JP3245832U - ポリプロピレン弾性編地および同編地を含む衣類 - Google Patents
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Abstract
【課題】弾性、通気性、保温性に優れ、地糸ループとテリーループが緊密に織り込まれ、毛繊維の脱落を効果的に防止することができる、ポリプロピレン弾性編地、および同編地を含む衣類を提供する。【解決手段】ポリプロピレン弾性編地は、地糸ループ1とテリーループ2とを含む。地糸ループ1は、弾性ポリエステル糸により平編み構造に編まれるか、または弾性ポリエステル糸とポリプロピレン糸とにより平編み構造に編まれたものである。テリーループ2は、ポリプロピレンによりテリー構造に編まれたものである。このようなポリプロピレン弾性編地は、弾性ポリエステル糸とポリプロピレン糸とを採用し、平編み構造には弾性ポリエステル糸が含まれ、ポリプロピレン糸がテリー構造に編まれているため、良好な弾性、抗菌性、導湿性、速乾性の機能を有し、また毛繊維の脱落問題を解決したものである。【選択図】図1
Description
本考案はポリプロピレン弾性編地および同編地を含む衣類に関し、同編地は特にテキスタイルおよび衣類の技術分野に属するポリプロピレン弾性編地に関する。
近年、人々の衣類に対する要求は、単なる保温だけでは満足できなくなってきている。消費者は、軽くて薄いこと、美しいこと、抗菌防臭機能や吸汗速乾機能などの保温以外の機能を有することも求めている。このため、衣類の生地開発には新たな課題が突きつけられている。
従来技術では、衣服の厚みを厚くすることで保温性を高めるのが一般的である。しかし、この方法では着用時に人体が膨張して見えるため、美観に影響を与え、軽さや美しさの要求に反してしまう。あるいはウールなどの保温素材を原料とする方法もあるが、この方法は、高価であるとともに、加工技術が未熟なために、かゆみを引き起こしやすい場合がある。これに対し、ポリプロピレンは、密度が低く、保温性がよく、吸湿性がなく、導湿性に優れている素材である。しかしポリプロピレンは、高温に弱く、染色が難しいなどの欠点があるため、用途が限られている。
特許文献1は、内側保温繊維層を含むポリプロピレン繊維編地を開示する。このポリプロピレン繊維編地は、内側保温繊維層の上にソロナ(登録商標)ポリマー繊維層が織り込まれ、ソロナポリマー繊維層の上に二重ループ構造のポリプロピレン繊維層が織り込まれ、ポリプロピレン繊維層の上にポリエステル繊維層が織り込まれ、ポリエステル繊維層の上に外側の耐摩耗性繊維層が織り込まれたものである。その結果、特許文献1のポリプロピレン繊維編地は、その保温効果に優れている。しかし、生地が厚く、弾性が低く、毛繊維が脱落しやすい。
以上から見ると、軽量で薄く、しかも弾性や通気性に優れているニット生地を提供することは、テキスタイルおよび衣類の技術分野にとって非常に重要である。
本考案は、弾性、通気性、保温性に優れ、地糸ループとテリーループが緊密に織り込まれ、毛繊維の脱落を効果的に防止することができる、ポリプロピレン弾性編地および同編地を含む衣類を得ることを目的とする。
上記の目的を達成するために、本考案は、次の技術的手段を採用する。
本考案の第1態様は、ポリプロピレン弾性編地である。このポリプロピレン弾性編地は地糸ループおよびテリーループを含む。地糸ループは、弾性ポリエステル糸により平編み構造に編まれるか、または弾性ポリエステル糸とポリプロピレン糸とにより平編み構造に編まれる。テリーループは、ポリプロピレンによりテリー構造に編まれる。
本考案のポリプロピレン弾性編地は、弾性ポリエステル糸とポリプロピレン糸とを採用しており、弾性ポリエステル糸は平編み構造に含まれ、ポリプロピレン糸は主としてテリー構造に編まれる。
弾性ポリエステル糸とは、特殊な紡糸プロセスまたはポリエステルの分子構造を改良して得られた、所定の弾性を持ったポリエステル糸を指す。例えば、ポリエステルの分子を何らかの方法で螺旋構造にし、バネのような分子構造配置にして良好な弾性を持たせる。または、2つの成分を組み合わせることで、ポリエステル分子の同じ断面に2つの異なる成分を持たせ、ある程度の弾性を与える。または、ポリエステルフィラメントの糸を紡績した後、ポリエステルフィラメントの糸にある程度捲縮を持たせることで、ポリエステル糸にある程度の弾性を持たせる。弾性ポリエステル糸は、本考案のポリプロピレン弾性編地に優れた弾性を与えるだけでなく、ポリプロピレン糸によるテリー構造とより緊密に編み交ぜて、毛繊維の脱落問題を解決することができる。
ポリプロピレン糸は、低密度、軽量、低熱伝導率、保温性、一方向導湿性などの特性を持つ。ポリプロピレン糸は、肌に接触すると、汗をポリプロピレンの弾性編地の表面に排出し、肌をベタつかせずにドライに保つ。このため、本考案のポリプロピレン弾性編地を含む衣類の着用時の体の快適さを向上させることができる。
好ましくは、ポリプロピレン糸は、ポリプロピレン原着糸である。ポリプロピレン原着糸は、カラーマスターバッチをポリプロピレン紡糸溶液に加えて紡糸することで、得ることができる。ポリプロピレン原着糸は、ポリプロピレン弾性編地に特定の色彩パターン効果を持たせることができる。ポリプロピレン原着糸は、製造時の染色工程を省くことができる。このため、節水することができるとともに、環境に優しい。
好ましくは、テリーループは、地糸ループの一部または全部を覆う。
好ましくは、ポリプロピレン弾性編地は、完全な地糸とテリー糸とが編み込まれた構造、または非完全な地糸とテリー糸とが編み込まれた構造である。
テリーループが地糸ループを完全に覆っている場合、ポリプロピレン弾性編地の表面はテリーループの効果を有する。テリーループが地糸ループを部分的にすなわち非完全に覆っている場合、ポリプロピレン弾性編地の表面は、地糸ループの効果とテリーループの効果とを同時に有し、しかもポリプロピレン弾性編地の表面に特定のストライプまたはパターン効果を形成できる。
ポリプロピレン弾性編地の肌に優しい表面に形成されるテリーループの構造は、特に限定されず、設計に応じて対応するループに対して、編み機におけるシンカーアークを長くしてテリー構造を形成することができる。好ましくは、パターンの要件に従って、長くされたシンカーアークをいくつかのループに形成し、それにより、テリー構造が特定の形状を形成し、非完全な地糸とテリー糸とが編み込まれた構造を形成する。これは、ポリプロピレン弾性編地の通気性と快適性に利く。
好ましくは、テリー構造は、四角形、円形、半円形、楕円形のうちのいずれか1種に形成される。
好ましくは、テリー構造は正方形である。
好ましくは、テリー構造は、起毛処理による起毛構造が形成されている。
好ましくは、起毛構造は、シャーリングやサンディングを含む起毛処理により形成されたものである。
好ましくは、起毛構造の高さは1~3mmである。起毛構造の高さは、例えば1mm、1.5mm、2mm、2.5mm、または3mmである。しかし、これらに限定されるものではない。
テリー構造は、シャーリングやサンディングなどの工程を経て得られる起毛構造が形成されている場合は、この起毛構造がより多くの静止空気を蓄えることができるため、生地に軽量性、保温性、風合い、一方向導湿性、吸汗速乾性などの特性を持たせる。
本考案の第2態様は、上記の第1態様で説明したポリプロピレン弾性編地を含む衣類である。
従来の技術と比べると、本考案は、以下の有益な効果を有する。
(1)本考案のポリプロピレン弾性編地は、弾性ポリエステルとポリプロピレンを採用し、平編み構造には弾性ポリエステルが含まれ、しかもポリプロピレンをテリー構造に編み込むことにより、良好な弾性、抗菌性、導湿性、速乾性などの機能を付与することができる。また、毛繊維の脱落問題を解決可能である。
(2)ポリプロピレン原着糸を採用した場合は、本考案のポリプロピレン弾性編地は特定のパターン効果を持ったものとなる。しかも、原着糸であることで、染色工程を省くことができる。染色工程を省くことで、節水できるとともに、環境に優しいものとなる。
(3)本考案のポリプロピレン弾性編地は、テリー構造において、シャーリングやサンディングなどの起毛処理を経て起毛構造を形成できるため、生地に軽量性、保温性、風合い、一方向導湿性、吸汗速乾性などの特性を持たせることができる。
本考案の技術的手段およびその効果をさらに説明するために、添付の図面を参照して本考案の実施例を以下に説明する。以下で説明される具体的な実施例は、本考案を限定するものではなく、本考案を説明するためにのみ使用されるものである。
以下の実施例の記載において、具体的な技術または条件が示されていない場合は、本考案の技術分野の文献に記載されている技術または条件、または公知の製品仕様書に従って実施されるものとする。使用した試薬や器具について、メーカーなどの表示がない場合は、これらの試薬や器具は、いずれも公知のルートで市販されている従来品である。
[実施例1]
図1に示すポリプロピレン弾性編地である。このポリプロピレン弾性編地は、地糸ループ1とテリーループ2とを含む。地糸ループ1は弾性ポリエステル糸によって編まれており、テリーループ2はポリプロピレン糸によって編まれている。テリーループ2は地糸ループ1を完全に覆い、ポリプロピレン弾性編地の表面はテリーループ効果を有する。テリーループ2は、編成用の各針に細長いシンカーアークを形成してテリー構造を形成したものである。生地における肌に優しい表面に、地糸とテリー糸との起毛構造がある。起毛構造は、高さが1.5mmである。
図1に示すポリプロピレン弾性編地である。このポリプロピレン弾性編地は、地糸ループ1とテリーループ2とを含む。地糸ループ1は弾性ポリエステル糸によって編まれており、テリーループ2はポリプロピレン糸によって編まれている。テリーループ2は地糸ループ1を完全に覆い、ポリプロピレン弾性編地の表面はテリーループ効果を有する。テリーループ2は、編成用の各針に細長いシンカーアークを形成してテリー構造を形成したものである。生地における肌に優しい表面に、地糸とテリー糸との起毛構造がある。起毛構造は、高さが1.5mmである。
[実施例2]
図2および図3に示すポリプロピレン弾性編地である。このポリプロピレン弾性編地は、図2に示すように、非完全な地糸ループ1と、テリーループ2とを含む。テリーループ2は、地糸ループ1を部分的に覆う。地糸ループ1は弾性ポリエステル糸とポリプロピレン糸とによって編まれており、テリーループ2はポリプロピレン糸によって編まれている。図3に示すように、ポリプロピレン弾性編地における、肌に優しい表面のテリーループで覆われていない部分が、平編み組織4である。ポリプロピレン弾性編地における、肌に優しい表面で、テリーループ2のシンカーアークが長くされることでテリー組織3が形成されている。テリー組織3は正方形の起毛構造を形成する。起毛構造は、高さが2.0mmである。
図2および図3に示すポリプロピレン弾性編地である。このポリプロピレン弾性編地は、図2に示すように、非完全な地糸ループ1と、テリーループ2とを含む。テリーループ2は、地糸ループ1を部分的に覆う。地糸ループ1は弾性ポリエステル糸とポリプロピレン糸とによって編まれており、テリーループ2はポリプロピレン糸によって編まれている。図3に示すように、ポリプロピレン弾性編地における、肌に優しい表面のテリーループで覆われていない部分が、平編み組織4である。ポリプロピレン弾性編地における、肌に優しい表面で、テリーループ2のシンカーアークが長くされることでテリー組織3が形成されている。テリー組織3は正方形の起毛構造を形成する。起毛構造は、高さが2.0mmである。
[実施例3]
実施例3のポリプロピレン弾性編地は、実施例1のポリプロピレン弾性編地と比較して、起毛構造の高さが1.0mmである点のみが異なり、その他の点は実施例1のポリプロピレン弾性編地と同様である。
実施例3のポリプロピレン弾性編地は、実施例1のポリプロピレン弾性編地と比較して、起毛構造の高さが1.0mmである点のみが異なり、その他の点は実施例1のポリプロピレン弾性編地と同様である。
[実施例4]
実施例4のポリプロピレン弾性編地は、実施例1のポリプロピレン弾性編地と比較して、起毛構造の高さが3.0mmである点のみが異なり、その他の点は実施例1のポリプロピレン弾性編地と同様である。
実施例4のポリプロピレン弾性編地は、実施例1のポリプロピレン弾性編地と比較して、起毛構造の高さが3.0mmである点のみが異なり、その他の点は実施例1のポリプロピレン弾性編地と同様である。
[実施例5]
実施例1のポリプロピレン弾性編地を含む衣類である。この衣類は、実施例1のポリプロピレン弾性編地を用いて、デザイン、パターン作成、裁断、縫製の各工程を経て加工されたものである。この衣類のスタイルとしては、長袖Tシャツ、ジッパージャケット、パジャマ、部屋着などがある。
実施例1のポリプロピレン弾性編地を含む衣類である。この衣類は、実施例1のポリプロピレン弾性編地を用いて、デザイン、パターン作成、裁断、縫製の各工程を経て加工されたものである。この衣類のスタイルとしては、長袖Tシャツ、ジッパージャケット、パジャマ、部屋着などがある。
[実施例6]
実施例2のポリプロピレン弾性編地を含む衣料である。この衣類は、実施例2のポリプロピレン弾性編地を用いて、デザイン、パターン作成、裁断、縫製の各工程を経て加工されたものである。この衣類のスタイルとしては、長袖Tシャツ、ジッパージャケット、パジャマ、部屋着などがある。
実施例2のポリプロピレン弾性編地を含む衣料である。この衣類は、実施例2のポリプロピレン弾性編地を用いて、デザイン、パターン作成、裁断、縫製の各工程を経て加工されたものである。この衣類のスタイルとしては、長袖Tシャツ、ジッパージャケット、パジャマ、部屋着などがある。
本考案のポリプロピレン弾性編地は、弾性ポリエステルとポリプロピレン原着糸とによって構成され、平編み構造には弾性ポリエステルが含まれ、ポリプロピレン原着糸がテリー構造に編み込まれたものである。このため、ポリプロピレン弾性編地は、良好な弾性、抗菌性、導湿性、速乾性を有する。しかも毛繊維の脱落問題も解決することができる。そして、適応範囲が広いため、衣料品の製造分野で幅広い発展の可能性が期待できる。
上記の実施例を通じて本考案の詳細が説明された。しかし、本考案は上記の実施例には限定されない。すなわち、本考案は、上記の詳細な記載に依存したものでなければならないものではない。当業者は、本考案についてのあらゆる改良、本考案製品における各原材料の等価交換、補的な構成要素の追加、具体的な方法の選択などは、すべて本明細書の開示範囲内および本考案の保護範囲内にあることを理解すべきである。
Claims (9)
- ポリプロピレン弾性編地であって、
地糸ループ(1)とテリーループ(2)とを含み、
前記地糸ループ(1)は、弾性ポリエステル糸により平編み構造(4)に編まれたものであるか、または弾性ポリエステル糸とポリプロピレン糸とにより平編み構造(4)に編まれたものであり、
前記テリーループ(2)は、ポリプロピレン糸によりテリー構造(3)に編まれたものである、ことを特徴とするポリプロピレン弾性編地。 - ポリプロピレン糸は、ポリプロピレン原着糸である、ことを特徴とする請求項1記載のポリプロピレン弾性編地。
- テリーループ(2)は、地糸ループ(1)の一部または全部を覆っている、ことを特徴とする請求項1記載のポリプロピレン弾性編地。
- 完全な地糸とテリー糸とが編み込まれた構造、または非完全な地糸とテリー糸とが編み込まれた構造である、ことを特徴とする請求項1記載のポリプロピレン弾性編地。
- テリー構造(3)は、四角形、円形、半円形、楕円形のうちのいずれか1種である、ことを特徴とする請求項1記載のポリプロピレン弾性編地。
- テリー構造(3)は正方形である、ことを特徴とする請求項5記載のポリプロピレン弾性編地。
- テリー構造(3)は、起毛処理による起毛構造が形成されている、ことを特徴とする請求項1記載のポリプロピレン弾性編地。
- 起毛構造の高さは1~3mmである、ことを特徴とする請求項7記載のポリプロピレン弾性編地。
- 請求項1から8までのいずれか1項に記載のポリプロピレン弾性編地を含む、ことを特徴とする衣類。
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JP2023004641U JP3245832U (ja) | 2023-12-26 | 2023-12-26 | ポリプロピレン弾性編地および同編地を含む衣類 |
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2023
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