JP3185831B2 - 偏光コヒーレント合波レーザ - Google Patents
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Description
レーザ、特に詳細には複数のレーザビームを合波して高
エネルギーのレーザビームを得ることができる偏光コヒ
ーレント合波レーザに関するものである。
録させる装置としては、例えばコンピュータ出力情報に
基づいてレーザビームを走査してマイクロフイルム等の
記録材料に文字等の情報を直接記録するレーザコンピュ
ータアウトプットマイクロフイルマー(レーザCOM)
が知られている(特開昭55-67722号公報)。このレーザ
COMは、レーザビームを発振するアルゴンレーザと、
文字情報に応じてレーザビームを光変調する光変調器
と、光変調器によって変調されたレーザビームを主走査
方向に偏向させる回転多面鏡と、回転多面鏡からの反射
光を副走査方向に偏向させる偏向ミラーを備えたガルバ
ノメータとを備えており、回転多面鏡とガルバノメータ
とによって光変調器から出力されたレーザビームを走査
レンズを介して記録材料上に二次元走査することによっ
て文字等の情報を記録材料上に記録させるように構成さ
れている。
できないアルゴンレーザを用いていることから光変調器
が必要になるため、近年においてはアルゴンレーザに変
えて半導体レーザを用いることが提案されている。しか
しながら、半導体レーザを連続発振させた場合の出力
は、数mWから数十mWと小さいため、高エネルギーの
レーザビームを必要とする記録材料、例えばLDF(レ
ーザダイレクトレコーディングフイルム)等のヒートモ
ード記録材料には適用が困難である。また、OPTICS LET
TERS/Vol.11.No.5 /May 1986には、複数のレーザが発
振されたレーザビームを回折格子によってコヒーレント
に合波して単一偏光状態のレーザビームを発振させるこ
とが開示されている。
てレーザビームを合成するようにしているため回折方向
を一定方向にするための回折格子の凹凸形状の設計が困
難になるという問題がある。また、0次回折光のみをア
パチャーを通しかつ不要方向に回折したレーザビームを
遮光する必要があるため効率が悪くなる、という問題が
発生する。さらに、偏光ビームスプリッタを用いて2個
の半導体レーザから発振されたレーザビームを合波する
ことが行われているが、合波後のレーザビームは偏光ビ
ームスプリッタへの入射面に対して平行に振動するP偏
光と入射面に対して垂直に振動するS偏光とを含むた
め、合波後の光路中に偏光素子を配置すると光量の1/2
が透過しなくなる、という問題がある。
効率よく高エネルギーのレーザビームを出力することが
できる光増幅装置が提案されている(特開平2-176731号
公報)。
反射鏡より反射率が小さい共通反射鏡とが光学的に対向
配置されて構成された光共振器と、この第1,第2反射
鏡と共通反射鏡との間に配置されて共通反射鏡方向から
入射されたレーザビームを直交した偏光面方向に対応し
た第1あるいは第2反射鏡方向に入射させるとともに、
第1および第2反射鏡方向から入射されたレーザビーム
を共通反射鏡へ入射させる光路変更手段と、第1,第2
反射鏡と光路変更手段との間でかつレーザビームの光路
上に各々配置されて誘導放出によってレーザビームを増
幅する第1,第2増幅媒体と、共通反射鏡と光路変更手
段との間でレーザビームを透過可能に配置されて光路変
更手段からのレーザビームの偏光面に対して共通反射鏡
で反射されたレーザビームの偏光面を所定角度回転させ
る光学素子とを含んで構成したものである。
た光共振器を構成する第1,第2反射鏡と共通反射鏡と
の間に、光路変更手段が配置されており、この光路偏光
手段は、共通反射鏡方向から入射されたレーザビームを
直交した偏光面方向に対応した第1あるいは第2反射鏡
方向に入射させるとともに、第1および第2反射鏡方向
から入射されたレーザビームを共通反射鏡へ入射させ
る。光路変更手段と第1,第2反射鏡との間のレーザビ
ームの光路上には、それぞれ第1,第2増幅媒体が配置
されているため、光路変更手段方向からのレーザビーム
は増幅媒体で増幅された後第1,第2反射鏡で反射さ
れ、再び増幅媒体で増幅されて光路変更手段を介して共
通反射鏡へ入射される。共通反射鏡と光路変更手段との
間には光学素子が配置されており、この光学素子は光路
変更手段からのレーザビームの偏光面に対して共通反射
鏡で反射されたレーザビームの偏光面を所定角度回転さ
せる。この光学素子を透過して再度光路変更素子に入射
されたレーザビームは、光学素子で回転された偏光面の
方向に応じて第1あるいは第2反射方向に光路が変化さ
れて増幅媒体に入射される。
S偏光とすると、光学素子によりP偏光の一部または全
部はS偏光に変換され、S偏光の一部または全部はP偏
光に変換されながら反射を繰り返すため、第1の反射鏡
と共通反射鏡とその間に配置された増幅媒体で構成され
た光共振器と、第2の反射鏡と共通反射鏡とその間に配
置された増幅媒体で構成された光共振器とは一体となっ
て一つの共振器を構成し、P偏光とS偏光はコヒーレン
トに合波される。よって単一の偏光状態で高エネルギー
のレーザビームとして、統一されてゆく。なお、合波す
るレーザビームの間に位相差が存在する場合には、一般
に楕円偏光になるため、波長板等でこの位相差を補正す
ることで単一の直線偏光状態の合波を得ることができ
る。
た特開平2-176731号公報に記載された装置は、2つのレ
ーザビームを合波するものであり、レーザビームが複数
(3以上)のものについてはその具体的構成は示されて
おらず、複数のレーザビームをコヒーレントに合成して
高エネルギのレーザビームを得ることはできなかった。
のレーザビームを合成し、簡単な構成で高エネルギーの
レーザビームを出力することができる偏光コヒーレント
合波レーザを提供することを目的とするものである。
レント合波レーザは、入射された所定の強度比を有する
P偏光のレーザビームとS偏光のレーザビームとを1つ
のレーザビームに合成して出射するとともに、該出射方
向から逆に入射される1つのレーザビームを前記2つの
レーザビームが入射される方向にそれぞれP偏光とS偏
光のレーザビームに分割して出射する偏光素子と、該偏
光素子により合成されて出射された前記1つのレーザビ
ームの光路上に配された、前記入射された2つのレーザ
ビームのP偏光およびS偏光の強度比に応じた位相差お
よび前記P偏光のレーザビームおよび前記S偏光のレー
ザビームに対して所定角度傾いた主軸を有する位相差板
とからなるユニットを複数配してなり、該複数のユニッ
トは、該各ユニットから出射されたレーザビームが、他
のレーザビームとともに後段に配された他のユニットの
偏光素子に入射されるように該各ユニットを配置せし
め、該各ユニットのうち、最終段のユニットから出射さ
れたレーザビームの光路上に配された、該最終段のユニ
ットから出射されたレーザビームの所定の偏光成分を透
過させる検光子と、該検光子から出射されたレーザビー
ムを所定の割合で反射する出射反射鏡と、前記各ユニッ
トに入射される各レーザビームのうち、前段のユニット
から入射されるレーザビーム以外のレーザビームの光路
上に配された、入射されるレーザビームを増幅する増幅
媒体と、前記出射反射鏡により反射されて該各増幅媒体
に入射され該増幅媒体を透過した前記各レーザビームを
該出射反射鏡の方向に向けて再度反射する、該各増幅媒
体に設けられた反射鏡とからなる偏光コヒーレント合波
レーザであって、前記各ユニットのうち最初の段のユニ
ットからi番目のユニットの前記位相差板の位相差をδ
i 、前記主軸の傾きをαi 、前記i番目のユニットの前
記P偏光方向の強度をIpi 、前記S偏光方向の強度を
Isi 、前記強度比Isi /Ipi をCi としたとき
に、前記主軸αi と前記位相差δi が、0<|αi |<
π/2かつδi ≠mi ・π/2(mi :整数)の場合、 φi =tan-1√Ci αi =φi +mi ・π/2 但し、次段の偏光素子がi番目のユニットからの出射P
偏光を透過させて合波する配置のときmi =2ni (n
i :整数) 次段の偏光素子がi番目のユニットからの出射S偏光を
反射させて合波する配置のときmi =2ni +1
(ni :整数) cos2δi =tanαi /tan2φi 、なる位相差
および主軸の傾きを有することを特徴とするものであ
る。
偏光素子と所定の位相差および主軸の傾きを有する位相
差板とによりユニットを構成し、このユニットを各ユニ
ットから出射されたレーザビームが、他のレーザビーム
とともに後段に配された他のユニットの偏光素子に入射
されるように複数配してなるものである。また、最終段
のユニットから出射されるレーザビームの光路上には、
検光子および出射反射鏡が配され、各ユニットには、入
射されるレーザビームを増幅する増幅媒体と、この増幅
媒体に設けられこの増幅媒体に逆に入射されたレーザビ
ームを出射反射鏡の方向に向けて再度反射する反射鏡と
を有するものである。
偏光、S偏光のレーザビームを1つのレーザビームに合
成して出射するとともに、出射方向から逆に入射される
1つのレーザビームを2つのレーザビームが入射される
方向にそれぞれP偏光とS偏光のレーザビームに分割し
て出射する。偏光素子から出射された1つのレーザビー
ムは、P偏光成分とS偏光成分とに所定の位相遅れを与
えられて、次段のユニットの偏光素子に入射される。
ザビームと他のユニットあるいは他の光源から出射され
たレーザビームが入射され、これら2つのレーザビーム
が同様に1つのレーザビームに合成され、合成されたレ
ーザビームはP偏光成分とS偏光成分とに所定の位相遅
れが与えられる。
最終段のユニットから出射されたレーザビームは、検光
子によって所定の偏光成分が透過され、さらに出射反射
鏡により反射されて再度検光子により所定の偏光成分が
透過されて、最終段のユニットに逆に入力される。この
逆に入力されたレーザビームは各ユニットの位相差板に
より、偏光面がさらに所定角度回転され、偏光素子によ
りP偏光、S偏光それぞれのレーザビームに分割されて
出射される。分割されたレーザビームは、他のユニット
または増幅媒体に入射される。他のユニットに入射され
たレーザビームは上記と同様に偏光面が回転され、さら
に偏光素子により2つのレーザビームに分割される。
されるP偏光、S偏光の強度比に応じた位相差と主軸の
傾きを有するものとすることにより、偏光素子に逆に入
射されたレーザビームのP偏光の一部または全部はS偏
光に、S偏光の一部または全部はP偏光に変換されなが
ら、出射反射鏡および各ユニットに設けられた反射鏡に
より反射を繰返す。このため、出射反射鏡と各反射鏡お
よびその間に配された増幅媒体は一体となって共振器を
構成し、P偏光とS偏光とはコヒーレントに合成され
る。したがって、位相差板の位相差および主軸の回転角
度を所定の値に設定することにより、各ユニットに入射
されたレーザビームは単一の偏光状態で高エネルギーの
レーザとして統一されていき、簡単な構成により高エネ
ルギーのレーザビームを得ることができる。
説明する。
レーザの第1実施例の構成を表す図である。なお、本実
施例においては増幅媒体として半導体レーザを用いると
ともに、偏光素子として偏光ビームスプリッタ(Polari
zing Beem Splitter)を用いたものである。
ーレント合波レーザを構成する1つのユニットについて
説明する。
ーレント合波レーザを構成する1つのユニットを表す図
である。図2に示すようにユニット10は、偏光ビームス
プリッタ3と位相差板4とにより構成されてなるもので
ある。偏光ビームスプリッタ3は、2個の45°直角プリ
ズム3a,3bの斜面に高屈折率物質と低屈折率物質とから
なる交互多層膜8を蒸着し、直角プリズムの斜面同士を
貼り合わせて合成されている。
れるレーザビーム11のP偏光,S偏光の強度比に応じた
位相差δおよびP偏光のレーザビーム11AおよびS偏光
のレーザビーム11Bに対して所定角度傾いた主軸を有す
るものである。以下この位相差δと所定角度αの設定方
法について説明する。
合波することを考える。ここで、図3に示すようなツイ
ストモードを一般化した共振器の構成を考え、ミラー12
の端面において接する位相差板の主軸と所定の方位角を
なす直線偏光となるような固有モードが存在するための
条件を求める。ここで、図3において、2枚の位相差板
14A,14Bはλδ/π板であり、第1の位相差板14Aと
第2の位相差板14Bの回転角は、相対的にαの角度をな
しているものとする。
程式の固有ベクトルVとして求めることができる。
板14Aの主軸にx軸とs軸が一致するように固定して考
える。Jは共振器一周を表す2×2ジョーンズマトリク
スであり、Vは電場ベクトルである。ジョーンズマトリ
スクJは次のように計算することができる。
差板のジョーンズマトリクス、R(α)は座標回転のマ
トリクス、Mは反射時の符号反転マトリクスをそれぞれ
表している。
トリクスJから次の固有値方程式を解いて求めることが
できる。
つ。
方程式を解いて求めることができる。
位角は次の範囲に限定して考える。
場合を考える。これを満たすのは次の場合である。
π/2(m:整数) このとき上式により固有ベクトルの直交する成分の比を
求めると次のようになる。
あるから、固有ベクトルは直線偏光である。この固有ベ
クトルがx軸に対して所定の方位角φのベクトルとなる
ためには次の条件を満す必要がある。
定すれば、所定の方位角φを持ったベクトルが固有ベク
トルとなる(図4参照)。式(9) を満たす位相差板の独
立なパラメータは2個(αとδ)存在するため、式(9)
を満たすような位相差板の設定は無数に可能である。具
体的にφ=±π/4の場合について考察すると、tan
(2φ)=∞であるから上式を満たすためにはδは次の
値でなければならない。このときαは任意の値で成立す
る。
考える。これを満たすのは次の場合である。このとき明
らかに任意のベクトルが固有ベクトルとなる。
値は次のようになる。
λ=0であり、このとき任意のベクトルが固有ベクトル
となる。
数) また、次の条件 (5) α=0 かつ δ≠m・π/4(m:整数) が成立する場合は、2つの固有値に属する任意のベクト
ル
(5) の各場合のうち(2) 〜(5) の場合の固有ベクトル
は、以下と同様の計算を実行すれば容易にわかるように
複数の偏光コヒーレント合波レーザを構成するのに適し
た解ではない。よって以後(1) の解についてのみ検討す
る。
す場合、
クトルとなる。この固有ベクトルは
の共振器を進行して対向するミラー端面に到達した状態
のベクトルは共振器半周を表すジョーンズマトリクスJ
h と固有ベクトルVの積で表せる。
14Bの主軸に対する値である。これにより直交する成分
の比は次式で表される。
の直交成分比を計算する。
ルは直線偏光であり、隣接する第2のλδ/π板14Bの
s軸と−φの角度をなす。よって第1のλδ/π板14A
のs軸となす角θは次の値となる(図5参照)。
第1のλδ/π板14Aの2つの主軸方向を向くためには
次の条件を満たす必要がある。
る。
2個のレーザによる偏光コヒーレント合波レーザを構成
することが可能である。一般に強度の異なる2個のレー
ザによる偏光コヒーレント合波レーザの構成は、図3の
一般化ツイストモードレーザの共振器の構成を以下に述
べる構成に置換することで得られる。
を考慮して、前述の固有モードの内から出射する直線偏
光の方位角の制御が可能な次の場合の固有モードに対応
する構成を以下に示す。
して、その第1のλδ/π板14Aのs軸方向と偏光素子
の例えばP偏光方向が一致するように2枚のλδ/π板
の間に偏光素子を挿入し、偏光素子と続く第2のλδ/
π板14Bで2個のレーザ間の結合を達成する結合素子を
構成する。この時第1のλδ/π板14Aはレーザ位置の
調整をすることで省略することができる。レーザは偏光
素子で合波が可能なようにその出射直線偏光の方位角が
設定されているものとする(以下同様に考える)。ここ
で偏光素子に入射するP偏光とS偏光の強度比Cに対し
て結合素子を構成するλδ/π板は偏光素子に対して次
の関係式を満たすように設定する。次の関係式でαの値
は偏光素子のP偏光方向に対してλδ/π板のs軸のな
す角度である(図7参照)。
にこの直線偏光の方位角をP偏光またはS偏光の方向に
設定するためには位相差板の回転角αを次のように設定
する。
く m=2n+1(奇数)のとき、出射光はS偏光方向を向
く この構成を図8に示す。
Bから発せられた2つのレーザビーム19A,19Bが偏光
ビームスプリッタ17により合成され、その合成されたレ
ーザビーム19の光路上にλδ/π板14B、検光子15およ
び出射ミラー16を配置して構成したものである。
は他方のレーザからのフィードバック光が必要である。
図8において、偏光素子のレーザ出射側で例えばP偏光
ベクトル成分
れて再度λδ/π板を通過した状態の反射ベクトルを同
じ座標系で計算すると次のようになる。
ック光が存在する。
うになる。
ク光が存在する。よってレーザ間の結合が達成されるか
ら、合波される2個のレーザはコヒーレントに発振して
コヒーレント合波が成立する。
による偏光コヒーレント合波レーザの構成を考える。
ーレント合波レーザは、前述の一般化偏光コヒーレント
合波レーザの構成を次々とタンデムに接続することが得
られる。偏光素子と位相差板で構成される1番目の結合
素子のレーザビーム出射側の光学系を1枚の所定方向の
検光子(以下示す実施例においては続く偏光素子が検光
子の作用を持っている)と1枚の所定反射率を持ったミ
ラーから構成される系と等価と見なせる。したがって1
番目と2番目のレーザはコヒーレントに発振し、1番目
の結合素子からの出射光は1個のレーザビームと見なせ
る。続く2番目の結合素子についても同様に考えること
によってその出射光は1個のレーザビームと見なせる。
以降の系についても同様に考えることによって全体が1
個の偏光コヒーレント合波レーザとして発振する。
光コヒーレント合波レーザの構成方法を示す。実際上複
数個の偏光素子をタンデムに接続する場合、各偏光素子
の偏光方向は一致していることが望ましい。よって各結
合素子からの出射直線偏光の方位角が偏光素子のPまた
はS偏光方向を向く前述の一般化コヒーレント合波レー
ザの構成をタンデムに接続する構成を示す。以下座標系
等の取り方は前述と同様となる。
偏光素子に入射するP偏光とS偏光の強度比をCi とす
ると、位相差板は次の関係を満たすようなαiおよびδ
i の値を設定する。
る配置のとき、mi =2ni(偶数) 続く偏光素子がS偏光を反射させて合波する配置のと
き、mi =2ni +1(奇数) この条件が図1に示す偏光コヒーレント合波レーザを構
成する位相差板S1〜Snの条件となる。なお図1にお
いて各結合素子に続いて配置されている偏光素子は検光
子の作用を合わせ持っている。本実施例においては各レ
ーザビームの強度が等しいとするとi番目の結合素子に
入射するP偏光とS偏光の強度比Ci は次の値となる。
レーザ1は、図2に示すように上述した位相差δi およ
び所定角度αi の条件を満たす位相差板を有するユニッ
ト10がn個(n≧3)個結合されて構成されてなるもの
である。以下、図1に示す偏光コヒーレント合波レーザ
1の構成の詳細について説明する。なお、本実施例にお
いては各ユニットに入射されるレーザビームが適切な位
相差となるように各半導体レーザの位置が調整されてい
る。
ッタP1と位相差板S1とからなる第1ユニットU1に
は、2つの半導体レーザL1,L2よりレーザビームが
入射される。また、偏光ビームスプリッタP2と位相差
板S2とからなるユニットU2には前段のユニットU1
から出射されたレーザビームおよび半導体レーザL3か
ら出射されたレーザビームが入力される。同様に、n個
のユニットUnを配置せしめn番目のユニットから発せ
られるレーザビームの光路上に検光子5および出射ミラ
ー6を配置せしめることにより偏光コヒーレント合波レ
ーザ1が構成される。すなわち、各半導体レーザL1〜
Lnより発せられたレーザビームは全て光学的に、出射
ミラー6が存在する方向へ向かう。
率が略2〜5%となるようにコーティングされている。
また半導体レーザL1〜Lnの各ユニット側の鏡面M
1′,M2′,……,Mn′は、無反射状態に、鏡面M
1′,M2′,……,Mn′とは反対側の面M1,M
2,……,Mnは、反射率が略90%となるようにコーテ
ィングされている。各半導体レーザL1〜Lnは、クラ
ッド層間に挟持された活性層が図面において水平方向を
向くように配置されている。さらに各位相差板S1〜S
nは前述したような位相差δi 、および主軸の傾きαi
を有するものであり、各位相差板S1〜Snに入射され
たレーザビームは各位相差板を通過した後にP偏光、す
なわち偏光ビームスプリッタP1〜Pnの入射面に対し
て平行な方向(図1における矢印P方向)に偏光面を有
する直線偏光のレーザビームとして出射される。
るレーザビームの光路上には検光子5が配置されてい
る。検光子5はグラントムソン偏光プリズム等からな
り、このグラントムソン偏光プリズム等は、ユニットU
nからのレーザビームのうち、所定方向の直線偏光成分
のみを出射ミラー6方向に透過し、出射ミラー6で反射
されたレーザビームのうち、所定方向の直線偏光成分の
みをユニットUn方向へ透過する。
ムは、各ユニットにおける位相差板S1〜Snにより、
各位相差板の位相差δi および主軸の回転角度αi によ
り偏光面が回転され、各偏光ビームスプリッタにおい
て、P偏光,S偏光のレーザビームに分割される。
に電圧を印加することにより、レーザビームが発振され
る。ここでユニットU1について説明すると、半導体レ
ーザL1から発振されたレーザビームはP偏光のレーザ
ビームであり、半導体レーザL2から発振されたレーザ
ビームはS偏光のレーザビームである。ここで、偏光ビ
ームスプリッタP1は、P偏光のレーザビームを透過
し、S偏光のレーザビームを反射させるものであるた
め、偏光ビームスプリッタP1に入射された2つのレー
ザビームは、コヒーレントに合波されて単一の偏光のレ
ーザビームとして位相差板S1に入射される。位相差板
S1は、各半導体レーザL1,L2から発振されるレー
ザビームのP偏光,S偏光の強度比に応じた位相差δ1
およびレーザビームの偏光面に対する主軸の回転角α1
が設定されている。したがってこの位相差板S1に入射
されたレーザビームの偏光面は、位相差δ1 および回転
角α1により、所定角度回転されてP偏光のレーザビー
ムとなって出射され、次段のユニットU2の偏光ビーム
スプリッタP2に入射される。
ら入射されたP偏光のレーザビームと、半導体レーザL
3から発振されたS偏光のレーザビームとが合成され、
合成されたレーザビームは位相差板S2の位相差δ2 、
回転角度α2 により偏光面が再度回転されてP偏光のレ
ーザビームとなって次段のユニットU3に入射される。
し、最終段のユニットUnからレーザビームが出射さ
れ、ユニットUnの位相差板Snにより偏光面が回転さ
れ偏光ビームスプリッタPnに入射される。偏光ビーム
スプリッタPnでは入射されたレーザビームのうちP偏
光成分を透過し、S偏光成分を交互多層膜で反射する。
したがって偏光ビームスプリッタPnに入射されたレー
ザビームのP偏光成分はユニットU(n−1)に入射さ
れ、レーザビームのS偏光成分は半導体レーザLn方向
へ反射される。半導体レーザLnに入射されたS偏光成
分は、鏡面Mnで反射されて再び偏光ビームスプリッタ
Pnに入射し、偏光ビームスプリッタPnで反射され
る。
レーザビームのP偏光成分は、ユニットU(n−1)の
位相差板S(n−1)により所定角度回転され偏光ビー
ムスプリッタP(n−1)に入射される。偏光ビームス
プリッタP(n−1)は偏光ビームスプリッタPnと同
様に入射されたレーザビームのうちP偏光成分を透過
し、S偏光成分を反射する。したがって偏光ビームスプ
リッタP(n−1)に入射されたレーザビームのP偏光
成分はユニットU(n−2)に入射され、レーザビーム
のS偏光成分は半導体レーザL(n−1)方向へ反射さ
れる。半導体レーザL(n−1)に入射されたS偏光成
分は、鏡面M(n−1)で反射されて、再び偏光ビーム
スプリッタP(n−1)に入射し、この偏光ビームスプ
リッタP(n−1)で反射される。以上の処理をユニッ
トU1まで繰り返し、ユニットU1からP偏光のレーザ
ビームおよびS偏光のレーザビームが出射され、それぞ
れ半導体レーザL1,L2の鏡面M1,M2により反射
されて再度偏光ビームスプリッタP1に入射される。
たP偏光とS偏光のレーザビームは、上述したのと同様
にして再度合成され、位相差板S1によりP偏光のレー
ザビームとされてユニットU2の偏光ビームスプリッタ
P2に再度入射され、鏡面M3により反射されたレーザ
ビームのS偏光成分と合成されて次段のユニットU3に
入射される。そして最終的にユニットUnが出射したレ
ーザビームは再度検光子5を透過して出射ミラー6によ
り反射され、再度ユニットUnに入射され、上記と同様
の処理がなされる。
nから発振されたレーザビームは、各半導体レーザL1
〜Lnの鏡面M1〜Mnと出射ミラー6の反射面との間
で繰り返し反射されて、各半導体レーザL1〜Lnの活
性層で増幅されることとなる。検光子5および各位相差
板S1〜Snにより、レーザビームのP偏光成分、S偏
光成分は、それぞれの成分が発振された半導体レーザL
1〜Lnに対応して反射を繰り返すため、出射ミラー6
の反射面と各半導体レーザL1〜Lnの鏡面M1〜Mn
とにより構成される光共振器により、P偏光とS偏光と
はコヒーレントに合成される。
度となったときに、出射ミラー6を透過して、外部に単
一の偏光状態で放出される。このとき、各半導体レーザ
L1〜Lnの活性層が図1に対して水平方向(P偏光方
向)を向いているため、半導体レーザL1から出射され
るレーザビームの光路上にλ/2板を設け、偏光方向を
90度回転させて、各レーザビームの断面形状の長径が鉛
直方向を向き、かつ長円が相互に重なるように合成され
る。また、偏光方向を相互に直交するように合成するに
は、半導体レーザのL1の活成層を半導体レーザL2〜
Lnの活成層と直交する方向を向くように配置するよう
にしてもよい。なお、出射ミラー6より放出されるレー
ザビームは検光子5によって直線偏光のレーザビームと
して出射される。
ザビームに位相差が存在する場合は、偏光ビームスプリ
ッタの前に位相差板を配置することにより、位相差を補
正することができる。
ント合波レーザの第1実施例においては各ユニットをシ
リアルに配置した構成を採るものであるが、各ユニット
に入射されるレーザビームの強度が等しい場合は、図12
に示す本発明による第2実施例のような構成とすること
ができる。以下本発明による偏光コヒーレント合波レー
ザの第2実施例について説明する。
よる偏光コヒーレント合波レーザ2は、偏光ビームスプ
リッタP11と位相差板S11とからなる第1のユニットU
11には、2つの半導体レーザL11,L12より等強度のレ
ーザビームが入射される。また、偏光ビームスプリッタ
P12と位相差板S12とからなる第2のユニットU12に
は、2つの半導体レーザL13,L14より等強度のレーザ
ビームが入射される。さらに、偏光ビームスプリッタP
13と位相差板S13とからなる第3のユニット13には、第
1および第2のユニットU11,U12から出射された等強
度のレーザビームが入射される。なお半導体レーザL1
1,L14はP偏光成分を、半導体レーザL12,L13はS
偏光成分を発振するものとする。
ームのP偏光成分、S偏光成分の強度は等しいことか
ら、前述した式(26)〜(28)により位相差δi 、回転角度
αi は以下のように定められる。
説明する。
P偏光,S偏光のレーザビームは偏光ビームスプリッタ
P11において合成され、この合成されたレーザビーム
は、位相差板S11において偏光面が回転され、ユニット
13に入射される。また、半導体レーザL13,L14から発
振されたS偏光,P偏光のレーザビームは、偏光ビーム
スプリッタP12において合成され、この合成されたレー
ザビームは位相差板S12において偏光面が回転され、ユ
ニットU13に入射される。ユニットU13においても同様
にユニットU11,12から入射されたレーザビームが合成
され、位相差板S13により偏光面が回転され、ユニット
U13より出射される。ユニットU13より出射されたレー
ザビームは上述した本発明の第1実施例と同様に検光子
5により所定方向の直線偏光成分が透過され、出射ミラ
ー6により反射されて、ユニットU13に再度入射され
る。
にユニットU13に再度入力されたレーザビームは分割さ
れて、ユニット11,12に再度入射され、各半導体レーザ
L11〜L14に設けられた鏡面により反射されて、再度各
ユニットU11〜U13に入射される。このようにして、各
半導体レーザL11〜L14から発振されたレーザビーム
は、各半導体レーザL11〜L14の鏡面M11〜M14と出射
ミラー6の反射面との間で繰り返し反射されて、各半導
体レーザL11〜L14の活性層で増幅され、各半導体レー
ザL11〜L14から発せられたレーザビームのP偏光成
分,S偏光成分は、本発明の第1実施例と同様にコヒー
レントに合成される。
る偏光コヒーレント合波レーザは、位相差板の位相差お
よび主軸の傾斜角度を所定の値に設定し、偏光を利用し
て複数のレーザビームを共振させてコヒーレントに合成
するようにしたため、原理上100%の効率で複数のレーザ
ビームを合成でき、簡単な構成で高エネルギーで単一偏
光状態の光を得ることができる。
1実施例の構成を表す図
1実施例を構成するユニットを表す図
す図
す図
表す図
のなす角度を表す図
の偏光コヒーレント合波レーザの構成を表す図
2実施例を表す図
Claims (1)
- 【請求項1】 入射された所定の強度比を有するP偏光
のレーザビームとS偏光のレーザビームとを1つのレー
ザビームに合成して出射するとともに、該出射方向から
逆に入射される1つのレーザビームを前記2つのレーザ
ビームが入射される方向にそれぞれP偏光とS偏光のレ
ーザビームに分割して出射する偏光素子と、 該偏光素子により合成されて出射された前記1つのレー
ザビームの光路上に配された、前記入射された2つのレ
ーザビームのP偏光およびS偏光の強度比に応じた位相
差および前記P偏光のレーザビームおよび前記S偏光の
レーザビームに対して所定角度傾いた主軸を有する位相
差板とからなるユニットを複数配してなり、 該複数のユニットは、該各ユニットから出射されたレー
ザビームが、他のレーザビームとともに後段に配された
他のユニットの偏光素子に入射されるように該各ユニッ
トを配置せしめ、 該各ユニットのうち、最終段のユニットから出射された
レーザビームの光路上に配された、該最終段のユニット
から出射されたレーザビームの所定の偏光成分を透過さ
せる検光子と、 該検光子から出射されたレーザビームを所定の割合で反
射する出射反射鏡と、 前記各ユニットに入射される各レーザビームのうち、前
段のユニットから入射されるレーザビーム以外のレーザ
ビームの光路上に配された、入射されるレーザビームを
増幅する増幅媒体と、 前記出射反射鏡により反射されて該各増幅媒体に入射さ
れ該増幅媒体を透過した前記各レーザビームを該出射反
射鏡の方向に向けて再度反射する、該各増幅媒体に設け
られた反射鏡とからなる偏光コヒーレント合波レーザで
あって、 前記各ユニットのうち最初の段のユニットからi番目の
ユニットの前記位相差板の位相差をδi 、前記主軸の傾
きをαi 、前記i番目のユニットの前記P偏光方向の強
度をIpi 、前記S偏光方向の強度をIsi 、前記強度
比Isi /Ipi をCi としたときに、 前記主軸αi と前記位相差δi が、0<|αi |<π/
2かつδi ≠mi ・π/2(mi :整数)の場合、 φi =tan-1√Ci αi =φi +mi ・π/2 但し、次段の偏光素子がi番目のユニットからの出射P
偏光を透過させて合波する配置のときmi =2ni (n
i :整数) 次段の偏光素子がi番目のユニットからの出射S偏光を
反射させて合波する配置のときmi =2ni +1
(ni :整数) cos2δi =tanαi /tan2φi 、 なる位相差および主軸の傾きを有することを特徴とする
偏光コヒーレント合波レーザ。
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