JP3482390B2 - 超音波測定方法、超音波探触子及び超音波測定装置 - Google Patents

超音波測定方法、超音波探触子及び超音波測定装置

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JP3482390B2
JP3482390B2 JP2000327977A JP2000327977A JP3482390B2 JP 3482390 B2 JP3482390 B2 JP 3482390B2 JP 2000327977 A JP2000327977 A JP 2000327977A JP 2000327977 A JP2000327977 A JP 2000327977A JP 3482390 B2 JP3482390 B2 JP 3482390B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超音波により被検
体の物性を測定する超音波測定方法、これに用いる超音
波探触子及び超音波測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の超音波測定では、超音波探触子
(以下探触子と略する)における超音波振動子(以下振動
子と略する)の振動面を被検体に対して垂直又は斜角か
ら宛てがい、送波した超音波を受波することによって被
検体の物性を測定したり、探傷していた。具体的には、
被検体を一対の探触子で挟み、両探触子の振動子間を伝
搬する超音波を測定する(透過法)か、被検体の片面に探
触子を当て、対面に反射して戻ってくる超音波を測定し
ていた(反射法)。
【0003】また、被検体の表面付近を伝搬する超音波
を測定する測定方法もある。この測定方法では、被検体
の同一面に一対の振動子を有する探触子を宛てがい、振
動子間を伝搬する超音波を測定する。この測定方法は上
記透過法又は反射法のような被検体形状の制約は少ない
が、超音波を被検体の表面付近で伝搬させるため、探触
子(振動子)の工夫が必要となる。例えば、超音波を被検
体の表面へ斜めに入射できるようにくさび形音響伝搬媒
体を振動子に宛てがう探触子(斜角探触子)を用いたり、
振動子表面に沿う方向の超音波を発生できるように振動
面へ電極パターンを直接形成していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】透過法又は反射法は、
超音波の伝搬距離が被検体の形状に左右され、測定精度
は被検体の加工精度の影響を受ける問題があった。この
ため、被検体の形状に制約が多く、理論的には非破壊試
験に適した測定法であるにもかからわらず、実際には被
検体の専用テストピースを製作することが多かった。ま
た、被検体の表面付近を伝搬する超音波を測定する測定
方法では、探触子は被検体に振動子の振動面を伝搬媒体
を介して面接触させて超音波を送波又は受波するため、
探触子間距離を特定することを難しくし、測定精度を向
上するためには探触子間距離を変更して複数回測定して
いた。
【0005】このように、従来の超音波測定方法では、
被検体の形状の制約や探触子(振動子)の問題で測定精度
の低下を受ける問題があった。そこで、前記制約や探触
子(振動子)の問題に左右されず、簡便かつ精度よく超音
波測定を実施できる超音波測定装置について検討した。
【0006】
【課題を解決するための手段】検討の結果、開発したも
のが、送波振動子(送波用超音波振動子)から被検体表面
付近に沿って伝搬する回折波を受波振動子(受波用超音
波振動子)で受波する際、受波振動子の振動面にわたっ
て該受波振動子が受波する回折波を伝搬方向に積分した
波形として測定信号を得る超音波測定方法である。送波
振動子又は受波振動子は従来公知のものを用いることも
できるが、好ましくは送波振動子又は受波振動子を回折
波の伝搬方向に略点音源とみなせる大きさにする。ま
た、実際の測定にあたって各振動子の取扱いの便を図る
ため、送波振動子が送波する回折波の伝搬方向にこの送
波振動子及び受波振動子を相互に間隔を開けて配列し、
一体とした超音波探触子を用いるとよい。本発明は、振
動子が発する主たる超音波に附随して発生する回折波
(漏洩波、主たる超音波ではなくて振動子から被検体表
面付近へ漏れ出す波)を測定対象にする。
【0007】本発明が測定対象とする回折波は、被検体
表面に振動子が接触していれば発生するので、振動子に
は振動面と平行な超音波面を形成する能力があればよい
ことになる。これは、超音波の被検体への入射点、透過
点を明確にする利点があるほか、例えばくさび形伝搬媒
体を介して超音波を屈折させて送波する必要をなくし、
振動子の構造を簡素化する利点をもたらす。こうした振
動子は、圧電材の対向面に電極を形成しただけの構成で
よい。振動子に圧電材を用いる場合、振動面に対して部
分的に電極を形成すれば圧電材が複雑な振動を発生さ
せ、回折波を効率よく発生させることができる。
【0008】被検体表面付近に沿って伝搬する回折波を
受波振動子の振動面から観測すると、測定信号は被検体
に対して接触する振動子の振動面(開口面)にわたって回
折波を伝搬方向に積分した波形として得られる。このた
め、各振動子は超音波の伝搬方向に略点音源とみなせる
ことが望ましい。具体的には、各振動子における超音波
の伝搬方向の開口面の長さ(開口長)が、被検体中を伝搬
する超音波の波長の1/2以下とする。この場合、本発明
で扱う振動子は微少化できる。これに対して前記超音波
がパルス波の場合、逆に開口長を被検体中での超音波の
波長より十分大きくすると、測定信号はあたかも振動面
の両端部それぞれから超音波が送波又は受波するかのよ
うに取り扱うことができる。この場合、受波振動子で観
測できる測定信号は、前記両端部からの測定信号が重な
るので、開口長は前記測定信号を分離できる程度に長く
することが望ましい。
【0009】送波振動子が送波する回折波の伝搬方向に
送波振動子及び受波振動子を配列し、一体とした超音波
探触子では、上記開口長方向に配列する。この超音波探
触子は、振動子間の距離=超音波の伝搬距離として扱え
る利点がある。しかも、こうした振動子間はダイシング
ソーによって正確に形成可能なので、超音波の伝搬距離
も正確に決まる。複数の振動子を配列した探触子は、
(1)一度に広い範囲を測定対象にすることができるほ
か、(2)異なる配列方向に振動子を配列すると、一度に
複数の伝搬方向における測定ができる。また、(3)交差
する配列の交差部位を測定すると、求められる音速値か
ら残量応力を導くことも可能になる。このほか、(4)複
数の振動子を被検体に対して湾曲して配列すれば、被検
体が曲面でも各振動子を接触できる。
【0010】探触子に複数の振動子(受波振動子が複数)
を配列していれば、被検体に対する探触子の接触方向を
変えて複数回測定することと同義になり、一度の測定で
容易に音速を特定できる。また、複数の振動子で受波
し、各振動子での波形や受波時間を比較すれば、測定精
度を向上させることができる。この場合、いずれの振動
子を送波用又は受波用にするかの組み合せを変更自由に
しておくと、探触子を動かすことなく、異なる振動子の
組み合せで異なる測定区間を測定できる。更に付け加え
れば、現実の振動子は単振動ではなく三次元的な複雑な
振動をするので、回折波には様々なモードの超音波を含
むことになる。これにより、多様な振動モードを利用し
て、一度の測定で異なる特性を同時に測定できる。これ
は、縦波及び横波の音速の比較から、被検体の物性を調
べる場合に有用である。
【0011】本発明に言う超音波振動子の振動面とは、
PZTのような振動子そのものだけに限らず、音響整合材
の表面であったり、保護膜の表面であってもよい。ま
た、複数の振動子を一体の探触子とする場合、1基のブ
ロックに複数の振動子を取り付けるばかりではなく、複
数のブロック毎に振動子を取り付けたり、単位ブロック
毎に複数の振動子を取り付けた構成でもよい。前記のよ
うに、探触子を複数のブロックで構成する場合、ブロッ
ク間に任意長のスペーサを挿入すれば、結果として振動
子間距離を可変できることになる。このほか、複数のブ
ロックを相対的に移動可能にしても同様に振動子間距離
を可変できる。
【0012】ブロックにおける振動子間には、振動子を
位置固定するために樹脂を充填するとよいが、この樹脂
は(1)音速が被検体より遅く、(2)音響インピーダンスは
振動子とは異なる値、好ましくは小さい値を持つことが
望ましく、(3)更に超音波に対して減衰率が大きいこと
が好ましい。これらにより、探触子内を伝搬する超音波
による測定誤差の発生を抑制又は防止できる。具体的な
樹脂としては、ウレタン、シリコン、エポキシ樹脂等を
例示できる。
【0013】各振動子の振動面は、従来同様、水又は油
等の伝搬媒体を介して被検体表面に押し当てることを基
本とする。このとき、伝搬媒体の厚みが一定しないと誤
差の要因になることが多い。本発明では、微少にした振
動子だけが被検体に接触していればよく、探触子のその
他の部分は被検体表面から離れていてもよいので、過剰
な伝搬媒体の逃げ道を形成できる。具体的には、単純に
探触子表面から振動子のみを突出したり、振動子以外の
部位を凹ませる又は溝を刻設する。これにより、振動子
間に伝搬媒体の逃げ道を形成できる。このほか、振動子
以外の部分に温度センサを設ければ、超音波の測定と同
時に被検体の温度を測定できる。また、振動子以外の部
分にアース電極を設け、導電体である被検体を測定と同
時に接地することもできる。被検体を接地すれば、測定
誤差の要因となる電気ノイズを低減できる。
【0014】本発明で測定対象とする回折波は非常に微
弱であるため、上記のほかにも、振動子間のクロストー
クに注意を要する。特に、送波振動子からの送波が探触
子内を通して受波振動子に電気的に漏れ込んだり、主た
る超音波の反射波がクロストークの要因となりやすい。
このため、各振動子に繋がる信号線はなるべく分離する
ことが望ましい。例えば、送波振動子及び受波振動子の
各アースを分離すること、少なくとも探触子内で完全に
分離することは、クロストークの影響を低減することに
効果が大きい。測定回路のアナログ部まですべて分離す
ることが理想的である。
【0015】被検体の物性のうち、振動子間の距離を伝
搬時間で徐算すれば、音速を求めることができる。この
とき、測定値に対して測定時の遅延を補正すれば、音速
の精度を向上させることができる。具体的には、一つの
送波振動子から複数の受波振動子への回折波の伝搬時間
を測定し、各伝搬時間の時間差より音速を求めれば、単
一の送波振動子及び受波振動子の組み合せに含まれる遅
延や、それぞれの伝搬媒体等による誤差を互いにキャン
セルすることができ、測定精度を向上させることができ
る。
【0016】本発明を利用する超音波測定装置では、ど
のように受波時間を決定するかが重要である。そこで、
送波振動子から被検体表面付近に沿って伝搬する回折波
を受波振動子で受波する超音波測定装置であって、振動
面を被検体表面に直接接触する送波振動子及び受波振動
子からなる超音波探触子と、被検体表面付近を伝搬する
送波振動子の回折波を受波振動子が受波して得られる対
象信号を受波振動子が受波して得られる測定信号から特
定する信号処理部とからなる超音波測定装置を構成す
る。具体的な信号処理部は、基準体表面を伝搬する送波
振動子の回折波を受波振動子が受波して得られる基準信
号を記憶した比較基準部と、受波振動子が受波して得ら
れる測定信号を保持する比較処理部とからなり、比較処
理部が保持した測定信号に対して比較基準部から提供す
る基準信号を時系列に沿って比較し、この基準信号と最
も一致する測定信号の特定部位を対象信号としてこの測
定信号から特定し、この対象信号における特定点の測定
時間を受波時間として決定することとした。
【0017】基準信号は、特性公知の基準体を測定して
予め得る。今、測定対象となる回折波が縦波のように伝
搬速度が速く、乱れの少ない場合は、基準信号は波長に
対して短くすることができる。例えば、基準信号を1/4
波長とすれば、比較のための計算が高速となる(取り扱
うデータ量が少なくなるため)ほか、振動子の両端部を
異なる点音源とみなす場合に両端部の信号を分離するた
めに必要な開口長が短くて済む。逆に、回折波が横波の
ように伝搬速度が遅く、乱れが多い場合は、確実な比較
を実現するために、基準信号は波長に対して長くする方
が好ましい。
【0018】基準信号は、測定時に得られる別の受波振
動子の測定信号を利用することもできる。例えば、複数
の受波振動子間を用いる場合、ある受波振動子に適用す
る基準信号は、前記受波振動子より送波振動子に近い受
波振動子で受波した測定信号から、(a)受波時間を特定
して得たり、(b)遅延を測定したい任意の部位を切り出
して基準信号として利用する。こうした基準信号の取得
は、予め基準信号を用意しておく必要性をなくすほか、
超音波の伝搬にともなって徐々に変形に対応しやすくな
る利点がある。
【0019】基準信号と測定信号との比較は、様々な方
法が採用しうる。例えば、視覚的な確認が理解しやすい
ことから、それぞれの波形を幾何学的に比較する例をあ
げることができる。この場合、基準信号の波形を測定信
号の波形に対して時系列に沿って移動させながら比較す
ることになる。このとき、時系列に沿って移動する時間
間隔が短いほど比較精度を向上させることができるが、
こうした比較を測定信号の波形全体に対して実施する
と、時間が掛かり過ぎる虞れがある。そこで、比較すべ
き測定信号の範囲を予め限定しておくとよい。こうした
比較範囲の限定は、測定対象とした回折波以外の測定信
号を予め除外する意味もある。前記範囲の限定は、被検
体から予想される伝搬速度に基づいて期待される受波時
間の前後として決定することもできるし、モニタ等で観
測できる波形からで人為的に調整、決定してもよい。
【0020】超音波は、伝搬過程で減衰し(振幅が小さ
くなり)、周波数も低下するので、基準信号の振幅又は
周波数を補正することは、精度よい測定に繋がる。振幅
補正は、基準信号における最大振幅又は全エネルギー
と、測定信号の比較しようとする部位における最大振幅
又は全エネルギーとを一致させる方法がある。また、周
波数補正は、基準信号及び測定信号を共に周波数変換し
て比較し、周波数特性を一致させる方法がある。受波時
間については、時系列に沿った波形の比較だけでなく、
例えば基準信号及び測定信号の比較対象部位の各フーリ
エ変換した際にみられる位相差から、時間的な遅延を求
めて受波時間を決定する方法を用いることもできる。こ
のほか、予め明確な減衰率が分かっている場合、伝搬距
離から求まる減衰量で測定信号を補正することもでき
る。このとき使用した前記補正値は、被検体の減衰率等
を表す指標として使用できる。
【0021】本発明は、被検体表面付近における微少な
欠陥の検出には有効である。従来の超音波測定装置で
は、被検体表面付近における微少な欠陥は、エコー、探
傷子自身の振動等により検出しにくかったが、本発明で
は被検体表面付近を伝搬する回折波を利用するので、比
較的容易に探傷できるわけである。また、信号処理部に
おける信号比較を利用して、予め欠陥のないときの測定
信号を測定しておき、新たに測定して得られた測定信号
と比較して、波形の変化した時間から欠陥部位の特定も
できる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
図を参照しながら説明する。図1は本発明を適用した超
音波測定装置を用いた被検体Oに対する測定態様を表し
た概念図、図2は同測定装置の全体構成図、図3は探触
子1の構造を被検体Oとの接触側から表す斜視図、図4
は送波振動子2に対して受波振動子3の一方の距離を可
変できる別例の探触子1の構造を表す斜視図、図5は更
に別例の探触子1の斜視図、図6は測定時における受波
時間T1,T2の特定の手順を表した波形図であり、図7
は別態様の受波時間T1,T2の特定の手順を表した波形
図である。
【0023】本例の超音波測定装置に用いる探触子1
は、図1に見られるように、1基の送波振動子2からの
回折波を距離の異なる2基の受波振動子3,4で受波す
る構成である。装置全体は、図2に見られるように、送
波振動子2に送波回路5を介して発振回路6を接続し、
各受波振動子3,4には受波回路7、A/Dコンバータ8を
介して測定信号を一時的に記憶する記憶装置9をそれぞ
れ接続している。前記測定信号と比較する基準信号は予
め別の記憶装置10に記憶してあり、演算装置11において
記憶装置9,10から取り出した基準信号と測定信号とを
比較できる。
【0024】各振動子2,3,4は等価な構造で、図3に
見られるように、台座12にパッキング材13を積層し、各
振動子2,3,4に対応した部位に振動面としてPZT14を
載せ、更に整合層15を設けている。振動面にPVDFを用い
た場合、各振動子に対応した電極のみを分割した構成に
することもできる。各振動子2,3,4間には、強度メン
バーとしての充填材(樹脂)16を介在させ、外観的にはア
レイ型振動子同様の探触子1を構成している。各振動子
2,3,4の位置は、ダイシングソー等を用いて正確に位
置を定めながら形成できるので、各振動子2,3,4の位
置関係及び距離は精度よく決定できる。本例では単一の
台座12に全振動子2,3,4を一体に構成しているが、例
えば図4に見られるように、受波振動子3,4を個別の
台座17,18に構成し、適宜スペーサ19を介して一体の探
触子1としたり、基本となる台座17からロッド20を延設
して、一部の受波振動子4の台座18を変位自在に設ける
ことで、各振動子2,3,4間の距離を可変できる。
【0025】本発明では、各振動子2,3,4が点音源と
等価となるように微細に構成することができるため、探
触子1全体としては医療用に見られる小型な探触子にで
きる。また、図からは分かりにくいが、充填材16の面よ
りも振動子2,3,4のみをわずかに突出させて構成すれ
ば、水又は油のような伝搬媒体を排除して等しく被検体
O表面に振動子2,3,4を押し付けることができる。こ
の場合、探触子1や被検体Oを固定する治具は必要な
く、探触子1を手で被検体Oに押しつけるだけで十分で
あるため、測定自体が非常に簡便になる利点がある。
【0026】このほか、例示では、送波振動子2及び受
波振動子3,4の役割を固定している(図2参照)が、例
えばスイッチの切替によって、送波振動子及び受波振動
子を入れ替えるようにしてもよい。また、一度の送波に
より各受波振動子で同時に受波してもよいし、受波振動
子の数だけ送波を繰り返し、各受波振動子で順次受波し
てもよい。
【0027】測定信号をA/D変換するのは、後段の演算
装置11における比較を容易にするためで、例えばOSC(オ
シロスコープ)上で測定者が視覚的に比較する場合に
は、必ずしもA/D変換する必要はない。本例では、図6
に見られるように、基準信号の波形を測定信号の波形に
対して時系列に沿って移動させながら、演算装置11にお
ける数値処理によって幾何学的な相似程度を算出し、最
も類似とみなされる波形(対象信号の波形)の時間を受波
時間として特定する。波形の比較に際して、各波形の振
幅を一致するように比較すると、類似の程度を判別しや
すい。
【0028】本例の探触子1では、回折波の伝搬方向に
従って2基の受波振動子3、4を並べているので、例え
ば図7に見られるように、送波振動子2に近い受波振動
子4における受波時間T1の特定は上述のように決定す
るが、送波振動子2から離れた受波振動子3における受
波時間T2の特定は、先に類似の程度を比較して特定し
た受波振動子4の対象信号を基準信号として利用でき
る。被検体O中を伝搬する超音波は、振幅が減衰し、周
波数も低い方へ変位していくので、前述のように各測定
毎の複数の受波振動子3,4において、より送波振動子
2に近い受波振動子4で特定した測定信号(対象信号)を
次の受波振動子3の基準信号とすれば、刻々変化しいく
超音波の波形に追従して検出しやすくなる。受波信号の
S/N比の改善には、複数回測定を繰り返し、測定信号を
平均化するとよい。このほか、測定信号に各種補正を施
しておくと、測定精度の向上に繋がる。
【0029】このようにして得られた各受波振動子3,
4における受波時間の差と、前記受波振動子3,4間そ
れぞれの距離とから、容易に高精度の音速値を求めるこ
とができる。また、様々な超音波のモードに対応した個
別の基準信号を用意しておいて、各モード毎に受波時間
を測定すればより多くの物性(例えばポアッソン比)を調
べることができる。演算装置11における処理結果は、モ
ニタ表示やプリンタによる印刷によって確認でき、別途
記憶装置に記憶して、長期保存できる。
【0030】
【発明の効果】本発明の超音波測定方法又は装置(超音
波探触子を含む)を用いて被検体の物性を測定すれば、
従来の透過法又は反射法に見られたように、測定精度は
被検体の加工精度の影響を受けることがなくなり、むし
ろ簡便かつ精度のよい測定が可能になる。これは、被検
体の専用テストピースの製作を不要にし、事実上のあら
ゆる面での超音波測定を可能にする効果を生む。
【0031】上記測定の簡便さ、正確さは、回折波を送
波及び受波する測定方法によるもので、送波及び受波振
動子を配列した探触子を用いて一度に複数の測定ができ
るところに負うところが大きい。また、探触子に配列し
た各振動子の振動面を被検体表面に面接触させる測定態
様が、正確な振動子間距離を得ることになり、ひいては
正確な音速測定を可能にし、更には様々なモードを利用
した多面的な超音波測定を容易にしている。このよう
に、本発明は、超音波測定の簡便さと正確さとを両立さ
せた点に最大の効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した超音波測定装置を用いた被検
体に対する測定態様を表した概念図である。
【図2】同測定装置の全体構成図である。
【図3】探触子の構造を被検体との接触側から表す斜視
図である。
【図4】送波振動子に対して受波振動子の一方の距離を
可変できる別例の探触子の構造を表す斜視図である。
【図5】更に別例の探触子の斜視図である。
【図6】測定時における受波時間の特定の手順を表した
波形図である。
【図7】別態様の受波時間の特定の手順を表した波形図
である。
【符号の説明】
1 探触子 2 送波振動子 3 送波振動子から離れた受波振動子 4 送波振動子に近い受波振動子 O 被検体 T1 送波振動子に近い受波振動子における受波時間 T2 送波振動子から離れた受波振動子における受波時
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 29/00 - 29/28 H04R 17/00 330 - 332

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 相互に間隔を開けて配列した送波振動子
    及び受波振動子の振動面を被検体表面に接触させ、送波
    振動子の振動面から被検体表面付近に沿って伝搬する回
    折波を受波振動子の振動面で受波して測定信号を得るこ
    とを特徴とする超音波測定方法。
  2. 【請求項2】 送波振動子又は受波振動子を、回折波の
    伝搬方向に略点音源とみなせる大きさとした請求項1記
    載の超音波測定方法。
  3. 【請求項3】 送波振動子から被検体表面付近に沿って
    伝搬する回折波を受波振動子で受波する超音波探触子で
    あって、送波振動子が送波する回折波の伝搬方向に該送
    波振動子及び受波振動子を相互に間隔を開けて配列し、
    一体としたことを特徴とする超音波探触子。
  4. 【請求項4】 送波振動子から被検体表面付近に沿って
    伝搬する回折波を受波振動子で受波する超音波測定装置
    であって、振動面を被検体表面に直接接触する送波振動
    子及び受波振動子からなる超音波探触子と、被検体表面
    付近を伝搬する送波振動子の回折波を受波振動子が受波
    して得られる対象信号を受波振動子が受波して得られる
    測定信号から特定する信号処理部とからなることを特徴
    とする超音波測定装置。
  5. 【請求項5】 信号処理部は、基準体表面を伝搬する送
    波振動子の回折波を受波振動子が受波して得られる基準
    信号波形を記憶した比較基準部と、受波振動子が受波
    して得られる測定信号の波形を保持する比較処理部とか
    らなり、比較処理部が保持した測定信号の波形に対して
    比較基準部から提供する基準信号波形を時系列に沿っ
    移動させながら比較し、該基準信号波形と最も一致
    する測定信号の波形の特定部位を対象信号の波形として
    該測定信号の波形から特定し、該対象信号の波形におけ
    る特定点の測定時間を受波時間として決定する請求項4
    記載の超音波測定装置。
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