JP3383845B2 - 雲微物理量導出システム,雲微物理量導出処理方法およびそのプログラム記録媒体 - Google Patents

雲微物理量導出システム,雲微物理量導出処理方法およびそのプログラム記録媒体

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JP3383845B2 JP2000311658A JP2000311658A JP3383845B2 JP 3383845 B2 JP3383845 B2 JP 3383845B2 JP 2000311658 A JP2000311658 A JP 2000311658A JP 2000311658 A JP2000311658 A JP 2000311658A JP 3383845 B2 JP3383845 B2 JP 3383845B2
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創 岡本
元昭 安井
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,雲レーダとライダ
を用いて雲を構成している氷粒子の有効半径や氷水量
(IWC:Ice Water Content) といった雲粒子の微物理
特性を導出する雲微物理量導出システムに関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】地球温暖化や気候変動を予測するにあた
って,現在最大の不確定性要因の一つが雲の全球分布で
ある。特に雲は,エネルギー循環,水循環を通して地球
の気候システムに影響を及ぼしており,その影響評価に
は雲の全球での高度分布の把握,様々な高度での雲の粒
径や,氷水量,液滴水量についての正確な把握が必要と
なっている。これら雲の微物理量といわれる量の全球分
布がわかって初めて,雲によってどの程度地球が暖めら
れるか,冷却されるかという放射収支の計算が行えるよ
うになる。しかし,氷水量等の分布についても全球のデ
ータセットも存在していないのが現状である。
【0003】従来から雲レーダを用いた雲の観測や,ラ
イダを用いた雲,エアロゾルの観測が行われていたが,
レーダ反射因子や後方散乱係数から雲の高度分布等が求
まるだけで,雲を構成する氷粒子の有効半径や氷水量の
ような雲粒子の微物理特性については求めることができ
なかった。その理由を簡単に述べると,レーダ反射因子
や後方散乱係数は,雲粒子のサイズ(氷粒子の有効半
径)と粒子数とに大きく依存し,雲粒子のサイズが大き
くなると単位体積当たりの粒子数が少なくても後方散乱
係数等が大きくなり,またこの逆の場合もあり得るから
である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記問題点の
解決を図り,雲レーダやライダの2つの波長の大きく異
なるアクティブセンサを組み合わせて氷雲を観測するこ
とにより,雲を構成している氷粒子の有効半径や氷水量
(IWC) 等の雲粒子の微物理特性を導出可能にしたリ
モートセンシング技術を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】図1に,上記課題を解決
するための本発明のシステム構成の例を示す。図中の1
は,CPUおよびメモリなどからなるコンピュータ本体
とCPUが実行するソフトウェアプログラムとによって
構成される雲微物理量導出システムである。
【0006】雲微物理量導出システム1の入力は,例え
ば95GHz(波長3.16mm)を用いたレーダ2か
ら得られたレーダ観測データ4と,可視波長(波長0.
532μm)から得られたライダ3のライダ観測データ
5である。これらの波長の大きく異なるアクティブセン
サによる観測データをもとに,雲粒子の微物理量を導出
する。
【0007】データ補間部11は,レーダ観測データ4
とライダ観測データ5とを入力し,時間分解能および鉛
直分解能が一致するようにデータを補間する。雲の層決
定部12は,レーダ観測データ4とライダ観測データ5
の一方または両方から,データ値と所定の閾値との比較
によって雲の存在する層を決定する。
【0008】氷水量・有効半径計算部13は,決定した
雲底においてレーダ観測データまたはライダ観測データ
の一方の観測値を満たす氷水量および氷粒子の有効半径
の組を計算し,その中でレーダ観測データまたはライダ
観測データの他方の観測値に一致するものを算出するこ
とにより,その層における氷水量および氷粒子の有効半
径を決定する。このとき,計算を高速化するため,レー
ダ波長用Mie理論計算参照テーブル14とライダ波長
用Mie理論計算参照テーブル15とを用いる。
【0009】レーダ波長用Mie理論計算参照テーブル
14は,レーダ波長で有効半径を変化させた場合の氷粒
子に対する消散係数とレーダ反射因子のルックアップテ
ーブルである。ライダ波長用Mie理論計算参照テーブ
ル15は,ライダ波長で有効半径を変化させた場合の氷
粒子に対する消散係数とライダ後方散乱係数のルックア
ップテーブルである。これらのテーブルは,予めMie
理論によって計算された値を保持している。
【0010】減衰補正部16は,現在の雲の層での減衰
補正を,それより上位の層のレーダ観測データ4および
ライダ観測データ5に対して行う。以上の手段により,
第i番目(i=1,2,…)の雲の層での氷水量および
氷粒子の有効半径を導出し,導出した結果とともに得ら
れる消散係数から第i+1番目の層の観測データに対し
て減衰補正を行う処理を雲頂まで繰り返す。
【0011】以上の各処理手段をコンピュータによって
実現するためのプログラムは,コンピュータが読み取り
可能な可搬媒体メモリ,半導体メモリ,ハードディスク
などの適当な記録媒体に格納することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下,本発明の実施の形態につい
て具体的に説明する。本発明は,例えば95GHz(波
長3.16mm)を用いた雲レーダと可視波長(波長
0.532μm)のライダという波長の大きく異なる複
数のアクティブセンサを用い,それらから得られる観測
データをもとに,雲粒子の微物理量を導出する。
【0013】この導出は,次のように行う。このシステ
ムでは,波長の異なる2つのアクティブセンサを使って
同じ雲を観測する。この観測により,各高度に存在する
雲から後方散乱された信号の鉛直分布がそれぞれの波長
帯で得られる。
【0014】今,対象としている層からの信号に着目す
ると,それはその層から下の雲の雲粒子による散乱や吸
収の影響を受けるので,実際には減衰された信号がその
層からの信号として観測されることになる。ここでは,
この2つの波長の信号を用いて減衰補正するという新し
い手法を開発し,2つの波長の真の後方散乱特性を出
し,その層の雲微物理量(有効半径,雲氷水量)を導
く。ここで,有効半径とは氷粒子の総体積と総断面積の
比に比例したものとして定義され,雲氷水量は単位体積
の大気あたりに存在する雲氷粒子の重量である。
【0015】このようなプロセスを最下層の雲から順に
各層ごとに微物理量を導出していき,そこでの減衰補正
を行っていくことで,全層の雲微物理量の鉛直分布が導
出できることとなる。
【0016】原理について,以下に説明する。雲粒子は
一般に様々なサイズの集合であり,あるサイズ分布で表
現される。サイズ分布は,粒子の半径がrであるものと
半径がr+drの間に含まれるものの単位体積あたりの
個数dn(r)/drという関数で通常表現される。雲
のサイズ分布としては,通常近似的にlog−norm
al分布のような関数が使われる(式(1) 参照)。
【0017】
【数1】
【0018】この式(1) は,モード半径r0 と総個数N
0 と分散の幅σの関数である。雲によってこれら3つの
パラメータは一般に変化する。
【0019】一般的なライダ方程式とみかけのライダ後
方散乱係数の導出について説明する。まず,ライダの信
号について解説する。ライダがあるパワーを送信して,
これら雲粒子からの後方散乱によって受信する信号のパ
ワーは,Beerの法則より,一般に以下に示すように
ライダ方程式で記述される。
【0020】
【数2】
【0021】ここでライダの鉛直分解能をΔZとした。
pr(Z)は,ある高度Zからの受信パワー,CL は,送
信パワーを含むライダの測器自体のスペックで決まる定
数である。βtrue(Z),σ ext(Z)は,それぞれラ
イダ波長(0.532μm)でのライダ後方散乱係数
[1/m/ster],消散係数[1/m]であり,式
(1) で定義されたサイズ分布関数を用いて,式(3),(4)
のように定義される。
【0022】
【数3】
【0023】
【数4】
【0024】Cbkは,半径がrの粒子のライダ波長での
後方散乱断面積,Cext は,消散断面積で,球形粒子に
対しては氷の複素屈折率m=1.31を与えれば,Mi
e理論で計算することができる(Bohren and Huffman 19
83) 。氷粒子は一般的に非球形であるが,形の効果より
は後方散乱断面積や消散断面積のサイズ依存性の方が一
般に大きいので,ここでは球形粒子として計算すること
にする。
【0025】式(2) で表されるライダ方程式は,ライダ
の鉛直分解能があまり長くない場合そのままでいいが,
鉛直分解能が有限の長さΔZである場合,式(2) を用い
て,単位長さあたりの受信信号をΔZで積分したものと
して計算される(式(5))。
【0026】
【数5】
【0027】今,層iを考え,その中心高度がZi だと
すると,層iの上端はZi+1/2 ,下端はZi-1/2 と与え
られる(式(6))。
【0028】
【数6】
【0029】式(2) を式(5) に代入し,
【0030】
【数7】
【0031】また,層iの中では雲の微物理特性が一様
であると仮定する(式(8) 参照)。
【0032】
【数8】
【0033】ここで式(7) の減衰の項の積分範囲を,Z
i-1/2 以上とそれ以下で二つに分けて書き,式(8) を代
入して整理すると,
【0034】
【数9】
【0035】ここで光学的厚さτ(Z)を以下のように
定義し(式(10)),式(8) を使うと,式(9) はさらに簡
単になって,式(11)のように書くことができる。
【0036】
【数10】
【0037】
【数11】
【0038】これが有限の厚さを持つ層からの減衰を考
慮に入れたライダ方程式の一般形である。ΔZ≪Zi の
場合,式(11)は近似でき,
【0039】
【数12】
【0040】と書ける。
【0041】
【数13】
【0042】とおくと,このβobs(Zi)が減衰補正をし
てない観測データから直接得られるみかけの後方散乱係
数に相当する。
【0043】現在,観測高度は主に2km以上であるこ
とと,層の鉛直分解能は最大で96mであることを考慮
して,式(12)のライダ方程式および式(13)で与えられる
みかけの後方散乱係数を観測データの解析に用いること
にする。
【0044】注意点としては,より下層のデータを解析
する場合(ΔZ≪Zi ),式(11)を用いなければなら
ず,その場合ライダの信号の距離依存性は,通例用いら
れる距離の−2乗則でなくなる。
【0045】次に,減衰がある場合のレーダ方程式とみ
かけのレーダ反射因子について説明する。ライダの場合
と同様にレーダ方程式も記述する。レーダが受信するパ
ワーPr と雲粒子からの後方散乱の関係はレーダ方程式
として記述される(式(14)参照)。
【0046】
【数14】
【0047】ここで,雲粒子からのレーダ反射因子Ze,
trueは,レーダ波長での後方散乱断面積Cbk(r)を用
いて,以下のように定義される(式(15))。Ze の単位
は,[mm6 /m3 ]で表すのが普通である。
【0048】
【数15】
【0049】ここでλは,レーダの波長(今の場合3.
16mm)で,Kは粒子の複素屈折率mを用いて, K=(m2 −1)/(m2 +2) と書ける。mは今の場合,1.78である。
【0050】原理的には,レーダが受ける信号は,粒子
による散乱や吸収による減衰の影響を受けると考えられ
る。この減衰の影響を考慮し,観測から直接得られるレ
ーダ反射因子をZe,obs と書くことにする(式(16))。
【0051】
【数16】
【0052】レーダの解析では,慣習的にZe の対数表
示dBZe を用いる。
【0053】
【数17】
【0054】ライダの場合と同様に,レーダに対しても
各粒子サイズの氷粒子に対してのCext,Cbkは,与えら
れた波長,その複素屈折率のMie理論によって計算さ
れる。
【0055】本システムでは,式(14)で表されるレーダ
方程式と,式(16)で表現されるみかけのレーダ反射因子
Ze,obs を使って解析を進めることにする。ここでは,
減衰補正も考慮したレーダ方程式,みかけのレーダ反射
因子を考慮するが,多くの場合,95GHzでは氷雲の
光学的厚さが小さいため減衰の効果は小さいので,減衰
補正は必要ない場合がほとんどである。しかし,ミリメ
ータサイズの粒子が存在する場合には消散係数が大きく
なり,結果として減衰補正が必要になる場合もある。ま
た,水雲はここでは扱わないが,氷雲の吸収がほぼゼロ
になるのに対して水雲は吸収が大きい。よってこの場合
も,減衰補正は必要となる。
【0056】[粒径と氷水量導出の原理]レーダとライ
ダの異なる2波長の観測データから求まる減衰の含まれ
たみかけのレーダ反射因子,みかけのライダ後方散乱係
数を用いて,氷粒子の微物理量を導出する手続きを,以
下に説明する。
【0057】まず,観測からは2つの独立した情報が各
層ごとに得られる。ここではレーダの鉛直分解能を8
2.5mとし,観測開始高度を150mからとしてい
る。ライダの鉛直分解能は96mとし,地上から96m
を観測開始高度とした。ある一定量の氷粒子が存在して
も,雲粒子の粒径分布が異なれば雲粒子からのレーダ受
信信号と,ライダ受信信号は異なることになる。また,
後方散乱特性の粒径に対する依存性は,レーダとライダ
とで異なる。粒子が単独で1つ存在する場合,粒子の半
径として10μmから100μm程度を考えるなら,減
衰のない後方散乱断面積はレーダ波長に対しては半径の
6乗,ライダ波長に対しては半径の2乗にそれぞれ比例
することになる。2つの波長でのこの粒径依存性の違い
を利用することで粒径を求めることができると考えられ
る。一般に雲の中では粒子はサイズ分布を持つので,そ
の代表的な粒子サイズとして,有効半径reff を以下の
ように定義する。
【0058】
【数18】
【0059】以後,このシステムでは有効半径reff と
氷水量IWCを導出することにする。いったん粒径が求
まれば,あとはライダかレーダのどちらかのデータから
氷水量IWCを求めることができる。
【0060】図2は,IWCが一定の条件で,有効半径
を変化させ,みかけのレーダ反射因子Ze,obs がどう変
化するかを示したものである。IWCが0.0001g
/m 3 から1g/m3 までの5種類の値についての変化
を示している。今,雲の幾何学的厚さは96mとし,そ
の下には雲が存在しないとした。したがって減衰は96
mの層の中だけで起きるとしている。レーダに対してこ
の計算では式(1) で定義されるlog−normal分
布で,分散σを1.5に固定した。この仮定の導出結果
にもたらされる誤差についての解析は,後に記述する。
【0061】式(18)の積分範囲は,これまでに観測され
てきた氷粒子の範囲として約5μmから約2500μm
としている。IWCが一定のもとでは100μm程度ま
では,レーダ反射因子Ze,obs は有効半径の3乗に比例
して大きくなることがわかる。また,減衰の影響はほと
んど受けていないことがわかる。100μmを超える
と,レーリー散乱からずれてくるため,傾きは変化す
る。
【0062】図3は,図2と同じ雲が存在する場合のみ
かけのライダ後方散乱係数を計算したものを示してい
る。すなわち,与えられたIWCのもとで,有効半径を
変化させた場合に得られる減衰の影響を受けたみかけの
ライダ後方散乱係数βobs を示している。IWCは,
0.0001g/m3 から1g/m3 まで変化させてい
る。
【0063】ライダ波長の場合,96mという幾何学的
に薄い雲を考えたときに,その層の減衰の影響は後方散
乱係数βobs が10-4[1/m/ster]以下では小
さく,IWCが一定の条件下では,後方散乱係数βobs
は有効半径に反比例する。後方散乱係数βobs が10-4
[1/m/ster]以上になると,96mの層でも減
衰は大きくなり,有効半径を変化させても後方散乱係数
βobs はあまり変化しなくなってくる。このような場
合,ライダ観測から得られる情報はすでに粒径の情報を
失っていると考えられるので,レーダと組み合わせても
有効半径は導出することができない。
【0064】また,雲の層の厚さが数キロにも及ぶ場合
には,これによる減衰の効果はライダでは非常に大きい
ため,時としてライダの送信光が雲の上層には到達しな
いこともある。このような場合,下層の方の情報しか得
られない。
【0065】以上のような限界はあるが,後方散乱係数
βobs が10-4[1/m/ster]以下であれば,雲
レーダ,ライダ観測から,図2,図3に示したようにそ
れぞれの波長域での後方散乱の粒径依存性の違いから,
有効半径を導出することができる。
【0066】図4に,雲微物理量導出アルゴリズム(解
析処理)の全体の流れ図を示す。以下,実際の解析アル
ゴリズムの説明を行う。
【0067】(1)データの入力(図4のS1) 解析アルゴリズムで必要とされる入力データとしては4
種類ある。レーダ観測データ4と,ライダ観測データ5
と,レーダ波長用Mie理論計算参照テーブル14と,
ライダ波長用Mie理論計算参照テーブル15である。
なお,レーダ波長用Mie理論計算参照テーブル14お
よびライダ波長用Mie理論計算参照テーブル15につ
いては,予めシステム内に保持している場合には入力デ
ータとする必要はない。
【0068】入力されるレーダ観測データ4は,雲レー
ダ観測によって得られたある時刻t1から観測終了時刻
t2までの各レーダ反射因子の鉛直分布である。
【0069】図5に,入力したレーダ観測データの例を
示す。この入力データの中では,レコード番号で時刻を
表し,同じレコードに対して鉛直分解能82.5で様々
な観測高度ごとに受信アンテナが受ける受信電力と,そ
れをみかけのレーダ反射因子に変換したデータが格納さ
れている。1レコードは,ライダの時間分解能に合わせ
9秒平均の値を用いている。みかけのレーダ反射因子の
値は,すでにノイズの除去がされた値である。各レコー
ドのノイズ値は,観測高度が0mの受信電力の欄に入っ
ている。図中の−1e+06は,欠損値を表している。
【0070】ライダ観測データ5は,同じ雲に対して同
様の時刻でライダによって得られた後方散乱係数の鉛直
分布のデータである。図6に,そのライダ観測データの
例を示す。各レコードは,9秒間隔のデータであり,レ
ーダ観測データ4と同じレコード番号は,同じ時刻のデ
ータであることを表す。みかけのライダ後方散乱係数
は,すでにノイズを差し引いたものである。
【0071】第3の入力データは,レーダ波長で,各有
効半径ごとに氷水量IWC=1g/m3 の時の消散係数
とレーダ反射因子をあらかじめ計算して作成したレーダ
波長用Mie理論計算参照テーブル14である。図7
に,そのレーダ波長用Mie理論計算参照テーブル14
の例を示す。これは,レーダ波長で有効半径を変化させ
た場合の氷粒子に対する,消散係数とレーダ反射因子Z
e のルックアップテーブルである。ここでは,IWCを
1g/m3 と固定しており,テーブルの値は,減衰の影
響のないものである。球形粒子,サイズ分布は,log
−normal分布で分散σ=1.5を仮定した。ま
た,サイズ積分の下限は約5μm,上限は2500μm
とした。Mie理論を使用して値を求めている。
【0072】第4の入力データは,ライダの波長におい
て各有効半径ごとに氷水量IWC=1g/m3 の時のラ
イダ後方散乱係数をあらかじめ計算して作成したライダ
波長用Mie理論計算参照テーブル15である。図8
に,そのライダ波長用Mie理論計算参照テーブル15
の例を示す。これは,ライダ波長で有効半径を変化させ
た場合の氷粒子に対する,消散係数とライダ後方散乱係
数のルックアップテーブルである。IWCは1g/m3
と固定している。ライダ後方散乱係数は,減衰の影響の
ないものである。
【0073】(2)データの補間(図4のS2) レーダ観測データとライダ観測データは,本来時間分解
能も鉛直分解能も異なる。このうち,時間分解能はライ
ダの方が数千倍長い(この数値はレーダで使用する観測
モードの選択によって異なる)ので,ライダの時間分解
能である約9秒に合わせる。なお,図5および図6に示
すデータは,すでに時刻を同期させたものを示してい
る。時刻を同期させたデータが作成または入力された
ら,次はレーダのデータをライダの鉛直分解能に補間す
る。
【0074】(3)雲が存在する層の決定(図4のS
3) 次に,雲のデータを探す。ここでは,レーダに関して
は,レーダ観測データの受信電力がノイズの受信電力+
0.2dBより大きいものを雲からの信号が受信された
条件とした。ライダについては,ライダの後方散乱係数
が,その高度でのライダのノイズより大きいものを雲か
エアロゾルによる信号とした。ある時刻(=レコード)
である高度の両方のセンサーの信号が上の条件を満たす
ものを雲からの信号がある層であるとした。
【0075】(4)雲微物理量の決定(図4のS4〜S
8) いったん雲が存在する層が決定できたなら,雲の微物理
量を決定する処理を行う。まず,雲底の存在する高度の
データに着目する。その層をi=1番目の層であると
し,高度をZ1 であるとする。その高度より下層では雲
は存在しないので,その高度の観測から得られたレーダ
反射因子Ze,obs(Z1 )とライダ後方散乱係数βobs(Z
1 )には,その層での減衰の影響のみがあると考えられ
る。βobs(Z1 )が10-4[1/m/ster]以上の
値である場合には,微物理量を理論的に得ることができ
ないので,そのレコードについてのリトリーバルを止
め,次のレコードに移る。
【0076】まず,Ze,obs(Z1 )に着目すると,式(1
6)と図7のレーダ波長用Mie理論計算参照テーブル1
4を使って,様々なサイズ(サイズビンは9998個用
意した)に対して観測値を満たすIWCがそのサイズの
個数分計算できる。
【0077】図9には,与えられたレーダ反射因子Ze
を満たすような有効半径とIWCの関係を示した。この
ようなreff とIWCの組が9998個作成されるが,
この組ごとに式(13)でτ(Zi-1/2 )に0を代入して,
その層での減衰のみを考慮したβ(reff(j), IWC
(j))(j=1〜9998)も計算することができる(図
10)。図10は,与えられたレーダ反射因子Ze と有
効半径(横軸)に対して計算されたライダ後方散乱係数
βの値を示したものである。層の厚さは96mとし,そ
れより下層には雲は存在しないとしている。
【0078】こうして用意されたβと実際に観測から得
られたβobs(Z1 )とを比較し,一致するものを探せ
ば,そのreff とIWCとの組がその層に存在する雲の
微物理量であるということになる。ただし,前述したよ
うにβが10-4[1/m/ster]を超えると解が1
つでなくなるので,微物理量は得られない。
【0079】以上のようにして1番目の層の微物理量を
決定すれば,次の雲の層からの信号が受けた減衰exp
(−2τ(Zi-1/2 ))をレーダ,ライダについて,そ
れぞれ図7,図8のテーブルから得られた消散係数σex
t を用いて計算することができる。すると,雲底の層の
次に雲が存在すると判定された層i=2(高度Z2 )で
観測から得られたZe,obs(Z2 ) ,βobs(Z2 ) を用い
て, Ze,obs(Z2 ) *exp(2τ(Z2-1/2 )), βobs(Z2 ) *exp(2τ(Z2-1/2 )), を計算すれば,それらは,それより下層の減衰補正を行
った後のその層i=2だけの減衰の影響を受けたレーダ
反射因子,後方散乱係数に相当する。
【0080】こうして雲底でのレーダとライダの観測値
を用いて微物理量を決定したのと同じ要領で1層ずつ上
の雲について上記のアルゴリズムを適応していき,雲頂
(雲の最大高度のある層)まですべての層で雲の微物理
量が決定できることになる。一般に雲が2層以上に分か
れている場合がある。このような場合にも,上記アルゴ
リズムは適用できるので,多重の雲が存在する場合にも
問題はない。
【0081】(5)モード半径と有効半径 以下では,log−normal分布を仮定した時の基
本パラメータであるモード半径r0 でなく,有効半径r
eff を導出するパラメータとして選んだ理由を説明す
る。これまで,図7,図8では,分散σ=1.5と仮定
して導出に必要な理論計算のテーブルを計算してきた
が,一般に雲の分散が一定値をとるという保証はない。
つまり雲の分散が多少幅広くなったり( 例えばσ=1.
8)すれば,それだけサイズ分布が変化するので,レー
ダ反射因子やライダ後方散乱係数も同じIWC,reff
でも異なってくる。
【0082】この影響を調べたのが図11,図12であ
る。図11は,レーダ反射因子Ze=10-3[mm6
3 ]とモード半径r0 とが与えられた場合のみかけの
ライダ後方散乱係数βを計算したものを示している。層
の厚さは96mのままで,他の計算と同じである。その
層より下の層の雲による減衰はないとしてある。log
−normal分布の分散を変化させてある。図11か
ら明らかなように,同じr0 でも分散が異なれば1桁以
上βに差が出ることになる。つまり,これらのZe ,β
が観測から得られてもr0 はσが理論計算用のテーブル
で仮定した値と異なれば3倍以上異なってしまう場合が
あることがわかる。
【0083】図12は,図11と同様であるが,横軸を
有効半径reff で表示したものである。この図から分散
が異なっても,あまりβの計算には差がでないことがわ
かる。よって,reff の導出結果に分散の仮定はあまり
影響しないと言える。
【0084】[理想的な雲についてのアルゴリズムのテ
スト]本アルゴリズムの正当性を検証するために,アル
ゴリズムのテストを行った。以下では,そのテスト結果
について記述する。まず,計算機の中で雲を作成した。
このとき,雲の有効半径と氷水量の鉛直分布を与えるこ
とで雲を特徴づけた。その雲からのレーダとライダの観
測で期待される信号をシミュレーションし,そのデータ
について,前述したアルゴリズムを適応し微物理量の導
出を行った。様々なIWCやreff ,雲の幾何学的厚さ
についてテストを行い,原理的にもともと仮定した雲の
微物理量に戻ることを確認した。また,ここでは疑似観
測データに観測誤差を付加するなどの影響評価は行わな
かった。
【0085】以下,アルゴリズムのパフォーマンステス
ト結果を一例だけ示す。雲が3〜4kmの高度と6〜8
kmの高度に存在し,その両方の層中でreff が30μ
m,IWCが10-3[g/m3 ]で一様に存在する場合
を考える。レーダの観測は,高度150mから開始し,
鉛直分解能は82.5mとした。ライダの観測は,高度
96mから開始し,鉛直分解能は96mとした。
【0086】図13は,雲レーダの疑似観測データ用に
作った理想的な雲の有効半径reffの鉛直分布,図14
は,図13と同様に疑似観測データ作成に用いた氷水量
IWCの鉛直分布を示している。initialが最初
に仮定したもので,retrievedが本アルゴリズ
ムによって導出された結果である。
【0087】図15は,図13および図14で表された
雲の鉛直分布を用いて計算された雲レーダの疑似観測デ
ータであるみかけのレーダ反射因子Ze の鉛直分布(i
nitialと書いてある線)と,アルゴリズムを適用
することにより導出された雲の微物理量から再構成され
たレーダ反射因子Ze の鉛直分布(retrieved
と書いてある線)を示している。図16は,図15と同
様であり,ライダの疑似観測データであるみかけの後方
散乱係数(減衰の影響を強く受けている)の鉛直分布を
示している。
【0088】図15を見ると,レーダ波長域では氷粒子
による減衰がほとんどないことがわかる。これらが観測
で得られるデータに相当する。しかし図16では,ライ
ダ波長域では減衰が非常に大きく,雲の上層の信号ほど
この影響が大きくなっていることがわかる。これら疑似
観測データを図4に従って説明したアルゴリズムにか
け,微物理量を導出した結果が,図13と図14のre
trievedとして表された線である。これらはin
itialの線とほぼ重なっており,導出アルゴリズム
はうまく働いていることがわかる。雲の境界付近でわず
かにinitialとretrievedの線がずれて
いるのは,両方の測器の鉛直分解能がずれていることに
起因して生じたものである。また,これらのreff とI
WCから再計算されたZe,obs とβobs を,それぞれ図
15と図16のretrievedの線で示した。ここ
でも減衰も含めてうまく再現できていることがわかる。
【0089】[観測データとその解析例]以下,200
0年2月14日に実際に行った雲レーダ,ライダによる
氷雲同時観測の例とそれに対して前節までに説明してき
たアルゴリズムを適応して導出した雲微物理量の結果に
ついて述べる。図17は,雲レーダの観測から直接得ら
れたdBZe (Ze の対数表示)を示している。ここで
はノイズの処理だけがされている。図18には,同じ雲
のライダによる観測から得られたみかけの後方散乱係数
βobs が表示してある。この図では,雲だけではなく,
エアロゾルの層も写っている。なお,これらの図におい
て(a) 〜(d) は,対応する値を持つ位置を示している。
以下の図においても同様である。
【0090】これらを用いて,前節までに記述した雲検
出の条件をクリアするものとして雲から微物理量導出に
使用されるデータを抽出した。こうして得られた雲レー
ダとライダの雲からの寄与だけのデータが,図19と図
20に表示されている。図19には,図17の観測デー
タからノイズレベルよりさらに0.2dBだけ高いとい
う条件と,同じ時刻に同じ高さにライダのデータがやは
りノイズレベルより大きくなっているという条件を満た
すものだけを抽出したものが示されている。図20は,
図19と同様に雲からの寄与のみを抽出したみかけのラ
イダ後方散乱係数が示されている。図20では,エアロ
ゾル等の信号が除去された結果,4km付近の信号もす
べてなくなっていることがわかる。
【0091】この図19,図20を用いて,雲微物理量
導出アルゴリズムを適応し得られた有効半径と氷水量の
導出結果が,それぞれ図21,図22に表示されてい
る。図21は,図19と図20の観測データから導出さ
れた雲の有効半径の鉛直分布を示しており,図22は,
導出された氷水量の鉛直分布を示している。粒径はこの
場合,30〜50μm付近が多く,これは,これまで航
空機実験でのその場観測で報告されているものと良い一
致を示している。また,氷水量は10-4[g/m 3 ]か
ら10-2[g/m3 ]の範囲にあった。これも報告され
ているものの範囲内である。有効半径は,雲の下層の部
分にいくほうが大きくなっており,落下の過程で成長し
ている様子がわかる。これに対して,氷水量は雲の中心
部で濃くなっている。
【0092】なお,微粒子による光の吸収,散乱に関す
る参考文献としては,以下のものがある。 参考文献:Absorption and Scattering of Light by Sm
all Particles C. Bohren and D. Huffman 1983 John Wiley and Sons, Inc. New York
【0093】
【発明の効果】本発明の意義としては,雲レーダとライ
ダによる観測データから雲微物理量が得られることで,
これまで地球温暖化予測で大きな不確定性要因であった
雲微物理量のリモートセンシングができることになった
ことである。実験では,雲レーダとライダとを地上に設
置し,測器の真上の雲微物理量の鉛直分布を導出した
が,もちろん,ここで対象にした雲レーダ,ライダの2
つの測器を人工衛星に搭載し,それらのアクティブセン
サで雲を観測して入手した衛星データに対しても,本発
明を適用するようなことも可能である。本発明により,
雲の気候システムに対する影響評価が大きく前進するこ
とになると期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシステム構成の例を示す図である。
【図2】氷水量が一定のときの有効半径とみかけのレー
ダ反射因子との関係を示す図である。
【図3】氷水量が一定のときの有効半径とみかけのライ
ダ後方散乱係数との関係を示す図である。
【図4】雲微物理量導出アルゴリズム(解析処理)の全
体の流れ図である。
【図5】レーダ観測データの例を示す図である。
【図6】ライダ観測データの例を示す図である。
【図7】レーダ波長用Mie理論計算参照テーブルの例
を示す図である。
【図8】ライダ波長用Mie理論計算参照テーブルの例
を示す図である。
【図9】与えられたレーダ反射因子に対する氷水量と有
効半径との関係を示す図である。
【図10】与えられたレーダ反射因子と有効半径に対し
て計算されたライダ後方散乱係数の値を示す図である。
【図11】レーダ反射因子が10-3mm6 /m3 の場合
のモード半径とみかけのライダ後方散乱係数の関係を示
す図である。
【図12】レーダ反射因子が10-3mm6 /m3 の場合
の有効半径とみかけのライダ後方散乱係数の関係を示す
図である。
【図13】雲レーダの疑似観測データ用に作った理想的
な雲の有効半径の鉛直分布を示す図である。
【図14】疑似観測データ作成に用いた氷水量の鉛直分
布を示す図である。
【図15】図13と図14に記述された雲の微物理量の
分布を用いて計算されたレーダ反射因子の疑似観測デー
タと,それを用いて本アルゴリズムを適用した場合のテ
スト結果を示す図である。
【図16】図15と同様にライダ後方散乱係数の疑似観
測データと,それを用いて本アルゴリズムを適用した場
合のテスト結果を示す図である。
【図17】実際に観測したデータに本発明を適用した例
を説明するレーダ反射因子の図である。
【図18】実際に観測したデータに本発明を適用した例
を説明するライダ後方散乱係数の図である。
【図19】実際に観測したデータに本発明を適用した例
を説明するもので,ノイズ処理と雲検出処理を行ったレ
ーダ反射因子の図である。
【図20】実際に観測したデータに本発明を適用した例
を説明するもので,雲検出処理を行ったライダ後方散乱
係数の図である。
【図21】実際に観測したデータに本発明を適用した例
を説明するもので,観測より得られた雲粒子の有効半径
を示す図である。
【図22】実際に観測したデータに本発明を適用した例
を説明するもので,観測より得られた雲粒子の氷水量を
示す図である。
【符号の説明】
1 雲微物理量導出システム 2 レーダ 3 ライダ 4 レーダ観測データ 5 ライダ観測データ 11 データ補間部 12 雲の層決定部 13 氷水量・有効半径計算部 14 レーダ波長用Mie理論計算参照テーブル 15 ライダ波長用Mie理論計算参照テーブル 16 減衰補正部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開2000−2763(JP,A) 特開2001−122199(JP,A) 特開2000−9857(JP,A) 特表 平7−505222(JP,A) 特表 平5−507148(JP,A) 椎名 徹、村本 健一郎,降雪粒子画 像の画像解析と粒子分類への応用,電子 情報通信学会論文誌,日本,電子情報通 信学会,1999年 2月,D−II Vo l.J82−D−II No.2,240− 249 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01S 7/00 - 7/42 G01S 13/00 - 13/95 G01W 1/00 - 1/18

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 雲レーダによる観測によって得られたレ
    ーダ観測データと,同じ雲に対してライダによる観測に
    よって得られたライダ観測データとから,雲粒子の微物
    理量を導出する雲微物理量導出システムであって,前記
    レーダ観測データと前記ライダ観測データとを入力し,
    時間分解能および鉛直分解能が一致するようにデータを
    補間するデータ補間部と,前記観測データから雲の存在
    する層を決定する雲の層決定部と,決定した各時刻の雲
    底においてレーダ観測データまたはライダ観測データの
    一方の観測値を満たす氷水量および雲粒子の有効半径の
    組を計算し,その中でレーダ観測データまたはライダ観
    測データの他方の観測値に一致するものを算出すること
    により,その層における氷水量および雲粒子の有効半径
    を決定する氷水量・有効半径計算部と,前記雲の層での
    減衰補正を,それより上位の層のレーダ観測データおよ
    びライダ観測データに対して行う減衰補正部とを備え,
    第i番目(i=1,2,…)の雲の層での氷水量および
    雲粒子の有効半径を導出し,第i+1番目の層の観測デ
    ータに対して減衰補正を行う処理を雲頂まで繰り返すこ
    とを特徴とする雲微物理量導出システム。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の雲微物理量導出システム
    において,前記氷水量・有効半径計算部における氷水量
    および雲粒子の有効半径の導出では,予めMie理論に
    よって計算された,レーダ波長で有効半径を変化させた
    場合の雲粒子に対する消散係数とレーダ反射因子の参照
    用テーブルおよびライダ波長で有効半径を変化させた場
    合の雲粒子に対する消散係数とライダ後方散乱係数の参
    照用テーブルを用いることを特徴とする雲微物理量導出
    システム。
  3. 【請求項3】 雲レーダによる観測によって得られたレ
    ーダ観測データと,同じ雲に対してライダによる観測に
    よって得られたライダ観測データとから,雲粒子の微物
    理量を導出する雲微物理量導出処理方法であって,前記
    レーダ観測データと前記ライダ観測データとを入力し,
    時間分解能および鉛直分解能が一致するようにデータを
    補間する過程と,前記観測データから雲の存在する層を
    決定する過程と,各時刻における雲底の存在する層にお
    いてレーダ観測データまたはライダ観測データの一方の
    観測値を満たす氷水量および雲粒子の有効半径の組を計
    算し,その中でレーダ観測データまたはライダ観測デー
    タの他方の観測値に一致するものを算出することによ
    り,その層における氷水量および雲粒子の有効半径を決
    定する過程と,前記雲の層での減衰補正を,それより上
    位の層のレーダ観測データおよびライダ観測データに対
    して行う過程と,第i番目(i=1,2,…)の雲の層
    での氷水量および雲粒子の有効半径を導出し,第i+1
    番目の層の観測データに対して減衰補正を行う処理を雲
    頂まで繰り返す過程とを有することを特徴とする雲微物
    理量導出処理方法。
  4. 【請求項4】 雲レーダによる観測によって得られたレ
    ーダ観測データと,同じ雲に対してライダによる観測に
    よって得られたライダ観測データとから,コンピュータ
    によって雲粒子の微物理量を導出するためのプログラム
    を記録した記録媒体であって,前記レーダ観測データと
    前記ライダ観測データとを入力し,時間分解能および鉛
    直分解能が一致するようにデータを補間する処理と,前
    記観測データから雲の存在する層を決定する処理と,各
    時刻における雲底の存在する層においてレーダ観測デー
    タまたはライダ観測データの一方の観測値を満たす氷水
    量および雲粒子の有効半径の組を計算し,その中でレー
    ダ観測データまたはライダ観測データの他方の観測値に
    一致するものを算出することにより,その層における氷
    水量および雲粒子の有効半径を決定する処理と,前記雲
    の層での減衰補正を,それより上位の層のレーダ観測デ
    ータおよびライダ観測データに対して行う処理と,第i
    番目(i=1,2,…)の雲の層での氷水量および雲粒
    子の有効半径を導出し,第i+1番目の層の観測データ
    に対して減衰補正を行う処理を雲頂まで繰り返す制御を
    行う処理とを,コンピュータに実行させるためのプログ
    ラムを記録したことを特徴とする雲微物理量導出処理プ
    ログラム記録媒体。
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