JP3242005U - 車両等寸法測定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両検査、車両検問、事故検証における車両等寸法の測定を短時間で効率よく行うことができる簡便な車両等寸法測定装置を提供する。【解決手段】車両等測定装置10は、複眼カメラおよび画像処理機能を備えた撮像装置11と、測定結果を表示するモニタ12aまたは印字するプリンタ12bのいずれか一方もしくは双方からなるアウトプット装置12とから構成される。複眼カメラで撮影された複数の画像を重ね合わせて得られるずれ量(視差)から距離を把握し、当該距離によって一意的に定まるピクセル当りの長さから所望2点間の距離を求める。モニタ12aとしてパーソナルコンピュータを使用、過去データ等を記憶しておいて測定結果と共にこれらのデータを参考表示させてもよい。さらに重量測定装置100からの測定結果を入力し、この測定結果を併せて表示、印字するようにしてもよい。【選択図】図1

Description

本考案は、道路保全や交通安全の観点から道路交通関連諸法規に定める寸法上の要求を車両が満たしているかどうかを検査、検問する際に、あるいは交通事故の現場検証をする際に使用される車両寸法等測定装置に関する。
車両が満たすべき寸法上の要求条件に関しては、道路法、道路交通法、道路運送車両法、その他の関連法規によって各種の制限が設けられている。その内で現行の道路交通法施行令第22条第3項には、車両の積載物の長さ、幅又は高さの限度について以下のように定めている。
・長さ:自動車の長さにその長さの10分の1の長さを加えたもの
・幅 :自動車の幅
・高さ:3.8m(指定道路は3.8m以上4.1mを超えない範囲内で公安委員会が定める高さ)
これは一例であって、その他にも道路の状況、車両の仕様や使用目的等に応じて各種の制約が設けられており、道路を走行する車両はこれらの諸条件を満足していなければならない。
道路保全、あるいは違反車両による事故発生防止を目的として、車両が法規に定める条件を満たしているかを検証するための車両検査が定期的に行われ、また道路管理者は定期、不定期に道路走行車両が定められた要求を満たしているかの検問を実施している。このような車両の各諸元が規則に照らして叶うものであるかの検証において、伝統的に使用されてきたのがメジャーによる測定であった。しかしながらメジャーを使用する測定では手間を要し、そのための人手と時間が必要とされた。加えて車両を検問するためには走行車両を停止させる必要があり、当該停止車両が道路の一部を占拠することが避けらないことによって検問時には何らかの形での交通障害を起こす原因となり得た。
このような問題を解消する意味で、できるだけ短時間で検査、検問作業を行うことが望まれており、従来技術においても各種の改善策が提案されてきた。その一例としてテレビカメラを使用する方法がある(例えば、特許文献1参照。)。この方法では、まずテレビカメラから車両までの距離に関係する歪曲収差を予め補正して1画素間隔当たりの長さが求め、次に同一仕様の複数台のテレビカメラで車両を撮影して全画素数を求めると共に、前記補正した1画素間隔当たりの長さから車両の長さを求め、さらにこの値から複数台のテレビカメラにより撮影された重なり合った画像部分の画素数に対する長さを差し引くことにより車両の長さを求めている。
他の車両寸法測定方法の例として、レーザー光を利用する手段が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。当該手段によれば、車両が進入する一方の側に車両の高さ方向に所定間隔離して複数のレーザー光の発光部を配置するとともに、他方の側に前記発光部からの光を受光する受光部が配置される。車両によって前記受光部への入射光が遮光される状態を前記受光部によって検出し、車両の寸法を計測するよう構成されている。車両の最大高さ部によって遮光されて不受光となる前記受光部を検出して車両高さを計測するとともに、前記受光部が、車両の先端部で遮光されて不受光となった時間、前記遮光後に遮光が解除されて再度受光した時間のそれぞれもしくはそれらの組み合わせに係る先の信号と後の信号との時間差を測定して車両長さ方向の寸法を計測している。
特開平6-288719号公報 特開2012-7950号公報 実用新案登録第3193677号公報
しかしながらこれら従来技術で知られた方法には未だ改善の余地があった。まず特許文献1に示す手段によれば、光学的レンズを用いて3次元的な形状をもった車両を2次元画像に投影しているので、上述したようにレンズの収差による歪みが生じ、寸法計算時に歪み分を補正する手間が必要となった。また、精度よく寸法測定するためには、高い解像度で画像を撮像する必要があり、そのために複数台設置された各々のカメラで得られた画像を貼り合わせられるようカメラ間の相対位置関係の調整が難しい等の問題があり、測定した車両寸法に十分な精度を得ることは必ずしも容易ではなかった。
また特許文献2に示す手段では、照射されたレーザー光を受光、不受光となる間の時間を計測の基礎とするため、車両、測定装置のいずれか一方もしくは双方を一定速度で相対移動させる手間を要する。また、こちらも複数の発光部とこれに対応する受光部を車両高さがクリアできるよう配置する必要があり、その配置の調整と精度維持は必ずしも容易でなかった。
さらに加えて、特許文献1、2に開示されたいずれの技術においても複数の基材を固定するためにガントリ等を設けるなど測定装置が大掛かりとなってこれによるコスト増は避けられず、しかも固定式となるため(カメラ自身が移動できてもこれを移動可能に支持する装置本体は固定される)測定位置が一定場所に限定されるという不利益があった。従来のメジャーによる測定に比べれば時間的に改善とはなるものの、いずれも未だ必要な補正、画像処理、アウトプットにそれなりの時間を要する、という問題もあった。
また以上とは別に、交通事故時の現場検証においては事故車の状況、事故車同士の相対位置関係、目印となる基準(例えば歩道、信号機)からの距離などの確認には、こちらも未だメジャーが使用されているのが現状であり、これを短時間で簡単に測定可能とする装置が望まれていた。特に交通事故の場合には少なくとも片側道路を全面的にストップして検証作業が行われることも多く、交通障害の緩和から短時間での作業完了要請は緊急の課題でもあった。
以上より、本考案は従来技術にあるこれらの課題を解消し、安価、簡便で移動も容易であり、測定結果のアウトプットもほぼ瞬時に得ることができる新たな車両寸法等測定装置を提供することを目的としている。
本考案では、対象車両あるいは対象物である被写体を複眼カメラで撮影し、得られた複数画像をデータ処理して瞬時に必要な寸法・距離測定値を表示もしくはプリントアウト可能に構成された測定装置を利用することにより上記課題を解消するもので、具体的には以下の内容を含む。
すなわち、本考案に係る1つの態様は、車両検査、交通検問、あるいは交通事故現場検証において、車両や事故に関連した必要な各種寸法・距離を測定するために使用される車両等寸法測定装置に関する。当該車両等寸法測定装置は、複数のカメラが所定距離離間して配置された複眼カメラ、および該複眼カメラで得られた複数の画像を処理して所望の寸法・距離を算出する画像処理機能を備えた撮像装置と、当該撮像装置から出力される寸法・距離測定結果を有線もしくは無線により受信して画像表示するモニタ、印字するプリンタのいずれか一方もしくは双方からなるアウトプット装置とから構成されていることを特徴としている。
前記車両等測定装置は、被写体が所定の撮像位置に至ったことを検知するセンサをさらに備えることができ、当該センサの信号に基づいて撮像装置が撮像、画像処理を行うよう構成することができる。また、前記モニタは、パーソナルコンピュータとしてもよい。
前記アウトプット装置は、別個に配置された車両重量測定装置から得られる重量測定データを有線もしくは無線により受信し、前記寸法・距離測定結果に加えて当該重量測定結果をも同時にモニタに画像表示し、もしくはプリンタにより印字するよう構成されてもよい。
道路走行中の違反車両を摘発するため、当該車両等寸法測定装置を、道路の上流側に配置されて走行車両を撮影する前記撮像装置と、当該撮像装置から所定距離離れて道路の下流側に設けられた検問ステーションに配置された前記アウトプット装置とから構成することができる。
本考案に係る車両等寸法測定装置の実施により、車両検査、車両検問、交通事故検証に要する時間が大幅に短縮され、人員・工数が削減されると共に、処理が迅速に行われることによりこれら検査、検問、検証によって生じ得る交通障害を最小限に留めることができるなどの諸効果を奏する。
本考案の実施の形態にかかる車両等寸法測定装置の全体概要を示す説明図である。 図1に示す車両等寸法測定装置に含まれる複眼カメラにより撮影された各画像(a)と、該画像のエッジ検出を行うことによって得られた各線画像(b)である。 図2に示す一対の線画像を重ねてずれ量(視差)を把握する状況を示す説明図である。 図1に示す車両等寸法測定装置に含まれる複眼カメラにより撮影された画像から得られた一対の線画像を重ねて距離情報を得るためのずれ量を把握する状況を示す説明図である。 従来技術に係る車両重量測定装置の一例を示す平面図である。
図1は、本考案の第1の実施の形態に係る車両等寸法測定装置10(以下、単に「測定装置10」ともいう。)の全体概要を示している。本実施の形態に係る測定装置10は、被写体を撮影して画像処理を行う撮像装置11と、撮像装置11から得られた結果をモニタ12aに表示し、あるいはプリンタ12bで印字するなどのアウトプット装置12とから構成されている。なお、本明細書において使用される「車両等寸法」とは、車両の長さ、幅、高さ等の各寸法に限定されず、車両が絡む交通事故の現場検証において事故状況を把握するために必要な車両や他の指標との間の距離情報をも含むものとする。さらに本明細書にいう測定対象となる「車両」には、商用車に限定されず、乗用車、トレーラ、クレーン車、自動車搬送車両などの特殊車両、バイク、さらには鉄道車両をも含むものとする。
撮像装置11は、複眼カメラ(ステレオカメラとも呼ばれる。)と、該複眼カメラで撮影された画像の処理を行う画像処理機能とを内蔵している。図1に示す撮像装置11では、複眼カメラとしてその典型例である二眼カメラが使用されている。二眼カメラは、各カメラのレンズが所定距離離間して配置された2基のカメラを一体化したもので、同一の被写体を2基同時に撮影するカメラをいう。ここでいう「所定距離」は、測定すべき被写体の大きさや要求される測定精度によっても異なるが、一般的に50mmから200mm程度とされる。同一被写体を同時に撮像した2画像であっても、離間した位置で撮像されることによって両画像間には僅かなずれ(視差)が生ずる。撮像装置11は、このように複眼カメラより得られる複数画像に存在する判別可能な同型図形又は模様を識別し、画像内のそれらのずれ量を基にカメラから被写体への距離を算出する画像処理を行うことにより、被写体の二点間の距離を求めるよう構成されている。
本実施の形態に係る撮像装置11の最大の特徴は、従来技術にある各種の車両等寸法測定装置と比較して格段に小さい、通常のカメラと差がないほどの大きさでしかなく、これにより携帯可能で手に持って容易に撮影可能となるなどの利便性が高いことにある。ただし三脚を利用して撮像装置11を固定して撮影することも勿論可能である。
上述した画像処理の手順の一例としては、まず複眼カメラから得られた複数の画像からエッジ検出を行って線画像を得る。「エッジ検出」とは、画像の明るさが鋭敏に、すなわち不連続に変化している箇所を検出することをいい、被写体の輪郭や特徴を抽出したり、画像のセグメンテーション(領域分割)等の画像解析を行ったりする画像処理技術の1つである。図2は複眼カメラとして二眼カメラを使用したときの概要を示すもので、図2(a)は二眼カメラの各カメラによって得られた車両の画像を並べて表示したもの、図2(b)はこの画像をエッジ検出することによって得られた2つの線画像を示している。
つぎに、エッジ検出により得られた両線画像を、画像フレームの左端(または右端)を基準線として重ね合わせる。相互に離間した2基のカメラで撮影されたことから両線画像を重ねてもピッタリ一致することはなく、前端、後端のいずれか一方または双方でずれが生ずる。図3はこの様子を示したもので、同図において、車両の後端側でずれ幅w1、前端側でずれ幅w2がそれぞれ生じた状態を示している。この両ずれ幅w1とw2に基づいて画像処理することにより、ずれ量wが得られる。最も簡易なこの処理方法は、両ずれ幅の平均を利用することである。
カメラから被写体までの距離zと、二眼カメラ間の離間距離dと、カメラの焦点距離fとの間に成り立つ相関関係式:z =f(w,d)とによって、ずれ量wの大きさが定まれば二眼カメラと被写体の間の距離zが把握される。その距離zにおける画像の一ピクセル当りの長さdpはカメラ固有の特性によって一意的に定まるので(遠距離になるほどdpは大きくなる)、車両長さ間にあるピクセルの数Kを求めれば車両長さLはL=K×dpにより算出可能となる。このような画像処理方法はステレオマッチングと呼ばれる。
図2では被写体となる車両の側面に正対させてデータを収集しているが、車両等の幅方向のデータを併せて収集するためには車両を斜めから撮像するものとなる。図4は二眼カメラでトラックの背後を斜めから撮像し、エッジ検出して得られた2つの線画像を画像フレームの一端を基準線として重ね合わせた状態を示している。トラック荷台の前端側(図の右側)でのずれ量w1、後端側(図の左側)でのずれ量w2、画像上で一番手前側に位置する荷台のコーナ部でのずれ量w3に基づいてカメラから荷台各3点までのそれぞれの距離が把握できる。この距離が把握できれば、例えば荷台の長さLは画像上で計測されたw1位置からw3位置までのピクセル数Kに、画像の一ピクセル当りの長さdpを掛けてL=K×dpにて算出される。ただし、dpの値はカメラからの距離によって変化するため、w1におけるdpの値(dp1)とw3におけるdpの値(dp3)の値の平均値:(dp1+dp3)/2をもって代用する。距離測定の対象となる2つのポイント(荷台の前端及び後端のコーナ)は、撮像装置11のモニタ画面上で指をタッチすることによって指定することができる。
荷台の幅Wも同様手順にてw2とw3の位置関係から測定され、荷台の高さHはw3に対応した距離におけるピクセル数とdpから算出される(実際には当該荷台コーナ部の上端と下端のそれぞれの距離におけるdpから演算。)。かかる測定によれば複眼カメラの撮像から画像処理機能を用いて秒単位で瞬時に行うことができ、特許文献1、2に示したような従来技術における分単位を要するテレビカメラやレーザー光を用いた測定方法と比較すれば格段の時間短縮につながる。本実施の形態に示すこのような二眼カメラと画像処理機能を内蔵した撮像装置11として、例えば2基のカメラ間の離間距離を158mmとしたLeica(登録商標)BLK3Dがある。
なお、図2、3では二眼カメラで撮像した画像をエッジ検出により線画像とし、両線画像の間のずれ量を把握する前処理の例を示しているが、エッジ検出することによって両線画像間での同型の部分を識別し易くなる点で好ましくはあるが、必ずしもこのような処理を必要とするものではない。その他の処理を行うことによって、例えば撮影された画像を直接比較して同様にずれ量を把握することも可能であり、要は複眼カメラを用いて撮影された複数画像内で同じ形状あるいは模様を識別することができ、それらの基準値からのずれ量が求められるものであればよい。
以上は、本考案の実施の形態にかかる測定装置10を車両検査、車両検問において使用する際を例にして説明してきたが、交通事故の現場検証における使用態様もこれらと基本的に同一である。相違する点は測定対象が車両に限定されず、例えば衝突した車両と相手側の車両もしくは障害物との間の距離、ブレーキ痕の長さ、負傷者がいた場合にはその負傷者と加害車両との位置関係等、交通事故に起因する現場検証に必要な測定すべき対象となる長さ、距離が判明できる撮像画像を得ることが挙げられる。測定装置の仕様や形態に関しては、上述した車両を対象とする場合と同様である。
図1に戻って、同図にはアウトプット装置12としてモニタ12aとプリンタ12bを示している。使用目的に応じ、アウトプット装置としてはこのいずれか一方のみとすることでもよい。検問の際には出力結果を違反者に早期に提示して確認させることが望ましい。ここでは撮像装置11とアウトプット装置12とが有線もしくは無線で結ばれ、撮像装置11によって瞬時に得られた測定結果がすぐにモニタ12aに表示され、またプリンタ12aによってプリントアウトされて違反結果には違反者による必要な確認や結果の同意サインを入手することができる。プリントアウトされた結果は、車両検査の場合には検査結果の記録として、事故処理の場合は検証結果の記録として保存可能となる。特に検問等の場合には、測定した結果が違反するものでないことが確認されれば、アウトプット装置12に送信するまでもなく、撮像装置11の画像の段階で処理を完結させ、検問時間を短縮することができる。
モニタ12aは、パーソナルコンピュータとすることができる。パーソナルコンピュータとした場合には、過去の各種結果データや法規制内容等の参照データを多く記憶させておくことができ、例えば検問では再犯者の摘出、車両検査では測定値のバラツキ傾向の把握、事故の現場検証では過去事例との比較検証など、幅広い解析を同時併行で行うことができて便利である。また、モニタ12aを大型画面とし、検問を受ける車のドライバが室内から測定結果を確認できるようにアレンジすることも可能である。
以上説明した測定装置10のその他の応用例として、撮像装置11に距離センサを設け、測定対象車両が所定位置に来たことを距離センサが把握してその信号に基づいて撮像装置11を動作させるよう構成することができる。特に車両検査の場合や走行中の車両を検問する場合においては、次々に測定エリアに入ってくる車両を距離センサで把握して自動撮像可能とすれば、検査・検問時間の短縮につながり、効率を高めることができる。車両検査の場合の距離センサには遅延機能を付けておけば、所定位置に到達した車両が安定するまでの時間(例えば5秒間)を待った上で撮像指令の信号を発信することも可能である。
また、走行中の車両を検問する場合には走行車両を撮像装置10で撮影して画像処理した結果を撮影場所から所定距離離れた下流側に位置する検問ステーションのアウトプット装置12へと送信し、検問ステーションでは結果に基づいて違反車を特定し、停止・検問することもできるようになる。現在ではレーダ探知機を用いて走行中の速度違反車両を同様に摘発しているが、寸法規制に違反する車両の摘発にはこのような手段を用いることはできなかった。従来の測定装置による寸法測定では、画像処理を例えば3分で終えたとしても、時速60kmで走行する車両であればその間に3km先まで走行していることになり、その間に車両が脇道に逸れていることもあり得た。これに対して本実施の形態に係る撮像装置11によれば、処理に例えば10秒かかったとしてもその間の車両の走行距離は上記と同一条件で170mほどしかなく、安全を見て検問ステーションまでの前記所定距離を300mから1kmほどを見込んでおけば速度違反車両の検問と同様に走行中の寸法違反車両の検問も実施することが可能となる。
本実施の形態に係る測定装置10を使用した場合の従来技術に対する優位点は、メジャーを利用した伝統的な手段に比較すれば説明するまでもなく顕著であるが、特許文献1、2に記載されたような各種の機器を利用した従来技術における手段に対しても、これまでの記載と一部重複となるが以下のような顕著な利点が挙げられる。
1.特許文献1、2においてはカメラ、発光器の位置が固定され、したがって計測も定められた固定場所でしか行うことができない。これらが移動式であっても、その移動を可能にするための更に大掛かりな装置が必要となり、かつその移動装置の設置場所によっても位置が拘束される。これに対して本実施の形態にかかる撮像装置はスマートフォンをやや大きくした程度の携帯可能な複眼カメラであるため、測定の目的に沿って最適な任意の場所で撮影が可能であり、また測定も複眼カメラにあるモニタ画面を用いて行うことができる。
2.特許文献1、2に示す技術では、測定は実時間計測(オンライン計測)が基本となるが、本実施の形態に係る測定装置10では画像を一旦記録し、その記録画像を基に測定を行うオフライン計測も可能となり、必要に応じてより緻密な測定も可能となる。
3.本実施の形態にかかる撮像装置11は、持ち運びに適したハンディさと、路上での操作が容易な簡便さを併せもっており、これによって検査、検問、検証作業をより少人数でより短時間に効率的に行うことを可能とする。
4.上述の結果として、道路脇で行う検問による交通障害や、道路を閉鎖して行う現場検証による交通障害を最小限に抑えることが可能となる。また、短時間での処理が可能となることから作業能率が改善されて単位時間当たりの検査、検問処理台数を多くすることができる。
5.特許文献1に記載の手段では複数のカメラが使用されるため、高い精度で測定するためには当該複数のカメラの設置と調整に余分な手間と工数を要するものとなる。本実施の形態にかかる二眼カメラを備えた撮像装置を使用することによってかかる煩わしさが排除され、常に精度の高い解析画像の取得が可能となる。
6.特許文献2に記載のレーザー光遮断方法によれば、レーザー照射器と車両の相対移動方向によって測定対象が限定される。例えば照射器または車両を水平方向に移動させて測定する場合には、荷台の高さ方向の測定には垂直方向に複数の照射器、受光器を配置しなければならず、設備的に大がかりなものとならざるを得ない。これに対して本実施の形態にかかる測定装置では被写体を斜め前方また斜め後方から撮影することによって一回の撮像で荷台長さ、荷台幅、荷台高さを同時に把握することができる。
7.走行中の車両を撮影して違反車両を特定することが可能となり、速度違反車両に対すると同様な検問、寸法諸元違反車両の摘発が可能となる。
次に、本考案の第2の実施の形態に係る車両等測定装置について説明する。道路保全、交通安全のための検問においては車両寸法や容量の外にも車両重量が所定の基準内にあるかの確認が寸法測定と同様に実施されている。車両重量の測定には、重量を感知する歪や静電圧変化を感知するセンサを用いた測定装置が使用されているが、図5はその一例を示している(例えば、特許文献3参照。)。
図5において、車両重量測定装置100は、静電圧変化を感知する平板状のポータブルな重量センサ50a、50bを路面に図示のように配置してこの上に乗り上げる車両の重量を測定している。重量センサ50aは前輪に、重量センサ50bは3軸までの後輪に対応して配置したもので、白抜き矢印の方向に侵入した車両が重量センサ50a、50bの上に同時に、もしくは時間差を設けて乗り上げることにより検出された各軸重量に関する信号が和算箱102に送られて各軸の重量が算出される。これがさらにプロセサ103に入力されて車両全体の重量が算出、記録され、さらにその結果が外部表示104に送られて重量が表示されるよう構成されている。これは一例であるが、重量測定装置においてはこのように何らかの手段によって検出された重量に関する信号が演算処理されて、その結果がアウトプットされるよう構成されている。
本実施の形態にかかる測定装置は、図1に示す測定装置10と基本的に同様に構成されているが、車両寸法に係る先の実施の形態で説明した寸法測定結果に関するアウトプットに加え、図5の重量測定装置100によって得られる重量の測定結果をもプロセサ103から有線もしくは無線によって図1の破線で示すようにモニタ12aもしくはプリンタ12bのいずれか一方もしくは双方に送り、そのアウトプットを表示もしくは印字可能とするものである。
以上のように構成された測定装置10を用いることにより、これまでたとえ同じタイミングではあっても基本的に別々に行われていた重量と寸法(容量)との検査を文字通り同時に行うことができるようになり、さらにアウトプットも同じモニタ画面、あるいは同一シートに印字することができるため、車両検問の効率を一層高めることにつながる。
なお、以上の本考案の各実施の形態に係る説明では、車両等寸法測定装置について主に述べてきたが、本考案は当該車両等寸法測定の同じロジックを用いて可能となる車両等寸法測定方法にも適用可能である。すなわち、本考案に係る車両等寸法測定装置を適用した場合、複数のカメラが所定距離離間して配置された複眼カメラにより、走行状態もしくは停止状態にある同一被写体を同時に撮影し、前記撮影結果得られた複数の画像を重ね合わせて測定対象となる所望2点における両画像間の各ずれ量wから、前記複眼カメラと当該所望各2点までのそれぞれの距離を把握し、前記把握された前記所望2点の各距離において一意的に定まる画像ピクセル当りの長さをそれぞれ求め、前記所望2点間にあるピクセル数と、前記所望2点における画像ピクセル当りの長さの平均値とを用いて前記所望2点間の距離を測定し、必要に応じて前記測定結果をモニタとプリンタのいずれか一方もしくは双方に送信して表示または印字することを特徴とする車両等寸法測定方法が可能となる。
本考案に係る車両等寸法測定装置は、車両検査、検問、事故検証に関与する産業分野において広く利用することができる。
10.車両等寸法測定装置(測定装置)、 11.撮像装置、 12.アウトプット装置、 12a.モニタ、 12b.プリンタ、 50a,50b.重量センサ、 100.車両重量測定装置、 103.プロセサ。

Claims (5)

  1. 車両検査、交通検問、あるいは交通事故現場検証時に、車両や事故に関連した必要な各種寸法・距離を測定するために使用される車両等寸法測定装置において、
    複数のカメラが所定距離離間して配置された複眼カメラ、および該複眼カメラで撮影された複数の画像を処理して所望の寸法や距離を算出する画像処理機能を備えた撮像装置と、
    前記撮像装置からの寸法・距離測定結果を有線もしくは無線により受信して画像表示するモニタか印字するプリンタのいずれか一方もしくは双方からなるアウトプット装置と、
    から構成されていることを特徴とする車両等寸法測定装置。
  2. 前記車両等寸法測定装置が、被写体が所定の撮像位置に至ったことを検知するセンサをさらに備え、当該センサの信号に基づいて前記撮像装置が撮像、画像処理を行うよう構成されている、請求項1に記載の車両等寸法測定装置。
  3. 前記モニタが、パーソナルコンピュータである、請求項1に記載の車両等寸法測定装置。
  4. 前記アウトプット装置が、別個に配置された車両重量測定装置から得られる重量測定データを有線もしくは無線により受信し、前記寸法・距離測定結果に加えて当該重量測定結果をも同時にモニタに画像表示し、もしくはプリンタにより印字するよう構成されている、請求項1に記載の車両等寸法測定装置。
  5. 道路走行中の違反車両を摘発するため、道路の上流側に配置されて走行車両を撮影する前記撮像装置と、当該撮像装置から所定距離離れて道路の下流側に設けられた検問ステーションに配置された前記アウトプット装置と、から構成されている、請求項1に記載の車両等寸法測定装置。
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