JP3454540B2 - 磁気軸受装置 - Google Patents

磁気軸受装置

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JP3454540B2
JP3454540B2 JP16418393A JP16418393A JP3454540B2 JP 3454540 B2 JP3454540 B2 JP 3454540B2 JP 16418393 A JP16418393 A JP 16418393A JP 16418393 A JP16418393 A JP 16418393A JP 3454540 B2 JP3454540 B2 JP 3454540B2
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    • F16C32/00Bearings not otherwise provided for
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
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    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
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  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Magnetic Bearings And Hydrostatic Bearings (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、完全に非接触で回転体
を支持する回転機械用磁気軸受装置に関する。
【0002】
【従来の技術】本出願人等による特願平2−16848
5号特許出願を基本とする特願平3−150号、特願平
3−1282号、特願平3−4944号等の特許出願
は、回転体の重心より回転軸方向に任意の距離をおい
て、ラジアル能動制御型磁気軸受と受動安定要素を設定
することで、回転体の重心まわりの傾き運動、コニカル
運動に対し、安定な制御を行なえるということを提案す
るものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、係る提
案に基づく磁気軸受の制御機構の解析を行なったとこ
ろ、回転体の傾き運動、コニカル運動の中心(節)は、
一般に重心と一致しないことが判明した。即ち、前記提
案に係る構造でモータのラジアル不平衡剛性が極めて小
さいとすると、傾き、コニカル両運動中心(節)は、前
述のラジアル能動制御型磁気軸受の制御軸中心に接近し
た位置となることが判明した。この場合は、特願平3−
4944号特許出願に開示されているとおりの制御手法
により一応制御安定化することができる。
【0004】しかしながら、係る制御方法は、現象的に
表わすと、ラジアル運動(併進運動)を一時不安定な状
態とし、コニカル運動又は傾き運動を安定せしめ、その
次にラジアル運動を安定化するというものであった。そ
のため倒立振子のように回転数が増加すると、ラジアル
剛性が見かけ上小さいのでホワリング運動となり、その
ホワリング運動を小さく(安定化)することがむずかし
く、接触現象が生じ、不安定となることが実験により確
認されている。
【0005】係る従来技術の問題点に鑑み、本発明はラ
ジアル運動とコニカル運動を両者ともに安定化すること
ができる、いわゆる2軸制御型の回転機械用磁気軸受装
置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の磁気軸受装置
は、回転軸に直交する1平面におけるラジアル方向(X
1 ,Y1 )軸に力の作用中心点が一致するようにラジア
ル能動制御型磁気軸受と受動安定要素とを配置し、回転
軸方向に前記1平面(X1 ,Y1 )とはなれた第2の平
面(X2 ,Y2 )に前記回転体を回転駆動するモータの
不平衡力とが作用するように配置し、回転体の傾き運動
又はコニカル運動の中心が、前記ラジアル能動制御型磁
気軸受の制御力作用中心とはなれるように配置されたこ
とを特徴とする。
【0007】又、本発明の磁気軸受装置は、ラジアル方
向に作用する不平衡力が極めて小さいモータを備え、ラ
ジアル能動制御型磁気軸受の制御力作用中心と受動安定
要素の不平衡力作用中心とを系が安定範囲内となる距離
内の任意の距離はなした配置とし、回転体の傾き運動又
はコニカル運動の中心が、ラジアル能動制御型磁気軸受
の制御力作用中心とはなれるように配置されたことを特
徴とする。
【0008】
【作用】磁気軸受装置のタイプ別に、ラジアル能動制御
型磁気軸受の制御軸とコニカル運動又は傾き運動の中心
(節)との位置関係が解析により求められる。該解析結
果に基づいて制御軸及びコニカル(傾き)運動中心の配
置を定めることにより、制御軸の制御力によって安定に
コニカル運動又は傾き運動を減衰させることのできる2
軸制御型の磁気軸受装置が提供される。
【0009】
【実施例】はじめに、ラジアル能動制御型磁気軸受と受
動安定要素とを配置した2軸制御型の磁気軸受装置にお
けるコニカル運動又は傾き運動の中心(節)を求める解
析手法について説明する。
【0010】回転体を非接触状態で支持するための磁気
軸受の研究の流れの一つに、能動的に制御する軸数(自
由度)の低減化がある。近年では、制御軸数を1つとし
た磁気軸受を応用した製品も見かけられるまでにきた。
現在のところ、Earnshawの原理(Earnshwaw,s.;Trans C
ambrige PhilSoc,7,(1842),97.)により、静的に非接触
安定化するためには剛体の自由度における併進自由度の
少なくとも一つを制御する必要がある。そのため、最小
制御軸数である1軸制御型の磁気軸受の研究は数多く行
なわれてきている。この制御軸数低減化の流れを受動安
定軸数に着目して振り返って見ると、受動安定軸数は当
然のごとく制御軸数に反比例して増加し、構造は複雑に
なってきている(村上 他3名、永久磁石を使用した吸
引型磁気軸受の試作、航空宇宙技術研究所資料、NAL
TM−388、1979)。
【0011】そこで、制御軸数の低減化と構造の簡素化
の両面を検討した結果、2軸制御型に着目し、ラジアル
運動とコニカル運動に対し能動的に減衰を与える磁気軸
受装置を対象とした。座標系として、図2に示すように
回転軸をz軸、重心Oを通りz軸を直交するラジアル方
向の2軸をx、y軸に選ぶ。2軸制御型磁気軸受は回転
軸zを鉛直軸に、制御軸をx、y軸に選び、z軸の併進
運動とx、y軸回りの傾き運動の計3自由度は、受動的
な剛性を得られるように構成される。そのため、Yonnet
の磁気力に関する剛性の定理(J. P. Yonnet:Passive M
agnetic Bearings Made only with Permanent Magnet R
ings, lnt.Workshop on Rare Earth Cobalt PermanentM
agnets and their Application,1982)に示されている
ように、回転軸方向に安定なKz 剛性を得ると、直交す
る2軸方向には少なくとも、 Kx =Ky =−0.5 Kz (1) の不安定な剛性が発生することになる。
【0012】この分野の研究の多くは、エネルギー貯蔵
用のフライホイール軸受や人工衛星の姿勢制御用のフラ
イホイール軸受への適用である。回転体は、偏平な形状
であり慣性モーメント比は1より大きい。また、受動安
定剛性を発生する磁気軸受の構造も偏平な回転体の形状
を利用し、回転中心より半径方向に離れたところで受動
剛性を発生する構造とする。x、y軸回り受動傾き剛性
Kθp は、(2)式
【数1】 で表される。ここで、rp とlp は受動安定剛性を発生
する部位までの距離である。rp は半径、lp は回転軸
方向の距離である。そのため、rp を大きく、lp を小
さく、制御軸と重心との距離la は極力小さくする構造
設計としている。
【0013】2軸制御型磁気軸受により支持された回転
体の運動を考えるために、図2に示すように慣性座標
(X、Y、Z)において回転軸zが慣性座標のZ軸の近
傍に常にあるものとする。そして、回転数ωで回転して
いるダンピングのない復元力と復元トルクだけを有する
剛体ロータの運動方程式は、
【数2】 となり、マトリスク形式に式(7)のように表される。
ただし、x=Xsin λt, y =Ysin λt, θ=Θsin λ
t, φ=Φsin λt 。
【0014】
【数3】
【0015】式(7)の計数行列[K]より固有方程式
は、
【数4】
【0016】この式(8)より固有振動数λが求めら
れ、そのおのおのに対して式(7)によって固有モード
の形が求められる。ここで、 M:回転体の質量 Ip :Z軸回りの慣性モーメント Id :x、y軸回りの慣性モーメント θ:Y軸回りの回転角 φ:X軸回りの回転角 Kz :鉛直軸z方向の受動安定剛性 Kp :x、y軸方向の受動不安定剛性 Ka :x、y軸方向の能動復元剛性 Km :モータのx、y軸方向の不安定剛性 lp :受動安定軸と重心との回転軸方向距離 r:受動安定剛性作用点と回転中心間x、y軸方向距離 la :制御軸と重心との回転軸方向距離 lm :モータと重心との回転軸方向距離 Px :x軸の外乱併進力 Py :y軸の外乱併進力 Nx :x軸回りの外乱トルク Ny :y軸回りの外乱トルク とした。
【0017】そこで、ラジアル運動とコニカル運動に対
して能動的に減衰力を与えられる制御軸の配置条件を求
める。式(7)は、ω=0のときにxとθ、yとφのみ
が連成しており、xとyは非連成になる。このときの固
有モードは、式(7)より次式により表される。以下、
回転軸対称とし、xとθについて述べる。
【数5】 そして、固有値λ2 は、
【数6】 により求められる。
【0018】次に、コニカル運動を能動的に減衰するた
めには、コニカル運動の運動モードの回転中心と制御軸
中心とは離れている必要がある。そのための制御軸と受
動剛性軸の位置関係を求める。固有値λ2 が正である条
件は、式(11)により、 4(K1133−K1331)≧0 (12) となり、式(12)より
【数7】 が得られ、式(13)、(15)より各軸間距離と安定
性の関係が求められる。Kz ,rの値が大きいほど各軸
間距離の自由度が増すことがわかる。
【0019】以上の検討により得られた式(9)、(1
0)、(11)、(13)、(14)、(15)を用い
て、各要素の配置を検討する。
【0020】回転軸の駆動モータの形式は種々考えられ
るが、ここでは条件を仮定して以下の検討を勧める。現
実的には、モータと重心との回転軸方向距離1m は,制
御軸と重心との回転軸方向距離1a 又は受動安定軸と重
心との回転軸方向距離1p と比較して大きくなり易い。
即ち、1m >1a、1p となり易い。そこで、モータの
ラジアル軸方向不安定剛性Km はできるだけ小さいモー
タを用いることとする。
【0021】まず制御軸と受動安定軸が一致している場
合について検討する。コニカル運動の回転中心と制御軸
中心の関係は、式(16)により表される。
【数8】 両中心間距離を大きく設定するための係数の傾向は、
r、Kz 、M、Id 、lm の影響は比較的に大きく、K
a 、Kp の影響は小さいことがわかる。しかしながら、
係数値比較すると、 λ2 =104 ,M=10-1〜100 ,Id =10-4〜10-3 (0.5 Kz r2 )=(104 〜105 )×(10-22 (Ka −Kp )=105 Km =(103 〜104 ) よって、 (Ka −Kp )>0.5 Kz r2 ,Id λ2 ,Mλ2 となり易いので、コニカル運動中心は制御軸中心に接近
することがわかる。しかし、非回転時の安定性が補償可
能なKz を有し、lm を比較的に大きく設定すると中心
間距離は離れることもわかる。
【0022】次に、制御軸と受動安定軸が一致していな
い場合について検討する。
【数9】 式(17)によりコニカル運動の中心は表される。制御
軸中心と各受動剛性軸の比が大きな係数に掛かり,分子
のみにあるため、コニカル運動中心はその比が大きいほ
ど制御軸より離れた位置になることがわかる。よって、
コニカル運動に制御トルクを与えられる。以上の結果と
式(13)、(14)、(15)の関係を考慮し、各軸
の位置を決定することにより、コニカル運動に制御トル
クが与えられる、2軸制御型磁気軸受を実現できること
がわかる。
【0023】次に本発明の実施例を添付図表を参照しな
がら説明する。
【0024】本発明の各実施例の磁気軸受装置をシミュ
レートする、試作機の構造を図1に示す。回転体である
ロータ1の上下に変位センサ2を2個備え、ほぼ中央に
ラジアル方向(x,y)軸に能動制御力を発生する電磁
石3、受動剛性を発生する積層形受動安定要素4がそれ
ぞれロータの重心よりla 、lp ずれた位置に設定でき
る構造になっている。モータ5は、ロータ1を磁気力に
より非接触で回転させるもので、ロータ1の重心から回
転軸(z軸)方向距離1m離れ、x,y軸方向の不安定
剛性Km を有する。この磁気軸受装置の静特性を表1に
示す。
【表1】
【0025】表1に示された静特性をもとに、制御軸中
心とコニカル運動中心とが離れるための具体的な配置構
成を求める。まず、ラジアル能動制御の制御軸と受動安
定要素の作用軸とが一致している(1a =1p )の場合
は、式(13)より、制御軸とモータ部中心間距離は次
式で表される。
【数10】 ここで、Kθp は図2の積層形軸受要素の要素中心回り
の傾き剛性を示す。添字iは磁極iの各パラメータを表
している。
【0026】(第1実施例) Kz =170 ×103 [N/m] Kp =-87.9 ×103 [N/m] Km =-20.0 ×103 [N/m] Kθp =35[Nm/rad] r=20.35 ×10-3[m] のとき、la 、lm 間距離は式(19)、(20)よ
り、 |la −lm |≦37.46 [mm] と求められる。次に、コニカル運動の固有値と固有モー
ドを求める。
【0027】|la −lm |=37.0[mm] la =lp =0 のとき、式(9)、(14)より次のように求められ
る。 λ2 =760 ,f=4.4 [Hz](X/Θ)=-9.43 ×10
-3[m/rad] 従って、コニカル運動中心は、重心の上方向に約9.4
[mm]の位置となる。係る各種剛性とコニカル運動の
中心位置Cとの関係を図3に示す。
【0028】(第2実施例)このとき、制御軸及び受動
安定要素の作用点を重心からずらし、la =lp =8.0
[mm]とすると、 λ2 =793 ,f=4.5 [Hz],(X/Θ)=-1.41 ×
10-3[m/rad] よって、コニカル運動中心は重心付近に位置し、制御軸
中心間距離は約9.4[mm]となる。係る各種剛性とコ
ニカル運動の中心位置Cとの関係を図4に示す。以上の
ように、比較的に大きなKz を得られる場合には、モー
タの不安定剛性を利用し、制御軸と受動安定軸とを重心
軸に置いた状態で制御トルクを発生できる機構となる。
【0029】(第3実施例) Kz =49.5×103 [N/m] Kp =-79.5 ×103 [N/m] Kθp =10[Nm/rad] r=20.35 ×10-3[m] |la −lm |=37.0×10-3[m] のとき、許容されるKm を求める。式(19)により、
式(21)が導かれ、
【数11】 各パラメータを代入すると、 Km ≦6.998 ×103 [N/m] を得る。モータの不安定剛性Km は比較的に小さな値で
なくてはならないことがわかる。仮に、Km =4.0 ×10
3 [N/m]の場合のコニカル運動の固有値と固有モー
ドを求めると、 λ2 =6054,f=12.4[Hz],(X/Θ)=-1.46 ×
10-3[m/rad] となる。コニカル運動中心は,制御軸中心付近になって
しまう。係る各種剛性とコニカル運動の中心位置Cとの
関係を図5に示す。このように、Km の小さなモータを
必要とする磁気軸受性能の場合には効果が小さいことが
示された。
【0030】モータの不安定剛性Km を極めて小さい値
とした場合には、制御軸中心と受動安定軸中心とを離す
方式により、コニカル運動中心と制御軸中心とが離れる
配置とすることができる。Km が無視できるほど小さい
場合、許容されるla −lp 間距離は式(13)より、
次の式(22)となる。
【数12】
【0031】(第4実施例) Kz =170 ×103 [N/m] Kp =-87.9 ×103 [N/m] Kθp =35[Nm/rad] r=20.35 ×10-3[m] のとき、各パラメータを代入すると、 |la −lp |≦14.5×10-3[m] を得る。そこで、la=10[mm]、lp=0とした場
合のコニカル運動軸中心を求めると、式(9)、(1
5)より、 λ2 =21790 ,f=23.5[Hz],(X/Θ)=20.5×
10-3[m/rad] よって、コニカル運動中心は、重心より下方向に約20
[mm]に位置し、制御軸中心とは約10[mm]の距離
となる。係る各剛性とコニカル運動の中心位置Cとの関
係を図6に示す。
【0032】(第5実施例) Kz =49.5×103 [N/m] Kp =-79.5 ×103 [N/m] Kθp =10[Nm/rad] r=20.35 ×10-3[m] のとき、各パラメータを代入すると、 |la −lp |≦8.50×10-3[m] を得る。そこで、la =5 [mm]、lp =0とした場
合のコニカル運動中心を求めると、式(11)、(1
7)より、 λ2 =41580 ,f=32.4[Hz],(X/Θ)=11.1×
10-3[m/rad] よって、コニカル運動中心は、重心より下方向に約11
[mm]に位置し、制御軸中心とは約6 [mm]の距離
となる。係る各剛性とコニカル運動の中心位置Cとの関
係を図7に示す。
【0033】図8は、回転軸zの併進自由度とx、y軸
回りの回転自由度に対して、受動安定剛性を発生する受
動安定要素の説明図である。基本形式として吸引型磁気
回路を採用し、磁気求心力による復元剛性を得る。リン
グ状の薄い磁極板11,14と永久磁石12,13とを
積層している。永久磁石には同極どうしを反発する向き
に置き、その間に磁極板を挟むことで、磁極先端におけ
る磁気飽和を利用した簡素な構造である。固定側の永久
磁石13に対して、回転体側に固定された永久磁石12
は、それぞれの対向する磁極板11,14が互いに吸引
するような磁気力が働くように配列されている。従っ
て、z方向に安定剛性が働き鉛直軸方向に回転体を支持
すると共に、その直交軸方向には不安定剛性が働くこと
となる。
【0034】ここで、パラメータt1 は永久磁石の厚
み、t2 は磁極板の厚みである。パラメータbは磁極板
の永久磁石に対する突出部分の距離であり、g0 は回転
体側の磁極板11と対向する固定側の磁極板14との間
隔である。そして、各パラメータ g0 =t2 =b=c (18) の条件について、受動安定要素の特性を調べるための数
値実験を行なった。静磁場領域を有限要素法を用いて計
算した結果を図9、図10に示す。図に現われているよ
うに、受動安定剛性と寸法比の関係には飽和現象が確認
された。図中の折れ点付近の形状比を採用すると、即
ち、t1 /cを5付近にすることにより効率のよい受動
安定要素を実現できる。 c=t2 =g0 =b であるので、例えば磁石の厚みt1 に対して、磁極板の
厚みt2 との比が5近辺で、磁極板の厚みt2 と磁極板
の突出部分の距離bと、対向する磁極板間の間隔g0
を等しくすることにより、最も効率の良い受動安定要素
が実現されることを意味している。
【0035】Sm−Co系のプラスチック磁石を用い
て、受動剛性の飽和特性の確認実験を実施した。その結
果を表2に示す。形状比(t1 /c)=5,10 の場合に
おいて、その受動安定剛性Kz はほぼ同一の測定結果が
得られた。上記したSm−Co系プラスチック磁石とN
d−Fe−B系磁石(t1 /c=4)の場合について、
安定剛性と不安定剛性を測定した。その結果を前記表2
に併せて示す。
【表2】 表2に示されるように、Kz /Kp の比は、 Sm−Co系プラスチック磁石の場合:約0.96 Nd−Fe−B系磁石の場合 :約1.94 という結果が得られた。Yonnetの磁気力に関する剛性の
定理が示す最大2という解に近い特性を示している。
【0036】
【発明の効果】上述した本発明の構造により、2軸制御
型磁気軸受は、慣性モーメント比が1以下の回転体用と
して適用範囲を広げることができる。また、簡素な構造
で、特別の受動減衰機構を必要としないで、コニカル運
動、傾き運動をラジアル運動と共に減衰させることので
きる磁気軸受装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の各実施例をシミュレートする試作機の
構造を示す断面図。
【図2】回転体のモデルを模式的に示す説明図。
【図3】本発明の第1実施例の各種剛性とコニカル運動
の中心位置の関係を示す説明図。
【図4】本発明の第2実施例の各種剛性とコニカル運動
の中心位置の関係を示す説明図。
【図5】本発明の第3実施例の各種剛性とコニカル運動
の中心位置の関係を示す説明図。
【図6】本発明の第4実施例の各種剛性とコニカル運動
の中心位置の関係を示す説明図。
【図7】本発明の第5実施例の各種剛性とコニカル運動
の中心位置の関係を示す説明図。
【図8】受動安定剛性を発生する受動安定要素の断面
図。
【図9】上記受動安定要素のパラメータに対する受動安
定剛性の関係を示す説明図。
【図10】上記受動安定要素のパラメータに対する受動
安定剛性の関係を示す説明図。
【符号の説明】
1 ロータ(回転体) 2 変位センサ 3 電磁石(ラジアル軸方向能動制御型磁気軸受) 4 積層形受動安定要素 5 モータ 11,14 磁極板 12,13 永久磁石 C コニカル運動中心 O 重心
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−300417(JP,A) 特開 平5−87139(JP,A) 特開 昭63−23024(JP,A) 特開 昭63−275813(JP,A) 特開 昭55−65719(JP,A) 特開 平3−96696(JP,A) 特開 平4−219494(JP,A) 特開 平4−219493(JP,A) 特開 平6−185526(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16C 32/00 - 32/06

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転軸に直交する1平面におけるラジア
    ル方向(X1 ,Y1)軸に力の作用中心点が一致するよ
    うにラジアル能動制御型磁気軸受と受動安定要素とを配
    置し、回転軸方向に前記1平面(X1 ,Y1 )とはなれ
    た第2の平面(X2 ,Y2 )に前記回転体を回転駆動す
    るモータの不平衡力とが作用するように配置し、回転体
    の傾き運動又はコニカル運動の中心が、前記ラジアル能
    動制御型磁気軸受の制御力作用中心とはなれるように配
    置されたことを特徴とする磁気軸受装置。
  2. 【請求項2】 ラジアル方向に作用する不平衡力が極め
    て小さいモータを備え、ラジアル能動制御型磁気軸受の
    制御力作用中心と、受動安定要素の不平衡力作用中心と
    を系が安定範囲内となる距離内の任意の距離はなした配
    置とし、回転体の傾き運動又はコニカル運動の中心が、
    ラジアル能動制御型磁気軸受の制御力作用中心とはなれ
    るように配置されたことを特徴とする磁気軸受装置。
  3. 【請求項3】 前記磁気軸受装置における制御力作用中
    心の配置は、前記能動制御型磁気軸受の能動復元剛性
    と、前記受動安定要素の回転軸方向の受動安定剛性及び
    その直交軸方向の受動不安定剛性と、回転駆動用モータ
    の直交軸方向の不安定剛性と、前記回転体の回転軸回り
    の慣性モーメント及びその直交軸回りの慣性モーメント
    と、これらの位置関係に基づいて系の運動方程式が解か
    れ、前記コニカル運動の中心位置が求められることによ
    り定められたものであることを特徴とする請求項1又は
    2記載の磁気軸受装置。
  4. 【請求項4】 前記受動安定要素は、リング状の永久磁
    石が同極同士が反発する向きに磁極板を介して積層配置
    され、該永久磁石の厚み(t1 )に対する該磁極板の厚
    み(t2 )の比が5近傍であることを特徴とする請求項
    1、2、又は3記載の磁気軸受装置。
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