JP3196841B2 - 異方性薄膜評価方法、評価装置及び記録媒体 - Google Patents

異方性薄膜評価方法、評価装置及び記録媒体

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学的異方性を有
する薄膜の評価方法及び評価装置に関する。
【0002】
【従来の技術】光学的異方性を有する薄膜としては、例
えば、液晶表示素子において液晶分子に初期配向を与え
る膜(液晶配向膜)などが挙げられる。
【0003】異方性薄膜の評価方法として、これまで、
各種の方法が提案されている。例えば、(1)複数の波長
の光を入射した際に発生する反射光強度の入射角依存性
を測定する方法(特開平05-005699号公報:磯部「異方
性薄膜の屈折率及び膜厚測定方法」、特開平04-329333
号公報:磯部「異方性薄膜の屈折率及び膜厚を測定する
方法」)、(2)反射光強度の入射角及び入射方位依存性
から測定する方法(特開平03-065637:磯部「薄膜の屈
折率膜厚測定法」)、(3)直線偏光した入射光をレンズ
を用いて集光し、S偏光成分のみおよびP偏光成分のみ
のをもつ入射光による反射光強度の入射角および入射方
位依存性を能率的に測定する方法(特開平08-152307:
宇川「光学定数測定方法および測定装置」)などが提案
されている。
【0004】特に、特開平08-152307号公報に開示の技
術は、高い空間分解能をもつという優れた特徴をもつ。
通常、試料面上の光があたる領域を小さくして空間分解
能を上げるためには、入射光をレンズで集光する。しか
しながら、レンズで集光した場合は、光線の試料に対す
る入射角に分散が発生して反射光の強度および偏光状態
の入射角依存性の正確な測定ができないため、一般に
は、空間分解能に制限が生じる。特開平08-152307号公
報に開示の技術では、入射光をレンズで集光したときに
はレンズの周辺に近い部分を通過する光の方がレンズの
中央部を透過する光に比べて試料に対してより大きな入
射角をもつことを利用し、大きな開口数の短い焦点距離
のレンズを用いることにより入射角度に大きな角度分散
を実現し、さらに反射光を同一のレンズで平行光線化し
1次元または2次元検出器によって反射光強度プロファ
イルを測定する。すると、この測定された反射光強度プ
ロファイルは反射光強度の入射角依存性をあらわすた
め、位置分解能が高い検出器を用いることで、微小域に
おいても反射光強度の入射角依存性を高精度で測定する
ことが可能となり、高い空間分解能を実現している。こ
の方法では、薄膜の屈折率、膜厚を決定するにあたり、
入射光のS波成分とP波成分の反射強度の入射角依存性
が膜の屈折率や膜厚に依存することを利用し、集光レン
ズには直線偏光した光を入射する。この際、偏光方向と
平行な動径方向でレンズに入射した光は試料に入射する
際にはP偏光成分のみをもち、これと垂直な動径方向か
ら試料に入射した光はS偏光成分をもつ。そこでこれら
2方向での反射光強度を測定することによりS偏光成分
とP偏光成分の反射強度の入射角依存性を測定できる。
膜が異方性をもつ場合は入射光の直線偏光の偏光方向を
回転させることで、試料に入射するS偏光およびP偏光
成分の光の方位をかえて入射方位依存性の測定を行な
う。
【0005】薄膜が等方的な場合、及び異方的薄膜でも
3つの主誘電率座標軸のうち2つの軸が膜表面に平行な
場合(つまり1つの軸が膜表面に垂直な場合)は、S偏
光成分の光が入射するS偏光成分のみ、P偏光成分の光
が入射するとP偏光成分のみの反射光が得られるため、
反射光の偏光状態を測定することを必要としない。しか
し、主誘電率座標系が膜表面に対して傾きをもつ場合に
は、反射光がS偏光成分とP偏光成分の両方を含むこと
になる。このような異方性膜を評価する場合は、反射光
強度の異方性ではなく、偏光状態の異方性を測定する必
要がある。
【0006】反射光の偏光状態の入射方位依存性の測定
による異方性膜評価法として、本発明者は、試料を面内
回転させ反射光の偏光状態を測定し、その偏光状態の入
射方位依存性から、配向部の誘電率、膜厚及び主誘電率
座標の方向、無配向部の誘電率と膜厚を決定する方法を
提案している(特開平09-218133号公報:広沢「異方性
薄膜評価法及び評価装置」)。この手法は、測定された
反射光の偏光状態の異方性を再現するように誘電率、膜
厚及び主誘電率座標の方向、無配向部の誘電率と膜厚を
最適化することで、異方的な膜構造を決定するものであ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述した特開平09-218
133号公報に開示した方法は、測定された反射光の偏光
状態の異方性を再現するように誘電率、膜厚及び主誘電
率座標の方向、無配向部の誘電率と膜厚を最適化するこ
とで、異方的な膜構造を決定するものであるが、誘電
率、膜厚及び主誘電率座標の方向、無配向部の誘電率と
膜厚の最適化を非線形最小二乗法で行うため、精度や所
要時間がパラメータの初期値に大きく依存し、その作業
には相当の熟練を要する。特に、面内分布測定などの多
点のパラメータを決定する場合、誘電率、膜厚及び主誘
電率座標の方向、無配向部の誘電率と膜厚を決定するた
めの非線形最小二乗法によるデータ処理に莫大な時間が
必要となる。
【0008】本発明の目的は、このデータ処理に要する
時間を短縮する方法を与え、面内分布評価などの多点測
定を効率よく行うことができる異方性薄膜評価方法と装
置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の異方性薄膜評価
方法は、異方性を有する薄膜試料を評価する方法であっ
て、一定の偏光状態の光を一定の角度で試料の表面に入
射したときに発生する反射光の偏光状態の入射方位依存
性を測定し、測定された反射光の偏光状態の位相差成分
及び振幅比成分の入射方位に関するフーリエ係数を算出
し、位相差成分の最大値と最小値の差と、振幅比成分の
最大値と最小値の差を算出し、フーリエ係数及び各差に
基づいて、少なくとも試料の異方性部分の誘電率テンソ
ル及び膜厚を決定する。
【0010】本発明の異方性薄膜評価装置は、異方性を
有する薄膜試料を評価する装置であって、一定の偏光状
態の単色光を発生して試料に入射させる光源と、試料の
表面に平行な面内で前記試料を回転させる回転ステージ
と、試料からの反射光を検出する検出器と、を有し、光
源からの一定の偏光状態の光を試料に入射したときに発
生する反射光の偏光状態の入射方位依存性を、回転ステ
ージによって試料の表面に平行な面内で試料を回転させ
て測定し、測定された反射光の偏光状態の位相差成分及
び振幅比成分の入射方位に関するフーリエ係数と、位相
差成分の最大値と最小値の差と、振幅比成分の最大値と
最小値の差とを算出し、フーリエ係数及び各差に基づい
て、少なくとも試料の異方性部分の誘電率テンソル及び
膜厚を決定する。
【0011】本発明では、反射光の偏光状態の入射方位
依存性の測定結果から誘電率、膜厚及び主誘電率座標の
方向、無配向部の誘電率と膜厚を決定する際に、反射光
の位相差成分及び振幅比成分の入射方位に対するフーリ
エ係数を求め、予め計算されている誘電率、膜厚及び主
誘電率座標の方向、無配向部の誘電率と膜厚の反射光の
位相差成分及び振幅成分の入射方位角に対するフーリエ
係数との関係のデータを参照することにより、誘電率、
膜厚及び主誘電率座標の方向、無配向部の誘電率と膜厚
を決定する。これにより、データ処理時間が短縮され、
最小二乗法を用いた最適化によるパラメータ決定に際し
て問題となった、膨大な処理時間や熟練の要求といった
課題が解決され、面内分布評価等の多点評価の能率が改
善される。
【0012】本発明において、偏光状態の位相差成分と
は、典型的には、反射光の直交する2つの偏光成分(例
えば、S偏光成分とP偏光成分)間の位相差であり、位
相状態の振幅比成分とは、反射光の直交する2つの偏光
成分の振幅比の逆正接である。また、本発明において
は、誘電率テンソルを求めるとは、誘電率テンソルの全
ての要素を求めることのほか、誘電率テンソルの一部の
要素を求めることも含まれるものとする。具体的には、
主誘電率座標の方向(あるいは主誘電率座標の膜表面の
法線方向に対する傾斜角)と主誘電率座標系で表わした
2つの誘電率εeoとを求めることが含まれる。
【0013】本発明においては、試料上の複数の測定点
において入射方位依存性を測定することにより、異方性
部分の誘電率テンソル及び膜厚の面内分布を求めるよう
にすることができる。また、求めたフーリエ係数に基づ
いて、試料の等方性部分の誘電率及び膜厚を決定するよ
うにしてもよい。
【0014】(作用)反射光の偏光状態は、4×4行列
により計算できる[D. W. Berrman and T. J. Scheffe
r, Phys. Rev. Lett., 25, 577(1970)(ベルマン、シェ
ファー、フィジカルレビューレターズ、25巻、577
ページ、 1970年)]。この方法にしたがえば、入
射角βで試料に光が入射した場合、ΦI、Φr、Φtによ
ってそれぞれ入射光、反射光および基板への透過光の状
態を表すと、それぞれの間に成立する関係は、配向層の
4×4行列L2及び膜厚d2と、無配向層の4×4行列L
及び膜厚dを用いて Φt=exp(id11)exp(id22)(ΦI+Φr) となる。行列L1において、要素Δ14243132,
Δ33414244は0であり、残りの要素は、 Δ11=−(εe−εo) sinβ sinθ cosθ sinφ/(εe c
os2θ+εo sin2θ), Δ12=1−sin2β/(εe cos2θ+εo sin2θ), Δ13=(εe−εo) sinβ sinθ cosθ cosφ/(εe cos
2θ+εo sin2θ), Δ21=εoe−(εe−εo) sin2θ cos2φ]/(εe cos
2θ+εo sin2θ), Δ22=−εee−εo) sin2θ cos2φ/(εe cos2θ+
εo sin2θ), Δ23=−εoe−εo) sinθ cosφ sinφ/(εe cos2
θ+εo sin2θ), Δ34=1, Δ43=εoe−(εe−εo)sin2θ sin2φ]/(εe cos2
θ+εo sin2θ)−sin 2β で表される。これらの式中で、εeoは、主誘電率座
標系で表した誘電率、θは主誘電率座標の膜表面の法線
方向に対する傾斜角、φは入射光の面内方位角である。
傾斜角θは、Wohler et al, Journal of Optical Socie
ty of America, A5, 1554 (1988)(ウエラー他、ジャー
ナル オブ オプチカル ソサエテイ オブアメリカA5巻
1554ページ 1988年)にしたがって求められる
ものである。
【0015】さらに行列L2においては、要素Δ14,
Δ24313233414244のほか、要素
Δ11221323が0であり、残りの要素は、 Δ12=1−sin2β/ε, Δ21=ε, Δ34=1, Δ43=ε−sin2β となる。以上の式を解いて反射光の偏光状態を求めるこ
とができる。
【0016】以上の式中で、入射方位変化に対応するの
はφである。φに対する依存性のないΔ1234以外の
6つの項の中で、Δ1113以外はφについて2回対称
なので、反射光の偏光状態の入射方位依存性には2回対
称成分が強い。しかし、φの変化に対して、sin
2φ,cos2φよりも、sinφ,cosφ,sinφ
cosφの方が変化が大きい。つまり、φに対して大き
く変化するのは、Δ1113及びΔ23である。このうち
Δ23はφに対して2回対称である。残りのΔ11及びΔ 13
は1回対称であり、ともに、係数に(εe−εo) sinθ c
osθなる成分を含む。2回対称成分も、それぞれ、(εe
−εo)を共通の係数にもつ。つまり2回対称成分には膜
の異方性が反映され、1回対称成分には異方性と傾斜角
θの影響が反映される。これより、傾斜角に関する情報
は、波数2のフーリエ係数の波数1のフーリエ係数に対
する比により明確に現れることが分かる。傾斜角の影響
は、位相差成分Δ、振幅成分ψの両方に現れるが、Δの
方が変化が大きく測定しやすい。
【0017】異方的部分の誘電率の平均が等方部分の誘
電率に一致すると仮定した場合、等方部分の誘電率と全
体の膜厚は、Δ,ψの平均値、つまりΔ,ψの波数0の
フーリエ係数から求める。対象物が等方性である場合
は、従来のエリプソメトリによる屈折率(誘電率)と膜
厚を決定する手法と同じになる。
【0018】配向部分の膜厚及び誘電率の差(εe−εo)
に関し、誘電率の差(εe−εo)が上述した4×4行列の
要素のうち入射方位依存性をもつすべての要素の共通し
た係数であることと、偏光状態φが配向部の厚さdu
4×4行列Luの積に依存すことから、偏光状態ではそ
の位相差成分Δ、振幅成分ψとも配向膜厚duに依存
し、位相差成分Δの最大値と最小値の差は、(εe−εo)
u/εに対して単調増加する一定の範囲内では、(εe
−εo)/εとduとが、位相差成分Δの最大値と最小値
の差に対して同じ効果を与えるパラメータと考えること
ができる。一方、振幅ψの波数1、波数2のフーリエ成
分の値、及び最大値と最小値の差も同様に(εe−εo)d
u/εに依存し、一定の範囲内であれば、(εe−εo)/
εとduが独立の変数と考えることができる。しかし、
e−εo)du/εが一定の場合、位相差Δの最大値と
最小値の差及びフーリエ係数の変化は小さいが、ψの最
大値と最小値の差及びフーリエ係数は、配向膜厚du
応じて大きく変化する。以上のように傾斜角θが位相差
成分Δの波数1と波数2のフーリエ係数の比より、全膜
厚と等方性部分の誘電率εが位相差成分Δ及び振幅成分
ψの平均値(波数0のフーリエ係数)より、(εe−εo)
uが位相差成分の最大値と最小値の差より、配向膜厚
uが振幅成分ψの最大値と最小値の差もしくはフーリ
エ係数より、決定できる。
【0019】以上のようにして、これまでは長い時間と
熟練が必要であった最小二乗法によるデータ処理を効率
的に行うことができるようになる。
【0020】
【発明の実施の形態】次に、本発明の好ましい実施の形
態について、図面を参照して説明する。
【0021】《第1の実施形態》図1は、本発明の薄膜
分子評価方法を実施するためのものであって、試料回転
ステージを備えた評価装置の構成の一例を示す図であ
る。
【0022】この評価装置では、試料が希ガスあるいは
窒素ガスなどの不活性ガス、または真空中の環境の中に
配置されるように、容器1が設けられている。容器1に
は、ガスの導入口としてのバルブ2と、排出口としての
バルブ3とが備えられている。容器1としては、厚さ1
cmのアクリル樹脂製のものと、覗き窓がついたステン
レス製のものの2種類を用意して、後述する測定を実際
に行った。試料9は試料ステージ10上に載置されるも
のとし、容器1の外部には、出力1mWのHe−Neレ
ーザによる光源4と、偏光子5と、位相子6と、検光子
7と、検出器8とが設けられており、光源4から出た単
色光が偏光子5を通過して直線偏光となり、容器1内に
入って試料9に入射し、試料9の表面からの反射光は、
位相子6及び検光子7によって偏光状態を変調され、検
出器8により最終的な強度が測定される。さらに、入射
光に対する試料面の傾きを確認するために、オートコリ
メータ11を取り付けた。試料9の傾きの調整の作業能
率を向上するために、オートコリメータ11での試料9
からの反射光位置をCCDカメラによりモニターし、モ
ニター画像をモニタ(ディスプレイ)13に映し出すよ
うにした。
【0023】試料ステージ10は、試料9へ光の入射方
位を調整するために、回転ステージと平行移動ステージ
の組み合わせより構成されている。試料ステージ10の
詳細な構成が、図2に示されている。
【0024】図2において、回転ステージ21の回転軸
が、試料9の表面上の光があたる位置を通るように配置
されている。回転ステージ21の上に設置された2つの
平行移動ステージ22,23は、それらの移動方向が回
転軸と直交するともに相互に平行移動の方向が直交する
ように、回転ステージ21の上に積層されている。試料
9を載置するための取り付け用板26は、上側の平行移
動ステージ22の上に設けられている。ここで試料表面
のあおり角を調整するためにノブ24が取り付け用板2
6に設けられており、ノブ24を調節することによって
取り付け用板26の傾き角を調整できるようになってい
る。さらに、回転ステージ21の下側には、回転ステー
ジ21に回転軸方向に移動する平行移動ステージ25が
取り付けられている。この平行移動ステージ25は、厚
さの異なる試料の測定に対応するためのものである。さ
らに平行移動ステージ25の下端は、試料ステージ10
全体を容器1に取り付ける際に用いるフランジ27に取
り付けられており、フランジ27には、固定用のボルト
穴28,29,30が設けられている。なお、図2中の矢
印は、回転ステージ21、各平行移動ステージ22,2
3,25の移動方向を示している。
【0025】図3は、試料9の周囲の雰囲気を制御する
ための容器1の構成を示している。容器1のうち、光源
4からの入射光及び試料9からの反射光が通過する部分
には、それぞれ、光の偏光状態に影響を与えないように
溶融石英ガラスの窓31,32を設けた。さらに、試料
9の傾き調整の際に用いるオートコリメータ11での観
察のための窓33も、容器本体34のうち試料9の直上
となる部位に設けられている。この窓33にはクラウン
ガラスBK7を用い、その表面に反射防止処理(ARコ
ート)を施した。
【0026】この評価装置では、試料9での異方性の面
内分布の測定を自動で行なうために、位相子6、検出器
8、試料ステージ10の動作及びデータの取り込みをコ
ンピュータ14により制御している。実際の偏光測定に
は、位相子6に4分の1波長板を採用し、この4分の1
波長板を回転させて方位をかえることにより変調をかけ
て、検出器8に入る光の強度と4分の1波長板の方位角
の関係から偏光状態を決定する回転位相子法を用いた。
位相子6の方位角はエンコーダにより測定した。
【0027】この評価装置を組み立てるにあたり、測定
試料の位置を決定するために、以下の方法を用いた。ま
ず、位相子6の方位角を固定した状態で、表面を金(A
u)でコートした直径10mmの鏡を試料位置におき、
検出器8での反射光強度が最大になるように、試料ステ
ージ10を調整した。次に、表面に金をコートした領域
を有する複数の研磨された光学ガラス片を用意し、金が
コートされた領域の直径が、5mm、3mm、1mmと
段階的に小さくなるようにして各光学ガラス片を試料位
置に配置し、同様の調整を行った。金がコートされた領
域の直径が1mmである鏡(光学ガラス片)を用いて赤
外線強度が最大になった状態で、オートコリメータ11
の位置調整をおこなった。以上の作業は雰囲気を保持す
る容器1の側壁が一部ない状態で行った後、側壁を取り
付けてから再度配置を確認した。なお、入射側及び反射
側のアパーチャには円形のものを用いた。
【0028】次に、上述した評価装置を用いて、試料に
おける薄膜の異方性を評価した例について説明する。
【0029】まず、試料の作成手順を説明する。ガラス
基板(コーニング(Corning)社7059)上に、日産化
学製ポリイミドPI−Cをスピンコートし、90℃で3
0分加熱した後、250℃で60分加熱して、試料Cと
した。上述と同じ装置を用い、容器1を外した状態(大
気中)で、入射角70°で偏光状態(Δ,ψ)を測定
し、通常のエリプソメータによる方法(Azzam and Bash
ara, Ellipsometry andPloralized light, Elsevier, 1
987(アザム、バシャラ 著、エリプソメトリ アンド ポ
ーラライズドライト エルゼビア刊、第4章))により、
膜厚を決定したところ、72nmであった。その後、試
料Cに対し、直径50mmの布ローラーを用いて、押し
込み長0.05mm、回転速度800rpm、基板移動
速度30mm/sで2回のラビングを行った。また、参
照試料として、ベーキング(焼成)後にラビング処理を
施さない試料もあわせて作成した。
【0030】上述したように容器1としてアクリル樹脂
製のものとステンレス製のものを用意したが、ここで
は、アクリル製の容器1を用いてこれら2つの試料の測
定を行った。容器1内にアルゴン(Ar)ガスを導入し
て測定を行った。試料9の高さは、位相子6を固定した
状態で反射光強度が最大になるように調整し、あおりは
オートコリメータ11によって調整した。なお、この試
料アライメントの調整操作は、作業能率をよくするため
容器1を取り付ける前に行い、調整終了後に容器1を取
りつけた。この装置により、回転ステージ21を回転さ
せることによって試料9に対する入射光の方位を5°刻
みで変えながら、ラビングなしの試料の反射光の各偏光
成分の振幅(S成分の振幅とP成分の振幅)を入射角5
0°で測定した。よく知られているように、S成分は試
料表面に平行な方向の偏光成分であり、P成分はS成分
に直交する方向の偏光成分である。ここでは、偏光状態
を表わすパラメータとして、S成分に対するP成分の振
幅比の逆正接で定義されるψと、S成分とP成分の位相
差で定義されるΔとに着目する。ラビングなしの試料に
おけるΔとψの測定された入射方位依存性をそれぞれ図
3と図4に示す。同様の測定をラビングした試料につい
ても実行した。ラビングを施した試料で測定された、Δ
とψの入射方位依存性をそれぞれ図5と図6に示す。ラ
ビングをしない試料では入射方位依存性が見られない一
方、ラビングした試料では明瞭な異方性が観測されてい
る。
【0031】このようにして得られたΔ及びψについ
て、入射方位に関してフーリエ変換を行い、各波数のフ
ーリエ係数を得た。これらのフーリエ係数の比は以下の
表のようになる。波数0は、平均値に相当し、波数1
は、入射方位が1周する間に1周期の変化を示す成分に
相当し、波数2は、入射方位が1周する間に2周期の変
化を示す成分に相当する。
【0032】
【表1】 以上の表に示した値は、波数0についてはフーリエ係数
に測定点数、それ以外の波数については測定点数の半分
を乗じた値であるため、フーリエ係数自身はこれらの値
を72または36で割ったものになる。表1に示した結
果を検討すると、ラビングなしの試料ではΔ,ψともに
波数1以上の成分が極く小さいのに対して、ラビングし
た試料では波数1,2のフーリエ係数が大きくなってい
る。
【0033】ラビングなしの試料のΔ,ψの0次のフー
リエ係数は、それぞれ、184.276及び14.21
9であり、ラビングした試料のΔ,ψの0次のフーリエ
係数は、それぞれ、185.413及び14.327と
なる。この値を用いることにより、通常のエリプソメー
タによる解析から、ラビングなしの試料では誘電率2.
620、膜厚101.5nm、ラビングした試料では誘
電率2.620、膜厚96.4nmを得た。この測定デ
ータを解析するにあたり、配向層の主誘電率座標の傾き
角を膜表面からの角度で定義する。分子配向部の4×4
行列の要素は以下のようになる。
【0034】Δ11=−(εe−εo) sinβ sinθ cosθ s
inφ/(εe sin2θ+εo cos2θ), Δ12=1−sin2β/(εe sin2θ+εo cos2θ), Δ13=(εe−εo) sinβ sinθ cosθ cosφ/(εe sin
2θ+εo cos2θ), Δ21=εoe−(εe−εo) cos2θ cos2φ]/(εe sin
2θ+εo cos2θ), Δ22=−εee−εo) cos2θ cos2φ/(εe sin2θ+
εo cos2θ), Δ23=−εoe−εo) sinθ cosφ sinφ/(εe sin2
θ+εo cos2θ), Δ34=1, Δ43=εoe−(εe−εo)cos2θ sin2φ]/(εe sin2
θ+εo cos2θ)−sin 2β.
【0035】等方的誘電率を2.62としてこの式にし
たがい、反射光の偏光状態とそのフーリエ係数を計算し
た。波数1のフーリエ係数の波数2のフーリエ係数に対
する比が配向部の誘電率の絶対値や配向層の厚さに依存
しないことを利用して、傾斜角を以下のようにして決定
した。
【0036】配向部の誘電率を暫定的に2.76と2.
55、配向部の厚さを30nm、無配向部分の膜厚を6
1.5nmとした。このような条件で、入射角を50°
とし、傾斜角を0°から70°まで10°おきに変化さ
せ、各入射角について入射方位間隔10°で反射光の偏
光状態を計算してフーリエ係数を計算した。表2に波数
1のフーリエ係数の波数2のフーリエ係数に対する比の
計算結果を示す。
【0037】
【表2】 測定結果において、波数1のフーリエ係数の波数2のフ
ーリエ係数に対する比は、Δ成分では0.484とな
り、表2の結果と比較すると、傾斜角は、20°〜30
°と考えられる。測定結果のψ成分の波数1のフーリエ
係数の波数2のフーリエ係数に対する比は1を越え、こ
の値は傾斜角50°以上に対応するが、一般的にΔの方
がψより入射方位依存性が大きく、測定精度も高いと考
えられる。そこで傾斜角を表2にしたがって25°と決
定する。
【0038】続いて、Δの最大値と最小値の差に注目す
る。測定結果では、Δの最大値と最小値の差は10.2
9°である。この値は、配向部の2つの誘電率の平方根
の差と配向部の厚さとの積に比例する。なお、配向部の
2つの誘電率εeoは、 εe = ε(1+2δ/3) εo = ε(1−δ/3) と書ける。ここで、δが0.1の場合は、配向部の誘電
率がεe=2.795,εo=2.533となる。この際
の誘電率の平方根の差は、0.080となる。配向部の
誘電率の平方根の差と配向部膜厚の積とΔの最大値と最
小値の関係を求めるのにあたり、配向部の誘電率εe
oをそれぞれ2.795,2.533に固定し、配向部
の厚さを5,10,15,20,25,30,35,4
0,45,50nmと変化させた。それに応じて、全体
の膜厚が波数0のフーリエ係数から決定した膜厚になる
ように、無配向部の厚さをそれぞれ、91.6,86.
4,81.6,76.4,71.6,66.4,61.
6,56.4,51.6,46.4nmとした。なお、
主誘電率座標の傾斜角は、先に決定した通り25°とし
た。以上の条件で反射光の偏光状態を方位間隔10°で
計算して得られたΔの最大値と最小値の差を表3に示
す。
【0039】
【表3】 この表3より配向部膜厚20nmの場合が最も測定値に
近いことが分かる。この際の(εe−εo)du/εは、
2.0となる。次いで、ψの最大値と最小値の差から配
向部の膜厚を決定する。(εe−εo)du/ε=2.0の
条件が成立する配向部の誘電率と膜厚の関係は以下の表
4のようになる。
【0040】
【表4】 表4に示すように、(εe−εo)du/εが一定でも、Δ
の最大値と最小値の差は必ずしも一定でない。Δの最大
値と最小値の差に対するψの最大値と最小値の差の比
は、(εe−εo)/εとduに依存するが、配向部の膜厚
が一定の場合、その比は近似的に(εe−εo)/εに比例
する。そこで、Δの最大値と最小値の差が10.56を
与える(εe−εo)/εから計算されたψの最大値と最小
値の差は、以下の表5のように推定される。
【0041】
【表5】 測定されたψの差の最大値と最小値の差が2.28°で
あるから、配向部分の膜厚は40〜45nmと推定され
る。この際、表5の推定値のψの最大値と最小値の差を
与える配向部の誘電率εeoは、δの値に表5の値と
表4の値の比を乗じて推定する。その結果は、膜厚40
nmに対して、2.724及び2.568であり、膜厚
45nmに対して2.719,2.571となる。これ
らの値を用いてΔ,ψの最大値と最小値の差を改めて計
算すると、膜厚40nmに場合には、Δの最大値と最小
値の差が10.28°、ψの最大値と最小値の差が1.
99°となり、膜厚45nmの場合には、Δの最大値と
最小値の差が10.15°、ψの最大値と最小値の差が
2.28°となる。
【0042】最適値は、上述した2つの場合の間にある
と推定されるが、前者よりも後者の方が、測定された
Δ,ψの最大値と最小値の差に計算値が近いため、後者
を解として採用する。図8及び図9に、後者のパラメー
タより計算された反射光の偏光状態の入射方位依存性と
実際の測定結果とをそれぞれ実線と白丸とによって示
す。図8に示したように、位相差成分Δは測定値と計算
値とがよく一致しているが、図9に示した振幅比成分ψ
では、方位角100°近傍での不一致が大きい。これは
最適化が不十分なためではなく、膜による光の吸収を0
と仮定したことが原因である。ここで示したパラメータ
決定プロセスは、図10に示した手順にしたがって、コ
ンピュータ14(図1)による制御によって、自動的に
実行した。
【0043】図10に示したプロセスでは、まず、試料
の偏光測定を行い(ステップ101)、位相差成分Δに
最大値と最小値の差の計算、振幅比の逆正接ψの最大値
と最小値との差の計算を実行する(ステップ102)。
そして、フーリエ係数を計算して、フーリエ係数のうち
波数1の波数2に対する比を求め(ステップ103)、
波数0のフーリエ係数から、全膜厚、等方的誘電率を決
定する(ステップ104)。波数1の波数2に対する比
について、測定値と計算値を比較して傾斜角を決定する
(ステップ106)。その後、(εe−εo)/εに暫定値
を使用して、(εe−εo)du/εに対する位相差成分Δ
の最大値と最小値を計算し(ステップ107)、この最
大値と最小値の差について、測定値と計算値とを比較し
(ステップ108)、(εe−εo)du/εを決定する
(ステップ109)。
【0044】次に、(εe−εo)du/εを一定にして、
膜厚dに対するΔ,ψの最大値と最小値の差を計算し
(ステップ110)、位相差成分Δの最大値と最小値の
差が、測定値と計算値とで等しくなるように、ψの最大
値と最小値の差の計算値を補正し推定値とする(ステッ
プ111)。そして、ψの最大値と最小値の差について
測定値と計算値を比較し(ステップ112)、配向部膜
厚を決定し(ステップ113)、Δ,ψの最大値と最小
値の差の計算値がステップ111で求めた推定値と一致
するように、配向部分の誘電率εeoを補正して(ス
テップ114)、処理を終了する。
【0045】以上説明した例では、傾斜角については1
0°間隔、配向部の厚さについては5nm間隔で計算し
たが、それぞれの刻み間隔をより小さくすることによ
り、さらに解析精度の向上が期待できる。
【0046】なお、以上の計算をするために反射光の偏
光状態の入射方位依存性の計算を28回行った。
【0047】通常の非線型最小二乗法による最適化で
は、データの質にもよるが、5個の最適化パラメータの
うち任意の個数の任意の組み合わせについて最低1回は
最適化を行う必要がある。つまり最低31回は最適化の
プロセスが必要であり、パラメータ修正ベクトルを決定
するヘシアン行列を計算するためには1つのパラメータ
につき最低2回反射光の偏光状態の入射方位依存性を計
算する必要がある。それに加えて、修正ベクトルより新
たに決定されたパラメータに基づき反射光の入射方位依
存性を計算して最適化手順の進捗状況を把握する必要が
ある。よって一つの最適化プロセスにおいて最低3回は
反射光の偏光状態を計算する必要がある。通常、ヘシア
ン行列から決定された修正ベクトルはそのノルムが大き
すぎるために、修正ベクトルにしたがって新たに決定さ
れたパラメータでは測定値との一致が悪化することが多
々ある。そのために、修正マーカット法では、ヘシアン
行列の対角要素に一定値を加えて修正ベクトルの方位を
変えつつ、そのノルムを小さくする操作が行われる。ガ
ウス−ニュートン法においても修正ベクトルの方向は変
えず、修正ベクトルに正の定数を乗じることによりノル
ムを減少させることが行われている。これらの操作を含
めると一つの最適化プロセスにおいて、さらに1回以上
の偏光状態の入射方位依存性を計算するプロセスを必要
とする。つまり、通常の非線型最小二乗法による最適化
を用いた場合には、合計で最低124回の偏光状態の入
射方位依存性を計算する必要がある。
【0048】以上の説明したように、本実施の形態は、
反射光の偏光状態の入射方位依存性の計算を28回行え
ばよいので、最低124回の計算を必要とする従来の方
法に比べ、膜構造解析過程に要する時間を最低でも1/
4に短縮できる。なお、一般に非線型最小二乗法におい
ては、最適化過程においてパラメータが局所的な残差二
乗和の極小値に落ち込んでしまい最適化の進捗が滞るこ
とがしばしば起こるため、解に到達するまでに何度も上
記の最適化過程を繰り返す必要がある。測定データにも
よるが、従来通りの非線型最小二乗法では10°間隔で
測定されたデータの最適化に要する時間は、計算に使用
するCPU(中央処理装置)にインテル(Intel)社の
Pentium166MHzを用いた場合、通常10分
程度である。一方、本実施形態で要した計算時間は、同
じCPUを用いた場合に10秒程度であり、作業能率の
飛躍的な向上が得られた。
【0049】《第2の実施形態》第1の実施形態と同じ
装置構成と試料を用いて、試料ステージ10の平行移動
ステージ22,23の移動による面内分布測定を行っ
た。この測定は、図11に示した手順によりコンピュー
タ制御で自動で行った。コンピュータ制御のための構成
については後述する。まず、測定条件をコンピュータ1
4(図1)に入力すると(ステップ121)、コンピュ
ータ14によって測定位置に試料が移動し(ステップ1
22)、次に、試料方位の変更が行われる(ステップ1
23)。その後、反射強度が最大になるように焦点調整
を行い(ステップ124)、偏光測定を行う(ステップ
125)。そして、所定の各方位についての測定が終わ
ったかどうか、すなわち方位回転が完了したかどうかを
判断し(ステップ126)、完了していない場合にはス
テップ123に戻って試料方位を変えた測定を繰り返
す。ステップ126で方位回転が完了している場合に
は、その測定位置での位相差Δの変化量(最大値と最小
値との差)と振幅比の逆正接ψの変化量(最大値と最小
値との差)を決定し、Δとψについて入射方位角によっ
てフーリエ変換を行ってフーリエ係数を決定し(ステッ
プ127)、その後、膜構造を決定し(ステップ12
8)、試料の全測定位置での測定が完了したかどうか、
すなわち面内測定領域が完了したかどうかを判断する
(ステップ129)。面内測定領域が完了している場合
には、処理を終了し、完了していない場合には、ステッ
プ122に戻って測定位置の移動を行い、次の測定点に
試料を移動させて上述の処理を繰り返す。
【0050】最初の測定点において第1の実施形態と同
様に、反射強度から試料高さを最適化し、オートコリメ
ータ11を用いてあおりを調整した。第1の実施形態と
同様に、ある測定点において試料回転により反射光の偏
光状態の入射方位依存性を測定し、その後、平行移動ス
テージを用いて次の測定点に試料を移動させ、試料回転
によりその測定点における反射光の偏光状態の入射方位
依存性を測定し、測定と平行移動とを繰り返して、全測
定点での反射光の偏光状態の入射方位依存性を測定し
た。試料における一辺25mmの正方形の領域を縦横5
mm間隔で格子状に区切り(縦横6点)、合計36点で
測定した。なお、この際の入射方位間隔は、各点とも1
0°である。その結果、波数0のΔ及びψのフーリエ係
数から求めた無配向部の誘電率は2.62±0.01、
膜厚95.4±1.6nmとなった。測定した36点に
おいて、位相差成分Δの波数1のフーリエ成分の波数2
のフーリエ成分に対する比は、0.47から0.52の
間に分布し、傾斜角は23°から27°までの間と決定
された。Δの最大値と最小値の差は、8.6°〜11.
4°、ψの最大値と最小値の差は、1.92°〜2.3
3°に分布した。これにより、配向部の厚さは40nm
ないし45nmと決定された。上述の第1の実施形態で
導入した誘電率の異方性の程度の指標δの面内分布を図
12に示す。δが0.43から0.57の間に分布して
いることが明らかになった。測定開始より図12に示し
た結果を得るまで約90分を要した。
【0051】以上、本発明の好ましい実施形態について
説明したが、本発明においては、コンピュータを用いて
測定を自動化することが好ましい。図13は、図1に示
す評価装置におけるコンピュータ14に使用されるコン
ピュータシステムの具体的な構成を示すブロック図であ
る。
【0052】このコンピュータシステムは、CPU(中
央処理装置)51と、プログラムやデータを格納するた
めのハードディスク装置52と、主メモリ53と、キー
ボードやマウスなどの入力装置54と、CRTなどの表
示装置55と、磁気テープやCD−ROM等の記録媒体
57を読み取る読み取り装置56と、インタフェース装
置58とから構成されている。インタフェース装置58
は、位相子6、検出器8及び試料ステージ10を制御し
これらから信号を取り込むために、これら位相子6、検
出器8及びステージ10とコンピュータシステムとを接
続するためのものである。ハードディスク装置52、主
メモリ53、入力装置54、表示装置55、読み取り装
置56及びインタフェース装置58は、いずれもCPU
51に接続している。
【0053】このコンピュータシステムでは、上述した
各実施の形態で実行する測定を自動的に行わせるための
プログラムを格納した記録媒体57を読み取り装置56
に装着し、記録媒体57からプログラムを読み出してハ
ードディスク装置52に格納し、ハードディスク装置5
2に格納されたプログラムをCPU51が実行すること
により、上述した測定を自動的に行うことが可能にな
る。
【0054】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、一定の偏
光状態の光を一定の角度で試料の表面に入射したときに
発生する反射光の偏光状態の入射方位依存性を測定し、
測定された反射光の偏光状態の位相差成分及び振幅比成
分の入射方位に関するフーリエ係数を算出し、反射光の
偏光状態の位相差成分Δ及び振幅比成分ψの最大値と最
小値の差と、波数0でのフーリエ係数の値と、波数1で
のフーリエ係数の値の波数2のフーリエ係数の値に対す
る比とに注目することにより、各測定点における配向部
の膜厚、誘電率及び主誘電率座標の傾き、無配向部の厚
さ及び誘電率を高速に決定することが可能になるという
効果がある。さらに、平行移動ステージ及び回転ステー
ジとを組み合わせた試料ステージを用いることにより、
配向部の膜厚、誘電率及び主誘電率座標の傾き、無配向
部の厚さ及び誘電率などの面内分布を高速かつ自動的に
測定できるようになるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい実施の形態の薄膜分子配向評
価装置の構成を概念的に示す図である。
【図2】試料ステージの構成を示す斜視図である。
【図3】容器の構成を示す斜視図である。
【図4】ラビングを施していない試料からの反射光のP
成分に対するS成分の位相差Δの入射方位依存性を示す
グラフである。
【図5】ラビングを施していない試料からの反射光のS
成分とP成分の振幅比の逆正接ψの入射方位依存性を示
すグラフである。
【図6】ラビングを施した試料からの反射光のP成分に
対するS成分の位相差Δの入射方位依存性を示すグラフ
である。
【図7】ラビングを施した試料からの反射光のS成分と
P成分の振幅比の逆正接ψの入射方位依存性を示すグラ
フである。
【図8】ラビングを施した試料における反射光の位相差
成分の入射方位依存性を示すグラフであって、本発明の
最適化過程によって得られた膜構造パラメータから計算
された結果を曲線で、測定された入射方位依存性を白丸
で示すグラフである。
【図9】ラビングを施した試料における反射光の振幅比
成分の入射方位依存性を示すグラフであって、本発明の
最適化過程によって得られた膜構造パラメータから計算
された結果を曲線で、測定された入射方位依存性を白丸
で示すグラフである。
【図10】膜の異方性部分の誘電率、主誘電率座標の傾
き、厚さ、及び等方部分の誘電率と厚さを決定する手順
を示した流れ図である。
【図11】膜の異方性部分の誘電率、主誘電率座標の傾
き、厚さ、及び等方部分の誘電率と厚さの面内分布を決
定する手順を示した流れ図である。
【図12】等方部分の誘電率εと異方性部分の誘電率ε
eoとの関係をεe =ε(1+2δ/3),εo=ε(1-
δ/3)と定義した際のδの面内分布測定の結果を示し
たグラフである。
【図13】コンピュータシステムの構成を示すブロック
図である。
【符号の説明】
1 容器 2,3 バルブ 4 光源 5 偏光子 6 位相子 7 検光子 8 検出器 9 試料 10 試料ステージ 11 オートコリメータ 13 モニタ 14 コンピュータ 21 回転ステージ 22,23,25 平行移動ステージ 24 ノブ 26 取り付け用板 27,35 フランジ 28,29,30 ボルト用穴 31,32,33 窓 34 容器本体 37,38,39 ボルト 51 CPU 52 ハードディスク装置 53 主メモリ 54 入力装置 55 表示装置 56 読み取り装置 57 記録媒体 58 インタフェース装置 101〜114,121〜129 ステップ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 21/00 - 21/01 G01N 21/17 - 21/61 G01B 11/06 G01J 4/00 - 4/04 G01J 9/00 - 9/04

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 異方性を有する薄膜試料を評価する方法
    であって、 一定の偏光状態の光を一定の角度で試料の表面に入射し
    たときに発生する反射光の偏光状態の入射方位依存性を
    測定し、 測定された反射光の偏光状態の位相差成分及び振幅比成
    分の入射方位に関するフーリエ係数を算出し、 前記位相差成分の最大値と最小値の差と、前記振幅比成
    分の最大値と最小値の差を算出し、 前記フーリエ係数及び前記各差に基づいて、少なくとも
    前記試料の異方性部分の誘電率テンソル及び膜厚を決定
    する、異方性薄膜評価方法。
  2. 【請求項2】 前記フーリエ係数に基づいて前記試料の
    等方性部分の誘電率及び膜厚を決定する工程をさらに有
    する請求項1に記載の異方性薄膜評価方法。
  3. 【請求項3】 前記試料上の複数の測定点において前記
    反射光の偏光状態の入射方位依存性を測定することによ
    り、前記試料の異方性部分の誘電率テンソル及び膜厚の
    面内分布を評価する請求項1または2に記載の異方性薄
    膜評価方法。
  4. 【請求項4】 前記試料を真空中または不活性ガス中に
    配置して前記反射光の偏光状態の入射方位依存性を測定
    する、請求項1乃至3いずれか1項に記載の異方性薄膜
    評価方法。
  5. 【請求項5】 異方性を有する薄膜試料を評価する装置
    であって、 一定の偏光状態の単色光を発生して試料に入射させる光
    源と、 前記試料の表面に平行な面内で前記試料を回転させる回
    転ステージと、 前記試料からの反射光を検出する検出器と、を有し、 前記光源からの一定の偏光状態の光を前記試料に入射し
    たときに発生する反射光の偏光状態の入射方位依存性
    を、前記回転ステージによって前記試料の表面に平行な
    面内で前記試料を回転させて測定し、測定された反射光
    の偏光状態の位相差成分及び振幅比成分の入射方位に関
    するフーリエ係数と、前記位相差成分の最大値と最小値
    の差と、前記振幅比成分の最大値と最小値の差とを算出
    し、前記フーリエ係数及び前記各差に基づいて、少なく
    とも前記試料の異方性部分の誘電率テンソル及び膜厚を
    決定する、異方性薄膜評価装置。
  6. 【請求項6】 前記回転ステージを制御し前記検出器か
    ら検出データを取り込むことによって、前記試料の表面
    に平行な面内で前記試料を回転させて前記偏光状態の入
    射方位依存性を自動測定し、前記誘電率テンソル及び膜
    厚を決定するコンピュータをさらに有する請求項5に記
    載の異方性薄膜評価装置。
  7. 【請求項7】 異方性を有する薄膜試料を評価する装置
    であって、 一定の偏光状態の単色光を発生して前記試料に入射させ
    る光源と、 前記試料の表面に平行な面内で前記試料を回転させる回
    転ステージと、 前記試料の表面に平行な面内で前記試料を平行移動させ
    る平行移動ステージと、 前記試料からの反射光を検出する検出器と、を有し、 前記光源からの一定の偏光状態の光を前記試料に入射し
    たときに発生する反射光の偏光状態の入射方位依存性
    を、前記平行移動ステージによって前記試料を走査する
    ことにより、前記試料上の複数の測定点のそれぞれにお
    いて、前記回転ステージによって前記試料の表面に平行
    な面内で前記試料を回転させて測定し、測定された反射
    光の偏光状態の位相差成分及び振幅比成分の入射方位に
    関するフーリエ係数と、前記位相差成分の最大値と最小
    値の差と、前記振幅比成分の最大値と最小値の差とを算
    出し、前記各測定点での前記フーリエ係数及び前記各差
    に基づいて少なくとも前記試料の異方性部分の誘電率テ
    ンソル及び膜厚の面内分布を決定する、異方性薄膜評価
    装置。
  8. 【請求項8】 前記回転ステージ及び前記平行移動ステ
    ージを制御し前記検出器から検出データを取り込むこと
    によって、前記各測定点において前記試料の表面に平行
    な面内で前記試料を回転させて前記偏光状態の入射方位
    依存性を自動測定し、前記誘電率テンソル及び膜厚の面
    内分布を決定するコンピュータをさらに有する請求項7
    に記載の異方性薄膜評価装置。
  9. 【請求項9】 前記試料を真空中または不活性ガス中に
    配置して前記反射光の偏光状態の入射方位依存性を測定
    するための容器をさらに有する請求項5乃至8いずれか
    1項に記載の異方性薄膜評価装置。
  10. 【請求項10】 試料の表面に平行な面内で前記試料を
    回転させる回転ステージと、前記試料からの反射光を検
    出する検出器とが接続されたコンピュータで使用される
    プログラムを格納した記録媒体であって、 前記試料の表面に平行な面内で前記試料が回転するよう
    に前記回転ステージを制御する機能と、 前記検出器から検出データを取り込んで、単色光源から
    の一定の偏光状態の光を前記試料に入射したときに発生
    する反射光の偏光状態の入射方位依存性を測定する機能
    と、 測定された反射光の偏光状態の位相差成分及び振幅比成
    分の入射方位に関するフーリエ係数と、前記位相差成分
    の最大値と最小値の差と、前記振幅比成分の最大値と最
    小値の差とを算出し、前記フーリエ係数及び前記各差に
    基づいて、少なくとも前記試料の異方性部分の誘電率テ
    ンソル及び膜厚を決定する機能と、を実現するプログラ
    ムを格納した、コンピュータで読み取り可能な記録媒
    体。
  11. 【請求項11】 試料の表面に平行な面内で前記試料を
    回転させる回転ステージと、 前記試料の表面に平行な
    面内で前記試料を平行移動させる平行移動ステージと、
    前記試料からの反射光を検出する検出器とが接続された
    コンピュータで使用されるプログラムを格納した記録媒
    体であって、 前記試料の表面に平行な面内で前記試料が回転するよう
    に前記回転ステージを制御する機能と、 前記試料の表面に平行な面内で前記試料が平行移動する
    ように前記平行移動ステージを制御する機能と、 前記検出器から検出データを取り込んで、前記試料上の
    複数の測定点のそれぞれにおいて、単色光源からの一定
    の偏光状態の光を前記試料に入射したときに発生する反
    射光の偏光状態の入射方位依存性を測定する機能と、 前記各測定点における前記偏光状態の入射方位依存性か
    ら、各測定点における、反射光の偏光状態の位相差成分
    及び振幅比成分の入射方位に関するフーリエ係数と、前
    記位相差成分の最大値と最小値の差と、前記振幅比成分
    の最大値と最小値の差とを算出し、前記各測定点での前
    記フーリエ係数及び前記各差に基づいて少なくとも前記
    試料の異方性部分の誘電率テンソル及び膜厚の面内分布
    を決定する機能と、を実現するプログラムを格納した、
    コンピュータで読み取り可能な記録媒体。
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