JP3164361U - 熱変色性筆記具 - Google Patents

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Abstract

【課題】筆記具のデザイン上の自由度が増加するとともに、摩擦体の表面の汚れを防止できる熱変色性筆記具を提供する。【解決手段】熱変色性筆記具1は、軸筒2とキャップ3とからなる。軸筒2の内部に熱変色性インキを収容し、軸筒2の一端にペン先21を備える。キャップ3の前端部に摩擦体4を前後方向に移動可能に収容する。摩擦体4は、熱変色性インキの筆跡を摩擦しその際に生じる摩擦熱で該筆跡を熱変色可能である。筆記使用時、キャップ3を軸筒2の尾端部22に装着した状態において、軸筒2の尾端部22が摩擦体4を前方へ押圧することによって摩擦体4がキャップ3の前端から外部に突出する。非筆記使用時、キャップ3を軸筒2の尾端部22から取り外すことによって、前記摩擦体4に対する前方への押圧が解除され、摩擦体4がキャップ3内に没入可能となる。【選択図】 図3

Description

本考案は、熱変色性インキを内蔵した熱変色性筆記具に関する。詳細には、内部に熱変色性インキを収容し、且つ、前記熱変色性インキの筆跡を摩擦しその際に生じる摩擦熱で前記熱変色性インキの筆跡を熱変色可能な摩擦体を備えた熱変色性筆記具に関する。
従来、熱変色性インキを内蔵した熱変色性筆記具において、特許文献1には、熱変色性インキによる筆跡を摩擦熱で熱変色させるための摩擦体を、キャップの頂部に設ける構成や、軸胴の後端に設ける構成が記載されている。
特開2004−148744号公報
前記従来の熱変色性筆記具は、常時、摩擦体がキャップの頂部や軸胴の後端において突出した状態にあるため、摩擦体を含めた筆記具の外観デザインを設定しなければならず、外観デザイン上の自由度が減少し、その上、摩擦体の表面が埃や手垢等の付着物で汚れ、摩擦時に紙面を汚すおそれがある。
本考案は、前記従来の問題点を解決するものであって、筆記具の外観デザイン上の自由度が増加するとともに、摩擦体の表面の汚れを防止できる熱変色性筆記具を提供しようとするものである。尚、本考案で、「前」とはキャップの頂部側を指し、「後」とは軸筒に装着可能なキャップの開口部側を指す。
[1]本願の第1の考案は、内部に熱変色性インキを収容し且つ一端に前記熱変色インキが吐出可能なペン先21を備えた軸筒2と、前記軸筒2のペン先21側に装着可能な開口部を後端に備え、且つ、前記熱変色性インキの筆跡を摩擦しその際に生じる摩擦熱で該筆跡を熱変色可能な摩擦体4を前端に備えたキャップ3とからなる熱変色性筆記具であって、軸筒2のペン先21側及び尾端部22にキャップ3を装着可能に構成し、キャップ3の前端部に摩擦体4を前後方向に移動可能に収容し、キャップ3を軸筒2の尾端部22に装着した状態において、軸筒2の尾端部22が摩擦体4を前方へ押圧することによって摩擦体4がキャップ3の前端から外部に突出し、キャップ3を軸筒2の尾端部22から取り外すことによって、前記摩擦体4に対する前方への押圧が解除され、摩擦体4がキャップ3内に没入可能となること(請求項1)を要件とする。
前記第1の考案の熱変色性筆記具1は、筆記使用時において、キャップ3を軸筒2の尾端部22に装着することによって、摩擦体4をキャップ3の前端から外部に突出させることができる。前記第1の考案の熱変色性筆記具1は、非筆記使用時において、キャップ3を軸筒2の尾端部22が取り外され(即ちキャップ3と軸筒2の尾端部22が非装着状態となり)、軸筒2の尾端部22の摩擦体4に対する前方への押圧が解除されることにより、摩擦体4をキャップ3内に没入させることができる。それにより、摩擦体4が常時外部に突出していないため、摩擦体4を含めた筆記具の外観デザインを設定することが不要となり、筆記具の外観をデザインする際(即ちキャップ3をペン先21側に装着した非筆記使用状態の筆記具の外観をデザインする際)の自由度が増加するとともに、非筆記使用時に摩擦体4の表面が埃や手垢等の付着物で汚れることを防止することができる。
[2]前記第1の考案において、キャップ3を軸筒2の尾端部22から取り外したとき、摩擦体4が摩擦体4自身の重さによりキャップ3内に没入する構成でもよいが、本願の第2の考案は、前記第1の考案において、キャップ3内に、摩擦体4を後方に付勢する弾発体6を収容し、少なくともキャップ3を軸筒2の尾端部22から取り外した状態において、前記弾発体6の後方付勢により摩擦体4がキャップ3内に没入すること(請求項2)を要件とする。
前記第2の考案の熱変色性筆記具1は、キャップ3内に、摩擦体4を後方に付勢する弾発体6を収容したことによって、非筆記使用時、キャップ3を軸筒2の尾端部22から取り外すことで、筆記具をペン先上向き状態にしなくても、確実に摩擦体4をキャップ3内に没入させることができる。尚、前記少なくともキャップ3を軸筒2の尾端部22から取り外した状態とは、キャップ3をペン先21側に装着した状態を含む。
[3]本願の第3の考案は、前記第2の考案において、キャップ3の内面に、弾発体6の前端と当接可能な第1の内側係止部32を設け、摩擦体4の外面に、弾発体6の後端と当接可能な外側係止部53を設け、キャップ3の内面に、前記外側係止部53の後面と当接可能な第2の内側係止部33を設けたこと(請求項3)を要件とする。
前記第3の考案の熱変色性筆記具1は、弾発体6の前端が第1の内側係止部32に当接係止されるとともに、弾発体6の後端が外側係止部53の前面に当接係止されるため、弾発体6により適正に摩擦体4が後方に付勢される。また、前記第3の考案の熱変色性筆記具1は、前記第2の内側係止部33と外側係止部53の後面とが当接係止されて、摩擦体4の後方移動が阻止され、摩擦体4の収容状態が適正に維持される。それにより、前記第3の考案の熱変色性筆記具1は、弾発体6(例えば圧縮コイルスプリング)による摩擦体4に対する後方付勢状態を安定して維持できる。
尚、前記第3の考案で、前記外側係止部53は、摩擦体4の外面に一体に形成してもよいし、または、摩擦体4の外面に取り付けられる摩擦体ホルダー等の別部材により構成してもよい。また、前記第3の考案で、前記第1の内側係止部32及び第2の内側係止部33は、キャップ3の内面に一体に形成してもよいし、または、キャップ3の内面に固着される別部材により構成してもよい。
[4]本願の第4の考案は、前記第3の考案において、摩擦体4を軟質材料から形成し、前記摩擦体4の外面を保持する摩擦体ホルダー5を硬質材料から形成し、前記摩擦体ホルダー5の外面に外側係止部53を一体に形成したこと(請求項4)を要件とする。
前記第4の考案の熱変色性筆記具1は、硬質材料からなる摩擦体ホルダー5の外面に外側係止部53を一体に形成したことにより、外側係止部53と弾発体6の後端との確実な係止状態、及び外側係止部53と第2の内側係止部33との確実な係止状態が得られる。
前記第4の考案で、前記摩擦体4を構成する軟質材料は、弾性を有する合成樹脂(ゴム、エラストマー)が好ましく、例えば、シリコーン樹脂、SBS樹脂(スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体)、SEBS樹脂(スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体)、フッ素系樹脂、クロロプレン樹脂、ニトリル樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)等が挙げられる。前記摩擦体4を構成する弾性を有する合成樹脂は、高摩耗性の弾性材料(例えば、消しゴム等)からなるものよりも、摩擦時に消しカスが殆ど生じない低摩耗性の弾性材料からなることが好ましい。
前記第4の考案で、摩擦体ホルダー5の前端部には、摩擦体4の後端部外面(即ち、摩擦体4の後端部外側面及び摩擦体4の後端面)を保持する保持部51(例えば有底筒部)が形成される。また、本考案で、摩擦体ホルダー5の外面に設けられる外側係止部53は、例えば、前記保持部51の外面に一体に形成される構成、または、保持部51より後方に延設される延長部52の外面に一体に形成される構成が挙げられる。前記摩擦体ホルダー5を構成する硬質材料は、合成樹脂(例えば、ポリカーボネイト樹脂、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアセタール樹脂、ABS樹脂等)または金属が挙げられる。
・熱変色性インキ
尚、本考案において、前記熱変色性インキは、可逆熱変色性インキが好ましい。前記可逆熱変色性インキは、発色状態から加熱により消色する加熱消色型、発色状態または消色状態を互変的に特定温度域で記憶保持する色彩記憶保持型、または、消色状態から加熱により発色し、発色状態からの冷却により消色状態に復する加熱発色型等、種々のタイプを単独または併用して構成することができる。
また、前記可逆熱変色性インキに含有される色材は、従来より公知の(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、及び(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体、の必須三成分を少なくとも含む可逆熱変色性組成物をマイクロカプセル中に内包させた可逆熱変色性顔料が好適に用いられる。
本考案では、図5に示すように、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで異なる経路を辿って変色し、完全発色温度(t)以下の低温域での発色状態、または完全消色温度(t)以上の高温域での消色状態が、特定温度域〔t〜tの間の温度域(実質的二相保持温度域)〕で記憶保持できる色彩記憶保持型熱変色性インキが適用されることが好ましい。図5において、ΔHは、ヒステリシスの程度を示す温度幅(即ちヒステリシス幅)を示す。ΔHの値が小さいと、変色前後の両状態のうち一方の状態しか存在しえない。ΔHの値が大きいと、変色前後の各状態の保持が容易となる。
本考案では、前記熱変色性インキの摩擦体4の摩擦熱による変色温度は、25℃〜95℃(好ましくは36℃〜95℃)に設定される。即ち、本考案では、前記高温側変色点〔完全消色温度(t)〕を、25℃〜95℃(好ましくは、36℃〜90℃)の範囲に設定し、前記低温側変色点〔完全発色温度(t)〕を、−30℃〜+20℃(好ましくは、−30℃〜+10℃)の範囲に設定することが有効である。それにより、常態(日常の生活温度域)で呈する色彩の保持を有効に機能させることができるとともに、可逆熱変色性インキによる筆跡を摩擦体4による摩擦熱で容易に変色することができる。
本考案の熱変色性筆記具は、筆記具の外観デザイン上の自由度が増加するとともに、非筆記使用時の摩擦体の表面が埃や手垢等の付着物で汚れることを防止することができる。
本考案の実施の形態を図1乃至図4に示す。
本実施の形態の熱変色性筆記具1は、内部に熱変色性インキを収容し且つ一端に前記熱変色インキが吐出可能なペン先21を備えた軸筒2と、前記軸筒2のペン先21側及び尾端部22に着脱可能なキャップ3とからなる。
・ペン先
前記軸筒2のペン先21は、前端に回転可能にボールを抱持するボールペンチップが採用される。尚、前記ペン先21は、これ以外にも、例えば、繊維束の樹脂加工体、繊維束の熱融着加工体、フェルト加工体、パイプ状ペン体、先端にスリットを有する万年筆型板状ペン体、毛筆ペン体、合成樹脂の多孔質気泡体、軸方向のインキ誘導路を有する合成樹脂の押出成形体等が挙げられる。
・熱変色性インキ
前記熱変色性インキは、低温側変色点(完全発色温度t)が−30℃〜−10℃の範囲の任意の温度に設定され、高温側変色点(完全消色温度t)が60℃〜80℃の範囲の任意の温度に設定され、ヒステリシス幅ΔHが40℃〜60℃の範囲を示す可逆熱変色性インキが採用される。
・キャップ
前記キャップ3の後端には、軸筒2のペン先21側及び軸筒2の尾端部22に装着可能な開口部が形成される。キャップ3の前端には、摩擦体4が出没可能な出没孔31が形成される。前記キャップ3の前端部内には、摩擦体4を保持する摩擦体ホルダー5が前後方向に移動可能に収容される。さらに、前記キャップ3内には、弾発体6が収容され、前記弾発体6によって、摩擦体4を備えた摩擦体ホルダー5が常時後方に付勢される。
・摩擦体
前記摩擦体4は、前記熱変色性インキの筆跡を摩擦しその際に生じる摩擦熱で該筆跡を熱変色可能である。前記摩擦体4は、軟質材料(例えば、シリコーン樹脂、SBS樹脂、SEBS樹脂等の弾性を有する合成樹脂)により形成される。前記摩擦体4は、円柱状、角柱状に形成される。
・摩擦体ホルダー
前記摩擦体4の後端部外面は、摩擦体ホルダー5により保持される。前記摩擦体ホルダー5は、前記摩擦体4の後端部外面を保持可能な有底筒状の保持部51を備える。前記有底筒状の保持部51は、前記摩擦体4の後端部外周面が圧入可能な内周面と、摩擦体4の後端面が当接可能な底壁とを有する。前記保持部51の後方には筒状の延長部52が形成され、前記延長部52の外面には鍔状の外側係止部53が一体に形成される。前記筒状の延長部52は、後方に開口され、キャップ3をペン先21側に装着した際、前記筒状の延長部52内にペン先21が挿入される。前記摩擦体ホルダー5は、合成樹脂(例えば、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネイト樹脂等)からなる硬質材料により形成される。
・キャップ
前記キャップ3は、合成樹脂の成形体からなり、前記キャップ3の内面には、第1の内側係止部32と、その後方に第2の内側係止部33とが一体に形成される。前記第1の内側係止部32は、段形状に形成され、前記第2の内側係止部33は、突起形状に形成される。本考案では、これ以外にも、キャップ3を金属により形成し、前記金属製のキャップ3の内面に、第1の内側係止部32と第2の内側係止部33とが内面に一体に形成された合成樹脂製の筒状体を固着してもよい。
・弾発体
前記弾発体6は、圧縮コイルスプリングからなる。前記弾発体6の前端が、第1の内側係止部32に係止され、前記弾発体6の後端が、外側係止部53の前面に係止され、前記弾発体6により摩擦体ホルダー5が常時後方に付勢される。軸筒2の尾端部22にキャップ3が装着されていないとき、前記摩擦体ホルダー5への弾発体6の後方付勢により、前記外側係止部53の後面が第2の内側係止部33に係止され、摩擦体ホルダー5の後方移動が阻止される。
本実施の形態の作用を説明する。
・非筆記使用時(図1及び図2参照)
非筆記使用時、キャップ3を軸筒2のペン先21側に装着する。このとき、摩擦体4を保持する摩擦体ホルダー5が、弾発体6の後方付勢によって後方に移動され、摩擦体4がキャップ3内に没入状態となる。これと同時に、摩擦体ホルダー5の外側係止部53の後面が、キャップ3内面の第2の内側係止部33に係止され、それによって、摩擦体ホルダー5の後方移動が阻止される。
・筆記使用時(図3及び図4参照)
筆記使用時、キャップ3を軸筒2のペン先21側から取り外して軸筒2の尾端部22に装着する。このとき、軸筒2の尾端部22と摩擦体ホルダー5(具体的には摩擦体ホルダー5の後端)とが当接し、弾発体6の後方付勢に抗して軸筒2の尾端部22によって摩擦体ホルダー5が前方に押圧される。それにより、摩擦体4の前端部がキャップ3前端より外部に突出した状態となる。この状態において、ペン先21により熱変色性インキの筆跡が得られるとともに、摩擦体4により熱変色性インキの筆跡を摩擦変色させることができる。
本考案の実施の形態の非筆記使用時の縦断面図である。 図1の要部拡大縦断面図である。 図1の筆記使用時の縦断面図である。 図3の要部拡大縦断面図である。 熱変色性インキの変色挙動を示す説明図である。
1 熱変色性筆記具
2 軸筒
21 ペン先
22 尾端部
3 キャップ
31 出没孔
32 第1の内側係止部
33 第2の内側係止部
4 摩擦体
5 摩擦体ホルダー
51 保持部
52 延長部
53 外側係止部
6 弾発体

Claims (4)

  1. 内部に熱変色性インキを収容し且つ一端に前記熱変色インキが吐出可能なペン先を備えた軸筒と、前記軸筒のペン先側に装着可能な開口部を後端に備え、且つ、前記熱変色性インキの筆跡を摩擦しその際に生じる摩擦熱で該筆跡を熱変色可能な摩擦体を前端に備えたキャップとからなる熱変色性筆記具であって、軸筒のペン先側及び尾端部にキャップを装着可能に構成し、キャップの前端部に摩擦体を前後方向に移動可能に収容し、キャップを軸筒の尾端部に装着した状態において、軸筒の尾端部が摩擦体を前方へ押圧することによって摩擦体がキャップの前端から外部に突出し、キャップを軸筒の尾端部から取り外すことによって、前記摩擦体に対する前方への押圧が解除され、摩擦体がキャップ内に没入可能となることを特徴とする熱変色性筆記具。
  2. キャップ内に、摩擦体を後方に付勢する弾発体を収容し、少なくともキャップを軸筒の尾端部から取り外した状態において、前記弾発体の後方付勢により摩擦体がキャップ内に没入してなる請求項1記載の熱変色性筆記具。
  3. キャップの内面に、弾発体の前端と当接可能な第1の内側係止部を設け、摩擦体の外面に、弾発体の後端と当接可能な外側係止部を設け、キャップの内面に、前記外側係止部の後面と当接可能な第2の内側係止部を設けた請求項2記載の熱変色性筆記具。
  4. 摩擦体を軟質材料から形成し、摩擦体の外面を保持する摩擦体ホルダーを硬質材料から形成し、前記摩擦体ホルダーの外面に外側係止部を一体に形成した請求項3記載の熱変色性筆記具。
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