JP3372213B2 - 真珠の生産方法 - Google Patents

真珠の生産方法

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  • Farming Of Fish And Shellfish (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、真珠および真珠の
生産方法に関する。
【0002】
【従来の技術】真珠には天然物と養殖物とがあるが、市
場に提供される真珠の大半はアコヤガイによる養殖物で
ある。真珠貝(アコヤガイ)の養殖は、まず稚貝の育成
から始まり、母貝に成長したら真珠核の「核入れ」がさ
れる。その後、海中に戻されて養殖される過程で、真珠
核の表面に対する真珠層の「巻き」が真珠貝自身によっ
てなされる。この「巻き」によって球形の真珠が出来上
がり、浜揚げの後に真珠貝から取り出されて出荷され
る。
【0003】ところで、アコヤガイから生産される真珠
は、概ね白色またはクリーム色の真珠(パール)色に輝
いているが、クロチョウガイでは銀白または黒や茶色に
輝いており、マベガイでは薄いピンクや金色に輝く真珠
も生産される。このような特定の色合いを持った真珠、
特にピンクのアコヤガイ真珠は得難いので、一般的には
高価となりがちである。
【0004】真珠に特定の色合いを人工的に持たせるた
めには、例えば養殖中の真珠貝に特殊な化学物質を与
え、真珠層自体を着色することが考えられる。また、養
殖によって生産された真珠を真珠貝から摘出した後、あ
る種の化学物質で着色することが考えられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のような
人工着色真珠では、真珠本来の独特の輝きが失われ、装
飾品としての価値が著しく低下する。このため、人工的
に特定の色合いを持たせる試みは、今日まで商業的には
殆ど成功していなかった。
【0006】そこで本発明は、真珠の本来の輝きを何ら
損うことなく、人工的に特定の色合いを持たせた真珠を
再現性よく生産できる真珠の生産方法を提供することを
目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、真珠核を核入
れした真珠貝を水中で養殖し、当該真珠貝の分泌物を真
珠核の表面で固化させることにより真珠層を形成する真
珠の生産方法において、養殖中の真珠貝に対して、時
間:T1の間は所定強度の光を照射し、引き続く時間:
T2の間は前記所定強度よりも充分に低強度の光を照射
するか、または光を実質的に照射しないことにより、時
間:T=T1+T2の間に所定の層厚の単位層を形成
し、この光照射の強度の切り替えを時間:Tの周期で周
期的に繰り返すことにより、単位層を積層した真珠層を
形成することを特徴とする。
【0008】本発明によれば、所定強度(高強度)の光
を照射する時間:T1の間に低屈折率で厚い第一の層が
形成され、充分に低強度の光を照射するか、または光を
実質的に照射しない時間:T2の間に高屈折率で薄い第
二の層が形成され、この第一、第二の層により真珠層の
単位層が構成される。そして、照射される光強度の周期
的変化に応じて単位層の形成が繰り返されるため、所定
の層厚の単位層を積層した真珠層が形成される。このた
め、生産された真珠の真珠層は、所定の可視光に対する
屈折率が内側から外側に向かって周期的に異なることと
なるので、白色光が真珠層に入射すると可視光が好適に
干渉し、特定の色合を持つことになる。このとき、真珠
層には特別な物質が人工的に導入されることがないの
で、真珠に固有の独特の美しい輝きは何ら失われない。
【0009】本発明に係る真珠の生産方法において、時
間:Tの間に所定の可視光の半波長と略同等の層厚の単
位層を形成することを特徴としても良い。このようにす
れば、真珠層の所定の可視光に対する屈折率が、当該所
定の可視光の半波長と同等の周期で内側から外側に向か
って異なることになるので、白色光が真珠層に入射する
と上記の所定の可視光が好適に干渉し、その所定の可視
光の色合いを持つことになる。
【0010】更に本発明は、真珠核を核入れした真珠貝
を水中で養殖し、当該真珠貝の分泌物を真珠核の表面で
固化させることにより真珠層を形成する真珠の生産方法
において、養殖中の真珠貝に対して光を照射する光源を
設置すると共に、当該真珠貝に照射される光の強度をモ
ニタするモニタ手段を設置し、あらかじめ定められた所
定の時間スケジュールで真珠貝に所定強度の光が照射さ
れるよう、モニタ手段のモニタ結果に基づき光源の点滅
および/または投射光量を制御することを特徴とする。
【0011】本発明によれば、昼夜の別なく、また天候
の如何に拘わりなく、養殖中の真珠貝に対して、あらか
じめ定められた所定の時間スケジュールで所定強度の光
が照射され、かつ照射が停止されるので、真珠層の積層
構造を所望に造り込んだ真珠が生産できる。
【0012】
【発明の実施の形態】実施形態の説明に先立ち、本発明
の原理を図1、図2を参照して説明する。図1は、養殖
真珠貝(特にアコヤガイ)で生産された真珠の断面図、
図2は、真珠が光り輝くメカニズムを説明するための真
珠層の断面模式図である。
【0013】図1に示されるように、アコヤガイ養殖に
より生産された真珠は中心部に真珠核1を有し、この外
側にカルシウムを主成分とする真珠層2が形成されてい
る。より詳細には、真珠層2は5%前後の硬質蛋白質
(コンキオリン)を含んでいるが、構造的には極薄の層
間基質(コンキオリンの膜)と多数の薄板状結晶(あら
れ石型の炭酸カルシウムの結晶)が、交互に積み重なっ
た層状構造をなしている。なお、この薄板状結晶の大き
さは2〜8ミクロン程度、厚さは0.3〜0.6ミクロ
ン程度となっている(町井昭著、真珠物語)。本発明者
は、このような真珠を構成する真珠層2の形成過程と、
その独特の輝きが生じるメカニズムとを検討することに
より、色合いを自在にコントロールする知見を得た。
【0014】養殖中の真珠貝(アコヤガイ)は、海中で
棲息する過程で真珠核1に真珠層2を巻いていくが、そ
の巻きの速さ、すなわち真珠層2の形成速度は、真珠貝
へ光が照射されると速くなる。具体的には、明るい環境
では形成速度が速く、暗い環境では遅い。そして、真珠
貝の分泌物が固化して形成される真珠層2の体積密度と
光の屈折率は、明るい環境では低密度かつ低屈折率とな
り、暗い環境では高密度かつ低屈折率となる。
【0015】養殖真珠貝において真珠層の形成速度は、
真珠貝の健康状態や栄養状態、特に海水からのカルシウ
ムなどの摂取量により、相当程度に異なる。特に、季節
によって大きく異なり、9月には60ミクロン/月、1
0月には40ミクロン/月、11月には15ミクロン/
月、12月には5ミクロン/月というデータも報告され
ている。したがって、初秋から晩秋では、一日当たりに
形成される真珠層2の厚さは0.5〜2ミクロン程度で
あり、晴れた日には厚く、曇りや雨の日には薄くなる。
そして、夜間には真珠層2の形成が殆ど停止し、昼間に
形成された屈折率が低くて厚い層の上に、屈折率の高い
層が極く薄く形成される。
【0016】図2はこれを模式的に示しており、屈折率
が低くて厚い第一層21と、屈折率が高くて薄い第二層
22が周期的に繰り返され、つまり第一層21と第二層
22からなる単位層20が複数積層され、真珠層2が形
成されている。比喩的に言えば、樹木の切り株に現れる
年輪のように、周期的に密度の異なる層21,22が積
層された真珠層2が形成される。このため、白色光が真
珠層2に入射すると、単位層20同士の界面で反射が生
じ、光の干渉が起こる。真珠の美しい輝きは、真珠層自
体による光の反射、吸収、散乱や、真珠層に含まれる物
質による光の反射、吸収、散乱に加えて、上記の干渉光
が重要な役割を担っている。
【0017】特に、夏に形成された真珠層に比べると、
水温が20℃から12℃程度に下がる晩秋に形成された
真珠層は、炭酸カルシウムの結晶が大きく、かつ規則正
しく重なるようになり、したがって光の散乱よりも干渉
の方が著しくなり、輝きが増す。そこで、養殖場におけ
る真珠貝の浜揚げは、一般には晩秋から初冬の時期に行
われる。
【0018】ところで、干渉膜による反射光の干渉は、
膜厚が光の波長の半波長分、またはその奇数倍分の時に
強められ、半波長の偶数倍の時に弱められる。数式で表
現すれば、干渉膜の厚さをD、光の波長をλとして、 D=(2n+1)λ/2…(1) (但し、n=0,
1,2,3…) のとき、波長λの色合いが強く現われる。したがって、
例えば波長が0.6ミクロンの赤の光では、真珠層の屈
折率の高低が0.3ミクロン、0.9ミクロン、1.5
ミクロン等の周期で整然と繰り返されていると仮定すれ
ば、真珠はピンクの美しい輝きを持つことになる。
【0019】しかし、養殖真珠貝から摘出された真珠で
は、真珠層2は平均的には一定の周期で屈折率の繰り返
し構造を持ちながら、積層時の天候に応じて繰り返し周
期が異なっている。このため、通常は特定の波長の可視
光のみを干渉で強めることはなく、あらゆる波長の可視
光で干渉が生じており、結局、真珠は概ね白色に輝くこ
とになる。
【0020】そこで本発明者は、養殖中の真珠貝に一定
の周期で強度が大きく異なる光を照射して真珠層2の積
層構造をコントロールし、特定の可視光を干渉によって
強めることにより、特定の色合いを持たせることとし
た。ここで、真珠層2の各単位層20の厚さは、理論上
は実現したい色合いに対応する光の半波長の奇数倍(1
倍、3倍、5倍…)であれば良いが、例えば可視光の半
波長の3倍、という厚さになるように、真珠層2の成長
を光照射のみでコントロールするのは困難である。つま
り、養殖海域の水温、栄養状態、時間帯、その他の環境
により、同一の光照射の条件下でも微妙に真珠層2の形
成速度が異なるので、層厚が大きいほど各単位層20の
厚さの差は大きくなる。したがって、半波長の3倍以上
の層厚では、特定の色の光のみを選択的に干渉させるこ
とが困難になるので、本発明者は実用性を考慮して、所
定の可視光の半波長と同等の周期で積層することとし
た。
【0021】ちなみに、明るい環境で形成される第一層
21は、一定の厚みを持ちながら屈折率は低く、暗い環
境で形成される第二層22は、薄くて屈折率が高くなっ
ている。従来は、単位層20の厚さは層ごとに異なって
いるが、本発明では、赤い色合いを出す真珠では単位層
20の厚さは0.3ミクロン程度、緑の色合いを出す真
珠では0.25ミクロン程度、青い色合いを出す真珠で
は0.2ミクロン程度で概ね揃っている。
【0022】本発明による真珠は、単に特定の色合いを
持っているだけでなく、真珠に固有の美しい輝きも兼ね
備えている。すなわち、真珠の独特の輝きは、前述のよ
うに真珠層2における光の干渉が重要な役割を果たして
いるが、このメカニズムは本発明においても失われてい
ない。したがって、化学物質などで着色した真珠とは全
く異なる美しいパールの輝きを実現できる。
【0023】本発明における真珠では、真珠層2の全て
を可視光の半波長と同等の厚さの単位層20で構成する
必要はなく、一部の層のみを可視光の半波長と同等周期
で積層しても良い。例えば、最外層の数層のみを可視光
の半波長と同等周期で積層し、あるいは最外層の少し内
側の数層のみを可視光の半波長と同等周期で積層しても
良く、それぞれに応じて独特の色合いと輝きが実現でき
る。また、積層の層数は2層以上であれば良いが、層数
が多くなれば特定の色合いは強くなる。
【0024】次に、上記の真珠の生産方法の実施形態に
ついて説明する。
【0025】真珠貝の養殖は年間を通じて行われるが、
一実施態様として、9月上旬から12月上旬の3ヶ月間
(90日間)に、真珠層2が概ね100ミクロン程度だ
け厚くなる環境を選ぶ。9月の一ヶ月間の成長厚さを6
0ミクロンすると、一日当たりの形成厚さは60/30
=2ミクロンとなり、太陽光で明るくなっている時間を
一日当たり11時間とすると、一時間当たりの形成厚さ
は約0.18ミクロン、10分間当たりの形成厚さは約
0.03ミクロンとなる。なお、夜間の暗い状態では僅
かしか形成が進まないので、説明の便宜上、夜間の形成
厚さはゼロと仮定する。
【0026】そこで、第一実施形態では、70分間の光
照射(明状態)と10〜20分間の暗状態を、数回ない
し数十回に渉って交互に繰り返す。すると、70分間の
明状態で0.03×7=0.21ミクロンの真珠層2
(低屈折率の第一層21)が形成され、10〜20分間
の暗状態で高屈折率のごく薄い第二層22が形成され
る。この場合、真珠層2の単位層20の厚さは0.21
ミクロンであり、これと半波長が同等となる光は、波長
が0.42ミクロンの青色光である。
【0027】次に、第二実施形態では、90分間の光照
射(明状態)と10〜20分間の暗状態を、数回ないし
数十回に渉って交互に繰り返す。すると、90分間の明
状態で0.03×9=0.27ミクロンの真珠層2(低
屈折率の第一層21)が形成され、10〜20分間の暗
状態で高屈折率のごく薄い第二層22が形成される。こ
の場合、真珠層2の単位層20の厚さは0.27ミクロ
ンであり、これと半波長が同等となる光は、波長が0.
54ミクロンの緑色光である。
【0028】更に、第三実施形態では、110分間の光
照射(明状態)と10〜20分間の暗状態を、数回ない
し数十回に渉って交互に繰り返す。すると、110分間
の明状態で0.03×11=0.33ミクロンの真珠層
2(低屈折率の第一層21)が形成され、10〜20分
間の暗状態で高屈折率のごく薄い第二層22が形成され
る。この場合、真珠層2の単位層20の厚さは0.33
ミクロンであり、これと半波長が同等となる光は、波長
が0.66ミクロンの赤色光である。
【0029】なお、上記の実施形態において、明状態と
暗状態の繰り返しは、昼間の環境で真珠貝の水深を周期
的に変えることで実現できる。すなわち、水深を4,5
m以下の浅場にすれば明状態となり、10m以上の深場
とすれば暗状態となる。また、夜間の環境でランプを設
置し、周期的に点滅させても良い。このような夜間照明
設備を兼用すると、真珠層2の成長が促進される。
【0030】次に、人工照明設備を用いて真珠層の形成
をコントロール可能にした真珠の自動生産装置と、ここ
に適用される真珠の生産方法を説明する。図3は、その
構成を示す模式図である。
【0031】養殖筏3はフロート31によって海上に浮
かんでおり、養殖筏3の上には上下駆動装置40が設置
されている。上下駆動装置40から海中には、この装置
40により巻き取り、繰り出しが可能な二本の吊下げロ
ープ41が延びている。吊下げロープ41には養殖籠5
が吊り下げられ、上下駆動装置40によって上下動可能
になっており、養殖籠5が最も上方に移動した位置の上
方近傍には、養殖筏3上の電源装置60に接続された光
源61が設置されている。養殖筏3の上面には光センサ
71が固定され、この光センサ71は信号線72を介し
て養殖筏3上の制御ボックス70に接続されている。な
お、制御ボックス70にはリール73が固定され、養殖
籠5の上下動に応じて信号線72を巻き取り、または繰
り出すようになっている。
【0032】ここで、光センサ71は養殖籠5への照射
光量をモニタするものであり、例えばホトダイオードに
より構成される。また、上下駆動装置40は吊下げロー
プ41の繰り出した長さを自ら検出するようになってお
り、検出値は養殖籠位置信号として随時、制御ボックス
70に送られている。制御ボックス70はマイコンを内
臓しており、あらかじめ記憶されたプログラムと光セン
サ71からのモニタ信号および上下駆動装置40からの
養殖籠位置信号に基づき、上下駆動装置40の動作と光
源61の点灯、消灯を制御する。以下、これについて具
体的に説明する。
【0033】例えば、明状態で70分間、暗状態で20
分間のサイクルを、合計20回繰り返すようなプログラ
ムが設定されていると仮定する。そして、日の出前の早
朝5時に制御ボックス70を起動したとすると、マイコ
ンは光センサ71からのモニタ信号に基づき、所定レベ
ル以上の光量の光が養殖籠5に照射されているか否か判
別する。当然、日の出前ゆえに光量は不足しているの
で、マイコンは上下駆動装置40に対して吊下げロープ
41を巻き取る司令を出す。これにより、養殖籠5は深
場から浅場へ移動するが、養殖籠5が最上方位置に到達
した後にも、日の出前ゆえ光センサ71からのモニタ信
号は光量不足の状態にある。そこで、マイコンは電源装
置60に指令を出し、光源61を点灯させる。この人工
照明により養殖籠5は明状態になり、真珠層の形成が促
進される。
【0034】70分が経過して6時10分になると、明
状態から暗状態に制御が切り替わり、マイコンからの司
令で光源61は消灯される。しかし、海中には朝の柔ら
かい光が射し込んでおり、これだけでは充分な暗状態に
はならない。そこで、マイコンは上下駆動装置40に対
して指令を出し、吊下げロープ41を繰り出させる。養
殖籠5が海中を降下するにつれて光センサ71のモニタ
光量は低下し、所定レベル以下になったら吊下げロープ
41の繰り出し停止を司令する。これにより、養殖籠5
は暗状態になり、真珠層の最外層の上に屈折率の高い薄
層が形成され始める。なお、この時間帯の太陽光は未だ
弱いため、養殖籠5は海中のやや浅い深場に位置してお
り、したがって上下駆動装置40の消費電力が節約され
ている。
【0035】20分が経過して6時30分になると、暗
状態から明状態に制御が切り替わり、マイコンからの司
令で吊下げロープ41が巻き上げられ、養殖籠5は海面
に向かって移動し、最上方位置に到達する。しかし、朝
の光はまだ弱く、これだけでは充分な明状態にならな
い。そこで、マイコンからの司令により光源61が点灯
する。この人工的な補助照明により養殖籠5は所定の明
状態になり、真珠層の形成が促進される。その後、日が
昇るにつれて海中は明るくなり、太陽光センサ71のモ
ニタ光量が所定レベルを超えるようになる。すると、マ
イコンからの司令で光源61は消灯し、自然光のみによ
る真珠層の形成量コントロールが始まる。この明状態で
形成される真珠層は、屈折率は低いが厚い。
【0036】さらに、70分が経過して7時40分にな
ると、明状態から暗状態に制御が切り替わり、マイコン
からの司令で光源61は消灯される。しかし、海中には
朝の明るい光が射し込んでおり、これだけでは暗状態に
はならない。そこで、マイコンは上下駆動装置40に対
して指令を出し、吊下げロープ41を繰り出させる。養
殖籠5が海中を降下するにつれて光センサ71のモニタ
光量は低下し、所定レベル以下になったら吊下げロープ
41の繰り出し停止を司令する。これにより、養殖籠5
は暗状態になり、真珠層の最外層の上に屈折率の高い薄
層が形成され始める。なお、この時間帯の太陽光はかな
り強いため、養殖籠5は海中のやや深い深場に位置する
ことになる。
【0037】以下、同様のプロセスを繰り返すことで、
多層構造の真珠層が形成される。なお、冬季の場合に
は、真珠層の一日で形成される厚さが可視光の半波長に
達しないことがあり、このような場合には、朝・夕の光
源の点灯により光照射の時間が昼間の時間より長くなる
ように制御される。
【0038】
【発明の効果】以上の通り、本発明によれば、照射され
る光強度の周期的変化に応じて単位層の形成が繰り返さ
れるため、所定の層厚の単位層を積層した真珠層が形成
される。このため、生産された真珠の真珠層は、所定の
可視光に対する屈折率が内側から外側に向かって周期的
に異なることとなるので、白色光が真珠層に入射すると
可視光が好適に干渉し、特定の色合を持つことになる。
このとき、真珠層には特別な物質が人工的に導入される
ことがないので、真珠に固有の独特の美しい輝きは何ら
失われない。
【0039】また、本発明に係る真珠の生産方法におい
て、真珠層の所定の可視光に対する屈折率が、当該所定
の可視光の半波長と同等の周期で内側から外側に向かっ
て異なるようにすれば、白色光が真珠層に入射すると上
記の所定の可視光が好適に干渉し、その所定の可視光の
色合いを持つことになる。
【0040】更に本発明に係る真珠の生産方法によれ
ば、養殖中の真珠貝に対して光を照射する光源を設置す
ると共に、真珠貝に照射される光の強度をモニタするモ
ニタ手段を設置し、あらかじめ定められた所定の時間ス
ケジュールで真珠貝に所定強度の光が照射されるよう、
モニタ手段のモニタ結果に基づき光源の点滅および/ま
たは投射光量を制御するので、昼夜の別なく、また天候
の如何に拘わりなく、養殖中の真珠貝に対して、あらか
じめ定められた所定の時間スケジュールで所定強度の光
を照射でき、かつ照射を停止できるので、真珠層の積層
構造を所望に造り込んだ真珠が生産できる優れた効果が
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】養殖真珠の断面図である。
【図2】真珠が輝く原理を説明する断面模式図である。
【図3】実施例に係る真珠の養殖方法を説明する図であ
る。
【符号の説明】
1…真珠核、2…真珠層、21…低屈折率で厚い第一
層、22…高屈折率で薄い第二層、3…養殖筏、31…
フロート、40…上下駆動装置、41…吊り下げロー
プ、5…養殖籠、60…電源装置、61…光源、70…
制御ボックス、71…光センサ、72…信号線。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真珠核を核入れした真珠貝を水中で養殖
    し、当該真珠貝の分泌物を前記真珠核の表面で固化させ
    ることにより真珠層を形成する真珠の生産方法におい
    て、 養殖中の前記真珠貝に対して、時間:T1の間は所定強
    度の光を照射し、引き続く時間:T2の間は前記所定強
    度よりも充分に低強度の光を照射するか、または光を実
    質的に照射しないことにより、時間:T=T1+T2の
    間に所定の層厚の単位層を形成し、 この光照射の強度の切り替えを時間:Tの周期で周期的
    に繰り返すことにより、前記単位層を積層した前記真珠
    層を形成することを特徴とする真珠の生産方法。
  2. 【請求項2】 前記時間:Tの間に、所定の可視光の半
    波長と略同等の層厚の前記単位層を形成することを特徴
    とする請求項1記載の真珠の生産方法。
  3. 【請求項3】 真珠核を核入れした真珠貝を水中で養殖
    し、当該真珠貝の分泌物を前記真珠核の表面で固化させ
    ることにより真珠層を形成する真珠の生産方法におい
    て、 養殖中の前記真珠貝に対して光を照射する光源を設置す
    ると共に、当該真珠貝に照射される光の強度をモニタす
    るモニタ手段を設置し、あらかじめ定められた所定の時
    間スケジュールで前記真珠貝に所定強度の光が照射され
    るよう、前記モニタ手段のモニタ結果に基づき前記光源
    の点滅および/または投射光量を制御することを特徴と
    する真珠の生産方法。
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