JP3166049U - 簡易口腔内清潔度検査キット - Google Patents

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正夫 石川
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Abstract

【課題】洗口用液の計量具と、この洗口用液を用いて洗口後の吐出液が入れられる回収具と、この吐出液の濁度判定具とを備え、口腔内の清潔度を簡便かつ短時間で経済的にも有利に、しかも精度よく判定できる簡易口腔内清潔度検査キットを提供する。【解決手段】該キットの使用に当たっては、計量具1(容量5mLの計量スプーン)で採取した5mLのイオン交換水を回収具2(プラスチック製のコップ)に入れ、この回収具2内の洗口用液を被験者が口に含んで10秒間洗口した後、回収具2内に吐出し、この吐出液を洗口後の吐出液として採取する。さらに、洗口後の吐出液を室温下、直ちに簡易口腔内清潔度検査キットの測定検体収容具4(透明のディスポーサブル・セル)に3mL入れ、濁度判定用線状指標5により濁度を視覚判定する。なお、線状指標5は、バックグラウンド色調はJIS Z 8721 規格の無彩色明度の段階スケールのNo.17、線形指標はNo.11の色調とする。視覚判定は、線形指標の存在の視覚による確認の有無で行う。【選択図】図1

Description

本考案は、口腔内を洗口後の吐出液の濁度を迅速かつ簡便に測定でき、これにより口腔内の清潔度を予測することができる簡易口腔内清潔度検査キットに関する。
口腔内の清潔度は、唾液や口腔内全体の総細菌数に依存すると考えられている。しかし、総細菌数の測定は、時間と多くの労力を要するため面倒であり、集団検診等で用いたり、セルフチェック(自己判定)することは困難であった。
口腔内の清潔度の評価については、唾液や歯垢などを培養しコロニー数をカウントする方法(非特許文献1)、細菌に特異的な酵素活性を測定する方法、細菌の抗原量や遺伝子量を測定する方法(非特許文献2,3)などが提案されている。しかしながら、これらは測定終了までに早いものでも5分間から数日間を要し、また、高価な分析機器を用いる場合も多く、操作が面倒で汎用性にも劣るものであった。
更に、プラーク(歯垢)や歯石の存在、舌苔の付着量、唾液の濁度、口腔内の細菌数などを簡便にチェックできる方法が提案されている。例えば唾液の濁度を測定してう蝕、歯周病等の口腔内疾患の有無を判定する方法として、唾液性状検査用キット及び口腔内疾患判定方法(特許文献1:特開2004−108976号公報参照)が提案されている。しかし、この方法は唾液中の不溶性物質量を視覚的に判定するものであるが、無彩色明度のスケールが全範囲であるため、判定が難しく、特に、中・高齢者によるセルフチェックは判定し難く、迅速かつ簡便に判定し難いものであった。
特開2004−108976号公報
Davenport ES, Day S, Hardie JM et al.:A comparison between commercial kits and conventional methods for enumeration of salivary mutans streptococci and lactobacilli. Community Dent Health 9:261−71,1992. Matsumoto Y, Sugihara N, Koseki M:A rapid and quantitative detection system for Streptococcus mutans in saliva using monoclonal antibodies. Caries Res 40:15−19,2006. Lyons SR, Griffen AL, Leys EJ:Quantitative real-time PCR for Porphyromonas gingivalis and total bacteria. J Clin Microbiol 38:2362−2365,2000. 石川正夫,山崎洋治,森田十誉子ほか:洗口吐出液中のアンモニア濃度および濁度を指標とした口腔清潔度検査について 口腔衛生会誌59:93−100,2009.
本考案は、上記事情に鑑みなされたもので、口腔内の清潔度を簡便かつ短時間で経済的にも有利に、しかも精度よく判定し、これにより口腔内の清潔度を予測することができ、集団検診や、保健指導等の健康教育などで広範囲かつ多数の被験者の検査に使用することができ、セルフチェックでも使用できる簡易口腔内清潔度検査キットを提供することを目的とする。
本考案によれば、洗口用液の計量具と、この洗口用液を用いて洗口後の吐出液が入れられる回収具と、この吐出液の濁度判定具とを備えたことを特徴とする簡易口腔内清潔度検査キットによって、上記目的を達成したものである。
この場合、濁度判定具が、吐出液が入れられる測定検体収容具とその濁度判定用線状指標とが備えられたものであることが好ましい。なお、測定検体収容具としては、透明のプラスチック製セルであることが好ましい。
また、濁度判定用線状指標は、背景(バックグラウンド)とこれと色調が異なる1本以上の線形指標とを備えたものであることが好ましい。
この場合、濁度判定用線状指標のバックグラウンドと線形指標とが、JIS Z 8721規格の三属性による色の表示方法における無彩色明度の段階スケールに準拠した18段階の色見本において6段階以内の色調コントラスト差を有するものであることが好ましい。
更に、線状指標が、色調の異なる2本以上の線形指標を備えたものとすることができ、この2本以上の線形指標は、JIS Z 8721規格の三属性による色の表示方法における無彩色明度の段階スケールに準拠した18段階の色見本において2段階以上の色調コントラスト差を有するものであることが好ましい。
また、本考案にかかわる他の態様によれば、洗口用液の計量具と、この洗口用液を用いて洗口後の吐出液が入れられる回収具と、この吐出液が入れられる測定検体収容具と、この吐出液の濁度判定用色見本とを備えたことを特徴とする簡易口腔内清潔度検査キットによって、上記目的を達成したものである。
この場合、測定検体収容具が透明のプラスチック製セルであることが好ましい。
また、濁度判定用色見本が、JIS Z 8721規格の三属性による色の表示方法における無彩色明度の段階スケールに準拠した18段階の色見本のうちの2〜5段階の判別用色見本を備えたものであることが好ましい。
本考案者らは、迅速かつ簡易な口腔内の清潔度検査法を確立することを目的に、唾液に比べ短時間で採取が可能な、洗口後の吐出液を用いた簡易検査法の確立を試みた。その中で、洗口後の吐出液及び安静時唾液を用いた職域成人の調査研究結果から、口腔内の清潔度の指標として応用の可能性が考えられる化学的・物理的因子の中から、濁度が汚れの指標である総細菌数との関連性が高いことに着目し、本考案者らは、口腔内の総細菌数に関連する因子として吐出液の濁度を光の吸光度で測定する口腔内清潔度検査キットを実用新案第3151124号に提案した。この方法は2009年、口腔衛生会誌(非特許文献4)に掲載されている。本考案者らは、この検査キットが測定に高価な機器(濁度測定器)を用いる必要があることから、このような機器を使用しなくても迅速かつ簡便に検査できる技術に着目し、更に簡易な検査法の確立を試みた結果、洗口後の吐出液の濁度を指標とした、より簡便に自立高齢者などが自分で視覚により判定可能で、かつ迅速な上記簡易口腔内清潔度検査キットを考案することができたものである。
この考案の簡易口腔内清潔度検査キットによれば、洗口用液の計量具と、この洗口用液を用いて洗口後の吐出液が入れられる回収具と、この吐出液の濁度判定具とを備えるだけで、短時間で採取が可能な洗口後の吐出液を用いて、この洗口後の吐出液の濁度を、機器を使用せずに簡単かつ短時間で測定でき、この結果から口腔内の清潔度を簡便かつ短時間で経済的にも有利に、しかも精度よく判定できる。
この考案の他の態様に係る簡易口腔内清潔度検査キットによれば、洗口用液の計量具と、この洗口用液を用いて洗口後の吐出液が入れられる回収具と、この吐出液が入れられる測定検体収容具と、この吐出液の濁度判定用色見本とを備えるだけで、短時間で採取が可能な洗口後の吐出液を用いて、この洗口後の吐出液の濁度を、機器を使用せずに簡単かつ短時間で測定でき、この結果から口腔内の清潔度を簡便かつ短時間で経済的にも有利に、しかも精度よく判定できる。
従って、本考案の簡易口腔内清潔度検査キットは、集団検診や、保健指導等の健康教育などで広範囲かつ多人数の被験者を一度に検査する際に有効に使用することができる。
また、LDH(公益財団法人ライオン歯科衛生研究所)の行っているような産業活動、健康教育活動、診療活動、教育活動および研究活動度に参加する対象者の口腔内の清潔度(口腔内の清潔度、口腔清掃度)を客観的かつ簡易にセルフチェックできる検査キットとして使用することができる。更に、自宅、職場、高齢者施設はじめ介護現場等でも口腔内の清潔度を検査するために活用することもできる。
口腔内の清潔度に影響を及ぼす因子は食物残渣、剥離上皮細胞、食品や嗜好品由来の色素やタール、歯垢、舌苔などが考えられ、特に歯垢や舌苔量が多くなると唾液中の総細菌数が増加し、高齢者では誤嚥性肺炎等のリスクが高まることも指摘されている。本考案により口腔内清潔度を検査することによって、口腔内の衛生状態を予想し、歯垢や舌苔量などの上記因子の影響を推測することができ、これにより、う蝕や歯周疾患のリスクや誤嚥性肺炎のリスク等を推測することも可能と考えられる。
本考案の簡易口腔内清潔度検査キットの一実施態様を示す概略斜視図である。 図1のキットを用いて口腔内清潔度を検査する工程を示す概略斜視図である。 本考案の簡易口腔内清潔度検査キットの他の実施態様を示す概略斜視図である。 図3のキットを用いて口腔内清潔度を検査する工程を示す概略斜視図である。
以下、図面を参照してこの考案の最良の形態を説明する。図1は、簡易口腔内清潔度検査キットの一例を示すもので、洗口用液の計量具1と、洗口用液で洗口後の吐出液が入れられる回収具2と、この吐出液の濁度判定具3とを備えたものである。
図1中1は洗口用液の計量具であって、計量スプーンである。計量具1は洗口用液を一定量計量し採取できるものであればその形状や材質は特に限定されず、スプーン形状、カップ状などのものが計量し易くかつ入手容易であり、好適に使用でき、計量のための目盛り付きのものを使用してもよい。また、計量具1は一般的に一回の使用で使い捨てされ(ディスポーザブル)、材質としては各種プラスチック製、紙製のものが、使い捨て容易で安価かつ入手し易いことから好適である。計量採取できる容量は必要に応じで適宜選定できるが、3〜20mL、特に3〜10mL程度採取計量できるものが好ましい。なお、必要に応じて容量の異なる2種以上のものを組み合わせて使用してもよい。
図1中2は、洗口用液で洗口後の吐出液が入れられる回収具である。この回収具2は、計量具1で計量採取した洗口用液を使用者が口腔内に含み洗口した後の唾液を含む吐出液(洗口後の吐出液)を吐き出すために使用されるものであるが、必要に応じて計量具1で計量採取した、洗口に使用される前の洗口用液を一端収容しておき、洗口用液を口腔内に含むための用具として兼用して使用してもよい。この場合、洗口用液を口腔内に含み洗口する際に回収具2内は空になるので、この空になった回収具2が、吐出液を吐き出すための回収具に利用される。
回収具2の形状や材質は特に限定されず、カップ状、ボトル状、ビーカー状、遠沈管状、スピッツ管状、試験管状、セル状、バイアル状などのものが計量し易くかつ入手容易であり、好適に使用できる。また、未使用時には折りたたまれ、使用時にカップ状、ビーカー状、遠沈管状、スピッツ管状、試験管状、セル状、バイアル状などに成形できる折りたたみ式のものを用いてもよい。回収具2は一般的に一回の使用で使い捨てされ(ディスポーザブル)、材質としては各種プラスチック製、紙製のものが、使い捨て容易で安価かつ入手し易いことから好適である。回収具2の容量は、吐出液を収容できれば特に制限はなく適宜選定できるが、12〜300mL、特に30〜150mL程度の容量のものが好ましい。
図1中3は吐出液の濁度判定具であり、吐出液が入れられる測定検体収容具4とその濁度判定用線状指標5と、蓋体6からなり、濁度判定用線状指標5は検体収容具4の側面、特に外側面に、該指標が可視可能に貼付されることが好ましい。
ここで、測定検体収容具としては、透明で収容検体及び濁度判定用線状指標の線形指標が目視できればその材質や成分などに特に制限はなく、また構造にも制限はなく、種々の形状のものを使用できる。例えば透明なプラスチック等の材質でセル状、試験管状、スチロール角形ケース状、瓶状、スポイトの持ち手部分状、ピペット状、カップ状などのものが使用できるが、セル状のものが判定し易くかつ入手容易であり、好適に使用できる。
濁度判定用線状指標の形状は、特に限定されないが、測定検体収容具の側面、特に外側面に貼付できる形状であることが望ましく、貼付し易さや判定し易さの点から四角形状などが好適であり、幅10〜30mm、長さ35〜100mm、厚さ10〜30mm程度のものが望ましい。
また、この測定検体収容具は蓋を付けることも可能であり、蓋をつけることにより吐出液で手を汚すことなく検体の濁度を判定できる。
また、図1中、濁度判定用線状指標5は、測定検体収容具4の外側面に貼付されているが、その貼付位置は適宜調整でき、測定検体収容具の形状等に応じ視覚判定し易い位置に貼付することが好ましく、検体が収容される測定検体収容具4の下部の外側面に貼付することが視覚判定し易く好適である。
濁度判定用線状指標としては、バックグラウンドとこれと色調が異なる1本又は2本以上の線形指標とをこのバックグラウンド内に備えたものが好ましく、バックグラウンドとの色調コントラスト差により線形指標が目視可能な状態に形成されたものであることが、視覚で判定しやすく好適である。
この場合、濁度判定用線状指標のバックグラウンドと線形指標とが、JIS Z 8721規格の三属性による色の表示方法における無彩色明度の段階スケールに準拠した18段階の色見本において6段階以内、特に1〜5段階の色調コントラスト差を有するものであることが好ましい。
JIS Z 8721規格の三属性による色の表示方法における無彩色明度の段階スケールは、物体色の明るさの基準となるマンセルバリュー(N1.0〜N9.5)をJIS Z 8721(三属性による色の表示方法)に準拠して0.5ステップごとに色票化し18段階の明度段階スケールとなっている。上記バックグラウンドと線形指標とは、この段階スケールにおいて6段階以内、特に1〜5段階の明度の差を有することが好ましい。
また、濁度判定用線状指標の線形指標は、線形指標が1本だけでもよいが、バックグラウンド内に色調の異なる2本以上の線形指標を備えたものであってもよい。この場合、2本以上の線形指標は、JIS Z 8721規格の三属性による色の表示方法における無彩色明度の段階スケールに準拠した18段階の色見本において2段階以上、特に2〜4段階の色調コントラスト差を有するものであることが、濁度を判定し易く好適である。
なお、線形指標の線幅は0.5〜3mmとすることができ、同一線幅のものを備えることができるが、異なる線幅の2本以上の線形指標を備えてもよい。
具体的には、1本の線形指標を形成し、濁度判定用線状指標のバックグラウンドは上記18段階の明度段階スケールのNo.17、線形指標はNo.11の明度とすることができる。なお、バックグラウンドと線形指標との明度を逆転させ、バックグラウンドがNo.11、線形指標がNo.17としてもよい。
また、2本の線形指標を形成する場合は、例えば濁度判定用線状指標のバックグラウンドは上記18段階の明度段階スケールのNo.17とし、2本の線形指標をそれぞれNo.11とNo.14の明度、あるいはNo.11とNo.13の明度とすることができる。なお、バックグラウンドと線形指標との明度を逆転させ、バックグラウンドがNo.11で、線形指標がNo.14とNo.17の明度、あるいはNo.13とNo.17の明度としてもよい。
濁度判定用線状指標5による口腔内の清潔度は、例えば、下記のように線形指標を視覚で確認して下記のような段階で濁度を判別し、その判別結果から判定することができる。
お口の清潔度チェック(線状指標)
汚れている:
バックグラウンドとの色調差が6又は7段階離れている線形指標が視覚で見えない。
やや汚れている:
バックグラウンドとの色調差が3又は4段階離れている線形指標が視覚で見えない。
清潔:
バックグラウンドとの色調差が2段階以下離れている線形指標が視覚で見えない。
具体例として、線形指標が1本線である場合の例を下記に示す。
汚れている:
バックラウンドの色調がNo.17で、色調No.11の線形指標が見えない。
やや汚れている:
バックラウンドの色調がNo.17で、色調No.14の線形指標が見えない。
なお、異なる線幅の2本以上の線形指標を備えた場合は、汚れがひどい場合ほど線幅が太い線が見えなくなるので、このような線幅に応じて濁度を判定することもできる。なお、線形指標の線幅は0.5〜3mmの範囲とすることができ、例えば2本の場合は線幅0.5〜3mmと0.5〜2.1mmとの2本の線形指標を備え、線幅差は0.2〜2.0mmとすることが好ましい。
上記口腔内清潔度検査具にて濁度により清潔度を検査する場合は、例えば図2に示すように計量具1で洗口用液7を計量採取し(1−1)、この洗口用液7で洗口後の吐出液を回収具2内に回収後(1−2)、この回収具2内の吐出液を測定検体収容具4内に入れ(1−3)、この測定検体収容具4を蓋体5で蓋をした後に、測定検体収容具4内の吐出液検体8を透過して濁度判定用線状指標を視覚で確認し濁度を判別することで、清潔度を検査することができる。
ここで、計量具1で採取する洗口用液7の採取量は、必要に応じで適宜選定できるが、3〜20mL、特に3〜10mL程度が好ましい。洗口用液としては、水道水、イオン交換水、蒸留水、ミネラルウォーター等が挙げられ、これらから選ばれる洗口用液を必要に応じて選択して使用することができる。
洗口用液による洗口は、通常の方法で行うことができ、洗口用液を口腔内に含んで洗口をしながら5〜30秒間洗口することが好ましい。
なお、吐出液の濁度の判定は、吐出液を採取し検体収容具内の収容した後、直ちに判定することが好ましい。
次に、図3は、口腔内清潔度検査キットの他の例を示すもので、洗口用液の計量具1と、洗口用液で洗口後の吐出液が入れられる回収具2と、この吐出液が入れられる測定検体収容具11とその蓋体12と、この収容具中の吐出液の濁度を判定するための濁度判定用色見本13を備えたものである。また、濁度判定用色見本13は、お口の清潔度チェック票としてバックグラウンド色見本14の下部に2〜5段階の判別用色見本15が平行に並べられ、その下にそれぞれのスコア数値と清潔度の判定基準が記載され、この判別用色見本の横には判定スコア記載欄16が設けられている。
なお、図3、更には図4において、計量具1、回収具2及び洗口用液7以外の構成は上記図1に示した口腔内清潔度検査キットと同様であるので、図3に図1と同様の参照符号を付して、その説明を省略する。
ここで、測定検体収容具としては、透明で収容検体が目視できればその材質や成分などに特に制限はなく、また構造にも制限はなく、種々の形状のものを使用できる。例えば図1に示す濁度判定具3において濁度判定用線状指標が貼付されていないものと同様のものを使用できる。その材質や形状等は上記と同様とすることができ、透明なプラスチック製セルが判定し易くかつ入手容易であり、好適に使用できる。
更に、濁度を判定するための濁度判定用色見本は、濁度を判定できればその色見本は特に制限されないが、上記と同様のJIS Z 8721規格の三属性による色の表示方法における無彩色明度段階スケールに準拠して0.5ステップごとに色票化し、18段階から選ばれた色見本を基準とし、この色見本の中の2〜5段階の判別用色見本を備えたものとすることが好ましい。
口腔内の清潔度は、例えば図3において濁度判定用色見本13による濁度の視覚判別により判定できる。例えば、図3の判別用色見本13においてバックグラウンド色見本14は、JIS Z 8721規格の無彩色明度段階スケールにおいてNo.17の明度の色見本であり、また、判別用色見本15は、同様の無彩色明度段階スケールにおいて、スコア0はNo.17、スコア1はNo.10、スコア2はNo.8、スコア3はNo.4、スコア4はNo.2の明度の色見本である。この判別用色見本15と検体の色調を比較し、そのスコア数値が0又は1の場合は清潔、2の場合はやや汚れている、3又は4の場合は汚れていると口腔内の清潔度を判定することができ、判定結果は判定スコア記載欄16に記入することができる。
上記口腔内清潔度測定キットにおいて、濁度の測定は、図4に示す工程で行うことができる。この場合、図2に示した簡易口腔内清潔度測定キットの場合と同様に図2に示す1−1、1−2の工程により、計量具1で計量採取した洗口用液7で洗口後の吐出液を回収具2内に回収した後、この回収具2内の吐出液を、1−3工程により測定検体収容具11に流し入れて必要に応じて蓋体12で蓋をした後、1−4の工程により濁度を判定する。この場合、濁度を判定する際は、1−4の工程により、吐出液検体17を収容した測定検体収容具11を、濁度判定用色見本13のバックグラウンド色見本14及び判別用色見本15と平行に移動させ、吐出液検体17の色調を判別用色見本15と視覚により比較し、最も類似している色調の色見本下のスコア値で濁度を判別し、その結果から清潔度を判定することができる。
なお、洗口用液の採取量や種類、洗口方法などは、図2に示す工程において記載したものと同様とすることができる。
本考案のキットを用いて口腔内清潔度を測定する場合、被験者は食物摂取後60〜120分間程度経過した状態であることが、食物摂取の影響を防止する点で好ましい。
以上、本考案の具体例2例を示したが、本考案は上記例に限定されるものではなく、各部の構成や組み合わせは、本考案の要旨を逸脱しない範囲であれば種々変更して差し支えない。
〔実験例1〕
この考案の一具体例として、図1に示す簡易口腔内清潔度検査キットを用いて濁度を測定し、下記実験例1に示す方法で検査を行った。
10名の自立高齢者を被験者とし、飲食後2時間以上経過した午前10時から11時の間に、5mlの飲料水で10秒間洗口した後の吐出液を試料として採取した。吐出液は室温下直ちに、ディスポーサブル・セルに入れ、5段階色見本または2色の基準色からなる色見本を付着したディスポーサブル・セルに入れ、各自が、マニュアルに従い目視で判定した。また、その後、器機との関連性確認のため濁度測定器により660nmの吸光度を測定した。なお、濁度測定器としては、東京光電社製の光電比色計(商品名 ANA−18A+)を使用し、選択波長660nmの干渉フィルターを用いた。測定時はこの光電比色計に対応するディスポーサブル・セルとして、容量4.5mLのプラスチック製の透明角セルを用い、これに上記吐出液を入れて濁度を測定した。
即ち、図1に示す簡易口腔内清潔度検査キットを用い、図2の工程1−1,1−2に従い、計量具1(容量5mLの計量スプーン)で採取した5mLのイオン交換水を回収具2(プラスチック製のコップ)に入れ、この回収具2内の洗口用液7を被験者が口に含んで10秒間洗口した後、回収具2内に吐出し、この吐出液を洗口後の吐出液として採取した。洗口後の吐出液を室温下、直ちに図2に示す簡易口腔内清潔度検査キットの測定検体収容具4(透明のディスポーサブル・セル)に3mL入れ、濁度判定用線状指標5により濁度を視覚判定した。なお、線状指標5は、バックグラウンド色調はJIS Z 8721 規格の無彩色明度の段階スケールのNo.17、線形指標はNo.11の色調とした。視覚判定は、線形指標の存在の視覚による確認の有無で行った。結果を表1に示した。
また、各判定結果の検体の上記濁度測定器による濁度測定値を平均し、表1に平均濁度として併記した。
口腔清潔度の濁度範囲が0.00〜0.35未満は清潔、0.35以上は汚れていると判定できる。
〔実験例2〕
この考案の他の一具体例として、図3に示す簡易口腔内清潔度検査キットを用いて濁度を測定し、下記実験例2に示す方法で検査を行った。
実験例1と同様の試料を用い、同様に濁度測定器で濁度を測定した。
図3に示す簡易口腔内清潔度検査キットを用い、図4の工程1−1,1−2に従い、計量具1(容量5mLの計量スプーン)で採取した5mLのイオン交換水を回収具2(プラスチック製のコップ)に入れ、この回収具2内の洗口用液7を被験者が口に含んで10秒間洗口した後、回収具2内に吐出し、この吐出液を洗口後の吐出液として採取した。洗口後の吐出液を室温下、直ちに図4の工程1−3に従い、簡易口腔内清潔度検査キットの測定検体収容具11(透明のディスポーサブル・セル)に3mL入れ、工程1−4に従い、吐出液検体8の色調を濁度判定色見本13を用いて判定した。なお、濁度判定色見本13において、バックグラウンド色見本14はJIS Z 8721 規格の無彩色明度の段階スケールのNo.17の明度、判別用色見本15において、スコア0はNo.17、スコア1はNo.10、スコア2はNo.8、スコア3はNo.4、スコア4はNo.2の明度である。視覚判定は、検体収容具11中の吐出液検体8の色調を判別用色見本15と視覚により比較して最も近い色調のスコアを判定結果とした。結果を表2に示した。
また、各スコア値の検体の上記濁度測定器による濁度測定値を平均し、表2に平均濁度として併記した。
表1、2の結果から、本考案の簡易口腔内清潔度検査キットにより、口腔内の濁度を簡易に目視判定でき、例えば自立高齢者が自分で濁度を判定し口腔内の清潔度を検査することが可能と認められた。
1 計量具
2 回収具
3 濁度判定具
4 測定検体収容具
5 濁度判定用線状指標
6 蓋体
7 洗口用液
8 吐出液検体
11 測定検体収容具
12 蓋体
13 濁度判定用色見本
14 バックグラウンド色見本
15 判別用色見本
16 判定スコア記載欄
17 吐出液検体

Claims (10)

  1. 洗口用液の計量具と、この洗口用液を用いて洗口後の吐出液が入れられる回収具と、この吐出液の濁度判定具とを備えたことを特徴とする簡易口腔内清潔度検査キット。
  2. 濁度判定具が、吐出液が入れられる測定検体収容具とその濁度判定用線状指標とを備えたものである請求項1記載の簡易口腔内清潔度検査キット。
  3. 測定検体収容具が、透明のプラスチック製セルである請求項2記載の簡易口腔内清潔度検査キット。
  4. 濁度判定用線状指標が、背景とこれと色調が異なる1本以上の線形指標とを備えたものである請求項2又は3記載の簡易口腔内清潔度検査キット。
  5. 濁度判定用線状指標の背景と線形指標とが、JIS Z 8721規格の三属性による色の表示方法における無彩色明度の段階スケールに準拠した18段階の色見本において6段階以内の色調コントラスト差を有するものである請求項4記載の簡易口腔内清潔度検査キット。
  6. 線形指標が、色調の異なる2本以上の線形指標を備えたものである請求項5記載の簡易口腔内清潔度検査キット。
  7. 色調の異なる2本以上の線形指標が、JIS Z 8721規格の三属性による色の表示方法における無彩色明度の段階スケールに準拠した18段階の色見本において2段階以上の色調コントラスト差を有するものである請求項5記載の簡易口腔内清潔度検査キット。
  8. 洗口用液の計量具と、この洗口用液を用いて洗口後の吐出液が入れられる回収具と、この吐出液が入れられる測定検体収容具と、この吐出液の濁度判定用色見本とを備えたことを特徴とする簡易口腔内清潔度検査キット。
  9. 測定検体収容具が、透明のプラスチック製セルである請求項7記載の簡易口腔内清潔度検査キット。
  10. 濁度判定用色見本が、JIS Z 8721規格の三属性による色の表示方法における無彩色明度の段階スケールに準拠した18段階の色見本のうちの2〜5段階の判別用色見本を備えたものである請求項7又は8記載の簡易口腔内清潔度検査キット。
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