JP3304450B2 - 送電線の事故区間標定方法 - Google Patents

送電線の事故区間標定方法

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JP3304450B2 JP33357692A JP33357692A JP3304450B2 JP 3304450 B2 JP3304450 B2 JP 3304450B2 JP 33357692 A JP33357692 A JP 33357692A JP 33357692 A JP33357692 A JP 33357692A JP 3304450 B2 JP3304450 B2 JP 3304450B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、送電線事故標定シス
テムにおける事故区間標定方法に関するものである。送
電線の事故は、短絡、断線、地絡など幾つもの種類があ
り、起こる場所も多様である。事故が起こるとこれを直
ちに検出しなければならない。
【0002】
【従来の技術】送電線の事故の際に、標定区間に応じた
鉄塔での電流・位相情報が分かれば、事故区間を標定す
ることのできる方法は既に存在する。これは標定区間に
応じた鉄塔に一つずつセンサを設置し、これらから事故
時の電流・位相情報を得て、ニュ−ラルネットワ−クを
用いて事故区間を標定するものである。つまり標定に必
要な鉄塔での事故時の電流・位相情報が分かれば事故区
間を標定する技術は既に存在するのである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来このように、送電
線に電流検出センサを設置し、事故時の電流・位相分布
を求め、これから事故区間を標定するには、全鉄塔若し
くはそれに相当する数の電流検出センサを設置する必要
があった。
【0004】しかし全鉄塔に電流検出センサを設置する
のは取付工事費や計器コストが嵩む。しかも地理的な条
件もあって電流検出センサを取付け難いところもある。
なによりも厄介なのは、センサと中央装置を結ぶために
通信用の電線、光ファイバなどを引いてセンサと結合し
なければならないということである。電流検出センサが
多いとこのような経費が増加する。
【0005】電流検出センサの数を節減し、より少ない
数の電流検出センサで以て事故区間の標定を正確に行い
たいという要望がある。この場合電流検出センサを設置
していない鉄塔近傍での事故区間の標定が従来法では困
難である。
【0006】本発明は、より少ない電流検出センサによ
って正確に事故区間標定を行うことのできる方法を提供
することが目的である。標定に必要な鉄塔での電流・位
相情報が分かれば、正確に事故区間標定ができる技術が
あるのであるから、まびかれたより数少ないセンサの事
故時の電流、位相の観測値によって、他のセンサのない
鉄塔での電流、位相値を求めることができれば良い。本
発明は、N個の鉄塔の事故時の電流・位相を、これより
少ない数Mの鉄塔(N>M)での電流・位相から求める
ことのできる方法を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明では、鉄塔数基毎
に電流検出センサを設置し、これらの電流・位相情報を
基に予めシミュレ−ションによって算出された、予想さ
れ得る全事故ケ−スの標定に必要な鉄塔での事故時の電
流・位相分布を学習させたニュ−ラルネットワ−クを用
い、電流検出センサを設置している鉄塔からの電流・位
相情報を用いて、標定に必要な鉄塔に関する電流・位相
情報を推定し、これによって標定に必要な鉄塔での電流
・位相情報を求め、これから事故区間標定を行うもので
ある。
【0008】ニュ−ラルネットワ−クは複数の入力層、
中間層、出力層を持ち、これらを重み係数で結合したも
のである。本発明で用いるニュ−ラルネットワ−クは、
区間標定に必要とされる鉄塔の電流検出センサの電流・
位相情報を入力層、出力層とする。中間層はこれより数
が少なくても良いし、同数であっても良い。ひとつの電
流検出センサは電流と位相という2つのパラメ−タを持
つので、鉄塔の数がN個とすると、標定に必要な鉄塔で
の観測可能なパラメ−タは2Nということになる。
【0009】そこで、例えば、入力層の数を2N、出力
層の数も2Nとする。これはすべての鉄塔の電流検出セ
ンサの電流と、位相値に対応するものである。つまりJ
番目の鉄塔のセンサSj の電流Ij 、位相Pj との集合
{Ij 、Pj }によって、送電線の情報を表すことがで
きるが、これらの全てを入力層、出力層にふりあてる。
そして、全ての事故の様相(事故の種類と場所)に対し
て、入力層と出力層が同一値になるように、中間層と入
力層、出力層との重み係数を学習のアルゴリズムに従っ
て決定する。
【0010】入力層のパラメ−タをQi とし、出力層の
パラメ−タをRi とすると、事故時には、パラメ−タ群
{Qi }がある値を取る。これに対して出力層のパラメ
−タ群{Ri }が同じ値を取るようにする。全ての事故
の態様Ok (種類、場所)についてこれがなりたつよう
にする。
【0011】 {Qi }= {Ri } (任意のOk ) (1)
【0012】注意すべきことは、この等号は、事故の時
のみ成り立つようにするのである。そうでないときは成
り立たない。もし非事故の時も成り立つならば、単に個
々の成分が常に等しいという関係(Qi =Ri )になっ
てしまう。これではニュ−ラルネットワ−クなど全く必
要ない。また等号も厳密に等しいということを要求する
のではない。ほぼ等しければ良いのである。
【0013】
【作用】従来法では、送電線での事故区間を標定するた
めには、例えば標定区間の境には必ず電流検出センサを
送電線に設置し、事故時の電流・位相情報を収集し、そ
れらを基に事故区間を判断しなければならなかった。し
かし、本発明では鉄塔数基毎に設置した電流検出センサ
の情報から、電流検出センサを設置していない鉄塔での
電流・位相情報を推定することができる。従来の方法に
比べて送電線に設置する電流検出センサの数を大幅に削
減できる。
【0014】電流検出センサ(CT)は鉄塔に設けられ
て、電線を流れる電流の電流値Iと位相Pを常時計測し
ている。しかし正常時にはこれらの値は不必要である。
事故が発生した時の瞬間的な電流、位相の値が必要であ
る。これは電流に関して一つの値、位相に関しても一つ
の値である。交流電流であるから、電流値というのはピ
−クからピ−クまでの電流、または実効値を採用する。
事故が起きた場合は遮断機が働くので送電が中断され
る。つまり、事故発生から遮断機が働くまでの短い時間
で、前記の事故電流、位相を測定する。
【0015】電流、位相の変化は事故の種類による。例
えば、地絡事故の場合、事故区間の直前での電流が増加
する。事故区間より先では電流が減少する。また位相は
事故区間の前後で、180°近く変わる。このような事
故Ok において、標定に必要な鉄塔の全センサの電流・
位相情報Ij 、Pj を求める。これをニュ−ラルネット
ワ−クの入力層のパラメ−タQi として入力する。そし
て、中間層を経て出力層Ri に値が出るのであるが、こ
のRi がQi に近い値になるようにする。
【0016】これが本発明の特異な点である。全ての事
故の態様{Ok }について、Ri →Qi になるようにす
るのである。全ての状態において入力層=出力層とする
のではなく、事故時においてのみこうなるようにする。
【0017】しかし出力と入力とが単に一次変換によっ
て結合されているならば、事故の態様が多かろうと少な
かろうと、出力と入力を関係付ける行列は単に単位行列
になってしまう。事故態様が少ないと単位行列以外の可
能性も有り得るが、しかしその場合でも、どれが良いの
かという選択ができない。つまり単に一次変換のように
線形性のある変換では、出力層=入力層という制限を課
すると、関係行列は単位行列になり役に立たない。個々
の出力の値に他の入力パラメ−タの影響を取り込むこと
ができないからである。したがって、単に線形変換で入
力と出力を結合するのではいけない。
【0018】本発明でニュ−ラルネットワ−クを用いる
のは、ひとつはその非線形性である。入力と出力の関係
が非線形であると、前述の様に事故時に入力=出力とい
う限定を課しても、これらを結び付ける関係は単位行列
のように他のパラメ−タの影響をうけないようなものに
はならない。たとえ事故の態様がパラメ−タの数よりも
大きい場合でも、非線形関係であれば、一つの出力に多
くの入力の影響を盛り込むことができる。
【0019】まずニュ−ラルネットワ−クについて説明
する。これは幾つかの手法があるが、ここでは、入力
層、中間層、出力層を用いる階層型ネットワ−クと言わ
れるものを述べる。図8にニユ−ロンの概念図を示す。
ニユ−ロンは、相互に接続されて、信号をやり取りして
いる。階層型というのは、信号の流れが層状に行われ一
方的であるものである。入力層から中間層へ、中間層か
ら出力層へと流れる。
【0020】ひとつのニユ−ロンNj は、複数の入力X
1 ・・Xn を受けて、これに重み係数Wijを掛けて和Y
j を求める。これをこのまま次の層へ出力するのでは線
形結合と変わらない。そうではなくて、和Yj をシグモ
イド関数F(Y)を通して非線形にする。つまり、ニユ
−ロンのすることは、
【0021】 Yj =ΣXiij (2) F(Yj )=(1+e-Yj-1 (3)
【0022】という演算である。図9にシグモイド関数
の概略の形を示す。シグモイド関数は、入力を0と1の
間の値に非線形関係によって対応付けるもので、これ以
外にいくつも考えられる。このF(Yj )が、このニユ
−ロンNj の出力として次の階層のニユ−ロンへ送ら
れ、これらに対する入力Xj =F(Yj )となる。
【0023】ただしシグモイド関数が(3)のような形
をしているのは、平均値が0である入力を受けて、0〜
1の範囲の出力を生ずる場合である。平均値が0でない
場合は、(3)のeの肩に入る関数は、(Yj −av)
となる。ただしavは平均値である。
【0024】出力の範囲を0〜1以外にするには、
(3)に係数を掛けて定数を加えればよい。入力の範囲
は限定されない。これは係数の選び方で入力範囲を実効
的に限定できるからである。平均値を差し引くのは、こ
こで、出力を0.5にするためである。
【0025】本発明で用いるニュ−ラルネットワ−ク
は、区間標定に必要な鉄塔の数Nの2倍(一つのセンサ
が電流と位相を求めるから)のパラメ−タを扱う。そこ
で、2N=nとし、入力層、出力層の数を全観測値数n
に等しくする。入力や出力の値は、範囲を定めて正規化
した方が扱い易いので、0〜1[0、1]とか、−1〜
+1[−1、1]というようにすることが多い。
【0026】例えば位相は−180°〜180°である
から、これを180で割って、変域を[−1、1]にす
るとか、360でわって0.5を加え変域を[0、1]
にする。電流の場合も例えば1000Vが最大値である
と、実際の電流値を1000で割って、変域を[0、
1]にしたりする。
【0027】入力層のi番目のニユ−ロンの出力をxi
(i=1、・・n)で表す。中間層の数をsとする。中
間層のh番目のニユ−ロンの入力をYh 、出力をyh
表す。ここでは中間層を1層として説明するが、これは
2層以上あっても良い。出力層のj番目のニユ−ロンの
入力をZj 、出力をzj で示す。これらの間には次の関
係がある。
【0028】 Yh =Σi=1 niih (h=1、2、・・s) (4)
【0029】 yh =(1+e-Yh-1 (5)
【0030】 Zj =Σh=1 shhj (j=1、2、・・n) (6)
【0031】 zj =(1+e-Zj-1 (7)
【0032】ここでΣの添え字i=1とnは、i=1か
らnまで加えるということである。JISでは、上下に
添え字を付けることができないので、後ろに付ける。
【0033】このような関係があるが、重み係数Wih
hjは定数であるが、所望の結果をもたらすように決め
るのである。本発明では、全ての事故において、事故電
流、位相の全パラメ−タが、入力層に与えられたとき
に、出力層に同一の値が出力されるようにこれらの重み
係数Wih、Uhjを決める。
【0034】これは方程式を解いて得られるというもの
ではない。つまり一義的に求まるものでないし、また入
力=出力といっても正確に等しくならない。計算機を用
いて繰り返し計算をする。そして、望ましい出力結果と
ネットワークからの出力との2乗誤差がある範囲に入っ
た時に学習を中止する。
【0035】上の(4)〜(7)において、シグモイド
関数(5)、(7)を使わずに、各ニユ−ロンの入力と
出力を等しいと置くと、中間層があっても、たんなる一
次変換にすぎず、出力=入力という限定を付すと、方程
式を解くことにより重み係数が正確に求まるが、これ
は、多くの場合、単位行列式になり無意味である。
【0036】[1.重み係数の決定]全ての事故時にお
いて、入力=出力となるように重み係数を決める。全事
故の様相に対する、i番目の電流検出センサの事故電流
i 、位相Pj を入力層に入れたとき、出力層にはこれ
らとほぼ同じ電流や位相が現れるようにする。このよう
にして、重み係数Wih、Uhjを確定する。以上が準備的
な段階である。
【0037】ここまでは、事故区間標定に必要な鉄塔に
センサが一つずつ付いているとしての話である。しか
し、もしも必要な鉄塔全てにセンサがあれば、以上のよ
うなニュ−ラルネットワ−クは勿論不必要なのである。
センサが足りないので、以上に説明したニュ−ラルネッ
トワ−クが必要になる。
【0038】以上の説明では、鉄塔に付けたセンサは、
電流と位相の二つの情報を計測するので、事故区間の標
定に必要な鉄塔の数がNとすると、入力層のニユ−ロン
の数nは2Nになる。ところが、実際にはセンサの電流
と位相情報には互いに相関がない。すると重み係数で電
流と位相のニユ−ロンを結ぶものは先験的に0とするこ
とができる。だとすれば、電流と位相については初めか
ら別々のニュ−ラルネットワ−クで扱うことができる。
勿論、電流と位相を混合して扱うニュ−ラルネットワ−
クを構築しても良い。本発明はいずれの手法によっても
実現できる。
【0039】[2.事故時の計算]上に求めたニュ−ラ
ルネットワ−クは、事故時の電流・位相情報を入力層の
対応するニユ−ロンに与えると、出力層の対応するニユ
−ロンには同じ事故時の電流・位相情報が現れるという
性質がある。このようなものが役に立つのかどうか疑問
があるが、これは事故時のパラメ−タの傾向を内包して
いるので意味がある。これは単に入力を出力にそのまま
出しているのではなく、事故時においてのみ出力が入力
に等しくなるのである。
【0040】さて事故区間標定に必要な鉄塔の数をNと
し、この内M個の鉄塔にのみ電流検出センサを設置する
(N>M)。N−M個のセンサが足りないのである。正
常時も送電線の電流・位相情報をセンサが測定してお
り、これを一定時間メモリに蓄積する。しかし正常時の
電流・位相情報は不要であるから、先に蓄積したものは
捨てる。
【0041】事故が起こると、直ぐに遮断機が働くの
で、送電線に電流が流れなくなる。事故発生から遮断機
が働くまでの時間の電流、位相を事故時電流、事故時位
相ということにする。これはセンサ毎に与えられた明確
な値I、Pである。纏めて{Ki }と書く。これらのセ
ンサから直接に得られる値は、入力層{Xi }の対応す
るニユ−ロンにそのまま入れる。
【0042】しかしセンサの無い鉄塔の電流・位相情報
が無い。これをどうするかが問題である。センサによっ
て測定されていない鉄塔の電流位相情報をHg で表現す
る。これも入力層の入力{Xi }に属するパラメ−タで
ある。つまり
【0043】 {Xi }={Ki }+{Hi } (8)
【0044】と書くことができる。ここで前者はセンサ
で測定されるもので、後者はセンサで測定されないもの
である。事故時に電流検出センサから電流・位相情報が
与えられるが、これは前者の{Ki }に対応する。後者
の{Hi }はデ−タがない。そこで、故障時のニュ−ラ
ルネットワ−クの計算において第1回目だけは、
{Hi}は適当な数から出発する。ある初期値をこれら
{Hi }に対応させて、全ての入力層の入力パラメ−タ
{Xi }を得る。これをニュ−ラルネットワ−クに入れ
る。コンピュ−タにより自動的に演算され、中間層、出
力層のパラメ−タが求められ、出力層に出力{zi }が
得られる。これで第1回目の計算が終わる。
【0045】直ぐに第2回目の計算をするが、入力層の
パラメ−タは、第1回目と少し違う。既知のパラメ−タ
{Ki }については前回と同じ測定値を用いる。これは
不変である。しかし、計測していないパラメ−タ{H
i }に関しては、出力層の対応する順番の出力を代入す
る。つまり{zi }→{Hi }とするのである。こうし
て2回目のニュ−ラルネットワ−クの計算をする。
【0046】第2回目の計算をして2回目の出力層の出
力{zi }を得る。つぎに第3回目の計算をするが、既
知の入力層入力{Ki }は前回と同じく測定値を代入す
る。しかし未知の入力{Hi }は、第2回目の出力層の
対応出力{zi }とする。つまり{zi }→{Hi }と
する。以下同様に、未知のパラメ−タは前回の出力層の
計算結果を代入することにする。既知パラメ−タは常に
測定値をそのまま用いる。つまり既知パラメ−タの出力
層出力は、収束性の判定以外には不要なものである。
【0047】こうして数回の演算をする。出力層の各パ
ラメ−タは次第にある値に収束して行く。事故時にこれ
だけの計算をするのであるが、ニュ−ラルネットワ−ク
の選び方により計算回数を少なくし、あまり時間のかか
らないようにすることができる。
【0048】どこで計算を中止するかということである
が、これは出力層の出力がそれぞれある有限確定値に収
束するので、前回と次回での出力層の出力パラメ−タの
違いがある範囲内に収まれば繰り返し演算を中止すると
いうふうにしてもよい。また計算の回数を決めておい
て、この回数に達したときに計算を止めるというふうに
してもよい。出力層の解が一様収束する場合は計算回数
を決めておくのが簡単であろう。
【0049】当然であるが、収束の速さは、初期値の選
び方による。未知の入力層パラメ−タを全て0や1から
出発しても良いのはもちろんであるが、これは必ずしも
最適の選択ではない。より望ましいのは、未知パラメ−
タの第1回目の値(初期値)は、隣接する既知パラメ−
タ(計測値)の内挿値を取るのが良いであろう。たとえ
ば未知パラメ−タHi が、となりに既知パラメ−タK
i-1 、Ki+1 を持つときは、これの単純平均として、
【0050】 Hi =(Ki-1 +Ki+1 )/2 (9)
【0051】とする。あるいはセンサの数がもっと少な
くて、隣接既知パラメ−タがない時は、両側の直近の既
知パラメ−タの値を内挿して、未知パラメ−タの初期値
とする。これはあくまで第1回目の初期値の話である。
第2回目以降では、未知パラメ−タは、前回の出力層の
出力をそのまま利用する({zi }→{Hi })ので、
このような問題はない。
【0052】このようなニュ−ラルネットワ−クの計算
を何回も繰り返した結果、出力層の出力が得られる。こ
れは、すべての鉄塔の事故時の電流・位相情報を与える
ものである。既知のパラメ−タについてはセンサで測定
されたままの値が出ている。センサの無い鉄塔の電流・
位相に関する未知パラメ−タがこの演算によって得られ
る。本発明の目的はここにある。こうして、標定に必要
な鉄塔の電流・位相情報が得られる。
【0053】標定に必要な鉄塔の電流・位相情報が分か
れば、事故区間標定を正確に行う技術は既に確立してい
る。これは初めに述べた。本発明により未知パラメ−タ
を求めることができるので、全パラメ−タがわかり、事
故区間標定を行うことができる。事故区間標定は短時間
で行う必要があるが、本発明のニュ−ラルネットワ−ク
の繰り返し計算は、コンピュ−タにより瞬時に行えるか
ら、目的に沿うものである。
【0054】本発明のニュ−ラルネットワ−クは、事故
時の電流・位相情報を全て取り込んで、事故時の入力層
入力と出力層出力が合致するように重み係数を選んでい
る。重み係数に事故時情報が入っているということがで
きる。線形変換であれば、出力と入力を等しくするとい
う条件を置いてしまうと、どうしても変換行列が単位行
列になってしまうが、ここでは非線形変換を用いるの
で、事故時情報を重み係数に取り込むことができるので
ある。
【0055】
【実施例】図1に本発明の実施例にかかるシステムの基
本構成を示す。このシステムは、送電線の複数箇所に設
置した電流検出センサ(CT)と、その信号を変電所な
どに設置した中央装置まで伝送するセンサ信号伝送装
置、及び集められたセンサ信号から、事故区間を判定す
る中央装置とから構成される。信号伝送は、電線や光フ
ァイバによってなされる。全ての鉄塔に電流検出センサ
が設置されるのではなく、ある程度間引いて設置されて
いる。
【0056】電流検出センサは常時動作しており、検出
した電流情報を中央装置に伝送している。中央装置では
事故の発生していない時は、これらのセンサ信号は使用
していないが、一定時間(例えば1秒:50サイクルま
たは60サイクル相当)メモリに蓄えながら古いものか
ら捨ててゆく。
【0057】送電線に事故が発生した場合(即ち遮断機
が動作した場合)、中央装置は波形の急激な変化を、一
定の閾値を設けて検出するなどの方法で、事故発生を知
り、一定時間(例えば10サイクル相当とする)経過後
にメモリ書き込みを停止する。よってメモリ内には、図
2のように、事故発生10サイクル前から事故発生ま
で、事故発生から遮断までの数サイクル(図では3サイ
クル)、遮断後数10サイクルの合計50サイクルの全
センサ情報が残っていることになる。
【0058】中央装置は、これらのメモリ内に蓄えられ
たセンサ情報から、事故時の送電線全体の電流値や、位
相の分布を抽出する。つまり図2において初めの10サ
イクル、後の37サイクルは不要で、事故時の3サイク
ルの情報のみから、事故時の電流・位相情報を求める。
鉄塔1基について2つのパラメ−タとなる。そして本発
明の手法に従い、未知パラメ−タをも算出し、標定に必
要な鉄塔についての電流・位相情報を得て、事故発生区
間である可能性が最も高い区間を見いだす。
【0059】このようなシステムにおいて、従来は事故
区間(鉄塔1基または1径間での)標定を行うには、全
鉄塔ないしはそれに近い間隔で電流検出センサを設置す
る必要があった。
【0060】しかし、本発明の方法は、ニュ−ラルネッ
トワ−クを使用してより少ない電流検出センサの情報か
ら、全鉄塔、もしくは標定に必要な鉄塔での事故時の電
流・位相情報を推定し、送電線全体の電流・位相分布か
ら、事故区間とこれらの情報の関係を予め学習させたニ
ュ−ラルネットワ−クを用いて事故区間の標定を行うも
のである。
【0061】以下、電流・位相分布推定のネットワ−ク
について説明する。仮に対象とする送電線における鉄塔
数をm基とし、電流検出センサを鉄塔2基毎に設置した
場合について述べる。図5に示す。入力層がm個、出力
層もm個、中間層の数は任意であるが、一般にはm個以
下で良い。
【0062】送電線に設置されたn個の電流検出センサ
(n<m)によって検出され、メモリに記録された個々
の事故電流分布を基に、事故時の電流分布(図3)、位
相分布(図4)を算出し、これらの情報をニュ−ラルネ
ットワ−クの入力として用いる。
【0063】ここで、図3に示された電流分布を[−
1、1]若しくは[0、1]の区間に正規化する。正規
化はニュ−ラルネットワ−クの入力に対して、取り扱い
を容易にするために行われる。例えば入力デ−タ中の最
大値を1(位相の場合は正負の値なので各々を+1、−
1)としたり、また予め定めた値(例えば、1000
[A]を1とするとか、位相の±180°を±1とす
る)を用いて、入力値を0〜1若しくは、−1〜1の値
に正規化する。
【0064】正規化された各情報を基に以下の構成及び
手順で構築されたネットワ−クに入力することによっ
て、電流検出センサを設置していない鉄塔での事故区間
の電流・位相情報を推定する。
【0065】[ネットワ−クの構成]ここでは、多層パ
−セプトロン型のネットワ−クを用いた(図5)。これ
は計算が、入力層、中間層、出力層へと流れるものであ
る。入力層及び出力層のユニットの数は同数(m個)
で、区間標定に必要とされる鉄塔数と一致させた。隠れ
層(中間層)のユニット数については、適宜ネットワ−
クの学習がスム−ズに進行する程度に設定した。
【0066】[学習による重み係数の学習]予め予想さ
れるできれば全ての事故種別、事故発生箇所についてシ
ミュレ−ションを行い、各事故ケ−スにおける全鉄塔若
しくは標定に必要な鉄塔での電流・位相分布を獲得し、
これらの情報を用いて、入力された分布を忠実に出力層
から出力するようなネットワ−クを構築する。
【0067】即ち、ネットワ−ク学習時に用いる、教師
デ−タ(入力(入力デ−タ)とそれが与えられた場合の
望ましい出力結果(出力デ−タ)のペアから構成され
る)は入力デ−タと出力デ−タが全く同一のデ−タとな
るようにした(図6)。これが本発明の特徴であるが、
単に出力層と入力層が等しいのではなく、事故時におい
てのみ近似的に等しいのである。
【0068】[電流検出センサ不設置鉄塔での事故時の
電流情報の推定方法]上記の構成のネットワ−クに電流
情報を入力する場合、ネットワ−クの入力層には、鉄塔
数mと同数のユニットmを設けているが、実際には、そ
れよりも少ない数nの情報しか中央装置に伝送されてこ
ない。図7で○は、センサのある鉄塔に対応する。これ
は実際の事故時の電流、位相を用いる。●はセンサのな
い鉄塔の電流、位相である。このようなものがm−n個
ある。
【0069】そこで、電流検出センサを設置していない
鉄塔(m−n)に対応するユニット●への初期入力は、
たとえば、電流検出センサを設置していない鉄塔を挟
む、両隣のセンサ設置鉄塔の電流値の平均値を用いるな
どして代用し、ネットワ−クへ入力する。ネットワ−ク
の出力結果の内、センサを設置していない鉄塔●に対応
するユニットからの出力値のみを抽出しこれを対応する
センサの無い鉄塔●の入力層に入力する。その他の既知
の値は、センサから伝送されてきた既知デ−タを再び用
いて、再度ネットワ−クへ入力し出力結果を得る。
【0070】図7で、●のニユ−ロンに関して出力値が
徐々に変化している状況を示す。これは事故時の実際の
パラメ−タに近づいていっているのである。この操作を
複数回行うことにより、ほぼ事故時の標定に必要な鉄塔
での電流分布を推定することができる。標定に必要な鉄
塔での電流・位相情報が得られるので、公知の技術によ
って、事故区間を正確に標定することができる。
【0071】
【発明の効果】この発明によれば、鉄塔数基おきに設置
した電流検出センサの情報から、電流検出センサを設置
していない鉄塔での電流・位相情報を推定することが可
能になる。このために、送電線の事故区間を標定する際
に、送電線に設置すべき電流検出センサの数を大幅に削
減できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】送電線事故区間標定システムの概略図。
【図2】事故時の全センサ情報の概略図。
【図3】中央装置で抽出される事故時の電流分布を示し
た図。
【図4】受光素子で抽出される事故時の位相分布を示し
た図。
【図5】本発明で用いたニュ−ラルネットワ−クの構成
図。
【図6】ニュ−ラルネットワ−ク構築の概念図。
【図7】電流検出センサを設置していない鉄塔での、事
故時の電流・位相分布を推定する過程を示した図。
【図8】ニユ−ロンの単純化した概念図。
【図9】ニユ−ロンの入力と出力の関係を与えるシグモ
イド関数の例を示すグラフ。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 架空送電線の事故時に架空地線に流れる
    事故電流・位相を、架空地線の複数箇所に取り付けた電
    流検出センサによって検出し、検出されたデータを、伝
    送装置を介して中央装置まで伝送する電流・位相分布計
    測手段を持ち、中央装置において、収集した事故電流・
    位相データから、事故の区間を求める事故区間標定方法
    であって、標定対象区間を、センサ設置鉄塔間隔よりも
    さらに細分化して設定し、実際に電流検出センサの設置
    された鉄塔での電流・位相情報と、センサの設置されな
    い細分化した区間の境界部の鉄塔での電流・位相情報を
    入力層に与えると、実際に電流検出センサの設置された
    鉄塔での電流・位相情報と、センサの設置されない細分
    化した区間の境界部の鉄塔での電流・位相情報を出力層
    に出力するようなニューラルネットワークを持ち、この
    ニューラルネットワークは、送電線故障シミュレーショ
    ンによって、予想され得る全ての事故種別、及び予想さ
    れ得る全ての事故発生箇所での、事故時の電流・位相情
    報を入力層に入力すると、入力層と同じ値を出力層に出
    力するように学習されており、実際の事故時には、実際
    に電流検出センサの設置された鉄塔では、その電流・位
    相情報を対応する入力層に与え、センサの設置されない
    細分化された区間の境界部の鉄塔では、初期値として、
    変域の任意の値あるいは例えば隣接する実際に電流検出
    センサの設置された鉄塔での電流・位相情報の平均値を
    センサの設置されない鉄塔に対応する初期値とし、その
    初期値を対応する入力層に与え、ニューラルネットワー
    クの演算を行い、出力層に、電流・位相情報を得、次
    に、実際に電流検出センサの設置された鉄塔では、前回
    の演算と同じくその電流・位相情報を対応入力層に与
    え、センサの設置されない細分化した区間の境界部の鉄
    塔での電流・位相情報に対応する入力層には、前回の演
    算で出力層に得られた電流・位相情報を与え、ニューラ
    ルネットワークの演算を再度実施し、以下同様にニュー
    ラルネットワークの演算を繰り返し出力層の値が一定値
    になるか所定の演算回数を越えた時に演算を終了し、電
    流検出センサの設置されない細分化された区間の境界部
    の鉄塔での電流・位相情報をも求め、細分化された区間
    の境界部の鉄塔での全ての電流・位相情報を知って、事
    故発生区間を標定する事を特徴とする送電線の事故区間
    標定方法。
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