JP3330486B2 - 斜流ファンの成形方法およびその方法により成形される斜流ファン - Google Patents

斜流ファンの成形方法およびその方法により成形される斜流ファン

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JP3330486B2 JP06340296A JP6340296A JP3330486B2 JP 3330486 B2 JP3330486 B2 JP 3330486B2 JP 06340296 A JP06340296 A JP 06340296A JP 6340296 A JP6340296 A JP 6340296A JP 3330486 B2 JP3330486 B2 JP 3330486B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、空気調和機に使用
される3次元形状を有する翼を備えた斜流ファンと、そ
の成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、空気調和機に用いられる3次
元形状を有する翼(翼が中心軸方向に対して傾斜してい
る翼をいう)を備えた斜流ファンが知られており、この
斜流ファンは一般に基体、翼およびシュラウドから構成
されている。このような斜流ファンを中心軸方向から見
た場合、基体、翼およびシュラウドに各々重なりあう部
分があるため、基体および翼を一体に成形できる射出成
形型の設計や、全体を一体に成形できるような射出成形
型の設計は極めて困難である。このため、上述したよう
な斜流ファンは以下ような方法により製造されている。
1つの方法は、構成部材である基体、翼およびシュラウ
ドをそれぞれ単独で成形した後、これらを組立てる方
法、他の方法は、翼と、各翼の前縁を相互に連結する内
側基体を一体に成形した後、これにシュラウドと各翼の
後縁を相互に連結する外側基体とを組付ける方法(実公
昭61−21593号)である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述したよう
に構成部材を各々別々に成形した後に組立を行う製造方
法を採ると、組立ての際に、位置決め精度の管理や、接
着(溶着)部の強度の管理が必要となり、製造コストを
低減することが困難となる。また、組立ての際に十分な
精度が得られない場合、斜流ファン全体のバランスの狂
いが生じる。斜流ファンは回転状態で使用されるため、
このバランスの狂いは振動発生の原因となってしまうと
いう問題もある。
【0004】本発明は、このようなことを考慮してなさ
れたものであり、基体および翼を一体に成形できる斜流
ファンの成形方法、および基体、シュラウドおよび翼を
一体に成形できる斜流ファンの成形方法を提供するとと
もに、一体成形に適し、かつ十分な送風性能を有する斜
流ファンを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】第1の手段は、略円錐形
状に形成された基体と、前記基体の外周面に設けられた
複数の翼と、これら各翼の先端同志を連結する略円錐台
形状の連結部材とこの連結部材の内側端縁に連結された
円筒部材とからなる環状のシュラウドと、を備えた斜流
ファンの成形方法において、前記翼の前縁は、前記連結
部材と前記円筒部材との交線上で前記シュラウドと交わ
るとともに、前記斜流ファンの中心軸と前記基体の外周
面とがなす角度の最大値αmaxが、斜流ファンの中心軸
と前記シュラウドの連結部材の内周面となす角度の最小
値βminより小さくなるように構成され、前記斜流ファ
ンの軸方向に開閉する第1型および第2型と、前記第1
型と第2型との間に斜流ファンの放射方向であって前記
αmaxより大きくβminより小さい方向に移動可能に設け
られるとともに互いに相対する翼の背面および腹面とこ
れらによって区画された基体外周面およびシュラウド内
周面とを形成するスラィド型と、を有する成形型を準備
する工程と、前記成形型を用いて前記斜流ファンを成形
する工程と、前記スライド型を前記放射方向に移動さ
せ、成形された斜流ファンから前記スライド型を抜く工
程と、を備え、前記翼を回転方向に傾斜した3次元形状
に成形するとともに、基体、翼およびシュラウドを一体
に成形することを特徴とするものである。
【0006】第1の手段によれば、成形型が準備され、
この成形型を用いて斜流ファンが成形される。次いで、
スライド型が放射方向に移動し、成形された斜流ファン
スライド型が抜かれる。この場合、放射方向に移動可能
に設けられたスライド型により、互いに相対する翼の背
面および腹面とこれらによって区画された基体外周面お
よびシュラウド内周面とが成形されるようになっている
ため、第1型および第2型のみでは一体に成形すること
ができない形状の斜流ファンを一体に成形することがで
きる。また、斜流ファンの中心軸と基体の外周面とがな
す角度の最大値αmaxが、斜流ファンの中心軸とシュラ
ウドの連結部材の内周面となす角度の最小値βminより
小さくなるように構成され、かつ、互いに相対する翼の
背面および腹面とこれらによって区画された基体外周面
およびシュラウド内周面とを形成するスラィド型が、斜
流ファンの放射方向であって前記αmaxより大きくβmin
より小さい方向に移動可能であるため、パーティングラ
インが翼の腹面および背面上に位置することがないた
め、翼の腹面および背面上にパーティングラインが転写
された凹凸が発生することがなく、翼の強度を十分に確
保することができる。
【0007】第2の手段は、略円錐形状に形成された基
体と、前記基体の外周面に設けられるとともに各々回転
方向に傾斜して3次元形状をなす複数の翼と、これら各
翼の先端同志を連結する環状のシュラウドとを備えた斜
流ファンであって、請求項1記載の成形方法により成形
されたことを特徴とするものである。
【0008】第3の手段は、請求項2記載の斜流ファン
において、前記翼の翼弦長の最大値をcとし、互いに隣
接する翼の後縁のうち前記斜流ファンの中心軸から最も
遠い位置にある点を通り前記斜流ファンの中心軸を中心
とする円弧の長さをrとした場合、cとrとが 0.4
5≦c/r≦0.65 なる関係にあることを特徴とす
るものである。第3の手段によれば、cとrとが上記関
係にあるため、比較的少ない翼枚数により十分な風量お
よび騒音の少ない斜流ファンを得ることができる。
【0009】第4の手段は、請求項2または3に記載の
斜流ファンにおいて、前記翼の後縁またはこの後縁の一
部が、前記基体の外側端縁および前記連結部材の外側端
縁に接する仮想円錐面から突出していることを特徴とす
るものである。第4の手段によれば、翼の基板側の回転
半径を大きくすることができるため、基板側の風速とシ
ュラウド側の風速をほぼ等しくすることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態について説明する。図1乃至図7は本発明の実
施の形態を示す図である。
【0011】まず、本発明の斜流ファンが適用される空
気調和機について図1により説明する。図1に示すよう
に、空気調和機1は一対のステー3により天井等に吊設
された筐体2を有している。筐体2の上面2aにはモー
タ4が固着され、このモータ4の回転軸には斜流ファン
10が固着されている。また、筐体2の下面略中央部に
は室内の空気を吸込むための吸入口5が形成され、筐体
2の下面端部には調和空気の吹出口6が形成されてい
る。また、筐体2の内部の斜流ファン10の側方には吸
入口5から吸入した空気を調和するための一対の熱交換
器7が設けられている。このように構成された空気調和
機1は、斜流ファン10を回転させ、図中矢印に示すよ
うに空気を流すことにより室内の空気を調和することが
できるようになっている。
【0012】以下、本発明の成形方法により成形される
斜流ファン10について説明する。図2乃至図4に示す
ように、斜流ファン10は、略円錐形状に形成された基
体20と、基体20の外周面22に設けられた複数の翼
30と、これら各翼30の先端31同志を連結する環状
のシュラウド40とを備えている。
【0013】このうち基体20の外周壁21の軸方向断
面形状は、図3に示すように内側(図3左上方)に向か
って凸の円弧型となっており、外周壁21の外側表面、
すなわち外周面22には、軸方向断面でみた場合なだら
かなカーブが形成されている。なお、外周面22は直線
状に延びていてもよい。
【0014】また、図4に示すように、翼30は各々、
斜流ファン10の回転方向Rに向かって所定角度をもっ
て傾斜しており、各翼30は各々同一の3次元形状(翼
型)を有している。これら翼30は各々基体20の外周
面22上に等間隔で配置されている。また、互いに隣接
する翼30の後縁31のうち斜流ファン10の中心軸1
0aから最も遠い位置にある部位(図4の場合、後縁3
1の上端32)を結び斜流ファン10の中心軸10aを
中心とする円弧の長さをrとし、翼30の翼弦長の最大
値(図4の場合、翼30の先端における翼弦長)をcと
した場合、cとrとは、0.45≦c/r≦0.65な
る関係にある。cとrとを上記関係とするのは、比較的
少ない翼枚数により十分な風量および騒音の少ない斜流
ファンを得るためであり、このようにすれば斜流ファン
の軽量化および駆動に必要な軸動力の軽減が可能とな
る。例えば、ファン外径が略400mm、翼弦長が略1
30mmの空気調和機用ファンの場合、従来の設計では
翼枚数が7〜8枚程度必要であったが、cとrとの関係
を0.45≦c/r≦0.65とすれば、翼枚数が5枚
程度で、従来のファンと同等の性能が得られる。また、
同等の性能を得るために必要な翼枚数を少なくすること
ができるため、後述するスライド型70の数を少なくす
ることができるとともに隣り合う翼30の間隔を大きく
することができる。このため、スライド型70の移動方
向についての制約が少くなり、成形型の設計自由度を増
すという効果も得られる。さらに、成形型の設計自由度
が増す結果、翼の設計自由度を増やすことができる。
【0015】また、図3および図4に示すように、シュ
ラウド40は各翼30の先端の各先端面33同志を連結
する略円錐台形状の連結部材41と、この連結部材41
の内側端縁に連結された円筒部材42とからなる。図3
に示すように、シュラウド40の連結部材41の軸方向
断面形状は内側(図3左上方)に向かって凸の円弧型と
となっており、連結部材41の内側表面、すなわち内周
面43にはなだらかなカーブが形成されている。なお、
内周面43は直線状に延びていてもよい。
【0016】次に、翼30とシュラウド40との関係に
ついて説明する。図3に示すように、シュラウド40の
連結部材41の内周面43とシュラウド40の円筒部材
42の内周面46との交線48が円周状に延びている。
翼30の前縁35はこの交線48上においてシュラウド
40と交わるようになっている。
【0017】次に、基体20とシュラウド40との関係
について説明する。図3に示すように、基体20の外周
面22と斜流ファン10の中心軸10aとがなす角度α
の最大値をαmax とし、シュラウド40の内周面43と
斜流ファン10の中心軸10aとがなす角度βの最小値
をβmin とした場合、 αmax <βmin の関係にある。
図3に示す斜流ファン10においては、基体20の外周
面22にカーブが形成されているため、αは外周面22
の外側端縁23において最大値をとり、一方、シュラウ
ド40の連結部材41の内周面43にカーブが形成され
ているため、βは内周面43の内側端縁44において最
小値をとる。
【0018】上記構成を有する斜流ファン10は以下の
ような成形型により成形される。すなわち、斜流ファン
10用の成形型は、図5に示すように、斜流ファンの1
0の中心軸10a方向(Sa,Sb方向)に開閉する第
1型50および第2型60と、第1型50と第2型60
との間に翼30の枚数に対応して設けられた複数のスラ
イド型70とからなる。第1型50および第2型60
は、通常、成形型において固定型および可動型と呼ばれ
ているものである。
【0019】図5に示すように、第1型50は基体20
の上側面26の表面形状に対応した形状を有しており、
一方、第2型60は、基体20の外周面22の一部を含
む下側面27の表面形状の一部と、シュラウド40の連
結部材41の外周面43の表面形状と、シュラウド40
の円筒部材42の内周面および外周面の表面形状とに対
応した表面形状を有している。
【0020】また、スライド型70は、翼30の互いに
相対する背面36と腹面37と、これら背面36と腹面
37とにより区画された基体20の外周面22(図4ハ
ッチング領域A)と、これら背面36と腹面37とによ
り区画されたシュラウド40の連結部材41の内周面4
3(図4ハッチング領域B)と、の表面形状に対応した
表面形状を有している。
【0021】また、スライド型70は、図4および図5
に示すS1 方向、すなわち斜流ファン10の放射方向
(図4および図5参照)であって、かつ斜流ファン10
の中心軸10aに対して所定の角度θ1 をなすような上
向きの方向(図5参照)に移動できるようになってい
る。ここで、スライド型70の移動方向S1 が斜流ファ
ン10の中心軸10aとなす角度θ1 は、図3において
定義したαmax ,βmin との関係が、 αmax <θ1 <
βmin となるように設定される。このようにすれば、後
述するようにスライド型70を分割する(図9に示す第
1の参考例を参照)ことなしに、スライド型70を成形
後に円滑に移動させることができる。すなわち、スライ
ド型70を成形された斜流ファン10から抜く場合に、
シュラウド40の連結部材41の内周面43および基体
20の外周面22とスライド型70とが干渉することは
ない。さらにスライド型70を分割する必要がないた
め、翼30の背面36または腹面37に対応する位置に
パーティングラインが位置することはなく、このため翼
30の背面36または腹面37にパーティングラインが
転写された凹凸が発生することはない。このため翼30
の強度が低下することはない。
【0022】また、この場合、翼30の前縁35は、前
述したようにシュラウド40の連結部材41の内周面4
3とシュラウド40の円筒部材42の内周面46との交
線48上においてシュラウド40と交わっている(図3
および図5参照)ため、第2型60とスライド型70と
の型合せ面61、71を平面形状とすることができる。
このため、スライド型70および翼30の強度を十分に
確保することができ、スライド型70を分割することな
く、スライド型70を放射方向に移動できるようにする
ことができる。以下、この効果について、本発明の特徴
が適用されていない斜流ファンおよびその成形型を示す
図6と比較して詳述する。
【0023】図6は、上述した本発明の特徴が適用され
ていない斜流ファンおよびその成形型を示しており、翼
30の前縁35が交線48上においてシュラウド40と
交わっていない。この場合、スライド型70の型合せ面
71の端部に鋭角のエッジ部72が形成されているた
め、スライド型70の強度が低下している。また、パー
ティングラインが翼30の背面36および腹面37上に
位置しているため翼30の強度が低下することも考えら
れる。さらに、図6に示す斜流ファンおよびその成形型
においては、スライド型70のエッジ部72とシュラウ
ド40の連結部材41の内周面43との干渉防止のた
め、スライド型70の移動方向S2 が中心軸10aとな
す角度θ2 を小さくする必要がある。しかし、角度θ2
が小さい場合、スライド型70と基体20の外周面22
とが干渉してしまうため、スライド型70を移動させる
ことが不可能となっている。この場合、スライド型70
を移動できるようにするたには、スライド型70を分割
することが必要となるが、このようにすると翼30の背
面36または腹面37にパーティングラインが転写され
た凹凸が発生するという問題が生じてしまう。しかし、
前述したように本実施の形態によればこのような問題は
発生しない。
【0024】次に、このような構成からなる斜流ファン
10の成形方法について説明する。
【0025】まず、上述した成形型が準備され、通常の
樹脂インジェクション成形等の手法により斜流ファン1
0が成形される。
【0026】次いで、スライド型70が図4および図5
に示すS1 方向に移動し、翼30の背面36または腹面
37と、これら背面36または腹面37により区画され
た基体20の外周面22およびシュラウド40の連結部
材41の内周面43からスライド型70が抜きだされ
る。
【0027】次いで、第1型50および第2型60が斜
流ファン10の中心軸10a方向(図5Sa,Sb方
向)に開き、成形された斜流ファン10が第1型50お
よび第2型60のいずれかに設けられた押し出しピン
(図示せず)により押出される。これにより成形された
斜流ファン10が成形型から取外される。以上により斜
流ファン10の成形が完了する。
【0028】以上説明したように、斜流ファン10を第
1型50第2型60および複数のスライド型70からな
る成形型により一体に成形することができるため、従来
必要であった基体、翼、およびシュラウドの組立工程を
廃止することができる。このため、組立工程時における
位置決め誤差の管理や、接合部(接着部または溶着部)
の強度および品質の管理を行う必要がなくなる。このた
め斜流ファンの製造工程を大幅に簡略化することがで
き、製造コストの低減を図ることができる。また、設計
した意図どうりの形状を有する斜流ファン10を得るこ
とが容易となり、斜流ファン10の中心軸まわりの動的
バランスを容易に確保することができるため、斜流ファ
ン10が回転する際の振動および騒音を大幅に低減する
ことができる。
【0029】なお、以上説明した本実施の形態において
は、翼30の後縁31を直線状に形成した例を示した
が、図7に示すように翼30の後縁31を、基体20の
外側端縁23およびシュラウド40の連結部材41の外
側端縁45に接する仮想円錐90の側面から突出するよ
うに形成してもよい。このようにした場合、翼30の基
板20側の回転半径を大きくすることができるため、基
板20側の風速とシュラウド40側の風速をほぼ等しく
することができる。すなわち、従来の斜流ファンにおい
ては、基板20側の風速がシュラウド40側の風速に対
して小さくなる傾向にあったが、翼30を図7に示すよ
うな形状に形成した場合は、そのような傾向は発生せ
ず、斜流ファン内の風速分布を均等とすることができ
る。また、従来のターボファンと比較した場合、図8に
示すように、同一回転数の場合の風量を増加させ、かつ
騒音値を低減することができる。なお、この場合も、翼
30の後縁31を直線状に形成した場合と同様の成形型
を用いて、同様の成形方法により斜流ファンを成形する
ことができる。
【0030】[第1の参考例] 次に、本発明技術に関連する第1の参考例(請求項記載
の発明の実施の形態ではない)について説明する。図9
第1の参考例を示す図である。第1の参考例は、前述
した本発明の実施の形態に対して、基体20の外周面2
2とシュラウド40の連結部材の内周面43との関係が
異なる点と、これに伴いスライド型の構成が異なる点と
が異なり、他は本発明の実施の形態と略同一である。
1の参考例において、本発明の実施の形態と同一部分に
ついては同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0031】図9に示す斜流ファン10においては、基
体20の外周面22と斜流ファン10の中心軸10aと
がなす角度αの最大値αmax と、シュラウド40の内周
面43と斜流ファン10の中心軸10aとがなす角度β
の最小値βmin とが、αmax>βmin の関係にある。こ
の場合、本発明の実施の形態におけるスライド型70を
そのまま使用した場合、基体20の外周面22およびシ
ュラウド40の内周面43がスライド型70と干渉する
ため、斜流ファン10の成形後にスライド型70を移動
させることが不可能となる。従って、本参考例において
は、以下のようなスライド型の構造が採られる。
【0032】すなわち、図9に示すように、スライド型
80は主スライド型81と、主スライド型81に対して
移動可能に設けられた副スライド型82とからなる。こ
のうち主スライド型81は、基体20の外周面22と、
翼30のうち基体20側の背面36および腹面37と形
成するようになっている。また、副スライド型82は、
シュラウド40の連結部材41の内周面43と、翼30
のうちシュラウド40側の背面36および腹面37と形
成するようになっている。
【0033】副スライド型82の移動方向S3 と斜流フ
ァン10の中心軸10aとがなす角度θ3 は、シュラウ
ド40の連結部材41の内周面43と斜流ファン10の
中心軸10aとがなす角度βの最小値βmin よりやや小
さくなっている。また、主スライド型81の移動方向S
4 と斜流ファン10の中心軸10aとがなす角度θ4
は、基体20の外周面22と斜流ファン10の中心軸1
0aとがなす角度αの最大値αmax よりもやや大きくな
っている。
【0034】次に、このような構成からなる本参考例
作用について説明する。
【0035】斜流ファン10が成形された後、まず、副
スライド型82が主スライド型81に沿ってS3 方向に
移動する。次いで、主スライド型81がS4 方向に移動
する。これにより、スライド型80を成形された斜流フ
ァン10から抜くことができる。
【0036】このように、本参考例によれば、スライド
型80を主スライド型および81副スライド型82によ
り構成することにより、一体型のスライド型では成形で
きない形状の斜流ファンを成形することができる。この
ため、斜流ファン10の設計上の自由度を増すことがで
きる。
【0037】なお、本参考例においては、副スライド型
82をシュラウド40側に設けた例を示したが、これに
限定されるものではなく、副スライド型82を基体20
側に設け、主スライド型81をシュラウド40側に設け
てもよい。この場合、副スライド型82の移動方向S3
が斜流ファン10の回転軸10aとなす角度θ3はαmax
より大きければよく、また、主スライド型81の移動
方向S4 が斜流ファン10の回転軸10aとなす角度θ
4 はβmin より大きければよい。
【0038】[第2の参考例] 次に、第2の参考例について説明する。図10および図
11は第2の参考例を示す図である。第2の参考例は、
斜流ファンが基体および翼のみからなり、これら基体お
よび翼を一体に成形する点が本発明の実施の形態に対し
て異なり、他は本発明の実施の形態と略同一である。
2の参考例において、本発明の実施の形態と同一部分に
ついては同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0039】図10に示すように斜流ファン100は、
基体20および複数の翼30とを備えている。なお、こ
の斜流ファン100は、基体20および翼30と別体に
成形されるシュラウド(図示せず)を更に備えていても
よい。以下、図10および図11により斜流ファン10
0の成形方法について説明する。
【0040】まず、成形型について説明する。図11に
示すように、成形型は斜流ファンの10の中心軸10a
方向に開閉する第1型50および第2型60と、第1型
50と第2型60との間に設けられたスライド型70と
からなる。
【0041】このうち第1型50は、図10および図1
1に示すように、基体20の上側面26の表面形状に対
応した表面形状を有している。また第2型60は、基体
20の下側面27の形状の一部に対応した表面形状を有
している。
【0042】また、図10および図11に示すように、
スライド型70は、翼30の相対する背面36および腹
面37の表面形状と、相対する翼30の背面36および
腹面37に対応する基体20の外周面22(図10ハッ
チング部)の表面形状とに対応した表面形状を有してい
る。なお、図10に示すように、斜流ファン10の中心
軸10a方向からみた場合、基体20のうち翼30と重
なる部分は破線ハッチングを施した部分のみであるた
め、図10一点鎖線から下側の領域のみをスライド型7
0により形成し、図10一点鎖線から上側の領域を第2
型60により形成するようにしてもよい。
【0043】また、スライド型70は、図10および図
11に示すS5方向、すなわち斜流ファン10の放射方
向に移動できるようになっている。この場合、シュラウ
ド40が設けられていないため、図11に示す方向S5
と斜流ファン10の中心軸10aのなす角度θ5の範囲
は、角度αmax より大きく、かつ第1型50および第2
型60と干渉しない限りにおいて任意に設定できる。
【0044】本参考例によれば、以上説明したような成
形型を用いて、本発明の実施の形態と略同一の方法によ
り斜流ファン100が成形される。
【0045】このように本参考例によれば、斜流ファン
100が基体20および翼30のみからなり、これら基
体20および翼30を一体に成形するようにしたため、
型設計をする際のスライド型70の移動方向の設定範囲
を広くすることができる。また、スライド型70の移動
方向の設定範囲が広がるため、翼30の形状の設計自由
度がさらに増し、所望の性能を有する斜流ファン100
を得ることが容易となる。さらに、別体に成形したシュ
ラウド(図示せず)を翼30の先端に取付けることによ
り基体20、翼30、およびシュラウドとを備えた斜流
ファンを得ることが可能であり、この場合、基体、翼お
よびシュラウドを一体に成形する場合に比べて翼の設計
自由度を大きくすることができる。
【0046】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、斜流ファ
ンの中心軸方向に開閉する第1型および第2型のみでは
一体に成形することができない斜流ファンを一体に成形
することができる。このため基体、翼およびシュラウド
の組立工程が不要となる。このため低い製造コストで斜
流ファンを製造することができる。また組立工程の廃止
により、精度の高い斜流ファンを得ることができるた
め、空気調和機の運転時の振動、騒音を低減することが
できる。また、パーティングラインが翼の腹面および背
面上に位置することがないため、翼の腹面および背面上
にパーティングラインが転写された凹凸が発生すること
がなく、翼の強度を十分に確保することができる。
【0047】請求項2記載の発明によれば、基体、翼お
よびシュラウドの組立工程が不要となるため、低い製造
コストで斜流ファンを得ることができる。また組立工程
の廃止により、精度の高い斜流ファンを得ることができ
るため、空気調和機の運転時の振動、騒音を低減するこ
とができる。また、パーティングラインが翼の腹面およ
び背面上に位置することがないため、翼の腹面および背
面上にパーティングラインが転写された凹凸が発生する
ことがなく、翼の強度を十分に確保することができる。
【0048】請求項3記載の発明によれば、比較的少な
い翼枚数により十分な風量および騒音の少ない斜流ファ
ンを得ることができる。
【0049】請求項4記載の発明によれば、翼の基板側
の回転半径を大きくすることができるため、斜流ファン
内の風速分布を均等とすることができる。このため高効
率かつ低騒音の斜流ファンを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の斜流ファンが適用される空気調和機を
示す断面図。
【図2】本発明による斜流ファンの実施の形態を示す部
分断面図。
【図3】図2の拡大図であって、基体、翼およびシュラ
ウドの相互の関係を示す図。
【図4】中心軸方向下側(図2Z方向)からの斜流ファ
ンの平面図。
【図5】本発明の実施の形態における斜流ファンの成形
型の構成および作用を示す軸方向断面図。
【図6】本発明が適用されていない斜流ファンの成形型
の構成および作用を示す軸方向断面図。
【図7】翼形状の別の実施形態を示す図。
【図8】本発明による斜流ファンと従来の斜流ファンと
の性能比較図。
【図9】第1の参考例を示す図であって、成形型の構成
および作用を示す軸方向断面図。
【図10】第2の参考例を示す図であって、中心軸方向
下側からの斜流ファンの平面図。
【図11】第2の参考例における成形型の構成および作
用を示す軸方向断面図。
【符号の説明】
10、100 斜流ファン 10a (中心) 軸 20 基体 22 (基体の)外周面 22,23 (基体の)外側端縁 30 翼 31 (翼の)後縁 33 (翼の)先端 35 (翼の)前縁 36 (翼の)背面 37 (翼の)腹面 40 シュラウド 41 連結部材 42 円筒部材 43 (連結部材の)内周面 45 (連結部材の)外側端縁 48 (連結部材と円筒部材との)交線 50 第1型 60 第2型 70 スライド型 81 主スライド型 82 副スライド型 90 仮想円錐面

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】略円錐形状に形成された基体と、前記基体
    の外周面に設けられた複数の翼と、これら各翼の先端同
    志を連結する略円錐台形状の連結部材とこの連結部材の
    内側端縁に連結された円筒部材とからなる環状のシュラ
    ウドと、を備えた斜流ファンの成形方法において、前記翼の前縁は、前記連結部材と前記円筒部材との交線
    上で前記シュラウドと交わるとともに、 前記斜流ファンの中心軸と前記基体の外周面とがなす角
    度の最大値αmaxが、前記斜流ファンの中心軸と前記シ
    ュラウドの連結部材の内周面となす角度の最小値βmin
    より小さくなるように構成され、 前記斜流ファンの軸方向に開閉する第1型および第2型
    と、前記第1型と第2型との間に斜流ファンの放射方向
    であって前記αmaxより大きくβminより小さい方向に
    動可能に設けられるとともに互いに相対する翼の背面お
    よび腹面とこれらによって区画された基体外周面および
    シュラウド内周面とを形成するスラィド型と、を有する
    成形型を準備する工程と、 前記成形型を用いて前記斜流ファンを成形する工程と、 前記スライド型を前記放射方向に移動させ、成形された
    斜流ファンから前記スライド型を抜く工程と、を備え、 前記翼を回転方向に傾斜した3次元形状に成形するとと
    もに、基体、翼およびシュラウドを一体に成形すること
    を特徴とする斜流ファンの成形方法。
  2. 【請求項2】略円錐形状に形成された基体と、 前記基体の外周面に設けられるとともに各々回転方向に
    傾斜して3次元形状をなす複数の翼と、 これら各翼の先端同志を連結する環状のシュラウドと、
    を備え、請求項1 記載の成形方法により成形されたことを特徴と
    する斜流ファン。
  3. 【請求項3】前記翼の翼弦長の最大値をcとし、互いに
    隣接する翼の後縁のうち前記斜流ファンの中心軸から最
    も遠い位置にある点を通り前記斜流ファンの中心軸を中
    心とする円弧の長さをrとした場合、cとrとが 0.45≦c/r≦0.65なる関係にあ
    ることを特徴とする請求項2記載の斜流フアン。
  4. 【請求項4】前記翼の後縁またはこの後縁の一部が、前
    記基体の外側端縁および前記連結部材の外側端縁に接す
    る仮想円錐面から突出していることを特徴とする請求項
    2または3に記載の斜流フアン。
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