JP3207825U - 自己修復型コンクリート構造物 - Google Patents

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浩二 村田
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【課題】実用化が可能な、自己修復機能を持つ合成短繊維組成物を含む自己修復型コンクリート構造物を提供する。【解決手段】セメント系の固結材を含む自己修復型コンクリートに混入して使用される合成短繊維組成物Cは、内部に空隙を有する有機系の加工繊維と有機系の非加工繊維が混在した短繊維10と、短繊維10に担持させたコンクリートの自己補修機能を有する液状または粉状の補修材であって、気硬性エチルシアノアクリレート系接着剤、一液型エポキシ系接着剤、水ガラス系補修剤の何れか一種の補修剤20と、補修剤20を担持させた短繊維10を被覆し、コンクリートの水和熱により溶解しない耐熱性を有する被包膜30とを具備する。【選択図】図1

Description

本考案はコンクリートのパッシブ型自己修復(自己治癒)技術に関し、特にコンクリートの自己修復機能を有する合成短繊維組成物に関する。
一般にコンクリート構造物は経年劣化に伴いクラックを生じる。クラックを放置すると浸水して鉄筋の腐食の進行や凍結融解に対する抵抗性が劣り、突発的な剥離事故や破壊事故を誘発する。
特に高速道路や橋等の大型コンクリート構造物にあっては、コンクリートの劣化に起因した破壊は大事故につながり、大変危険である。
このような事態を回避する方法として、コンクリート自体に自己修復機能を予め付与してインテリジェント化した自己修復型機能を有するコンクリートの研究開発がすすめられている。
自己修復機能を有するコンクリートに関する技術としては次の方法が提案されている。
A.補修機能を有する薬剤を混和材としてコンクリートに混入する方法(特許文献1)。
B.液状の補修剤をマイクロカプセルに封入したマイクロカプセルをコンクリートへ混入する方法。
C.補修機能を持つ特殊バクテリアをセメントの代替として用いる方法。
特開2012−153577号公報
上記した従来技術にはそれぞれ次のような問題点を内包しているため、実用化されるまでには至っていない。
[A方法の場合]
<1>補修機能を持つ薬剤を混和材としてコンクリートに直接混入するため、薬剤が水やセメントに反応して、コンクリートが変質する。
<2>高価な薬剤を混和材として大量に添加するため、最終的にコンクリート構造物の製造コストが高くなる。
<3>補修機能を持つ薬剤を混和材として多量に添加するため、一般のコンクリートの配合比と比べて混和材の配合比率が高くなる。
この為、コンクリートのワーカビリティが低下して、施工性が極端に悪化する。
<4>施工性の悪化を避けるため、セメントと水の配合比を増やすと、水和反応により生ずる水和熱が高くなり、コンクリート構造物の温度ひび割れの原因となる。
[B方法の場合]
<1>補修剤をマイクロカプセルに封入した構造であるため、製造コストが嵩む。
<2>密度等の要因によりコンクリート中に補修剤入りカプセルを均等に分散することが技術的に困難である。
<3>液状の補修剤入りカプセルは、カプセルが破壊されるまでは何ら構造的に機能することがないだけでなく、構造的にみて無数のカプセルが断面欠損となって強度的に不利である。
<4>コンクリート製造時やコンクリート施工時に、マイクロカプセルが破損し、自己修復機能を必要とする前に補修剤がコンクリートに漏洩されてしまう。
[C方法の場合]
<1>研究段階では、一部のバクテリアが生化学反応によって炭酸カルシウム結晶を析出してコンクリートを修復することが確認されている。
実際のコンクリートは、強アルカリで、かつ、乾燥状態であるため、このような過酷な環境下で数十年数百年もの長期間に亘って生存し得るバクテリアの選定がすすんでいない。
<2>バクテリアの生存のために栄養源の添加が別途必要であり、コンクリートの添加物が多くなる。
<3>バクテリアは温度変化に対する耐性が弱いため、コンクリート構造物が高温や超低温に晒されると、内部のバクテリアが死滅するため、過酷な温度環境に設置するコンクリートには不向きである。
[共通する問題点]
<1>従来の自己修復型機能を有するコンクリートは、微小なひび割れを単に塞ぐ程度であり、コンクリートの強度保証をするものではない。
<2>何れの方法にあっても、コンクリート自己修復の機能発現の確実性を確保することが難しい。
本考案は以上の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは次の合成短繊維組成物を提供することにある。
<1>実用化が可能な、自己修復機能を持つ合成短繊維組成物を提供すること。
<2>コンクリートのひび割れを自己検知して自己修復し得ること。
<3>コンクリートの製造コストを低減すること。
<4>コンクリートの施工性を損なわないこと。
<5>コンクリートの物性を損なわないこと。
本考案は、セメント系の固結材を含む自己修復型コンクリートに混入して使用され、コンクリートの補強機能と自己修復機能を併有する合成短繊維組成物であって、内部に空隙を有する有機系の加工繊維と有機系の非加工繊維が混在した短繊維と、前記短繊維に担持させたコンクリートの自己補修機能を有する液状または粉状の補修材であって、気硬性エチルシアノアクリレート系接着剤、一液型エポキシ系接着剤、水ガラス系補修剤の何れか一種の補修剤と、補修剤を担持させた短繊維を被覆し、コンクリートの水和熱により溶解しない耐熱性を有する被包膜とを具備する。
前記補修剤は、前記短繊維に吸着されているか、または前記短繊維の表面に塗布されている。
本考案は少なくとも次のひとつの効果を奏する。
<1>合成短繊維組成物は、短繊維本来のコンクリートの補強機能を失わずに、コンクリートの自己修復機能を付与することができる。
<2>補修剤を担持させた短繊維の表面を被包膜で被覆した形態であるので、コンクリートへの混入がし易いだけでなく、躯体コンクリートと固着した被包膜がひび割れ検知機能を発揮してコンクリート躯体のひび割れ発生時に補修剤を確実に放出することができる。
<3>補修機能を有する薬剤を混和材としてコンクリートに混入する場合と比べて、補修材の添加量が少なくて済むため、自己修復型コンクリートのコストを大幅に低減できる。
<4>補修材を被包膜で被覆した形態でコンクリートへ混入するため、コンクリートのワーカビリティへの影響がきわめて小さく、コンクリーの施工性を損なうことがない。
<5>補修材は被包膜で被覆した形態でコンクリートへ混入されてコンクリートと直接触れないから、コンクリートの配合比が極端に増えることがなくなり、したがって、水和熱によるコンクリートの温度ひび割れを未然に防止できる。
<6>補修剤を被包膜で被覆して保護するため、補修剤の品質が経年劣化する心配がない。
<7>以上のことから、これまで実用化が難しいとされてきたパッシブ型自己修復機能を有するコンクリートの実用化が可能となる。
自己修復型コンクリートの概念説明図
以下に図面を参照しながら本考案を実施するための形態について詳しく説明する。
<1>自己修復型コンクリート
自己修復型コンクリートは、少なくともセメントAと、該セメントAの水和に必要な水Bと、補強機能と自己補修機能を併有する合成短繊維組成物Cとを含有する。
セメントAとしては、例えば、普通、中庸熱、低熱、早強、超早強、耐硫酸塩など各種ポルトランドセメント、高炉セメントやフライアッシュセメントおよびシリカセメントなどの混合セメントなどから少なくとも一種を挙げることができ、具体的には、JIS R 5210、JIS R 5211、JIS R 5212、JIS R 5213等で規定されたポルトランドセメント、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント等が挙げられる。
合成短繊維組成物Cを、コンクリート用の混和材に含めて用いることで、コンクリート構造物にひび割れが発生したときに合成短繊維組成物C内から補修材20が滲出して、ひび割れの発生したコンクリート構造物の自己修復が可能となる。
<2>合成短繊維組成物
合成短繊維組成物Cは、主材となる短繊維10と、短繊維10に担持させた補修剤20と、補修剤20を担持させた短繊維10の表面を被覆する被包膜30とにより構成する。
<2.1>短繊維
短繊維10は補修材20を担持する部材であるとともに、コンクリートの流し込み施工、又は注入施工に適した流動性を有するための靭性を向上させるために機能する部材であり、特定の繊維長と繊維径を有する。
短繊維10としては、糸繊度が200〜10000dtex程度の範囲が好ましい。
短繊維10の繊維径や繊維長は、使途等に応じて適宜選択して使用する。
短繊維10としては、例えばポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等のポリオレフィン繊維、ポリスチレン繊維、ポリアクリロニトリル繊維、ビニロン繊維等のポリビニルアルコール繊維などの公知の有機系の素材が用いることができる。
補修材20の担持性を考慮すると、短繊維10は内部に空隙を有するように加工繊維と非加工繊維を混在したものが望ましい。
<2.2>補修剤
短繊維10に担持させる補修剤は、コンクリート構造物のひび割れ修復機能を有する液状または粉状のもので、例えば、公知の気硬性エチルシアノアクリレート系接着剤、一液型エポキシ系接着剤、水ガラス系補修剤等を適用できる。
補修剤20はコンクリートの用途や使用目的と供用環境等を考慮して適宜のものを選択する。
短繊維10に補修剤20を担持させるには、次の方法を採用できる。
1)含浸等により短繊維10に補修剤20を吸着させる方法。
2)短繊維10の表面に補修剤20を塗布、または吹き付けにより付設する方法。
補修剤20は被包膜30によって封入されていて、被包膜30が破断するまでは流出せず、被包膜30が破断することで滲出する。
<2.3>被包膜
短繊維10の全体を被覆する被包膜30は、補修剤が外気や水と触れて硬化することを阻止する硬質の封入用膜体である。
被包膜30としては、各種樹脂、植物性または動物性細胞膜等の割裂性材料等を使用できる。
被包膜30に求められる物性は、躯体コンクリートの強度相当の断裂強度を有している。さらに被包膜30は、コンクリートの混練時や打設時に断裂しないだけの強度と、コンクリートの水和熱により溶解しない耐熱性も併有している。
[自己修復型コンクリートの製造方法]
つぎに自己修復型コンクリートの製造方法について説明する。
<1>配分材料
自己修復型コンクリートの組成は以下のとおりである。
Figure 0003207825
合成短繊維組成物Cは表面が被包膜30で覆われていて、内部の補修材20が非接触状態で封入されているため、セメントを特別に増量する必要がない
<2>混練
コンクリート材料の混練時に、合成短繊維組成物Cを混入して撹拌する。
混練時に合成短繊維組成物Cは非水溶性で、断裂しないだけの強度を有することから、コンクリートの混練時に合成短繊維組成物Cの被包膜30が損傷を受けることがない。
<3>打設
自己修復型コンクリートを通常と同様に打設して各種コンクリート構造物の構築に供する。
コンクリートの打設に際し、合成短繊維組成物Cの表面を覆う硬質の被包膜30が損傷せず、内部の補修材20は封入状態を維持する。
またコンクリートの配合は従来と同様であるので、コンクリートの流動性が悪化したり、水和熱が高まったりするといった弊害を回避できる。
[自己修復作用]
つぎに自己修復コンクリートの自己修復作用について説明する。
<1>通常時
硬化した自己修復型コンクリートの内部において、合成短繊維組成物Cは被包膜30を介して相互に力の伝達が可能な状態で躯体コンクリートと固着している。
補修剤は被包膜30によって隔絶されていて、未硬化状態を維持する。
躯体コンクリート中に埋設された合成短繊維組成物Cは短繊維10を主材としているから、通常の繊維コンクリートと同様に躯体コンクリートの補強やひび割れの抵抗に役立ち、コンクリート構造物の長寿命化に貢献する。
<2>ひび割れ発生時における自己検知
躯体コンクリートの一部にひび割れが発生すると、躯体コンクリートと一体に固着した合成短繊維組成物Cの被包膜30の一部が割裂する。
合成短繊維組成物Cの外形は短繊維10の形状とほぼ同形であるから、その全長にわたって躯体コンクリートの断裂変位を検知することができる。
<3>コンクリートの自己修復
被包膜30の一部が割裂すると、短繊維10に担持させた補修剤20が外部へ滲出して、ひび割れ部分の空隙内に浸透する。
流出した補修剤20は外部環境(空気・水・コンクリート構造物に含まれる化学物質)に反応して躯体コンクリートの自己修復が進行する。
躯体コンクリートの自己修復にあたり、補修剤20が機能するだけでなく、躯体コンクリートに残置した短繊維10が躯体コンクリートの強度確保に役立つので、ひび割れ箇所は閉鎖されるだけでなく、躯体コンクリートの強度低下を回避することが可能となる。
C・・・・合成短繊維組成物
10・・・短繊維
20・・・補修剤
30・・・被包膜
本考案はコンクリートのパッシブ型自己修復(自己治癒)技術に関し、特にコンクリートの自己修復機能を有する自己修復型コンクリート構造物に関する。
一般にコンクリート構造物は経年劣化に伴いクラックを生じる。クラックを放置すると浸水して鉄筋の腐食の進行や凍結融解に対する抵抗性が劣り、突発的な剥離事故や破壊事故を誘発する。
特に高速道路や橋等の大型コンクリート構造物にあっては、コンクリートの劣化に起因した破壊は大事故につながり、大変危険である。
このような事態を回避する方法として、コンクリート自体に自己修復機能を予め付与してインテリジェント化した自己修復型機能を有するコンクリートの研究開発がすすめられている。
自己修復機能を有するコンクリートに関する技術としては次の方法が提案されている。
A.補修機能を有する薬剤を混和材としてコンクリートに混入する方法(特許文献1)。
B.液状の補修剤をマイクロカプセルに封入したマイクロカプセルをコンクリートへ混入する方法。
C.補修機能を持つ特殊バクテリアをセメントの代替として用いる方法。
特開2012−153577号公報
上記した従来技術にはそれぞれ次のような問題点を内包しているため、実用化されるまでには至っていない。
[A方法の場合]
<1>補修機能を持つ薬剤を混和材としてコンクリートに直接混入するため、薬剤が水やセメントに反応して、コンクリートが変質する。
<2>高価な薬剤を混和材として大量に添加するため、最終的にコンクリート構造物の製造コストが高くなる。
<3>補修機能を持つ薬剤を混和材として多量に添加するため、一般のコンクリートの配合比と比べて混和材の配合比率が高くなる。
この為、コンクリートのワーカビリティが低下して、施工性が極端に悪化する。
<4>施工性の悪化を避けるため、セメントと水の配合比を増やすと、水和反応により生ずる水和熱が高くなり、コンクリート構造物の温度ひび割れの原因となる。
[B方法の場合]
<1>補修剤をマイクロカプセルに封入した構造であるため、製造コストが嵩む。
<2>密度等の要因によりコンクリート中に補修剤入りカプセルを均等に分散することが技術的に困難である。
<3>液状の補修剤入りカプセルは、カプセルが破壊されるまでは何ら構造的に機能することがないだけでなく、構造的にみて無数のカプセルが断面欠損となって強度的に不利である。
<4>コンクリート製造時やコンクリート施工時に、マイクロカプセルが破損し、自己修復機能を必要とする前に補修剤がコンクリートに漏洩されてしまう。
[C方法の場合]
<1>研究段階では、一部のバクテリアが生化学反応によって炭酸カルシウム結晶を析出してコンクリートを修復することが確認されている。
実際のコンクリートは、強アルカリで、かつ、乾燥状態であるため、このような過酷な環境下で数十年数百年もの長期間に亘って生存し得るバクテリアの選定がすすんでいない。
<2>バクテリアの生存のために栄養源の添加が別途必要であり、コンクリートの添加物が多くなる。
<3>バクテリアは温度変化に対する耐性が弱いため、コンクリート構造物が高温や超低温に晒されると、内部のバクテリアが死滅するため、過酷な温度環境に設置するコンクリートには不向きである。
[共通する問題点]
<1>従来の自己修復型機能を有するコンクリートは、微小なひび割れを単に塞ぐ程度であり、コンクリートの強度保証をするものではない。
<2>何れの方法にあっても、コンクリート自己修復の機能発現の確実性を確保することが難しい。
本考案は以上の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは次の自己修復型コンクリート構造物を提供することにある。
<1>実用化が可能な、自己修復機能を持つ合成短繊維組成物を含む自己修復型コンクリート構造物を提供すること。
<2>コンクリートのひび割れを自己検知して自己修復し得ること。
<3>コンクリートの製造コストを低減すること。
<4>コンクリートの施工性を損なわないこと。
<5>コンクリートの物性を損なわないこと。
本考案は、少なくともセメント系の固結材とコンクリートの補強機能と自己修復機能を併有する合成短繊維組成物とを含む自己修復型コンクリート構造物であって、前記合成短繊維組成物は、内部に空隙を有する有機系の加工繊維と有機系の非加工繊維が混在した短繊維と、前記短繊維に担持させたコンクリートの自己補修機能を有する液状または粉状の補修材であって、気硬性エチルシアノアクリレート系接着剤、一液型エポキシ系接着剤、水ガラス系補修剤の何れか一種の補修剤と、補修剤を担持させた短繊維を被覆し、コンクリートの水和熱により溶解しない耐熱性を有する被包膜とを具備する。
前記補修剤は、前記短繊維に吸着されているか、または前記短繊維の表面に塗布されている。
本考案は少なくとも次のひとつの効果を奏する。
<1>合成短繊維組成物は、短繊維本来のコンクリートの補強機能を失わずに、コンクリートの自己修復機能を付与することができる。
<2>補修剤を担持させた短繊維の表面を被包膜で被覆した形態であるので、コンクリートへの混入がし易いだけでなく、躯体コンクリートと固着した被包膜がひび割れ検知機能を発揮してコンクリート躯体のひび割れ発生時に補修剤を確実に放出することができる。
<3>補修機能を有する薬剤を混和材としてコンクリートに混入する場合と比べて、補修材の添加量が少なくて済むため、自己修復型コンクリートのコストを大幅に低減できる。
<4>補修材を被包膜で被覆した形態でコンクリートへ混入するため、コンクリートのワーカビリティへの影響がきわめて小さく、コンクリーの施工性を損なうことがない。
<5>補修材は被包膜で被覆した形態でコンクリートへ混入されてコンクリートと直接触れないから、コンクリートの配合比が極端に増えることがなくなり、したがって、水和熱によるコンクリートの温度ひび割れを未然に防止できる。
<6>補修剤を被包膜で被覆して保護するため、補修剤の品質が経年劣化する心配がない。
<7>以上のことから、これまで実用化が難しいとされてきたパッシブ型自己修復機能を有するコンクリートの実用化が可能となる。
自己修復型コンクリートの概念説明図
以下に図面を参照しながら本考案を実施するための形態について詳しく説明する。
<1>自己修復型コンクリート
自己修復型コンクリートは、少なくともセメントAと、該セメントAの水和に必要な水Bと、補強機能と自己補修機能を併有する合成短繊維組成物Cとを含有する。
セメントAとしては、例えば、普通、中庸熱、低熱、早強、超早強、耐硫酸塩など各種ポルトランドセメント、高炉セメントやフライアッシュセメントおよびシリカセメントなどの混合セメントなどから少なくとも一種を挙げることができ、具体的には、JIS R 5210、JIS R 5211、JIS R 5212、JIS R 5213等で規定されたポルトランドセメント、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント等が挙げられる。
合成短繊維組成物Cを、コンクリート用の混和材に含めて用いることで、コンクリート構造物にひび割れが発生したときに合成短繊維組成物C内から補修材20が滲出して、ひび割れの発生したコンクリート構造物の自己修復が可能となる。
<2>合成短繊維組成物
合成短繊維組成物Cは、主材となる短繊維10と、短繊維10に担持させた補修剤20と、補修剤20を担持させた短繊維10の表面を被覆する被包膜30とにより構成する。
<2.1>短繊維
短繊維10は補修材20を担持する部材であるとともに、コンクリートの流し込み施工、又は注入施工に適した流動性を有するための靭性を向上させるために機能する部材であり、特定の繊維長と繊維径を有する。
短繊維10としては、糸繊度が200〜10000dtex程度の範囲が好ましい。
短繊維10の繊維径や繊維長は、使途等に応じて適宜選択して使用する。
短繊維10としては、例えばポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等のポリオレフィン繊維、ポリスチレン繊維、ポリアクリロニトリル繊維、ビニロン繊維等のポリビニルアルコール繊維などの公知の有機系の素材が用いることができる。
補修材20の担持性を考慮すると、短繊維10は内部に空隙を有するように加工繊維と非加工繊維を混在したものが望ましい。
<2.2>補修剤
短繊維10に担持させる補修剤は、コンクリート構造物のひび割れ修復機能を有する液状または粉状のもので、例えば、公知の気硬性エチルシアノアクリレート系接着剤、一液型エポキシ系接着剤、水ガラス系補修剤等を適用できる。
補修剤20はコンクリートの用途や使用目的と供用環境等を考慮して適宜のものを選択する。
短繊維10に補修剤20を担持させるには、次の方法を採用できる。
1)含浸等により短繊維10に補修剤20を吸着させる方法。
2)短繊維10の表面に補修剤20を塗布、または吹き付けにより付設する方法。
補修剤20は被包膜30によって封入されていて、被包膜30が破断するまでは流出せず、被包膜30が破断することで滲出する。
<2.3>被包膜
短繊維10の全体を被覆する被包膜30は、補修剤が外気や水と触れて硬化することを阻止する硬質の封入用膜体である。
被包膜30としては、各種樹脂、植物性または動物性細胞膜等の割裂性材料等を使用できる。
被包膜30に求められる物性は、躯体コンクリートの強度相当の断裂強度を有している。さらに被包膜30は、コンクリートの混練時や打設時に断裂しないだけの強度と、コンクリートの水和熱により溶解しない耐熱性も併有している。
[自己修復型コンクリートの製造方法]
つぎに自己修復型コンクリートの製造方法について説明する。
<1>配分材料
自己修復型コンクリートの組成は以下のとおりである。
Figure 0003207825
合成短繊維組成物Cは表面が被包膜30で覆われていて、内部の補修材20が非接触状態で封入されているため、セメントを特別に増量する必要がない
<2>混練
コンクリート材料の混練時に、合成短繊維組成物Cを混入して撹拌する。
混練時に合成短繊維組成物Cは非水溶性で、断裂しないだけの強度を有することから、コンクリートの混練時に合成短繊維組成物Cの被包膜30が損傷を受けることがない。
<3>打設
自己修復型コンクリートを通常と同様に打設して各種コンクリート構造物の構築に供する。
コンクリートの打設に際し、合成短繊維組成物Cの表面を覆う硬質の被包膜30が損傷せず、内部の補修材20は封入状態を維持する。
またコンクリートの配合は従来と同様であるので、コンクリートの流動性が悪化したり、水和熱が高まったりするといった弊害を回避できる。
[自己修復作用]
つぎに自己修復コンクリートの自己修復作用について説明する。
<1>通常時
硬化した自己修復型コンクリートの内部において、合成短繊維組成物Cは被包膜30を介して相互に力の伝達が可能な状態で躯体コンクリートと固着している。
補修剤は被包膜30によって隔絶されていて、未硬化状態を維持する。
躯体コンクリート中に埋設された合成短繊維組成物Cは短繊維10を主材としているから、通常の繊維コンクリートと同様に躯体コンクリートの補強やひび割れの抵抗に役立ち、コンクリート構造物の長寿命化に貢献する。
<2>ひび割れ発生時における自己検知
躯体コンクリートの一部にひび割れが発生すると、躯体コンクリートと一体に固着した合成短繊維組成物Cの被包膜30の一部が割裂する。
合成短繊維組成物Cの外形は短繊維10の形状とほぼ同形であるから、その全長にわたって躯体コンクリートの断裂変位を検知することができる。
<3>コンクリートの自己修復
被包膜30の一部が割裂すると、短繊維10に担持させた補修剤20が外部へ滲出して、ひび割れ部分の空隙内に浸透する。
流出した補修剤20は外部環境(空気・水・コンクリート構造物に含まれる化学物質)に反応して躯体コンクリートの自己修復が進行する。
躯体コンクリートの自己修復にあたり、補修剤20が機能するだけでなく、躯体コンクリートに残置した短繊維10が躯体コンクリートの強度確保に役立つので、ひび割れ箇所は閉鎖されるだけでなく、躯体コンクリートの強度低下を回避することが可能となる。
C・・・・合成短繊維組成物
10・・・短繊維
20・・・補修剤
30・・・被包膜

Claims (3)

  1. セメント系の固結材を含む自己修復型コンクリートに混入して使用され、コンクリートの補強機能と自己修復機能を併有する合成短繊維組成物であって、
    内部に空隙を有する有機系の加工繊維と有機系の非加工繊維が混在した短繊維と、
    前記短繊維に担持させたコンクリートの自己補修機能を有する液状または粉状の補修材であって、気硬性エチルシアノアクリレート系接着剤、一液型エポキシ系接着剤、水ガラス系補修剤の何れか一種の補修剤と、
    補修剤を担持させた短繊維を被覆し、コンクリートの水和熱により溶解しない耐熱性を有する被包膜とを具備することを特徴とする、
    合成短繊維組成物。
  2. 前記短繊維に補修剤が吸着されていることを特徴とする、請求項1に記載の合成短繊維組成物。
  3. 短繊維の表面に補修剤が付設されていることを特徴とする、請求項1に記載の合成短繊維組成物。
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