JP3470639B2 - ステンレス鋼硫酸酸洗液中の有機化合物の迅速分析方法 - Google Patents

ステンレス鋼硫酸酸洗液中の有機化合物の迅速分析方法

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  • Investigating Or Analyzing Non-Biological Materials By The Use Of Chemical Means (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ステンレス鋼硫酸
酸洗液中の有機化合物を、簡便・迅速に定量することが
可能なステンレス鋼硫酸酸洗液中の有機化合物の迅速分
析方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ステンレス鋼の硫酸酸洗処理において
は、近年、生産性向上のための酸洗促進剤として有機化
合物が添加されることが多い。上記した酸洗促進剤とし
ては、チオールの添加が有効で、これが酸洗液中でジス
ルフィド結合を有する化合物(以下ジスルフィド化合物
とも記す)と相互交換することにより、鋼板表面の発生
期の水素を除去し、酸洗を促進することが知られている
(特開平10−265981号公報参照)。
【0003】この場合、チオールは容易に空気酸化さ
れ、使用時の酸洗液中にはほとんど存在しないため、酸
洗促進剤の濃度を管理するためには、液中のジスルフィ
ド化合物を定量すればよい。酸洗液中のジスルフィド化
合物を定量する方法としては、これまで核磁気共鳴スペ
クトル法(NMR) を用いる方法が報告され、この方法によ
って、酸洗促進剤の適切な濃度管理が可能となった(特
開平10−265981号公報参照)。
【0004】一方、上記方法の場合、酸洗液中に多量に
含まれる硫酸や金属イオンと分析目的成分であるジスル
フィド化合物を分離する必要があるため、溶媒抽出や塩
析などの試料の前処理操作が必要であり、前処理操作が
不要でジスルフィド化合物などの有機化合物を簡便・迅
速に定量することが可能なステンレス鋼硫酸酸洗液中の
有機化合物の迅速分析方法が求められていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記した従
来技術の問題点を解決し、ステンレス鋼硫酸酸洗液中の
酸洗促進剤などの有機化合物を、試料の特別な前処理な
しに、簡便・迅速に分析することが可能なステンレス鋼
硫酸酸洗液中の有機化合物の迅速分析方法を提供するこ
とを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、ステンレス鋼
硫酸酸洗液を高速液体クロマトグラフの分離カラムに導
入し、分離カラムからの溶離液を検出器に導き、前記ス
テンレス鋼硫酸酸洗液中の有機化合物の定量を行うにあ
たり、前記分離カラムがグラファイトカーボンカラムで
あり、前記高速液体クロマトグラフの移動相として、親
水性有機溶媒を含有する液体を用いる。
【0007】
【0008】また、前記した本発明においては、前記有
機化合物がカルボキシル基を有する有機化合物で、前記
高速液体クロマトグラフの移動相として、親水性有機溶
媒を含有しかつ硫酸および/または過塩素酸を添加した
液体を用いることが好ましい(本発明の第の好適態
様)。また、前記した本発明、本発明の第の好適態
おいては、前記高速液体クロマトグラフの移動相がさ
らに水を含有することが好ましく、この場合、さらに
は、前記移動相である液体中の親水性有機溶媒の濃度が
3〜30 vol%であることがより好ましい(本発明の第
の好適態様〜第の好適態様)。
【0009】また、前記した本発明、本発明の第1の好
適態様〜第の好適態様は、前記した分離カラムに導入
する際のステンレス鋼硫酸酸洗液の硫酸濃度が、好まし
くは10〜500g-H2SO4/l、より好ましくは50〜500g-H2SO4
/l、さらに好ましくは100 〜500g-H2SO4/lであるステン
レス鋼硫酸酸洗液中の有機化合物の迅速分析方法として
好適に用いられる。
【0010】また、前記した本発明、本発明の第1の好
適態様〜第の好適態様は、前記した分離カラムに導入
する際のステンレス鋼硫酸酸洗液の硫酸濃度が、好まし
くは10〜500g-H2SO4/l、鉄イオン濃度がFeとして0.01〜
5mol/l 、より好ましくは上記硫酸濃度が、50〜500g-H
2SO4/l、鉄イオン濃度がFeとして0.01〜5mol/l 、さら
に好ましくは上記硫酸濃度が、100 〜500g-H2SO4/l、鉄
イオン濃度がFeとして0.01〜5mol/l であるステンレス
鋼硫酸酸洗液中の有機化合物の迅速分析方法として好適
に用いられる。
【0011】また、前記した本発明、本発明の第1の好
適態様〜第の好適態様においては、前記した溶離液を
検出器に導き得られた検出値と、標準物質に基づいて求
めた検量線とから定量を行うことができる。なお、前記
した本発明、本発明の第の好適態様〜第の好適態様
における移動相に関する各規定は、試料であるステンレ
ス鋼硫酸酸洗液と合流(混合)前の移動相(キャリヤー
液)に関する規定を示す。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳細に説明
する。高速液体クロマトグラフ(以下HPLCとも記す)
は、溶液中の有機成分の分離・定量装置として利用され
ている。しかしながら、液体クロマトグラフィーを定量
を目的として用いる場合は、共存成分の妨害を避けるた
めに、目的成分のみを何らかの前処理によって抽出した
後、ほぼ中性の溶液に調製して測定に供するのが一般的
であり、さらには、本発明の対象とする酸洗液のような
強酸性でしかも多量の金属イオンを含有する試料に適用
された例はない。
【0013】本発明者らは、前記した従来技術の問題点
を解決するために鋭意検討した結果、下記知見(1) 〜
(3) を見出し本発明に至った。 (1) ステンレス鋼硫酸酸洗液を高速液体クロマトグラフ
で分析することによって、特別な前処理なしに、ステン
レス鋼硫酸酸洗液中の有機化合物の定量を行うことがで
きる。
【0014】(2) 高速液体クロマトグラフの移動相とし
て、親水性有機溶媒を含有する液体を用いることによっ
て、高速液体クロマトグラフにステンレス鋼硫酸酸洗液
を前処理なしで直接導入しても、分析目的成分を酸、金
属イオンなどの共存成分から完全に分離することが可能
であると共に、酸、金属イオンなどがカラム内に残存す
ることを防止し、分離カラムの連続繰り返し使用が可能
である。
【0015】(3) ステンレス鋼硫酸酸洗液中に酸洗促進
剤として添加されるカルボキシル基を有する有機化合物
の定量分析に際して、高速液体クロマトグラフの移動相
として、親水性有機溶媒を含有しかつ酸を添加した液体
を用いることによって、溶出ピークの分裂および保持時
間の変動を防止し、分析精度を向上することができる。
【0016】すなわち、本発明においては、ステンレス
鋼硫酸酸洗液を、特別な前処理なしに、硫酸および金属
イオンを含んだ状態で、高速液体クロマトグラフの分離
カラムに直接導入し、分離カラムからの溶離液を検出器
に導き、ステンレス鋼硫酸酸洗液中の有機化合物の定量
を行う。また、本発明においては、高速液体クロマトグ
ラフの移動相として、親水性有機溶媒を含有する液体を
用いることによって、酸洗液中の酸洗促進剤などの有機
化合物と酸洗液中の多量の酸や金属イオンとを分離する
と共に、酸や金属イオンの分離カラムへの吸着を防止す
る。
【0017】また、本発明のさらに好適な態様において
は、ステンレス鋼硫酸酸洗液中に酸洗促進剤として添加
されるカルボキシル基を有する有機化合物の定量分析に
際して、高速液体クロマトグラフの移動相として、親水
性有機溶媒を含有しかつ酸を添加した液体を用いること
によって、溶出ピークの分裂および保持時間の変動を防
止する。
【0018】分離、溶出した溶離液は検出器に導入し、
標準物質で作成した検量線を用いて有機化合物の含有量
を求める。以下、本発明におけるステンレス鋼硫酸酸洗
液、分離カラム、移動相、検出器について説明する。 〔ステンレス鋼硫酸酸洗液:〕本発明は、酸洗促進剤な
どの有機化合物を含有するステンレス鋼硫酸酸洗液中の
有機化合物の迅速分析方法として用いられる。
【0019】また本発明は、酸洗促進剤としてジスルフ
ィド結合(-S-S-) を有する有機化合物および/またはメ
ルカプト基(-SH基)を有する有機化合物を含有するステ
ンレス鋼硫酸酸洗液中の有機化合物の迅速分析方法とし
て好適に用いられる。さらに本発明は、後記する理由か
らカルボキシル基を有する上記酸洗促進剤を含有するス
テンレス鋼硫酸酸洗液中の有機化合物の迅速分析方法と
して好適に用いられる。
【0020】本発明に係る酸洗促進剤としては、下記
(1) 、(2) の有機化合物が例示される。 (1) :ジスルフィド結合を有する有機化合物(:ジスル
フィド化合物);該有機化合物としては、下記一般式
(1) 、(2) で表される脂肪族化合物および下記式(3) で
表されるジチオサリチル酸から選ばれる1種または2種
以上である有機化合物が例示される。
【0021】 S2(Cn H2n COOH)2……………(1) S2(Cn H2n OH)2 ……………(2) 式(1) 、(2) 中、nは1〜10から選ばれる整数を示し、
より好ましくは、nは1〜5から選ばれる整数である。
【0022】
【化1】
【0023】また、前記一般式(1) で表される脂肪族化
合物としては、S2(CH2COOH)2(ジチオ二酢酸)、S2(CH2
CH2COOH)2 (ジチオ二プロピオン酸)が例示され、前記
一般式(2) で表される脂肪族化合物としては、S2(CH2CH
2 OH)2(ジチオ二エタノール)が例示される。また、前
記式(3) で表されるジチオサリチル酸はアルキル基など
の置換基を有していてもよい。
【0024】また、本発明においては、酸洗液と混合前
の前記一般式(1) 、(2) 、(3) で表される化合物のカル
ボキシル基、水酸基の水素原子が、Na、K などのアルカ
リ金属またはCa、Mgなどのアルカリ土類金属で置換され
ていてもよい。 (2) :メルカプト基を有する有機化合物;該有機化合物
としては、メルカプト酢酸、メルカプトコハク酸、2-メ
ルカプトプロピオン酸、メルカプトエタノールなどが例
示され、酸洗液中で2-メルカプトプロピオン酸から生成
する2-メルカプトプロピオン酸のジスルフィドも含まれ
る。
【0025】また、本発明においては、酸洗液と混合前
の上記化合物のカルボキシル基、水酸基の水素原子が、
Na、K などのアルカリ金属またはCa、Mgなどのアルカリ
土類金属で置換されていてもよい。以上、本発明におけ
るジスルフィド結合を有する有機化合物(ジスルフィド
化合物)、メルカプト基を有する有機化合物それぞれの
好適な具体的化合物を例示したが、酸洗促進剤として、
ジスルフィド化合物およびメルカプト基を有する有機化
合物の両者を併用してもよく、また、これらの両者にお
いて2種以上併用してもよい。
【0026】また、本発明は、分離カラムに導入する際
のステンレス鋼硫酸酸洗液の硫酸濃度が、好ましくは10
〜500g-H2SO4/l、より好ましくは50〜500g-H2SO4/l、さ
らに好ましくは100 〜500g-H2SO4/lであるステンレス鋼
硫酸酸洗液中の有機化合物の迅速分析方法として好適に
用いられる。また、本発明は、分離カラムに導入する際
のステンレス鋼硫酸酸洗液の硫酸濃度が好ましくは10〜
500g-H2SO4/l、鉄イオン濃度がFeとして0.01〜5mol/l
、より好ましくは上記硫酸濃度が50〜500g-H2SO4/l、
鉄イオン濃度がFeとして0.01〜5mol/l 、さらに好まし
くは上記硫酸濃度が、100 〜500g-H2SO4/l、鉄イオン濃
度がFeとして0.01〜5mol/l であるステンレス鋼硫酸酸
洗液中の有機化合物の迅速分析方法として好適に用いら
れる。
【0027】これは、本発明によれば、上記した高濃度
の硫酸、もしくはさらには、鉄イオンを含有するステン
レス鋼硫酸酸洗液に対してもこれら共存成分を予め除去
することなく酸洗液中の有機化合物を定量することが可
能なためである。なお、硫酸濃度、さらには、鉄イオン
濃度が前記した好適上限を超える場合は、硫酸、鉄イオ
ンと有機化合物との分離性が低下する。
【0028】〔分離カラム:〕本発明者らは、前記した
共存成分と酸洗促進剤などの有機化合物とを分離するた
めの分離カラムとして、耐酸性の大きいグラファイトカ
ーボンカラムを選択した。グラファイトカーボンカラム
は、カーボンの構造上、機械的強度(耐圧)にも優れ、
全てのpH領域で使用でき、また、移動相の選択によって
逆相、順相両モードで使用できるという利点を有する。
【0029】その他の分離カラムとしては、シリカゲル
を母体としたシリカ系カラムや、シリカ系よりも酸に対
して安定なポリマー系カラムなどを用いることができ
る。上記した分離カラムは、グラファイトカーボンに比
べれば、酸洗液分析に際しての耐久性は劣るものの分析
に用いるには支障はない。 〔移動相:〕本発明者らは、測定を妨害する酸洗液中の
多量の酸および金属イオンを、分離カラムに吸着せしめ
ることなく先に溶出し、例えば酸洗促進剤として添加さ
れたチオールおよびジスルフィド化合物などの目的分析
成分である有機化合物を分離カラムに所定時間吸着、保
持することとし、そのための移動相として、親水性有機
溶媒と水との混合溶液を用いた。
【0030】本発明によれば、移動相として親水性有機
溶媒を含有する液体を用いることによって、下記の優れ
た効果が得られる。 (1) 高速液体クロマトグラフにステンレス鋼硫酸酸洗液
を前処理なしで直接導入しても、酸、金属イオンを迅速
にカラムから溶出すると共に、ジチオ二酢酸などの目的
分析成分である有機化合物をカラムに捕捉し、優れた分
離性能を得ることができる。
【0031】(2) また、多量の酸、金属イオンをカラム
から迅速に溶出できるため、繰り返し分析を行っても
酸、金属イオンのカラム内残存による妨害を防ぐことが
できる。 (3) 親水性有機溶媒中には、ステンレス鋼硫酸酸洗液中
の酸、金属イオン、ジチオ二酢酸、油などの有機化合物
のいずれもが溶解するため、検出器側も含めた高速液体
クロマトグラフの溶液流通配管系統内における汚れ、閉
塞を防止することができる。
【0032】本発明における親水性有機溶媒としては、
特に制限されるものではないが、アセトニトル、エチレ
ンジアミン、モノエタノールアミンなどの含窒素有機化
合物、メタノール、エタノール、エチレングリコールな
どのアルコール類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、
およびアセトンから選ばれる1種または2種以上を用い
ることが好ましい。
【0033】親水性有機溶媒の濃度は特に限定されるも
のではないが、濃度の増加は有機化合物の溶出を早める
ため、3〜30 vol%とし、酸洗液中の酸および金属イオ
ンなどのマトリックスが完全に溶出した後に、目的分析
成分である有機化合物を溶離せしめることが好ましい。
酸洗促進剤として添加するジスルフィド化合物、メルカ
プト基を有する有機化合物などの多くは、水溶性を持た
せるためにカルボキシル基を有している。
【0034】この結果、これらの酸解離平衡に基づき、
分離カラム中の液のpHによって複数の化学種が生成し、
溶出ピークが複数に分裂したり、保持時間が変動し、分
析精度を低下させる。このため、本発明においては、カ
ルボキシル基を有する有機化合物の定量に際して、移動
相である液体に予め少量の酸を添加し、酸解離を抑制す
ることが好ましい。
【0035】添加する酸の種類は、目的分析成分である
有機化合物の酸化、還元を防止すると共に、カラムへの
吸着が防止できる硫酸および/または過塩素酸とする
酸の添加濃度は、0.1 〜100mmol/l-移動相(キャリヤー
液)が好ましい。酸濃度の増加はジスフィルド化合物な
どの有機化合物の保持時間を増大させるため、親水性有
機溶媒量に合わせて溶出時間を調整することが好まし
い。
【0036】なお、本発明においては、定量対象の有機
化合物が、ジチオ二エタノール、メルカプトエタノール
など水酸基を有する有機化合物である場合は、カルボン
酸の場合のような解離が生じないため、酸の添加は特に
必要無い。 〔検出器:〕以上述べた本発明によれば、本発明で用い
る移動相によって、分離カラムにおいて、目的分析成分
を共存成分から完全に分離することができる。
【0037】このため、目的分析成分の検出器として
は、汎用の紫外可視吸光光度計検出器、電気伝導度検出
器、電気化学検出器、示差屈折率計検出器、蛍光光度計
検出器などを用いることができ、対象とする有機化合物
の検出が可能な検出器であればその方式に制限を受ける
ものではない。本発明によればステンレス鋼硫酸酸洗液
中に含まれる酸、金属イオンなどが分離カラム内に残存
することがないので、分離カラムの連続繰返し使用が可
能である。
【0038】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づきさらに具体的
に説明する。本発明の分析方法を用い、酸洗促進成分と
してメルカプト酢酸(HSCH2COOH) を添加したステンレス
鋼硫酸酸洗液(熱間圧延ステンレス鋼板の硫酸酸洗液、
硫酸濃度:250g-H2SO4/l)の定量分析を行った。
【0039】メルカプト酢酸は、酸洗液中でジチオ二酢
酸(H00CCH2SSCH2COOH)となるため、ジチオ二酢酸を定量
した。高速液体クロマトグラフの分離カラムとしては、
グラファイトカーボンカラム:Hypercarb (商品名、5
μm 、100 ×4.6mmI.D. 、Htpersil社製)を用いた。移
動相である液体(キャリヤー液)としては、アセトニト
リルの濃度が 10vol%、硫酸の濃度が5mmol-H2SO4/lと
なるようにそれぞれを添加した水溶液を用い、1ml/min
の速度で送液した。分離カラムへの試料導入の際のステ
ンレス鋼硫酸酸洗液の硫酸濃度は、250g-H2SO4/l、鉄イ
オン濃度はFeとして2mol/l であった。
【0040】試料注入量は20μL とした。検出器として
は、HPLC用のフローセルを装着した紫外・可視吸光光度
計を用い、210nm の吸光度を測定した。なお、検量線
は、試薬のジチオ二酢酸を用いて作成した。得られた検
量線および酸洗液のクロマトグラムの一例を、それぞれ
図2、図3に示す。
【0041】図2の検量線を用いて酸洗液中のジチオ二
酢酸を分析日を変えてそれぞれ繰り返し定量した結果を
表1に示す。また、図1に、本発明の分析方法によって
得られた分析値と従来法である溶媒抽出/NMR法によって
得られた分析値との相関図を示す。表1および図1か
ら、本発明の分析方法によれば、系外での硫酸、鉄イオ
ンなど金属イオンの分離、除去などの試料の特別な前処
理を行うことなく、ステンレス鋼硫酸酸洗液中の酸洗促
進剤などの有機化合物を、迅速かつ優れた精度で正確に
分析することが可能であることが分かった。
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、こ
れまで試料前処理や測定などに長時間を要したステンレ
ス鋼硫酸酸洗液中の酸洗促進剤などの有機化合物の分析
を、特別な試料前処理を必要とせずに、簡便、迅速に、
しかも高精度で正確に行うことが可能となった。
【0044】本発明は、現場でのオンサイト分析法とし
ても適用可能であり、本発明の分析方法で得られた分析
結果に基づき、迅速に、酸洗液中に酸洗促進剤を適切量
添加することが可能となり、製品の品質向上や安定生産
の面で著しい効果が期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の分析方法によって得られた分析値と溶
媒抽出/NMR法によって得られた分析値との関係を示す相
関図である。
【図2】検量線の一例を示すグラフである。
【図3】本発明の分析方法によって得られたクロマトグ
ラムの一例を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 30/88 G01N 30/26 G01N 30/48

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ステンレス鋼硫酸酸洗液を高速液体クロ
    マトグラフの分離カラムに導入し、分離カラムからの溶
    離液を検出器に導き、前記ステンレス鋼硫酸酸洗液中の
    有機化合物の定量を行うにあたり、前記分離カラムがグ
    ラファイトカーボンカラムであり、前記高速液体クロマ
    トグラフの移動相として、親水性有機溶媒を含有する液
    体を用いることを特徴とするステンレス鋼硫酸酸洗液中
    の有機化合物の迅速分析方法。
  2. 【請求項2】 前記有機化合物がカルボキシル基を有す
    る有機化合物で、前記高速液体クロマトグラフの移動相
    として、親水性有機溶媒を含有しかつ硫酸および/また
    は過塩素酸を添加した液体を用いることを特徴とする請
    求項1記載のステンレス鋼硫酸酸洗液中の有機化合物の
    迅速分析方法。
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