JP3414547B2 - 放射光位置モニターとその位置検出方法 - Google Patents

放射光位置モニターとその位置検出方法

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JP3414547B2 JP10186895A JP10186895A JP3414547B2 JP 3414547 B2 JP3414547 B2 JP 3414547B2 JP 10186895 A JP10186895 A JP 10186895A JP 10186895 A JP10186895 A JP 10186895A JP 3414547 B2 JP3414547 B2 JP 3414547B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、SORビーム等の放射
光の位置を測定するための放射光位置モニターとその位
置検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】放射光とは電子加速器で加速された電子
から軌道の接線方向に放射される電磁波であり、波長連
続で軌道面内に偏光した電気ベクトルを有し、非常に強
度が大きい。また波長連続であるので可視光から硬X線
にわたる分光、回析実験に理想的な光であり、この種の
実験設備では放射光を精度よく測定および調整するため
に、放射光位置モニターは必須の装置である。
【0003】かかる放射光は、円形加速器の中をほぼ光
速に近い速度でまわる電子から強い電磁波が接線方向に
放射されることから、1940年代に発見された一種の
光であり、図11に模式的に示す加速器を用いた放射光
設備により発生させることができる。図11において、
1は電子銃、2は線型加速器、3はシンクロトロン、4
は蓄積リング、5はビームライン、6は放射光実験機器
であり、電子銃1で電子を打ち出し、線型加速器2で電
子ビーム7を加速して(例えば1GeVまで)シンクロ
トロン3に送り、シンクロトロン3で高周波を使って電
子を更に加速して(例えば8GeVまで)蓄積リング4
に送り、円形の加速器である蓄積リング4で高周波加速
装置を用いて電子を高エネルギー(例えば8GeV)に
保持したまま、リング内を高速で回転させ、軌道変化の
際に発生する放射光8をビームライン5を介して放射光
実験機器6に導くようになっている。蓄積リング4(円
形加速器)は、例えば周長約1500mの大型設備であ
り、ビームライン5の長さも放射光8の用途により、例
えば50m程度から1000m程度までが用いられる。
【0004】かかる放射光(シンクロトロン放射光)
は、可視光線よりも波長が長い赤外線から、波長が短い
紫外線、軟X線、硬X線までの広範囲の波長領域をも
つ、強い光の集まりであり、かつ強い指向性を有する特
徴がある。この放射光は、従来から科学者にとって「夢
の光」と呼ばれ、物質の構造・物性の研究(結晶の原
子配列、超伝導材料の構造等)、 動的状態の構造・
機能の研究(結晶の成長過程、化学反応プロセス等)、
ライフサイエンス・バイオテクノロジーの研究、材
料開発(格子欠陥、不純物の検出)、医療応用(がん
の診断等)、等に利用することができる。
【0005】上述した放射光は、他の光源では得難い真
空紫外(波長約2000Å以下)からX線(波長約1Å
前後)の領域で極めて強力な光源であり、以下のような
利点を有している。 電子エネルギーが充分高けれ
ば、X線より遠赤外線に至る広大な波長領域において連
続的な強度分布を示す。従って、分光器を用いて任意の
波長の光が得られる。 相対論的効果により電子ビー
ムの進行方向に鋭い指向性を持つので実用的な光強度が
高い。 直線偏光性が著しく、その振動面は電子ビー
ムの軌道面に平行である。ただし、軌道面に対して傾い
た角度で光を受けると楕円偏光となる。
【0006】しかし、放射光の利用がすすむにつれ、以
下の欠点があることが明らかになった。 その光強度
があまりにも広い波長領域に分布しているため、分光後
の光には無視できない量の高次光と迷光が含まれてしま
うと同時に、利用しない波長領域の光によって光学素子
の消耗を招く。 その指向性が、3次元的指向性をも
つX線管等に比べてかなり良いとはいえ、1次元的指向
性をもつレーザー光程は鋭くない。
【0007】そのため、図12に示すように、アンジュ
レーター(undulator) やウィグラー(wiggler) と呼ばれ
る挿入光源が、研究開発され、蓄積リング(円形加速
器)の偏向磁石間の直線部分に設置してエネルギーがそ
ろった高輝度な放射光を発生させるようになっている。
かかる挿入光源については、種々の文献、例えば、「放
射光ユーザーのための光源論」(1989年、日本放射
光学会第2回講習会予稿集)、「高輝度放射光の技術」
(日本物理学会誌 Vol.44,No.8,1989 )、等に発表され
ている。
【0008】一方、現在までに発表されている放射光位
置モニターとしては次の5種類が挙げられる。蛍光板
上の蛍光像の画像分析によるモニター、チョッパー型
モニター、2分割陰極型イオンチャンバー、 蛍光
X線を利用したモニター、光電子放出を利用したモニ
ター。上記 〜に関しては、特定の条件下、例えば
ビームを大幅に遮るとか、ビームラインの真空に設置で
きないなどの問題があるため特定の条件下でのみビーム
ラインに設置できる。
【0009】蛍光板上の蛍光像の画像解析によるモニ
ター ビームラインの放射光の一部を蛍光板で受けて、その蛍
光をTVカメラによって観察し、画像解析にかけて放射
光の位置をみようというものである。蛍光体の粒度、カ
メラレンズの拡大率、TVカメラのCCD画素数などで
制限され、位置分解能を50μmよりもよくすることは
難しい。
【0010】チョッパー型モニター 適当な蛍光体を塗ったリードを放射光の中で高速に振動
させて、光位置を観測するモニターである。
【0011】2分割陰極型イオンチャンバー イオンチャンバーの陰極をその対角線に沿って2つの直
角三角形に分割した構造をしている。このモニターでは
放射光が陰極と陽極の間を通過するときにできるイオン
を上下に分割された陰極に集光し、放射光が動くと、2
つの陰極に流れ込むイオン電流に差ができることによ
り、放射光の位置を測るものである。イオン電流を読み
だすために、陽極に数百Vの電圧をかける。このモニタ
ーの問題点は、その感度がチャンバーの中に流すガス
(通常はHeガス)の流量に大変敏感であることが挙げ
られる。
【0012】ところで、放射光のビームラインは、加速
リングと同様に高真空を必要とするため、位置モニター
もその高真空を保持したまま使用することが前提とな
る。このモニターは、ガスを使用する関係上、ビームラ
インにそのまま設置することはできず、ビームラインに
本来不要な真空隔壁を新たに設けねばならず、リーク等
の問題も発生しやすくなるため、高真空を要するビーム
ラインのモニターとしてはあまり用いられていない。
【0013】蛍光X線を利用したモニター Ta(タンタル)製のターゲットをビームラインに設置
して、このターゲットからの2次蛍光X線をシンチレー
ションカウンターで観測して光ビーム位置を測定するも
のである。このモニターは光ビームをかなり遮るという
問題がある。
【0014】光電子放出を利用したモニター 光電子放出を利用したモニターは低真空から高真空まで
の真空に引かれたビームラインに直接設置でき、VUV
領域から、高エネルギーX線領域までの広い波長領域に
感度が有り、安定度、位置分解能、ダイナミックレンジ
の点でも優れているので、何種類かのタイプのものが開
発され、広く使用されている。金属表面での光電子放出
の量子効率はあまり大きくなく、金属表面への直入射で
数%オーダーの大きさである。金属には、W、Moなど
が用いられる。
【0015】挿入光源用の放射光位置モニターとして
は、 の光電子放出を利用したものがほとんどであ
り、放射光の端の裾野の部分にブレード型電極を配置す
る。このため、どうしても偏向電磁石からの放射光によ
るバックグラウンドの影響を受けやすい。また、上流の
モニターのブレードの作る影が下流のモニターに影響を
及ぼすという欠点もある。
【0016】ところで、上記のような放射光位置モニタ
ーに半導体検出器を応用することが考えられる。半導体
検出器としては、SiやGeなどが多く使われている。
これらはSiのpn接合に逆電圧を印加しておき、放射
線が接合部に入射すると電子正孔対が生じ、電流が流れ
るようにしたものである。
【0017】しかし、SiやGeを検出部に用いている
ために、キヤリヤの飽和移動度が小さく(Siの飽和電
子移動速度は1×107 cm/sec)、放射光検出素
子としての応答速度が遅い。Siは高純度の真性のもの
でも抵抗率が105 Ω・cm程度であり、Geはさらに
低い。真性領域のSi、Ge半導体に電極を付け、この
まま電流を印加すると暗電流が大きすぎる。そこで光を
検出する素子と同じようにpn接合を作って逆バイアス
となるように電圧を印加するが、この方法では数十μm
の空乏層でしか放射線を検出することができないので、
放射線の反応断面積から考えて、検出感度が十分でない
ことが多い。
【0018】これに対し単結晶のダイヤモンドを放射線
検出素子の検出部の半導体に用いると、応答速度が速
く、高感度のものができることは既に知られている(特
開昭62−198780号公報、欧州特許第52397
号)。これは、単結晶ダイヤモンド中のキャリヤの飽和
電子移動度が2.5×107 cm/secと極めて大き
いからである。
【0019】ダイヤモンドを検出素子とする場合は、p
n接合に逆バイアス電圧を印加するのではなく、真性領
域を検出部に用い、これに電圧を印加するだけでよい。
これは真性領域のダイヤモンドの比抵抗は十分に高く、
暗電流を十分に小さくできるからである。
【0020】また前記のSi、Ge半導体の場合のよう
に、素子面に垂直に放射線が入射する場合Siの場合は
pn接合の空乏層でのみ電子正孔対が発生するため、p
n接合の近傍だけでしか検出できず、どうしても感度が
低くなる。一方、ダイヤモンドのようにpn接合によら
ないものは放射線が通った厚み全体で電子正孔対が発生
する。従って後者の方式の検出器の方が感度が高いが、
このためには欠陥の少ない単結晶ダイヤモンドが要求さ
れる。しかし、欠陥の少ない単結晶ダイヤモンドの入手
は容易ではないし、製作することも困難である。
【0021】ところで、近年になって気相から安価に膜
状の多結晶ダイヤモンドを合成する方法が開発された。
この方法を用いて多結晶ダイヤモンドを利用した放射線
検出素子の製作が試みられたが、良い結果をみなかっ
た。その理由は、多結晶ダイヤモンドの品質に問題があ
り、放射線に関する感度が極めて低かったからである。
この問題を改善するものとして特開平4−145668
号公報に多結晶ダイヤモンドを使った高速で安価な放射
線検出素子が提案されており、これは多結晶ダイヤモン
ドの放射線検出感度を低下させるのは結晶粒間に存在す
る結晶粒界が主な原因であり、そのためにダイヤモンド
に電圧が印加される部分で、印加方向である成長方向に
粒界が存在しないような柱状の多結晶ダイヤモンドを用
いることにより、高速、高感度、安価な放射線検出素子
を得るものである。また、印加方向である成長方向に粒
界を存在させない具体的手段として、結晶粒界、欠陥
の多い成長面、及び基板との界面側を研削にて削り落と
すこと、導電層を成長面側及び基板との界面側に形成
することにより、粒界、欠陥の多い部分に電界がかから
ないようにすること、の2つの手段が提案されている。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】上述した挿入光源(ア
ンジュレーターおよびウィグラー)により従来よりもは
るかに強力で指向性の高い放射光を発生させることがで
きるようになった。しかし、放射光を利用した種々の研
究や試験では、その位置を正確に計測することが不可欠
であるにもかかわらず、放射光が強力であり過ぎるため
従来の光位置モニターの適用が難しくなってきている。
【0023】挿入光源ビームライン用光位置モニターと
しては以下に示す機能を満たすことが求められている。
十分な測定範囲にわたり高い位置分解能(サブμm〜
数μm)を有する。高熱負荷に耐えられる。早いレ
スポンスが得られ、光源または光学系のフィードバック
(10Hz以上)が可能。偏向電磁石からの放射光や
散乱光によるバックグラウンドの影響を受けにくい。
放射光を妨げず実験中でも放射光のモニターが可能であ
る。メンテナンスが容易で長期間安定に作動する。
価格が手頃である。放射光の位置以外にもプロファイ
ル、強度、エネルギー等の光ビームに関する情報が得ら
れる。
【0024】特に最近の高輝度放射光を発生する放射光
施設では、上記 〜 の要求を満足することが必須の
条件となる。現在用いられている挿入光源ビームライン
用光位置モニターはその構造から イオンチャンバー
型、ワイヤー型、 分割型、 ブレード型に分類で
きる。イオンチャンバー型(図14A)は、放射光が
イオンチャンバー内のガスを電離した際に発生するイオ
ンが分割された陰極に流れ込む電流を測定し、ビームの
位置を計測するものである。このモニターは位置分解
能、測定範囲の面で優れているが、ガスを用いるためビ
ームラインの超高真空部では使用できないという欠点が
ある。
【0025】ワイヤー型(図14B)は、放射光が金
属等のワイヤーに当たった際の光電効果を用いたもの
で、固定方式は放射光の両側に2本のワイヤーを設置
し、その信号強度差から放射光の位置を計測する。ま
た、スキャン方式は、ワイヤーを放射光を横切るように
走査し、放射光の分布を測定するものである。このモニ
ターは位置分解能、レスポンス、メンテナンスおよび価
格の面で優れているが、スキャン方式の場合は測定時間
が長く速いフィードバックに対応できない。これに対し
て固定方式はレスポンスが速いが、耐熱性およびワイヤ
ー間のクロストークが問題となる。
【0026】分割型(図14C)は、放射光が金属等
の電極に当たった時の光電効果を用いたもので、対にな
った分割電極を放射光に垂直に設置し、電極の信号強度
差よりビーム位置を測定するものである。このモニター
は位置分解能、測定範囲、レスポンス、メンテナンス、
価格の面で優れているが、透過方式であるため、耐熱性
が問題となる。
【0027】ブレード型(図14D)は、放射光が金
属等のブレードに当たった時の光電効果を用いたもの
で、放射光の上下または左右にブレードを設置し、ブレ
ードの信号比によりビーム位置を測定するものである。
本モニターは、位置分解能、レスポンスの面で優れてお
り、最近光位置モニターとしてよく用いられている。た
だし偏向電磁石のバックグラウンドやビーム形状の影響
を受けやすいという欠点がある。
【0028】上記いずれのモニターも最近の高輝度放射
光を発生するビームラインでは耐熱性の問題が大きく通
常の金属を使用することが難しくなってきているため、
X線の吸収熱量が少なくかつ耐熱および伝熱特性に優れ
た材質の利用が求められている。また上記で述べたよう
に偏向電磁石のバックグラウンドの影響により測定誤差
が発生することが大きな問題となっておりこの対策が必
要とされている。
【0029】すなわち、挿入光源用の放射光位置モニタ
ーとしては、以下のような性能を持つことが要求されて
いる。 サブミクロンレベルの高い位置分解能が得ら
れること。 高真空中に設置することが可能であるこ
と。 熱伝導がよく、高熱負荷に耐えられること。
放射光に対する応答速度が速いこと。 耐放射線性
を有し、長期間安定に動作できること。
【0030】従来、主に用いられている金属ブレードに
よる光電効果を利用した放射光位置モニターでは、使用
時にブレードも放射光にさらされ、非常な高温となる。
そこで、高融点金属を使用し、側面を強制水冷するなど
の放熱手段を講じて、ブレードの損傷を防ぎ、放熱効果
を増大させる改良が行われている。しかし、近年、放射
光発生装置の出力の増大に従い、従来の金属ブレードを
用いた放射線位置モニターでは、熱的に耐えられなくな
ってきている。
【0031】本発明は、上述した種々の問題点を解決す
るために創案されたものである。すなわち、本発明の目
的は、位置検出精度が高く、高出力の放射光に長時
間耐え(耐放射線性および耐熱性に優れ)、放射光に
対する応答速度が高く、 偏向電磁石からのバックグ
ラウンドの影響を受けにくく、 放射光の損失や散乱
が少なく(透過性が高く)、放射線を使用しながら位置
を計測する(オンライン計測)ことができ、メンテナ
ンスが容易で長期間安定に作動し、比較的製作が容易
で安価であり、かつ 高真空中に直接設置することが
できる放射光位置モニターを提供することにある。
【0032】すなわち、本発明は、上述した従来の装置
の問題点を解消し、しかも要求される特性を満足して、
大出力の放射光の位置を、高精度、高速に測定し、かつ
安定に動作するとともに製造コストも低減された放射光
位置モニターを提供することを目的とするものである。
【0033】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、放射光
を遮って配置される単一のダイヤモンド板と、該単一の
ダイヤモンド板の両面に配置された複数の電極対とを有
することを特徴とする放射光位置モニターが提供され
る。また、本発明によれば、前記電極対に電圧を印加す
る直流電源と、そこを流れる電流を計測する電流計測装
置と、を更に備える放射光位置モニターが提供される。
【0034】本発明の好ましい実施例によれば、前記複
数の電極対は、放射光との所定の交差位置に対して対称
に配置されている。また、前記電流からビームラインの
位置を算出する演算装置を更に備える。また、前記ダイ
ヤモンド板の周辺を冷却する冷却装置を更に備える。更
に、前記放射光の算出位置から放射光の位置を制御する
フィードバック装置を備える、ことが好ましい。
【0035】前記ダイヤモンド板は、気相合成法により
製造されたことが好ましい。更に前記ダイヤモンド板は
単結晶または多結晶ダイヤモンドからなる、ことが好ま
しい。
【0036】本発明における特に好ましい実施態様とし
て、前記ダイヤモンド板の抵抗率が107 Ωcm以上
10 12 Ωcm未満であること、前記ダイヤモンド板が中
央部に穿孔または膜厚の薄い部分を有してなることが挙
げられる。また更に、本発明における特に好ましい他の
実施態様として、前記ダイヤモンド板に抵抗率の低い
抵抗率層が存在すること、前記抵抗率の低い低抵抗率層
の抵抗率が10-3〜102 Ωcmであること、を特徴と
する上記放射光位置モニターが挙げられる。
【0037】前記抵抗率の低い低抵抗率層にはBがドー
ピングされてなること、さらに前記抵抗率の低い低抵抗
率層にはBが1016個/cm3 以上、8×10 16 /cm
3 未満ドーピングされてなることが、本発明の特に好ま
しい他の実施態様として挙げられる。また本発明によれ
ば、放射光を遮ってダイヤモンド板を配置し、該ダイヤ
モンド板の両面に複数の電極対を配置し、該電極対に電
圧を印加しその間を流れる電流を計測し、該電流からビ
ームラインの位置を検出する、ことを特徴とする放射光
の位置検出方法が提供される。
【0038】
【作用】ダイヤモンドを放射線検出器として用いるアイ
デアは古く、1941年にG.Stretterによって初めて放
射線検出器として用いられた例がある。ただし、その当
時ダイヤモンドの価格が高かったため一般的に使用され
ることは無かった。また近年CVD等の技術を用いた人
工ダイヤモンド合成技術が進み安価でかつ特性の優れた
ダイヤモンドが供給されるようになり、従来のGeやS
iを用いた半導体検出器と同様にダイヤモンドを用いた
放射線検出器の実用化の可能性がでてきた。
【0039】GeやSiを用いた半導体検出器は、PN
接合部に逆バイアス電圧を印加し、放射線がこの接合部
に入射した時に発生する電子・正孔対による電流を検出
することにより放射線の計測を行うものである。これに
対してダイヤモンドの場合は常温では抵抗値が高く絶縁
体としての特性を示すが、波長の短い紫外線や高エネル
ギーの放射線ではGeやSi同様ダイヤモンド内で電子
・正孔対を生成するため放射線の検出が可能となる。さ
らにダイヤモンドは比抵抗が高いのでGeやSiのよう
にPN接合を用いて暗電流を抑える必要がなく、ダイヤ
モンドの両面に電極を設けこの間にバイアス電圧を印加
するだけでよい。
【0040】また、ダイヤモンドは、「キャリアの移動
度が大きくレスポンスが早い」、「単位面積当たりの電
気容量が大きく、高いS/N比が得られる」といった汎
用の放射線検出器としての良好な特性だけではなく、
「耐熱性、高熱伝導性等良好な熱的および機械的特性を
有する」、「耐放射線に優れている(シリコンの100
倍以上)」、「低原子番号であるため光の吸収が少な
い」といった特性により高温、高放射線レベル等の厳し
い環境においても使用可能となる。
【0041】最近のダイヤモンドを用いた放射線検出器
の応用例としては高エネルギー物理学実験のためのガン
マー線や高エネルギー電子のエネルギー測定用カロリー
メータの開発例("Development of diamond radiation d
etectors for SSC and LHC",M.Franklin et al. NIM A3
15,1992) および放射光関係では放射光の出力を計測し
た実験例("Abusolute x-ray power measurements with
subnanosecond time resolution using type IIa diamo
nd photoconductors", D.R.Kania et al. J.Appl.Phys,
68(1),1990)があるが、本発明は、上記で述べたダイヤ
モンドの半導体としての電気的特性および耐熱、耐放射
線特性に注目し、放射線および熱的に非常に厳しい環境
に置かれるビームラインの放射光の位置モニターとして
の利用を目的としたものである。本発明において、上記
の特性をもったダイヤモンドの利用に加えて最近の半導
体等の精密な電極の製作技術を用い、ダイヤモンドの表
面に精密に分割した電極を配置し、これにより放射光の
分布を測定することにより放射光の位置測定機能を有す
る放射光位置モニターを創案した。
【0042】本発明はかかる新規の着想と知見を基に、
上述した新規の目的を達成するために創案されたもので
ある。すなわち、上述した本発明の装置及び方法によれ
ば、放射光を遮って配置される単一のダイヤモンド板
と、該単一のダイヤモンド板の両面に配置された複数の
電極対とを備えているので、単一のダイヤモンド板に放
射光が通過した際に発生するキャリヤ(電子、正孔)に
よる電気的信号を電極対を通して検出することにより、
各電極対を通過した放射光の強度を知ることができる。
また、さらに前記電気的信号を検出する装置として、前
記電極対に電圧を印加する直流電源と、そこを流れる電
流を計測する電流計測装置と、を備えることにより、電
極対間の電流の大きさから各電極対を通過した放射光の
強度を知ることができる。また、後述するように、放射
光は、その中心に対して対称に広がっているため、複数
の電極対を通過した放射光の強度から放射光の重心位置
を算出することにより、放射光の中心位置を検出するこ
とができる。
【0043】上述した構成の放射光位置モニターは、ダ
イヤモンド板や電極対をそのまま、高真空中に直接設置
することができ、ダイヤモンドの特性から高出力の放射
光に長時間耐え(耐放射線性および耐熱性が高く)、放
射光に対する応答速度が速く、透過性の高いダイヤモン
ドの薄板を使用することにより放射光の損失や散乱が少
なく、放射線を使用しながら位置を計測する(オンライ
ン計測)ことができ、また高精度に電極を配置すること
により放射光の位置検出精度が高く、また電極を設置し
た部分だけが有感領域となるため、電極を中央部に配置
することにより周辺部で発生する偏向電磁石のバックグ
ラウンドの影響を避けることができ、かつ近年開発され
た薄膜ダイヤモンドを利用できることから比較的製作が
容易で安価である。
【0044】また、複数の電極対を、放射光のビームラ
インとの所定の交差位置(例えば中心)に対して対称に
配置することにより、放射光の中心位置の算出が容易と
なる。また、前記ダイヤモンド板の周辺を冷却する冷却
装置を更に備えれば、ダイヤモンド板の過熱を更に低減
できる。更に、前記放射光の位置から放射光の位置を制
御するフィードバック装置を備えれば、放射光の位置を
常に一定位置を安定して保持することができる。
【0045】すなわち、本発明者等は、物質中最大の熱
伝導率を有し、耐放射線能力も高いダイヤモンドに着目
し、これを放射光位置モニターに利用することを考えつ
いた。ダイヤモンドは下記の点で放射光位置モニターと
して従来材に比べて有利である。 (1)Siの100倍以上という高い耐放射線性を有す
る。 (2)数百度の高温条件下でも良好な電気的、機械的特
性を有する。 (3)キャリヤ(電子、正孔)の移動度が2.5×10
7 cm/secと大きく、1ns以下の立ち上がりが得
られる。 (4)誘電率がSiの約半分と小さいため、単位面積あ
たりの電気容量が小さくなり、低ノイズ、高S/N比が
実現できる。 (5)バンドギャップが5.5eVと大きく、pn接合
が不要であるため、単純な構造でよい。
【0046】本発明者等は以上のような利点のあるダイ
ヤモンドを用いて様々な構造のモニターを試作し、試
験、検討を重ねた結果、ダイヤモンドを用いた放射線検
出素子を利用することにより、非常に簡便に安価に作成
できるため製造コストを低減でき、その使用も簡便であ
りながら非常に高速かつ安定に作動でき、高精度な装置
である放射光位置モニターを発明することができた。
【0047】以下に更に詳細に本発明を説明する。本発
明の放射光位置モニターに用いるダイヤモンド板は、具
体的な形状は挿入するビームラインの形状にあわせる必
要があるが、通常は円形の場合直径10mmφ以上の平
板型のダイヤモンドが要求されるため、人工の高温・高
圧合成ダイヤモンドや、天然産ダイヤモンドでは経常的
に無理があり、例え得られたとしても非常に高価なもの
となる。これに対し、気相合成法により合成されるダイ
ヤモンドは大面積のものが安価に作成できる点で有利で
ある。
【0048】また、ダイヤモンド板は単結晶ダイヤモン
ドでもよいが、多結晶ダイヤモンドでも使用できる。コ
スト的には多結晶ダイヤモンドが安価であるが、単結晶
ダイヤモンドと多結晶ダイヤモンドを併用することも可
能である。前記のようにダイヤモンド形状は放射光の形
状に合わせる必要があるため、通常円形の場合10mm
φ以上の平板であり、厚さは少なくとも10μm以上が
好ましく、より好ましくは50μm以上である。厚くな
りすぎると高価になるので、コストの面から1mm以上
は好ましくない。最も適当な厚さとしては50〜400
μmが挙げられる。
【0049】多結晶ダイヤモンド板を利用する場合、結
晶粒界における検出能力の低下が問題となることがある
が、これは上述の特開平4−145668号公報に記載
の方法により回避することができる。即ち、多結晶ダイ
ヤモンドでは成長基板近傍、および成長表面に粒界が多
く、また欠陥等も多数含まれる可能性がある。これらの
存在は放射光が入射した際に生じるキャリヤの移動速度
を落とす。そこで、成長表面及び基板との界面を、5
μm程度以上削り落とし、かつ平滑度を上げること、或
いは、低抵抗率層を設けること、等の方法でその検出
性能に与える影響を低減する。後者の方法のほうが簡便
であり、図5に例示する第3実施例のように該低抵抗率
層を電流検出用電極として用いることができる。さらに
また、低抵抗率層を設けると信号取り出し金属電極を小
さくでき、かつ放射光の中心から遠ざけることができる
ので、より好ましい。この低抵抗率層を設ける方法によ
れば、成長表面側、基板との界面ともに研磨する必要は
なく、成長させたダイヤモンド全てを活用することがで
きる。場合によっては、研磨を併用することも可能であ
る。
【0050】本発明に用いるダイヤモンド板の気相合成
により合成する方法としては、この種分野において公知
のいずれの方法によってもよい。また、成長させる際の
基板としてはSi,Mo,SiCなどを使用することが
できる。また、ダイヤモンド気相合成時に配向性を良く
することにより得られる、成長方向に粒界の非常に少な
い多結晶ダイヤモンドを使用することも可能である。
【0051】ダイヤモンド板に設ける該低抵抗率層は、
気相合成によりダイヤモンドを成長させる際に十分な量
の不純物をドーピングすることにより形成できる。ドー
ピングする不純物としては、例えばB,Al,Li,
P,Se等を挙げることができる。これらの中では、B
が結晶性を落とさずに効果的に導電性をダイヤモンドに
付与することができるので好ましい。
【0052】該ダイヤモンド低抵抗率層の厚さは5μm
以上であることが好ましいが、厚すぎると相対的に放射
光に感度を持つ部分が小さくなるので好ましくない。こ
の点で上限は50μm程度である。また、低抵抗率層は
ダイヤモンド板の表面をできるだけ覆うことが望ましい
が、1つの低抵抗率層につき1つの信号取り出し用金属
電極が接しているように、低抵抗率層は分割されている
必要がある。また、その分割形状及び位置はダイヤモン
ド基板の表裏面で同一であることが望ましい。
【0053】該低抵抗率層を分割する手段としては、そ
の上にはダイヤモンドの成長のない材料からなるマスク
を分割溝形状に形成した後に、導電性のダイヤモンドを
形成すればよい。該マスク材質としては、例えばMo,
SiO2 ,Ti等が挙げられる。導電性ダイヤモンドを
形成した後、該マスクを除去すると、分割された低抵抗
率層が形成される。この分割の幅(低抵抗率層の間隔)
が狭すぎると放射光検出素子同士が相互作用を及ぼし、
正確に位置を測定することができなくなるが、一方該幅
が広すぎるとまた検出感度が落ちてしまう。モニターの
大きさにもよるが、0.5μm〜2mm程度が適当であ
る。分割数はx方向、y方向の位置を測定するため、4
分割以上にすることが適当である。また、上下左右の分
割形状、及び位置は同一であることが望ましい。
【0054】放射線検出に用いられるダイヤモンドは、
暗電流が小さくなければならず、かつ電荷が速やかに電
極に流れなければならない。従って、ダイヤモンド中の
キャリヤの移動度が大きく、かつその密度は小さくなけ
ればならない。従って電気抵抗率としては107 Ωcm
以上、より好ましくは109 〜1012Ωcmがよい。こ
こで、低抵抗率層として用いられるダイヤモンドは電気
抵抗率10-3〜102Ωcmが適当である。
【0055】電界を印加し、信号を検出するための電流
検出用及び信号取り出し用金属電極は、高温で安定であ
り、また耐放射光能力の高いものが適当であり、材質と
しては例えばTi,Mo,Pt,Au,Ni,Ta,C
r等が挙げられる。真空蒸着などの公知の方法で形成す
ることができる。また、低抵抗率層を電流検出用電極と
して用いる場合には、信号取り出し用金属電極は放射光
が通常通過する位置からはできるだけ遠い位置に配置す
ると、電極の放射光による損傷を防止できるので好まし
い。
【0056】通常、モニターは放射光がモニターの中心
を通過するように設計され、モニターを設置することに
より放射光は減衰及び散乱,屈折するため、できるだけ
その影響を小さくする必要がある。図4に例示する実施
例2および図5に例示する実施例3に示されるように、
放射光の大部分が通過する部分に貫通孔を設けることに
より、モニター挿入の影響を最小限に抑えることがで
き、かつモニター自体にかかる熱負荷も同様に最小限に
抑えることができる。
【0057】放射光は、ある広がりを有していて、その
幅は光源及びモニターが設置される位置に依存する。ど
の程度の孔を開ければよいかは、この放射光の広がりに
依存するが、0.5〜10mmφ程度が適当である。こ
の孔は、マスク等を利用した選択成長で開けることがで
きる。また孔を開ける代わりに該当する部分のダイヤモ
ンド層を薄くすることも有効である。このような薄膜に
することにより真空隔壁のある位置モニターとしての使
用が考えられる。
【0058】
【実施例】以下、本発明の好ましい実施例を図面を参照
して説明する。図13は、放射光の空間的な強度分布図
である。この図から明らかなように、放射光はそのビー
ムラインの中心に対して対称に広がっていることがわか
る。この対称性は中心に対しては点対称であり、X軸及
びY軸に対しては線対称である。従って、この対称性を
利用し、放射光の強度分布を計測することにより、その
中心位置を正確に算出することができる。本発明はかか
る原理を応用したものである。
【0059】図1は、本発明による放射光位置モニター
の第1実施例の全体構成図であり、図2は、図1のA−
A線における部分矢視図である。図1及び図2におい
て、本発明の放射光位置モニター10は、放射光11を
遮って配置される単一のダイヤモンド板12と、単一の
ダイヤモンド板12の両面に配置された複数(この例で
は4枚)の電極対14と、電極対14に電圧を印加する
直流電源17と、そこを流れる電流を計測する電流計測
装置16と、を備えている。ダイヤモンド板12は、放
射光11に対して垂直に位置し、その中心を放射光11
が通るように配置するのがよい。
【0060】かかる構成により、ダイヤモンド板12を
放射光が通過するとその部分にキャリヤ(電子、正孔)
が発生し、電極対14間に流れる電流の大きさから各電
極対14を通過した放射光の強度を知ることができる。
また、図13に示したように、放射光11は、その中心
に対して対称に広がっているため、複数の電極対14を
通過した放射光の強度から放射光の重心位置を算出する
ことにより、放射光の中心位置を検出することができ
る。
【0061】ダイヤモンド12は、図2に示すように、
単一の板である。これにより、複数の電極対14と放射
光11との相対位置調整を容易にし、位置検出精度を高
めることができる。また、図3に例示する第4実施例の
ようにダイヤモンド板12を複数の扇形平板としてもよ
い。この場合には、放射光11との相対位置調整は難し
くなるが、ダイヤモンド板12の大きさを小さくするこ
とができ、製作をより容易にすることができる。ダイヤ
モンド板12は単結晶または多結晶の薄膜のダイヤモン
ドからなるのがよい。
【0062】ダイヤモンド板12の形状は、放射光の形
状に合わせる必要があるが、直径10mm以上の平板で
あることが好ましい。またその厚さは厚くするほど熱伝
導が良くなりダイヤモンドの温度上昇は抑えられるが、
逆に吸収される放射光は増すため利用できる放射光の強
度が減少することになる。従ってそれらの兼ね合いおよ
び製造の限界、コストなどから決まり、50μm〜40
0μmが好ましい。
【0063】複数の電極対14は、放射光11との所定
の交差位置(例えば中心)に対して対称に配置されてい
る。この対称性は、中心に対して点対称であってもよ
く、或いは図2及び図3のようにX軸及びY軸に対して
線対称であってもよい。かかる構成により、放射光の強
度分布からその中心位置を簡単な演算により容易にかつ
正確に算出することができる。
【0064】電極対14は、偏向電磁石からのバックグ
ラウンドの影響を避けるためにできるだけ中心部に配置
するのが好ましい。また、電極対14は、ダイヤモンド
板12の表裏に同一位置に形成するのがよい。更に、電
極対14の材質は、X線の吸収が少ない金属もしくは電
気伝導性が高く、かつ耐熱性および耐放射線性に優れた
材料がよい。
【0065】また、複数の電極対14の間には適当な間
隙が設けられている。この間隙は、広すぎると有感領域
が少なくなるため検出感度が落ちてしまう。従ってその
間隔は光のビームサイズの1/10〜1/100が適当
である。分割数は、X方向、Y方向の位置を同時測定す
るため、図2及び図3のように4分割とするのがよい。
またX方向、Y方向を独立に測定する場合は2分割でも
良い。
【0066】更に、信号ケーブルと電極対14との接合
性がよくない場合、電極対14のそれぞれの表面に、信
号取り出し用電極14aが取り付けるとよい。この信号
取り出し用電極14aは、電極対14および信号ケーブ
ルとの接合性の良い材料が好ましい。この信号取り出し
用電極14aは、信号ケーブルにより直流電源17と電
流計測装置16に接続され、この装置から電極対14に
電圧を印加しその間を流れる電流を計測するようになっ
ている。
【0067】図1において、本発明の放射光位置モニタ
ー10は、更に、電流計測装置16により計測された電
流から放射光11の位置を算出する演算装置18と、こ
の放射光11の位置情報を用いて放射光の位置を制御す
るフィードバック装置19とを備えている。図1の装置
で放射光のビームがダイヤモンド板12を通過するとそ
の部分にキャリヤ(電子、正孔)が発生し、電極対14
間に流れる電流の大きさ(例えば、I1 、I2 、I3
4 )を電流計測装置16により計測することができ
る。次いで、放射光11は、その中心に対して対称に広
がっているため、演算装置18により、複数の電極対1
4を通過した放射光の信号強度から以下の式により重心
を求めることによって放射光の中心位置を検出すること
ができる。
【0067】 X=((I1 +I4 )−(I2 +I3 ))/(I1 +I2 +I3 +I4 ).. .式 Y=((I1 +I2 )−(I3 +I4 ))/(I1 +I2 +I3 +I4 ).. .式 なお、Ii(i=1,2,3,4)は図2に示すi番目
の電極対の出力電流をあらわす。更に、放射光の位置の
ビームラインの中心からのずれが検出できれば、フィー
ドバック装置19によりその信号を挿入光源(アンジュ
レーターおよびウィグラー)側にフィードバックして、
ビームの位置補正が可能となる。
【0069】図1において、本発明の放射光位置モニタ
ー10は、更にダイヤモンド板12の周辺を冷却する機
能をもった直線導入装置20を備えている。この直線導
入装置20は、ダイヤモンド12の周辺に接続された挟
持部20aとこれを上下動させる駆動部20bとからな
る。図1に破線で示す部分は、ビームラインの高真空下
(例えば10-11 〜10-10 torr)に直接挿入され
ている。また、挟持部20aは、外部から水冷されてお
り、挟持部20aを介してダイヤモンド板12は外部に
熱を逃がすことができ、これにより、過熱されやすいダ
イヤモンド板12を冷却し、高出力の放射光に長時間耐
えることができる。
【0070】更に、この直線導入装置20は、ダイヤモ
ンド板12を放射光11から外れた位置まで移動するこ
とができるようになっている。この構成により、例えば
オンライン計測が必要でないときに、放射光11から外
れた位置までダイヤモンド板12を移動させ、放射光に
よるダイヤモンド板の損傷を回避することができる。ま
た短い間隔でダイヤモンド板を移動させながら、放射光
の位置を計測することにより、放射光位置測定における
校正を行うことができる。
【0071】上述したように本発明の装置及び方法によ
れば、放射光11を遮って配置される単一のダイヤモン
ド板12と、単一のダイヤモンド板12の両面に配置さ
れた複数の電極対14と、電極対14に電圧を印加しそ
の間を流れる電流を計測する電流計測装置16とを備え
ているので、ダイヤモンド板12を放射光が通過すると
その部分にキャリヤ(電子、正孔)が発生し、電極対1
4間に流れる電流の大きさから各電極対を通過した放射
光の強度を知ることができる。また、放射光のビームラ
インは、その中心に対して対称に広がっているため、複
数の電極対を通過した放射光の強度から放射光の重心位
置を算出することにより、放射光の中心位置を検出する
ことができる。
【0072】以下、本発明による放射光位置モニターの
構成とその試験結果を具体的に説明する。 〔実施例1/電流検出用金属電極を設けた例〕 試験を行った放射光位置モニターのダイヤモンドには、
多結晶の人工ダイヤモンド(φ15mm×0.2mm)
を用いた。電極には金の薄膜(φ15mm×0.1μ
m)を4分割したものを用いた。また電極間隔は0.2
mmとした。
【0073】図1に示した装置において、ダイヤモンド
は銅のホルダーに設置し、1軸直線導入装置で垂直方向
の移動が可能である。また真空チャンバーには、光ビー
ムが通過するビームポートおよび真空引き用ポート等が
設置されている。ダイヤモンドの裏表の電極対にはバイ
アス電圧を印加し、そこに流れる電流値を電流アンプで
電圧に変更後演算回路に入力した。
【0074】上記のようにして製作した放射光位置モニ
ター(検出部:15φ×0.2mm)を、ビームライン
に設置し試験を行った。このモニターは表裏の電極がそ
れぞれ対になって4個の放射光検出素子となっている。
それぞれに電圧を印加し、4個の出力から放射光の位置
を検出する。通常は中央部に約1mmφのビームが紙面
に垂直に入射するが、ビームがビームラインの中心から
ずれた場合、上述した式、からビームの位置のずれ
を検出することができる。
【0075】本実施例における放射光施設、挿入光源の
仕様は、電子ビームエネルギー:6.5GeV、電子ビ
ーム電流50mA、光源:アンジュレーター、フラック
ス密度〜1×1016photons/s mrad 2 0.1%b.
w. であった。この光源のビーム位置モニターとして試
験したところ、ビームを入射した時の4個の電極対の合
計の最大電流は、約1mAであった。表裏の電極間に印
加した電圧は400Vであった。また、x軸及びy軸方
向とも10μm以下の位置分解能が得られた。また出力
値をアンジュレーターにフィードバックすることにより
高速にビーム位置を制御することができた。
【0076】また上述した構成の放射光位置モニター1
0は、ダイヤモンド板12や電極対14をそのまま、高
真空中に直接設置することができ、ダイヤモンドの特性
から高出力の放射光に長時間耐え(耐放射線性および耐
熱性に優れ)、放射光に対する応答速度が高く、透明度
の高い薄いダイヤモンド板を使用することにより放射光
の損失や散乱が少なく(透過性が高く)放射線を使用し
ながら位置を計測する(オンライン計測)ことができ、
ビームラインの中心に対する対称性が高いことから位置
検出精度が高く、かつ近年開発された薄膜ダイヤモンド
を利用できることから比較的製作が容易で安価である。
【0077】以下、別の実施例により本発明を具体的に
説明する。 〔実施例2,電流検出用金属電極および貫通穴を設けた
例〕 図4は本発明の第2実施例を示す図であって(a)は傍
瞰図、(b)は(a)の断面図である。図4において、
21はダイヤモンド板、23と23′、24と24′、
25と25′及び26と26′はそれぞれ対をなす電流
検出用金属電極の組を示す。また、ダイヤモンド板の中
央には貫通穴22を有する。
【0078】次に本発明の放射光位置モニターの製造方
法を説明すると、図8に示すようにまず平板状のダイヤ
モンド板を用意し〔図8の(a)〕、その表裏に金属電
極を配置する〔図8の(b)〕。このとき、表裏同一の
位置に電極を形成することが好ましい。この電極は、表
裏同じ位置に形成した組の間に電圧を印加し、放射光が
ダイヤモンドに入射した時にダイヤモンド中に発生する
キャリアを電流として検出するためのものであり、表裏
のペアで一つの放射光検出素子として機能する。放射光
の位置をモニターするためには最低限2組の放射光検出
素子が必要であり、好ましくは4組以上である。本実施
例における製造法を以下に示す。
【0079】φ20mm×t2.5mmのSi基板上の
中心上に直径1mmφのTi薄膜を0.5μm厚さに予
め成長させておいた。該Si基板のTi薄膜を設けた側
の表面に、マイクロ波プラズマCVD法によりダイヤモ
ンドを260μm厚さに成長させた。原料として、1.
5%CH4 −H2 混合ガスを250sccm、Arガス
を45sccm供給し、圧力80Torr、基板温度9
00℃、マイクロ波出力は800Wで、140時間成長
させた。
【0080】ダイヤモンド成長後、Si基板とTi膜を
溶解除去し、その中心に直径1mmφの孔が開いたφ2
0mm×t0.26mmのダイヤモンド多結晶板(抵抗
率:3.3×109 Ωcm)を得た〔図8の(a)〕。
この後、メタルマスクを用いた真空蒸着により、図8の
(b)に示すようにTi/Pt/Auの電極23〜26
及び23′〜26′を両面に計8箇所形成した。
【0081】上記のようにして作成したダイヤモンド放
射光位置モニター(φ20mm×t0.26mm)30
を、図7に示すようにSOR光のフロントエンド部に設
置した。このモニターは表裏の電極がそれぞれ対になっ
て4組の放射光検出素子から構成されるものとみなすこ
とができる。それぞれの組に電圧を印加した時に得られ
る出力電流からビームの位置ぶれを検出する。通常は中
央部に図13に示すような強度分布のビームが図4の
(a)において紙面に垂直な方向に入射するが、ビーム
が中心からずれた場合、上記各電流に流れる電流値が変
化し、前記の ,式により重心を求めることによっ
てビームの位置(ずれ)を検出することができる。
【0082】ビームの位置ずれが検出されると、その信
号を挿入光源にフィードバックすることによりビームの
位置補正が可能となる。
【0083】このようにして作成したビーム位置モニタ
ーを用いて実施例1と同様の条件で試験を行ったとこ
ろ、実施例1と同様に非常に高速高精度という良好を結
果が得られた。また、放射光のほとんどはモニター中央
に貫通した孔の中を通過するため、モニターの後方でも
そのパワーの減衰は少なく、またモニターの下流側への
散乱等も認められなかった。3週間の使用の後も検出感
度、位置制御性に変化はなく、装置から取り出してみた
ところ、ダイヤモンド、金属電極ともに放射光による損
傷はほとんど認められなかった。
【0084】〔実施例3:Bドープ導電層ダイヤモンド
電極および貫通穴を設けた例〕 図5は本発明の第3実施例を示す図であって(a)は傍
瞰図、(b)は(a)の断面図である。図5の例ではダ
イヤモンド板21の両面に図4の金属電極に代えて導電
層であるダイヤモンド電極28が形成され、該導電層に
それぞれ信号読み出し用金属電極23〜26及び23′
〜26′を設けた構造を示す。図4の場合と同様に表裏
同一位置に最低限2組以上、好ましくは4組の導電層を
設ける。
【0085】本実施例における製造法を以下に示す。φ
20mm×t2.5mmで中心にφ1mm×t0.5μ
mのTi薄膜を予め成長させてあるSi基板上に、実施
例2と同様の条件のマイクロ波プラズマCVD法により
ダイヤモンドを厚さ250μm成長させた。この後、一
旦CVD装置より取り出し、図9の(a)に示すように
ダイヤモンド膜21の表面に、金属Moをマスク27と
して0.3μm厚さに蒸着した。その後、マイクロ波プ
ラズマCVD法により、原料ガスとして500ppmB
2 H6 −H2 混合ガスを3sccm加えた他は、実施例
2と同様の条件にして、Bドープダイヤモンド層の導電
層(Bドープ層)28として厚さ約15μm形成した。
SIMS(Secindary Ion Mass Spectroscopy )によ
り、ドープ濃度を調べたところ、8×1016/cm3
あった。
【0086】次にSi基板と金属Moからなるマスク2
7を溶解除去し、ダイヤモンド膜21の反対面にもMo
金属のマスク形成と厚さ約15μmのBドープ層形成を
上記と同様に行った。以上により得られた図9の(b)
に示すような、表裏両面に15μm厚さのBドープ層2
8を有し、中心にφ1mmの孔22の開いたφ20m
m、厚さ250μmのダイヤモンド板に、メタルマスク
を用いた真空蒸着により、図9の(c)に示すようにT
i/Pt/Auの電極23〜26及び図示は省略した電
極23′〜26′を両面で計8箇所形成した。
【0087】このようにして作成したBドープ導電層付
きの放射光位置モニターを用いて、実施例1と同様の条
件で使用した。その結果、非常に高速、高精度という良
好な結果が得られた。また、検出信号のSN比がBドー
プ層の無い場合より向上し、総合的に実施例1、2に記
載のモニターより高性能であった。
【0088】〔比較例1〕 図10の(a),(b)に概略断面図を示す従来のW
(タングステン)を用いたブレード型の放射光位置モニ
ター31を用いて、上記実施例2と同様の条件でモニタ
ーをしてみたところ、感度、位置検出精度、検出速度の
いずれについても本発明品の方が高性能であった。
【0089】〔実施例4〕 実施例2で用いたφ20mm×t2.5mmのSi基板
を、1/4等分した図6に示す扇形にしたSi基板を用
いた他は、実施例2と同様にしてダイヤモンドを250
μm厚さに成長させた。Si基板を除去した後、図6に
示すような形状で金属電極を実施例2と同様にダイヤモ
ンド膜の両面に形成することにより、扇形の放射光検出
素子を4個作製した。この4個の放射光検出素子を全体
で実施例2のモニターと同じ外径の円板状になるように
配置して、実施例2と同条件でモニターとして用いてみ
たところ、感度、検出速度、耐久性については実施例2
と同様の良好な結果が得られたが、位置精度は実施例2
より若干劣っていた。また、4個の検出素子をセットの
後、それぞれの検出素子の配置の精密測定を別途行う必
要があった。このことから、1枚のダイヤモンド板をマ
スクにより等分割して数個の検出素子を形成する方が1
/4分割したダイヤモンドを用いたものより優れている
といえる。すなわち、1枚のダイヤモンド板に複数の検
出素子を形成した構造の方が優れている。
【0090】このように、本発明においては金属または
導電層ダイヤモンド電極の組と複数有するダイヤモンド
板、即ち単一のダイヤモンド板上に複数の放射光検出素
子が形成されたものを放射光位置モニターとして、これ
を図7に示すように加速リングからの放射光のビームラ
インに垂直に配置し、電極の組の間に電圧を印加する
と、放射光がダイヤモンドに入射して発生したキャリア
による電流を検出する複数の放射光検出素子として機能
し、各々の検出素子の出力の大小から、放射光の重心を
算出することができ放射光位置モニターとして使用する
ことができる。即ち、電極に取り付けたリード線より演
算装置に信号を送り、該演算装置において放射光の重心
を算出し、得られた結果を位置制御装置にフィードバッ
クして放射光の方向を調整することによりビーム位置を
精密に制御できる。
【0091】本発明の放射光位置モニターは前記したダ
イヤモンドの利点である、高い耐放射性、高温条件下で
の良好な電気的、機械的特性、低ノイズ、高SN比、p
n接合が不要の単純な構造という利点をそのまま有して
いる。即ち、検出部がSiのようにpn接合近傍の空乏
層だけでなく、ダイヤモンド全体で電子正孔対を発生す
るから高感度である。また、生じたキャリアの移動度が
大きいので高速である。また、ダイヤモンドであるから
耐熱性に富み、放射孔により生じる熱負荷も高い熱伝導
率により軽減される。
【0092】
【発明の効果】上述したように、本発明によれば、耐
熱、耐放射線性に優れた高速、高感度な放射光モニター
が安価に得られる。またこのようにして得られた複数の
電極対をもつダイヤモンド板を用い、これを放射光に垂
直に配置することにより、放射光の位置モニターとして
用いることができる。
【0093】更に検出部がシリコン(Si)等のように
pn接合の近傍の空乏層だけでなく、ダイヤモンド全体
で電子正孔対を発生するから高感度である。また、生じ
たキャリアの移動度が大きいので高速である。また、ダ
イヤモンドであるから耐熱性および耐放射線性に富み、
放射光により生じる熱負荷も高い熱伝導率により軽減さ
れる。
【0094】なお、本発明は上述した実施例に限定され
ず、例えば炭酸ガスレーザやエキシマレーザのような高
出力レーザ光の位置モニターとして用いる等、本発明の
要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論であ
る。
【0095】従って、本発明の放射光位置モニターは、
位置検出精度が高く、高出力の放射光に長時間耐え
(耐放射線性および耐熱性に優れ)、放射光に対する
応答速度が高く、偏向電磁石からのバックグラウンド
の影響を受けにくく、放射光の損失や散乱が少なく
(透過性が高く)、放射を使用しながら位置を計測す
る(オンライン計測)ことができ、 メンテナンスが
容易で長期間安定に作動し、比較的製作が容易で安価
であり、かつ高真空中に直接設置することができる、
等の優れた効果を有する。
【0096】また、以上説明したように、本発明は耐
熱、耐放射線性に優れ、高速応答、高感度でしかも製造
が容易で安価な放射光位置モニターであり、しかもビー
ムラインへの設置、調整、補修も非常に簡便である。ダ
イヤモンドとして気相合成多結晶ダイヤモンドを使用す
れば、一層の製造コスト低減を実現できる。更に、本発
明の放射光位置モニターは、ダイヤモンドの高強度、高
熱伝導性、耐放射線性を利用して窓材を併用した用途に
おいての使用も有効であるし、放射光以外の放射線モニ
ターとしての利用も勿論可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による放射光位置モニターの第1実施例
を示す全体構成図である。
【図2】図1のA−A線における部分矢視図である。
【図3】第4実施例を示す図2と同様の図である。
【図4】本発明の第2実施例の概略説明図である。
【図5】本発明の第3実施例の概略説明図である。
【図6】実施例4の位置モニターとその製造工程を説明
する概略図である。
【図7】本発明の放射光位置モニターをビームラインに
設置して放射光をモニタリングする構成の一例を示す概
略模式図である。
【図8】本発明の第2実施例の位置モニターとその製造
工程を説明する概略図である。
【図9】本発明の第3実施例の位置モニターとその製造
工程を説明する概略図である。
【図10】比較例1で用いた従来のWを用いたブレード
型放射光位置モニターの概略断面図である。
【図11】放射光設備の模式的構成図である。
【図12】挿入光源(アンジュレーター及びウィグラ
ー)の概略図である。
【図13】放射光の空間的な強度分布図である。
【図14】従来の放射光位置モニターの概略図である。
【符号の説明】
1 電子銃 2 線型加速器 3 シンクロトロン 4 蓄積リング 5 ビームライン 6 放射光実験機器 7 電子ビーム 8 放射光 9 電子ビーム 10 放射光位置モニター 11 放射光 12 ダイヤモンド板 14 電極対 14a 信号取り出し用電極 16 電流計測装置 17 直流電源 18 演算装置 19 フィードバック装置 20 直線導入装置 20a 挟持部 20b 駆動部 21 ダイヤモンド板(ダイヤモンド自立膜) 22 孔 23,23′ 金属電極1 24,24′ 金属電極2 25,25′ 金属電極3 26,26′ 金属電極4 27 マスク 28 導電性ダイヤモンド 29 Ti薄膜 31 従来の放射光位置モニター 32 放射光
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 喜之 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住 友電気工業株式会社 伊丹製作所内 (72)発明者 田辺 敬一朗 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住 友電気工業株式会社 伊丹製作所内 (72)発明者 栄 久晴 神奈川県横浜市磯子区新中原町1番地 石川島播磨重工業株式会社 横浜エンジ ニアリングセンター内 (56)参考文献 特開 平1−199188(JP,A) 特開 平4−145668(JP,A) 特開 平4−93686(JP,A) 特開 平5−249248(JP,A) 特開 平7−82081(JP,A) 特開 平6−326422(JP,A) 特開 平7−294654(JP,A) 特開 平4−38490(JP,A) 特開 昭62−198780(JP,A) 特開 昭51−16981(JP,A) 特開 昭61−283172(JP,A) 実開 平4−131800(JP,U) 米国特許3612858(US,A) 米国特許5387795(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01T 1/29 C30B 29/04 G01T 1/24

Claims (15)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 放射光を遮って配置される単一のダイヤ
    モンド板と、該単一のダイヤモンド板の両面に配置され
    た複数の電極対とを有することを特徴とする放射光位置
    モニター。
  2. 【請求項2】 前記電極対に電圧を印加する直流電源
    と、そこを流れる電流を計測する電流計測装置と、を備
    えることを特徴とする請求項1に記載の放射光位置モニ
    ター。
  3. 【請求項3】 前記複数の電極対は、放射光の所定の交
    差位置に対して対称に配置されている、ことを特徴とす
    る請求項1、2に記載の放射光位置モニター。
  4. 【請求項4】 前記電流から放射光の位置を算出する演
    算装置を更に備える、ことを特徴とする請求項1、2に
    記載の放射光位置モニター。
  5. 【請求項5】 前記ダイヤモンド板の周辺を冷却する冷
    却装置を更に備える、ことを特徴とする請求項1、2に
    記載の放射光位置モニター。
  6. 【請求項6】 前記放射光の算出位置から放射光の位置
    を制御するフィードバック装置を更に備える、ことを特
    徴とする請求項1、2に記載の放射光位置モニター。
  7. 【請求項7】 前記ダイヤモンド板は、気相合成法によ
    り製造されたことを特徴とする請求項1、2に記載の放
    射光位置モニター。
  8. 【請求項8】 前記ダイヤモンド板は、単結晶ダイヤモ
    ンドまたは多結晶ダイヤモンドからなる、ことを特徴と
    する請求項1、2、に記載の放射光位置モニター。
  9. 【請求項9】 前記ダイヤモンド板の抵抗率が107 Ω
    cm以上、10 12 Ωcm未満であることを特徴とする請
    求項1、2、に記載の放射光位置モニター。
  10. 【請求項10】 前記ダイヤモンド板が中央部に穿孔ま
    たは膜厚の薄い部分を有してなることを特徴とする請求
    項1、2、からに記載の放射光位置モニター。
  11. 【請求項11】 前記ダイヤモンド板の電極対は、低抵
    抗率層であることを特徴とする請求項1、2、から
    に記載の放射光位置モニター。
  12. 【請求項12】 前記抵抗率の低い低抵抗率層の抵抗率
    が10-3〜102 Ωcmであることを特徴とする請求項
    11に記載の放射光位置モニター。
  13. 【請求項13】 前記抵抗率の低い低抵抗率層はBをド
    ーピングされたものであることを特徴とする請求項
    12に記載の放射光位置モニター。
  14. 【請求項14】 前記抵抗率の低い低抵抗率層がBを1
    16個/cm3 以上、8×10 16 /cm 3 未満ドーピン
    グされたものであることを特徴とする請求項1113
    に記載の放射光位置モニター。
  15. 【請求項15】 放射光を遮って単一のダイヤモンド板
    を配置し、該単一のダイヤモンド板の両面に複数の電極
    対を配置し、該電極対に電圧を印加しその間を流れる電
    流を計測し、該電流から放射光の位置を検出する、こと
    を特徴とする放射光の位置検出方法。
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