JP3260817B2 - 補綴具とその製造方法 - Google Patents

補綴具とその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は、人体において、疾病、災害等に
より失われた機能を修復するための補綴具とその製造方
法に関するもので、さらに詳しくは、骨セメントによっ
て骨に固着するのに適した補綴具とその製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】変形性股関節症や慢性関節リューマチな
どの骨の疾病で手足の関節機能に障害が生じた場合、整
形外科における治療として人工関節などの補綴具で患部
を置換することが行われている。そして、このような補
綴具を骨と結合する手段として、ポリメタルクリル酸メ
チル(以下、PMMAと略称する)とメタクリル酸メチ
ル単量体との混合物あるいはPMMAとスチレンの共重
合体を含有する骨セメントが一般的に用いられている。
【0003】しかしながら、補綴具と骨セメント間の結
合は決して強固なものではなく、反復的な荷重を受けて
境界面が破断してしまったり、また特に補綴具の表面が
粗雑であったり、凹凸があるなど骨セメント内の応力が
不均一である場合は、骨セメント内に亀裂が生じ、それ
が骨セメント全体に広がって、最後には破断してしまう
という問題があった。
【0004】このような問題に対し、特公昭63-40550号
公報では、金属、セラミックス、プラスチック材料より
なり補綴具を構成する基体の少なくとも骨と当接する部
分の表面にPMMAのフィルムを形成し、基体が金属、
セラミックスなどの無機材料よりなる場合には、必要に
応じて、上記基体の表面に有機物であるPMMAと無機
物である金属やセラミックスからなる基体の両方に化学
的に結合し、両者を強固に結合する作用を有するシラン
カップリング剤層を形成し、その上に、PMMAのフイ
ルムを形成し、このPMMAのフィルムをさらにアニー
ルした後、硬化冷却して作製する補綴具についての発明
が記載されている。
【0005】この補綴具にあっては、上記のアニール処
理によって、PMMAのフィルム内の残留応力が均一に
分散され、このPMMAのフィルムと骨セメントの分子
同士が化学的に結合し、骨セメントと補綴具の接合強度
が大幅に増加するとされていた。
【0006】
【従来技術の課題】しかしながら、上記従来の補綴具で
は、基体の表面にPMMAのフィルムを形成していない
それまでの補綴具に比べて、補綴具と骨セメントの接合
強度は格段に大きなものとなったが、それでも臨床上十
分な接合強度とはいえなかった。
【0007】これは、上記のアニール処理が面倒で、実
際にPMMAのフィルム内の残留応力を均一に分散させ
ることが非常に難しかったことに加え、上記のシランカ
ップリング剤層をPMMAのフィルムと基体の間に介在
させる補綴具にあっては、シランカップリング剤層の厚
みをなるだけ薄くするような特別な工夫を施していなか
ったため、シランカップリング剤層の厚みが大きくな
り、シランカップリング剤層自体の破断強度が十分でな
かったためである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、請求項1の補綴具は、金属又はセラミックよりな
り、補綴具を構成する基体の少なくとも骨と接する部位
に、基体と直接接する単層からなるシランカップリング
剤の表面層を有し、この表面層部分の引張試験における
骨セメントとの接合強度が52.1Kgf/cm2以上
であることを特徴とする。また、請求項2の補綴具の製
造方法は、蒸留水又は純水と酢酸溶液を溶媒とし、シラ
ンカップリング剤を0.01〜10wt%含む混合液に
エタノールを添加したpH2.5〜5.5のアルコール
添加液を20〜30℃で1〜24時間攪拌してなるシラ
ンカップリング剤溶液を、金属又はセラミックよりな
り、補綴具を構成する基体の少なくとも骨セメントによ
って骨と接する部位に被着した後、風乾させてシランカ
ップリング剤の表面層を形成する工程を含むことを特徴
とする。
【0009】
【実施例】以下、本発明を図を用いて詳述する。本発明
の補綴具は、金属やセラミックスなどの無機材料よりな
り補綴具を構成する基体の少なくとも骨と接する部位に
シランカップリング剤をコートしてなる表面層を形成
し、骨セメントによってこの部位を骨と固着せしめるよ
うになっており、図1には、本発明の補綴具の実施例と
しての人工膝関節の大腿骨部材1を示し、純チタン、チ
タン合金、コバルトクロム合金など生体為害性のない金
属またはアルミナ、ジルコニアなどのセラミックスの無
機材料よりなる基体2の大腿骨遠端部Fに対面する内側
表面2aには、後述する補綴具の製造方法により、可及
的に厚みを小さくしたシランカップリング剤の表面層3
が形成してある。この大腿骨部材1をPMMAを主要成
分とする骨セメント4を用いて大腿骨遠端部Fに固着せ
しめてある。
【0010】上記表面層3を構成するシランカップリン
グ剤は有機材料と無機材料の両方に化学的に結合し、両
者を強固に結合せしめる特性を持っている。まず、有機
材料である骨セメント4とシランカップリング剤とは、
それぞれ対応する数種類の官能器を有していて、それら
によって化学的に結合する。また、シランカップリング
剤と無機材料よりなる基体2との化学結合においては、
シランカップリング剤に水を加えると珪素元素に結合し
ているメトキシ基、エトキシ基が加水分解を起こしてシ
ラノール(SiOH )が生成し、ついで、シラノール
と基体2の表面の酸化物層に吸着している水分子が反応
し、この化学結合によって上記表面層3と基体2が強固
に結合する。なお、この際、基体の表面を汚染物が存在
しない状態にまで清浄すると、基体2の表面には汚染物
の代わりにより多くの水分子が吸着する。
【0011】図2には、図1に示す前記大腿骨部材1と
大腿骨遠端部Fとの接合部を拡大して示し、基体2の内
側表面2a上に形成された上記表面層3は、上述のよう
に基体2及び骨セメント4と化学結合によって強固に結
合しているが、表面層3内のシランカップリング剤の分
子同士は化学結合をしていないので、厚みTが小さい
程、表面層3自体の破壊強度が大きい。なお、最も理想
的な状態は言うまでもなく単原子吸着状態である。この
表面層3の厚みTは、数〜数百Åであり、この厚みTを
正確に測定することはできなかったが、以下に説明する
製造方法におけるいくつかの条件を変えることによっ
て、厚みTを可及的に小さくすることができる。
【0012】次に、本発明の補綴具の製造方法について
説明する。本発明の補綴具の製造方法は、 A.基体2の調製、 B.シランカップリング剤溶液の調製、 C.表面層の形成、 という工程を含む。
【0013】これらのうち、A.の基体2の調製の方法
は、基体2が金属である場合と、セラミックである場合
は異なる。
【0014】まず、基体2が金属である場合には、少な
くとも骨と接する部分を平面研削して鏡面研磨した後、
その部分にガラスビーズブラストを行いRa=0.25
〜0.35μm 程度に粗面化処理する。そして最後に表
面を脱脂するためにトルエン中にて5分間程度、超音波
洗浄を行う。一方、セラミック材料では基体2の焼成
後、これを濃塩酸中に30分間程度浸漬して洗浄し、さ
らに余分な炭化水素を除去する目的で基体2を1100
〜1300℃で熱処理する。
【0015】次に、B.のシランカップリング剤溶液の
調製では、例えばシランカップリング剤として、N・ベ
ータ・アミノエチル・ガンマ・アミノプロピルトリメト
キシシラン、ガンマ・アミノプロピルトリエトキシシラ
ン、ビス(ベータ・ハイドロキシエチル)・ガンマ・ア
ミノプロピルトリエトキシシラン、ベータ・(3,4エ
ポキシシクロキシエチル)・エチルトリメトキシシラ
ン、ガンマ・グリシドキシトリメトキシシラン、ガンマ
・メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、スルフ
ォニルアジドシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニル
トリエトキシシラン、など市販のものを用いることがで
きる。
【0016】また、その作業は、 混合液の調製、 混合液へのアルコールの添加、 アルコール添加液の攪拌、 というステップからなる。
【0017】の混合液の調製では、上記のようなシラ
ンカップリング剤を0.01〜10wt%含むように、
蒸留水又は純水と酢酸溶液と混合して混合液とする。な
お、蒸留水と純水どちらを用いても上記表面層3自体の
破壊強度は変わらない。さらに、 上記混合液にpHが2.5〜5.5となるようにアル
コールを添加してアルコール添加液とする。
【0018】このようにアルコールを上記混合液に添加
する目的は、アルコール添加液のライフを長くするこ
と、すなわち下記の攪拌時にアルコール添加液が過度に
縮合するのを抑え、シランカップリング剤が高分子化す
ることを防止することにある。
【0019】また、アルコール添加液のpHが2.5〜
5.5であれば補綴具と骨セメント4の接合強度は非常
に大きくなる。このpHの調製は添加するアルコールと
酢酸溶液の量でコントロールする。また、添加するアル
コールとしてはエタノールを用いるのが好ましい。
【0020】次に、 上記のアルコール添加液を温度20〜30℃で1〜2
4時間の条件で攪拌し、シランカップリング剤溶液(以
下、溶液と略称する)を得る。
【0021】攪拌を行う時間が1時間未満であれば、ア
ルコール添加液が十分反応せず、また、24時間を越え
ると反応が進み過ぎてシランカップリング剤が高分子化
し上記表面層3自体の破壊強度が小さくなってしまう。
【0022】以上のようにして、シランカップリング剤
を調製して溶液を得る。
【0023】最後に、C.シランカップリング剤の表面
層の形成についてであるが、その方法としては、基体2
の少なくとも骨と接する部位を上記溶液に10秒間程度
浸漬したり、上記溶液を基体2の少なくとも骨と接する
部位に噴霧したり、あるいはハケ塗りなどをして被着せ
しめた後、風乾して上記表面層3を形成する。
【0024】以上のようにして本発明の補綴具を製造す
る。上述の方法で製造する本発明の補綴具は、基体2の
少なくとも骨と接する部位に上記表面層3を形成し、さ
らに上述の製造方法により表面層3の厚みTを可及的に
小さくしたので、表面層3自体の破壊強度が非常に大き
く、よって骨セメントとの接合強度が非常に大きく、臨
床上も十分な接合強度を有するものである。
【0025】さらに、上記の製造方法によれば、厚みを
可及的に小さくした上記表面層3を比較的容易に形成す
ることができる。
【0026】実施例1 チタン合金よりなるテストピースの下面を前述の方法で
Ra=0.25μm となるよう調製した。
【0027】また、シランカップリング剤の濃度が5.
0wt%であるように蒸留水と酢酸溶液を溶媒とする前
記混合液を調製し、これを2つに分け、一方にブタノー
ルを他方にエタノールをpH3.5になるように適量混
合して2種類のアルコール添加液を用意し、これらのア
ルコール添加液をそれぞれ25℃で1時間攪拌し前記溶
液を得た。
【0028】次に、この2種類の溶液のそれぞれに上記
テストーピースの調整した下面を10秒間浸漬し、これ
を風乾し上記表面層3を形成した。
【0029】これらのテストピースの下面と、下面が未
調整のテストピースの下面をハウメディカ社製、サージ
カルシンプレックス(登録商標)の骨セメントに有効面
積がφ15(mm)となるように接合し、インストロン
型試験器を用い、1(mm/min)の速度で単純引張
試験を行った。その結果を表1に示す。なお、各実験系
について5回同じ実験を行なったが、表に示す接合強度
はその平均値を示す。
【0030】
【表1】
【0031】表1から明らかなように、上記表面層3を
下面に形成したテストピースでは接合強度が飛躍的に大
きくなったことが判った。
【0032】さらに、添加するアルコールとしてはエタ
ノールが好ましいことも判った。
【0033】実施例2 純チタンよりなるテストピースの下面を前述の方法でR
a=0.3μm となるよう調製した。
【0034】また、蒸留水と酢酸溶液を溶媒とし、シラ
ンカップリング剤の濃度が表2に示す如くである4種類
の上記混合液を調製し、これらが表2に示す如くである
pHとなるようエタノールをそれぞれに適量混合して4
種類のアルコール添加液を用意し、これらのアルコール
添加液をそれぞれ28℃で1時間攪拌し上記溶液を得
た。
【0035】
【表2】
【0036】次に、この4種類の溶液のそれぞれに上記
テストピースの調整した下面を10秒間浸漬し、これを
風乾して上記表面層を形成した。
【0037】これらのテストピースの下面と、下面が未
調整のテストピースの下面をハウメディカ社製、サージ
カルシンプレックス(登録商標)の骨セメントに有効面
積がφ15(mm)となるように接合し、インストロン
型試験器を用い、1(mm/min)の速度で単純引張
試験を行った。その結果を表2に示す。なお、各実験系
については5回同じ実験を行なったが、表に示す接合強
度はその平均値を示す。
【0038】表2から明らかなように、上記アルコール
添加液のpHが2.5〜5.5である時にテストピース
と骨セメントとの接合強度が飛躍的に大きくなったこと
が判った。
【0039】実施例3 コバルトクロム合金よりなるテストピースの下面を前述
の方法でRa=0.35μm となるよう調製した。
【0040】また、純水と酢酸溶液を溶媒とし、シラン
カップリング剤の濃度が表3に示す如くである6種類の
上記混合液を調製し、これらが表3に示す如くであるp
Hとなるようエタノールをそれぞれに適量混合して6種
類のアルコール添加液を用意し、これらのアルコール添
加液をそれぞれ24℃で3時間攪拌し上記溶液を得た。
【0041】
【表3】
【0042】次に、この6種類の上記溶液のそれぞれに
上記テストピースの下面を10秒間浸漬し、これを風乾
して上記表面層3を形成した。
【0043】これらのテストピースの下面と、下面が未
調整のテストピースの下面をハウメディカ社製、サージ
カルシンプレックス(登録商標)の骨セメントに有効面
積がφ15(mm)となるように接合し、インストロン
型試験器を用い、1(mm/min)の速度で単純引張
試験を行った。その結果を表3に示す。なお、各実験系
については5回同じ実験を行い表に示す接合強度はその
平均値を示す。
【0044】表3から明らかなように、上記混合液のシ
ランカップリング剤の濃度が0.01〜10wt%であ
る時にテストピースと骨セメントとの接合強度が飛躍的
に大きくなったことが判った。
【0045】実施例4 チタン合金よりなるテストピースとコバルトクロム合金
よりなるテストピースの下面を前述の方法でRa=0.
3μm となるよう調製した。
【0046】さらに、前述の方法でをアルミナセラミッ
クスからなるテストピースとジルコニアセラミックスか
らなるテストピースの下面をRa=0.7μm に調製し
た。
【0047】また、純水と酢酸溶液を溶媒とし、シラン
カップリング剤の濃度が5wt%である上記混合液を調
製し、これらにpH=3.9となるようエタノールを適
量混合してアルコール添加液を用意し、このアルコール
添加液を25℃で3時間攪拌し上記溶液を得た。
【0048】次に、チタン合金、コバルトクロム合金、
アルミナセラミックス、ジルコニアセラミックスのそれ
ぞれよりなる上記テストピースの下面にこの溶液をはけ
を用いて塗布し、これを風乾して上記表面層3を形成し
た。
【0049】これらのテストピースの下面と、下面が未
調整であるチタン合金、コバルトクロム、アルミナセラ
ミックス、ジルコニアセラミックスのそれぞれよりなる
テストピースの下面をハウメディカ社製、サージカルシ
ンプレックス(登録商標)の骨セメントに有効面積がφ
15(mm)となるように接合し、インストロン型試験
器を用い、1(mm/min)の速度で単純引張試験を
行った。その結果を表4に示す。なお、各実験系につい
ては5回同じ実験を行なったが、表に示す接合強度はそ
の平均値を示す。
【0050】
【表4】
【0051】表4から明らかなように、上記表面層3を
備えたテストピースは金属からなるものであっても、あ
るいはセラミックスからなるものであっても接合強度が
飛躍的に大きくなったことが判った。
【0052】実施例5 チタン合金よりなるテストピースの下面を前述の方法で
表5に示すような表面粗度(Ra)に調製した。
【0053】
【表5】
【0054】また、純水と酢酸溶液を溶媒とし、シラン
カップリング剤の濃度が5wt%である上記混合液を調
製し、これらにpH=3.9となるようエタノールを適
量混合してアルコール添加液を用意し、このアルコール
添加液を25℃で2時間攪拌し上記溶液を得た。
【0055】次に、上記テストピースの下面にこの溶液
を噴霧し、これを風乾して上記表面層3を形成した。
【0056】これらのテストピースの下面と、下面が未
調整であるチタン合金よりなるテストピースの下面をハ
ウメディカ社製、サージカルシンプレックス(登録商
標)の骨セメントに有効面積がφ15(mm)となるよ
うに接合し、インストロン型試験器を用い、1(mm/
min)の速度で単純引張試験を行った。その結果を表
5に示す。なお、各実験系については5回同じ実験を行
なったが、表に示す接合強度はその平均値を示す。
【0057】表5から明らかなように、金属よりなる上
記テストピースは、Ra=0.25〜0.35であると
きに接合強度がより大きいこと判った。
【0058】実施例6 チタン合金よりなるテストピースの下面を前述の方法で
Ra=0.30に調製した。
【0059】また、純水と酢酸溶液を溶媒とし、シラン
カップリング剤の濃度が5wt%である上記混合液を調
製し、これらにpH=3.9となるようエタノールを適
量混合してアルコール添加液を用意し、このアルコール
添加液を25℃で1時間攪拌し上記溶液を得た。
【0060】次に、上記テストピースの下面にこの溶液
を噴霧し、これを風乾して上記表面層3を形成した。
【0061】さらに、比較例として一群のテストピース
の下面に特公昭63-40550号の発明の補綴具の製造方法に
準拠して、アニール処理を施したPMMAフィルムを形
成した。
【0062】上記表面層3のみを形成したテストピース
の下面と、表面層3の上に上記PMMAフィルムを形成
したテストピースの下面をハウメディカ社製、サージカ
ルシンプレックス(登録商標)の骨セメントに有効面積
がφ15(mm)となるように接合し、インストロン型
試験器を用い、1(mm/min)の速度で単純引張試
験を行った。その結果、表面層3のみのものは、接合強
度が150.2kgf/cm2 であり臨床上十分な接合強度を
示したが、比較例のテストピースは接合強度が72.0
kgf/cm2 であり臨床上十分な接合強度を有しているとは
言えなかった。
【0063】
【発明の効果】上述のように、請求項1の補綴具は、金
属又はセラミックよりなり、補綴具を構成する基体の少
なくとも骨と接する部位に、基体と直接接する単層から
なるシランカップリング剤の表面層を有し、この表面層
部分の引張試験における骨セメントとの接合強度が5
2.1Kgf/cm2以上であることにより、シランカ
ップリング剤の表面層が骨セメント及び金属又はセラミ
ックよりなる補綴部の両方と化学的に強固に結合し、表
面層と骨セメントとの接合強度を上げ、補綴具と骨セメ
ントとの接合強度を飛躍的に増大させることが可能であ
る。よって、臨床上も十分な接合強度を有するものであ
る。他方、請求項2の補綴具の製造方法は、蒸留水又は
純水と酢酸溶液を溶媒とし、シランカップリング剤を
0.01〜10wt%含む混合液にエタノールを添加し
たpH2.5〜5.5のアルコール添加液を20〜30
℃で1〜24時間攪拌してなるシランカップリング剤溶
液を、金属又はセラミックよりなり、補綴具を構成する
基体の少なくとも骨セメントによって骨と接合する部位
に被着した後、風乾させてシランカップリング剤の表面
層を形成する工程を含むものであるので、表面層の厚み
を可及的に小さくし、しかもシランカップリング剤が高
分子化することを抑制して、補綴具と骨セメントとの接
合強度を上げることができ、しかも、簡便な製造方法で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例としての人工膝関節の大腿骨部
材を示す断面図である。
【図2】図1の大腿骨部材の表面部分と骨セメントを用
いて結合した大腿骨とを示す拡大断面図である。
【符号の説明】
1 大腿骨部材 2 基体 2a 内側表面 3 表面層 4 骨セメント F 大腿骨遠端部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−284606(JP,A) 特開 昭59−103660(JP,A) 特開 昭63−278582(JP,A) 特表 平5−501130(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61L 27/00 A61C 8/00 A61F 2/28

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属又はセラミックよりなり、補綴具を構
    成する基体の少なくとも骨と接する部位に、基体と直接
    接する単層からなるシランカップリング剤表面層を有
    し、この表面層部分の引張試験における骨セメントとの
    接合強度が52.1Kgf/cm 2 以上であることを特
    徴とする補綴具。
  2. 【請求項2】蒸留水又は純水と酢酸溶液を溶媒とし、シ
    ランカップリング剤を0.01〜10wt%含む混合液
    エタノールを添加したpH2.5〜5.5のアルコー
    ル添加液を20〜30℃で1〜24時間攪拌してなるシ
    ランカップリング剤溶液を、金属又はセラミックよりな
    り、補綴具を構成する基体の少なくとも骨セメントによ
    って骨と接する部位に被着した後、風乾させてシラン
    カップリング剤の表面層を形成する工程を含む補綴具の
    製造方法。
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