製した0.5g
/Lの濃度のオレンジ−II染料(C.I.Acid Orange 7 )
溶液に30分間浸漬して染色した。染色後のキチン・キ
トサン処理織物のオレンジ−II染料による染料濃度K/
S値を分光光度計を用いてクベルカムンク関数のK/S
値で表わした。こうしてキチン・キトサン塗布量とオレ
ンジ−II染料濃度との関係を求めた。キチン・キトサン
水溶液の濃度を変えて同様の測定をして図1を得た。図
1からわかるように染料濃度とキチン・キトサン量の間
には良好な直線関係がある。図1を用いると染料濃度か
ら織物上のキチン・キトサン量を算出できる。
【0040】
【実験例1】実施例1で得られたキチン・キトサン処理
織物のキチン・キトサン量が、紫外線照射により増加す
ることをキチン・キトサン処理織物を熱水洗浄したもの
で確認する。キチン・キトサン処理織物を熱水洗浄した
のち測定したのは、従来技術である比較例1及び比較例
2との差異を明確にするためである。
【0041】実施例1で得られたキチン・キトサン処理
織物を更に酢酸でpH3に調製した沸騰した熱水で30
分間洗浄した後、再び50℃の熱風で乾燥した。乾燥し
て得られたキチン・キトサン処理織物を50℃でpH3
に調製した0.5g/Lの濃度のオレンジ−II染料溶液
に30分間浸漬して染色した。表1に染色後の染料濃度
をクベルカムンク関数のK/S値で示すとと共に、図1
を用いて算出した織物に固着しているキチン・キトサン
量を示した。
【0042】表1からわかるように、紫外線照射の時間
が増加するに従って、オレンジ−IIによる染料濃度即ち
K/S値が増加しており、織物へのキチン・キトサンの
固着量が増加している。pH3の沸騰した熱水で30分
間洗浄したにもかかわらず、例えば10分の紫外線照射
で0.026%(対繊維重量)、30分の紫外線照射で
0.052%(対繊維重量)のキチン・キトサンが織物
になお固着している。
【0043】
【比較例1】実施例1で使用したのと同じポリエチレン
テレフタレート繊維からなる同じ平織物を、紫外線照射
をしないこと以外は実施例1及び実験例1と同様にし
て、キチン・キトサン溶液に10分間浸漬したのちマン
グルでピックアップ率40%に絞り、50℃の熱風で乾
燥した。その後、酢酸でpH3に調製した沸騰した熱水
で30分間洗浄したのち、再び50℃の熱風で乾燥し
た。このキチン・キトサン処理織物を、再び実験例1と
同じオレンジ−II染料溶液で染色した。測定結果を表1
に示した。染料濃度K/S値は0.004で図1の検量
線から求めたキチン・キトサン固着量は0.00038
%(対繊維重量比)で検量線の精度を考慮するとほぼ零
であった。測定結果を表1に併記した。
【0044】紫外線照射を行わないで、単にキチン・キ
トサンを塗布しても、キチン・キトサンは織物の表面に
物理的に付着しているに過ぎないため熱水で洗浄すると
除去されことがわかる。従って、ティーバック等の耐熱
水性が要求される用途には、実施例1で得られるものは
使用できるが、比較例1のものは使用できないことがわ
かる。
【0045】
【比較例2】実施例1は紫外線照射をしたのちキチン・
キトサンを固着させたが、比較例2では工程を逆にし
た。つまりキチン・キトサンを固着させたのち紫外線照
射をした。紫外線照射時間を30分にしたこと及び処理
順序を逆にした以外は実施例1及び実験例1と同じ条件
で処理をした。染料濃度の測定結果を表1に示す。
【0046】熱水で30分間洗浄したのちオレンジ−II
染料溶液で染色すると比較例1同様、キチン・キトサン
量はほぼ零であり、ポリエチレンテレフタレート平織物
表面にキチン・キトサンを付着したのち紫外線照射した
ものは熱水洗浄に耐えないものであった。
【0047】
【実験例2】実施例1で得られたキチン・キトサン処理
織物(紫外線照射時間30分のもの)の濡れ性の実験を
行った。
【0048】実施例1で得られたキチン・キトサン処理
織物表面の25℃の水に対する濡れ性を接触角計(協和
界面科学(株))で測定した結果を表2に示す。酢酸で
pH3に調製した沸騰した熱水で30分及び60分間洗
浄後熱風乾燥しても濡れ性はほとんど変わらなかった。
【0049】
【比較例3】実験例2の比較例として、紫外線照射のみ
行ったポリエチレンテレフタレート繊維からなる平織物
(キチン・キトサンは付与していない)の25℃の水に
対する濡れ性を接触角計(協和界面科学(株))で測定
し表2に示した。
【0050】表2からわかるように実験例2の接触角は
比較例3のものの66%(=45.0)/68.5)で
あり、本発明のキチン・キトサン処理織物の濡れ性が格
段に優れている、つまり濡れやすいことが判明した。一
方、比較例3のものは酢酸でpH3に調製した沸騰した
熱水で30分及び60分間洗浄後熱風乾燥すると濡れ性
は更に悪くなっている。
【0051】
【実験例3】実施例1で紫外線照射時間30分で得られ
たキチン・キトサン処理織物を酢酸でpH3に調製した
沸騰した熱水で30分間洗浄後50℃の熱風で乾燥した
ものの帯電性をJIS−L1094のB法(摩擦帯電圧
測定法)に準じて測定すると10KVであった。
【0052】
【比較例4】比較例1で得られたキチン・キトサン処理
織物(酢酸でpH3に調製した沸騰した熱水で30分間
洗浄後50℃の熱風で乾燥したもの)の帯電性をJIS
−L1094のB法(摩擦帯電圧測定法)に準じて測定
すると25KVであった。
【0053】実験例3の帯電圧は比較例4の帯電圧の4
0%(=10/25)であり、本発明のキチン・キトサ
ンの固着で帯電防止性が付加されることが明らかになっ
た。
【0054】
【実験例4】実施例1の紫外線を30分間照射して得た
キチン・キトサン処理織物を耐久性を調べるため、得ら
れたキチン・キトサン処理織物を酢酸でpH3に調製し
た沸騰した熱水で30分〜240分間洗浄し、洗浄後に
織物に残留する固着キチン・キトサンの量を、オレンジ
−IIによる染色濃度法で定量した。洗浄なしも測定し
た。それらの結果を表3に示す。表3から明らかなよう
に紫外線照射した織物上にキチン・キトサンを固着した
場合、240分間の連続洗浄をしても0.037%(対
繊維重量)のキチン・キトサンは安定に織物上に残留し
ている。
【0055】pH3に調製した沸騰した熱水で洗浄して
も合成高分子製品表面に固着したキチン・キトサンが落
ちにくいのは、キチン・キトサンは単なる物理付着では
なく化学結合(イオン結合)で表面に固着している証拠
である。
【0056】
【比較例5】紫外線照射を行わなかったこと以外は実験
例4と同様の条件でキチン・キトサンをポリエチレンテ
レフタレート平織物に付着させ乾燥した。得られたキチ
ン・キトサン処理織物を耐久性を調べるため、酢酸でp
H3に調製した沸騰した熱水で30分〜240分間洗浄
し、洗浄後に織物に残留する固着キチン・キトサンの量
をオレンジ−IIによる染色濃度法で定量した。洗浄なし
も測定した。それらの結果を表3に示す。表3から紫外
線照射を行わない織物上のキチン・キトサンは30分の
熱水洗浄でほぼ全量が脱落し、織物上への固着が全く不
完全であることがわかる。本発明のキチン・キトサン処
理織物は従来技術である比較例5に比べて37〜52倍
もキチン・キトサン量が多い。
【0057】
【実験例5】実施例1の紫外線を30分間照射して得た
キチン・キトサン処理織物を酢酸でpH3に調製した沸
騰した熱水で30分間洗浄し乾燥した。得られたキチン
・キトサン処理織物の表面に存在する窒素原子(N1S)
をX線光電子分光分析装置(ESCA)で測定した。測
定結果を表4に示す。織物上には顕著な窒素原子のスペ
クトルが測定され、ポリエチレンテレフタレート織物に
は元来含まれていない窒素原子が多量に存在することが
確認された。キチン・キトサンが固着されている証拠で
ある。
【0058】
【比較例6】紫外線照射を行わなかったこと以外は実験
例5と同様の条件でキチン・キトサンをポリエチレンテ
レフタレート平織物に付着させ乾燥した。得られたキチ
ン・キトサン処理織物を酢酸でpH3に調製した沸騰し
た熱水で30分間洗浄し乾燥した。得られたキチン・キ
トサン処理織物の表面に存在する窒素原子(N1S)をX
線光電子分光分析装置(ESCA)で測定した。結果を
表4に示し。わずかな窒素原子の存在が認められるが、
その量は実験例5の3分の1程度であった。このことか
らもキチン・キトサンは熱水で洗い流されたことがわか
る。
【0059】
【発明の効果】本発明は、(1)キチン・キトサンが強
固に固着した合成高分子製品及び(2)合成高分子製品
表面に紫外線を照射したのちキチン・キトサンを付与し
乾燥してキチン・キトサンを合成高分子製品の表面に強
固に固着させる方法であり、係る本発明には下記の効果
がある。
【0060】1.合成高分子製品表面にキチン・キトサ
ンの樹脂が強固に固着されている為、キチン・キトサン
特有の物理化学的物性を長期にわたり発揮できる。耐久
性、特に熱水に対する耐久性は紫外線照射をせずにキチ
ン・キトサンを塗布した従来法で得られるものと比べる
と数十倍の耐久性がある。
【0061】2.キチン・キトサンが強固に固着してい
るため、抗菌性、抗黴性、吸着性、吸湿性、金属封鎖性
(外部から混入した金属による化粧品等の品質低下を防
止する性質)を長期にわたり維持できる合成高分子製品
の提供ができる。
【0062】3.表面にキチン・キトサンを強固に固着
しているため、 (1)静電気が帯電しやすい合成高分子製品の帯電防止
ができる。
【0063】(2)濡れ性を改善つまり濡れやすくでき
るため、例えばティーバックに使用すると水がティーバ
ック内に浸透しやすくなる。
【0064】(3)ポリエステル系、ポリオフィン系の
繊維製品等は染色が難しいため、従来は高圧スチーム下
で分散染料とキャリヤーの存在のもとでの染色していた
が、本発明品はキチン・キトサンが表面に固着している
ため希酸性(pH=3〜4)の染料浴を用意すれば染色
が難しい合成高分子製品も容易に染色できる。複雑かつ
高価な設備及びユーテイリテイーを用いることなく染色
できる。染色性の改善はキチン・キトサン中のキトサン
分子内に有しているアミノ基(−NH2 )の電解質的な
性質に強く関連している思われる。食品の着色料である
食用色素、例えば、赤色2号、3号、102号等による
染色に利用することが出来る為、食品包装用資材(ポリ
オレフィン系、ポリエステル系等の構成によるフィルタ
ー、フィルム等)にも適用できる。従って、本発明の意
義は大きい。
【0065】4.本発明の実施には加熱、減圧、加圧等
の設備投資が不要かつ高価なユーティリティも不要で、
本発明は極めて簡単な装置で実施できる。しかも、取り
扱う物質が安全で人に優しい材料である。
【0066】5.紫外線照射による表面物性の改質を行
う従来技術として、例えば、ポリオレフィン材料をオゾ
ン処理して表面酸化したのち紫外線照射によりビニル化
合物でグラフト共重合し、グラフト化させるためアミド
基を有する生成物を添加しホフマン転移を進める方法
(特開平7−90783)、ポリアクリルアミド系材料
の表面に予めアジド基を有する化合物をコーティングし
たのちこれを固定化するため紫外線を照射してポリアク
リルアミド系材料の表面を改質する方法(特開平4−9
0877)がある。これらの公知の方法は合成高分子素
材に紫外線照射による架橋反応を促進させるために第三
成分を付加したのち紫外線照射をしている。このため、
これらの技術では係る第三成分のハンドリング技術を要
するが、本発明ではそのような技術を必要としない。
【0067】6.本発明の方法では合成高分子製品の表
面に紫外線を照射するが、その程度が軽度であるため合
成高分子材料はそれが有している優れた基本物性並びに
力学的特性を失わうことなく維持できる。
【0068】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、織物上のキチン・キトサン量(%、対
繊維重量比)とオレンジ−IIによる染料濃度K/S値と
の関係を示す。

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合成高分子製品の表面に、酸素を含む雰
    囲気ガス中で紫外線を照射したのち、キチン・キトサン
    溶液を付着させかつ乾燥することからなる合成高分子製
    品の表面にキチン・キトサンを固着する方法
  2. 【請求項2】 キチン・キトサンが表面に少なくともイ
    オン結合で固着してなる請求項1に記載の合成高分子製
    品の表面にキチン・キトサンを固着する方法
  3. 【請求項3】 紫外線を照射したのち付着させるキチン
    ・キトサンの脱アセチル化度が少なくとも20%以上で
    ある請求項1又は2に記載の合成高分子製品の表面にキ
    チン・キトサンを固着する方法
  4. 【請求項4】 照射する紫外線の波長は180nm以上
    330nm以下で、紫外線照射雰囲気は酸素ガスを少な
    くとも1%以上含む気体であって、且つ合成高分子製品
    の表面に対する紫外線の照射量は1J/cm2 以上であ
    る請求項1、2又は3に記載の合成高分子製品の表面に
    キチン・キトサンを固着する方法
  5. 【請求項5】 合成高分子がポリオレフィン系、ポリエ
    ステル系、全芳香族系ポリマー、ポリ塩化ビニリデン、
    ポリアクリロニトリル系、ポリフッ素系、ポリエポキシ
    系、脂肪族系ポリアミド、ポリビニル系の合成高分子又
    はポリアクリル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ス
    チレンとブタジエンの共重合物、ポリアセタール若しく
    はポリメチレンペンテンである請求項1、2、3又は4
    に記載の合成高分子製品の表面にキチン・キトサンを固
    着する方法
  6. 【請求項6】 キチン・キトサンが表面に少なくともイ
    オン結合で固着してなる合成高分子製品
  7. 【請求項7】 酢酸でpH3に調製した沸騰した熱水で
    30分間洗浄したとき、合成高分子製品の表面に固着し
    ているキチン・キトサン量をオレンジ−IIなる染料で染
    色し測定した染料濃度[K/S]が0.02以上である
    キチン・キトサンが表面に固着してなる合成高分子製品
  8. 【請求項8】 染料濃度[K/S]が0.2以上である
    請求項7に記載のキチン・キトサンが表面に固着してな
    る合成高分子製品
  9. 【請求項9】 染料濃度[K/S]が0.4以上である
    請求項7に記載のキチン・キトサンが表面に固着してな
    る合成高分子製品
  10. 【請求項10】 酢酸でpH3に調製した沸騰した熱水
    で30分間洗浄したとき、25℃の水の接触角が50度
    以下であるキチン・キトサンが表面に固着してなる合成
    高分子製品
  11. 【請求項11】 表面の窒素原子に由来するX線光電子
    分光分析(ESCA)のスペクトルN1sの強度が下式を
    満足する、キチン・キトサンが表面に固着された合成高
    分子製品 [N1s]n1/[N1s]n0 ≧ 1.05 但し、n0は基準試料で、基準試料は表面未処理の合成高
    分子製品を0.7%の酢酸でpH3に調製した濃度が
    0.5Vol.%で25℃の脱アセチル化度85%のキチン
    ・キトサン水溶液に10分間浸漬したのち50℃の熱風
    で乾燥させ、更に乾燥したものを酢酸でpH3に調製し
    た沸騰した熱水で30分間洗浄したのち50℃の熱風で
    乾燥したものである。n1は発明試料で、発明試料は合成
    高分子製品の表面に紫外線を照射したのちキチン・キト
    サン水溶液を付着させ乾燥させたのち、更に酢酸でpH
    3に調製した沸騰した熱水で少なくとも30分間洗浄し
    たのち50℃の熱風で乾燥したものである。[N1s]n1
    は発明試料の、[N1s]n0は基準試料の、それぞれの表
    面の窒素原子に由来するX線光電子分光分析(ESC
    A)のスペクトルN1sの強度を意味する。
  12. 【請求項12】 合成高分子がポリオレフィン系、ポリ
    エステル系、全芳香族系ポリマー、ポリ塩化ビニリデ
    ン、ポリアクリロニトリル系、ポリフッ素系、ポリエポ
    キシ系、脂肪族系ポリアミド、ポリビニル系の合成高分
    子又はポリアクリル、ポリカーボネート、ポリスチレ
    ン、スチレンとブタジエンの共重合物、ポリアセタール
    若しくはポリメチレンペンテンであって、キチン・キト
    サンが合成高分子製品表面に化学結合で固着してなる請
    求項6、7、8、9、10又は11に記載のキチン・キ
    トサンが表面に固着してなる合成高分子製品
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