JP3377622B2 - 複極型イオン交換膜電解槽 - Google Patents

複極型イオン交換膜電解槽

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JP3377622B2
JP3377622B2 JP25977694A JP25977694A JP3377622B2 JP 3377622 B2 JP3377622 B2 JP 3377622B2 JP 25977694 A JP25977694 A JP 25977694A JP 25977694 A JP25977694 A JP 25977694A JP 3377622 B2 JP3377622 B2 JP 3377622B2
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cathode
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electrolytic cell
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達人 木村
幹夫 鈴木
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  • Electrolytic Production Of Non-Metals, Compounds, Apparatuses Therefor (AREA)
  • Electrodes For Compound Or Non-Metal Manufacture (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は複極型イオン交換膜電解
槽の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】例えばイオン交換膜電解槽には、フィル
タープレス型の電解槽が多く用いられている。これはイ
オン交換膜と室枠とを交互に多数配置して、両側から油
圧式プレス等で締め付けてなるもので、電解槽の形式は
電気的な接続方法の相違から、並列接続形式の単極電解
槽と、直列接続形式の複極電解槽とに大別される。
【0003】複極電解槽用の室枠は、図6及び図7のよ
うに陽極室30と陰極室40とを背中合わせに配置して
なり、陽極室30を構成する陽極室枠31は背板32
と、これと間隔を置いてほぼ平行に配置されたメッシュ
状の陽極板33とよりなり、背板32と陽極板33との
間には間隔を保持するために支持部材(リブ)34が配
置されている。支持部材34は板状部材からなり、図6
及び図7の左右方向に極液が流通できるよう複数の孔が
設けられている。
【0004】陰極室40を構成する陰極室枠41の構造
も陽極室枠と同じで、背板42と、メッシュ状の陰極板
43と、支持部材(リブ)44とよりなっている。背板
32と背板42とは一体に結合されて隔壁を構成してい
る。背板32、42の周縁部は、折曲げられて筒状体2
6に固定されている。なお21はイオン交換膜、22は
ガスケットである。
【0005】陽極室枠31の背板32と支持部材34は
例えばチタンやチタン合金からなり、陽極板33はチタ
ン等の導電性のメッシュ状板を基板としこれに酸化チタ
ンや貴金属の酸化物(例えば酸化ルテニウム、酸化イリ
ジウム等)をコーティングしてなる。一方、陰極室40
では陰極板43は耐アルカリ性の例えば鉄、ニッケル、
ステンレス等の導電性のメッシュ状板を基板としこれに
ラネーニッケルや貴金属をコーティングしてなり、背板
42及び支持部材44は例えば軟鋼、ニッケル、ステン
レス、銅等からなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな陽極室枠と陰極室枠の背板同士を接合して複極電解
槽用隔壁となす複極型イオン交換膜電解槽では、高電流
密度で運転すると極室内を流れる電解液は例えば90℃
を越える温度にまで上昇する。一方陽極室枠と陰極室枠
を構成する部材の材質は異なるため、部材間の熱線膨張
係数及び弾性率の差により、陽極室枠と陰極室枠からな
る室枠にたわみが生ずる。すなわち室枠が陰極側に出っ
張って弓形になる。この室枠のたわみ量が大きいとイオ
ン交換膜が相対する陽極板と陰極板間で強く挾みつけら
れ、イオン交換膜が損傷し、場合によっては電解槽の運
転を中止しなければならなくなる。
【0007】一方、これを防ぐために、イオン交換膜を
介して相対する陽極板と陰極板との距離を大きくするこ
とが考えられるが、これは槽電圧の上昇を招くことにな
る。
【0008】本発明は、高電流密度でも安定した運転が
できかつ、電解電圧の低い複極型イオン交換膜電解槽を
提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明では、陽極板とチ
タン又はチタン合金からなる陽極背板とを間隔を置いて
ほぼ平行に配置し陽極板と陽極背板との間に支持部材を
配置してなる陽極室枠と、陰極板とニッケル又はニッケ
ル合金からなる陰極背板とを間隔を置いてほぼ平行に配
置し陰極板と陰極背板との間に支持部材を配置してなる
陰極室枠とをその背板を背中合わせにして結合して複極
電解槽用隔壁としてなる複極型イオン交換膜電解槽にお
いて、陽極室枠の支持部材の厚さが陰極室枠の支持部材
の厚さより厚くなされているように構成されている。
【0010】また本発明では、陽極板とチタン又はチタ
ン合金からなる陽極背板とを間隔を置いてほぼ平行に配
置し陽極板と陽極背板との間に支持部材を配置してなる
陽極室枠と、陰極板とニッケル又はニッケル合金からな
る陰極背板とを間隔を置いてほぼ平行に配置し陰極板と
陰極背板との間に支持部材を配置してなる陰極室枠とを
その背板を背中合わせにして結合して複極電解槽用隔壁
としてなる複極型イオン交換膜電解槽において、陽極室
枠の支持部材の幅が陰極室枠の支持部材の幅より広くな
されているように構成されている。
【0011】さらに本発明では、陽極板とチタン又はチ
タン合金からなる陽極背板とを間隔を置いてほぼ平行に
配置し陽極板と陽極背板との間に支持部材を配置してな
る陽極室枠と、陰極板とニッケル又はニッケル合金から
なる陰極背板とを間隔を置いてほぼ平行に配置し陰極板
と陰極背板との間に支持部材を配置してなる陰極室枠と
をその背板を背中合わせにして結合して複極電解槽用隔
壁としてなる複極型イオン交換膜電解槽において、陽極
室枠の支持部材の幅及び厚さが陰極室枠の支持部材の幅
及び厚さより広く且つ厚くなされているように構成され
ている。
【0012】
【作用】陽極室枠の支持部材の幅や厚さが陰極室枠の支
持部材の幅や厚さより広く厚いと、陽極室枠と陰極室枠
の偏芯モーメントと、アンバランスモーメントが互いに
打ち消す方向にはたらき、これによりたわみを発生させ
ていたモーメントが大幅に減少することになる。
【0013】図1において、1は陽極室枠、2は陰極室
枠である。陽極室枠1は極板3と背板4とが間隔を置い
て配置され、極板3と背板4の間には支持部材(リブ)
5aが配置されている。支持部材5aは板状部材からな
りその長手方向(図1の奥行方向)には所どころに、陽
極液を図1の左右方向に流通させるための孔(図示せ
ず)が穿たれている。一方、陰極室枠2は上記陽極室枠
と同様であり極板6と、背板7と、極板6と背板7の間
に配置された支持部材8aとからなる。支持部材と極
板、支持部材と背板とはそれぞれ溶接により固定されて
いる。陽極室枠1と陰極室枠2とは背板を背中合わせに
して結合されて一体になり、複極電解槽用の隔壁9を構
成している。隔壁9を構成する陽極室枠の背板と陰極室
枠の背板との間には、導電性を高めるためにクラッド材
等の導電性の中間部材(図示せず)を挾んでもよい。
【0014】陽極室枠1の背板4と支持部材5aは例え
ばチタン又はチタン合金からなり、陽極板3はチタン等
の導電性のメッシュ状板を基板としこれに塩素又は酸素
の過電圧の小さい酸化チタンや貴金属の酸化物(例えば
酸化ルテニウム、酸化イリジウム等)をコーティングし
てなる。一方、陰極室2の陰極板6は耐アルカリ性の例
えば鉄、ニッケル、ステンレス等の導電性のメッシュ状
板を基板としこれに水素過電圧の小さいラネーニッケル
や貴金属をコーティングしてなり、背板7及び支持部材
8aはニッケル又はニッケル合金(ステンレスも含む)
からなる。
【0015】陽極室枠1の支持部材5aの厚さA1は、
陰極室枠2の支持部材8aの厚さより大きくなされてい
る。これにより偏芯モーメントや、バイメタル効果によ
るアンバランスモーメントが互いに打ち消す方向にはた
らき、これによりたわみを発生させていたモーメントが
減少する。支持部材は好ましくは板状体からなり支持部
材の厚みとは板厚をいう。
【0016】図2では、陽極室枠1の支持部材5bと陰
極室枠2の支持部材8bの厚さは同じであるが陽極室枠
1の支持部材5bの幅B2は、陰極室枠2の支持部材8
bの幅より広くなされている。なお支持部材の幅は、背
板から極板までの距離、即ち極室の幅と同じである。
【0017】図3では、陽極室枠1の支持部材5cの幅
B3及び厚さA3が、陰極室枠2の支持部材8cの幅及
び厚さより広く且つ厚くなされている。
【0018】図4では、支持部材5d及び8dとして台
形乃至山形のものが使用され、陽極室枠1の支持部材5
dの幅B4及び厚さA4は、陰極室枠2の支持部材8d
の幅及び厚さより広く且つ厚くなされている。
【0019】図5では、支持部材5e及び8eとしてM
形のもの(ハットリブともいう)が使用され、陽極室枠
1の支持部材5eの幅B5及び厚さA5は、陰極室枠2
の支持部材8eの幅及び厚さより広く且つ厚くなされて
いる。
【0020】なお図4及び図5の場合、支持部材の幅か
厚さのいづれか一方だけを陽極室枠1において広く又は
厚くしてもよい。なお支持部材の形状は図示のものに限
定されるものではない。
【0021】
【実施例】図5の構造のものを使用して、陽極室枠及び
陰極室枠(それぞれ縦120cm、横240cm)にお
いて支持部材(リブ)の厚さと幅(mm)を変えて(例
1〜3)たわみ量(mm)を測定した。なお陽極板には
板厚1.7mmのチタンエキスパンドメッシュ、陰極板
には板厚1.2mmのニッケルパンチドメッシュを使用
し、陽極側背板には厚み1.2mmのチタン板、陰極側
背板には厚み1.2mmのニッケル板を使用した。その
結果を表1に示す。例1〜3において陽極室枠の支持部
材にはチタン、陰極室枠の支持部材にはニッケルを使用
した。なお測定方法は、一つの室枠の周縁部にガスケッ
トを介在させ、陽極、陰極の両側から鉄製の締め付け具
で締め付け、熱湯を室枠内に導入して90℃まで内温を
上げた後、隔壁の最大たわみ量(mm)を、常温を基準
として測定した。
【0022】
【0023】なお、比較例1、2として、陽極室枠の支
持部材にはチタン、陰極室枠の支持部材にはステンレス
(比較例1)、陽極室枠の支持部材にはチタン、陰極室
枠の支持部材にはニッケル(比較例2)を使用し、陽極
室枠と陰極室枠とのリブの厚さと幅を同じにしたものを
使用して同じ条件で測定した。その結果を表2に示す。
【0024】
【0025】表1及び表2の結果から、陽極室枠の支持
部材の幅や厚さを陰極室枠の支持部材の幅や厚さより大
きくすることにより隔膜のたわみ量が大幅に減少したこ
とがわかる。
【0026】
【発明の効果】本発明の複極電解槽用隔壁を有する複極
型イオン交換膜電解槽では、たわみ量が少ないので極板
が陽イオン交換膜と接触して交換膜を損傷したりするこ
とがない。従って高電流密度でも安定した運転ができ、
また陽極と陰極の間の極間距離を短縮でき、電解電圧の
低い複極型イオン交換膜電解槽が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による複極型イオン交換膜電解槽の部分
的横断面図。
【図2】本発明による別の複極型イオン交換膜電解槽の
部分的横断面図。
【図3】本発明による別の複極型イオン交換膜電解槽の
部分的横断面図。
【図4】本発明による別の複極型イオン交換膜電解槽の
部分的横断面図。
【図5】本発明による別の複極型イオン交換膜電解槽の
部分的横断面図。
【図6】室枠を陰極室枠側から見た正面図。
【図7】図6のAーA線による一部横断面をイオン交換
膜及びガスケットと共に表す図。
【符号の説明】
1 陽極室枠 2 陰極室枠 3 陽極板 4 背板 5a〜5e 支持部材(リブ) 6 陰極板 7 背板 8a〜8e 支持部材(リブ) 9 隔壁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭49−134573(JP,A) 実開 昭52−59752(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C25B 1/00 - 15/08

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】陽極板とチタン又はチタン合金からなる陽
    極背板とを間隔を置いてほぼ平行に配置し陽極板と陽極
    背板との間に支持部材を配置してなる陽極室枠と、陰極
    板とニッケル又はニッケル合金からなる陰極背板とを間
    隔を置いてほぼ平行に配置し陰極板と陰極背板との間に
    支持部材を配置してなる陰極室枠とをその背板を背中合
    わせにして結合して複極電解槽用隔壁としてなる複極型
    イオン交換膜電解槽において、陽極室枠の支持部材の厚
    さが陰極室枠の支持部材の厚さより厚くなされているこ
    とを特徴とする複極型イオン交換膜電解槽。
  2. 【請求項2】陽極板とチタン又はチタン合金からなる陽
    極背板とを間隔を置いてほぼ平行に配置し陽極板と陽極
    背板との間に支持部材を配置してなる陽極室枠と、陰極
    板とニッケル又はニッケル合金からなる陰極背板とを間
    隔を置いてほぼ平行に配置し陰極板と陰極背板との間に
    支持部材を配置してなる陰極室枠とをその背板を背中合
    わせにして結合して複極電解槽用隔壁としてなる複極型
    イオン交換膜電解槽において、陽極室枠の支持部材の幅
    が陰極室枠の支持部材の幅より広くなされていることを
    特徴とする複極型イオン交換膜電解槽。
  3. 【請求項3】陽極板とチタン又はチタン合金からなる陽
    極背板とを間隔を置いてほぼ平行に配置し陽極板と陽極
    背板との間に支持部材を配置してなる陽極室枠と、陰極
    板とニッケル又はニッケル合金からなる陰極背板とを間
    隔を置いてほぼ平行に配置し陰極板と陰極背板との間に
    支持部材を配置してなる陰極室枠とをその背板を背中合
    わせにして結合して複極電解槽用隔壁としてなる複極型
    イオン交換膜電解槽において、陽極室枠の支持部材の幅
    及び厚さが陰極室枠の支持部材の幅及び厚さより広く且
    つ厚くなされていることを特徴とする複極型イオン交換
    膜電解槽。
JP25977694A 1994-09-30 1994-09-30 複極型イオン交換膜電解槽 Expired - Lifetime JP3377622B2 (ja)

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