JP3195702U - 港湾内水力発電設備 - Google Patents
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Abstract
【課題】輸送船の積荷の有無によって生じる港湾内の水位の変化を利用した再生可能エネルギー生成の発電設備を提供する。【解決手段】港湾内に設置される発電設備であって、全体が鉛直方向に移動可能である輸送船収容プール1と、前記収容プール1の海水を前記収容プール1の外部に導く少なくとも1の出水口13と、少なくとも1の発電用水車14とを有し、前記収容プール1を上昇させプール内の海水面が港湾内の海水面よりも高い状態において、前記収容プール1内に収容された輸送船5が空荷の状態から積載の状態に変化する際に、前記出水口から放出される積荷体積分の海水によって前記発電用水車14が回転し、電力を生成する。【選択図】図1
Description
本考案は港湾内における水力発電の設備に関する。
水力発電は、水が落下するときのエネルギーで発電用水車を回転させることにより電力を得るものである。代表的な再生可能エネルギーの一つであり、山国の日本においては、以前より山間部のダムと斜面を利用した大掛かりな水力発電が一般的であったが、設置場所の選定が困難であることから、現在は新たなものの建設はほとんどない。
一方、原発事故の影響による再生可能エネルギー見直しの機運の中で、農業用水路、ビル屋上の雨水、下水処理施設の放流水等を利用した、いわゆる小水力発電が見直されつつある(非特許文献1参照)。しかしながら、これら再生可能エネルギーの電力全体に占める割合は微小である。
全国小水力利用推進協議会著「小水力発電事例集(2013)」クリエイト日報2013年
現在、日本のエネルギー自給率は4パーセントで他国に比べて極端に低い(資源エネルギー庁 エネルギー白書2011)。また、火力発電等化石燃料を使用した発電の割合については、震災前の2010年12月で61パーセント、震災後の2012年12月で90パーセントである(資源エネルギー庁「我が国のエネルギー情勢1」)。このままでは、化石燃料の輸入がストップした場合、日本の経済活動、日常生活に悪影響が発生するばかりか、地球温暖化問題の解決にも逆行する。これらの問題を解決するには、現在、火力発電等に頼っている電力源を、水力、風力、太陽光、地熱発電等の再生可能エネルギーに分散する必要がある。
上述の現状を踏まえて、非特許文献1には、水力発電の分野における様々な取り組みが紹介されている。これらに例示されるように、我が国には、これまで見過ごされていた多くのエネルギー生成の場所と方法が存在する。本考案に係る発電設備は、これまで実施又は開示されていない新たな場所における新たな方式による発電設備であり、日本のエネルギー問題及び地球温暖化問題解決の一助となるものである。
本考案は、輸送船の積荷の有無によって生じる港湾内の水位の変化を利用した再生可能エネルギー生成の設備を提供することを課題とする。
本考案は、輸送船の積荷の有無によって生じる港湾内の水位の変化を利用した再生可能エネルギー生成の設備を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本考案に係る発電設備は港湾内に設置される発電設備であって、全体が鉛直方向に移動可能である輸送船収容プールと、前記収容プールの海水を前記収容プールの外部に導く少なくとも1の出水口と、少なくとも1の発電用水車とを有し、前記収容プールを上昇させプールの海水面が港湾内の海水面よりも高い状態において、前記収容プール内に収容された輸送船が空荷の状態から積載の状態に変化する際に、前記出水口から放出される積荷体積分の海水によって前記発電用水車が回転し、電力を生成することを特徴とする。
請求項2に記載の発電設備は、前記出水口が収容プールの壁面に設置され、前記発電用水車は収容プールの出水口内又は出水口近傍に設置され、前記出水口を通過する海水又は前記出水口から排出される海水によって前記発電用水車が回転して電力を生成することを特徴とする。
請求項3に記載の発電設備は、前記出水口及び前記発電用水車は収容プールの前記壁面から離隔して設置され、収容プールの壁面と出水口までの間には導水管及び貯水槽が設置され、積荷体積分の海水は前記導水管を経由して一時貯水槽内に貯水され、輸送船が収容プール外に出た後に導水管を通り出水口より排出され、これにより前記発電用水車が回転して電力を生成することを特徴とする。
本考案により、輸送船の積荷重量の変化によって発生する自然エネルギーの電力への変換が可能となり、日本のエネルギー自給率及び再生可能エネルギーの比率を高めることができる。
本考案に係る発電設備の稼働により、二酸化炭素の発生量が減少し、地球温暖化現象の緩和が実現する。
港湾内で本考案に係る発電設備を稼働させることにより、放水に伴う海中酸素量の増加が起こり、これによりプランクトンが育ち、さらに生物多様性の観点から、小魚が育ち、その後、中型魚、やがて、マグロやクジラといった絶滅危惧種の保護へと発展し、港湾近海は豊かな漁場へと変貌する。
以下、本考案に係る港湾内発電設備の2つの実施形態について図を用いて説明する。実施形態1は請求項2に記載の発電設備、実施形態2は請求項3に記載の発電設備である。
(実施形態1と実施形態2との共通点)
本考案に係る発電設備は港湾内の輸送船接岸壁4に設置される発電設備であって、図1乃至4に示すように、全体が鉛直方向に移動可能である輸送船収容プール1、収容プール1の海水を収容プール1の外部に導く出水口13及び発電用水車13によって構成される。実施形態1の発電設備は収容プール1からの直接放水により発電を行う構成をとり(図1及び図2)、実施形態2は収容プール1からの排水を一時貯水し、出船後に放水を行って発電する構成をとる(図3及び図4)。また、輸送船5としては、満積時と空荷時とで喫水線の高さに大きな差が生じるタンカー、石炭運搬船、鉄鋼運搬船、鉄鋼製品輸送船等の重量船を想定している。
本考案に係る発電設備は港湾内の輸送船接岸壁4に設置される発電設備であって、図1乃至4に示すように、全体が鉛直方向に移動可能である輸送船収容プール1、収容プール1の海水を収容プール1の外部に導く出水口13及び発電用水車13によって構成される。実施形態1の発電設備は収容プール1からの直接放水により発電を行う構成をとり(図1及び図2)、実施形態2は収容プール1からの排水を一時貯水し、出船後に放水を行って発電する構成をとる(図3及び図4)。また、輸送船5としては、満積時と空荷時とで喫水線の高さに大きな差が生じるタンカー、石炭運搬船、鉄鋼運搬船、鉄鋼製品輸送船等の重量船を想定している。
全体が鉛直方向に移動可能である輸送船収容プール1は輸送船を収容できるだけの大きさを有し、壁11及び底面は金属または合成樹脂を素材とする耐圧構造となっている。収容プール1は輸送船5の積載作業開始前までは、海底に沈ませておく。
収容プール1の浮沈原理は潜水艦と同様である。すなわち、壁11内にバラストタンク(不図示)を有し、外部から圧縮空気をバラストタンク内に注入し海水を放出することにより浮力を得、逆に海水を注入することにより沈下する。
(実施形態1)
本実施形態において、発電に至るまでの手順を説明する。
まず、輸送船5への積載作業が始まる前に収容プール1を浮上させる。図1に示すように、実施形態1においては、複数の出水口13及び発電用水車14はプール壁11に設置されており、輸送船1が空荷の状態で収容プール1を浮上させたときには収容プール1内の海水面12が港湾内の海水面6よりも高い状態にあり、かつ、出水口13は収容プール1内の海水面12より高い位置にある。
本実施形態において、発電に至るまでの手順を説明する。
まず、輸送船5への積載作業が始まる前に収容プール1を浮上させる。図1に示すように、実施形態1においては、複数の出水口13及び発電用水車14はプール壁11に設置されており、輸送船1が空荷の状態で収容プール1を浮上させたときには収容プール1内の海水面12が港湾内の海水面6よりも高い状態にあり、かつ、出水口13は収容プール1内の海水面12より高い位置にある。
上述の状態で荷積を開始すると、積荷の重量により輸送船の船体が徐々に沈んでいき、排水無き場合には積荷体積分だけ収容プール1内の海水面12が上昇する。しかし、出水口13が開放された状態では、海水面12が出水口13の下縁に届いた瞬間より出水口13からの放水が始まり、発電用水車14が回転し、発電が開始される。
発電用水車14は通常、出水口13の外部に着設されるが、海水の通路である出水口13の内部に設置してもよい。また、積荷作業が遅いため海水の流れが水車14を回すのに十分でない場合には、作業中はすべての出水口13を閉じておいて、プール内の海水面12が出水口13の上縁に達した後に一斉に出水口13を開放するといった方法をとることもできる。
(実施形態2)
実施形態2は、前述したように、積荷体積分の海水を一旦貯水しておいて、時間をあけて発電を開始する設備である。輸送船の積荷が少なかったり、積荷作業に時間を要したりするために、直接放水では発電に十分な海水の圧力を得られない場合に有効である。
実施形態2は、前述したように、積荷体積分の海水を一旦貯水しておいて、時間をあけて発電を開始する設備である。輸送船の積荷が少なかったり、積荷作業に時間を要したりするために、直接放水では発電に十分な海水の圧力を得られない場合に有効である。
本実施形態においては、図3及び図4に示すように、出水口13及び発電用水車14はプールの壁11から離隔して設置され、プールの壁11と出水口13までの間には導水管2及び貯水槽3が設置されている。積荷作業開始前までの手順は実施形態1と同様であるが、プール内の海水面12の上昇によって放出される海水は導水管2を経由して一時貯水槽内3に貯水され、輸送船5が収容プール1外に出た後に貯水槽3内の海水を導水管2の出水口13より排出し、水車14を回転させて発電を開始する。
以上、本考案の有する特徴及び優れた点を上記実施形態に記載したが、本考案は、本考案の原理の範囲内で、本願の実用新案登録請求の範囲で使用されている言葉を広く一般的な意味にまで広げて実施することが可能である。例えば、実施形態1と実施形態2は別形態の設備として説明したが、同じ場所に両者を併設し、輸送船の種類によって使い分けをすることも可能である。また、輸送船収容プール1の形状及び壁面等の素材、浮沈の原理等については様々の実施形態が可能であり、それらについての本実施形態と異なる形態又は方法による実施は、本考案の技術的範囲に含まれるものと解する。
1 プール
11 プール壁
12 プール内の海水面
13 出水口
14 発電用水車
2 導水管
3 貯水槽
4 接岸壁
5 輸送船
6 港湾内の海水面
11 プール壁
12 プール内の海水面
13 出水口
14 発電用水車
2 導水管
3 貯水槽
4 接岸壁
5 輸送船
6 港湾内の海水面
Claims (3)
- 港湾内に設置される発電設備であって、
全体が鉛直方向に移動可能である輸送船収容プールと、
前記収容プールの海水を前記収容プールの外部に導く少なくとも1の出水口と、
少なくとも1の発電用水車と、
を有し、前記収容プールを上昇させ前記収容プールの海水面が前記港湾内の海水面よりも高い状態において、前記収容プール内に収容された輸送船が空荷の状態から積載の状態に変化する際に、前記出水口から放出される積荷体積分の海水によって前記発電用水車が回転し、電力を生成することを特徴とする発電設備。 - 前記出水口は前記収容プールの前記壁面に設置され、
前記発電用水車は前記収容プールの前記出水口内又は前記出水口近傍に設置され、
前記出水口を通過する海水又は前記出水口から排出される海水によって前記発電用水車が回転して電力を生成することを特徴とする請求項1記載の発電設備。 - 前記出水口及び前記発電用水車は前記収容プールの前記壁面から離隔して設置され、
前記収容プールの前記壁面と前記出水口までの間には導水管及び貯水槽が設置され、
前記積荷体積分の海水は前記導水管を経由して一時前記貯水槽内に貯水され、
前記輸送船が前記収容プール外に出た後に前記出水口より排出され、
前記排出された海水により前記発電用水車が回転して電力を生成することを特徴とする請求項1記載の発電設備。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2014006098U JP3195702U (ja) | 2014-11-17 | 2014-11-17 | 港湾内水力発電設備 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2014006098U JP3195702U (ja) | 2014-11-17 | 2014-11-17 | 港湾内水力発電設備 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP3195702U true JP3195702U (ja) | 2015-01-29 |
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Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2014006098U Expired - Fee Related JP3195702U (ja) | 2014-11-17 | 2014-11-17 | 港湾内水力発電設備 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP3195702U (ja) |
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2014
- 2014-11-17 JP JP2014006098U patent/JP3195702U/ja not_active Expired - Fee Related
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