JP3448342B2 - 光散乱測定を利用した物質の構造解析装置 - Google Patents

光散乱測定を利用した物質の構造解析装置

Info

Publication number
JP3448342B2
JP3448342B2 JP09521994A JP9521994A JP3448342B2 JP 3448342 B2 JP3448342 B2 JP 3448342B2 JP 09521994 A JP09521994 A JP 09521994A JP 9521994 A JP9521994 A JP 9521994A JP 3448342 B2 JP3448342 B2 JP 3448342B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
scattering
fourier coefficient
intensity pattern
scattering intensity
order fourier
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP09521994A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH07301602A (ja
Inventor
宏一 岡
世志 江南
基信 赤木
祥宏 大澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Otsuka Electronics Co Ltd
Original Assignee
Otsuka Electronics Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Otsuka Electronics Co Ltd filed Critical Otsuka Electronics Co Ltd
Priority to JP09521994A priority Critical patent/JP3448342B2/ja
Publication of JPH07301602A publication Critical patent/JPH07301602A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3448342B2 publication Critical patent/JP3448342B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Investigating Or Analysing Materials By Optical Means (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】高分子フィルムの結晶状態、ポリ
マーアロイにおける相分離構造、高分子フィルム中に分
散された顔料の分散状態、高分子中に液晶分子が分散さ
れた高分子分散型液晶(PDLC)のフィルム中に形成
された構造等のミクロ構造がある。また、粉体と高分子
の混合物でも、結晶、多結晶、アモルファス等の無機顔
料粒子が分散したり、棒状の磁性体粒子が分散した状態
があり、澱粉等の生体高分子の結晶が溶媒に分散した状
態、ゲル化した状態で結晶部分とアモルファス部分に分
かれた状態がある。
【0002】これらのミクロ構造は、その物質の機械的
性質、物理的性質、光学的性質、品質、加工性を決める
重要な要素である。前記ミクロ構造として、球晶、針状
等の結晶構造、液晶等の種類がある。球晶を形成する高
分子としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリ
オレフィン、ポリスチレン、ナイロン610、ナイロン
66、ポリエチレンテレフタレート(PET)、polyε
-caprolactone 等がある。棒状結晶を形成する高分子と
しては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等が
知られている。コラーゲンのゲルは棒状結晶の集合体で
ある。液晶を形成する例としてタンパク質とかペプチド
の溶液、例えばPBLG(ポリ−γブチルL−グルタメ
ート)溶液が報告されている他、エンジニアリングプラ
スチックスや液晶表示器に用いられる液晶形係数子があ
る。高分子分散型液晶では、液晶分子の集合した相がド
ロップとなり球晶と同じようなミクロ構造を形成する。
2種のポリマーを混合して作製するブレンドされた高分
子樹脂では2種の高分子が各々ミクロ構造を形成した
り、両者が混合されたアモルファス部分と相分離構造を
形成したりして複雑な構造になる。このようなポリマー
ブレンドでは、微量の添加物の存在、熱処理の仕方の相
違により結晶の分子の並び方、結晶構造が違ってくる。
【0003】本発明は、前記のようなミクロ構造を形成
する多くの材料において、ミクロ構造の形態、大きさ、
物性、結晶配向、分子配向を測定して、ミクロ構造と熱
処理過程、伸延過程、剪断過程、組成、分子構造との関
係を明確にし、ミクロ構造により変化する材料の機械
的、光学的、電気的性質を最良にする製造、組成、添加
物の選択、分子設計をする場合に適用される物質の構造
解析装置に関するものである。
【0004】
【従来の技術】従来より、高分子物質のミクロ構造の測
定方法として、電子顕微鏡、光学顕微鏡で形態観察する
方法、X線散乱により分子レベル構造を測定する方法、
固体NMR法により分子の配列を測定する方法、光散乱
法等がある。前記光散乱法は、物質に光を照射し散乱光
のパターンを測定して、物質の光の波長と同程度かそれ
以上のミクロ構造を調べる方法である。散乱強度パター
ンは、ミクロ構造の形態、大きさ、物性、結晶や粒子の
配向、個々の粒子を構成する分子配向の関数となってい
るので、この光散乱法によりミクロ構造の情報が求めら
れる。この光散乱法は、高分子物質の加工過程、熱処理
過程、引延し等の力を加えた状態での連続変化特性を測
定できる点で、他の方法より有利である。
【0005】光散乱法では、一般的に縦偏光で照射し横
偏光で測定するHv散乱測定と、縦偏光で照射し縦偏光
で測定するVv散乱測定との2種類がある。また、光散
乱測定装置には、ゴニオメータを用い光散乱角度をスキ
ャンする一次元測定装置と、CCD,TVカメラ等の二
次元検出器を用いて散乱強度パターンを測定する二次元
測定装置とがある。前記の一次元測定装置では方位角μ
を変えて多数回測定すれば散乱強度パターンを観測でき
るが、二次元測定装置は、散乱強度パターンを一度に観
測できるのでパターン変化の速いダイナミックな測定が
可能となる。
【0006】一次元測定装置、二次元測定装置のいずれ
を使用するにしても、ミクロ構造に関する情報を得るに
は、予め描いた理論的散乱像と、実際の散乱強度のパタ
ーンとを見比べる必要がある(高分子学会 「高分子実
験学」第17巻,「高分子の固体構造II」第3章光散乱
参照)。例えば、ポリマーアロイ等の等方的アモルファ
ス構造では同心円状の散乱強度パターンが予測される。
球晶、針状結晶等の結晶性フィルムでは、4つ葉のクロ
ーバー状、十字状等の独特なパターンが予測される。同
じ組成の高分子フィルムであっても、処理過程の違いに
よりミクロ構造が異なるので解析に当たりまず散乱強度
パターンを分類し、それぞれに対応する理論を適用して
大きさ、配向、物性値を変化させて得られる理論パター
ン(図4参照。図4(a) はポリエチレンフィルムのHv
散乱強度パターンの理論的予測値であり、図4(b) はポ
リエチレンフィルムのVv散乱強度パターンの理論的予
測値である。いずれも等高線で表している。)と、測定
パターンとの対比を行い、ミクロ構造の大きさ、配向、
物性値の推定を行っている。推定の方法には2種類あ
り、理論パターンを等高線で表し実際に測定されたパタ
ーンの写真と比較し、パターンの近似度からミクロ構造
を推定する方法と、二次元パターンのいくつかの方位角
での一次元データ配列を求め、ミクロ構造を数値化する
方法がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、人の感覚に
頼った二次元散乱強度パターンの比較では、正確に数値
化できない。複数の物性値の組み合わせでパターンの形
が決まる場合はなおさらである。また、一次元解析で
は、精度が悪く、限られた形態でのミクロ構造に関する
情報しか得られない。
【0008】さらに、固体中の散乱では、散乱中心が媒
体中に分散されており、かつ固定されているので、散乱
強度パターンにはスペックルパターンによるノイズが現
れる。これが散乱強度の解析精度を低下させている。そ
こで、本発明の目的は、試料に偏光子を通った平行ビー
ムを照射し、検光子を通して結像面に形成された散乱光
のパターンを測定する光散乱測定装置において、粒子の
大きさ、形態、配向等の物性値の情報を最大限引き出す
ことのできる物質の構造解析装置を提供することであ
る。
【0009】さらに、本発明の目的は、スペックルパタ
ーンによるノイズを除去し、解析の精度を向上させる物
質の構造解析装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段及び作用】
(1) 前記の目的を達成するための請求項1記載の物質の
構造解析装置は、同一散乱角θにおいて、方位角μを変
えて結像面の画像強度データを同心円状にサンプリング
するサンプリング手段と、サンプリングされた強度デー
タから、方位角μに関するフーリエ係数を求めるフーリ
エ係数抽出手段と、各フーリエ係数を、散乱理論から得
られる関数に当てはめて、前記試料を構成する物質のミ
クロ構造に関する物性値を求める解析手段とを備えるも
のである。
【0011】この物質の構造解析装置による作用を示す
と、図1のような流れになる。画像の二次元検出を行い
(ブロック)、同一散乱角θにおいて、方位角μを変
えて同心円状にサンプリングしてデータを得(ブロック
)、方位角μの関数としてフーリエ係数を求める(ブ
ロック)。このようにして得られたフーリエ係数は、
理論から得られる散乱強度の方位角μ又はその整数倍の
三角関数の多項式の係数に相当する。それらの係数は、
粒子の大きさ、長さ、配向角等の物性値の関数になって
いる。したがって、測定したフーリエ係数を用いた方位
角μが含まれていない連立方程式を得ることができる。
この連立方程式を解けば(ブロック)、従来の一次元
解析法では必ずしもできなかった前記種々の物性値を数
値として得ることができる(ブロック)。
【0012】前記偏光子と検光子とは、光学的にともに
縦に配列されていれば、いわゆるVv散乱強度パターン
を測定することができ、検光子が光学的に横に、偏光子
が光学的に縦に配列されていれば、いわゆるHv散乱強
度パターンを測定することができる。検光子を通して結
像面に形成される散乱光のパターンの光学系の収差に基
づく歪みや強度の不均一性をなくすために、光学中心か
らの距離の経験関数を、散乱角θに対して補正すること
が好ましい。
【0013】前記散乱光のパターンが形成される結像面
は、二次元画像検出器の結像面であってもよく、散乱角
θ=0に相当する光軸を中心に回転可能な一次元画像検
出器の結像面であってもよい。前記サンプリング手段
は、同一散乱角θにおいて、例えば、方位角μを一定角
度Δμごとに変えてサンプリングするものである。
【0014】前記フーリエ係数抽出手段は、サンプリン
グされた強度データのフーリエ係数を求めるのに全角度
(2π)にわたって行ってもよく、ある角μmin からμ
maxまでの範囲で行ってもよい。求項記載の物質の
構造解析装置によれば、前記解析手段は、散乱角θ及び
試料が球晶からなる場合の球晶の半径R0 を含む理論関
数がHv散乱強度パターンにおける0次のフーリエ係数
0,HV(θ)若しくは4次のフーリエ係数F4,HV(θ)
又はVv散乱強度パターンにおける4次のフーリエ係数
4,VV(θ)を含むことを利用して、散乱角θを変えて
サンプリングし、前記フーリエ係数を含む関数に相当す
る測定値を導き、この測定値から、球晶の半径R0 を求
めることができる。(2) 請求項記載の物質の構造解析装置によれば、前記
解析手段は、Hv散乱強度パターンにおける4次のフー
リエ係数F4,HV(θ)と、Hv散乱強度パターンにおけ
る0次のフーリエ係数F0,HV(θ)との差Δ1 、又はV
v散乱強度パターンにおける4次のフーリエ係数F4,VV
(θ)と、Hv散乱強度パターンにおける4次のフーリ
エ係数F4,HV(θ)との差Δ2 をそれぞれ求める。
【0015】このことにより試料の理想的球晶状態から
のずれに基づく共存する微結晶及び等方的ミクロ構造の
配向と光学異方性を推定することができる。(3) 請求項記載の物質の構造解析装置によれば、前記
解析手段は、試料が球晶からなる場合の光学的等方性分
極率と異方性との比(αm −αs )/(δfB )を含む
理論関数がVv散乱強度パターンにおける2次のフーリ
エ係数F2,VV(θ)と4次のフーリエ係数F4,VV(θ)
との比で表されることを利用して、光学的等方性分極率
と異方性との比(αm −αs )/(δfB )を求める。
【0016】したがって、球晶の複屈折率及び平均屈折
率、媒体の屈折率が判っていると、光軸の半径方向に対
する配向fB を推定することができる。(4) 請求項記載の物質の構造解析装置によれば、前記
解析手段は、Vv散乱強度パターンにおける0次のフー
リエ係数F0,VV(θ)と、Vv散乱強度パターンにおけ
る4次のフーリエ係数F4,VV(θ)との比の理論値から
のずれと、Hv散乱強度パターンにおける4次のフーリ
エ係数F4,HV(θ)との積Δ3 、又はVv散乱強度パタ
ーンにおける0次のフーリエ係数F0,VV(θ)と、Hv
散乱強度パターンにおける4次のフーリエ係数F
4,HV(θ)との比の理論値からのずれと、Hv散乱強度
パターンにおける4次のフーリエ係数F4,HV(θ)との
積Δ4 を求める。
【0017】このことにより試料の理想的球晶状態から
のずれに基づく共存する微結晶及び等方的ミクロ構造の
大きさを推定することができる。(5) 請求項記載の物質の構造解析装置によれば、前記
解析手段は、散乱角θ及び試料が針状結晶からなる場合
の針状結晶の長さLを含む理論関数がHv散乱強度パタ
ーンにおける4次のフーリエ係数F4,HV(θ)、又はV
v散乱強度パターンにおける4次のフーリエ係数F4,VV
(θ)を含むことを利用して、散乱角θを変えてサンプ
リングし、前記4次のフーリエ係数を含む関数に相当す
る測定値を導き、この測定値から針状結晶の長さLを求
めることができる。(6) 請求項記載の物質の構造解析装置によれば、前記
解析手段は、散乱角θ及び試料が針状結晶からなる場合
の針状結晶の半径Rを含む理論関数が、Hv散乱強度パ
ターンにおける4次のフーリエ係数F4,HV(θ)、又は
Vv散乱強度パターンにおける4次のフーリエ係数F
4,VV(θ)を含むことを利用して、散乱角θを変えてサ
ンプリングし、前記4次のフーリエ係数を含む関数に相
当する測定値を導き、この測定値から針状結晶の半径R
を求めることができる。(7) 請求項記載の物質の構造解析装置によれば、前記
解析手段は、散乱角θ並びに試料が針状結晶からなる場
合の結晶の長さL及び針状結晶の配向角ω0 を含む理論
関数がHv散乱強度パターンの0次のフーリエ係数F
0,HV(θ)とHv散乱強度パターンの4次のフーリエ係
数F4,HV(θ)との比を含むことを利用して、散乱角θ
を変えてサンプリングし、前記0次及び4次のフーリエ
係数を含む関数に相当する測定値を導き、この測定値か
ら針状結晶の配向角ω0 を求めることができる。(8) 請求項記載の物質の構造解析装置によれば、前記
解析手段は、散乱角θ並びに試料が針状結晶からなる場
合の光学的等方性分極率の光学異方性に対する比p、結
晶の長さL及び配向角ω0 を含む理論関数がVv散乱強
度パターンの0次のフーリエ係数F0,VV(θ)及びVv
散乱強度パターンの4次のフーリエ係数F4,VV(θ)を
含むことを利用して、散乱角θを変えてサンプリング
し、前記2次及び4次のフーリエ係数を含む関数に相当
する測定値を導き、この測定値から光学的等方性分極率
の光学異方性に対する比pを求めることができる。(9) 請求項記載の物質の構造解析装置によれば、前記
解析手段は、Vv散乱強度パターンにおける0次のフー
リエ係数F0,VV(θ)と、Vv散乱強度パターンにおけ
る4次のフーリエ係数F4,VV(θ)との比の理論値から
のずれと、Vv散乱強度パターンにおける4次のフーリ
エ係数F4,VV(θ)との積Δ5 、又は同じずれとHv散
乱強度パターンにおける4次のフーリエ係数F
4,HV(θ)との積Δ6 を求める。
【0018】このことにより試料の理想的針状結晶状態
からのずれに基づく共存する微結晶及び等方的ミクロ構
造からの散乱への寄与を推定することができる。(10) 請求項10記載の物質の構造解析装置によれば、前
記フーリエ係数抽出手段によって得られる有限個数のフ
ーリエ係数から、フーリエ逆変換を行い、散乱角θ、方
位角μの関数として散乱強度パターンを求めるフーリエ
逆変換手段をさらに備えるものである。
【0019】この物質の構造解析装置によれば、有限個
数のフーリエ係数からフーリエ逆変換をすることによ
り、スペックルノイズの影響を取り除いてスペックルの
ない像を再生することができるので、求められる物質の
構造情報の精度が向上する。
【0020】
【実施例】以下実施例を示す添付図面によって詳細に説
明する。 I.光散乱測定装置の光学系 図2は、CCDカメラ、写真機等の二次元検出器を用い
て光散乱強度パターンを測定する光散乱測定装置の概要
を示す。レーザ光源1(例えばHe−Neレーザ)から
照射された平行光は、偏光子2を通ってフィルム状の試
料3に入り、一定のパターンで散乱される。散乱光は検
光子4を通ってフーリエ変換レンズ5、結像レンズ6を
経て、二次元検出器の結像面7に結像される。
【0021】なお、二次元検出器の代わりに一次元検出
器(例えばフォトマルチプライヤー)を用いてゴニオメ
ータを動かしながら二次元測定してもよい。結像面の座
標を、横座標xと縦座標yとで表し、散乱パターンの強
度Iを Is (x,y) と表すことにする(sは散乱を意味する添字である)。
なお、検出器の感度のむらや光学系の透過率のむらを補
正することが好ましいので、本実施例でもこの補正を行
っている(後述)。
【0022】前記偏光子2の偏光角と検光子4の偏光角
とがともに縦の場合は、Vv散乱測定となり添字sに変
えて添字Vvを使用し、前記偏光子2の偏光角が縦で検
光子4の偏光角が横の場合は、Hv散乱測定となり添字
sに変えて添字Hvを使用することにする。以下、補正
後の散乱パターンの強度Iを、改めて Is (x,y) と書くことにする。本実施例では、結像面の座標(x,
y)を、極座標に変換し、それぞれ散乱角θ、方位角μ
と表す。そして、散乱パターンの強度Iを Is (θ,μ) と表すことにする。
【0023】二次元検出器で得られた散乱パターンの強
度Is (θ,μ)は、θ及びμに関してそれぞれ等間隔
Δθ及びΔμ(例えば1°)ごとにサンプリングされ
る。すなわち、散乱強度IS (θ,μ)はθ=iΔθ、
μ=jΔμとして各々のi,jに対応するデータから得
られる。ここでθ−Δθ/2とθ+Δθ/2の範囲にあ
る対応する画素の数がθと共に増加する。座標(θ,
μ)上ではθにより測定ポイントの数が異なってくるの
で、数多い部分に合わせてΔμを小さくしてポイントを
多くとると、小さいθでは、無駄の多い計算となる。逆
にポイントの小さい部分に合わせるとデーター数が減少
し精度がとれない。したがって、サンプリングポイント
数はθの変数とし計算の効率とデーターの有効率の両者
を満足させるように選ぶ必要がある。
【0024】そして、Is (θ,μ)を方位角μに関し
てフーリエ展開し、0次のフーリエ係数F0 を求める
と、次のようになる。なお、積分は、μmin からμmax
までとる。 F0 (θ)=1/(μmax −μmin )・∫Is (θ,μ)dμ 各次数i(i=1,2,3… )のフーリエ余弦係数Ficを求める
と、次のようになる。
【0025】 F1c(θ)=2/(μmax −μmin )・∫cos μ・Is (θ,μ)dμ F2C(θ)=2/(μmax −μmin )・∫cos 2μ・Is (θ,μ)dμ ‥‥ FnC(θ)=2/(μmax −μmin )・∫cos nμ・Is (θ,μ)dμ フーリエ正弦係数FiSを求めると、次のようになる。
【0026】 F1S(θ)=2/(μmax −μmin )・∫sin μ・Is (θ,μ)dμ F2S(θ)=2/(μmax −μmin )・∫sin 2μ・Is (θ,μ)dμ ‥‥ FmS(θ)=2/(μmax −μmin )・∫sin mμ・Is (θ,μ)dμ 積分範囲である(μmin ,μmax )は任意にとることが
できるが、例えばπ/2,π,2πから選ばれる。前記
積分は、実際には、サンプリングポイントΔμごとのデ
ータの和をとることによって得られることはいうまでも
ない。
【0027】なお、前記のようにして得られたフーリエ
係数のうち所定のものを用いてフーリエ逆変換をすれ
ば、画像Is ′(θ,μ)を復元することができる。 Is ′(θ,μ)=F0 +ΣFiS sinnμ+ΣFic cosnμ ただし、総和Σは、正弦関数の項に対してはiが1から
mまで変化するようにとり、余弦関数の項に対してはi
が1からnまで変化するようにとる。これらのフーリエ
係数の次数の上限n,mをともに、例えば4から10程
度にとれば、計算時間も過大にならないで、スペックル
の影響をきれいに除くことができる。
【0028】一方、モデル化したミクロ構造の光散乱理
論によれば、散乱パターンの強度は、μ,2μ,3μ,
…の三角関数に展開できる形になっていることが多く、
それらの係数すなわちフーリエ係数は、散乱角θ、及び
粒子の半径、長さ、分極率、配向角、マトリックスの分
極率等の物性値の関数となっている。したがって、理論
的なフーリエ係数を、実測したフーリエ係数の値に等し
いとおけば、各物性値に関する1つ連立する方程式が得
られる。
【0029】したがって、この方程式を解くことによ
り、試料3の物性値を調べることができる。なお、本実
施例では、散乱パターンが方位角μ=0の軸に対して左
右対称になるように方位角μをとるので、フーリエ正弦
係数はすべて0になり、フーリエ余弦係数Ficのみが問
題となる。よって、フーリエ余弦係数Ficの添字icの
cは省略し、単にFi と書くことにする。 II.理想的な完全球晶の解析例 球晶は微細結晶の高位構造であり、光学的に均一で光学
異方性を有する球(3次元球晶)又は円(二次元球晶)
である。半径方向及び半径に垂直な方向に分極率αr
αt を有する球が、分極率αs を有する等方性媒体の中
に分散しているとする。
【0030】球晶の半径:R0 、半径と直角方向の分極
率:αt 、半径方向の分極率:αr、球晶以外の部分の
分極率:αs とすると、フィブリルの散乱理論では、H
v散乱強度IHVは、 IHV=Aρ2 0 2(3/U3 2 {(αr −αt )〔cos2(θ/2)/cos θ〕 sinμ cosμS3(U)}2 …(1) Vv散乱強度IVVは、 IVV=Aρ2 0 2(3/U3 2 {(αt −αs )(S1(U)+S2(U))−(αr −αS )S2(U) +(αr −αt )〔cos2(θ/2)/cos θ〕cos2μS3(U)}2 …(2) で表される。ここで、 U=(4πR0 /λ′) sin(θ/2) ρ= cosθ(cos2θ+sin2θcos2μ)-1/2 λ′:測定試料3中の波長 v0 :4πR0 3 /3:球晶の体積 A=(k0 4 /r2 )I0 r:試料3から検出器までの距離 I0 :入射光強度 k0 =2π/λ′:測定試料3中の波数ベクトル S1(U)= sinU−U cosU S2(U)= sinU−∫ sinx/xdx(積分は0からUま
で) S3(U)=4 sinU−U cosU−3∫ sinx/xdx(積
分は0からUまで) である。
【0031】球晶を構成する微細結晶が球晶の半径方向
(r)軸の回りに角度β傾きランダムに配向している場
合で、結晶光軸に平行な分極率をα1 、それに垂直な分
極率をα2 とすると、球晶の光学異方性(αr −αt )
は、それを構成する要素の光学異方性δ=α1 −α
2 と、 αr −αt =δfB ,配向fB =(3cos2β−1)/2 なる関係がある(前記「高分子の固体構造II」第3章光
散乱参照)。
【0032】(αr −αt )が正の場合を正の結晶、負
の場合を負の結晶という。また、散乱体の平均分極率α
m は、 αm =(α1 +2α2 )/3=(αr +2αt )/3 で表される。これらの物性値δ,fB ,αm を使ってH
v散乱強度IHV、Vv散乱強度IVVを書き直すと、次の
ようになる。
【0033】 IHV=9/4・Aρ2 0 2δ2 B 2 〔cos2(θ/2)/cos θ〕2sin 22μS3(U)2 -6 …(3) IVV=9Aρ2 0 2δ2 B 2 {〔cos2(θ/2)/cos θ〕cos2μS3(U)−1/3 ・S1(U) −S2(U)+(αm −αS )S1(U)/δfB 2 -6 …(4) ここで、ρはθが小さい場合は1に近いので1とおけ
ば、9/4・Aρ2 0 2を定数K′とおくことができ
る。すると、 IHV=1/2 ・K′δ2 B 2 〔cos2(θ/2)/cos θ〕2 (1−cos 4μ)S3(U)2 -6…(5) IVV=4K′δ2 B 2 {〔cos2(θ/2)/cos θ〕(1+cos 4μ)/2・S3(U) −1/3 ・S1(U)−S2(U)+(αm −αS )S1(U)/δfB 2 -6 …(6) と書き直すことができる。(αm −αS )/δfB は球
晶部分とアモルファス部分との屈折率差を光学異方性と
配向とで割った値、すなわち光学等方性分極率と光学異
方性との比である。
【0034】散乱強度IHV,IVVは、δ2 B 2 すなわ
ち光学異方性及び配向の2乗に比例する。(6) 式に示さ
れるように、散乱強度IVVの方位角μに依存しない部
分、−1/3 ・S1(U)−S2(U)+(αm −αS )S1(U)/
δfBは、散乱角θ及びU(球晶の半径R0 と散乱角θ
の関数)並びに光学等方性分極率と光学異方性との比の
関数となっている。
【0035】前記(5) 式と(6) 式は、方位角μ又はその
整数倍の三角関数で展開された形になっていて、その係
数がフーリエ係数となる。 II−1.球晶の半径R0 を求める方法 Hv散乱の0次の係数F0 は、(5) 式より F0,HV(θ)=1/2 ・K′・δ2 B 2 〔cos2(θ/2)/cos θ〕2 3(U)2 -6 =1/2 ・K′・δ2 B 2 2 3(U)2 -6 …(7) と変形でき、4次の係数F4Cは、(5) 式より F4,HV(θ)=−1/2 ・K′・δ2 B 2 〔cos2(θ/2)/cos θ〕2 3(U)2 -6 =−1/2 ・K′・δ2 B 2 2 3(U)2 -6 …(8) と変形できる。ここで、C=cos2(θ/2)/cos θと
した。
【0036】Vv散乱については、(6) 式をさらに展開
すれば、0次の係数F0 は、 F0,VV(θ)=K′δ2 B 2 {(3/2 C2 −4/3 C+4/9 )S3(U)2 +4(C−2/3 )S3(U)S1(U)(αm −αS )/δfB +4〔S1(U)(αm −αS )/δfB 2 }U-6 …(9) となり、2次の係数F2,VV(θ)は、 F2,VV(θ)=K′δ2 B 2 {(2C2 −4/3 C)S3(U)2 +4CS3(U)S1(U)(αm −αS )/δfB }U-6 …(10) となり、4次の係数F4,VV(θ)は、 F4,VV(θ)=1/2 ・K′δ2 B 2 2 3(U)2 -6 …(11) となる。
【0037】以上のフーリエ係数のうち、F
0,HV(θ)、F4,HV(θ)、F4,VV(θ)は、 F0,HV(θ)C-2=1/2 ・K′δ2 B 2 3(U)2 -64,HV(θ)C-2=−1/2 ・K′δ2 B 2 3(U)2
-64,VV(θ)C-2=1/2 ・K′δ2 B 2 3(U)2 -6 の形をしている。右辺の1/2 ・K′δ2 B 2 3(U)2
-6を、次のようにAと書くことにすると、 A=1/2 ・K′δ2 B 2 3(U)2 -60,HV(θ)C-2=A F4,HV(θ)C-2=−A F4,VV(θ)C-2=A となり、フーリエ係数はAに比例する。
【0038】一方、θを変えながらHv散乱強度を実測
し、この0次のフーリエ係数にC-2をかけたものを、θ
を横軸にしてグラフ化すると、図3のようになる。な
お、この4次のフーリエ係数に−C-2をかけたものを、
θを横軸にしても同じグラフが得られ、θを変えながら
Vv散乱強度を実測し、この4次のフーリエ係数にC-2
をかけたものを、θを横軸にしても同じグラフが得られ
る。
【0039】図3によれば、ある散乱角θmax において
(換言すればUmax において)、Aの実測値が極大値を
とる。この極大値を公知の式、 Umax =4.09=(4πR0 /λ′) sin(θmax /2) …(12) に当てはめれば、球晶の半径R0 を容易に得ることがで
きる。ここで、従来行われている一次元データ解析法と
の比較をしておくと、従来では、実際に測定されたHv
パターンの二次元画像、又はある方位角μ(例えば45
°)に沿った一次元画像をとり、この角度μに沿って散
乱強度が最大となる散乱角θmax を見つけ、前記式に当
てはめて、球晶の半径R0 を求めていた(前記文献「高
分子の固体構造II」第3章光散乱参照)。
【0040】ところが、本発明では、画像強度が最大と
なる散乱角θmax を見つけるのではなく、試料3の散乱
角θを固定し、方位角μについて同心円状に実測パター
ンをサンプリングしてフーリエ係数を求め、色々な散乱
角θで同様の測定を行い、特定のフーリエ係数を最大と
する散乱角θmax を算出し、前記式に当てはめて、球晶
の半径R0 を求める。
【0041】このため、1つの方位角μに沿った一次元
画像パターンのみによって判断するのではなく、方位角
μの広い範囲で測定し判断するので、精度が向上する。
とくに、一次元データではスペックルの影響が大きかっ
たが、本実施例では積分範囲(μmin ,μmax )におい
てデータを処理するので、スペックルの影響を減らすこ
とができる。 II−2.共存する微結晶及び等方的ミクロ構造の配向と
光学異方性の推定 実際の試料3では、結晶は理想的な完全球晶からずれた
状態、球晶の他にミクロ結晶が共存した状態、等方的な
密度のゆらぎ等の色々な散乱要素が含まれていることが
多く、理想的球晶状態からのずれがある。
【0042】ミクロ結晶はHv散乱とVv散乱との両方
を発生させるが、等方的な密度ゆらぎは、延伸等の変形
がない状態では方位角μ依存性がない。したがって球晶
以外の散乱は、方位角μ依存性がないので、係数F4,HV
(θ)は原理的には球晶からの散乱のみに基づくものと
なり、球晶の半径を最も正確に示すのは、係数F
4,HV(θ)である。そこで他のフーリエ係数F
0,HV(θ),F4,VV(θ)との差、 Δ1 =(F0,HV(θ)−F4,HV(θ))C-2 Δ2 =(F4,VV(θ)−F4,HV(θ))C-2 から球晶以外の散乱の寄与の評価ができる。差Δ1 は微
結晶の配向の相関関数と異方性の相関関数の積からの散
乱係数となるので、そのGuinier プロットあるいはDeby
e-Buche プロットから、微結晶のそれらの積の相関長が
求められる。差Δ 2 は微結晶あるいは等方的ミクロ構造
の共存の影響を受けないので、測定精度の確認に用いら
れる。
【0043】なお、Guinier プロットとは、散乱ベクト
ルq(q=4π/λ sin(θ/2))の2乗を横軸に、
散乱強度Is の対数を縦軸にして測定した点をプロット
する方法をいい、Debye-Buche プロットとは、散乱ベク
トルqの2乗を横軸に、散乱強度Is の−1/2乗を縦
軸にして測定した点をプロットする方法をいう。 II−3.光学的等方性分極率と光学異方性との比(αm
−αS )/δfB を求める方法 Vv散乱についての、2次の係数F2,VV(θ)と、4次
の係数F4,VV(θ)との比を計算すると、(10)(11)式か
ら F2,VV(θ)/F4,VV(θ)=2(2C2 −4/3 C)/
2+8C-13(U)-11(U)(αm −αS )/δfB となり、比(αm −αS )/δfB は、 (αm −αS )/δfB =S3(U)S1(U)-1{CF
2,VV(θ)/F4,VV(θ)−2(2C−4/3 )}/8 となる。球晶の半径R0 が求められていると、S3(U)S
1(U)-1は計算で求められる。よってフーリエ係数が実測
できると、比(αm −αS )/δfB を知ることができ
る。散乱角θmax の1/3から0.95の範囲が精度が
よい。
【0044】各々の分極率は屈折率に比例するので、球
晶の複屈折率及び平均屈折率、並びに媒体の屈折率が判
っていると、配向fB を推定することができる。配向f
B は、球晶の高位構造の秩序性を示す。熱処理や添加物
による秩序性の変化から、材料の性質の変化を測定でき
る。 II−4.共存する微結晶及び等方的ミクロ構造の大きさ
の推定 Vv散乱についての0次の係数F0,VV(θ)と、4次の
係数F4,VV(θ)との比を計算すると、(9) (11)式か
ら、 F0,VV(θ)/F4,VV(θ)=2{(3/2 C2 −4/3 C+ 4/9 )S3(U)2 +4(C−2/3 )S3(U)S1(U)(αm −αS )/δfB +4〔S1(U)(αm −αS )/δfB 2 }C-2/S3(U)2 =(3C2 −8/3 ・C+8/9 )C-2 +(8C−16/3)C-23(U)-11(U)(αm −αS )/δfB +8C-2〔S3(U)-11(U)(αm −αS )/δfB 2 …(13) となる。ここで、(13)式の右辺をBとかき、差Δ3 を(1
3)式の(左辺−右辺)とF4,HV(θ)C-2との積として
定義する。
【0045】 Δ3 =(F0,VV(θ)/F4,VV(θ)−B)F0,HV(θ)C-2 ={F0,VV(θ)/F4,VV(θ)−(3C2 −8/3 C+8/9 )C-2 −(8C−16/3)C-2〔1/8 ・CF2,VV(θ)/F4,VV(θ) −(1/2 C−1/3 )〕 −8C-2〔1/8 ・CF2,VV(θ)/F4,VV(θ)−(1/2 C−1/3 )〕2 1/2 ・K′δ2 B 2 3(U)2 -6 …(14) また、Vv散乱についての0次の係数F0,VV(θ)と、
Hv散乱についての4次の係数F4,HV(θ)との比を計
算し、その式の(左辺−右辺)とF4,HV(θ)C -2との
積として差Δ4 を定義する。
【0046】 Δ4 =(−F0,VV(θ)/F4,HV(θ)−B)F0,HV(θ)C-2 ={−F0,VV(θ)/F4,HV(θ)−(3C2 −8/3 C+8/9 )C-2 −(8C−16/3)C-2〔−1/8 ・CF2,VV(θ)/F4,HV(θ) −(1/2 C−1/3 )〕 −8C-2〔−1/8 ・CF2,VV(θ)/F4,HV(θ)−(1/2 C−1/3 )〕2 1/2 ・K′δ2 B 2 3(U)2 -6 …(15) 前記(14)(15)式の右辺のフーリエ係数及びCは求められ
ているので、差Δ3 ,Δ4 は求められる。散乱が純粋に
球晶のみに起因すれば、差Δ3 及びΔ4 は0となる。し
かし微結晶が含まれている場合には(Δ3 −4/3 ・
Δ1 )及び(Δ4 −4/3 ・Δ1 )は共存する微結晶散乱
の密度ゆらぎに起因する部分となるので、それをGuinie
r プロットあるいはDebye-Buche プロットすると、傾き
から微結晶の等方部分あるいは等方的ミクロ構造の相関
長が求められる。 III.針状結晶 針状結晶の解析では、太さが無限小の針状結晶が3次元
的にランダムに配置された場合を想定する。
【0047】針状結晶の長さ:L、分子軸と結晶の光軸
とのなす角:ω0 、分子軸に平行な分極率:α1 、それ
に垂直な分極率:α2 、結晶以外のマトリックスの分極
率:αs 、光学異方性δ=br −bt ,br =α1 −α
s ,bt =α2 −αs 、光学的等方性分極率の光学異方
性に対する比:p=(α2 −αs )/(α1 −α2 )=
t /δとすると、Hv散乱強度IHVは、 IHV(θ,μ)=K1 ′δ2 {A(U) P4 (cosω0) 〔105 sin22μcos4(θ/2)+12−60cos2(θ/2)〕 +B(U) P2 (cosω0)〔60 cos2 (θ/2)−40〕+28C(U) } …(16) Vv散乱強度IVVは、 IVV(θ,μ)=K2 ′δ2 {6A(U) P4 (cosω0)P4 ( cosμ cos(θ/2)) (15+35p)B(U) P2 (cosω0)P2 ( cosμ cos(θ/2)) +(7/4)(3+10p+15p2 )C(U) } …(17) で表される。ここで、 P4 (X)=(35x4 −30x2 +3)/8 P2 (X)=(3x2 −1)/2 (PはLegendre関数) U=(2πL/λ) sin(2/θ) A(U) =(8/1)(35A−30B+3C) B(U) =(8/1)(3B−C) C(U) =C A=(1/2U5 ){(U3 /6)−(2U2 −1)/8 sin2U −U/4 cos2U} B=(1/2U2 )(1− sin2U/2U) C=Si(2U)/U−(1− cos2U)/2U2 Si(U)=∫( sinx/x)dx (積分はx=0からUまで) U=(2πL/λ′) sin(θ/2) (16)(17)式から、Hv,Vv散乱強度はδ2 すなわち光
学異方性の2乗に比例する。(17)式に示すVv散乱のμ
に依存しない等方性部分は物性値p(光学等方性分極率
(マトリックスと結晶との分極率の差)と光学異方性と
の比)の関数になる。(16)式及び(17)式で表されるよう
に、散乱強度は散乱角θ、方位角μ及びU(Uは結晶の
長さLとθの関数)の関数になっている。
【0048】Hv散乱の理論パターンは、分子軸と結晶
の光軸とのなす角ω0 が0°,90°ではX字形とな
り、ω0 が55°では十字形となる。その中間の角度で
は円形となる。Vv散乱強度パターンではω0 が0°で
横長の楕円、ω0 が55°でX形、90°で縦長の楕円
となる。よって、測定された散乱強度パターンとの比較
により、おおよそのω0 を推定できる。しかし光学等方
性分極率と光学異方性との比pが大きいと、等方性散乱
を増加させ推定が不可能となる。p値の推定は結晶の分
子配向の構造を知るうえで重要であるが、従来のパター
ン認識では求めることができない。
【0049】また、従来の方法では、結晶の長さLを求
めるには、測定されたHv散乱強度パターンの方位角μ
=0°及び45°の一次元データに基づいて、式 {IHV(45°)−IHV(0°)}/cos4(θ/2)=k′A(U) …(18) を計算する。ここでk′定数である。具体的には、次の
3つの方法がある。1つは散乱角θに対して{IHV(4
5°)−IHV(0°)}/cos4(θ/2)をプロットし
その極大でのθmax を下式 4πL/λ sin(θmax /2)=8.9 …(19) に代入してLを求める方法である。
【0050】他の1つは、散乱ベクトルq=4π/λ s
in(θ/2)の対数lnqを横軸に、ln{IHV(45
°)−IHV(0°)}/cos4(θ/2)を縦軸にプロッ
トし、傾きが−1の直線から外れる点の角度θを求め、
次式に当てはめて長さLを求める方法である。 4πL/λ sin(θ/2)=50 …(20) さらに他の1つは、前記lnqに対して sin(θ/2)
ln{〔IHV(45°)−IHV(0°)〕/cos4(θ/
2)}を縦軸にプロットし傾きが0の直線から外れる点
の角度をθとし、前記式に当てはめて長さLを求める方
法である。
【0051】また、以上の理論式では、針状結晶の断面
半径Rが非常に小さいという前提があったが、実際に
は、針状結晶の半径Rが有限値を持つ。従来の方法で
は、針状結晶の半径Rを求めるには、A(U) が大きなU
の領域でU-1exp(−q2 2/4)に比例すること
を利用して、下式で与えられるGuinier プロットの傾き
より求めている。 ln{〔IHV(45°)+IHV(0°)〕 sin(θ/2)/cos4(θ/2)} =k−q2 2 /4 …(21) R=2(−傾き)-1/2 …(22) 以上のように、従来では、測定パターンと理論パターン
との視覚による一致度により配向角ω0 を求め、一次元
測定データに基づいて針状結晶の長さ及び半径を求めて
いる。
【0052】本実施例によれば、散乱強度データを同心
円状にサンプリングし、サンプリングされた強度データ
から、方位角μに関するフーリエ係数を求め、各フーリ
エ係数を、散乱理論から得られる関数に当てはめて、針
状結晶の長さ、半径、配向等ミクロ構造に関する物性値
を求めることができる。このために、まずHv及びVv
散乱強度パターンの理論式(16)(17)を方位角μの三角関
数て展開し、各項の係数すなわちフーリエ係数を求め
る。すると、Hv散乱の0次の係数F0,HV(θ)は、 F0,HV(θ)=K1 ′δ2 {A(U) P4 (cosω0) 〔105 /2cos4(θ/2)+12−60cos2(θ/2)〕 +B(U) P2 (cosω0)〔60cos2(θ/2)−40〕+28C(U) } …(23) Hv散乱の4次の係数F4,HV(θ)は、 F4,HV(θ)=K1 ′δ2 A(U) P4 (cosω0)〔105 /2cos4(θ/2)〕 …(24) Vv散乱の0次の係数F0,VV(θ)は、 F0,VV(θ)=K2 ′δ2 {6A(U) P4 (cosω0) 〔35/8・1/8 cos4(θ/2)+30/8・1/2 cos2(θ/2)+3/8 〕 +(15+35p)B(U) P2 (cosω0)〔−3/2 ・1/2 cos2(θ/2)−1/2 〕 +7/4(2+10p+15p2 )C(U) } …(25) Vv散乱の2次の係数F2,VV(θ)は、 F2,VV(θ)=K2 ′δ2 {6A(U) P4 (cosω0) 〔−35/8・1/2 cos4(θ/2)−30/8・1/2 cos2(θ/2)〕 +(15+35p)B(U) P2 (cosω0)〔3/2 ・1/2 cos2(θ/2)〕 …(26) Vv散乱の4次の係数F4,VV(θ)は、 F4,VV(θ)=K2 ′δ2 6A(U) P4 (cosω0) 〔35/8・1/8 cos4(θ/2)〕 …(27) となる。 III−1.結晶の長さLの求め方 Hv散乱及びVv散乱パターンの4次のフーリエ係数
は、ともにA(U) に比例する。そこで、(24)式と(27)式
を変形すると、 F4,HV(θ)/cos4(θ/2) =(105 /2)K1 ′δ2 A(U) P4 (cosω0) …(28) F4,VV(θ)/cos4(θ/2) =(35/8・1/8 )K2 ′δ2 6A(U) P4 (cosω0) …(29) となる。本実施例で結晶の長さLを求めるには、3つの
方法があり、1つは、前記(28)(29)式の左辺に相当する
測定値を縦軸に、θを横軸にプロットし、その極大値θ
max を下式に当てはめ、結晶の長さLを求める方法であ
る。
【0053】 4πL/λ sin(θmax /2)=8.9 …(30) 他の1つは、前記式の左辺に相当する測定値の対数を縦
軸に、q=4π/λ sin(θ/2)の対数lnqを横軸
にプロットし、傾きが−1の直線から外れるqを求め、
次式に当てはめて結晶の長さLを求める方法である。 L/q=50 …(31) さらに他の1つは、前記式の左辺に相当する測定値にq
をかけて対数をとりそれを縦軸とし、lnqを横軸にプ
ロットし傾きが0の直線から外れるqを求め、次式に当
てはめて長さLを求める方法である。
【0054】 L/q=50 …(32) いずれの方法によっても、従来のようにHv散乱強度パ
ターンの方位角=0°及び45°の一次元データに基づ
くのではなく、Hv散乱強度パターン及びVv散乱強度
パターンの、積分範囲(μmin ,μmax )における測定
データに基づいてフーリエ係数を求め、それに基づいて
結晶の長さLを求めるので、より正確な結晶の長さを得
ることができる。とくに、一次元データではスペックル
の影響が大きかったが、本実施例では積分範囲
(μmin ,μmax )においてデータを処理するので、ス
ペックルの影響を減らすことができる。 III−2.針状結晶の半径Rの求め方 太さが有限で、長さLの棒状の針状結晶では、散乱強度
パターンには、太さを無視した場合の理論式に比べて係
数exp(−q2 2 /4)がかかる。したがって、フ
ーリエ係数で求められた角度の強度依存性を下式に従い
Guinier プロットすると、その傾きから半径Rが求めら
れる。
【0055】 1n{qF4,HV(θ)/cos4(θ/2)}=k−q2 2 /4 …(33) 1n{qF4,VV(θ)/cos4(θ/2)}=k−q2 2 /4 …(34) III−3.配向角ω0 の求め方 Hv散乱強度パターンの0次と4次のフーリエ係数の比
は下式で与えられる。 F0,HV(θ)/F4,HV(θ) =1+〔12−60cos2(θ/2)〕/〔105 /2cos4(θ/2)〕 +{B(U) P2 (cosω0)〔60cos2(θ/2)−40〕+28C(U) } /{A(U) P4 (cosω0)〔105 /2cos4(θ/2)〕} …(35) この式を変形すると、 {B(U) P2 (cosω0)〔60cos2(θ/2)−40〕+28C(U) } /{A(U) P4 (cosω0)〔105 /2cos4(θ/2)〕} =F0,HV(θ)/F4,HV(θ) −1−〔12−60cos2(θ/2)〕/〔105 /2cos4(θ/2)〕…(36) さらに変形すると、 {F0,HV(θ)/F4,HV(θ)−1 −〔12−60cos2(θ/2)〕/〔105 /2cos4(θ/2)〕P4 (cosω0) −B(U) P2 (cosω0)〔60cos2(θ/2)−40〕 /{A(U) 〔105 /2cos4(θ/2)〕} −28C(U) /{A(U) 〔105 /2cos4(θ/2)〕}=0 …(37) となり、まとめると、次のように(cosω0)2 の2次式に
なる。
【0056】 a(cosω0)4 +b(cosω0)2 +c=0 …(38) ここで、 a=35/8{F0,HV(θ)/F4,HV(θ) −1−〔12−60cos2(θ/2)〕/〔105 /2cos4(θ/2)〕} b=−30/8{F0,HV(θ)/F4,HV(θ) −1−〔12−60cos2(θ/2)〕/〔105 /2cos4(θ/2)〕 −3/2 B(U) 〔60cos2(θ/2)−40〕 /〔A(U)105/2cos4(θ/2)〕} c=3/8 {F0,HV(θ)/F4,HV(θ) −1−〔12−60cos2(θ/2)〕/〔105 /2cos4(θ/2)〕} +1/2 B(U) 〔60cos2(θ/2)−40〕 /〔A(U)105/2cos4(θ/2)〕 −28C(U) /〔A(U)105/2cos4(θ/2)〕 したがって、2次式を解くと、 cosω0 ={〔−b±(b2 −4ac)-1/2〕/4a}-1/2 …(39) となり、配向角ω0 を求めることができる。 III−4.光学的等方性分極率の光学異方性に対する比
pの求め方Vv散乱強度パターンの2次及び4次のフー
リエ係数の比は、
【0057】
【数1】
【0058】となり、pについて解くと、 p=−15/35+{F2,VV(θ)/F4,VV(θ) +4+30・4/〔35cos2(θ/2)〕} (cos2(θ/2))/8・A(U) /B(U) ・P4 (cosω0)/P2 (cosω0) …(41) が得られる。
【0059】したがって、配向角ω0 と長さLとが求め
られていると、測定で得られたフーリエ係数の大きさの
比から、pの値が求められる。それぞれの散乱角θでp
が求められるが、誤差の小さい最適のθの範囲での平均
値を採用すればよい。 III−5.微結晶及び等方的ミクロ構造からの散乱への
寄与の推定方位角依存性のない定数項のフーリエ係数が
与えられている(27)式と(25)式との比をとると、下式が
得られる。 F0,VV(θ)/F4,VV(θ) ={6A(U) P4 (cosω0)〔35/8・1/8 cos4(θ/2) +30/8・1/2 cos2(θ/2)+3/8 〕 +(15+35p)B(U) P2 (cosω0)〔−3/2 ・1/2 cos2(θ/2)−1/2 〕 +7/4(3+10p+15p2 )C(U) } /6A(U) P4 (cosω0)〔35/8・1/8 cos4(θ/2)〕 …(42) 前記(42)式の(左辺−右辺)とF4,VV(θ)、あるいは
4,HV(θ)との積を、それぞれΔ5 、Δ6 とし、求め
られたL,ω0 ,pを下の(43)又は(44)式の左辺に代入
してΔ5 又はΔ6 を求める。 Δ5 =〔F0,VV(θ)/F4,VV(θ) −{6A(U) P4 (cosω0)〔35/8・1/8 cos4(θ/2) +30/8・1/2 cos2(θ/2)+3/8 〕 +(15+35p)B(U) P2 (cosω0)〔−3/2 ・1/2 cos2(θ/2)−1/2 〕 +7/4(3+10p+15p2 )C(U) } /6A(U) P4 (cosω0)〔35/8・1/8 cos4(θ/2)〕}・F4,VV(θ) …(43) Δ6 =〔F0,VV(θ)/F4,VV(θ) −{6A(U) P4 (cosω0)〔35/8・1/8 cos4(θ/2) +30/8・1/2 cos2(θ/2)+3/8 〕 +(15+35p)B(U) P2 (cosω0)〔−3/2 ・1/2 cos2(θ/2)−1/2 〕 +7/4(3+10p+15p2 )C(U) } /6A(U) P4 (cosω0)〔35/8・1/8 cos4(θ/2))〕・F4,HV(θ) …(44) 純粋の針状結晶ではΔ5 =Δ6 =0となるが、等方性の
構造又は微結晶からの余分の散乱が共存すると、Δ5
びΔ6 は正となる。Δ5 又はΔ6 の角度依存性をGuinie
r プロット、又はDebye-Buche プロットし、その傾きか
ら共存するミクロ構造の相関長が求められる。この場
合、球晶と異なり、等方性ミクロ構造と異方性部分の配
向と異方性の相関関数の積の分離はできない。 IV.画像の補正 二次元検出器で測定された散乱パターンは、立体的な散
乱光が平面に投影されたパターンであり歪みを伴い、ま
た光学系を通しているので、光学系の収差に基づく歪み
を受ける。さらに光学系の透過率の分布や二次元検出器
の感度の分布に基づくむらもある。このように散乱強度
パターンの歪みやむらを原因別に究明することは困難な
ので、均一に散乱する試料3、例えばオパールガラスの
散乱強度を用いて、すべての原因を含む総合的な散乱強
度の補正を行っている。測定散乱パターンの強度をis
(x,y)、フラットフィールド補正関数をFF(x,
y)とすると、フラットフィールド補正後の散乱パター
ンの強度Is (x,y)は、 Is (x,y)=is (x,y)/FF(x,y) で表される。平面に投射しており、かつレンズが収差を
持つので、光学中心からの距離と散乱角θとは単純な比
例関係とはならない。
【0060】したがって、位置(x,y)を座標(θ、
μ)または中心からの距離がθに比例する座標(x′,
y′)に変換する必要がある。散乱角θ=0の座標はレ
ンズ系の中心を通る線上にある点であり、中心座標O
(x0 ,y0 )とする。検出器上で点Oからの距離rと
散乱角度θとの関係はレンズの収差を考慮した多項式で
代表される経験関数で変換することができる。係数は透
過タイプの分光用グレーティングを用い、既知の回析角
度から求められる。
【0061】 r={(x−x0 2 +(y−y0 2 1/2 θ=a0 +a1 1 +a2 2 +‥‥‥
【0062】
【発明の効果】以上のように請求項1から記載のいず
れかの発明によれば、サンプリング値に基づくフーリエ
係数が、理論から得られる散乱強度の方位角μ又はその
整数倍の三角関数の多項式の係数に相当することから、
試料の粒子の大きさ、配向等の物性値の情報を変数とす
る連立方程式が得られ、この連立方程式を解けば、物性
値の情報を求めることができる。従来の理論パターンと
測定パターンとを比較し、パターンの近似度からミクロ
構造を推定する手法や、一次元データから物性値を求め
る手法と比較して、ノイズの影響のないより精度のよい
測定ができ、従来の解析法では不可能であった特定の物
性値についての数値化も可能になる。
【0063】また、請求項10記載の発明によれば、前
記フーリエ係数抽出手段によって得られるフーリエ係数
のフーリエ逆変換を行うので、スペックルノイズが除去
されたきれいな画像が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の物質の構造解析装置による作用を示す
図である。
【図2】光散乱強度パターンを測定する光散乱測定装置
の概略図である。
【図3】ある散乱角θmax において、フーリエ係数の実
測値が極大値をとることを示すグラフである。
【図4】図4(a) はポリエチレンフィルムのHv散乱強
度パターンの理論的予測値であり、図4(b) はポリエチ
レンフィルムのVv散乱強度パターンの理論的予測値で
あり、いずれも等高線で表している。
【符号の説明】
1 レーザ光源 2 偏光子 3 試料 4 検光子 5,6 レンズ 7 二次元結像面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭54−116984(JP,A) 特開 平3−235040(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 21/00 - 21/01 G01N 21/17 - 21/61 JOIS,WPI/L,PATOLIS

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】試料に平行ビームを照射する光源と、偏光
    子と、検光子と、レンズと、検出器とを有し、前記試料
    に前記偏光子を通った前記平行ビームを照射し、前記検
    光子を通して前記検出器の結像面に形成される散乱光の
    パターンを測定する光散乱測定装置に適用され、 同一散乱角θにおいて、方位角μを変えて結像面の画像
    強度データを同心円状にサンプリングするサンプリング
    手段と、 サンプリングされた強度データから、方位角μに関する
    フーリエ係数を求めるフーリエ係数抽出手段と、 各フーリエ係数を、散乱理論から得られる関数に当ては
    めて、前記試料を構成する物質のミクロ構造に関する物
    性値を求める解析手段とを備え 前記解析手段において用いられる散乱理論から得られる
    関数とは、散乱角θ及び試料が球晶からなる場合の球晶
    の半径R 0 を含む関数であって、 前記解析手段は、この関数がHv散乱強度パターンにお
    ける0次のフーリエ係数F 0,HV (θ)若しくは4次のフ
    ーリエ係数F 4,HV (θ)又はVv散乱強度パターンにお
    ける4次のフーリエ係数F 4,VV (θ)を含むことを利用
    して、散乱角θを変えてサンプリングし、前記フーリエ
    係数を含む関数に相当する測定値を導き、この測定値か
    ら球晶の半径R 0 を求めるものである ことを特徴とする
    物質の構造解析装置。
  2. 【請求項2】前記解析手段は、Hv散乱強度パターンに
    おける4次のフーリエ係数F4,HV(θ)と、Hv散乱強
    度パターンにおける0次のフーリエ係数F0,HV(θ)と
    の差Δ1 、又はVv散乱強度パターンにおける4次のフ
    ーリエ係数F4,VV(θ)と、Hv散乱強度パターンにお
    ける4次のフーリエ係数F4,HV(θ)との差Δ2 を求め
    ることにより試料の理想的球晶状態からのずれに基づく
    共存する微結晶及び等方的ミクロ構造の配向と光学異方
    性を推定することを特徴とする請求項1記載の物質の構
    造解析装置。
  3. 【請求項3】前記解析手段において用いられる散乱理論
    から得られる関数とは、散乱角θ及び試料が球晶からな
    る場合の光学的等方性分極率と異方性との比(αm −α
    s )/(δfB )(αm 球晶の平均分極率、αs :球晶
    以外の部分の分極率、δ:光学異方性、fB :光軸の半
    径方向に対する配向)を含む関数であって、 前記解析手段は、この関数がVv散乱強度パターンにお
    ける2次のフーリエ係数F2,VV(θ)と4次のフーリエ
    係数F4,VV(θ)との比で表されることを利用して、光
    学的等方性分極率と異方性との比(αm −αs )/(δ
    B )を求めるものである請求項1記載の物質の構造解
    析装置。
  4. 【請求項4】前記解析手段は、Vv散乱強度パターンに
    おける0次のフーリエ係数F0,VV(θ)と、Vv散乱強
    度パターンにおける4次のフーリエ係数F4,VV(θ)と
    の比の理論値からのずれと、Hv散乱強度パターンにお
    ける4次のフーリエ係数F4,HV(θ)との積Δ3 、又は
    Vv散乱強度パターンにおける0次のフーリエ係数F
    0,VV(θ)と、Hv散乱強度パターンにおける4次のフ
    ーリエ係数F4,HV(θ)との比の理論値からのずれと、
    Hv散乱強度パターンにおける4次のフーリエ係数F
    4,HV(θ)との積Δ4 を求めることにより試料の理想的
    球晶状態からのずれに基づく共存する微結晶及び等方的
    ミクロ構造の大きさを推定することを特徴とする請求項
    1記載の物質の構造解析装置。
  5. 【請求項5】前記解析手段において用いられる散乱理論
    から得られる関数とは、散乱角θ及び試料が針状結晶か
    らなる場合の針状結晶の長さLを含む関数であって、 前記解析手段は、この関数がHv散乱強度パターンにお
    ける4次のフーリエ係数F4,HV(θ)、又はVv散乱強
    度パターンにおける4次のフーリエ係数F4,VV(θ)を
    含むことを利用して、散乱角θを変えてサンプリング
    し、前記4次のフーリエ係数を含む関数に相当する測定
    値を導き、この測定値から針状結晶の長さLを求めるも
    のである請求項1記載の物質の構造解析装置。
  6. 【請求項6】前記解析手段において用いられる散乱理論
    から得られる関数とは、散乱角θ及び試料が針状結晶か
    らなる場合の針状結晶の半径Rを含む関数であって、 前記解析手段は、この関数がHv散乱強度パターンにお
    ける4次のフーリエ係数F4,HV(θ)、又はVv散乱強
    度パターンにおける4次のフーリエ係数F4,VV(θ)を
    含むことを利用して、散乱角θを変えてサンプリング
    し、前記4次のフーリエ係数を含む関数に相当する測定
    値を導き、この測定値から針状結晶の半径Rを求めるも
    のである請求項1記載の物質の構造解析装置。
  7. 【請求項7】前記解析手段において用いられる散乱理論
    から得られる関数とは、散乱角θ並びに試料が針状結晶
    からなる場合の結晶の長さL及び針状結晶の配向角ω0
    を含む関数であって、 前記解析手段は、この関数がHv散乱強度パターンの0
    次のフーリエ係数F0,HV(θ)とHv散乱強度パターン
    の4次のフーリエ係数F4,HV(θ)との比を含むことを
    利用して、散乱角θを変えてサンプリングし、前記0次
    及び4次のフーリエ係数を含む関数に相当する測定値を
    導き、この測定値から針状結晶の配向角ω0 を求めるも
    のである請求項1記載の物質の構造解析装置。
  8. 【請求項8】前記解析手段において用いられる散乱理論
    から得られる関数とは、散乱角θ並びに試料が針状結晶
    からなる場合の光学的等方性分極率の光学異方性に対す
    る比p、結晶の長さL及び配向角ω0 を含む関数であっ
    て、 前記解析手段は、この関数がVv散乱強度パターンの0
    次のフーリエ係数F0,VV(θ)及びVv散乱強度パター
    ンの4次のフーリエ係数F4,VV(θ)を含むことを利用
    して、散乱角θを変えてサンプリングし、前記2次及び
    4次のフーリエ係数を含む関数に相当する測定値を導
    き、この測定値から光学的等方性分極率の光学異方性に
    対する比pを求めるものである請求項1記載の物質の構
    造解析装置。
  9. 【請求項9】前記解析手段は、Vv散乱強度パターンに
    おける0次のフーリエ係数F0,VV(θ)と、Vv散乱強
    度パターンにおける4次のフーリエ係数F4,VV(θ)と
    の比の理論値からのずれと、Vv散乱強度パターンにお
    ける4次のフーリエ係数F4,VV(θ)との積Δ5 、又は
    同じずれとHv散乱強度パターンにおける4次のフーリ
    エ係数F4,HV(θ)との積Δ6 を求めることにより試料
    の理想的針状結晶状態からのずれに基づく共存する微結
    晶及び等方的ミクロ構造からの散乱への寄与を推定する
    ことを特徴とする請求項1記載の物質の構造解析装置。
  10. 【請求項10】前記フーリエ係数抽出手段によって得ら
    れるフーリエ係数のフーリエ逆変換を行い、散乱角θ、
    方位角μの関数として散乱強度パターンを求めるフーリ
    エ逆変換手段をさらに備えることを特徴とする請求項1
    記載の物質の構造解析装置。
JP09521994A 1994-05-09 1994-05-09 光散乱測定を利用した物質の構造解析装置 Expired - Fee Related JP3448342B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP09521994A JP3448342B2 (ja) 1994-05-09 1994-05-09 光散乱測定を利用した物質の構造解析装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP09521994A JP3448342B2 (ja) 1994-05-09 1994-05-09 光散乱測定を利用した物質の構造解析装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07301602A JPH07301602A (ja) 1995-11-14
JP3448342B2 true JP3448342B2 (ja) 2003-09-22

Family

ID=14131637

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP09521994A Expired - Fee Related JP3448342B2 (ja) 1994-05-09 1994-05-09 光散乱測定を利用した物質の構造解析装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3448342B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100848988B1 (ko) 2002-03-28 2008-07-30 타카이 토후 앤 소이 밀크 이큅먼트 컴퍼니 리미티드 식품의 겔 상태 또는 졸-겔 상태 변화의 평가 방법

Also Published As

Publication number Publication date
JPH07301602A (ja) 1995-11-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Hönig et al. Reflectometry at the Brewster angle and Brewster angle microscopy at the air-water interface
Hardaker et al. Quantitative characterization of optical anisotropy in high refractive index films
Di Florio et al. Polarized 3D Raman and nanoscale near-field optical microscopy of optically inscribed surface relief gratings: Chromophore orientation in azo-doped polymer films
Mulholland et al. Development of a one-micrometer-diameter particle size standard reference material
Romo-Uribe et al. A small-angle light scattering instrument to study soft condensed matter
JP3448342B2 (ja) 光散乱測定を利用した物質の構造解析装置
KR19990077575A (ko) 높은수평분해능으로내부박막응력을계측하는장치및방법
Chang et al. Analysis of grain structure in partially ordered block copolymers by depolarized light scattering and transmission electron microscopy
Wiese et al. Polarized light imaging of the human brain: a new approach to the data analysis of tilted sections
Matsuzaka et al. A rheo-optical apparatus for simultaneous detection of rheology, small-angle light scattering, and optical microscopy under transient, oscillatory, and continuous shear flows
JP2001141602A (ja) 複屈折評価装置および複屈折評価方法
Köysal et al. A novel approach for the determination of birefringence dispersion in nematic liquid crystals by using the continuous wavelet transform
Käseberg et al. Mueller matrix ellipsometric approach on the imaging of sub-wavelength nanostructures
Ushenko et al. 3D digital polarization‐holographic wavelet histology in determining the duration of mechanical damage to the myocardium
Kerekes et al. Light scattering of thin azobenzene side-chain polyester layers
Hamed et al. Computation of surface roughness using optical correlation
Sadik et al. Variable incidence angle method combined with Pluta polarizing interference microscope for refractive index and thickness measurement of single-medium fibres
Angelsky et al. Optical correlation measurements of the structure parameters of random and fractal objects
Stein Optical studies of the morphology of polymer films
US20230179876A1 (en) Method and system of polarization microscopy imaging
US20220228979A1 (en) Refractive index distribution standard
Stein Small angle light scattering from the polymeric solid state
Solovey et al. Differential mapping of depolarization component of Mueller matrix of optically thick biological layers
Xian et al. An effective on‐line polymer characterization technique by using SALS image processing software and wavelet analysis
Rothe et al. Application of circular and spherical statistics for the interpretation of BRDF measurements

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees