JP3180684U - 多層構造衣類 - Google Patents

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Abstract

【課題】人体に着用される上着であって、透視撮影されることから人体を防護し、且つ、着心地が良くファッション性の高い上着を提供する。
【解決手段】少なくとも乳首を含む乳輪100を覆う位置まで、前身頃裏地11を張り出して形成する。具体的には、後身頃の内面上方部の裏地を、前記上衿地衿97の下縁から下方に連ねて形成する。そして、前身頃裏地11を、前記後身頃の裏地と上衿地衿97とに連ねて、その下縁はアームホール95を囲んでスーツの下方縁近傍に亘り、その前縁はフロントエッジ101から約3cmの距離をあけて下衿12に沿うように、前身頃裏地を従来よりも拡幅して形成する。
【選択図】図1

Description

本考案は、透視撮影されることから人体の体型シルエット等を防護する多層構造衣類に関する。
夏季には、紫外線、赤外線を含んだ太陽光線が強くなり、衣類によってはそれを着ている人体に紫外線や、赤外線が届く。人体に紫外線が届いた場合には日焼けをひき起こすため、日焼け防止のために紫外線遮断性を有する繊維製品が開発されてきた。また、海水浴場やプールサイドなどで、赤外線のうちの約800nmから1500nmの波長域の近赤外線の波長域のみの人体からの太陽反射光を、可視光線を遮断するフィルターを使って撮影して、水着を着ている人体の裸体や人体の陰毛までをも透視撮影する公序良俗違反の行為が発生し社会問題となった。
更に、透視撮影された写真がインターネット上で閲覧可能とされるなどの行為が行われ、透視撮影を防止する技術が求められてきた。こうした行為に対して、近赤外線を遮断する繊維製品が、種々開発され、水着や厚みのある肌着では透視撮影ができないように対応がすすんでいる。一方、海水浴場やプールサイドなどに留まらず、街中においても近赤外線波長域からの太陽反射光のみにより、衣類を着ている人体の詳細な体型が透視撮影され、その写真がインターネットで閲覧可能とされる等、街中において日常着用するワンピース、スーツ等の衣類についても透視撮影の抑止が必要であるという新たな課題が発生している。
従来からの透視撮影防止の必要性に応じて、特許文献1には、ポリエステルからなるトリコット編地に、特定の赤外線吸収剤を含むアクリル樹脂をコーティングした肌面当接用繊維材料が提案されている。この技術によれば、編地裏面をコーティングすることや、透視撮影を抑止したい部分だけをコーティングすることなどが可能なため、衣服となしたとき、その色彩やファッション性だけでなく伸縮性や着用快適性も損ねずに、所望の透視撮影抑止効果を得ることが可能であるという利点がある。
一方、布帛に樹脂をコーティングするという手段を採用すると、風合いが硬化するため、衣服として着用した場合の肌当りが悪く、これは裏地やインナーのような肌に触れる用途では顕著であるとの指摘もある。この技術が適用される繊維材料は、肌面当接用の繊維材料であるため、洗濯する機会も増えることから、樹脂が次第に剥がれ易くなってくるという課題がある。また、透視撮影抑止効果を向上させるため樹脂の量を増すと、衣服の風合いや伸縮性を損ねる傾向がある。布帛裏面にコーティングした場合には、衣服が薄地衣服であるときにはコーティング部分が透けて見え、衣服のファッション性を低下させ、コーティング部分に触れれば凹凸感を感じ、着用快適性も低減することが指摘されている。
そこで、特許文献2には、衣服の厚み、使用期間などに関係なく所望の透視撮影抑止効果を衣服に与えることが可能である布帛を提供することを課題として、酸化アンチモンをドーピングした酸化第二スズからなる特定白色系微粒子等を所定の割合で含有する合成繊維を所定の重量比以上で使用した布帛による赤外線透過撮影防止用布帛の技術が開示されている。
文献2の発明によれば、特定の白色系微粒子を含有する繊維を使用することにより、衣服の厚み、使用期間などに関係なく所望の透視撮影抑止効果を衣服に与えることが可能であると同時に、特定白色系微粒子は、布帛元来の色彩を概ね保持可能であるため、後に布帛に所望の色彩を付することができ、任意の色彩が布帛上で表現でき、衣服のファッション性も大いに高めることが可能であるとされている。また、文献2の布帛は薄地衣服の裏地にも適用可能とされている。
しかし、特許文献2に記載の布帛を裏地やインナーとして使用した場合、衣服本体からこれらが透けて見え、衣服のファッション性を損ねてしまう場合があり、布帛の色彩を淡くして対応すべきことが開示されている。しかし、裏地の色彩を薄くした場合には、表地の色彩との調和を欠き、衣服に使用する色彩自由度がなくなり、ファッション性を低下させるという課題がある。
また、赤外領域の光を遮断させ人体に届かないようにする繊維製品の技術としては、以下の技術が開示されている。特許文献3には、発色性を維持しながら赤外領域の光を遮断することにより輻射による温度上昇を防護する熱可塑性繊維、布帛および衣料品の技術が開示されている。これは、日焼け防止と肌や衣服内温度上昇を防護するため、赤外線吸収性を有する酸化亜鉛粉末を所定の割合で含有した熱可塑性繊維を含む繊維製品に関するものである。スポーツウェア等の衣料品やテント地等の資材用途に使用され、省エネや快適性を与えるものとされている。
一方、特許文献4には、レースカーテン等に適用でき、紫外線カット性と可視光線透過性に優れ、さらには保温性にも優れた布帛を用いた繊維製品の技術として、所定の割合の有機紫外線吸収剤等を含んだポリエステル繊維製品の技術が開示されている。この技術によれば、紫外線とともに赤外線を吸収させることにより、日焼けと衣服内温度上昇を防止することが可能とされている。
近赤外線による透視撮影を防止するため、前記のように各種の技術による繊維製品が開発されているが、これを単に街中で着用される衣類に適用するというだけでは、透視撮影から隠したい人体の部分を有効に防護できず、前記のように美観や風合いを損ね、又は高いファッション性を低下させる可能性があった。
特開2000−328441号公報 特開2010−77575号公報 特開2005−97754号公報 特開2007−2372号公報
そこで、本考案は、胸部から腹部にかけてのウエストライン、腰部から大腿部にかけての脚部のシルエット、又は乳首や陰毛等着衣者が隠したいとする部分を、近赤外線撮影によっても透視撮影されず、その効果が長期間継続し、且つ美観や風合いがよくファッション性の高い衣類を提供することを課題とする。
本考案の第1の考案は、多層構造衣類であって、人体の体型に沿って着衣される第1の衣類を介して、人体を覆うように着衣される表地と裏地を含んだ多層構造衣類において、前記多層構造衣類は、その上部において前記裏地が前記第1の衣類に接して着衣されると共に、その下部において前記裏地が第1の衣類とは隙間をあけて下方に垂らして着衣され、前記裏地が第1の衣類への近赤外線を遮断する近赤外線遮断布帛からなっていることを特徴としている。
ここで、近赤外線を遮断するとは、人体に届いた近赤外線が人体から反射しないものであればよく、布帛内で近赤外線を吸収するものであってもよく、布帛が近赤外線を反射するものであってもよい。多層構造衣類は、ファッション性の高い表地と、風合い・着心地がよい裏地を組み合わせることに、美しく着心地のよい多層構造衣類となる。第1の衣類と多層構造衣類との間に隙間があるため、第1の衣類が吸った汗が放散され快適に着用される。
人体の体型に沿って着用される第1の衣類であるワイシャツ、ブラウス、ティーシャツ、インナー等に多層構造衣料であるスーツ、ワンピース、スカート等が重ねられて着用され、上部例えば肩・腰部で支持されて、下方においては前記第1の衣類とは隙間があけて着用される。外部からの赤外線は多層構造衣料の裏地の位置で遮断されるため、赤外線透視撮影をしても多層構造の裏地の形状が撮影されるのみで、裏地から隙間があいている状態の人体のシルエットや陰部に係る詳細を撮影することはできない。ここで陰部に係る詳細とは陰毛をも含むものである。
また、第1の衣類を介して人体に着用されるため、人体の汗を吸汗する肌着のように頻繁な洗濯が必要でなく、例え近赤外線遮断が布帛に形成したコーティング樹脂の乱反射によるものであっても、コーティング樹脂が次第に剥がれ易くなってくるということはない。また、多層構造衣類の裏地の位置で、近赤外線遮断布帛を使用しているため、近赤外線遮断効果がコーティング樹脂によるものであってもコーティング樹脂を裏地の表地に面した内面側に使用することにより、ファッション性を低下させないばかりか、その位置で使用する裏地の色彩が制約されず、表地と裏地との色彩の調和がある布帛を選択して多層構造衣類を構成することが可能である。
本考案の第2の考案の多層構造衣類は、第1の考案における多層構造衣類であって、胸部及び胴部を覆うように着衣される表地と裏地を含み、前身頃部と後身頃部とからなる身頃部を備え、人体の前記胸部及び前記胴部を覆う衣類であって、前記前身頃部は、少なくとも人体の胸部において左右に左身頃部と右身頃部として開放可能とされ、前記左身頃部と前記右身頃部とは少なくとも各々の一部を接して打合せ部として分離可能に係止され、前記後身頃部は前記左身頃部と前記右身頃部と連なり一体をなし、胴部を覆う部分が第1の衣類とは隙間をあけて下方に垂らして着衣されると共に、少なくとも左右の前身頃部の裏地が第1の衣類への近赤外線を遮断する近赤外線遮断布帛からなっていることを特徴としている。
多層構造衣類をなす前身頃部は、人体の胸部において分離されており、裏地が伸縮性の小さい近赤外線遮断布帛であったとしても、人体の着用に支障とならない。ここで、打合せ部として分離可能に係止されとは、釦、線ファスナー、紐等によって係止されればよく、打合せ長さは限定されない。左身頃部と右身頃部が係止されることにより、屋外において風によって胸元がはだけることがない。
少なくとも左右の前身頃部の裏地は近赤外線遮断布帛からなっており、第1の衣類とは隙間をあけて下方に垂らして着衣される。着衣者の前方からの透視撮影により、顔と、裏地が張られた範囲の胸部と、陰部を含むウエストラインを同時に透視撮影されることを防護することが可能であり、通気性も確保される。勿論、後身頃部をも近赤外線遮断布帛とすれば後方からの透視撮影によってもウエストラインが透視撮影されることを防護することが可能である。
本考案の第3の考案の多層構造衣類は、第1又は第2の考案において、胸部開襟部を備えたスーツの上着であって、前記前身頃部は胸部及び胴部に亘り前記左身頃部と前記右身頃部に分離され、胸部近傍の打合せ部において左身頃部と右身頃部とは係止可能とされ、前記裏地の近赤外線遮断布帛が胸部打合せ部近傍まで湾曲して張り出してなることを特徴としている。
従来は、スーツを構成する裏地は、打合せ部をなす衿の下方部の下衿際に沿って表地が折り返されて、下衿縁から約6cmの間隔をあけて縫製されていた。しかし、この従来の縫製によれば、表地と裏地との縫い合わせ部に女性の乳首が位置することになり、乳首を近赤外線遮断布帛裏地により十分に隠すことができない状態であった。そこで、第3の考案では、胸部近傍の打合せ部において左身頃部と右身頃部とは係止可能とされ、前記裏地をなす近赤外線遮断布帛が胸部打合せ部近傍まで湾曲して張り出して形成されている。裏地が下衿際である胸部打合せ部近傍まで張られていることにより、女性の乳首を含む乳輪までもが、近赤外線遮断布帛からなり裏地により透視撮影から防護される。また、左身頃部と右身頃部とは係止可能とされているため、風がある日であっても胸部がはだけることがなく、透視撮影から防護される。
本考案の第4の考案の多層構造衣類は、第1から第3のいずれかの考案における多層構造衣類であって、前記隙間が離間手段により維持されることを特徴としている。着衣者が動作しても、多層構造衣類を垂らした状態で形成される隙間が、離間手段により前記隙間が維持され、近赤外線透視撮影によっても人体のシルエットを透視撮影することができない。
本考案の第5の考案の多層構造衣類は、第1又は第2の考案において、前記第1の衣類を介して、腰部から脚部にかけての人体を覆うように着衣される表地と裏地を含んだ多層構造衣類において、前記多層構造衣類は、近赤外線遮断布帛からなる裏地により、少なくとも陰部前方が完全に覆われている衣類であることを特徴としている。
近赤外線遮断布帛からなる裏地により、少なくとも陰部前方が完全に覆われているため、陰部に係る詳細が透視撮影されることを防護することが可能である。裏地により腰から太腿上部まで覆われている場合には、太腿上部を覆う裏地の形状が透視撮影されるに留まる。
本考案の第6の考案の多層構造衣類は、第1又は第5の考案において、前記多層構造衣類がスカートであり、前記裏地が腰部で前記第1の衣類に接して着衣され、前記裏地がその下部において第1の衣類とは隙間をあけて下方に垂らして着衣されることを特徴としている。腰部から下方が近赤外線遮断布帛からなる裏地により覆われているため、女性の陰部に係る詳細及び太腿のシルエットが透視撮影されることを防護することが可能である。
本考案の第7の考案の多層構造衣類は、第1又は第5の考案において、前記多層構造衣類がズボンであり、少なくとも前方の線ファスナーの人体側に、近赤外線遮断布帛が重ねられて配設されていることを特徴としている。近赤外線遮断布帛は接着布帛として熱溶着してもよく、縫製により縫い合わせられてもよい。線ファスナーの人体側に近赤外線遮断布帛が重ねられて配設されていることにより、陰部に係る詳細を裏地により完全に覆い、陰部に係る詳細が透視撮影されることを防護することが可能である。
本考案の第8の考案の多層構造衣類は、第1から第7の考案において、前記近赤外線遮断布帛が、更に紫外線をも遮断する布帛であることを特徴としている。紫外線遮断糸を経糸とし、近赤外線遮断糸を緯糸として織り上げた布帛を使用することにより、一枚の裏地布帛により、裏地に覆われた部分を日焼けと透視撮影とから防護することが可能である。紫外線遮断糸は、例えば紫外線吸収性ポリエステル等の公知の加工糸を使用すればよい。
本考案の第9の考案の多層構造衣類は、第1から第7の考案において、前記近赤外線遮断布帛に沿って、紫外線を遮断する布帛が重ねて張込まれていることを特徴としている。裏地として近赤外線を遮断する裏地と、紫外線とを遮断する裏地とを重ねて使用することにより、日焼けと透視撮影とから人体を防護することが可能である。
・本考案の第1の考案によれば、近赤外線透視撮影をしても多層構造の裏地の形状が撮影されるのみで、裏地から隙間があいている状態の人体のシルエットや陰部に係る詳細を撮影することはできない。裏地の位置で、近赤外線遮断布帛を使用しているためファッション性を低下させないばかりか、その位置で使用する裏地の色彩が制約されず、表地と裏地との色彩の調和がある布帛を選択してファッション性の高い多層構造衣類を構成することが可能である。
・本考案の第2の考案によれば、着衣者が動作しても、多層構造衣類を垂らした状態で形成される隙間が、離間手段により前記隙間が維持され、近赤外線透視撮影によっても人体のシルエットを透視撮影することができない。
・本考案の第3の考案によれば、着衣者の前方からの透視撮影により、顔と、裏地が張られた範囲の胸部と、陰部を含むウエストラインを同時に透視撮影されることを防護することが可能であり、通気性も確保される。勿論、後身頃部をも近赤外線遮断布帛とすれば後方からの透視撮影によってもウエストラインが透視撮影されることを防護することが可能である。
・本考案の第4の考案によれば、裏地が下衿際である胸部打合せ部近傍まで張られていることにより、女性の乳首を含む乳輪までもが、近赤外線遮断布帛からなり裏地により透視撮影から防護される。また、左身頃部と右身頃部とは係止可能とされているため、風がある日であっても胸部がはだけることがなく、透視撮影から防護される。
・本考案の第5の考案によれば、少なくとも陰部前方が完全に覆われているため、陰部に係る詳細が透視撮影されることを防護することが可能である。裏地により腰から太腿上部まで覆われている場合には、太腿上部を覆う裏地の形状が透視撮影されるに留まる。
・本考案の第6の考案によれば、腰部から下方が近赤外線遮断布帛からなる裏地により覆われているため、女性の陰部に係る詳細及び太腿のシルエットが透視撮影されることを防護することが可能である。
・本考案の第7の考案によれば、線ファスナーの人体側に近赤外線遮断布帛が重ねられて配設されていることにより、陰部に係る詳細を裏地により完全に覆い、陰部に係る詳細が透視撮影されることを防護することが可能である。
・本考案の第8の考案によれば、一枚の裏地布帛により、裏地に覆われた部分を日焼けと透視撮影とから防護することが可能である。
・本考案の第9の考案によれば、裏地として近赤外線を遮断する裏地と、紫外線とを遮断する裏地とを重ねて使用することにより、日焼けと透視撮影とから人体を防護することが可能である。
スーツの裏地の形状を説明する説明図(実施例1)。 スーツの離間手段を説明する説明図(実施例2)。 スカートの裏地の形状を説明する説明図(実施例3)。 ズボンの裏地の形状を説明する説明図(実施例4)。 ワンピースの裏地の形状を説明する説明図(実施例5)。 従来のスーツの裏地の形状を説明する説明図。
(実施例1)
実施例1では、透視撮影から着衣者を防護するために、前身頃の裏地を下衿下方のフロントエッジ近傍まで張り出して形成したスーツをなす多層構造衣類の実施例を説明する。スーツの片側の前身頃を開いた状態の実施例1を説明する図1(A)図と、その裏地の形状の正面図を説明する図1(B)図と、従来技術のスーツの片側の前身頃を開いた状態を説明する図6(A)図と、その裏地の形状の正面図を説明する図6(B)図とを参照して、実施例1を説明する。
まず、従来技術のスーツは、後身頃91、前身頃92及び前身頃見返し部93をなす表地と、後身頃の上方部裏地94及びアームホール95を囲んだ前身頃見返し部の後方部をなす前身頃裏地96と、を備えて構成されていた。そして、表地はウール、ポリエステル等の素材により構成され、裏地はポリエステル、キュプラ等の素材により構成され、従来のスーツでは、上着が人体に引っ掛からず滑って着用し易いように、アームホール95を囲んで必要な幅で、表地の裏側に裏地94,96が形成されていた。
より具体的には、後身頃の内面上方部裏地94は上衿の内側に縫合される上衿地衿97の下縁から下方に連なって形成される。また、前記前身頃見返し部の後方の前身頃裏地96は、前身頃見返し部の後方縁98から連なって、上衿地衿97の下縁からやや下がった位置からアームホール95を囲んで、スーツの下方縁近傍に亘り形成されていた(図6(A)参照)。
ここで、図6においては、スーツを着用した状態において、前身頃裏地の位置を示す想像線を破線で示し、着衣者の体型に沿って着衣される第1の衣類を示すウエストライン99を二点鎖線で示し、乳首を含む乳輪100を一点鎖線で示している(図1及び図2においても同様である)。図6に示されるように、従来の前身頃裏地96は、上衿のフロントエッジ101から約6cmの位置まで形成されていた。これによれば、単に前身頃裏地96を近赤外線遮断布帛に置き換えるだけでは、前身頃裏地96は人体の乳房の中心から外方を覆うのみとなり、乳首を含む乳輪100を近赤外線透視撮影から防護することはできない状態であった。また、前身頃裏地の腰部位置が、第1の衣類であるブラウス等に密着した状態となった場合には、ウエストラインもまた同様であった(図6(B)図参照)。
そこで、本考案の実施例1では、少なくとも乳首を含む乳輪100を覆う位置まで、前身頃裏地11を張り出して形成している(図1参照)。具体的には、後身頃の内面上方部の裏地94を、前記上衿地衿97の下縁から下方に連ねて従来技術と同様に形成させる。そして、前身頃裏地11を、前記後身頃の裏地94と上衿地衿97とに連ねて、その下縁はアームホール95を囲んでスーツの下方縁近傍に亘り、その前縁はフロントエッジ101から約3cmの距離をあけて下衿12に沿うように、従来技術の前身頃裏地96(図6参照)よりも拡幅して形成させる。
下衿下方のフロントエッジ101から3cmの距離までを表地生地としているため、下衿部12及びフロントエッジ101が皴にならず美しい形状に保持される。また、前方ボタン13を掛けた状態で、上衿12が着衣者から浮いた状態となっても、外部に胸元裏地が露出して見えないため、スーツのファッション性を損なうことがない。
しかし、スーツを構成する表地の材質を腰のある素材として、または、フロントエッジ101が皴になりにくいように、腰のある布帛(図省略)を芯材として上衿12内面に接着することにより、フロントエッジ101に更に近い位置まで前身頃裏地11を張り出して形成することも可能である。
なお、スーツ表地の材質を腰のある皴になりにくい素材とし、前身頃裏地11を表地に密着して形成しておくことにより、着衣者の肩部に接して下方に垂らして着衣されたスーツは、第1の衣類をなすブラウス等と赤外線遮断布帛からなる裏地との間に隙間があけられた状態となる。これにより、乳首を含む乳輪100とウエストライン99を近赤外線反射光による透視撮影から防護することが可能であるという有利な効果が生まれる。
ここでは、スーツの表地及び裏地を限定しないで説明したが、スーツの表地としては、従来技術で使用されていた全ての素材が適用可能であることは勿論のことである。また、裏地も近赤外線を遮断する機能を有する薄手の素材が適宜選択して適用可能である。なお、本考案の趣旨を逸脱しない範囲で、裏地の形状が変更可能であることも勿論のことである。
(実施例2)
実施例2では、腰部に第1の衣類と裏地との間の離間手段を形成したスーツの実施例を、図2を参照して説明する。実施例2に示すスーツの裏地の構成うち、実施例1と同一の構成については、図2に実施例1と同一の符号を付して説明を省略する。実施例1のスーツによっても、着衣者が歩行等の動作をして、裏地が第1の衣類に密着した状態となった場合には、動作中における着衣者のウエストラインが透視撮影される可能性がある。
そこで、実施例2では、着衣者の腰部位置に、裏地と同一の素材を使用して、上部22を折り込んで縫合した筒状体21を離間手段として、第1の衣類(図省略)と前身頃裏地11に隙間を保持するようにしている。図を省略しているが、別の態様として、前身頃裏地11と同一の素材を使って、ドレープ状にひだを連続形成させて離間手段としてもよい。これにより、着衣者が動作している状態でも、筒状又はドレープ状に形成された離間手段による第1の衣類と前身頃裏地11との隙間が保持されるため、着衣者のウエストラインが透視撮影されにくい。
図を省略しているが、更に別の態様の離間手段としては、裏地の内側に筒状格納部を形成させて、該格納部に薄い細幅樹脂板を着脱自在に格納させるようにしてもよい。そして着衣者の着衣する感覚にフィットする幅、形状の薄板を格納させて、第1の衣類と裏地との間を離間させる。また、洗濯の際には薄板を取り外して洗濯するようにすればよい。なお、これらの離間手段の数や位置は限定されず、表地と裏地の素材、スーツの形状に応じた第1の衣類と裏地との隙間のゆとり幅に応じて適宜選択して離間手段とされればよい。
(実施例3)
次に、実施例3では、スカートをなす多層構造衣類を、図3を参照して説明する。スカート30は着衣者の腰部において第1の衣類(図省略)である下着、ストッキング等に接して着衣され、下方においては第1の衣類とは隙間をあけて垂らして着衣される。図3(A)図はスカート裏地の正面図を説明する図であり、図3(B)図は図3(A)図B−B位置のスカート裏地の断面を説明する図である。
図3においてはスカート裏地31が実線で示されている。実施例3では着衣者の股間の前方及び後方となる位置に、近赤外線遮断裏地を筒状体32に折り返して離間手段として、腰部の周りの赤外線遮断裏地に重ねて配置している。着衣者の歩行により、静電気が発生して裏地が下着等に引寄せられても、筒状体の着衣者側部分が引寄せられるにとどまり、折返し元部33は表地と縫合されていることにより、第1の衣類と表地との間には隙間34が維持される。これにより、近赤外線を使用して股間のシルエットが透視撮影されることを防止することが可能である。
(実施例4)
次に、実施例4では、ズボンをなす多層構造衣類を、図4を参照して説明する。ズボン40は着衣者の腰部において第1の衣類(図省略)である下着、ストッキング等に接して着衣され、下方においては第1の衣類とは隙間をあけて垂らして着衣される。図4(A)図はズボン裏地の正面図を説明する図であり、図4(B)図は図4(A)図B−B位置のズボン裏地の断面を説明する図である。
図4においてはズボン裏地41が実線で示されている。実施例4では着衣者の前方股間となる位置には、線ファスナー42裏面に内方から近赤外線遮断布帛からなる芯材43が熱溶着されている。また、着衣者の後方股間となる位置には、実施例3と同様に裏地が筒状体44に折り返して離間手段として、腰部の周りの赤外線遮断裏地からなるズボン裏地41に重ねて配置される。線ファスナー42前方開閉部は布帛の重ね合わせ数が多いが、その裏面に内方から芯材43を接着することにより、容易な作業で、完全に陰部を近赤外線遮断布帛により覆い、透視撮影から陰部を防護することが可能となる。
また腰部の周りの赤外線遮断裏地41を陰部下方まで垂らして設けておくことにより、臀部において第1の衣類と表地との間には隙間45が維持される。これにより、近赤外線を使用して下着の形状や股間のシルエットが透視撮影されることを防止することが可能である。
(実施例5)
次に実施例5では、ワンピースをなす多層構造衣類を、図5を参照して説明する。ワンピース50は着衣者の肩部51において第1の衣類(図省略)である下着等に接して着衣され、下方においては第1の衣類とは隙間をあけて垂らして着衣される。図5はワンピース裏地の正面図を説明する図である。
図5においては、ワンピース内方から後方を見た状態の裏地52を実線で示している。実施例5では、着衣者の肩部51から大腿部下方までを覆う位置まで、近赤外線遮断布帛からなる裏地52によりワンピース内面が覆われている。そして、腰部から大腿部下方までは、内方側に凸をなすように折り返し部53が離間手段として所定の間隔で連続して形成されている。これにより、着衣者が歩行等の動作をしても、第1の衣類と裏地との隙間が維持され、人体の体型に密着して着衣され、透視撮影されやすいワンピースであっても、人体のシルエット、乳首を含む乳輪100、陰部(図省略)を透視撮影から防護することが可能となる。
(その他の実施例)
・前記の実施例では、スーツ、スカート、ズボン、ワンピースを例として、多層構造衣類を説明したが、多層構造衣類は前記の態様の衣類に限定されないことは勿論である。
・実施例2から実施例5では、離間手段を裏地と同一の素材としたが、同一の素材に限定されず、離間手段として第1の衣類と多層構造衣類との間の隙間を維持するために機能する材質・形状であれば、前記の実施例には限定されない。
・今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本考案の技術的範囲は、上記した説明に限られず実用新案登録請求の範囲によって示され、実用新案登録請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
11…前身頃裏地、12…下衿、13…前方ボタン、21…筒状体、22…筒状体上部、
30…スカート、31…スカート裏地、32…筒状体、33…折返し元部、34…隙間、
40…ズボン、41…ズボン裏地、42…線ファスナー、43…芯材、
44…筒状体、45…隙間、
50…ワンピース、51…肩部、52…裏地、53…折り返し部、
91…後身頃、92…前身頃、93…前身頃見返し部、94…裏地、
95…アームホール、96…前身頃裏地、97…上衿地衿、
98…前身頃見返し部の後方縁、99…ウエストライン、
100…乳首を含む乳輪、101…フロントエッジ

Claims (9)

  1. 人体の体型に沿って着衣される第1の衣類を介して、人体を覆うように着衣される表地と裏地を含んだ多層構造衣類において、
    前記多層構造衣類は、その上部において前記裏地が前記第1の衣類に接して着衣されると共に、その下部において前記裏地が第1の衣類とは隙間をあけて下方に垂らして着衣され、
    前記裏地が第1の衣類への近赤外線を遮断する近赤外線遮断布帛からなっている、
    ことを特徴とする多層構造衣類。
  2. 前記多層構造衣類は、胸部及び胴部を覆うように着衣される表地と裏地を含み、
    前身頃部と後身頃部とからなる身頃部を備え、人体の前記胸部及び前記胴部を覆う衣類であって、
    前記前身頃部は、少なくとも人体の胸部において左右に左身頃部と右身頃部として開放可能とされ、
    前記左身頃部と前記右身頃部とは少なくとも各々の一部を接して打合せ部として分離可能に係止され、
    前記後身頃部は前記左身頃部と前記右身頃部と連なり一体をなし、
    胴部を覆う部分が第1の衣類とは隙間をあけて下方に垂らして着衣されると共に、
    少なくとも左右の前身頃部の裏地が第1の衣類への近赤外線を遮断する近赤外線遮断布帛からなっている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の多層構造衣類。
  3. 前記多層構造衣類は、胸部開襟部を備えたスーツの上着であって、
    前記前身頃部は胸部及び胴部に亘り前記左身頃部と前記右身頃部に分離され、
    胸部近傍の打合せ部において左身頃部と右身頃部とは係止可能とされ、
    前記裏地の近赤外線遮断布帛が胸部打合せ部近傍まで湾曲して張り出してなる、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の多層構造衣類。
  4. 前記多層構造衣類は、前記隙間が離間手段により維持される、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の多層構造衣類。
  5. 前記多層構造衣類は、腰部から脚部にかけての人体を覆うように着衣される表地と裏地を含み、
    近赤外線遮断布帛からなる裏地により、少なくとも陰部前方が完全に覆われている衣類である、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項2に記載の多層構造衣類。
  6. 前記多層構造衣類がスカートであり、
    前記裏地が腰部で前記第1の衣類に接して着衣され、前記裏地がその下部において第1の衣類とは隙間をあけて下方に垂らして着衣される、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項5に記載の多層構造衣類。
  7. 前記多層構造衣類がズボンであり、
    少なくとも前方の線ファスナーの人体側に、近赤外線遮断布帛が重ねられて配設されている、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項5に記載の多層構造衣類。
  8. 前記近赤外線遮断布帛が、更に紫外線をも遮断する布帛である、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の多層構造衣類。
  9. 前記近赤外線遮断布帛に沿って、紫外線を遮断する布帛が重ねて張込まれている、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の多層構造衣類。
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