JP3417941B1 - 画像データで特定可能な評価対象物における質的情報の解析装置 - Google Patents
画像データで特定可能な評価対象物における質的情報の解析装置Info
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Abstract
それ自体の価値が質的情報である評価対象物において、
かかる評価対象物を、客観的な尺度(ものさし)によっ
て量的に把握することが出来る解析結果を提供し得る、
新規な構造の解析装置を提供すること。 【解決手段】 画像データと言語データの関連に着目し
て特異値分解等の解析処理を施し、その結果を、具体的
な数値としてではなく、各画像データと各言語データに
おける語を、同一の座標系に相関的な位置関係をもって
布置して視覚的に展開表示するようにした。これによ
り、かかる座標系において、評価対象物が内在的に備え
ている質的情報を評価する尺度(ものさし)を新たに作
成すると同時に、各画像データと言語データにおける語
を布置せしめて全体として把握可能な状態で表示せしめ
ることにより、かかる尺度による測定結果を視覚的に把
握容易な態様で表わすようにした。
Description
来数値で一意的且つ定量的に表わすことの出来ない、評
価対象物における質的情報を、予め準備されていない尺
度を生成することによって客観的に表示させて解析等す
ることの出来る、従来にない新規な解析装置を提供する
ことにある。
どの評価対象物を評価したり議論等するためには、多く
の場合、数値が用いられる。例えば、特定商品の売上高
やマーケットシェア,特定産品の栄養素含有量や価格,
特定物の強度や耐久性,環境内のダイオキシン濃度や放
射線レベルなどが、何れも数値として与えられる。これ
は、数値が、その対象における情報を、客観的で一意的
且つ定量的に表わして特定するものだからである。従っ
て、明確な尺度をもって対象を測定等した結果としての
数値については、当該尺度を採用することの妥当性は別
として、誰にとっても一意的且つ客観的であることに疑
いはなく、それ故、かかる数値を共通意識をもって認識
して、その上で評価や議論等を客観的ひいては効率的に
行なうことが出来るのである。翻ってみれば、人間が客
観的な評価や議論を、妥当且つ効率的に行なうために、
数値が考案されて利用されているものと言える。
確な尺度をもった数値で測定することが本質的に妥当で
ないものがある。例えば、洋服やポスター,料理,音楽
などにおいて、その価値基準に対して支配的である、一
般に感性等と称される質的情報が、それである。即ち、
例えば洋服について評価や議論を行なうに際して、洋服
の生地の強度や洋服の質量,洋服の色の明度等を尺度と
することにより、客観的な測定結果としての数値を得る
ことは可能であるが、そのような数値によって洋服のデ
ザインや価値を評価等することが全く妥当でないこと
は、明らかである。
象物において大きな価値基準となる場合には、評価や議
論が上手く噛み合わず、有意義な会議を行なったり、多
くの人が納得出来る結論を得ることは極めて困難なのが
現状である。一つ具体例を挙げると、広告の一種として
のポスターデザインを決定するために、多数の評価対象
物たる候補案の中から一つを選定し更にそれに修正を加
える会議において、候補案に対する評価基準は会議出席
者の各人によって異なるのは当然であり、それだけでな
く各人の評価が質的情報であるが故に、その評価の尺度
さえ自分自身でも明確に把握できていないのが一般的で
ある。そのために、会議での議論が、各人の主張が各人
の主観的な理由に基づくこととなって相互に噛み合わな
い議論に陥り易く、当然に、納得できる妥当な結論に至
る可能性が低い。また、たとえ一つの候補案を採用する
との結論に上手く至ったとしても、かかる候補案に加え
る修正内容を検討する場合には、議論が一層噛み合わず
に困難となることは、容易に予想されるところである。
例えば、一人の出席者が「もう少し都会的にしたい」と
主張したとしても、「都会的」という価値基準さえ極め
て観念的乃至は質的であり、なんとなく感覚的に理解で
きるという程度の意識の共有状態にしか至らず、たとえ
複数の出席者がその意識を共有できたと感じたとして
も、かかる情報の本質が質的であるが故に、現実的には
各人の意識が相互に異なっているであろうことは想像に
難くない。従って、そのような共通認識の存在しない状
況下で議論したところで、各人が納得する客観的妥当性
のある結論を得ることは極めて難しいのである。
上述のポスターデザインや洋服デザイン等の質的情報を
本質とする対象物を評価したり議論等する場合には、数
値で量的で把握できる情報をどうにかして取得し、それ
を尺度基準とすることも検討されている。例えば、複数
の洋服デザインを評価するに際して、それら複数の洋服
デザインについて多数の消費者のアンケートを5段階評
価等で取得し、アンケートの選択肢に割り付けた点数を
合計することにより、かかるアンケート項目に関する客
観的な評価を、当該アンケート項目を尺度とした量的情
報である数値として入手することが考えられる。
「量的情報」と対極に位置するものであって、当人にと
っても容易には言い表し難い複雑な感覚等が融合した結
果物であることが殆どであり、それ故、上述の如きアン
ケート等に際して示される明確な尺度によって量的情報
に変換することは極めて乱暴な処理であり、得られた量
的情報が、もとの質的情報を的確に表わし得ないこと
は、容易に理解されるところである。即ち、洋服デザイ
ンを見た消費者は、各人がさまざまな感覚を抱くことと
なり、その各人の感覚こそが、評価対象物の有する質的
情報であるが、アンケートを採るに際しては、アンケー
トを作成した一主体の主観的な尺度のみが与えられるに
過ぎないことから、この与えられた尺度と異なる消費者
各人の感覚は全て捨てられることとなり、かかる尺度に
よって消費者各人の感覚を拘束して、その拘束した範囲
内で消費者各人の感覚を計ることしか出来ないのであ
る。従って、このように予め一主体の主観的なフィルタ
が掛けられてしまうことが避けられない以上、アンケー
ト等によって得られた量的情報に基づいて質的情報を解
析することによっては、到底、満足できる結果を望むこ
とが出来ない。
計することにより評価対象物が本質的に有する質的情報
を量的情報に変換するアンケート手法において、洋服デ
ザイン等の本来対象とする質的情報をアンケート結果と
して得られる量的情報に対して高度にのせて、質的情報
を量的情報に精度良く変換するためには、例えば、アン
ケート項目を考えられ得る限りに多く設定することも考
えられるが、そのような手法においては、アンケートの
実施だけでなく、そのアンケート結果の解析も極めて困
難となってしまい、現実的でないことが明らかである。
背景として為されたものであって、その解決課題とする
ところは、洋服や広告など明確な尺度をもった数値で測
定することが本質的に妥当でない評価対象物において、
かかる評価対象物がそれ自体の価値として本質的に備え
ている質的情報を、客観的且つ効率的に取得すると共
に、取得した質的情報に適した尺度自体を新たに生成せ
しめ、更に、この新たに生成した尺度によって各対象を
容易に把握乃至は評価できる態様で視覚的に表示し得
る、評価対象物における質的情報に関する新規な解析装
置を提供すること等にある。
された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各
態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の
組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至
は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることな
く、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの
記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づ
いて認識されるものであることが理解されるべきであ
る。
の評価対象物をそれぞれ特定し得る複数の画像データを
入力せしめる画像データ入力手段と、(b)前記複数の
評価対象物における質的情報をそれぞれ言語の態様で表
わした言語データを入力せしめる言語データ入力手段
と、(c)前記画像データ入力手段で入力された画像デ
ータと、前記言語データ入力手段で入力された言語デー
タを、互いに対応付けて記憶するデータ記憶手段と、
(d)該データ記憶手段に記憶された前記画像データお
よび前記言語データを用いて、該画像データを行項目お
よび列項目の何れか一方とすると共に該言語データにお
ける語を行項目および列項目の他方として表わした度数
分布の各値を要素とした多次元行列を生成し、該多次元
行列を次元圧縮することにより表示行列を求める行列演
算手段と、(e)該演算手段により得られた前記表示行
列に基づいて、前記画像データと前記言語データにおけ
る語とを、座標系における位置として視認可能に表示す
る結果表示手段とを、有する画像データで特定可能な質
的情報の解析装置を、特徴とする。
装置においては、 「画像データを利用し、かかる画像データによって複
数の質的情報を各別に特定するようにしたこと」と、 「言語データを利用し、画像データによって特定され
る複数の質的情報を、それぞれ自然文などで表現するこ
とを可能としたこと」を、それぞれ特徴の一つとしてお
り、更に、 「これら画像データと言語データ(語)に対して
総合的に特定の解析処理を施して、その結果を、具体的
な数値としてではなく、各画像データと各言語データに
おける語を、同一の座標系に布置して視覚的に展開表示
するようにしたこと」、も特徴の一つとしている。
評価対象物が備えている質的情報を言語データで表現で
きるようにしたことから、質的情報をより的確に表わす
データを入力せしめることが出来るのであり、しかも、
アンケート等のように一主体が作成した尺度で拘束され
ることもなく、客観性を有するものとして質的情報を高
精度に表わすデータを入力せしめることが可能となる。
更に、画像データを用いたことにより、一つの画像デー
タによって対応する一つの評価対象物を明確に特定して
表示することが出来るのであり、それ故、結果表示手段
によって複数の画像データを、言語データにおける多数
の語と共に、座標系に布置せしめて全体として把握可能
な状態で表示せしめることにより、複数の評価対象物の
相互間でそれらの奥に潜んでいる適当な尺度を、視覚的
に把握容易な態様で表わすことが出来るのである。
は、後述する実施形態の記載によって具体的に明示され
ているように、最終的に、複数の評価対象物の間に存在
する質的情報の相対的な関係をもって、それら複数の評
価対象物を、各評価対象物の質的情報を表わす語と併せ
て、適当な座標系に布置することが出来るのであり、そ
れ故、布置された結果表示物には、そこに何等かの妥当
な尺度が新たに生成されていると観念することが出来る
のである。ここにおいて、特に重要なことは、評価対象
物の質的情報を表わす語が布置された座標系において、
かかる布置の態様等を観察することで認識することの出
来る尺度は、当初から何人にも認識されていなかったも
のである一方で、新たに創り出されたものでは決してな
く、複数の評価対象物が本来的に備えている質的情報に
関して当初から当然に存在していたと考えられるものな
のであり、それ故、評価対象物の評価等を行なう尺度と
して最も妥当で且つ客観的なものであると言えるのであ
る。
従来の解析方法と逆転の発想の下で、評価尺度が存在し
ない質的情報を、評価尺度を与えないままで解析する新
たな評価方法を提供するものであるといえる。即ち、従
来の解析方法は、予め与えられた尺度(ものさし)を用
いて、対象を評価するに過ぎないのであり、従って、い
かに精緻に尺度を作成したところで、解析結果は、所
詮、その尺度を作成した個人の主観的判断から逃れるこ
とは出来ないのである。一方、本態様の解析装置におい
ては、予め尺度(ものさし)を準備することなく、複数
の評価対象物が有する質的情報の相互関連に基づいて、
それら複数の評価対象物を座標系に布置して表示させる
だけであるが、かかる座標系に布置されることによっ
て、当該評価対象物において正に適合する尺度自体が生
成されて表示されることとなるのであり、しかもそれと
同時に、かかる尺度による各評価対象物の評価が、座標
系に展開されて量的情報として把握可能な状態で表示さ
れ得るのである。
示手段によって表示された結果を用いることにより、質
的情報をもつ評価対象物について評価や議論するに際し
て、そこに参加している複数人が略共通して認識し得る
尺度を持つことが出来ると共に、かかる尺度によって各
評価対象物を測定した結果の値を客観的に認識すること
が可能となる。それ故、従来では、各人の主張が主観論
になって収集がつかなくなりがちであった、質的情報を
もつ評価対象物についての会議においても、各人が共通
する尺度を認識し、且つ各評価対象物について、かかる
尺度を基準として客観的な測定値をもつことが出来るの
であり、その結果、質的情報について、客観的妥当性を
もって効率的に議論したり評価等することが可能となる
のである。
が画像でデータであって、複数の評価対象物を相互に区
別して特定し得るものであれば良く、例えばグラフィッ
クスソフトで作成したもの等も採用可能であるが、評価
対象物を可能な限り明確に特定し得るものであることが
望ましく、特に視覚を通じて把握することによって解析
すべき質的情報が得られるような評価対象物である場合
には、当該評価対象物を電子データ化した画像データが
好適に採用される。また、かかる画像データは、動画デ
ータであっても良いが、静止画データの方が、取扱いが
容易であると共に、結果表示手段によって表示した際
に、評価対象物を速やかに把握することが出来ることな
どから望ましい。更にまた、画像データは、JPEGや
MPEG等の方式で圧縮したデータとして取り扱うこと
が可能であり、予め圧縮した画像データを入力対象とす
る他、画像データの入力に際して圧縮処理を施しても良
い。また、画像データは、一般に、GIFやTIFF,
EPS等の適当なファイル形式で扱われることとなる
が、そのようなファイル形式は限定されるものでない。
なお、かかる画像データによる評価対象物の区別機能
は、本態様に係る解析装置を利用して解析を行なう主体
において明確であれば良く、画像データは、各別の評価
対象物を客観的且つ一義的に特定するものである必要は
ない。
る画像データ入力手段は、具体的にはイメージスキャナ
やデジタルカメラ等で構成され得るが、その他、例え
ば、装置内部や装置外部で予め作成した画像データを画
像ファイルとして入力せしめる場合には、磁気ディスク
読取装置等の各種の公知のデータ入力装置によって、画
像データ入力手段が構成され得る。
評価対象物が有する質的情報を言語の形態で表わしたデ
ータであって、好適には、各評価対象物を独立して表わ
した言語であって、複数の評価対象物の相対的な評価情
報でないものが採用される。また、言語の種類は、日本
語である必要はなく、英語や独語等の他国語、或いは複
数の国の言語等であっても良い。更に、言語データは、
取扱いが容易でデータ量も少ないこと等からテキストデ
ータ乃至はキャラクタデータが好適に採用される。ま
た、本態様における言語データは、一義的に特定するこ
との出来ない評価対象物の質的情報を、複数人で意識を
共有するための普遍的手段である言語を利用して表わし
たものであるが、かかる言語データは、評価対象物の質
的情報を直接的に表わしたものである必要はない。即
ち、質的情報は、それ自体が本来的に認識可能に表出さ
れているものではないのであり、従って、それを特定す
る言語もまた、質的情報として認識されるものである必
要はないのである。要するに、評価対象物に関して、そ
れ固有の状態等を、質的情報よりは格段に客観性があ
り、複数人の間で共通認識を持つことの出来る言語で表
わしたものが、本態様における言語データとして採用さ
れ得る。また、言語データは、複数の「語」から構成さ
れることで、評価対象物の質的情報を表わすものであっ
て、例えば、単に複数の「語」からなる単語の集合であ
っても良いし、或いは複数の「語」の組み合わせからな
る語句や文章などであっても良い。
る言語データ入力手段は、具体的にはキーボード等で構
成され得るが、その他、例えば、装置内部や装置外部で
予め作成した言語データをテキストファイル等として入
力せしめる場合には、磁気ディスク読取装置等の各種の
公知のデータ入力装置によって、言語データ入力手段が
構成され得る。
に、本態様における評価対象物は、質的評価を必要とす
る物であって、画像によって特定することが可能である
と共に、言語によって質的情報を表わすことのできるも
のであれば良く、その限りにおいて有体物の他、無体物
も対象となり得る。例えば、広告やイメージフィルム等
のデザインや構成は、直接に画像で特定することが可能
であると共に、そこに表わされている具体的な映像やそ
こから受け取る感覚などの質的情報は言語で表わすこと
が可能であることから、本態様に係る解析装置の評価対
象物となり得ることに疑いはないが、その他、例えば洋
服や自動車,テレビ,洋菓子,料理等のように、視覚に
よって得られる情報だけでなく素材,材質や機能,性
能,触覚,味覚等の情報も併せて質的情報を構成するも
のや、或いは音楽や香り等のように、視覚によって得ら
れる情報が支配的でないものや、本質的に視覚によって
得られる情報を有しないものであっても、何等かの方法
で画像データをもって当該評価対象物を特定できる限り
は、本態様に係る解析装置の評価対象物となり得る。
上述の如き画像データや言語データを電気的乃至は磁気
的に記憶保持せしめ得るものであれば良く、特にアクセ
ス時間(リード/ライト時間)の短いメモリが好適に採
用されるが、その他、例えば容量の大きいハードディス
ク等によって記憶手段を構成すると共に、RAM等の一
時記憶素子を併せ備えさせて、演算に必要なデータだけ
をハードディスクから一時記憶素子に適宜にコピーして
利用するようにしても良い。
は、行列演算処理を行なうことが可能なプロセッサを用
いて構成することが可能であり、例えば、データ処理用
LSIやCPU等のハードウェアと、それに処理命令文
を送って作動制御するソフトウェアによって構成され
る。また、行列演算手段を構成するLSIやCPU等の
ハードウェアは、公知の如く、バスラインや必要なイン
ターフェースを介してデータ記憶手段や画像入力手段,
言語データ入力手段,結果表示手段に接続されることと
なる。
示行列によって特定された位置に画像データおよび言語
データの語をそれぞれ布置する座標系を、視認可能に表
示し得るものであれば良い。具体的には、2次元の直交
座標を表示し得る印刷装置やCRT等のディスプレイ装
置の他、3次元の直交座標を表示し得る立体モデルや模
擬的3次元を表示するディスプレイ装置等を用いること
により、結果表示手段が有利に実現され得る。
の態様に係る解析装置において、前記言語データ入力手
段によって入力される前記言語データが文章の態様で表
わされたものである場合に、かかる言語データを形態素
に分解する形態素解析手段を設け、該形態素解析手段で
得られた該形態素を該言語データにおける語として前記
演算手段において前記多次元行列の行項目および列項目
の他方とするようにしたことを、特徴とする。このよう
な本態様においては、言語データとして、例えば自然文
を、特別な予備処理等を施すことなくそのままの形で言
語データ入力手段から入力することが可能となる。
ら公知であり、例えば日本語の形態素解析システムとし
て汎用のパソコン上で作動するソフトウエアとして、例
えば、京都大学工学部の長尾研究室と奈良先端科学技術
大学院大学の松本研究室等の著作に係る「JUMAN」
や「CHASEN」等が入手可能であり、そのような公
開されている各種の形態素解析システムを利用して、本
態様の形態素解析手段を構成することも可能であること
から、ここではその詳細な説明を省略する。
生成される多次元行列は、例えば複数の画像データを列
項目とすると、行数が総形態素数で、列数が画像データ
の総数とされた行列となる。また、かかる多次元行列の
各要素は、該当する「行」の項目である形態素が、該当
する「列」の項目である画像データで特定される評価対
象物を表わす言語データ中に何回出現するか(幾つ含ま
れているか)を示す数値とされる。
態様に係る質的情報の解析装置において、前記形態素の
うちで特定の品詞だけを選択的に排除又は採用する選択
手段を設けて、該選択手段で選択されなかった語は、前
記演算手段における行項目および列項目の他方において
採用しないようにしたことを、特徴とする。即ち、形態
素解析を施すと、名詞や形容詞,動詞などに加えて、助
詞なども一つの形態素として把握されることとなる。そ
こで、評価対象物の質的情報として直接に関係しない語
は、形態素解析で得られたとしても、それらを言語デー
タとしての「語」から除いて解析に用いないようにする
ことが望ましい。それによって、生成される多次元行列
が低次元化されて演算等の処理や記憶領域の確保等に有
利となると共に、解析結果におけるノイズ発生の回避が
図られ得る。
は第二の態様に係る質的情報の解析装置において、前記
言語データにおける語のうち、前記複数の評価対象物の
所定数以上に含まれるものだけを選択するフィルタ手段
を設けて、該フィルタ手段で選択されなかった語は、前
記演算手段における行項目および列項目の他方において
採用しないようにしたことを、特徴とする。即ち、形態
素解析を施すことによって得られた形態素としての
「語」の中には、複数の評価対象物の中の特定の評価対
象物に対応付けられた言語データにだけ存在するものが
ある。そもそも本発明に係る解析装置は、特定の条件下
で生成した多次元行列を次元圧縮することで、かかる多
次元行列に隠れた状態で存在する相関関係に基づいて、
評価対象物の質的情報の解析を行なうものであることか
ら、一つの評価対象物にだけにしか対応付けられていな
い「語」は、解析に際して意味を持たない情報と考えら
れる。それ故、本態様に従い、複数の評価対象物に対応
付けられて存在する「語」だけを採用して多次元行列を
生成することにより、多次元行列が低次元化されて演算
等の処理や記憶領域の確保等に有利となって、次元圧縮
により表示行列を効率的に得ることが可能となる。な
お、フィルタ手段における「語」の選択基準は、評価対
象物や「語」の数などによっても異なるが、一般に、3
つ以上の評価対象物に含まれる「語」だけを選択するよ
うに設定することが、解析の効率と精度を両立的に達成
する上で望ましい。
至第四の何れかの態様に係る質的情報の解析装置におい
て、前記評価対象物が視覚で把握される有体物であり、
該評価対象物を撮影したデータを前記画像データとして
前記画像データ入力手段により入力せしめるようにした
ことを、特徴とする。このような本態様においては、評
価対象物が視覚で把握される有体物であることから、画
像データによって、各個別の評価対象物を明確に識別す
ることが可能となるのであり、それ故、結果表示手段に
よって画像データを座標系に布置した表示を観察する際
に、各評価対象物を容易に把握することが出来、評価や
解析を一層容易に且つ効率的に行なうことが可能とな
る。
至第五の何れかの態様に係る質的情報の解析装置であっ
て、前記言語データ入力手段において、前記言語データ
をテキストデータとして入力せしめるようにしたこと
を、特徴とする。このような本態様においては、テキス
トデータを採用したことにより、言語データの取扱いを
一層容易に且つ効率的に行なうことが可能となる。な
お、テキストデータ以外の言語情報は、採用されないこ
ととなるが、本発明では、本来、評価対象物の質的情報
を自然文等の言語で表わすことを目的として言語データ
を採用したものであるから、一般に、テキストデータに
よって、十分な質的情報を扱うことが可能であり、解析
精度の低下が大きな問題となることもない。
至第六の何れかの態様に係る質的情報の解析装置におい
て、前記言語データが、少なくとも前記評価対象物の解
析主体に対して客観的に取得された客観的言語データで
あることを、特徴とする。
態様に係る質的情報の解析装置において、前記評価対象
物が商品であり、該商品を撮影したデータを前記画像デ
ータとして前記画像データ入力手段で入力せしめる一
方、該商品の購入者が該商品を評価した自然文を前記言
語データとして前記言語データ入力手段で入力せしめる
ようにしたことを、特徴とする。このような本態様にお
いては、解析主体に対する言語データの客観性ひいては
質的情報解析の客観性を十分に確保しつつ、商品の市場
評価という消費者の主観的意識に基づく質的情報を考慮
して解析することが可能となる。それ故、例えば後述の
実施形態の欄において第一実施形態として示されている
ように、洋服デザインという評価や価値の尺度や情報が
極めて質的で且つ不明瞭なものを評価対象とする場合で
も、解析主体の主観的な拘束を受けることなく、客観的
な解析結果を座標系に展開して表示することが出来るの
である。
は第八の態様に係る質的情報の解析装置において、前記
評価対象物が、その外観として視覚で把握可能な状態で
コメント文等の言語情報を含んでいる場合に、該言語情
報を前記言語データとして前記言語データ入力手段によ
り入力せしめるようにしたことを、特徴とする。このよ
うな本態様においては、評価対象物の質的情報を提供す
る言語データを、極めて客観的に得ることが出来るので
あり、解析結果の客観的妥当性が一層有利に確保され得
る。特に、本態様に従えば、例えば後述の実施形態の欄
において第二実施形態として示されている広告表現のよ
うに、評価や価値の尺度や情報が極めて質的で且つ不明
瞭なものを評価対象とする場合などにおいて有効であ
る。即ち、広告等において文字を備えたものは、その文
字自体が評価対象物を構成するものでなく、広告のイメ
ージ画部分や商品の外観等と協働して全体として質的情
報を構成するものであるが、それ自体でも評価対象物の
質的情報の一部を担っている以上、言語データとして解
析に利用することにより、客観的な情報を極めて容易に
取得することが出来るのである。
至第九の態様に係る質的情報の解析装置において、前記
評価対象物が、その外観として視覚で把握可能な状態で
写真やイラスト等の非言語情報を含んでいる場合に、該
非言語情報を客観的に言語情報に置換せしめた置換言語
情報を、前記言語データとして前記言語データ入力手段
により入力せしめるようにしたことを、特徴とする。即
ち、評価対象物は、それ自体が言語情報を有するものと
は限らず、また、言語情報以外にも、質的情報として重
要な情報を含む場合が多い。具体的には、例えば、後述
する第二実施形態に示される車の広告表現が評価対象物
である場合に、言語情報としては「その広告の中に文字
として印刷されている文」を含むだけであるが、それ以
外にも、そのような言語情報に加えて、或いはそのよう
な言語情報に代えて、イラストや写真等の非言語情報で
表現された情報として、例えば「空」や「雲」,「ハン
ドル」,「子供」,「川」,「夕焼け」,「ドア」,
「エンジン」,「男性」,「女性」,「座席」などを含
んでおり、特に広告表現では、質的情報の観点からみる
と、これらの非言語情報が何等かの訴求点を別の何かに
置き換えて表現したものであることが多く、表された言
語情報以上に重要な意味を持つことが多い。そして、本
態様においては、このような非言語情報も考慮して、評
価対象物の質的情報を解析することが出来るのであり、
ぞれによって、解析対象となる質的情報の範囲も拡大さ
れると共に、質的情報のより一層高精度な解析が実現可
能となるのである。このように、非言語情報が質的情報
として大きなウェイトを有する広告等の評価対象物にお
いては、例えば、当該広告等についての意見や感想など
の質的情報を複数の人に自然文で自由に述べてもらった
ものを取得して言語データとして利用すること等も考え
られるが、それよりも、例えば、当該広告等に明示され
ている物理的な事象を対象をして、非言語情報を客観的
に言語情報に置換せしめたものを言語データとして用い
る方が、解析結果の客観性が向上される。なお、非言語
情報を言語情報に置換するには、例えば、写真等から機
械的に単語や文章に置き換えて抽出することも考えられ
るが、より簡易的には、解析主体とは別の者の人的作業
によって抽出するようにしても良い。
の態様に係る質的情報の解析装置において、前記言語デ
ータ入力手段により入力された前記置換言語情報から、
前記多次元行列の要素としての語として名詞だけを選択
抽出する名詞選択手段を設けたことを、特徴とする。こ
のような本態様においては、非言語情報を客観的に言語
情報に置換するに際して、例えば、解析主体とは異なる
者が、非言語情報を出来るだけ客観的に言語情報に置換
する場合等においても、特に主観が入り難く且つ質的情
報を一般に多く含む名詞を選択することによって、言語
情報を一層効率的に且つ精度良く抽出することが可能と
なる。なお、名詞選択手段は、例えば、非言語情報を言
語情報に置換せしめた置換言語情報をテキスト形式で入
力せしめて、これに形態素解析を加えて名詞を選択抽出
させることによって、有利に実現可能となる。
又は第十一の態様に係る質的情報の解析装置において、
前記非言語情報を複数の者が各別に言語情報に置換せし
めた複数の置換言語情報を、それぞれ、前記言語データ
として、前記言語データ入力手段によって入力せしめる
ようにすると共に、それら複数の者によって生成された
複数の置換言語情報から得られた複数の該言語データに
共通して存在する語だけを、前記多次元行列の要素とし
ての語として選択抽出する共通語選択手段を設けたこと
を、特徴とする。前述の如く非言語情報を言語情報に置
換して置換言語情報を得るに際しては、その作業を個人
が行う場合に主観が入る余地があるが、本態様において
は、複数の者(好ましくは3〜5名程度)が、お互いの
処理を見せることなく独立して非言語情報を言語情報に
置換する作業を行い、それら複数の者の作業結果を用い
ることによって、より客観性の高い置換言語情報を取得
することが可能となるのであり、これにより、特別な者
だけが認識する程度の客観性に乏しい言語情報の選択が
効果的に回避され得る。なお、本態様において、より好
適には、例えば、複数の者が他人の作業内容を見ること
なく、非言語情報から言語情報への置換を行い、その結
果を入力することが出来るように、各者別に言語データ
入力手段を準備し、各者がそれぞれの評価対象物に関し
て入力した言語情報から直接に取得された多数の語、或
いは形態素解析を経て取得された多数の名詞)を、一旦
メモリに記憶せしめた上で、各評価対象物ごとに、全作
業者が言語情報として共通に入力した語をスキャンして
自動的に選択抽出する手段が、採用されることとなる。
乃至第十二の何れかの態様に係る質的情報の解析装置で
あって、前記演算手段において、特異値分解で前記次元
圧縮をして前記表示行列を求めると共に、前記結果表示
手段において、かかる表示行列で最も大きいものから2
又は3の特異値にそれぞれ関わる各次元軸によって2次
元又は3次元の直交座標系を構成し、かかる直交座標系
における位置として前記画像データと前記言語データに
おける語を、それぞれ視認可能に表示することを、特徴
とする。このような本態様においては、数理計算による
次元縮小法を利用して、前述の如くして得られた多次元
行列から、視覚で速やか且つ正確に把握することが出来
る2次元または3次元の座標系において、その座標系が
何等かの尺度を与える状態で、画像データと言語データ
における語をそれぞれ布置せしめるための表示行列を有
利に得ることが可能となる。
三の態様に係る質的情報の解析装置において、(f)前
記直交座標系を構成する少なくとも一つの次元軸に関し
て、前記画像データおよび前記言語データにおける語の
寄与量をそれぞれ求める寄与量演算手段と、(g)該寄
与量算出手段によって求められた何れかの次元軸に関す
る前記寄与量に応じて、該寄与量が大きい程に表示も大
きくなるように、前記画像データおよび前記言語データ
における語をそれぞれ拡大/縮小表示する表示倍率変更
手段とを、設けたことを、特徴とする。このような本態
様においては、座標系に布置した画像データや言語デー
タの語に対して、視覚的により多くの情報を表示させる
ことが出来るのであり、座標軸が持つ尺度の認識等も容
易となる。
四の態様に係る質的情報の解析装置において、前記寄与
量演算手段により、前記座標系を構成する複数の次元軸
のそれぞれに関して前記画像データおよび前記言語デー
タにおける語の寄与量を算出すると共に、かかる算出結
果を記憶する寄与量記憶手段を設けて、算出した該寄与
量を該寄与量記憶手段に記憶せしめる一方、(h)前記
座標系を構成する前記複数の次元軸のうち、何れかの次
元軸を選択的に切り換えて指定することの出来る次元軸
指定手段と、(i)前記表示倍率変更手段により何れか
の次元軸に関する前記寄与量に応じた大きさで表示され
た前記画像データおよび前記言語データにおける語を、
前記次元軸指定手段による次元軸の指定の変更に従い、
別の次元軸に関する前記寄与量に応じた大きさとなるま
で次第に変化させて表示するアニメーション表示手段と
を、設けたことを、特徴とする。このような本態様にあ
っては、結果表示手段において各画像データや言語デー
タの語が布置された座標系において、そこに表わされた
各軸がもつ量的な尺度の意味、延いては布置された各画
像データや各言語データの語の相関的な関係を、より把
握し易くすることが出来る。
乃至第十五の何れかの態様に係る質的情報の解決装置に
おいて、(j)前記行列演算手段において前記多次元行
列を生成するに際して、該多次元行列における各次元軸
の要素に対して相対的な重み付けによる調整を行なう重
み付け手段を設けたことを、特徴とする。このような本
態様においては、座標系に布置された各画像データや言
語データの語の全体のばらつき乃至は広がりの程度を把
握し易い適当な大きさに調節することが出来るのであ
り、それによって、かかる座標系の表示に基づいて、そ
こに内在する何等かの意味を持つ尺度を認識したり、各
画像データで表わされた各評価対象の質的情報を把握す
ることが、一層容易となる。
乃至第十六の態様に係る質的情報の解析装置であって、
前記演算手段において、特異値分解で前記次元圧縮をし
て前記表示行列を求めるようにすると共に、かかる特異
値分解の結果に基づいて前記画像データを、該画像デー
タの数よりも少ない数のクラスタに分けるクラスタ分析
手段を設けたことを、特徴とする。このような本態様に
おいては、各画像データで特定される複数の評価対象の
相対的な関連性を、クラスタ分けされて表示された結果
から、一層容易に把握して評価等することが可能とな
る。なお、クラスタ分析手段としては、最近隣法や最遠
隣法,群平均法,k−means法等の従来から公知の
手法が、何れも採用可能である。また、結果表示手段に
おいて、例えば座標系に各画像データを位置表示するに
際して、クラスタ分析の結果に従い、同一クラスタに属
する思考項目を、そのクラスタに割り当てられた特定の
色で表示することも可能であり、それによって、塗り分
けられた画像データ群の把握と健康が一層容易となる。
乃至第十七の何れかの態様に係る質的情報の解析装置に
おいて、(k)前記複数の評価対象物にそれぞれ固有の
第三変数を入力せしめる第三変数入力手段と、(l)該
第三変数入力手段で入力された該第三変数を、前記多次
元行列において前記画像データを配した行項目および列
項目の何れかと次元の等しいベクトルとし、前記結果表
示手段によって表示される前記座標系に射影せしめた参
考表示ベクトルを演算する第三変数演算手段とを、設け
て、該結果表示手段により、該第三変数演算手段で求め
られた参考表示ベクトルを、前記画像データおよび前記
言語データの語と併せて該座標系に表示せしめるように
したことを、特徴とする。このような本態様において
は、複数の画像データや言語データの語を、評価対象物
が有する質的情報に基づいて座標系に表示する処理結果
と関係なく、評価対象物を特定する画像データと同一次
元のベクトルをもって、任意の第三変数を該座標件に表
示することが出来るのであり、それ故、例えば第三変数
によって表わされる特定の指標や情報からなる尺度を、
かかる座標系に画道データ等と併せて表示することが可
能となる。従って、座標系に展開表示された第三変数を
利用することにより、座標系に展開された複数の画像デ
ータや言語データの「語」が内在する尺度を一層容易に
認識すること等が可能となって、評価対象物の解析作業
性が向上され得る。
八の態様に係る質的情報の解析装置において、前記第三
変数が画像として特定できるものである場合に、該第三
変数を特定する第三変数画像データを、前記結果表示手
段により前記参考表示ベクトルとして前記座標系に表示
せしめることを、特徴とする。このような本態様におい
ては、座標系に対して単に第三変数の名称等を表示する
場合に比して、表示された画像から第三変数を視覚で直
接的に把握認識することが出来るのであり、例えは質的
情報に関する情報量が、評価対象物よりも明確で顕著な
第三変数の画像を座標系に表示することで、かかる座標
系に表された空間の意味をより把握し易くすることが可
能となる。
乃至第十九の何れかの態様に係る質的情報の解析装置に
おいて、(m)前記複数の評価対象物と同等の参照対象
物について、その質的情報をそれぞれ言語の態様で表わ
した参照用言語データを入力せしめる参照用言語データ
入力手段と、(n)該参照用言語データにおける語を行
又は列の要素として、前記多次元行列における行項目と
列項目のうち前記言語データにおける語を要素とする方
の項目と次元の等しい一列又は一行の参照表示行列を求
める参照表示行列演算手段と、(o)該参照表示行列演
算手段により得られた前記参照表示行列を、前記結果表
示手段によって表示される前記座標系に射影せしめた参
照表示ベクトルを求める参照ベクトル演算手段とを、設
けて、前記結果表示手段により、前記座標系において前
記画像データおよび前記言語データの語と併せて前記参
照表示ベクトルを表示せしめるようにしたことを、特徴
とする。このような本態様においては、複数の評価対象
物によって予め形成した、評価空間としての座標系にお
いて、具体的に特定された参照対象物を、それが持つ質
的情報を予め生成された座標系での評価基準に従って評
価した結果の該座標系における特定の位置として、定量
化された形で表示することが出来る。従って、例えば後
述する第二の実施形態のように、二つの広告表現案の何
れを選択するかについて比較検討するに際して、既存の
多数の広告表現を評価対象物として、それらの質的情報
を解析することで評価空間としての座標系を構成した
後、かかる座標系に、二つの広告表現案を、それぞれ参
照対象物として射影して表示せしめることにより、それ
ら二つの広告表現案の比較を、座標系によって表された
客観的な尺度に基づいて、一層容易に且つ効果的に行う
ことが可能となるのである。
二十の態様に係る質的情報の解析装置において、前記参
照対象物を特定し得る参照用画像データを入力せしめる
参照用画像データ入力手段を設けて、前記結果表示手段
により、前記座標系における前記参照表示ベクトルの位
置に該参照用画像データを表示するようにしたことを、
特徴とする。このような本態様においては、前記第十九
の態様における第三変数と同様に、参照対象物が座標系
において視覚で把握可能に表示されることにより、かか
る参照対象物を容易に把握することが可能となって、座
標系に表された空間の意味や、参照対象物の有する質的
情報の定量的評価値をより把握し易くすることが出来
る。
二十又は二十一の態様に係る質的情報の解析装置におい
て、前記参照対象物を複数採用し、前記結果表示手段に
より前記座標系において一つの該参照対象物の表示を終
了して別の該参照対象物の表示を開始するに際して、か
かる終了する参照対象物における前記参照表示ベクトル
を、かかる開始する参照対象物における前記参照表示ベ
クトルまで、該座標系において次第に変位させて表示す
る参照用アニメーション表示手段を設けたことを、特徴
とする。このような本態様においては、例えば独立した
二つの参照対象物における相互間の質的情報を、より認
識し易い態様で表示せしめて比較することが出来るので
あり、それ故、例えば広告表現の具体的な案を一つの参
照対象物として、これから一部を変更したものを別の参
照対象物として、座標系における一つ目の参照対象物の
位置から別の参照対象物の位置まで、参照表示ベクトル
をアニメーション表示させて変位させることにより、参
照対象物の一部変更による質的情報の変化を、視覚的に
一層容易に把握することが可能となるのである。なお、
本態様を含む本発明において、座標系におけるベクトル
の表示は、ベクトル位置を特定して示し得るものであれ
ば良く、例えば特定の基準点(原点)からの矢印の表示
の他、特定の原点を基準とするベクトル先端位置に対し
て画像等の適当なポイントを表示するものなどであって
も良い。
れた質的情報の記憶装置の他、以下の(A)〜(E)か
らなる複数の工程をもって実施される質的情報の解析方
法も、その特徴とするものである。
法の第一の態様は、(A)コンピュータが、複数の評価
対象物をそれぞれ特定し得る複数の画像データを外部か
ら取得する画像データ取得工程と、(B)該コンピュー
タが、前記複数の評価対象物における質的情報をそれぞ
れ言語の態様で表わした言語データを外部から取得する
言語データ取得工程と、(C)該コンピュータが、前記
画像データ入力手段で入力された画像データと、前記言
語データ入力手段で入力された言語データを、互いに対
応付けてデータ記憶手段に記憶する記憶工程と、(D)
該コンピュータが、前記データ記憶手段に記憶した前記
画像データおよび前記言語データを用いて、該画像デー
タを行項目および列項目の何れか一方とすると共に該言
語データにおける語を行項目および列項目の他方として
表わした度数分布の各値を要素とした多次元行列を生成
し、該多次元行列を次元圧縮することにより表示行列を
求める演算工程と、(E)該コンピュータが、前記演算
工程で求めた前記表示行列に基づいて、前記画像データ
と前記言語データにおける語とを、座標系における位置
として視認可能に表示する結果表示工程とを、有する画
像データで特定可能な質的情報の解析方法を、特徴とす
る。
的情報を本質的な評価対象とする各種の物を、前述の如
き本発明に従う構造とされた質的情報の解析装置と同様
に、それら自体の相対的な関連性に基づき、適当な尺度
をもって座標系に展開して布置することが出来るのであ
り、そして、かかる座標系においては、結果的に、予め
与えられておらず識別さえもなされていなかった新たな
尺度に基づいて、画像データや言語データの語が布置さ
れることとなる。
よる表示を利用することにより、客観的に認識可能な尺
度に基づいて評価対象物の質的情報を量的に把握するこ
とが出来るのであり、それによって、例えば複数人での
会議等においても、複数の評価対象物を客観的妥当性を
もって評価したり議論することが可能となるのである。
の第二の態様は、前記第一の態様に従う質的情報の解析
方法において、前記コンピュータが、前記演算手段にお
いて、特異値分解で前記次元圧縮をして前記表示行列を
求めると共に、前記結果表示手段において、かかる表示
行列で最も大きいものから2又は3の特異値にそれぞれ
関わる各次元軸によって2次元又は3次元の直交座標系
を構成し、かかる直交座標系における位置として前記画
像データと前記言語データにおける語とを、それぞれ視
認可能に表示するようにしたことを、特徴とする。この
ような本態様においては、特異値分解を利用した処理に
基づいて、評価対象物における質的情報の評価に際して
支配的な尺度に従う量的評価の結果だけを効率的に取り
出して、それを座標系に表わすことが可能となるのであ
り、その結果、座標系の表示から、評価対象物における
質的情報の妥当な尺度を一層容易に把握して認識するこ
とが出来るのである。
の第三の態様は、前記第二の態様に従う質的情報の解析
方法において、(F)前記コンピュータが、前記直交座
標系を構成する少なくとも一つの次元軸に関して、前記
画像データおよび前記言語データにおける語の寄与量を
それぞれ求める寄与量演算工程と、(G)該コンピュー
タが、該寄与量演算工程において求めた何れかの次元軸
に関する前記寄与量に応じて、該寄与量が大きい程に表
示も大きくなるように、前記画像データおよび前記言語
データにおける語をそれぞれ拡大/縮小表示する表示倍
率変更工程とを、含む質的情報の解析方法を、特徴とす
る。このような本態様においては、評価対象物の質的情
報を量的に評価するための一つの尺度となり得る座標軸
の概念を、座標系に布置された画像データや言語データ
(語)の表示の大小という視覚的効果を利用して、一層
把握し易くすることが出来る。
の第四の態様は、前記第三の態様に従う質的情報の解析
方法において、前記コンピュータが、前記寄与量演算工
程において、前記座標系を構成する複数の次元軸のそれ
ぞれに関して前記画像データおよび前記言語データにお
ける語の寄与量を算出すると共に、かかる算出結果を記
憶するようにする一方、(H)該コンピュータが、前記
座標系を構成する前記複数の次元軸のうち、何れかの次
元軸を選択的に切り換えて指定する次元軸指定信号を外
部から取得する次元軸指定工程と、(I)該コンピュー
タが、前記表示倍率変更工程において何れかの次元軸に
関する前記寄与量に応じた大きさで表示された前記画像
データおよび前記言語データにおける語を、前記次元軸
指定工程における次元軸の指定の変更に従い、別の次元
軸に関する前記寄与量に応じた大きさとなるまで次第に
変化させて表示するアニメーション表示工程とを、含む
質的情報の解析方法を、特徴とする。このような本態様
においては、座標系に布置された画像データや言語デー
タ(語)を、各次元軸(座標系における座標軸)を尺度
として評価した場合に、その評価の大きさ即ち寄与度の
相違を、アニメーション表示によって相対比較的に簡潔
に表示することが出来るのであり、それによって、それ
ぞれ評価対象物の質的情報を量的に評価するための一つ
の尺度となり得る各座標軸の概念を、視覚的に一層容易
に認識することが可能となるのである。
う構造とされた質的情報の解析装置をコンピュータによ
って実現するために必要な、コンピュータによって読取
可能な情報を、伝送媒体を通じて伝送することにより、
前記第一乃至第二十二の何れかの態様に係る質的情報の
解析装置を実現させる質的情報の解析装置の製造方法
も、特徴とする。このような製造方法に従えば、本発明
に従う構造とされた質的情報の解析装置を、単に、ソフ
トウェアの配送によって簡易且つ速やかに実現せしめる
ことが出来るのである。なお、伝送媒体としては、有
線,無線を問わず、コンピュータ読取可能な情報を伝送
し得る各種の媒体が採用され得る。
質的情報の解析方法をコンピュータに実行させるための
プログラムが記載された、コンピュータで読取可能な情
報記録媒体も、特徴とする。更にまた、本発明は、上述
の如き本発明に従う質的情報の解析方法をコンピュータ
に実行させるためのプログラムも、特徴とする。更にま
た、本発明は、上述の如き本発明に従う質的情報の解析
方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを情
報として載せたコンピュータで読取可能な信号も特徴と
する。なお、情報記録媒体としては、例えば、フロッピ
ディスクや磁気テープ,光ディスクや光磁気ディスク,
ハードディスク,フラッショメモリなどが、何れも採用
可能である。また、信号を伝送する媒体は、特に限定さ
れるものでなく、光ケーブルや同電線等の有線や無線
が、ネットワーク等の態様で採用可能であり、搬送波に
よって情報を伝送するものの他、搬送波を用いないで情
報を伝送するものであっても良い。
にするために、本発明の実施形態について、図面を参照
しつつ、詳細に説明する。
めの本発明に従う解析装置全体のハードウェア構成の一
具体例が、ブロック図として示されている。即ち、本実
施形態における解析装置のハードウェアは、例えば一般
的なコンピュータシステムを用いて構成されており、中
央演算処理装置(CPU)10と、それに接続されたR
OM,RAM,ハードディスク等の記憶装置12を備え
ていると共に、CPU10に対して適当なインターフェ
ースを介して接続されたキーボードやマウス等の入力装
置14や、プリンタやモニタ等の出力装置16を備えて
いる。そして、CPU10は、予めROMに記憶された
手順とRAMに一時記憶された手順に従い、入力装置1
4から入力される信号や記憶装置12に記憶されたデー
タを処理して、各種の駆動信号や表示信号を出力して目
的とする解析処理を実行するようになっている。
ける機能ブロック図が示されている。即ち、本実施形態
の解析装置は、画像によって特定可能な評価対象物にお
ける質的情報を解析するものであって、その機能的構成
について説明すると、かかる解析装置は、(i)評価対
象物を特定できる画像データを入力する画像データ入力
手段としての画像データ入力部18と、(ii)評価対象
物の質的情報を表わした言語データを入力する言語デー
タ入力手段としての言語データ入力部20と、(iii )
第三変数をデータとして入力する第三変数入力手段とし
ての第三変数入力部22と、(iv)参照対象物をデータ
として入力する参照用データ入力手段23と、(v)入
力された画像データ,言語データおよび第三変数をそれ
ぞれ記憶するデータ記憶手段としてのデータ記憶部24
と、(vi)自然文等の言語データから多次元行列の要素
を抽出するために言語データを形態素に分割処理する形
態素解析手段としての形態素解析部26と、(vii )多
次元行列の要素を構成する品詞の選択手段としての品詞
選択部28と、(viii)多次元行列の要素を構成する語
を選択するフィルタ手段としてのフィルタ部30と、
(ix)画像データと言語データから多次元行列を生成し
て更にそれを次元圧縮することにより表示行列を求める
行列演算手段としての行列演算部32と、(x)行列演
算による解析結果を記憶する演算結果記憶部34と、
(xi)行列演算による解析結果を座標系をもって視覚表
示せしめる結果表示手段としての表示部36と、(xii
)評価対象物の解析結果の次元軸としての解析結果の
座標系の座標軸に関する各画像データや各言語データ
(語)の寄与量を、各座標軸に関してそれぞれ求めて、
得られた寄与量を寄与量記憶手段としての演算結果記憶
部34に記憶せしめる寄与量演算手段としての寄与量演
算部38と、(xiii)各画像データや各言語データ
(語)を座標系に表示するに際して、表示の大きさを決
定する寄与量の基準となる次元軸(座標軸)を選択的に
指定する次元軸指定手段としての次元軸指定部40と、
(xiv )入力された第三変数を、画像データや言語デー
タ(語)が表示された座標系に参考表示ベクトルとして
射影表示せしめる第三変数演算手段としての第三変数演
算部42と、(xv)入力された参照用データを、画像デ
ータや言語データ(語)が表示された座標系に参照表示
ベクトルとして射影表示せしめる参照ベクトル演算手段
としての参照ベクトル演算部43とを、含んで構成され
ている。なお、これら各機能ブロック部は、図1に示さ
れている如きハードウェア構成のコンピュータに適当な
ソフトウェアを導入することによって実現可能である。
いては、評価対象物を特定し得る画像データが入力され
るようになっている。この画像データ入力部18は、コ
ンピュータで電子データとして取り扱うことが出来るデ
ータ形式で画像データをコンピュータに入力せしめるも
のであり、例えば、評価対象物を直接に撮影して画像デ
ータを生成するデジタルカメラやスキャナの他、CGで
画像データを作成するCGソフトとマウス等の入力手段
などによって構成され得るが、その他、予め準備された
画像データをコンピュータに入力せしめるフロッピディ
スクやLAN等によって構成することも可能である。
評価対象物の質的情報を含む情報が入力されるようにな
っている。この言語データ入力部20は、電子データと
して取り扱うことが出来るデータ形式で言語データをコ
ンピュータに入力せしめるものであり、例えば、テキス
トデータを直接に入力することの出来るキーボードやマ
ウスの他、印刷された文章等をスキャナ等の画像データ
からOCRで読み込んで言語データとして入力すること
も可能である。
評価対象物における第三変数が、各評価対象物を特定す
る画像データと関連付けられて入力されるようになって
いる。かかる第三変数は、評価対象物が持つ情報である
が、評価対象物を解析するために作成される多次元行列
の要素を構成するものでなく、例えば、評価対象物の情
報の中から解析のために参考とすることが有用であろう
と考えられる変数を適宜に選択したものであって、定量
変数でも定性変数であっても良い。好適には、各評価対
象物に固有の情報を表わし得る客観的な情報であって、
評価対象物の数に等しい次元のベクトルとして表わされ
るものが採用される。具体的には、評価対象物が複数の
個人である場合に、第三変数として各個人の年令、或い
は性別,体重,出身県などの如きである。なお、かかる
第三変数は、一つであっても複数であっても良い。そし
て、このような第三変数を入力するための第三変数入力
部22は、変数データをコンピュータに入力するキーボ
ードやマウス等によって構成され得、例えば前記言語デ
ータ入力部20を構成するハードウェアを利用すること
も可能である。また、第三変数は、画像データを有する
ものであっても良く、その場合に第三変数入力部22
は、例えば前記画像データ入力部18を構成するハード
ウェアを利用して構成することが出来る。
は、参照対象物の言語データ(参照用言語データ)が、
各参照対象物を特定する画像データと関連付けられて入
力されるようになっている。かかる参照対象物は、各評
価対象物とは別個のものであるがそれら評価対象物と同
等のものと見ることが出来る具体的なものであり、評価
対象物を解析するために作成される多次元行列の要素を
構成するものでない。また、この参照対象物は、各個別
の評価対象物と同様に、画像データと言語データを解析
データとして抽出されており、これらのデータを入力す
るための参照用画像データおよび言語データの入力部2
3は、例えば前記画像データ入力部18や言語データ入
力部20を構成するハードウェアを利用することが可能
である。
て入力される画像データと言語データ、第三変数を、各
評価対象物毎に相互に関連付けして記憶するようになっ
ており、例えばRAM等の一時記憶素子の他、ハードデ
ィスクや光ディスク等によって構成される。
力部20で入力されてデータ記憶部24に記憶された言
語データが文章の態様のテキストデータ等である場合
に、かかるテキストデータを形態素に分解するものであ
り、例えば公知のソフトウェアを用いてコンピュータ
(CPU)の演算処理を利用し、データ記憶部24に記
憶されたテキストデータを読み出して形態素解析を実行
するようになっている。また、この形態素解析部26に
よる解析結果は、形態素に分解された語を、それぞれ対
応する画像データとの関連付けを保ったままで、データ
記憶部24に記憶される。
態素解析部26で形態素分析した結果得られた形態素
を、品詞の種類で分類し、特定の一つ又は複数の品詞の
形態素だけを選択するようになっている。なお、品詞選
択のための品詞の種類情報は、一般に、多くの形態素解
析用のソフトウェアが備えている機能を利用して、形態
素解析に際して形態素解析処理と同時に得ることが可能
である。このように品詞の種類で形態素を取捨選択する
ことにより、有用な情報をもった形態素を極めて有効且
つ速やかに得ることが出来ると共に、取り扱う形態素の
情報数が格段に少なくされて処理が容易且つ迅速とな
り、不必要なデータに起因するノイズも効果的に抑えら
れ得る。
態素解析部26で形態素分析した結果得られた形態素の
うち、評価対象物の解析に際して品質情報として有効で
あると考えられる特定の品詞だけを品詞選択部28で選
択した後、更に、評価対象物の相関性の判断に際しての
情報を持たない形態素を除くようになっている。即ち、
特定の多次元行列を次元圧縮することによって行なわれ
る後述の評価対象物の解析処理は、複数の評価対象物の
相関性に基づくものであることから、複数の評価対象物
の相関性に殆ど影響を与えない情報(形態素)は、この
フィルタ部30で除かれることにより、取り扱うデータ
数の減少に伴う処理効率や処理速度の向上等が図られ得
る。
施すに際しては、形態素解析で得られた各形態素につい
て、その活用形を考慮して可能な限り原形表示に変換し
ておくことが望ましい。原形変換することによって、単
なる文体や言い回しによって形態素に相違があった場合
でも、実質的に同一の「語」として扱うことが可能とな
ることから、単なる言い回しで異なる実質的に同一の
「語」が異なるものと認識されてフィルタ部30で除か
れてしまったり、徒に「語」の数が多くなってしまうこ
とも避けられ得て、一層効率的な解析処理が実現可能と
なるのである。
30で選択されなかった形態素は、解析に使用すること
はないので、データ記憶部24から削除しても差し支え
ない。そして、最終的に選択された形態素は、評価対象
物との関連付けをもって、データ記憶部24に記憶せし
められることとなる。
如くして最終的に選択された形態素における、複数の評
価対象物の相互間での相関関係に基づいて、複数の評価
対象物と多数の形態素の関連性を全体として表わす多次
元行列としての関連行列が形成されるようになっている
と共に、得られる関連行列が、適数の次元軸を座標軸と
してもった座標系で表わされる表現空間上の表示行列に
変換されて、この表現空間としての座標系において、複
数の評価対象と多数の形態素が、それらの質的情報の関
連性の少なくとも一部を、座標系における物理的な位置
関係に置き換えた状態で、表示されるようになってい
る。
特徴次元軸を有する高次なものであることから、これを
関連性の本質を変更しないで低次の次元軸を有する表現
空間、好ましくは2次元又は3次元の表現空間に射影す
るために、例えば特異値分解(S.V.D.)を利用し
た手法が有利に採用される。
象物を特定し得る画像データを列項目とすると共に、そ
れら画像データについて選択された形態素の全てを行項
目とし、各画像データに関連付けられた形態素の度数分
布の各値を要素として得られることとなる。即ち、この
関連行列は、評価対象物の数に対応する画像データの数
だけの列の数と、前述の如くして取得された全ての形態
素の種類の数だけの行の数とをもって生成されるのであ
る。なお、かかる関連行列では、行項目と列項目を交換
しても解析結果に影響はない。そして、かかる関連行列
を次元圧縮するに際しては、先ず、関連行列をI行J列
の行列:Xとすると、下式の如く、この関連行列:Xの
各要素:xijを、その総和:Nで除した要素:pijを有
するプロファイル行列:Pを求める。
素:pijに対して、下式の如く、カイ自乗変換と類似の
処理を施すことにより、該プロフィール行列の各要素を
期待値に対する乖離度に基づいて変換した要素:aijを
有する処理行列:Aを得る。
列:Aに対して、特異値分解を施す。即ち、上述の如き
前処理によって得られた行列を、I行J列の処理行列:
Aとすると、この処理行列:Aは、下式のように特異値
分解することが出来る。 A = UDVT なお、UはI行k列の直交行列であり、Dはk行k列の
対角行列であり、VはJ行k列の行列であり、添字:T
は転置行列を示す。また、この式において、行列U u
おけるI次元のk個の列ベクトルを(u1 ,u2 ,u3
・・・uk )とし、行列VにおけるJ次元のk個の列ベ
クトルを(v1 ,v2 ,v3 ・・・vk)とすると共
に、行列Dの対角要素(d11,d22,d33・・・dkk)
を、d1 ≧d2 ≧d3 ≧・・・≧dk とすると、下式が
成立する。なお、行列Dの対角要素は、d1 ≧d2 ≧d
3 ≧・・・≧dk >0となっており、また、そうするこ
とは容易である。 A = d1 Q1 +d2 Q2 +d3 Q3 +・・・+dk
Qk 但し、QS = uS vS T (S は、1〜kの整
数) 従って、上式から、行列:Aが行列Qの線形和となり、
大きな特異値に対応する固有ベクトルが行列:Aをよく
表すこととなる。それ故、特異値を上位から適当数だけ
取り込むことによって、前述の如き多数の特徴次元数を
有する高次の関連行列から、特徴次元数が少ない表現空
間に変換せしめた低次の表示行列:U*,V* を得るこ
とが出来るのである。
列のデータは、演算結果記憶部34に記憶せしめられ
る。
には、必要に応じて各次元軸方向の相対的な重み付けの
調整による後処理が施される。具体的には、適当な次元
数で得られた表示行列:U* ,V* に対して、各次元軸
方向に適当な重み付けがされた行列を乗算することによ
って、調節される。例えば、かかる重み付けとしては、
各次元軸に対応する特異値が好適に採用される。
32で得られた表示行列に基づいて、画像データ入力部
18で入力された各画像データと、言語データ入力部2
0で入力された言語データを形態素解析部26で処理し
た後に品詞選択部26およびフィルタ部30で選択する
ことによって得られた語(形態素)が、それら各画像デ
ータと語の関連性を反映する表現空間上の位置として、
表示されるようになっている。その表示は、例えば、上
述の特異値分解で次元圧縮した表示行列における各次元
軸を座標軸とする所定次元の直交座標系において、表示
行列の各要素として表わされる座標値で特定される位置
に各画像と各語(形態素)を視認可能に表示せしめるこ
とによって行なわれる。また、表示装置としては、2次
元または3次元の直交座標系を視認可能に表示し得るプ
リンタやディスプレイ等が適宜に採用される。また、表
示するに際しては、座標系上で略全ての画像データと語
が一覧できるようにすことが望ましい。
に関して各変数(画像データおよび語)によって説明さ
れる分散の割合を示す絶対寄与の値を求めると共に、各
変数(画像データおよび語)の分散のうち各次元軸によ
って説明される割合を表す相対寄与の値や、特定次元ま
での相対寄与の合計値(累積寄与)を求めるようになっ
ている。そして、この寄与量演算部38で求められた絶
対寄与と相対寄与の各値は、各変数(画像データおよび
語)と関連付けられて、寄与量記憶部38に記憶せしめ
られるようになっている。なお、かかる寄与量記憶部3
8は、データ記憶部24と共通の装置で構成されていて
も良い。
元軸を指定することにより、表示部36で上述の各変数
(画像データおよび語)を布置して表示するに際して、
演算結果記憶部34に記憶された絶対寄与または相対寄
与の当該指定した次元軸における各値を用いて、表示部
36で表示される各変数の表示倍率が変更設定されるよ
うになっている。なお、表示倍率の変更設定は、寄与量
の値に比例するように行なうことが望ましく、それによ
って、座標系に布置された各変数を見るだけで、視覚を
もって、各変数を特定することが出来ると同時に、当該
変数における特定の次元軸に関する寄与量の程度を容易
且つ速やかに認識することが可能となる。
入力部22で入力された第三変数のデータをデータ記憶
部24から読み出し、前記表示行列によって特定される
表現空間上に射影してそのベクトルを求めるようになっ
ている。そして、この第三変数演算部42で求めた結果
に基づいて、表示部36により、第三変数が、表現空間
上、延いては座標系において、前述の各変数と併せて視
認可能にベクトル表示されるようになっている。
射影は、例えば以下のようにして行うことが可能であ
る。即ち、第三変数のベクトルをFと置き(「F」は、
J次元のベクトルで、要素Fj はj番目の対象物の第三
変数の値)、表示行列における各形態素の座標行列をG
(「G」は、I行,k列の行列、kは座標軸数)と置く
と、第三変数のk軸目の座標:Tk は、次の式で表すこ
とが出来る。
データ入力部23で入力された参照対象物のデータをデ
ータ記憶部24から読み出し、前記表示行列によって特
定される表現空間上に射影してそのベクトルを求めるよ
うになっている。そして、この参照ベクトル演算部43
で求めた結果に基づいて、表示部36により、参照対象
物が、表現空間上、延いては座標系において、前述の各
変数と併せて視認可能にベクトル表示されるようになっ
ている。
の射影は、上述の第三変数の射影と同様にして、例えば
以下のようにして行うことが可能である。即ち、参照対
象物のベクトルをEと置き(「E」は、I次元のベクト
ルで、要素Ei はi番目の語(形態素)の出現回数)、
表示行列における各語(形態素)の座標行列をG
(「G」は、I行,k列の行列、kは座標軸数)と置く
と、参照対象物のk軸目の座標:Sk は、次の式で表す
ことが出来る。
成をもって、例えば汎用のコンピュータで構成された本
実施形態の解析装置を用いて、評価対象物としての「女
性用洋服デザイン」を解析する一連の処理の手順を、本
発明の第一の実施形態として、図3〜5に示されたフロ
ーチャートに従って説明する。
トすると、コンピュータは、ステップ:S1において、
全てのデータを初期化する。続いて、ステップ:S2に
おいて、評価しようとする女性用洋服デザインに関する
各データを、順次、取得して記憶手段に記憶する。かか
るデータの取得は、各別の女性用洋服デザインについて
の画像データと言語データおよび第三変数を、それぞ
れ、コンピュータのオペレータに入力させることで行な
うことが可能である。
データとしては、消費者が最も気に入っている洋服の
デザインを撮影した画像データと、当該消費者が当該
洋服を最も気に入っている理由を自由に述べた一つ又は
複数の文章からなる言語データと、洋服デザインの嗜
好に関係すると考えられる、判断尺度が明確な定性的乃
至は定量的な第三変数データが、採用される。なお、
の言語データは、評価対象物としての洋服デザインの質
的情報を、少なくとも解析主体に対して客観的に表わし
たものである。そこにおいて、かかる言語データは、複
数の消費者の間で、全体の長さが極端に異ならないよう
に、最小文字数と最大文字数を制限することが望まし
い。また、の第三変数データは、一つに限ることはな
く、何種類を採用しても良い。
画面と、そこに実際にオペレータが入力した各種データ
を、コンピュータモニタ上での表示画面の形態で、図6
に示す。本実施形態では、一つの画面上に、画像デー
タと、言語データと、第三変数データが、同時に具
体的に視認可能に表示されるようになっており、画面上
で画像データを見ながら、キーボード等から言語データ
や第三変数データを入力させることにより、それら,
,の各データの組み合わせの入力ミスによる相違が
防止されるようになっている。
インにおける,,の各情報の取得を、例えば上記
画面上に表示された「EXIT」ボタンの押圧をマウス
ポインタによるクリック操作で確認したら、必要データ
の取得と記憶領域への記憶を完了する。
したボタンを表示し、このボタンの押圧をマウスポイン
タによるクリック操作で確認したら、続くステップ:S
4以降の解析工程に移行し、その後は、記憶手段に記憶
した上記,,の各データに基づいて自動的に解析
処理を実行する。
S4において、前記の言語データだけを対象として、
形態素解析と原形変換を行なう。かかる形態素解析は、
公知の技法であることから詳細理論の説明は割愛する
が、の言語データの全てを、自然言語の最小単位であ
る形態素に分解する。具体的には、例えば「パープルの
縁取りが好きです。」という文章からなる言語データを
取得したとすると、これを「パープル」,「の」,「縁
取り」,「が」,「好きです」,「。」の6つの形態素
に分解する。また、形態素解析に際しては、各形態素に
ついて、その活用原形情報と品詞情報も得ることが出来
る。例えば、活用原形情報としては、「好きです」の原
形表示として「好きだ」が得られることとなり、また、
品詞情報としては、「パープル」について「普通名
詞」、「の」について「名詞接続助詞」、「縁取り」に
ついて「普通名詞」、「が」について「格助詞」、「好
きです」について「形容詞,ナノ形容詞,デス列基本
形」、「。」について「句点」が得られる。そして、形
態素解析で分解した全ての形態素を、上述の品詞情報や
活用原形表示情報も付加した状態で、前記の言語デー
タと異なる記憶領域に記憶する。
詞に基づく形態素の選択処理を実行すると共に、ステッ
プ:S10〜12において、出現回数(使用頻度)に基
づく形態素の選択処理を実行する。
は、初めに、ステップ:S5で、外部からのオペレータ
入力により、解析処理に際してデータとして採用しない
品詞名を取得する。即ち、助詞や接続詞、句読点といっ
た、質的情報としての記述内容に直接関係しない語(形
態素)は、本実施形態の解析目的であるデザインの嗜好
に関しても、殆ど情報をもたないことから除外すること
が望ましい。なお、かかる助詞や句読点は、全ての評価
対象物に関する言語データにおいて略同程度に含まれる
ことから、削除しなくても特異値分解による解析に大き
な影響はないが、ノイズとなる可能性もあることから、
解析精度の向上のためにも除外して、データとして採用
しないことが望ましい。
の言語データから得られた全ての形態素を対象として選
別処理を実行して、ステップ:S5で採用しないものと
した品詞を除いた形態素(語)だけを、解析処理に際し
て用いられる関連行列作成用の「語」として選択し、そ
れらを前記の言語データと異なる記憶領域に記憶す
る。
テップ:S8で関連行列作成用の語として選択されて記
憶された全ての「語」を対象としてスキャンし、各画像
データに対応付けられた各言語データにおいて各「語」
がそれぞれ何回出現するかの個別カウント値をとったリ
ストを自動で生成する。併せて、各画像データに対応付
けられた各言語データをスキャンし、上記ステップ:S
8で関連行列作成用の語として選択されて記憶された各
「語」が、それぞれ、幾つの画像データに対応付けられ
た言語データにおいて出現するかの全体カウント値を取
得する。そして、関連行列作成用に選択された「語」の
カウント値として、それら各言語データ毎の個別カウン
ト値と、全体カウント値を、記憶領域に記憶する。
選択処理は、上述の品詞に基づく形態素の選択処理にお
いて選択して記憶した関連行列作成用の語の全てについ
て、ステップ:S10〜12の処理を行い、全ての対象
とする関連行列作成用の語について、出現回数(使用頻
度)に基づく形態素の選択処理を実行する。
て品詞に基づく形態素の選択処理によって関連行列作成
用に選択された全ての「語」について、上述のステッ
プ:S9で取得した全体カウント値に基づき、ステッ
プ:S11において全体カウント値が3以上であるか否
かを判断し、もし全体カウント値が3に満たなければ、
当該「語」を、関連行列作成用の語から除外する。即
ち、本実施形態のように洋服デザインについてのデータ
取得を10以上の画像データ(評価対象物としての具体
的な洋服デザイン)を対象として実施すると、前記ステ
ップ:S4で形態素解析を行なった結果得られる全形態
素(語)は、一般に数千個の数に至るものと考えられる
が、特定の対象物のみにしか出現しない「語」は、後述
する特異値分解を利用する解析手法において解析上の意
味を殆ど持たないと考えられるのであり、現実的には、
解析精度の確保と併せて、装置の演算処理能力やメモリ
領域等を考慮して、1又は2の対象物の言語データにし
か含まれていない「語」は、関連行列作成用の語から外
して、3つ以上の対象物の言語データに含まれている
「語」だけを対象として以下の解析処理を行なうことが
望ましい。
析を実施した結果得られる数千の形態素(語)は、その
後、上述の如き原形変換による語の統合や、品詞名によ
る選別、更に出現回数による選別を経ることによって、
十分に少なくすることが可能であり、例えば数百のレベ
ルの数にまで下げることの出来る場合も多い。
関連行列作成用の「語」を用いて、続くステップ:S1
3において、関連行列を作成して、この関連行列を記憶
素子としてのメモリ上に記憶する。かかる関連行列は、
その具体例が図7に示されているように、全ての画像デ
ータを列項目とし、ステップ:S4〜12での形態素の
前処理で選択された形態素(語)を行項目とすることに
よって、行数が選択された形態素の総数とされると共
に、列数が画像データの数とされた巨大な行列である。
また、この関連行列の各セルの要素は、そのセルが属す
る行の形態素を、そのセルが属する列の対象物(画像デ
ータ)に対応する言語データ中に、幾つ含むかの頻度
(出現回数)を表わしたものである。
に対して、ステップ:S14において、前述の如き行列
演算による特異値分解(S.V.D.)を実施し、特異
値と併せて、寄与量(絶対寄与および相対寄与)を求め
る演算を行なう。即ち、この特異値分解の演算処理によ
って、多数の特徴次元数を有する高次の関連行列(図7
参照)を、特徴次元数が少ない表現空間に変換せしめた
低次の表示行列を得ることが出来るのである。因みに、
本実施形態において、図7に示されている如き高次の関
連行列に対して特異値分解を行ない、互いに直交する第
1軸(X軸),第2軸(Y軸),第3軸(Z軸)の3つ
の次元軸(主軸)を持つ三次元の表現空間に次元縮小し
た結果を、図8に示す。なお、図8中、「相対周辺度
数」は、原データ行列としての関連行列の周辺分布を示
しており、所謂massである。また、各次元軸(X
軸,Y軸,Z軸)の欄に記載された「座標」は、各アイ
テム(画像データとしての洋服1〜19および言語デー
タとしての多数の「語」)を、特定の表現空間上に射影
した場合の各主軸上の座標値を示す。
解の結果から表示行列を得るに際しては、ステップ:S
15において、何れか少なくとも一つの次元軸(X軸,
Y軸,Z軸・・・)の指定情報を、コンピュータのオペ
レータ入力等で取得し、その後、ステップ:S16にお
いて、当該指定された次元軸に相当する座標値を要素と
する行列として、表示行列を作成する。これにより、例
えば、X軸とY軸からなる2次元直交座標系からなる表
現空間(平面)上に各アイテムを布置するための表示行
列は、各アイテムのX座標とY座標の各値を要素とする
行列として与えられることとなる。
に応じて後述するステップ:S17による第三変数の参
考表示ベクトル演算を経た後、ステップ:S18におい
て、指定された次元軸からなる座標系を表現空間とし
て、かかる座標系に各アイテムを布置することによっ
て、解析結果を視認可能に表示することが出来るのであ
る。そして、このようにして関連行列の特異値分解の結
果得られた表現空間である低次元の固有空間(入力行列
の固有構造を最も明確に示す空間)における各次元こそ
が、評価対象物たる洋服デザインの嗜好という「質的情
報」を計測するための最適の尺度(ものさし)となるの
である。
空間において、上述の尺度は1本ではなく、適数本存在
している。但し、これら各尺度には、評価対象物の質的
情報を反映する能力に関して差があり、その能力の大き
さが、各次元毎の特異値として算出される。従って、特
異値分解の結果において、特異値の大きいものから順
に、第1特異値,第2特異値・・・,第n特異値と並ん
でいるので、上から順に大きい適数のものだけに限定し
て注目すれば良く、それによって次元圧縮が達成され
る。
度」が得られるだけではなく、同時に、その各尺度で測
定した場合の、「各画像データ(つまり列要素)」の測
定値と「各語(つまり行要素)」の測定値が、それぞれ
の尺度毎に(各次元毎に)計算されて得られるようにな
っている。従って、すべての「画像データ(つまり列要
素)」と「語(つまり行要素)」を、表現空間上で、各
次元ごとの測定値に応じて、各次元の尺度の上に配置す
ることができる。これにより、消費者が評価対象である
洋服デザインの嗜好を自由に言語で表現した文章(つま
り質的情報)の奥に潜む数理構造の特異値分解により、
当該質的情報を客観的に評価するために最適の「ものさ
し」(尺度)が、自動的に完成したわけである。即ち、
「質的情報」である対象物を「ものさし」で測定すると
いう「計量化」ができたのである。
尺度が得られていることから、質的情報の反映量を表わ
す値が最も大きい第1特異値に関わる次元の尺度をX
軸、次に大きい第2特異値に関わる尺度をY軸にとって
2次元空間を構成することにより、或いは、その次に大
きい第3特異値に関わる尺度をZ軸にとって3次元空間
を構成することにより、データ行列の背後に潜む関連構
造から計算された「数理的に情報を表わす尺度」の最も
有利な態様を得ることができる。
の表示形態は、要求される各種の態様で行なうことが可
能であり、例えば、図9に示されているように、二次元
の直交座標系(横軸=X軸,縦軸=Y軸)を採用し、第
1特異値及び第2特異値における座標値で各アイテムを
配置せしめて、それを視認できるように、印刷したりモ
ニタ表示することによって、結果表示物とされ得る。そ
の具体例を図9及び図10に示す。
て、評価対象物の質的情報を表わす言語データは「着心
地」,「柄」,「色」などの情報をもった語(形態素)
で表わされていることから視覚的に認識することが可能
であるが、評価対象物を特定する画像データが「洋服
1」等として、質的情報を表わさない文字で表示されて
いることから、視覚的に把握することが困難である。
物は、「洋服1」の位置には、直接「洋服1」の洋服そ
のものの画像(画像データ)を表示したものである。こ
のように結果表示物において画像そのものを表示するこ
とは、前記ステップ:S2で評価対象物の画像データを
取得,記憶していることから、容易に実現可能である。
なお、画像は、2次元の表示面上で上下左右に広がり面
積があるが、その中央の位置が、その画像の座評点と一
致するように描画位置が設定されている。また、図10
では、特許出願における図面の書式上の制約によりモノ
クロのイラスト画であるが、実際の装置では、カラー写
真と略同等のクオリティのカラー画像とすることが可能
であり、それによって、評価対象物である洋服デザイン
を、視覚を通じて一層容易に、且つ的確に把握すること
が出来る。
示物を観察することにより、明確な尺度のなかった万別
の洋服デザインについて、例えばX軸やY軸という、数
理的客観性のある尺度が、認識され得るのである。な
お、以下の説明では、図10に布置された各洋服デザイ
ンの画像は、図9に示された洋服番号で特定して説明す
る。
表示物(実際にはカラー画像図)を見ると、右上の「洋
服3」「洋服6」「洋服12」の3つは、デザインに強
い共通点のあることが容易にわかる。また右下の「洋服
5」「洋服14」「洋服8」の3つも、極めて似通って
いることがわかる。実際のカラー写真品質の印刷では、
3者のスカートの質感が非常に似通っていることが容易
に認識できるのである。更に、左側の「洋服11」「洋
服2」「洋服4」の3つにも明らかな共通点があり、左
側に「スラックス(ズボン)」が並んでいるのに対し
て、右側から中央部にかけては「スカート」が並んでい
ることがわかる。即ち、図10に示された結果表示物の
全体を見渡すと、共通の特徴をもつ洋服が、お互いに近
傍に配置されており、確かに「デザイン」に関する「何
らかの尺度(ものさし)」によって、順位つけられて並
べたものであることを明確に認識できるのである。
るX軸が、どのような「ものさし」を構成しているのか
に注目してみる。全ての「洋服デザイン(即ち、列要
素)」と「語(即ち、行要素)」を、この第1の尺度で
測定した結果が、X座標である。つまり、「洋服デザイ
ン」も「語」も、全ての位置を、この「第1の尺度」で
計量することが可能なのである。ここにおいて、前述の
如き特異値分解を利用した処理により第一の尺度を作る
ためには、全ての「洋服デザイン」と「語」が関係して
いるが、しかしながら「洋服デザイン」や「語」の全て
が、この「第1の尺度」の成立に同じ量の影響を与えた
のではない。中には、モノサシの「成立」自体には、ほ
とんど関与していないものもある。なお、尺度を作るこ
とと、作られた尺度で測定することは、互いに別であ
り、たとえ尺度の成立に関与が小さいものも、成立した
尺度で値を測定することは、尺度成立への関与の大小に
拘わらず行なうことが出来る。
特異値分解に伴って求められて、図8に記載されている
絶対寄与量である。即ち、各「洋服デザイン」や「語」
が「第1の尺度であるX軸」の成立にどの程度の影響を
与えているかについては、「第1軸に関する絶対寄与
量」として求められており、また同様に、各「洋服デザ
イン」や「語」が「第2の尺度であるY軸」や「第3の
尺度であるZ軸」への成立にどの程度の影響を与えてい
るかについては、「第2軸に関する絶対寄与量」や「第
3軸に関する絶対寄与量」として求められている。従っ
て、これら各「洋服デザイン」や「語」の各軸に対する
絶対寄与量の大きさを見れば、各尺度(ものさし)がど
のようなものであるのかを、数理的な裏づけをもって確
認することが可能となる。
定された次元軸(X軸またはY軸)に関する絶対寄与量
を視認可能に表現するように自動再編成する機能を、装
置に持たせることも可能である。
となる次元軸を、コンピュータのオペレータ入力で変更
指定する次元軸指定の変更情報を取得し、かかる変更情
報に基づいて、各アイテム(洋服デザインおよび語)の
表示倍率を、先に指定されていた次元軸の絶対寄与量に
基づく値から、変更指定された次元軸の絶対寄与量に基
づく値に変更して、各アイテムの表示大きさを変更する
ことによって行なわれる。
する絶対寄与量に基づいて各アイテムの表示倍率を設定
したものであり、図12は、Y軸に対する絶対寄与量に
基づいて各アイテムの表示倍率を設定したものである。
実際には、指定する次元軸をX軸からY軸に変更する
と、変更と同時に、モニタの画面上に表示されていた図
11の画面が、図12の画面に変更することとなる。こ
れにより、基準とする次元軸を変更したものを視覚的に
比較することが出来るのであり、その結果、X軸の生成
に大きく寄与しているアイテムとY軸の生成に大きく寄
与しているアイテムを、それぞれ、一層容易に認識する
ことが可能となり、X軸およびY軸の尺度の意味が、よ
り認識し易くなる。
寄与量を考慮した表示と、図12に示されたY軸に対す
る絶対寄与量を考慮した表示とを比較すると、各アイテ
ムの表示位置は全く同一で変化していないが、各アイテ
ムの表示の「大きさ」が、対応する軸に対する「絶対寄
与量」を反映するように拡大/縮小変化して表示されて
いる。即ち、表示する際に考慮される次元軸に対する絶
対寄与の大きいものは「大きく」、絶対寄与の小さいも
のは「小さく」、なるように、各画像の大きさと、語の
表示フォントサイズが自動的に変化するようにされてい
るのである。
た際の各アイテムの表示大きさの変化を一層認識し易く
するために、表示画面としてCRTディスプレイ等を用
いて結果表示の変化をアニメーション表示で行なうこと
も考えられる。例えば、絶対寄与量の表示指定が為され
ずにCRTディスプレイ装置の画面に、図10に示され
た図が表示されている状態下で、絶対寄与量の表示指定
をX軸とする指定情報が外部から入力されると、同じ大
きさで表示されていた各アイテムが直ちに図11の表示
に変化するのではなく、略1秒〜数秒程度の時間をかけ
て次第に大きさが変化して図11の表示となるように、
アニメーション表示することが可能であり、それによっ
て、X軸の尺度の意味が、より認識され易くなる。
て各アイテムの表示倍率が設定された図11において、
大きな文字の「語」だけに注目すると、図中の右側では
「デート/会社/彼/明るい/可愛い」などが大きくな
っているのに対して、左側では「脚/長い/短い/シン
プル/楽だ/着心地」などが大きくなっており、右側が
「相手に見られることを意識した洋服」であるのに対し
て、左側は「自分にとって着心地のよい洋服」であるこ
とが簡単に読み取れる。また、図中の右側で大きく表示
された洋服は「スカート」が多く、左側で大きく表示さ
れた「パンツ・ルック(ズボン)」と、対照的であるこ
とも、見るだけで認識できる。そして、このことから、
どうやら「相手に見られることを意識した」場合に「ス
カート」が選ばれることが多く、逆に、相手を強く意識
せず、自分の着心地を優先する場合に「パンツ・ルック
(ズボン)」が選ばれるようであり、この「相手を意識
してのスカート」対「自分を意識してのパンツ・ルック
(ズボン)」という対立概念が、X軸として表わされた
第1の次元軸が尺度として持つ意味の一つであることが
わかる。この意味において、X軸で表わされる尺度は、
「相手を意識したり、スカートを選んだりするほど正の
大きい値」を測定値として返し、「自分を意識したり、
パンツ・ルック(ズボン)を選んだりするほど負の値
(マイナス値)」を測定値として返すようなモノサシで
あることがわかる。ちなみに中央の原点では「ゼロ」を
返すこととなる。
質のカラー画像で結果表示を見ると、右側には「ニット
系」のやわらかい、ソフトな感じの洋服が多いのに対し
て、左側では「革」や「ジーンズ」などの固めの素材の
洋服が多いことも分る。「語」の表示でも「ニット」は
右でやや大きく、「革」は左側でやや大きく表示されて
いる。このことからも、「語」の布置位置と、「画像デ
ータ」の布置位置には、明らかな対応関係があることが
理解され得る。
なように、X軸を尺度として各洋服デザインを測定した
値は、デザインそのもののパターンが測定されていると
いうより、そのデザインを求める消費者の意識レベルを
含めて測定したものであると考えるのが妥当であること
が理解される。即ち、X軸で表わされた尺度は、これら
の複数の要素が絡み合った、一言では言い表せない概念
の対立を反映した「質的な尺度(ものさし)」である
が、それを使って実際のデザインを表わす「画像」や
「語」のそれぞれに、このものさしを当てて値を測定で
きるという「量的なモノサシ」でもある点が、重要であ
り、大きな技術的効果を有するのである。
き一連の処理工程も、その「尺度」で各アイテムを測定
して値を得る処理工程も、人間の関与を受けずに自動的
に装置内で行われている点も重要である。装置内では、
デザインを撮影した「画像データ」は、単に表示のため
に格納されているだけであり、その画像ファイルの内容
自体は、尺度の生成に直接関係していないし、「語」の
文字も、単にラベルとしてメモリに格納されているだけ
で、尺度の生成に全く関与していないのである。解析処
理の対象となっているのは、行列の数値だけであり、そ
れが何の数値であるかについては解処理において知るこ
とはできないし、また、そもそも、その必要がない。因
みに、特異値分解の数式は、シュレジンガーによる波動
方程式と、略同じであり、量子力学的な数理を応用する
ことで、文章そのものではなく「その奥の構造」を解析
できているのである。そして、このような「尺度(もの
さし)」は、実は、画像データで示されたデザインの洋
服を購入し、その選択理由を自然文で記述した対象者本
人にさえ、明確に意識されていない場合が多い。
して各アイテムの表示倍率が設定された図12におい
て、大きな文字の「語」だけに注目すると、図中の上方
向の「落ち着いた」イメージと、下方向の「カジュア
ル」なイメージの対立が、高品質のカラー画像で結果表
示を見ると容易に理解できる。また、上方向が「大人ら
しさ」、下方向が「若々しさ」に対応しているようであ
り、この「第2の尺度(ものさし)」は「年令」にも関
連があるようであり、正の値が大きいほど年令の高い大
人のイメージを洋服で表現しようとしているように読み
取ることが出来る。この「年令イメージ」は、実際の年
令を解析に考慮していないことからも明らかなように、
洋服を選んだ本人の年令とは必ずしも一致せず、「(現
実より)大人っぽく」見られたい、とか「もっと若く見
せたい」というような、ファッションを通じて表現した
い希求イメージとしての年令である。実際の年令なら
「あなたの年令は何歳ですか」という質問で、簡単に定
量的に収集可能であり、それでは洋服デザインの評価に
際して有効とは言い難い。しかし、この「見られたい年
令イメージ」のような「質的変数」は、直接測定するこ
とは極めて困難であるが、本発明の特徴は、この「見ら
れたい年令イメージ」のような、直接定量的に測定困難
な概念を、洋服選択理由の自然言語文のなかに潜む形態
素の同時出現パターン行列の特異値分解により、間接的
に取得することを自動化した点にあり、更に、その概念
を定量化するための数理的な「尺度」までも自動的に構
成できる点にある。
プ:S17において第三変数の参考表示ベクトルを演算
し、この第三変数を、必要に応じて、図10〜12に示
された結果表示に重ね併せてベクトル表示することが出
来るようになっている。第3変数(参考表示変数)と
は、特異値分解の対象とは別の、参考表示の為の変数で
あり、本実施形態では、前述のステップ:S2におい
て、画像データや言語データと共に、図6に示された画
面表示における下欄部分に示されているように表示され
て、コンピュータのオペレータ入力が促されるようにな
っている。
物である「洋服デザインの嗜好」という情報の中から解
析のために参考とすることが有用であろうと考えられる
変数を適宜に選択したものであって、各評価対象物に固
有の情報を表わし得る客観的な情報であり、具体的に
は、本実施形態では、図13に示されているように、第
三変数として各消費者の年令と、月平均の洋服支出金
額、およびA〜Gの7つのイメージが異なる洋服モデル
写真を示してその中から選択させた好みの写真の符号
を、採用した。なお、これらの第三変数は、何れも、特
異値分解の対象となる図7に示された関連行列と「列」
の次元が一致するベクトル(参考表示ベクトル)とされ
ている。
分解の対象となるものではないが、特異値分解が完了し
た後、特異値分解の結果自動生成された尺度(次元)で
構成される表現空間に、このベクトルを射影表示するこ
とで、かかる尺度と第三変数のベクトルとの間に、どの
ような相互関係にあるかを、客観的、数理的に把握する
ことが可能となるのであり、それによって、得られた尺
度の意味をより具体的にイメージすることが可能となる
場合もある。
ザインが好きな理由の自由作文」とは別に、「実年令」
を質問しておけば、図13における行列の一番上の行に
示されているように、対象者数を次元とするベクトル
(年令の整数値が対象者数分並んだベクトル)を取得す
ることができる。この「実年令」ベクトルは、特異値分
析の対象となる行列の「列」次元数と、次元数が一致す
ることから、このベクトルを特異値分解の結果自動生成
された尺度(次元軸)で構成される表現空間に射影表示
することが出来るのである。
「ファッションに対する毎月の出費額」を質問しておけ
ば、図13における行列の上から二番目の行に示されて
いるように、対象者数を次元とするベクトル(出費額を
示す数値が対象者数分並んだベクトル)を取得すること
ができるのであり、この「出費額」ベクトルも、上述の
「実年列」ベクトルと同様に、洋服デザインを表わす
「画像データ」や「語」の各アイテムが布置された表現
空間に対して、射影表示することが出来るのである。
としての評価対象物のデータおよび第三変数データと、
それから得られる関連行列(多次元行列)および第三変
数行列の関係を、図14に示す。かかる図14からも、
第三変数行列が、何れも、洋服デザインの数:Yと同じ
だけの列要素を持つ1行のベクトルとなることが明らか
である。
めに、第三変数として上述の「年令」を示すベクトル
と、「支出額」を示すベクトルを、前述の特異値分解に
よる解析結果を表わす表示行列を2次元の座標系に結果
表示せしめた画面上に、それぞれ、射影表示せしめたも
のを、図15に示す。
に着目すると、当該ベクトルは左上方向を向いているこ
とから、下方向より上方向にある洋服の方が、実年令の
高い人に好まれていることが確認できる。また、若干で
はあるが、実年令ベクトルは左方向を向いており、右の
洋服を好む人より、左の洋服を好む人の方が、若干、年
令の高いことも示している。しかし、実年令ベクトルの
方向は、基本的には、「左向きより、上向き」の程度が
高く、「上下方向」つまり「第2の尺度(ものさし)」
との関係の方が強いことが分る。なお、この「実年令ベ
クトル」と「第2の尺度」のなす角度の余弦(cos )
が、「実年令ベクトル」と「第2の尺度」の相関係数と
なるように計算されている。従って、全く同一方向を向
いていれば、完全な相関がある(ゼロ度の余弦は「1」
であり、相関係数の「1」とは、完全な正相関を意味す
る)一方、全く逆方向を向いていれば、完全な逆相関で
あり(180度の余弦は「−1」であり、相関係数の
「−1」とは、完全な負の相関を意味する)、90度の
角度であれば、無相関(90度の余弦は「0」であり、
相関係数「0」は無相関)である。つまり、実年令は、
第2の尺度(希求イメージとしての年令)と、確かに相
関が高いが(「実年令ベクトル」と「第2の尺度」のな
す角度が小さいので)が、全く同一のものでもないこと
が、数理的に確認できるのである。そして、この確認に
より、先に述べた「第2の尺度」が「希求イメージとし
ての年令」であるという理解が正しいことを、別の面か
ら再確認できるのである。
着目すると、当該ベクトルは右上方向を向いていること
から、右上方向の洋服デザインを好む人は、ファッショ
ン支出が高いことがわかる。逆に、左下方向の洋服デザ
インを好む人は、ファッション支出が低いこともわか
る。このようにして、特異値分解によって得られた表示
行列の表現空間上に、併せて、上述の如き第三変数ベク
トルを射影表示することによって、「特異値分解の対象
とする質的データ」と、「別の、関連しそうな第3変
数」との関連も、併せて解析することが可能となるので
ある。
として特定されるものである場合には、第三変数の変数
名等を座標系に表示する代わりに、その位置に、その第
三変数を特定する「画像」を表示することも有効であ
る。例えば、図13又は図14の「第3変数行列」中の
「好きなモデル=A]から「好きなモデル=G]まで
の、7つの第三変数は、各評価対象物( 洋服のデザイ
ン) の好きな理由の自然文を記述した各対象者に、
「A」から「G」までの7種類の写真パネル(ファッシ
ョンモデルが、洋服を着用した状態で撮影された写真)
を提示して、その中ではどれが1番好きか、を尋ねた結
果である(選択したモデル写真に「1」、選択されなか
ったモデル写真には「0」の値を与えている)。これら
の第三変数データを、自動生成された表示空間内に射影
表示することで、表示空間の意味を、さらに読み取り易
く、また、表示空間内の情報量を更に豊かにすることが
できる。蓋し、モデルの洋服は、一般の消費者が実際に
着用するものより、先鋭的で、方向の明確なものである
ことが多いことから、これら7枚の写真を、第三変数と
して、評価対象物である洋服デザインと併せて表示する
と表示空間の意味が読み取り易くなるからである。
「画像として特定されるもの」である場合には、射影計
算結果の各位置に、「好きなモデル=A]とか「好きな
モデル=B]とかの「第三変数名」を表示するよりも、
モデルAの写真やモデルBの写真「そのもの」を表示し
た方が、遥かに有効であることは、簡単に理解できよ
う。そのために、本実施形態では、入力される第三変数
データとして、かかる第三変数を特定する為の画像デー
タも、画像データ入力部18から入力できるようにされ
ている。なお、かかる画像データは、一般に、1つの第
三変数につき1 つだけ存在することとなる。また、第三
変数の評価空間への具体的な射影計算式は、前述したこ
とから、ここでは説明を割愛する。
では、「消費者における洋服デザインの嗜好」を評価等
するために、洋服デザインを評価対象物として解析した
が、本発明における解析対象は、洋服デザインに限定さ
れるものでなく、前述の如く、製品のデザインなどのよ
うに本来数値で一意的且つ定量的に表わすことの出来な
い質的情報を備えた各種の物が、評価対象物となり得
る。
う解析方法の対象物としての質的情報を備えた評価対象
物として有利に採用され得る。本発明の第二の実施形態
として、「車広告表現」を評価対象物とする質的情報の
解析方法について、説明する。なお、本実施形態では、
解析方法の実施に際して、第一の実施形態と同様にして
例えばコンピュータで構成された解析装置が採用される
ことから、解析装置に関する詳細な説明を省略する。ま
た、「車広告表現」を評価対象物とする本実施形態にお
いて、画像で特定される「対象物」は、「商品としての
車」ではなく、「広告表現手法そのもの」である。そこ
において、広告において採用されている商品としての車
の写真は、車広告表現の部分に過ぎず、広告におけるそ
の他のキャッチコピーや説明文,ロゴタイプ,バックな
どの広告の全ての構成要素、各フォントのサイズや書体
や色などの選択および各構成要素の大小関係や位置関係
などのレイアウトの仕方等までも含めて、それらの創造
的な組合せによって成立しているアーティスティックな
意味での広告表現(広告業界用語での「クリエイティブ
表現」)自体が「評価対象物」とされる。
また、第一の実施形態で評価対象物とした洋服デザイン
と同様に、その情報に占める質的情報の割合が大きく、
評価が困難である。即ち、工場で生産される工業製品等
の場合の評価は、設計値に対する寸法誤差等のように、
完全に「定量的」な基準があるから、容易に行うことが
出来るが、「広告表現手法」は本質的に「質的」なもの
であり、担当者の個人的な能力やセンスに大きくに依存
するものであることから、そこに定量的な尺度は存在せ
ず、評価や取扱いが極めて難しくなる。
は、その商品を販売等する上で、極めて重要な要素であ
るが故に、社会での事業活動に際して極めて重要視され
ており、事業活動の現場での会議においても良く取り上
げられる。そこにおいて、本来は「質的な情報を持つ広
告表現(クリエイティブ表現)」であるが故に、客観的
な量的尺度を設定することが極めて困難なのであり、従
って、効率的且つ客観的な会議や打ち合わせを行うこと
が難しいのが現状である。
確に凝縮したものであるが、「訴求点」をそのまま直接
的に訴求するのではなく、何かに「置き換え」て隠喩的
に表現することが多いが故に、その質的情報の評価が、
一層難しいものとなる。例えば、「走行性能」を訴求し
たい場合に、「走行性能が高い」という文章を入れた
り、エンジンそのもののスペックや写真を入れたりする
ような「直接的な」表現が採用されることは少なく、そ
れに代えて、「空や海などの自然をバックにして車を配
置した構図」により、間接的に走行性能が高いことを暗
示するような表現が、より訴求効果が高いものとして、
好適に採用されるが如きである。また、「高級車」であ
ることを強調したい場合も、価格を直接表示したり、
「これは高級車です」というような直接的な表現をすれ
と、却って高級感が打ち消されてしまうこととなり、逆
に「銀色のボディー色の車を黒バックの前に配置する」
というような広告表現の方が、一層高級感を抱かせるこ
とが出来るが如きである。
した本実施形態においては、その画像データとして「広
告」そのものを撮影した写真等を採用する一方、その言
語データとしては、その広告の中に文字として印刷され
ている文章だけでなく、「空」,「雲」,「エンジ
ン」,「子供」,「夕焼け」などのように「言語(文
字)」としては印刷されていないが、写真やイラストな
どに表現された広告の構成要素であって言語で特定して
具体的に認識出来る非言語情報も、それを言語情報に置
換することで、かかる置換言語情報を言語データとして
採用する。
には、その客観性を考慮する必要がある。即ち、文字と
して印刷された文章(言語情報)は、客観的に取得可能
であるから作業者の主観が入り込むことは基本的にない
が、写真等の非言語情報から言語情報を抽出する際に
は、作業者の主観が混入する可能性が否定できない。か
かる点を考慮して、本実施形態では、第一に、複数の人
間(例えば3名から5名程度)がお互いに結果を見せ合
わずに非言語情報から言語情報の抽出を行うことが出来
るように、各人別の入力画面を用意し、各人が抽出した
言語情報(文言や文章等)を一旦メモリに蓄積したうえ
で、各対象物ごと(つまり特定の広告表現ごと)に全作
業者のリストアップした名詞文字列をスキャンし、同一
対象物で、複数の作業者が同時にリストアップした
「語」だけを言語データとして自動的に選択するような
手段が採用されている。これにより、作業主体の主観の
影響が大きいものと考えられる、たった一人だけがリス
トアップしただけの語は、解析に用いるデータからは自
動的に削除されることとなる。
に、本態様では、更に、各人が抽出した言語情報の中か
ら名詞だけを、言語情報として選択して採用するように
している。蓋し、一般に、画像等の非言語情報に含まれ
る要素を、人間がリストアップする際を考慮すると、例
えば「明るい」,「力強い」,「スッキリした」等の形
容詞には、作業者の主観が入る可能性が大きく、それに
比して「写真や絵の中に現に《存在する》要素( モノ)
に限った名詞羅列」には、作業者の主観が入り込む可能
性が小さいと考えられるからである。
言語情報の抽出作業に際して、予め「名詞の羅列だけに
限る」という限定は付さずに、任意の文言態様で自由に
言語情報の抽出作業が出来るようにしている。これによ
り、作業者の思考に基づく制限が抽出作業に影響するの
を軽減し、より客観的な言語情報の抽出を可能とするこ
とが出来るのである。なお、自由な態様で抽出された言
語情報は、例えば、それをテキスト形式で入力せしめた
データに対して形態素解析システムでチェックし、名詞
以外の品詞を自動的に排除することで、そこから目的と
する名詞を、容易に抽出して採用することが可能であ
る。
のようにして取得された写真等の画像データと、自然文
データ(直接に記載された文字から抽出されたデータ
と、非言語情報から抽出された言語情報のデータを含
む)を入力データとして、前記第一の実施形態と同様
に、これを図1〜2に示されている如き解析装置に入力
し、図3〜5に示されている如き処理手順に従って解析
処理を施すことにより、かかる入力データに基づいて多
次元行列としての関連行列を生成すると共に、この関連
行列を特異値分解して表示行列を求める。
しての表示行列を、第一の実施形態と同様な結果表示手
段によって画像表示することにより、図17に示されて
いる如き表示結果を得た。なお、図17では、特許図面
用として特別に、各広告の画像を視認可能なレベルに保
ちつつ表示出来るように、各広告の大きさや表示数等を
調節したものであり、実際には、大きな画面に、多数の
広告が、殆ど重なることなく鮮明にカラー表示されたも
のとするのが望ましい。
けを見ても、何も尺度のない状態では客観的な評価をす
ることが不可能である多数枚の広告が、視認するだけで
なる程と思えるような評価尺度をもって、当該評価尺度
による測定値を表わす位置にそれぞれ布置されているこ
とが、容易に理解できる。例えば、左下に行くと殆ど平
面的な広告表現になっているのに対して、反対の右上に
行くと奥行きが強調された広告表現になっていること
が、認められる。また、右下に行くとオーナーのステイ
タスを表わす高級感を表面に出して人工的乃至は創作物
としての車を強調する広告表現になっており、左上に行
くと自然(ネイチャー)を強調する広告表現になってい
ることが認められるのである。また、面白いことに、第
1次元軸としてのX軸の尺度を考えてみると、左側では
自動車を側面から描いているものが、そこからX軸の原
点を通って右側に行くに従って、次第に自動車の前方か
ら描くように自動車を描く方向(視点)が変化している
ことが、認められる。即ち、X軸は、自動車を描く視点
の変化とも関係していることがわかるのである。勿論、
このような情報は、解析用のデータとして、一切入力し
ていないし、解析する前は、およそ何人も気づかないこ
となのである。
かなように、本発明の解析装置によれば、表面に現われ
ていない、内部に潜んでいる尺度(ものさし)を、それ
が質的評価のものさしとして極めて好ましいものである
ことを条件として、新たに生成し、それと同時に、各ア
イテムをかかる尺度で測定した結果を出力することが出
来るのである。
物である広告表現を上述の如き手法で解析することによ
って与えられた評価空間としての座標系において、参照
対象物としての具体的な広告案を、かかる座標系に表さ
れた尺度に基づいて評価し、その評価結果に応じた位置
に布置して表示することが出来るようになっている。
定する会議を想定し、その会議の場で本実施形態の解析
結果を利用することを考えてみる。先ず、特定の車の広
告表現を決定する場合には、通常、複数の「広告表現
案」が提示され、その中のどれが最適かを判断すること
になるが、その場合に、過去に既に実際に行われた多数
の広告表現(本実施形態では、図16における広告〜
広告YまでのY個の広告表現)のデータを用いて、予
め、図17に示されている如き評価空間を生成する。そ
して、かかる評価空間への「参照対象物」として「複数
の新規広告案」を射影して表示せしめるようにする。な
お、これら参照対象物は、評価対象物としての複数の広
告,,・・・Yと同等のものであって、図16に
示されているように、具体的な広告表現を特定し得る写
真等の画像データと、そこに表現された言語データ、お
よび風景等の非言語データを言語データに置換した置換
言語データからなる入力データによって特定されるもの
であり、それらの入力データを、広告〜広告Yと同様
に、参照用データ入力部としてのデータ入力部から解析
装置に入力し、得られた参照表示行列を評価空間に射影
することによって、かかる評価空間上の位置を決定する
ようになっている。
の実施形態における「第三変数」と数理的には同じもの
であり、両者ともに「尺度の自動生成には全く利用され
ないが、自動生成された尺度空間上での位置を射影計算
できるベクトル」である。そして、「参照対象物」も、
「第三変数」と同様に、射影すべきベクトル、即ち1行
乃至は1列の行列の行または、列のどちらかの次元が、
射影先の空間の生成の基になった行列、即ち評価対象物
によって生成された関連行列(多次元行列)の次元数と
同じである限り、前述の如き射影演算に従って、予め自
動生成された尺度空間における位置を一意に射影計算す
ることが出来るのである。
間上の射影位置に「広告表現案A」と「広告表現案B」
を、それぞれ表示せしめたものの具体例を、図18に示
す。なお、図18では、射影演算で求められたベクトル
の座標位置に、A案とB案をポイント的に表示したもの
であるが、これらA案およびB案の位置に、それぞれ、
広告表現案AおよびBの各画像データを表示せしめるこ
とも可能であり、それによって一層具体的にA,B案
を、評価空間上で把握可能とすることが出来る。要する
に、本実施形態において図18に示された解析装置の出
力結果は、特定の車の広告として実行する予定の新しい
「広告表現」の案A,Bを、それぞれの広告表現案が実
際に行われた場合を想定して、その「質的表現」が「定
量的」尺度で測定し、既に存在する多数の広告表現に基
づいて生成された抽象的な評価空間上での「位置」とし
て定量化した形で射影表示せしめたものものである。こ
こにおいて、かかる評価空間は、まさに自動車を買うこ
とによって、消費者が得ることのできる「価値のバリエ
ーション」の空間であるとも考えられるのであり、その
意味においても、得られた出力結果である図18は、多
数ある価値の中で、特定の広告表現案A,Bが、どんな
価値を訴求しているのか、ということを客観的に、且つ
明示的な評価尺度をもって一覧することが出来るように
なっているのである。
表示された広告表現案AやBが、その内容を僅かに変更
せしめられた場合に、かかる評価空間上での表示位置が
どのように変化するか、ということをリアルタイムで、
且つイメージ的に有利に把握出来る態様で、アニメーシ
ョン表示し得る機能まで備えている。
定する場面では、「A案かB案か」という単純な択一結
果となることは少なく、実際には「基本的にはB案だ
が、一部に修正を加える」というような判断がなされる
場合が多い。このような場合に、B案の一部の要素を実
際に削除したり追加したりして修正された「B2案」や
「B3案」についても、会議中に、その場でリアルタイ
ムで評価空間上での位置変化を確認することができれ
ば、その修正がどの程度まで修正の目的に沿ったもので
あるかを定量的に確認できることになり、極めて有意で
ある。
慮して構成されている。具体的には、B案について、そ
の言語表現の一部を変更した場合や、非言語表現の一部
の要素を変更した場合、言語データの入力を訂正して入
力データから関連行列を再構築し、得られた関連行列に
ついて、評価空間への射影演算をやり直すことによっ
て、実現され得る。このような処理を実効するために、
少なくとも現在のコンピュータは充分高速で、形態素解
析も射影座標演算も瞬時に完了する。従って、その場
で、たとえば、広告表現B案における「文字として印刷
される文章」が編集画面上で少し修正されると、直ちに
自動的に形態素解析のやり直しと、射影座標計算を瞬時
に行ない、「B案」を修正後の「B2案」の位置にリア
ルタイムで変更表示することが可能できるのであり、更
にまた、一部を再変更すると「B3案」へと、位置が変
わる様子を刻々と表示することも出来るのである。
変化を表示するに際しては、始めのB案の表示を消した
後にB2案を表示し、更にB3案を表示するに際してB
2案を消すようにしても良いが、元のB案の表示を残し
たままで、B2案やB3案の表示を準備に追加表示させ
るようにしても良い。
3案への「位置の変化」を、ある程度の時間(例えば、
1〜数秒程度)をかけて評価空間としての座標上で表示
点が少しづつ移動するようにアニメーション表示するよ
うにしても良い。このようなアニメーション表示を採用
すれば、直前の文章の修正によって、実際にどのような
変化が起こるのかのシミュレーション結果を、視覚を通
じて感覚的に一層理解し易い形で表示することが可能と
なる。なお、このようなアニメーション表示の手法は、
コンピュータグラフィックス等の分野で周知技術である
ことから説明を省略するが、例えば、B案の射影位置か
らB2案やB3案の射影位置までに至る線上で、例えば
直線補完で複数点を設定し、微小時間毎に表示位置を変
化させること等によって、容易に実現可能である。
ついて詳述してきたが、これらはあくまでも例示であっ
て、本発明は、これらの実施形態における具体的な記載
によって、何等、限定的に解釈されるものでなく、当業
者の知識に基づいて、種々なる変更,修正,改良等を加
えた態様において実施され得るものであり、また、その
ような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何
れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言
うまでもない。
よって得られた第1次元軸(X軸)と第2次元軸(Y
軸)からなる2次元の座標系による表現空間を採用した
が、必要に応じて、第1次元軸(X軸)と第3次元軸
(Z軸)からなる2次元の座標系による表現空間を採用
したり、或いは立体模型で3次元の座標系を表わした
り、或いはモニタ表示で模擬的な3次元の座標系を表わ
す場合には、第1〜3の次元軸(X,Y,Z軸)からな
る3次元の座標系による表現空間を採用することも可能
である。
テム(画像と語)を布置して表示するに際して、前述の
如き「絶対寄与」の表示や、「第三変数ベクトル」の表
示などを、例えばコンピュータのオペレータ入力に従っ
て、適宜に採用したり、表示対象を変更したり、或いは
表示方法を変更したり等することが可能であり、更に、
それらの中から必要な画面を、任意に印刷出力し得るよ
うにしても良い。特に、印刷にA1版やB1版などの大
判カラープリンタを用いれば、多数の画像があっても、
重ならず且つ明瞭に判読可能な状態で印刷することが可
能である。
る「デザイン」を評価対象としていたが、本発明は、質
的情報が視覚で把握されない場合にも、適用することが
可能である。例えば、あるシーンに望ましい音色を出す
楽器を選択するための会議において、その客観的な評価
基準を得たいような場合に、本発明を適用することも可
能である。具体的には、「トランペット」や「ホル
ン」,「トロンボーン」,「ピアノ」,「ベース」,
「ヴァイオリン」などの多数の楽器の写真を画像データ
として採用する一方、それら各楽器の言語データとし
て、各楽器の音色を聞いた際のイメージを多数の人に文
章で記載して貰ったものを集めて採用し、それら画像デ
ータと言語データを用い、前記実施形態と同様な装置に
よって、前記実施形態と同様な解析を実施することが有
効である。
に従う構造とされた質的情報の解析装置においては、画
像データと言語データの関連に着目して特定の解析処理
を施し、その結果を、具体的な数値としてではなく、各
画像データと各言語データにおける語を、同一の座標系
に相関的な位置関係をもって布置して視覚的に展開表示
するようにしたのであり、それによって、かかる座標系
において、評価対象物が内在的に備えている質的情報を
評価する尺度(ものさし)を新たに作成すると同時に、
各画像データと言語データにおける語を布置せしめて全
体として把握可能な状態で表示せしめることにより、か
かる尺度による測定結果を視覚的に把握容易な態様で表
わし得るのである。
的情報を有する評価対象物について、客観的妥当性のあ
る尺度に基づく測定結果を出力し得るのであり、それ
故、かかる解析装置によって得られた測定結果を用いる
ことにより、評価対象物に関する評価や議論を、共通の
尺度に基づく共通の認識と評価のもとで効率的に行なう
ことが可能となるのである。
の一具体例におけるハードウェア構成の概略を示すブロ
ック図である。
図である。
報の解析処理を実行するための手順を示すフローチャー
トである。
報の解析処理を実行するための手順を示す、図3に続く
フローチャートである。
報の解析処理を実行するための手順を示す、図4に続く
フローチャートである。
デザインの嗜好」についての解析処理を実行するに際し
てのデータ入力画面の具体例を示す図である。
デザインの嗜好」についての解析処理を実行するに際し
て生成された多次元行列の具体例を示す説明図である。
による次元圧縮して得られた表示行列の一例を示す説明
図である。
交座標系に解析結果を表示せしめた一具体例を示す説明
図である。
示した一具体例を示す説明図である。
絶対寄与量を考慮して2次元の直交座標系に解析結果を
表示せしめた一具体例を示す説明図である。
絶対寄与量を考慮して2次元の直交座標系に解析結果を
表示せしめた一具体例を示す説明図である。
服デザインの嗜好」についての解析処理を実行するに際
して生成された第三変数の行列の一具体例を示す説明図
である。
た多次元行列および図13に示された第三変数行列の関
係を説明するための説明図である。
出額のベクトルを、図10に示された解析結果の直交座
標系に射影表示した一具体例を示す説明図である。
告表現」についての解析処理を実効する第二の実施形態
における解析処理を説明するための図14に対応する説
明図である。
た、本発明の第二の実施形態としての解析結果の一具体
例を示す、図10に対応する説明図である。
象物を表示せしめた具体的態様を例示するための説明図
である。
Claims (19)
- 【請求項1】 複数の評価対象物をそれぞれ特定し得る
複数の画像データを入力せしめる画像データ入力手段
と、 前記複数の評価対象物における質的情報をそれぞれ言語
の態様で表わした言語データを入力せしめる言語データ
入力手段と、 前記画像データ入力手段で入力された画像データと、前
記言語データ入力手段で入力された言語データを、互い
に対応付けて記憶するデータ記憶手段と、 該データ記憶手段に記憶された前記画像データおよび前
記言語データを用いて、該画像データを行項目および列
項目の何れか一方とすると共に該言語データにおける語
を行項目および列項目の他方として表わした度数分布の
各値を要素とした多次元行列を生成し、該多次元行列を
次元圧縮することにより表示行列を求める行列演算手段
と、 該演算手段により得られた前記表示行列に基づいて、前
記画像データと前記言語データにおける語とを、座標系
における位置として視認可能に表示する結果表示手段と
を、含んで構成し、 前記演算手段において、特異値分解で前記次元圧縮をし
て前記表示行列を求めると共に、前記結果表示手段にお
いて、かかる表示行列で最も大きいものから2又は3の
特異値にそれぞれ関わる各次元軸によって2次元又は3
次元の直交座標系を構成し、かかる直交座標系における
位置として前記画像データと前記言語データにおける語
とを、それぞれ視認可能に表示するようにすると共に、 前記直交座標系を構成する少なくとも一つの次元軸に関
して、前記画像データおよび前記言語データにおける語
の寄与量をそれぞれ求める寄与量演算手段と、 該寄与量算出手段によって求められた何れかの次元軸に
関する前記寄与量に応じて、該寄与量が大きい程に表示
も大きくなるように、前記画像データおよび前記言語デ
ータにおける語をそれぞれ拡大/縮小表示する表示倍率
変更手段とを、設けたことを特徴とする画像データで特
定可能な質的情報の解析装置。 - 【請求項2】 前記寄与量演算手段により、前記座標系
を構成する複数の次元軸のそれぞれに関して前記画像デ
ータおよび前記言語データにおける語の寄与量を算出す
ると共に、かかる算出結果を記憶する寄与量記憶手段を
設けて、算出した該寄与量を該寄与量記憶手段に記憶せ
しめる一方、 前記座標系を構成する前記複数の次元軸のうち、何れか
の次元軸を選択的に切り換えて指定することの出来る次
元軸指定手段と、 前記表示倍率変更手段により何れかの次元軸に関する前
記寄与量に応じた大きさで表示された前記画像データお
よび前記言語データにおける語を、前記次元軸指定手段
による次元軸の指定の変更に従い、別の次元軸に関する
前記寄与量に応じた大きさとなるまで次第に変化させて
表示するアニメーション表示手段とを、設けた請求項1
に記載の画像データで特定可能な質的情報の解析装置。 - 【請求項3】 前記言語データ入力手段によって入力さ
れる前記言語データが文章の態様で表わされたものであ
る場合に、かかる言語データを形態素に分解する形態素
解析手段を設け、該形態素解析手段で得られた該形態素
を該言語データにおける語として前記演算手段において
前記多次元行列の行項目および列項目の他方とするよう
にした請求項1又は2に記載の画像データで特定可能な
質的情報の解析装置。 - 【請求項4】 前記形態素のうちで特定の品詞だけを選
択的に排除又は採用する選択手段を設けて、該選択手段
で選択されなかった語は、前記演算手段における行項目
および列項目の他方において採用しないようにした請求
項1乃至3の何れかに記載の解析装置。 - 【請求項5】 前記言語データにおける語のうち、前記
複数の評価対象物の所定数以上に含まれるものだけを選
択するフィルタ手段を設けて、該フィルタ手段で選択さ
れなかった語は、前記演算手段における行項目および列
項目の他方において採用しないようにした請求項1乃至
4の何れかに記載の画像データで特定可能な質的情報の
解析装置。 - 【請求項6】 前記評価対象物が視覚で把握される有体
物であり、該評価対象物を撮影したデータを前記画像デ
ータとして前記画像データ入力手段により入力せしめる
ようにした請求項1乃至5の何れかに記載の画像データ
で特定可能な質的情報の解析装置。 - 【請求項7】 前記言語データ入力手段において、前記
言語データをテキストデータとして入力せしめるように
した請求項1乃至6の何れかに記載の画像データで特定
可能な質的情報の解析装置。 - 【請求項8】 前記言語データが、少なくとも前記評価
対象物の解析主体に対して客観的に取得された客観的言
語データである請求項1乃至7の何れかに記載の画像デ
ータで特定可能な質的情報の解析装置。 - 【請求項9】 前記評価対象物が商品であり、該商品を
撮影したデータを前記画像データとして前記画像データ
入力手段で入力せしめる一方、該商品の購入者が該商品
を評価した自然文を前記言語データとして前記言語デー
タ入力手段で入力せしめるようにした請求項8に記載の
画像データで特定可能な質的情報の解析装置。 - 【請求項10】 前記評価対象物が、その外観として視
覚で把握可能な状態でコメント文等の言語情報を含んで
いる場合に、該言語情報を前記言語データとして前記言
語データ入力手段により入力せしめるようにした請求項
8又は9に記載の画像データで特定可能な質的情報の解
析装置。 - 【請求項11】 前記評価対象物が、その外観として視
覚で把握可能な状態で写真やイラスト等の非言語情報を
含んでいる場合に、該非言語情報を客観的に言語情報に
置換せしめた置換言語情報を、前記言語データとして前
記言語データ入力手段により入力せしめるようにした請
求項8乃至10の何れかに記載の画像データで特定可能
な質的情報の解析装置。 - 【請求項12】 前記言語データ入力手段により入力
された前記置換言語情報から、前記多次元行列の要素と
しての語として名詞だけを選択抽出する名詞選択手段を
設けた請求項11に記載の画像データで特定可能な質的
情報の解析装置。 - 【請求項13】 前記非言語情報を複数の者が各別に言
語情報に置換せしめた複数の置換言語情報を、それぞ
れ、前記言語データとして、前記言語データ入力手段に
よって入力せしめるようにすると共に、それら複数の者
によって生成された複数の置換言語情報から得られた複
数の該言語データに共通して存在する語だけを、前記多
次元行列の要素としての語として選択抽出する共通語選
択手段を設けた請求項11又は12に記載の画像データ
で特定可能な質的情報の解析装置。 - 【請求項14】 前記行列演算手段において前記多次元
行列を生成するに際して、該多次元行列における各次元
軸の要素に対して相対的な重み付けによる調整を行なう
重み付け手段を設けた請求項1乃至13の何れかに記載
の画像データで特定可能な質的情報の解析装置。 - 【請求項15】 前記演算手段において、特異値分解で
前記次元圧縮をして前記表示行列を求めるようにすると
共に、かかる特異値分解の結果に基づいて前記画像デー
タを、該画像データの数よりも少ない数のクラスタに分
けるクラスタ分析手段を設けた請求項1乃至14の何れ
かに記載の画像データで特定可能な質的情報の解析装
置。 - 【請求項16】 コンピュータが、複数の評価対象物を
それぞれ特定し得る複数の画像データを外部から取得す
る画像データ取得工程と、 該コンピュータが、前記複数の評価対象物における質的
情報をそれぞれ言語の態様で表わした言語データを外部
から取得する言語データ取得工程と、 該コンピュータが、前記画像データ入力手段で入力され
た画像データと、前記言語データ入力手段で入力された
言語データを、互いに対応付けてデータ記憶手段に記憶
する記憶工程と、 該コンピュータが、前記データ記憶手段に記憶した前記
画像データおよび前記言語データを用いて、該画像デー
タを行項目および列項目の何れか一方とすると共に該言
語データにおける語を行項目および列項目の他方として
表わした度数分布の各値を要素とした多次元行列を生成
し、該多次元行列を次元圧縮することにより表示行列を
求める演算工程と、 該コンピュータが、前記演算工程で求めた前記表示行列
に基づいて、前記画像データと前記言語データにおける
語とを、座標系における位置として視認可能に表示する
結果表示工程とを、含み、 前記コンピュータが、前記演算工程において、特異値分
解で前記次元圧縮をして前記表示行列を求めると共に、
前記結果表示工程において、かかる表示行列で最も大き
いものから2又は3の特異値にそれぞれ関わる各次元軸
によって2次元又は3次元の直交座標系を構成し、かか
る直交座標系における位置として前記画像データと前記
言語データにおける語とを、それぞれ視認可能に表示す
るようにし、更に、 前記コンピュータが、前記直交座標系を構成する少なく
とも一つの次元軸に関して、前記画像データおよび前記
言語データにおける語の寄与量をそれぞれ求める寄与量
演算工程と、 該コンピュータが、該寄与量演算工程において求めた何
れかの次元軸に関する前記寄与量に応じて、該寄与量が
大きい程に表示も大きくなるように、前記画像データお
よび前記言語データにおける語をそれぞれ拡大/縮小表
示する表示倍率変更工程とを、 含むことを特徴とする画像データで特定可能な質的情報
の解析方法。 - 【請求項17】 前記コンピュータが、前記寄与量演算
工程において、前記座標系を構成する複数の次元軸のそ
れぞれに関して前記画像データおよび前記言語データに
おける語の寄与量を算出すると共に、かかる算出結果を
記憶するようにする一方、 該コンピュータが、前記座標系を構成する前記複数の次
元軸のうち、何れかの次元軸を選択的に切り換えて指定
する次元軸指定信号を外部から取得する次元軸指定工程
と、 該コンピュータが、前記表示倍率変更工程において何れ
かの次元軸に関する前記寄与量に応じた大きさで表示さ
れた前記画像データおよび前記言語データにおける語
を、前記次元軸指定工程における次元軸の指定の変更に
従い、別の次元軸に関する前記寄与量に応じた大きさと
なるまで次第に変化させて表示するアニメーション表示
工程とを、 含む請求項16に記載の画像データで特定可能な質的情
報の解析方法。 - 【請求項18】 請求項16又は17に記載の画像デー
タで特定可能な質的情報の解析方法を、コンピュータに
実行させるためのプログラムが記載された、コンピュー
タで読取可能な情報記録媒体。 - 【請求項19】 請求項16又は17に記載の画像デー
タで特定可能な質的情報の解析方法を、コンピュータに
実行させるためのプログラム。
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- 2002-08-07 JP JP2002229535A patent/JP3417941B1/ja not_active Expired - Fee Related
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JP2004070683A (ja) | 2004-03-04 |
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