JP3348808B2 - 溶液中の白金族元素の分離・回収方法 - Google Patents
溶液中の白金族元素の分離・回収方法Info
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Description
塩混合物の水溶液又は有機溶液から白金族元素を分離
し、これを回収する方法に関する。更に詳しくは超臨界
抽出法により、(1)核燃料再処理、非鉄金属湿式精錬工
程で得られる白金族元素を含む金属塩混合物から白金族
元素を分離して回収する方法、又は(2)白金族元素スク
ラップ等から白金族元素を分離して回収する方法に関す
るものである。
流体で抽出分離する方法が、例えば錯化剤としてアセチ
ルアセトンを用いた「超臨界状態のCO2ガスによるア
セチルアセトン錯体の抽出法(N.Saito et al., Bull.C
hem.Soc.Jpn Vol.63, 1532 (1990))」や「選択的な錯
化による廃棄物からの金属イオンの超臨界抽出法(Chie
nM. Wai et al., PNL-SA-21775 (1993))」等により試
みられている。後者の超臨界抽出法はジエチルチカルバ
ミン酸錯体の超臨界状態のCO2ガスによる抽出法であ
る。
う)抽出の媒体として二酸化炭素超臨界流体を用いて硝
酸水溶液中からランタノイド(III)を抽出分離する方法
が「二酸化炭素超臨界流体を用いる水溶液からのランタ
ノイドの抽出分離」(日本原子力学会,1994春の年会,A2
9(1994年3月)」という題目で発表され、更に硝酸水溶
液中のウラン(VI)イオンを2〜3%のTBPを含む超臨
界二酸化炭素中に抽出分離する方法が「超臨界二酸化炭
素を媒体とする金属の抽出分離法の開発(II)」(日本原
子力学会,1995春の年会,J2(1995年3月)」という題目で
発表されている。これらの学会発表の超臨界抽出法によ
れば、従来の溶媒抽出法と比べて、有機溶媒の代わりに
超臨界流体を用いるため、廃有機溶媒の発生量が減少
し、しかも媒体に毒性や引火性がなく抽出操作の安全性
が向上するメリットがある。
トン錯体やジエチルチカルバミン酸錯体を用いる上記2
つの超臨界抽出法では各種元素と錯化剤とを組合せた場
合、超臨界流体中への錯体溶解度が0.01%のオーダ
で非常に低いため、超臨界流体の延べ使用量が非常に多
くなり、実際の分離プロセスとして効率の良い抽出操作
が困難である問題点があった。この溶解度を向上させる
方法として、上記2つの例のように抽出助剤や錯化剤が
液体の場合には溶液中の元素を錯化するのに必要な量よ
り非常に多量の錯化剤を溶液に添加し、錯化剤を抽出助
剤として併用する方法等がある。しかしこの方法は、抽
出助剤がアルコールや種々の有機溶媒を加えて調製され
るため、結局溶媒抽出法に近いものになり、超臨界抽出
法の溶媒抽出法に対する上記メリットを明確に打ち出す
ことができず、好ましくない。またこれらの方法で抽出
された元素は金属錯体の形態であり、再利用のための後
工程での処理を考慮すると、粉末状もしくは水溶液状が
好ましく、この場合超臨界抽出と連続的な操作でこれら
の形態にすることが望まれる。
む金属塩混合物の水溶液又は有機溶液から白金族元素を
比較的少量の超臨界流体で、抽出助剤や過剰な錯化剤を
添加することなく、再利用のための処理が容易な粉末状
もしくは水溶液状の形態で分離・回収できる方法を提供
することにある。
体を用いた白金族元素の分離するに際して、白金族元素
に対する錯化剤の組合せを検討し、特定の白金族元素と
選択的に錯体を形成し、しかもその錯体が超臨界状態の
CO 2 ガス、フロンガス又は亜酸化窒素ガスである超臨
界流体に高い溶解度を有する組合せを見出し、更に超臨
界流体に溶解した元素錯体をヒドラジン等の還元剤、チ
オ尿素、塩化アンモニウム等を含む水溶液に超臨界状態
で吹き込むことにより、金属又は酸化物粉末、或いは白
金族元素の水溶液として得られることに着目し、本発明
に到達した。
族元素の分離方法は、白金族元素を含む金属塩混合物の
水溶液又は有機溶液中でホスフィン類、ホスファイト
類、ジアルキルサルファイド類、シクロペンタジエン及
び一酸化炭素からなる群より選ばれた1種又は2種以上
の錯化剤により上記白金族元素の錯体を生成し、この錯
体に超臨界流体を接触させて錯体を超臨界流体に抽出
し、この錯体を抽出した超臨界流体をヒドラジン、水素
化ホウ素ナトリウム、チオ尿素又は塩化アンモニウムを
含むアンモニア水溶液に超臨界状態を保った状態で吹き
込むことにより、超臨界流体に錯体として溶解している
白金族元素を上記アンモニア水溶液中に回収する方法で
ある。ここで超臨界流体は超臨界状態のCO 2 ガス、フ
ロンガス又は亜酸化窒素ガスである。
又は有機溶液は、核燃料再処理、非鉄金属湿式精錬工程
等で得られる。特に使用済核燃料には、ウラン、プルト
ニウム等の核分裂により生成されたルテニウム(R
u)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)等の白金
族元素が相当量含まれており、その再処理液にもこれら
の白金族元素が含まれている。本発明の白金族元素の錯
体は、白金族元素を含む金属塩混合物の水溶液又は有機
溶液とホスフィン類、ホスファイト類、ジアルキルサル
ファイド類、シクロペンタジエン、一酸化炭素等の錯化
剤とを直接混合して生成する以外に、上記水溶液又は有
機溶液に白金族元素の錯イオンを形成する錯化剤を添加
して抽出用錯体の前駆体を形成し、この前駆体に上記錯
化剤を添加して白金族元素の錯体を生成することもでき
る。
ては、ホスフィン類、ホスファイト類、ジアルキルサル
ファイド類、シクロペンタジエン及び一酸化炭素からな
る群より選ばれた1種又は2種以上の錯化剤が挙げられ
る。ホスフィン類としてはトリメチルホスフィン、トリ
エチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリブチ
ルホスフィン等が例示され、ホスファイト類としてはト
リメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリ
プロピルホスファイト、トリブチルホスファイト等が例
示され、ジアルキルサルファイド類としてはブチルサル
ファイド、ヘキシルサルファイド、オクチルサルファイ
ド等が例示される。ホスフィン類はホスフィン錯体を、
ホスファイト類はホスファイト錯体を、ジアルキルサル
ファイド類はジアルキルサルファイド錯体をそれぞれ形
成する。またシクロペンタジエンはシクロペンタジエン
錯体を、一酸化炭素はカルボニル錯体を形成する。
の白金族元素の錯イオンを形成する錯化剤としては、N
aCl、NH4Cl、シクロオクタジエン等が例示され
る。この錯化剤がNaCl又はNH4Clの場合、抽出
用錯体の前駆体としてテトラクロロ錯体が形成され、錯
化剤がシクロオクタジエンの場合、抽出用錯体の前駆体
としてシクロオクタジエン錯体が形成される。本発明の
超臨界流体としては、超臨界状態のCO2ガス、フロン
ガス又は亜酸化窒素ガスが挙げられる。安価で取扱いの
容易なCO2ガスが好ましい。このCO2ガスの超臨界状
態は圧力150〜350atmの範囲で温度40〜80
℃の範囲にあることが好ましい。
法としては、固液分離された白金族元素の錯体と超臨界
流体との接触により行う方法と、白金族元素の錯体が共
存する反応液と超臨界流体との接触により行う方法があ
る。図1に示すように、後者の接触は、例えば予め白金
族元素の錯体が共存する反応液10を耐圧性の抽出容器
11内に入れておき、この容器11内の反応液10にボ
ンベ12に貯えられた超臨界流体を供給弁12aを開い
て導管13により吹き込むことにより行われる。超臨界
流体に錯体として溶解している白金族元素はヒドラジン
(N2H4)、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)、
チオ尿素又は塩化アンモニウム(NH4Cl)を含むア
ンモニア水溶液に吹き込まれることにより、このアンモ
ニア水溶液に逆抽出される。このアンモニア水溶液を貯
える分離・回収容器は単一でもよいが、白金族元素の分
離・回収率を高めるためには、複数配置することが好ま
しい。図1には第1段の分離・回収容器14と最終段の
分離・回収容器15を有する多段の逆抽出工程が示され
る。説明を簡単にするために、途中の分離・回収容器は
図示されない。この場合、錯体を抽出した超臨界流体は
導管16を通って第1段の分離・回収容器14に貯えら
れた上記アンモニア水溶液17に超臨界状態を保った状
態で吹き込まれる。次いで分離・回収容器14から排出
される超臨界流体は導管を通って図示しない分離・回収
容器に貯えられたアンモニア水溶液に超臨界状態を保っ
た状態で吹き込まれ、以下同様に導管18を通って最終
段の分離・回収容器15に貯えられたアンモニア水溶液
17に超臨界状態を保った状態で吹き込まれる。最終段
の分離・回収容器15から排出される超臨界流体は排出
弁19を開放することにより、臨界圧力以下の所定の圧
力に下げられ、錯化剤20が容器21に回収される。
類、ジアルキルサルファイド類、シクロペンタジエン、
一酸化炭素等の錯化剤を添加して反応させると、生成し
た錯体は比較的低分子量で対称性のある構造を有し、C
O2、フロン、亜酸化窒素等の超臨界流体に化学的に親
和性のあるものになる。そのためこの錯体と本発明の超
臨界流体とを接触させると、錯体が超臨界流体に従来の
10〜100倍程度の溶解度で溶け込む。この錯体を抽
出した超臨界流体をヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウ
ム、チオ尿素又は塩化アンモニウムを含むアンモニア水
溶液に超臨界状態を保った状態で吹き込むと、超臨界流
体に錯体として溶解している白金族元素は、水素化ホウ
素ナトリウム又はヒドラジンの場合には還元作用によ
り、或いは塩化アンモニウム又はチオ尿素の場合には錯
形成により、アンモニア水溶液に逆抽出され、即ち錯化
剤より分離する。そして金属又は酸化物粉末、或いは白
金族元素の水溶液の形態で上記アンモニア水溶液中に回
収される。回収された粉末状の白金族元素はろ別又は遠
心分離等の固液分離手段でアンモニア水溶液から取出さ
れて再利用される。水溶液状の白金族元素は還元剤を添
加することによりアンモニア水溶液から分離されて再利
用される。
明を実施例に基づいて説明する。以下に述べる実施例は
本発明の技術的範囲を限定するものではない。 <実施例1>白金族元素を含む金属元素混合模擬液とし
て、Pd,Pt,Rh,Ru,Mo,Pb,Fe,C
u,Al元素を含有する塩酸酸性(フリー塩酸濃度約
1.0N)の水溶液を調製した。元素の濃度及び組成は
表1に示す通りである。
の錯イオン形成剤としてNaCl又はNH4ClをPd
のモル数に対してNaCl/Pd又はNH4Cl/Pd
=2〜4の割合で添加・混合し、ホスフィン錯化剤と錯
体を形成し易いPdのテトラクロロ錯イオン(PdCl
4 2-)を形成させた。次にこの溶液にトリブチルホスフ
ィンをPdのモル数の2倍の割合で添加・混合し、Pd
のジクロロビストリブチルホスフィン錯体(PdCl2
(PBu3)2)を形成させた。生成した錯体は水に対し
て難溶性であり水溶液中に浮遊した状態であった。7個
の耐圧性のある抽出容器を用意し、各容器にこの液のま
ま、或いはこの液から水をろ別した錯体を入れ、これら
の抽出容器に超臨界状態のCO2又はCHF3(フロン)
を吹き込んだ。具体的には、CO2を吹き込む場合、表
2に示すようにその圧力を150atmと350atm
の2条件にし、その温度を40℃と80℃の2条件にし
て表2に示す時間で、超臨界抽出操作をそれぞれ行っ
た。CHF3を吹き込む場合、表2に示すようにその圧
力を350atmだけの1条件にし、その温度を40℃
と80℃の2条件にして表2に示す時間で、超臨界抽出
操作をそれぞれ行った。CO2又はCHF3の流量は液体
基準で3.0ml/分であった。超臨界抽出操作後、抽
出容器から排出されるCO2又はCHF3の圧力を大気圧
に下げて抽出された錯体の重量を測定し、錯体の元素の
組成分析を行った。この測定及び分析結果から、模擬水
溶液からのPdの回収率、Pd錯体の超臨界流体中の溶
解度を求めた。その結果を表2に示す。
てCO2を用いたときの模擬水溶液からのPdの回収率
はろ別をしない場合でも93%であり、ろ別をすると9
7〜98%の高い回収率であった。またCO2及びCH
F3の超臨界流体へのPd錯体の溶解度は1.2%以上
あり、従来の方法での溶解度が0.01%のオーダであ
ることと比較して約100倍であった。これはPd錯体
を分離するために使用される超臨界流体の延べ使用量は
従来法と比べて1/100程度となり、実施例の方法が
プロセスを構成する上でまた分離操作する上で実現性が
高い方法であることが判明した。
ルホスフィン錯体(以下、Pd−PBu3錯体という)
0.5g(Pd重量で102mg)を仕込み錯体として
5個の耐圧性のある抽出容器にそれぞれ入れた。一方、
10個の耐圧性のある分離・回収容器を用意し、各容器
に表3に示す5種類の逆抽出溶液を10mlずつ貯え
た。1段の抽出工程と2段の逆抽出工程を実現するため
に、逆抽出溶液の種類毎に上記抽出容器1個に対して上
記分離・回収容器2個を直列に接続した。これらの3個
の直列接続した容器を全て40℃に保ち、全容器にCO
2を圧力150atm、流量3.0ml/分で30分間
吹き込み、超臨界抽出と超臨界逆抽出を行った。1段目
の分離・回収容器と2段目の分離・回収容器におけるP
dの逆抽出回収率を調べた。その結果を表3に示す。1
段目も2段目もほぼ同じPdの回収率であったので、表
3には1段目の分離・回収容器におけるPdの回収率の
みを示す。またこのときの逆抽出液中のPdの回収形態
を表3に示す。
られた難溶性固体錯体であるPd−PBu3錯体が、N2
H4、チオ尿素及びNH4Clを含む逆抽出液に一部溶解
してPdの水溶液として回収され、またNaBH4を含
む逆抽出液ではPd−PBu3錯体が還元されて金属P
dの粉末状の沈殿として回収された。上記逆抽出液によ
る1段の回収率は最低でも20%程度であり、特にチオ
尿素を10%含むアンモニア水溶液を逆抽出液としたも
のは50%近い高い回収率を示した。更に2段目の分離
・回収容器の排出系の最終トラップにおいて超臨界流体
であるCO2を除去して残留物を得た。この残留物を分
析したところ、2段の逆抽出工程で回収されなかったP
dの全量が検出された。
わりにCHF3を用い、Pd−PBu3錯体の仕込み量を
0.5g(Pd重量で102mg)にし、逆抽出液とし
てN2H4を含むアンモニア水溶液を用いた以外は、実施
例1と同様にして1段の超臨界抽出と2段の超臨界逆抽
出を行った。その結果を表4に示す。
わりにN2Oを用い、Pd−PBu3錯体の仕込み量を
0.5g(Pd重量で102mg)にし、逆抽出液とし
てNH4Clを含むアンモニア水溶液を用いた以外は、
実施例1と同様にして1段の超臨界抽出と2段の超臨界
逆抽出を行った。その結果を表4に示す。
によるPdの回収形態は実施例1と同じであった。上記
逆抽出液によるPdの回収率は20〜22%で実施例1
と比較すると低かった。
合模擬液として、Ru,Pd,Pt,Rh,Mo,P
b,Fe,Cu,Al元素を含有する塩酸酸性(フリー
塩酸濃度約0.5N)のエタノール水溶液を調製した。
元素の濃度及び組成は表5に示す通りである。
の錯化剤としてトリメチルホスファイトをRuのモル数
の4〜8倍の割合で添加し0℃、大気圧下で反応させ、
亜リン酸が4配位したRuのメチルホスファイト錯体
(RuCl2[P(OCH3)]4)を形成させた。この
錯体はエタノール水溶液に難溶性であり沈殿として得ら
れた。次に4つの耐圧性のある抽出容器を用意し、各容
器にこの沈殿をろ別して得られた錯体を入れ、これらの
抽出容器に超臨界状態のCO2又はN2O(亜酸化窒素)
を吹き込んだ。具体的には、CO2を吹き込む場合、表
6に示すようにその圧力を150atmと350atm
の2条件にし、その温度を40℃と80℃の2条件にし
て表6に示す時間で、超臨界抽出操作をそれぞれ行っ
た。N2Oを吹き込む場合、表6に示すようにその圧力
を350atmだけの1条件にし、その温度を40℃と
80℃の2条件にして表6に示す時間で、超臨界抽出操
作をそれぞれ行った。CO2又はN2Oの流量は液体基準
で3.0ml/分であった。超臨界抽出操作後、抽出容
器から排出されるCO2又はN2Oの圧力を大気圧に下げ
て抽出された錯体の重量を測定し、錯体の元素の組成分
析を行った。この測定及び分析結果から、模擬水溶液か
らのRuの回収率、Ru錯体の超臨界流体中の溶解度を
求めた。その結果を表6に示す。
Ruを73%〜82%の高い回収率で回収でき、その他
の元素組成が高々10%であることから回収物はRuが
約90%の高い純度であった。
合模擬液として、Ru,Pd,Pt,Rh,Mo,P
b,Fe,Cu,Al元素を含有する塩酸酸性(フリー
塩酸濃度約0.5N)のエタノール水溶液を調製した。
元素の濃度及び組成は表7に示す通りである。
の錯化剤としてシクロオクタジエンをRuのモル数の1
〜2倍の割合で添加し75℃、大気圧下で反応させ、R
uのシクロオクタジエン錯体(RuCl2(C8H12))
を形成させた。更にこの溶液にn−Bu3Sn(C
5H5)をRuのモル数の2〜4倍の割合で添加し75
℃、大気圧下で反応させ、ルテノセン錯体(Ru(C5
H5)2)させた。生成した錯体はエタノール水溶液に難
溶性であり沈殿として得られた。次にこの沈殿をろ別し
て得られた錯体を抽出容器に入れ、この抽出容器に超臨
界状態のCO2を吹き込んだ。具体的には、表8に示す
ようにCO2の圧力を150atmと350atmの2
条件にし、その温度を40℃と80℃の2条件にして表
8に示す時間で、CO2による超臨界抽出操作をそれぞ
れ行った。CO2の流量は液体基準で3.0ml/分で
あった。超臨界抽出操作後、抽出容器から排出されるC
O2の圧力を大気圧に下げて抽出された錯体の重量を測
定し、錯体の元素の組成分析を行った。この測定及び分
析結果から、模擬水溶液からのRuの回収率、Ru錯体
の超臨界流体中の溶解度を求めた。その結果を表8に示
す。
Ruを78%〜88%の高い回収率で回収でき、その他
の元素組成が高々10%であることから回収物はRuが
約90%の高い純度であった。
合模擬液として、Ru,Pd,Pt,Rh,Mo,P
b,Fe,Cu,Al元素を含有する塩酸酸性(フリー
塩酸濃度約0.5N)のエタノール水溶液を調製した。
元素の濃度及び組成は表9に示す通りである。
の錯化剤として一酸化炭素(CO)をRuのモル数の1
〜2倍の割合で添加し125℃、60atmで反応さ
せ、Ruのカルボニル錯体(Ru3(CO))を形成さ
せた。生成した錯体はエタノール水溶液に難溶性であり
沈殿として得られた。次にこの沈殿をろ別して得られた
錯体を抽出容器に入れ、この抽出容器に超臨界状態のC
O2を吹き込んだ。具体的には、表10に示すようにC
O2の圧力を150atmと350atmの2条件に
し、その温度を40℃と80℃の2条件にして表10に
示す時間で、CO2による超臨界抽出操作をそれぞれ行
った。CO2の流量は液体基準で3.0ml/分であっ
た。超臨界抽出操作後、抽出容器から排出されるCO2
の圧力を大気圧に下げて抽出された錯体の重量を測定
し、錯体の元素の組成分析を行った。この測定及び分析
結果から、模擬水溶液からのRuの回収率、Ru錯体の
超臨界流体中の溶解度を求めた。その結果を表10に示
す。
らRuを85%〜94%の高い回収率で回収でき、その
他の元素組成が高々15%であることから回収物はRu
が約85%の高い純度であった。
キシルサルファイド錯体(以下、Pd−DHS錯体とい
う)0.5ml(Pd重量で12.5mg)を5個の耐
圧性のある抽出容器にそれぞれ入れた。一方、5個の耐
圧性のある分離・回収容器を用意し、各容器に表11に
示す5種類の逆抽出溶液を10mlずつ貯えた。1段の
抽出工程と1段の逆抽出工程を実現するために、逆抽出
溶液の種類毎に上記抽出容器1個に上記分離・回収容器
1個を直列に接続した。これらの2個の直列接続した容
器を全て40℃に保ち、全容器にCO2を圧力150a
tm、流量3.0ml/分で30分間吹き込み、超臨界
抽出と超臨界逆抽出を行った。分離・回収容器における
Pdの逆抽出回収率を調べた。その結果を表11に示
す。またこのときの逆抽出液中のPdの回収形態を表1
1に示す。
類によるPdの回収形態は実施例1と同じであった。上
記逆抽出液による1段の回収率は36%以上であり、特
にチオ尿素を10%含むアンモニア水溶液を逆抽出液と
したものは95%という極めて高い回収率を示した。
化剤としてホスフィン類、ホスファイト類、ジアルキル
サルファイド類、シクロペンタジエン、一酸化炭素等を
選定してこの錯化剤により白金族元素の錯体を生成する
と、この錯体は比較的低分子量で対称性のある構造を有
するようになり、この錯体とCO2、フロン、亜酸化窒
素等の超臨界流体とを接触させると、錯体が超臨界流体
に従来の10〜100倍程度の溶解度で溶け込む。この
錯体を抽出した超臨界流体をヒドラジン、水素化ホウ素
ナトリウム、チオ尿素又は塩化アンモニウムを含むアン
モニア水溶液に超臨界状態を保った状態で吹き込むと、
超臨界流体に錯体として溶解している白金族元素は上記
アンモニア水溶液に逆抽出され、回収される。
が溶解した水溶液又は有機溶液から白金族元素を従来の
1/10〜1/100程度の比較的少量の超臨界流体で
効率よく分離することができるとともに、白金族元素を
再利用のための処理が容易な金属又は酸化物粉末、或い
は白金族元素の水溶液の形態で回収することができる。
図。
Claims (7)
- 【請求項1】 白金族元素を含む金属塩混合物の水溶液
又は有機溶液中でホスフィン類、ホスファイト類、ジア
ルキルサルファイド類、シクロペンタジエン及び一酸化
炭素からなる群より選ばれた1種又は2種以上の錯化剤
により前記白金族元素の錯体を生成し、 前記錯体に超臨界流体を接触させて前記錯体を前記超臨
界流体に抽出し、 前記錯体を抽出した超臨界流体をヒドラジン、水素化ホ
ウ素ナトリウム、チオ尿素又は塩化アンモニウムを含む
アンモニア水溶液に超臨界状態を保った状態で吹き込む
ことにより、前記超臨界流体に錯体として溶解している
白金族元素を前記アンモニア水溶液中に回収し、 前記超臨界流体が超臨界状態のCO 2 ガス、フロンガス
又は亜酸化窒素ガスである ことを特徴とする溶液中の白
金族元素の分離・回収方法。 - 【請求項2】 ホスフィン類がトリメチルホスフィン、
トリエチルホスフィン、トリプロピルホスフィン又はト
リブチルホスフィンである請求項1記載の溶液中の白金
族元素の分離・回収方法。 - 【請求項3】 ホスファイト類がトリメチルホスファイ
ト、トリエチルホスファイト、トリプロピルホスファイ
ト又はトリブチルホスファイトである請求項1記載の溶
液中の白金族元素の分離・回収方法。 - 【請求項4】 ジアルキルサルファイド類がブチルサル
ファイド、ヘキシルサルファイド、オクチルサルファイ
ドである請求項1記載の溶液中の白金族元素の分離・回
収方法。 - 【請求項5】 白金族元素の錯体と超臨界流体との接触
が固液分離された白金族元素の錯体と超臨界流体との接
触により行われる請求項1記載の溶液中の白金族元素の
分離・回収方法。 - 【請求項6】 白金族元素の錯体と超臨界流体との接触
が白金族元素の錯体が共存する反応液と超臨界流体との
接触により行われる請求項1記載の溶液中の白金族元素
の分離・回収方法。 - 【請求項7】 超臨界状態のCO2ガスが圧力150〜
350atmの範囲で温度40〜80℃の範囲にあるC
O2ガスである請求項1記載の溶液中の白金族元素の分
離・回収方法。
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