JP3289822B2 - 加熱炉の燃焼制御方法 - Google Patents

加熱炉の燃焼制御方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、工業用加熱炉の燃
焼制御方法に関し、特に被加熱材を目標温度に加熱で
き、かつ低NOx操業を安定して行うことができる工業
用加熱炉の燃焼制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、工業用加熱炉、特に鉄鋼用加熱炉
においては、加熱温度(焼き上がり温度)、加熱能力
(T/h)、使用する燃料等に基づいて炉の構造やバー
ナの配置を決め、被加熱物の焼き上がり温度状況を監視
しながら、燃料投入量や在炉時間を調節する燃焼制御が
行われていた。
【0003】特に、加熱炉を複数のゾーンに分け、経験
に基づいて、各時間帯における各ゾーンの目標炉内温度
を決定し、各ゾーン内の経験的に決められた位置に取り
付けられた温度検出端の実測値を基に、温度調節計と燃
料流量調節計によるフィードバック制御が行われてい
た。
【0004】環境基準を満たすための排ガス中のNOx
の制御は、空燃比の調節で行われていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】近年、バーナの空気口
に蓄熱体を設置した2本の蓄熱式バーナをペアにして使
用し、燃焼していない蓄熱式バーナにおいては、炉内ガ
スを吸引して蓄熱体に熱を貯え、燃焼しているバーナに
おいては、空気を外部から供給して蓄熱体の熱で、燃焼
空気を1000℃以上にまで予熱して使用し、蓄熱式バーナ
を交互に燃焼させることにより高温の燃焼空気を使用し
て加熱を行う新燃焼技術が開発され、省エネルギーの有
力手段として着目されている。
【0006】この技術においては、燃焼空気温度が燃料
ガスの自己着火温度以上になっていること等から、燃焼
現象が、レキュペレータを用いた従来の燃焼(燃焼空気
温度は約300℃)とは大幅に変化している。すなわち、
被加熱物への伝熱影響要素が従来の加熱方法における火
炎・排ガス伝熱主体の要素と大きく異なるため、次のよ
うな問題点がある。 (1)通常の炉内燃焼のような空燃比調節によるNOx
低減が非常に難しい。 (2)被加熱物の昇温特性に基づいた炉内温度の代表点
が従来のように決められない。
【0007】本発明は、このような新燃焼技術における
上記の問題点を解決して、被加熱物の焼き上がり温度が
目標値にでき、かつ安定した低NOx操業ができる加熱
炉の燃焼制御方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記課題は、予想される
加熱炉の操業条件に対応して目標の加熱とNOx排出量
が得られる燃焼条件をシミュレーションにより計算して
シミュレーションデータベースに蓄積しておくと共に、
加熱炉の操業条件に対応して目標の加熱とNOx排出量
が得られる燃焼条件を実測により求めて実測データベー
スに蓄積しておき、実操業においては、実操業条件に最
も近いシミュレーションデータベース中の操業条件と、
実操業条件に最も近い実測データベース中の操業条件を
それぞれ選択し、実操業条件と選択されたシミュレーシ
ョンデータベース中の操業条件の近接度と、実操業条件
と選択された実測データベース中の操業条件の近接度を
それぞれ算出し、加熱制御の目標値となる項目の、選択
されたシミュレーションデータベース中の値と、前記加
熱制御の目標値となる項目の、選択された実測データベ
ース中の値とを、それぞれの前記近接度に対応して重み
付けして加算して前記項目の目標値とし、前記項目の実
測値がこの目標値に一致するように加熱炉の燃焼制御を
行うことを特徴とする加熱炉の燃焼制御方法(請求項
1)により解決される。
【0009】予め予想される操業条件(鋼片入口温度、
鋼片出口温度、在炉時間、生産量等)に応じて、目標と
する加熱とNOx排出量が得られる燃焼条件を、シミュ
レーションにより計算してシミュレーションデータベー
スに蓄積しておく。一方、実測ができる範囲において、
そのときの操業条件と、目標とする加熱とNOx排出量
が得られる燃焼条件を実測し、実測データベースに蓄積
しておく。しかし、これらのデータはいずれも数に制限
があり、全ての実操業条件をカバーするものではない。
【0010】そこで、実操業においては、加熱制御の目
標となる項目の目標値を決めるのに以下のようにする。
【0011】まず、実操業条件とシミュレーションデー
タベースに蓄積されている操業条件とを比較し、実操業
条件に最も近いシミュレーションデータベース中の操業
条件を選択し、両者の近接度を計算する。同様に、実操
業条件と実測データベースに蓄積されている操業条件と
を比較し、実操業条件に最も近い実測データベース中の
操業条件を選択し、両者の近接度を計算する。
【0012】そして、各データベースから選択されたデ
ータの内、加熱制御の目標となる項目について、各々前
記近接度に応じた重み付けをして加算し、加熱制御の目
標となる値を計算する。このようにして目標値が決定さ
れると、当該項目の実測値が目標値に一致するように燃
焼制御が行われる。
【0013】各データベースに蓄積されているデータ
は、目標とする加熱とNOx排出量が得られる燃焼条件
のデータである。よって、これらのうち、実操業条件に
最も近い各データベースの操業条件を前記のように組み
合わせて使用することにより、実操業においても、目標
とする加熱とNOx排出量の両方を満足する燃焼制御を
行わせることができる。
【0014】加熱制御の目標となる項目としては総括熱
吸収率を採用することが好ましい(請求項2)。総括熱
吸収率が炉内の熱伝達を総合的に表わしているからであ
る。
【0015】また、近接度を、操業条件の各項目毎の差
の2乗和で表わすことが好ましい(請求項3)。
【0016】さらに、重み付けを、近接度の逆数に比例
して行うことが好ましい(請求項4)。このようにすれ
ば、近接度の高いデータが大きく重み付けされ、もし、
実操業条件とデータベース中の操業条件が一致する場合
には、重みが無限大となってデータベース中のデータが
そのまま採用される。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、図1のフ
ローチャートにより説明する。
【0018】まず、ステップS101で、通常の操業条
件と推定される条件下でのシミュレーションにより、目
標とする加熱およびNOx排出量が得られるようにシミ
ュレーションを行い、その結果をシミュレーションデー
タベースに蓄積しておく。
【0019】操業条件の項目としては、鋼片装入温度T
i、抽出目標温度To、在炉時間tf、生産量Pを採用す
る。シミュレーションの結果としては、炉内各点におけ
る計算温度、計算総括熱吸収率、計算NOx排出量等が
ある。
【0020】次に、ステップS102で、目標とする加
熱およびNOx排出量が得られるように実操業を行い、
その結果を実測データベースに蓄積しておく。操業条件
の項目としては、鋼片装入温度Ti、抽出目標温度To
在炉時間tf、生産量Pを採用する。実測の結果として
は、炉内各点における実測温度、実測総括熱吸収率、実
測NOx排出量等がある。この実測データを採取する実
操業においては、鋼片中に熱電対を埋め込んで、鋼片の
温度上昇を測定しながら各種データを採取するので、総
括熱吸収率を始めとする各種データを正確に測定するこ
とができる。
【0021】次に、ステップS103で、鋼片装入温度
i、抽出目標温度To、在炉時間tf、生産量Pからな
る実操業条件が決定される。この実操業条件を基に、ス
テップ104では、各データベースから実操業条件に最
も近いデータを選択し、近接度を算出する。選択の方法
としては、各データベース毎、データベース中にある操
業条件の各項目の値と実操業条件における各項目の値と
の差を項目毎に求めてこれらの2乗和を算出し、2乗和
が最小であるものを選択し、その2乗和の値を近接度と
する。
【0022】次に、ステップS105において、制御項
目の目標値を算出する。ここでは、制御項目として総括
熱吸収率φcgを採用した場合について説明する。選択さ
れたシミュレーションデータベースの操業条件と実操業
条件との近接度をDS、選択された実測データベースの
操業条件と実操業条件との近接度をDAとし、選択され
たシミュレーションデータベース中の総括熱吸収率をφ
cgS、選択された実測データベース中の総括熱吸収率を
φcgAとすると、目標とする総括熱吸収率φcgOは、 φcgO=(φcgS/DS+φcgA/DA)/(1/DS+1/DA) =(φcgS*DA+φcgA*DS)/(DS+DA) で求められる。
【0023】そして、ステップS106においては、実
測の総括熱吸収率をこの目標総括熱吸収率φcgOに一致
させるように燃焼制御を行う。
【0024】実操業において総括熱吸収率を実測するこ
とが困難な場合には、シミュレーションモデルにより、
実測かつ制御可能なデータと総括熱吸収率との関係式を
求め、この関係式に基づいて、実測かつ制御可能なデー
タを制御することにより、総括熱吸収係数を目標値に一
致させるようにする。
【0025】たとえば、鋼片が装入されてから総括熱吸
収率を計算しようとするゾーン入口に到達するまでの在
炉時間をtfo、当該ゾーンの無次元炉長方向位置(装入
扉からゾーン入口までの距離/装入扉から抽出扉までの
距離)をL、熱電対によって測定された炉内温度をTと
するとき、総括熱吸収率をφcgは、これらの値と前記鋼
片装入温度Ti、抽出目標温度To、生産量Pを用いて、 φcg=atfo bcd(To−Tie(T−Tif(T−
og と表わすことができる。ここに、a〜gは回帰式の係数
であり、各ゾーン(予熱帯、加熱帯、均熱帯)により異
なるものである。
【0026】この式を利用して、目標とする総括熱吸収
率に対応する炉内温度Tを求め、炉内温度がこの温度と
なるように燃焼制御を行えばよい。
【0027】続いて、ステップS107で、実操業にお
いて採取されたデータを補足的に実測データベースに蓄
積する。
【0028】以下、シミュレーションデータベースを作
成するシミュレーションの例を図を用いて説明する。図
2は、本シミュレーションにおいて、炉内温度分布とN
Ox発生量を計算する手順を示すフローチャートであ
る。
【0029】まず、ステップS201において、炉形と
操業条件を入力して計算を開始する。ここで、炉形と
は、燃焼室の寸法、燃焼バーナの位置、被加熱物の位
置、排ガスの排出条件、使用する燃料の条件、炉体の冷
却条件等を示す。また、操業条件とは、生産量(T/
h)、在炉時間(h)、NOx環境基準などを含む。
【0030】次に、ステップS202において、数式モ
デルを使用して、炉内燃焼ガス流れの解析、炉内温度場
の解析、被加熱物の温度の変化の解析を行う。
【0031】以下、本シミュレーションにおいて使用し
たモデルを説明する。 (1)燃焼ガス流れの熱計算 通常、炉内の燃焼ガス流れは、時間に対して流速が一定
値になる層流ではなく、常に流れに乱れを有する乱流で
ある。そのため、炉内のガス流れを解析する際には、ガ
ス流速uiを流速の平均値である
【数1】 (バーは平均することを、添字は三次元の方向成分を示
す。以下、同じ)と、変動分であるui’(ダッシュは
変動成分を示す。以下同じ)に分離することが一般的に
行われている。また、燃焼現象自体は非定常現象である
ので、非定常条件で解析すべきであるが、炉内の燃焼現
象の多くの部分は、定常と仮定して問題ないこと、ま
た、非定常解析では計算時間が長くなり、解析精度も大
幅には向上しないことから、定常現象で取り扱うことと
する。
【0032】このことは、実炉において、数秒以内で起
き得る燃焼ガスの流量変動など、燃焼条件の短時間変化
を平均化して、鋼片の加熱時間(通常数時間程度)内に
おける加熱条件を計算することを示している。
【0033】解析に使用する基礎方程式を以下に示す。
なお、本発明は解析によって得られた結果を有効に示す
ものであるから、解析方法を限定するものではない。
【0034】解析に使用する方程式をFavre平均した形
で、以下にまとめて示す。
【0035】質量保存を示す連続の式(xは方向を、
ρは密度を示す)
【数2】 運動量保存を示す運動方程式(μは粘性係数を、Pは
圧力を示す)
【数3】 速度及び圧力の4変数であれば、上記の方程式を用いれ
ばガスの流れを解析することができる。
【0036】そこで、レイノルズストレスと呼ばれる
【数4】 を何らかの方法でモデル化する必要がある。このモデル
化に乱流モデルを使用する。
【0037】乱流モデル 炉内流動場における乱流モデルに関しては、工業的に多
く採用されている高レイノズル数型のk−εモデルを採
用した。(δは、クロネッカ記号を、添字のtは、乱流
効果を含むことを示す。以下同じ)
【数5】 乱流エネルギーを表わすkと、消散率を表わすε、及び
μtは、次式で定義する。
【数6】 乱流エネルギーと消散率は、多くの場合、次の保存式を
使って解析する。
【数7】 各種定数は、通常使用されている数値を使用する。 C1=1.44、C2=1.92、Cμ=0.09、ρk=1.0、σε
1.3 このように、乱流エネルギーと消散率の2変数と2方程
式を追加することで、6変数と6方程式により表現され
ることとなり、流動解析が可能になる。
【0038】エネルギー保存を表わす保存式 炉内は温度が均一でないため、温度場を解析する方程式
を追加する必要がある。そこで、エネルギー保存の方程
式を追加する。
【数8】 ここで、hは燃焼ガスのエンタルピー、μe/σhは、乱
流の効果を加味した実効熱吸収率、Shはソース項であ
り、化学反応による発熱及び放射伝熱による熱授受によ
る発熱量、発散熱量を代入する。
【0039】輻射伝熱モデル 輻射伝熱に関しては、多くのモデルが提案されており、
P−Nモデル、DTRMモデルや、熱線追跡法等のモデ
ルを使用して解析し、これで求まった輻射伝熱量は、エ
ネルギー方程式のソース項Shに代入する。
【0040】燃焼モデル 燃焼反応により発生する熱量をエネルギー保存方程式の
ソース項に代入するため、燃焼モデルが必要となる。そ
の解析方法は、空気と燃料との混合比率を表わす混合割
合係数fと、乱流の拡散効果を考慮するための確率密度
関数を用いる。
【0041】燃焼反応のモデルは、反応速度が流体が計
算領域を通過する時間に比べて十分早いと仮定して、各
計算セルにおいて、熱平衡計算と確率密度から求まる組
成に直ちに変化すると仮定したモデル用いる。
【0042】平均のガス組成、ガス温度及びガスのエン
タルピーを表わすφは、平均値として以下の式で表現さ
れる。
【数9】 ここで、P(f)は確率密度関数と呼ばれるものであ
り、hはエンタルピーである。φi(f,h)は、ある
エンタルピーを持った燃焼ガスの瞬間のガス組成、ガス
温度、エンタルピーを表わし、確率密度関数を乗じるこ
とより、平均値を求めることができる。積分範囲0〜1
は、確率密度の全範囲に亘って積分することを意味す
る。
【0043】確率密度関数に関しては、通常、β関数を
使用するために下式を解く。混合割合関数の平均値
【数10】 と、乱流による変動値の二乗平均値
【数11】 は、下記の保存式から求める。σt、CgとCdは定数で
ある。
【数12】 すなわち、混合割合関数の平均値と変動値の2変数と2
方程式を追加することにより、解析が可能になる。
【0044】(2)炉内温度場の計算と被加熱物温度変
化の解析 炉内温度場の計算と、被加熱物温度変化の計算について
は、公知の数式モデルを適宜選択して使用できる。
【0045】一例として、図3に示すような炉形状と、
境界条件を用いて計算した炉内各部の温度分布を図4に
示す。
【0046】図3において、1は加熱炉、2は鋼片、3
はバーナ、4は排ガスの排出口、5は排ガス吸引ファン
を示す。また、A、B、C、Dは温度測定点を示す。
【0047】炉形状等に関する条件を下記に示す。 ・計算領域: 炉幅4.0m、炉高3.0m、炉長8.0m ・空気吐出口: 4個所 ・燃料吐出口: 空気吐出口1個所につき2個所 ・排ガス出口: 空気吐出口と対向する個所に1個所
(空気吐出口と同寸法) ・エスケープ: 上記排ガス口とは別途に設置
【0048】各種境界条件に関しては、以下の条件を使
用する。 ・燃焼量: 1バーナあたり1.175MW ・空気比: 1.05 ・空気流速: 96m/s、1300℃ ・燃料流速: 99m/s、27℃ ・排気条件:排ガスの80%は対向する排ガス出口、20%
はエスケープ ・壁条件: ノンスリップ(壁関数使用) ・壁境界: 総括熱吸収率2J/m2s、大気温度300K スラブは伝導伝熱を考慮、スラブ下部は断熱条件 ・スラブ速度: 1.2mm/s
【0049】図4において、各数字の符号は図2と同じ
構成要素を示し、6はエスケープを示す。図中の数字は
温度(℃)を示す。
【0050】今回の計算で使用した予熱空気温度は、通
常の炉内燃焼で使用する予熱空気温度(多くは800度
以下)に比べて大幅に高い温度であることと、燃料供給
方法が、従来のように空気供給口と燃料供給口とが隣接
せずに、一定以上の距離を有しているため、炉内温度が
均一化する傾向にある。そのため、従来の予熱空気を用
いた炉に比べ炉内の温度状況が大きく変化している。
【0051】次に、図2のステップS203で、炉内各
点のNOx分布を計算する。
【0052】NOx生成に関しては、未だに解明されて
いない部分も多く存在するが、現在一般的に使用されて
いる手法を使用して計算する。
【0053】NOx発生のメカニズムは、サーマルNO
x、プロンプトNOx、フューエルNOxとNOxを分
解するリバーニングに大別される。このうち、工業用加
熱炉においてはフューエルNOxは殆ど発生しないので
無視し、残りのメカニズムで発生するNOxを計算す
る。
【0054】なお、この計算においては、通常、NOx
の発生量が他のガス成分に比べて少ないこと、よって、
NOxの発生が燃焼ガス温度に与える影響が小さいこと
を考慮し、燃焼計算の結果を利用して、NOxの発生量
を計算する。
【0055】(i)サーマルNO Extended Zeldvich mechanism と呼ばれるモデルを使用
した。以下、k±iは反応速度を、O、N、N2、O2
H、OH、NOはガス成分を、Tは絶対温度を示す。ま
た、Ai、Bi、Ciは定数である。[ ]内は濃度を示
す。(以下同じ)符号の±の意味は、+が化学反応式で
左項から右項への反応速度を、−が右項から左項への反
応速度を示す。
【数13】 ラジカル酸素に関しては、次式から求める。
【数14】 ここで、A、B、Cは定数である。
【0056】(ii)プロンプトNO プロンプトNOxは、De Soete の提案した以下の式に
より求めた。
【数15】 ここで、A’、E、Rは定数を、Tは絶対温度を示す。
[Fuel]は、NOx生成に関連する燃焼成分の濃度を示
す。
【0057】(iii)NOリバーニング NOが減少するリバーニングは、下記のメカニズムで考
慮する。
【数16】 (iv)NO生成に関する乱流の効果 燃焼計算に使用した確率密度関数を使用して、燃焼計算
と同様の乱流効果を考慮した計算を行う。
【0058】図5に、このようにして計算したNOxの
分布の例を示す。図5における符号の数字は、図4と同
じ構成要素を示す。また、図中の数字はNOx濃度(p
pm)である。
【0059】以上の方程式を離散化して、計算機を用い
て解析すると、炉内各点の燃焼ガス流速分布、温度分
布、各種ガス濃度分布を知ることができる。
【0060】すなわち、図2におけるステップS204
において、炉形、操業条件による炉内温度分布と排ガス
中のNOxを最終的に計算する。
【0061】
【発明の効果】以上説明したように、本発明において
は、予想される加熱炉の操業条件に対応して目標の加熱
とNOx排出量が得られる燃焼条件をシミュレーション
により計算してシミュレーションデータベースに蓄積し
ておくと共に、加熱炉の操業条件に対応して目標の加熱
とNOx排出量が得られる燃焼条件を実測により求めて
実測データベースに蓄積しておき、実操業においては、
実操業条件に最も近いシミュレーションデータベース中
の操業条件と、実操業条件に最も近い実測データベース
中の操業条件をそれぞれ選択し、実操業条件と選択され
たシミュレーションデータベース中の操業条件の近接度
と、実操業条件と選択された実測データベース中の操業
条件の近接度をそれぞれ算出し、加熱制御の目標値とな
る項目の、選択されたシミュレーションデータベース中
の値と、前記加熱制御の目標値となる項目の、選択され
た実測データベース中の値とを、それぞれの前記近接度
に対応して重み付けして加算して前記項目の目標値と
し、前記項目の実測値がこの目標値に一致するように加
熱炉の燃焼制御を行っているので、目標とする加熱とN
Ox排出量の両方を満足する燃焼制御を行わせることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示すフローチャートであ
る。
【図2】本発明の実施の形態におけるシミュレーション
の手順を示すフローチャートである。
【図3】シミュレーションに使用した炉を示すモデル図
である。
【図4】シミュレーションによって得られた炉内温度分
布を示す図である。
【図5】シミュレーションによって得られたNOx分布
を示す図である。
【符号の説明】
1 加熱炉 2 鋼片 3 バーナ 4 排ガス排出口 5 排ガス吸引ファン 6 エスケープ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G05B 15/00 G05B 15/00 (56)参考文献 特開 昭56−75532(JP,A) 特開 昭56−75528(JP,A) 特開 昭62−54025(JP,A) 特開 平3−223417(JP,A) 特開 平9−316531(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 1/52 C21D 9/00 101 C21D 11/00 101

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 予想される加熱炉の操業条件に対応して
    目標の加熱とNOx排出量が得られる燃焼条件をシミュ
    レーションにより計算してシミュレーションデータベー
    スに蓄積しておくと共に、加熱炉の操業条件に対応して
    目標の加熱とNOx排出量が得られる燃焼条件を実測に
    より求めて実測データベースに蓄積しておき、実操業に
    おいては、実操業条件に最も近いシミュレーションデー
    タベース中の操業条件と、実操業条件に最も近い実測デ
    ータベース中の操業条件をそれぞれ選択し、実操業条件
    と選択されたシミュレーションデータベース中の操業条
    件の近接度と、実操業条件と選択された実測データベー
    ス中の操業条件の近接度をそれぞれ算出し、加熱制御の
    目標値となる項目の、選択されたシミュレーションデー
    タベース中の値と、前記加熱制御の目標値となる項目
    の、選択された実測データベース中の値とを、それぞれ
    の前記近接度に対応して重み付けして加算して前記項目
    の目標値とし、前記項目の実測値がこの目標値に一致す
    るように加熱炉の燃焼制御を行うことを特徴とする加熱
    炉の燃焼制御方法。
  2. 【請求項2】 加熱制御の目標値となる項目が総括熱吸
    収率である請求項1に記載の加熱炉の燃焼制御方法。
  3. 【請求項3】 近接度が、操業条件の各項目毎の差の2
    乗和で表わされることを特徴とする請求項1又は請求項
    2に記載の加熱炉の燃焼制御方法。
  4. 【請求項4】 重み付けが、近接度の逆数に比例して行
    われることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいず
    れか1項に記載の加熱炉の燃焼制御方法。
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