JP3237007B2 - 握りばさみの製造方法 - Google Patents

握りばさみの製造方法

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JP3237007B2
JP3237007B2 JP24485696A JP24485696A JP3237007B2 JP 3237007 B2 JP3237007 B2 JP 3237007B2 JP 24485696 A JP24485696 A JP 24485696A JP 24485696 A JP24485696 A JP 24485696A JP 3237007 B2 JP3237007 B2 JP 3237007B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は、一般に糸切りばさみ
として用いられる握りばさみの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、和裁等縫製作業に用いられて
いる握りばさみ(糸切りばさみともいう)は、ばね性を
もたせた略U字状の握り部の各先端部に、互いに摺り合
わせ状に一部が重ね合わされる内刃部を備える刃身部を
一体形成して構成されている。
【0003】通常、上記握りばさみは、鋼材を鍛造成形
することによって一体的に概略形状が形成された後、刃
身部を研磨することによって内刃が形成される。
【0004】上記握りばさみは、上記略U字状の握り部
が自然状態にあるとき、一対の刃身部の内刃部どうしが
部分的に摺り合わせ重合させられるように構成されてお
り、この状態から上記U字状の握り部を外側から挟むよ
うにして把持しつつ、このU字状握り部のばね性に抗し
て両刃身部の内刃を相互に摺り合わせ状に相対揺動させ
ることにより、両刃身部による切断作業を行えるように
構成している。一方、上記U字状握り部に対する挟み付
け力を解除すると、両刃身部は上記U字状握り部のもつ
弾力によってもとの自然状態に復帰させられる。
【0005】ところで、はさみとしての切れ味を向上持
続させるには、刃身部の硬度を上げる必要があり、通常
刃付け加工の前に刃身部に焼き入れ加工が施される。と
ころが、上述のように、従来の握りばさみは、鋼材で一
体形成されているため、焼き入れの温度管理を十分に行
わないと、上記握り部にまで焼き入れ加工が及んでしま
う。このため、握り部の粘り強さおよび疲れ強さ等が低
下して、適度のばね特性が得られないばかりでなく、長
期間使用すると、U字基端部に疲れ破壊が生じる恐れも
ある。
【0006】さらに、上記従来の握りばさみにおいて
は、上記一対の刃身部の内刃部を摺り合わせ状に相対揺
動させ、対象物を剪断によって切断するように構成され
ている。このため、通常のはさみと同様に、使用期間が
長期に及ぶと、刃身部に摩耗が生じて切れ味が悪くな
る。刃身部の切れ味を回復させるために研磨が行われる
が、従来の握りばさみにおいては、上記のように、U字
状の握り部と刃身部とが鋼材で一体形成され、上記U字
状の握り部がばね性を有しているため、刃身部の研磨作
業を行うのが非常に困難であった。
【0007】上記問題を解決するため、たとえば、実開
昭63−189172号公報に記載されている考案のよ
うに、上記握り部と刃身部とを別途形成し、上記握り部
の先端に刃身部を接合して構成された握りばさみが提案
されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記公報に記載されて
いる握りばさみにおいては、各握り部の先端部に軸方向
の接合穴を設け、この接合穴に、刃身体の接合部を嵌入
するとともに、上記刃身体と上記握り部とに連通状に形
成されたピン穴に固定ピンを嵌合させることによって、
上記刃身体と上記握り部とを接合している。
【0009】しかしながら、上記公報に記載されている
握りばさみにおいては、組立て作業を容易に行うことが
できず、組立ての自動化を図ることが困難であるという
問題がある。すなわち、上記公報に示されている握りば
さみにおいては、各握り部の先端部から各握り部の軸方
向に設けた取付け孔に、上記刃身部の基端部を差し込む
とともに、上記取付け孔から刃身部が抜け落ちないよう
に、上記握り部および刃身部に連通状に設けたピン穴に
固定ピンを嵌入しなければならない。したがって、組立
て作業を直交する二方向から行わなければならない。こ
のため、自動組立機械の構造が非常に複雑になるといっ
た問題がある。
【0010】しかも、上記刃身部の内刃部の一部が、自
然状態で互いに弾性的に当接するように組立てなければ
ならないため、上記刃身部を組付ける際、一対の刃身部
が互いに摺動させられる。このため、組立て時に刃こぼ
れが生じやすく、自動組立機械によって組立の自動化を
図ることが困難であった。
【0011】本願発明は、上記の事情のもとで考え出さ
れたものであって、上記従来の問題を解決し、組立作業
が容易であり、組立作業の自動化を図ることができると
ともに、製造能率を向上させて製造コストの低減を図る
ことのできる握りばさみの製造方法を提供することをそ
の課題とする。
【0012】
【発明の開示】上記の課題を解決するため、本願発明で
は、次の技術的手段を採用した。
【0013】すなわち、本願発明に係る握りばさみの製
造方法は、略U字状の基端部と、この基端部から互いに
対向して延びる一対の握り部と、各握り部の厚み方向側
面に形成された刃身体取付け部とを有するばね部材を繊
維強化樹脂により一体形成する工程、および、上記ばね
部材の上記刃身体取付け部に、一対の金属板状刃身体
を、上記ばね部材が自然状態にあるとき各刃身体の内刃
部の基端方が互いに摺接するようにして、上記刃身体の
各基部がその内刃部形成面側側面を上記刃身体取付け部
に添着させた状態でねじ接合することにより取付ける工
程、を含むことを特徴としている。
【0014】握りばさみは、弾性的に変形可能な略U字
状の握り部と、握り部の先端部に形成された切り刃部を
有して構成されるが、本願発明方法においては、ばね部
材よりなる握り部と切り刃部とを別体に形成し、かつ、
握り部は繊維強化樹脂によって各部を一体に形成したも
のが用いられ、切刃部は、金属製で形成される。そし
て、こうしてあらかじめ各部が繊維強化樹脂によって一
体形成される上記握り部を有するばね部材の各握り部に
は、その厚み方向側面に刃身体取付け部が形成されてい
る。
【0015】握り部として機能させるためには、握りば
さみが自然状態にあるとき、各刃身体の内刃部の基端方
が互いに摺接した状態となっていることが肝要である。
すなわち、各刃身体は、その内刃部どうしが、その基端
方において弾性的に当接させられているべきである。本
願発明方法においては、このような刃身体の相互状態
が、単に、上記のようにして形成されたばね部材の各握
り部の刃身体取付け部に、各刃身体の内刃部形成面側側
面を添着させた状態でねじ接合するだけで実現される。
すなわち、刃身体の取付けにあたって、上記ばね部材を
大きく変形させる必要がなく、各刃身体を、それぞれ外
側から刃身体取付け部に対して取付けるだけで、握りば
さみとしての特に刃身体どうしの相互状態が実現される
のである。
【0016】そうして、上記方法によって製造される握
りばさみは、ばね部材として、特に繊維強化樹脂を選択
しているので、握りばさみの使用において繰り返される
略U字状基端部の変形に対しても、長期間十分に耐える
ことができ、この握りばさみの寿命を著しく延長するこ
とができる。さらには、握りばさみとしての多くの部分
が繊維強化樹脂によって形成されているので、握りばさ
み全体としての軽量化を図ることもでき、これによる使
用勝手の向上が期待できる。
【0017】
【実施例の説明】以下、本願発明に係る実施例を図に基
づいて具体的に説明する。
【0018】本願発明方法によって製造される握りばさ
み1は、図1および図2に示すように、略U字状の繊維
強化樹脂製ばね部材2に金属板状の刃身体3,3を接合
して大略構成される。上記ばね部材2は、U字状基端部
4およびこの基端部4から略平行に対向して延びる一対
の握り部5,5を備えており、たとえば、ガラス繊維を
混入することによって強化された繊維強化ポリアミド樹
脂で一体成形される。
【0019】上記各握り部5,5の先端部対向面には、
互いに対向して膨出するストッパ部6,6が一体形成さ
れている。本実施例における上記ストッパ部6,6は、
図1に示すように、握り部5,5の中間部対向側面から
先端部に向かってテーパ状に膨出するように形成されて
おり、側面には上記刃身体3,3を接合するための位置
決め凹部7a,7bおよび一対のねじ通挿孔8a,8b
がそれぞれ形成されている。
【0020】一方、上記刃身体3,3は、上記握り部
5,5の先端部に接合される接合部9a,9bと、互い
に略V字状に対向させられる切れ刃部10,10とを備
える。上記切れ刃部は互いに摺接させられる内刃部1
1,11を備え、従来の握りばさみの刃身部と同様の形
態を有している。また、上記接合部9a,9bには、上
記ストッパ部6,6に設けたねじ通挿孔8a,8bに対
応するねじ穴12a、12bがそれぞれ二箇所に設けら
れており、後に説明する取付けねじ13,13によっ
て、上記握り部5,5にそれぞれ接合固定される。
【0021】本実施例においては、図1および図2に示
すように、上記一対のストッパ部6,6の互いに反対側
に位置する側面6a,6bに形成した位置決め凹部7
a,7bに、上記刃身体3,3の内刃部形成面側側面1
1a,11bを上記位置決め凹部7a,7bの底面にそ
れぞれ添着させるようにして、上記刃身体3,3をばね
部材にねじ接合している。すなわち、自然状態における
握りばさみとしての適正な初期状態においては、図1に
示されるように、各刃身体3,3の内刃部11,11の
基端方が互いに弾性的に当接させられていることが必要
であるが、本願発明においては、上記刃身体3,3を外
側から各位置決め凹部7a,7bに嵌合させるととも
に、接合ねじ13,13をねじつけてこの刃身体3,3
をばね部材2に固定するだけで、上記図1に示すような
自然状態での両刃身体3,3の初期状態を得るべく、組
付けが完了する。このように、ばね部材2を強制的に変
形させるといったことはなんら必要なく、刃身体3,3
をばね部材2の上記位置決め凹部7a,7bに側方から
組み付けるだけでよいので、自動組立機械の構造が複雑
になるということがない。
【0022】上記ばね部材2に採用されているガラス繊
維強化ポリアミド樹脂は、従来の鋼材で形成された握り
部に比べて、ばねの疲れ強さが格段に高く、寿命を大幅
に向上させることができる。また、比重が鋼材に比べて
小さく、握りばさみの軽量化を図ることもできる。
【0023】また、上記握り部5,5の先端部内側に形
成したストッパ部6,6は、各頂部14,14が所定の
すきまを開けて対向するように形成されており、上記握
り部5,5を手指で弾性挟圧したとき、上記頂部が互い
に当接させられるように構成されている。上記すきま
は、上記刃身体3,3の切れ刃部10,10が有効に切
断作業を行うことができる範囲で、上記握り部5,5を
相対揺動させうるように設定されている。したがって、
上記ストッパ部6,6を設けることによって、一方の刃
身体3の切れ刃部10が、対向する他方の刃身体の背部
から突出することがなくなるため、上記握り部5,5を
握る手指を傷つける恐れはなくなり、安全に切断作業を
行うことができる。
【0024】しかも、本実施例に係る握りばさみ1にお
いては、上記各握り部5,5の先端部側面に、上記各刃
身体5,5の接合部9a,9bの平面形状に対応する位
置決め凹部7a,7bを設け、この位置決め凹部7a,
7bに上記接合部9a,9bを嵌合するとともに接合ね
じ13,13よって螺締することにより、上記刃身体
3,3,を上記ばね部材2に接合している。
【0025】上記位置決め凹部7a,7bは、上記各刃
身体3,3の接合部9a,9bの平面形状に対応する形
状に形成されるとともに、上記刃身体3,3の厚さに対
応する深さに形成されている。
【0026】上記位置決め凹部7a,7bは、上記ばね
部材2を成形するのと同時に高い精度で形成することが
できる。このため、上記刃身体3,3の接合部9a,9
bを上記位置決め凹部7a,7bに嵌合させるだけで、
上記刃身体3,3の上記ばね体2に対する位置決めを行
うことができる。したがって、上記刃身体3,3,と上
記ばね体3とを精度高く接合することが可能となり、従
来のように、上記一対の刃身体の相対位置がずれて、切
れ味が低下するといったことはない。
【0027】また、上記刃身体3,3と上記ばね部材2
との組付け精度を向上させることができるため、上記刃
身体3,3を握り部5,5に接合した後、刃先を揃える
ための刃先揃え工程が不要となる。このため、製作工程
を削減することができるとともに、生産コストを低減さ
せることができる。さらに、上記刃身体3,3をばね体
2から外して、容易に再研磨を行うことができるととも
に、精度高く再組立を行うことが可能となり、切れ味を
容易に回復させることができる。
【0028】さらに、本実施例においては、図1に示す
ように、上記ねじ通挿孔8a,8bおよびねじ穴12
a,12bを上記接合部9a,9bの対称軸からずらし
て形成してある。このため、上記刃身体3,3を内刃部
11,11を外側に向けて、上記接合部9a,9bを位
置決め凹部7a,7bに嵌め込むことはできない。した
がって、刃身部3,3を逆方向に誤って取付ける恐れも
ない。
【0029】また、上記位置決め凹部7a,7bは、上
記刃身体3,3の厚さに対応した深さに設定されている
ため、上記刃身体3,3を上記握り部5,5に接合して
も、刃身体3,3と握り部5,5の側面との間に段差が
生じることはない。このため、握り部5,5の側面が滑
らかになり、使用感が低下することもなく、また、デザ
イン的にも優れた握りばさみを提供することができる。
【0030】上述したように、本願発明方法により製造
される握りばさみ1においては、刃身体3,3とばね体
2とを精度高く接合することが可能となり、組立作業を
格段に容易に行うことができるとともに、最終の刃揃え
工程を省略することができる。このため、製造コストを
低減させることができるとともに、生産効率を大幅に向
上させることができる。
【0031】本願発明の範囲は上述した実施例に限定さ
れることはない。実施例においては、ばね部材を形成す
る素材としてガラス繊維強化ポリアミド樹脂を採用した
が、炭素繊維強化樹脂等他の樹脂製ばね素材を採用する
こともできる。
【0032】また、実施例においては、一対のストッパ
部の互いに反対側に位置する側面に、上記位置決め凹部
を形成するとともに、上記一対の刃身体の内刃形成面を
それぞれ添着するようにして、上記刃身体をばね部材に
ねじ接合したが、ストッパ部を設けることなく、位置決
め凹部を形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の製造方法によって製造された握りば
さみの正面図。
【図2】上記握りばさみの平面図。
【図3】上記握りばさみの側面図。
【図4】図1におけるA−A線に沿う断面図である。
【図5】図1におけるB−B線に沿う拡大断面図であ
る。
【符号の説明】
2 ばね部材 3 刃身体 4 基端部 5 握り部 7a,7b 位置決め凹部 9a,9b 接合部 11 内刃部 11a 内刃部形成面 13 接合ねじ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭54−94190(JP,A) 実開 平2−59772(JP,U) 実開 平3−30970(JP,U) 実開 昭48−8790(JP,U) 実開 昭62−146479(JP,U) 実公 昭15−3728(JP,Y1)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 略U字状の基端部と、この基端部から互
    いに対向して延びる一対の握り部と、各握り部の厚み方
    向側面に形成された刃身体取付け部とを有するばね部材
    を繊維強化樹脂により一体形成する工程、および、上記
    ばね部材の上記刃身体取付け部に、一対の金属板状刃身
    体を、上記ばね部材が自然状態にあるとき各刃身体の内
    刃部の基端方が互いに摺接するようにして、上記刃身体
    の各基部の内刃部形成面側側面を上記刃身体取付け部に
    添着させた状態でねじ接合することにより取付ける工
    程、を含むことを特徴とする、握りばさみの製造方法。
JP24485696A 1996-09-17 1996-09-17 握りばさみの製造方法 Expired - Lifetime JP3237007B2 (ja)

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US4092776A (en) * 1977-12-16 1978-06-06 Cooper Industries, Inc. Cutting tool
JPH0259772U (ja) * 1988-06-23 1990-05-01

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