JP3275468B2 - ラドン・エマネーションの測定方法及び地中探査方法 - Google Patents

ラドン・エマネーションの測定方法及び地中探査方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ラドン・エマネーショ
ンを測定する方法に関する。
【0002】本発明はまた、地中内の動的又は静的な状
態(構造及び/又は活動状況)を探査する地中探査方法
に関し、具体的には、火山噴火及び地震等の予知乃至防
災、有用鉱物資源(石油、浅熱水鉱床、温泉及び地下水
など)の探査、危険な山腹及び人工斜面の危険箇所の探
知、活断層及びその活動状況の探知、鍾乳洞及び鉱山古
洞などの空洞の探知に適した地中探査方法に関する。
【0003】
【従来の技術】ラドン・エマネーションは鉱物から自由
空間に飛び出し、地上に上昇してきたガス状のラドンの
ことであり、具体的には、222Rn(ラドン)と220Rn
(トロン)とからなる。222Rn(ラドン)の半減期は
3.82日、220Rn(トロン)の半減期は55.6秒
であり、短い。なお、狭義には、222Rn(ラドン)の
エマネーション、及び220Rn(トロン)のエマネーシ
ョンがあるが、本明細書では、特に限定しない限り、ラ
ドン・エマネーションは、222Rn(ラドン)のエマネ
ーションと220Rn(トロン)のエマネーションの両方
を含む広義に理解する。
【0004】ラドン・エマネーションは、地殻の歪み、
地熱、地質構造及びマグマの活動などの地中構造及び地
中活動に敏感に影響される。従って、ラドン・エマネー
ションを何らかの手段で効率良く分析・測定できれば、
地中内の様子を推測でき、火山噴火や地震等、有用鉱物
資源(石油、浅熱水鉱床、温泉及び地下水など)、山腹
及び人工斜面の危険箇所、活断層及びその活動状況、並
びに、鍾乳洞及び鉱山古洞などの空洞を探知するのに役
立つ。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ラドン・エマネーショ
ン、即ち222Rn(ラドン)及び220Rn(トロン)を化
学的に分析する方法は知られているが、時間と労力のみ
ならず多額の費用もかかり、広い範囲を時系列的に調査
するのは実質的に不可能であった。220Rn(トロン)
は半減期が55.6秒と非常に短いので、化学的に分析
できるのは実質的には222Rn(ラドン)のみである。
【0006】また、検体の採集に際しては、気温、気圧
及び地盤性状などの影響を受け、分析精度の評価に問題
が残されている。
【0007】そこで、本発明は、ラドン・エマネーショ
ンを広域にわたり短時間で測定できるラドン・エマネー
ションの測定方法を提示することを目的とする。
【0008】ガンマ線により地中内の様子を測定する方
法が、本出願の発明者と同じ発明者により発明されてい
るが、それらの発明の出願当時、ラドン・エマネーショ
ンを物理的に識別する技術は確立しておらず、ラドンと
ラドン・エマネーションとを一体に測定しているので、
精度及び信頼性に問題があった。
【0009】本発明はまた、地中内の様子を簡便に且つ
精度良く探査できる地中探査方法を提示することを目的
とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明では、一定以上の
地域範囲について所定γ線成分、具体的には、0.50
〜0.80MeV、1.60〜2.00MeV及び2.
40〜2.80MeVの何れかの帯域で測定されうるγ
線成分とカリウム40K成分を検出し、当該γ線成分とカ
リウム40K成分との相関関係からのずれをラドン・エマ
ネーションとする。
【0011】本発明ではまた、所定エネルギー範囲のγ
線を測定し、その測定結果からラドン・エマネーション
及び主要なγ線の線量を算出及び決定するか、又は、ラ
ドン・エマネーション及び主要なγ線を含むγ線量を直
接又は間接に測定する。そして、主要なγ線に対するラ
ドン・エマネーションの割合を示すラドン・エマネーシ
ョン化率を算出し、得られたラドン・エマネーションの
分布及びラドン・エマネーション化率の分布により、地
中内の静的及び動的状態を判定する。
【0012】
【作用】上記手段により、ラドン・エマネーションを分
離して物理的に測定できる。
【0013】また、ラドン・エマネーション及びこれか
ら算出したラドン・エマネーション化率の分布は、地中
構造及びその活動状況を反映している。従って、ラドン
・エマネーションとラドン・エマネーション化率の分布
から、地中の構造及び地中の活動状況、具体的には、火
山噴火、地震、有用鉱物資源(石油、浅熱水鉱床、温泉
及び地下水など)、危険な山腹及び人工斜面の危険箇
所、活断層及びその活動状況、並びに、鍾乳洞及び鉱山
古洞などの空洞を広い範囲の中で短時間に探知できる。
【0014】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明
する。
【0015】本発明者は、地上及び高度1万メートル上
空の環境ガンマ線スペクトロメトリから以下のことを発
見した。第1に、高度1万メートルの上空で大気に浮遊
するラドン(即ち、ラドン・エマネーション)に起因す
るγ線が、214Biからの低レベルγ線(0.50〜
0.80MeV)領域で検出された。第2に、毎分10
立方メートルもの熱湯を噴出する大亀裂帯の近くでラド
ン・エマネーションをソースとする放射性鉱物が生成さ
れ、且つ、その噴出泉の近くでは低レベルγ線(0.5
0〜0.80MeV)が検出された。第3に、火山地帯
で稀に発見されるものの、一般的には低レベルγ線
(0.50〜0.80MeV)領域にピークは検出され
ない。
【0016】これらの発見から、ラドン・エマネーショ
ンの測定には、低レベルγ線(0.50〜0.80Me
V)の観測が有効であることが分かった。これにより、
全ラドンからラドン・エマネーションを識別することで
が可能になり、全ラドンに対するラドン・エマネーショ
ンの割合、即ち、ラドン・エマネーション化率を物理的
な測定で算定できる。なお、ラドン・エマネーション及
びラドン・エマネーション化率は、相対的な指標として
得ればよいので、本実施例では測定システムを補正又は
校正しない。
【0017】先に説明したように、ラドン・エマネーシ
ョンは、鉱物から自由空間に飛び出して地上に上昇して
きた222Rn(ラドン)及び220Rn(トロン)からな
る。ラドン・エマネーションは、地殻の歪み、地熱、地
質構造及びマグマの活動などの地中構造及び地中活動に
敏感に影響され、また、地下浅所の空洞からのものは、
更に気象と深い関係を持つ。先に説明したように、ラド
ン・エマネーションは、低レベルの0.50〜0.80
MeVの散乱γ線の領域にピークを持つ。元来、岩石中
の散乱γ線成分(0.50〜0.80MeV)は40K成
分と一定の高い相関関係にあることが知られており、ラ
ドン・エマネーションが存在すると、この相関関係が乱
される。
【0018】222Rn(ラドン)は1.60〜2.00
MeV帯で検出され、220Rn(トロン)は2.40〜
2.80MeV帯で検出されるが、共に、0.50〜
0.80帯にも2次ピークを持つ。これが散乱γ線と評
価されている。先に説明したように、220Rn(トロ
ン)は半減期は55.6秒と非常に短いので、一般的に
はラドン・エマネーションとして検出又は算出されたも
のの主たる成分は、222Rn(ラドン)である。
【0019】本発明では、この点に着目して、ラドン・
エマネーションを定量的に推測し、ラドン・エマネーシ
ョン化率を算出する。得られたラドン・エマネーション
及びラドン・エマネーション化率を使って、地中構造及
び活動状況を推測することができる。
【0020】火山活動地域では、マグマの上昇に伴いラ
ドンが岩石鉱物から自由空間に飛び出していくので、ラ
ドン・エマネーション化率が高まる。その一方で、地中
温度の上昇により蒸気圧が増大する。高圧の水蒸気はラ
ドン・エマネーションを顕著に吸収するので、上昇する
マグマの近辺でラドン・エマネーション自体は減少す
る。なお、火山活動地域では、散乱γ線のカリウム成分
比は、激減する。
【0021】図1は、これらの関係を模式的に示す。図
1(a)は、マグマ10が上昇してきている火山12の
断面図を示す。符号14に示すように、地点Aから地点
Bを通って地点Cまで、γ線スペクトロメータを積載し
た自動車又はヘリコプターで地表又はその上空を移動し
ながら、連続的に、散乱γ線(0.50〜0.80Me
V)、カリウム40K(1.30〜1.60MeV)、ラ
ドン222Rn(1.60〜2.00MeVであり、直
接的には、214Bi系列のγ線として測定される。)及
びトロン220Rn(2.40〜2.80MeVであり、
直接的には208Tl系列のγ線として検出される。)の
各γ線成分を測定する。
【0022】先に説明したように、散乱γ線とカリウム
40Kは、図2に示すように一定の比例関係になり、測定
値から両者の相関式 γs=aK+b (1) を求める。ここで、γsは散乱γ線の測定値、Kは40
の測定値、a,bは係数である。散乱γ線とカリウム40
Kの測定値を図2に示すようにプロットすることによ
り、係数a,bを決定できる。
【0023】先に説明したように、ラドン・エマネーシ
ョンが存在すると、散乱γ線とカリウム40Kの相関関係
が乱れる。従って、観測地点xのラドン・エマネーショ
ンΔγsは、上記相関式からの乱れにより定量的に把握
できる。即ち、 Δγs=γs−aK−b (2) である。
【0024】その後、214Bi系列及び208Tl系列につ
いても観測したところ、これらでも同様の関係が成立す
ることが分かった。即ち、214Bi系列のγ線とカリウ
40Kとの間にも一定の線形相関式が成立し、その相関
式からの乱れから、222Rnのエマネーションを定量的
に推測できる。また、208Tl系列のγ線とカリウム4 0
Kとの間にも一定の線形相関式が成立し、その相関式か
らの乱れから、220Rnのエマネーションを定量的に推
測できることが分かった。
【0025】ラドン・エマネーション化率は、基本的に
は、鉱物中に閉じ込められているγ線源(222Rnと220
Rn)に対するラドン・エマネーションの比である。分
母とするγ線は、222Rnのみ、220Rnのみ及び222
nと220Rnの和又は差の何れでもよい。エネルギー帯
として見ると、0.5〜0.80MeV、1.60〜
2.00MeV、及び2.40〜2.80MeVの1以
上の帯域での検出値を使用する。どのような検出値又は
演算値を分母とするかは、地中の静的及び動的状態が
222Rn、220Rn及びこれらのエマネーションに定量的
にどのような影響を与えるかの考察に基づき、探知対象
に応じた適切なものを選択する。
【0026】同様に、ラドン・エマネーション化率の分
子にも、222Rnのエマネーションのみ、220Rnのエマ
ネーションのみ、及び222Rnと220Rnのエマネーショ
ン何れでもよい。これらも、探知対象に応じた適切なも
のを選択する。
【0027】ラドン・エマネーション化率の分子及び分
母として、いずれを選択しても、探知対象に対するおお
よその傾向は同じになるが、分母及び分子として適切な
ものを選択することにより、探知対象をより的確に探知
できる。
【0028】ラドン・エマネーション化率Rrを算定す
る場合のラドン・エマネーション(分子)として、上述
のごとく散乱γ線から算出したΔγsを採用し、分母と
して222Rnと220Rnの和を使用すると、ラドン・エマ
ネーション化率Rrは、次式で与えられる。即ち、 Rr=Δγs/ΣRn =Δγs/(222Rn+220Rn) =Δγs/(ラドン+トロン) (3) となる。
【0029】このようにして得られたラドン・エマネー
ション及びラドン・エマネーション化率を、それぞれ図
1(b)及び同(c)に示す。先に説明したように、ラ
ドン・エマネーションは、上昇するマグマ10の直上部
で極小になる。他方、ラドン・エマネーション化率は、
上昇するマグマ10の直上部ではラドン・エマネーショ
ンの減少により極小になるが、マグマ10の近辺では増
大する。
【0030】例えば、代表的な幾つかの地点で測定した
ところ、散乱γ線とカリウム40Kとの間に、局所的に以
下の相関式が得られた。即ち、 棚倉地質構造線 :γs=2.24K+321 糸魚川−静岡地質構造線 :γs=2.12K+435 中央構造線(長野県) :γs=1.74K+681 割れ目火口(伊豆大島) :γs=0.06K+834 地震震源地(長野県王滝):γs=2.66K+433 高温泉(伊豆白田・熱川):γs=1.59K+430 但し、γsは散乱γ線の測定値、Kは40Kの測定値をそ
れぞれ示す。これらの地点をマクロ的に眺めても、γs
とKとの間には一次相関式が成立する。局所的な相関式
はマクロ上の相関式から上又は下にずれており、地震震
源地からのずれの大きな順に、割れ目火口、高温泉、中
央構造線、糸魚川−静岡地質構造線及び棚倉地質構造線
となっている。これはまさしく、ラドン・エマネーショ
ンの影響である。
【0031】その他の地中構造及びその活動状況とラド
ン・エマネーション及びラドン・エマネーション化率の
関係を、各状況について簡単に説明する。これらの関係
を考慮することにより、ラドン・エマネーション及びラ
ドン・エマネーション化率から地中構造及びその活動状
況を高い確度で推測できる。
【0032】高温度の温泉は、高い地熱と地下水の貯溜
層の存在を前提とする。地中は、火山活動の余韻を残し
て、常時、高温下になり、高い蒸気圧が広がっている。
このような状況下では、ラドン・エマネーションが生成
されやすくなり、ラドン・エマネーション化率が高くな
る。他方、水蒸気がラドン・エマネーションを吸収する
ので、ラドン・エマネーション自体は少なくなる。散乱
γ線のカリウム成分比は、マグマの接近地域ほどではな
いが、低いものになる。
【0033】地質構造線は地中深部にまで達する活断層
であり、大地震の巣でもあり、その活動は大規模災害を
もたらす。一般に、活断層は、その周辺の破砕帯の岩石
から飛び出してくるラドン・エマネーションの通路にな
る。従って、活断層では、ラドン・エマネーション化率
がやや高くなるものの、狭い範囲に限定される。換言す
ると、狭い範囲でラドン・エマネーション化率が高くな
る場合、活断層又は破砕帯の存在が推測される。なお、
ラドン・エマネーションは破砕帯での地下水の満たされ
方によって吸収の程度が異なり、散乱γ線のカリウム成
分比も変化する。
【0034】活断層の活動では、岩石の破砕化が進行
し、その初期には地下水位の変動もあるので、これらに
応じて、ラドン・エマネーションが変化する。ラドン・
エマネーションの挙動を観測することにより、活断層の
活動状況を推測できる。
【0035】地下の地層に加わる圧縮応力及び引張り応
力が剪断破壊にまで発達したとき、地震が発生する。剪
断破壊に至る前には、地層に微細な亀裂が形成される。
岩石の細片化によりラドン・エマネーション化率が増大
し、地層を上昇するラドン・エマネーションも増加す
る。しかも、地震直前には応力場が解放されるので、ラ
ドン・エマネーションが急激に増大する。地震直後で
も、その余韻が残り、散乱γ線のカリウム成分比は増加
する。
【0036】地中からの有用鉱物のマイグレーションに
は、熱水の通れるような亀裂の発達が必要であり、有用
鉱物の沈殿後には、かなりの亀裂が残る。従って、亀裂
を通って、かなりの量のラドン・エマネーションが上昇
する。ラドン・エマネーションの中でも、214Biと208
Tlまでもがスムーズに上昇する。しかし、破砕帯があ
まり発達していないし、地中温度も格別高いわけでもな
いので、一般には、ラドン・エマネーション化率が低く
なる。
【0037】地質構造からは石油鉱床の可能性を持ちな
がら、石油が存在しないことがある。例えば、石油鉱床
を自然現象による破壊から守るのに必要な帽岩の機能が
失われた場合である。これは帽岩の亀裂と関係してお
り、石油鉱床が破壊から逃れるには、帽岩の亀裂があま
り発達していないことが必要である。帽岩の亀裂があま
り発達していると、ラドン・エマネーションが多くなる
ので、石油鉱床の発見のためには、ラドン・エマネーシ
ョンの少ない地域を探索すべきである。また、石油鉱床
付近では、地中温度が格別高いわけでもなく、地層の破
砕化も進んでいるわけでもないので、ラドン・エマネー
ション化率は低くなる。
【0038】大規模斜面の崩壊危険地を探知できる。即
ち、断層破砕帯の通る山腹では、地震時、破砕帯の地下
水に過剰水圧が発生し、大規模斜面崩壊を起こすことが
ある。従って、断層と破砕帯地下水を探知することによ
り、崩壊危険地域を発見できる。断層破砕帯からのラド
ン・エマネーションは、地下水に溶解吸収されるものも
あるが、飽和溶解状態にあると考えられ、特に減少しな
いが、断層では周辺に比べラドン・エマネーションが増
加する。これに対し、地下水に満たされていない断層破
砕帯では、気象条件に従いラドン・エマネーションが増
減する。なお、ラドン・エマネーション化率は破砕岩石
の存在で少し高くなる。
【0039】鍾乳洞及び鉱山古洞などの空洞は、次のよ
うにして探知できる。即ち、このような空洞内の空気が
膨張又は収縮すると、ラドン・エマネーション(この場
合は、トロン220Rn)が空洞の直上部で増大又は減少
する。しかし、ラドン・エマネーション化率は変化しな
い。路面及び覆工背面などにある空洞の探知にも適用で
きる。
【0040】測定するγ線のエネルギー帯は例えば、
0.50〜0.80MeV(散乱γ線)、1.30〜
1.60MeV(40K)、1.60〜2.00MeV(
214Bi系列)及び2.40〜2.80MeV(208Tl
系列)であり、1.30〜1.60MeV(40K)はラ
ドン・エマネーションの算出にのみ用いる。
【0041】ラドン・エマネーションとしては、214
i系列の0.50〜0.80MeVのγ線でなく、208
Tl系列の0.50〜0.80MeVであってもよく、
これらの両方であってもよい。ラドン・エマネーション
のバックグラウンドは、先に説明したように、40Kから
算定できるが、本発明では、ラドン・エマネーションは
式(2)に示すように相対値でよいので、バックグラウ
ンド自体を数量的に把握する必要はない。
【0042】ラドン・エマネーション化率の算定に用い
る主要なγ線(分母)としては、0.50〜0.80M
eV、1.60〜2.00MeV及び2.40〜2.8
0MeVを単独で、若しくは、それらの和又は差を用い
る。ラドン・エマネーション化率の算定に用いるラドン
・エマネーション(分子)としても、同様に、0.50
〜0.80MeV、1.60〜2.00MeV及び2.
40〜2.80MeVを単独で、若しくはそれらの和又
は差を用いる。これらは、探査対象に応じて決定する。
【0043】エネルギー帯による区別は、現時点で一般
に利用可能なγ線スペクトロメータの分解能によるもの
であり、より分解能のよいγ線検出器ではよ狭い範囲
の測定で足りるし、逆に、上述の分解能より粗くてよい
場合には、より広いエネルギー帯でよい。即ち、エネル
ギー帯を特定する両端の数値は、本発明を臨界的に限定
するものではない。
【0044】本発明では、ラドン・エマネーションは、
相対値でよい。従って、ラドン・エマネーション及びラ
ドン・エマネーション化率の数値は絶対値でなく、相対
的な指標である。
【0045】
【発明の効果】以上の説明から容易に理解できるよう
に、本発明によれば、従来不可能であったラドン・エマ
ネーションを簡易且つ迅速に測定することが可能にな
り、その結果を用いて、地中構造及び地中の活動状況を
推測することができるようになった。即ち、火山噴火及
び地震等の予知乃至防災、有用鉱物資源(石油、浅熱水
鉱床、温泉及び地下水など)の探査、危険な山腹及び人
工斜面の危険箇所の探知、活断層及びその活動状況の探
知、鍾乳洞及び鉱山古洞などの空洞の探知に役立つ。
【図面の簡単な説明】
【図1】 火山地帯のラドン・エマネーション及びラド
ン・エマネーション化率の模式図である。
【図2】 散乱γ線と40Kとの相関図である。
【符号の説明】
10:マグマ 12:火山 14:測定移動体の移動経
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 荒木春視,海域における空中γ線分 布,写真測量とリモートセンシング,日 本,大竹一彦,1991年 5月15日,30 巻、2号,56〜60 伊東沖火山の噴火と空中ガンマ線異 常,平成元年度秋季学術講演会発表論文 集,日本,日本写真測量学会,1990年 9月30日,119〜124 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01V 5/12 G01T 7/00 G01V 5/06

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ラドン・エマネーションを測定する方法
    であって、一定以上の地域範囲について所定エネルギー
    帯のγ線成分とカリウム40K成分を検出し、当該所定エ
    ネルギー帯のγ線成分とカリウム40K成分との相関関係
    からのずれをラドン・エマネーションとすることを特徴
    とするラドン・エマネーションの測定方法。
  2. 【請求項2】 当該所定エネルギー帯のγ線成分が、
    0.50〜0.80MeVに含まれる請求項1に記載の
    ラドン・エマネーションの測定方法。
  3. 【請求項3】 当該所定エネルギー帯のγ線成分が、
    1.60〜2.00MeVに含まれる請求項1に記載の
    ラドン・エマネーションの測定方法。
  4. 【請求項4】 当該所定エネルギー帯のγ線成分が、
    2.40〜2.80MeVに含まれる請求項1に記載の
    ラドン・エマネーションの測定方法。
  5. 【請求項5】 地中内の構造及び/又は活動状況を探査
    する地中探査方法であって、 所定エネルギー範囲のγ線を測定し、 その測定結果からラドン・エマネーション及び主要なγ
    線の線量を算出及び決定し、 当該ラドン・エマネーションを分子とし、当該主要なγ
    線の線量及びその演算値の何れかを分母としてラドン・
    エマネーション化率を算出し、 当該ラドン・エマネーション及びラドン・エマネーショ
    ン化率の分布により地中内の状態を判定することを特徴
    とする地中探査方法。
  6. 【請求項6】 所定エネルギー帯のγ線成分とカリウム
    40K成分との相関関係からのずれをラドン・エマネーシ
    ョンとする請求項5に記載の地中探査方法。
  7. 【請求項7】 当該所定エネルギー帯のγ線成分が、
    0.50〜0.80MeV、1.60〜2.00MeV
    及び2.40〜2.80MeVの少なくとも1以上の帯
    域で検出されるものである請求項6に記載の地中探査方
    法。
  8. 【請求項8】 前記主要なγ線が、0.50〜0.80
    MeV、1.60〜2.00MeV及び2.40〜2.
    80MeVの少なくとも1以上の帯域で検出されるもの
    である請求項5に記載の地中探査方法。
  9. 【請求項9】 前記所定エネルギー範囲のγ線は少なく
    とも、0.50〜0.80MeV、1.60〜2.00
    MeV及び2.40〜2.80MeVの内の1以上の帯
    域で検出されるものと、1.30〜1.60MeVで検
    出されるものを含む請求項5に記載の地中探査方法。
  10. 【請求項10】 地中内の構造及び/又は活動状況を探
    査する地中探査方法であって、 ラドン・エマネーション及び主要なγ線を含むγ線量を
    測定し、 当該ラドン・エマネーションを分子とし、当該主要なγ
    線の線量及びその演算値の何れかを分母としてラドン・
    エマネーション化率を算出し、 当該ラドン・エマネーション及びラドン・エマネーショ
    ン化率の分布により地中内の状態を判定することを特徴
    とする地中探査方法。
  11. 【請求項11】 上記ラドン・エマネーションが、0.
    50〜0.80MeV、1.60〜2.00MeV及び
    2.40〜2.80MeVの少なくとも1以上の帯域で
    測定されるものである請求項10に記載の地中探査方
    法。
  12. 【請求項12】 前記主要なγ線が、0.50〜0.8
    0MeV、1.60〜2.00MeV及び2.40〜
    2.80MeVの少なくとも1以上の帯域で検出される
    ものである請求項10に記載の地中探査方法。
  13. 【請求項13】 前記所定エネルギー範囲のγ線は、
    0.50〜0.80MeV、1.60〜2.00MeV
    及び2.40〜2.80MeVの内の1以上の帯域で検
    出されるものと、1.30〜1.60MeVで検出され
    るものを含む請求項10に記載の地中探査方法。
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