JP3236218U - 手動式流体抜きポンプ - Google Patents

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Abstract

【課題】簡素な構成でかつ取り扱いが単純であり、製作コストが安価であと、袋開口部に挿入し袋内の流体の抜き取りを行うのに好適である手動式流体抜きポンプの提供。【解決手段】手動式流体抜きポンプ1は、シリンダー2の両端を吐出側端面部3と吸入側端面部4とで閉じており、吸入側端面部4より外方に細管部5が延在し、シリンダー2内に備えるピストン6にピストンロッド7が固定され、ピストンロッド7が吐出側端面部3を貫通し外方に延びており、掌で握り締めることによりピストンロッド7を引き抜く方向へ移動させる手動式屈曲リンク機構8と握り締める力を解除すると、ピストン6を復帰させるコイルばね10とを有し、ピストン6と前記吸入側端面部4との間に設けられ細管部5を通してシリンダー2に流体を通流させる第1の逆止弁機構11と、ピストン6に設けられシリンダー2に第2の逆止弁機構12とを備えている。【選択図】図1

Description

本考案は、手動式流体抜きポンプに関する。
食品を長期間冷蔵保存するには、酸素バリア性を有する袋に食品を入れ袋内の空気を抜いて略真空状態にすることが重要である。袋内の空気を抜いた後、密封を図るためにはジッパー付袋を用いる必要がある。従来、この種の空気抜きポンプが提案されている(特許文献1参照)。
特開平10-131853号公報
特許文献1に開示されている空気抜きポンプは、クリップ装置に組み込まれた構成である。この空気抜きポンプは、クリップ装置で袋のジッパー部を挟持してから、一旦、クリップ装置を緩めて空気抜き管を袋のジッパー部より内方に挿入し、再びクリップ装置で袋のジッパー部を挟持する。そして、空気抜き後は、空気抜きポンプを引き上げて空気抜き管をジッパー部から抜き、すると、ばねの付勢により押圧ピンがジッパー部の空気抜き管が抜けた部分を押圧しジッパー部が噛合するので、クリップ装置を外すという一連の操作を行う。この空気抜きポンプは、構成が簡単ではなく、しかも、クリップ装置の操作とポンプ操作とが交錯し、取り扱いが単純であるとは言えず、さらに空気抜きポンプの構成について開示がないが、電気コードと電源を必要とする電動式と考えられるのでコストが高くつく。
本考案は、上記問題点に鑑みなされたもので、簡素な構成でかつ取り扱いが単純であり、製作コストが安価である手動式流体抜きポンプを提供するものである。
本願の第1の考案態様に係る手動式流体抜きポンプは、上記課題を解決するため、シリンダーと、吐出側端面部と、吸入側端面部と、細管部と、ピストンと、ピストンロッドと、手動式屈曲リンク機構と、コイルばねと、第1の逆止弁機構と、第2の逆止弁機構とを備えた構成である。
本願の第1の考案態様に係る手動式流体抜きポンプは、具体的には、シリンダーと、流体吐出孔を有し前記シリンダーの一端を閉じている吐出側端面部と、前記シリンダーの他端を閉じている吸入側端面部と、前記吸入側端面部より外方に延在しかつ管内部が前記シリンダーに連通していて流体抜きする際に袋開口に差し込まれる細管部と、前記シリンダーの内筒面に全周密着し筒軸方向に移動可能に設けられたピストンと、一端が前記ピストンに固定され他端側が前記吐出側端面部を貫通し外方に延びているピストンロッドと、前記シリンダーを含めて掌で握り締めることが可能であり握り締める力によりリンク状態が変動し前記ピストンロッドを引き抜く方向へ移動させる手動式屈曲リンク機構と、前記吐出側端面部と前記ピストンの間に設けられ一端で前記吐出側端面部を付勢し他端で前記ピストンを付勢していて、前記手動式屈曲リンク機構に握り締める力を与えて前記ピストンロッドを引き抜く方向へ移動した状態から前記握り締める力を解除すると、前記ピストンを前記吸入側端面部側に寄る所要位置に復帰させるコイルばねと、前記ピストンと前記吸入側端面部との間に設けられた第1の逆止弁機構であって、前記ピストンが前記吐出側端面部の側に移動されるときに前記細管部を通して前記シリンダーに流体を通流させる第1の逆止弁機構と、前記ピストンに設けられた第2の逆止弁機構であって、前記第1の逆止弁機構を通流し前記シリンダーに流入した流体を前記吐出側端面部側に通流させる第2の逆止弁機構とを備えた構成である。
本考案の手動式流体抜きポンプ1によれば、袋内に収容した食品の鮮度を保つために袋内の空気を取り除くのに適用されることには限定されるものでなく、少量の液体の取り出しにも適用できるものである。
本願の第2の考案態様に係る手動式流体抜きポンプは、上記第1の考案態様の構成に加え、前記手動式屈曲リンク機構が、一端が前記ピストンロッドの前記吐出側端面部より外側近傍に回動可能にリンクされ、他端が前記シリンダーの側方を前記シリンダーの中心線に対して所要角度傾斜して所要長さとなるように延在する指掛け用レバーアームと、一端が前記シリンダーの外面の前記吸入側端面部寄りの適宜箇所に回動可能にリンクされ、他端が前記指掛け用レバーアームの所要中途に回動可能にリンクされた連接アームとを備えてなる構成である。
本願の第3の考案態様に係る手動式流体抜きポンプは、上記第1または2の考案態様の構成に加え、前記ピストンロッドの外端に前記ピストンロッドを引き抜き方向に力を掛けるためのつまみ部を有する構成である。
本願の第4の考案態様に係る手動式流体抜きポンプは、上記第1ないし3のいずれか1つの考案態様の構成に加え、前記吸入側端面部が、大径筒部と小径筒部とを有する二段筒形状であり、前記大径筒部が前記シリンダーに螺合被嵌するとともに、内部の段差部に前記第1の逆止弁機構が設けられ、さらに、前記小径筒部にメッシュフィルターを備え、前記細管部が分離可能である構成である。
本願の第5の考案態様に係る手動式流体抜きポンプは、上記第4の考案態様の構成に加え、前記吸入側端面部が、前記大径筒部の内周面に形成された雌ねじを有し、前記雌ねじが前記シリンダーの端部外面に形成された雄ねじに螺合している構成である。
本願の第6の考案態様に係る手動式流体抜きポンプは、上記第1の考案態様の構成に加え、前記第1の逆止弁機構が、前記吸入側端面部の前記大径筒部に、前記大径筒部の内周面との間に環状隙間を生じる大きさである円環板状の弁体を有し、前記弁体の内径空間を密閉・閉鎖するように保持する弁体固定筒部が小径筒部に嵌着され、かつ前記弁体が吸入側端面部の内部の段差端面に密着し、前記大径筒部内の流体が負圧になると前記弁体が前記段差端面から離れ前記小径筒部内の流体が前記大径筒部内に吸入されるようになっている構成である。
本願の第7の考案態様に係る手動式流体抜きポンプは、上記第1ないし5のいずれか1つの考案態様の構成に加え、前記第2の逆止弁機構が、前記ピストンの円周面を一回りするように刻設された円環状凹条部と、前記円環状凹条部に収容された前記シリンダーの内周面に全周密着するOリングとを備え、さらに前記Oリングが、前記ピストンロッドが引き抜き方向に移動され前記ピストンが前記吐出側端面部の方向に移動するときに、前記円環状凹条部の前記吸入側端面部寄りに相対的に移動して前記シリンダーと前記ピストンとの第1の隙間を閉塞し、また前記ピストンが前記コイルばねにより復帰移動するときに、前記円環状凹条部の前記吐出側端面部寄りに相対的に移動してOリング内側と前記円環状凹条部の底面との間に第2の隙間が生じるように構成されている構成である。
本願の第8の考案態様に係る手動式流体抜きポンプは、上記第4ないし7のいずれか1つの考案態様の構成に加え、前記細管部が、前記吸入側端面部の前記小径筒部に被嵌しかつOリングを介在させて密封状態に接続されるキャップ部を有する構成である。
本願の第9の考案態様に係る手動式流体抜きポンプは、上記第1ないし8のいずれか1つの考案態様の構成に加え、前記細管部が、外面に筒軸方向に延在する円環状凹条部を有しかつ先細形状に形成されている構成である。
本願の第10の考案態様に係る手動式流体抜きポンプは、上記第1ないし9のいずれか1つの考案態様の構成に加え、前記ピストンロッドが、断面が非円形形状であり、前記外面に吐出側端面部には前記ピストンロッドの断面形状に対応するガイド孔が設けられていることにより、前記ピストンロッドが、吐出側端面部に対し回転不能・軸方向移動可能に貫挿されている構成である。
本願の第11の考案態様に係る手動式流体抜きポンプは、上記第1ないし10のいずれか1つの考案態様の構成に加え、流体抜きの対象である袋の開口部を挟持するように閉じる割ピン形のクリップをさらに有し、前記クリップが可撓性・難切断性・高抗張力がある合成樹脂製のストリングスにより前記細管部または前記吸入側端面部に連結されている。
本考案の手動式流体抜きポンプによれば、簡素な構成でかつ取り扱いが単純であり、製作コストが安価である手動式流体抜きポンプを提供することができる。
本考案の実施の形態に係る手動式流体抜きポンプの縦断正面図を示すもので、図1(A)は手動式屈曲リンク機構がシリンダー内のピストンを移動しておらず袋内の流体を抜いていない状態を示す縦断側面図である。図1(B)は手動式屈曲リンク機構がシリンダー内のピストンを袋から離れる方向に移動し袋内の流体を抜いている状態を示す縦断側面図である。図1(C)は図1(A)における部分C1と図1(B)における部分C2とを並べて変化状態を比べた部分拡大図である。図1(D)は図1(A)におけるID-ID断面図である。 本考案の実施の形態に係る手動式流体抜きポンプによりジッパー付袋内の流体を抜くところを示す正面図である。
以下に、本考案の実施例に係る手動式流体抜きポンプを図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、手動式流体抜きポンプ1は、シリンダー2と吐出側端面部3と吸入側端面部4と細管部5とピストン6とピストンロッド7と手動式屈曲リンク機構8とつまみ部9とコイルばね10と第1の逆止弁機構11と第2の逆止弁機構12とを有する。
シリンダー2と吐出側端面部3は一体の成形体として設けられ、吸入側端面部4はシリンダー2に対して取り外し可能に被嵌されている。シリンダー2内を摺動するピストン6は、ピストン6と一体に設けられるピストンロッド7の外端側を手動式屈曲リンク機構8またはつまみ部9を手操作することにより、図1(A)に示す吸入側端面部4に寄った位置から、図1(B)に示す吐出側端面部3の方向に吐出側端面部3に寄った位置に移動され、手動式屈曲リンク機構8の握り締め力を解除すると、コイルばね10によって復動される。第1の逆止弁機構11は吸入側端面部4に設けられている。第2の逆止弁機構12はピストン6に設けられている。以下、詳述する。
シリンダー2は、適切な大きさとして、例えば、内径が25-30mm、長さが60-70mmである円筒形である。吐出側端面部3は、流体吐出孔3aを有しシリンダー2の一端を閉じている。シリンダー2と吐出側端面部3とは、透明または半透明のプラスチック成形体であることが好ましい。吐出側端面部3には通気孔3aが設けられている。
ピストンロッド7の一端に雄ねじ部(図示せず、符号なし)が形成され、この雄ねじ部がピストン6の中央部に設けられたねじ孔(図示せず、符号なし)に螺合され、シリンダー2内にピストンロッド7を先にしてピストン6を嵌め入れてピストンロッド7の他端を吐出側端面部3の中央に設けたピストンロッドガイド用貫通孔に挿通してから、吸入側端面部4でシリンダー2の他端を閉じている。
吸入側端面部4は、大径筒部4aと小径筒部4bとを有する二段筒形状のプラスチック成形体であり、大径筒部4aがシリンダー2に螺合・被嵌するとともに、内部の段差部に第1の逆止弁機構11が設けられ、さらに、小径筒部4bにメッシュフィルター14を備え、細管部5が分離可能である。吸入側端面部4は、大径筒部4aの内周面に形成された雌ねじ(符号なし)を有し、雌ねじがシリンダー2の端部外面に形成された雄ねじ(符号なし)に螺合している。
キャップ部5bと小径筒部4bの嵌合面には、小径筒部4bの外周面を一周するように設けられた円環状凹条部(符号なし)を有し、これに嵌合面のシールを担持する第2のOリング13が被嵌している。
メッシュフィルター14は、細管部5を通して抜く取る袋内の流体に含まれることがある固形物を捕捉する機能を有する。メッシュフィルター14が、袋内より抜き取る流体の流れに関し、第1の逆止弁機構11よりも上流側に設けられていることにより、固形物や液滴の第1の逆止弁機構11への侵入さらにシリンダー2内への浸入を防止し、第1の逆止弁機構11の機能とピストン6の円滑な移動を保障する。
細管部5は、透明または半透明のプラスチック成形体であり、細管部本体5aと、細管部本体5aの一端に一体に吸入側端面部4の小径筒部4bに取り外し可能に被嵌するキャップ部5bとを有し、吸入側端面部4の中心よりシリンダー2の中心線に一致して外方に延在しかつ管内部がシリンダー2内に連通している。
細管部本体5aは、先細形状に形成されており、そして、図1(D)に示すように外面両側に凸条部5cを有しかつ各凸条部5cの両側に凹条部5dを有する。凸条部5cと凹条部5dは袋内面が完全密着しないギャップを確保でき、袋内流体を抜く際に袋開口に差し込まれる際に袋内面との間に流体抜き(空気抜き)が円滑に行える。
キャップ部5bは、第2のOリング13を介在して密封状態に吸入側端面部4の小径筒部4bに被嵌される。これにより、メッシュフィルター14で捕捉されキャップ部5bに溜まったときに、キャップ部5bを吸入側端面部4の小径筒部4bから取り外して固形物や液滴を取り除きメッシュフィルター14および細管部5の内面を洗浄することができる。
ピストン6は、シリンダー2の内筒面に全周密着し筒軸方向に移動可能に設けられているプラスチック成形体である。ピストン6には、後述する第2の逆止弁機構12が設けられる。
ピストンロッド7は、一端がピストン6に固定され他端側が吐出側端面部3を貫通し外方に延びているプラスチック成形体である。ピストンロッド7は、外面に軸方向に延びる溝部(不図示)と軸方向に延びる凸条部(不図示)とを周方向に交互に配列された断面が非円形形状(例えば、星形、等)であり、外面に吐出側端面部3にはピストンロッド7の断面形状に対応するピストンロッドガイド用貫通孔3bが設けられていることにより、ピストンロッド7がピストンロッドガイド用貫通孔3bに対し回転不能・軸方向移動可能に貫挿されている。
手動式屈曲リンク機構8は、いずれもプラスチック成形体である指掛け用レバーアーム8aと、連接アーム8bとを備えてなる。
指掛け用レバーアーム8aは、一端がピストンロッド7の吐出側端面部3より外側近傍に回動可能に小ねじ8cで連結され、他端がシリンダー2の側方をシリンダー2の中心線に対して所要角度傾斜して所要長さとなるように延在する。他端の外側には人指し指と中指を掛けたときに両指の間に入り込むように突出する指掛け用突出部8dを備えている。
連接アーム8bは、一端がシリンダー2の外面の吸入側端面部4寄りの適宜箇所に回動可能に小ねじ8eで連結され、他端が指掛け用レバーアーム8aの所要中途に回動可能に小ねじ8fで連結されている。
手動式屈曲リンク機構8は、シリンダー2を含めて掌で握り締めることが可能であり握り締める力によりリンク状態が変動しピストンロッド7を引き抜く方向へ移動させることができる。
手動式屈曲リンク機構8は、図1(B)に示すようにシリンダー2に掌Aで包み込むように保持し、かつ人指し指Bと中指Cを指掛け用突出部8dに掛けて握り締めると、指掛け用レバーアーム8aと連接アーム8bとの連結点がシリンダー2に近接する位置に回動するとともに、指掛け用レバーアーム8aとピストンロッド7との連結点が吐出側端面部3から離れる方向に移動し、もって、ピストンロッド7を引き抜き方向に移動しピストン6を吐出側端面部3の方向に移動することができる。
そして、図1(A)に示すように握り締める力を解除すると、コイルばね10の付勢によりピストン6が復動するようになっている。
握り締める力の加減に応じて手動式屈曲リンク機構8の屈曲度合いを自由に調整できるので、ピストン6のストローク量を自由に調整でき、ピストン6のストローク量を最大にしてピストン6を繰り返し往復動できるし、またピストン6のストローク量を小さくしてピストン6を繰り返し往復動できる。したがって、流体の吸引量を手動式屈曲リンク機構8を握り締める力の加減することで調整できるようになっている。
つまみ部9は、ピストンロッド7の外端に螺着されている球体状のプラスチック成形体であり、人差し指と中指とでピストンロッド7を引き抜き方向に力を掛けるときに人差し指と中指とに係止する大きさに設けられている。つまみ部9は、手動式屈曲リンク機構8に替えてピストンロッド7を引き抜き方向に移動することができる。
コイルばね10は、吐出側端面部3とピストン6の間に設けられ一端で吐出側端面部3を付勢し他端でピストン6を付勢していて、手動式屈曲リンク機構8に握り締める力を与えてピストンロッド7を引き抜く方向へ移動した状態から握り締める力を解除すると、ピストン6を吸入側端面部4側に寄る所要位置に復帰させるために設けられている。
吸入側端面部4の内部の段差部に設けられる第1の逆止弁機構11は、吸入側端面部4の大径筒部4aの内周面との間に環状隙間を生じる大きさ円板状であるシリコンゴム製の弁体11aを有し、弁体11aの中心部を保持する弁体保持部11bが小径筒部4bに取り外し可能に固着されていて、かつ弁体11aが吸入側端面部4の内部の段差端面4cに密着している。
第1の逆止弁機構11は、ピストン6が吐出側端面部3の側に移動されるときにピストン6の下流側空間が負圧状態になり弁体11aを段差端面4cとの密着を解くように変形し開弁するので、細管部5を通してシリンダー2内に袋内流体を取り込むことができる。第1の逆止弁機構11は、大径筒部4a内の流体が負圧になると小径筒部4b内の流体が相対的に高圧になり弁体11aが段差端面4cとの密着状態から離れ小径筒部4b内の流体が大径筒部4a内に吸入されるようになっている。
第2の逆止弁機構12は、ピストン6の円周面を一回りするように刻設された円環状凹条部12aと、円環状凹条部12aに収容されたシリンダー2の内周面に全周密着するシリコンゴム製の第1のOリング12bとを備えている。
第1のOリング12bは、ピストンロッド7が引き抜き方向に移動されピストン6が吐出側端面部3の方向に移動するときに、円環状凹条部12aの吸入側端面部4寄りに相対的に移動してシリンダー2とピストン6との第1の隙間S1を閉塞し、またピストン6がコイルばね10により復帰移動するときに、円環状凹条部12aの吐出側端面部3寄りに相対的に移動してOリング内側と円環状凹条部12aの底面との間に第2の隙間S2が生じるように構成されている。
なお、第1の逆止弁機構11と第2の逆止弁機構12は、上記以外の構成であってもよい。例えば、流体流入孔の上流端に設けられる弁座面と、弁座面の上流側に設けられる弁体とを有し、弁体がばねの付勢により弁座面に弱く密着していて、弁体側の空間の流体圧が減圧状態になると、弁体がばねの付勢に抗して弁座面との密着を離れるか、または弁体がゴム製で薄肉であり撓んで弁座面との密着を離れる構成であってもよい。
第2の逆止弁機構12は、ピストン6に設けられ第1の逆止弁機構11を通流しシリンダー2に流入した流体をさらに吐出側端面部3側に2段階に通流させる。この第2の逆止弁機構12が存在しない構成では、ピストン6の往動時にピストン6と吐出側端面部3との間のシリンダー2内の流体が、ピストン6と第1の逆止弁機構11との間に流入してしまい、第1の逆止弁機構11が逆止弁として機能不能になる。第1の逆止弁機構11と第2の逆止弁機構12とが存在することにより袋内流体を細管部5を通してシリンダー2内に取り込んで吐出側端面部3側に2段階に通流させることができる。
流体抜きの対象である食品を収容しているジッパー付袋Pの開口部のジッパーZを挟持するように閉じる割ピン形のクリップ20をさらに有し、クリップ20が可撓性・難切断性・高抗張力がある合成樹脂製のストリングスTにより細管部5または吸入側端面部4に連結されている。
ジッパー付袋Pの大きさを任意に選定することができる。また、ジッパー付袋Pは酸素バリア性を有すればよく、ポリプロピレン製、ポリエチレン製、ビニール製等、任意に選定することができる。
続いて作用を説明する。図2は、手動式流体抜きポンプ1でジッパー付袋P内の気体を抜くところを示す。
ジッパー付袋Pの開口部のジッパーZを開いてジッパーZの端に手動式流体抜きポンプ1の細管部5を挿入し、挿入箇所を除いてジッパーZを細管部5の際まで噛合し、ジッパーZの細管部5の際を割ピン形のクリップ20で挟持してジッパーZが広がらないようにする。
袋内に位置する細管部5の先を物品又は液に触れないようにして、シリンダー2に掌Aで包み込むように保持し、かつ手動式屈曲リンク機構8の指掛け用突出部8dの両側に、人指し指Bと中指Cを掛けて握り締めると、ピストン6が吐出側端面部3の方向に移動し、シリンダー2内のピストン6と第1の逆止弁機構11との間の空間の流体が減圧状態になり、これによって、弁体11aが開弁し、袋内の気体を細管部5を通してシリンダー2内のピストン6と第1の逆止弁機構11との間の空間に取り込むことができる。手動式屈曲リンク機構8に対する手の締め付け力を加減することによりピストン6のストロークを自由に可変できるので、袋内の気体を短時間で抜くことができるほか、慎重を期す場合には少量ずつ時間をかけて抜くことができる。
また、ピストン6が吐出側端面部3の方向に移動すると、シリンダー2内のピストン6と吐出側端面部3との間の空間が縮小していき同空間の気体が増圧状態になり、このとき第2の逆止弁機構12が閉弁状態を保つので、同空間の気体が吐出側端面部3に設けられた通気孔3aから流出する。
手動式屈曲リンク機構8を握り締める力を解除すると、コイルばね10の付勢によりピストン6が復動し、このとき第2の逆止弁機構12が開弁状態になるので、シリンダー2内のピストン6と吸入側端面部4との間の空間が縮小していき同空間の気体が第2の逆止弁機構12を通してシリンダー2内のピストン6と吐出側端面部3との間の空間に流れる。このとき第1の逆止弁機構11が閉弁状態になり、袋内の気体は細管部5内に取り込まれない。
手動式屈曲リンク機構8を握り締めと握り締め解除とを交互に行うと、握り締めの度に袋内の気体を細管部5内に取り込むことができ、もって、袋内の気体を抜くことができる。袋内の気体が抜けたら、細管部5を袋の開口部より抜いてその箇所にクリップ20を横に移動してジッパーZを完全に噛合させる。その後、クリップ20を取り外す。
本考案によれば、さらに以下のような構成であってもよい。流体吐出孔3aにチューブを接続して手動式流体抜きポンプ1から離れた位置で流体を吐出させるようにしてもよい。また、細管部5がカテーテルにように細く可撓性を有していてもよい。
本考案によれば、簡素な構成でかつ取り扱いが単純であり、製作コストが安価である手動式流体抜きポンプを提供することができ、特に、流体抜きの対象の一物品としてのジッパー付き袋の内部流体の抜き取りのためのジッパーの開き箇所を一番端に位置させかつ可能な限り小さく開けた状態にして袋内の流体の抜き取りを短時間に行うことができる。本考案に係る手動式流体抜きポンプは、流体抜きの対象の物品がジッパー付き袋に限定されるものではない。
1…手動式流体抜きポンプ
2…シリンダー
3…吐出側端面部
3a…流体吐出孔
3b…ピストンロッドガイド用貫通孔
4…吸入側端面部
4a…大径筒部
4b…小径筒部
4c…段差端面
5…細管部
5a…細管部本体
5b…キャップ部
5c…凸条部
5d…凹条部
6…ピストン
7…ピストンロッド
8…手動式屈曲リンク機構
8a…指掛け用レバーアーム
8b…連接アーム
8c…小ねじ
8d…指掛け用突出部
8e…小ねじ
8f…小ねじ
9…つまみ部
10…コイルばね
11…第1の逆止弁機構
11a…弁体
11b…弁体保持部
12…第2の逆止弁機構
12a…円環状凹条部
12b…第1のOリング
13…第2のOリング
14…メッシュフィルター
20…クリップ
A…掌A
B…人指し指
C…中指
S1…第1の隙間
S2…第2の隙間
P…ジッパー付袋
Z…ジッパー
T…ストリングス

Claims (11)

  1. シリンダーと、
    流体吐出孔を有し前記シリンダーの一端を閉じている吐出側端面部と、
    前記シリンダーの他端を閉じている吸入側端面部と、
    前記吸入側端面部より外方に延在しかつ管内部が前記シリンダーに連通していて流体抜きする際に袋開口に差し込まれる細管部と、
    前記シリンダーの内筒面に全周密着し筒軸方向に移動可能に設けられたピストンと、
    一端が前記ピストンに固定され他端側が前記吐出側端面部を貫通し外方に延びているピストンロッドと、
    前記シリンダーを含めて掌で握り締めることが可能であり握り締める力によりリンクが変動し前記ピストンロッドを引き抜く方向へ移動させる手動式屈曲リンク機構と、
    前記吐出側端面部と前記ピストンの間に設けられ一端で前記吐出側端面部を付勢し他端で前記ピストンを付勢していて、前記手動式屈曲リンク機構に握り締める力を与えて前記ピストンロッドを引き抜く方向へ移動した状態から前記握り締める力を解除すると、前記ピストンを前記吸入側端面部側に寄る所要位置に復帰させるコイルばねと、
    前記ピストンと前記吸入側端面部との間に設けられた第1の逆止弁機構であって、前記ピストンが前記吐出側端面部の側に移動されるときに前記細管部を通して前記シリンダーに流体を通流させる第1の逆止弁機構と、
    前記ピストンに設けられた第2の逆止弁機構であって、前記第1の逆止弁機構を通流し前記シリンダーに流入した流体を前記吐出側端面部側に通流させる第2の逆止弁機構とを備えた
    ことを特徴とする手動式流体抜きポンプ。
  2. 前記手動式屈曲リンク機構は、
    一端が前記ピストンロッドの前記吐出側端面部より外側近傍に回動可能にリンクされ、他端が前記シリンダーの側方を前記シリンダーの中心線に対して所要角度傾斜して所要長さとなるように延在する指掛け用レバーアームと、
    一端が前記シリンダーの外面の前記吸入側端面部寄りの適宜箇所に回動可能にリンクされ、他端が前記指掛け用レバーアームの所要中途に回動可能にリンクされた連接アームとを備えてなる
    ことを特徴とする請求項1記載の手動式流体抜きポンプ。
  3. 前記ピストンロッドの外端に前記ピストンロッドを引き抜き方向に力を掛けるためのつまみ部を有する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の手動式流体抜きポンプ。
  4. 前記吸入側端面部は、大径筒部と小径筒部とを有する二段筒形状であり、前記大径筒部が前記シリンダーに螺合被嵌するとともに、内部の段差部に前記第1の逆止弁機構が設けられ、さらに、前記小径筒部にメッシュフィルターを備え、前記細管部が分離可能である
    ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の手動式流体抜きポンプ。
  5. 前記吸入側端面部は、前記大径筒部の内周面に形成された雌ねじを有し、前記雌ねじが前記シリンダーの端部外面に形成された雄ねじに螺合している
    ことを特徴とする請求項4に記載の手動式流体抜きポンプ。
  6. 前記第1の逆止弁機構は、
    前記吸入側端面部の前記大径筒部に、前記大径筒部の内周面との間に環状隙間を生じる大きさである円環板状の弁体を有し、前記弁体の内径空間を密閉・閉鎖するように保持する弁体固定筒部が小径筒部に嵌着され、かつ前記弁体が吸入側端面部の内部の段差端面に密着し、前記大径筒部内の流体が負圧になると前記弁体が前記段差端面から離れ前記小径筒部内の流体が前記大径筒部内に吸入されるようになっている
    ことを特徴とする請求項4または5に記載の手動式流体抜きポンプ。
  7. 前記第2の逆止弁機構は、
    前記ピストンの円周面を一回りするように刻設された円環状凹条部と、
    前記円環状凹条部に収容された前記シリンダーの内周面に全周密着するOリングとを備え、
    前記Oリングは、前記ピストンロッドが引き抜き方向に移動され前記ピストンが前記吐出側端面部の方向に移動するときに、前記円環状凹条部の前記吸入側端面部寄りに相対的に移動して前記シリンダーと前記ピストンとの第1の隙間を閉塞し、また前記ピストンが前記コイルばねにより復帰移動するときに、前記円環状凹条部の前記吐出側端面部寄りに相対的に移動してOリング内側と前記円環状凹条部の底面との間に第2の隙間が生じるように構成されている
    ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の手動式流体抜きポンプ。
  8. 前記細管部は、前記吸入側端面部の前記小径筒部に被嵌しかつOリングを介在させて密封状態に接続されるキャップ部を有する
    ことを特徴とする請求項4ないし7のいずれか1項に記載の手動式流体抜きポンプ。
  9. 前記細管部は、外面に筒軸方向に延在する円環状凹条部を有しかつ先細形状に形成されている
    ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の手動式流体抜きポンプ。
  10. 前記ピストンロッドは、断面が非円形形状であり、前記外面に吐出側端面部には前記ピストンロッドの断面形状に対応するガイド孔が設けられていることにより、前記ピストンロッドが、吐出側端面部に対し回転不能・軸方向移動可能に貫挿されている
    ことを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の手動式流体抜きポンプ。
  11. 流体抜きの対象の一物品としてのジッパー付き袋の開口部を挟持するように閉じる割ピン形のクリップをさらに有し、前記クリップが可撓性・難切断性・高抗張力がある合成樹脂製のストリングスにより前記細管部または前記吸入側端面部に連結されている
    ことを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載の手動式流体抜きポンプ。
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