JP3445485B2 - 熱光学デバイス - Google Patents

熱光学デバイス

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JP3445485B2 JP36138397A JP36138397A JP3445485B2 JP 3445485 B2 JP3445485 B2 JP 3445485B2 JP 36138397 A JP36138397 A JP 36138397A JP 36138397 A JP36138397 A JP 36138397A JP 3445485 B2 JP3445485 B2 JP 3445485B2
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三郎 今村
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高機能かつ低コス
トな波長多重(WDM)光通信ネットワーク用のデジタ
ル熱光学デバイスに関する。さらに詳しくは、耐熱安定
性に優れ、1.55〜1.58μm帯での光導波損失性
が低く、波長選択性に優れ、製造コストの低いデジタル
型熱光学スイッチおよび光アド/ドロップ・マルチプレ
クサ(ADM)機能を有する光フィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】周知のように、波長多重(WDM)光通
信システムは、光伝送路の伝送可能な波長帯域内に波長
の異なる複数の光信号を多重させることで、伝送容量の
増大を図った光通信システムである。今後の光通信の主
流は、波長多重光通信に定まりつつある。最近では、光
波を通信媒体として用いる技術の実用化は、信号のリン
ク、すなわち伝送ばかりでなく、信号のノード、すなわ
ち切り替え、さらには信号の処理の分野にまで、広がり
を見せ始めている。
【0003】現在、米欧では、波長多重光通信のテスト
ベッドが実施されている。そこでは、レーザー、アン
プ、スイッチ、フィルタ、波長変換といった各種デバイ
スコンポーネンツの実用化に向けた厳しいブラッシュア
ップが続いている。現在のところ、レーザーとアンプ以
外は、まだ本命は出てきていない。例えば、スイッチに
ついて述べれば、電気光学効果、熱光学効果、シュタル
ク効果、音響光学効果を原理とするものが、しのぎを削
っている。また、材料でいえば、強誘電結晶、ガラス、
高分子、半導体などで構成される各種スイッチが、しの
ぎを削っている。今後、特性に優れ、実用性の高い部品
が選ばれていくことになる。
【0004】前述の波長多重化するノードとは、具体的
には、光パスを光のまま切り替える光クロス・コネクト
や、ユーザー単位で割り当てられた特定波長信号を出入
りする通称アド/ドロップ・フィルタと呼ばれる波長選
択ゲートを、指す。
【0005】前記光クロス・コネクト・システムの鍵と
なる切替スイッチとしては、スイッチング性能の高いば
かりでなく、実用に向けて制御系がシンプルで、動作許
容誤差(tolerance )が広いもの、大規模化に対応した
集積性、コンパクト性の高いものが、望まれている。
【0006】また、光アド/ドロップ機能を実現する光
フィルタは、ネットワーク構成上、光クロス・コネクト
よりユーザーに一段階近い階層で使用されるため、光ク
ロス・コネクト・スイッチよりも、さらに取り扱い性や
経済性の高いデバイスが求められている。
【0007】以下、前述の光導波路型の熱光学光スイッ
チ、光フィルタの個々について、それらの従来技術を、
さらに詳しく説明する。
【0008】光導波路材料として、従来、透明性に優れ
た無機ガラスが主に用いられてきた。しかしながら、無
機ガラスは、重く破損しやすいこと、生産コストが高い
こと等の問題を有しており、最近では、無機ガラスの代
りに、光通信波長域(1.3μmおよび1.55μm
帯)に窓のある透明性高分子を使って、シングルモード
光導波路部品を製造しようという動きが活発化してきて
いる。高分子材料はスピンコート法やディップ法等によ
る薄膜形成が容易であり、大面積の光導波路を作製する
のに適している。また、製造が基本的に低温プロセスで
あること、金型を用いた量産など複製化への展開が容易
であること等により、ガラス系や半導体系の光導波路に
比べて低コスト化に対するポテンシャルが高い。こうし
たことから、光通信の分野で用いられる光集積回路や、
光情報処理の分野で用いられる光配線板等の光導波路部
品を、高分子光学材料を用いて大量・安価に製造できる
ことが期待され、ポリメチルメタクリレート(PMM
A)を始め各種の透明性高分子が提案され精力的に光導
波路化の研究開発が進められている。
【0009】さらに、種々の光導波路デバイスの中で
も、コア・クラッド共に高分子からなるデジタル熱光学
光スイッチは、高分子材料の熱光学定数が無機ガラス材
料よりも1桁大きいという高分子の優位性を十分に活か
した光デバイスであり、光波ネットワークにおける光ク
ロスコネクトや光アド/ドロップ・マルチプレクサに使
われる光パス切替スイッチの有望な候補として、各機関
で活発な研究開発が進められている。最近の進歩は、例
えば、W.ホースツイス(W. Horsthuis)ら、ECOC9
5、第1059〜1062頁(1995)、N.カイル
(N. Keil) ら、エレクトロニクス レターズ(Electron.
Lett.) 、第31巻、第403〜404頁(199
5)、大庭ら、プロシーディングズ オブ ACS P
MSE(Proc. ACS PMSE)、第75巻、第362〜363
頁(1996)などに詳しい。特に、ホースツイスや大
庭らの報告する高分子熱光学光スイッチは、カイルらに
よる干渉型の位相差スイッチよりも、操作トレランスが
大きく、かつ、波長依存性が小さいことから、実用上有
利と考えられている。
【0010】しかしながら、デジタル型は干渉型に比べ
て原理的により大きな屈折率変化を必要とするため熱的
負荷が大きく、材料への耐熱要求は大きい。例えば、既
にアクゾ(Akzo)社から市販されている1×2熱光学光ス
イッチモジュールAK−SY1023SNCではクロス
トーク−17dBの安定動作を保証する使用温度は−1
7℃〜27℃と規定されている。また、大庭らは、PM
MA系高分子を用いた熱光学光スイッチにおいては、室
温で印加電力が130mWを越えると導波路温度が材料
固有のガラス転移温度を越えるため信頼性が保証できな
いとしている。
【0011】このように、高分子光導波路のデバイス応
用を考えた場合には、耐熱性が最大の課題であると認識
されてきており、近年、ベンゼン環などの芳香族基を含
ませること、あるいはシリコーン骨格を用いることで耐
熱性を向上した材料が報告されている(例えば、特開平
3−43423号公報、同4−328504号公報な
ど)。しかし、こうした芳香族基や剛直な主鎖骨格の導
入は、耐熱性の向上には極めて有孔であるが、その反面
で、複屈折の増大や成膜性・加工性の低下(クラッキン
グなど)をもたらす傾向が顕著である。そのため、耐熱
性、低複屈折性、成膜性などがバランスよく満たされた
材料は従来知られていなかった。このように、現状の高
分子デジタル型熱光学光スイッチは、いまだ材料の耐熱
性や1.55〜1.58μm帯の低損失性など材料に依
存する問題を抱えており、真に実用的なデバイスには至
っていない。
【0012】また、波長フィルタにおいて、前述のよう
に高分子材料を用いれば、この高分子光導波路型波長フ
ィルタは、熱光学効果を利用して、広い範囲で透過中心
波長を変化させることができる。図1は、アレイ導波路
格子を用いた波長フィルタの一例の構成要素図である。
図1において符号1および2はそれぞれ入力および出力
導波路であり、3および4はスラブ導波路、5は光路長
の異なる多数のチャネル導波路からなるアレイ導波路で
ある。入力導波路1のうちの一つのポートから入力され
た光は、スラブ導波路3により回折されて、アレイ導波
路5の各チャネルに分配される。アレイ導波路5を伝搬
する光は、それぞれの光路長に応じた位相差を与えられ
た後、スラブ導波路4で集光され、出力導波路2から出
力される。このとき、アレイ導波路5において与えられ
た位相差に応じて、集光されるポートが異なる。したが
って、出力導波路2のうちの一つのポートからは、特定
の波長幅の光のみが透過して出力されることになる。入
力導波路1のうちの中央のポートから透過される光の中
心波長λ0 は、下記に示す式(1):
【0013】
【数1】 λ0 =(nc ・ΔL)/N …(1) (式中、nc はアレイ導波路5の各チャネルの等価屈折
率、ΔLは各チャネル間の光路長差、Nは回折次数であ
る)で与えられる。式(1)から、透過中心波長はアレ
イ導波路5の等価屈折率に比例することがわかる。高分
子材料は無機ガラス材料に比べて熱光学定数が1桁大き
いから、高分子材料を用いた波長フィルタは、熱光学効
果を利用して中心波長を変化させる場合、無機ガラス材
料に比べて1桁大きい波長可変範囲が得られる。例えば
式(1)において、ΔL=126μm、N=119の場
合、PMMA系高分子の等価屈折率の温度変化は−1.
1×10-4/℃であるから、中心波長を−0.12nm
/℃の割合で変化させることができる。したがって、5
5℃程度の温度変化で、中心波長を6.4nm程度変化
させることができる。この中心波長変化は、1.55μ
m波長帯において周波数に換算すると800GHzの変
化に対応する。無機ガラス材料の場合、この周波数変化
を得るために必要な温度変化は550℃程度となり、現
実的ではない。こうしたことから、PMMA系高分子を
用いて、波長可変範囲の広いアレイ導波路格子型波長フ
ィルタが作製され、報告されるに至っている〔ジャパニ
ーズ ジャーナル オブ アプライド フィジクス(Jap
anese Journal of Applied Physics) 、第34巻、第6
416〜6422頁(1995)〕。
【0014】ところが、前記報告にかかるPMMA系高
分子を用いた波長フィルタにおいては、材料のガラス転
移温度が100℃程度であるために、温度変化により中
心波長を変化させる場合、耐熱性が不十分であるという
欠点を有していた。このため、当波長フィルタの温度変
化範囲は80℃程度以下に限られており、その結果、波
長可変範囲も限定されていた。例えば、式(1)におい
て、nc =1.46、ΔL=126μm、N=119の
場合、波長フィルタのフリースペクトルレンジ(FS
R)は12.9nmであり、これは周波数でおよそ16
00GHz、すなわち、200GHz間隔で8チャンネ
ル、または100GHz間隔で16チャンネルに相当す
る。ここで、FSRとは、次の回折次数の透過波長ピー
クまでの波長間隔をいう。すなわち、波長フィルタが選
別できる光の波長は、FSRの波長範囲に限られる。し
たがって、FSR全域にわたって中心波長が可変の波長
フィルタが実現できれば、その波長フィルタの中心波長
をチューニングすることにより、波長フィルタが選別し
うる範囲で任意の波長を取り出すことができる。しか
し、PMMA系高分子の等価屈折率の温度変化は−1.
1×10-4/℃であって、室温(25℃)からPMMA
の使用可能温度の上限(80℃)までの温度変化、すな
わち55℃の温度変化での中心波長の可変範囲は6.4
nmであるから、FSR全域にわたる中心波長のチュー
ニングは困難であった。したがって、FSR全域にわた
って中心波長が可変であるような波長フィルタを実現す
るためには、より耐熱性の高い高分子光導波路材料の開
発が望まれていた。
【0015】こうしたことから、近年、ベンゼン環など
の芳香族基を含ませること、あるいはシリコーン骨格を
用いることで耐熱性を向上した材料が報告されている
(例えば、特開平3−43423号、特開平4−328
504号など)。しかし、こうした芳香族基や剛直な主
鎖骨格の導入は、耐熱性の向上には極めて有効である
が、その反面で、複屈折の増大や成膜性・加工性の低下
(クラッキングなど)をもたらす傾向が顕著である。そ
のため、耐熱性、低複屈折性、成膜性などがバランスよ
く満たされた材料は従来知られていなかった。したがっ
て、現状の高分子導波路型波長フィルタは、材料の耐熱
性に問題が残されたままであった。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、前述
の従来のデジタル型の熱光学スイッチおよび光ADMフ
ィルタにおける問題点を解決し、高機能かつ低コストな
WDMネットワーク用のデジタル型光スイッチおよび光
フィルタを提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は、デジタル型熱
光学スイッチおよび光ADMフィルタのそれぞれを構成
要素である光回路の途中に形成された分岐路などの機能
部位に、耐熱性、低損失、低複屈折性に優れたシリコー
ン材料を用いることにより、実用に充分な耐熱安定性、
1.55〜1.58μm帯における低損失性、波長選択
性、低コスト性を実現したデジタル型熱光学スイッチお
よび光ADMフィルタを得ることを、特徴とする。
【0018】本発明の高分子デジタル型熱光学スイッチ
は、高分子光分岐路および加熱要素からなるデジタル型
熱光学光スイッチにおいて、下記の式(I)、(II)、
(III )および(IV):
【0019】
【化3】
【0020】[式(I)および(II)において、R1
65 (Xは重水素もしくはハロゲンを示す)で表さ
れる重水素化フェニル基またはハロゲン化フェニル基、
Zは水酸基もしくはOCm2m+1(mは3以下の整数)
で表されるアルコキシ基であり、式(III )および(I
V)において、R2 はCn2n+1(Yは水素、重水素も
しくはハロゲンであり、nは正の整数を示す)で表され
るアルキル基、重水素化アルキル基またはハロゲン化ア
ルキル基、Zは水酸基もしくはOCm2m+1(mは3以
下の整数)で表されるアルコキシ基である]で表される
各単位を構成分として有し、重量平均分子量が1000
0以下である共重合体を熱硬化させることによって得ら
れた高分子から、前記高分子光分岐路が構成されている
ことを特徴とする。
【0021】また、本発明の高分子光導波路型波長フィ
ルタは、波長フィルタ機能を有する高分子光導波路を有
してなる高分子光導波路波長フィルタにおいて、下記の
式(I)、(II)、(III )および(IV):
【0022】
【化4】
【0023】[式(I)および(II)において、R1
65 (Xは重水素もしくはハロゲンを示す)で表さ
れる重水素化フェニル基またはハロゲン化フェニル基、
Zは水酸基もしくはOCm2m+1(mは3以下の整数)
で表されるアルコキシ基であり、式(III )および(I
V)において、R2 はCn2n+1(Yは水素、重水素も
しくはハロゲンであり、nは正の整数を示す)で表され
るアルキル基、重水素化アルキル基またはハロゲン化ア
ルキル基、Zは水酸基もしくはOCm2m+1(mは3以
下の整数)で表されるアルコキシ基である]で表される
各単位を構成分として有し、重量平均分子量が1000
0以下である共重合体を熱硬化させることによって得ら
れた高分子から、前記高分子光導波路が構成されている
ことを特徴とする。
【0024】前記高分子光導波路波長フィルタにおい
て、さらに、高分子導波路の温度を制御することにより
特定の波長の光信号を任意に分離または混合することを
可能にする温度調節器を具備しても良い。
【0025】
【発明の実施の形態】
(デジタル型熱光学光スイッチ)本発明者らは、従来の
デジタル型熱光学スイッチの問題点を解決するために、
高耐熱性と低複屈折性の両立が可能な熱硬化性シリコー
ンオリゴマーを用いて、デジタル型熱光学光スイッチを
作製したところ、クラッキングがなく、極めて透明な導
波特性を有し、偏波無依存で、高温においても極めて安
定なデジタル的なスイッチング動作が得られることを見
いだした。本発明に係るデジタル型熱光学スイッチは、
かかる知見に基づいてなされたものである。
【0026】ここで、熱硬化性シリコーンオリゴマー
は、ラダー型シリコーン構造を分子骨格とする材料であ
るために優れた耐熱性を有する。また、側鎖に含まれる
C−H結合の水素が重水素またはハロゲンに置換されて
いるために、C−H結合の伸縮または変角振動の倍音ま
たは結合音に起因する近赤外域における吸収が、大幅に
低減されている。さらに、重量平均分子量10000以
下のオリゴマーを熱硬化させる型の材料を用いることに
より、薄膜形成の際に生じる光学的異方性を抑制するこ
とができ、熱硬化後に得られる高分子材料の複屈折が大
幅に低減されている。
【0027】すなわち、本発明は、高分子デジタル型熱
光学光スイッチにおける光分岐炉として、シリコーンオ
リゴマーを熱硬化させることによって得られる高分子光
導波路材料を用いることによって、耐熱性の高い真に実
用的なデジタル型熱光学光スイッチを実現することを可
能にするものである。
【0028】以下、本発明にかかるデジタル型光学光ス
イッチの内容を具体的に説明する。
【0029】本発明の光スイッチにおいて用いられるシ
リコーンオリゴマーは、例えば重水素化フェニルトリク
ロロシランとメチルトリクロロシランを共加水縮合する
ことにより得られる部分ラダー化シリコーンオリゴマー
であり、その重量平均分子量を10000以下としてい
る。これを熱硬化させることにより、耐熱性が高く、複
屈折が小さく、かつクラッキング耐性の高い硬化膜が得
られる。熱硬化条件に関して言えば、150℃から25
0℃で1時間から数時間程度の加熱が望ましい。
【0030】このように耐熱性が高くクラッキング耐性
に優れる熱硬化シリコーンを用いて、熱光学光スイッチ
を作製する場合、その工程は、以下のように行うことが
できる。
【0031】まず、熱光学光スイッチにおける光分岐導
波路に要求される導波モード条件に応じて、シリコーン
オリゴマーの屈折率調整を行い、コア・クラッド材とし
て精密に制御された屈折率差を有する少なくとも2種の
シリコーンオリゴマーを準備する。屈折率差の大きさは
導波すべき光のモードとコアの寸法に応じて決定される
が、例えば、シングルモード光ファイバと導波光のモー
ド径を合せる場合、コア部の形状は8μm角の正方形、
屈折率差は0.3%前後であることが望ましい。本発明
で用いられる熱硬化シリコーンの場合は、最終的に得ら
れる光導波路薄膜の屈折率は、原料の組成、すなわち上
記の例では、重水素化フェニルトリクロロシランとメチ
ルトリクロロシランの配合比で調整することが可能であ
る。
【0032】次に、屈折率調整をしたクラッド材をシリ
コーン等の基板上に塗布し硬化させて、下部クラッドを
形成する。
【0033】次いで、この下部クラッド上にコア材を塗
布し硬化させる。ここで、クラッド材やコア材はオリゴ
マーの状態で塗布されるため、成膜の際の分子鎖の配向
が抑制されて、複屈折が小さくなる。
【0034】続いて、コア上にエッチングマスクとなる
層を形成し、フォトリソグラフィー等により導波路パタ
ンに加工する。エッチングマスクとしては、有機フォト
レジストまたは金属等が用いられる。さらに、コアを反
応性イオンエッチングにより所望の光分岐導波路パタン
に加工し、その上に上部クラッドを塗布し硬化させる。
このようにして熱硬化性シリコーンを用いて作製した光
分岐導波路は、耐熱性に優れ、1.3μmと1.55μ
mの両通信波長帯において透明で、偏波依存性のない理
想的な光導波路となる。
【0035】さらに、この光分岐導波路のクラッド上に
金属薄膜をスパッタリングにて体積し、フォトリソグラ
フィー等でパターニングしてヒーター電極を形成する。
このようにして作製した高分子デジタル型熱光学光スイ
ッチは、耐熱性に優れ、偏波依存性のない理想的なデジ
タル的スイッチング特性を示す。
【0036】(高分子光導波路型波長フィルタ)本発明
者らは、従来の波長フィルタの問題を解決するために、
高耐熱性と低複屈折性の両立が可能な熱硬化性シリコー
ンオリゴマーを用いて、高分子光導波路型波長フィルタ
を作製したところ、クラッキングがなく、極めて透明な
導波特性を有し、偏波依存性が小さく、高温においても
極めて安定な特性が得られることを見い出した。さら
に、本発明者らは、該波長フィルタを温度調節器の上に
固定して、その中心波長の温度変化を詳細に調べたとこ
ろ、熱硬化性シリコーンオリゴマーを用いて作製した高
分子光導波路は−1.7×10-4/℃と比較的大きな熱
光学定数を有していることを見い出した。その結果、本
発明者らは、該波長フィルタにおいては、熱光学硬化を
利用して、その屈折率の温度変化に対応した広い範囲で
中心波長のチューニングが可能であることを見い出し、
本発明の波長フィルタを完成するに至った。ここで、熱
硬化性シリコーンオリゴマーは、ラダー型シリコーン構
造を分子骨格とする材料であるために優れた耐熱性を有
する。また、側鎖に含まれるC−H結合の水素が重水素
またはハロゲンに置換されているために、C−H結合の
伸縮または変角振動の倍音または結合音に起因する近赤
外域における吸収が、大幅に低減されている。さらに、
重量平均分子量10000以下のオリゴマーを熱硬化さ
せる型の材料を用いることにより、薄膜形成の際に生じ
る光学的異方性を抑制することができ、熱硬化後に得ら
れる高分子材料の複屈折が大幅に低減されている。
【0037】すなわち、本発明は、シリコーンオリゴマ
ーを熱硬化させることによって得られる高分子を用い
て、光導波路型波長フィルタを構成することにより、耐
熱性が高く、かつ可変波長範囲の広い高分子光導波路型
波長フィルタを実現することを可能にするものである。
【0038】以下、本発明にかかる高分子光導波路型波
長フィルタの内容を具体的に説明する。
【0039】本発明の波長フィルタにおいて用いられる
シリコーンオリゴマーは、例えば重水素化フェニルトリ
クロロシランとメチルトリクロロシランを共加水縮合す
ることにより得られる部分ラダー化シリコーンオリゴマ
ーであり、その重量平均分子量を10000以下として
いる。これを熱硬化させることにより、耐熱性が高く、
複屈折が小さく、かつクラッキング耐性の高い硬化膜が
得られる。熱硬化条件に関して言えば、150℃から2
50℃で1時間から数時間程度の加熱が望ましい。
【0040】このように耐熱性が高くクラッキング耐性
に優れる熱硬化シリコーンを用いて、光導波路型波長フ
ィルタを作製する場合、その工程は、以下のように行う
ことができる。まず、シリコーンオリゴマーの屈折率調
整を行い、コア・クラッド材として精密に制御された屈
折率差を有する少なくとも2種のシリコーンオリゴマー
を準備する。屈折率差の大きさはコアの寸法に応じて決
定されるが、典型的には、コア部の形状が8μm角の正
方形の場合、屈折率差は0.3〜1%程度である。本発
明で用いられる熱硬化シリコーンの場合、最終的に得ら
れる光導波路薄膜の屈折率は、原料の組成、すなわち上
記の例では、重水素化フェニルトリクロロシランとメチ
ルトリクロロシランの配合比で調整することが可能であ
る。
【0041】次に、屈折率調整をしたクラッド材をシリ
コーン等の基板上に塗布し硬化させて、下部クラッドを
形成する。
【0042】次いで、この下部クラッド上にコア材を塗
布し硬化させる。ここで、クラッド材やコア材はオリゴ
マーの状態で塗布されるため、成膜の際の分子鎖の配向
が抑制されて、複屈折が小さくなる。
【0043】続いて、コア上にエッチングマスクとなる
層を形成し、フォトリソグラフィー等により、波長フィ
ルタを構成する光導波路パタンに加工する。そのような
光導波路パタンとしては、図1に示したアレイ導波路格
子のほか、非対称マッハ・ツェンダー干渉計等が挙げら
れる。エッチングマスクとしては、有機フォトレジスト
または金属等が用いられる。さらに、コアを反応性イオ
ンエッチングにより所望の光導波路パタンに加工し、そ
の上に上部クラッドを塗布し硬化させる。このようにし
て熱硬化性シリコーンを用いて作製した光導波路型波長
フィルタは、耐熱性に優れ、1.3μmと1.55μm
の両通信波長帯において透明で、偏波依存性が小さく、
広い波長可変範囲を有している。
【0044】本発明の波長フィルタにおいて、さらに具
備される温度調節器としては、フィードバック回路を有
するヒーターあるいはペルチエ素子等が挙げられる。温
度変動による透過中心波長の変動を抑制するためには、
温度変動を±1度以内に制御しうる温度調節器であるこ
とが望ましい。
【0045】
【実施例】以下、本発明の実施例を示す。以下の実施例
1〜3は本発明の熱光学デバイスが光スイッチである場
合の実施例であり、実施例4および5は光フィルタであ
る場合の実施例である。
【0046】(実施例1)脱水トルエン中に重水素化フ
ェニルトリクロロシランとメチルトリエトキシシラン
(モル比で53:47)を溶解し、氷浴中で攪拌下して
いる水−THF−トルエン混合液にゆっくり滴下した。
5時間反応させたのち、有機層を分取し中和しながら水
洗し、放置後分離した有機層から不溶分をろ別し、乾燥
した。有機溶媒を完全に減圧留去し、得られた白色固体
をエタノールに溶かし、少量の塩酸を加えて加熱還流し
た。エタノールを減圧留去し、トルエン−水系で中和し
ながら十分洗浄した後、有機層を分取、乾燥後、トルエ
ンを減圧留去して、白色固体を得た。分子量は3000
前後であった。本材料の熱硬化物の熱重量分析結果をP
MMAのそれと比較して図2に示す。これによって本発
明の熱硬化シリコーンの熱的安定性が十分に示される。
上記シリコーンオリゴマーをコア材とする場合のクラッ
ド材は以下のようにして合成した。重水素化フェニルト
リクロロシランとメチルトリエトキシシラン(モル比で
1:1)から、上記のコア材合成と同様の操作で白色固
体を得た。分子量は3600前後であった。コア材クラ
ッド材それぞれをジグライム溶液としてスピンコート膜
を作製し250℃×1時間で熱硬化させ、光通信波長域
での屈折率を測定した。屈折率の測定結果を表1に示
す。
【0047】
【表1】
【0048】上記2種のシリコーンオリゴマーをコア・
クラッドとするY分岐光導波路を作製した。まず、クラ
ッド用シリコーンオリゴマーをスピンコート法によりシ
リコーン基板上に塗布して成膜した。この際、膜厚が2
0μmとなるようにスピンコータの回転数を調整した。
形成した薄膜は、200℃で2時間加熱することにより
硬化し、下部クラッド層とした。次いで、この上にコア
用シリコーンオリゴマーを8μm厚となる条件で成膜し
た。200℃で2時間で硬化した。続いてスパッタリン
グにより銅薄膜を堆積し、フォトリソグラフィーとイオ
ンミリングによりY分岐光導波路マスクパタンを形成し
た。分岐路の全長は2cmとした。さらに、反応性イオ
ンエッチングにより、マスクパタン以外の部分のコア層
を除去し、幅8μm、高さ8μmの矩形のコアリッジを
形成した。エッチングマスクを除去した後、この上にク
ラッド用シリコーンオリゴマーを塗布し、下部クラッド
を形成した場合と同様に硬化して、コア・クラッド構造
からなる埋め込み型チャネル光導波路を形成した。上部
クラッドの厚さはコア上面から10μmとなるようにし
ていた。
【0049】さらに、Y分岐光導波路の上部クラッド上
に、金薄膜をスパッタリングにて堆積した。最後に、こ
の金薄膜をフォトリソグラフィーとイオンミリングでパ
ターニングしてヒーター電極を形成した。作製したデジ
タル熱光学光スイッチの概念図を図3〜図5に示す。す
なわち、図3は、本発明の高分子デジタル熱光学光スイ
ッチの一例の構成を示す見取図である。図4は、図3に
示したスイッチの平面図である。図5は、図4のA−
A′切断面の断面図である。なお、図3〜図5におい
て、符号11は光分岐路の入力導波路、符号12および
13は光分岐路の出力導波路である。また、符号14お
よび15はヒーター電極である。
【0050】光分岐路の入力導波路11に偏波保持光フ
ァイバーを、光分岐路の出力導波路12および13にシ
ングルモード光ファイバーを突合せ接続し、入力側の光
ファイバーからレーザー光を入射した。このようにし
て、まず、ヒーター電極14および15に電流を流さな
い状態で、挿入損失を測定したところ、波長1.3μm
で3.5dB、波長1.55μmで4.0dBであっ
た。また、挿入損失の偏波依存性は0.1dB以内であ
った。この結果より、本発明に用いられる光分岐路は、
低挿入損失であり、偏波依存性が小さく、極めて良質の
シングルモード導波路であることが実証された。
【0051】続いて、出力導波路13上のヒーター電極
15に電流を流し加熱した。この時に加熱電力と出力光
強度の関係を波長1.55μmで測定した結果を図6に
示す。すなわち、図6は、本発明のデジタル熱光学光ス
イッチのスイッチング特性を示す図である。図6におい
て、縦軸は出力光強度(dB)、横軸は印加電力(m
W)を示す。図6中の黒四角印は出力導波路13からの
出力光強度、白丸印は出力導波路12からの出力光強度
を表す。図6から分かるように、60mWの印加電力
で、挿入損失1dB、消光比30dB以上のスイッチン
グ特性を持つ光スイッチが実現されている。また、挿入
損失の偏波依存性は0.1dB以内であった。
【0052】次に、出力用導波路12上のヒーター電極
14に電流を流し加熱した。この時は、図6において出
力導波路12と13からの出力光強度を交換した特性と
ほぼ同じ結果を得た。
【0053】さらに、1.55μm帯波長可変レーザー
光源を用い同様の実験を行い、60mWで本スイッチを
動作させたときの特性の波長依存を測定した。図7に各
ポート導波路の出力光強度を示す。ここから、本発明の
光スイッチが1.55μm帯の広い波長範囲で特性を維
持しており、広い波長範囲を使用するWDM応用に対応
できることが分かった。
【0054】また、波長1.3μmにおいて同様の実験
を行い、1.55μmと同等の結果、すなわち、60m
Wの電力で、挿入損失0.5dB、消光比30dB以上
を得た。
【0055】(実施例2) (光スイッチ)重水素化フェニルトリクロロシランとメ
チルトリエトキシシランから、実施例1に記載の方法に
準じて、コア材料とクラッド材料を合成した。ただし、
モノマーのモル比は、コア材料の場合80:20、クラ
ッド材料の場合74:26とした。コア材料とクラッド
材料の重量平均分子量は、いずれも2000であった。
これらのコア・クラッド材料を用いて、実施例1に記載
の方法に準じて、高分子デジタル熱光学光スイッチを作
製した。この光スイッチのスイッチング特性を、室温に
おいて、湿度10%、50%、90%で比較したとこ
ろ、ほとんど湿度の影響は見られず、挿入損失は1d
B、消光光は30dB以上であった。さらに、60mW
駆動で連続動作させたときのヒートサイクル試験(−1
0℃〜60℃)においても、挿入損失は、ほとんど影響
を受けず一定であった。
【0056】(実施例3) (光スイッチ)重水素化フェニルトリクロロシランとメ
チルトリエトキシシランから、実施例1に記載の方法に
準じて、コア材料とクラッド材料を合成した。ただし、
モノマーのモル比は、コア材料の場合30:70、クラ
ッド材料の場合28:72とした。コア材料とクラッド
材料の重量平均分子量は、いずれも8000であった。
これらのコア・クラッド材料を用いて、実施例1に記載
の方法に準じて、高分子デジタル熱光学光スイッチを作
製した。この光スイッチを温度100℃において動作さ
せたところ、消光比は30dB以上であった。
【0057】(実施例4) (光フィルタ)脱水トルエン中に重水素化フェニルトリ
クロロシランとメチルトリエトキシシラン(モル比で6
0:40)を溶解し、氷浴中で攪拌している水−テトラ
ヒドロフラン(THF)−トルエン混合液にゆっくり滴
下した。5時間反応させたのち、有機層を分取し中和し
ながら水洗し、放置後分離した有機層から不溶分をろ別
し、乾燥した。重量平均分子量は5000であった。
【0058】上記シリコーンオリゴマーをコア材とする
場合のクラッド材は以下のようにして合成した。重水素
化フェニルトリクロロシランとメチルトリエトキシシラ
ン(モル比で52:48)から、上記のコア材合成と同
様の操作で白色固体を得た。重量平均分子量は5000
であった。コア材、クラッド材それぞれをメチルイソブ
チルケトン(MIBK)溶液としてスピンコート膜を作
製し、200℃で2時間加熱することにより熱硬化さ
せ、光通信波長域での屈折率を測定した。屈折率の測定
結果を表2に示す。
【0059】
【表2】
【0060】上記2種のシリコーンオリゴマーをコア・
クラッドとするアレイ導波路格子型波長フィルタを作製
した。まず、クラッド用シリコーンオリゴマーをスピン
コート法によりシリコーン基板上に塗布して成膜した。
この際、膜厚が16μmとなるようにスピンコータの回
転数を調整した。形成した薄膜は、200℃で2時間加
熱することにより硬化し、下部クラッド層とした。次い
で、この上にコア用シリコーンオリゴマーを8μm厚と
なる条件で成膜し、200℃で2時間で硬化した。続い
てスパッタリングにより銅薄膜を堆積し、フォトリソグ
ラフィーとイオンミリングによりアレイ導波路格子のマ
スクパタンを形成した。さらに、反応性イオンエッチン
グにより、マスクパタン以外の部分のコア層を除去し、
コアリッジを形成した。エッチングマスクを除去した
後、この上にクラッド用シリコーンオリゴマーを塗布
し、下部クラッドを形成した場合と同様に硬化して、コ
ア・クラッド構造からなる埋め込み型光導波路を形成し
た。上部クラッドの厚さはコア上面から10μmとなる
ようにした。
【0061】表3に、作製したアレイ導波路格子型波長
フィルタの諸元を示す。この波長フィルタを30mm×
40mmの大きさに切り出し、ペルチエ素子の上に固定
した。
【0062】
【表3】
【0063】ペルチエ素子を駆動して、光導波路の温度
を25℃に保持した状態で、波長フィルタの透過特性を
測定した。1.55μm波長帯において、この波長フィ
ルタのフリースペクトルレンジ(FSR)は12.8n
m、隣接ポート間のチャネル間隔は0.81nm、半値
全幅は0.2nmであった。また、挿入損失は−7d
B、隣接チャネル間のクロストークは−30dBであっ
た。また、挿入損失は−7dB、隣接チャネル間のクロ
ストークは−30dBであった。入力導波路の中央ポー
トから光を入射した場合、出力導波路の中央ポートから
の出射光の透過中心波長は、回折次数122において1
554.5nmであった。
【0064】さらに、光導波路の保持温度を10℃、8
0℃に変化したところ、透過中心波長はそれぞれ、15
57.4nm、1544.6nmに変化した。すなわ
ち、70℃の温度変化でFSRに相当する中心波長のシ
フトが得られた。さらに、これらの特性は光導波路を1
20℃で100時間加熱した後も変化しなかった。
【0065】(実施例5) (光フィルタ)実施例4と同様の方法で、原料である重
水素化フェニルトリクロロシランとメチルトリエトキシ
シランのモル比(以下、仕込み比を記す)の異なる材料
を合成し、シリコン基板上に薄膜を作製した。この薄膜
の屈折率をプリズムカップラー型の屈折率計を用いて評
価し、波長1.3μmにおいて複屈折の大きさ(nTE
TM)を調べた。図8は、横軸を原料のメチルトリエト
キシシランのモル分率として結果を表したものである。
この結果から、本発明に用いる材料は仕込み比により複
屈折が正の値から負の値まで変化し、特定の仕込み比に
おいては複屈折がゼロとなることが分かった。
【0066】さらに、本発明である導波路型波長フィル
ターにおける透過中心波長の偏波依存の解消を確認する
ために、実施例4と同様の方法で表4の仕込み材料比を
もつコア材料、クラッド材料を合成し、直線光導波路を
作製した。作製した導波路の波長1.55μmにおける
透過屈折率の偏波依存(nTE−nTM)をセナルモン干渉
法を用いて測定した。測定結果を表4に示す。この結果
から、本発明に用いる光導波路は、材料の仕込み比によ
り等価屈折率の偏波依存が正の値から負の値まで変化
し、特定の仕込み比においては等価屈折率の偏波依存の
絶対値がゼロとなることが分かった。この組成の材料を
用いるおとで、中心波長の偏波依存がない波長フィルタ
ーを作製することができた。
【0067】
【表4】
【0068】
【発明の効果】本発明の熱光学デバイスを用いれば、波
長多重光通信ネットワークにおける光クロス・コネクト
や光ADMに必要不可欠な光路切替スイッチや光フィル
タを、高い機能を保持したまま、コンパクトかつ低コス
トに提供することができる。したがって、本発明の熱光
学デバイスは、光クロス・コネクト・ノードの拡張や光
アクセス・ネットワークの展開など、光通信ネットワー
クの進展に大いに貢献できる。さらに、将来著しく発達
するであろうユーザー型の光クローズド・ネットワーク
(WDM−LAN)の要素部品としても活用可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の光導波路型波長フィルタの一例を示す平
面構成図である。
【図2】本発明の光スイッチに用いた熱硬化性シリコー
ンと、PMMAの各熱重量分析曲線を対比して示したグ
ラフである。
【図3】本発明の高分子デジタル型熱光学光スイッチの
一例の透視斜視図である。
【図4】図3に示した光スイッチの平面図である。
【図5】図4のA−A′に沿う断面図である。
【図6】本発明のデジタル型熱光学光スイッチのスイッ
チング特性を示すグラフである。
【図7】本発明の高分子デジタル型熱光学光スイッチの
出力の波長依存性を示すグラフである。
【図8】本発明の第5の実施例の波長フィルタに用いた
材料の複屈折の組成依存性を示すグラフである。
【符号の説明】
11 光分岐路の入力導波路 12,13 光分岐路の出力導波路 14,15 ヒータ電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 今村 三郎 東京都新宿区西新宿三丁目19番2号 日 本電信電話株式会社内 (72)発明者 林田 尚一 東京都新宿区西新宿三丁目19番2号 日 本電信電話株式会社内 (72)発明者 井上 靖之 東京都新宿区西新宿三丁目19番2号 日 本電信電話株式会社内 (72)発明者 豊田 誠治 東京都新宿区西新宿三丁目19番2号 日 本電信電話株式会社内 (56)参考文献 特開 昭62−223722(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/29 - 7/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子光分岐路および加熱要素からなる
    デジタル型熱光学光スイッチにおいて、 下記の式(I)、(II)、(III )および(IV): 【化1】 [式(I)および(II)において、R1 はC65 (X
    は重水素もしくはハロゲンを示す)で表される重水素化
    フェニル基またはハロゲン化フェニル基、Zは水酸基も
    しくはOCm2m+1(mは3以下の整数)で表されるア
    ルコキシ基であり、式(III )および(IV)において、
    2 はCn2n+1(Yは水素、重水素もしくはハロゲン
    であり、nは正の整数を示す)で表されるアルキル基、
    重水素化アルキル基またはハロゲン化アルキル基、Zは
    水酸基もしくはOCm2m+1(mは3以下の整数)で表
    されるアルコキシ基である]で表される各単位を構成分
    として有し、重量平均分子量が10000以下である共
    重合体を熱硬化させることによって得られた高分子か
    ら、前記高分子光分岐路が構成されていることを特徴と
    する高分子デジタル熱光学スイッチ。
  2. 【請求項2】 波長フィルタ機能を有する高分子光導波
    路を有してなる高分子光導波路波長フィルタにおいて、 下記の式(I)、(II)、(III )および(IV): 【化2】 [式(I)および(II)において、R1 はC65 (X
    は重水素もしくはハロゲンを示す)で表される重水素化
    フェニル基またはハロゲン化フェニル基、Zは水酸基も
    しくはOCm2m+1(mは3以下の整数)で表されるア
    ルコキシ基であり、式(III )および(IV)において、
    2 はCn2n+1(Yは水素、重水素もしくはハロゲン
    であり、nは正の整数を示す)で表されるアルキル基、
    重水素化アルキル基またはハロゲン化アルキル基、Zは
    水酸基もしくはOCm2m+1(mは3以下の整数)で表
    されるアルコキシ基である]で表される各単位を構成分
    として有し、重量平均分子量が10000以下である共
    重合体を熱硬化させることによって得られた高分子か
    ら、前記高分子光導波路が構成されていることを特徴と
    する高分子光導波路波長フィルタ。
  3. 【請求項3】 さらに、高分子導波路の温度を制御する
    ことにより特定の波長の光信号を任意に分離または混合
    することを可能にする温度調節器が具備されていること
    を特徴とする請求項2に記載の高分子光導波路波長フィ
    ルタ。
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JP4839230B2 (ja) * 2007-01-12 2011-12-21 日本電信電話株式会社 光コネクタ接続方法
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