JP3394979B2 - 関節角の計測方法及びその装置 - Google Patents

関節角の計測方法及びその装置

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JP3394979B2
JP3394979B2 JP12872198A JP12872198A JP3394979B2 JP 3394979 B2 JP3394979 B2 JP 3394979B2 JP 12872198 A JP12872198 A JP 12872198A JP 12872198 A JP12872198 A JP 12872198A JP 3394979 B2 JP3394979 B2 JP 3394979B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、人もしくはロボッ
ト等の関節の両側に位置する2つの枝部間の角度または
関節により接合される枝部と基部との間の角度を求める
関節角の計測方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、人の運動を様々な方法で計測
し、解析することが行われている。計測により得られた
データは、スポーツ技能の向上やジェスチャー認識によ
るヒューマンインターフェースの開発に用いられたり、
産業面では、製品の使用時における人の動きや作業によ
る負担の分析、労働環境評価等の分野で応用されてき
た。医療の分野では、リハビリテーションによる成果の
指標化や義肢の制作、調整といったことにも利用されて
いる。また、様々な疾患の原因究明等に際して、その疾
患等を生じた際にどのような運動を行っていたか、その
運動が生理的にどのような影響を及ぼしたかを知ること
は極めて重要である。
【0003】人の運動の計測方法としては、何を計測す
るかに応じて、様々な方法が考えられてきた。人が広い
空間内においてどの位置にいるかを測定するのであれ
ば、人を一つの点とみなしてその点をマッピングすると
いう方法が用いられるが、指の関節角等のより細かな計
測においては分度計等が用いられる。また、人の動作や
行動を計測して解析するには、関節の回りでの上腕部や
前腕部等の運動を計測する必要がある。このときの計測
方法としては、非接触式のものとしてビデオカメラ等を
用いた光学的方法や磁気センサによるもの等が挙げられ
る。一方、接触式の計測方法として、回転式電気角度計
や伸縮性のある電気抵抗を使用した角度計等がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記光学的方法は、近
年におけるビデオカメラの性能向上や画像の解析方法の
進歩に伴い、人の運動をかなり正確に計測できるように
なっている。しかし、マーカ等を付けて計測を行う場合
は、マーカのずれや隠れ等の問題がある。また、磁気セ
ンサを用いた計測においては、計測範囲内に金属等の磁
気に影響を与えるものがあると、正確に計測ができない
等の問題がある。さらに、これらの手法は、非接触とい
う利点はあるが、被験者の行動範囲が制限されるといっ
た問題がある。また、上記電気角度計や電気抵抗による
計測は、関節に沿って装着するため、被験者の関節運動
が拘束されたり、急激な関節運動に対して計器が破損し
やすい問題がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決し、行動範囲や関節運動等を拘束することなく、移動
を伴う関節運動を正確に計測することのできる関節運動
の計測方法及びその装置を提供することを目的とする。
そのため、本発明の請求項1の移動を伴う関節角の計測
方法は、移動を伴う1軸関節により接合された2つの枝
部における上記1軸関節の近傍夫々で移動による力学的
なベクトル(例えば加速度)を計測し、上記2つの枝部
の各計測位置におけるベクトルを1軸関節近傍で計測し
ていることにより互いに略等しいものとして上記2つの
枝部間の角度を算出することを特徴とするものである。
【0006】1軸関節の回りで屈曲運動をする時、1つ
の枝部が上記1軸関節の回りで回転する。この場合、上
記1つの枝部におけるベクトルの計測は1軸関節の近傍
で行われるので、上記回転運動によるベクトルはほとん
ど生じないものとすることができる。また、今1つの枝
部が上記1軸関節と反対側の端部を中心に回転運動を行
った時、上記2つの枝部でのベクトルの計測は1軸関節
の近傍で行われるので、上記2つの枝部でのベクトルは
略等しいものとすることができ、このことを利用して上
記2つの枝部の間の角度、つまり、関節角を求めること
ができる。
【0007】ここで、「1軸関節」とは、例えば、人の
肘または膝のように1方向のみの屈曲(回転)のみが可
能な関節をいい、「1軸関節」が人の肘である場合、上
腕部が1つの「枝部」に、前腕部が今1つの「枝部」に
該当する。また、「1軸関節」が膝である場合、腿の部
分が1つの「枝部」に、脛の部分が今1つの「枝部」に
該当する。なお、1軸関節は1方向のみに屈曲可能なも
のであれば、人以外の動物の関節やロボットアームの関
節等であってもよく、ロボットアームの場合、その1軸
関節の両側に位置する2つのアーム部が2つの「枝部」
に該当する。
【0008】請求項2の移動を伴う関節角の計測方法
は、移動を伴う3軸関節により接合された基部と枝部ま
たは移動を伴う3軸関節により接合された2つの枝部に
おける上記3軸関節の近傍夫々で移動による加速度ベク
トルと重力加速度ベクトルとを計測し、上記基部と枝部
の各計測位置または上記2つの枝部の各計測位置におけ
上記加速度ベクトルを3軸関節近傍で計測しているこ
とにより互いに略等しいものとして、該加速度ベクトル
と上記重力加速度ベクトルとに基づいて上記基部と枝部
間または上記2つの枝部間のX、Y及びZ方向の角度を
算出することを特徴とするものである。
【0009】ここで、「3軸関節」とは、人の肩または
股関節のように、2方向の屈曲(回転)及び捩じりが可
能な関節をいい、例えば、3軸関節が人の肩である場
合、人の胴体が「基部」に該当し、前腕部が「枝部」に
該当し、3軸関節が「股関節」である場合、胴体が「基
部」に該当し、腿の部分が「枝部」に該当する。また、
3軸関節は人以外の動物やロボットアーム等の3軸関節
であってもよく、且つ3軸関節は、必ずしも基部と枝部
間に位置していなくても、2つの枝部間に位置していて
もよい。
【0010】請求項3の移動を伴う関節角の計測方法
は、請求項1の方法において、上記力学的なベクトルが
速度、加速度、または角加速度を含むことを特徴とする
ものである。
【0011】請求項4の移動を伴う関節角の計測装置
は、移動を伴う1軸関節により接合された2つの枝部に
おける上記1軸関節の近傍に各々着脱自在に取り付けら
て移動による力学的なベクトルを計測する第1及び第
2計測手段と、これらの第1及び第2計測手段で計測さ
れるベクトルを1軸関節近傍で計測していることにより
互いに略等しいものとして上記2つの枝部間の角度を算
出する算出手段とを備えたことを特徴とするものであ
る。
【0012】請求項5の移動を伴う関節角の計測装置
は、移動を伴う3軸関節により接合された基部と枝部ま
たは移動を伴う3軸関節により接合された2つの枝部に
おける上記3軸関節の近傍に各々取り付けられて移動に
よる加速度ベクトルと重力加速度ベクトルとを計測する
第1及び第2計測手段と、これら第1及び第2計測手段
で計測された上記加速度ベクトルを関節近傍で計測して
いることにより互いに略等しいものとして、該加速度ベ
クトルと上記重力加速度ベクトルとに基づいて上記基部
と枝部間または上記2つの枝部間のX、Y及びZ方向の
角度を算出する算出手段とを備えたことを特徴とするも
のである。
【0013】請求項6の移動を伴う関節角の計測装置
は、請求項4の構成において、上記力学的なベクトルが
速度、加速度、または角加速度を含むことを特徴とする
ものである。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の第1の実施の形態
を図面に基づいて説明する。図1に示すように、1軸関
節である人の肘2の関節運動を計測する計測装置1は、
肘2の両側の上腕部3(1つの枝部)及び前腕部4(今
1つの枝部)に各々巻付状態で取り付けられる可撓性支
持具としてのサポータ5、6と、各サポータ5、6上に
設けられた第1及び第2加速度センサ7、8(第1及び
第2計測手段)と、これら第1及び第2加速度センサ
7、8に接続される、図示しないコンピュータ等からな
る算出手段とを備えてなるものである。
【0015】第1及び第2加速度センサ7、8は、各々
その主平面に平行なX方向の加速度(力学的なベクト
ル)と主平面と直交するY方向の加速度(力学的なベク
トル)とを検出できるものであり、肘2の回りの関節角
の測定に際して、前述のように、肘2の近傍における上
腕部3及び前腕部4に取り付けられ、且つX、Y平面同
士が平行となるように取り付けられる。
【0016】ここで、第1加速度センサ7により検出さ
れる加速度をa、そのX方向の加速度成分をax1、Y方
向の加速度成分をay1とし、第2加速度センサ8により
検出される加速度をa’、そのX方向の加速度成分をa
x2、Y方向の加速度成分をa y2とすると、前述のよう
に、第1及び第2加速度センサ7、8がともに肘2の近
傍に取り付けられていることから、aとa’はほぼ等し
くなる。
【0017】a=a’とすると、第1及び第2加速度セ
ンサ7、8の加速度成分(ax1、a y1)と(ax2
y2)の関係は図2のように表すことができる。但し、
θは上腕部2と前腕部3との間の関節角であり、第1及
び第2加速度センサ7、8のX成分同士ax1、ax2のな
す角度、Y成分同士ay1、ay2同士のなす角度も各々θ
となる。これにより、(ax1、ay1)と(ax2、ay2
との関係は、以下の数1中の行列式(1)で表される。
【0018】
【数1】
【0019】上記行列式(1)を解くことにより、以下
の数2中(2)及び(3)に示す連立方程式が得られ、
これを解くことにより、(4)式に示すように、関節角
θを求めることができる。従って、肘2の回りの関節角
θの計測に際しては、第1及び第2加速度センサ7、8
で各々加速度のX、Y成分(ax1、ay1)及び(ax2
y2)を計測し、これらの計測値を上記算出装置に送信
して(4)式による演算を行うのみでよい。
【0020】
【数2】
【0021】上記第1及び第2加速度センサ7、8とし
ては、具体的には容量型の3軸加速度センサ(例えば、
住友精密工業株式会社製のC3A−02−30)等を用
いることができる。この容量型の3軸加速度センサは静
電容量の変化を電圧に変換するもので、加速度をX、
Y、Zの3軸成分に分解して検出することが可能であ
る。なお、本実施の形態は、1軸関節の回りの関節角を
求めるものであるから、第1及び第2加速度センサ7、
8は、X、Yの2軸成分に分解して検出できるものであ
ってもよい。また、上記図示しない算出装置として、コ
ンピュータを用いた場合、第1及び第2加速度センサ
7、8と上記コンピュータとの間に適宜のA/D変換器
を配置すればよい。このコンピュータとしては、被験者
の身体に装着可能な程度の小型のものを用いることも可
能である。
【0022】次に、テストアーム(ロボットアーム)を
用いて、本実施の形態の計測装置1で算出した関節角
と、通常の角度センサで検出した関節角とがどの程度一
致しているかを試験した結果を示す。図3に示すよう
に、テストアーム10は、基部11と2つの枝部12、
13からなり、2つの枝部12、13間の第1関節14
及び基部11と枝部12間の第2関節15はともに1軸
関節として構成されるとともに、第1及び第2関節1
4、15には各々図示しない通常の角度センサ(ポテン
ショメータ)が設けられている。枝部12、13は長さ
が約30cm、厚さが3mmのアクリル板で形成され、
第1関節14の高さは約30cmである。また、第1関
節14の近傍の2つの枝部12、13には各々第1及び
第2加速度センサ7、8が取り付けられる。
【0023】図4に測定結果を示す。この測定において
は、第2関節15の回りで枝部12を2回屈曲、伸展さ
せる間に第1関節14の回りで枝部13を数回屈曲、伸
展させ。図4中の曲線Iは第1関節14に設けた角度セ
ンサにより求めた2つの枝部12、13間の関節角、曲
線IIは本実施の形態の計測装置1により求めた枝部1
2、13間の関節角、曲線III は第2関節15に設けた
角度センサにより求めた基部11と枝部12との間の関
節角(枝部12が水平方向に対してなす角度)である。
この結果から、本実施の形態の計測装置1による計測結
果は従来の角度センサによる計測結果とほぼ合致してお
り、計測装置1による計測精度は充分に高いものである
ことを証明している。
【0024】図5及び図6に上記計測装置1の第1及び
第2加速度センサ7、8を実際に肘2の近傍の上腕部3
と前腕部4に取り付けて、上腕部3と前腕部4との間の
関節角を測定した結果を示す。図5は肘2を地面に対し
て垂直な平面内でほぼ一定の周期で屈曲、伸展を繰り返
した場合の時間経過と関節角との関係を示し、図6は肘
2を地面と平行な平面内でほぼ一定の周期で屈曲、伸展
を繰り返した場合の時間経過と関節角との関係を示す。
【0025】なお、上記実施の形態では、肘2の近傍の
上腕部3側及び前腕部4側で各々加速度を計測して両者
が互いに略等しいものとすることにより、肘2の回りの
関節角を算出するようにしたが、肘2の近傍の上腕部3
側及び前腕部4側で、各々加速度以外の他の力学的なベ
クトル、例えば、速度、加速度、または角加速度を計測
し、上腕部3側及び前腕部4側における上記ベクトルが
互いに略等しいものとすることによっても、肘2の回り
の関節角の算出が可能である。
【0026】さらに、肘2の近傍の上腕部3及び前腕部
4で各々2種類以上のベクトルを計測し、予め定めた条
件に基づいて、いずれかのベクトルを選択的に使用する
ことにより、関節角を算出することも可能である。例え
ば、上述のように、関節角を求めるためのベクトルとし
て加速度を用いた場合、肘関節が屈曲、伸展を行う平面
内に加速度が生じない場合は、関節角の算出が不可能で
あり、加速度が小さい範囲では正確な関節角の算出が困
難となる。
【0027】すなわち、実際の計測においては、第1及
び第2加速度センサ7、8を取り付けているサポータ
5、6の伸縮作用によって、個々の加速度センサ7、8
に固有の加速度が生じるため、2つの加速度センサ7、
8に同時に生じる共有の加速度が小さくなると、固有の
加速度の影響が大きくなり、正確な関節角の計測が難し
い。
【0028】そのため、第1及び第2加速度センサ7、
8で検出される加速度が一定値(例えば、0.4G)以
上の場合は加速度に基づいて関節角を算出し、第1及び
第2加速度センサ7、8で検出される加速度が一定値未
満の場合、加速度以外の他のベクトル、例えば、角速度
に基づいて関節角を算出するようにすることもできる。
この場合、上腕部3側及び前腕部4側に、各々加速度セ
ンサ7、8以外に角速度検出用のジャイロセンサを取り
付けておけばよい。なお、上記計測装置1を用いた関節
角の計測は、肘2以外の人の膝等の他の1軸関節や、動
物、ロボット等の1軸関節における関節角の計測にも利
用できることはいうまでもない。
【0029】次に、本発明の第2の実施の形態を説明す
る。図7に示すように、3軸関節である人の肩関節の回
りの関節角を計測する計測装置16は、胴体17(基
部)における肩の近傍に取り付けられる可撓性支持具と
してのサポータ18と、上記肩の近傍の上腕部3に取り
付けられるサポータ19とを備え、サポータ18、19
上には各々第1及び第2加速度センサ20、21(第1
及び第2計測手段)が設けられるとともに、これらの加
速度センサ20、21の計測データに基づいて、上記胴
体に対する上腕部3のX、Y、Z方向の角度を求めるコ
ンピュータ等の算出手段(図示せず)が設けられてい
る。
【0030】第1加速度センサ20は、そのZ軸が胴体
17の上下方向に、Y軸が胴体17の前後方向に、X軸
が胴体17の左右方向を向くように胴体17に装着され
る。また、第2加速度センサ21は、上腕部3を自然に
胴体17の側方に沿って降ろした状態で、そのX、Y、
Z軸が第1加速度センサ20のX、Y、Z軸と一致する
ように上腕部3に装着される。
【0031】以下、肩関節22の回りの関節角の計測方
法につき説明する。胴体17側の第1加速度センサ20
のX、Y、Z軸を基準座標系{A}とし、上腕部3側の
第2加速度センサ21のX、Y、Z軸を運動座標系
{B}とすると、胴体17に対する上腕部3の運動は、
上記基準座標系{A}と運動座標系{B}の位置関係に
よって表され、図7の状態では基準座標系{A}と運動
座標系{B}は一致している。
【0032】図8に示すように、上腕部3を回転させる
と、それに伴って、運動座標系{B}が基準座標系
{A}に対してX、Y、Z方向へ回転することになる
が、この時、運動座標系{B}は基準座標系{A}のZ
軸についてφ、Y軸についてθ、X軸についてψだけ回
転させたものであるとして、2つの座標系の回転移動を
表現する。また、上腕部3の動きをより理解しやすいも
のとして表現するために、図9に示すように、上述の
ψ、φ、θを用いて、胴体17に対する挙上角α、前後
方向移動角βを求めることにする。
【0033】次に、運動座標系{B}を基準座標系
{A}と一致した状態からZ軸、Y軸、X軸について順
次回転移動させる場合の、回転変換行列を求める。ま
ず、Z軸についてφ回転させる時の回転変換行列は、以
下の数3中の(5)式で表される。
【数3】
【0034】次に、運動座標系{B}をY軸についてθ
回転させる場合の回転変換行列は、次の数4中の(6)
式で表される。
【数4】
【0035】続いて、運動座標系{B}をX軸について
φ回転させる場合の回転変換行列は、次の数5中の
(7)式で表される。
【数5】
【0036】従って、Z軸、Y軸、X軸についての回転
移動を順次行った時の回転変換行列Rzyx は以下の数6
中の(8)式のように表される。
【数6】
【0037】次に、胴体17側の第1加速度センサ20
で計測される加速度のX、Y、Z成分を(ax1、ay1
z1)、上腕部3側の第2加速度センサ21で計測され
る加速度のX、Y、Z成分を(ax2、ay2、az2)とす
る。1軸関節の場合と同様、第1及び第2加速度センサ
20、21は肩関節の近傍に取り付けられており、第1
及び第2加速度センサ20、21に生じる加速度は略等
しいものとできるので、加速度成分(ax1、ay1
z1)と(ax2、ay2、az2)の関係は、上記回転変換
行列Rzyx を用いて、次の数7中の(9)式のように表
される。この(9)式は不定であり、(9)式のみから
φ、ψ、θを決定することはできない。
【0038】
【数7】
【0039】このため、本発明では、第1及び第2加速
度センサ20、21で計測されるX、Y、Zの3方向の
加速度成分を、図10に示すようなCRフィルタ23で
フィルタリングすることにより、重力加速度成分を取り
出した。このときの、胴体17に装着した第1加速度セ
ンサ20から得られる重力加速度成分を(gx1、gy1
z1)、上腕部3に装着した第2加速度センサ21から
得られる重力加速度成分を(gx2、gy2、gz2)とする
と、2つの重力加速度成分の関係は、元の加速度成分と
同様に上記回転変換行列Rzyx を用いて、次の数8中の
(10)式のように表される。上記(9)式とこの(1
0)式とに基づいて、φ、ψ、θを決定した。
【0040】
【数8】
【0041】上腕部3の運動をより理解しやすくするた
めに用いた上記挙上角α、前後方向移動角βの算出方法
を以下に示す。上腕部3に装着した第2加速度センサ2
1は、Z軸が肩から上腕部3方向を向くように装着され
ているので、上腕部3に装着した第2加速度センサ21
のZ軸が胴体17に対していかなる方向であるかを表せ
ばよい。運動座標系{B}のZ軸は基準座標系{A}に
対する方向は、回転角θ、φを用いて図9のように表さ
れる。この図9から、挙上角α、前後方向移動角βは、
次の数10中の(11)、(12)式のように表され
る。
【0042】
【数9】
【0043】次に、上記の計測装置16により、実際に
肩の回りの関節角を計測した結果を図11に示す。ここ
では、被験者が自然な立位の状態から上腕部3を体の前
方に肩の高さまで上げた後、元の立位の状態に戻す動作
を行い、その間に上記第1及び第2加速度センサ20、
21の計測値に基づいて上記3方向の回転角φ、θ、ψ
を不図示のコンピュータにより算出した。図11中曲線
IはZ軸についての回転角φ、曲線IIはY軸についての
回転角θ、曲線III はX軸についての回転角ψの時間的
変化を算出した結果を各々示している。また、上記挙上
角α、前後方向移動角βの時間的変化を上記計測装置1
6で算出したものを図12中曲線I及びIIに示す。
【0044】なお、上記の計測方法において、被験者が
静止している時は、上記(9)式で表される加速度成分
と、(10)式で表される重力加速度成分とが等しくな
り、関節角を決定することができなくなる。そのため、
上記加速度成分と重力加速度成分との差がある一定値よ
り小さくなって両者が略等しくなった場合、関節角の変
化が生じていないものとみなして、加速度成分と重力加
速度成分との差が上記一定値より小さくなる直前の関節
角をそのまま維持しているものとすればよい。
【0045】また、上記計測装置16を用いた関節角の
計測は、人の股関節等の他の基部(胴体17)と枝部
(腿の部分)間の3軸関節や、足首の関節等の2つの枝
部間の3軸関節、さらに、動物やロボット等の3軸関節
における関節角の計測にも利用できることはいうまでも
ない。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の請求項1
移動を伴う関節角の計測方法は、移動を伴う1軸関節
により接合された2つの枝部における上記1軸関節の近
夫々で移動による力学的なベクトルを計測し、上記2
つの枝部の各計測位置におけるベクトル(例えば加速度
等)を1軸関節近傍で計測していることにより互いに略
等しいものとして上記2つの枝部間の角度を求めるもの
であるから、従来の各種計測方法と異なり、計測中にお
ける被験者等の行動範囲が制限されたり、関節の運動が
拘束されることがなく、且つ被験者等が移動中であって
も1軸関節の関節角を正確に測定することが可能にな
る。
【0047】請求項2の移動を伴う関節角の計測方法
は、移動を伴う3軸関節により接合された基部と枝部ま
たは移動を伴う3軸関節により接合された2つの枝部に
おける上記3軸関節の近傍夫々で移動による加速度ベク
トルと重力加速度ベクトルとを計測し、上記基部と枝部
の各計測位置または上記2つの枝部の各計測位置におけ
上記加速度ベクトルを3軸関節近傍で計測しているこ
とにより互いに略等しいものとして、該加速度ベクトル
と上記重力加速度ベクトルとに基づいて上記基部と枝部
間または上記2つの枝部間のX、Y及びZ方向の角度を
求めるものであるから、従来の各種計測方法と異なり、
計測中の行動範囲が制限されたり、関節の運動が拘束さ
れることがなく、且つ移動中であっても3軸関節の関節
角を正確に測定することが可能となる。
【0048】請求項3の移動を伴う関節角の計測方法
は、請求項1の方法において、上記力学的なベクトルが
速度、加速度、または角加速度を含むものであり、これ
らの中から任意のベクトルを使用することにより、関節
角を容易に且つ正確に計測することができる。
【0049】請求項4の移動を伴う関節角の計測装置
は、移動を伴う1軸関節により接合された2つの枝部に
おける上記1軸関節の近傍に各々着脱自在に取り付けら
て移動による力学的なベクトルを計測する第1及び第
2計測手段と、これらの第1及び第2計測手段で計測さ
れるベクトルを1軸関節近傍で計測していることにより
互いに略等しいものとして上記2つの枝部間の角度を算
出する算出手段とを備えたものであるから、従来の各種
計測装置と異なり、計測中における被験者等の行動範囲
が制限されたり、関節の運動が拘束されることがなく、
且つ被験者等が移動中であっても1軸関節の関節角を正
確に測定できるとともに、構造簡単で安価な計測装置を
提供することが可能となる。
【0050】請求項5の移動を伴う関節角の計測装置
は、移動を伴う3軸関節により接合された基部と枝部ま
たは移動を伴う3軸関節により接合された2つの枝部に
おける上記3軸関節の近傍に各々取り付けられて移動に
よる加速度ベクトルと重力加速度ベクトルとを計測する
第1及び第2計測手段と、これら第1及び第2計測手段
で計測された上記加速度ベクトルを関節近傍で計測して
いることにより互いに略等しいものとして、該加速度ベ
クトルと上記重力加速度ベクトルとに基づいて上記基部
と枝部間または上記2つの枝部間のX、Y及びZ方向の
角度を算出する算出手段とを備えたものであるから、従
来の各種計測装置と異なり、計測中における被験者等の
行動範囲が制限されたり、関節の運動が拘束されること
がなく、且つ被験者等が移動中であっても3軸関節の関
節角を正確に測定することができるとともに、構造簡単
で安価な計測装置を提供することが可能となる。
【0051】請求項6の移動を伴う関節角の計測装置
は、請求項4の構成において、上記力学的なベクトルが
速度、加速度、または角加速度を含むものであるから、
これらの中から任意のベクトルを使用することにより、
関節角を容易に且つ正確に計測することができるととも
に、構造簡単で安価な計測装置を提供することが可能に
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る計測装置を被
験者の上腕部と前腕部とに装着した状態を示す概略斜視
図。
【図2】上記計測装置を用いて関節角を求める原理を示
す説明図。
【図3】テストアームを用いて上記計測装置の計測精度
を試験する様子を示す概略正面図。
【図4】上記テストアームを用いて上記計測装置及び通
常の角度センサで関節角を計測した結果を示すグラフ。
【図5】地面に対して垂直な平面内での前腕部の回転運
動を上記計測装置で計測した結果を示すグラフ。
【図6】地面に対して平行な平面内での前腕部の回転運
動を上記計測装置で計測した結果を示すグラフ。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る計測装置を被
験者の胴体と上腕部とに装着した状態をしそ巣概略斜視
図。
【図8】図7の計測装置を装着した状態で上腕部を運動
させる様子を示す概略斜視図。
【図9】挙上角及び前後方向移動角を求める原理を示す
説明図。
【図10】加速度における重力加速度成分をフィルタリ
ングするためのCRフィルタを示す説明図。
【図11】被験者が自然な立位の状態から上腕部を胴体
の前方に肩の高さまで上げて元に戻す動作を行う際の
X、Y、Z方向の角度を図7の計測装置を用いて計測し
た結果を示すグラフ。
【図12】図11の計測時に上記挙上角及び前後方向移
動角を上記計測装置で同時に求めた結果を示すグラフ。
【符号の説明】
1、16 計測装置 2 肘(1軸関節) 3 上腕部(1つの枝部) 4 前腕部(今1つの枝部) 7、20 第1加速度センサ(第1計測手段) 8、21 第2加速度センサ(第2計測手段) 17 胴体 22 肩関節(3軸関節)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 倉田 聡 滋賀県草津市野路東1−1−1 立命館 大学 びわこ・くさつキャンパス 理工 学部内 (72)発明者 小林 秀光 兵庫県尼崎市扶桑町1番10号 住友精密 工業株式会社内 (72)発明者 香川 哲也 兵庫県尼崎市扶桑町1番10号 住友精密 工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平8−173586(JP,A) 実開 昭62−67208(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01B 21/00 - 21/32

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 移動を伴う1軸関節により接合された2
    つの枝部における上記1軸関節の近傍夫々で移動による
    力学的なベクトルを計測し、上記2つの枝部の各計測位
    置におけるベクトルを1軸関節近傍で計測していること
    により互いに略等しいものとして上記2つの枝部間の角
    度を算出することを特徴とする移動を伴う関節角の計測
    方法
  2. 【請求項2】 移動を伴う3軸関節により接合された基
    部と枝部または移動を伴う3軸関節により接合された2
    つの枝部における上記3軸関節の近傍夫々で移動による
    加速度ベクトルと重力加速度ベクトルとを計測し、上記
    基部と枝部の各計測位置または上記2つの枝部の各計測
    位置における上記加速度ベクトルを3軸関節近傍で計測
    していることにより互いに略等しいものとして、該加速
    度ベクトルと上記重力加速度ベクトルとに基づいて上記
    基部と枝部間または上記2つの枝部間のX、Y及びZ方
    向の角度を算出することを特徴とする移動を伴う関節角
    の計測方法
  3. 【請求項3】 上記力学的なベクトルが速度、加速度、
    または角加速度を含むことを特徴とする請求項1記載の
    移動を伴う関節角の計測方法
  4. 【請求項4】 移動を伴う1軸関節により接合された2
    つの枝部における上記1軸関節の近傍に各々着脱自在に
    取り付けられて移動による力学的なベクトルを計測する
    第1及び第2計測手段と、これらの第1及び第2計測手
    段で計測されるベクトルを1軸関節近傍で計測している
    ことにより互いに略等しいものとして上記2つの枝部間
    の角度を算出する算出手段とを備えたことを特徴とする
    移動を伴う関節角の計測装置
  5. 【請求項5】 移動を伴う3軸関節により接合された基
    部と枝部または移動を伴う3軸関節により接合された2
    つの枝部における上記3軸関節の近傍に各々取り付けら
    て移動による加速度ベクトルと重力加速度ベクトルと
    計測する第1及び第2計測手段と、これら第1及び第
    2計測手段で計測された上記加速度ベクトルを関節近傍
    で計測していることにより互いに略等しいものとして、
    該加速度ベクトルと上記重力加速度ベクトルとに基づい
    上記基部と枝部間または上記2つの枝部間のX、Y及
    びZ方向の角度を算出する算出手段とを備えたことを特
    徴とする移動を伴う関節角の計測装置
  6. 【請求項6】 上記力学的なベクトルが速度、加速度、
    または角加速度を含むことを特徴とする請求項4記載の
    移動を伴う関節角の計測装置
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