JP3457128B2 - 建築物の換気性状の評価方法 - Google Patents

建築物の換気性状の評価方法

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JP3457128B2
JP3457128B2 JP19494096A JP19494096A JP3457128B2 JP 3457128 B2 JP3457128 B2 JP 3457128B2 JP 19494096 A JP19494096 A JP 19494096A JP 19494096 A JP19494096 A JP 19494096A JP 3457128 B2 JP3457128 B2 JP 3457128B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建築物の換気性状
の評価方法に関するもので、特に多数室からなる建築物
全体の給気の充足度及び排気の充足度をそれぞれ求め、
その積である建築物全体の換気の充足度をその建築物の
換気性状の評価の指標とする建築物の換気性状の評価方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、建築物の換気性状に関する指標と
しては、必要換気量、換気回数、空気齢、空気交換効率
等が用いられている。必要換気量は、部屋の種類や人間
一人あたりに対して居住空間の空気質を良好に保つため
の換気の絶対量である。また、換気回数は、室内空気が
単位時間当たりに交換される回数を示したもので、例え
ば、室空間容積が90m3で給気量が36m3/hとする
と、換気回数は0.4[回/h]となる。セントラル方
式の機械換気システムを設置する場合、日本ではこの換
気回数の値が建築物全体で、おおよそ0.5[回/h]
となるように換気システムを設計することが推奨されて
いる。また、前記空気齢とそれに基づく前記空気交換効
率は、主に、単一空間内の換気性状を表現する指標とし
て用いられている。この空気齢は室内に設けられた流体
の吹出口から流体が室内のある設定点まで到達するまで
の時間を表わすもので、空気齢の値が小さい程空気の流
れが速く、したがって空気が新鮮であることを示してい
る。また、空気交換効率は、室内の空気がどの程度早く
入れ替わるかを表現する指標である。
【0003】しかしながら、これらの指標は、一つの空
間の換気の量や質あるいは空気の新鮮さや室内の空気が
交換する割合を表現しているものの、多数室からなる建
築物の各部屋の給気及び排気のバランスを考慮した建築
物全体の換気システムの評価を行なうには不適当であっ
た。例えば、図5及び図6に示すような、同じ空間容積
30m3を持つA室1及びB室2よりなる2室構成の建
築物6について、上述の換気回数を指標とする評価を行
なってみる。ここで、図5に示した換気性状をケース
A、図6に示した換気性状をケースBとする。ケースA
では、A室1及びB室2には外気よりの新鮮な空気の供
給量がそれぞれA1=A2=15m3/hづつあるので、
換気回数はA室1もB室2も0.5[回/h]となり、
建築物6全体としては、室空間容積が60m3で外気よ
りの新鮮な空気の供給量が30m3/hとなるので、建
築物6全体の換気回数は0.5[回/h]となる。一
方、ケースBでは、A室1では外気よりの新鮮な空気の
給気量がA1=30m3/hなので、A室1の換気回数は
1.0[回/h]だが、B室2では外気よりの新鮮な空
気の供給がないの換気回数は0[回/h]となる。しか
し、建築物6全体としては、室空間容積が60m3で外
気よりの新鮮な空気の供給量が30m3/hとなるの
で、建築物6全体の換気回数はケースAと同じ0.5
[回/h]となる。このように、建築物全体の換気回数
でその建築物の換気性状を評価した場合、前記ケースA
のように換気のバランスの良い場合も、前記ケースBの
ように換気のバランスの悪い場合も、評価の指標として
は同じ値になってしまう。
【0004】このような問題点を解決するため、発明者
らは、多数室より構成される建築物の換気計画の達成度
を評価するための評価方法として、次のような建築物全
体の換気性状の評価指標を用いること提案した(大西な
ど「住宅用換気システムの換気性能評価に関する研究そ
の2」、1994年日本建築学会関東支部研究報告会な
ど)。まず、建築物を構成する各室には、居住環境を良
好に保つため、各室ごとに必要換気量を設定する。その
際、例えば寝室や居間などのいわゆるクリーンゾーンと
呼ばれている室で、人体から発生する二酸化炭素の濃度
を代表的な指標として汚染度を評価することの妥当な室
に対しては、上記必要換気量は新鮮空気の供給量とし、
この新鮮空気の供給が必要な室を給気対象室とする。一
方、浴室やトイレなどのいわゆるダーティゾーンと呼ば
れている室で、燃焼ガスや水蒸気等の発生が多く、排気
を必要とする室に対しては、上記必要換気量を汚染空気
の排気量とし、この汚染空気の排気が必要な部屋を排気
対象室とする。なお、室には、廊下や階段室などの給気
対象室でも排気対象室でもない部屋も存在する。次に、
それぞれの部屋の換気状態を評価する指標として、給気
対象室に対しては給気の充足度(SRF)をSRF=
(実給気量SC)/(設定給気量PC)とし、排気対象室
に対しては排気の充足度(ERF)をERF=(実排気
量SD)/(設定排気量PD)とし、各部屋ごとに上記S
RFまたは上記ERFを計算する。そして、建築物全体
の給気の充足度(OSRF)を上記各室ごとに計算され
たSRFの相乗平均とし、建築物全体の排気の充足度
(OERF)を上記各室ごとに計算されたERFの相乗
平均とし、上記OSRF及び上記OERFから建築物全
体の換気の充足度(OVRF)をOVRF=OSRF×
OERFとして計算し、このOVRFを建築物全体の換
気性状の評価の指標とするものである。ここで、図7に
示すような、A室1及びB室2の2つの給気対象室から
構成される建築物6の換気性状を評価する場合のSRF
の求め方を説明する。A室1及びB室2の設定給気量P
CをそれぞれPC1=20m3/h、PC2=20m3/hと
し、A室1への外気からの新鮮空気の流入量をA1=3
0m3/h、A室1から外気への排気量をB1=15m3
/h、A室1からB室2への空気の流出量をQ=15m
3/hとし、B室2への外気からの新鮮空気の流入量を
2=10m3/h、B室2から外気への排気量をB2
25m3/hとする。A室1における実給気量SC1は上
記A室1の設定給気量PC1を越えているので、A室1に
おいては、新鮮空気は設定給気量PC1=20m3/hだ
け消費され、余剰分の10m3/hについては、前記排
気量B1と前記流出量Qが等しいことから、5m3/hは
排気され、残り5m3/hはB室2に流出する。したが
って、A室1の給気の充足度SRF1はSRF1=1とな
る。一方、B室2における実給気量SC2は、前記新鮮空
気の流入量をA2=10m3/hと、A室1から流入する
上述の新鮮空気の余剰分5m3/hの和となるので、実
給気量SC2=15m3/hとなり、B室2の給気の充足
度SRF2はSRF2=15/20=0.75となる。し
たがって、この建築物6全体の給気の満足度(OSR
F)はOSRF=(1×0.75)1/2=0.87とな
る。このように、従来は、室Aから流出する新鮮空気
は、外気からの新鮮空気の流入量をA1のうち室Aの設
定給気量PC1だけ消費されA室1の外へ流出するとし
て、各室の流入する新鮮空気の量SCを求め、各室のS
RFを計算していた。また、この例では取り上げていな
いが、建築物に排気対象室があり、その部屋から汚染質
が他室へ流出した場合には、その建築物全体の換気の充
足度(OVRF)はOVRF=0になるとしていた。
【0005】
【発明が解決使用とする課題】しかしながら、上述の給
気の充足度(SRF)及び排気の充足度(ERF)の計
算方法はまだ不明確な点が多く、したがって建築物全体
の換気性状の評価の指標であるOVRFによる評価方法
も実用的には十分ではなかった。例えば、給気の充足度
(SRF)に関しては、上述の実給気量SCでは、ある
部屋の空気が再循環する場合も考慮する必要があること
や、設定給気量PCでは、他の部屋から当該給気対象室
の汚染濃度を超えた汚染濃度の空気が流入することも考
慮して補正する必要があるなど不十分な点が多く、排気
の充足度(ERF)に関しても、同様に、上述の実排気
量SDや設定排気量PDについて見直す必要があるだけで
なく、汚染質の発生する部屋から汚染された空気が排気
対象室以外の部屋に流入する場合には、従来のように一
律にERF=0とするのでなく、上記排気対象室以外の
部屋においても実際的な排気の充足度(ERF)を計算
し、上述の排気の充足度(ERF)を補正する必要があ
る。叉、上述の提案では、汚染質が複数個ある場合の排
気の充足度(ERF)については、何も言及されてはい
なかった。そして、上述の給気対象室のSRF及びER
Fが1になった場合には、その部屋の換気の設定状態は
十分であると判断できるが、このSRF=1またはER
F=1であることを検証する手段についても何ら提案さ
れてはいなかった。
【0006】本発明は、上記問題点に鑑みなされたもの
で、多数室より構成される建築物の各部屋の給気の充足
度(SRF)及び排気の充足度(ERF)を厳密に算出
し、建築物の換気性状を評価する建築物の換気性状の評
価指数OVRFを求めることにより、精確でかつ実用的
な建築物の換気性状の評価方法を提供することを目的と
する。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、複数
の部屋に分割された建築物の換気性状を評価する方法と
して、給気対象室(いわゆるクリーンゾーンと呼ばれる
室であり、人体から発生する二酸化炭素の濃度を代表指
標として汚染度を評価することの妥当な室)及び排気対
象室(いわゆるダーティゾーンと呼ばれる室であり、燃
焼排ガスや水蒸気等の発生が多いため、直接外気への排
気を要する室)に着目し、それぞれの部屋の換気性状を
評価する指標として、給気対象室に対しては、「給気対
象室で発生する汚染質の濃度希釈のための給気の充足
度」(略して給気の充足度SRFと呼ぶ)をSRF=
(実給気量SC)/(設定給気量PC)、排気対象室及び
その他の室に対しては「排気対象室で発生する汚染質の
濃度希釈のための排気気の充足度」(略して排気の充足
度ERFと呼ぶ)をERF=(実排気量SD)/(設定
排気量PD)とし、更に、「建築物全体の給気対象室で
発生する汚染質の濃度希釈のための給気の充足度」(略
して給気の充足度OSRFと呼ぶ)を各給気対象室の各
SRFの相乗平均とし、「建築物全体の排気対象室で発
生する汚染質の濃度希釈のための排気の充足度」(略し
て排気の充足度OERFと呼ぶ)を各排気対象室及び汚
染質が漏れ入った室の各ERFの相乗平均としたとき、
建築物全体の換気の充足度(OVRF)をOVRF=O
SRF×OERFより求め、上記OVRFの値を指標と
する建築物の換気性状の評価方法において、前記実給気
量SCを、外気より直接供給される直接新鮮空気量Aと
他の部屋から供給される空気の空気量を同等の汚染質希
釈効果を有する新鮮な空気の空気量に換算したところの
余剰新鮮空気量Xの和から外気へ直接排気される直接排
気量Bの余剰新鮮空気量Rと他の部屋へ排気される空気
の余剰新鮮空気量Yの和を差し引いた有効新鮮空気量S
(S=A+X−R−Y)とし、前記設定給気量PCを、
給気対象室が独立している場合すなわち他の部屋からの
空気の流入がない場合の必要新鮮空気量Kより他の部屋
から流入する当該室の許容濃度より高い汚染質濃度の余
剰新鮮空気量Z(この場合は負の値で、その絶対値は、
前記必要新鮮空気量KをK=0としたとき、当該室を許
容濃度まで希釈するのに必要な新鮮空気量に相当する)
を差し引いた実質必要換気量P(P=K−Z)とし、前
記実排気量SDを、前記直接新鮮供給量Aと他の部屋か
ら供給される空気の余剰新鮮空気量xの和から前記直接
排気量Bの余剰新鮮空気量rと他の部屋へ排気される空
気の余剰新鮮空気量yの和を差し引いた有効新鮮空気量
s(s=A+x−r−y)とし、前記設定排気量P
Dを、排気対象室及びその他の室が独立している場合す
なわち他の部屋からの空気の供給がない場合の必要排気
量k(排気対象室以外はk=0)より他の部屋から供給
される当該室の許容濃度より高い汚染質濃度の空気を同
等の汚染質希釈効果を有する新鮮な空気の量に換算した
と余剰新鮮空気量z(この場合は負の値で、その絶対値
は、前記必要排気量kをk=0としたとき、当該室を許
容濃度まで希釈するのに必要な新鮮空気量に相当する)
を差し引いた実質必要新鮮空気量p(p=k−z)とす
ることを特徴とする。
【0008】また、請求項2の発明は、給気対象室にお
いて発生する汚染質の許容濃度をσcとし、給気対象室
iの汚染質濃度をσiとし、αi=1−σi/σcなる値を
室iの余剰新鮮空気量率αiとした時、上記給気対象室
i以外の室jより室iへ流入する空気量がQji、室iよ
り他の室jへ流出する空気量がQij、室iから直接外気
へ排気される直接排気量がBiなら、室iへ他の部屋か
ら流入する上述の余剰新鮮空気量Xを、室jから室iへ
流入する余剰新鮮空気量XjをXj=max(0,αj
ji)とした時の上記Xjのjについての和(以下、X
=Σmax(0,αj・Qji)のように表わす)とし、
室iから他の部屋へ流出する上述の余剰新鮮空気量Yを
Y=Σmax(0,αi・Qij)とし、室iから直接外
気へ排気される上述の余剰新鮮空気量をR=max
(0,αi・Bi)、室iに他の部屋から流入する室iの
許容濃度より高い汚染質濃度の空気に関する上述の余剰
新鮮空気量ZをZ=Σmin(0,αj・Qji)とし、
かつ、排気対象室において発生する汚染質の許容濃度を
σdとし、室iの汚染質濃度をσiとし、βi=1−σi
σdなる値を室iの余剰新鮮空気量率βiとした時、上記
排気対象室i以外の室jから室iに流入する空気量がQ
ji、室iから室jへ流出する空気量がQij、室iから直
接外気へ排気される空気量がBiなら、上記室iへ他の
部屋から流入する上述の余剰新鮮空気量xをx=Σma
x(0,βj・Qji)、室iから他の部屋へ流出する上
述の余剰新鮮空気量yをy=Σmax(0,βi
ij)、室iから直接外気へ排気される上述の余剰新鮮
空気量rをr=max(0,βi・Bi)、室iに他の部
屋から流入する室iの許容濃度より高い汚染質濃度の空
気に関する上述の余剰新鮮空気量zをz=Σmin
(0,βj・Qji)とすることを特徴とする。なお、上
記max(0,a)は、0とaの大きい方の値をとるこ
とを意味し、上記min(0,a)は、0とaの小さい
方の値をとることを意味し、前記余剰新鮮空気量X,
Y,R,x,y,rについては、上述のαj・Qjiやαi
・Qijなどが正の値ならαj・Qjiやαi・Qijが余剰新
鮮空気量となるが、負の値なら新鮮な空気の流入はない
ことを示しており、上述の余剰新鮮空気量Z,zについ
ては、上述のαj・Qjiやβj・Qjiが正の値なら室iに
は、新鮮な空気が流入するので、必要新鮮空気量や必要
排気量を補正する必要がないことを示している。
【0009】さらに、請求項3の発明は、建築物の部屋
数がN個の場合、給気対象室において発生する汚染質に
着目して、室iの必要新鮮空気量をKi(排気設定室な
どの、給気対象室ではない部屋についではKi=0)、
室iの余剰新鮮空気量率をαi、室iの直接新鮮空気量
をAi、室iの直接排気量をBi,室iから室jへ流入す
る空気量をQijとして、室iへの新鮮空気の流入量(A
i+Σαj・Qji)が室iにおける新鮮空気の消費量(必
要新鮮空気量Ki)と室iからの新鮮空気の流出量(αi
・Bi+Σαi・Qij)の和に等しいこと(新鮮空気の保
存則)から、室iの余剰新鮮空気量率αiを未知数とす
るN個の連立方程式を解くことにより上記の余剰新鮮空
気量率αiを求め、かつ、排気対象室において発生する
汚染質に着目して、室iの必要排気量をki(排気設定
室以外ではki=0)、室iの余剰新鮮空気量率をβi
室iの直接新鮮空気量をAi、室iの直接排気量をBi
室iから室jへ流入する空気量をQijとして、室iへの
新鮮空気の流入量(Ai+Σβj・Qji)が室iにおける
新鮮空気の消費量(必要排気量ki)と室iからの新鮮
空気の流出量(βi・Bi+Σβi・Qij)の和に等しい
ことから、室iの余剰新鮮空気量率βiを未知数とする
N個の連立方程式を解くことにより上記の余剰新鮮空気
量率βiを求めることを特徴とする。
【0010】請求項4の発明は、排気対象室以外の室i
に前記排気対象室jにおいて発生した汚染質の流入があ
る場合、この室iに対しても排気の充足度ERFを設定
し、この室iの排気の充足度ERFを、上述の排気対象
室における上記汚染質の許容濃度σdに対する室iにお
ける同じ汚染質の許容濃度σcの比を許容濃度比κ(κ
=σc/σd)とし、上述した室iの余剰新鮮空気量率β
iをγi=(κ+βi−1)/κに置き換えるとともに、
室iへの流入空気の元となる室kの余剰新鮮空気量率β
kについても同様にγk=(κ+βk−1)/κに置き換
えて室iの排気の充足度ERFを計算し、建築物全体の
排気の充足度(OERF)を各排気対象室のERF及び
汚染空気の流入した排気対象室以外の室のERFの相乗
平均としたときすることを特徴とする。前記許容濃度比
κの値は、通常κ<1である。これは、排気対象室は汚
染質が発生する部屋なので、部屋そのものの汚染質に対
する耐性が高く設計してあり、また、汚染質の許容濃度
もある程度高く設定してあるが、居間等の給気対象室は
汚染質に対する耐性も低く設計してあり、また、汚染質
の許容濃度も低く設定してあるためである。
【0011】請求項5の発明は、複数の汚染質について
各々排気対象室が定められる場合、汚染質の種類に応じ
て排気対象室の許容濃度σdと許容濃度比κを設定し、
各室ごとのERFを計算し、汚染質dに対する建築物全
体の排気の充足度OERFdを各室の汚染質dに対する
各ERFの相乗平均とし、建築物全体の排気の充足度O
ERFを上記各汚染質dに対する建築物全体の排気の充
足度OERFdの相乗平均とすることを特徴とする。
【0012】請求項6の発明は、トレーサーガスを用い
た現場測定であって、任意のガス濃度σcを定めてお
き、給気対象室に設定された必要新鮮空気量Kcに比例
する一定速度σc・Kcでトレーサーガスを発生させ、各
室においてはよく混合させながら、その状態下における
給気対象室のトレーサーガス濃度を計測し、その計測結
果としての室iのガス濃度σiと前記ガス濃度σcとを比
較し、ガス濃度σiの値がガス濃度σcの値を越えなけれ
ばその給気対象室のSRFは1になることを知り得る特
徴を有する。
【0013】請求項7の発明は、トレーサーガスを用い
た現場測定であって、任意のガス濃度σdを定めてお
き、排気対象室に設定された必要排気量Kdに比例する
一定速度σd・Kdでトレーサーガスを発生させ、各室に
おいてはよく混合させながら、その状態下における各室
のトレーサーガス濃度を計測し、その計測結果としての
室iのガス濃度σiを、排気対象室については前記ガス
濃度σdと比較し、その他の室についてはκ・σd(κは
許容濃度比)と比較し、それぞれの比σi/σdまたはσ
i/(κ・σd)が1を越えなければその室のERFは1
になることを知り得る特徴を有する。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態につい
て、図面に基づき説明する。 実施の形態1.図1は、本発明の建築物の換気性状の評
価方法における建築物の換気性状の評価の指標である建
築物全体の換気の充足度(OVRF)を求める手順を示
す図である。図2は、本実施の形態に係わる建築物6の
換気性状K1を示す図で、この建築物はA室1,B室
2,C室3,D室4,E室5の5つの部屋に分割されて
いる。ここで、A室1,B室2,C室3を居間や寝室等
の新鮮外気の供給を必要とする給気対象室とし、それぞ
れの必要新鮮空気量をK1=K2=K3=20m3/hとす
る。また、D室4を台所、浴室トイレ等の汚染空気の排
気を必要とする排気対象室とし、その必要排気量をk=
60m3/hとする。なお、E室5は階段室で、必要新
鮮空気量も必要排気量も設定されていない(ステップS
101)。この建築物6の換気性状K1では、外気より
供給される新鮮空気の量が、A室1,B室2,C室3で
等しく、それぞれの直接新鮮空気量は、A1=A2=A3
=20m3/hであり、排気については、D室4より排
気量B4=60m3/hが外気へ排気される(ステップS
102)。また、各部屋間の空気の流れとしては、前記
給気対象室(A室1,B室2,C室3)から流出した空
気はすべて前記E室5へ流入し(Q15=Q25=Q35=2
0m3/h)、上記E室5の空気はすべて前記排気対象
室(D室4)へ流出する(ステップS103)。ここ
で、Q54=Q15+Q25+Q35=60m3/h、上記以外
のQijはQij=0m3/hである。
【0015】以上の条件下で、はじめに、各給気対象室
の給気の充足度(SRF)を算出する方法について説明
する。まず、各部屋の余剰新鮮空気量率αを算出する
(ステップS104)。A室1では、新鮮な空気として
直接新鮮空気量A1が給気され、この給気された直接新
鮮空気量A1のうち、A室1での必要な新鮮空気の量で
ある必要新鮮空気量K1が消費される。また、A室1か
らE室5へ流出する空気の空気量はQ15であるが、これ
を同等の汚染質希釈効果を有する新鮮な空気の空気量に
換算した余剰新鮮空気量α1・Q15がA室1からE室5
へ流出したとみなす。ここで、A室1について、新鮮な
空気の空気量の出入りを考えると、新鮮な空気の流入量
は新鮮空気の流入量A1、新鮮な空気の消費量は必要新
鮮空気量K1、新鮮な空気の流出量は余剰新鮮空気量Y1
はY1=α1・Q15となるので、新鮮な空気の空気量につ
いて、次のような関係が成り立つ(新鮮空気の保存
則)。 A1−α1・Q15−K1=0‥‥(1) このことは、B室2及びC室3についても同様で、新鮮
な空気の空気量について、次のような関係が成り立つ。 A2−α2・Q25−K2=0‥‥(2) A3−α3・Q35−K3=0‥‥(3) D室4では、新鮮な空気の供給はなく(A4=0m3
h)、また、D室4は排気対象室であるので必要新鮮空
気量は設定されていない(K4=0m3/h)。D室4へ
流入する空気の空気量は、上述したようにE室5から流
入するQ54のみで、その余剰新鮮空気量X4はX4=α5
・Q54である。また、D室4より外気へ排気される空気
の空気量はB4であるが、上記D室4から外気へ排気さ
れる新鮮な空気の空気量は余剰新鮮空気量R4=α4・B
4である。これより、D室4についての新鮮な空気の空
気量について、次のような関係が成り立つ。 α5・Q54−α4・B4=0‥‥(4) また、E室5の新鮮な空気の空気量について、次のよう
な関係が成り立つ。 α1・Q15+α2・Q25+α3・Q35=α5・Q54‥‥(5) したがって、上述の式(1),(2),(3),
(4),(5)を、各部屋の余剰新鮮空気量率α1
α2,α3,α4,α5を未知数とする連立方程式として解
くと、α1=α2=α3=α4=α5=0となる。ここで、
A室1の余剰新鮮空気量率α1が0ということは、A室
1に流入した新鮮な空気はすべてA室1の汚染質の希釈
に使われてしまったことを意味し、A室1より流出する
空気のなかには新鮮な空気が全く含まれていないことを
示している。これは、B室2及びC室3についても同様
である。また、D室4は排気対象室で必要新鮮空気量は
設定されていないが、上述のようにD室4の余剰新鮮空
気量率α4=0であるので、前記D室4より外気へ排気
される空気のなかには新鮮な空気は含まれていないこと
が分かる。
【0016】ついで、各給気対象室の有効新鮮空気量S
と実質必要新鮮空気量Pを算出する(ステップS10
5)。A室1では、流入する新鮮な空気の空気量は直接
新鮮空気量A1であり、流出する余剰新鮮空気量Y1はY
1=α1・Q15である。ここで、上記A室1の余剰新鮮空
気量率α1は上述の計算結果からα1=0であるから、m
ax(0,α1・Q1 5)=0m3/hとなり、A室1に流
入する新鮮な空気の空気量である有効新鮮空気量S1
1=A1=20m3/hとなる。B室2及びC室3につ
いても同様に、B室2の有効新鮮空気量S2はS2=A2
=20m3/h、C室3の有効新鮮空気量S3はS3=A3
=20m3/hとなる。また、A室1,B室2,C室3
では、上述の必要新鮮空気量KはK1=K2=K3=20
3/hであり、流入する空気はないので、Z=0m3
hとなり、A室1の実質必要新鮮空気量P1はP1=K1
=20m3/hとなる。B室2及びC室3についても同
様に、B室2の実質必要新鮮空気量P2はP2=K2=2
0m3/h、C室3の実質必要新鮮空気量P3はP3=K3
=20m3/hとなる。
【0017】したがって、A室1の給気の充足度SRF
1は、S1/P1=1なので、A室1の給気の充足度SR
1はSRF1=S1/P1=1となる。B室2及びC室3
についても同様に、B室2の給気の充足度SRF2はS
RF2=1、C室3の給気の充足度SRF3はSRF3
1と求められ(ステップS106)、したがって、建物
全体の給気の充足度OSRFはOSRF=1となる(ス
テップS107)。
【0018】次に、排気対象室(D室4)の排気の充足
度(ERF)の算出方法について説明する。まず、汚染
質dに関する排気の充足度(ERF)の計算に使用する
許容濃度比κを設定する(ステップS203)。但し、
本実施の形態では、排気対象室(D室4)から他の室へ
の空気の流出がないので、上記ステップS203は省略
してもよい。次に、各部屋の排気の余剰新鮮空気量率β
を算出する(ステップS204)。排気対象室であるD
室4では、新鮮な空気の供給がなく、E室5から余剰新
鮮空気量X5=β5・Q54が流入し、外気へは余剰新鮮空
気量β4・B4が流出する。また、新鮮な空気の消費量は
上述の必要排気量k4=60m3/hなので、新鮮な空気
の空気量について、次のような関係が成り立つ。 β5・Q54−β4・B4−k4=0‥‥(6) 一方、排気対象室でないA室1,B室2,C室3,E室
5では、必要排気量kが設定されていないので、A室
1,B室2,C室3,E室5における新鮮な空気の空気
量について、次のような関係が成り立つ。 A1−β1・Q15=0‥‥(7) A2−β2・Q25=0‥‥(8) A3−β3・Q35=0‥‥(9) β1・Q15+β2・Q25+β3・Q35=β5・Q54‥‥(10) ここで、上述の式(6),(7),(8),(9),
(10)を、各室の余剰新鮮空気量率β1,β2,β3
β4,β5を未知数とする連立方程式として解くとβ1
β2=β3=1、β4=0、β5=1となる。
【0019】ついで、排気対象室(D室4)の有効新鮮
空気量sと実質必要新鮮空気量pを算出する(ステップ
S205)。D室4では、流入する新鮮な空気の空気量
は余剰新鮮空気量X4はX4=β5・Q54であり、流出す
る新鮮な空気の空気量は余剰新鮮空気量R4はR4=β4
・B4である。ここで、上述の各部屋の余剰新鮮空気量
率βを用いれば、上記余剰新鮮空気量X4はX4=60m
3/h、前記余剰新鮮空気量R4はR4=0であるから、
D室4の有効新鮮空気量sはs=60m3/hとなる。
また、上述のように必要排気量kはk=60m3/hで
あり、流入する上記余剰新鮮空気量X4はX4=60m3
/hと正の値であるので、実質必要新鮮空気量pは前記
必要排気量kに等しくなり、実質必要新鮮空気量pはp
=60m3/hとなる。
【0020】したがって、D室4の排気の充足度をER
4とすれば、S4/P4=1なので、D室4の排気の充
足度ERF4はERF4=S4/P4=1となる(ステップ
S206)。
【0021】また、本実施の形態に係わる建築物6の換
気性状K1においては、排気対象室(D室4)から排気
対象室以外の室(A室1,B室2,C室3,E室5)へ
の空気の流入がない。したがって、建築物6全体の排気
の充足度(0ERF)は、OERF=ERF4=S4/P
4=1となる(ステップS210)。
【0022】以上の計算から、本実施の形態に係わる建
築物6の換気性状K1においては、建築物6全体の給気
の充足度(OSRF)はOSRF=1となり、建築物6
全体の排気の充足度(OERF)はOERF=1となる
ので、建築物6全体の換気の充足度(OVRF)はOV
RF=1となる。したがって、本実施の形態に係わる建
築物6の換気性状K1は、建築物6の換気性状の評価の
指数がOVRF=1となり、理想的な換気性状といえ
る。
【0023】実施の形態2.図3は、本実施の形態に係
わる建築物6の換気性状K2を示す図である。この建築
物6の換気性状K2を評価する場合も、上述した実施の
形態1と同様に、図1の手順にしたがって、建築物6の
換気性状の評価指数である建築物6全体の換気の充足度
(OVRF)を求める。建築物6の換気性状K2も、上
述の実施の形態1に示した建築物6の換気性状K1と同
様にA室1,B室2,C室3,D室4,E室5の5つの
部屋に分割されており、給気対象室及び排気対象室の設
定とその必要新鮮空気量及び必要排気量の設定値は、上
述した実施の形態1と同一条件である(ステップS10
1)。しかしながら、この建築物6の換気性状K2は、
外気よりの新鮮な空気の供給量が各部屋ごとに異なり、
A室1,B室2,C室3における直接新鮮空気量Aはそ
れぞれ、A1=5m3/h、A2=20m3/h、A3=3
5m3/hであり、排気量としては、D室4より排気量
4=60m3/hが外気へ排気される(ステップS10
2)。また、各部屋間の空気の流れとしては、前記給気
対象室(A室1,B室2,C室3)から流出した空気は
すべて前記E室5へ流入し(Q15=5m3/h、Q25
20m3/h、Q35=35m3/h)、上記E室5の空気
はすべて前記排気対象室(D室4)へ流入する(ステッ
プS103)。ここで、Q54=Q15+Q25+Q35=60
3/h、上記以外のQijはQij=0m3/hである。
【0024】まず、各部屋の余剰新鮮空気量率αを算出
する(ステップS104)。ここで、各室についての、
新鮮な空気の空気量の出入りを考えると、上述した実施
の形態1と同様に、新鮮空気の保存則により以下の式が
成り立つ。 A室1については、A1−α1・Q15−K1=0‥‥(11) B室2については、A2−α2・Q25−K2=0‥‥(12) C室3については、A3−α3・Q35−K3=0‥‥(13) D室4については、α5・Q54−α4・B4=0‥‥(14) また、E室5については、α1・Q15+α2・Q25+α3
・Q35=α5・Q54‥‥(15)となる。したがって、
上述の式(11),(12),(13),(14),
(15)を各部屋の余剰新鮮空気量率α1,α2,α3
α4,α5を未知数とする連立方程式として解くと、α1
=−3,α2=0,α3=3/7,α4=0,α5=0とな
る。ここで、A室1の余剰新鮮空気量率α1が負の値と
いうことは、A室1へ流入した新鮮な空気は、A室1の
汚染質の希釈に十分な量ではなく、したがって、A室1
より流出する空気のなかには新鮮な空気が全く含まれて
いないことを表わしている。
【0025】ついで、給気対象室の各部屋の有効新鮮空
気量Sと実質必要新鮮空気量Pを算出する(ステップS
105)。A室1では、流入する新鮮な空気の空気量は
直接新鮮空気量A1であり、流出する空気の空気量は余
剰新鮮空気量Y1でY1=α1・Q15である。ここで、上
記A室1の余剰新鮮空気量率α1は上述の計算結果から
α1=−3であるから、max(0,α1・Q15)=0と
なり、A室1に流入する新鮮な空気の空気量である有効
新鮮空気量S1はS1=A1=5m3/hとなる。B室2で
はα2=0なので、max(0,α2・Q25)=0とな
り、B室2に流入する新鮮な空気の空気量である有効新
鮮空気量S2はS2=A2=20m3/hとなる。また、C
室3ではA3=35m3/hであり、α3=3/7なの
で、max(0,α3・Q35)=15m3/hとなり、C
室3に流入する新鮮な空気の空気量である有効新鮮空気
量S3はS3=35m3/h−15m3/h=20m3/h
となる。また、A室1,B室2,C室3では、上述の必
要新鮮空気量KはK1=K2=K3=20m3/hであり、
他室から流入する空気はないので、Z=0m3/hとな
り、A室1の実質必要新鮮空気量P1はP1=K1=20
3/hとなる。B室2及びC室3についても同様に、
B室2の実質必要新鮮空気量P2はP2=K2=20m3
h、C室3の実質必要新鮮空気量P3はP3=K3=20
3/hとなる。
【0026】したがって、A室1の給気の充足度SRF
1は、S1/P1=0.25、B室2の給気の充足度SR
2はSRF2=1、C室3の給気の充足度SRF3はS
RF3=1となる(ステップS106)。したがって、
建物全体の給気の充足度OSRFはOSRF=(0.2
5×1×1)1/3=0.63となる(ステップS10
7)。
【0027】次に、排気対象室(D室4)の排気の充足
度(ERF)を算出する。まず、汚染質dに関する排気
の充足度(ERF)の計算に使用する許容濃度比κを設
定する(ステップS203)。但し、本実施の形態で
は、排気対象室(D室4)から他の室へは空気の流出が
ないので、上記ステップS203は省略してもよい。次
に、各部屋の排気の余剰新鮮空気量率βを算出する(ス
テップS204)。ここで、各室についての、新鮮な空
気の空気量の出入りを考えると、上述した実施の形態1
と同様に、新鮮空気の保存則により以下の式が成り立
つ。 A室1については、A1−β1・Q15=0‥‥(16) B室2については、A2−β2・Q25=0‥‥(17) C室3については、A3−β3・Q35=0‥‥(18) D室4については、β5・Q54−β4・B4−k=0‥‥(19) E室5については、β1・Q15+β2・Q25+β3・Q35=β5・Q54‥‥(20 ) したがって、上述の式(16),(17),(18),
(19),(20)を、各部屋の余剰新鮮空気量率
β1,β2,β3,β4,β5を未知数とする連立方程式と
して解くと、β1=β2=β3=1,β4=0,β5=1と
なる。
【0028】ついで、排気対象室(D室4)の有効新鮮
空気量sと実質必要新鮮空気量pを算出する(ステップ
S205)。D室4では、流入する新鮮な空気の空気量
は余剰新鮮空気量X4=β5・Q54であり、流出する新鮮
な空気の空気量は余剰新鮮空気量R4=β4・B4であ
る。ここで、上述の各部屋の余剰新鮮空気量率βを用い
れば、上記余剰新鮮空気量X4=60m3/h、前記余剰
新鮮空気量R4=0であるからD室4の有効新鮮空気量
sはs=60m3/hとなる。また、上述のように必要
排気量kはk=60m3/hであり、流入する上記余剰
新鮮空気量X4はX4=60m3/hと正の値であるの
で、実質必要新鮮空気量pは前記必要排気量kに等しく
なり、実質必要新鮮空気量pはp=60m3/hとな
る。
【0029】したがって、D室4の排気の充足度をER
4とすると、S4/P4=1なので、D室4の排気の充
足度ERF4はERF4=S4/P4=1となる(ステップ
S206)。
【0030】また、本実施の形態に係わる建築物6の換
気性状K2においては、排気対象室(D室4)から排気
対象室以外の室(A室1,B室2,C室3,E室5)へ
の空気の流入がない。したがって、建築物6全体の排気
の充足度(0ERF)は、OERF=ERF4=S4/P
4=1となる(ステップS210)。
【0031】以上の計算から、本実施の形態に係わる建
築物6の換気性状K2においては、建築物6全体の給気
の充足度(OSRF)はOSRF=0.63となり、建
築物6全体の排気の充足度(OERF)はOERF=1
となるので、建築物6全体の換気の充足度(OVRF)
はOVRF=0.63となる。すなわち、建築物6の換
気性状K2においては、給気のバランスが悪い(室Aの
給気が不十分で室Cの給気が過剰である)ためにOSR
Fが低下し、従って、OVRFも低下していることがわ
かる。
【0032】実施の形態3.図4は、本実施の形態に係
わる建築物6の換気性状K3を示す図で、特に、上述し
た空気の再循環や、排気対象室から給気対象室への汚染
質の流出などの現象が発生している場合を設定したもの
である。この建築物6の換気性状K3を評価する場合
も、上述した実施の形態1と同様に、図1の手順にした
がって、建築物6の換気性状の評価の指標である建築物
6全体の換気の充足度(OVRF)を求める。建築物6
の換気性状K3も、上述の実施の形態1及び実施の形態
2と同様にA室1,B室2,C室3,D室4,E室5の
5つの部屋に分割されており、給気対象室及び排気対象
室の設定とその必要新鮮空気量及び必要排気量の設定値
は、上述した実施の形態1及び実施の形態2と同一条件
である(ステップS101)。しかしながら、この建築
物6の換気性状K3は、上述した実施の形態1と同じ
く、外気よりの新鮮な空気の供給量として、A室1,B
室2,C室3には直接新鮮空気量Aがそれぞれ、A1
2=A3=20m3/h供給され、排気量として、D室
4より排気量B4=60m3/hが外気へ排気される(ス
テップS102)が、各部屋間の空気の流れが上述した
実施の形態1とは大きく異なっている。すなわち、前記
給気対象室A室1,B室2,C室3から流出した空気は
すべて前記E室5へ流入するが、その量はQ15=Q25
20m3/h、Q35=30m3/hと異なっており、さら
に、排気対象室(D室4)からもQ45=10m3/hの
空気が前記E室5へ流入する。また、上記E室5の空気
のうち、前記排気対象室(D室4)へはQ54=70m3
/hが流入し、前記C室3にはQ53=10m3/h流入
する(ステップS103)。なお、上記以外空気の流
入、流出はない(他のQijはQij=0m3/h)。すな
わち、この建築物6の換気性状K3に示した例は、上述
した空気の再循環(C室3及びD室4)や、排気対象室
から給気対象室への汚染質の流出などの現象が発生して
いる場合を設定し、そのときの建築物6の換気性状を評
価するためのものである。
【0033】まず、各部屋の余剰新鮮空気量率αを算出
する(ステップS104)。ここで、各室についての、
新鮮な空気の空気量の出入りを考えると、上述した実施
の形態1と同様に、新鮮空気の保存則により以下の式が
成り立つ。 A室1については、A1−α1・Q15−K1=0‥‥(21) B室2については、A2−α2・Q25−K2=0‥‥(22) C室3については、A3+α5・Q53−α3・Q35−K3=0‥‥(23) D室4については、α5・Q54−α4・(Q45+B4)=0‥‥(24) また、E室5については、α1・Q15+α2・Q25+α3・Q35+α4・Q45=α5 ・(Q53+・Q54)‥‥(25) したがって、上述の式(21),(22),(23),
(24),(25)を、各部屋の余剰新鮮空気量率
α1,α2,α3,α4,α5を未知数とする連立方程式と
して解くと、α1=α2=α3=α4=α5=0となる。
【0034】ついで、給気対象室の各部屋の有効新鮮空
気量Sと実質必要新鮮空気量Pを算出する(ステップS
105)。A室1の余剰新鮮空気量率α1は上述の計算
結果からα1=0であるから、max(0,α1・Q15
=0m3/hとなり、A室1の有効新鮮空気量S1はS1
=A1=20m3/hとなる。B室2もα2=0なので、
max(0,α2・Q25)=0m3/hとなり、B室2の
有効新鮮空気量S2はS2=A2=20m3/hとなる。C
室3ではA3=20m3/hであり、α3=α5=0なの
で、max(0,α3・Q53)=0m3/h、max
(0,α3・Q35)=0m3/hとなり、C室3の有効新
鮮空気量S3もS3=20m3/hとなる。また、A室1
及びB室2では、流入する空気はないので、Z=0m3
/hとなり、A室1の実質必要新鮮空気量はP1=K1
20m3/h、B室2の実質必要新鮮空気量はP2=K2
=20m3/hとなる。C室3では、余剰新鮮空気の流
入があるが、α5=0なので、min(0,α3・Q53
=0m3/hとなり、C室3の実質必要新鮮空気量P3
3=K3=20m3/hとなる。
【0035】したがって、A室1の給気の充足度SRF
1は、SRF1=S1/P1=1、B室2の給気の充足度S
RF2はSRF2=S2/P2=1、C室3の給気の充足度
SRF3はSRF3=S3/P3=1となる(ステップS1
06)。したがって、建物全体の給気の充足度OSRF
はOSRF=(1×1×1)1/ 3=1となる(ステップ
S107)。
【0036】次に、排気対象室(D室4)の排気の充足
度(ERF)を算出する。まず、汚染質dに関する排気
の充足度(ERF)の計算に使用する許容濃度比κをκ
=0.1と設定する(ステップS203)。次に、各部
屋の排気の余剰新鮮空気量率βを算出する(ステップS
204)。ここで、各室についての、新鮮な空気の空気
量の出入りを考えると、上述した実施の形態1と同様
に、新鮮空気の保存則により以下の式が成り立つ。 A室1については、A1−β1・Q15=0‥‥(26) B室2については、A2−β2・Q25=0‥‥(27) C室3については、A3+β5・Q53−β3・Q35=0‥‥(28) D室4については、β5・Q54−β4・(Q45+B4)−k=0‥‥(29) また、E室5については、β1・Q15+β2・Q25+β3・Q35+β4・Q45=β5 ・(Q53+・Q54)‥‥(30) したがって、上述の式(26),(27),(28),
(29),(30)を、各部屋の余剰新鮮空気量率
β1,β2,β3,β4,β5を未知数とする連立方程式と
して解くと、β1=β2=1,β3=20/21,β4
0,β5=6/7となる。
【0037】ついで、排気対象室(D室4)の有効新鮮
空気量sと実質必要新鮮空気量pを算出する(ステップ
S205)。D室4では、流入する新鮮な空気の空気量
は余剰新鮮空気量X4=β5・Q54であり、流出する新鮮
な空気の空気量は余剰新鮮空気量Y4=β4・Q45と余剰
新鮮空気量R4=β4・B4である。ここで、上述の各部R
>屋の余剰新鮮空気量率βを用いれば、上記余剰新鮮空
気量X4=60m3/h、前記余剰新鮮空気量R4=0m3
/hであるからD室4の有効新鮮空気量sはs=60m
3/hとなる。また、上述のように必要排気量kはk=
60m3/hであり、流入する上記余剰新鮮空気量X4
4=60m3/hと正の値であるので、実質必要新鮮空
気量pは前記必要排気量kに等しくなり、実質必要新鮮
空気量pはp=60m3/hとなる。
【0038】したがって、D室4の排気の充足度をER
4とすると、S4/P4=1なので、D室4の給気の充
足度ERF4はERF4=S4/P4=1となる(ステップ
S206)。
【0039】本実施の形態においては、上述したよう
に、排気対象室(D室4)から排気対象室以外の部屋
(C室3及びE室5)への汚染質dの流入があるので、
上記C室3及びE室5についても排気の充足度ERFを
求める必要がある。ここで、汚染質dの排気を対象とし
た時の部屋iの余剰新鮮空気量率γiは、上述した許容
濃度比κと上述の余剰新鮮空気量率βiを用いて、γi
=(κ+βi−1)/κのように表わすことができる。
したがって、各部屋の余剰新鮮空気量率γは、γ1=γ2
=1、γ3=11/21、γ4=−9、γ5=−3/7と
なる(ステップS207)。
【0040】ついで、汚染質dが漏れ入った部屋(C室
3及びE室5)の有効新鮮空気量sと実質必要新鮮空気
量pを算出する(ステップS208)。C室3では、流
入する新鮮な空気の空気量は直接新鮮空気量A3=20
3/hと余剰新鮮空気量X3の和であるが、このX3
3=max(0,γ5・Q53)=max(0,−30/
7m3/h)=0m3/hとなる。一方、流出する新鮮な
空気の空気量は余剰新鮮空気量Y3=γ3・Q35=110
/7m3/hである。したがって、C室3の有効新鮮空
気量s3はs3=30/7m3/hとなる。E室5では、
流入する新鮮な空気の空気量は余剰新鮮空気量X5=m
ax(0,γ1・Q15)+max(0,γ2・Q25)+m
ax(0,γ3・Q35)+max(0,γ4・Q45)=0
3/hとなる。ここで、γ1・Q15=γ2・Q25=20
3/h、γ3・Q35=110/7m3/h、γ4・Q45
−90m3/hであるから、X5=390/7m3/hと
なる。一方、流出する新鮮な空気の空気量は余剰新鮮空
気量Y5=max(0,γ5・(Q53+Q54))=max
(0,−240/7)=0m3/hとなる。したがっ
て、E室5の有効新鮮空気量s5はs5=390/7m3
/hとなる。また、C室3の必要排気量k3はk3=0で
あるが、D室4よりの汚染質dの流入があるので、C室
3の余剰新鮮空気量z3=min(0,γ5・Q53)=m
in(0,−30/7)=−30/7m3/hとなる。
したがって、C室3の実質必要新鮮空気量p3はp3=−
3=30/7m3/hとなる。E室5の必要排気量k5
はk5=0であるが、D室4よりの汚染質dの流入があ
るので、E室5の余剰新鮮空気量z5=min(0,γ3
・Q35)+min(0,γ4・Q45)=min(0,1
10/7)+min(0,−90)=−90m3/hと
なる。したがって、E室5の実質必要新鮮空気量p5
5=−z=90m3/hとなる。
【0041】したがって、C室3の排気の充足度をER
3とすると、s3/p3=1なので、C室3の排気の充
足度ERF3はERF3=s3/p3=1となり、E室5の
排気の充足度をERF5とすると、s5/p5=0.62
なので、E室5の排気の充足度ERF5はERF5=s5
/p5=0.62となる(ステップS209)。したが
って、建築物6全体の排気の充足度(OERF)はOE
RF=(1×1×O.62)1/3=0.85となる(ス
テップS210)。
【0042】以上の計算から、本実施の形態に係わる建
築物6の換気性状K3においては、建築物6全体の給気
の充足度(OSRF)はOSRF=1.0となり、建築
物6全体の排気の充足度(OERF)はOERF=0.
85となるので、建築物6全体の換気の充足度(OVR
F)はOVRF=0.85となる。したがって、本実施
の形態に係わる建築物6の換気性状K3は、建築物6全
体の給気の充足度は良いが、建築物6全体の排気の充足
度に問題があることがわかる。
【0043】ところで、前記各実施の形態では、排気対
象室で発生する汚染質を1種類として、各部屋の排気の
充足度(ERF)及び建築物6全体の排気の充足度(O
ERF)を求めたが、本発明では、複数個の汚染質が存
在する場合でも、各部屋の排気の充足度(ERF)及び
建築物全体の排気の充足度(OERF)を求めることが
できる。例えば、排気対象室において、汚染質d1と汚
染質d2が発生した場合には、汚染質d1についての建築
物全体の排気の充足度OERFd1と、汚染質d2につい
ての建築物全体の排気の充足度OERFd2をそれぞれ求
め、建築物全体の排気の充足度OERFをOERF=
(OERFd1×OERFd21/2として求めればよい。
すなわち、上述した汚染質が1個である各実施の形態と
同様に、まず、汚染質d1について、汚染質d1の許容濃
度比κ1を設定し(ステップS203)、次に、ステッ
プ204からステップS210までの手順に従って各部
屋のERFの値ERFd1iを計算し、汚染質d1について
の建築物全体の排気の充足度OERFd1を求める。ま
た、汚染質d2についても、汚染質d2の許容濃度比κ2
を設定し(ステップS203)、次にステップS204
からステップS210までの手順に従って各部屋のER
d2iを求め、汚染質d2についての建築物全体の排気の
充足度OERFd2を求める(ステップS210)。そし
て、建築物全体の排気の充足度(OERF)は、上述し
たように、上記OERFd1と上記OERFd2の相乗平均
により求めればよい。なお、上述の例では、汚染質が2
種類の場合について説明したが、汚染質が複数個(3個
以上)の場合でも、汚染質が2種類の場合と同様の手順
で、建築物全体の排気の充足度(OERF)を求めるこ
とができることは明らかである。
【0044】次に、給気対象室iの給気の充足度SRF
が1であるかあるいは1未満の値であるかをトレーサー
ガスを用いた現場測定によって検証する方法について説
明する。まず、トレーサーガス濃度をσcとし、上記給
気対象室iで設定された必要新鮮空気量をKc(m3
h)としたとき、前記トレーサーガスの発生速度をv=
σc・Kc(m3/h)とし、各室に前記トレーサーガス
流入させる。その後、各室において、空気と前記トレー
サーガスをよく混合し、各室が定常状態になったとみな
せるときの給気対象室iのトレーサーガス濃度σiを計
測する。そして、この計測されたトレーサーガス濃度σ
iが前記トレーサーガス濃度σcより高くなければ、給気
対象室iに流入したトレーサーガスは上記給気対象室i
に蓄積されることなく室外へ流出していることになるの
で、上記給気対象室iの給気の充足度SRFi=1であ
ることがわかる。また、上記σiがトレーサーガス濃度
σcより高ければ、室iにはトレーサーガスが蓄積され
るので、上記給気対象室iの給気の充足度SRFi<1
であることがわかる。
【0045】また、排気対象室または汚染質が漏れ入っ
た室の排気の充足度ERFが1であるかあるいは1未満
の値であるかを、トレーサーガスを用いた現場測定によ
って検証する方法について説明する。まず、トレーサー
ガス濃度をσdとし、排気対象室に設定された必要排気
量をKd(m3/h)とし、前記トレーサーガスの発生速
度をv=σd・Kd(m3/h)とし、各室に前記トレー
サーガス流入させる。その後、各室において、空気と前
記トレーサーガスをよく混合し、各室が定常状態になっ
たとみなせるときの室iのトレーサーガス濃度σiを計
測する。そして、上記室iが排気対象室のときは、この
計測されたトレーサーガス濃度σiがトレーサーガス濃
度σdより高くなければ、排気対象室iに流入したトレ
ーサーガスは上記排気対象室iに蓄積されることなく室
外へ流出していることになるので、上記排気対象室iの
排気の充足度ERFi=1であることがわかる。また、
室iが排気対象室以外の汚染質が漏れ入った室のとき
は、上記室iは汚染質に対する耐性が低いので、上記計
測されたトレーサーガス濃度σiをトレーサーガス濃度
σdと比較するのではなく、上記汚染質に対する室iの
許容濃度比κに比例するガス濃度σk=κ・σdと比較す
る必要がある。そして、上記計測されたトレーサーガス
濃度σiが室iの許容濃度比κに比例するガス濃度σk
り高くなければ、室iに流入したトレーサーガスの濃度
は室iの上記汚染質の許容濃度(κ・σd)を越えるこ
とがないので室iの排気の充足度ERFi=1であるこ
とがわかる。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の請求項1
ないし請求項5に記載の発明によれば、建築物の各部屋
に流入または流出する空気の空気量Qを同等の汚染質希
釈効果を有する新鮮な空気の空気量に換算した余剰新鮮
空気量Xと、上記の余剰新鮮空気量Xと前記実際に流入
または流出する空気量Qの比である余剰新鮮空気量率α
を導入し、各部屋ごとの新鮮空気の流入量と流出量が等
しいことから上記余剰新鮮空気量率αを求めることで、
ある部屋の空気が再循環する場合や、他の部屋から当該
給気対象室の汚染濃度を超えた汚染濃度の空気が流入す
る場合も、それらの空気の空気量をすべて各部屋間を流
れる新鮮空気の空気量である余剰新鮮空気量X=α・Q
として扱うことで、給気の充足度(SRF)及び、排気
の充足度(ERF)を求めることが可能となった。ま
た、許容濃度比κを導入することで、排気対象室よりの
汚染質の流出があった場合には、上記汚染質が漏れ入っ
た室の排気の充足度(ERF)を求めることが可能とな
った。さらに、汚染質が複数の場合でも、各室の各汚染
質に対する排気の充足度(ERF)をもとめ、建築物全
体の排気の充足度(OERF)を求めることができる。
したがって、本発明によれば、各室の給気の充足度(S
RF)及び排気の充足度(ERF)を厳密に算出し、建
築物全体の換気の充足度OVRFを求めることが出来る
ので、精確でかつ実用的な建築物の換気性状の評価が出
来るようになるばかりでなく、建築物の換気性状の設計
や変更を行なう場合の指針も提供することができる。
【0047】また、本発明の請求項6及び請求項7に記
載の発明によれば、給気対象室の給気の充足度SRFや
排気対象室及び汚染室が漏れ入った室の排気の充足度E
RFが1であるか1未満であるかを、トレーサーガスを
用いた現場測定によって検証することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に関わる各室の給気の充足度
(SRF)及び排気の充足度(ERF)を求める手段を
説明するための図である。
【図2】本発明の実施形態1に関わる建築物の換気性状
(K1)を示す図である。
【図3】本発明の実施形態2に関わる建築物の換気性状
(K2)を示す図である。
【図4】本発明の実施形態3に関わる建築物の換気性状
(K3)を示す図である。
【図5】従来の例を説明するため建築物の換気性状(ケ
ースA)を示す図である。
【図6】従来の例を説明するため建築物の換気性状(ケ
ースB)を示す図である。
【図7】従来の他の例を説明するため建築物の換気性状
を示す図である。
【符号の説明】
1 A室 2 B室 3 C室 4 D室 5 E室 6 建築物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大澤 元毅 茨城県つくば市立原1 建設省建築研究 所内 (72)発明者 瀬戸 裕直 茨城県つくば市立原1 建設省建築研究 所内 (72)発明者 谷口 佳紀 神奈川県横浜市神奈川区富家町1番地1 株式会社熊谷組 横浜支店内 (72)発明者 大西 茂樹 東京都千代田区丸の内二丁目2番地3号 三菱電機株式会社内 (56)参考文献 特開 昭61−245038(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F24F 11/02 F24F 11/02 102

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の部屋に分割された建築物の換気性
    状を評価する方法として、特に給気対象室及び排気対象
    室に着目し、それぞれの部屋の換気性状を評価する指標
    として、給気対象室に対しては、「給気対象室で発生す
    る汚染質の濃度希釈のための給気の充足度」(略して給
    気の充足度SRFと呼ぶ)をSRF=(実給気量SC
    /(設定給気量PC)、排気対象室及びその他の室に対
    しては「排気対象室で発生する汚染質の濃度希釈のため
    の排気の充足度」(略して排気の充足度ERFと呼ぶ)
    をERF=(実排気量SD)/(設定排気量PD)とし、
    更に、「建築物全体の給気対象室で発生する汚染質の濃
    度希釈のための給気の充足度」(略して給気の充足度O
    SRFと呼ぶ)を各給気対象室の各SRFの相乗平均と
    し、「建築物全体の排気対象室で発生する汚染質の濃度
    希釈ための排気の充足度」(略して排気の充足度OER
    Fと呼ぶ)を各排気対象室及び汚染質が漏れ入った部屋
    の各ERFの相乗平均としたとき、建築物全体の換気の
    充足度(OVRF)をOVRF=OSRF×OERFに
    より求め、上記OVRFの値を指標として建築物の換気
    性状の評価をするようにした評価方法において、前記実
    給気量SCを、外気より直接供給される直接新鮮空気量
    Aと他の部屋から供給される空気の空気量を同等の汚染
    質希釈効果を有する新鮮な空気の空気量に換算したとこ
    ろの余剰新鮮空気量Xの和から外気へ直接排気される直
    接排気量Bに含まれる余剰新鮮空気量Rと他の部屋へ排
    気される空気の余剰新鮮空気量Yの和を差し引いた有効
    新鮮空気量S(S=A+X−R−Y)とし、前記設定給
    気量PCを、給気対象室が独立している場合すなわち他
    の部屋からの空気の流入がない場合の必要新鮮空気量K
    より他の部屋から流入する当該室の許容濃度より高い汚
    染質濃度の空気の余剰新鮮空気量Z(この場合は負の値
    で、その絶対値は、前記必要新鮮空気量KをK=0とし
    たとき、当該室を許容濃度まで希釈するのに必要な新鮮
    空気量に相当する)を差し引いた実質必要新鮮空気量P
    (P=K−Z)とし、前記実排気量SDを、前記直接新
    鮮空気量Aと他の部屋から供給される空気の余剰新鮮空
    気量xの和から前記直接排気量Bに含まれる余剰新鮮空
    気量rと他の部屋へ排気される空気の余剰新鮮空気量y
    の和を差し引いた有効新鮮空気量s(s=A+x−r−
    y)とし、前記設定排気量PDを排気対象室及びその他
    の室が独立している場合すなわち他の部屋からの空気の
    流入がない場合の必要排気量k(排気対象室以外はk=
    0)より他の部屋から流入する当該室の許容濃度より高
    い汚染質濃度の空気の余剰新鮮空気量z(この場合は負
    の値で、その絶対値は、前記必要排気量kをk=0とし
    たとき、当該室を許容濃度まで希釈するのに必要な新鮮
    空気量に相当する)を差し引いた実質必要新鮮空気量p
    (p=k−z)とし、これに基づいて前記OVRFを求
    めるようにしたことを特徴とする建築物の換気性状の評
    価方法。
  2. 【請求項2】 給気対象室において発生する汚染質の許
    容濃度をσcとし、給気対象室iの汚染質濃度をσi
    し、αi=1−σi/σcなる値を室iの余剰新鮮空気量
    率αiとした時、上記給気対象室i以外の室jより室i
    へ流入する空気量がQji、室iより他の室jへ流出する
    空気量がQij、室iから直接外気へ排気される直接排気
    量がBiなら、室iへ他の部屋から流入する上述の余剰
    新鮮空気量Xを、室jから室iへ流入する余剰新鮮空気
    量XjiをXji=max(0,αj・Qji)とした時の上
    記Xjiのjについての和(以下、X=Σmax(0,α
    j・Qji)のように表わす)とし、室iから他の部屋へ
    流出する上述の余剰新鮮空気量YをY=Σmax(0,
    αi・Qij)とし、室iから直接外気へ排気される上述
    の余剰新鮮空気量をR=max(0,αi・Bi)、室i
    に他の部屋から流入する室iの許容濃度より高い汚染質
    濃度の空気に関する上述の余剰新鮮空気量ZをZ=Σm
    in(0,αj・Qji)とし、かつ、排気対象室におい
    て発生する汚染質の許容濃度をσdとし、室iの汚染質
    濃度をσiとし、βi=1−σi/σdなる値を室iの余剰
    新鮮空気量率βiとした時、上記排気対象室i以外の室
    jから室iに流入する空気量がQji、室iから室jへ流
    出する空気量がQij、室iから直接外気へ排気される空
    気量がBiなら、上記室iへ他の部屋から流入する上述
    の余剰新鮮空気量xをx=Σmax(0,βj
    ji)、室iから他の部屋へ流出する上述の余剰新鮮空
    気量yをy=Σmax(0,βi・Qij)、室iから直
    接外気へ排気される上述の余剰新鮮空気量rをr=ma
    x(0,βi・Bi)、室iに他の部屋から流入する室i
    の許容濃度より高い汚染質濃度の空気に関する上述の余
    剰新鮮空気量zをz=Σmin(0,βj・Qji)と
    し、これに基づいて上記OVRFを求めるようにしたこ
    とを特徴とする請求項1記載の建築物の換気性状の評価
    方法。
  3. 【請求項3】 建築物の部屋数がN個の場合、給気対象
    室において発生する汚染質に着目して、室iの必要新鮮
    空気量をKi(排気設定室などの、給気対象室ではない
    部屋についではKi=0)、室iの余剰新鮮空気量率を
    αi、室iの直接新鮮空気量をAi、室iの直接排気量を
    i,室iから室jへ流入する空気量をQijとして、室
    iへの新鮮空気の流入量(Ai+Σαj・Qji)が室iに
    おける新鮮空気の消費量(必要新鮮空気量Ki)と室i
    からの新鮮空気の流出量(αi・Bi+Σαi・Qij)の
    和に等しいこと(新鮮空気の保存則)から、室iの余剰
    新鮮空気量率αiを未知数とするN個の連立方程式を解
    くことにより上記の余剰新鮮空気量率αiを求め、か
    つ、排気対象室において発生する汚染質に着目して、室
    iの必要排気量をki(排気設定室以外ではki=0)、
    室iの余剰新鮮空気量率をβi、室iの直接新鮮空気量
    をAi、室iの直接排気量をBi,室iから室jへ流入す
    る空気量をQijとして、室iへの新鮮空気の流入量(A
    i+Σβj・Qji)が室iにおける新鮮空気の消費量(必
    要排気量ki)と室iからの新鮮空気の流出量(βi・B
    i+Σβi・Qij)の和に等しいことから、室iの余剰新
    鮮空気量率βiを未知数とするN個の連立方程式を解く
    ことにより上記の余剰新鮮空気量率βiを求め、これに
    基づいて上記OVRFを求めるようにしたことを特徴と
    する請求項2記載の建築物の換気性状の評価方法。
  4. 【請求項4】 排気対象室以外の室iに排気対象室jに
    おいて発生した汚染質の流入がある場合、この室iに対
    しても排気の充足度ERFを設定し、この室iの排気の
    充足度ERFを、上述の排気対象室における上記汚染質
    の許容濃度σdに対する室iにおける同じ汚染質の許容
    濃度σcの比を許容濃度比κ(κ=σc/σd)とし、上
    述した室iの余剰新鮮空気量率βiをγi=(κ+βi
    1)/κに置き換えるとともに、室iへの流入空気の元
    となる室kの余剰新鮮空気量率βkについても同様にγk
    =(κ+βk−1)/κに置き換えて室iの排気の充足
    度ERFを計算し、建築物全体の排気の充足度(OER
    F)を各排気対象室のERF及び汚染空気の流入した排
    気対象室以外の室のERFの相乗平均とし、これに基づ
    いて上記OVRFを求めるようにしたことを特徴とする
    請求項3記載の建築物の換気性状の評価方法。
  5. 【請求項5】 複数の汚染質について各々排気対象室が
    定められる場合、汚染質の種類に応じて排気対象室の許
    容濃度σdと許容濃度比κを設定し、各室ごとのERF
    を計算し、汚染質dに対する建築物全体の排気の充足度
    OERFdを各室の汚染質dに対する各ERFの相乗平
    均とし、建築物全体の排気の充足度OERFを上記各汚
    染質dに対する建築物全体の排気の充足度OERFd
    相乗平均とし、これに基づいて上記OVRFを求めるよ
    うにしたことを特徴とする請求項4記載の建築物の換気
    性状の評価方法。
  6. 【請求項6】 トレーサーガスを用いた現場測定であっ
    て、任意のガス濃度σcを定めておき、給気対象室に設
    定された必要新鮮空気量Kcに比例する一定速度σc・K
    cでトレーサーガスを発生させ、各室においてはよく混
    合させながら、その状態下における給気対象室のトレー
    サーガス濃度を計測し、その計測結果としての室iのガ
    ス濃度σiと前記ガス濃度σcとを比較し、ガス濃度σi
    の値がガス濃度σcの値を越えなければその給気対象室
    のSRFは1になることを知り得る特徴を有する請求項
    5記載の建築物の換気性状の評価方法。
  7. 【請求項7】 トレーサーガスを用いた現場測定であっ
    て、任意のガス濃度σdを定めておき、排気対象室に設
    定された必要排気量Kdに比例する一定速度σd・Kd
    トレーサーガスを発生させ、各室においてはよく混合さ
    せながら、その状態下における各室のトレーサーガス濃
    度を計測し、その計測結果としての室iのガス濃度σi
    を、排気対象室については前記ガス濃度σdと比較し、
    その他の室についてはκ・σd(κは許容濃度比)と比
    較し、それぞれの比σi/σdまたはσi/(κ・σd)が
    1を越えなければその室のERFは1になることを知り
    得る特徴を有する請求項5記載の建築物の換気性状の評
    価方法。
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